説明

油圧制御装置およびその異常判定方法

【課題】変速段の変更中に変速に関与する調圧バルブの異常の有無を判定可能とする。
【解決手段】変速段の変更に際して解放されるクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2の何れか1つに対応した解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*が当該解放側調圧バルブSL(i)に対応した油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poff以下になってから待機時間trefが経過した時点で当該油圧スイッチSW(i)がオンされている場合、解放側調圧バルブSL(i)に異常が生じていると判定される(ステップS210〜S250)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて複数の変速段を形成する自動変速機に含まれる複数の摩擦係合要素への油圧を制御する油圧制御装置およびその異常判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の油圧制御装置として、ソレノイドバルブに対して出力指令値を出力して当該ソレノイドバルブに対応する摩擦係合要素の作動油圧を直接制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この油圧制御装置は、ソレノイドバルブと、それに対応する摩擦係合要素とを接続する油路内の油圧が予め定められた圧力になると信号を出力する検知手段と、検知手段からの信号に基づいて油圧制御装置が異常であるか否かを判定する判定手段と、出力指令値が予め定められた第1の値以上になると判定手段による判定を禁止する禁止手段と、当該判定が禁止された状態で出力指令値が予め定められた第2の値以下になると、第2の値以下になってから予め定められた時間が経過した後に、判定手段による判定を許可する許可手段とを含む。これにより、この油圧制御装置では、複数のソレノイドバルブのそれぞれについて、異常判定を禁止する期間と許可する期間とが設定されることから、変速段の変更中に出力指令値が出力されているソレノイドバルブに対して異常判定を禁止する期間を設定することで、変速段の変更中に出力指令値が出力されていないソレノイドバルブ、すなわち変速に関与しないソレノイドバルブについてのみ異常の有無を判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−77892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1におけるソレノイドバルブのような調圧バルブの異常の有無をより迅速に判定して、より一層の安全性を確保するためには、変速段の変更中に変速に関与しない調圧バルブの異常の有無を判定するだけでは不十分であり、変速段の変更中に変速に関与する調圧バルブの異常の有無を判定することが求められる。
【0005】
そこで、本発明の油圧制御装置およびその異常判定方法は、変速段の変更中に変速に関与する調圧バルブの異常の有無を判定可能とすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による油圧制御装置およびその異常判定方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採っている。
【0007】
本発明による油圧制御装置は、
車両に搭載されて複数の変速段を形成する自動変速機に含まれる複数の摩擦係合要素への油圧を制御する油圧制御装置において、
前記複数の摩擦係合要素の中の対応する要素への油圧をそれぞれ調圧する複数の調圧バルブと、
前記調圧バルブごとに設けられており、それぞれ対応する前記調圧バルブの出力圧が予め定められたオン圧以上であるときにオンすると共に予め定められたオフ圧以下であるときにオフする複数の油圧スイッチと、
前記変速段の変更に際して解放される解放側摩擦係合要素に対応した解放側調圧バルブへの解放圧指令値を設定する変速制御手段と、
前記解放側調圧バルブへの解放圧指令値が該解放側調圧バルブに対応した前記油圧スイッチのオフ圧以下になってから所定時間経過した時点で当該油圧スイッチがオンされている場合に、前記解放側調圧バルブに異常が生じていると判定する異常判定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
この油圧制御装置では、変速段の変更に際して解放される解放側摩擦係合要素に対応した解放側調圧バルブへの解放圧指令値が当該解放側調圧バルブに対応した油圧スイッチのオフ圧以下になってから所定時間経過した時点で当該油圧スイッチがオンされている場合、解放側調圧バルブに異常が生じていると判定される。すなわち、解放側調圧バルブへの解放圧指令値が油圧スイッチのオフ圧以下になってから所定時間経過した時点で当該油圧スイッチがオンしている場合、解放圧指令値に対する油圧の応答遅れがあったとしても本来減少しているべき時点で解放側調圧バルブの出力圧がなお高いままとなっていることから、当該解放側調圧バルブが例えば開固着等により出力圧を減圧不能な状態となっているとみなすことができる。従って、この油圧制御装置では、変速段の変更中に変速に関与する解放側調圧バルブの異常の有無を精度よく判定することが可能となる。
【0009】
また、前記油圧スイッチの前記オン圧は、前記変速段の変更中に前記解放側調圧バルブに供給される元圧よりも低くてもよく、前記油圧スイッチの前記オフ圧は、前記オン圧よりも低く、かつ所定条件下での前記変速段の変更前に前記解放側調圧バルブから前記解放側摩擦係合要素に供給される保持圧よりも高くてもよい。このように、油圧スイッチのオン圧を変速段の変更中(変更開始から変更完了まで)に解放側調圧バルブに供給される元圧よりも低くすれば、解放側調圧バルブが出力圧を減圧不能な状態となっている場合、当該解放側調圧バルブに対応した油圧スイッチが変速段の変更が開始されるとオンすることになる。また、油圧スイッチのオフ圧をオン圧よりも低くすると共に、所定条件下での変速段の変更前に解放側調圧バルブから解放側摩擦係合要素に供給される保持圧よりも高くすれば、当該所定条件下での変速段の変更に際して、解放側調圧バルブに異常が発生していなければ、当該解放側調圧バルブに対応した油圧スイッチが変速段の変更開始の時点でオフしていることになる。従って、かかる構成によれば、変速段の変更開始の時点から所定時間経過後に解放側調圧バルブの異常の有無を判断できるため、変速段の変更を開始した後に解放側調圧バルブへの解放圧指令値が当該解放側調圧バルブに対応した油圧スイッチのオフ圧以下になる場合に比べて、解放側調圧バルブの異常の有無をより速やかに判定することが可能となる。
【0010】
更に、前記油圧スイッチの前記オフ圧は、前記変速段の変更前からアクセルオフ状態が継続している場合に当該変速段の変更前に前記解放側調圧バルブから前記解放側摩擦係合要素に供給される保持圧よりも高くてもよい。これにより、解放側摩擦係合要素の係合が解除されない場合に大きな減速ショックを生じやすいアクセルオフ状態の継続中における変速段の変更に際して、解放側調圧バルブの異常の有無をより速やかに判定することが可能となる。
【0011】
また、前記変速段の変更前に前記解放側調圧バルブに供給される元圧が前記油圧スイッチの前記オン圧よりも低い場合には、前記変速段の変更中に前記解放側調圧バルブに供給される元圧が該オン圧よりも高く設定されてもよい。これにより、解放側調圧バルブが出力圧を減圧不能な状態となっている場合に、当該解放側調圧バルブに対応した油圧スイッチを変速段の変更開始後に確実にオンさせることができる。
【0012】
更に、前記所定時間は、作動油の温度が低いほど長く設定されてもよい。これにより、当該所定時間を作動油の粘度に応じた時間として、解放側調圧バルブの異常判定をより適正に実行することが可能となる。
【0013】
また、前記変速段の変更前に前記解放側調圧バルブから前記解放側摩擦係合要素に供給される保持圧が前記油圧スイッチの前記オフ圧よりも低い場合には、該保持圧が該オフ圧よりも高い場合に比べて、前記所定時間が短く設定されてもよい。これにより、変速段の変更前に解放側調圧バルブから解放側摩擦係合要素に供給される保持圧が油圧スイッチのオフ圧よりも低くなる場合に、保持圧がオフ圧を下回るまでの時間分だけ上記所定時間を短くして解放側調圧バルブの異常の有無をより一層速やかに判定することが可能となる。
【0014】
本発明による油圧制御装置の異常判定方法は、
車両に搭載されて複数の変速段を形成する自動変速機に含まれる複数の摩擦係合要素の中の対応する要素への油圧をそれぞれ調圧する複数の調圧バルブと、前記調圧バルブごとに設けられており、それぞれ対応する前記調圧バルブの出力圧が予め定められたオン圧以上であるときにオンすると共に予め定められたオフ圧以下であるときにオフする複数の油圧スイッチとを有する油圧制御装置の異常判定方法であって、
前記変速段の変更に伴って解放される解放側摩擦係合要素に対応した解放側調圧バルブへの解放圧指令値が該解放側調圧バルブに対応した前記油圧スイッチのオフ圧以下になってから所定時間経過した時点で当該油圧スイッチがオンされている場合に、前記解放側調圧バルブに異常が生じていると判定するものである。
【0015】
この方法によれば、変速段の変更中に変速に関与する解放側調圧バルブの異常の有無を精度よく判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による油圧制御装置50を搭載した車両である自動車10の概略構成図である。
【図2】油圧制御装置50からの油圧により作動する自動変速機25を含む動力伝達装置20の概略構成図である。
【図3】自動変速機25の各変速段とクラッチおよびブレーキの作動状態との関係を示す作動表である。
【図4】油圧制御装置50を示す系統図である。
【図5】リニアソレノイドバルブ異常判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図6】異常判定対象設定マップの一例を示す説明図である。
【図7】アクセルオン状態からアクセルオフ状態への移行に伴う変速段の変更に際して解放側調圧バルブSL(i)からの油圧Psl(i)等が変化する様子を例示するタイムチャートである。
【図8】変速段の変更前からアクセルオフ状態が継続している場合の変速段の変更に際して解放側調圧バルブSL(i)からの油圧Psl(i)等が変化する様子を例示するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明による油圧制御装置50を搭載した車両である自動車10の概略構成図である。同図に示す自動車10は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料と空気との混合気の爆発燃焼により動力を出力する内燃機関である動力源としてのエンジン12や、エンジン12を制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)14と、図示しない電子制御式油圧ブレーキユニットを制御するブレーキ用電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という)16、エンジン12のクランクシャフトに接続されると共にエンジン12からの動力を左右の駆動輪DWに伝達する動力伝達装置20等を含む。動力伝達装置20は、トルクコンバータ23や有段式の自動変速機25、油圧制御装置50、これらを制御する変速用電子制御ユニット(以下、「変速ECU」という)21を有する。
【0019】
エンジンECU14は、図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を有する。図1に示すように、エンジンECU14には、アクセルペダル91の踏み込み量(操作量)を検出するアクセルペダルポジションセンサ92からのアクセル開度Accや車速センサ98からの車速V、クランクシャフトの回転位置を検出する図示しないクランクシャフトポジションセンサといった各種センサ等からの信号、ブレーキECU16や変速ECU21からの信号等が入力され、エンジンECU14は、これらの信号に基づいて電子制御式のスロットルバルブ13や図示しない燃料噴射弁および点火プラグ等を制御する。
【0020】
ブレーキECU16も図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を有する。図1に示すように、ブレーキECU16には、ブレーキペダル93が踏み込まれたときにマスタシリンダ圧センサ94により検出されるマスタシリンダ圧や車速センサ98からの車速V、図示しない各種センサ等からの信号、エンジンECU14や変速ECU21からの信号等が入力され、ブレーキECU16は、これらの信号に基づいて図示しないブレーキアクチュエータ(油圧アクチュエータ)等を制御する。
【0021】
変速ECU21も図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を備える。図1に示すように、変速ECU21には、アクセルペダルポジションセンサ92からのアクセル開度Accや車速センサ98からの車速V、複数のシフトレンジの中から所望のシフトレンジを選択するためのシフトレバー95の操作位置を検出するシフトレンジセンサ96からのシフトレンジSR、油圧制御装置50の作動油の油温Toilを検出する油温センサ99、自動変速機25の入力回転数(タービンランナ23bあるいは入力軸26の回転数)Niを検出する回転数センサといった図示しない各種センサ等からの信号、エンジンECU14やブレーキECU16からの信号等が入力され、変速ECU21は、これらの信号に基づいてトルクコンバータ23や自動変速機25、すなわち油圧制御装置50を制御する。
【0022】
実施例において、シフトレバー95を介して選択可能なシフトレンジとしては、駐車時に選択されるパーキングレンジ(Pレンジ)、後進走行用のリバースレンジ(Rレンジ)、中立のニュートラルレンジ(Nレンジ)、通常の前進走行用のドライブレンジ(Dレンジ)に加えて、運転者に任意の変速段の選択を許容するスポーツレンジ(Sレンジ)が用意されている。シフトレバー95をSレンジに一旦セットすると、シフトレバー95をシフトアップ指示ポジションまたはシフトダウン指示ポジションにセットすることが可能となる。また、シフトレバー95をシフトアップ指示ポジションにセットすることで変速段を一段ずつシフトアップ側に変化させると共に、シフトレバー95をシフトダウン指示ポジションにセットすることで変速段を一段ずつシフトダウン側に変化させることができる。更に、実施例の自動車10では、ステアリングホイール近傍にシフトアップ指示スイッチおよびシフトダウン指示スイッチが配置されており、これらのスイッチを操作しても、複数の変速段の中から任意の変速段を選択することができる。
【0023】
動力伝達装置20は、図2に示すように、トランスミッションケース22の内部に収容されるトルクコンバータ23や、オイルポンプ24、自動変速機25、差動機構(デファレンシャルギヤ)29、油圧制御装置50等を含む。トルクコンバータ23は、エンジン12のクランクシャフトに接続される入力側のポンプインペラ23aと、自動変速機25の入力軸(入力部材)26に接続された出力側のタービンランナ23bと、ロックアップクラッチ23cとを含むものである。オイルポンプ24は、ポンプボディとポンプカバーとからなるポンプアッセンブリと、ハブを介してトルクコンバータ23のポンプインペラ23aに接続された外歯ギヤとを備えるギヤポンプとして構成されている。エンジン12からの動力により外歯ギヤを回転させれば、オイルポンプ24によりオイルパン(図示省略)に貯留されている作動油(ATF)が吸引されて油圧制御装置50へと圧送される。
【0024】
自動変速機25は、6段変速式の変速機として構成されており、図2に示すように、シングルピニオン式遊星歯車機構30と、ラビニヨ式遊星歯車機構35と、入力側から出力側までの動力伝達経路を変更するための3つのクラッチC1,C2およびC3、2つのブレーキB1およびB2並びにワンウェイクラッチF1とを含む。シングルピニオン式遊星歯車機構30は、トランスミッションケース22に固定された外歯歯車であるサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置されると共に入力軸26に接続された内歯歯車であるリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを有する。ラビニヨ式遊星歯車機構35は、外歯歯車である2つのサンギヤ36a,36bと、自動変速機25の出力軸(出力部材)27に固定された内歯歯車であるリングギヤ37と、サンギヤ36aに噛合する複数のショートピニオンギヤ38aと、サンギヤ36bおよび複数のショートピニオンギヤ38aに噛合すると共にリングギヤ37に噛合する複数のロングピニオンギヤ38bと、互いに連結された複数のショートピニオンギヤ38aおよび複数のロングピニオンギヤ38bを自転かつ公転自在に保持すると共にワンウェイクラッチF1を介してトランスミッションケース22に支持されたキャリア39とを有する。また、自動変速機25の出力軸27は、ギヤ機構28および差動機構29を介して駆動輪DWに接続される。
【0025】
クラッチC1は、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、シングルピニオン式遊星歯車機構30のキャリア34とラビニヨ式遊星歯車機構35のサンギヤ36aとを締結すると共に当該締結を解除することができる油圧クラッチ(摩擦係合要素)である。クラッチC2は、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、入力軸26とラビニヨ式遊星歯車機構35のキャリア39とを締結すると共に当該締結を解除することができる油圧クラッチである。クラッチC3は、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、シングルピニオン式遊星歯車機構30のキャリア34とラビニヨ式遊星歯車機構35のサンギヤ36bとを締結すると共に当該締結を解除することができる油圧クラッチである。ブレーキB1は、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、ラビニヨ式遊星歯車機構35のサンギヤ36bをトランスミッションケース22に固定すると共にサンギヤ36bのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧ブレーキである。ブレーキB2は、複数の摩擦板や相手板、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、ラビニヨ式遊星歯車機構35のキャリア39をトランスミッションケース22に固定すると共にキャリア39のトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧ブレーキである。
【0026】
これらのクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2は、油圧制御装置50による作動油の給排を受けて動作する。図3に、自動変速機25の各変速段とクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2の作動状態との関係を表した作動表を示す。自動変速機25は、クラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2を図3の作動表に示す状態とすることで前進1〜6速の変速段と後進1段の変速段とを提供する。
【0027】
図4は、油圧制御装置50を示す系統図である。油圧制御装置50は、エンジン12からの動力により駆動されてオイルパンから作動油を吸引して吐出する上述のオイルポンプ24に接続されるものであり、トルクコンバータ23や自動変速機25により要求される油圧を生成すると共に、各種軸受などの潤滑部分に作動油を供給する。油圧制御装置50は、図4に示すように、オイルポンプ24からの作動油を調圧してライン圧PLを生成するプライマリレギュレータバルブ51や、シフトレバー95の操作位置に応じてプライマリレギュレータバルブ51からのライン圧PLの供給先を切り替えるマニュアルバルブ52、アプライコントロールバルブ53、それぞれマニュアルバルブ52(プライマリレギュレータバルブ51)から供給される元圧としてのライン圧PLを調圧して対応するクラッチ等への油圧を生成する調圧バルブとしての第1リニアソレノイドバルブSL1、第2リニアソレノイドバルブSL2、第3リニアソレノイドバルブSL3および第4リニアソレノイドバルブSL4等を含む
【0028】
プライマリレギュレータバルブ51は、変速ECU21により制御されてオイルポンプ24側(例えばライン圧PLを調圧して一定の油圧を出力するモジュレータバルブ)からの作動油をアクセル開度Accあるいはスロットルバルブ13の開度THRに応じて調圧するリニアソレノイドバルブSLTからの油圧により駆動される。
【0029】
マニュアルバルブ52は、シフトレバー95と連動して軸方向に摺動可能なスプールや、ライン圧PLが供給される入力ポート、第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の入力ポートと油路を介して連通するドライブレンジ出力ポート、リバースレンジ出力ポート等を有する(何れも図示省略)。運転者によりDレンジやSレンジといった前進走行シフトレンジが選択されているときには、マニュアルバルブ52のスプールにより入力ポートがドライブレンジ出力ポートのみと連通され、これにより、第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4にドライブレンジ圧としてのライン圧PLが供給される。また、運転者によりRレンジが選択されたときには、マニュアルバルブ52のスプールにより入力ポートがリバースレンジ出力ポートのみと連通される。更に、運転者によりPレンジやNレンジが選択されたときには、マニュアルバルブ52のスプールにより入力ポートとドライブレンジ出力ポートおよびリバースレンジ出力ポートとの連通が遮断される。
【0030】
アプライコントロールバルブ53は、第3リニアソレノイドバルブSL3からの油圧をクラッチC3に供給する第1状態と、プライマリレギュレータバルブ51からのライン圧PLをクラッチC3に供給すると共にマニュアルバルブ52のリバースレンジ出力ポートからのライン圧PL(リバースレンジ圧)をブレーキB2に供給する第2状態と、マニュアルバルブ52のリバースレンジ出力ポートからのライン圧PL(リバースレンジ圧)をクラッチC3とブレーキB2とに供給する第3状態と、第3リニアソレノイドバルブSL3からの油圧をブレーキB2に供給する第4状態とを選択的に形成可能なスプールバルブである。
【0031】
第1リニアソレノイドバルブSL1は、印加される電流に応じてマニュアルバルブ52からのライン圧PLを調圧してクラッチC1への油圧Psl1を生成する常閉型リニアソレノイドバルブである。第2リニアソレノイドバルブSL2は、印加される電流に応じてマニュアルバルブ52からのライン圧PLを調圧してクラッチC2への油圧Psl2を生成する常閉型リニアソレノイドバルブである。第3リニアソレノイドバルブSL3は、印加される電流に応じてマニュアルバルブ52からのライン圧PLを調圧してクラッチC3あるいはブレーキB2への油圧Psl3を生成する常閉型リニアソレノイドバルブである。第4リニアソレノイドバルブSL4は、印加される電流に応じてマニュアルバルブ52からのライン圧PLを調圧してブレーキB1への油圧Psl4を生成する常閉型リニアソレノイドバルブである。すなわち、自動変速機25の摩擦係合要素であるクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2への油圧は、それぞれに対応する第1、第2、第3または第4リニアソレノイドバルブ圧SL1,SL2,SL3またはSL4により直接制御(設定)される。なお、実施例では、コスト面や設計の容易さといった観点から、第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4として、同一サイズかつ同一の最高出力圧を有するものが採用されている。
【0032】
上述の第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4(それぞれに印加される電流)は、変速ECU21により制御される。変速ECU21には、図1に示すように、CPUやROM,RAMといったハードウエアと、ROMにインストールされた制御プログラムといったソフトウェアとの協働により、アクセル開度Acc(あるいはスロットルバルブ13の開度THR)および車速Vと予め定められた図示しない変速線図とに基づいて第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4を制御する変速制御モジュール210が機能ブロックとして構築される。すなわち、変速制御モジュール210は、変速段の変更に際して、上記変速線図から取得されるアクセル開度Acc(あるいはスロットルバルブ13の開度THR)および車速Vに対応した目標変速段SR*が形成されるように、変速段の変更に伴って係合されるクラッチ(ワンウェイクラッチを除く)またはブレーキに対応した第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の何れか1つ(係合側調圧バルブ)への係合圧指令値Peg*と、当該変速段の変更に伴って解放されるクラッチ(ワンウェイクラッチを除く)またはブレーキに対応した第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の何れか1つ(解放側調圧バルブ)への解放圧指令値Prl(i)*を設定する(ただし、“i”は、値1,2,3または4の何れかである)。また、変速制御モジュール210は、変速段の変更中や目標変速段SR*の形成後に、係合されているクラッチやブレーキに対応した第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の何れか1つまたは2つへの保持圧指令値Ph(i)*を設定する。
【0033】
更に、油圧制御装置50は、第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の異常の有無を判定するために、図4に示すように第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4ごとに設けられた周知の構成を有する油圧スイッチSW1〜SW4を含む。油圧スイッチSW1は、第1リニアソレノイドバルブSL1の出力ポートに接続される図示しない入力ポートを有し、変速ECU21に信号ラインを介して接続される。油圧スイッチSW2は、第2リニアソレノイドバルブSL2の出力ポートに接続される図示しない入力ポートを有し、変速ECU21に信号ラインを介して接続される。油圧スイッチSW3は、第3リニアソレノイドバルブSL3の出力ポートに接続される図示しない入力ポートを有し、変速ECU21に信号ラインを介して接続される。油圧スイッチSW4は、第4リニアソレノイドバルブSL4の出力ポートに接続される図示しない入力ポートを有し、変速ECU21に信号ラインを介して接続される。
【0034】
油圧スイッチSW1〜SW4は、基本的に同一の諸元を有し、それぞれ対応する第1、第2、第3または第4リニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL3またはSL4の出力圧(油圧Psl1,Psl2,Psl3またはPsl4)が予め定められたオン圧Pon以上であるときにオンしてオン信号を変速ECU21に送信すると共に、予め定められたオフ圧Poff以下であるときにオフするものである。実施例において、油圧スイッチSW1〜SW4のオン圧Ponは、変速段の変更中(変速開始から変速完了まで)にプライマリレギュレータバルブ51により生成されるライン圧PLすなわち第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4に供給される元圧よりも低く定められる。すなわち、実施例では、変速段の変更中に要求されるライン圧PLの値(変速時要求値)が変速段等に応じて予め定められており、油圧スイッチSW1〜SW4のオン圧Ponは、当該変速時要求値より低く定められる。そして、変速ECU21(変速制御モジュール210)は、変速段の変更中にライン圧PLすなわち第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4に供給される元圧が少なくとも変速時要求値を下回らないようにリニアソレノイドバルブSLTを制御する。これにより、変速段の変更前に係合しているクラッチやブレーキに対応した第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の何れか1つまたは2つに供給される元圧としてのライン圧PLが油圧スイッチSW1〜SW4のオン圧Ponよりも低い場合には、変速段の変更中(変速開始から変速完了まで)に第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4に供給される元圧としてのライン圧PL(=変速時要求値)が当該オン圧Ponよりも高められることになる。
【0035】
また、油圧スイッチSW1〜SW4のオフ圧Poffは、上記オン圧Ponよりも低く、かつ変速段の変更前からアクセルペダル91の踏み込みが解除されるアクセルオフ状態(スロットル開度THRが概ね全閉である状態)が継続している場合(例えば惰行走行中)に当該変速段の変更(いわゆるコーストダウンやマニュアルシフトダウン)前に係合しているクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2の何れか1つあるいは2つに対して係合を維持するように第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の何れか1つまたは2つから出力される保持圧よりも高く定められる。そして、変速ECU21には、油圧スイッチSW1〜SW4からの信号に基づいて、CPUやROM,RAMといったハードウエアと、ROMにインストールされた制御プログラムといったソフトウェアとの協働により、油圧制御装置50に含まれる上記第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の異常の有無を判定する異常判定モジュール220が機能ブロックとして構築される。
【0036】
次に、図5〜図8を参照しながら、異常判定モジュール220による第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の異常判定手順について説明する。図5は、変速ECU21の異常判定モジュール220により実行されるリニアソレノイドバルブ異常判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。図5のルーチンは、油圧スイッチSW1〜SW4からの信号(オン信号)に基づいて、変速段の変更(シフトアップまたはシフトダウン)に伴って解放されるクラッチC1〜C3およびブレーキB1の何れか1つに対応した第1、第2、第3または第4リニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL3またはSL4の異常の有無を判定可能とするものである。そして、図5のルーチンは、変速制御モジュール210により変速段を変更するための制御が開始されるのとほぼ同時に開始される。
【0037】
図5のリニアソレノイドバルブ異常判定ルーチンの開始に際して、異常判定モジュール220は、自動変速機25により形成されている現変速段SRや、目標変速段SR*、油温センサ99からの油温Toilといった異常判定に必要なデータの入力処理を実行する(ステップS100)。なお、自動変速機25の現変速段SRおよび目標変速段SR*は、変速制御モジュール210により設定されて変速ECU21の所定の記憶領域に格納されたものである。
【0038】
ステップS100の処理の後、異常判定モジュール220は、ステップS100にて入力した現変速段SRおよび目標変速段SR*と、変速ECU21のROMに記憶された図6に例示する異常判定対象設定マップとに基づいて第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の異常判定を実行するか否かを判定する(ステップS110)。すなわち、本ルーチンは、上述のように、油圧スイッチSW1〜SW4からの信号に基づいて、変速段の変更に伴って解放されるクラッチやブレーキに対応した第1、第2、第3または第4リニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL3またはSL4の異常の有無を判定するものである。そして、自動変速機25を第1速から第2速へとシフトアップする際には、図3からわかるように変速段の変更に伴って解放されるクラッチ(ワンウェイクラッチを除く)等が存在しない(ただし、エンジンブレーキ使用時を除く)。このため、異常判定モジュール220は、ステップS100にて入力した現変速段SRが第1速であると共に目標変速段SR*が第2速である場合、ステップS110以降の処理を実行することなく、本ルーチンを終了させる。
【0039】
これに対して、ステップS100にて入力した現変速段SRが第1速ではなく、かつ目標変速段SR*が第2速ではない場合、異常判定モジュール220は、現変速段SRから目標変速段SR*への変速に伴って解放されるクラッチまたはブレーキ(解放側係合要素)に対応した第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の何れか一つ(以下、解放側調圧バルブSL(i)という)を図6の異常判定対象設定マップから選択し、異常判定対象として設定する(ステップS120)。例えば、現変速段SRが第4速であると共に目標変速段SR*が第5速である場合、解放側調圧バルブSL(i)は、第4速から第5速へのシフトアップに伴って解放されるクラッチC1に対応した第1リニアソレノイドバルブSL1(i=1)となる。また、現変速段SRが第4速であると共に目標変速段SR*が第3速である場合、解放側調圧バルブSL(i)は、第4速から第3速へのシフトダウンに伴って解放されるクラッチC2に対応した第2リニアソレノイドバルブSL2(i=2)となる。
【0040】
異常判定モジュール220は、解放側調圧バルブSL(i)を異常判定対象として設定すると、ステップS100にて入力した油温Toilに基づいて待機時間(所定時間)trefを設定する(ステップS130)。実施例では、第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の圧力指令値に対する応答性を考慮して油温Toilが低いほど待機時間trefが長くなるように油温Toilと待機時間trefとの関係が予め定められて図示しない待機時間設定マップとして変速ECU21のROMに記憶されている。そして、異常判定モジュール220は、待機時間設定マップからステップS100にて入力した油温Toilに対応した時間を読み出して待機時間trefとして設定する。
【0041】
次いで、異常判定モジュール220は、変速制御モジュール210から解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*を入力すると共に(ステップS140)、解放圧指令値Prl(i)*が解放側調圧バルブSL(i)に対応した油圧スイッチSW(i)すなわち油圧スイッチSW1〜SW4のオフ圧Poff以下になったか否かを判定する(ステップS150)。異常判定モジュール220は、ステップS140およびS150の処理を所定時間おきに繰り返し実行し、ステップS150にて解放圧指令値Prl(i)*がオフ圧Poff以下になったと判断すると、図示しないタイマをオンする(ステップS160)。異常判定モジュール220は、タイマをオンした後、当該タイマによる計時時間tを入力すると共に(ステップS170)、計時時間tがステップS130にて設定した待機時間tref以上であるか、すなわち解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*が油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poff以下になってから待機時間trefが経過しているか否かを判定する(ステップS180)。
【0042】
異常判定モジュール220は、ステップS170およびS180の処理を所定時間おきに繰り返し実行し、ステップS180にて計時時間tが待機時間tref以上になったと判断すると、タイマをオフした上で(ステップS190)、解放側調圧バルブSL(i)に対応した油圧スイッチSW(i)のON/OFFフラグFsw(i)の値を入力する(ステップS200)。ON/OFFフラグFsw(i)は、油圧スイッチSW1〜SW4ごとに、変速ECU21が油圧スイッチSW(i)からのオン信号を受信する間、変速ECU21により値1に設定されて所定の記憶領域に格納されると共に、油圧スイッチSW(i)がオフしてオン信号を出力しなくなると、値0に設定されて所定の記憶領域に格納されるものである。
【0043】
そして、異常判定モジュール220は、油圧スイッチSW(i)のON/OFFフラグFsw(i)の値が値1であるか、すなわち油圧スイッチSW(i)がオンしているか否かを判定する(ステップS210)。ステップS210の判定が行われる際には、解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*が油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poff以下になってから待機時間trefが経過しており、解放側調圧バルブSL(i)に異常が発生していなければ、解放圧指令値Prl(i)*に対する応答遅れがあったとしても、ステップS190にて肯定判断がなされた時点で油圧スイッチSW(i)がオフしていることになる。このため、異常判定モジュール220は、ON/OFFフラグFsw(i)が値0であって油圧スイッチSW(i)がオフしている場合には、解放側調圧バルブSL(i)に異常が発生していないとみなし、油圧スイッチSW1〜SW4ごとに用意された図示しない複数のカウンタのうち、油圧スイッチSW(i)に対応したカウンタをリセットした上で(ステップS260)、本ルーチンを終了させる。
【0044】
図7に、アクセルオン状態からアクセルオフ状態への移行に伴う変速段のシフトアップ(例えば、第4速から第5速へのいわゆるオフアップ)に際して解放側調圧バルブSL(i)からの油圧Ps(i)等が変化する様子を例示する。図7の例において、変速制御モジュール210により変速段をシフトアップするための制御が開始される前に、解放側調圧バルブSL(i)に元圧として供給されるライン圧PLは、アクセルペダル91の踏み込みに起因して油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poffよりも高くなっている。また、変速段をシフトアップするための制御が開始される前に、解放側調圧バルブSL(i)から解放側係合要素としてのクラッチ等に供給される油圧Psl(i)すなわち保持圧も油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poffよりも高くなっている。このような場合、図示するように、変速制御モジュール210により変速段をシフトアップするための制御が開始されてから若干の時間をおいて解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*が油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poff以下になるが(図7における時刻t0)、解放側調圧バルブSL(i)に異常が発生していなければ、図7において太い実線で示すように油圧Psl(i)が低下し、解放圧指令値Prl(i)*に対するPsl(i)の応答遅れがあったとしても、図7における時刻t0から待機時間trefが経過した時刻t1の時点で油圧Psl(i)がオフ圧Poff以下となり、油圧スイッチSW(i)がオフしていることになる。
【0045】
また、図8に、例えばアクセルオフ状態での惰行走行中における第4速から第3速へのシフトダウン(コーストダウンまたはマニュアルシフトダウン)といったような、変速段の変更前からアクセルオフ状態が継続している場合の変速段のシフトダウンに際して解放側調圧バルブSL(i)からの油圧Psl(i)等が変化する様子を例示する。図8の例において、変速制御モジュール210により変速段をシフトダウンするための制御が開始される前に、解放側調圧バルブSL(i)に元圧として供給されるライン圧PLは、アクセルペダル91の踏み込み解除に起因して油圧スイッチSW(i)のオン圧Ponよりも低くなっている。また、変速段をシフトダウンするための制御が開始される前に、保持圧指令値Ph(i)*および解放側調圧バルブSL(i)から解放側係合要素としてのクラッチ等に供給される油圧Psl(i)、すなわち保持圧も油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poffよりも低くなっている(図8における太い実線参照)。このような場合、図示するように、変速制御モジュール210により変速段をシフトダウンするための制御が開始された時点から解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*が油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poff以下になり(図8における時刻t0)、解放側調圧バルブSL(i)に異常が発生していなければ、解放圧指令値Prl(i)*に対する油圧Psl(i)の応答遅れがあったとしても、図8における時刻t0から待機時間trefが経過した時刻t1の時点で、油圧スイッチSW(i)がオフしていることになる。
【0046】
一方、ステップS210にて油圧スイッチSW(i)のON/OFFフラグFsw(i)の値が値1であって油圧スイッチSW(i)がオンしていると判断した場合、異常判定モジュール220は、油圧スイッチSW(i)に対応したカウンタをインクリメントし(ステップS220)、当該油圧スイッチSW(i)に対応したカウンタのカウント値n(i)が予め定められた閾値N(例えば、値3)以上であるか否かを判定する(ステップS230)。カウンタのカウント値n(i)が閾値N(例えば、値3)未満である場合、異常判定モジュール220は、変速段の変更、例えば第4速から第3速へのシフトダウンや第4速から第5速のシフトアップ等を中止させると共に現変速段SRを維持させるための変速中止指令を変速制御モジュール210に送信し(ステップS240)、本ルーチンを終了させる。
【0047】
すなわち、ステップS210にて油圧スイッチSW(i)がオンしていると判断された場合、解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*が油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poff以下になってから待機時間trefが経過した時点で、本来減少しているべき解放側調圧バルブSL(i)の油圧Psl(i)がなお高いままとなっていることになる。そして、このような場合には、解放側調圧バルブSL(i)が例えば開固着等により出力圧(油圧Psl(i))を減圧不能な状態となっている可能性がある。このため、ステップS210にて油圧スイッチSW(i)がオンしていると判断された場合には、安全性を確保するために、変速段の変更を中止させると共に自動変速機25の変速段を現変速段SRに維持するのである。
【0048】
例えば、図7の例では、変速制御モジュール210により変速段をシフトアップするための制御が開始される前に、解放側調圧バルブSL(i)に元圧として供給されるライン圧PLが、アクセルペダル91の踏み込みに起因して油圧スイッチSW(i)すなわち油圧スイッチSW1〜SW4のオン圧Ponよりも高くなっており、ライン圧PLは、変速段の変更中(変速開始から変速完了まで)も継続して高く維持される。従って、解放側調圧バルブSL(i)が例えば開固着等により出力圧(油圧Psl(i))を減圧不能な状態となっている場合、解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*が油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poff以下になってから(図7における時刻t0)待機時間trefが経過した時点(図7における時刻t1)では、解放側調圧バルブSL(i)から油圧スイッチSW(i)のオン圧Ponよりも高いライン圧PLが出力されてしまうことで油圧スイッチSW(i)がオンしていることになる(図7における二点鎖線参照)。
【0049】
また、図8の例では、変速制御モジュール210により変速段をシフトダウンするための制御が開始される前に、解放側調圧バルブSL(i)に元圧として供給されるライン圧PLが、アクセルペダル91の踏み込み解除に起因して油圧スイッチSW(i)のオン圧Ponよりも低くなっているが、上述のように、このような場合には、変速段の変更中(変速開始から変速完了まで)に第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4(係合側調圧バルブおよび解放側調圧バルブ等)に供給される元圧としてのライン圧PLが当該オン圧Ponよりも高い上述の変速時要求値になるようにリニアソレノイドバルブSLTが制御される。従って、解放側調圧バルブSL(i)が例えば開固着等により出力圧(油圧Psl(i))を減圧不能な状態となっている場合も、解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*が油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poff以下になってから(図8における時刻t0)待機時間trefが経過した時点(図8における時刻t1)では、解放側調圧バルブSL(i)から油圧スイッチSW(i)のオン圧Ponよりも高いライン圧PLが出力されてしまうことで油圧スイッチSW(i)がオンしていることになる(図8における二点鎖線参照)。
【0050】
上述のようにして、図5のルーチンにより解放側調圧バルブSL(i)に異常が発生していると一旦判断された後、当該解放側調圧バルブSL(i)を異常判定対象とした図5のルーチンが更に複数回(N=3である場合、2回)実行され、そのたびにステップS210にて油圧スイッチSW(i)がオンしていると判断された場合、ステップS230にてカウント値n(i)が閾値N以上であると判断されることになる。異常判定モジュール220は、カウント値n(i)が閾値N以上であると判断した場合、第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4のすべてに対する給電の停止により自動変速機25をニュートラル状態とするための指令信号を変速制御モジュール210に送信すると共に、所定のフェールフラグをオンし(ステップS250)、本ルーチンを終了させる。ステップS250にてフェールフラグがオンされた場合、それ以後、変速ECU21は、予め定められたリンプホームモードのもとで油圧制御装置50等を制御する。
【0051】
以上説明したように、油圧制御装置50では、変速段の変更に際して解放されるクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2の何れか1つに対応した解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*が当該解放側調圧バルブSL(i)に対応した油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poff以下になってから待機時間trefが経過した時点で当該油圧スイッチSW(i)がオンされている場合、解放側調圧バルブSL(i)に異常が生じていると判定される(ステップS210〜S250)。すなわち、解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*が油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poff以下になってから待機時間trefが経過した時点で当該油圧スイッチSW(i)がオンしている場合、解放圧指令値Prl(i)*に対する油圧Psl(i)の応答遅れがあったとしても本来減少しているべき時点で解放側調圧バルブSL(i)の油圧(出力圧)Psl(i)がなお高いままとなっていることから、当該解放側調圧バルブSL(i)が例えば開固着等により出力圧Psl(i)を減圧不能な状態となっているとみなすことができる。従って、油圧制御装置50では、変速段の変更中に変速に関与する解放側調圧バルブSL(i)の異常の有無を精度よく判定することが可能となる。
【0052】
また、油圧スイッチSW1〜SW4のオン圧Ponは、変速段の変更中に解放側調圧バルブSL(i)や、係合されるクラッチ等に対応した第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の何れか(係合側調圧バルブ)、係合状態に維持されるクラッチ等に対応した第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4の何れかに供給される元圧としてのライン圧PLよりも低い。これにより、解放側調圧バルブSL(i)が出力圧(油圧Psl(i))を減圧不能な状態となっている場合、当該解放側調圧バルブSL(i)に対応した油圧スイッチSW(i)が変速段の変更が開始されるとオンすることになる。更に、油圧スイッチSW1〜SW4のオフ圧Poffは、オン圧Ponよりも低く、かつ変速段の変更前からアクセルオフ状態が継続している場合に当該変速段の変更前に解放側調圧バルブSL(i)からそれに対応したクラッチ等に供給される保持圧よりも高い(図8参照)。これにより、変速段の変更前からアクセルオフ状態が継続している場合の変速段の変更に際して、解放側調圧バルブSL(i)に異常が発生していなければ、当該解放側調圧バルブSL(i)に対応した油圧スイッチSW(i)が変速段の変更開始の時点でオフしていることになる。従って、かかる構成によれば、変速段の変更開始の時点から待機時間trefが経過した後に解放側調圧バルブSL(i)の異常の有無を判断できるため、変速段の変更を開始した後に解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)が当該解放側調圧バルブSL(i)に対応した油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poff以下になる場合に比べて、解放側調圧バルブSL(i)の異常の有無をより速やかに判定することが可能となる。この結果、特に、解放側調圧バルブSL(i)に対応したクラッチ等の係合が解除されない場合に、いわゆる3要素同時係合に起因した大きな減速ショックを生じやすいアクセルオフ状態の継続中における変速段の変更に際して、解放側調圧バルブSL(i)の異常の有無をより速やかに判定することができる。
【0053】
そして、上記実施例では、変速段の変更前に解放側調圧バルブSL(i)に供給される元圧としてのライン圧PLが油圧スイッチSW(i)のオン圧Ponよりも低い場合には、変速段の変更中に解放側調圧バルブSL(i)に供給される元圧としてのライン圧PLが当該オン圧Ponよりも高い上記変速時要求に設定される。これにより、変速段の変更前に解放側調圧バルブSL(i)に供給されている元圧の大きさに拘わらず、解放側調圧バルブSL(i)が油圧(出力圧)Psl(i)を減圧不能な状態となっている場合に、当該解放側調圧バルブSL(i)に対応した油圧スイッチSW(i)を変速段の変更開始後に確実にオンさせることが可能となる。また、上記実施例のように、待機時間trefを油温Toilが低いほど長く設定すれば、当該待機時間Trefを作動油の粘度に応じた時間として、解放側調圧バルブSL(i)の異常判定をより適正に実行することが可能となる。
【0054】
なお、図7および図8に示すように、変速段の変更前に解放側調圧バルブSL(i)からそれに対応したクラッチ等に供給される保持圧が油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poffよりも低い場合(図7参照)には、当該保持圧がオフ圧Poffよりも高い場合(図8参照)に比べて、上記待機時間trefを短く設定してもよい。これにより、変速段の変更前に解放側調圧バルブSL(i)からそれに対応したクラッチ等に供給される保持圧が油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poffよりも低くなる場合に、保持圧がオフ圧Poffを下回るまでの時間分だけ待機時間trefを短くして解放側調圧バルブSL(i)の異常の有無をより一層速やかに判定することが可能となる。
【0055】
また、上記実施例では、自動変速機25のクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2への油圧が、それぞれに対応する第1、第2、第3または第4リニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL3またはSL4により直接制御(設定)されるが、本発明が上述のようなリニアソレノイドバルブ以外の調圧バルブを含む油圧制御装置にも適用され得ることはいうまでもない。更に、油圧スイッチSW1〜SW4のオン圧Ponやオフ圧Poffをバルブ間で異ならせてもよい。
【0056】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施例では、自動車10に搭載されて複数の変速段を形成する自動変速機25に含まれる複数のクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2への油圧を制御する油圧制御装置50が「油圧制御装置」に相当し、クラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB2の中の対応する要素への油圧をそれぞれ調圧する第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4が「調圧バルブ」に相当し、第1〜第4リニアソレノイドバルブSL1〜SL4ごとに設けられており、それぞれ対応する第1、第2、第3または第4リニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL3またはSL4の出力圧が予め定められたオン圧Pon以上であるときにオンすると共に予め定められたオフ圧Poff以下であるときにオフする複数の油圧スイッチSW1〜SW4が「油圧スイッチ」に相当し、変速段の変更に際して解放されるクラッチ等に対応した解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*を設定する変速ECU21の変速制御モジュール210が「変速制御御手段」に相当し、解放側調圧バルブSL(i)への解放圧指令値Prl(i)*がそれに対応した油圧スイッチSW(i)のオフ圧Poff以下になってから待機時間trefが経過した時点で当該油圧スイッチSW(i)がオンされている場合に、解放側調圧バルブSL(i)に異常が生じていると判定する異常判定モジュール220が「異常判定手段」に相当する。
【0057】
ただし、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載された発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載された発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例はあくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一例に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
【0058】
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、自動変速機や油圧制御装置の製造産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 自動車、12 エンジン、13 スロットルバルブ、14 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、16 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、20 動力伝達装置、21 変速用電子制御ユニット(変速ECU)、22 トランスミッションケース、23 トルクコンバータ、23a ポンプインペラ、23b タービンランナ、23c ロックアップクラッチ、24 オイルポンプ、25 自動変速機、26 入力軸、27 出力軸、28 ギヤ機構、29 差動機構、30 シングルピニオン式遊星歯車機構、31,36a,36b サンギヤ、32,37 リングギヤ,33 ピニオンギヤ、34,39 キャリア、35 ラビニヨ式遊星歯車機構、38a ショートピニオンギヤ、38b ロングピニオンギヤ、50 油圧制御装置、51 プライマリレギュレータバルブ、52 マニュアルバルブ、53 アプライコントロールバルブ、91 アクセルペダル、92 アクセルペダルポジションセンサ、93 ブレーキペダル、94 マスタシリンダ圧センサ、95 シフトレバー、96 シフトレンジセンサ、98 車速センサ、99 油温センサ、210 変速制御モジュール、220 異常判定モジュール、B1,B2 ブレーキ、C1,C2,C3 クラッチ、F1 ワンウェイクラッチ、SL1 第1リニアソレノイドバルブ、SL2 第2リニアソレノイドバルブ、SL3 第3 リニアソレノイドバルブ、SL4 第4リニアソレノイドバルブ、SLT リニアソレノイドバルブ、SW1,SW2,SW3,SW4 油圧スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて複数の変速段を形成する自動変速機に含まれる複数の摩擦係合要素への油圧を制御する油圧制御装置において、
前記複数の摩擦係合要素の中の対応する要素への油圧をそれぞれ調圧する複数の調圧バルブと、
前記調圧バルブごとに設けられており、それぞれ対応する前記調圧バルブの出力圧が予め定められたオン圧以上であるときにオンすると共に予め定められたオフ圧以下であるときにオフする複数の油圧スイッチと、
前記変速段の変更に際して解放される解放側摩擦係合要素に対応した解放側調圧バルブへの解放圧指令値を設定する変速制御手段と、
前記解放側調圧バルブへの解放圧指令値が該解放側調圧バルブに対応した前記油圧スイッチのオフ圧以下になってから所定時間経過した時点で当該油圧スイッチがオンされている場合に、前記解放側調圧バルブに異常が生じていると判定する異常判定手段と、
を備えることを特徴とする油圧制御装置。
【請求項2】
前記油圧スイッチの前記オン圧は、前記変速段の変更中に前記解放側調圧バルブに供給される元圧よりも低く、前記油圧スイッチの前記オフ圧は、前記オン圧よりも低く、かつ所定条件下での前記変速段の変更前に前記解放側調圧バルブから前記解放側摩擦係合要素に供給される保持圧よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の油圧制御装置。
【請求項3】
前記油圧スイッチの前記オフ圧は、前記変速段の変更前からアクセルオフ状態が継続している場合に当該変速段の変更前に前記解放側調圧バルブから前記解放側摩擦係合要素に供給される保持圧よりも高いことを特徴とする請求項2に記載の油圧制御装置。
【請求項4】
前記変速段の変更前に前記解放側調圧バルブに供給される元圧が前記油圧スイッチの前記オン圧よりも低い場合には、前記変速段の変更中に前記解放側調圧バルブに供給される元圧が該オン圧よりも高く設定されることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項5】
前記所定時間は、作動油の温度が低いほど長く設定されることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項6】
前記変速段の変更前に前記解放側調圧バルブから前記解放側摩擦係合要素に供給される保持圧が前記油圧スイッチの前記オフ圧よりも低い場合には、該保持圧が該オフ圧よりも高い場合に比べて、前記所定時間が短く設定されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の油圧制御装置。
【請求項7】
車両に搭載されて複数の変速段を形成する自動変速機に含まれる複数の摩擦係合要素の中の対応する要素への油圧をそれぞれ調圧する複数の調圧バルブと、前記調圧バルブごとに設けられており、それぞれ対応する前記調圧バルブの出力圧が予め定められたオン圧以上であるときにオンすると共に予め定められたオフ圧以下であるときにオフする複数の油圧スイッチとを有する油圧制御装置の異常判定方法であって、
前記変速段の変更に伴って解放される解放側摩擦係合要素に対応した解放側調圧バルブへの解放圧指令値が該解放側調圧バルブに対応した前記油圧スイッチのオフ圧以下になってから所定時間経過した時点で当該油圧スイッチがオンされている場合に、前記解放側調圧バルブに異常が生じていると判定する油圧制御装置の異常判定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−104543(P2013−104543A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251115(P2011−251115)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】