説明

油圧駆動ユニット

【課題】簡便でコンパクトな構成でありながら、アクチュエータシリンダに負荷がない場合でも、高精度なロッド位置制御が可能な油圧駆動ユニットの提供。
【解決手段】サーボモータで回転駆動する双方向回転形油圧ポンプによりリザーバタンク内の作動油をアクチュエータシリンダのヘッド側あるいはロッド側の一方のシリンダ室に対して供給及び吸引を行う油圧供給装置と、前記油圧ポンプによる作動油吸引時に他方のシリンダ室に空気を圧送するエアポンプと該エアポンプからの空気で加圧されると共に他方のシリンダ室から排出される空気を収容するエアタンクと該エアタンク内の圧力を予め定められた上限圧力以下に調整する圧力調整弁とを備えた空気圧供給装置と、を同一ユニット内に組み立て、制御装置により前記サーボモータの回転数制御を行うものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータシリンダのロッドを前後進駆動させるための油圧駆動ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧制御によってアクチュエータシリンダのロッドの前後進駆動を行う油圧駆動装置において、定容量形の双方向回転ポンプを用いたものがある。この双方向回転ポンプは、正逆双方向に作動油を供給するため、図2に示すような、双方向回転ポンプ42の両ポートをアクチュエータシリンダ50のヘッド側シリンダ室S1の出入口ポートHとロッド側シリンダ室S2の出入口ポートRにそれぞれ接続するだけで、制御弁を必要とせず、自給弁と安全弁からなる簡単な油圧回路でシリンダロッドを前後進駆動させることができる。
【0003】
即ち、ポンプ42の正回転により一方のポートからリザーバタンク43内の作動油をヘッド側シリンダ室S1へ供給すると共にロッド側シリンダ室S2内の作動油をポンプ42の他方のポートから吸引してタンク43に戻すことによってシリンダロッド51を前進駆動させることができ、ポンプ42の逆回転により他方のポートから作動油をロッド側シリンダ室S2へ供給すると共にヘッド側シリンダ室S1内の作動油をポンプ42の一方のポートから吸引してタンク43へ戻すことによってシリンダロッド51を後退させることができる。
【0004】
このように双方向回転油圧ポンプを用いれば、作動油をほぼ閉鎖系で循環させる簡便な油圧回路で油圧配管のないコンパクトなユニット41として油圧供給装置を構成することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この双方向回転油圧ポンプは42、サーボモータMにより回転駆動されるが、サーボモータMの駆動は、制御装置60によって、位置センサ53からのシリンダロッド51の位置検出信号と、圧力センサ45からのポンプ吐出作動油の圧力検出信号とに基づいてフィードバック制御される。
【0006】
また、この双方向回転ポンプ42は、ピストンポンプの斜板を固定した定容量形にすることによって、ポンプの回転数で吐出流量が決定されるものであるため、サーボモータMの回転数制御でポンプ回転数を低速から高速の幅広い範囲に亘って制御することによりポンプ吐出流量が効率的に制御される。
【0007】
従って、このような定容量形ポンプを用いれば、一定の高速回転数でポンプ押しのけ容積を変更する可変容量形ポンプのような油圧内部漏れ等の損失が大きい場合に比べて、非常に効率の良い油圧供給システムが構成できる。
【0008】
【特許文献1】特開2006−329241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような従来の油圧供給装置では、ポンプ42とヘッド側シリンダ室S1との間を吐出回路としてポンプ42から作動油を送り込む場合にはポンプ42とロッド側シリンダ室S2との間は吸込回路となり、逆にロッド側シリンダ室S2との間を吐出回路としてポンプ42からロッド側シリンダ室S2へ作動油を送り込む場合には、ポンプ42とヘッド側シリンダ室S1との間は吸込回路となる。
【0010】
従って、シリンダに負荷がない状態において、ロッドを所定の初期位置に位置決めするなどの位置制御を行う場合には、位置の誤差補正をする毎に、ヘッド側とロッド側のどちらかへの作動油の吐出圧を完全に0MPaまで落とす必要があった。
【0011】
しかしながら、このような誤差補正では、吐出圧を0MPaまで落としてしまうためにシリンダ内の残空気の影響などを受けやすいこともあり、数μm単位での位置制御は困難であり、現状では求められているものより低い精度で位置制御するしかなかった。これに対して、回路中の圧力を保持して高精度の制御性を確保するためには、通路中にシーケンス弁を設けるという対策を施す必要があるが、これは回路を複雑化してしまい、装置の大型化を招くという問題があった。
【0012】
また、簡便な構成としてシリンダロッドの戻し力にバネを利用することも考えられるが、荷重やストロークを考慮すると、設計的に困難である場合が多い。また、アキュムレータなどを利用した油圧制御も考えられるが、アキュムレータは、高圧ガス保安法の適用を受けるため、面倒が多くなる。
【0013】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、簡便でコンパクトな構成でありながら、アクチュエータシリンダに負荷がない場合でも、高精度なロッド位置制御が可能な油圧駆動ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る油圧駆動ユニットは、リザーバタンク内の作動油をアクチュエータシリンダのヘッド側シリンダ室あるいはロッド側シリンダ室の一方に対して供給及び吸引を行う双方向回転形油圧ポンプと、該油圧ポンプを回転駆動するサーボモータとを備えた油圧供給装置と、前記油圧ポンプによる前記シリンダ室の一方に対する作動油吸引時に他方のシリンダ室に対して空気を圧送するエアポンプと、該エアポンプからの空気で加圧されると共に前記油圧ポンプによる前記シリンダ室の一方に対する作動油供給時に前記他方のシリンダ室から排出される空気を収容するエアタンクと、該エアタンク内の圧力を予め定められた上限圧力以下に調整する圧力調整弁とを備えた空気圧供給装置と、前記サーボモータの回転数制御を行う制御装置と、を有し、前記油圧供給装置と前記空気圧供給装置とが同一ユニット内に組み立てられているものである。
【0015】
また、請求項2に記載の発明に係る油圧駆動ユニットは、請求項1に記載の油圧駆動ユニットにおいて、前記油圧供給装置は、前記一方のシリンダ室内とリザーバタンクとの間の第2の流路と、この第2の流路中に配置され、前記シリンダ室側とリザーバタンク側の流路同士を遮断状態と連通状態とに前記制御装置により切り換えられるシャットオフ弁とをさらに備えているものである。
【0016】
また請求項3に記載の発明に係る油圧駆動ユニットは、請求項1または請求項2に記載の油圧駆動ユニットにおいて、前記空気圧装置は、前記エアポンプと前記エアタンクとの間の流路中に配置され、前記エアタンク内の空気の圧力が予め定められた圧力以上となった際に該流路を切り換えて前記エアポンプからの空気を大気中に逃がす切換弁を備えているものである。
【0017】
さらに、請求項4に記載の発明に係る油圧駆動ユニットは、請求項1〜3のいずれか1項に記載に油圧駆動ユニットにおいて、前記油圧ポンプと前記エアポンプが共に前記サーボモータにより駆動され、前記シリンダのロッド位置を検出する位置センサと、前記シリンダ室の一方に作用する油圧の圧力を検出する圧力センサと、前記シリンダ室の他方に作用する空気圧の圧力を検出する圧力センサとを備え、前記制御装置は、これら各センサからの検出信号に基づいて、前記サーボモータの回転数制御を行うものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、複雑なシーケンス弁や面倒なアキュムレータを利用することなく、同一ユニット内に組み立てられた油圧供給装置と空気圧供給装置によって、それぞれアクチュエータシリンダのヘッド側とロッド側の一方のシリンダ室に作動油を、他方のシリンダ室には空気をそれぞれ互いに同期させて給排することができるため、アクチュエータシリンダに負荷がない場合においても、一方のシリンダ室内の作動油に対して定常的に空気圧による負荷圧力が作用するため、油圧制御によるシリンダロッドの位置制御を従来は困難であった高精度で行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の油圧駆動ユニットは、サーボモータで駆動する双方向回転油圧ポンプによってリザーバタンク内の作動油をアクチュエータシリンダのヘッド側シリンダ室あるいはロッド側シリンダ室の一方に対して供給及び吸引を行う油圧供給装置と同一ユニット内に、前記油圧ポンプによる一方のシリンダ室に対する作動油吸引時にエアポンプによって他方のシリンダ室に対して空気を圧送すると共にエアタンクに該エアポンプからの空気で加圧し、このエアタンクに前記油圧ポンプによる一方のシリンダ室に対する作動油供給時に他方のシリンダ室から排出される空気を収容する空気圧供給装置を備えたものである。
【0020】
従って、本発明においては、アクチュエータシリンダのヘッド側とロッド側の一方のシリンダ室に前記油圧供給装置によって作動油が給排されるのに同期して、他方のシリンダ室に前記空気圧供給装置によって空気を給排することができ、アクチュエータシリンダに負荷がない場合においても、一方のシリンダ室内の作動油に対して空気圧で定常的に負荷圧力が作用するため、油圧制御によるシリンダロッドの位置制御を高精度に行うことができる。即ち、本発明によれば、簡便でコンパクトなユニット構成でありながらも、アクチュエータに負荷がなくても、油圧を0MPaまで落とすことなく従来は困難であった数μm単位の位置制御が可能となる。
【0021】
なお、前記空気圧供給装置は、エアタンク内の圧力を予め定められた上限圧力以下に調整する圧力調整弁とを備えることにより、過剰な加圧によるタンクの破裂損傷等を防いでいる。
【0022】
また、油圧供給装置において、一方のシリンダ室内とリザーバタンクとの間に第2の流路を設け、この第2の流路中にシャットオフ弁を配置して、前記シリンダ室側とリザーバタンク側の流路同士を遮断状態と連通状態とに制御装置により切り換えられる構成とすれば、シリンダ室側とリザーバタンク側との流路同士を連通状態に切り換えることによって、一方のシリンダ室からリザーバタンクへの作動油の戻りを速くしてシリンダロッドの移動速度を上げることができる。特に、ヘッド側シリンダ室に対して作動油を給排する場合、シリンダロッドのもどり速度を上げることができる。また、このような作動油の戻りをシャトオフ弁による第2の流路のみで行えば、ポンプ側の作動は必要ないため、装置駆動において省エネを図ることができる。
【0023】
さらに空気圧装置において、エアポンプとエアタンクとの間の流路中に、エアタンク内の空気の圧力が予め定められた圧力以上となった際に該流路を切り換えてエアポンプからの空気を大気中に逃がす切換弁を配置することによって、他方のシリンダ室内へ空気を送る際に、同時に所定圧力まではエアタンク内へ空気を送り込んで溜めることができると共に、必要以上に空気を送り込む危険を回避することができる。
【0024】
エアポンプとしては、コンプレッサを用いるのが簡便であり、また動力源には専用のモータを油圧ポンプ側とは別に設けて制御装置により互いに同期させて駆動させてもよいが、同一サーボモータにより油圧ポンプとともに駆動されるものとすれば装置構成がより簡便でコンパクトなものとなり、また制御装置はこのサーボモータのみに対して駆動制御するだけで済む。
【0025】
この場合、制御装置は、シリンダのロッド位置を検出する位置センサと、前記シリンダ室の一方に作用する油圧の圧力を検出する圧力センサと、前記シリンダ室の他方に作用する空気圧の圧力を検出する圧力センサからの各検出信号に基づいて、予め入力された制御指令を調整してサーボモータの回転数制御を行うことにより、高精度なポンプ回転数制御を電気的なフィードバック制御で効率的に行うことができる。
【0026】
なお、このようなポンプ回転数制御による吐出流量制御は、ポンプ押しのけ容量を一定にした状態で行うが、斜板式ピストンポンプの場合、予め角度が一定に固定された固定斜板を備えた定容量形ポンプを用いれば簡便であるが、斜板角度が可変な可変容量形ポンプの角度を一定にした状態で用いても良い。この場合、油圧駆動ユニットを、回転数制御による油圧駆動系での使用に限定されることなく、回転数制御によらない他の油圧駆動系にも広く使用可能である。
【実施例】
【0027】
本発明の一実施例として、双方向回転定容量形油圧ポンプを用い、エアポンプとしてのコンプレッサと同じサーボモータにより回転駆動される油圧駆動ユニットを図1の油圧回路に示す。
【0028】
本実施例における油圧駆動ユニット1は、アクチュエータシリンダ20のヘッド側シリンダ室S1に対して作動油を給排すると共に、ロッド側シリンダ室S2に対して空気を給排することによってシリンダロッド21を駆動させるものであり、油圧供給装置と空気圧供給装置とが同一ユニット内に組み立てられたものである。
【0029】
本油圧駆動ユニット1は、油圧供給装置の出入り口ポートであるポンプポートPと空気圧回路の出入り口ポートであるエアポートAと、作動油のリザーバタンク3への入口ポートとしてのタンクポートTとを備えたものである。また本実施例において、ポンプポートPは作動油流路4bを介してヘッド側シリンダ室S1の出入り口ポートHに連通されており、エアポートAはエア流路8bを介してロッド側シリンダ室S2の出入り口ポートRに連通されており、タンクポートTは第2の流路13bを介してヘッド側シリンダ室S1に連通されている。
【0030】
油圧駆動ユニット1内の油圧供給装置は、リザーバタンク3と、該タンク3内の作動油をポンプポートPに対して給排する双方向回転定容量形油圧ポンプ2と、この油圧ポンプ2を回転駆動するサーボモータMを備えたものである。この油圧供給措置の油圧回路は、主にリザーバタンク3から油圧ポンプ2を介してポンプポートPまで単一の作動油流路4aからなり、通常のダイレクトリリーフ弁5と作動油の圧力を検出する圧力センサ6を備えたシンプルなものである。
【0031】
また、油圧駆動ユニット1内の空気圧供給装置は、エアポートAへ空気を圧送するコンプレッサ7と、コンプレッサからの空気で加圧されると共に油圧ポンプ2によるヘッド側シリンダ室S1に対する作動油供給時にロッド側シリンダ室S2から排出される空気を収容するエアタンク9と、このエアタンク9内の圧力を予め定められた上限圧力以下に調整する圧力調整弁としての空気圧リリーフ弁12とを備えたものである。
【0032】
この空気圧供給装置の空気圧回路は、主にコンプレッサ7からエアポートAまでのエア流路8aからなり、コンプレッサ7とエアタンク9との間でエアタンク9内の空気の圧力が予め定められた圧力以上となった際に流路接続を切り換えてコンプレッサ7からの空気を大気中に逃がす空気圧パイロット式切換弁11とを備えたシンプルなものである。なお、ロッド側シリンダ室S2に作用する油圧の圧力を検出する空気圧力センサ10はエアタンク9側に配置した。
【0033】
また、本油圧駆動ユニット1内のタンクポートTからリザーバタンク3までの第2の流路13aには、電磁式でこの第2の流路をタンクポート側とタンク側とで遮断状態と連通状態とに切り換えるシャットオフ弁14が設けられている。
【0034】
本実施例においては、コンプレッサ7は、油圧ポンプ2を駆動するサーボモータMで駆動されるものとすることによって、より簡便で効率的な装置設計とした。このサーボモータMは、制御装置30が予め入力された制御指令に基づいて出力した回転制御指令をドライバー31介して受け、その指令に応じた向きおよび回転数で油圧ポンプ2を駆動・停止させると共にコンプレッサ7を駆動・停止させる。
【0035】
また、アクチュエータシリンダ20には、例えばシリンダロッド21に係る負荷の実際の位置に相当するシリンダロッド21のヘッド22の位置を検出するための位置センサ23を備え、検出結果を制御装置30に出力するものとする。
【0036】
制御装置30は、この位置センサ23からの検出信号から得られるシリンダロッド21の実際の位置と予め入力された所望の位置とを比較すると共に、圧力センサ6と空気圧センサ10からの検出信号に基づいて指令信号を調製するフィードバック制御を行うものである。
【0037】
さらに、制御装置30は、シャットオフ弁14を電通させて電磁力によるスプール移動で第2の流路13aにおけるシリンダ室S1側とリザーバタンク3側との遮断状態を連通状態に切り換えることができ、該連通状態によって、ヘッド側シリンダ室S1内の作動油をフィルタ15を介して直接的にリザーバタンクへ戻して、シリンダロッド21を油圧ポンプ2による作動油吸引のみでヘッド側へ戻す場合よりも速い移動速度で戻すことができる。
【0038】
以上の構成を備えた本実施例による油圧駆動ユニット1においては、シリンダロッド21を前進させる場合、制御装置30は、サーボモータMに、シリンダロッド21が所望移動量分だけ移動するのに必要な吐出流量に応じた回転数となるように油圧ポンプ2を正回転駆動させる。油圧ポンプ2はリザーバタンク3内の作動油を第1ポートから吸引しながら第2ポートから作動油流路4aへ吐出していく。油圧ポンプ2から吐出された作動油は、ポンプポートPから作動油流路4bを経てヘッド側シリンダ室S1内に充填されていき、その作動油圧によってシリンダロッド21を前進させる。このとき、ロッド側シリンダ室S2内の空気はエア流路8bへ押し出され、エアタンク9内に収容される。
【0039】
また、シリンダロッド21を後退させて戻す際には、制御装置30は、サーボモータMに油圧ポンプ2を逆回転駆動させて、ヘッド側シリンダ室S1内の作動油を第1ポートから吸引して第2ポートからリザーバタンク3へ戻すと共に、コンプレッサ7を駆動させてエア流路8aからエアポートA、エア流路8bを介してロッド側シリンダ室S2内へ空気を供給する。従って、ヘッド側シリンダ室S1内の作動油の減少と、ロッド側シリンダ室S2内の空気圧の増加によりシリンダロッド21は後退してもどる。
【0040】
このとき、コンプレッサ7はエアタンク9へも空気を送る。エアタンク9は、内部に空気が充填され、内部圧力が予め設定された圧力の上限以上になると空気圧リリーフ弁12により空気が逃がされ、エアタンク9内の圧力は上限以下に保たれる。さらに、エア流路8b中には空気圧パイロット式切換弁11を配置し、コンプレッサ7から送られる空気の圧力が設定以上になると、切換弁11が切り換わってコンプレッサ7から圧送されてくる空気を大気中に逃がすため、エアタンク9内の圧力が危険なほど上昇することはない。
【0041】
また、本実施例による油圧駆動ユニット1においては、アクチュエータシリンダ20に負荷が無い状態で、シリンダロッド21を例えば初期位置に位置決め制御する場合には、ヘッド側シリンダ室S1内の作動油に対してロッド側シリンダ室S2からの空気圧で定常的に負荷圧力が作用するため、油圧制御によるシリンダロッド21の位置制御において、数μmの高精度な誤差補正が可能となる。
【0042】
なお、以上の実施例においては、ヘッド側シリンダ室に対して作動油を給排し、ロッド側シリンダ室に対して空気を給排する構成とした場合を示したが、本発明の油圧駆動ユニットによれば、逆の構成であっても同様に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例による油圧駆動ユニットの概略全体構成を示す油圧回路図である。
【図2】従来の油圧駆動ユニットの一例を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
【0044】
1,41:油圧駆動ユニット
M:サーボモータ
2,42:双方向回転定容量側油圧ポンプ
3,43:リザーバタンク
4a,4b:作動油流路
5:ダイレクトリリーフ弁
6,45:圧力センサ
7:コンプレッサ(エアポンプ)
8a,8b:エア流路
9:エアタンク
10:空気圧力センサ
11:空気圧パイロット式切換弁
12:空気圧リリーフ弁
13a,13b:第2の流路
14:シャットオフ弁
15:フィルタ
20,50:アクチュエータシリンダ
21,51:シリンダロッド
22:シリンダヘッド
S1:ヘッド側シリンダ室
S2:ロッド側シリンダ室
22:シリンダヘッド
23,53:位置センサ
P:ポンプポート
A:エアポート
T:タンクポート
30,60:制御装置
31:ドライバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リザーバタンク内の作動油をアクチュエータシリンダのヘッド側シリンダ室あるいはロッド側シリンダ室の一方に対して供給及び吸引を行う双方向回転形油圧ポンプと、該油圧ポンプを回転駆動するサーボモータとを備えた油圧供給装置と、
前記油圧ポンプによる前記シリンダ室の一方に対する作動油吸引時に他方のシリンダ室に対して空気を圧送するエアポンプと、該エアポンプからの空気で加圧されると共に前記油圧ポンプによる前記シリンダ室の一方に対する作動油供給時に前記他方のシリンダ室から排出される空気を収容するエアタンクと、該エアタンク内の圧力を予め定められた上限圧力以下に調整する圧力調整弁とを備えた空気圧供給装置と、
前記サーボモータの回転数制御を行う制御装置と、を有し、
前記油圧供給装置と前記空気圧供給装置とが同一ユニット内に組み立てられていることを特徴とする油圧駆動ユニット。
【請求項2】
前記油圧供給装置は、前記一方のシリンダ室内とリザーバタンクとの間の第2の流路と、この第2の流路中に配置され、前記シリンダ室側とリザーバタンク側の流路同士を遮断状態と連通状態とに前記制御装置により切り換えられるシャットオフ弁とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の油圧サーボシステム。
【請求項3】
前記空気圧装置は、前記エアポンプと前記エアタンクとの間の流路中に配置され、前記エアタンク内の空気の圧力が予め定められた圧力以上となった際に該流路を切り換えて前記エアポンプからの空気を大気中に逃がす切換弁を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油圧サーボシステム。
【請求項4】
前記油圧ポンプと前記エアポンプが共に前記サーボモータにより駆動され、
前記シリンダのロッド位置を検出する位置センサと、前記シリンダ室の一方に作用する油圧の圧力を検出する圧力センサと、前記シリンダ室の他方に作用する空気圧の圧力を検出する圧力センサとを備え、
前記制御装置は、これら各センサからの検出信号に基づいて、前記サーボモータの回転数制御を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油圧駆動ユニット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−291863(P2008−291863A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135500(P2007−135500)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000246251)油研工業株式会社 (28)
【Fターム(参考)】