説明

油路が設けられたカバー体

【課題】カバー体に設けられるカバー側油路の開口部が開口するカバー側当接部がカバー体の外縁部の内周側に位置する壁部に設けられる場合にも、該壁部に設けられる窓部を形成する周壁の剛性を利用して、カバー側当接部でのシール性の向上を図ると共に、カバー体の小型化・軽量化を図る。
【解決手段】チェーンカバー40において、外縁部43の内周側に位置すると共にチェーン室25を形成する壁部50にカバー側油路Pa,Pbが設けられる。壁部50は、油圧制御弁の配置用の窓部60,160 を形成すると共にシリンダヘッドに結合される環状の周壁61,161 と、機関本体に設けられた本体側油路が開口する本体側当接部に当接するカバー側当接部87,187 とを有する。油路Pa,Pbの出口82a,182aは、当接部87,187 に開口すると共に前記本体側当接部において前記本体側油路に連通し、かつ周壁61,161 の近傍に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の機関本体側部材に結合されるカバー体であって、油路が設けられたカバー体に関する。そして、該カバー体は、例えば、動弁装置のカム軸を回転駆動するための伝動機構が配置される伝動室を形成する伝動カバーである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関に備えられるカバー体が、機関本体側部材(例えばシリンダブロックおよびシリンダヘッドから構成される機関本体)に結合される複数の結合部を有する外縁部と、外縁部の内周側に位置すると共に機関本体側部材と協働して内空間(例えばチェーンを備える伝動機構が配置されるチェーン室)を形成する壁部とを有し、該壁部には、機関本体側部材に設けられた本体側油路に連通するカバー側油路から構成される油路が設けられたものは知られている。(例えば特許文献1,2参照)
また、内燃機関のカバー体の壁部が、部品が配置される空間である窓部を形成する周壁を有するものも知られている。(例えば特許文献3参照)
【特許文献1】実開平5−6112号公報
【特許文献2】特開2002−168106号公報
【特許文献3】特開2001−73870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
機関本体側部材に結合されるカバー体に設けられるカバー側油路と、機関本体側部材に設けられる本体側油路とを連通させるために、カバー体は、カバー側油路の入口または出口である開口部が開口するカバー側当接部を有する。そして、カバー側油路と本体側油路とは、カバー側当接部と機関本体側部材に設けられて本体側油路が開口する本体側当接部とが当接した状態で連通する。このとき、カバー側油路の開口部が機関本体側部材に結合される外縁部に設けられる場合には、該外縁部においてボルトで機関本体側部材に結合される結合ボス部の近傍にカバー側当接部を設けることにより、結合ボス部の剛性によりカバー側当接部の振動が抑制されるので、内燃機関の振動によっても両当接部の良好な密着性を維持できて、両当接部間でのシール性が向上し、オイルの漏れが防止される。
しかしながら、カバー体において、カバー側当接部がカバー体の外縁部の内周側に位置すると共に機関本体側部材と協働して内空間を形成する壁部に設けられる場合には、カバー側当接部が外縁部の結合ボス部から離れた位置になるために、該結合ボス部の剛性によりカバー側当接部の振動を抑制することが困難になり、互いに当接するカバー側当接部および本体側当接部間でのシール性が低下する。
そこで、壁部に設けられたカバー側当接部の振動を抑制してシール性を向上させるために、該カバー側当接部の近傍に機関本体側部材に結合される結合部が設けられる場合に、該結合部が設けられる部位が、例えば内燃機関を支持する部材が取り付けられる部位のように、内燃機関の振動により荷重が作用する部位では、該荷重に起因するカバー側当接部の振動を抑制するために、該部位の剛性を高める必要があって、カバー体の大型化や重量増を招来する。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜5記載の発明は、カバー体に設けられるカバー側油路の開口部が開口するカバー側当接部がカバー体の外縁部の内周側に位置する壁部に設けられる場合にも、該壁部に設けられる窓部を形成する周壁の剛性を利用して、カバー側当接部でのシール性の向上を図ると共に、カバー体の小型化・軽量化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、内燃機関の機関本体側部材(Ea)に結合される複数の結合部(46b)を有する外縁部(43)と、前記外縁部(43)の内周側に位置すると共に前記機関本体側部材(Ea)と協働して内空間(25)を形成する壁部(50)とを有するカバー体であって、前記機関本体側部材(Ea)に設けられた本体側油路(Po)に連通するカバー側油路(Pa,Pb)が前記壁部(50)に設けられたカバー体において、前記壁部(50)は、部品(14,15)の配置用または挿入用の窓部(60,160 )を形成すると共に前記機関本体側部材(Ea)に結合される環状の周壁(61,161 )と、前記機関本体側部材(Ea)に設けられて前記本体側油路(Po)が開口する本体側当接部(9s,9t)に当接するカバー側当接部(87,187 )とを有し、前記カバー側油路(Pa,Pb)の開口部(82a,182a)は、前記カバー側当接部(87,187 )に開口すると共に前記本体側当接部(9s,9t)において前記本体側油路(Po)に連通し、かつ前記周壁(61,161 )の近傍に位置するカバー体である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のカバー体において、前記周壁(61)は、そのボス部(62B)において前記機関本体側部材(Ea)に結合され、前記ボス部(62B)は、前記周壁(61)において前記開口部(87)に最も近接した部位であるものである。
請求項3記載の発明は、請求項2記載のカバー体において、前記壁部(50)はリブ(56a,56b,56c)を有し、前記リブ(56a,56b,56c)が前記カバー側当接部(87,187 )と前記周壁(61,161 )とを連結することを特徴とする請求項1記載のカバー体、または前記リブ(56a)が前記カバー側当接部(87)と前記ボス部(62B)とを連結するものである。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載のカバー体において、前記壁部(50)は、前記外縁部(43)の前記複数の結合部(46b)と前記カバー側当接部(87,187 )とをそれぞれ連結する複数の放射状のリブ(58a)を有するものである。
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のカバー体において、前記壁部(50)は、前記周壁(61,161 )に沿って延びて前記カバー側当接部(87,187 )に接続する隆起部(85,86,186 )を有し、前記カバー側油路(Pa,Pb)が前記隆起部(85,86,186 )に設けられるものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、カバー側油路の開口部が開口するカバー側当接部は、カバー体の外縁部の内周側に位置する壁部に設けられる窓部を形成する周壁の近傍に位置するので、機関本体側部材に結合される周壁によりカバー側当接部の剛性が高められる。しかも、周壁を形成する窓部は、部品が配置または挿入される空間を形成するための部分であるため、周壁には、内燃機関の振動等に起因する大きな荷重が殆ど作用しないので、該荷重に起因するカバー側当接部の振動を抑制するために該周壁の剛性を高める必要がない。この結果、カバー側油路と本体側油路とが連通するカバー側当接部および本体側当接部間でのシール性が向上して、内燃機関の振動等に起因する両当接部間からのオイルの漏れ防止効果が向上する。しかも、周壁自体の振動を抑制するために周壁の剛性を高める必要性がないので、周壁を有するカバー体が小型化・軽量化される。
請求項2記載の事項によれば、周壁において壁厚が厚くなっており、しかも機関本体側部材に結合されるために、周壁において剛性が高い部分であるボス部が、開口部に最も近接した位置にあるので、周壁によりカバー側当接部の剛性が一層高められて、カバー側当接部および本体側当接部間でのシール性が向上する。
請求項3記載の事項によれば、カバー側当接部と周壁またはボス部とがリブにより連結されるので、該リブによりカバー側当接部の剛性が高められて、カバー側当接部および本体側当接部間でのシール性が向上する。
請求項4記載の事項によれば、壁部に設けられたカバー側当接部と外縁部における複数の結合部とが放射状のリブにより連結されるので、該リブにより、カバー体の膜面振動が抑制され、しかもカバー側当接部の剛性が高められて、カバー側当接部および本体側当接部間でのシール性が向上する。
請求項5記載の事項によれば、カバー側油路を形成する通路壁でもある隆起部がカバー側当接部に接続し、しかも該隆起部が周壁に沿って延びているので、機関本体側部材に結合されている周壁の剛性を効率よく利用して、隆起部が接続しているカバー側当接部の振動を抑制することができて、両当接部間でのシール性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図1〜図10を参照して説明する。
図1を参照すると、内燃機関Eは、車両に搭載されるV型の多気筒4ストローク内燃機関であり、機関本体側部材としての機関本体Eaと、いずれも機関本体Eaの一部分を覆うチェーンカバー40およびシリンダヘッドカバー5とを備える。伝動カバーとしてのチェーンカバー40と、シリンダヘッドカバー5とは、機関本体Eaに着脱可能に結合されるカバー体である。
【0008】
機関本体Eaは、V字形の1対のバンクb1,b2を構成するように配列された複数のシリンダを有するシリンダブロック1と、第1,第2バンクb1,b2のそれぞれにおいて前記シリンダの上端部に結合されるシリンダヘッド2,102 と、シリンダブロック1の下端部に結合されるロアブロック3と、ロアブロック3の下端部に結合されるオイルパン4とから構成される。
シリンダブロック1の下部、ロアブロック3およびオイルパン4は、内燃機関Eに備えられる回転軸としてのクランク軸6が配置されるクランク室を形成するクランクケースを構成し、該クランク軸6はシリンダブロック1の下部およびロアブロック3に回転可能に支持される。
【0009】
なお、実施形態において、上下方向は、クランク軸6の回転中心線Lが水平面に含まれるとしたときの鉛直方向であるとする。そして、主方向A(図2参照)は回転中心線Lの方向であり、側方は、主方向Aから見て前記シリンダのシリンダ軸線の方向(以下、「シリンダ軸線方向」という。)に直交する方向であるとする。
【0010】
前記各シリンダにはピストンが摺動可能に嵌合する。各バンクb1,b2のシリンダヘッド2,102 には、シリンダ軸線方向で前記ピストンとの間に形成される燃焼室に連通する吸気ポートおよび排気ポートをそれぞれ開閉する吸気弁および排気弁と、該吸気弁および該排気弁をクランク軸6の回転位置に応じて開閉する動弁装置とが設けられる。
前記ピストンは、前記各燃焼室内での燃料の燃焼により発生する燃焼ガスの圧力により駆動されて往復運動し、コンロッドを介してクランク軸6を回転駆動する。
【0011】
各バンクb1,b2において、シリンダヘッド2,102 の上端部(または、シリンダ軸線方向での一方の端部)に結合されるシリンダヘッドカバー5は、シリンダヘッド2,102 に結合される複数の結合部と合わせ面とを有する外縁部5aと、該外縁部5aの内周側に位置する壁部5bとを有する。シリンダヘッドカバー5は、外縁部5aの前記結合部において結合具であるボルトによりシリンダヘッド2,102 と結合されて、一体化される。壁部5bは、所定方向としてのシリンダ軸線方向でシリンダヘッド2,102 と対面して配置されると共にシリンダヘッド2,102 と協働して内空間としての動弁室を形成する。そして、該動弁室内には、内燃機関Eに備えられる部品である前記動弁装置が配置される。
【0012】
前記各動弁装置は、シリンダヘッド2,102 に回転可能に支持される吸気カム軸10および排気カム軸11と、吸気ロッカアームおよび排気ロッカアームと、前記吸気弁および前記排気弁のバルブリフト量特性および開閉時期であるバルブ作動特性を変更可能な作動特性可変機構とを備える可変動弁装置である。そして、吸気カム軸10および排気カム軸11にそれぞれ設けられる吸気カムおよび排気カムは、それぞれ、前記吸気ロッカアームおよび前記排気ロッカアームを介して前記吸気弁および前記排気弁を開閉する。
また、前記作動特性可変機構は、作動形態が異なる複数のロッカアームから構成される前記吸気ロッカアームおよび前記排気ロッカアームにおいてバルブリフト量特性を変更するために前記複数のロッカアームの連結および連結解除が可能な連結切換機構を備えるバルブリフト量制御機構(図示されず)と、クランク軸6の位相に対する吸気カム軸10および排気カム軸11の位相をそれぞれ変更して前記吸気弁および前記排気弁の開閉時期を変更するために後述する各被動スプロケット21,22と各カム軸10,11との相対的な回転位置を変更する位相制御機構12,13とから構成される。
【0013】
前記バルブリフト量制御機構および位相制御機構12,13は、内燃機関Eのオイルポンプ7(図3参照)から吐出されたオイルを作動油とする油圧式の機構であり、内燃機関Eに備えられる部品であるスプール弁からなる油圧制御弁14〜16(図1には、位相制御機構12,13をそれぞれ制御する油圧制御弁14.15が示され、図3には、前記バルブリフト量制御機構を制御する油圧制御弁16が模式的に示されている。)を備える油圧制御機構により制御される。油圧制御弁14,15は、後述する窓部60,160 内に配置または挿入され、シリンダヘッド2,102 に設けられる装着部である装着孔17,18(図4,図10参照)に挿入された状態で、ボルトによりシリンダヘッド2,102 に着脱可能に取り付けられる。また、油圧制御弁16もシリンダヘッド2,102 に取り付けられる。
【0014】
各カム軸10,11は、内燃機関Eに備えられる部品としての動弁用伝動機構T1,T2を介して伝達されるクランク軸6のトルクにより回転駆動される。伝動機構T1,T2は、クランク軸6に設けられた駆動回転体である駆動スプロケット20,120 と、両カム軸10,11に位相制御機構12,13を介して設けられた被動回転体である被動スプロケット21,22と、これらスプロケット20,120 ;21,22に掛け渡されて駆動スプロケット20;120 のトルクを各被動スプロケット21,22に伝達する無端伝動帯である無端のチェーン23;123 と、チェーン23,123 に張力を付与するテンショナ24とを備える巻掛け伝動機構である。テンショナ24は、チェーン23,123 が摺接するテンショナシュー24aと、該テンショナシュー24aをチェーン23,123 に押し付けるテンショナリフタ24bとを備える。
【0015】
伝動機構T1,T2は、シリンダブロック1、シリンダヘッド2,102 、ロアブロック3、オイルパン4およびシリンダヘッドカバー5のそれぞれの、主方向Aでの一方の端部1e,2e,102e,3e,4e,5eに結合されるチェーンカバー40と、端部1e,2e,102e,3e,5eとの協働により形成されるチェーン室25(図5〜図8参照)内に配置される。
そして、チェーンカバー40を境にして、伝動機構T1,T2が配置されるチェーンカバー40の内側に対して、チェーンカバー40の外側には、主方向Aでチェーンカバー40に隣接して、内燃機関Eに備えられる1以上の補機をクランク軸6のトルクにより駆動するための補機駆動用伝動機構T3が配置される。
伝動機構T3は、クランク軸6の軸端部6eに設けられる駆動プーリ30と、シリンダブロック1およびロアブロック3にブラケットを介して取り付けられる交流発電機および空調用コンプレッサをそれぞれ回転駆動する発電機用被動プーリ31およびコンプレッサ用被動プーリ32と、内燃機関Eを冷却する冷却水を圧送する冷却水ポンプを回転駆動する冷却水ポンプ用被動プーリ33と、アイドルプーリ34と、これらプーリ30〜34に掛け渡された無端のベルト35と、ベルト35に張力を付与するテンショナ36とを備える。テンショナ36は、ベルト35が巻き掛けられるテンショナプーリ36aと、テンショナプーリ36aを回転可能に支持すると共にシリンダブロック1に揺動可能に支持される支持アーム36bとを備える。
【0016】
図1〜図4を参照すると、各端部1e,2e,102e,3e,4e,5eに結合されるチェーンカバー40は、形成材料である金属材料としてのアルミニウム合金から鋳造により成形された単一の成形品であり、両バンクb1,b2に対応して、主方向Aから見てV字形を形成する1対の第1,第2バンク部40a,40bを有する。
そして、チェーンカバー40は、内面41および外面42から構成される表面と、各端部1e,2e,102e,3e,4e,5eに一体成形されて設けられる帯状の結合座9a,9b(図1には、オイルパン4における結合座9aが示され、図5,図7には、シリンダブロック1の端部1eにおける結合座9bが示されている。)に結合される外縁部43と、該外縁部43の内周側に位置する壁部50とを有する。
壁部50は、所定方向としての主方向Aでシリンダブロック1、シリンダヘッド2,102 およびロアブロック3の各端部1e,2e,102e,3eと対面して配置されて、それら端部1e,2e,102e,3eおよびシリンダヘッドカバー5の端部5eと協働して内空間としての伝動室であるチェーン室25を形成する。
【0017】
外縁部43は、結合座9a,9bに対応して帯状に延びていて結合座9a,9bに合わせられる合わせ面45a,45bを有する合わせ部44a,44bと、合わせ部44a,44bの外周側に位置する1対のカバー側当接部77,177 とを有する。
合わせ部44a,44bは、オイルパン4の結合座9aに上下方向で合わせられる合わせ面45aを有する合わせ部44aと、結合座9bに主方向Aで合わせられる合わせ面45bを有する合わせ部44bとから構成される。そして、合わせ部44a,44bは、外縁部43に沿って間隔をおいて配置された複数の結合部としての結合ボス部46a,46bを有する。結合座9aに結合される結合ボス部46aには結合具としてのボルトB1がねじ込まれるネジ孔が設けられ、結合座9bに結合される結合ボス部46bには結合具としてのボルトB2が挿通される挿通孔46hが設けられる。
このため、外縁部43は結合ボス部46a,46bにおいてボルトB1,B2が結合座9a,9bにねじ込まれて締結される。また、合わせ面45a,45bは、結合座9a,9bとの間を密封するシール面でもある。なお、合わせ面45a,45bには、シール部材としての液状シール材が塗布されて、結合座9a,9bと合わせ部44a,44bとの間がシールされる。
各当接部77,177 は、後述するカバー側油路Pa,Pbの通路壁Wa1,Wb1を構成し、シリンダブロック1に設けられた当接部9m,9n(図5,図7参照)に当接する当接面77a,177a(図4参照)を有する。
【0018】
チェーンカバー40の表面を構成する内面41は、壁部50のチェーン室25に対面する内壁面41cと、上下方向で端部4eに対面する合わせ面45aと、主方向Aで端部1e,2e,102e,3e,5eに対面する合わせ面45bと、後述する周壁61,161の合わせ面63,163 と、当接面77a,177aと、後述するカバー側当接部87,187 の当接面87a,187aとを含む。また、チェーンカバー40の表面を構成する外面42は、チェーンカバー40を境にして、チェーン室25とは反対側の空間である外空間に対面する面である。
そして、各合わせ面45b,63,163 、各当接面77a,177a,87a,187aは、この実施形態では主方向Aに直交する同一の平面上に位置するが、別の例として、主方向Aに交差すると共に互いに平行な複数の平面上、または主方向Aに直交以外の態様で交差する同一の平面上に位置していてもよい。
ここで、結合座9a,9bへのチェーンカバー40の取付方向は、合わせ面45bに直交する方向または主方向Aであるとする。
【0019】
端部1e,2e,102e,3e,5eおよび伝動機構T1,T2を主方向Aから覆う壁部50は、該壁部50を主方向Aに貫通する空間である窓部60,160 ,66,69を形成する環状の周壁61,161 ,65,68と、各バンク部40a,40bに配置されてカバー側油路Pa,Pbを形成する通路壁Wa1,Wa2,Wb1,Wb2と、各バンクb1,b2に配置されてチェーンカバー40に取り付けられる被取付部品としてのエンジンハンガ93(図1参照)が取り付けられる取付座91,92と、壁部50を主方向Aでの段部55a,55bを有する壁とするための段差部51,52と、壁部50の剛性を高めて壁部50の膜面振動を抑制するための多数のリブ58a,58b,58cとを有する。
【0020】
壁部50は、段差部51が形成されることにより、結合座9bまたは合わせ面45bからの主方向Aでの距離が異なる複数の壁部分である低壁部53aと、高壁部53b,53cとを有する。合わせ面45bからの距離が低壁部53aよりも大きい高壁部53b,53cは、別の段差部52により形成される第1高壁部53bと第2高壁部53cとを有する。第2高壁部53cは、合わせ面45bからの距離が該第1高壁部53bよりも大きい。そして、低壁部53aおよび第1,第2高壁部53b,53cは、合わせ面45bにほぼ平行である(または、主方向Aにほぼ直交する)と共にほぼ平面状であり、壁部50における平面部である。
【0021】
第1バンク部40aに設けられる段差部51は、伝動機構T1のチェーン23の弛み側の外側に沿いながら、かつ両バンクb1,b2により形成されるV字形のバンク空間8寄りで、シリンダ軸線方向に延びている。低壁部53aは、駆動スプロケット20と被動スプロケット21,22との間に位置するチェーン23の部分を主方向Aから覆う。
【0022】
低壁部53aが設けられることにより、部分的に端部1e,2eの結合座9bからの主方向Aへの壁部50の突出量が抑えられるので、低壁部53aにより形成されるスペースを利用して、主方向Aでチェーンカバー40に隣接して配置される部品、この実施形態ではテンショナ36の支持アーム36bが該スペースに配置される。これにより、テンショナ36、ひいてはベルト35を有する伝動機構T3を主方向Aでコンパクトに配置することができる。
また、第1バンク部40aにおける第1高壁部53bにより形成されるチェーン室25のスペースを利用して、チェーン室25において前記クランク室内のブローバイガスを前記動弁室に導くためのブリーザ通路54(図6も参照)が形成される。そして、該動弁室内に導かれたブローバイガスは、気液分離器を通過した後、前記吸気ポートに吸気を導く吸気装置の吸気通路に流入する。
第1バンク部40aにおいて、第1高壁部53bは、主方向Aから各被動スプロケット21,22の過半および各カム軸10,11を覆う。
【0023】
一方、第2バンク部40bでは、壁部50は主に高壁部53b,53cを有する。そして、主方向Aで駆動スプロケット20よりも壁部50寄りに配置される駆動スプロケット120 に対応して、第1高壁部53bが、駆動スプロケット120 と被動スプロケット21,22との間に位置するチェーン123 の部分を主方向Aから覆う。また、第2高壁部53cは、後述する交差壁部Wbcが設けられる部分にあり、さらに主方向Aから各被動スプロケット21,22の過半および各カム軸10,11を覆う。
【0024】
併せて図9,図10を参照すると、1対の窓部60,160 をそれぞれ形成する1対の周壁61,161 は、内壁面41cにおいて主方向Aでシリンダヘッド2,102 の端部2e,102eに向かって突出する突条であり、シリンダヘッド2,102 に一体成形されて設けられると共に結合座9bの内周側に位置する結合座9c,9dに当接する。
第1バンク部40aに配置される周壁61は低壁部53aに形成され、第2バンク部40bに配置される周壁161 は第1高壁部53bに形成されることから、主方向Aでの周壁161 の高さは、主方向Aでの周壁61の高さよりも高い。
【0025】
各周壁61,161 は、該周壁61,161 に沿って間隔をおいて設けられる複数の結合部であるボス部62,162 と、結合座9c,9dに合わせられるシール面である合わせ面63,163 とを有する。
周壁61,161 において壁厚が大きくされた部分であるボス部62,162 は、該ボス部62,162 に設けられた挿通孔62a,162aに挿入され、かつ結合座9c,9dにねじ込まれる結合具であるボルトB3(図1参照)により締結される。それゆえ、周壁61,161 は、ボス部62,162 において結合座9c,9dに結合される。合わせ面63,163 には液状シール材が塗布されてもよい。
そして、各周壁61,161 は、チェーンカバー40が機関本体Eaに取り付けられた状態で油圧制御弁14,15の着脱を可能とするための窓部60,160 を形成するための部分である。したがって、該窓部60,160 は油圧制御弁14,15の挿入用および取出用の空間である。
【0026】
一方、1対の窓部66は、チェーンカバー40が機関本体Eaに取り付けられた状態でテンショナリフタ24bの着脱を可能とするためのものである。このため、テンショナリフタ24bの着脱に際しては、テンショナリフタ24bは、窓部66から挿入されてチェーン室25内に配置され、また該窓部66を通じてチェーン室25内から抜き出される。周壁65には、窓部66を密閉する蓋67(図1参照)がボルトB4により着脱可能に取り付けられる。
また、周壁68により形成される窓部69は、クランク軸6の軸端部6eが挿入されると共に、図3に示されるように、駆動プーリ30のボス部30aが環状のシール部材8を介して挿入される。
それゆえ、窓部66,69には、いずれも内燃機関Eに備えられる部品であるクランク軸6および駆動プーリ30がそれぞれ配置される。
【0027】
このように、各窓部60,160 ,66,68は、内燃機関Eに備えられる部品が配置または挿入される部品配置用または部品挿入用の空間であるので、内燃機関Eの運転時に、各周壁61,161 ,65,68には、内燃機関Eの振動等に起因する大きな荷重が殆ど作用しない。
【0028】
図2〜図10を参照して、チェーンカバー40に設けられた1対のカバー側油路Pa,Pbについて説明する。
図2〜図4を参照すると、各バンク部40a,40bにおいて各カバー側油路Pa,Pbは、シリンダブロック1(図1参照)に設けられた第1本体側油路Piと、シリンダヘッド2,102 に設けられた第2本体側油路Poとを連通させる油路であり、本体側油路Piに連通する第1開口部である入口72a,172aと、本体側油路Poに連通する第2開口部である出口82a,182aとを有し、両油路Pa,Pbは実質的に同一の構造である。
【0029】
各油路Pa,Pbは、入口72a,172aを有する第1油路Pa1,Pb1と、出口82a,182aを有する第2油路Pa2,Pb2とから構成される。第1油路Pa1,Pb1および第2油路Pa2,Pb2は交差部Pac,Pbcにおいて互いに交差して連通する。このため、オイルポンプ7から吐出されたオイルが作動油として本体側油路Piから第1油路Pa1,Pb1に流入し、その後に第2油路Pa2,Pb2を流れて出口82a,182aから本体側油路Poに流入し、油圧制御弁16により制御されて前記バルブリフト量制御機構に供給される。
また、第1油路Pa1,Pb1は入口72a,172a寄りの位置から、また第2油路Pa2,Pb2は出口82a,182a寄りの位置から、それぞれ交差部Pac,Pacに向かって上方に傾斜している。そして、交差部Pac,Pbcは、油路Pa,Pbにおける最上部の近傍に位置する。
なお、図5〜図10には、オイルの流れ方向が白抜きの矢印で示されている。
【0030】
図2〜図5,図7を参照すると、各第1油路Pa1,Pb1は、壁部50の外面42に開口する一端部である第1開口端部71a,171aと外縁部43における側方部分の内面41である当接面77a,177aに開口する他端部である第2開口端部としての入口72a,172aとを有する第1孔70,170 により構成される。具体的には、各第1孔70,170 は、第1一端部としての第1開口端部71a,171aおよび第1他端部としての閉塞された第1閉塞端部71b,171bを有する直線状の第1孔部71,171 と、第2一端部としての入口72a,172aおよび第2他端部としての閉塞された第2閉塞端部72b,172bを有する直線状の第2孔部72,172 とを有する。
【0031】
各第1孔70,170 において、第1孔部71,171 および第2孔部72,172 は、第1,第2閉塞端部71b,72b;171b,172bで交差またはその近傍で交差して連通する。また、第1孔部71,171 は、第1開口端部71a,171aから第1閉塞端部71b,171bに向かって、主方向Aで合わせ面45bまたは当接面77a,177aに次第に近づくように(すなわち、外面42から内面41に向かうように)傾斜し、かつ下方に傾斜する孔である。
第2孔部72,172 は、主方向Aに平行であり当接面77a,177aに直交する孔である。
【0032】
第1バンク部40aにおいて、低壁部53a、第1高壁部53bおよび外縁部43に渡って延びている第1孔部71は、低壁部53aおよび第1高壁部53bに渡って外面42上で外側に隆起している外側隆起部75に、第1高壁部53bにおいて内壁面41c上で内側に隆起している内側隆起部76に、外縁部43において外面42上で外側に隆起している外側隆起部である第1カバー側当接部77に、それぞれ設けられる。一方、第2孔部72は当接部77に設けられる。
また、第2バンク部40bにおいて、第2高壁部53c、第1高壁部53bおよび外縁部43に渡って延びている第1孔部171 は、第2高壁部53cおよび第1高壁部53bに渡って外面42上で外側に隆起している外側隆起部175 に、第2高壁部53cおよび第1高壁部53bに渡って内壁面41c上で内側に隆起している内側隆起部176 に、外縁部43において外面42上で外側に隆起している外側隆起部である第1カバー側当接部177 に、それぞれ設けられる。一方、第2孔部172 は第1カバー側当接部177 に設けられる。
なお、内側に隆起しているとは、主方向Aで、合わせ面45b、端部1eまたは端部2e,102e(図6,図8参照)に近づく方向に隆起していることを意味し、外側に隆起しているとは、主方向Aで、合わせ面45bまたは端部1eまたは端部2e,102e(図6,図8参照)から遠ざかる方向に隆起していることを意味する。
【0033】
それゆえ、外側隆起部75、内側隆起部76および当接部77は、第1油路Pa1の通路壁Wa1を構成し、外側隆起部175 、内側隆起部176 および第1カバー側当接部177 は、第1油路Pb1の通路壁Wb1を構成する。
また、図1,図3,図4に示されるように、第1油路Pa1,Pb1は、主方向Aから見てチェーン23,123 を横断位置Ca1,Cb1で横断する横断油路である。そして、第1油路Pa1,Pb1を形成する通路壁Wa1,Wb1において、外側隆起部75,175 は横断位置Ca1,Cb1で外面42上のみで隆起し、内側隆起部76,176 は、主方向Aから見てチェーン23,123 の外側において内壁面41c上のみまたは大部分が内壁面41c上で隆起している。
【0034】
図3〜図5,図7を参照すると、カバー側油路Pa,Pbの入口72a,172aは、外縁部43において合わせ面45bよりも外周側に位置して、合わせ部44bから側方に突出してバンク空間8内に突出する当接部77,177 に設けられ、シリンダブロック1に設けられて本体側油路Piが開口する第1本体側当接部9m,9nにおいて該本体側油路Piと連通する。
第1カバー側当接部77,177 は、本体側当接部9m,9nに当接する当接面77a,177aと、当接部9m,9nに結合される結合部としての結合ボス部77b,177bとを有し、該結合ボス部77b,177bにおいて結合具としてのボルトB5(図1参照)により当接部9m、9nに締結される。このため、第1油路Pa1,Pb1および本体側油路Piは、当接部77,177 と当接部9m、9nとが主方向Aに平行な方向で当接した状態で連通する。
【0035】
また、当接面77a,177aと当接部9m,9nとの間には、入口72a,172aおよび油路Piを囲んで配置される環状のシール部材であるOリングGが設けられる。当接面77a,177aと当接部9m,9nとが当接した状態で当接面77a,177aと当接部9m,9nとで押し潰されるOリングGにより、当接面77a,177aと当接部9m,9nとの間からのオイルの漏れが防止される。OリングGは当接面77a,177aに設けられた環状の装着溝77c,177cに装着される。
【0036】
図2〜図4,図6,図8〜図10を参照すると、第2油路Pa2,Pb2は、壁部50の外面42に開口する一端部である第1開口端部81a,181aと、内面41である当接面87a,187aに開口する他端部である第2開口端部としての出口82a,182aとを有する第2孔80,180 により構成される。具体的には、第2孔80,180 は、第1一端部としての第1開口端部81a,181aおよび第1他端部としての閉塞された第1閉塞端部81b,181bを有する直線状の第1孔部81,181 と、第2一端部としての出口82a,182aおよび第2他端部としての閉塞された第2閉塞端部82b,182bを有する直線状の第2孔部82,182 とを有する。
【0037】
各第2孔80,180 において、第1孔部81,181 および第2孔部82,182 は、第1,第2閉塞端部81b,82b;181b,182bで交差またはその近傍で交差して連通する。また、第1孔部81,181 は、第1開口端部81a,181a から第1閉塞端部81b,181bに向かって、主方向Aで合わせ面45bまたは当接面87a,187aに次第に近づくように(すなわち、外面42から内面41に向かうように)傾斜し、かつ下方に傾斜する孔である。
第2孔部82,182 は、主方向Aに平行であり当接面87a,187aに直交する孔である。
【0038】
第1バンク部40aにおいて、第1高壁部53bおよび低壁部53aに渡って延びている第1孔部81は、第1高壁部53bおよび低壁部53aに渡って外面42上で外側に隆起している外側隆起部85に、低壁部53aにおいて内壁面41c上で内側に隆起している内側隆起部86に、低壁部53aにおいて内壁面41c上で内側に柱状に隆起している内側隆起部である第2カバー側当接部87に、それぞれ設けられる。一方、第2孔部82は当接部87に設けられる。
また、第2バンク部40bにおいて、第2高壁部53cおよび第1高壁部53bに渡って延びている第1孔部181 は、第2高壁部53cおよび第1高壁部53bに渡って外面42上で外側に隆起している外側隆起部185 に、第1高壁部53bにおいて内壁面41c上で内側に隆起している内側隆起部186 に、第1高壁部53bにおいて内壁面41c上で内側に柱状に隆起している内側隆起部である第2カバー側当接部187 に、それぞれ設けられる。一方、第2孔部182 は当接部187 に設けられる。
【0039】
それゆえ、外側隆起部85、内側隆起部86および円柱状の当接部87は、第2油路Pa2の通路壁Wa2を構成し、外側隆起部185 、内側隆起部186 および円柱状の当接部187 は、第2油路Pb2の通路壁Wb2を構成する。
また、図1,図3,図4に示されるように、第2油路Pa2,Pb2は、主方向Aから見てチェーン23,123 を横断位置Ca2,Cb2で横断する横断油路である。そして、第2油路Pa2,Pb2を形成する通路壁Wa2,Wb2において、外側隆起部85,185 は横断位置で外面42上のみで隆起し、内側隆起部86,186 は、主方向Aから見てチェーン23,123 の内側において内壁面41c上で隆起している。
【0040】
図3,図4,図6,図8〜図10を参照すると、カバー側油路Pa,Pbの出口82a,182aは、当接部87,187 に設けられ、シリンダヘッド2,102 に設けられて本体側油路Poが開口する第2本体側当接部9s,9tにおいて該油路Poと連通する。
第2カバー側当接部87,187 は本体側当接部9s,9tに当接する当接面87a,187aをする。このため、カバー側油路Pa,Pbおよび本体側油路Poは、当接部77,177 と当接部9s、9tとが主方向Aに平行な方向で当接した状態で連通する。
【0041】
また、当接面87a,187aと本体側当接部9s,9tとの間には、出口82a,182aおよび本体側油路Poを囲んでOリングGが設けられる。当接面87a,187aと本体側当接部9s,9tとが当接した状態で当接面87a,187aと本体側当接部9s,9tで押し潰されるOリングGにより、当接面87a,187aと第2本体側当接部9s,9tとの間からのオイルの漏れが防止される。OリングGは当接面87a,187aに設けられた環状の装着溝87c,187cに装着される。
【0042】
図3〜図6,図8を参照すると、第1バンク部40aに形成される第1孔部71,81および第1,第2油路Pa1,Pa2は、主方向Aから見て、第1高壁部53b、段差部51および低壁部53aにより形成される段部55aと交差している。そして、外側隆起部75,85は、第1高壁部53b、段差部51および低壁部53aに渡って一体成形により一体に設けられて、該段部55aと交差している。
同様に、第2バンク部40bに形成される第1孔部181 および油路Pb2は、主方向Aから見て、第2高壁部53c、段差部52および第1高壁部53bにより形成される段部55bと交差している。そして、外側隆起部185 は、第2高壁部53c、段差部52および第1高壁部53bに渡って一体成形されて、該段部55bと交差している。
【0043】
図5,図6を参照すると、第1孔70において低壁部53aにおける外側隆起部75の一部である第1端部壁75aにより形成される第1開口端部71a、および第2孔80において第1高壁部53bにおける外側隆起部85の一部である第2端部壁85aにより形成される第1開口端部81aは、それら第1開口端部71a,81aから端部壁75a,85aの第1孔部71,81内にそれぞれ挿入される閉塞部材としてのプラグ78,88により油密に閉塞される。それゆえ、第1孔部71および第1孔部81は、それぞれプラグ78およびプラグ88により閉塞される。
図7,図8を参照すると、第1孔170 において第2高壁部53cにおける外側隆起部175 の一部である第1端部壁175aにより形成される第1開口端部171a、および第2孔180 において第2高壁部53cにおける外側隆起部185 の一部である第2端部壁185aにより形成される第1開口端部181aは、それら第1開口端部81a,181aから端部壁85a,185aの第1孔部171 ,181 内にそれぞれ挿入されるプラグ178 ,188 により油密に閉塞される。第1孔部171 および第1孔部181 は、それぞれプラグ178 およびプラグ188 により閉塞される。
プラグ78,88,178 ,188 は、この実施形態ではネジ部が形成されて、端部壁75a,175a,85a,185aにおいて第1孔部71,81,171 ,181 にねじ込まれる。別の例として、該閉塞部材は、端部壁75a,175a,85a,185aにおいて第1孔部71,81,171 ,181 に圧入されるプラグであってもよい。
【0044】
第1隆起部としての各端部壁75a,175aおよび第2隆起部としての各端部壁85a,185aは、通路壁Wa1,Wb1,Wa2,Wb2において壁厚が大きい厚肉部であり、かつ、チェーンカバー40の内面41および外面42のうちの外面42のみに隆起して形成されると共に、主方向Aで第1開口端部71a,171a,81a,181aを含む第1孔部71,171 ,81,181 と外面42との間に隙間が形成されないように連続した隆起部である。そして、各端部壁75a,175a,85a,185aは、第1開口端部71a,171a,81a,181a内に挿入されたプラグ78,178 ,88,188 により剛性が高められている。
【0045】
また、第1,第2油路Pa1,Pb1,Pa2,Pb2の第1孔部71,171 ,81,181 は、それぞれ外側隆起部75,175 ,85,185 を、加工具としてのドリルでの機械加工による油路形成の開始部位として、当接部77,177 ,87,187 に向けて形成される。また、第1,第2油路Pa1,Pb1,Pa2,Pb2の第2孔部72,172 ,82,182 は、それぞれカバー側当接部77,177 ,87,187 の当接面77a,177a,87a,187aを、ドリルでの油路形成の開始部位として形成される。
【0046】
図3,図4,図9,図10を参照すると、第1バンク部40aにおいて、当接部87の当接面87a、出口82a、外側隆起部85および内側隆起部86は、周壁61の近傍に位置する。ここで、周壁61の近傍とは、シリンダヘッド2にボルトB3(図1参照)により結合される周壁61の剛性により、低壁部53aに一体に設けられる当接部87の振動が抑制される範囲である。該範囲は、例えば、当接面87aと周壁61または合わせ面63との距離が、当接面87aの最大外径d1よりも小さい範囲であり、この範囲に、当接面87a、出口82a、外側隆起部85および内側隆起部86のそれぞれの少なくとも一部が位置する。
同様に、第2バンク部40bにおいて、当接部187 の当接面187a、出口182a、外側隆起部185 および内側隆起部186 は、周壁161 の近傍に位置する。ここで、周壁61の近傍とは、シリンダヘッド102 にボルトB3(図1参照)により結合される周壁161 の剛性により、低壁部分は第1高壁部53bに一体に設けられる当接部187 の振動が抑制される範囲である。該範囲は、例えば、当接面187aと周壁161 または合わせ面163 との距離が、当接面187aの最大外径d2よりも小さい範囲であり、この範囲に、当接面187a、出口182a、外側隆起部185 および内側隆起部186 のそれぞれの少なくとも一部が位置する。
【0047】
また、通路壁Wa2,Wb2の外側隆起部85,185 および内側隆起部86,186 は、周壁61,161 において直線状に延びている部分61a,161aに沿って延びていて、外側隆起部85および内側隆起部86は当接部87に接続しており、内側隆起部186 は当接部187 に接続している。また、外側隆起部85,185 および内側隆起部186 は、それぞれ、部分61aおよび部分161aの長さの過半に渡る範囲で沿っている。
【0048】
そして、周壁61において、当接部87の出口82aに最も近接した部位は複数のボス部62のうちの特定ボス部であるボス部62Bである。また、低壁部53aは、当接部87と周壁61とを連結する2つのリブ56a,56bを有する。リブ56aはボス部62Bに接続され、リブ56bは、ボス部62Bに周壁61に沿う方向で隣接するボス部62に接続されている。
また、第2バンク部40bにおいて、第1高壁部53bは、当接部187 と周壁161 とを連結する56cを有する。リブ56cは、周壁161 に沿う方向で隣接する2つのボス部62の間で周壁161 に接続されている。
【0049】
さらに、図4に示されるように、多数のリブ58a,58b,58cがチェーンカバー40の内壁面41c上で隆起して設けられる。外縁部43の多数の結合ボス部46bと当接部87,187 とは、複数の放射状のリブ58aにより連結されている。同様に、結合ボス部46bと内側隆起部86,186 とが複数の放射状のリブ58bにより連結されており、結合ボス部46b同士、そして結合ボス部46bと周壁61,161 とが複数のリブ58cにより連結されている。
第1バンク部40aにおいて、リブ58a,58bは、低壁部53a、段差部51および第1高壁部53bに渡って延びており、第2バンク部40bにおいて、リブ58a,58bは、第1高壁部53b、段差部52および第2高壁部53cに渡って延びていて、それぞれ段部55a,55bと交差している。そして、これらリブ58a,58bにより、段差部51,52を中心に壁部50が屈曲するように振動する屈曲振動が抑制される。
【0050】
図3,図5〜図8を参照すると、第1,第2油路Pa1,Pa2;Pb1,Pb2の交差部Pac,Pbcは、両外側隆起部75,85;175 ,185 が互いに交差して形成される交差壁部Wac,Wbcにより形成される。そして、両外側隆起部75,85;175 ,185 において外面42のみに隆起している(または、主方向Aで低壁部53a、第1,第2高壁部53b,53cの平面部よりも外側に隆起している)部分に位置する交差部P1c,P2cは、第1,第2孔70,80;170 ,180 の第1開口端部71a,81a;171a,181aの近傍に位置する。
より具体的には、交差部Pac,Pbcは、第1孔70,170 において入口72a,172aよりも第1開口端部71a,171a寄りで、かつ第2孔80,180 において出口82a,182aよりも第1開口端部81a,181a寄りに位置する。このため、交差部Pac,Pbcは、第1孔70,170 の第1孔部71,171 において第1閉塞端部71b,171bよりも第1開口端部71a,171a寄りで、かつ第2孔80,180 の第1孔部81,181 において第1閉塞端部81b,181bよりも第1開口端部81a,181a寄り、すなわち各第1孔部71,171 ,81,181 においてその長さの1/2の位置である中央位置よりも第1開口端部71a,171a,81a,181a の近くに位置する。そして、好ましくは、交差部Pac,Pbcは、各第1孔部71,171 ,81,181 の長さの1/4の範囲内で第1開口端部71a,171a,81a,181a 寄りに位置するか、または交差部Pac,Pbcの少なくとも一部が、第1開口端部71a,171a,81a,181a からの距離が第1孔部71,171 ,81,181 に沿って第1孔部71,171 ,81,181 の孔径の3倍以内の範囲内に位置する。該孔径は、この実施形態では、これら第1孔部71,171 ,81,181 において等しい。
【0051】
図1〜図3,図5〜図8を参照すると、1対の取付座91,92は、1対の交差壁部Wac,Wbcにそれぞれ一体成形されて一体に設けられる。車体を構成するフレームに内燃機関Eを支持する支持部材であるエンジンハンガ93が固定される取付座91,92は、交差壁部Wac,Wbcから主方向Aに突出した突出部である。エンジンハンガ93は、取付座91,92にねじ込まれるボルトB6(図1参照)により取付座91,92に着脱可能に取り付けられる。
さらに、取付座91,92は、第1孔70,170 の第1開口端部71a,171aを形成する端部壁75a,175aおよび第2孔80,180 の第1開口端部81a,181aを形成する端部壁85a,185aに渡って一体に設けられる。
【0052】
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
機関本体Eaの端部1e,2e,102e,3e,4e,5eに結合される複数の結合ボス部46a,46bを有する外縁部43の内周側に位置すると共に端部1e,2e,102e,3e,4e,5eと協働してチェーン室25を形成する壁部50に本体側油路Poに連通するカバー側油路Pa,Pbが設けられたチェーンカバー40において、壁部50は、油圧制御弁14,15の配置用または挿入用の窓部60,160 を形成すると共にシリンダヘッド2,102 に結合される環状の周壁61,161 と、本体側油路Poが開口する本体側当接部9s,9tに当接するカバー側当接部87,187 とを有し、カバー側油路Pa,Pbの出口82a,182aは、当接部87,187 に開口すると共に本体側当接部9s,9tにおいて本体側油路Poに連通し、かつ周壁61,161 の近傍に位置する。この構造により、カバー側油路Pa,Pbの開口部である出口82a,182aが開口するカバー側当接部87,187 は、チェーンカバー40の外縁部43の内周側に位置する壁部50に設けられる窓部60,160 を形成する周壁61,161 の近傍に位置するので、シリンダヘッド2,102 に結合される周壁61,161 によりカバー側当接部87,187 の剛性が高められる。しかも、周壁61,161 を形成する窓部60,160 は、油圧制御弁14,15が配置または挿入される空間を形成するための部分であるため、周壁61,161 には、内燃機関Eの振動等に起因する大きな荷重が殆ど作用しないので、該荷重に起因するカバー側当接部87,187 の振動を抑制するために該周壁61,161 の剛性を高める必要がない。この結果、カバー側油路Pa,Pbと本体側油路Poとが連通するカバー側当接部87,187 および本体側当接部9s,9t間でのシール性が向上して、内燃機関Eの振動等に起因する両当接部9s,9t間からのオイルの漏れ防止効果が向上する。しかも、周壁61,161 自体の振動を抑制するために周壁61,161 の剛性を高める必要性がないので、周壁61,161 を有するチェーンカバー40が小型化・軽量化される。
【0053】
周壁61は、複数のボス部62においてシリンダヘッド2に結合され、該複数のボス部62のうちの特定ボス部62Bは、周壁61において出口82aに最も近接した部位であることにより、周壁61において壁厚が厚くなっており、しかもシリンダヘッド2に結合されるために、周壁61において剛性が高い部分であるボス部62の1つである特定ボス部62Bが、出口82aに最も近接した位置にあるので、周壁61によりカバー側当接部87の剛性が一層高められて、当接部87および本体側当接部9s,9t間でのシール性が向上する。
【0054】
壁部50はリブ56a,56b,56cを有し、リブ56a,56bはカバー側当接部87と周壁61とを連結すること、リブ56cはカバー側当接部187 と周壁161 とを連結すること、またはリブ56a,56bは当接部87とボス部62B,62とを連結することにより、リブ56a,56bにより当接部87の剛性が高められ、リブ56cにより当接部187 の剛性が高められて、当接部87,187 および当接部9s,9t間でのシール性が向上する。
【0055】
壁部50は、外縁部43の複数の結合ボス部46bと当接部87,187 とをそれぞれ連結する複数の放射状のリブ58aを有することにより、壁部50に設けられた当接部87,187 と外縁部43における複数の結合ボス部46bとが放射状のリブ56aにより連結されるので、該リブ56aにより、チェーンカバー40の膜面振動が抑制され、しかも当接部87,187 の剛性が高められて、当接部87,187 および当接部9s,9t間でのシール性が向上する。
【0056】
壁部50は、周壁61,161 に沿って延びて当接部87,187 に接続する隆起部85,86,186 を有し、油路Pa2または油路Pb2が該隆起部85,86,186 に設けられることにより、油路Pa2,Pb2を形成する通路壁Wa2,Wb2でもある隆起部85,86,186 が当接部87,187 に接続し、しかも該隆起部85,86,186 が周壁61,161 に沿って延びているので、シリンダヘッド2,102 に結合されている周壁61,161 の剛性を効率よく利用して、隆起部85,86,186 が接続している当接部87,187 の振動を抑制することができて、当接部87,187 および当接部9s,9t間でのシール性が向上する。
【0057】
機関本体Eaに結合される複数の結合ボス部46a,46bを有する外縁部43の内周側に位置すると共にチェーン室25を形成する壁部50に、交差部Pac,Pbcで互いに交差する第1油路Pa1,Pb1および第2油路Pa2,Pb2から構成されるカバー側油路Pa,Pbが設けられたチェーンカバー40において、チェーンカバー40の表面は、チェーン室25または機関本体Eaに対面する内面41と、壁部50を境にしてチェーン室25とは反対側の外空間に対面する外面42とから構成され、第1油路Pa1,Pb1は、外面42に開口する第1開口端部71a,171aとカバー側当接部77,177 の当接面77a,177aに開口する第2開口端部である入口72a,172aとを有する第1孔70,170 により構成され、第2油路Pa2,Pb2は、外面42に開口する第1開口端部81a,181a とカバー側当接部87,187 の当接面87a,187aに開口する第2開口端部である出口82a,182aとを有する第2孔80,180 により構成され、交差部Pac,Pbcは、第1孔70,170 において入口72a,172aよりも第1開口端部71a,171a寄りおよび第2孔80,180 において出口82a,182aよりも第1開口端部81a,181a 寄りに位置する。この構造により、交差部Pac,Pbcは、第1,第2油路Pa1,Pa2;Pb2,Pb2をそれぞれ構成する第1,第2孔70,80;170 ,180 においてチェーンカバー40の外面42に開口する第1開口端部71a,81a;171a ,181a の近傍に位置することから、第1,第2孔70,80;170 ,180 の形成を第1開口端部71a,81a;171a,181aから行うことが可能になるので、交差部Pac,Pbcの形成精度を高めることができる。また、第1,第2孔70,170 ;80,180 は、第1開口端部71a,171a;81a,181a、および入口72a,172aまたは出口82a,182aが開口する孔であるので、第1,第2孔70,80;170,180 の第2開口端部同士である入口72aおよび出口82a、そして入口172aおよび出口182aが大きく離れている場合にも、第1,第2孔70,80;170,180 の第1開口端部71a,81a;171a,181a同士を近接させて配置することにより、交差部P1c,P2cの形成精度を高めることができる。この結果、交差部Pac,Pbcの形成精度を高めながら、第1,第2油路Pa1,Pa2;Pb1;Pb2の形成位置および交差部Pac,Pbcの形成位置の自由度を大きくすることができる。
【0058】
第1孔70,170 は、第1開口端部71a,171aを有する第1孔部71,171 と、第1孔部71,171 と交差すると共に入口72a,172aを有する第2孔部72,172 とを有し、第2孔80,180 は、第1開口端部81a,181aを有する第1孔部81,181 と、第1孔部81,181 と交差すると共に出口82a,182aを有する第2孔部82,182 とを有し、交差部Pac,Pbcは、第1孔70,170 の第1孔部71,171 および第2孔80,180 の第1孔部81,181 が交差して形成され、交差部Pac,Pbcは、第1油路Pa1,Pb1および第2油路Pa2,Pb2を互いに連通させ、第1孔70,170 の他端部は入口72a,172aであり、第2孔80,180 の他端部は出口82a,182aである。この構造により、交差部Pac,Pbcで連通すると共に入口72a,172aで本体側油路Piに連通する第1油路Pa1,Pb1および出口82a,182aで本体側油路Poに連通する第2油路Pa2,Pb2から構成されるカバー側油路Pa,Pbにおいて、交差部Pac,Pbcの形成精度を高めながら、第1,第2油路Pa1,Pa2;Pb1,Pb2の形成位置および交差部Pac,Pbcの形成位置の自由度を大きくすることができる。
【0059】
第1孔70,170 の第1開口端部71a,171aおよび第2孔80,180 の第1開口端部81a,181aは、壁部50において内面41および外面42のうちの外面42上のみで隆起する第1隆起部である第1端部壁75a,175aおよび第2隆起部である第2端部壁85a,185aにそれぞれ設けられ、交差部Pac,Pbcは、両端部壁75a,85a;175a,185aが交差する交差壁部Wac,Wbcにより形成されることにより、各第1開口端部71a,171a,81a,181aが設けられる端部壁75a,175a,85a,185aが、チェーンカバー40の内面41および外面42のうちの外面42のみで隆起し、かつ交差部Pac,Pbcを形成する交差壁部Wac,Wbcが該両端部壁75a,85a;175a,185aにより形成されるので、チェーンカバー40の剛性が高められて、チェーンカバー40の振動を低減することができる。また、外縁部43の内周側に位置する壁部50において、交差部Pac,Pbcに近い位置にある両第1開口端部71a,171a,81a,181aが設けられる第1,第2端部壁75a,175a,85a,185aが外面42上のみで隆起しているので、壁部50に設けられる第1,第2孔80,180 の形成が容易になる。
【0060】
取付座91,92は、交差壁部Wac,Wbcに一体に設けられることにより、取付座91,92は、外面42上のみで隆起している第1,第2端部壁75a,175a,85a,185aにより形成されることで剛性が高い交差壁部Wac,Wbcに設けられるので、エンジンハンガ93を取付座91,92に強固に取り付けることができる。
【0061】
第1孔70,170 は第1開口端部71a,171aから第1端部壁75a,175aに挿入されたプラグ78,178 により閉塞され、第2孔80,180 は第1開口端部81a,181aから第2端部壁85a,185aに挿入されたプラグ88,188 により閉塞され、取付座91,92は、第1端部壁75a,175aおよび第2端部壁85a,185aに渡って一体に設けられることにより、第1,第2孔70,170 ,80,180 の第1開口端部71a,171a,81a,181aをそれぞれ形成する第1,第2端部壁75a,175a,85a,185aは、各第1開口端部71a,171a,81a,181aから挿入されたプラグ78,178,88,188 により剛性が高められることから、第1,第2端部壁75a,175a,85a,185aに一体に設けられる取付座91,92の剛性も高められるので、エンジンハンガ93を取付座91,92に強固に取り付けることができる。
【0062】
第1孔70または第2孔80,180 を形成する通路壁Wa1,Wa2,Wb2は段部55a,55bと交差して、段部55a,55bと一体に設けられることにより、通路壁Wa1,Wa2,Wb2を利用して段部55a,55bでの剛性が高められるので、段差部51,52に起因して該段差部51,52を中心にカバー体が屈曲するように発生する屈曲振動を抑制できる。
【0063】
チェーン室25には、クランク軸6のトルクを伝達するチェーン23,123 を備える巻掛け伝動機構T1,T2,T3が配置され、第1油路Pa1,Pb1および第2油路Pa2,Pb2は、主方向Aから見てチェーン23またはチェーン123 を横断位置Ca1,Cb1,Ca2,Cb2で横断する横断油路であり、該横断油路を形成する通路壁Wa1,Wb1,Wa2,Wb2は、横断位置Ca1,Cb1,Ca2,Cb2で外面42上のみで隆起し、主方向Aから見てチェーン23,123 の内側または外側において内面41である内壁面41c上で隆起していることにより、第1,第2油路Pa1,Pb1,Pa2,Pb2が、主方向Aから見てチェーン室25に配置されるチェーン23,123 を横断するように設けられた横断油路である場合にも、横断位置Ca1,Cb1,Ca2,Cb2では、通路壁Wa1,Wb1,Wa2,Wb2が外面42上のみで隆起しているので、チェーンカバー40を主方向Aでチェーン23,123 に近接させて配置することができ、しかも主方向Aから見てチェーン23,123 の外側および内側では通路壁Wa1,Wb1,Wa2,Wb2が内面41上で隆起するので、第1,第2油路Pa1,Pb1,Pa2,Pb2が設けられたチェーンカバー40を主方向Aで小型化できる。
【0064】
以下、前述した実施形態の一部が変更された形態について、変更された部分を中心に説明する。
前記各実施形態では、伝動機構は、動弁装置を駆動するためのものであったが、補機等を駆動するためのものであってもよい。また、伝動機構は、無端伝動帯としてのベルトを備える巻掛け伝動機構であってもよく、さらに、歯車機構であってもよい。
取付座91,92には、エンジンハンガ93以外の部品、例えば伝動機構を構成する部品、エンジンマウントブラケット、内燃機関の補機などが取り付けられてもよい。
第1,第2油路Pa1,Pb1,Pa2,Pb2は、中子を使用することで、鋳造により形成されてもよい。
カバー側油路Pa,Pbは、チェーンカバー40の外縁部43および壁部50のうちで、壁部50のみに設けられてもよい。
第1孔部71,171 ,81,181 および第2孔部72,172 ,82,182 の少なくとも一方は、両端部が開口する孔であってもよい。第1孔70,170 および第2孔80,180 は、1つの直線状の孔のみにより構成されてもよい。
カバー側油路は、前記実施形態では1つの交差部Pac,Pbcを形成する2つの孔である第1孔70,170 および第2孔80,180 により構成されたが、少なくとも2つの交差部を形成する3以上の孔(例えば、1つの交差部を形成する第1,第2孔と、別の1つの交差部を形成する第2,第3孔)により構成されてもよい。
カバー体は、伝動カバー以外のカバー、例えばシリンダヘッドカバー5であってもよい。
機関本体側部材は、機関本体Eaに結合されて該機関本体Eaと一体化された中間部材を備え、該中間部材にチェーンカバー40などのカバー体が結合されてもよい。この場合、カバー体は、この中間部材を介して機関本体Eaに結合される。
機関本体側部材に結合される周壁により形成される窓部は、油圧制御弁以外の部品、例えばテンショナリフタやクランク軸が配置または挿入される窓部であってもよい。
内燃機関は、V型以外の多気筒内燃機関であってもよく、また単気筒内燃機関であってもよい。また、動弁装置は、吸気カムおよび排気カムが設けられる共通の1つのカム軸を備えるSOHC型のものであってもよい。
チェーンカバー40のそれぞれのバンク部40a,40bに、カバー側油路Paまたはカバー側油路Pbと同様の油路が複数設けられてもよい。この場合、該各油路に対応して複数の窓部をそれぞれ形成する複数の周壁が設けられてもよい。
カバー側油路は、潤滑用のオイルが流れる油路であってもよい。
内燃機関は、例えば鉛直方向を指向するクランク軸を備える船外機等の船舶推進装置、または発電機など、車両以外の機械に使用されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明が適用されたチェーンカバーを備える内燃機関を、主方向から見たときの要部の図である。
【図2】図1のチェーンカバーの斜視図である。
【図3】図1のチェーンカバーを主方向で外側から見た図である。
【図4】図1のチェーンカバーを主方向で内側から見た図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】図3のVI−VI線断面図である。
【図7】図3のVII−VII線断面図である。
【図8】図3のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図4のIX−IX線断面図である。
【図10】図4のX−X線断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1…シリンダブロック、2,102 …シリンダヘッド、5…シリンダヘッドカバー、6…クランク軸、23,123 …チェーン、40…チェーンカバー、41…内面、42…外面、43…外縁部、50…壁部、55a,55b…段部、60,160,66,69…窓部、61,161 ,65,68…周壁、62,162 …ボス部、70,170 …第1孔、80,180…第2孔、
Ea…機関本体、Pa,Pb…カバー側油路、Pa1,Pb1…第1油路、Pa2,Pb2…第2油路、Pac,Pbc…交差部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の機関本体側部材に結合される複数の結合部を有する外縁部と、前記外縁部の内周側に位置すると共に前記機関本体側部材と協働して内空間を形成する壁部とを有するカバー体であって、前記機関本体側部材に設けられた本体側油路に連通するカバー側油路が前記壁部に設けられたカバー体において、
前記壁部は、部品の配置用または挿入用の窓部を形成すると共に前記機関本体側部材に結合される環状の周壁と、前記機関本体側部材に設けられて前記本体側油路が開口する本体側当接部に当接するカバー側当接部とを有し、
前記カバー側油路の開口部は、前記カバー側当接部に開口すると共に前記本体側当接部において前記本体側油路に連通し、かつ前記周壁の近傍に位置することを特徴とするカバー体。
【請求項2】
前記周壁は、そのボス部において前記機関本体側部材に結合され、
前記ボス部は、前記周壁において前記開口部に最も近接した部位であることを特徴とする請求項1記載のカバー体。
【請求項3】
前記壁部はリブを有し、
前記リブが前記カバー側当接部と前記周壁とを連結することを特徴とする請求項1記載のカバー体、または前記リブが前記カバー側当接部と前記ボス部とを連結することを特徴とする請求項2記載のカバー体。
【請求項4】
前記壁部は、前記外縁部の前記複数の結合部と前記カバー側当接部とをそれぞれ連結する複数の放射状のリブを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のカバー体。
【請求項5】
前記壁部は、前記周壁に沿って延びて前記カバー側当接部に接続する隆起部を有し、
前記カバー側油路が前記隆起部に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のカバー体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−174477(P2009−174477A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15594(P2008−15594)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】