説明

波形合成樹脂管の継手構造及び接続方法

【課題】波形合成樹脂管の接続部がない端部同士を、従来に較べて簡単な構造で接続、かつ止水(密封)可能でゴム製パッキン等のシール材も不要な、波形管の継手構造並びに接続方法を提供する。
【解決手段】二つの波形合成樹脂管1A、1Bの端部同士1a、1bを突き合わせ、突き合わせ部に、その管軸方向に両波形合成樹脂管1A、1Bにわたって連結管10を外嵌し、連結管10内面と波形合成樹脂管1A、1B内面との間に、発泡性合成樹脂20aを注入して発泡硬化させて発泡充填材20を充填し、連結管10及び発泡充填材20により波形管1A、1B同士を接続し、かつ接続部を止水可能に密封する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、地中に埋設され、又は地上で建屋に配設される、電力・通信ケーブル保護管又は排水管等として使用される波形合成樹脂管用の継手構造並びに前記波形合成樹脂管を接続する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記のような波形合成樹脂管(以下、適宜「波形管」と略記する。)としては、管壁が管軸方向に凹凸波形に形成されている合成樹脂管が一般的であるが、管軸方向から見た輪郭が略方形に形成された角筒部と略円形に形成された円筒部とを、管軸方向に交互に配置した角波状の合成樹脂管も提案されている。更に、本出願人は、管壁に丸波部分と角波部分とが管軸方向に多数形成されており、管軸方向から見た前記角波部分の輪郭が、丸波部分の輪郭をなす外周円に外接する方形で各角部が前記の外周円に沿って円弧状に丸められている波形合成樹脂管を提案している(特許文献1の請求項1、図1〜4等参照。)。
【0003】
前記本出願人が提案した波形管は、角波部分が管軸方向から見て方形をなし、その上下にフラット面が形成されているため、地中に埋設された場合には安定性が高く、また地上で積み重ねられた場合には座りが良く積層安定性が高く、さらに、角波部分の各角部が円弧状に丸められているため、成形時において円筒部分の肉厚を強制的に隅部まで延伸させる必要がなく、従来の角波状の合成樹脂管における角部の薄肉化に起因する問題を解消することができ、しかも、角部が円弧状に丸められているので、地中への埋設に際して土砂の流動性が高められ、角波部分についても丸波部分に近い土砂流動性を確保することができるため、波形管上方の空洞化を解消できる、というものである。
【0004】
前記のような波形管の継手構造としては、波形管の一方端部に設けた雄側継手部を、他方端部に設けた雌側継手部に挿入して波形管同士を接続するようになっている(例えば、特許文献1の請求項3〜7、図5〜10等参照。)。また、前記波形管を途中で切断した場合等のように、接続する管端部に継手部がない部分の接続は、二つ割り可能な第一継手部および第二継手部と、両継手部を接続するためのボルト(締結手段)とからなり、両波形管における丸波部分と角波部分の間の谷部にそれぞれ嵌合するアーチ部と、波形管の突き合わせ部分に当接されるアーチ部と、前記各アーチ部の裾側端部を管軸方向に連結する連結部とを有し、波形管に装着した二つ割りされた前記継手部を、連結部同士を対向し締結手段で締め付け固定して一体化させるように構成されている(例えば、特許文献1の請求項9、図17〜18、図20〜21等参照。)。さらに、前記のような継手構造においては、接続部分を止水するため、ゴム製パッキン(リング状シール材)が用いられていた(例えば、特許文献1の請求項5、10、図16、図19等参照。)。
【特許文献1】特開2006−292052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように、従来、波形管を途中で切断した場合等のように、接続する管端部に継手部がない部分の波形管同士の接続は、二つ割した継手部及びボルト等の締結手段を用い、さらに止水のためのゴム製パッキン等のシール材が使用されていた。そこで、本発明は、波形管の接続部がない端部同士を、従来に較べて簡単な構造で接続、かつ止水(密封)可能でゴム製パッキン等のシール材も不要な、波形管の継手構造並びに接続方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、二つの波形合成樹脂管の端部同士を突き合わせ、該突き合わせ部に、その管軸方向に前記両波形合成樹脂管にわたって連結管を外嵌し、該連結管内面と両波形合成樹脂管内面との間に、発泡性合成樹脂を注入して発泡硬化させて発泡充填材を充填することにより、前記連結管及び発泡充填材により二つの波形管同士を接続し、かつ接続部を止水可能に密封する。
【0007】
即ち、本発明に係る波形合成樹脂管の継手構造は、2つの波形合成樹脂管の突き合わせ部に、それらの管軸方向に前記両波形合成樹脂管にわたって外嵌された連結管内面と前記波形合成樹脂管外面との間に、注入された発泡性合成樹脂が発泡硬化された発泡充填材が充填されていることを特徴とする。
また、本発明に係る波形合成樹脂管の接続方法は、二つの波形合成樹脂管の端部同士を突き合わせ、それらの管軸方向に前記両波形合成樹脂管にわたって連結管を外嵌し、該連結管内面と前記波形合成樹脂管外面との間に発泡性合成樹脂を充填し、かつ発泡硬化させること特徴とする。
【0008】
本発明において、前記発泡性合成樹脂の注入は、連結管の管軸方向における前記突き合わせた波形合成樹脂管外壁面の谷部にあたる位置に設けた注入孔から行うことが好ましい。これにより、連結管内面と波形管外面との間への発泡性合成樹脂の注入が円滑に行われる。
【0009】
また、前記波形合成樹脂管が、管壁に丸波部分と角波部分とが管軸方向に多数形成されており、管軸方向から見た前記丸波部分の輪郭が円形に形成されており、管軸方向から見た前記角波部分の輪郭が、前記丸波部分の輪郭をなす外周円に外接する方形に形成されるとともに、前記外周円から突出している方形の各角部が、前記外周円の外側近傍でその外周円に沿って円弧状に丸められている波形合成樹脂管の端部同士を接続する場合には、前記連結管は、その管軸方向から見た内部形状が、前記波形合成樹脂管の管軸方向から見た角波部分の輪郭とほぼ等しい、各角部が丸められた方形であることが好ましく、さらに、前記連結管の端部を前記波形合成樹脂管の角波部分の外面に位置させて前記発泡性合成樹脂を注入することで、連結管端部が波型合成樹脂管の外壁面に密着して連結管の端部開口部が閉止された状態で発泡性合成樹脂が注入され、注入した発泡性合成樹脂の連結管端部からの漏れが少なくなる。これにより、連結管と波型管との間に発泡性合成樹脂を密に充填することができ、この密に充填された発泡性合成樹脂が発泡硬化した発泡充填材により、二つの波形管同士がより確実に接続され、かつ接続部の止水性(密封性)も向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、管端部に継手部がなくとも、突き合わせた二つの波形管の端部間にわたって連結管を外嵌し、該連結管内面に発泡性合成樹脂を注入して発泡硬化させるだけの簡単な作業で、二つの波形管を簡単かつ確実に連結固定し、かつゴム製パッキン等のシール材を使用することなく接続部を止水(密封)することができる。従って、本発明によれば、波形管を任意の箇所で切断し、かつ簡単に接続できるので、従来の継手構造や接続方法に較べて波形管の配管工事が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明では、二つの波形合成樹脂管(波形管)の端部同士を突き合わせ、両波形管に渡って連結管を外嵌し、該連結管内面と両波形管外面との間に発泡性合成樹脂を注入し、発泡硬化させることで、連結管内面と波形管外面との間に発泡充填材が充填され、両波形管が密封状態で連結される。
【0012】
本発明における波形管の構造には特に制限はなく、例えば、壁が管軸方向に凹凸波形に形成されている一般的な合成樹脂管や、管軸方向から見て略方形に形成された角筒部と略円形に形成された円筒部とを管軸方向に交互に配置した角波状の合成樹脂管、さらには、本出願人が提案した、管壁に丸波部分と角波部分とが管軸方向に多数形成され、前記角波部分の管軸方向から見た輪郭が、前記丸波部分の輪郭をなす外周円に外接する方形に形成され、その各角部が円弧状に丸められている波形管等、いずれの構造であってもよい。また、本発明の対象となる波形管は、外壁面が波形であればよく、その内部に内管を挿入した多層構造であってもよ。例えば、前記のような波形管内に、柔軟性を有するゴム、塩化ビニル樹脂等からなる内管を挿入しておき、流体を流す場合の流路抵抗を減少させたり、ケーブルを挿通する場合の通りを良くしたものであってもよい。
【0013】
また、前記波形合成樹脂管の基材樹脂にも特に制限はななく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、EVA樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、あるいはそれらの混合樹脂など、いずれも用いることができる。
【0014】
更に、前記のような波形管を製造する方法にも特に制限はない。例えば、断面円形に押し出されたチューブ状の溶融樹脂内にエアーを送り込んで膨らませ、膨らませた樹脂を金型内面に押し付けて所望の波形状に成形する連続ブロー成形、断面円形に押し出されたチューブ状の溶融樹脂を金型に設けられているスリット状の溝から吸引し、その金型内面に張り付かせて所望の波形状に成形するバキューム成形等が挙げられる。
【0015】
以下、具体的な実施の形態に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に用いられる波形管及び連結管の1実施の形態を示し、接続前の波形管1A、1B(以下、共通する事項について説明する場合は、適宜、両者を「波形管1」とまとめて表記する。)と連結管10とを示す斜視図であり、図2は、同じく波形管1A、1Bの断面図であり、図3は、波形管1A、1Bを連結管10および発泡性合成樹脂の注入により接続する工程の説明図である。図例の波形管1は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂からなり、2つの角波部分2とこれに連続する1つの丸波部分3とからなる基本パターンが管軸方向に複数パターン連続して形成されて長尺管をなすものである。なお、図1〜3では、波形管1A、1Bの各端部の基本パターン2つのみを示している。
【0017】
波形管1は、例えば連続ブロー成形によって形成されており、具体的には、断面円形に押し出されたチューブ状の溶融樹脂内にエアーを送り込んで膨らませ、膨らませた樹脂を金型内面に押し付けて所望の形状に成形する。その際、円筒状の溶融樹脂の一部は角波部分2に成形され、また、別の一部は丸波部分3に成形される。それにより、波形管1の内壁も、成形された角波部分2、丸波部分3の外壁形状に追従した波形形状となる。また、角波部分2における各角部5は、円弧状に切り落とされた、丸波部分3に近い形状に形成されている。
【0018】
丸波部分3は、管軸方向(図2に示す線X)から見た輪郭が円形に形成されており、角波部分4は、管軸方向から見た輪郭が、丸波部分3の輪郭をなす外周円に外接する方形に形成されていて、角部5が、管軸方向から見た丸波部分3の外周円から、管軸方向から見た角波部分2の方形面の対角線方向に突出している。これにより、図2に示すように、丸波部分3における外周面3aと、角波部分2のフラットな外周面2aとが、同じ高さ(H1)に揃えられ、波形管1を積層する場合に安定性が得られる。波形管1において、丸波部分3の外周面3aよりも高く現れる角波部分2の突出部2b(角部5)は、波形管1の座りを高めるために寄与する部分である。また、波形管1内壁の各谷部4の内周面4aもまた同じ高さ(H1)に揃えられている。なお、波形管1は、その内部に、柔軟性を有するゴム、塩化ビニル樹脂等からなる内管を挿入した多層構造であってもよい。
【0019】
また、波形管1は、管軸(X)方向において、二つの角波部分2の山部の長さを加えた距離をL2とし、次の角波部分2との距離(丸波部分3が形成されている)をL3としたとき、L2>L3の関係が成立するように角波部分2と丸波部分3が形成されている。これにより、積層された波形管1を管軸方向に相対移動させても、上下の波形管1において常に角波部分2のフラットな外周面2aが互いに当接し、積層された波形管1の落下を防止できる。
【0020】
図例の波形管1は、2つの角波部分2とこれに連続する1つの丸波部分3からなる基本パターンが管軸方向に繰り返し形成されているが、この基本パターンの角波部分2の数及び丸波部分3には特に限定はない。ただ、角波部分2の山部の数が2以上になると、丸波部分3の数が減って丸波部分3による効果、すなわち波形管1の可撓性が低下する傾向にあり、また、角波部分2の山部の数が2を下回ると、波形管1を積み重ねた状態で管軸方向にずらした場合に上側の波形管1が落下しやすくなる。図例の波形管1では、管の座りを高めるために角波部分2の形状を、管軸方向から見て方形(上下左右の外周面2aをフラット)に形成する一方、その角部5は円弧状に丸めているため、角波部分2についても丸波部分3と略同等の砂の流動性を確保することができる。しかも丸波部分3はU字状の折曲部分を備えているため可撓性に富んでおり、管軸方向から見て略方形に形成された角筒部と、略円形に形成された円筒部が管軸方向に交互に配置されている従来の角波合成樹脂管に比べ配管の自由度が高いという利点もある。
【0021】
連結管10は、例えば、前記波形管1と同様のポリエチレン又はポリプロピレン等の合成樹脂を押出成形して連続した管状に成形し、これを適当な長さに切断することで作製することができる。連結管10は、その内部形状が、接続される波形管1の管軸方向からみた輪郭とほぼ等しく、波形管1にほぼ密嵌状態で外嵌する形状とすることが好ましいが、必ずしも波形管1の輪郭形状に合わせる必要はなく、波形管1との間に多少に隙間があっても特に問題はない。
【0022】
図例の連結管10は、波形管1の形状にあわせて、その管軸方向から見た内部形状が、波形管1の管軸方向から見た角波部分2の輪郭とほぼ等しく、角波部分2のほぼ密嵌状態で外嵌できるよう、各角部11が円弧状に切り落とされて丸められた方形に成形されている。更に、連結管10の壁面には、後述するように、突き合わせた波形管1A、1Bの端部にわたって外嵌したときに、波形管1A、1Bの外壁面の谷部4にあたる位置に、発泡充填材となる発泡性合成樹脂を注入するための注入孔12が形成されている。図例の連結管10では、注入孔12は、連結管10の外壁面における平坦な外周面10aに形成されているが、角部11の円弧状の外周面11aに形成してあってもよい。また、注入孔12は、各波形管1A、1Bのそれぞれに対応するよう1対設けてあるが、注入孔12の数に限定はなく、連結管10内面と波形管1A、1B外面との間に、両波形管1A、1Bを接続固定し、かつ止水可能に密封しうる位置及び量の発泡性合成樹脂を充填しうる箇所に設ければよい。更に、注入孔12の孔径にも特に限定はなく、発泡性合成樹脂を充填しうるだけの孔径であればよいが、発泡性合成樹脂の充填後には、孔の機能は不要であることから、その径は小さいほうが好ましい。
【0023】
連結管10の内面と波形管1A及び1Bの外面との間に注入され、発泡硬化して発泡充填材20を構成する発泡性合成樹脂には特に限定はなく、例えばポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォーム、硬質塩化ビニルフォーム、ユリアフォーム、フェノールフォーム、アクリルフォーム、酢酸セルロースフォーム、その他の公知の発泡合成樹脂が例示できる。
【0024】
例えば、ポリウレタンフォームは、ポリオール、過剰のジイソシアネート、架橋剤、発泡剤、触媒、気泡サイズ調整剤等の原料によって得られ、発泡剤として水とイソシアネートとの反応による二酸化炭素、メチレンジクロライド、ペンタン、機械混合時に入れる空気等、その他分解型の有機系発泡剤が用いられる。気泡サイズ調整剤にはシリコーン樹脂や乳化剤が、触媒にはアミン類や有機スズ化合物等が使用できる。
【0025】
また、ユリアフォームは、例えば、粘度が1000cp程度の粘稠なユリア−ホルムアルデヒド水溶液(樹脂分50〜90%)100部に、プロパン、ブタン、ブテン、ヘキサン、塩化メチルのような発泡剤を2〜30部を低温または密閉容器中で分散させ、乳化剤の存在下で酸触媒を加えた後、15〜115℃に温度を上げて得る。また乳化剤を含んだユリア樹脂初期縮合物を、現場発泡機によって塩酸液を混合しながら機械的に起泡しつつ、図3(a)に示す充填機30のノズル31から連結管10内に注入してもよい。
【0026】
フェノールフォームは、レゾール型初期縮合物に泡立機で空気を吹き込みながらクリーム状としつつ、攪拌下で硬化剤を混合し、充填機30のノズル31から連結管10内に注入する。さらに、クリーム状とする時に重炭酸ソーダを1%程度加えて発泡を助けることで、硬化剤の添加後、速やかに硬化する。酸化触媒にはベンゼンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸、硫酸、リン酸等が用いられる。また、揮発性発泡剤を配合しておくと、反応熱で起泡するので初めの泡立ては必要ない。発泡用に適したフェノール樹脂も市販されているが、例えば、レゾール85部にアジピン酸とヘキサメチレンジアミンから得られたポリアミド5部を共重合させて強靱な充填材とすることもでき、ポリビニルアルコール、塩化ビニル樹脂を5〜20部程度配合して強靱性、弾性などを補うこともできる。
【0027】
発泡性合成樹脂が発泡硬化した発泡充填材20の発泡倍率に特に限定はないが、通常は2〜10倍程度でよい。発泡充填材20の発泡倍率が小さいほど波形管1A、1B間の接続強度は増大するが、その一方で波形管接続部の可撓性は低下し、反対に発泡倍率が大きくなるほど接続部の可撓性は向上するが、その一方で接続強度が低下する傾向になる。
【0028】
次に、図3を参照しながら、本発明における波形管1A、1Bの接続の仕方を説明する。先ず、図3(a)に示すように、波形管1A、1Bの各端部、例えば、図例のものでは、各波形管1の谷部4で切断した端部1a、1b同士を突き合わせ、両波形管1A、1Bにわたって連結管10を外嵌する。波形管1A、1Bの突き合わせ部に連結管10を外嵌する方法は特に限定されず、例えば、一方の波形管1Aの端部1aに連結管10の一端を外嵌しておき、連結管10の他端開口部から他方の波形管1Bの端部1bを挿入してもよいし、連結管10の両端開口部のそれぞれから各波形管1A、1Bの各端部1a、1bを挿入し、連結管10の内部で端部1a、1b同士を突き合わせるようにしてもよい。また、突き合わせる端部1a、1bは図例のように谷部4で切断する必要はなく、どの位置で切断してもよいが、充填する発泡性合成樹脂の波形管1内への流入を防ぐため、接続端面がほぼ同じ形状で互いに密接可能となるように、各波形管1の同じ位置で切断して接続することが好ましい。
【0029】
次いで、充填機30のノズル31を連結管10に設けた注入孔12にあて、この注入孔12を通して連結管10内に発泡性合成樹脂20aを注入する。この発泡性合成樹脂20aの注入に際しては、図3(a)に示すように、波形管1A、1Bの谷部4の位置から注入することで、連結管10内面と波形管1A、1B外面の間への発泡性合成樹脂20aの注入が円滑に行われる。特に、壁が管軸方向に凹凸波形に形成されている一般的な波形合成樹脂管の場合には、連結管が山部に密嵌状態で外嵌されていると、隣接する谷部が前記山部によって遮断されて連通してない。この場合には、管壁の谷部のそれそれに対応する位置に設けた注入孔から注入することが好ましい。一方、図例のような角波部分2と丸波部分3とを有する波形管1の場合には、角波部分2が突出する角部において、丸波部分3の外周面3aと連結管10の内面との間に空隙ができることから、丸波部分3からの注入も比較的容易である。また、管軸方向から見て略方形に形成された角筒部と略円形に形成された円筒部とを管軸方向に交互に配置した角波状の合成樹脂管の場合には、発泡性合成樹脂の注入は円筒部の位置から行うことが容易である。
【0030】
前記のように、連結管10内に注入された発泡性合成樹脂20aが発泡硬化することで、図3(b)に示すように、連結管10内面と、突き合わせた波形管1A、1B外面との間に発泡充填材20が充填された状態となり、波形管1A、1Bの端部同士が、止水可能に密封された状態に連結される。このとき、発泡性合成樹脂20aの発泡圧により、連結管10が膨張し、波形管1における角波部分2、丸波部分3及びそれらの間の各谷部4の外面に一体に連続した状態で発泡充填材20が充填される。これにより、両波形管1A、1Bは、各谷部4内に充填された発泡充填材20により、それの管軸方向への移動が記載された状態で確実に接続されるとともに、連結管10との間が密封され、接続部が確実に止水される。
【0031】
なお、連結管10の長さには、特に限定はなく、長いほど接続強度は高まるが、その分、連結管10や発泡性合成樹脂20aの材料コストが嵩むので、接続される波形管の大きさや要求強度に応じて適当な長さが選択される。しかし、連結管10がどのような長さであっても、その管軸方向の端部は、図2、3に示すように、波形管1の谷部4ではなく、山部に位置するように調整することが、連結管10内に注入され、発泡硬化する発泡性合成樹脂20aの連結管端部からの漏れが少なくなることから好ましい。更に、図例のような角波部分2と丸波部分3とを有する波形管1には、連結管10の内部形状は、管軸方向(X)から見た角波部分2の輪郭に応じた形状となるので、丸波部分3にあっては、その外周面3aと連結管内周面10bとの間に隙間ができる。このため、連結管10の端部10cが丸波部分3の位置にあると、連結管10内に注入した発泡性合成樹脂10aが、注入、発泡硬化の間に管端部10cから漏れ易くなる。従って、この場合には、図4(a)〜(c)に示すように、連結管10の端部10cが角波部分2に位置して、発泡性合成樹脂の注入時に、連結管10と波形管1の外面とがほぼ密着した状態となるようにすることが好ましい。即ち、どのような形状の波形管の接続に際しても、連結管10の端部10cは、波形管の管軸方向からみた輪郭形状が最も大きな波の山部に位置させ、連結管10の端部開口部がほぼ密閉された状態で発泡性合成樹脂を充填することが好ましい。特に、図例の波形管1のように、角波部分2の表面2aが平坦な形状の波形管にあって、そのフラットな外周面2aの管軸方向端部に連結管10の端部10cが位置し、管軸方向に沿ったある程度の長さにわたって連結管10の内面10bと角波部分2の外周面2aとの間が密着するようにすることが好ましい。なお、図4中、図2、3と同じ構成については同じ符合を付して説明を省略した。
【0032】
以上のとおり、本発明では、突き合わせた波形管の端部間にわたって外嵌した連結管内に、その内面と波形管外面との間に発泡性合成樹脂を注入し、発泡硬化させるだけの簡単な作業で、止水可能に密封した状態で波形管同士を接続することができ、ゴム製パッキン等の止水部材も不要である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明で使用される波形管と連結管の1実施形態を示す斜視図である。
【図2】同じく波形管と連結管の1実施形態を示す断面図である。
【図3】(a)、(c)は、本発明による波形管の継手構造および接続方法の1実施形態を示す工程説明図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明による波形管の継手構造および接続方法の他実施形態を示す工程説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1(1A、1B) 波形管
1a、1b 波形管の端部
2 角波部分
2a 角波部分の外周面
2b 角波部分の突出部
3 丸波部分
3a 丸波部分の外周面
4 谷部
5 角波部分の角部
10 連結管
10a 連結管の外周面
10b 連結管の内周面
10c 連結管の端部
11 連結管の角部
11a 連結管角部の外周面
12 注入口
20 発泡充填材
20a 発泡性合成樹脂
30 充填機
31 充填機のノズル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの波形合成樹脂管の突き合わせ部に、それらの管軸方向に前記両波形合成樹脂管にわたって外嵌された連結管内面と前記波形合成樹脂管外面との間に、注入された発泡性合成樹脂が発泡硬化された発泡充填材が充填されていることを特徴とする波形合成樹脂管の継手構造。
【請求項2】
前記連結管が、その管軸方向における前記突き合わせた波形合成樹脂管外壁面の谷部にあたる位置に、前記発泡性合成樹脂の注入孔を有する請求項1記載の波形合成樹脂管の継手構造。
【請求項3】
前記波形合成樹脂管が、管壁に丸波部分と角波部分とが管軸方向に多数形成されており、前記丸波部分の管軸方向から見た輪郭が円形に形成されており、前記角波部分の管軸方向から見た輪郭が、前記丸波部分の輪郭をなす外周円に外接する方形に形成されるとともに、前記外周円から突出している方形の各角部が、前記外周円の外側近傍でその外周円に沿って円弧状に丸められており、前記連結管の管軸方向から見た内部形状が、前記波形合成樹脂管の管軸方向から見た角波部分の輪郭とほぼ等しい、各角部が丸められた方形に形成されている請求項1又は2に記載の波形合成樹脂管の継手構造。
【請求項4】
前記連結管の管軸方向の端部が、前記波形合成樹脂管の角波部分に位置している請求項3記載の波形合成樹脂管の継手構造。
【請求項5】
二つの波形合成樹脂管の端部同士を突き合わせ、それらの管軸方向に前記両波形合成樹脂管にわたって連結管を外嵌し、該連結管内面と前記波形合成樹脂管外面との間に発泡性合成樹脂を充填し、かつ発泡硬化させること特徴とする波形合成樹脂管の接続方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−202743(P2008−202743A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42004(P2007−42004)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(398062574)カナフレックスコーポレーション株式会社 (62)
【Fターム(参考)】