説明

波長可変干渉フィルター、光モジュール、光分析装置、及び波長可変干渉フィルターの製造方法

【課題】容易に配線を接続可能な波長可変干渉フィルター、光モジュール、光分析装置、及び波長可変干渉フィルターの製造方法を提供すること。
【解決手段】波長可変干渉フィルター5では、第1基板51の第2基板52との対向面に第1電極53、第1電極53から延出する第1電極引出部531L,532L、および少なくとも一部が第2電極引出部542Lと対向する第3電極引出部543Lを設け、第2基板52の第1基板51との対向面に第2電極54および第2電極54から延出する第2電極引出部542Lを設け、第2電極引出部542Lおよび第3電極引出部543Lが設けられた引出部形成溝515と、引出部形成溝515と外部とを連通する貫通孔524と、貫通孔524に接続される引出部形成溝515に配置され第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとを導通させる導電性部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光から所望の目的波長の光を選択して射出する波長可変干渉フィルター、この波長可変干渉フィルターを備えた光モジュール、この光モジュールを備えた光分析装置、および前記波長可変干渉フィルターの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の基板の互いに対向する面に、それぞれ反射ミラーを対向配置する波長可変干渉フィルターが知られている(例えば、特許文献1参照)。この波長可変干渉フィルターでは、一対のミラー間で光を反射させ、特定波長の光を透過させて、その他の波長の光を干渉により打ち消し合わせることで、入射光から特定波長の光を透過させる。
【0003】
特許文献1に記載の波長可変干渉フィルターは、可動部および可動部を支持するダイアフラムを備えた第1基板と、第1基板に対向する第2基板とを備えている。また、第1基板の可動部には、可動ミラーが形成され、第2基板の可動部に対向する面には、固定ミラーが形成されている。そして、第1基板および第2基板には、それぞれリング状の電極が設けられ、これらの電極から各基板の外周縁に向かってそれぞれ引き出し配線が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−251105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、第1基板に形成された引き出し配線は第2基板に対向し、第2基板に形成された引き出し配線は、第1基板に対向している。このような構成では、波長可変干渉フィルターをセンサー等のモジュールに組み込んで配線を接続する際に、それぞれ異なる基板上の引き出し配線に配線作業を実施する必要があり、煩雑であるという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、容易に配線を接続可能な波長可変干渉フィルター、光モジュール、光分析装置、及び波長可変干渉フィルターの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の波長可変干渉フィルターは、第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板および前記第2基板の互いに対向する面に設けられ、それぞれ互いに対向配置される一対のミラーと、前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1電極と、前記第2基板の前記第1基板に対向する面に設けられ、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられ、前記第1電極から延出する第1電極引出部と、前記第2基板の前記第1基板に対向する面に設けられ、前記第2電極から延出する第2電極引出部と、前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられ、少なくとも一部が前記第2電極引出部と対向する第3電極引出部とを備え、前記第1基板および前記第2基板の互いに対向する面の少なくともいずれか一方の面には、前記第2電極引出部および前記第3電極引出部が設けられた引出部形成溝が形成され、前記第1基板または前記第2基板には、前記引出部形成溝と外部とを連通する貫通孔が形成され、前記貫通孔に接続される前記引出部形成溝に配置され、前記第2電極引出部と前記第3電極引出部とを導通させる導電性部材を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明では、第1基板および第2基板の互いに対向する面のうち、少なくともいずれか一方の面に引出部形成溝が形成され、引出部形成溝と外部とを連通する貫通孔が、第1基板または第2基板に形成されている。そして、導電性ペーストなどの導電性部材は、この貫通孔から注入されて引出部形成溝に流入し、第2電極引出部と第3電極引出部とを導通させる。このような構成によれば、第1電極に接続された第1電極引出部と、導電性部材および第2電極引出部を介して第2電極に接続された第3電極引出部とが、ともに第1基板に設けられる。このため、波長可変干渉フィルターを、測色センサー等の光モジュールに組み込む際は、第1基板に形成された第1および第3電極引出部に対して配線作業を実施するだけでよく、作業効率を向上させることができる。
【0009】
本発明の波長可変干渉フィルターでは、基板厚み方向から見る平面視において、前記第2電極引出部および前記第3電極引出部の対向位置の側方には、前記貫通孔と前記引出部形成溝とを連通し、導電性部材が保持される凹溝が設けられていることが好ましい。
【0010】
本発明では、第2電極引出部および第3電極引出部の対向位置の側方には、配線の際に貫通孔から注入された導電性ペーストなどの導電性部材が保持される凹溝が設けられているため、導電性部材が凹溝に溜まり、必要以上に引出部形成溝内に流入することを防止できる。このため、導電性部材が第2電極側に流れることを防止でき、配線信頼性を確保することができる。
【0011】
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記引出部形成溝は、前記第2電極引出部が設けられた第1区間と、前記第2電極引出部および前記第3電極引出部が互いに対向して設けられた第2区間と、前記第3電極引出部が設けられた第3区間とを有し、前記第2区間における前記第2電極引出部と前記第3電極引出部との隙間は、前記第1区間における第2電極引出部と前記引出部形成溝の前記第2電極引出部に対向する面との隙間よりも小さく、かつ前記第3区間における前記第3電極引出部と前記引出部形成溝の前記第3電極引出部に対向する面との隙間よりも小さいことが好ましい。
【0012】
本発明では、引出部形成溝の第2区間における第2電極引出部と第3電極引出部との隙間は、第1区間における第2電極引出部と引出部形成溝の第2電極引出部に対向する面との隙間よりも小さい。また、第2区間における第2電極引出部と第3電極引出部との隙間は、第3区間における第3電極引出部と引出部形成溝の第3電極引出部に対向する面との隙間よりも小さい。このため、引出部形成溝の第2区間で第2電極引出部と第3電極引出部との隙間に流入した導電性部材は、毛細管力により第2電極引出部および第3電極引出部に沿って流れる。従って、導電性部材が、第2電極引出部と第3電極引出部とが対向配置された第2区間以外の部分に流れ込むのを防止でき、導電性部材が、引出部形成溝内を第2電極側に流れることを確実に防止できる。
【0013】
本発明の光モジュールは、上述した波長可変干渉フィルターと、前記波長可変干渉フィルターを透過した検査対象光を受光する受光手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明では、上述した発明と同様に、波長可変干渉フィルターの第1電極に接続された第1電極引出部と、導電性部材および第2電極引出部を介して第2電極に接続された第3電極引出部とが、ともに第1基板に設けられるので、波長可変干渉フィルターを、測色センサーに組み込む際に、第1基板に形成された第1および第3電極引出部に対して配線作業を実施するだけで済む。従って、波長可変干渉フィルターを光モジュールに組み込む際の作業効率を向上させることができる。
【0015】
本発明の光分析装置は、上述した光モジュールと、前記光モジュールの前記受光手段により受光された光に基づいて、光の光特性を分析する分析処理部とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明では、上述した波長可変干渉フィルターを有する光モジュールを備えるので、本発明の光分析装置においても、配線作業を簡略化でき、配線時の作業効率を向上させることができる。
【0017】
本発明の波長可変干渉フィルターの製造方法は、上述した波長可変干渉フィルターの製造方法であって、前記第1基板および前記第2基板を接合する接合工程と、前記導電性部材を前記貫通孔に注入して前記引出部形成溝に流入させ、流入した導電性部材により前記第2電極引出部と前記第3電極引出部とを導通させる導電性部材注入工程とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明では、以下の構成を有する第1基板および第2基板を波長可変干渉フィルターの製造に用いる。すなわち、第1基板および第2基板の互いに対向する面の少なくともいずれか一方の面には、互いに対向する第2電極引出部および第3電極引出部が設けられた引出部形成溝が形成されている。また、第1基板または第2基板には、引出部形成溝と外部とを連通する貫通孔が形成されている。そして、第1基板および第2基板を接合した後、導電性ペーストなどの導電性部材を貫通孔に注入して引出部形成溝に流入させ、流入した導電性部材により第2電極引出部と第3電極引出部とを導通させる。このため、第1電極に接続された第1電極引出部と、導電性部材および第2電極引出部を介して第2電極に接続された第3電極引出部とが、ともに第1基板に設けられる。従って、波長可変干渉フィルターを測色センサー等の光モジュールに組み込む際に、第1基板に形成された第1および第3電極引出部に対して配線作業を実施するだけでよく、作業効率を向上させることができる。
また、基板の接合工程の後に、導電性部材を貫通孔に注入して引出部形成溝に流入させるため、基板接合後に第2電極引出部と第3電極引出部と接続することができる。このため、基板の接合方法の自由度を高めることができ、接合品質を考慮して基板に合った接合方法を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る測色装置の概略構成を示す図。
【図2】第1実施形態に係るエタロンの概略構成を示す平面図。
【図3】エタロンの概略構成を示す断面図。
【図4】第1実施形態に係る第1基板を第2基板側から見た平面図。
【図5】第1実施形態に係る第2基板を第1基板側から見た平面図。
【図6】第1実施形態に係る電極引出部同士の接続状態を示す図。
【図7】本発明の第2実施形態に係るエタロンの概略構成を示す平面図。
【図8】本発明の第3実施形態に係るエタロンの概略構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る光分析装置として測色装置を例にとり、図面に基づいて説明する。
[1.測色装置の概略構成]
図1は、本発明に係る第1実施形態の測色装置1の概略構成を示す図である。
測色装置1は、図1に示すように、検査対象Aに光を射出する光源装置2と、本発明の光モジュールとしての測色センサー3と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備えている。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出される光を検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサーにて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Aの色を分析して測定する装置である。
【0021】
[2.光源装置の構成]
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、検査対象Aに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれており、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Aに向かって射出する。
【0022】
[3.測色センサーの構成]
測色センサー3は、図1に示すように、本発明の干渉フィルターを構成するエタロン5と、エタロン5を透過する光を受光する受光手段としての受光素子31と、エタロン5で透過させる光の波長を可変する電圧制御手段6とを備えている。また、測色センサー3は、エタロン5に対向する位置に、検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、エタロン5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を受光素子31にて受光する。
受光素子31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光素子31は、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
【0023】
[3−1.エタロンの構成]
図2は、エタロン5の概略構成を示す平面図であり、図3は、エタロン5の概略構成を示す断面図である。なお、図3では、検査対象光が図中下側から入射するものとする。
エタロン5は、図2に示すように、平面正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成されている。このエタロン5は、図3に示すように、第1基板51、および第2基板52を備えている。これらの2枚の基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。これらの中でも、各基板51,52の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)などのアルカリ金属を含有したガラスが好ましく、このようなガラスにより各基板51,52を形成することで、後述するミラー56,57や、各電極の密着性や、基板同士の接合強度を向上させることが可能となる。そして、これらの2つの基板51,52は、図3に示すように、外周部近傍に形成される接合面517,525が、例えば常温活性化接合など、加圧接合されることにより、一体的に構成されている。
【0024】
第1基板51と、第2基板52との間には、本発明の一対のミラーを構成する固定ミラー56および可動ミラー57が設けられる。ここで、固定ミラー56は、第1基板51の第2基板52に対向する面に固定され、可動ミラー57は、第2基板52の第1基板51に対向する面に固定されている。また、これらの固定ミラー56および可動ミラー57は、ミラー間ギャップGを介して対向配置されている。
さらに、第1基板51と第2基板52との間には、固定ミラー56および可動ミラー57の間のミラー間ギャップGの寸法を調整するための第1静電アクチュエーター55Aおよび第2静電アクチュエーター55Bが設けられている。
【0025】
[3−1−1.第1基板の構成]
第1基板51は、図2に示すようなエタロン5を厚み方向から見た平面視(以降、エタロン平面視と称す)において、第2基板52よりも左右の幅寸法が大きく、かつ厚みが例えば1mmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。具体的には、図3に示すように、第1基板51には、エッチングにより電極形成溝511と、電極パッド形成部512と、ミラー固定部513とが形成される。
【0026】
図4に示す第1基板51のエタロン平面視において、電極形成溝511は、平面中心点を中心とした円形に形成されている。電極パッド形成部512は、第1基板51の電極形成溝511を間に挟んだ左右の側縁部に形成される。ミラー固定部513は、電極形成溝511の中心部から第2基板52側に突出して形成される。
【0027】
電極形成溝511には、図3および図4に示すように、ミラー固定部513の外周縁から、電極形成溝511の内周壁面までの間に、リング状の電極固定面511Aが形成され、この電極固定面511Aに第1電極53が形成される。第1電極53は、内側第1電極531および外側第1電極532を備えている。図4に示すエタロン平面視において、内側第1電極531は、固定ミラー56の中心を中心点とする円環状に形成されている。外側第1電極532は、内側第1電極531と同軸上で、内側第1電極531より径寸法が大きいC字状に形成されている。
【0028】
ここで、第1電極53は、導電性を有し、後述する第2基板52の第2電極54との間で電圧を印加することで、第1電極53および第2電極54間に静電引力を発生させることが可能なものであれば、特に限定されない。本実施形態では、接合用の膜としても使用可能なAu/Cr膜(クロムを下地とし、金をその上に形成した膜)を用いる。また、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)を用いてもよい。
【0029】
また、第1基板51の接合面517には、溝深さがそれぞれ電極固定面511Aと同一深さ寸法である第1引出部形成溝514および第2引出部形成溝515が形成されている。図4に示すエタロン平面視において、第1引出部形成溝514は、電極形成溝511の外周縁の一部からエタロン5の右上方向および左下方向に向かって形成され、電極パッド形成部512までのびる。また、本発明の引出部形成溝である第2引出部形成溝515は、エタロン5の上方向および下方向に向かって形成され、電極パッド形成部512までのびる。
【0030】
一方の第1引出部形成溝514には、第1電極引出部としての内側第1電極引出部531Lが形成されている。この内側第1電極引出部531Lは、図4に示すエタロン平面視において、内側第1電極531の外周縁の一部からエタロン5の右上方向に向かって延出して形成されている。そして、内側第1電極引出部531Lは、右側の電極パッド形成部512に設けられた複数の内側第1電極パッド531Pに接続されている。
【0031】
他方の第1引出部形成溝514には、第1電極引出部としての外側第1電極引出部532Lが形成されている。図4に示すエタロン平面視において、外側第1電極引出部532Lは、外側第1電極532の外周縁の一部からエタロン5の左下方向に向かって延出して形成されている。そして、外側第1電極引出部532Lは、左側の電極パッド形成部512に設けられた複数の外側第1電極パッド532Pに接続されている。さらに、第1基板51の左右の電極パッド形成部512には、後述する第2電極54用に複数の第2電極パッド542Pが設けられている。
【0032】
ここで、各電極パッド531P,532P,542Pは、図示しないFPC(Flexible Printed Circuit)を介して、電圧制御手段6(図1参照)に接続される。そして、各静電アクチュエーター55A,55Bを駆動させる際には、電圧制御手段6(図1参照)により、各電極パッド531P,532P,542Pに電圧が印加される。
【0033】
一方、第2引出部形成溝515は、屈曲形成されており、図4に示すエタロン平面視において、屈曲位置を境として、一方側が上下方向に沿って電極形成溝511まで形成され、他方側が左右方向に沿って電極パッド形成部512まで形成されている。この第2引出部形成溝515は、後述する第2電極引出部542Lが設けられた第1区間と、第1区間と連続し、第2電極引出部542Lおよび第3電極引出部543Lが互いに対向して設けられた第2区間と、第2区間の端部から電極パッド形成部512にかけて形成され、第3電極引出部543Lが設けられた第3区間とを有している。
【0034】
ここで、第1基板51の左右の電極パッド形成部512には、複数の第2電極パッド542Pが設けられている。これらの第2電極パッド542Pは、電極パッド形成部512で互いに接続され、その接続部分からは、第3電極引出部543Lが、第2引出部形成溝515の第2区間に向けて延出して形成されている。
さらに、図4に示すエタロン平面視において、第2引出部形成溝515の第2区間の側方には、第2引出部形成溝515と連続して凹溝516が形成されている。つまり、凹溝516は、エタロン平面視において、第2引出部形成溝515の屈曲位置から電極パッド形成部512側の区間の中間位置であって、第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとが対向する位置の側方に設けられている。
【0035】
ミラー固定部513は、上述したように、電極形成溝511と同軸上で、電極形成溝511よりも小さい径寸法となる円柱状に形成されている。なお、本実施形態では、図3に示すように、ミラー固定部513の第2基板52に対向するミラー固定面513Aが、電極固定面511Aよりも第2基板52に近接して形成される例を示すが、これに限らない。電極固定面511Aおよびミラー固定面513Aの高さ位置は、ミラー固定面513Aに固定される固定ミラー56、および第2基板52に形成される可動ミラー57の間のミラー間ギャップGの寸法、第1電極53および第2電極54の間の寸法、固定ミラー56や可動ミラー57の厚み寸法により適宜設定されるものであり、上記のような構成に限られない。例えばミラー56,57として、誘電体多層膜ミラーを用い、その厚み寸法が増大する場合、電極固定面511Aとミラー固定面513Aとが同一面に形成される構成や、電極固定面511Aの中心部に、円柱凹溝上のミラー固定溝が形成され、このミラー固定溝の底面にミラー固定面513Aが形成される構成などとしてもよい。また、ミラー固定部513のミラー固定面513Aは、エタロン5を透過させる波長域をも考慮して、溝深さが設計されることが好ましい。
【0036】
そして、ミラー固定面513Aには、直径が約3mmの円形状に形成される固定ミラー56が固定されている。この固定ミラー56は、Ag合金膜により形成されるミラーであり、スパッタリングなどの手法によりミラー固定面513Aに形成される。
なお、本実施形態では、固定ミラー56として、エタロン5で分光可能な波長域として可視光全域をカバーできるAg合金膜のミラーを用いる例を示すが、これに限定されず、例えば、エタロン5で分光可能な波長域が狭いが、Ag合金膜ミラーよりも、分光された光の透過率が大きく、透過率の半値幅も狭く分解能が良好な、例えばTiO2−SiO2系誘電体多層膜ミラーを用いる構成としてもよい。ただし、この場合、上述したように、第1基板51のミラー固定面513Aや電極固定面511Aの高さ位置を、固定ミラー56や可動ミラー57、分光させる光の波長選択域などにより、適宜設定する必要がある。
【0037】
[3−1−2.第2基板の構成]
第2基板52は、厚みが例えば500μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。
具体的には、第2基板52には、図2に示すように、エタロン平面視において、基板中心点を中心とした円形の変位部521が形成される。この変位部521は、図3に示すように、円柱状の可動部522と、可動部522と同軸であり可動部522を保持する連結保持部523とを備えている。
【0038】
この変位部521は、第2基板52の形成素材である平板状のガラス基材をエッチングにより溝を形成することで形成される。すなわち、変位部521は、第2基板52の第1基板51に対向しない面に、連結保持部523を形成するための円環状の凹溝部523Aをエッチング形成することで形成されている。連結保持部523の外周側には、図3に示すように、第1基板51の接合面517に対向する接合面525が形成されている。この接合面525には、図5に示すように、第2基板52を貫通し、第1基板51に形成された凹溝516と外部とを連通する貫通孔としてのペースト注入孔524が形成されている。
【0039】
ペースト注入孔524は、導電性部材としての導電性ペーストが注入される孔である。ここで、導電性ペーストとしては、導電性を有し、各電極引出部間の導通をとれるものであればいかなるものを用いてもよいが、電気抵抗値が小さく、かつ接着剤としても機能するAgペーストを用いることが好ましい。
このペースト注入孔524は、図2に示すエタロン平面視において、2箇所に形成され、第1基板51に形成された凹溝516の直上に形成される。これにより、外部と第2引出部形成溝515とが、ペースト注入孔524および凹溝516を介して連通されるため、ペースト注入孔524から注入された導電性ペーストは、凹溝516を通り第2引出部形成溝515に流入することになる。そして、第2引出部形成溝515に流入した導電性ペーストにより、第3電極引出部543Lと第2電極引出部542Lとが接続される。
【0040】
可動部522は、図3に示すように、連結保持部523よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、第2基板52の厚み寸法と同一寸法である500μmに形成されている。また、可動部522は、ミラー固定部513に平行な可動面522Aを備え、この可動面522Aに可動ミラー57が固定されている。ここで、この可動ミラー57と上述した固定ミラー56とにより、本発明の一対のミラーが構成される。
ここで、この可動ミラー57は、上述した固定ミラー56と同一の構成のミラーが用いられ、本実施形態では、Ag合金膜ミラーが用いられる。また、Ag合金膜ミラーの膜厚寸法は、例えば0.03μmに形成されている。
【0041】
連結保持部523は、可動部522の周囲を囲うダイアフラムであり、例えば厚み寸法が30μmに形成されている。この連結保持部523の第1基板51に対向する面には、電磁ギャップを介して第1電極53と対向する、二重リング状の第2電極54が形成されている。この第2電極54は、内側第2電極541および外側第2電極542を備えている。ここで、内側第1電極531と内側第2電極541とにより第1静電アクチュエーター55Aが構成され、外側第1電極532と外側第2電極542とにより第2静電アクチュエーター55Bが構成される。
【0042】
内側第2電極541は、図5に示すエタロン平面視において、可動ミラー57の中心を中心点とするリング状に形成されている。外側第2電極542は、図5に示すエタロン平面視において、内側第2電極541と同軸上で、内側第2電極541より径寸法が大きいリング状に形成され、かつ内側第2電極541に接続されている。
また、外側第2電極542の外周縁の一部からは、一対の第2電極引出部542Lが互いに反対方向に延出して形成されている。より具体的には、第2電極引出部542Lは、図5に示すエタロン平面視において、上下方向に向かって延出し、第2基板52の平面中心に対して点対称に形成されている。
【0043】
第2電極引出部542Lは、第2引出部形成溝515と同様に、屈曲形成されている。第2電極引出部542Lの基端側は、第2引出部形成溝515の第1区間に設けられている。第2電極引出部542Lの先端側は、第2引出部形成溝515の第2区間に設けられ、かつ第2区間において、第3電極引出部543Lと基板厚み方向に対向する。
【0044】
[3−2.電圧制御手段の構成]
電圧制御手段6は、上記エタロン5とともに、本発明の波長可変干渉フィルターを構成する。この電圧制御手段6は、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、各静電アクチュエーター55A,55Bの第1電極541および第2電極542に印加する電圧を制御する。
【0045】
[4.制御装置の構成]
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、および分析処理部としての測色処理部43などを備えて構成されている。
【0046】
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御手段6は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長を透過させるよう、各静電アクチュエーター55A,55Bへの印加電圧を設定する。
測色処理部43は、測色センサー制御部42を制御して、エタロン5のミラー間ギャップを変動させて、エタロン5を透過する光の波長を変化させる。また、測色処理部43は、受光素子31から入力される受光信号に基づいて、エタロン5を透過した光の光量を取得する。そして、測色処理部43は、上記により得られた各波長の光の受光量に基づいて、検査対象Aにより反射された光の色度を算出する。
【0047】
[5.エタロンの製造方法]
次に、エタロン5の製造方法について、図面に基づいて説明する。
先ず、上述した各基板51,52を形成する。ここで、第1基板51には、エッチングなどの方法により、図2に示すエタロン平面視において、第2引出部形成溝515の側部に凹溝516を形成する。また、第1基板51の第2引出部形成溝515内には、第2電極パッド542Pから延出された第3電極引出部543Lを形成する。第2基板52には、ペースト注入孔524をレーザー加工等により予め形成しておく。
【0048】
次に、第1基板51及び第2基板52を接合する接合工程を実施する。この接合工程では、例えば常温化活性化接合を用いる。すなわち、接合工程では、各基板51,52を真空チャンバーに入れ、真空状態下で、イオンビームの照射やプラズマ処理を実施することで、接合面517,525を活性化させる。そして、活性化された接合面517,525同士を重ね合わせて、第1基板51及び第2基板52を接合する。
【0049】
なお、各基板51,52の接合工程では、上記接合方法以外にも、例えば、粘着性薄膜(接着剤)による接合方法や、金属膜による接合方法を用いることができる。また、プラズマ重合膜による接合方法を用いることもできる。具体的には、プラズマ重合膜を各基板51,52の接合面517,525にプラズマ重合法などによりプラズマ重合膜を形成し、プラズマ重合膜に紫外線の照射、またはプラズマ処理をした後、各基板51,52を重ね合わせることで接合される。
【0050】
次に、第1基板51及び第2基板52が接合された状態で、導電性ペーストを第2基板52の2箇所のペースト注入孔524から注入する(ペースト注入工程)。この際、導電性ペーストとしては、予め設定された所定量を注入する。この所定量は、第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとの接続に必要な量であり、注入テストなどにより予め設定される。図6に示すように、導電性ペースト60は、ペースト注入孔524から注入されると、第1基板51の凹溝516から第2引出部形成溝515に流入する。
【0051】
ここで、図6に示すように、第2電極引出部542Lおよび第3電極引出部543Lが互いに対向して設けられた第2区間において、第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとの隙間G1は、第1区間における第2電極引出部542Lと第2引出部形成溝515の第2電極引出部542Lに対向する面との隙間G2よりも小さい。また、隙間G1は、第3区間における第3電極引出部543Lと第2引出部形成溝515の第3電極引出部543Lに対向する面(本実施形態では第2基板52の接合面525)との隙間G3よりも小さくなっている。このため、第2引出部形成溝515に流入した導電性ペースト60は、第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとの隙間G1を、毛細管力により第3電極引出部543Lおよび第2電極引出部542Lに沿って辿る。これにより、導電性ペースト60を介して第3電極引出部543Lと第2電極引出部542Lとが接続され、第2電極パッド542Pから第2電極54への導通が可能となる。
【0052】
この際、導電性ペースト60には毛細管力が作用するため、導電性ペースト60は、第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとの間以外の部分に流れ込まないようになっている。
また、余分な導電性ペースト60は凹溝516内に溜まるため、導電性ペースト60が必要以上に第2引出部形成溝515内に流入しない。
さらに、凹溝516は、図2に示すように、第2引出部形成溝515の屈曲位置から電極パッド形成部512側の区間に設けられている。ここで、導電性ペースト60は粘性が高いため、導電性ペースト60が、第2引出部形成溝515内の屈曲位置を通過しようとする際には、導電性ペースト60に大きな抵抗が作用する。このため、凹溝516から第2引出部形成溝515内に流入した導電性ペースト60が、第2引出部形成溝515の屈曲位置を超えて第2電極54側に流れ込まないようになっている。
【0053】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本実施形態のエタロン5によれば、第2電極54に接続された第2電極引出部542Lと、この第2電極引出部542Lに対向する第3電極引出部543Lとが、第2引出部形成溝515に形成されている。また、第2基板52には、第2引出部形成溝515と外部とを連通するペースト注入孔524が形成され、導電性ペースト60は、このペースト注入孔524から注入されて、第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとの間に流入して両者間を導通させる。このような構成によれば、第1電極53に接続された各第1電極引出部531L,532Lと、導電性ペースト60および第2電極引出部542Lを介して第2電極54に接続された第3電極引出部543Lとが、ともに第1基板51に設けられる。このため、エタロン5を測色センサー3に組み込む際でも、それぞれ第1基板51に形成された各第1電極引出部531L,532Lおよび第3電極引出部543Lに対して配線作業を実施するだけでよく、作業効率を向上させることができる。
【0054】
また、エタロン平面視において、第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとが対向する位置の側方には、第2引出部形成溝515と連続して形成され、ペースト注入孔524から注入された導電性ペースト60が溜まる凹溝516が設けられている。このため、導電性ペースト60が必要以上に第2引出部形成溝515内に流入することを防止できる。従って、導電性ペースト60が第2電極54側に流れることを防止でき、配線信頼性を確保することができる。
【0055】
また、エタロン5を第2基板52側から見た場合に、第1基板51の電極パッド形成部512に設けられた各電極パッド531P,532P,542Pが外部に露出する。このため、各電極パッド531P,532P,542Pへの配線作業時に、第2基板52が邪魔になることがなく、作業効率を向上させることができる。また、第2基板52に応力を加えることなく配線を実施できる。
【0056】
また、各電極引出部531L,532L,543Lに対して複数の電極パッド531P,532P,542Pが設けられ、これら複数の電極パッド531P,532P,542Pが第1基板51の左右の電極パッド形成部512に並んで設けられている。このため、FPCを電極パッド形成部512のどの位置に設けても、FPCを電極パッド531P,532P,542Pに接続することができるので、配線作業の作業効率を向上させることができる。
さらに、本実施形態の測色センサー3および測色装置1によれば、上述したエタロン5を備えるため、エタロン5に配線作業を実施する際の作業効率を向上させることができる。
【0057】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態に係るエタロン5の概略構成を示す平面図である。図の説明にあたって、前記実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
前記第1実施形態では、第1基板51の左右の側縁部に電極パッド形成部512が設けられ、この電極パッド形成部512に、各電極引出部531L,532L,543Lに対して複数の電極パッド531P,532P,542Pが設けられていた。
これに対し、本実施形態では、各電極引出部531L,532L,543Lに対して電極パッド531P,532P,542Pが1つずつ設けられている。
【0058】
本実施形態において、第1基板51は、図7に示すエタロン平面視において、第2基板52と同じ大きさに形成されている。各電極パッド531P,532P,542Pは、この第1基板51の四隅に設けられている。具体的は、内側第1電極パッド531Pは第1基板51の右上隅に設けられ、外側第1電極パッド532Pは第1基板51の左下隅に設けられている。内側第1電極パッド531Pは、内側第1電極引出部531Lにより内側第1電極531と接続され、外側第1電極パッド532Pは、外側第1電極引出部532Lにより外側第1電極532と接続されている。
【0059】
第2電極パッド542Pは、図7に示すエタロン平面視において、左上隅および右下隅にそれぞれ設けられている。各第2電極パッド542Pからは、第3電極引出部543Lが、エタロン平面視で第1基板51の右方向または左方向に向かって延出して形成されている。第3電極引出部543Lは、第2引出部形成溝515の第2区間で第2電極引出部542Lと基板厚み方向に対向するように設けられている。第2電極引出部542Lは、第2引出部形成溝515の形状に合わせて屈曲形成されている。エタロン平面視において、第2引出部形成溝515の第2区間の側方であって、第3電極引出部543Lと第2電極引出部542Lとが対向する位置の側方には、第2引出部形成溝515と連続して凹溝516が形成されている。そして、凹溝516の直上には、第1基板51を貫通し、外部と凹溝516とに連通するペースト注入孔524が形成されている。
【0060】
このようなエタロン5において、第3電極引出部543Lと第2電極引出部542Lとは、ペースト注入孔524から注入された導電性ペースト60により接続されている。これにより、第2電極パッド542Pから第2電極54への導通が可能となる。一方、第1電極53の内側第1電極531は、内側第1電極引出部531Lを介して内側第1電極パッド531Pと接続され、外側第1電極532は、外側第1電極引出部532Lを介して第2電極パッド542Pと接続されている。
【0061】
ここで、第2基板52において、各電極パッド531P,532P,542Pに対応する部分には、切欠部526が設けられている。このような構成では、エタロン5を第2基板52側から見た場合に、各電極パッド531P,532P,542Pが外部に露出した状態となっている。
【0062】
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
すなわち、本実施形態によれば、各電極引出部531L,532L,543Lに対して電極パッド531P,532P,542Pを1つずつ設ければよいため、第1基板51の構成を簡素化でき、このような第1基板51を用いるエタロン5の製造工程を簡略化することができる。
【0063】
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態に係るエタロン5の概略構成を示す平面図である。図の説明にあたって、前記実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
前記第1実施形態では、エタロン平面視において、第2引出部形成溝515の側方に凹溝516が形成され、この凹溝516を介してペースト注入孔524が第2引出部形成溝515に接続されていた。
これに対し、本実施形態では、凹溝516が形成されておらず、ペースト注入孔524が第2引出部形成溝515に直接接続されている。
【0064】
図8に示すように、ペースト注入孔524は、エタロン平面視において、第2引出部形成溝515の第2区間であって、第3電極引出部543Lと第2電極引出部542Lとが対向する位置の直上に形成されている。このペースト注入孔524により、外部と第2引出部形成溝515とが連通されている。
【0065】
本実施形態のエタロン5を得る際には、第2引出部形成溝515および第2引出部形成溝515内に形成された第3電極引出部543Lを有する第1基板51と、上述したペースト注入孔524を有する第2基板52とを接合した後、ペースト注入孔524に導電性ペースト60を注入する。注入された導電性ペースト60は、ペースト注入孔524から第2引出部形成溝515内に流れ込み、毛細管力により第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとの間の隙間G1に流入して、第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとを導通させる。
【0066】
上述した第3実施形態によれば、前記第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
すなわち、本実施形態によれば、第1基板51に凹溝516を形成しないため、接合面517の面積を広く取ることができる。このため、基板51,52同士の接合強度を向上できる。また、第1基板51に凹溝516を形成しないため、第1基板51の構成を簡素化でき、このような第1基板51を用いるエタロン5の製造工程を簡略化することができる。
【0067】
[実施形態の変形]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第1、第2実施形態では、第1引出部形成溝514、第2引出部形成溝515、および凹溝516は第1基板51に形成されていたが、第2基板52に形成されていてもよく、また、第1、第2基板51,52の両方に形成されていてもよい。
前記第1、第2実施形態では、第2基板52にペースト注入孔524が形成されていたが、第1基板51に形成されていてもよく、また、第1、第2基板51,52の両方に形成されていてもよい。
【0068】
前記各実施形態では、第2引出部形成溝515および第2電極引出部542Lは、それぞれ屈曲形成されていたが、これに限られず、第2引出部形成溝515および第2電極引出部542Lは、直線状に形成されてもよい。この場合、第2電極引出部542Lおよび第3電極引出部543Lは、第2引出部形成溝515内で一直線上に設けられることになるが、導電性ペースト60は、毛細管力により第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとの間を辿るため、導電性ペースト60が第2電極引出部542Lと第3電極引出部543Lとの対向部分以外の部分には流れ込まないようになっている。
【0069】
前記各実施形態では、各静電アクチュエーター55A,55Bが用いられたが、圧電素子を備え、逆圧電効果によって駆動する圧電アクチュエーターを用いてもよい。
前記各実施形態では、ペースト注入孔524はエタロン5の厚み方向に沿って形成されていたが、平面方向に沿って形成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…測色装置(光分析装置)、3…測色センサー(光モジュール)、5…エタロン(波長可変干渉フィルター)、31…受光素子(受光手段)、43…測色処理部(分析処理部)、51…第1基板、52…第2基板、53…第1電極、54…第2電極、56…固定ミラー(ミラー)、57…可動ミラー(ミラー)、60…導電性ペースト(導電性部材)、515…第2引出部形成溝(引出部形成溝)、516…凹溝、524…ペースト注入孔(貫通孔)、531L…内側第1電極引出部(第1電極引出部)、532L…外側第1電極引出部(第1電極引出部)、542L…第2電極引出部、543L…第3電極引出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の互いに対向する面に設けられ、それぞれ互いに対向配置される一対のミラーと、
前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1電極と、
前記第2基板の前記第1基板に対向する面に設けられ、前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられ、前記第1電極から延出する第1電極引出部と、
前記第2基板の前記第1基板に対向する面に設けられ、前記第2電極から延出する第2電極引出部と、
前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられ、少なくとも一部が前記第2電極引出部と対向する第3電極引出部とを備え、
前記第1基板および前記第2基板の互いに対向する面の少なくともいずれか一方の面には、前記第2電極引出部および前記第3電極引出部が設けられた引出部形成溝が形成され、
前記第1基板または前記第2基板には、前記引出部形成溝と外部とを連通する貫通孔が形成され、
前記貫通孔に接続される前記引出部形成溝に配置され、前記第2電極引出部と前記第3電極引出部とを導通させる導電性部材を備える
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。
【請求項2】
請求項1に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
基板厚み方向から見る平面視において、
前記第2電極引出部および前記第3電極引出部の対向位置の側方には、前記貫通孔と前記引出部形成溝とを連通し、導電性部材が保持される凹溝が設けられている
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
前記引出部形成溝は、前記第2電極引出部が設けられた第1区間と、前記第2電極引出部および前記第3電極引出部が互いに対向して設けられた第2区間と、前記第3電極引出部が設けられた第3区間とを有し、
前記第2区間における前記第2電極引出部と前記第3電極引出部との隙間は、前記第1区間における第2電極引出部と前記引出部形成溝の前記第2電極引出部に対向する面との隙間よりも小さく、かつ前記第3区間における前記第3電極引出部と前記引出部形成溝の前記第3電極引出部に対向する面との隙間よりも小さい
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の波長可変干渉フィルターと、
前記干渉フィルターを透過した検査対象光を受光する受光手段とを備える
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の光モジュールと、
前記光モジュールの前記受光手段により受光された光に基づいて、光の光特性を分析する分析処理部とを備える
ことを特徴とする光分析装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の波長可変干渉フィルターの製造方法であって、
前記第1基板および前記第2基板を接合する接合工程と、
前記導電性部材を前記貫通孔に注入して前記引出部形成溝に流入させ、流入した導電性部材により前記第2電極引出部と前記第3電極引出部とを導通させる導電性部材注入工程とを備える
ことを特徴とする波長可変干渉フィルターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−163913(P2012−163913A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26147(P2011−26147)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】