説明

注型用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた電気機器

【課題】熱伝導性及び流動性に優れた注型用エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】1分子あたり2個以上のエポキシ基を有し室温で液状のエポキシ樹脂と、室温で液状のエポキシ樹脂用硬化剤と、板状無機充填材と、球状アルミナ充填材を含有し、
前記板状無機充填材及び球状無機充填材は全体としての粒度分布に極大点を2つ以上有し、
前記板状無機充填材及び球状無機充填材を合わせた無機充填材総質量における板状無機充填材の質量割合が5〜20質量%であることを特徴とする注型用エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性及び流動性に優れた注型用エポキシ樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は電気絶縁性に優れていることから、真空遮断器、真空スイッチギヤ、モールド変圧器、モールドコイル、半導体装置等の電気機器の電気絶縁材料として用いられている。該電気機器の発熱量は増加傾向にあり、発熱量の増加は絶縁材料の劣化促進や電気機器の誤作動を引き起こすことが考えられる。そのために、該電気機器の電気絶縁材料であるエポキシ樹脂組成物には高熱伝導性が求められている。エポキシ樹脂組成物の高熱伝導化手法としては、特許文献1に記載のように充填材に粒状及び扁平状のアルミナを用い、熱伝導経路を作る方法がある。
【0003】
電気機器の電気絶縁材料としてエポキシ樹脂組成物を用いる手法としては、加圧注型法、真空注型法が挙げられる。該注型法は、電気機器の構成部品を金型中に設置、加熱した後に、加熱したエポキシ樹脂組成物を金型中に流し込む方法である。そのために、エポキシ樹脂組成物は優れた流動性が求められる。エポキシ樹脂組成物の流動性を向上させる方法としては、特許文献2に記載のように充填材の粒度分布を調整する手法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−232313号公報
【特許文献2】特開2005−290076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、注型用樹脂に用いた場合の充填材の粒度分布、扁平状充填材と粒状充填材の併用割合が開示されていないために、注型用エポキシ樹脂組成物の作製が困難である。また、特許文献2に記載のように球状アルミナの粒度分布を調整した場合、熱伝導率の向上が低いという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、熱伝導性及び流動性に優れた注型用エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、1分子あたり2個以上のエポキシ基を有し室温で液状のエポキシ樹脂と、室温で液状のエポキシ樹脂用硬化剤と、板状無機充填材、球状無機充填材と、前記無機充填材の粒度分布に極大点が2つ以上あるエポキシ樹脂組成物において、
板状無機充填材及び球状アルミナ充填材を合わせた無機充填材総質量における板状無機充填材の質量割合が5〜20質量%の範囲であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物を発明するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、エポキシ樹脂組成物の熱伝導率を向上し、樹脂組成物の流動性が優れている。その結果、熱伝導性及び流動性に優れた注型用エポキシ樹脂組成物を提供することができる。
【0009】
また、本発明によって、注型用エポキシ樹脂組成物中の充填材の沈降及び凝集が抑えられるという新たな効果が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるモールドした真空バルブの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい実施形態を列挙すれば以下のとおりであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】
1分子あたり2個以上のエポキシ基を有し室温で液状のエポキシ樹脂と、室温で液状のエポキシ樹脂用硬化剤と、板状無機充填材、球状無機充填材と、無機充填材の粒度分布に極大点が2つ以上あるエポキシ樹脂組成物において、
無機充填材の粒度分布の極大点が1〜50μmの範囲であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【0013】
更に、1分子あたり2個以上のエポキシ基を有し室温で液状のエポキシ樹脂と、室温で液状のエポキシ樹脂用硬化剤と、板状無機充填材、球状無機充填材と、無機充填材の粒度分布に極大点が2つ以上あるエポキシ樹脂組成物において、
無機充填材の実充填率/最密充填率が0.4〜0.7の範囲であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【0014】
上記板状充填材の長径/短径は1.5〜10が好ましい。なお、短径は板状充填材の厚さとは異なる。
【0015】
本発明に用いるエポキシ樹脂は、1分子あたり2個以上のエポキシ基を有し、室温(20〜30℃)で液状であり、分子量、分子構造は特に限定されない。このようなエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/F型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、単独または2種類以上を混合して使用することができる。
【0016】
本発明による注型用エポキシ樹脂組成物の粘度が3〜10Pa・sであることが好ましい。また、無機充填材の沈降率が6%以下であることが好ましい。本発明の注型用エポキシ樹脂組成物は、前記板状無機充填材が20〜26体積%で、前記球状無機充填材が74〜80体積%であることが好ましい。また、本発明の注型用エポキシ樹脂組成物の硬化物の熱伝導率が1.4〜1.8W/m・Kであることが好ましい。
【0017】
本発明に用いる硬化剤は、室温で(20〜30℃)液状のエポキシ樹脂用硬化剤である。このようなエポキシ樹脂用硬化剤としては、酸無水物、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミン等が挙げられ、注型時の作業性と硬化物の物性が優れている酸無水物が好ましい。酸無水物としては、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。エポキシ樹脂と硬化剤の配合割合は特に限定されないが、通常、当量比1:1前後が選択される。
【0018】
本発明に用いる硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、ベンジルジメチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン類が挙げられる。これら硬化促進剤は、単独または2種類以上を混合して使用することができる。硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂組成物としてのゲル化時間や可使時間から適宜選択されるが、通常、エポキシ樹脂と硬化剤の総質量に対して0.1〜10質量%添加される。
【0019】
本発明に用いる板状無機充填材としては、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミ等が挙げられ、熱伝導率と流動性が優れている点からアルミナが好ましい。
【0020】
本発明に用いる球状無機充填材としては、アルミナ、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミ炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられ、熱伝導率と流動性が優れているアルミナが好ましい。
【0021】
本発明に用いる板状無機充填材は、長径/厚みが10〜100のものである。また、本発明に用いる球状無機充填材は、長径/短径が1から10、好ましくは1〜5、特に好ましくは1から1.3のものである。
【0022】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じてエポキシシラン、アミノシラン、アルコキシシラン、ビニルシラン等のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ベンガラ等の着色剤、シリコーンゴム等の低応力化成分、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。
【0023】
本発明の注型用エポキシ樹脂組成物を用いることができる電気機器としては、真空遮断器、真空スイッチギヤ、モールド変圧器、モールドコイル、半導体装置等が挙げられる。図1は本発明の注型用エポキシ樹脂組成物を用いてモールド下真空バルブの断面図で、セラミックス性の絶縁筒2、固定電極側端板7及び可動電極側端板3によって真空容器1が構成される。真空容器には固定電極6aを有する固定側電極リード6が鍔部6aを貫通して取り付けられ、可動電極5aを有する可動側電極リード5がベローズ8を介して気密に真空容器に取り付けられる。真空容器の外部は注型樹脂によってモールドされ、硬化した固体絶縁層4が形成される。固体絶縁層4の外周には導電層(図示せず)が形成され、接地して真空バルブの安全性が確保されることが多い。
【0024】
本実施例に係わるエポキシ樹脂組成物及びこれらを用いた電気機器の実施形態を具体的に以下に示す。
【0025】
(充填材の粒度分布測定)
充填材の粒度分布は、レーザ回折粒度分布測定装置MICROTRAC FRA型(日機装株式会社製)で、測定レンジ0.12〜704μmで測定した。充填材0.5gと濃度0.2wt%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液100mlを混ぜ、約1分間超音波分散した後、測定した。粒度分布は、粒径と粒子頻度を表したものであり、粒度分布の極大点は、粒子頻度が最も高い粒径のことであり、極大点が充填材の平均粒径となる。
【0026】
(最密充填分率の算出)
無機充填材の最密充填分率は、以下の式より算出した。
【0027】
無機充填材の最密充填分率=1−空間率
空間率は、粒度分布測定結果より、各粒径の頻度を用いて、参考文献1の手法を用いて算出した。
[参考文献1]N.Ouchiyama and T.Tanaka, Ind.Eng.Chem.Fundam.,23,490(1981)
(実充填分率の算出)
球状無機充填材と板状無機充填材を合わせた無機充填材の実充填率は、式1〜4により算出した。樹脂成分は、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤、カップリング剤のことであり、比重は1.1g/cmとした。無機充填材にアルミナ充填材を用いたことから、比重は4.0g/cmとした。
【0028】
【数1】

【0029】
(エポキシ樹脂成分の作製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名JER828)100質量部に、表1に示す質量のアルミナ充填材を添加し、約90℃に調節した万能混合撹拌機(ダルトン株式会社製)を用いて真空脱泡(10Pa)しながら、約30分間混合撹拌してエポキシ樹脂成分を得た。
【0030】
(硬化剤成分の作製)
酸無水物硬化剤であるメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(日立化成工業株式会社製、商品名HN−5500)88質量部に、硬化促進剤として1―(2−シアノエエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製、商品名2EAMZ−CN)0.3質量部、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM403)3質量部に、表1に示す質量のアルミナ充填材を添加し、エポキシ樹脂成分と同様に万能混合撹拌機を用いて硬化性樹脂組成物を得た。
【0031】
【表1】

【0032】
表1において、エポキシ樹脂組成物の硬化物中におけるアルミナ充填材の実充填率(質量%)は、左側が60%、中央が78%、右側が82%である。
【0033】
(エポキシ樹脂組成物の加熱硬化)
エポキシ樹脂成分、硬化剤成分をそれぞれポリプロピレン製容器に秤量し、80℃恒温槽にて1時間加熱した。加熱したエポキシ樹脂成分と硬化剤成分は、質量比1/1で混合した。約80℃に調節した万能混合撹拌機を用いて、真空脱泡(10Pa)しながら、約10分間混合撹拌した。
【0034】
得られたエポキシ樹脂組成物を内径15mmの試験管に流し入れ、85℃/8時間加熱硬化した。その後、更に130℃/12時間加熱硬化した。試験管内部をモールドリリースQZ−13(ナガセケムテックス社製)で処理することで、加熱硬化したエポキシ樹脂組成物は試験管から取り出しやすくした。
【0035】
試験管から取り出したエポキシ樹脂組成物は、定速切断機ISOMET LOWSPEED LOW(BUEHLER製)を用いて厚さ1mmに切断し、切断したエポキシ樹脂組成物は、熱伝導率の算出に必要な測定に用いた。
【0036】
(粘度測定)
粘度測定に用いたエポキシ樹脂組成物は、まず、エポキシ樹脂成分と硬化剤成分を質量1/1で混合し、室温にて万能混合撹拌機で10分間混合することで一液化した。その後、エポキシ樹脂組成物の粘度は、コーンプレート型粘度計Rheo Stress RS100(HAAKE製)を用いて、コーンプレート温度60℃で測定した。
【0037】
(熱伝導率の算出)
硬化物の熱伝導率は、25℃における値を以下の式より算出した。
熱伝導率=比熱×比重×熱拡散率
比熱は、JIS K 7123に準じ、示差走査熱量計DSC Q2000(TAインスツルメント製)を用いて熱流束を測定後、算出した。
【0038】
比重は、電子比重計SD−2002(アルファ―ミラージュ製)を用いて測定した。
【0039】
熱拡散率は、XeフラッシュアナライザーLFA477(NEZSCH製)を用いて測定後、改良Cape−Lehman+pluse correctionモデルにより算出した。
【0040】
(充填材の沈降性評価)
充填材の沈降性は、充填材の沈降が起きやすい硬化剤成分で評価した。まず、万能混合撹拌機で混合後、サンプル瓶(35φ、110ml)に高さ80mm(瓶下端から液面までの距離)まで秤量した後、40℃で30日間放置した。30日間放置後、サンプル瓶中に金尺(スケール)を挿入して、充填材が沈降した高さを測定し、充填材の沈降高さ/80×100より、充填材の沈降性を算出した。
【0041】
(充填材の凝集性評価)
充填材の凝集性は、充填材の沈降性評価後にサンプル瓶中から取り出した金尺(スケール)を観察し、充填材の凝集を確認することで評価した。
【0042】
(真空遮断器の真空バルブのモールド)
エポキシ樹脂成分及び硬化剤成分をそれぞれ秤量し、60℃恒温槽にて1時間加熱した。1時間後、エポキシ樹脂成分及び硬化剤成分を質量比1/1で混ぜ合わせ、60℃/1時間真空脱泡した。また、真空バルブを金型に設置し、85℃で1時間加熱した。真空バルブの注型は加圧注型法で行い、樹脂の硬化条件は、85℃/8時間+130℃/12時間とした。
【0043】
(エポキシ樹脂組成物充填性評価)
エポキシ樹脂組成物の充填性は、真空バルブをモールドした後、X線CTにて未充填部分の有無を調べることで評価した。未充填部分とはモールド内に存在するボイド(空隙)である。
【0044】
(アルミナ充填材)
本発明における実施例または比較例で使用したアルミナ充填材を以下に示す。
球状アルミナ充填材:DMA−07((電気化学工業製:平均粒径7μm)
球状アルミナ充填材:DMA−45(電気化学工業製:平均粒径45μm)
球状アルミナ充填材:DMA−70(電気化学工業製:平均粒径70μm)
板状アルミナ充填材:YFA05025(キンセイマティック製:平均粒径5μm)
板状アルミナ充填材:YFA00610(キンセイマティック製:平均粒径0.6μm)
板状アルミナ充填材:YFA10030(キンセイマティック製:平均粒径10μm)
実施例1及び3のアルミナ充填材の組成は、DMA−45とDAM−07とYFA05025を質量比8/1.5/0.5とした。
【0045】
比較例1のアルミナ充填材の組成は、DMA−45とDAM−07を質量比8/2とした。
【0046】
比較例3のアルミナ充填材の組成は、DMA−45とDAM−07とYFA10030を質量比8/1.9/0.1とした。
【0047】
実施例の評価結果は表2に、比較例の評価結果は表3に示す。
【0048】
(実施例1〜6)
実施例1〜6は充填材中における板状アルミナ充填材の質量割合、使用しているアルミナ充填材の平均粒径、アルミナ充填材の実充填率/最密充填率が、前記の範囲にあることで、樹脂組成物は低粘度であった。またその硬化物は高熱伝導率を有していた。また、樹脂組成物のアルミナ充填材の沈降率が小さく、アルミナ充填材の凝集を抑えることができた。また、真空バルブをモールドした際に、樹脂の未充填部分(ボイド)はなかった。なお、実施例におけるアルミナ充填材の実充填率は50体積%である。
【0049】
(比較例1〜8)
比較例1は、板状アルミナ充填材が充填されていないために、実施例1〜6と比べて、熱伝導率が低い。また、実施例1〜6と比べてアルミナ充填材の沈降率が高い。
【0050】
比較例2は、板状アルミナ充填材が充填されているものの、板状アルミナの充填量が多いために、実施例1〜6と比べて粘度が高い。また、アルミナ充填材の凝集が見られた。そのために、真空バルブをモールドした際に、樹脂の未充填部分が確認された。
【0051】
比較例3は、板状アルミナ充填材の充填量が少ないために、実施例1〜6と比べて熱伝導率が低い。また、実施例1〜6と比べてアルミナ充填材の沈降率が高い。
【0052】
比較例4は、板状アルミナ充填材の平均粒径が0.6μmあり、1.0μmより小さいことから充填材の表面積が増加したために、粘度が実施例2及び5より高くなった。そのために、真空バルブをモールドした際に、樹脂の未充填部分が確認された。
【0053】
比較例5は、球状アルミナ充填材の平均粒径が70μmあり、50μmより大きいことから充填材の表面積が減少したために、熱伝導率が実施例2及び5より低くなった。
【0054】
比較例6は、アルミナ充填材の実充填率が0.56であることから、アルミナ充填材の実充填率/最密充填率が0.75となり、粘度が実施例5より高くなった。そのために、真空バルブをモールドした際に、樹脂の未充填部分が確認された。
【0055】
比較例7は、アルミナ充填材の実充填率が0.29であることから、アルミナ充填材の実充填率/最密充填率が0.35となり、熱伝導率が実施例1〜6より低くなった。
【0056】
比較例8は、板状アルミナ充填材と球状アルミナ充填材の平均粒径の差が小さいことから、最密充填率が小さくなったために、アルミナ充填材の実充填率/最密充填率が0.8となり、実施例1〜6と比べて粘度が高くなった。そのために、真空バルブをモールドした際に、樹脂の未充填部分が確認された。
【0057】
比較例1〜5、8の実充填率は50体積%であり、比較例6の実充填率は56体積%、比較例7の実充填率は29体積%であった。
【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【符号の説明】
【0060】
1…真空容器、2…絶縁筒、3…可動電極側端板、4…固体絶縁層、5…可動側電極リード、5a…可動電極、6…固定側電極リード、6a…固定電極、6b…鍔部、7…固定電極側端板、8…ベローズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子あたり2個以上のエポキシ基を有し室温で液状のエポキシ樹脂と、
室温で液状のエポキシ樹脂用硬化剤と、
板状無機充填材と、
球状アルミナ充填材を含有し、
前記板状無機充填材及び球状無機充填材は全体としての粒度分布に極大点を2つ以上有し、
前記板状無機充填材及び球状無機充填材を合わせた無機充填材総質量における板状無機充填材の質量割合が5〜20質量%であることを特徴とする注型用エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
粘度が3〜10Pa・sであることを特徴とする請求項1記載の注型用エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
無機充填材の沈降率が6%以下であることを特徴とする請求項1記載の注型用エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の注型用エポキシ樹脂組成物において、前記板状無機充填材及び球状無機充填材全体の粒度分布の極大点が1〜50μmの範囲にあることを特徴とする注型用エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の注型用エポキシ樹脂組成物において、
前記板状無機充填材及び球状無機充填材の実充填率/最密充填率が0.4〜0.7の範囲にあることを特徴とする注型用エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
前記板状無機充填材の粒径が1〜30μmであり、球状無機充填材の粒径が、1〜100μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の注型用エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
前記板状無機充填材が20〜26体積%で、前記球状無機充填材が74〜80体積%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の注型用エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の注型用エポキシ樹脂組成物の硬化物の熱伝導率が1.4〜1.8W/m・Kであることを特徴とするエポキシ樹脂硬化物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の注型用エポキシ樹脂組成物によって注型モールドしたことを特徴とする電気機器。

【図1】
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【公開番号】特開2013−35899(P2013−35899A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171051(P2011−171051)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】