説明

注意喚起表示制御装置および注意喚起表示制御プログラム

【課題】 注意喚起ポイントの表示の強度を、自車両からその注意喚起ポイントまでの距離や、ドライバーのその注意喚起ポイントに対する認知度に応じて変化させる。
【解決手段】
車両用ナビゲーション装置1は、自車両の注意喚起ポイントまでの距離を算出し、自車両の速度が所定の許容速度以上であるとき、その算出した距離が短くなるほど、ヘッドアップディスプレイ2に行わせる警告表示の強度を上げる。ただし、自車両の減速等の、警告ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出すると、ヘッドアップディスプレイ2に行わせる警告表示の強度を、その対応操作を検出していない場合に比べて低くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる注意喚起表示制御装置および注意喚起表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ナビゲーション装置に代表されるような、カーブ、交差点、踏切等、車両のドライバーにとって注意が必要なポイントで、注意喚起のための音声表示、画像表示を行う装置がある。
【0003】
例えば特許文献1には、ドライバーの注意力を低下させず、かつドライバーを煩わせることなしに注意喚起のための警報を表示する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−213194
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献を含めた従来技術には、注意喚起のための表示の強度を、自車両からその注意喚起ポイントまでの距離や、ドライバーのその注意喚起ポイントに対する認知度に応じて変化させる技術は開示されていない。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、注意喚起ポイントの表示の強度を、自車両からその注意喚起ポイントまでの距離、または、ドライバーのその注意喚起ポイントに対する認知度に応じて変化させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる表示制御手段と、自車両の前記注意喚起ポイントまでの距離を算出する算出手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記算出手段の算出した距離が短くなるほど、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を上げることを特徴とする注意喚起表示制御装置である。
【0007】
このようになっているので、注意喚起表示制御装置は、自車両から注意喚起ポイントまでの距離が短くなるほど、注意喚起表示の強度を上げることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる表示制御手段と、前記注意喚起ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出する検出手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記検出手段が前記対応操作を検出したことに基づいて、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を、前記検出手段が前記対応操作を検出していない場合に比べて低くすることを特徴とする注意喚起表示制御装置である。
【0009】
このようになっているので、注意喚起制御装置は、注意喚起ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出することに基づいて、注意喚起表示の強度を低くすることができる。したがって、ドライバーが不要な注意喚起の表示に煩わされる可能性が低減される。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる表示制御手段と、自車両の前記注意喚起ポイントまでの距離を算出する算出手段と、
ドライバーの前記注意喚起ポイントの認知に基づく対応操作を検出する検出手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記算出手段の算出した距離が短くなるほど、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を上げ、前記検出手段が前記対応操作を検出したことに基づいて、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を、前記検出手段が前記対応操作を検出していない場合に比べて低くすることを特徴とする注意喚起表示制御装置である。
【0011】
このようになっているので、注意喚起表示制御装置は、自車両から注意喚起ポイントまでの距離が短くなるほど、注意喚起表示の強度を上げることができる。また、注意喚起ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出することに基づいて、注意喚起表示の強度を低くすることができる。したがって、ドライバーが不要な注意喚起の表示に煩わされる可能性が低減される。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる表示制御手段、および自車両の前記注意喚起ポイントまでの距離を算出する算出手段として、コンピュータを機能させる注意喚起表示制御プログラムであって、前記表示制御手段は、前記算出手段の算出した距離が短くなるほど、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を上げることを特徴とする注意喚起表示制御プログラムである。
【0013】
このように、請求項1に記載の発明を、プログラムとして実現することが可能である。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる表示制御手段、およびドライバーの前記注意喚起ポイントの認知に基づく対応操作を検出する検出手段として、コンピュータを機能させる注意喚起表示制御プログラムであって、前記表示制御手段は、前記検出手段が前記対応操作を検出したことに基づいて、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を、前記検出手段が前記対応操作を検出していない場合に比べて低くすることを特徴とする注意喚起表示制御プログラムである。
【0015】
このように、請求項2に記載の発明を、プログラムとして実現することが可能である。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる表示制御手段、自車両の前記注意喚起ポイントまでの距離を算出する算出手段、および
ドライバーの前記注意喚起ポイントの認知に基づく対応操作を検出する検出手段として、コンピュータを機能させる注意喚起表示制御プログラムであって、前記表示制御手段は、前記算出手段の算出した距離が短くなるほど、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を上げ、前記検出手段が前記対応操作を検出したことに基づいて、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を、前記検出手段が前記対応操作を検出していない場合に比べて低くすることを特徴とする注意喚起表示制御プログラムである。
【0017】
このように、請求項3に記載の発明を、プログラムとして実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。本実施形態においては、この車両用ナビゲーション装置1は、自車両が、カーブ、踏切等の警告ポイント(注意喚起ポイントに相当する)の手前に差し掛かると、その警告ポイントまでの距離に応じて警告表示内容の強度を変更する。
【0019】
このような機能を実現するため、車載用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、スピーカ14、RAM16、ROM17、外部記憶媒体18、およびCPU19を有している。また、CPU19は、ヘッドアップディスプレイ2と接続している。
【0020】
ヘッドアップディスプレイ2は、車両のフロントガラス面の全体または一部に埋め込まれた半透膜面と、車両のダッシュボード内にあり、車両用ナビゲーション装置1から出力された画像信号に基づいた映像光をその半透膜面に投影するプロジェクタを有している。このような構成により、ヘッドアップディスプレイ2は、フロントガラス上に車両用ナビゲーション装置1からの画像信号に基づく画像を表示することができる。なお、フロントガラス上で、画像が表示される領域は、ドライバーから見て前方の道路と重なる部分であってもよいし、フロントガラス全体であってもよい。
【0021】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報をCPU19に出力する。
【0022】
操作スイッチ群12は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置13の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基いた信号をCPU19に出力する。
【0023】
画像表示装置13は、車両のダッシュボード上、ダッシュボード内等に設けられ、CPU19から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0024】
外部記憶媒体18は、HDD(ハードディスクドライブ)等の不揮発性の記憶媒体であり、CPU19が読み出して実行するプログラム、経路案内用の地図データ、警告レベルテーブル等を記憶している。
【0025】
地図データは、道路片(リンク)および交差点(ノード)の位置情報、交差点と道路片との接続関係情報等の道路データ、道路片の曲率半径等の形状データ、および施設データを有している。道路データは、道路片毎の道路幅、高速道路、一般道路等の道路種別の情報も有している。施設データは、施設毎のエントリを複数有しており、各エントリは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設種類情報等を示すデータを有している。
【0026】
図2に警告レベルテーブルの一例を表で示す。警告レベルテーブルは、カーブ、踏切等の警告ポイントまでの距離範囲毎の複数のエントリを有し、各エントリは、そのエントリに対応する距離範囲、警告レベル(注意喚起レベルに相当する)、および警告内容のデータを有している。
【0027】
本実施形態においては、警告レベルテーブルは、3つのエントリを有し、各エントリは、それぞれ警告ポイントまでAメートル以上、Aメートル未満Bメートル以上、Bメートル未満の距離範囲に対応している。ただし、A>Bで、例えばA=100、B=10である。
【0028】
警告レベルは、レベル1からレベル3まである。警告ポイントまでAメートル以上のエントリ(以下第1警告エントリと記す)の警告レベルは最低のレベル1となっており、警告ポイントまでAメートル未満Bメートル以上のエントリ(以下第2警告エントリと記す)の警告レベルはレベル2となっており、警告ポイントまでBメートル未満のエントリ(以下第3警告エントリと記す)の警告レベルは最大のレベル3となっている。すなわち、案内ポイントまでの距離が近いエントリほど、警告レベルが高くなっている。
【0029】
警告内容は、警告用表示マークの形状データ(例えばカーブ方向を示す矢印マーク)、マークの表示サイズデータ、マークの点滅間隔データ、マークの表示色の彩度または輝度データ、マークのヘッドアップディスプレイ2上の表示位置データ、マークのヘッドアップディスプレイ2における表示透過率データ等を有している。本実施形態の警告レベルテーブルにおいては、警告レベルの高いエントリほど、警告表示の強度が上がる。具体的には、案内レベルが高いほど、マークの表示サイズが大きくなり、マークの点滅間隔が短くなり、表示色の彩度または輝度が高くなり、透過率が下がる(透過しづらくなる)。なお、警告レベルテーブルの各エントリは、マークの表示サイズデータ、マークの点滅間隔データ、マークの表示色の彩度データ、輝度データ、マークのヘッドアップディスプレイ2上の表示位置データ、マークのヘッドアップディスプレイ2における表示透過率データのうち、いずれか1つでも有していればよいし、それらのうち任意の複数を有していてもよい。
【0030】
CPU(コンピュータに相当する)19は、ROM17および外部記憶媒体18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM16、ROM17、および外部記憶媒体18から情報を読み出し、RAM16および外部記憶媒体18に対して情報の書き込みを行い、ヘッドアップディスプレイ2、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13およびスピーカ14と信号の授受を行う。
【0031】
CPU19がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、案内経路探索処理、経路案内処理、警告表示制御処理がある。
【0032】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基いて、周知のマップマッチング等の技術等を用いて車両の現在位置、向き、速度等を繰り返し特定する処理である。
【0033】
案内経路探索処理は、入力装置からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な案内経路を算出する処理である。
【0034】
経路案内処理は、外部記憶媒体18から地図データを読み出し、算出された案内経路、目的施設、経由施設および現在位置等をこの地図上に重ねた画像を、画像表示装置13やヘッドアップディスプレイ2に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達した等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力する処理である。
【0035】
警告表示制御処理は、自車両の警告ポイントまでの距離を算出し、自車両の速度が所定の許容速度以上であることに基づいて、その算出した距離が短くなるほど、ヘッドアップディスプレイ2に行わせる警告表示(注意喚起表示に相当する)の強度を上げる処理である。ただし、警告表示制御処理においては、車両の減速操作等の、警告ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出したことに基づいて、ヘッドアップディスプレイ2に行わせる警告表示の強度を、その対応操作を検出していない場合に比べて低くする。
【0036】
図3及び図4に、このような警告表示制御処理を実現するためにCPU19が実行する警告表示制御プログラム100のフローチャートを示す。CPU19は、自車両が警告ポイント手前に差し掛かかると、その警告ポイントを通り過ぎるまで、警告表示制御プログラム100の実行を繰り返す。なお、ある場所が警告ポイントであるか否かは、外部記憶媒体18の地図データに基づき、その場所が基準以上の曲率を有するカーブであるか否か、その場所が踏切であるか否かによって判定する。また、自車両が警告ポイント手前に差し掛かったか否かは、現在位置特定処理によって特定した自車両の現在位置および向きに基づいて、その向きに道なりに所定距離(例えば300メートル)以内に近づいたか否かで判定する。
【0037】
この警告表示制御プログラム100の実行において、CPU19は、まずステップ110で、地図データおよび現在位置特定処理の結果に基づいて、自車両の警告ポイントまでの直線距離または道路に沿った距離を算出し、さらに現在の走行速度を算出する。
【0038】
続いてステップ115で、ステップ110にて算出した走行速度が所定の許容速度(例えば時速40キロメートル)以上であるか否かを判定し、許容速度未満であれば警告表示制御プログラム100の1回分の実行を終了し、許容速度以上であれば続いてステップ120を実行する。なお、許容速度は、警告ポイントの種類(カーブであるか踏切であるか等)によって変化してもよいし、カーブの曲率半径が大きくなるにつれて大きくなるようになっていてもよい。
【0039】
ステップ120では、警告レベルテーブルから、ステップ110にて特定した自車両の警告ポイントまでの距離に該当するエントリを読み出し、そのエントリ中の警告レベルを、現在の警告レベルとして特定する。
【0040】
続いてステップ130では、警告表示を行う。この警告表示の具体的な内容は、図4のフローチャートの通りである。すなわち、ステップ130の実行においては、まずステップ132で、自車両の減速操作があるか否かを、今回の警告表示制御プログラム100の実行においてステップ110で特定した自車両の速度と、過去の警告表示制御プログラム100の実行においてステップ110で特定した自車両の速度との比較に基づいて判定する。そして、また、減速操作があるか否かは、例えばCPU19がドライバーによるブレーキペダルの押し込みを検出するブレーキペダルセンサからの信号に基づいて、そのブレーキペダルが押し込まれたか否かによって判定してもよい。減速操作がある場合、続いてステップ134を実行し、減速操作がない場合、続いてステップ136を実行する。
【0041】
ステップ136では、通常モードで警告レベルに応じた警告制御を行う。通常モードとは、警告レベルテーブルに記載された通りの警告内容をヘッドアップディスプレイ2に表示させるモードをいう。具体的には、警告レベルテーブルの、ステップ120で特定した警告レベルに該当するエントリを読み出し、そのエントリ中の警告内容に従って、ヘッドアップディスプレイ2に警告用表示マークを表示させる。ステップ136の後、警告表示制御プログラム100の1回分の実行が終了する。
【0042】
ステップ134では、軽減モードで警告レベルに応じた警告制御を行う。経験モードとは、警告レベルテーブルに記載された警告内容より強度の低い警告内容をヘッドアップディスプレイ2に表示させるモードをいう。具体的には、警告レベルテーブルの、ステップ120で特定した警告レベルに該当するエントリを読み出し、そのエントリ中の警告内容より強度の低い警告表示用マーク表示をヘッドアップディスプレイ2に行わせる。強度を低くする例としては、警告表示用マークを非表示にする、警告表示用マークの表示サイズを小さくする、警告表示用マーク点滅間隔を長くする、警告表示用マークを点滅させなくする、警告表示用マークの色の彩度を下げる、警告表示用マークの色の輝度を下げる、警告表示用マークの色の透過率を上げる、等がある。なお、ステップ134では、これら例示した強度を低くする方法のうち、1つでも行えばよいし、それらのうち任意の複数を実行してもよい。ステップ134の後、警告表示制御プログラム100の1回分の実行が終了する。
【0043】
このような警告表示制御処理をCPU19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、自車両から警告ポイントまでの距離が短くなるほど、警告表示の強度を上げることができる。また、警告ポイント手前に差しかかって以降の警告ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出することに基づいて、警告表示の強度を低くすることができる。したがって、ドライバーが不要な警告の表示に煩わされる可能性が低減され、かつ、確実にドライバーに警告が伝わる可能性が高まる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1’のハードウェア構成を示す。本実施形態においては、この車両用ナビゲーション装置1’は、自車両が、道なりに進行しない交差点、高速道路における分岐、高速道路出口等の案内ポイント(注意喚起ポイントに相当する)の手前に差し掛かると、その案内ポイントまでの距離に応じて案内表示内容の強度を変更する。以下、本実施形態が第1実施形態と異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0045】
本実施形態の車両用ナビゲーション装置1’のハードウェア構成が第1実施形態の車両用ナビゲーション装置1と異なるのは、車両用ナビゲーション装置1’がウインカセンサ15を有することである。
【0046】
ウインカセンサ15は、車両のウインカの点滅を検出し、その検出信号をCPU19に出力するようになっている。ウインカの点滅の検出は、例えばウインカへの電力供給の有無の検出によって実現することができる。CPU19は、ウインカセンサ15からの信号に基づいて、ウインカセンサ15が点滅しているか否かを検出することができる。
【0047】
また、外部記憶媒体18は、警告レベルテーブルに代えて、案内レベルテーブルを有している。図6に、案内レベルテーブルの一例を示す。案内レベルテーブルは、高速道路、一般道路等の道路種別毎に、複数の道路別テーブルに分かれている。道路別テーブルのそれぞれは、は、案内ポイントまでの距離範囲毎の複数のエントリを有し、各エントリは、そのエントリに対応する距離範囲、案内レベル(注意喚起レベルに相当する)、および案内内容のデータを有している。
【0048】
本実施形態においては、各道路別テーブルは、3つのエントリを有し、各エントリは、それぞれ案内ポイントまでAメートル以上、Aメートル未満Bメートル以上、Bメートル未満の距離範囲に対応している。ただし、A>Bである。また、A、Bの値は、道路種別毎に、すなわち道路別テーブル毎に変わっていてもよい。例えば、高速道路の道路別テーブルにおいては、A=500、B=100であり、一般道路の道路別テーブルにおいては、A=100、B=10(図6においては、一般道路用の道路別テーブルでは、Aをα、Bをβと記している)である。
【0049】
案内レベルは、レベル1からレベル3まである。案内ポイントまでAメートル以上のエントリの案内レベルは最低のレベル1となっており、案内ポイントまでAメートル未満Bメートル以上のエントリの案内レベルはレベル2となっており、案内ポイントまでBメートル未満のエントリの案内レベルは最大のレベル3となっている。すなわち、案内ポイントまでの距離が近いエントリほど、案内レベルが高くなっている。
【0050】
案内内容は、案内用表示マークの形状データ(例えば右左折方向を示す矢印マーク)、マークの表示サイズデータ、マークの点滅間隔データ、マークの表示色の彩度または輝度データ、マークのヘッドアップディスプレイ2上の表示位置データ、マークのヘッドアップディスプレイ2における表示透過率データ等を有している。本実施形態の道路別テーブルにおいては、案内レベルの高いエントリほど、案内表示の強度が上がる。具体的には、案内レベルが高いほど、マークの表示サイズが大きくなり、マークの点滅間隔が短くなり、表示色の彩度または輝度が高くなり、効果率が下がる(透過しづらくなる)。なお、道路別テーブルの各エントリは、マークの表示サイズデータ、マークの点滅間隔データ、マークの表示色の彩度データ、輝度データ、マークのヘッドアップディスプレイ2上の表示位置データ、マークのヘッドアップディスプレイ2における表示透過率データのうち、いずれか1つでも有していればよいし、それらのうち任意の複数を有していてもよい。
【0051】
また、車両用ナビゲーション装置1’のCPU19は、第1実施形態における警告表示制御処理に代えて、案内表示制御処理を実行する。
【0052】
案内表示制御処理は、自車両の案内ポイントまでの距離を算出し、その算出した距離が短くなるほど、ヘッドアップディスプレイ2に行わせる案内表示(注意喚起表示に相当する)の強度を上げる処理である。ただし、案内表示制御処理においては、車両の減速操作、ウインカ操作等の、案内ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出したことに基づいて、ヘッドアップディスプレイ2に行わせる案内表示の強度を、その対応操作を検出していない場合に比べて低くする。
【0053】
図7及び図8に、このような案内表示制御処理を実現するためにCPU19が実行する案内表示制御プログラム200のフローチャートを示す。CPU19は、経路案内処理実行中に、自車両が案内ポイント手前に差し掛かかると、その案内ポイントを通り過ぎるまで、案内表示制御プログラム200の実行を繰り返す。なお、ある場所が案内ポイントであるか否かは、その場所が、案内経路探索処理によって算出された案内経路中に沿った、右左折交差点、高速道路分岐点、高速道路出口等であるか否かによって判定する。
【0054】
この案内表示制御プログラム200の実行において、CPU19は、まずステップ210で、地図データおよび現在位置特定処理の結果に基づいて、自車両の案内ポイントまでの直線距離または道路に沿った距離を算出し、さらに現在走行中の道路の道路種別を特定する。
【0055】
続いてステップ220で、ステップ210にて特定した自車両の走行中の道路種別に該当する道路種別テーブルから、案内ポイントまでの距離に該当するエントリを読み出し、そのエントリ中の案内レベルを、現在の案内レベルとして特定する。
【0056】
続いてステップ230では、案内表示を行う。この案内表示の具体的な内容は、図8のフローチャートの通りである。すなわち、ステップ230の実行においては、まずステップ232で、自車両の減速操作またはウインカ操作があるか否かを判定する。減速操作があるか否かは、現在位置特定処理の結果に基づいて、現在の走行速度を特定し、この走行速度と、過去の案内表示制御プログラム200の実行においてこのステップで特定した走行速度との比較に基づいて判定する。また、減速操作があるか否かは、第1実施形態のようにブレーキペダルセンサからの信号に基づいて判定してもよい。また、ウインカ操作があるか否かは、ウインカセンサ15からの信号に基づいて判定する。減速操作またはウインカ操作がある場合、続いてステップ234を実行し、減速操作もウインカ操作もない場合、続いてステップ236を実行する。
【0057】
ステップ236では、通常モードで案内レベルに応じた案内制御を行う。通常モードとは、案内レベルテーブルに記載された通りの案内内容をヘッドアップディスプレイ2に表示させるモードをいう。具体的には、該当する道路種別テーブルの、ステップ120で特定した案内レベルに該当するエントリを読み出し、そのエントリ中の案内内容に従って、ヘッドアップディスプレイ2に案内用表示マークを表示させる。ステップ236の後、案内表示制御プログラム200の1回分の実行が終了する。
【0058】
ステップ234では、軽減モードで案内レベルに応じた案内制御を行う。経験モードとは、案内レベルテーブルに記載された案内内容より強度の低い案内内容をヘッドアップディスプレイ2に表示させるモードをいう。具体的には、該当する道路種別テーブルの、ステップ220で特定した案内レベルに該当するエントリを読み出し、そのエントリ中の案内内容より強度の低い案内表示用マーク表示をヘッドアップディスプレイ2に行わせる。強度を低くする例としては、案内表示用マークを非表示にする、案内表示用マークの表示サイズを小さくする、案内表示用マーク点滅間隔を長くする、案内表示用マークを点滅させなくする、案内表示用マークの色の彩度を下げる、案内表示用マークの色の輝度を下げる、案内表示用マークの色の透過率を上げる、等がある。なお、ステップ234では、これら例示した強度を低くする方法のうち、1つでも行えばよいし、それらのうち任意の複数を実行してもよい。ステップ234の後、案内表示制御プログラム200の1回分の実行が終了する。
【0059】
このような案内表示制御処理をCPU19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、自車両から案内ポイントまでの距離が短くなるほど、案内表示の強度を上げることができる。また、案内ポイント手前に差しかかって以降の案内ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出することに基づいて、案内表示の強度を低くすることができる。したがって、ドライバーが不要な案内の表示に煩わされる可能性が低減される。かつ、確実にドライバーに案内が伝わる可能性が高まる。
【0060】
ここで、上記の各実施形態の構成要素と特許請求の範囲の各構成要素との対応関係について説明する。上記各実施形態における車両用ナビゲーション装置1、1’が、注意喚起表示制御装置に相当する。また、ヘッドアップディスプレイ2が、表示装置に相当する。
【0061】
また、警告表示制御プログラム100、案内表示制御プログラム200が、注意喚起制御プログラムに相当する。
【0062】
また、CPU19が、注意喚起表示制御プログラム100のステップ134、136、および注意喚起表示制御プログラム200のステップ234、236を実行することで、表示制御手段として機能する。
【0063】
また、CPU19が、注意喚起表示制御プログラム100のステップ110および注意喚起表示制御プログラム200のステップ210を実行することで、算出手段として機能する。
【0064】
また、CPU19が、注意喚起表示制御プログラム100のステップ132および注意喚起表示制御プログラム200のステップ232を実行することで、検出手段として機能する。
【0065】
(他の実施形態)
上記の各実施形態においては、車両用ナビゲーション装置1は、警告表示、案内表示(すなわち注意喚起表示)を、ヘッドアップディスプレイ2に行わせているが、この注意喚起表示は画像表示装置13に行わせてもよいし、スピーカ14に行わせてもよい。この場合、画像表示装置13、スピーカ14が、表示装置に相当する。スピーカ14に注意喚起表示を音声で行わせる場合、警告ポイント、案内ポイント(すなわち注意喚起ポイント)までの自車両の距離が近づくほど、その音声の音量を大きくするようになっていればよい。また、注意喚起ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出した場合は、自車両から注意喚起ポイントまでの距離が同じで注意喚起ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出していない場合に比べて、その音声の音量を小さくすればよい。
【0066】
また、上記の実施形態においては、警告レベルテーブル、案内レベルテーブルが、それぞれ注意喚起ポイントまでの距離の段階として3段階有しているが、この段階数は4以上でもよいし、2でもよい。
【0067】
また、上記の各実施形態においては、自車両が注意喚起ポイントに近いほど注意喚起表示の強度が上がり、かつ、注意喚起ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出した場合は注意喚起ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出ない場合に比べて注意喚起表示の強度が低いが、これらは必ずしも両立しなくともよい。
【0068】
例えば、注意喚起ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出した場合と、注意喚起ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出ない場合とで、注意喚起表示の強度に変化がなく、自車両が注意喚起ポイントに近いほど注意喚起表示の強度が上がるようになっていてもよい。
【0069】
また例えば、自車両から注意喚起ポイントまでの距離に関わらず注意喚起表示の強度が変化せず、かつ、注意喚起ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出した場合は注意喚起ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出ない場合に比べて注意喚起表示の強度が低いようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図2】警告レベルテーブルの図表である。
【図3】注意喚起表示制御プログラム100のフローチャートである。
【図4】注意喚起表示制御プログラム100のステップ130の詳細なフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1’のハードウェア構成図である。
【図6】案内レベルテーブルの図表である。
【図7】注意喚起表示制御プログラム200のフローチャートである。
【図8】注意喚起表示制御プログラム200のステップ230の詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1、1’…車両用ナビゲーション装置、2…ヘッドアップディスプレイ、
11…位置検出器、12…操作スイッチ群、13…画像表示装置、14…スピーカ、
15…ウインカセンサ、16…RAM、17…ROM、18…外部記憶媒体、
19…CPU、100…警告表示制御プログラム、200…案内表示制御プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる表示制御手段と、
自車両の前記注意喚起ポイントまでの距離を算出する算出手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記算出手段の算出した距離が短くなるほど、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を上げることを特徴とする注意喚起表示制御装置。
【請求項2】
注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる表示制御手段と、
前記注意喚起ポイントの認知に基づくドライバーの対応操作を検出する検出手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記検出手段が前記対応操作を検出したことに基づいて、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を、前記検出手段が前記対応操作を検出していない場合に比べて低くすることを特徴とする注意喚起表示制御装置。
【請求項3】
注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる表示制御手段と、
自車両の前記注意喚起ポイントまでの距離を算出する算出手段と、
ドライバーの前記注意喚起ポイントの認知に基づく対応操作を検出する検出手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記算出手段の算出した距離が短くなるほど、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を上げ、前記検出手段が前記対応操作を検出したことに基づいて、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を、前記検出手段が前記対応操作を検出していない場合に比べて低くすることを特徴とする注意喚起表示制御装置。
【請求項4】
注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる表示制御手段、および
自車両の前記注意喚起ポイントまでの距離を算出する算出手段として、コンピュータを機能させる注意喚起表示制御プログラムであって、
前記表示制御手段は、前記算出手段の算出した距離が短くなるほど、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を上げることを特徴とする注意喚起表示制御プログラム。
【請求項5】
注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる表示制御手段、および
ドライバーの前記注意喚起ポイントの認知に基づく対応操作を検出する検出手段として、コンピュータを機能させる注意喚起表示制御プログラムであって、
前記表示制御手段は、前記検出手段が前記対応操作を検出したことに基づいて、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を、前記検出手段が前記対応操作を検出していない場合に比べて低くすることを特徴とする注意喚起表示制御プログラム。
【請求項6】
注意喚起ポイントの注意喚起表示を表示装置に行わせる表示制御手段、
自車両の前記注意喚起ポイントまでの距離を算出する算出手段、および
ドライバーの前記注意喚起ポイントの認知に基づく対応操作を検出する検出手段として、コンピュータを機能させる注意喚起表示制御プログラムであって、
前記表示制御手段は、前記算出手段の算出した距離が短くなるほど、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を上げ、前記検出手段が前記対応操作を検出したことに基づいて、前記表示装置に行わせる前記注意喚起表示の強度を、前記検出手段が前記対応操作を検出していない場合に比べて低くすることを特徴とする注意喚起表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−90844(P2006−90844A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276769(P2004−276769)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】