説明

洗濯機用のダンパ

【課題】磁気粘性流体の漏れを防止する。
【解決手段】本施形態の洗濯機用のダンパは、シリンダ22と、このシリンダ22内に収容され磁場を発生するコイル40、43が巻回されたボビン41、44と、シリンダ22内に収容されボビン41、44の端部に設けられたヨーク39、42、45とを備える。上記ダンパは、ボビン41、44およびヨーク39、42、45を相対的に軸方向往復動可能に貫通してシリンダ22に挿通されたシャフト23と、このシャフト23とボビン41、44およびヨーク39、42、45との間に充填された磁気粘性流体64とを備える。更に、ヨーク39、45とシャフト23との間から磁気粘性流体64の漏れを防止するシール部材50、54を備え、ヨーク39、45に設けた凹部49、53内にシール部材50、54を圧入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機用のダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドラム式洗濯機においては、外箱の底板上に水槽を支持するサスペンションに、水槽の内部で洗濯物を収容して回転するドラムの振動、ひいては水槽の振動を吸収するダンパが具えられている。この種のダンパには、作動流体に、磁場の強度によって粘度が変化する磁気粘性流体(MR流体)を使用したものが知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0003】
ここで、本発明が対象とする磁気粘性流体を使用したダンパは、シリンダを備え、磁場を発生するコイルが巻回されたボビンと、このボビンの両端部に設けられたヨークとを、上記シリンダの内部に収容している。更に、ボビンおよびヨークを相対的に軸方向往復動可能に貫通して上記シリンダに挿通されたシャフトを備え、このシャフトとボビンおよびヨークとの間に磁気粘性流体を充填している。
【0004】
上記構成の場合、シリンダの内部におけるヨークの外側に、軸受が固定されたブラケットを設け、シャフトを上記軸受により軸方向往復動可能に支持している。また、ブラケットに固定したシール部材をヨークとシャフト間に密接させることにより、磁気粘性流体がシリンダ内に漏れ出ることを防止している。しかし、上記構成では、ブラケットに固定したシール部材をヨークに押し付けることにより、シール部材をヨークに密接させる構成であるので、組み立て時にシール部材の押し付け力が不足する等の組み立てばらつきが発生するとシール部材の密接力が低下したり、振動等によってシール部材とヨークとの間に隙間が生じたりすることがある。このような場合、シール部材とヨークの間から磁気粘性流体がシリンダ内に漏れ出る可能性があり、その場合、振動減衰力の低下や特性のばらつきが発生するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−291284号公報
【特許文献2】特表2002−502942号公報
【特許文献3】特開2006−57766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、磁気粘性流体の漏れを確実に防止することができる洗濯機用のダンパを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の洗濯機用のダンパによれば、洗濯機の水槽の振動を減衰する機能を有するものにおいて、シリンダと、このシリンダの内部に収容され磁場を発生するコイルおよびこのコイルが巻回されたボビンと、前記シリンダの内部に収容され前記ボビンの端部に設けられたヨークとを備える。そして、上記洗濯機用のダンパは、前記ボビンおよび前記ヨークを相対的に軸方向往復動可能に貫通して前記シリンダに挿通されたシャフトと、前記コイル、前記ボビンおよび前記ヨークを一体成形する樹脂と、前記シャフトと前記ボビンおよび前記ヨークとの間に充填された磁気粘性流体と、前記樹脂で一体成形されたものの両端位置に配設されたヨークと前記シャフトとの間から前記磁気粘性流体の漏れを防止するシール部材とを備える。更に、上記洗濯機用のダンパは、前記両端位置に配設されたヨークに前記シール部材を収容する凹部を設け、この凹部内に前記シール部材を圧入固定した。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態によるダンパを含むサスペンションの縦断面図
【図2】ドラム式洗濯機の縦断面図
【図3】コイル組立体の縦断面図
【図4】コイル組立体の斜視図
【図5】第2のヨークの側面図
【図6】コイル組立体におけるリード線を導出する部分の部分縦断面図
【図7】コイル組立体をシリンダに収容した状態のものにおけるリード線を導出する部分の部分縦断面図
【図8】第2実施形態によるダンパの部分縦断面図
【図9】第3実施形態による図8相当図
【図10】第4実施形態による図8相当図
【図11】第5実施形態による図8相当図
【図12】第6実施形態による図8相当図
【図13】第7実施形態による図3相当図
【図14】第8実施形態による図3相当図
【図15】Oリングを収容していない環状収容部の周辺構造を示す縦断面図
【図16】Oリングの断面図
【図17】環状収容部にOリングを収容した状態を示す図15相当図
【図18】第9実施形態による図3相当図
【図19】図17相当図
【図20】第10実施形態による図3相当図
【図21】図17相当図
【図22】Oリングの正面図
【図23】第11実施形態による図3相当図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
まず、図2には、第1実施形態のドラム式洗濯機の全体構造を示しており、外箱1を外殻としている。この外箱1の前面部(図2で右側)のほゞ中央部には、洗濯物出入口2を形成し、該出入口2を開閉する扉3を設けている。又、外箱1の前面部の上部には、操作パネル4を設けており、その裏側(外箱1内)に運転制御用の制御装置5を設けている。
【0010】
外箱1の内部には、水槽6を配設している。この水槽6は軸方向が前後(図2中の右左)の横軸円筒状を成すものであり、それを外箱1の底板1a上に左右一対(一方のみ図示)のサスペンション7によって前上がりの傾斜状にて弾性支持している。サスペンション7の詳細構造は、後に述べる。
【0011】
水槽6の背部には、モータ8を取付けている。このモータ8は、この場合、例えば直流のブラシレスモータから成るもので、アウターロータ形であり、ロータ8aの中心部に取付けた回転軸(図示省略)を、軸受ブラケット9を介して水槽6の内部に挿通している。
【0012】
水槽6の内部には、ドラム10を配設している。このドラム10も軸方向が前後の横軸円筒状を成すもので、それを後部の中心部で上記モータ8の回転軸の先端部に取付けることにより、水槽6と同軸の前上がりの傾斜状に支持している。又、その結果、ドラム10はモータ8により回転されるようになっており、従って、ドラム10は回転槽であり、モータ8はドラム10を回転させるドラム駆動装置として機能する。
【0013】
ドラム10の周側部(胴部)には、小孔11を全域にわたって多数(一部のみ図示)形成している。又、ドラム10及び水槽6は、ともに前面部に開口部12,13を有しており、そのうちの水槽6の開口部13に、環状のベローズ14を介して前記洗濯物出入口2を連ねている。この結果、洗濯物出入口2は、ベローズ14、水槽6の開口部13、及びドラム10の開口部12を介して、ドラム10の内部に連なっている。
【0014】
水槽6の最低部である底部の後部には、排水弁15を介して、排水管16を接続している。水槽6の背部から上方そして前方には、乾燥装置17を配設している。この乾燥装置17は、除湿器18と、送風機19、及び加熱器20を有しており、水槽6内の空気を除湿し、次いで加熱して、水槽6内に戻す循環を行わしめることにより、洗濯物を乾燥させるようになっている。
【0015】
ここで、サスペンション7の詳細構造を説明する。サスペンション7はダンパ21を有しており、このダンパ21は、図1に示すように、主部材として、シリンダ22とシャフト23とを備えている。このうち、シリンダ22は下端部に連結部材24を有し、この連結部材24を、図2に示すように、前記外箱1の底板1aが有する取付板25に上方から下方へ通して弾性座板26等を介してナット27で締結することにより、外箱1の底板1aに取付けている。
【0016】
また、シャフト23は上端部に連結部23aを有し、この連結部23aを、図2に示すように、前記水槽6が有する取付板28に下方から上方へ通して弾性座板29等を介してナット30で締結することにより、水槽6に取付けている。図1に示すように、シャフト23におけるシリンダ22の外部上方に位置した上部部分には、ばね受け座31を嵌合固定しており、このばね受け座31とシリンダ22の上端部との間には、シャフト23を囲繞する圧縮コイルスプリングから成るコイルばね32を装着している。
【0017】
シリンダ22の内部の中間部には、環状の下ブラケット33が収容されており、この下ブラケット33の外周部には溝33aが形成されており、シリンダ22の周壁部のうちの上記溝33aに対応する部分を内方へ絞りかしめることにより、下ブラケット33をシリンダ22に固定している。下ブラケット33の内周部には、シャフト23を上下方向に移動可能に支持する軸受34を収容固定している。軸受34は例えば焼結含油メタルから構成されている。
【0018】
シリンダ22の内部の上端部には、環状の上ブラケット35が収容されており、この上ブラケット35の外周部には溝35aが形成されており、シリンダ22の周壁部のうちの上記溝35aに対応する部分を内方へ絞りかしめることにより、上ブラケット35を固定している。上ブラケット35の内周部には、シャフト23を上下方向に移動可能に支持する軸受36を収容固定している。軸受36は例えば焼結含油メタルから構成されている。尚、上ブラケット35の図1中の上面部に上方へ向けて突設された筒状部35bは、シリンダ22の上端部の開口を通して上方へ突出している。
【0019】
シリンダ22の内部における下ブラケット33と上ブラケット35との間の部分には、コイル組立体37が収容されており、このコイル組立体37は下ブラケット33と上ブラケット35により挟持されて固定されている。コイル組立体37には、シャフト23を挿通させ、且つ、上下方向に移動可能な貫通孔38が形成されている。このコイル組立体37の詳細構造について、図3〜図7を参照して説明する。
【0020】
図3に示すように、コイル組立体37は、第1のヨーク39と、第1のコイル40を巻装した第1のボビン41と、第2のヨーク42と、第2のコイル43を巻装した第2のボビン44と、第3のヨーク45とを備えている。そして、図3および図4に示すように、コイル40、43、ボビン41、44およびヨーク39、42、45は、樹脂46で一体成形(モールド成形)されている。尚、図4は、コイル組立体37を上下逆にして示す斜視図である。
【0021】
ここで、第1のボビン41および第2のボビン44の図3中の上下の端板47には、位置決め用の凸部(図示しない)が例えば各4個ほぼ等間隔に上下方向へ向けて突設されている。第1のヨーク39のうちの第1のボビン41の端板47に対向する側の側面には、端板47の上記凸部が嵌合する凹部(図示しない)が形成されている。第2のヨーク42には、4個の貫通孔52が両側の側面に開口するように形成されており(図5参照)、これら貫通孔52に第1のボビン41および第2のボビン44の端板47の凸部が嵌合するように構成されている。更に、第3のヨーク45のうちの第2のボビン44の端板47に対向する側の側面には、端板47の凸部が嵌合する凹部(図示しない)が形成されている。
【0022】
また、第1のヨーク39の図3中の下側面には、環状の凹部49が形成されており、この環状の凹部49内に環状のシール部材50が圧入固定されている。凹部49の深さ寸法は、シール部材50の図3中の上下方向の寸法とほぼ同じ寸法に設定されており、シール部材50が第1のヨーク39の側面(下面)から突出しないようになっている。シール部材50はゴム(NBR)製でその短筒状の外周部50aが環状凹部49の内周部に圧入され密接すると共に、該外周部50aの先端(上端)が凹部49の内底部に密接している。更に、シール部材50の短筒状の内周部50bに、シャフト23が軸方向に移動可能な状態で密接している。この内周部50bにはシャフト23に向けて周知のリップ(図示しない)が形成されており、これにより、第1のヨーク39とシャフト23の間から後述する磁気粘性流体64がシリンダ22内に漏れないようにシールされる構成となっている。
【0023】
また、第3のヨーク45の図3中の上側面には、環状の凹部53が形成されており、この環状の凹部53内に環状のシール部材54が圧入固定されている。環状の凹部53の深さ寸法は、シール部材54の図3中の上下方向の寸法とほぼ同じ寸法に設定されており、シール部材54が第3のヨーク45の側面(上面)から突出しないようになっている。シール部材54もゴム(NBR)製でその短筒状の外周部54aが環状凹部53の内周部に密接すると共に、該外周部54aの先端(下端)が凹部53の内底部に密接している。更に、シール部材54の短筒状の内周部54bに、シャフト23が軸方向に移動可能な状態で密接している。この内周部54bにもシャフト23に向けて周知のリップ(図示しない)が形成されており、これにより、第3のヨーク45とシャフト23の間から磁気粘性流体64がシリンダ22内に漏れないようにシールされる構成となっている。
【0024】
上記構成の場合、図3に示すように、第1のヨーク39の側面に第1のボビン41の端板47を当接させ、第2のヨーク42の両側面に第1のボビン41および第2のボビン44の各端板47を当接させ、更に、第3のヨーク45の側面に第2のボビン44の端板47を当接させる。この後、組み付けたヨーク39、42、45とボビン(コイル40、43)41、44を成形型(図示しない)内に収容して樹脂46で一体成形(モールド成形)する。樹脂46としては、例えば熱可塑性樹脂(ナイロン、PBT、PET、PP等)を使用する。この場合、図3に示すように、樹脂46は、コイル40、43およびボビン41、44の外周部を覆うと共に、第1のヨーク39の外周部の軸方向の上部を覆い、第3のヨーク45の外周部の軸方向の下部を覆っている。
【0025】
また、樹脂46は、第1のヨーク39の外周部に形成されたリング状の溝部39a内に充填され、第2のヨーク42の外周部に例えば4個ほぼ等間隔に軸方向に形成された溝42a(図5参照)内にそれ以外のヨーク42の外周面を露出する形で充填され、第3のヨーク45の外周部に形成されたリング状の溝部45a内に充填される。前記ヨーク42の外周面の露出部分は、後述するシリンダとの間の磁気抵抗を低減するための構成である。尚、第2のヨーク42の4個の溝42aのうち、図5における上部に位置する溝42aは、他の3個の溝42aよりも幅広に大きく形成されている。
【0026】
ここで、上記したように樹脂モールドされたコイル組立体37の貫通孔38(シャフト23が挿入される孔)の内径寸法について説明する。3つのヨーク39、42、45の内径寸法はほぼ同じ寸法に設定されており、シャフト23の外周面との間に例えば0.4mm程度の隙間が形成されるように構成されている。2つのボビン41、44の各内径寸法は、ほぼ同じ寸法に設定され、且つ、3つのヨーク39、42、45の内径寸法よりも若干大きい寸法に設定されており、シャフト23の外周面との間に例えば1.0mm程度の隙間が形成されるように構成されている。
【0027】
また、第2のヨーク42における図5中の上部の大きい溝42aの中央部には、図4および図7に示すように、第2のヨーク42の内周部と外周部とを連通するように貫通孔42bが形成されている。この貫通孔42b内に、外周にねじ部が形成されたパイプ55が締め付け固定されている。このパイプ55は、磁気粘性流体64を充填注入するための部材である。
【0028】
また、2個のコイル40、43は直列に接続されており、その両端子にはリード線56、56が接続されており、これらリード線56、56は、樹脂46のモールド(成形)部分のうちの第2のヨーク42の図5中の上部の大きい溝42a部分から外部へ導出されている。この場合、図4および図6に示すように、第2のヨーク42の上記大きい溝42a内には、リード線56、56を支持するゴムまたは樹脂製の支持部品57が配設され、樹脂46でモールドされている。支持部品57には、T字状の支持孔57aが形成されており、この支持孔57a内にリード線56、56が収容されている。尚、支持部品57は、リード線56、56を支持孔57aに収容するために、支持孔57aに沿って2分割されている。また、リード線56、56は、コイル40、43からボビン41、44の端板47、47に形成された案内溝(図示しない)を通って支持部品57の支持孔57a内に導かれている。
【0029】
また、図4および図7に示すように、樹脂46のモールド部分における第2のヨーク42の貫通孔42b(溝42a)に対応する部分には、ほぼ円形の凹部58が形成されており、この凹部58から下方(図4中では上方)へ延びるようにリード線56、56を収容する収容溝部59が形成されている。尚、第1のヨーク39の外周部における上記収容溝部59に対応する部分には、リード線56、56を収容する収容溝部39bが形成されている。
【0030】
次に、上記したようにして樹脂46でモールドしたコイル組立体37を、シリンダ22内へ収納する作業について説明する。この場合、図1に示すように、予め、軸受36を装着した上ブラケット35をシリンダ22内へ収納しておき、シリンダ22の周壁部のうちの上記上ブラケット35の溝35aに対応する部分を内方へかしめることにより、上ブラケット35をシリンダ22内に固定しておく(図1には、かしめる前の状態を示す)。
【0031】
また、コイル組立体37については、図4、図5、図6および図7に示すように、樹脂モールド部分(支持部品57)から導出されたリード線56を凹部58、収容溝部59および収容溝部39b内に収容しておき、リード線56がコイル組立体37の外周面から突出しないよう処置しておく。更に、コイル組立体37の第1のヨーク39の凹部49内にシール部材50を嵌合(圧入)固定しておくと共に、第3のヨーク45の凹部53内にシール部材54を嵌合(圧入)固定しておく。
【0032】
そして、上記したようにリード線56を処置し、シール部材50、54を取り付けたコイル組立体37を、シリンダ22内に収容する(図1参照)。このとき、コイル組立体37の凹部58と、シリンダ22の周壁部に形成された孔60(図7参照)とが一致するように位置合わせしてコイル組立体37をシリンダ22内に収容する。続いて、シリンダ22の孔60からリード線56、56を引き出し、該リード線56、56を上記孔60を通してシリンダ22の外へ導出する。更に、図7に示すように、ゴムまたは樹脂製のブッシュ61の孔に上記リード線56を通した後、該ブッシュ61をシリンダ22の孔60に嵌合固定する。尚、ブッシュ61から導出したリード線56は、コイル40、43を通電制御する制御回路(制御装置5)に接続されるようになっている。
【0033】
次に、図1に示すように、軸受34を装着した下ブラケット33をシリンダ22内に収容した後、シリンダ22の周壁部のうちの上記下ブラケット33の溝33aに対応する部分を内方へかしめることにより、上ブラケット33をシリンダ22内に固定する。尚、図1は、かしめる前の状態を示す。
【0034】
この後、ばね受け座31を取り付ける前のシャフト23をシリンダ22内に挿入して、下ブラケット33の開口部、軸受34、シール部材50、第1のヨーク39、第1のボビン41(第1のコイル40)、第2のヨーク42、第2のボビン44(第2のコイル43)、第3のヨーク45、シール部材54、軸受36および上ブラケット35の開口部を順に貫通させて、シリンダ22の上方に突出させる。
【0035】
この状態で、シャフト23は、軸受34,36に支持されると共に、それら軸受34、シール部材50、第1のヨーク39、第1のボビン41(第1のコイル40)、第2のヨーク42、第2のボビン44(第2のコイル43)、第3のヨーク45、シール部材54、および軸受36に対して、軸方向(上下方向)の往復動が相対的に可能となっている。尚、シャフト23の下端部には抜け止め用の止め環62が取着されており、それより下方のシリンダ22の内部は空洞63となっている(図1参照)。
【0036】
そして、シャフト23におけるシリンダ22の外部上方に位置した下部部分には、ばね受け座31を嵌合固定し、更に、このばね受け座31とシリンダ22の上端部との間に、シャフト23を囲繞する圧縮コイルスプリングから成るコイルばね32を装着する。
【0037】
また、シャフト23とボビン41、44(コイル40、43)との各間、並びにその近傍であるシャフト23とヨーク39、42、45との各間には、磁気粘性流体64を注入して充填している(図1及び図3参照)。この磁気粘性流体64は、シール部材50、54によってヨーク39、45とシャフト23の間からシリンダ22内へ漏れないように封止されている。
【0038】
尚、上記磁気粘性流体64を上記各間に注入するに際しては、図7に示すブッシュ61をシリンダ22の周壁部の孔60から取り外した状態で、パイプ55にチューブ(図示しない)を接続し、このチューブを通して上記各間内の空気を排気(真空引き)した後、磁気粘性流体64を上記チューブを通して上記各間内に注入する。そして、磁気粘性流体64の注入後は、上記パイプ55の開口をシール部材(図示しない)等で封止した後、ブッシュ61をシリンダ22の孔60に嵌合して取り付ける。
【0039】
そして、上述したようにして構成したサスペンション7を、前記水槽6と前記外箱1の底板1aとの間に組込み、外箱21の底板21a上に水槽26を防振支持するようにしている。
【0040】
このような構成の本実施形態によれば、コイル組立体37の第1のヨーク39および第3のヨーク45に、環状の凹部49、53を形成し、これら凹部49、53内にシール部材50、54を嵌合(圧入)固定するように構成したので、従来構成とは異なり、シール部材50、54の内周部50b、54bとシャフト23との間の密接度合、並びに、シール部材50、54の外周部50a、54aと凹部49、53との間の密接度合を、組み立てのばらつきや振動等にかかわりなく、十分なものとすることができる。というのは、従来構成では、シール部材を軸方向に押し付ける力を加えてシール性能を確保するように構成していたが、上記実施形態では、そのような軸方向の押し付け力が不要になるためである。これにより、上記実施形態においては、コイル組立体37の上下いずれの側のヨーク39、45とシャフト23との間からも磁気粘性流体64がシリンダ22内に漏れ出ることをシール部材50、54によって防止できるから、磁気粘性流体64の重力による下方向への移動のみならず、シャフト23の上下動に連れて動く上下方向いずれの移動についても確実に防止でき、もって振動減衰力の低下や特性のばらつきの発生を防止することができ、脱水運転の立ち上りを安定させることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、コイル組立体37を構成するに際して、コイル40、43、ボビン41、44およびヨーク39、42、45を樹脂46で一体成形(モールド成形)したので、ボビン41、44の端部にヨーク39、42、45を取り付けて固定する際に、ボビン41、44およびヨーク39、42、45の部品の寸法精度や組付精度が低下したりして、各部品の間に隙間が生じたとしても、その隙間をモールドした樹脂46で封止することができる。このため、上記隙間から磁気粘性流体64が漏れ出ることを防止することができる。また、ボビン41、44およびヨーク39、42、45の固定強度を十分大きくすることができる。更にはコイル組立体37の上下両端にシール部材50、54を設けてあるため、仮にサスペンション7を上下逆に取り付ける必要を生じた場合であっても磁気粘性流体64が漏れ出るおそれなく使用することができる。
【0042】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第2実施形態においては、第1のヨーク39および第3のヨーク45の軸方向(上下方向)の長さ寸法を長くして、凹部49、53の深さ寸法(上下方向寸法)を深くし、凹部49、53内にシール部材50、54と一緒に軸受34、36を収容固定するように構成した。尚、軸受34については、止め輪65で抜け止めしている。そして、下ブラケット33を不要にし、上ブラケット35の軸方向(上下方向)の長さ寸法を短くした。また、ヨーク39、45の外周部に、シリンダ22のかしめ用の溝39c、45cを形成した。
【0043】
上述した以外の第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第2実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第2実施形態によれば、シャフト23と軸受34、36の心ずれを小さくすることができるから、上記心ずれが大きいときにシャフト23とシール部材50、54との間から磁気粘性流体64が漏れ出るような事態の発生を防止することができる。また、下ブラケット33を不要にできるから、部品点数を少なくすることができる。
【0044】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第3実施形態においては、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間にOリング66を配設した。具体的には、ヨーク39、42、45の側面(端板47に当接する側の側面)に環状の溝部(凹部)67を設け、この溝部67内にOリング66を収容するように構成した。
【0045】
上述した以外の第3実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第3実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第3実施形態によれば、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間にOリング66を配設したので、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間から磁気粘性流体64が漏れ出ることをより一層防止できる。
【0046】
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態を示すものである。尚、第2実施形態および第3実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第4実施形態においては、第1のヨーク39および第3のヨーク45の凹部49、53の深さ寸法(上下方向寸法)を深くして軸受34、36を収容固定すると共に、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間にOリング66を配設するように構成した。尚、上述した以外の第4実施形態の構成は、第2実施形態および第3実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第4実施形態においても、第2実施形態および第3実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
【0047】
(第5実施形態)
図11は、第5実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第5実施形態においては、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間を接着剤68によって接着した。上述した以外の第5実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第5実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第5実施形態によれば、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間を接着剤68によって接着することで密封したので、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間から磁気粘性流体64が漏れ出ることをより一層防止できる。
【0048】
(第6実施形態)
図12は、第6実施形態を示すものである。尚、第2実施形態および第5実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第6実施形態においては、第1のヨーク39および第3のヨーク45の凹部49、53の深さ寸法(上下方向寸法)を深くして軸受34、36を収容固定すると共に、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間を接着剤68によって接着することで密封するように構成した。尚、上述した以外の第6実施形態の構成は、第2実施形態および第5実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第6実施形態においても、第2実施形態および第5実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
【0049】
(第7実施形態)
図13は、第7実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第7実施形態においては、ヨーク39、42、45とボビン(コイル40、43)41、44を組み付けたものを樹脂46で一体成形する際に、図13に示すようにヨーク39、42、45の外周面の外側まで、樹脂46で覆うように構成した。尚、上述した以外の第7実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第7実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第7実施形態によれば、ヨーク39、42、45の外周面まで樹脂46で覆うように構成したので、コイル組立体37の強度(即ち、コイル、ボビンおよびヨークの固定強度)をより一層高くすることができると共に、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間から磁気粘性流体64が漏れ出ることをより一層防止できる。なお、ヨーク39、42、45の外周面に位置する樹脂46はシリンダとの間で磁気抵抗となるため、他の部分の樹脂の厚みに比べて必要最小限度に極めて薄く形成することにより磁気抵抗の増加を極力防止している。
【0050】
(第8実施形態)
図14ないし図17は、第8実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第8実施形態においては、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間にOリング71を配設した。
【0051】
具体的には、図14および図15に示すように、ボビン41、44の端板47の外面には、ボビン41、44の筒部を端板47の外方へ突出させるように環状凸部72を形成した。そして、ヨーク39、42、45の側面(端板47に対向する側の側面)に、上記環状凸部72を嵌合させる環状嵌合部73を設け、更に、この環状嵌合部73に段付け状に連続するように環状収容部(凹部)74を設けている。この環状収容部74内に上記Oリング71を収容している(図17参照)。
【0052】
また、図16に示すように、Oリング71の厚み寸法(即ち、輪切りにした部分の直径寸法)をAとし、環状収容部74の軸方向(図15中の上下方向)の深さ寸法をBとしたときに、A>Bが成立するように構成されている。これにより、図17に示すように、Oリング71は、環状収容部74の内面(端板47と対向する面)と端板47との間に挟持されて適切な大きさの力で押圧変形される構成となっている。この結果、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間から磁気粘性流体64が漏れ出ることを、上記Oリング71により一層防止することができる。
【0053】
更に、上記構成の場合、環状収容部74の断面積をS1(図15参照)とし、Oリング71の断面積をS2(図16参照)としたときに、S1>S2が成立すると共に、S1がS2になるべく近い値になるように構成されている。これにより、Oリング71が押圧変形したときに(尚、Oリング71は変形してもその断面積S2は変わらない)、Oリング71が環状収容部74内からはみ出さないようになっており、Oリング71のシール性能が均一に保持されるように構成されている。
【0054】
また、上記Oリング71は、弾性を有し且つ耐熱性の高い材料、例えばシリコンゴムまたはフッ素ゴムで形成されている。これにより、Oリング71が十分な耐熱性を有するので、コイル40、43、ボビン41、44およびヨーク39、42、45を、樹脂46でモールド成形するときに、Oリング71が200℃前後の温度まで加熱されるが、Oリング71のシール性能が劣化することを防止できる。
【0055】
尚、上述した以外の第8実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第8実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第8実施形態によれば、ヨーク39、42、45に環状収容部74を設け、この環状収容部74内にOリング71を収容することにより、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間にOリング71を配設する構成としたので、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間から磁気粘性流体64が漏れ出ることをより一層防止できる。
【0056】
また、第8実施形態では、Oリング71の直径寸法(即ち、厚み寸法)をAとし、環状収容部74の軸方向(図15中の上下方向)の深さ寸法をBとしたときに、A>Bが成立するように構成したので、Oリング71は、環状収容部74の内面と端板47との間に挟持されて適切な大きさの力で押圧変形されるから、十分なシール性能を確保することができる。更に、環状収容部74の断面積をS1とし、Oリング71の断面積をS2としたときに、S1>S2が成立するように構成したので、Oリング71が変形したときに、Oリング71が環状収容部74内からはみ出さないようになり、Oリング71のシール性能を均一に保持することができる。
【0057】
更にまた、Oリング71は、弾性を有し且つ耐熱性の高い材料、例えばシリコンゴムまたはフッ素ゴムで形成したので、コイル40、43、ボビン41、44およびヨーク39、42、45を、樹脂46でモールド成形するときに、Oリング71が加熱されるが、Oリング71は、十分な耐熱性を有するので、シール性能が劣化することがない。
【0058】
(第9実施形態)
図18および図19は、第9実施形態を示すものである。尚、第8実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第9実施形態においては、図18および図19に示すように、端板47におけるヨーク39、42、45の環状収容部74の内面に対向する部位に環状凸部75を形成した。そして、この環状凸部75によりOリング71を押して変形させるように構成した。
【0059】
尚、上述した以外の第9実施形態の構成は、第8実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第9実施形態においても、第8実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第9実施形態によれば、端板47の環状凸部75によりOリング71を押して変形させるように構成したので、Oリング71の変形量を大きくすることができ、Oリング71のシール性能を高めることができる。
【0060】
また、上記第9実施形態においては、環状凸部75を端板47に設けたが、これに代えて、環状凸部75をヨーク39、42、45の環状収容部74の内面(端板47と対向する面)に設けるように構成しても良い。
【0061】
(第10実施形態)
図20ないし図22は、第10実施形態を示すものである。尚、第8実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第10実施形態においては、図20および図21に示すように、ボビン41、44の環状凸部72の外径寸法をD1とし、ヨーク39、42、45の環状収容部74の内径寸法をD2とし、図22に示すように、Oリング71の内径寸法をd1とし、Oリング71の外径寸法をd2としたときに、d1<D1と、d2>D2とが成立するように構成した。また、上記構成の場合、環状収容部74の断面積をS1とし、Oリング71の断面積をS2としたときに、S1>S2が成立すると共に、S1がS2になるべく近い値になるように構成されている。
【0062】
上記構成においては、d1<D1であるから、Oリング71の内周部が環状凸部72の外周面に密接する。そして、d2>D2であるから、Oリング71の外周部が環状収容部74の内周面に密接する。即ち、Oリング71は、内外径嵌合(図21中の左右方向の嵌合)によって押圧変形することにより、シール性能を確保して、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間から磁気粘性流体64が漏れ出ることを防止することができる。
【0063】
尚、上述した以外の第10実施形態の構成は、第8実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第10実施形態においても、第8実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。
【0064】
(第11実施形態)
図23は、第11実施形態を示すものである。尚、第8実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第11実施形態においては、図23に示すように、ボビン41、44の端板47の外面におけるOリング71の外周部に、環状凸部76、77を外方へ突出させるように2重に形成した。そして、ヨーク39、42、45の側面(端板47に対向する側の側面)に、上記環状凸部76、77を嵌合させる環状嵌合部78、79を2重に設けた。上記構成の場合、Oリング71の外周部に、Oリング71によるシール構造の他に、端板47の環状凸部76、77とヨーク39、42、45の環状嵌合部78、79が嵌合することにより、ラビリンスシール構造が形成される構成となっている。
【0065】
尚、上述した以外の第11実施形態の構成は、第8実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第11実施形態においても、第8実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第11実施形態によれば、Oリング71によるシール構造の他に、端板47の環状凸部76、77とヨーク39、42、45の環状嵌合部78、79の嵌合によるラビリンスシール構造を設けたので、ヨーク39、42、45とボビン41、44の端板47との間からの磁気粘性流体64の漏れをより一層確実に防止することができる。
【0066】
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態に加えて以下のような構成を採用しても良い。
上記した各実施形態では、コイル40、43(ボビン41、44)を2個設けたが、これに限られるものではなく、コイル(ボビン)を1個または3個以上設けるように構成しても良い。これにより洗濯容量など使用目的に応じたコイル(ボビン)及びヨークの数とすることで、振動減衰力を使用目的に応じた適切なものとすることができる。
【0067】
また、第3、4、8〜11の各実施形態では、Oリング66、71を収容する凹部としての溝部67、環状収容部74をヨーク39、42、45に設けたが、これに代えて、Oリング66、71を収容する凹部をボビン41、44の端板47に設けても良い。
【0068】
更に、第11実施形態では、ラビリンスシール構造をOリング71の外周部に設けたが、これに代えて、ラビリンスシール構造をOリング71の内周部に設けても良いし、Oリング71の内周部および外周部の両方に設けても良い。
【0069】
また、第3、4、8〜11の各実施形態では、Oリング66、71として、断面形状が円形(図16参照)のものを使用したが、これに限られるものではなく、断面形状が例えば正方形、長方形、5角形、6角形、楕円形等の種々の形状のものを使用しても良い。更に、Oリング66、71を製造する方法としては、上下金型で成形する方法や、押し出し成形した紐状のものをリング状につないで製造する方法や、板部材をリング状に打ち抜いて製造する方法等を用いることが好ましい。
【0070】
以上のように本実施形態の洗濯機用のダンパによると、樹脂で一体成形されたものの両端に配設されたヨークにシール部材を収容する凹部を設け、この凹部内にシール部材を圧入するように構成したので、磁気粘性流体の漏れを確実に防止することができ、しかも上下いずれの側からも漏れの心配がなくなることから、サスペンションの向きについても自由度を高めることができる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
図面中、1は外箱、6は水槽、7はサスペンション、8はモータ、10はドラム、17は乾燥装置、18は除湿器、19は送風機、20は加熱器、21はダンパ、22はシリンダ、23はシャフト、24は連結部材、25は取付板、26は弾性座板、27はナット、28は取付板、29は弾性座板、30はナット、31はばね受け座、32はコイルばね、33は下ブラケット、34は軸受、35は上ブラケット、36は軸受、37はコイル組立体、38は貫通孔、39は第1のヨーク、40は第1のコイル、41は第1のボビン、42は第2のヨーク、43は第2のコイル、44は第2のボビン、45は第3のヨーク、46は樹脂、47は端板、49は凹部、50はシール部材、52は貫通孔、53は凹部、54はシール部材、56はリード線、57は支持部品、58は凹部、59は収容溝部、64は磁気粘性流体、66はOリング、67は溝部(凹部)、68は接着剤、71はOリング、72は環状凸部、73は環状嵌合部、74は環状収容部(凹部)、75は環状凸部、76は環状凸部、77は環状凸部、78は環状嵌合部、79は環状嵌合部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機の水槽の振動を減衰する機能を有する洗濯機用のダンパにおいて、
シリンダと、
このシリンダの内部に収容され、磁場を発生するコイルおよびこのコイルが巻回されたボビンと、
前記シリンダの内部に収容され、前記ボビンの端部に設けられたヨークと、
前記ボビンおよび前記ヨークを相対的に軸方向往復動可能に貫通して前記シリンダに挿通されたシャフトと、
前記コイル、前記ボビンおよび前記ヨークを一体成形する樹脂と、
前記シャフトと前記ボビンおよび前記ヨークとの間に充填された磁気粘性流体と、
前記樹脂で一体成形されたものの両端に配設されたヨークと前記シャフトとの間から前記磁気粘性流体の漏れを防止するシール部材とを備え、
前記両端に配設されたヨークに前記シール部材を収容する凹部を設け、この凹部内に前記シール部材を圧入したことを特徴とする洗濯機用のダンパ。
【請求項2】
前記凹部の軸方向の深さ寸法を深くし、前記シャフトを支持する軸受を前記凹部内に収容したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機用のダンパ。
【請求項3】
前記ボビンの端板と前記ヨークとの間に前記磁気粘性流体の漏れを防止するOリングを配設したことを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機用のダンパ。
【請求項4】
前記ボビンの端板と前記ヨークとの間を接着剤を介して接着したことを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機用のダンパ。
【請求項5】
前記ボビンの端板または前記ヨークのうちの一方に環状の凹部を設け、この凹部内に前記Oリングを収容したことを特徴とする請求項3記載の洗濯機用のダンパ。
【請求項6】
前記ボビンの端板または前記ヨークのうちの他方に、前記凹部内に収容されたOリングを押圧する凸部を設けたことを特徴とする請求項5記載の洗濯機用のダンパ。
【請求項7】
前記凹部の深さ寸法を、前記Oリングの厚み寸法よりも小さくしたことを特徴とする請求項5記載の洗濯機用のダンパ。
【請求項8】
前記凹部の断面積を、前記Oリングの断面積よりも大きくしたことを特徴とする請求項7記載の洗濯機用のダンパ。
【請求項9】
前記ボビンの端板の外面に前記ボビンの筒部を前記端板の外方へ突出させるように環状の凸部を形成し、この凸部の外周面と前記ヨークに形成した凹部の内周面との間に前記Oリングを収容するように構成し、
前記ボビンの凸部の外径寸法をD1とし、前記ヨークの凹部の内径寸法をD2とし、前記Oリングの内径寸法をd1とし、前記Oリングの外径寸法をd2としたときに、d1<D1と、d2>D2とが成立するように構成したことを特徴とする請求項5記載の洗濯機用のダンパ。
【請求項10】
前記ボビンの端板および前記ヨークにおける前記Oリングの内周部または外周部に、ラビリンスシール構造を設けたことを特徴とする請求項5記載の洗濯機用のダンパ。
【請求項11】
前記Oリングを、弾性を有し且つ耐熱性の高い材料で形成したことを特徴とする請求項5ないし10のいずれかに記載の洗濯機用のダンパ。
【請求項12】
洗濯機の水槽の振動を減衰する機能を有する洗濯機用のダンパにおいて、
シリンダと、
このシリンダの内部に収容され、磁場を発生するコイルおよびこのコイルが巻回されたボビンと、
前記シリンダの内部に収容され、前記ボビンの端部に設けられたヨークと、
前記ボビンおよび前記ヨークを相対的に軸方向往復動可能に貫通して前記シリンダに挿通されたシャフトと、
前記コイル、前記ボビンおよび前記ヨークを一体成形する樹脂と、
前記シャフトと前記ボビンおよび前記ヨークとの間に充填された磁気粘性流体と、
前記ボビンの端板と前記ヨークとの間に設けられ前記磁気粘性流体の漏れを防止するOリングとを備えたことを特徴とする洗濯機用のダンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−11163(P2012−11163A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186109(P2010−186109)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】