説明

洗米装置

【課題】 1つの装置で複数種の米を計量・洗米することができる洗米装置を提供する。
【解決手段】 貯米部12A,12B内に貯えられた米を計量器5によって計量して洗米タンク6に供給し、該洗米タンク6にて米を洗米するようにした洗米装置において、複数の貯米部12A,12Bに対して一つの計量器5を備え、該計量器5によって前記複数の貯米部12A,12Bから選択的に米を計量可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、貯米部内の米を計量して洗米タンクに供給し、該洗米タンクで洗米し、その後、洗米された米を水加減水と一緒に炊飯器に排出して該炊飯器で炊飯するまでを自動的に行う自動炊飯機、又は、貯米部内の米を計量して洗米タンクに供給し、該洗米タンクで洗米し、その後、洗米された米を水加減水と一緒に排出するまでの工程を自動的に行う自動洗米機に採用される洗米装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、貯米庫の下端側に計量器を備えると共に、この計量器の下方側に洗米タンクを備え、さらに、この洗米タンクの下方側に炊飯器を備えていて、貯米庫内の米を計量器で計量して洗米タンクに落下供給し、この米を該洗米タンクで洗米し、洗米後に、洗米した該米を水加減水と共に炊飯器の内釜に落下供給して、該炊飯器で炊飯するまでの工程を自動制御によって行うようにした自動炊飯機がある。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−32929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記自動炊飯機を使用している店舗において、例えば、寿司用の米と弁当用の米とを、違う種類の米にしている場合があり、この場合、従来の自動炊飯機にあっては、複数種の米を貯えることができないので、自動炊飯機は2台必要である、または、一方の種類の米を自動炊飯機で炊飯し、他方の種類の米は手洗いして炊飯しなければならないなどの問題がある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、1台の装置で複数種の米の計量及び洗米を行うことができる洗米装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、貯米部内に貯えられた米を計量器によって計量して洗米タンクに供給し、該洗米タンクにて米を洗米するようにした洗米装置において、
複数の貯米部に対して一つの計量器を備え、該計量器によって前記複数の貯米部から選択的に米を計量可能としたことを特徴とする。
また、下端側に下方開口状の排米口を備えた貯米部を一対備え、これら貯米部の排米口を隣接配置すると共に、これら排米口の下方に、該排米口の隣接方向に直交する水平方向の軸心回りに正逆回転自在な計量ドラムを備えた計量器を配置し、前記計量ドラムはその周壁に開口部が形成されていて、該計量ドラムを開口部が上向きとなり且つ排米口を臨む供給位置に回転させることにより貯米部内の米が計量ドラム内に流入し、計量ドラムを開口部が下向きとなる排米位置に回転させることにより開口部から米が流出して洗米タンクへと供給されるように構成し、且つ、計量ドラムを開口部が一方の貯米部の排米口を臨む供給位置から排米位置にする場合は正転させ、計量ドラムを開口部が他方の貯米部の排米口を臨む供給位置から排米位置にする場合は逆転させるように構成してもよい。
【0005】
また、貯米庫を仕切り部材で仕切ることで貯米部を複数形成してもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の貯米部に対して一つの計量器を備え、該計量器によって前記複数の貯米部から選択的に米を計量可能としたので、1台の装置で複数種の米の計量及び洗米を行うことができる。また、特に、複数の貯米部の内、少なくとも2つの貯米部内からそれぞれ米を計量して洗米タンクに供給することによって複数の貯米部に貯えられた米をブレンドすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図2において、1は、貯米部に貯えられた米を計量し、洗米し、炊飯するまでの工程を自動的に行う自動炊飯機である。
この自動炊飯機1は、本体フレーム2の上部にケース3を設け、このケース3内に貯米庫4及び計量器5を収納し、ケース3の下面に洗米タンク6を取り付け、この洗米タンク6の下方に炊飯器7を配置して主構成されている。
また、ケース3内には、当該自動炊飯機1を制御する制御器8や、当該自動炊飯機1を駆動するための駆動機構等が収納されており、ケース3の正面には操作パネル9が設けられている。
【0008】
操作パネル9には、炊飯量(炊飯する米の量)、水加減水量、浸し時間、むらし時間等の炊飯メニューを押しボタン等によって設定可能な設定部と、炊飯メニューの設定値の表示や炊飯工程などを表示する表示部が備えられている。
この操作パネル9で設定された各設定値は制御器8に入力され、該操作パネル9で設定された各設定値に基づいて制御器8によって自動炊飯機1が自動運転される。
すなわち、貯米庫4から設定炊飯量の米が計量器5によって計量されて洗米タンク6に落下供給され、この落下供給された米は洗米タンク6内で水と共に撹拌部材10によって撹拌されて洗米され、洗米後、洗米タンク6下端の排米弁11が開いて、洗米された米が水加減水と共に炊飯器7の内釜に落下供給され、該炊飯器7で所定時間浸漬された後、炊飯され、炊飯後所定時間むらしが行われる。
【0009】
前記貯米庫4は、内部が米を貯える貯米部12A,12Bとされ、上面側が開口状とされていて該開口部が米を投入する米投入口13とされている。
また、貯米庫4の下端側には、下方開口状に形成されていて米を落下排出する排米口14A,14Bが設けられ、該貯米庫4の下部側形状は排米口14A,14Bに向けて先窄まりとなる漏斗状に形成されている。
また、本実施の形態にあっては、異なる種類の米を貯留することができるように、貯米庫4内を板材からなる仕切り部材15によって左右に仕切ることにより、貯米庫4内が左右に分割されており、したがって、本実施の形態では、左右一対の貯米部12A,12Bと、左右貯米部12A,12Bに対応する左右一対の排米口14A,14Bとが設けられていると共に、この左右の排米口14A,14Bは左右方向で隣接配置されている。
【0010】
計量器5は、貯米庫4の下方側に配置されており、図1、図3に示すように、ケーシング16と、このケーシング16内に水平方向の軸心回りに回転自在に収容された計量ドラム17と、この計量ドラム17を回転駆動させるモータ18とを備えている。
ケーシング16はケース3の底壁3A上に取付固定され、該ケーシング16の上端側に設けられた取付フランジ16Aに貯米庫4の排米口14A,14Bの周囲に設けられた被取付フランジ4Aが取付固定されている。
また、ケーシング16の上面側には、左右一対の排米口14A,14Bに連通する米取入れ口19が形成されており、ケーシング16の下面側には、ケース3の底壁3Aに形成された開口部23に連通する米排出口20が形成されており、この米排出口20はケース底壁3Aの開口部23を介して洗米タンク6内に連通している。
【0011】
計量ドラム17は、図1、図3、図4に示すように、前後方向の軸心を有する円筒状の周壁21Aと、この周壁21Aの軸心方向両端側を閉塞する円形状の端部壁21Bとから主構成されたドラム本体21を備えていると共に、このドラム本体21の中心に配置されていて前後の端部壁21Bを貫通する回転軸22を備えている。
この計量ドラム17は、貯米庫4の左右の排米口14A,14B及びケーシング16の米取入れ口19の下方に配置されており、回転軸22の両端がケーシング16に軸心回りに回動自在に支持されていると共に、回転軸22の一端側(前端側)はケーシング16の正面側に取り付けられたモータ18の出力軸18Aに連結されている。
【0012】
このモータ18は正逆転自在であり、該モータ18によって計量ドラム17が前後方向の軸心回りに(排米口14A,14Bの隣接方向に直交する水平方向の軸心回りに)正逆転自在に回転駆動される。
また、この計量ドラム17の周壁21Aには、排米口14A,14Bから落下排出される米を計量ドラム17内に導入するために軸心方向一端から他端に亘って開口部24が形成されており、この開口部24は、本実施の形態にあっては、計量ドラム17の軸心方向一端から他端にわたって該軸心方向に沿って形成されている。
【0013】
なお、この計量ドラム17の開口部24は、該計量ドラム17の軸心方向一端から他端に行くに従って周方向に移行する方向に形成されていてもよい。
また、ケーシング16の米取入れ口19の内面の左右両側には、貯米庫4の排米口14A,14Bから計量ドラム17へと米を案内するガイド部材25が設けられており、このガイド部材25の下端は、計量ドラム17のドラム本体21の外周面に、米粒が通らない程度の隙間をおいて近接されている。
このガイド部材25の下端は、計量ドラム17のドラム本体21の外周面に、できるだけ近接させるのが好ましく、また、ガイド部材25の下端は計量ドラム17のドラム本体21の外周面に摺接されていてもよい。
【0014】
なお、ケーシング16の米取入れ口19の前後両側(計量ドラム17の軸心方向両側)にあっては、ケーシング16の内面(又は他のガイド部材)によって排米口14A,14Bから排出される米が開口部24を通って計量ドラム17内に案内される。
また、計量ドラム17の左右両側には、計量ドラム17内の米の流出を抑える抑え部材26が配置されている。
この抑え部材26は板バネによって形成され、上部側が前記ガイド部材25と米取入れ口19内面との間に挟み込まれて、ケーシング16側に取付固定され、下部側は、ガイド部材25の下端から下方側において、計量ドラム17の外周面に沿う円弧状に形成されていると共に、下端部は径方向外方を向くように折曲されている。
【0015】
この抑え部材26の前記円弧部分26Aは、計量ドラム17の外周面に対して、摺接又は極小間隙を介して近接配置されており、また、左右抑え部材26の下端部間は、計量ドラム17からの米の排出が可能な間隔を有している。
この抑え部材26は、バネ板によって構成されているので、抑え部材26の内面と計量ドラム17の外周面との間に、小米又は割れ米がかみ込まれても、抑え部材26が弾性変形して逃げ、計量ドラム17の回転を妨げる又は計量ドラム17をロックさせるようなことはない。
【0016】
また、前記仕切り部材15の下端側はケーシング16の米取入れ口19内へと延出されていると共に、該仕切り部材15の下端は計量ドラム17のドラム本体21の外周面に、摺接又は米粒が通らない程度の隙間をおいて近接されている。
前記構成の計量器5において、一方の貯米部12A内の米を計量する場合は、図5(a)に示すように、計量ドラム17を開口部24が上向きとなり且つ一方の貯米部12Aの排米口14Aを臨む供給位置(この位置を第1供給位置という)に回転させる。すると、該一方の貯米部12A内の米が開口部24を通過して計量ドラム17内に流入する。
【0017】
このとき、他方の貯米部12Bの排米口14Bからの米の落下排出は、計量ドラム17のドラム本体21の外周面によって阻止されている。
次に、計量ドラム17を正転Aさせることにより、第1供給位置から、図1に示す開口部24が下向きとなる排米位置に計量ドラム17を回転させる。
このとき、ガイド部材25の下端側縁部によって米が擦り切りされると共に、開口部24が一方の貯米部12Aの排米口14Aを臨む位置から外れると、計量ドラム17の外周面で該一方の貯米部12Aの排米口14Aからの米の落下排出が阻止され、また、抑え部材26によって計量ドラム17からの米の流出が規制される。
【0018】
そして、計量ドラム17の開口部24が抑え部材26の下端から外れて排米位置に至ると、計量ドラム17内の米が開口部24から落下排出して洗米タンク6へと供給される。
さらに計量する場合は、計量ドラム17を排米位置から逆転Bさせて第1供給位置へと回転させた後、正転Aさせて排米位置へと回転させる。
また、他方の貯米部12B内の米を計量する場合は、図5(b)に示すように、計量ドラム17を開口部24が上向きとなり且つ他方の貯米部12Bの排米口14Bを臨む供給位置(この位置を第2供給位置という)に回転させる。すると、該他方の貯米部12B内の米が開口部24を通過して計量ドラム17内に流入する。
【0019】
このとき、一方の貯米部12Aの排米口14Aからの米の落下排出は、計量ドラム17のドラム本体21の外周面によって阻止されている。
次に、計量ドラム17を逆転Bさせることにより、第2供給位置から図1に示す排米位置に回転させると、前述した一方の貯米部14Aに対する米の計量の場合と同様に、計量ドラム17内の米が開口部24から落下排出して洗米タンク6へと供給される。
さらに計量する場合は、計量ドラム17を排米位置から正転Aさせて第2供給位置へと回転させた後、逆転Bさせて排米位置へと回転させる。
【0020】
以上のように、各供給位置から排米位置へと回転させる動作を、1又は複数回行うことにより、操作パネル9で設定した炊飯量の米が計量されるように構成されている。
なお、計量器5が作動していないときには、計量ドラム17は第1供給位置及び第2供給位置から外れた位置で待機され、好ましくは、排米位置で待機される。
前記構成の自動炊飯機1にあっては、一方の貯米部12A内の米のみを選択して計量・洗米・炊飯を行う場合と、他方の貯米部12B内の米のみを選択して計量・洗米・炊飯を行う場合と、一方の貯米部12Aの米を設定炊飯量の何割かの割合で計量すると共に設定炊飯量の残りの分量の米を他方の貯米部12Bから計量し、これらを合わせて洗米・炊飯する場合(ブレンド米の場合)とのうちのいずれかの場合を選択して自動炊飯機1を運転することができるように、操作パネル9で設定可能とされている。
【0021】
なお、本発明は、本実施の形態で例示した自動炊飯機1のほか、貯米部内の米を計量して洗米タンクに供給し、該洗米タンクで洗米し、その後、洗米された米を水加減水と一緒に排出するまでの工程を自動で行う自動洗米機に採用されてもよい。
また、貯米庫を前後に仕切るように構成してもよいが、左右に仕切ることにより正面側からの米の投入が行いやすい。
また、本発明は、前記実施の形態に限定されることはなく、貯米庫4内を3以上の貯米部に仕切ってもよく、また、貯米庫4を複数設けてもよい。
【0022】
また、3つ以上の貯米部を設けた場合は、前述した実施形態の計量器では3つ以上の貯米部内の米を計量することはできないが、この場合は、他の計量器、例えば米の重量を量ることにより計量する計量器等が採用される。
また、前記仕切り部材を可動とし、左右の貯米部の容量を、米の使用量に応じて変更できるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】計量器の正面断面図である。
【図2】自動炊飯機の正面図である。
【図3】計量器の側面図である。
【図4】計量ドラムの斜視図である。
【図5】米の計量動作を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0024】
4 貯米庫
5 計量器
6 洗米タンク
12A 貯米部
12B 貯米部
14A 排米口
14B 排米口
15 仕切り部材
17 計量ドラム
21A 周壁
24 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯米部(12A,12B)内に貯えられた米を計量器(5)によって計量して洗米タンク(6)に供給し、該洗米タンク(6)にて米を洗米するようにした洗米装置において、
複数の貯米部(12A,12B)に対して一つの計量器(5)を備え、該計量器(5)によって前記複数の貯米部(12A,12B)から選択的に米を計量可能としたことを特徴とする洗米装置。
【請求項2】
下端側に下方開口状の排米口(14A,14B)を備えた貯米部(12A,12B)を一対備え、これら貯米部(12A,12B)の排米口(14A,14B)を隣接配置すると共に、これら排米口(14A,14B)の下方に、該排米口(14A,14B)の隣接方向に直交する水平方向の軸心回りに正逆回転自在な計量ドラム(17)を備えた計量器(5)を配置し、前記計量ドラム(17)はその周壁(21A)に開口部(24)が形成されていて、該計量ドラム(17)を開口部(24)が上向きとなり且つ排米口(14A,14B)を臨む供給位置に回転させることにより貯米部(12A,12B)内の米が計量ドラム(17)内に流入し、計量ドラム(17)を開口部(24)が下向きとなる排米位置に回転させることにより計量ドラム(17)内の米が開口部(24)から流出して洗米タンク(6)へと落下供給されるように構成し、且つ、計量ドラム(17)を開口部(24)が一方の貯米部(12A,12B)の排米口(14A,14B)を臨む供給位置から排米位置にする場合は正転させ、計量ドラム(17)を開口部(24)が他方の貯米部(12A,12B)の排米口(14A,14B)を臨む供給位置から排米位置にする場合は逆転させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の洗米装置。
【請求項3】
貯米庫(4)を仕切り部材(15)で仕切ることで貯米部(12A,12B)を複数形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の洗米装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−43414(P2008−43414A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219837(P2006−219837)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】