説明

流体貯蔵構成材の製造方法

【課題】マイクロ燃料電池システムなどの小型システム特有の場所や寸法の条件に対する、高エネルギー密度で適応性を持つ流体貯蔵構成材を提供する。
【解決手段】活性物質粒子のデクレピテーションサイズと実質的に同じオーダーの範囲内の最大活性物質粒度をもたらすのに十分に、活性物質粒子の粒度を減少させるステップ、混合物をもたらすのに十分に、該粒子を結合剤と接触させるステップ、圧縮混合物をもたらすのに十分に、該混合物を圧縮するステップ、流体貯蔵構成材を形成するのに十分に、該圧縮混合物を加熱するステップ、および流体容器をもたらすのに十分に、該流体貯蔵構成材に容器外壁を適合するように結合させるステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の実施形態は、流体貯蔵構成材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ燃料電池システムなどの小型エネルギーシステムは、そのような小型システム特有の場所や寸法の条件に対する、高エネルギー密度で適応性を持つ流体貯蔵構成材を要求する場合がある。マイクロシステムは、それを左右する流体構成材の寸法や柔軟性によりしばしば制限される。容器(enclosure)などの従来の流体貯蔵構成材は、マイクロシステムにエネルギー源として使用される流体の高い圧力と不安定性が原因で、マイクロレベルで製造および設計することが困難である。
【発明の概要】
【0003】
発明の実施形態は、流体貯蔵構成材の製造方法に関する。その方法は、活性物質粒子のデクレピテーションサイズと実質的に同じオーダーの範囲内の最大活性物質粒度をもたらすのに十分に、活性物質粒子の粒度を減少させるステップ、混合物をもたらすのに十分に、該粒子を結合剤と接触させるステップ、圧縮混合物をもたらすのに十分に、該混合物を圧縮するステップ、および流体貯蔵構成材を形成するのに十分に、該圧縮混合物を加熱するステップを含む。
【0004】
発明の実施形態は、流体容器の製造方法に関する。その方法は、活性物質粒子のデクレピテーションサイズと実質的に同じオーダーの範囲内の最大活性物質粒度をもたらすのに十分に、活性物質粒子の粒度を減少させるステップ、混合物をもたらすのに十分に、該粒子を結合剤と接触させるステップ、圧縮混合物をもたらすのに十分に、該混合物を圧縮するステップ、流体貯蔵構成材を形成するのに十分に、該圧縮混合物を加熱するステップ、および流体容器をもたらすのに十分に、該流体貯蔵構成材に容器外壁を適合するように結合させるステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図面では、それらは必ずしも縮尺通りに描かれていないが、各図間の中で、同等の数表示は、実質的に同様の構成要素を表す。異なる文字の接尾辞を有する同等の数表示は、実質的に同様の構成要素の異なる例を示す。図面は、限定を目的としてではなくあくまで一例として、本明細書に記述する各種の実施形態を示す。
【0006】
【図1】いくつかの実施形態による流体貯蔵構成材の製造方法のブロック流れ図である。
【図2】いくつかの実施形態による流体容器の製造方法のブロック流れ図である。
【発明を実施するための最善の形態】
【0007】
以下の詳細な説明は、その詳細な説明の一部を形成する添付図面への言及を含む。図面は、実例として、発明を実施し得る具体的な実施形態を示す。それらの実施形態には、本明細書では「実施例」としてもまた言及されているが、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分な詳細が記述されている。本発明の範囲から離れることなく、実施形態を組み合わせてよく、他の実施形態を利用してよく、または構造上論理上の変更を加えてよい。以下の詳細な説明は、したがって、限定する趣旨ではなく、本発明の範囲は、添付の請求項およびその法的均等物により規定される。
【0008】
本明細書では、用語「一つ(“a”またはは“an”)」は、一つまたは一つ以上を含むために使用され、用語「または(“or”)」は、他に指定がない限り非排他的な「または」を示すために使用される。また、本明細書で用いられ、別に定義されていない表現または専門用語は、限定の意図ではなく説明の意図のみであると解される。さらに、本明細書で参照されるすべての刊行物、特許、特許文献は、引用することにより個別に組み込まれるかのように、それらのすべてが、引用することにより本明細書に組み込まれる。本文献と、引用することにより組み込まれたこれらの文献の間に矛盾した語法がある場合には、その組み込まれた引用の語法は、本文献の語法に対する補助的なものとみなされるべきである。すなわち、相容れない矛盾がある場合は、本文献での語法に従う。
【0009】
発明の実施形態は、流体貯蔵構成材の製造方法に関する。流体貯蔵構成材は、例えば、流体貯蔵材料、構造充填材、複合貯蔵材料、または流体容器を含んでよい。そのような構成材は、燃料電池システムなどの小型またはマイクロ規模のエネルギーシステムに利用されてよい。発明の実施形態は、製造可能性を改善するための圧縮と焼結の分離、取り扱いと安全性を改善するための凝集、および容器の強度を増大させるためのより高い焼結温度などの製造方法に関する。焼結に先立つ、流体の接触/除去の活性化および循環は、活性化により生じる圧力を取り除く。そのような循環は、流体貯蔵構成材を形成している間、または容器の形成中に成し得る。流体は、容器の変形を防ぐために活性化ステップ後に十分に除去してよい。
【0010】
<定義>
本明細書では、「活性化」とは、流体貯蔵構成材または容器を、貯蔵可能な流体と接触させることを指す。実施例として、金属水素化物は、水素にさらすことにより活性化され得る。流体は、活性化が発生するように、構成材と化学的または物理的に相互作用し得る。活性化はまた、構成材からの流体の除去または実質的な除去を含んでよい。
【0011】
本明細書では、「焼結」とは、凝集塊を形成するために、構成物質のうちの一つ以上を溶解して、または溶解しないで加熱することにより、固体または混合物を加熱することを指す。焼結は、例えば、混合物の物質間、または均一な物質の粒子もしくは分子の間に、強化された物理的または化学的な結合を形成し得る。本発明の実施形態によると、焼結は、従来用いられているよりも高い温度で完遂させてよい。焼結は、例えば、活性化と併用して用いてよい。焼結は、例えば、約130℃から約220℃の温度で発生してよい。
【0012】
本明細書では、「溶融(fusing)」または「溶融した(fused)」とは、その前の状態よりもより強固な結合が形成されるような、化学的または物理的な接触を指す。溶融は、物質間または物質の部分間の強度または相互作用量を増大させる。
【0013】
本明細書では、「減少(reducing)」とは、活性物質粒子などの一つ以上の粒子の粒度を減らすことを指す。粒度は、例えば、粒子の質量または体積に関して減少させてよい。
【0014】
本明細書では、「加熱」とは、物質の温度を変えることを指す。例えば、混合物の温度は、熱または赤外線を加えることにより上昇させてよい。圧縮および加熱は、ホットプレスなどで同時に実施されてよい。
【0015】
本明細書では、「圧縮」とは、加圧を指す。加圧は、機械プレスでの圧縮または圧密圧力の付加など、直接であってよい。圧縮はまた、例えば、機械プレスにおいて剛体のモールドを用いることや、静水圧プレスにおいて柔軟なモールドを使用すること、ならびに、活性化の間、剛体のモールド中に混合物を制限し、活性粒子の膨張が圧密圧力を付加できるようにすることなどによって、圧密を生じさせてもよい。圧縮はまた、直接に物質に加圧し、この過程で、流体貯蔵構成材をモールドに押し込めること(射出成形によるものなど)を含んでよい。
【0016】
本明細書では、「流体」とは、分子が相互に自由に行き来し、その容器の形状をとる傾向があるような、途切れのない無定形物質を指す。流体は、ガス、液化ガス、液体、または加圧液体であってよい。流体の例としては、水素、メタノール、エタノール、ギ酸、ブタン、液体ホウ化水素剤(例えば、ホウ化水素化合物と、一つ以上のアルカリ金属水酸化物)などを含む。
【0017】
本明細書では、「流体貯蔵構成材」とは、流体を貯蔵することができる材料を指す。流体貯蔵構成材は、例えば、物理的または化学的に流体を貯蔵してよい。複合水素貯蔵材は、流体貯蔵構成材の一例である。流体貯蔵構成材はまた、構造充填材を含んでもよい。
【0018】
本明細書では、「活性物質粒子」とは、例えば、金属水素化物などの、水素もしくは他の流体を貯蔵することができる物質粒子、または水素もしくは他の流体を吸蔵および脱着し得る物質粒子を指す。活性物質は、水素と接触した時に金属水素化物を形成することができる、金属、金属合金、または金属化合物であってよい。例えば、活性物質は、LaNi5、FeTi、ミッシュメタルを含有する合金、金属の混合物、またはMmNi5などの鉱石(Mmはランタニドの混合物をあらわす)であってよい。活性物質粒子は、化学吸着、物理吸着またはそれらの組み合わせにより水素を吸蔵してよい。活性物質粒子はまた、シリカ、アルミナ、ゼオライト、グラファイト、活性炭、ナノ構造炭素、マイクロセラミック、ナノセラミック、窒化ホウ素ナノチューブ、パラジウム含有の物質、またはそれらの組み合わせも含んでよい。
【0019】
本明細書では、「構造充填材」とは、流体で加圧された場合に、流体容器の内圧に耐えるための十分な機械的強度を持つ材料を指す。構造充填材は、固体であってよい。構造充填材は、例えば、金属格子もしくは、プラッチックの格子、複合水素貯蔵材、クラスレート、ナノ構造炭素発泡体、エアロゲル、ゼオライト、シリカ、アルミナ、グラファイト、活性炭、マイクロセラミック、ナノセラミック、窒化ホウ素ナノチューブ、ホウ化水素粉末、パラジウム含有の物質、またはそれらの組み合わせを含んでよい。
【0020】
本明細書では、「適合するように結合(conformably coupled)」とは、2つの構成要素間に実質的に均一な接着を形成し、対応する形状もしくは形態で、化学的または物理的に接着するような方法で取り付けられることを指す。構造充填材または流体貯蔵構成材は、容器外壁に適合するように結合されてよく、例えば、容器外壁は、構造充填材または流体貯蔵構成材と化学的または物理的に接着し、その形になる。
【0021】
本明細書では、「容器外壁(outer enclosure wall)」とは、流体容器から流体の拡散を少なくとも部分的に遅くする働きを持つ流体容器内の最外層を指す。容器外壁は、同じまたは異なる材料の多層を含んでよい。容器外壁は、例えば、ポリマーまたは金属を含んでよい。
【0022】
本明細書では、「機構(feature)」とは、流体容器と関連する流体構成材を指す。機構は、容器と外部装置または周囲環境の間の連絡、流体の監視または制御を行うように機能し、あるいは構成部品の機能を果たす。機構の例としては、バルブ、レギュレータ、圧力除去装置、流量検出器、キャップ、接続金具(fitting)、ベント、管などが挙げられる。
【0023】
本明細書では、「構造的機構(structural feature)」とは、構造充填材、流体貯蔵構成材、容器外壁、または流体容器全体の、形状、位置調整、または配置と関連し得る要素を指す。例えば、構造的機構を、外部部品のために空間を空けるため、または流体容器と外部装置の間により効果的な配置を作るために形成してよい。構造的機構は、凸状の突起部、窪んだ凹部、土台、フランジ、接続金具、突起(bosses)、平滑なまたは半径状の(radiused)隅部などを含む。
【0024】
本明細書では、「金属水素化物粒子」または「金属水素化物」とは、水素と接触した時に金属水素化物を形成することができる、金属または金属合金の粒子を指す。そのような金属または金属合金の例としては、LaNi5、FeTi、Mg2Ni、およびZrV2が挙げられる。そのような化合物は、各々、金属水素化物化合物のより一般的な表記、すなわち、AB、AB2、A2B、AB5およびBCCの代表例である。水素と結合すると、これらの化合物は、例えば、MgH2、Mg2NiH4、FeTiH2およびLaNi5H6などの金属水素化物錯体を形成する。金属水素化物を形成するために使用される金属の例としては、バナジウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、カルシウム、遷移金属、ランタニド、およびそれらの金属間の化合物および固溶体が挙げられる。
【0025】
本明細書では、「複合水素貯蔵材」とは、結合剤と混合した活性物質粒子を指し、そこでは、結合剤は、活性物質粒子間の相対的な空間関係を維持するために十分に活性物質粒子を固定化する。複合水素貯蔵材の例は、2006年4月24日に出願した、共同所有の米国特許出願番号11/379,970に開示されており、その開示は、引用されることによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0026】
本明細書では、「接触」とは、物理的、化学的、電気的に触れることまたは十分に近接近することを指す。流体は、容器と接触してよく、その中で例えば、流体は容器の内部に物理的に押し込められる。
【0027】
本明細書では、「流体容器(fluid enclosure)」とは、流体貯蔵構成材と、流体貯蔵構成材に適合するように結合された容器外壁を含む、流体容器を指してよい。そのような流体容器の例は、共同所有の米国特許第7,563,305号に開示されており、その開示は、引用されることによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
図1を参照して、流体貯蔵構成材の製造方法のブロック流れ図100を、いくつかの実施形態に照らして示す。活性物質粒子のデクレピテーションサイズと実質的に同じオーダーの範囲内の最大活性物質粒度をもたらすのに十分に、活性物質粒子の粒度を減少させてよい(102)。粒子の粒度分布は、粒子の効果的な充填を最大にするよう選択してよい。粒子を、その後、混合物をもたらすのに十分に結合剤と接触させてよい(104)。混合物を、その後、圧縮混合物をもたらすために圧縮してよい(106)。圧縮混合物を、その後、加熱してよい(108)。混合物は、同時に圧縮(106)および加熱(108)してよい。
【0029】
減少させるステップ102は、例えば、破砕、粉砕、転動(tumbling)、水素との反応によるデクレピテーション、およびそれらの組み合わせにより完遂してよい。減少させるステップ102は、遊星ミル、ジェットミル、または転動装置を用いて行ってよい。減少させるステップ102はまた、水素などの流体との反応を通じた、反応粉砕またはデクレピテーションにより行ってもよい。減少させるステップは、反応粉砕および物理的粉砕の組み合わせにより行ってよい。活性物質粒子は、粒子に応力および歪みを誘発し、粒子をデクレピテーションさせる、または、より小さい粒子に分解する、水素などの流体と接触させてよい。活性物質粒子は、ある期間に渡って繰り返し流体と接触すると、「最終粒度(terminal particle size)」として時に知られている、平均粒度が安定する点に、必然的にデクレピテーションされ得る。異なる活性物質は、その特定物質の特質である平均最終粒度を持ち、これは、問題になっている活性物質によって変化し得る。この安定した平均粒度は、活性物質粒子の「デクレピテーションサイズ(decrepitation size)」と本明細書では称される。それら粒子は、粒子のかなり大きな割合が活性物質粒子のデクレピテーションサイズと実質的に同じオーダーの範囲内の粒度を有するまで減少され得る(102)。制御された粒度分布を有することで、粒子は、より効果的な充填をもたらし、増加した充填密度を可能にし得る。減少させるステップ102は、不活性雰囲気で行ってよい。減少させるステップ102は、接触させるステップ104と同時に実施されてよい。
【0030】
結合剤と接触させるステップ104は、混合、転動、かくはん、溶解して結合、またはそれらの組み合わせを含んでよい。転動は、例えば、V字形の混合器の中で粒子および結合剤を接触させることを含んでよい。粒子は、不要な環境構成成分との不要な物理的反応または化学的反応を回避するため、ヘリウム、窒素、またはアルゴンの環境などの不活性環境で接触させてよい。溶解して接触させる場合、結合剤を溶解して粒子と接触させ、続いて溶媒を蒸発させてよい。蒸発は、その後、ケーキなどの集塊状になった混合物を作り出してよい。
【0031】
混合物は、例えば、約50メガパスカルから約500メガパスカル、約100メガパスカルから約400メガパスカル、または約200メガパスカルから約300メガパスカルの圧力を加えることで圧縮してよい(106)。混合物は、「ハードストップ(hard stop)」まで圧縮してよく(106)、すなわち、反応機構が予め決められた固形に達するまで混合物を圧縮し、その結果、加圧および形状維持において高い不変性が確保される。混合物はまた、ハードストップの使用なしに、決められた所定の加圧の適用によって圧縮してもよい。圧縮するステップ106は、モールド内で実施されてよい。内部もしくは、外部の機構、またはそれらの一部分を、モールド内部の機構(internal mold featuring)を介した圧縮過程中に形成してよい。
【0032】
加熱するステップ108は、例えば焼結を含んでよい。加熱するステップ108は、例えば、約100℃から約350℃、または約155℃から約290℃でよい。加熱するステップは、粒子を所望の形状に圧縮しながら構成材を焼結するための加熱プレスを使用するなど、圧縮するステップと組み合わせてよい。繰り返しのステップを通して周期的に、構成材を流体と接触させ、その後、流体を真空で除去してよい。構成材を真空下で加熱し、その後、圧力を上昇させながら不活性ガスにさらしてよい。ヘリウムなどの不活性ガスは、水素などの流体の再投入前に除去してよい。構成材は、その後、真空下で冷却され、それらの過程または過程の一部を繰り返してよい。そのような循環および焼結は、構成材から実質的により多くの流体を除去し、それ故、構成材が製造時に変形することを抑制する。
【0033】
接触させるステップ104の後、混合物を凝集させる任意のステップを実行してよい。凝集させるステップは、混合物の粒子の粒度を増大させることを含み、これは取り扱いおよびさらなる処理の容易性を増大させる。凝集させるステップは、混合物の粒子の加熱およびかくはんを含んでよい。凝集させるステップは、溶融した混合物をもたらすために加熱するステップ、およびその混合物を粗粒子に砕くためにかくはんするステップを含んでよい。凝集させるステップは、冷間圧延法の間加熱せずに加圧および動作することを含んでよい。
【0034】
任意に、しかも加熱のステップの後に、圧縮された、または集塊状になった混合物を活性化してよい。他の実施例では、活性物質粒子を、反応粉砕を通じて減少させるステップ102の間、活性化させてよい。活性物質粒子は、粉末形状であろうと圧縮混合物であろうと、水素などの流体との接触により活性化させてよい。流体は、その後、粒子から除去してよい。流体との接触および流体の除去は、例えば、約30回、約20回、約10回、約5回、または約2回など、数回繰り返されてもよい。混合物を活性化させる場合、応力、膨張、および歪みは、破砕およびさらなる粒子の破壊を生じさせ得る。これらの応力、膨張、および歪みは、不可逆であってよい。さらに、流体によっては、活性化の間に、混合物または流体貯蔵構成材と恒久的に結合させてよい。活性化は、使用する構成材の安定をもたらし得る。接触させるステップおよび減少させるステップは、例えば、圧力容器で発生してよい。
【0035】
流体貯蔵構成材は、例えば、積層流体貯蔵構成材を形成するために第2の流体貯蔵構成材と積層させてよい。各流体貯蔵構成材は、最終構成材の半分を形成してよい。内部の機構は、積層中に形成してよい。例えば、各流体貯蔵構成材は、モールド内で圧縮または加熱してよい。モールドは、2つの流体貯蔵構成材が積層されるかまたは他の方法で接触する際に、内部の機構が形成されるような、地形または形状を含んでよい。機構は、溝(チャネルまたはグルーブ)などの流れ場機構であってよい。積層は、接着剤を使用して実施してよい。接着剤は、例えば、結合剤と同じまたは類似の物質で製造してよい。
【0036】
図2を参照して、流体容器の製造方法のブロック流れ図200をいくつかの実施形態に照らして示す。容器外壁202は、流体容器をもたらすのに十分に、流体貯蔵構成材204または一つより多い構成材と適合するように結合させてよい(206)。
【0037】
適合するように結合させるステップ206は、その壁を流体貯蔵構成材204に成形する溶液流延を含んでよい。溶液流延は、溶液中に壁材料を溶解し、その溶液を流体貯蔵構成材に塗布し、そして流体貯蔵構成材を加熱する、各ステップを含んでよい。壁材料は、流体貯蔵構成材の結合剤と実質的に同じ材料でよい。塗布は何度も繰り返してよい。流体貯蔵構成材は、溶液の利用を最適にするためなど、その形状、テクスチャまたは地形を変えるために、破砕、研磨、転動、トリミング、カッティング、粉砕などをしてよい。流体貯蔵構成材の隅部は、例えば、丸くしてよい。塗布後、構成材を焼結してよい。
【0038】
適合するように結合させるステップ206は、容器外壁の外郭構造を流体貯蔵構成材204に成形することを含んでよい。成形は、モールド中の流体貯蔵構成材および容器外壁の外郭構造を加熱すること含んでよい。加熱するステップの前、最中、または後に、任意の圧縮のステップを実施してもよい。圧縮するステップは、例えば、圧密圧力を付加することを含んでよい。圧縮するステップの後、モールドを焼結してよい。
【0039】
適合するように結合させるステップ206は、容器外壁を流体貯蔵構成材204に真空成形することを含んでよい。真空成形は、流体貯蔵構成材の第1の側面を壁材料の第1の薄板と接触させること、第1の容器外壁を形成するのに十分に真空下でその第1の薄板を加熱すること、流体貯蔵構成材の第2の側面を壁材料の第2の薄板と接触させること、および第2の容器外壁を形成するのに十分に真空下でその第2の薄板を加熱することを含んでよい。各加熱ステップの後、余分な壁材料は、トリミングなどにより、その構成材から除去してよい。その構成材は、真空成形後に焼結してよい。加熱するステップは、例えば、赤外線と接触させることを含んでよい。実施形態によっては、壁材料を、真空形成または成形によって形成された、あらかじめ形成された外郭構造半分に形成してよい。そのような実施形態では、あらかじめ形成された外郭構造半分は、その後、流体貯蔵構成材に真空を付加してその構成材を焼結することにより流体貯蔵構成材に真空成形してよい。焼結の間流体貯蔵構成材に真空を付加することは、あらかじめ形成された外郭構造半分を、流体貯蔵構成材に適合するように結合させることを可能にする。
【0040】
適合するように結合させるステップ206の真空形成または他の方法に先立ち、流体貯蔵構成材204は、容器外壁の接触を促進させるために表面の前処理をしてよい。表面の前処理は、研磨、転動、または構成材のテクスチャまたは地形を変化させる他の方法を含んでよい。その処理はまた、容器外壁を適合するように結合させることに先立ち、その構成材に結合剤と同類の材料をコーティングすることを含んでよい。コーティングは、噴霧、浸し塗り、塗装などにより適用されてよい。
【0041】
接触させるステップは、接触した時に構成材の全ての端上に実質的に同じ厚さを持つ壁を形成するように、壁材料の第1および第2の薄板の厚さを調整することを含んでよい。実施形態によっては、壁材料を、構成材の周りの壁を形成するために制御および/または変化させた厚さに成形した形状に、あらかじめ形成してもよい。厚さの調整は、流体所蔵構成材と接触するモールドの形状を制御することにより実施してよい。壁材料は、流体貯蔵構成材の結合剤と実質的に同じ材料であってよい。流体貯蔵構成材は、壁材料の薄板の適用を最適にするといった、その形状、テクスチャ、または地形を変えるために、破砕、トリミング、カッティング、転動、粉砕などをしてよい。流体貯蔵構成材の隅部は、例えば丸くしてよい。
【0042】
適合するように結合させるステップ206は、流体貯蔵構成材204に容器外壁202を粉体塗装することを含んでよい。容器外壁202または流体貯蔵構成材204のいずれかは、静電的に帯電させてよい。粉体塗装後、加熱のステップが実施されてよい。その塗装は、多重のステップで生じてよい。構成材204は、焼結してよい。
【0043】
適合するように結合させるステップ206の前または後で、一つ以上の機構または構造的機構を、容器外壁202、流体貯蔵構造材204、またはその両方に形成してよい。機構は、流体容器または流体貯蔵構成材と関連した流体構成材を含む。機構は、容器と外部装置または周囲環境との間の連絡、流体の監視または制御に機能し、あるいは、構造的構成材として機能する。機構の例としては、バルブ、レギュレータ、圧力除去装置、流量検出器、キャップ、接続金具、ベント、管、または他のマイクロ流体素子が挙げられる。例えば、容器に流体接続部を与える機構は、プラスチックのプラグに組み込まれるしまりばめ(interference)である金属またはプラスチックの管を含み得る。そのような機構を構築するために、ポートが容器に形成されてよい。ポートは、そのポートの最初の部分が拡大径を有するように構築されてよい。拡大されたポートに整合する直径を持つ環状のプラグを、その後、そのポートに接着してよい。環状のプラグの先端を、その後、流体容器の壁に溶解し、そのプラグと容器の間に機密性のシールを設けてよい。管は、その後、環状のプラグに圧入してよい。
【0044】
一実施例では、機構は、次のとおり構築してよく、容器のポート穴の第1の部分(すなわち、約3mm)に、その直径を大きくするために穴を開ける。環状のプラグ(すなわち、0.45mmの内径、1.4mmの外径、および5mmの長さを持つ)を、接着剤を使用して環状のポート穴に接着してよい。実施形態によっては、アセトンに溶解された2500級のKynarflexを含む接着剤を使用してよい。接着過程では、プラグの形状を保護するために、ダウエルをそのプラグの内径に(すなわち、0.45mm)差し込んでよい。一度接着剤が乾燥したら、熱シーラーを、プラグの先端を平坦にし、容器の壁にそれを溶解するために使用してよい。容器壁にプラグを溶解することは、機密性のシールがそのプラグと容器の間に形成することを確実にし得る。この実施例では、そのプラグと容器壁は、2500級Kynarflexで共に作られてよい。ダウエルを、今度は、所定の位置に圧入する管(すなわち、0.5mmの外径)と交換して除去してよい。そのプラグと管(すなわち、0.5mm)の間のしまりばめ(interference fit)は、機密性のシールを形成する。十分なシールを確保するために、挿入に先立ち、グリースを管に塗布してよい。
【0045】
構造的機構とは、構造充填材または流体貯蔵構成材、容器外壁または流体容器全体の、形状、位置、または配置状態と関連し得る要素を言う。構造的機構は、例えば、外部部品のために空間を空けるため、または流体容器と外部装置の間により効果的な配置を作り出すために形成してよい。構造的機構は、凸状の突起部、窪んだ凹部、土台、フランジ、接続金具、突起、平滑なまたは半径状の隅部などを含む。機構は、例えば、流体の流れ場を増加させるものであってよい。そのような内部の機構は、溝(チャネルまたはグルーブ)であってよい。
【0046】
流体容器は、次の方法に従って製造してよく、活性物質粒子のデクレピテーションサイズと実質的に同じオーダーの範囲内の最大活性物質粒度をもたらすのに十分に活性物質粒子の粒度を減少させるステップ、混合物をもたらすのに十分に該粒子を結合剤と接触させるステップ、圧縮混合物をもたらすのに十分に該混合物を圧縮するステップ、流体貯蔵構成材を形成するために該結合剤および該活性物質粒子を溶融させるために十分に該圧縮混合物を加熱するステップ、ならびに流体容器をもたらすのに十分に該流体貯蔵構成材に容器外壁を適合するように結合させるステップを含む。
【0047】
さらに、適合するように結合させるステップの最中または後に、容器壁と流体貯蔵構成材の間の接着を強固にするために十分に流体容器を加熱する任意のステップを実施してよい。適合するように結合させるステップの前に、一つ以上の機構または構造的機構を、例えば流体貯蔵構成材または容器外壁に形成してよい。
【0048】
別の実施形態では、流体容器の製造方法は、活性物質粒子のデクレピテーションサイズと実質的に同じオーダーの範囲内の最大活性物質粒度をもたらすのに十分に活性物質粒子の粒度を減少させるステップ、混合物をもたらすのに十分に該粒子を結合剤と接触させるステップ、該混合物を圧縮するステップ、流体容器をもたらすのに十分に該流体貯蔵構成材に容器外壁を適合するよう結合させるステップ、および、該容器壁と該流体貯蔵構成材の間の接着を強固にし、流体貯蔵構成材を形成するために該結合剤および該活性物質粒子を溶融させるために十分に該圧縮混合物を加熱するステップを含む。
【0049】
上記の記述は、限定ではなく、例証を目的としている。他の実施形態は、上記記述を考察することで当業者などにより使用可能である。また、上記の詳細な説明で、様々な特徴は、その開示を簡素化するためにまとめてもよい。これは、未請求の開示した特徴がいずれかの請求項にとって必須であることを意味するように解釈すべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示した実施形態の全ての特徴よりも少ないところにあり得る。したがって、次の請求項は、詳細な説明に本明細書により組み込まれ、各請求項は個々の実施形態として独立する。発明の範囲は、そのような請求項が権利を付与される均等物の全ての範囲とともに、添付の請求項に準拠して決められるべきである。
【0050】
要約は、読者がその技術開示の本質を速やかに確認できるようにするために、米国特許法施行規則1.72条(b)項に準拠して与えられている。それは、請求項の範囲または目的を解釈または限定するために使用されないとの理解に立って提出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質粒子のデクレピテーションサイズと実質的に同じオーダーの範囲内の最大活性物質粒度をもたらすのに十分に、活性物質粒子の粒度を減少させるステップと、
混合物をもたらすのに十分に、前記粒子を結合剤と接触させるステップと、
圧縮混合物をもたらすのに十分に、前記混合物を圧縮するステップと、
流体貯蔵構成材を形成するために前記結合剤および前記活性物質粒子を溶融させるために十分に、前記圧縮混合物を加熱するステップと、
を含む、流体貯蔵構成材の製造方法。
【請求項2】
積層流体貯蔵構成材をもたらすのに十分に、多重の流体貯蔵構成材を積層するステップをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記積層流体貯蔵材は、機構を含むことを特徴とする、請求項2の方法。
【請求項4】
前記機構は、流れ場機構を含むことを特徴とする、請求項3の方法。
【請求項5】
前記減少させるステップは、破砕するステップ、粉砕するステップ、転動させるステップ、および水素との反応によりデクレピテーションさせるステップの一つ以上を含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項6】
前記接触させるステップは、混合するステップ、転動させるステップ、かくはんするステップ、溶解して結合するステップ、またはこれらを組み合わせたステップを含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項7】
前記減少させるステップおよび前記接触させるステップは、同時に実施されることを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項8】
前記加熱するステップは、焼結するステップを含む、請求項1の方法。
【請求項9】
前記接触させるステップ後に、前記混合物を凝集させるステップをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項10】
前記圧縮するステップは、モールド内で前記混合物に圧密圧力を付加するステップ、または加圧を用いてモールドに前記混合物を押し込むステップを含むことを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項11】
前記モールドは、機構または機構の一部をもたらすために構造化されることを特徴とする、請求項10の方法。
【請求項12】
前記流体貯蔵構成材を活性化するステップをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項13】
前記活性化するステップは、流体と前記構成材を接触させるステップを含む、請求項12の方法。
【請求項14】
前記流体を除去するステップをさらに含む、請求項13の方法。
【請求項15】
前記除去するステップ後に、流体と前記構成材を繰り返して接触させるステップと、前記流体を除去するステップをさらに含む、請求項14の方法。
【請求項16】
流体容器の製造方法であって、
流体貯蔵構成材に容器外壁を適合するように結合させるステップを含み、
前記適合するように結合させるステップは、流体貯蔵構成材に容器外壁を成形するステップを含むことを特徴とする、
方法。
【請求項17】
前記成形するステップは、モールド中で前記流体貯蔵構成材および前記容器外壁を加熱するステップを含むことを特徴とする、請求項16の方法。
【請求項18】
前記成形するステップは、前記流体貯蔵構成材に容器外壁を真空成形するステップを含むことを特徴とする、請求項16の方法。
【請求項19】
圧縮するステップをさらに含む、請求項18の方法。
【請求項20】
焼結するステップをさらに含む、請求項19の方法。
【請求項21】
前記適合するように結合させるステップ前に、前記流体貯蔵構成材の表面を研磨するステップをさらに含む、請求項16の方法。
【請求項22】
前記真空成形するステップは、
壁材料の第1の薄板と前記流体貯蔵構成材の第1の側面を接触させるステップと、
第1の容器外壁を形成するのに十分に、真空下で前記第1の薄板を加熱するステップと、
壁材料の第2の薄板と前記流体貯蔵構成材の第2の側面を接触させるステップと、
第2の容器外壁を形成するのに十分に、真空下で前記第2の薄板を加熱するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項18の方法。
【請求項23】
前記壁材料は、前記流体貯蔵構成材の結合剤と実質的に同じ材料を含むことを特徴とする、請求項22の方法。
【請求項24】
前記真空成形するステップは、
一つ以上の構成材を含む外郭構造を形成するステップと、
前記外郭構造内に前記流体貯蔵構成材を密閉するステップと、
前記外郭構造を前記流体貯蔵構成材に適合するように付着させるように、前記流体貯蔵構成材および前記外郭構造の組立部の内部に真空を付加しながら前記組立部を焼結するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項18の方法。
【請求項25】
前記流体貯蔵構成材は、
活性物質粒子のデクレピテーションサイズと実質的に同じオーダーの範囲内の最大活性物質粒度をもたらすのに十分に、活性物質粒子の粒度を減少させるステップと、
混合物をもたらすのに十分に、前記粒子を結合剤と接触させるステップと、
圧縮混合物をもたらすのに十分に、前記混合物を圧縮するステップと、
前記結合剤および前記活性物質粒子を溶融させるために十分に、前記圧縮混合物を加熱するステップと、
により形成されることを特徴とする、請求項16の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−150124(P2010−150124A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−230029(P2009−230029)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(507045041)オングストローム パワー インク. (14)
【氏名又は名称原語表記】ANGSTROM POWER INC.
【Fターム(参考)】