説明

流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置

【課題】薄型化の要求を満たしつつ、軸受部に対して供給される十分な量の潤滑流体を微小隙間内に保持して装置の長寿命化を図ることが可能な流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置を提供する。
【解決手段】流体軸受装置20では、スリーブ11の軸受孔11a内に回転可能な状態で挿入されたシャフト12を回転中心として、ロータハブ15等の回転側の部材を回転させる。流体軸受装置20は、スリーブ11の径方向外側において、潤滑流体26を保持する略円環状のテーパシール部(第1テーパシール部21および第2テーパシール部22)を複数有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク駆動装置等に搭載される流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスク駆動装置(以下、HDD)等のディスク駆動装置に搭載されるスピンドルモータは、非接触回転によって低NRRO(Non-Repetitive Run Out)や低騒音が実現できる動圧流体軸受(以下、流体軸受装置と示す。)が用いられている。
【0003】
このような流体軸受装置では、流体軸受装置の角度剛性を向上させるために、軸とスリーブとの間の隙間に形成されるラジアル軸受部の長さをできるだけ長く確保した構成を採用することが望ましい。一方で、スピンドルモータの薄型化の要求も存在することから、ラジアル軸受部の長さを確保しながら、流体軸受装置の厚みが増大しないような構成が必要とされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ハブの突部の内周面とスリーブの外周面との間の隙間にテーパシール部を設けることでラジアル軸受部の長さを確保し、ハブとスリーブ上面との対向面の間の隙間を潤滑性流体の溜まり部としたスピンドルモータが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、スリーブと軸ブッシュとの間の基準隙間を簡易な構成によって高精度に形成するために、スリーブと軸ブッシュとに一対の抜け止め部材をそれぞれ設けた円錐型の動圧軸受装置について開示されている。
【特許文献1】特開2006−17153号公報(平成18年1月19日公開)
【特許文献2】特開2005−61464号公報(平成17年3月10日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のスピンドルモータ等では、以下に示すような問題点を有している。
【0007】
すなわち、上記公報に開示された装置では、薄型化の要求を満たしつつ、十分な角度剛性を確保するために必要な長さを有するラジアル軸受を形成した場合でも、軸受に対して供給される潤滑流体を十分に確保することができないおそれがある。この場合には、蒸発や外部への漏れ出し等によって潤滑流体の量が減少すると、軸受部に対して十分な量の潤滑流体が供給されずに動作不良が発生し、装置の長寿命化を図ることは困難になる。
【0008】
本発明の課題は、薄型化の要求を満たしつつ、軸受部に対して供給される十分な量の潤滑流体を微小隙間内に保持して装置の長寿命化を図ることが可能な流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る流体軸受装置は、軸と、スリーブと、ハブと、テーパシール部と、を備えている。スリーブは、軸が潤滑流体を介して回転可能な状態で装填される軸受孔を有する。ハブは、スリーブにおける軸受孔の開放端側を覆うように、軸を中心として回転する回転体側に取り付けられている。複数の略円環状のテーパシール部は、スリーブの径方向外側において、ハブの一部とスリーブとの間に配置されており、潤滑流体を保持する。
【0010】
ここでは、スリーブの径方向外側における回転体側(軸あるいはスリーブ)に固定されたハブの一部(垂下部等)とスリーブとの間に、略円環状のテーパシール部を複数設けている。すなわち、流体軸受装置を軸方向から見て、略円環状のテーパシール部が径方向において複数配置されている。
【0011】
ここで、上記テーパシール部は、軸とスリーブとの間等に形成された軸受部を含む微小隙間に充填された潤滑流体が外部へ漏れ出さないように、潤滑流体の界面から奥側に向かって隙間の大きさを狭くすることで毛管力(表面張力)によって潤滑流体を保持する部分であって、軸を中心とする略円環状のものが径方向に複数配置されている。
【0012】
これにより、スリーブよりも径方向外側において、潤滑流体が外気と接する界面を径方向に複数設けることができるため、軸とスリーブとの間の隙間に形成されるラジアル軸受をハブの直近まで設けて十分な長さとすることができる。よって、流体軸受装置の角度剛性を向上させることができる。また、テーパシール部を複数設けることで、潤滑流体に働く表面張力の大きさを増大させて、微小隙間内において潤滑流体を確実に保持することができる。よって、衝撃等が加えられた際における潤滑流体の漏れ出しを防止して、潤滑流体の減少を回避することができる。さらに、テーパシール部を複数有しているため、軸受部を除く潤滑流体を溜め込む部分の体積を大きくすることができる。このため、軸受部に供給される潤滑流体の量を十分確保して流体軸受装置の長寿命化を図ることができる。
【0013】
第2の発明に係る流体軸受装置は、第1の発明に係る流体軸受装置であって、スリーブの外周面に対して取り付けられており、内周側および外周側に複数のテーパシール部がそれぞれ形成される略円環状のリングシール部材をさらに備えている。
【0014】
ここでは、上述した複数のテーパシール部を形成するために、スリーブの外周面に対して取り付けられる略円環状のリングシール部材を用いている。
【0015】
これにより、例えば、リングシール部材の内周面とスリーブとの間の隙間に1つ目のテーパシール部(第2テーパシール部)を形成し、リングシール部材の外周面とハブの一部(垂下部)との間の隙間に2つ目のテーパシール部(第1テーパシール部)を形成することができる。よって、リングシール部材だけを追加することで、径方向に複数配置された略円環状のテーパシール部を容易に形成することができる。
【0016】
第3の発明に係る流体軸受装置は、第2の発明に係る流体軸受装置であって、リングシール部材は、略円環状の外周面とハブにおけるスリーブとの対向面からスリーブ側に向かって略垂直に延伸した垂下部との間において第1テーパシール部を形成する。さらに、リングシール部材は、略円環状の内周面とスリーブの外周面との間において第2テーパシール部を形成する。
【0017】
ここでは、スリーブの外周面に対して取り付けられたリングシール部材の外周面側と内周面側とに、それぞれ第1テーパシール部と第2テーパシール部とを設けている。
【0018】
これにより、リングシール部材を追加しただけの簡素な構成によって、径方向に配置された複数のテーパシール部を容易に形成することができる。
【0019】
第4の発明に係る流体軸受装置は、第2または第3の発明に係る流体軸受装置であって、リングシール部材は、略円環状の部材における径方向に沿って略L字型形状の断面形状を有している。
【0020】
ここでは、リングシール部材の形状として、径方向に沿った断面が略L字型形状となるような略円環状の部材を用いている。
【0021】
これにより、略L字型の屈曲部がスリーブの外周面に向くように配置することで、リングシール部材の外周側と内周側とに、それぞれテーパシール部として機能する隙間を設けることができる。具体的には、リングシール部材の外周面とハブの垂下部との間の隙間、リングシール部材の内周面とスリーブとの間の隙間、をテーパシール部とすることができる。よって、簡易な構成により、径方向に沿って複数のテーパシール部を形成することができる。
【0022】
第5の発明に係る流体軸受装置は、第2から第4の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、リングシール部材は、テーパシール部と外気とを連通させるベンチホールを有している。
【0023】
ここでは、スリーブの外周面に取り付けられたリングシール部材に対して、テーパシール部と外気とを連通させるベンチホールを1つあるいは複数設けている。
【0024】
ここで、上記ベンチホールは、例えば、断面が略L字型形状のリングシール部材の底面あるいは外周面に、周方向に沿って1つまたは複数設けられていればよい。
【0025】
これにより、流体軸受装置に対して衝撃が付与された際に、テーパシール部の周辺が密閉状態となってしまうことを回避することができる。よって、潤滑流体に混入した気泡を、スムーズに外気へと排出することができる。
【0026】
第6の発明に係る流体軸受装置は、第1の発明に係る流体軸受装置であって、ハブの内周面に対して取り付けられており、内周側および外周側に複数のテーパシール部がそれぞれ形成される略円環状のリングシール部材をさらに備えている。
【0027】
ここでは、上述した複数のテーパシール部を形成するために、ハブの内周面に対して取り付けられる略円環状のリングシール部材を用いている。
【0028】
これにより、例えば、リングシール部材の内周面とスリーブの外周面との間の隙間に1つ目のテーパシール部(第2テーパシール部)を形成し、リングシール部材の外周面とハブの一部(垂下部)との間の隙間に2つ目のテーパシール部(第1テーパシール部)を形成することができる。よって、リングシール部材だけを追加することで、径方向に複数配置された略円環状のテーパシール部を容易に形成することができる。
【0029】
また、ハブの内周面側にリングシール部材を固定したことで、リングシール部材もハブとともに回転する構成となる。このため、リングシール部材の内外周面にそれぞれ形成される2つの潤滑流体の界面のうち内周面側の界面は、回転側の部材と固定側の部材とに挟まれるため、変動しやすい状態となる。よって、スリーブの外周面側にリングシール部材を固定した構成と比較して、変動し易い界面が、リングシール部材の外周面側から内周面側へと移動するため、その周辺の潤滑流体に掛かる遠心力を低減して、潤滑流体の漏れ出しを防止することができる。
【0030】
第7の発明に係る流体軸受装置は、第6の発明に係る流体軸受装置であって、リングシール部材は、略円環状の外周面とハブにおけるスリーブとの対向面からスリーブ側に向かって略垂直に延伸した垂下部との間において第1テーパシール部を形成する。さらに、リングシール部材は、略円環状の内周面とスリーブの外周面との間において第2テーパシール部を形成する。
【0031】
ここでは、ハブの内周面に対して取り付けられたリングシール部材の外周面側と内周面側とに、それぞれ第1テーパシール部と第2テーパシール部とを設けている。
【0032】
これにより、リングシール部材を追加しただけの簡素な構成によって、径方向に配置された複数のテーパシール部を容易に形成することができる。
【0033】
第8の発明に係る流体軸受装置は、第6または第7の発明に係る流体軸受装置であって、リングシール部材は、略円環状の部材における径方向に沿って略L字型形状の断面形状を有している。
【0034】
ここでは、リングシール部材の形状として、径方向に沿った断面が略L字型形状となるような略円環状の部材を用いている。
【0035】
これにより、略L字型の屈曲部が、ハブの内周面に向くように配置することで、リングシール部材の外周側と内周側とに、それぞれテーパシール部として機能する隙間を設けることができる。具体的には、リングシール部材の外周面とハブの垂下部との間の隙間、リングシール部材の内周面とスリーブとの間の隙間、をテーパシール部とすることができる。よって、簡易な構成により、径方向に沿って複数のテーパシール部を形成することができる。
【0036】
第9の発明に係る流体軸受装置は、第6から第8の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、リングシール部材は、テーパシール部と外気とを連通させるベンチホールを有している。
【0037】
ここでは、ハブの内周面に取り付けられたリングシール部材に対して、テーパシール部と外気とを連通させるベンチホールを1つあるいは複数設けている。
【0038】
ここで、上記ベンチホールは、例えば、断面が略L字型形状のリングシール部材の底面あるいは外周面に、周方向に沿って1つまたは複数設けられていればよい。
【0039】
これにより、流体軸受装置に対して衝撃が付与された際に、テーパシール部の周辺が密閉状態となってしまうことを回避することができる。よって、潤滑流体に混入した気泡を、スムーズに外気へと排出することができる。
【0040】
第10の発明に係る流体軸受装置は、第1から第9の発明に係る流体軸受装置であって、複数のテーパシール部は、軸方向におけるハブ側に向かって径が大きくなる方向に沿って配置されている。
【0041】
ここでは、スリーブの径方向外側に形成される複数のテーパシール部について、軸方向におけるハブ側に向かって径が大きくなるような向きで形成している。
【0042】
ここで、上述した向きでテーパシール部を形成する構成としては、例えば、ハブ側に向かって径が大きくなる傾斜面を含むリングシール部材を配置したり、ハブの内周面やスリーブの外周面を上記方向に沿って斜めに形成したりすればよい。
【0043】
これにより、ハブを含む回転側の部材が回転した際に生じる遠心力がテーパシール部付近にある潤滑流体に付与された場合でも、テーパシール部の形状によって、ハブ側へと潤滑流体を移動させることができる。この結果、潤滑流体に遠心力がかかった状態でも、テーパシール部の界面からの潤滑流体の漏れ出しを効果的に抑制して、流体軸受装置を長寿命化することができる。
【0044】
第11の発明に係る流体軸受装置は、第1から第10の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、ハブとスリーブとの間の隙間に形成された流体溜まり部をさらに備えている。
【0045】
ここでは、軸回転型の流体軸受装置において、軸とスリーブとの間を含む微小隙間に充填され軸受部に対して供給される潤滑流体を、ハブとスリーブとの対向面の間において保持する流体溜まり部を設けている。すなわち、ハブとスリーブとの対向面の間には、動圧発生溝を設けることなく流体溜まり部として用いている。
【0046】
これにより、軸受部に対して供給される潤滑流体を、テーパシール部とラジアル軸受部との間の微小隙間において十分に確保することができる。よって、潤滑流体が蒸発等によって減少した場合でも軸受性能の低下を回避して流体軸受装置の長寿命化を図ることができる。
【0047】
第12の発明に係る流体軸受装置は、第11の発明に係る流体軸受装置であって、ハブは、スリーブとの対向面に、流体溜まり部として利用される空間を拡大する凹部を有している。
【0048】
これにより、ハブとスリーブとの間の隙間を流体溜まり部として利用している構成において、例えば、ハブ側の面に掘り込み加工等して凹部を設けることで、流体溜まり部の大きさ(体積)を容易に拡大することができる。よって、軸受部分に対して供給される潤滑流体を十分に貯留することが可能な流体軸受装置を構成することができる。
【0049】
第13の発明に係る流体軸受装置は、第11の発明に係る流体軸受装置であって、スリーブは、流体溜まり部として、半径方向において軸方向高さが異なる凹部を有している。
【0050】
これにより、ハブとスリーブとの間の隙間を流体溜まり部として利用している構成において、例えば、スリーブの一部に掘り込み加工等して半径方向における凹部を設けることで、流体溜まり部の大きさ(体積)を容易に拡大することができる。よって、軸受部分に対して供給される潤滑流体を十分に貯留することが可能な流体軸受装置を構成することができる。
【0051】
第14の発明に係る流体軸受装置は、第1から第13の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、ラジアル軸受部とスラスト軸受部とをさらに備えている。ラジアル軸受部およびスラスト軸受部の少なくとも一方は、潤滑流体に対して循環力を付与する非対称溝を有している。
【0052】
ここでは、軸とスリーブとの間の隙間を含む微小隙間に形成される軸受部(ラジアル軸受部および/またはスラスト軸受部)には、非対称な動圧発生溝が形成されている。
【0053】
これにより、軸受部に流入した潤滑流体には、所望の方向に向かって微小隙間に沿って移動する循環力が付与される。この結果、気泡が混入した潤滑流体を気泡ごと循環させることで、気泡をスムーズに外気へと排出することができる。
【0054】
第15の発明に係る流体軸受装置は、第1から第14の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、ハブおよびスリーブの対向面いずれか一方に形成された螺旋状の溝をさらに有している。
【0055】
ここでは、軸回転型の流体軸受装置において、ハブとスリーブとの対向面の一方に、径方向外側に向かって気泡を誘導するための螺旋状の溝を設けている。
【0056】
これにより、衝撃が付与された際等において潤滑流体に混入した気泡が、ハブとスリーブとの間の微小隙間に移動した際には、螺旋状の溝によってスムーズに径方向外側に気泡を誘導して、径方向外側に配置されたテーパシール部から外気へと排出することができる。
【0057】
第16の発明に係る流体軸受装置は、第1から第15の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、ハブおよびスリーブの対向面の間の隙間は、径方向外側に向かって大きくなる。
【0058】
ここでは、軸回転型の流体軸受装置において、ハブとスリーブとの対向面の間の微小隙間が、径方向において大きさが変化するように形成されている。具体的には、上記微小隙間は、径方向外側に向かって隙間が大きくなるように形成されている。
【0059】
これにより、ハブを含む回転体側が回転した際に付与される遠心力によって潤滑流体が径方向外側に向かって移動することを、微小隙間の毛管力(表面張力)によって抑制することができる。この結果、遠心力による作用によって潤滑流体が径方向外側へ移動して、テーパシール部から漏れ出すことを防止することができる。
【0060】
第17の発明に係るスピンドルモータは、第1から第16の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置を備えている。
【0061】
これにより、装置全体として薄型化の要求を満たしつつ、ラジアル軸受部の長さを十分に確保するとともに、軸受部に対して供給される潤滑流体を十分に貯留して長寿命化を図ることが可能なスピンドルモータを得ることができる。
【0062】
第18の発明に係る記録再生装置は、第17の発明に係るスピンドルモータを備えている。
【0063】
これにより、装置全体として薄型化の要求を満たしつつ、ラジアル軸受部の長さを十分に確保するとともに、軸受部に対して供給される潤滑流体を十分に貯留して長寿命化を図ることが可能な記録再生装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0064】
本発明に係る流体軸受装置によれば、装置全体として薄型化の要求を満たしつつ、ラジアル軸受部の長さを十分に確保するとともに、軸受部に対して供給される潤滑流体を十分に貯留して長寿命化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
(実施形態1)
本発明の一実施形態に係る流体軸受装置20を搭載したスピンドルモータ10について、図1〜図5(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
【0066】
[スピンドルモータ10全体の構成]
本実施形態に係るスピンドルモータ10は、図1に示すように、ロータマグネット16、複数のコイルが巻回されたステータ17、ベース18およびロータハブ(ハブ)15等を含む流体軸受装置20を備えている。
【0067】
ロータマグネット16は、ロータハブ15の内周面側において、円周方向に多極着磁されて取り付けられており、コイルに順次通電することにより対向するステータ17との間において回転磁界を発生させることで、シャフト12を中心としてロータハブ15を回転させる。
【0068】
ベース18は、ステータ17やロータマグネット16等のモータ部品が配置されている。そして、その略中心部分には、スリーブ11を固着するための中空円筒部18aおよびその中心に開けられた穴18bが設けられている。そのベース18の穴18bを形成する部分には、コイルが巻線されたコアからなるステータ17が接着等によって固定されている。
【0069】
流体軸受装置20は、シャフト12を中心として磁気記録ディスクを回転させるために、磁気記録ディスクが搭載されたロータハブ15を含む回転側の部材を固定側の部材(スリーブ11等)に対してスムーズに回転させる。なお、流体軸受装置20の構成については、後段にて詳述する。
【0070】
[流体軸受装置20の構成]
流体軸受装置20は、図1および図2(a)に示すように、スリーブ11、シャフト12、スラストフランジ13、スラスト板14、ロータハブ15、リングシール部材19、第1・第2テーパシール部(テーパシール部)21,22、および流体溜まり部23を有している。
【0071】
(スリーブ11)
スリーブ11は、軸受孔11aを有しており、鉄、鉄合金、銅、銅合金等の金属材料等によって形成され、ベース18に対して固定されている。また、スリーブ11は、図2(a)に示すように、軸方向に沿って形成された連通孔11bと、シャフト12の外周面と対向する軸受孔11aの内周面側に形成されたラジアル動圧発生溝(ラジアル軸受部)11cと、を有している。
【0072】
連通孔11bは、スリーブ11を軸方向に貫通するように形成された貫通穴であって、ラジアル動圧発生溝11c等によって形成される潤滑流体26の流れによって、軸受部を含む隙間内において潤滑流体26を循環させる。
【0073】
ラジアル動圧発生溝11cは、ヘリングボーン形状の動圧発生溝であって、回転側であるシャフト12が回転することにより動圧を発生させる。また、ラジアル動圧発生溝11cは、軸方向において非対称のヘリングボーン形状となっている。例えば、図2(b)に示すように、軸方向に配置された2つのラジアル動圧発生溝11cのどちらか一方、または両方の溝パターンをα>βとなるように形成する。このため、スリーブ11とシャフト12との間の隙間(ラジアル軸受部)において所望の方向へ潤滑流体26の流れが形成される(図2(b)の場合には、図2(a)においてラジアル軸受部内においても上から下向きに循環する流れが形成される)。これにより、流体軸受装置20内において効率よく潤滑流体26を循環させて、潤滑流体26内に混入した気泡を効果的に外部空間へと排出することができる。
【0074】
また、ラジアル動圧発生溝(ラジアル軸受部)11c(図2参照)およびスラスト動圧発生溝(スラスト軸受部)13cを含むシャフト12とスリーブ11の軸受孔11aとの間、およびスラストフランジ13とスリーブ11との間およびスラストフランジ13とスラスト板14との間の隙間には、潤滑流体26が充填されている。この潤滑流体26は、シャフト12等の回転側が回転するとポンピング圧力を発生させる。
【0075】
なお、ラジアル動圧発生溝11cは、スリーブ11側ではなく、シャフト12側に形成されていてもよい。また、ラジアル動圧発生溝11cとしては、ヘリングボーン形状ではなく、2つのスパイラル形状(略ハの字形状)であってもよい。さらに、ラジアル軸受部とスラスト軸受部の双方の特性を備える円錐軸受でもよい。
【0076】
(シャフト12)
シャフト12は、金属材料で構成された、直径が約2.0〜4.0mmの円筒状の外周面を有する部材(例えば、円柱状部材、円筒状部材)であって、軸受孔11a内に回転可能な状態で挿入されている。また、シャフト12の下端部には、中心部分に円形の開口を有する円板状のスラストフランジ13がカシメ、圧入、溶接等によって接合される。なお、スラストフランジ13は、シャフト12と一体成形されていてもよい。シャフト12は回転中心の軸として用いられることから、例えば、SUS等の比較的硬度が高いものが使われており、切削および研磨等によって加工される。
【0077】
(スラストフランジ13)
スラストフランジ13は、略円板状の部材であって、上述したように、シャフト12に対して固定、または一体的に設けられている。そして、スラストフランジ13は、スリーブ11とスラスト軸受部材であるスラスト板14とで囲まれた空間に収納されている。
【0078】
スラストフランジ13の下面は、スラスト板14に対向し、スラスト動圧発生溝14cが形成されている。スラストフランジ13の上面の周辺部はスリーブ11の下方に形成された段部に対向している。また、スラストフランジ13のスリーブ11に対向する上面には、スラスト動圧発生溝13cが形成されている。なお、スラスト動圧発生溝13cは、対向するスリーブ11の段差部に形成されていてもよい。また、ロータハブ15がマグネット等によって図1において下向きに吸引されている場合には、スラスト動圧発生溝がなくてもよい場合がある。
【0079】
(スラスト板14)
スラスト板14は、流体軸受装置20の下部開口を覆うように取り付けられた略円板状の部材であって、その上部表面にはスラスト動圧発生溝14cが形成されている。
【0080】
なお、スラスト動圧発生溝14cが形成される面は、本実施形態の構成に限定されるものではなく、軸方向において隙間を確保しつつ対向する面のいずれか一方に形成されていればよい。すなわち、スラストフランジ13の下面、あるいはスラストフランジ13の上面のいずれか一方にスラスト動圧発生溝13c,14cが形成されていてもよい。
【0081】
(ロータハブ15)
ロータハブ15は、略カップ状の形状であって、略中心部分に貫通孔を有している。この貫通孔には、シャフト12の上端部が圧入接着工法等によって固着されている。ロータハブ15には、スピンドルモータ10のロータマグネット16が取り付けられており、ステータ17に対して半径方向において対向している。また、ロータハブ15には、図示しない磁気記録ディスク等が固定され、他の構成とともに全体でハードディスク装置のような磁気記録再生装置を構成する。さらに、ロータハブ15は、スリーブ11と対向する側の面から軸方向に沿って突出した垂下部15aを有している。
【0082】
(リングシール部材19)
リングシール部材19は、図2に示すように、径方向に沿った断面形状が略L字型の略円環状の部材であって、スリーブ11の外周面上部に形成された段差部11eに当接した状態で接着によって固定されている。また、リングシール部材19は、図3のA−A線断面図に示すように、軸方向に対して略垂直に延伸する略L字型断面の屈曲部付近に、第2テーパシール部22と外部空間とを連通させるベンチホール19aを有している。さらに、リングシール部材19は、外周面側および内周面側に、それぞれ第1・第2テーパシール部21,22を形成する。
【0083】
なお、このベンチホール19aは、図3に示すように、周方向に沿って1つ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい(図6(a)および図7(a)参照)。また、ベンチホール19aは、略L字型断面の底面側(屈曲部)に設けられていてもよいし、略軸方向に沿った側面側に設けられていてもよい。ベンチホール19aの位置は、できるだけ連通孔11bから離れて配置する方が好適である。例えば、図3に示すように、連通孔11bの位置とベンチホール19aの位置とは、シャフト12を中心として反対の位置に設けられている。これは、衝撃や振動が加わったときに、連通孔11bを介して潤滑流体26が押し出されることがあり、押し出された潤滑流体が第1テーパシール部21や第2テーパシール部22の液面高さを変化させ、ベンチホール19aから漏れ出すことも考えられるからである。ただし、通常はそのようなことが発生してもベンチホール19aから漏れ出さないようにリングシール部材19の寸法を決めている。これは後述する他の実施形態(D)の図12についても同様である。
【0084】
(第1テーパシール部21)
第1テーパシール部21は、リングシール部材19の外周面とロータハブ15の垂下部15aとの対向面との間に形成された略円環状のシール部であって、外部空間に面する潤滑流体26の第1の界面を形成する。
【0085】
第1テーパシール部21は、リングシール部材19側の面が、略鉛直方向に沿ったロータハブ15の垂下部15aの内周面に対して傾斜した状態で形成されている。より詳細には、第1テーパシール部21は、潤滑流体26の第1の界面から奥側に向かって狭くなる隙間を形成している。これにより、ロータハブ15とシャフト12およびスリーブ11との間に形成される隙間に充填された潤滑流体26を、毛管力によって保持することができる。
【0086】
(第2テーパシール部22)
第2テーパシール部22は、リングシール部材19の内周面とスリーブ11との対向面との間に形成された略円環状のシール部であって、リングシール部材19の底面に対向配置された潤滑流体26の第2の界面を形成する。
【0087】
第2テーパシール部22は、スリーブ11の外周面が、略鉛直方向に沿ったリングシール部材19側の面に対して傾斜した状態で形成されている。より詳細には、第2テーパシール部22は、潤滑流体26の第2の界面から奥側に向かって狭くなる隙間を形成している。これにより、ロータハブ15とシャフト12およびスリーブ11との間に形成される隙間に充填された潤滑流体26を、毛管力によって保持することができる。
【0088】
なお、第2テーパシール部22において形成される第2の界面は、リングシール部材19の底面に対向配置されているため、大部分は外部空間には面していない。ただし、上述したリングシール部材19の一部に形成されたベンチホール19aによって第2の界面と外部空間とを連通させている。これにより、流体軸受装置20へ衝撃が付与された際に、ロータハブ15等に対するスリーブ11の相対位置が移動して第2の界面が密閉空間となってしまうことを回避して、潤滑流体26の界面のバランスが崩れてしまうことを防止することができる。また、第2テーパシール部22が接する空間は、ベンチホール19aを介してのみ外部と連通しているため、潤滑流体26の蒸発粒子が滞留しやすく、蒸発量が抑えられるという効果もある。
【0089】
(流体溜まり部23)
流体溜まり部23は、ロータハブ15とスリーブ11との対向面間における隙間に形成されている。これにより、ラジアル動圧発生溝11cを含むラジアル軸受部と、潤滑流体26の開口部とを径方向において離間し、その間の距離を十分に確保することができる。よって、ラジアル軸受部の軸方向長さを十分に確保して流体軸受装置20の角度剛性を向上させるとともに、流体溜まり部23においてラジアル軸受部等に供給される潤滑流体26を十分に貯留することができる。この結果、蒸発や漏れ出し等によって徐々に潤滑流体26の量が減少していった場合でも、軸受部に供給される潤滑流体26の量を十分に確保して装置の長寿命化を図ることができる。
【0090】
<流体軸受装置20への注油方法>
本実施形態では、上述した構成を備えたスピンドルモータ10に搭載された流体軸受装置20内の所定の隙間に対して、以下のような手順によって潤滑流体26の注油を行う。
【0091】
すなわち、まず、図4に示すように、ロータハブ15が下になるようにして流体軸受装置20を真空チャンバ50内へ載置する。
【0092】
次に、真空チャンバ50内を真空状態とする。
次に、図4および図5に示すように、リングシール部材19の上面付近、つまり第1・第2テーパシール部21,22に対して、ディスペンサ等の注油器51を用いて所定量の潤滑流体26の注油を行う。このとき、注油された潤滑流体26が径方向外側へとこぼれ落ちることがないように、ロータハブ15の垂下部15aの外周側の部分に、軸方向に突出した段差15aa等の流体移動防止部を設けられていることが好ましい。なお、この流体移動防止部は、段差15aa以外にも、撥油剤が塗布された部分であってもよい。
【0093】
次に、真空チャンバ50内を真空状態から大気圧になるまで開放することで、図5に示すように、注油された潤滑流体26が気圧差によって流体軸受装置20内の所定の隙間へ充填されていく。このとき、リングシール部材19上に注油された潤滑流体26は、第1テーパシール部21には直接充填される。一方、第2テーパシール部22には、第1テーパシール部21から移動した、あるいはベンチホール19aを介して移動した潤滑流体26が充填されていく。さらに、第2テーパシール部22へと充填された潤滑流体26は、ロータハブ15とスリーブ11との対向面間の隙間に形成された流体溜まり部23に充填され、その後、スリーブ11とシャフト12、スラストフランジ13等との間の隙間に形成されたラジアル軸受部やスラスト軸受部等へも充填される。
【0094】
ここで、流体軸受装置20内の所定の隙間に対して充填された潤滑流体26は、外部空間と面している第1テーパシール部21において界面の高さ位置の調整が行われる。これにより、リングシール部材19によって大部分が外部空間とは遮断されている第2テーパシール部22における界面の高さ位置まで、第1テーパシール部21における界面との釣り合いによって調整することができる。
【0095】
[本流体軸受装置20の特徴]
(1)
本実施形態の流体軸受装置20では、図1および図2に示すように、スリーブ11の軸受孔11a内に回転可能な状態で挿入されたシャフト12を回転中心として、ロータハブ15等の回転側の部材を回転させる。そして、流体軸受装置20は、スリーブ11の径方向外側において、潤滑流体26を保持する略円環状のテーパシール部(第1テーパシール部21および第2テーパシール部22)を複数有している。
【0096】
これにより、略円環状のテーパシール部を1つしか有しない従来の流体軸受装置と比較して、テーパシール部を複数設けることによって潤滑流体の貯留体積を増大させることができる。また、テーパシール部を複数有していることで、潤滑流体26に対して働く表面張力も大きくすることができる。よって、テーパシール部において潤滑流体26を強固に保持しながら、従来よりも多くの潤滑流体26を貯留することで、蒸発や外部への漏れ出し等による潤滑流体26の減少を防止することができる。
【0097】
また、複数のテーパシール部をスリーブ11よりも径方向外側に設けていることで、スリーブ11とシャフト12との間の隙間に形成されるラジアル軸受部を長くとることができる。
【0098】
この結果、軸受部を含む隙間内に十分な量の潤滑流体26を強固に保持することで、流体軸受装置20の長寿命化を図るとともに、ラジアル軸受部の長さも十分に確保することで角度剛性に優れた流体軸受装置20を得ることができる。
【0099】
(2)
本実施形態の流体軸受装置20では、図2等に示すように、スリーブ11の外周面に沿って取り付けられた略円環状のリングシール部材19をさらに備えている。そして、このリングシール部材19の外内周面側にそれぞれテーパシール部(第1・第2テーパシール部21,22)を形成している。
【0100】
これにより、リングシール部材19を追加するだけで、容易にスリーブ11の径方向外側に複数のテーパシール部21,22を設けることができる。具体的には、ロータハブ15(垂下部15a)の内周面とリングシール部材19の外周面との間の隙間に第1テーパシール部21を、スリーブ11の外周面とリングシール部材19の内周面との間の隙間に第2テーパシール部22を、それぞれ形成することができる。
【0101】
(3)
本実施形態の流体軸受装置20では、図2等に示すように、上述したように、スリーブ11の径方向外側に複数のテーパシール部を設けるために取り付けられたリングシール部材19は、径方向に沿った断面が略L字型形状を有する。
【0102】
これにより、略L字型形状の軸方向に沿った部分をスリーブ11の外周面およびロータハブ15の垂下部15aに対して隙間を開けた状態で、略L字型形状の屈曲部分をスリーブ11の外周面に当接させた状態で固定することができる。この結果、簡易な構成のリングシール部材19を取り付けるだけで、スリーブ11の径方向外側へ複数のテーパシール部を設けることができる。
【0103】
(4)
本実施形態の流体軸受装置20では、図3に示すように、上述したように、スリーブ11の径方向外側に複数のテーパシール部を設けるために取り付けられたリングシール部材19は、略水平方向に突出した略L字型の断面形状の屈曲部の一部に、内径側に配置された第2テーパシール部22と外部空間とを連通させるベンチホール19aを有する。
【0104】
ここで、略L字型断面の屈曲部をスリーブ11の外周面に当接させた状態で固定した構成では、図2等に示すように、スリーブ11の外周面とリングシール部材19の内周面との間の隙間に形成される第2テーパシール部22が外部空間から遮断された状態となる。この状態において、流体軸受装置20に対して軸方向における振動や衝撃が付与された場合には、ロータハブ15とリングシール部材19の上面およびスリーブ11の上面との間の隙間が塞がれて第2テーパシール部22が密閉空間になってしまう。このように密閉空間となった第2テーパシール部22では、負圧が発生して、潤滑流体26内に気泡が生じたり、潤滑流体26の界面が不安定になったりするおそれがある。
【0105】
これにより、ベンチホール19aを介して第2テーパシール部22を外部空間と連通させることで、流体軸受装置20に対して軸方向における衝撃等が付与された場合でも、第2テーパシール部22を含む空間が密閉されることはない。この結果、第2テーパシール部22における界面を安定化させて、第2テーパシール部22からの潤滑流体26の漏れ出し等を防止することができる。
【0106】
(5)
本実施形態の流体軸受装置20は、図2等に示すように、スリーブ11とシャフト12との間の隙間に形成されるラジアル軸受部と、スリーブ11の径方向外側に設けられた第1・第2テーパシール部21,22と、の間には、ロータハブ15とスリーブ11との対向面間の隙間に形成された流体溜まり部23を有している。
【0107】
これにより、スリーブ11の径方向外側に設けられた複数のテーパシール部に加えて、スリーブ11とロータハブ15との対向面間における隙間に潤滑流体26を貯留する空間を設けることで、従来よりも大幅に流体軸受装置20内に貯留される潤滑流体26の量を増加させることができる。この結果、隙間内に保持された潤滑流体26が蒸発、漏れ出し等によって少しずつ減少した場合でも、従来よりも長い期間、ラジアル・スラスト軸受部に対して潤滑流体26を供給し続けることができる。よって、さらに効果的に、流体軸受装置20の長寿命化を図ることができる。
【0108】
(6)
本実施形態の流体軸受装置20では、図2に示すように、スリーブ11の内周面とシャフト12の外周面のいずれか一方に形成されたラジアル動圧発生溝11cが軸方向に対して非対称に形成されている。
【0109】
これにより、流体軸受装置20内に形成された微小隙間内に充填された潤滑流体26に対して所望の方向へ移動する力を付与し、連通孔11bを含む循環経路内において循環させることができる。この結果、流体軸受装置20に対して衝撃が付与された際等において、潤滑流体26内に気泡が混入した場合でも、効率よく潤滑流体26を循環させることで、効果的に気泡を外部空間へと排出することができる。よって、潤滑流体26内への気泡の混入に起因する潤滑流体26の漏れ出し等を防止することができる。
【0110】
(7)
本実施形態のスピンドルモータ10は、図1に示すように、上述した流体軸受装置20を搭載している。
【0111】
これにより、流体軸受装置20の長寿命化を図るとともに、ラジアル軸受部の長さも十分に確保することで角度剛性に優れた流体軸受装置20を得ることができるという上記と同様の効果を奏するスピンドルモータ10を得ることができる。
【0112】
(実施形態2)
本発明の他の実施形態に係る流体軸受装置320を搭載したスピンドルモータ310について、図13〜図15を用いて説明すれば以下の通りである。
【0113】
本実施形態のスピンドルモータ310に搭載された流体軸受装置320は、図13および図14に示すように、スリーブ11の径方向外側に第1・第2テーパシール部21,22を形成するために設けられるリングシール部材319が、スリーブ11の外周面側ではなく、ロータハブ(ハブ)315の垂下部315a側に取り付けられているという点で、上記実施形態1の流体軸受装置20とは異なっている。
【0114】
すなわち、本実施形態の流体軸受装置320は、上記実施形態1の流体軸受装置20と同様に、スリーブ11の径方向外側に複数のテーパシール部を形成するためのリングシール部材319を備えている。
【0115】
リングシール部材319は、図14に示すように、断面が略L字型の略円環状の部材であって、その外周面とロータハブ315の垂下部315aの内周面との間の隙間には、第1テーパシール部21が形成される。一方、リングシール部材319の内周面とスリーブ11の外周面との間の隙間には、第2テーパシール部22が形成される。さらに、リングシール部材319は、径方向外側に向かって延伸する底部分に形成されたベンチホール19aを有している。
【0116】
ベンチホール319aは、図14に示すように、軸方向に対して略垂直に延伸する略L字型断面の屈曲部付近に形成された略半月状の開口(図15参照)であって、第1テーパシール部21と外部空間とを連通させる。なお、ベンチホール319aは、図15に示すように、周方向に沿って1つ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。また、ベンチホール319aは、略L字型断面の底面側(屈曲部)に設けられていてもよいし、略軸方向に沿った側面側に設けられていてもよい。ベンチホール319aの位置は、できるだけ連通孔11bから離れて配置する方が好適である。例えば、図15に示すように、連通孔11bの位置とベンチホール319aの位置とは、シャフト12を中心として反対の位置に設けられている。これは、衝撃や振動が加わったときに、連通孔11bを介して潤滑流体26が押し出されることがあり、押し出された潤滑流体が第1テーパシール部21や第2テーパシール部22の液面高さを変化させ、ベンチホール319aから漏れ出すことも考えられるからである。ただし、通常はそのようなことが発生してもベンチホール319aから漏れ出さないようにリングシール部材319の寸法を決めている。
【0117】
また、リングシール部材319の径方向における内外周面側にそれぞれ形成される第1・第2テーパシール部21,22は、図14に示すように、軸方向に対して斜め方向に沿って配置されている。より詳細には、第1・第2テーパシール部21,22は、軸方向におけるロータハブ315側に向かって径が大きくなる方向に沿って形成されている。具体的には、例えば、第1・第2テーパシール部21,22を形成するリングシール部材319やスリーブ11、ロータハブ315の垂下部315aの対向面を、軸方向におけるロータハブ315側に向かって径が大きくなるように斜めに形成すればよい。
【0118】
これにより、第1・第2テーパシール部21,22の界面付近に存在する潤滑流体26に対して、回転側部材(ロータハブ315等)の回転に伴って生じる遠心力が付与された場合でも、第1・第2テーパシール部21,22が斜めに形成されているため、界面から遠ざかる方向に潤滑流体26を移動させることができる。よって、ロータハブ315等の回転中に、第1・第2テーパシール部21,22の界面付近から潤滑流体26が漏れ出してしまうことを効果的に回避することができる。
【0119】
本実施形態では、上記実施形態1と同様に、ロータハブ315の内周面側に固定されたリングシール部材319を用いて、スリーブ11の径方向外側に複数のテーパシール部(第1・第2テーパシール部21,22)を設けている。このため、略円環状のテーパシール部を1つしか有しない従来の流体軸受装置と比較して、潤滑流体26の貯留体積を増大させることができる。また、テーパシール部を複数有していることで、潤滑流体26に対して働く表面張力も大きくすることができる。よって、テーパシール部において潤滑流体26を強固に保持しながら、従来よりも多くの潤滑流体26を貯留することで、蒸発や外部への漏れ出し等による潤滑流体26の減少を防止することができる。
【0120】
また、複数のテーパシール部をスリーブ11よりも径方向外側に設けていることで、スリーブ11とシャフト12との間の隙間に形成されるラジアル軸受部を長くとることができる。
【0121】
この結果、軸受部を含む隙間内に十分な量の潤滑流体26を強固に保持することで、流体軸受装置320の長寿命化を図るとともに、ラジアル軸受部の長さも十分に確保することで角度剛性に優れた流体軸受装置320を得ることができる。
【0122】
また、本実施形態の流体軸受装置320では、ロータハブ315の内周面側にリングシール部材319を取り付けているため、リングシール部材319もロータハブ315とともに回転する。このため、回転側の部材と固定側の部材とに挟まれたリングシール部材319の内周面側の第2テーパシール部22の界面は、外周面側の第1テーパシール部21の界面よりも変動しやすい状態となる。よって、スリーブ11の外周面側にリングシール部材319を固定した構成と比較して、上述した変動し易い界面が、リングシール部材319の外周面側から内周面側へと移動するため、その周辺の潤滑流体26に掛かる遠心力を低減して、潤滑流体26の漏れ出しを防止することができる。
【0123】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0124】
(A)
上記実施形態では、スリーブ11が単体の金属製部材として形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0125】
例えば、図6(a)および図6(b)、図7(a)および図7(b)に示すように、インナースリーブ61aとアウタースリーブ61bという2つの部品によって構成されるスリーブ61であってもよい。なお、インナースリーブ61aは表面が封孔処理されたものを用いてもよいし、封孔処理されていないものを用いてもよい。
【0126】
この場合には、シャフト12のスラストフランジ13が軸方向において移動した際にインナースリーブ61aだけに負荷が掛かることのないように、図7(b)に示すように、スラストフランジ13がアウタースリーブ61bの段差部61baの部分に当接するような構成となっていることが好ましい。
【0127】
(B)
上記実施形態では、シャフト12に対してスラストフランジ13が取り付けられた、いわゆるフランジタイプの流体軸受装置20を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0128】
例えば、図8に示すように、シャフト72に対してフランジ部がない、いわゆるフランジレスタイプの流体軸受装置70であってもよい。この場合には、連通穴73aが形成された抜け止め部材73を設けることにより、シャフト72がスリーブ71の軸受孔71a内から抜けてしまうことを回避することができる。
【0129】
(C)
上記実施形態では、ロータハブ15とスリーブ11との対向面間における隙間がほぼ均一となっている構成を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0130】
例えば、図9に示すように、ロータハブ(ハブ)85とスリーブ81との対向面間に形成された流体溜まり部83に相当する隙間が径方向外側に向かって広くなる構成を採用してもよい。この場合には、毛管力によって径方向内側へ向かう吸引力を潤滑流体に対して付与することができるため、回転中にかかる遠心力によって潤滑流体が径方向外側へと飛ばされてしまうことを防止することができる。
【0131】
(D)
上記実施形態では、ロータハブ15とスリーブ11との対向面のいずれにも動圧発生溝を形成することなく、上記対向面間の隙間を流体溜まり部として利用する構成を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0132】
例えば、図10に示すように、上記対向面における一方の面、例えば、スリーブ91の上面に、螺旋状(スパイラル状)の溝91aを形成してもよい。この場合には、スリーブ91とロータハブ15との対向面間の隙間が、軸受部を構成する隙間と比較して大きいため動圧が立つこともなく、径方向内側の圧力を径方向外側に対して高くすることで、潤滑流体26内に混入した気泡をスムーズに径方向外側にある解放部(第1・第2の界面)から排出することができる。
【0133】
なお、上記螺旋状の溝は、スリーブ側に限らず、それに対向するロータハブ側に形成されていてもよい。
【0134】
(E)
上記実施形態では、ロータハブ15とスリーブ11との対向面のいずれにも動圧発生溝を形成することなく、上記対向面間の隙間を流体溜まり部として利用する構成を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0135】
例えば、ロータハブとスリーブとの対向面の少なくとも一方に、スラスト動圧発生溝が形成されていてもよい。この場合でも、径方向において複数のテーパシール部を配置した構成によって、軸受部に供給される潤滑流体を十分に貯留することができる。
【0136】
(F)
上記実施形態では、シャフト12が回転側の部材となる、いわゆる軸回転型の流体軸受装置を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0137】
例えば、図12に示すように、シャフト212が固定側の部材となる軸固定型の流体軸受装置220を搭載したスピンドルモータ210に対して、本発明の構成を適用することも可能である。この場合でも、スリーブ211の径方向外側に取り付けられたリングシール部材219の外内周側の双方についてテーパシール部を形成することで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0138】
(G)
上記実施形態では、流体軸受装置20の径方向において略円環状のテーパシール部21,22が2つ設けられている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0139】
例えば、上記径方向において略円環状のテーパシール部が3つ以上設けられている構成であってもよい。この場合でも、通常よりもテーパシール部において潤滑流体を大量に保持することができるため、薄型化の要求を満たしつつラジアル軸受部の長さを確保し、かつ流体軸受装置の長寿命化を図ることができる。
【0140】
(H)
上記実施形態では、流体軸受装置20内の隙間に充填された潤滑流体26を循環させる循環力を付与するための非対称溝を、ラジアル動圧発生溝11cとして形成した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0141】
例えば、スラスト動圧発生溝だけを非対称溝としてもよいし、ラジアル・スラスト動圧発生溝の双方を非対称溝としてもよい。
【0142】
(I)
上記実施形態では、本発明に係る流体軸受装置20を、スピンドルモータ10に対して搭載した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0143】
例えば、図11に示すように、記録再生ディスク151に対して記録再生を行う記録ヘッド(記録再生ヘッド部)152を有する磁気記録再生装置(記録再生装置)150に搭載されるスピンドルモータ110(流体軸受装置120)に対しても本発明の適用は当然に可能である。
【0144】
また、記録再生装置としては、磁気記録再生装置に限らず、例えば、光ディスク等の他の記録再生装置に対しても搭載可能である。
【0145】
(J)
上記実施形態では、スリーブ11とロータハブ15,315との対向するフラットな面同士の間に、流体溜まり部23を設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0146】
例えば、図16に示すように、ロータハブ(ハブ)415におけるスリーブ11との対向面に形成された凹部415bを有する流体軸受装置420であってもよい。
【0147】
この場合には、ロータハブ415側に形成された凹部415bによって流体溜まり部423の体積を大きくすることができるため、軸受部に対して供給される潤滑流体26をさらに十分に確保することができる。よって、流体軸受装置420を長寿命化することができる。
【0148】
なお、凹部415bとしては、図16に示すように、連通孔11bに対向するロータハブ415の部分は隙間を小さくし、その径方向外側から凹部を設けるようにすることが肝要である。これにより、連通孔11bから流れ出す潤滑流体26を、確実に軸受部の方向へと循環させることができる。
【0149】
(K)
上記実施形態では、スリーブ11とロータハブ15,315との対向するフラットな面同士の間に、流体溜まり部23を設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0150】
例えば、図17に示すように、半径方向において軸方向高さが異なる部分(凹部515b)を有するスリーブ511を設けることで、スリーブ511とロータハブ315との対向面の間に流体溜まり部523を形成した流体軸受装置520のような構成であってもよい。
【0151】
なお、スリーブ511の一部に形成される凹部515bとしては、図17に示すように、連通孔11bの開口部と軸受孔周辺は流体溜まり部523と同様に、微小隙間にしておくことが肝要である。これにより、連通孔11bから流出する潤滑流体26を、効果的に軸受部の方向へと循環させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明の流体軸受装置は、装置全体として薄型化の要求を満たしつつ、ラジアル軸受部の長さを十分に確保するとともに、軸受部に対して供給される潤滑流体を十分に貯留して長寿命化を図ることができるという効果を奏することから、流体軸受装置を搭載した、例えば、HDD用スピンドルモータや高密度光ディスク用スピンドルモータ等に搭載される流体軸受装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の一実施形態に係る流体軸受装置を搭載したスピンドルモータの構成を示す断面図。
【図2】(a)は、図1のスピンドルモータに含まれる流体軸受装置の一部の構成を示す拡大断面図。(b)は、そのラジアル軸受部に形成された非対称の溝パターンを示す平面図。
【図3】図2の流体軸受装置の上面から見た構成を示す平面図。
【図4】図2の流体軸受装置に対して真空チャンバ内において潤滑流体を注油する際の手順を示す説明図。
【図5】図4の注油後の潤滑流体を流体軸受装置内の隙間へと充填していく際の手順を示す説明図。
【図6】(a),(b)は、本発明の他の実施形態に係る流体軸受装置の構成を示す断面図。
【図7】(a),(b)は、本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置の構成を示す断面図。
【図8】本発明のさらに他の実施形態に係るフランジレスタイプの流体軸受装置の構成を示す断面図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る流体軸受装置の構成を示す断面図。
【図10】本発明の他の実施形態に係る流体軸受装置の構成を示す平面図。
【図11】上記流体軸受装置を搭載した磁気記録再生装置の構成を示す断面図。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置の構成を示す断面図。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置を搭載したスピンドルモータの構成を示す断面図。
【図14】図13のスピンドルモータに含まれる流体軸受装置の一部の構成を示す拡大断面図。
【図15】図14のA−A線矢視断面図。
【図16】本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置の構成を示す断面図。
【図17】本発明のさらに他の実施形態に係る流体軸受装置の構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0154】
10 スピンドルモータ
11 スリーブ
11a 軸受孔
11b 連通孔
11c ラジアル動圧発生溝(ラジアル軸受部)
11e 段差部
12 シャフト
13 スラストフランジ
13c スラスト動圧発生溝(スラスト軸受部)
14 スラスト板
14c スラスト動圧発生溝(スラスト軸受部)
15 ロータハブ(ハブ)
15a 垂下部
15aa 段差
16 ロータマグネット
17 ステータ
18 ベース
18a 中空円筒部
18b 穴
19 リングシール部材
19a ベンチホール
20 流体軸受装置
21 第1テーパシール部(テーパシール部)
22 第2テーパシール部(テーパシール部)
23 流体溜まり部
26 潤滑流体
50 真空チャンバ
51 注油器
61 スリーブ
61a インナースリーブ
61b アウタースリーブ
61ba 段差部
70 流体軸受装置
71 スリーブ
71a 軸受孔
72 シャフト
73 抜け止め部材
73a 連通穴
81 スリーブ
83 流体溜まり部
85 ロータハブ(ハブ)
91 スリーブ
91a 溝
95 ロータハブ(ハブ)
110 スピンドルモータ
120 流体軸受装置
150 磁気記録再生装置(記録再生装置)
151 記録再生ディスク
152 記録ヘッド(記録再生ヘッド部)
210 スピンドルモータ
211 スリーブ
212 シャフト
219 リングシール部材
220 流体軸受装置
310 スピンドルモータ
315 ロータハブ(ハブ)
315a 垂下部
319 リングシール部材
319a ベンチホール
320 流体軸受装置
415 ロータハブ(ハブ)
415a 垂下部
415b 凹部
420 流体軸受装置
423 流体溜まり部
511 スリーブ
515b 凹部
520 流体軸受装置
523 流体溜まり部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸と、
前記軸が潤滑流体を介して回転可能な状態で装填される軸受孔を有するスリーブと、
前記スリーブにおける前記軸受孔の開放端側を覆うように、前記軸を中心として回転する回転体側に取り付けられたハブと、
前記スリーブの径方向外側において、前記ハブの一部と前記スリーブとの間に配置されており、前記潤滑流体を保持する複数の略円環状のテーパシール部と、
を備えている流体軸受装置。
【請求項2】
前記スリーブの外周面に対して取り付けられており、内周側および外周側に前記複数のテーパシール部がそれぞれ形成される略円環状のリングシール部材をさらに備えている、
請求項1に記載の流体軸受装置。
【請求項3】
前記リングシール部材は、
略円環状の外周面と前記ハブにおける前記スリーブとの対向面から前記スリーブ側に向かって略垂直に延伸した垂下部との間において第1テーパシール部を形成し、
略円環状の内周面と前記スリーブの外周面との間において第2テーパシール部を形成する、
請求項2に記載の流体軸受装置。
【請求項4】
前記リングシール部材は、略円環状の部材における径方向に沿って略L字型形状の断面形状を有している、
請求項2または3に記載の流体軸受装置。
【請求項5】
前記リングシール部材は、前記テーパシール部と外気とを連通させるベンチホールを有している、
請求項2から4のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項6】
前記ハブの内周面に対して取り付けられており、内周側および外周側に前記複数のテーパシール部がそれぞれ形成される略円環状のリングシール部材をさらに備えている、
請求項1に記載の流体軸受装置。
【請求項7】
前記リングシール部材は、
略円環状の外周面と前記ハブにおける前記スリーブとの対向面から前記スリーブ側に向かって略垂直に延伸した垂下部との間において第1テーパシール部を形成し、
略円環状の内周面と前記スリーブの外周面との間において第2テーパシール部を形成する、
請求項6に記載の流体軸受装置。
【請求項8】
前記リングシール部材は、略円環状の部材における径方向に沿って略L字型形状の断面形状を有している、
請求項6または7に記載の流体軸受装置。
【請求項9】
前記リングシール部材は、前記テーパシール部と外気とを連通させるベンチホールを有している、
請求項6から8のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項10】
前記複数のテーパシール部は、軸方向における前記ハブ側に向かって径が大きくなる方向に沿って配置されている、
請求項1から9のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項11】
前記ハブと前記スリーブとの間の隙間に形成された流体溜まり部をさらに備えている、
請求項1から10のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項12】
前記ハブは、前記スリーブとの対向面に、前記流体溜まり部として利用される空間を拡大する凹部を有している、
請求項11に記載の流体軸受装置。
【請求項13】
前記スリーブは、前記流体溜まり部として、半径方向において軸方向高さが異なる凹部を有している、
請求項11に記載の流体軸受装置。
【請求項14】
ラジアル軸受部とスラスト軸受部とをさらに備えており、
前記ラジアル軸受部および前記スラスト軸受部の少なくとも一方は、前記潤滑流体に対して循環力を付与する非対称溝を有している、
請求項1から13のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項15】
前記ハブおよび前記スリーブの対向面のいずれか一方に形成された螺旋状の溝を、さらに有している、
請求項1から14のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項16】
前記ハブおよび前記スリーブの対向面の間の隙間は、径方向外側に向かって大きくなる、
請求項1から15のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の流体軸受装置を備えたスピンドルモータ。
【請求項18】
請求項17に記載のスピンドルモータを備えた記録再生装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−197996(P2009−197996A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195513(P2008−195513)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】