流体配管の接続機構とその製造方法、及び流体配管の接続機構を備えた燃料電池システム
【課題】簡単な構成によって、より一層の小型化を図ることが可能となる減圧弁としての機能、あるいは温度遮断弁としての機能を併せ有する流体配管の接続機構とその製造方法、及び流体配管の接続機構を備えた燃料電池システムを提供する。
【解決手段】流体が流通する複数の配管を接続する流体配管の接続機構であって、
複数の配管の一方の側に配設された、差圧によって動作する圧力制御弁の一部を構成する可動部1を備えた第1の部品と、
前記複数の配管の他方の側に配設された圧力制御弁の一部を構成する前記可動部の動作によって開閉される開閉機構3、4、5を備えた第2の部品と、
前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に設けられた伝達機構と、
を備えた構成とする。
【解決手段】流体が流通する複数の配管を接続する流体配管の接続機構であって、
複数の配管の一方の側に配設された、差圧によって動作する圧力制御弁の一部を構成する可動部1を備えた第1の部品と、
前記複数の配管の他方の側に配設された圧力制御弁の一部を構成する前記可動部の動作によって開閉される開閉機構3、4、5を備えた第2の部品と、
前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に設けられた伝達機構と、
を備えた構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を流通する配管を接続するための流体配管の接続機構とその製造方法、及びこれらの流体配管の接続機構を燃料容器と発電機構との間に備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体を流通する配管を接続するカプラには、様々なものが提案されてきた。
通常、カプラは、特許文献1に示されるような構成を有している。すなわち、配管の非接続時には、少なくとも一方のポートは、流体が外に漏れないように閉じており、配管が接続された際に、流体の流通が可能になる。
これは、カプラの一方にチェックバルブが設けられ、もう一方にチェックバルブを押して開くための加圧ピンが設けられることによって実現される。
また、接続時に流体が外部に漏れないようにするためのガスケット、および、カプラが容易に外れないようにするためのロック機構を備えている。
【0003】
一方、減圧弁は機械加工技術を用いて、様々なタイプのものが作製されてきた。減圧弁は、アクティブ駆動のもの、パッシブ駆動のものに大きく分類される。アクティブ駆動の減圧弁は、圧力センサとバルブ駆動手段、制御機構とを備え、2次圧力が設定圧力に減圧されるようにバルブを駆動する。
また、パッシブ駆動の減圧弁は、設定圧力になると、圧力差を利用して、バルブが自動的に開閉する。
さらに、パッシブ型減圧弁は、パイロット型と直動型に大別される。
パイロット型は、パイロット弁を有し、安定した動作を特徴としている。
また、直動型は、高速応答に対して利点がある。このようなパイロット型において、気体を作動流体とする場合には、圧縮流体の微小な力でも弁の開閉を確実に行なうため、差圧感知機構として、ダイヤフラムがよく用いられる。
【0004】
小型の減圧弁に関しては、例えば、特許文献2に示すように、ダイヤフラム、弁体、弁体とダイヤフラムを直結するバルブ軸を備えた構造のものが提案されている。
このような構造の減圧弁の製造方法には、非特許文献1に開示されているような製造方法が知られている。この製造方法は、半導体加工技術を用いて、小型の機械要素を作製している点に特徴を有している。
半導体加工技術では、材料には半導体基板が用いられ、成膜、フォトリソグラフィやエッチングといった技術を組み合わせて構造を形成する。
これにより、サブミクロンオーダーの微細加工が可能な上、バッチプロセスにより大量生産化が容易であるという特徴を有する。
特に減圧弁は、複雑な3次元構造を有するため、半導体基板を垂直にエッチングするためのICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)や、複数の半導体基板を接合するための接合技術などが用いられている。
また、弁体と弁座の間は、シリコン酸化物などの犠牲層を介して接合され、プロセスの後半で、犠牲層をエッチングすることにより、弁座からの弁体のリリースを行なっている。
【0005】
一方、小型の電気機器に搭載するエネルギー源として、小型の燃料電池が注目されている。
燃料電池が小型電気機器の駆動源として有用な理由に体積当たり、重量当たりの供給可能なエネルギー量が従来のリチウムイオン2次電池に比べて、数倍から十倍近くであることが挙げられる。
特に、大きな出力を得るための燃料電池には、水素を燃料に使用するのが最適である。
しかし、水素は常温で気体であり、小型の燃料タンクの中に高密度に水素を貯蔵するための技術が必要である。
【0006】
このような水素を貯蔵するための技術として、つぎのような方法が知られている。
第一の方法は、水素を圧縮して高圧ガスとして保存する方法である。
タンク内のガスの圧力を200気圧にすると体積水素密度は18mg/cm3程度となる。
第二の方法は、水素を低温にして、液体として貯蔵する方法である。
水素を液化するためには、大きなエネルギーが必要であること、また、液体水素が自然気化して、漏れだしてしまうことが問題であるが、高密度な保存が可能である。
第三の方法は、水素吸蔵合金を使用して水素を貯蔵する方法である。
この方法では、水素吸蔵合金の比重が大きいため、重量ベースでは、2wt%程度の水素しか吸蔵できず、燃料タンクが重たくなってしまうという問題点があるが、体積ベースでの吸蔵量は大きいので、小型化には有効である。
とりわけ、小型燃料電池では、取り扱いの容易さと体積あたりの水素充填量の多さから、第三の水素吸蔵合金に水素を吸蔵させる方法がよく用いられる。
【0007】
発電によって燃料容器内の水素を消費しつくしてしまうと、さらに発電を続けるためには、新たに水素を充填する必要がある。
水素の補充は、燃料電池の発電部を燃料容器につないだまま行うこともできるが、燃料容器を発電部から切り離して行う場合もある。
これは、1つには、充填時に燃料容器内の圧力が高圧になることと、充填の際に容器を冷却することが好ましいが、これらの圧力や温度履歴が発電部に悪影響を与えないようにするためである。
また、利便性や経済性という観点からも、複数の燃料電池を所持して持ち歩くよりも、燃料容器のみを複数持ち歩き、使用中の容器が空になった場合には、新しい容器と交換するのが好ましい。
そのため、燃料容器と燃料電池発電部との間には、カプラを設置して、燃料容器を着脱可能にする方法がよく用いられる。
このようなカプラとして、例えば、特許文献3に示すように、外力によりプラグとソケットトとを分離可能に構成したカプラが提案されている。
【0008】
一方、固体高分子型燃料電池の発電は以下の様にして行われる。
高分子電解質膜には、パーフルオロスルホン酸系の陽イオン交換樹脂がよく用いられる。例えば、このような膜としては、デュポン社のナフィオンなどがよく知られている。
固体高分子電解質膜を、白金などの触媒を担持した一対の多孔質電極、すなわち、燃料極と酸化剤極とで狭持した膜電極複合体が発電セルとなる。
この発電セルに対して、酸化剤極には酸化剤を、燃料極には燃料極を供給することにより、高分子電解質膜中をプロトンが移動し、発電が行われる。
高分子電解質膜は機械的強度を保ち、また、燃料ガスが透過しないようにするために通常50〜200μm程度の厚さのものが使用される。
これらの固体高分子電解質膜の強度は3〜5kg/cm2程度である。従って、差圧による膜の破断を防ぐためには、燃料電池の酸化剤極室と燃料極室との差圧が、平常時には0.5kg/cm2、非常時でも1kg/cm2以下になるように制御することが好ましい。
燃料タンク圧と酸化剤極室との差圧が上記圧力よりも小さい場合、燃料タンクと燃料極室とを直結し、特に減圧の必要はない。
しかしながら、酸化剤極室が大気に解放されており、また、より高密度に燃料を充填する場合においては、燃料タンクから燃料極室に燃料を供給する過程において、減圧することが必要となる。
また、発電の起動・停止操作や、発電電力を安定させるためにも、上記機構は必要となる。
【0009】
上記した特許文献2においては、小型バルブを燃料タンクと燃料電池セルの間に設けることにより、燃料電池セルを大きな圧力差による破断から防ぎ、発電の起動、停止を制御し、発電電力を安定に保っている。
特に、燃料供給路と酸化剤供給路との境界にダイヤフラムを使用し、バルブに直結することで、電気を使用しないで、燃料供給路と酸化剤供給路との差圧により駆動し、燃料電池セルに供給する燃料圧を最適に制御する減圧弁を実現している。
また、特許文献4においては、一次調整弁を備えた部位と、二次調整弁を備えた部位とを分割し、いずれか一方の部位を燃料タンク側または燃料電池側に設け、これらを着脱可能に構成した複弁式の圧力調整器が提案されている。
【特許文献1】特開2004−211818号公報
【特許文献2】特開2004−31199号公報
【特許文献3】特開2004−293777号公報
【特許文献4】特開2005−339321号公報
【非特許文献1】A.Debray et al、J.Micromech.Microeng.、15、S202−S209、2005
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来例のものにおいては、燃料タンクと燃料電池セルの間に設けるカプラとしては、必ずしも満足の得られるものではなかった。
例えば、上記特許文献1または特許文献3の従来例のカプラは、圧力調整機能を持たないため、接続時の両配管の圧力はほぼ等しくなっていた。そのため、接続時に圧力を減圧して、一定の圧力の流体を供給したい場合には、別に減圧弁を流路内に設置する必要があった。
また、上記特許文献2の従来例のものは、ダイヤフラム(可動部)、ピストン(伝達機構)、弁体が一体化されているため、これらを分割してカプラとして用いるには不都合が生じる。
また、上記特許文献4の従来例のものは、一次調整弁を備えた部位と、二次調整弁を備えた部位とが、それぞれ分割された構成が採られており、燃料タンクと燃料電池セル間で圧力調整機能を有するカプラとして用いることができるものである。
しかしながら、一次調整弁と二次調整弁を備えた部位が、それぞれ分割された構成が採られているため、構造が複雑となるだけでなく、昨今におけるより一層の小型化が求められている小型燃料電池システムでの要請に応えることは困難である。
特に、一時調整弁は、弁を閉じるためのバネが、ピストン軸延長上で、弁体に対して該ピストンの反対側に位置していた。そのため、減圧弁の層構造が多くなり、構造が複雑になっていた。また、この場合、弁体の位置ずれを防ぐため、前記バネとは別に弁体、あるいは、ピストンにガイドを設ける必要があった。しかしながら、小型の減圧弁においては、小型の軸受けを製作することが非常に困難であるため、ガイド部分での摩擦が大きく、弁を駆動することが難しかった。また、このように厚い部材を重ね合わせた構成は、小型化や量産化に有利な半導体加工技術や、エッチング、プレス加工によって作製することは難しかった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、簡単な構成によって、より一層の小型化を図ることが可能となる減圧弁としての機能を有する流体配管の接続機構とその製造方法、及び流体配管の接続機構を備えた燃料電池システムの提供を目的とする。
また、本発明は、簡単な構成によって、より一層の小型化を図ることが可能となる減圧弁としての機能の他に温度遮断弁としての機能を併せ有する流体配管の接続機構とその製造方法、及び流体配管の接続機構を備えた燃料電池システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、つぎのように構成した流体配管の接続機構とその製造方法、及び流体配管の接続機構を備えた燃料電池システムを提供するものである。
本発明の流体配管の接続機構は、
流体が流通する複数の配管を接続する流体配管の接続機構であって、
前記複数の配管の一方の側に配設された、差圧によって動作する圧力制御弁の一部を構成する可動部を備えた第1の部品と、
前記複数の配管の他方の側に配設された、圧力制御弁の一部を構成する前記可動部の動作によって開閉される開閉機構を備えた第2の部品と、
前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に設けられた伝達機構とを備え、
前記開閉機構が、弁座部と、弁体部と、前記弁体部を支持する支持部とを備え、前記支持部が、前記伝達機構によって伝達される前記可動部の動作に応じて、前記弁体部と前記弁座部間を開閉可能に、前記弁体部を支持し、
前記弁体部を支持する支持部が、前記伝達機構の動作方向に垂直で、かつ前記弁体部を含む平面上に設けられている、前記弁体部を支持する弾性体によって構成され、
前記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続によって、これらの接続部位に前記伝達機構を介して前記可動部の動作を前記開閉機構に伝える圧力制御弁が構成されることを特徴とする
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記可動部が、ダイヤフラムであることを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記圧力制御弁が、減圧弁としての機能を有することを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記弁体部を支持する支持部が、一部に、閾値以上の温度により該弁体部を閉じる位置に変位する温度変位部を含み構成されていることを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記温度変位部が、形状記憶合金で形成されていることを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記温度変位部が、バイメタルで形成されていることを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記圧力制御弁が、減圧弁としての機能の他に、温度遮断弁としての機能を併せ有することを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記開閉機構が、前記開閉機構が、前記伝達機構の動作方向に垂直方向に延設された貫通孔を有する弾性体で構成され、前記貫通孔が、前記伝達機構により伝達される前記可動部の動作に応じて、前記伝達機構の先端部によって開閉されることを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に、
前記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続時においてこれらの接触箇所から流体が漏れるのを防止するためのガスケットを有することを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に、
前記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続時において該接続を維持するためのロック機構を有することを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記圧力制御弁の一部を構成する差圧によって動作する可動部、前記可動部の動作によって開閉される開閉機構及び伝達機構のそれぞれが、
シート状部材または板状部材で形成され、それらを積層して構成されていることを特徴とする。
また、本発明の流体配管接続機構の製造方法は、
複数の配管の一方の側に配設された、差圧によって動作する圧力制御弁の一部を構成する可動部を備えた第1の部品と、
前記複数の配管の他方の側に配設された圧力制御弁の一部を構成する前記可動部の動作によって開閉される開閉機構を備えた第2の部品と、
これらの部品の少なくとも一方に設けられた伝達機構と、を備えた流体配管接続機構の製造方法であって、
前記複数の配管の一方の側に配設するための前記可動部を、シート状部材または板状部材で形成する工程と、
前記伝達機構を、シート状部材または板状部材で形成する工程と、
前記複数の配管の他方の側に配設するための前記開閉機構を、弁座部、弁体部および該弁体部を支持する支持部とによって形成するに際し、これらをシート状部材または板状部材で形成する工程と、
前記可動部側、または前記開閉機構側のいずれか一方に、シート状部材または板状部材でガスケットを形成する工程と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の流体配管接続機構の製造方法は、前記シート状部材または板状部材の少なくとも一部に、半導体基板を用いることを特徴とする。
また、本発明は、燃料容器と燃料電池発電部との間に流体配管の接続機構を備えた燃料電池システムにおいて、
前記流体配管の接続機構が、上記したいずれかに記載の流体配管の接続機構、
または上記したいずれかに記載の流体配管接続機構の製造方法によって製造された流体配管の接続機構によって構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成によって、より一層の小型化を図ることが可能となる減圧弁としての機能を有する流体配管の接続機構とその製造方法、及び流体配管の接続機構を搭載した燃料電池システムを実現することができる。
また、本発明によれば、簡単な構成によって、より一層の小型化を図ることが可能となる温度遮断弁と減圧弁としての機能を併せ有する流体配管の接続機構とその製造方法、及び流体配管の接続機構を搭載した燃料電池システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0015】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1においては、本発明を適用した接続機構における第1の構成例について説明する。
図1に、本実施例の接続機構の構成を説明するための断面図を示す。
図1において、1は可動部となるダイヤフラム、2は伝達機構であるピストン、3は弁部を形成する弁座部、4は弁体部、5は支持部、6はシール、10はガスケット、11はロック機構である。
【0016】
本実施例において接続機構の一方における差圧によって動作する圧力制御弁の一部を構成する可動部を備えた第1の部品は、
複数の配管における一方の側に配設された配管に接続される、可動部となるダイヤフラム1、伝達機構であるピストン2、ガスケット10、および、ロック機構11からなる。
また、本接続機構のもう一方における第2の部品は、圧力制御弁の一部を構成する前記可動部の動作によって開閉される開閉機構を備えた部品からなる。
この開閉機構は、上記複数の配管における他方の側に配設された配管に接続される、弁部を形成する弁座部3、弁体部4、支持部5、および、シール6によって構成される。
本実施例において、上記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続によって、これらの接続部位に前記伝達機構を介して前記可動部の動作を前記開閉機構に伝える圧力制御弁が構成されている。
また、上記支持部5は、上記ピストン2(伝達機構)によって伝達されるダイヤフラム1(可動部)の動作に応じて、弁体部と弁座部間を開閉可能に、弁体部4を支持するように構成されている。
ここで、支持部5は、上記弁体部4を支持する弾性体によって構成され、具体的には、弾性を有する梁(弾性体)によって形成されており、伝達機構2の動作方向に垂直で、弁体部4を含む平面上に設置されている。例えば、図2(a)に示すような第1の形態、あるいは図2(b)に示すような第2の形態を採ることができる。
また、支持部5を、一部に、閾値以上の温度により前記弁体部を閉じる位置に変位する温度変位部を含み構成するようにしてもよい。例えば図2(c)に示すような第3の形態として、弁体部4を支持部5および温度変位部50によって周囲に支持するように構成してもよい。
その際、この温度変位部50は、チタン−ニッケル合金などの形状記憶合金により形成することができる。
チタン−ニッケル合金の形状記憶合金はスパッタリングを用いて形成することも可能である。
温度変位部50は通常温度では塑性変形を行い前述の支持部5のバネ性には影響しないため通常の減圧弁として機能する。
減圧弁の周りの温度が異常上昇して予め設定した温度以上になると、温度変位部50の形状記憶合金が弁座部3方向に反り返るように変位して、弁体部4が弁座部3に押し付けられて弁が閉じた状態になる。
温度が閾値より小さい領域では温度変位部50は機能しないので、通常の減圧弁のように二次圧を保ちながら流量が発生する。
さらに、温度が上昇して、閾値を超えると温度変位部50の形状記憶合金が機能して弁体部4が持ち上げられるため弁が閉じ、温度遮断弁として機能する。
これに対して、温度が閾値を下回ると通常の減圧弁として機能する。これにより可逆的に利用することが可能となる。
このように、減圧弁に形状記憶合金の温度変位部50を設けることにより閾値温度より下では減圧弁、それ以上では遮断弁として機能させることができ、より安全性の高い弁機能を発揮させることができる。
ここでは温度変位部50として形状記憶合金を利用した例を示したが温度により変位する材料(例えばバイメタル等)を使用すれば同様な効果が得られる。
また、ここでは支持部5と温度変位部50が別に配置した例を示したが、支持部5にバネ性を有する金属材料等を利用した温度変位材料を利用するようにしてもよい。
【0017】
また、本実施例において、伝達機構2、ガスケット10、ロック機構11は、上記した可動部側、または上記した弁部を有する開閉機構側のいずれの側に設けられていてもよい。
例えば、図1に示すようにこれらを可動部を有する側に設けてもよく、また、これらを、図3に示すように弁部を有する側に設けてもよい。
また、ダイヤフラム(可動部)1側の配管は、図1(a)に示すダイヤフラム(可動部)1の右下の流路へとつながっている。
また、通常、ダイヤフラム(可動部)1の上部は大気に接している。
一方、弁部を有する接続機構の配管は、図1(b)に示す弁体部4の下方よりつながっている。
【0018】
ここで、図4、図5に基づいて、本実施例における減圧弁の動作を説明する。図4は、本接続機構の接続時の断面図である。
ダイヤフラム(可動部)を有する機構と弁部を有する機構が合わさり、これらの接続を維持するロック機構11によってロックされている。
また、接触面はガスケット10によって、内部を流れる流体が外に漏れないようになっている。
ピストン(伝達機構)2を介して、可動部1と弁体部4は対向する位置に来るが、ピストン(伝達機構)2は、可動部1と弁体部4の必ずしも両方に接している必要はない。
また、ロック機構11は、図8のようなバネを利用したものも可能であるが、例えば、接続時の接続機構の接触部に磁石を埋め込んでおき、磁石の引き合う力によって、接続状態を保持することも可能である。
特に、磁石にコイルによる電磁石を用いることで、接続、および、切り離しを、電気信号により制御することが可能である。
また、ロック機構に磁石を用い、切り離し、および、接続を圧電素子などを用いたアクチュエータを用いれば、接続、あるいは、切り離し動作のみに電力を使用し、通常は電力を必要としないような機構も実現可能である。
【0019】
ダイヤフラム(可動部)1上部の圧力をP0、バルブ上流の1次圧力をP1、バルブ下流の圧力をP2とし、弁体部4の面積をS1、ダイヤフラム(可動部)1の面積をS2とする。ダイヤフラム(可動部)は、差圧( P0− P2)によって動作する。
このとき、圧力の釣り合いから、図5のようにバルブが開く条件は、
(P1− P2)S1<( P0− P2)S2となる。P2がこの条件の圧力より高いとバルブは閉じ、低いとバルブは開く。
これによって、P2を一定に保つことができる。
弁体部4の面積やダイヤフラム(可動部)1の面積、ピストン(伝達機構)2の長さ、ダイヤフラム(可動部)1の厚さ、支持部5の梁の形状を調整することで、バルブが開閉する圧力や流量を最適に設計することができる。
特に、ダイヤフラム(可動部)1のバネ定数が支持部5のバネ定数よりも大きい場合には、弁が開く際の圧力は、ダイヤフラム(可動部)1に依存する。
逆に、支持部5のバネ定数が、ダイヤフラム(可動部)1のバネ定数よりも大きい場合には、弁の挙動は、支持部5に依存する。
また、接続時のピストン(伝達機構)2の長さとダイヤフラム(可動部)1から弁体部4までの距離との差によって、2次圧力P2は変化する。
すなわち、ピストン(伝達機構)2の長さがダイヤフラム(可動部)1から弁体部4までの距離よりも長いほどP2は高く、短いほどP2は低くなる。
一方、バルブ下流の圧力P2が設定圧力より高くなった場合には、ダイヤフラム(可動部)1は、上方にたわみ、バルブが閉じる。
この際、弁体部4とピストン(伝達機構)2が接合されていないため、弁体部4は弁座部3と接したところで停止し、ピストン(伝達機構)2のみがダイヤフラム(可動部)1とともに動く。
図3のように、伝達機構2が弁体部4と一体になり、可動部1とは、分離した形においても、動作原理は、図1に示す構造と同様である。
【0020】
本実施例の接続機構は、機械加工技術を用いて、例えば、以下のように作製することができる。
図6は、本接続機構を弁体部4側から見た場合の分解斜視図である。シート状部材、板状部材を加工して形成した各部材を積層して作成される。
まず、ダイヤフラム(可動部)1には、バイトンゴムやシリコーンゴムなどの弾性材料、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料やプラスチックなどを使用することができる。例えば、ステンレスを材料に用いた場合には、エッチングや切削加工などにより伝達機構を一体型で作製することができる。
または、図7の側面断面図、および、下面図に示すような、パターンを有する板バネ機構と気密性を保つための弾性膜に分けることもできる。
このようにすることで、ダイヤフラム(可動部)1の弾性の設計自由度を高めることができる。
板バネ機構はステンレスなどの金属のエッチング加工で作製することができる一方、膜材料には、シリコーンゴム、バイトンゴム、ポリイミドなどのシートを使用することができる。
また、ダイヤフラム(可動部)1の下部空間やピストン(伝達機構)2が通過する流路は、ステンレスの機械加工やエッチング加工で作製できる。
これらの部品の接着には、液状の接着剤を使用することもできるが、熱によって融解し、冷却時に接着するシート(ホットメルトシート)を使用すると、加工、組み立てが行いやすい。ホットメルトシートには、ポリオレフィン系材料を用いたものなどがある。また、PET基板上に接着剤が塗布されているものもあり、PET基板もあわせて構造材料として使用することができる。
例えば、図7に示す板バネ構造を金属のプレス加工で作製しておき、ダイヤフラム(可動部)1を厚さ0.1mmのPET基板の片面に接着層を有するホットメルトシートをカッティングしたものとし、両者をホットプレスする。これにより、ダイヤフラム(可動部)1とピストン(伝達機構)2を一体化したものが作製できる。また、出口流路8を有する部材を、厚さ0.1mmのPET基板の両面に接着層を有するホットメルトシートをカッティングしたものを用い、上下の部材とホットプレスで接着することもできる。
弁座部3、および、支持部5は一体型で加工することもできるし、支持部5を他の材料で作製しておき、接着することも可能である。
加工には切削のような機械加工やエッチングなどを用いることができる。
弁座部3、あるいは、弁体部へのシール材料のコーティングは、パリレンやフッ素系材料などを蒸着してもよいし、シリコーンゴムやポリイミド、フッ素系材料などをスピンコーティングやスプレーによって塗布することもできる。
さらには、シリコーンゴムや、バイトンシートなどのゴム材料を接着、あるいは、成型することもできる。
ガスケット10には、ゴム材料のO−リングやテフロン(登録商標)などを使用することができる。
ロック機構11は流路の入り口部分の部材と一体で作製することも、別に作製しておいて、接着やネジ止めすることも可能である。
これらの製法の中でも、特に、構造部材を金属のプレス加工によって作製し、ホットメルトシートによって接着する方法が、小型化、加工・組み立て性に優れている。
【0021】
具体的な作製例を以下に挙げる。外寸法は、8mm×8mmとする。
まず、可動部を有する側の接続機構を作製する。
押さえ板7は、厚さ0.3mmのステンレス板に、直径3.6mmの穴をエッチングによって形成することによって作製する。
次に、ダイヤフラム(可動部)1は、2部材によって作製し、弾性シートとして、厚さ0.3mmのバイトンシートを用いる。
さらに、図7に示す部材は、板バネ部は厚さ0.05mm、ピストン(伝達機構)2部分は直径0.26mm、長さ0.35mmの円柱状の突起として、ステンレスのエッチング加工で一体型で作製できる。
実際には、ステンレスのエッチングは、等方性であるため、ピストン(伝達機構)2はテーパーを有する形状となる。
ダイヤフラム(可動部)1の下部流路は直径3.6mmの穴を有する厚さ0.05mmのステンレス板を使用する。入り口流路を有する部材は、厚さ0.15mmのステンレス板にガスケット溝、および、流路をエッチング加工することによって作製できる。
ガスケット10は、ゴム材料(厚さ0.05mm)を焼き付けることによって形成する。ロック機構11はステンレスの板バネにより作製する。
【0022】
次に、弁部を有する側の接続機構を作製する。
弁座部3には、厚さ0.15mmのステンレス板の中央に直径0.4mmの穴をあけ、さらに突起部として、周囲を幅0.1mm残して、深さ0.05mmエッチングする。
一方、弁体、および、支持部5は厚さ0.3mmのステンレス板の中央に直径1mmの弁体部4を形成し、支持部は、図2(b)に示す形状で幅0.1mm、厚さ0.05mmとしてエッチングする。
弁座部3および弁体部4には、シール材6としてパリレンを蒸着により、厚さ0.01mmコーティングする。
【0023】
以上のようにして、作製された接続機構における減圧弁は、大気圧が1気圧(絶対圧)程度の時、2次圧力が0.8気圧(絶対圧)程度になる。
特に、接続時の外寸法は8mm×8mmで厚さ1mm程度となり、非常に小型のものが得られる。
また、本実施例で述べた各部材のうち、一部、あるいは、全部に以下の実施例で述べる半導体加工技術を利用して作製された部材を用いることも可能である。
【0024】
[実施例2]
実施例2においては、実施例1の構成を有する接続機構を、半導体基板を用いて半導体加工技術により作製する際の、流体配管接続機構の製造方法について説明する。
本実施例で作製される接続機構の各部の寸法は、例えば、以下のようにすることができるが、これらは設計に応じて変更可能である。
ダイヤフラム(可動部)は、直径3.6mm、厚さ40μmとすることができる。
ピストン(伝達機構)は、直径260μm、長さ200〜400μmとすることができる。
ピストン通過部流路は、直径400μmとすることができる。
突起部は、幅20μm、高さ10μm、シーリング層厚さ5μm、弁体部は、直径1000μm厚さ200μmとすることができる。支持部は、長さ1000μm、幅200μm、厚さ10μmとすることができる。
【0025】
つぎに、可動部を有する接続機構の作製方法を説明する。
図9から図11に、上記製造方法における接続機構の作製手順を説明するための各工程を示す。
図9(a)に示す第1のステップは、エッチングのためのマスクパターニング工程である。
第1のシリコンウェハ101には、片面研磨のシリコンウェハも使用可能であるが、両面研磨されたものを用いるのが好ましい。
さらに、後のエッチング工程において、エッチングの深さを制御するため、SOI(シリコン オン インシュレータ)ウェハを使用するのが好ましい。
シリコンウェハには例えば、ハンドル層厚さ200μm、酸化物層(BOX層)厚さ1μm、デバイス層厚さ40μmのものを使用する。
エッチングのマスクに使用するため、第1のウェハ101の表面の熱酸化を行なう。
1000℃程度に熱した炉の中に、所定量の水素および酸素を流すことによってウェハ表面に酸化物層を形成する。
次に、本工程および次工程で2段階のエッチングを行うため、シリコン酸化物層、およびフォトレジストによる2層構造を有するマスクを作製する。フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行い、伝達機構115作製のためのパターニングを行う。さらに、現像、ポストベイクを行う。
フォトレジストをマスクとして、フッ酸により、酸化物層をエッチングする。
さらに、ダイヤフラム(可動部)111下面流路の形成のためのマスクをパターニングする。
すなわち、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行い、現像、ポストベイクを行う。本実施例では、2段階のマスクとして、フォトレジストとシリコン酸化物層を使用したが、その他にも、厚さの異なるシリコン酸化物層を用いたり、アルミニウム層を用いたりすることによっても実現可能である。
【0026】
図9(b)に示す第2のステップは、ICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)によってダイヤフラム(可動部)111下面流路を形成する工程である。
エッチングの深さは、エッチング時間によって制御するが、100μm程度のエッチングを行なう。最後にフォトレジストマスクをアセトンによって取り除く。図9(c)に示す第3のステップでは、伝達機構115を作製する工程である。CP−RIE(リアクティブイオンエッチング)により、ウェハをエッチングする。エッチングの深さは時間によって制御しても良いし、図のようにSOIウェハの酸化物層(BOX層)をエッチストップ層として使用してもよい。
さらにマスクとして使用したシリコン酸化物層をフッ酸によって取り除く。
図9(d)に示す第4のステップは、ウェハのダイレクトボンディング工程である。
第2のシリコンウェハには、両面研磨したものを使用するのが好ましい。シリコンウェハには例えば、厚さ300μmのものが使用できる。
次に、第1のウェハ101、および、第2のウェハ102をSPM洗浄(80℃に熱した過酸化水素水と硫酸の混合液中で洗浄)後、薄いフッ酸で洗浄する。
第1のウェハ101と第2のウェハ102を重ね、1500N程度で加圧しながら、試料を3時間で1100℃に加熱し、4時間保持後、自然冷却によりアニールを行う。
図9(e)に示す第5のステップは、伝達機構115を形成する工程である。
ウェハ裏面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行う。ICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)によってエッチングして伝達機構115を形成する。
図9(f)に示す第6のステップは、ガスケット120を形成する工程である。コーティングは図のように可動部を有する接続機構に行なっても良いし、弁部を有する接続機構に行なっても良い。
コーティング材料としては、パリレン、サイトップ、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミドなどがある。
パリレン、PTFEは、蒸着によって、サイトップ、ポリイミドはスピンコーティングによってコーティング可能である。
その他、スプレーによるコーティングも可能である。
【0027】
次に、弁部を有する接続機構の作製方法を説明する。
図10(g)に示す第7のステップは、第3のウェハ103を熱酸化する工程である。
ウェハには、両面研磨されたものを用いるのが好ましい。さらに、後のエッチング工程において、エッチングの深さを制御するため、SOI(シリコン オン インシュレータ)ウェハを使用するのが好ましい。
シリコンウェハには例えば、ハンドル層厚さ150μm、酸化物層(BOX層)厚さ1μm、デバイス層厚さ10μmのものが使用できる。
熱酸化は、1000℃程度に熱した炉の中に、所定量の水素および酸素を流すことによって行われる。
図10(h)に示す第8のステップでは、流路を形成するためのマスクを作製する工程である。
裏面の酸化物層をフォトレジストで保護した後、表面の酸化物層のパターニングを行なう。ウェハ表面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行う。さらに、現像、ポストベイクを行う。
フォトレジストをマスクとして、フッ酸により、酸化物層をエッチングすることにより流路形成のためのパターニングを行なう。
パターニング後はアセトンにより、表面および裏面のフォトレジストを除去する。
図10(i)に示す第9のステップは、流路を形成する工程である。
ICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)によってエッチングする。
図10(j)に示す第10のステップでは、弁座112を形成するためのマスクを作製する工程である。
ウェハ裏面の酸化物層のパターニングを行なう。ウェハ裏面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行う。
さらに、現像、ポストベイクを行う。フォトレジストをマスクとして、フッ酸により、酸化物層をエッチングすることにより弁座112形成のためのパターニングを行なう。
パターニング後はアセトンにより、フォトレジストを除去する。
図10(k)に示す第11のステップは、弁座112を形成する工程である。
ICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)によってエッチングする。最後にフッ酸によって、マスクに使用したSi酸化物を除去する。
【0028】
図11(l)に示す第12のステップでは、第4のウェハ104を熱酸化する工程である。
ウェハには、片面研磨のものを使用しても良いが、両面研磨されたものを用いるのが好ましい。
さらに、後のエッチング工程において、エッチングの深さを制御するため、SOI(シリコン オン インシュレータ)ウェハを使用するのが好ましい。
シリコンウェハには例えば、ハンドル層厚さ150μm、酸化物層(BOX層)厚さ1μm、デバイス層厚さ10μmのものが使用できる。熱酸化は、1000℃程度に熱した炉の中に、所定量の水素および酸素を流すことによって行われる。
図11(m)に示す第13のステップでは、弁体部113を形成するためのマスクを作製する工程である。
表面の酸化物層をフォトレジストで保護した後、裏面の酸化物層のパターニングを行なう。
ウェハ表面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行う。さらに、現像、ポストベイクを行う。
フォトレジストをマスクとして、フッ酸により、酸化物層をエッチングすることにより弁体部113形成のためのパターニングを行なう。
パターニング後はアセトンにより、表面および裏面のフォトレジストを除去する。
図11(n)に示す第14のステップは、弁体113を形成する工程である。
ウェハ裏面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行う。ICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)によってエッチングする。
図11(o)に示す第15のステップでは、支持部114を形成するためのマスクを作製する工程である。
ウェハ表面の酸化物層のパターニングを行なう。ウェハ表面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行う。
さらに、現像、ポストベイクを行う。フォトレジストをマスクとして、フッ酸により、酸化物層をエッチングすることにより支持部114形成のためのパターニングを行なう。
パターニング後はアセトンにより、フォトレジストを除去する。次に、ICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)によってエッチングする。
最後にフッ酸によって、マスクに使用したSi酸化物を除去する。
図11(p)に示す第16のステップは、シール面のコーティングを行なう工程である。コーティングは図のように弁体側に行なっても良いし、弁座側に行なっても良い。
コーティング材料としては、パリレン、サイトップ、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミドなどがある。
パリレン、PTFEは、蒸着によって、サイトップ、ポリイミドはスピンコーティングによってコーティング可能である。その他、スプレーによるコーティングも可能である。
図11(q)に示す第17のステップは、組み立て工程である。
第6のステップまでで作製したダイヤフラム(可動部)111および弁座部112を有する部材と、第11の工程までで作製した弁体部113を有する部材を重ね合わせることにより、小型減圧弁が完成する。
本実施例において、ボンディングはシリコンの拡散接合技術を用いているが、接合面に金属膜を予め成膜しておき、金属同士で接合を行なう方法や、接着剤などを使用することも可能である。
【0029】
[実施例3]
実施例3においては、接続機構の第2の構成例について説明する。
図12に、本実施例の構成例を説明するための断面図を示す。
図12において、201は可動部となるダイヤフラム、202は伝達機構であるピストン、203は弾性部材、204は貫通孔、210はガスケット、211は、ロック機構である。
本実施例の接続機構の一方は、一方の配管に接続される、可動部となるダイヤフラム201、伝達機構であるピストン202、ガスケット210、および、ロック機構211からなる。
また、本接続機構のもう一方は、他方の配管に接続される、弁部200を有し、上記した伝達機構の動作方向に垂直方向に延設された貫通孔204が設けられた弾性部材203からなる。
【0030】
図13、図14に基づいて、本減圧弁の動作を説明する。
図13は、本実施例の接続機構の接続時の断面図である。
ダイヤフラム(可動部)を有する機構と弁部を有する機構が合わさり、ロック機構211によってロックされている。
また、上記した一方の配管と他方の配管の接続時において、これらの接触箇所から流体が漏れるのを防止するため、接触面はガスケット210によって、内部を流れる流体が外に漏れないようになっている。
貫通孔204は通常は閉じており、伝達機構202の先端部が貫通孔を押し広げることにより、弁が開く。
伝達機構先端の形状は、図12のような円錐形でも構わないが、図15のように、さらに、溝部を側面に有するものでも良い。
【0031】
ここで、本減圧弁の動作を説明する。
ダイヤフラム(可動部)201の上部の圧力をP0、バルブ上流の1次圧力をP1、バルブ下流の圧力をP2とする。
P2がP0より高いとダイヤフラム(可動部)201が上方にたわみ、貫通孔204は弁部200の弾性により閉じるので、バルブは閉じている。
一方、P2がP0より低いとダイヤフラム(可動部)201が下方にたわみ、伝達機構202が弁部200の貫通孔204を押し広げるので、図13に示すように、バルブは開く。
これによって、P2を一定に保つことができる。ダイヤフラム(可動部)201の面積、厚さ、伝達機構202の長さ、弁部200の厚さや弾性を調整することで、バルブが開閉する圧力や流量を最適に設計することができる。
【0032】
本実施例の減圧弁は、機械加工技術を用いて、以下のように作製することができる。
図16は本実施例における接続機構の減圧弁を貫通孔側から見た場合の分解斜視図である。
まず、ダイヤフラム(可動部)201には、バイトンゴムやシリコーンゴムなどの弾性材料の他に、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料を使用することができる。
例えば、ステンレスを材料に用いた場合には、エッチングや切削加工などにより伝達機構を一体型で作製することができる。
弁部200の材料には、バイトンゴムやシリコーンゴムなどの弾性材料を使用することができる。
【0033】
[実施例4]
実施例4においては、本発明の接続機構を搭載した発電量が数ミリワットから数百ワットまでの小型固体高分子型燃料電池について説明する。
図17に、本実施例の燃料タンク、および、燃料電池発電部の斜視図を示す。
また、図18に燃料タンクと燃料電池発電部を接続した際の燃料電池の概観斜視図を示す。
また、図19に本実施例の燃料電池のシステムの概要図を示す。
【0034】
燃料電池の外寸法は50mm×30mm×10mmであり、通常コンパクトデジタルカメラで使用されているリチウムイオン電池の大きさとほぼ同じである。このように本実施例の燃料電池は小型で一体化されているため、携帯機器に組み込みやすい形状となっている。
また、本実施例の燃料電池は、酸化剤として反応に用いる酸素を外気から取り入れるため、上下面、及び側面に外気を取り入れるための通気孔1013を有する。
また、この孔は生成した水を水蒸気として逃がしたり、反応により発生した熱を外に逃がす働きもしている。
また、燃料電池内部は、酸化剤極1016、高分子電解質膜1017、燃料極1018からなる燃料電池セル1011と、燃料を貯蔵する燃料タンク1014、燃料タンクと各セルの燃料極とをつなぐ接続機構1015によって構成されている。
接続機構1015は燃料タンク1014と燃料電池発電部との着脱を可能にするだけでなく、切り離し時には、燃料タンク1014内の燃料が外に漏れ出したり、外気がタンク内に混入するのを防ぐチェックバルブ機能を有する。
さらには、接続時には、燃料タンク1014の圧力を調節して供給する減圧機能を有する。
【0035】
次に、本実施例の燃料タンク1014について説明する。
タンクの内部には水素を吸蔵することが可能な水素吸蔵合金が充填されている。燃料電池に用いる高分子電解質膜の耐圧が0.3〜0.5MPaであることから、外気との差圧が0.1MPa以内の範囲で用いる必要がある。
水素の解放圧が常温で0.2MPaの特性を持つ水素吸蔵合金として、例えばLaNi5などを用いる。
燃料タンクの容積を燃料電池全体の半分とし、タンク肉厚を1mm、タンク材質をチタンとすると、この時、燃料タンクの重量は50g程度となり、また、燃料タンク体積は5.2cm3になる。
【0036】
本タンク中に、水素の解放圧が常温で0.2MPaを超えるような水素吸蔵材料を超える場合には、燃料タンク1014と燃料極1018との間に減圧のための手段を設ける必要がある。
例えば、LaNi5は、重量当たり1.1wt%の水素を吸脱着可能である。LaNi5の各温度における解離圧は図20に示すようになっている。
タンクに蓄えられた水素は接続機構1015で減圧され、燃料極1018に供給される。また、酸化剤極1016には通気孔1013から外気が供給される。燃料電池セルで発電された電気は電極1012から小型電気機器に供給される。
【0037】
図21は本発明の接続機構を燃料電池に搭載した場合の関係図である。
弁部を有する接続機構1015は、燃料タンク1014とつながっている。
一方、可動部1を有する接続機構の出口流路1019は、燃料極1018へとつながり、ダイヤフラム(可動部)1の出口流路と反対面は酸化剤極(外気)と接している。
以下に燃料電池の発電に伴うバルブの開閉動作を説明する。
タンク切り離し時、および、発電停止中は接続機構1015の弁部は閉じている。
発電が始まると燃料極室の燃料は消費され、燃料極室の燃料の圧力は下がっていく。
ダイヤフラム(可動部)1は、外気圧と燃料極室の圧力との差圧から、燃料極室側にたわみ、ピストン(伝達機構)2を介して、弁体部4は押し下げられ、弁部は開状態となる。これにより、燃料タンク1014から、燃料極1018に燃料が供給される。
燃料極室の圧力が回復すると、ダイヤフラム(可動部)1は上に押し上げられ、接続機構1015は閉じる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1における接続機構の第1の構成例を説明するための断面図。
【図2】本発明の実施例1の接続機構の第1の構成例における支持部の形態を説明するための図であり、(a)は支持部の第1の形態を説明するための平面図、(b)は第2の形態を説明するための平面図、(c)は第3の形態を説明するための平面図。
【図3】本発明の実施例1の接続機構の第1の構成例における応用例を説明するための断面図。
【図4】本発明の実施例1の接続機構の第1の構成例における各部の圧力および断面積を説明するための(クローズ状態)図。
【図5】本発明の実施例1の接続機構の第1の構成例における弁が開いた状態を説明するための断面図。
【図6】本発明の実施例1の接続機構の第1の構成例を説明するための分解斜視図。
【図7】本発明の実施例1の接続機構における可動部の別の構成例を説明するための図であり、(a)その側断面、(b)はその下面図。
【図8】本発明の実施例1の接続機構におけるロック機構の別の構成例を説明するための図であり、(a)可動部を有する側の構成を示す図、(b)弁部を有する側の構成を示す図。
【図9】本発明の実施例2における可動部を有する接続機構の作製手順を説明するための各工程((a)から(f))図。
【図10】本発明の実施例2における図9に続く可動部を有する接続機構の作製手順を説明するための各工程((g)から(k))図。
【図11】本発明の実施例2における図10に続く可動部を有する接続機構の作製手順を説明するための各工程((i)から(q))図。
【図12】本発明の実施例3における接続機構の第2の構成例を説明するための断面図。
【図13】本発明の実施例3における接続機構の第2の構成例の接続状態を示す断面図。
【図14】本発明の実施例3における接続機構の第2の構成例の弁が開いた状態を示す断面図。
【図15】本発明の実施例3における接続機構の第2の構成例の伝達機構の別の形態を示す断面図。
【図16】本発明の実施例3における接続機構の減圧弁を貫通孔側から見た場合の分解斜視図。
【図17】本発明の実施例4における燃料タンクおよび燃料電池発電部の構成を示す斜視図。
【図18】本発明の実施例4における燃料タンクと燃料電池発電部を接続した際の燃料電池の概観斜視図。
【図19】本発明の実施例4における燃料電池のシステムの概要図。
【図20】本発明の実施例4の燃料電池システムにおける水素吸蔵合金(LaNi5)の解離圧力を説明するための図。
【図21】本発明の実施例4における接続機構の位置関係を説明するための図。
【符号の説明】
【0039】
1:ダイヤフラム(可動部)
2:ピストン(伝達機構)
3:弁座部
4:弁体部
5:支持部
6:シール
7:押さえ板
8:出口流路
10:ガスケット
11:燃料電池セル(ロック機構)
50:温度変位部
101:第1のウェハ
102:第2のウェハ
103:第3のウェハ
104:第4のウェハ
111:ダイヤフラム(可動部)
112:弁座部
113:弁体部
114:支持部
115:ピストン(伝達機構)
116:シール材
117:入口流路
118:出口流路
120:ガスケット
200:弁部
201:ダイヤフラム(可動部)
202:伝達機構
203:弾性部材
204:貫通孔
205:切り込み
207:押さえ板
208:出口流路
210:ガスケット
211:ロック機構
1011:燃料電池セル
1012:電極
1013:通気孔
1014:燃料タンク
1015:接続機構
1016:酸化剤極
1017:高分子電解質膜
1018:燃料極
1019:出口流路
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を流通する配管を接続するための流体配管の接続機構とその製造方法、及びこれらの流体配管の接続機構を燃料容器と発電機構との間に備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体を流通する配管を接続するカプラには、様々なものが提案されてきた。
通常、カプラは、特許文献1に示されるような構成を有している。すなわち、配管の非接続時には、少なくとも一方のポートは、流体が外に漏れないように閉じており、配管が接続された際に、流体の流通が可能になる。
これは、カプラの一方にチェックバルブが設けられ、もう一方にチェックバルブを押して開くための加圧ピンが設けられることによって実現される。
また、接続時に流体が外部に漏れないようにするためのガスケット、および、カプラが容易に外れないようにするためのロック機構を備えている。
【0003】
一方、減圧弁は機械加工技術を用いて、様々なタイプのものが作製されてきた。減圧弁は、アクティブ駆動のもの、パッシブ駆動のものに大きく分類される。アクティブ駆動の減圧弁は、圧力センサとバルブ駆動手段、制御機構とを備え、2次圧力が設定圧力に減圧されるようにバルブを駆動する。
また、パッシブ駆動の減圧弁は、設定圧力になると、圧力差を利用して、バルブが自動的に開閉する。
さらに、パッシブ型減圧弁は、パイロット型と直動型に大別される。
パイロット型は、パイロット弁を有し、安定した動作を特徴としている。
また、直動型は、高速応答に対して利点がある。このようなパイロット型において、気体を作動流体とする場合には、圧縮流体の微小な力でも弁の開閉を確実に行なうため、差圧感知機構として、ダイヤフラムがよく用いられる。
【0004】
小型の減圧弁に関しては、例えば、特許文献2に示すように、ダイヤフラム、弁体、弁体とダイヤフラムを直結するバルブ軸を備えた構造のものが提案されている。
このような構造の減圧弁の製造方法には、非特許文献1に開示されているような製造方法が知られている。この製造方法は、半導体加工技術を用いて、小型の機械要素を作製している点に特徴を有している。
半導体加工技術では、材料には半導体基板が用いられ、成膜、フォトリソグラフィやエッチングといった技術を組み合わせて構造を形成する。
これにより、サブミクロンオーダーの微細加工が可能な上、バッチプロセスにより大量生産化が容易であるという特徴を有する。
特に減圧弁は、複雑な3次元構造を有するため、半導体基板を垂直にエッチングするためのICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)や、複数の半導体基板を接合するための接合技術などが用いられている。
また、弁体と弁座の間は、シリコン酸化物などの犠牲層を介して接合され、プロセスの後半で、犠牲層をエッチングすることにより、弁座からの弁体のリリースを行なっている。
【0005】
一方、小型の電気機器に搭載するエネルギー源として、小型の燃料電池が注目されている。
燃料電池が小型電気機器の駆動源として有用な理由に体積当たり、重量当たりの供給可能なエネルギー量が従来のリチウムイオン2次電池に比べて、数倍から十倍近くであることが挙げられる。
特に、大きな出力を得るための燃料電池には、水素を燃料に使用するのが最適である。
しかし、水素は常温で気体であり、小型の燃料タンクの中に高密度に水素を貯蔵するための技術が必要である。
【0006】
このような水素を貯蔵するための技術として、つぎのような方法が知られている。
第一の方法は、水素を圧縮して高圧ガスとして保存する方法である。
タンク内のガスの圧力を200気圧にすると体積水素密度は18mg/cm3程度となる。
第二の方法は、水素を低温にして、液体として貯蔵する方法である。
水素を液化するためには、大きなエネルギーが必要であること、また、液体水素が自然気化して、漏れだしてしまうことが問題であるが、高密度な保存が可能である。
第三の方法は、水素吸蔵合金を使用して水素を貯蔵する方法である。
この方法では、水素吸蔵合金の比重が大きいため、重量ベースでは、2wt%程度の水素しか吸蔵できず、燃料タンクが重たくなってしまうという問題点があるが、体積ベースでの吸蔵量は大きいので、小型化には有効である。
とりわけ、小型燃料電池では、取り扱いの容易さと体積あたりの水素充填量の多さから、第三の水素吸蔵合金に水素を吸蔵させる方法がよく用いられる。
【0007】
発電によって燃料容器内の水素を消費しつくしてしまうと、さらに発電を続けるためには、新たに水素を充填する必要がある。
水素の補充は、燃料電池の発電部を燃料容器につないだまま行うこともできるが、燃料容器を発電部から切り離して行う場合もある。
これは、1つには、充填時に燃料容器内の圧力が高圧になることと、充填の際に容器を冷却することが好ましいが、これらの圧力や温度履歴が発電部に悪影響を与えないようにするためである。
また、利便性や経済性という観点からも、複数の燃料電池を所持して持ち歩くよりも、燃料容器のみを複数持ち歩き、使用中の容器が空になった場合には、新しい容器と交換するのが好ましい。
そのため、燃料容器と燃料電池発電部との間には、カプラを設置して、燃料容器を着脱可能にする方法がよく用いられる。
このようなカプラとして、例えば、特許文献3に示すように、外力によりプラグとソケットトとを分離可能に構成したカプラが提案されている。
【0008】
一方、固体高分子型燃料電池の発電は以下の様にして行われる。
高分子電解質膜には、パーフルオロスルホン酸系の陽イオン交換樹脂がよく用いられる。例えば、このような膜としては、デュポン社のナフィオンなどがよく知られている。
固体高分子電解質膜を、白金などの触媒を担持した一対の多孔質電極、すなわち、燃料極と酸化剤極とで狭持した膜電極複合体が発電セルとなる。
この発電セルに対して、酸化剤極には酸化剤を、燃料極には燃料極を供給することにより、高分子電解質膜中をプロトンが移動し、発電が行われる。
高分子電解質膜は機械的強度を保ち、また、燃料ガスが透過しないようにするために通常50〜200μm程度の厚さのものが使用される。
これらの固体高分子電解質膜の強度は3〜5kg/cm2程度である。従って、差圧による膜の破断を防ぐためには、燃料電池の酸化剤極室と燃料極室との差圧が、平常時には0.5kg/cm2、非常時でも1kg/cm2以下になるように制御することが好ましい。
燃料タンク圧と酸化剤極室との差圧が上記圧力よりも小さい場合、燃料タンクと燃料極室とを直結し、特に減圧の必要はない。
しかしながら、酸化剤極室が大気に解放されており、また、より高密度に燃料を充填する場合においては、燃料タンクから燃料極室に燃料を供給する過程において、減圧することが必要となる。
また、発電の起動・停止操作や、発電電力を安定させるためにも、上記機構は必要となる。
【0009】
上記した特許文献2においては、小型バルブを燃料タンクと燃料電池セルの間に設けることにより、燃料電池セルを大きな圧力差による破断から防ぎ、発電の起動、停止を制御し、発電電力を安定に保っている。
特に、燃料供給路と酸化剤供給路との境界にダイヤフラムを使用し、バルブに直結することで、電気を使用しないで、燃料供給路と酸化剤供給路との差圧により駆動し、燃料電池セルに供給する燃料圧を最適に制御する減圧弁を実現している。
また、特許文献4においては、一次調整弁を備えた部位と、二次調整弁を備えた部位とを分割し、いずれか一方の部位を燃料タンク側または燃料電池側に設け、これらを着脱可能に構成した複弁式の圧力調整器が提案されている。
【特許文献1】特開2004−211818号公報
【特許文献2】特開2004−31199号公報
【特許文献3】特開2004−293777号公報
【特許文献4】特開2005−339321号公報
【非特許文献1】A.Debray et al、J.Micromech.Microeng.、15、S202−S209、2005
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来例のものにおいては、燃料タンクと燃料電池セルの間に設けるカプラとしては、必ずしも満足の得られるものではなかった。
例えば、上記特許文献1または特許文献3の従来例のカプラは、圧力調整機能を持たないため、接続時の両配管の圧力はほぼ等しくなっていた。そのため、接続時に圧力を減圧して、一定の圧力の流体を供給したい場合には、別に減圧弁を流路内に設置する必要があった。
また、上記特許文献2の従来例のものは、ダイヤフラム(可動部)、ピストン(伝達機構)、弁体が一体化されているため、これらを分割してカプラとして用いるには不都合が生じる。
また、上記特許文献4の従来例のものは、一次調整弁を備えた部位と、二次調整弁を備えた部位とが、それぞれ分割された構成が採られており、燃料タンクと燃料電池セル間で圧力調整機能を有するカプラとして用いることができるものである。
しかしながら、一次調整弁と二次調整弁を備えた部位が、それぞれ分割された構成が採られているため、構造が複雑となるだけでなく、昨今におけるより一層の小型化が求められている小型燃料電池システムでの要請に応えることは困難である。
特に、一時調整弁は、弁を閉じるためのバネが、ピストン軸延長上で、弁体に対して該ピストンの反対側に位置していた。そのため、減圧弁の層構造が多くなり、構造が複雑になっていた。また、この場合、弁体の位置ずれを防ぐため、前記バネとは別に弁体、あるいは、ピストンにガイドを設ける必要があった。しかしながら、小型の減圧弁においては、小型の軸受けを製作することが非常に困難であるため、ガイド部分での摩擦が大きく、弁を駆動することが難しかった。また、このように厚い部材を重ね合わせた構成は、小型化や量産化に有利な半導体加工技術や、エッチング、プレス加工によって作製することは難しかった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、簡単な構成によって、より一層の小型化を図ることが可能となる減圧弁としての機能を有する流体配管の接続機構とその製造方法、及び流体配管の接続機構を備えた燃料電池システムの提供を目的とする。
また、本発明は、簡単な構成によって、より一層の小型化を図ることが可能となる減圧弁としての機能の他に温度遮断弁としての機能を併せ有する流体配管の接続機構とその製造方法、及び流体配管の接続機構を備えた燃料電池システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、つぎのように構成した流体配管の接続機構とその製造方法、及び流体配管の接続機構を備えた燃料電池システムを提供するものである。
本発明の流体配管の接続機構は、
流体が流通する複数の配管を接続する流体配管の接続機構であって、
前記複数の配管の一方の側に配設された、差圧によって動作する圧力制御弁の一部を構成する可動部を備えた第1の部品と、
前記複数の配管の他方の側に配設された、圧力制御弁の一部を構成する前記可動部の動作によって開閉される開閉機構を備えた第2の部品と、
前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に設けられた伝達機構とを備え、
前記開閉機構が、弁座部と、弁体部と、前記弁体部を支持する支持部とを備え、前記支持部が、前記伝達機構によって伝達される前記可動部の動作に応じて、前記弁体部と前記弁座部間を開閉可能に、前記弁体部を支持し、
前記弁体部を支持する支持部が、前記伝達機構の動作方向に垂直で、かつ前記弁体部を含む平面上に設けられている、前記弁体部を支持する弾性体によって構成され、
前記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続によって、これらの接続部位に前記伝達機構を介して前記可動部の動作を前記開閉機構に伝える圧力制御弁が構成されることを特徴とする
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記可動部が、ダイヤフラムであることを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記圧力制御弁が、減圧弁としての機能を有することを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記弁体部を支持する支持部が、一部に、閾値以上の温度により該弁体部を閉じる位置に変位する温度変位部を含み構成されていることを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記温度変位部が、形状記憶合金で形成されていることを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記温度変位部が、バイメタルで形成されていることを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記圧力制御弁が、減圧弁としての機能の他に、温度遮断弁としての機能を併せ有することを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記開閉機構が、前記開閉機構が、前記伝達機構の動作方向に垂直方向に延設された貫通孔を有する弾性体で構成され、前記貫通孔が、前記伝達機構により伝達される前記可動部の動作に応じて、前記伝達機構の先端部によって開閉されることを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に、
前記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続時においてこれらの接触箇所から流体が漏れるのを防止するためのガスケットを有することを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に、
前記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続時において該接続を維持するためのロック機構を有することを特徴とする。
また、本発明の流体配管の接続機構は、前記圧力制御弁の一部を構成する差圧によって動作する可動部、前記可動部の動作によって開閉される開閉機構及び伝達機構のそれぞれが、
シート状部材または板状部材で形成され、それらを積層して構成されていることを特徴とする。
また、本発明の流体配管接続機構の製造方法は、
複数の配管の一方の側に配設された、差圧によって動作する圧力制御弁の一部を構成する可動部を備えた第1の部品と、
前記複数の配管の他方の側に配設された圧力制御弁の一部を構成する前記可動部の動作によって開閉される開閉機構を備えた第2の部品と、
これらの部品の少なくとも一方に設けられた伝達機構と、を備えた流体配管接続機構の製造方法であって、
前記複数の配管の一方の側に配設するための前記可動部を、シート状部材または板状部材で形成する工程と、
前記伝達機構を、シート状部材または板状部材で形成する工程と、
前記複数の配管の他方の側に配設するための前記開閉機構を、弁座部、弁体部および該弁体部を支持する支持部とによって形成するに際し、これらをシート状部材または板状部材で形成する工程と、
前記可動部側、または前記開閉機構側のいずれか一方に、シート状部材または板状部材でガスケットを形成する工程と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の流体配管接続機構の製造方法は、前記シート状部材または板状部材の少なくとも一部に、半導体基板を用いることを特徴とする。
また、本発明は、燃料容器と燃料電池発電部との間に流体配管の接続機構を備えた燃料電池システムにおいて、
前記流体配管の接続機構が、上記したいずれかに記載の流体配管の接続機構、
または上記したいずれかに記載の流体配管接続機構の製造方法によって製造された流体配管の接続機構によって構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成によって、より一層の小型化を図ることが可能となる減圧弁としての機能を有する流体配管の接続機構とその製造方法、及び流体配管の接続機構を搭載した燃料電池システムを実現することができる。
また、本発明によれば、簡単な構成によって、より一層の小型化を図ることが可能となる温度遮断弁と減圧弁としての機能を併せ有する流体配管の接続機構とその製造方法、及び流体配管の接続機構を搭載した燃料電池システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0015】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1においては、本発明を適用した接続機構における第1の構成例について説明する。
図1に、本実施例の接続機構の構成を説明するための断面図を示す。
図1において、1は可動部となるダイヤフラム、2は伝達機構であるピストン、3は弁部を形成する弁座部、4は弁体部、5は支持部、6はシール、10はガスケット、11はロック機構である。
【0016】
本実施例において接続機構の一方における差圧によって動作する圧力制御弁の一部を構成する可動部を備えた第1の部品は、
複数の配管における一方の側に配設された配管に接続される、可動部となるダイヤフラム1、伝達機構であるピストン2、ガスケット10、および、ロック機構11からなる。
また、本接続機構のもう一方における第2の部品は、圧力制御弁の一部を構成する前記可動部の動作によって開閉される開閉機構を備えた部品からなる。
この開閉機構は、上記複数の配管における他方の側に配設された配管に接続される、弁部を形成する弁座部3、弁体部4、支持部5、および、シール6によって構成される。
本実施例において、上記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続によって、これらの接続部位に前記伝達機構を介して前記可動部の動作を前記開閉機構に伝える圧力制御弁が構成されている。
また、上記支持部5は、上記ピストン2(伝達機構)によって伝達されるダイヤフラム1(可動部)の動作に応じて、弁体部と弁座部間を開閉可能に、弁体部4を支持するように構成されている。
ここで、支持部5は、上記弁体部4を支持する弾性体によって構成され、具体的には、弾性を有する梁(弾性体)によって形成されており、伝達機構2の動作方向に垂直で、弁体部4を含む平面上に設置されている。例えば、図2(a)に示すような第1の形態、あるいは図2(b)に示すような第2の形態を採ることができる。
また、支持部5を、一部に、閾値以上の温度により前記弁体部を閉じる位置に変位する温度変位部を含み構成するようにしてもよい。例えば図2(c)に示すような第3の形態として、弁体部4を支持部5および温度変位部50によって周囲に支持するように構成してもよい。
その際、この温度変位部50は、チタン−ニッケル合金などの形状記憶合金により形成することができる。
チタン−ニッケル合金の形状記憶合金はスパッタリングを用いて形成することも可能である。
温度変位部50は通常温度では塑性変形を行い前述の支持部5のバネ性には影響しないため通常の減圧弁として機能する。
減圧弁の周りの温度が異常上昇して予め設定した温度以上になると、温度変位部50の形状記憶合金が弁座部3方向に反り返るように変位して、弁体部4が弁座部3に押し付けられて弁が閉じた状態になる。
温度が閾値より小さい領域では温度変位部50は機能しないので、通常の減圧弁のように二次圧を保ちながら流量が発生する。
さらに、温度が上昇して、閾値を超えると温度変位部50の形状記憶合金が機能して弁体部4が持ち上げられるため弁が閉じ、温度遮断弁として機能する。
これに対して、温度が閾値を下回ると通常の減圧弁として機能する。これにより可逆的に利用することが可能となる。
このように、減圧弁に形状記憶合金の温度変位部50を設けることにより閾値温度より下では減圧弁、それ以上では遮断弁として機能させることができ、より安全性の高い弁機能を発揮させることができる。
ここでは温度変位部50として形状記憶合金を利用した例を示したが温度により変位する材料(例えばバイメタル等)を使用すれば同様な効果が得られる。
また、ここでは支持部5と温度変位部50が別に配置した例を示したが、支持部5にバネ性を有する金属材料等を利用した温度変位材料を利用するようにしてもよい。
【0017】
また、本実施例において、伝達機構2、ガスケット10、ロック機構11は、上記した可動部側、または上記した弁部を有する開閉機構側のいずれの側に設けられていてもよい。
例えば、図1に示すようにこれらを可動部を有する側に設けてもよく、また、これらを、図3に示すように弁部を有する側に設けてもよい。
また、ダイヤフラム(可動部)1側の配管は、図1(a)に示すダイヤフラム(可動部)1の右下の流路へとつながっている。
また、通常、ダイヤフラム(可動部)1の上部は大気に接している。
一方、弁部を有する接続機構の配管は、図1(b)に示す弁体部4の下方よりつながっている。
【0018】
ここで、図4、図5に基づいて、本実施例における減圧弁の動作を説明する。図4は、本接続機構の接続時の断面図である。
ダイヤフラム(可動部)を有する機構と弁部を有する機構が合わさり、これらの接続を維持するロック機構11によってロックされている。
また、接触面はガスケット10によって、内部を流れる流体が外に漏れないようになっている。
ピストン(伝達機構)2を介して、可動部1と弁体部4は対向する位置に来るが、ピストン(伝達機構)2は、可動部1と弁体部4の必ずしも両方に接している必要はない。
また、ロック機構11は、図8のようなバネを利用したものも可能であるが、例えば、接続時の接続機構の接触部に磁石を埋め込んでおき、磁石の引き合う力によって、接続状態を保持することも可能である。
特に、磁石にコイルによる電磁石を用いることで、接続、および、切り離しを、電気信号により制御することが可能である。
また、ロック機構に磁石を用い、切り離し、および、接続を圧電素子などを用いたアクチュエータを用いれば、接続、あるいは、切り離し動作のみに電力を使用し、通常は電力を必要としないような機構も実現可能である。
【0019】
ダイヤフラム(可動部)1上部の圧力をP0、バルブ上流の1次圧力をP1、バルブ下流の圧力をP2とし、弁体部4の面積をS1、ダイヤフラム(可動部)1の面積をS2とする。ダイヤフラム(可動部)は、差圧( P0− P2)によって動作する。
このとき、圧力の釣り合いから、図5のようにバルブが開く条件は、
(P1− P2)S1<( P0− P2)S2となる。P2がこの条件の圧力より高いとバルブは閉じ、低いとバルブは開く。
これによって、P2を一定に保つことができる。
弁体部4の面積やダイヤフラム(可動部)1の面積、ピストン(伝達機構)2の長さ、ダイヤフラム(可動部)1の厚さ、支持部5の梁の形状を調整することで、バルブが開閉する圧力や流量を最適に設計することができる。
特に、ダイヤフラム(可動部)1のバネ定数が支持部5のバネ定数よりも大きい場合には、弁が開く際の圧力は、ダイヤフラム(可動部)1に依存する。
逆に、支持部5のバネ定数が、ダイヤフラム(可動部)1のバネ定数よりも大きい場合には、弁の挙動は、支持部5に依存する。
また、接続時のピストン(伝達機構)2の長さとダイヤフラム(可動部)1から弁体部4までの距離との差によって、2次圧力P2は変化する。
すなわち、ピストン(伝達機構)2の長さがダイヤフラム(可動部)1から弁体部4までの距離よりも長いほどP2は高く、短いほどP2は低くなる。
一方、バルブ下流の圧力P2が設定圧力より高くなった場合には、ダイヤフラム(可動部)1は、上方にたわみ、バルブが閉じる。
この際、弁体部4とピストン(伝達機構)2が接合されていないため、弁体部4は弁座部3と接したところで停止し、ピストン(伝達機構)2のみがダイヤフラム(可動部)1とともに動く。
図3のように、伝達機構2が弁体部4と一体になり、可動部1とは、分離した形においても、動作原理は、図1に示す構造と同様である。
【0020】
本実施例の接続機構は、機械加工技術を用いて、例えば、以下のように作製することができる。
図6は、本接続機構を弁体部4側から見た場合の分解斜視図である。シート状部材、板状部材を加工して形成した各部材を積層して作成される。
まず、ダイヤフラム(可動部)1には、バイトンゴムやシリコーンゴムなどの弾性材料、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料やプラスチックなどを使用することができる。例えば、ステンレスを材料に用いた場合には、エッチングや切削加工などにより伝達機構を一体型で作製することができる。
または、図7の側面断面図、および、下面図に示すような、パターンを有する板バネ機構と気密性を保つための弾性膜に分けることもできる。
このようにすることで、ダイヤフラム(可動部)1の弾性の設計自由度を高めることができる。
板バネ機構はステンレスなどの金属のエッチング加工で作製することができる一方、膜材料には、シリコーンゴム、バイトンゴム、ポリイミドなどのシートを使用することができる。
また、ダイヤフラム(可動部)1の下部空間やピストン(伝達機構)2が通過する流路は、ステンレスの機械加工やエッチング加工で作製できる。
これらの部品の接着には、液状の接着剤を使用することもできるが、熱によって融解し、冷却時に接着するシート(ホットメルトシート)を使用すると、加工、組み立てが行いやすい。ホットメルトシートには、ポリオレフィン系材料を用いたものなどがある。また、PET基板上に接着剤が塗布されているものもあり、PET基板もあわせて構造材料として使用することができる。
例えば、図7に示す板バネ構造を金属のプレス加工で作製しておき、ダイヤフラム(可動部)1を厚さ0.1mmのPET基板の片面に接着層を有するホットメルトシートをカッティングしたものとし、両者をホットプレスする。これにより、ダイヤフラム(可動部)1とピストン(伝達機構)2を一体化したものが作製できる。また、出口流路8を有する部材を、厚さ0.1mmのPET基板の両面に接着層を有するホットメルトシートをカッティングしたものを用い、上下の部材とホットプレスで接着することもできる。
弁座部3、および、支持部5は一体型で加工することもできるし、支持部5を他の材料で作製しておき、接着することも可能である。
加工には切削のような機械加工やエッチングなどを用いることができる。
弁座部3、あるいは、弁体部へのシール材料のコーティングは、パリレンやフッ素系材料などを蒸着してもよいし、シリコーンゴムやポリイミド、フッ素系材料などをスピンコーティングやスプレーによって塗布することもできる。
さらには、シリコーンゴムや、バイトンシートなどのゴム材料を接着、あるいは、成型することもできる。
ガスケット10には、ゴム材料のO−リングやテフロン(登録商標)などを使用することができる。
ロック機構11は流路の入り口部分の部材と一体で作製することも、別に作製しておいて、接着やネジ止めすることも可能である。
これらの製法の中でも、特に、構造部材を金属のプレス加工によって作製し、ホットメルトシートによって接着する方法が、小型化、加工・組み立て性に優れている。
【0021】
具体的な作製例を以下に挙げる。外寸法は、8mm×8mmとする。
まず、可動部を有する側の接続機構を作製する。
押さえ板7は、厚さ0.3mmのステンレス板に、直径3.6mmの穴をエッチングによって形成することによって作製する。
次に、ダイヤフラム(可動部)1は、2部材によって作製し、弾性シートとして、厚さ0.3mmのバイトンシートを用いる。
さらに、図7に示す部材は、板バネ部は厚さ0.05mm、ピストン(伝達機構)2部分は直径0.26mm、長さ0.35mmの円柱状の突起として、ステンレスのエッチング加工で一体型で作製できる。
実際には、ステンレスのエッチングは、等方性であるため、ピストン(伝達機構)2はテーパーを有する形状となる。
ダイヤフラム(可動部)1の下部流路は直径3.6mmの穴を有する厚さ0.05mmのステンレス板を使用する。入り口流路を有する部材は、厚さ0.15mmのステンレス板にガスケット溝、および、流路をエッチング加工することによって作製できる。
ガスケット10は、ゴム材料(厚さ0.05mm)を焼き付けることによって形成する。ロック機構11はステンレスの板バネにより作製する。
【0022】
次に、弁部を有する側の接続機構を作製する。
弁座部3には、厚さ0.15mmのステンレス板の中央に直径0.4mmの穴をあけ、さらに突起部として、周囲を幅0.1mm残して、深さ0.05mmエッチングする。
一方、弁体、および、支持部5は厚さ0.3mmのステンレス板の中央に直径1mmの弁体部4を形成し、支持部は、図2(b)に示す形状で幅0.1mm、厚さ0.05mmとしてエッチングする。
弁座部3および弁体部4には、シール材6としてパリレンを蒸着により、厚さ0.01mmコーティングする。
【0023】
以上のようにして、作製された接続機構における減圧弁は、大気圧が1気圧(絶対圧)程度の時、2次圧力が0.8気圧(絶対圧)程度になる。
特に、接続時の外寸法は8mm×8mmで厚さ1mm程度となり、非常に小型のものが得られる。
また、本実施例で述べた各部材のうち、一部、あるいは、全部に以下の実施例で述べる半導体加工技術を利用して作製された部材を用いることも可能である。
【0024】
[実施例2]
実施例2においては、実施例1の構成を有する接続機構を、半導体基板を用いて半導体加工技術により作製する際の、流体配管接続機構の製造方法について説明する。
本実施例で作製される接続機構の各部の寸法は、例えば、以下のようにすることができるが、これらは設計に応じて変更可能である。
ダイヤフラム(可動部)は、直径3.6mm、厚さ40μmとすることができる。
ピストン(伝達機構)は、直径260μm、長さ200〜400μmとすることができる。
ピストン通過部流路は、直径400μmとすることができる。
突起部は、幅20μm、高さ10μm、シーリング層厚さ5μm、弁体部は、直径1000μm厚さ200μmとすることができる。支持部は、長さ1000μm、幅200μm、厚さ10μmとすることができる。
【0025】
つぎに、可動部を有する接続機構の作製方法を説明する。
図9から図11に、上記製造方法における接続機構の作製手順を説明するための各工程を示す。
図9(a)に示す第1のステップは、エッチングのためのマスクパターニング工程である。
第1のシリコンウェハ101には、片面研磨のシリコンウェハも使用可能であるが、両面研磨されたものを用いるのが好ましい。
さらに、後のエッチング工程において、エッチングの深さを制御するため、SOI(シリコン オン インシュレータ)ウェハを使用するのが好ましい。
シリコンウェハには例えば、ハンドル層厚さ200μm、酸化物層(BOX層)厚さ1μm、デバイス層厚さ40μmのものを使用する。
エッチングのマスクに使用するため、第1のウェハ101の表面の熱酸化を行なう。
1000℃程度に熱した炉の中に、所定量の水素および酸素を流すことによってウェハ表面に酸化物層を形成する。
次に、本工程および次工程で2段階のエッチングを行うため、シリコン酸化物層、およびフォトレジストによる2層構造を有するマスクを作製する。フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行い、伝達機構115作製のためのパターニングを行う。さらに、現像、ポストベイクを行う。
フォトレジストをマスクとして、フッ酸により、酸化物層をエッチングする。
さらに、ダイヤフラム(可動部)111下面流路の形成のためのマスクをパターニングする。
すなわち、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行い、現像、ポストベイクを行う。本実施例では、2段階のマスクとして、フォトレジストとシリコン酸化物層を使用したが、その他にも、厚さの異なるシリコン酸化物層を用いたり、アルミニウム層を用いたりすることによっても実現可能である。
【0026】
図9(b)に示す第2のステップは、ICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)によってダイヤフラム(可動部)111下面流路を形成する工程である。
エッチングの深さは、エッチング時間によって制御するが、100μm程度のエッチングを行なう。最後にフォトレジストマスクをアセトンによって取り除く。図9(c)に示す第3のステップでは、伝達機構115を作製する工程である。CP−RIE(リアクティブイオンエッチング)により、ウェハをエッチングする。エッチングの深さは時間によって制御しても良いし、図のようにSOIウェハの酸化物層(BOX層)をエッチストップ層として使用してもよい。
さらにマスクとして使用したシリコン酸化物層をフッ酸によって取り除く。
図9(d)に示す第4のステップは、ウェハのダイレクトボンディング工程である。
第2のシリコンウェハには、両面研磨したものを使用するのが好ましい。シリコンウェハには例えば、厚さ300μmのものが使用できる。
次に、第1のウェハ101、および、第2のウェハ102をSPM洗浄(80℃に熱した過酸化水素水と硫酸の混合液中で洗浄)後、薄いフッ酸で洗浄する。
第1のウェハ101と第2のウェハ102を重ね、1500N程度で加圧しながら、試料を3時間で1100℃に加熱し、4時間保持後、自然冷却によりアニールを行う。
図9(e)に示す第5のステップは、伝達機構115を形成する工程である。
ウェハ裏面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行う。ICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)によってエッチングして伝達機構115を形成する。
図9(f)に示す第6のステップは、ガスケット120を形成する工程である。コーティングは図のように可動部を有する接続機構に行なっても良いし、弁部を有する接続機構に行なっても良い。
コーティング材料としては、パリレン、サイトップ、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミドなどがある。
パリレン、PTFEは、蒸着によって、サイトップ、ポリイミドはスピンコーティングによってコーティング可能である。
その他、スプレーによるコーティングも可能である。
【0027】
次に、弁部を有する接続機構の作製方法を説明する。
図10(g)に示す第7のステップは、第3のウェハ103を熱酸化する工程である。
ウェハには、両面研磨されたものを用いるのが好ましい。さらに、後のエッチング工程において、エッチングの深さを制御するため、SOI(シリコン オン インシュレータ)ウェハを使用するのが好ましい。
シリコンウェハには例えば、ハンドル層厚さ150μm、酸化物層(BOX層)厚さ1μm、デバイス層厚さ10μmのものが使用できる。
熱酸化は、1000℃程度に熱した炉の中に、所定量の水素および酸素を流すことによって行われる。
図10(h)に示す第8のステップでは、流路を形成するためのマスクを作製する工程である。
裏面の酸化物層をフォトレジストで保護した後、表面の酸化物層のパターニングを行なう。ウェハ表面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行う。さらに、現像、ポストベイクを行う。
フォトレジストをマスクとして、フッ酸により、酸化物層をエッチングすることにより流路形成のためのパターニングを行なう。
パターニング後はアセトンにより、表面および裏面のフォトレジストを除去する。
図10(i)に示す第9のステップは、流路を形成する工程である。
ICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)によってエッチングする。
図10(j)に示す第10のステップでは、弁座112を形成するためのマスクを作製する工程である。
ウェハ裏面の酸化物層のパターニングを行なう。ウェハ裏面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行う。
さらに、現像、ポストベイクを行う。フォトレジストをマスクとして、フッ酸により、酸化物層をエッチングすることにより弁座112形成のためのパターニングを行なう。
パターニング後はアセトンにより、フォトレジストを除去する。
図10(k)に示す第11のステップは、弁座112を形成する工程である。
ICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)によってエッチングする。最後にフッ酸によって、マスクに使用したSi酸化物を除去する。
【0028】
図11(l)に示す第12のステップでは、第4のウェハ104を熱酸化する工程である。
ウェハには、片面研磨のものを使用しても良いが、両面研磨されたものを用いるのが好ましい。
さらに、後のエッチング工程において、エッチングの深さを制御するため、SOI(シリコン オン インシュレータ)ウェハを使用するのが好ましい。
シリコンウェハには例えば、ハンドル層厚さ150μm、酸化物層(BOX層)厚さ1μm、デバイス層厚さ10μmのものが使用できる。熱酸化は、1000℃程度に熱した炉の中に、所定量の水素および酸素を流すことによって行われる。
図11(m)に示す第13のステップでは、弁体部113を形成するためのマスクを作製する工程である。
表面の酸化物層をフォトレジストで保護した後、裏面の酸化物層のパターニングを行なう。
ウェハ表面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行う。さらに、現像、ポストベイクを行う。
フォトレジストをマスクとして、フッ酸により、酸化物層をエッチングすることにより弁体部113形成のためのパターニングを行なう。
パターニング後はアセトンにより、表面および裏面のフォトレジストを除去する。
図11(n)に示す第14のステップは、弁体113を形成する工程である。
ウェハ裏面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行う。ICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)によってエッチングする。
図11(o)に示す第15のステップでは、支持部114を形成するためのマスクを作製する工程である。
ウェハ表面の酸化物層のパターニングを行なう。ウェハ表面に、フォトレジストをスピンコートし、プリベイク後、露光を行う。
さらに、現像、ポストベイクを行う。フォトレジストをマスクとして、フッ酸により、酸化物層をエッチングすることにより支持部114形成のためのパターニングを行なう。
パターニング後はアセトンにより、フォトレジストを除去する。次に、ICP−RIE(リアクティブイオンエッチング)によってエッチングする。
最後にフッ酸によって、マスクに使用したSi酸化物を除去する。
図11(p)に示す第16のステップは、シール面のコーティングを行なう工程である。コーティングは図のように弁体側に行なっても良いし、弁座側に行なっても良い。
コーティング材料としては、パリレン、サイトップ、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミドなどがある。
パリレン、PTFEは、蒸着によって、サイトップ、ポリイミドはスピンコーティングによってコーティング可能である。その他、スプレーによるコーティングも可能である。
図11(q)に示す第17のステップは、組み立て工程である。
第6のステップまでで作製したダイヤフラム(可動部)111および弁座部112を有する部材と、第11の工程までで作製した弁体部113を有する部材を重ね合わせることにより、小型減圧弁が完成する。
本実施例において、ボンディングはシリコンの拡散接合技術を用いているが、接合面に金属膜を予め成膜しておき、金属同士で接合を行なう方法や、接着剤などを使用することも可能である。
【0029】
[実施例3]
実施例3においては、接続機構の第2の構成例について説明する。
図12に、本実施例の構成例を説明するための断面図を示す。
図12において、201は可動部となるダイヤフラム、202は伝達機構であるピストン、203は弾性部材、204は貫通孔、210はガスケット、211は、ロック機構である。
本実施例の接続機構の一方は、一方の配管に接続される、可動部となるダイヤフラム201、伝達機構であるピストン202、ガスケット210、および、ロック機構211からなる。
また、本接続機構のもう一方は、他方の配管に接続される、弁部200を有し、上記した伝達機構の動作方向に垂直方向に延設された貫通孔204が設けられた弾性部材203からなる。
【0030】
図13、図14に基づいて、本減圧弁の動作を説明する。
図13は、本実施例の接続機構の接続時の断面図である。
ダイヤフラム(可動部)を有する機構と弁部を有する機構が合わさり、ロック機構211によってロックされている。
また、上記した一方の配管と他方の配管の接続時において、これらの接触箇所から流体が漏れるのを防止するため、接触面はガスケット210によって、内部を流れる流体が外に漏れないようになっている。
貫通孔204は通常は閉じており、伝達機構202の先端部が貫通孔を押し広げることにより、弁が開く。
伝達機構先端の形状は、図12のような円錐形でも構わないが、図15のように、さらに、溝部を側面に有するものでも良い。
【0031】
ここで、本減圧弁の動作を説明する。
ダイヤフラム(可動部)201の上部の圧力をP0、バルブ上流の1次圧力をP1、バルブ下流の圧力をP2とする。
P2がP0より高いとダイヤフラム(可動部)201が上方にたわみ、貫通孔204は弁部200の弾性により閉じるので、バルブは閉じている。
一方、P2がP0より低いとダイヤフラム(可動部)201が下方にたわみ、伝達機構202が弁部200の貫通孔204を押し広げるので、図13に示すように、バルブは開く。
これによって、P2を一定に保つことができる。ダイヤフラム(可動部)201の面積、厚さ、伝達機構202の長さ、弁部200の厚さや弾性を調整することで、バルブが開閉する圧力や流量を最適に設計することができる。
【0032】
本実施例の減圧弁は、機械加工技術を用いて、以下のように作製することができる。
図16は本実施例における接続機構の減圧弁を貫通孔側から見た場合の分解斜視図である。
まず、ダイヤフラム(可動部)201には、バイトンゴムやシリコーンゴムなどの弾性材料の他に、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料を使用することができる。
例えば、ステンレスを材料に用いた場合には、エッチングや切削加工などにより伝達機構を一体型で作製することができる。
弁部200の材料には、バイトンゴムやシリコーンゴムなどの弾性材料を使用することができる。
【0033】
[実施例4]
実施例4においては、本発明の接続機構を搭載した発電量が数ミリワットから数百ワットまでの小型固体高分子型燃料電池について説明する。
図17に、本実施例の燃料タンク、および、燃料電池発電部の斜視図を示す。
また、図18に燃料タンクと燃料電池発電部を接続した際の燃料電池の概観斜視図を示す。
また、図19に本実施例の燃料電池のシステムの概要図を示す。
【0034】
燃料電池の外寸法は50mm×30mm×10mmであり、通常コンパクトデジタルカメラで使用されているリチウムイオン電池の大きさとほぼ同じである。このように本実施例の燃料電池は小型で一体化されているため、携帯機器に組み込みやすい形状となっている。
また、本実施例の燃料電池は、酸化剤として反応に用いる酸素を外気から取り入れるため、上下面、及び側面に外気を取り入れるための通気孔1013を有する。
また、この孔は生成した水を水蒸気として逃がしたり、反応により発生した熱を外に逃がす働きもしている。
また、燃料電池内部は、酸化剤極1016、高分子電解質膜1017、燃料極1018からなる燃料電池セル1011と、燃料を貯蔵する燃料タンク1014、燃料タンクと各セルの燃料極とをつなぐ接続機構1015によって構成されている。
接続機構1015は燃料タンク1014と燃料電池発電部との着脱を可能にするだけでなく、切り離し時には、燃料タンク1014内の燃料が外に漏れ出したり、外気がタンク内に混入するのを防ぐチェックバルブ機能を有する。
さらには、接続時には、燃料タンク1014の圧力を調節して供給する減圧機能を有する。
【0035】
次に、本実施例の燃料タンク1014について説明する。
タンクの内部には水素を吸蔵することが可能な水素吸蔵合金が充填されている。燃料電池に用いる高分子電解質膜の耐圧が0.3〜0.5MPaであることから、外気との差圧が0.1MPa以内の範囲で用いる必要がある。
水素の解放圧が常温で0.2MPaの特性を持つ水素吸蔵合金として、例えばLaNi5などを用いる。
燃料タンクの容積を燃料電池全体の半分とし、タンク肉厚を1mm、タンク材質をチタンとすると、この時、燃料タンクの重量は50g程度となり、また、燃料タンク体積は5.2cm3になる。
【0036】
本タンク中に、水素の解放圧が常温で0.2MPaを超えるような水素吸蔵材料を超える場合には、燃料タンク1014と燃料極1018との間に減圧のための手段を設ける必要がある。
例えば、LaNi5は、重量当たり1.1wt%の水素を吸脱着可能である。LaNi5の各温度における解離圧は図20に示すようになっている。
タンクに蓄えられた水素は接続機構1015で減圧され、燃料極1018に供給される。また、酸化剤極1016には通気孔1013から外気が供給される。燃料電池セルで発電された電気は電極1012から小型電気機器に供給される。
【0037】
図21は本発明の接続機構を燃料電池に搭載した場合の関係図である。
弁部を有する接続機構1015は、燃料タンク1014とつながっている。
一方、可動部1を有する接続機構の出口流路1019は、燃料極1018へとつながり、ダイヤフラム(可動部)1の出口流路と反対面は酸化剤極(外気)と接している。
以下に燃料電池の発電に伴うバルブの開閉動作を説明する。
タンク切り離し時、および、発電停止中は接続機構1015の弁部は閉じている。
発電が始まると燃料極室の燃料は消費され、燃料極室の燃料の圧力は下がっていく。
ダイヤフラム(可動部)1は、外気圧と燃料極室の圧力との差圧から、燃料極室側にたわみ、ピストン(伝達機構)2を介して、弁体部4は押し下げられ、弁部は開状態となる。これにより、燃料タンク1014から、燃料極1018に燃料が供給される。
燃料極室の圧力が回復すると、ダイヤフラム(可動部)1は上に押し上げられ、接続機構1015は閉じる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1における接続機構の第1の構成例を説明するための断面図。
【図2】本発明の実施例1の接続機構の第1の構成例における支持部の形態を説明するための図であり、(a)は支持部の第1の形態を説明するための平面図、(b)は第2の形態を説明するための平面図、(c)は第3の形態を説明するための平面図。
【図3】本発明の実施例1の接続機構の第1の構成例における応用例を説明するための断面図。
【図4】本発明の実施例1の接続機構の第1の構成例における各部の圧力および断面積を説明するための(クローズ状態)図。
【図5】本発明の実施例1の接続機構の第1の構成例における弁が開いた状態を説明するための断面図。
【図6】本発明の実施例1の接続機構の第1の構成例を説明するための分解斜視図。
【図7】本発明の実施例1の接続機構における可動部の別の構成例を説明するための図であり、(a)その側断面、(b)はその下面図。
【図8】本発明の実施例1の接続機構におけるロック機構の別の構成例を説明するための図であり、(a)可動部を有する側の構成を示す図、(b)弁部を有する側の構成を示す図。
【図9】本発明の実施例2における可動部を有する接続機構の作製手順を説明するための各工程((a)から(f))図。
【図10】本発明の実施例2における図9に続く可動部を有する接続機構の作製手順を説明するための各工程((g)から(k))図。
【図11】本発明の実施例2における図10に続く可動部を有する接続機構の作製手順を説明するための各工程((i)から(q))図。
【図12】本発明の実施例3における接続機構の第2の構成例を説明するための断面図。
【図13】本発明の実施例3における接続機構の第2の構成例の接続状態を示す断面図。
【図14】本発明の実施例3における接続機構の第2の構成例の弁が開いた状態を示す断面図。
【図15】本発明の実施例3における接続機構の第2の構成例の伝達機構の別の形態を示す断面図。
【図16】本発明の実施例3における接続機構の減圧弁を貫通孔側から見た場合の分解斜視図。
【図17】本発明の実施例4における燃料タンクおよび燃料電池発電部の構成を示す斜視図。
【図18】本発明の実施例4における燃料タンクと燃料電池発電部を接続した際の燃料電池の概観斜視図。
【図19】本発明の実施例4における燃料電池のシステムの概要図。
【図20】本発明の実施例4の燃料電池システムにおける水素吸蔵合金(LaNi5)の解離圧力を説明するための図。
【図21】本発明の実施例4における接続機構の位置関係を説明するための図。
【符号の説明】
【0039】
1:ダイヤフラム(可動部)
2:ピストン(伝達機構)
3:弁座部
4:弁体部
5:支持部
6:シール
7:押さえ板
8:出口流路
10:ガスケット
11:燃料電池セル(ロック機構)
50:温度変位部
101:第1のウェハ
102:第2のウェハ
103:第3のウェハ
104:第4のウェハ
111:ダイヤフラム(可動部)
112:弁座部
113:弁体部
114:支持部
115:ピストン(伝達機構)
116:シール材
117:入口流路
118:出口流路
120:ガスケット
200:弁部
201:ダイヤフラム(可動部)
202:伝達機構
203:弾性部材
204:貫通孔
205:切り込み
207:押さえ板
208:出口流路
210:ガスケット
211:ロック機構
1011:燃料電池セル
1012:電極
1013:通気孔
1014:燃料タンク
1015:接続機構
1016:酸化剤極
1017:高分子電解質膜
1018:燃料極
1019:出口流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流通する複数の配管を接続する流体配管の接続機構であって、
前記複数の配管の一方の側に配設された、差圧によって動作する圧力制御弁の一部を構成する可動部を備えた第1の部品と、
前記複数の配管の他方の側に配設された、圧力制御弁の一部を構成する前記可動部の動作によって開閉される開閉機構を備えた第2の部品と、
前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に設けられた伝達機構とを備え、
前記開閉機構が、弁座部と、弁体部と、前記弁体部を支持する支持部とを備え、前記支持部が、前記伝達機構によって伝達される前記可動部の動作に応じて、前記弁体部と前記弁座部間を開閉可能に、前記弁体部を支持し、
前記弁体部を支持する支持部が、前記伝達機構の動作方向に垂直で、かつ前記弁体部を含む平面上に設けられている、前記弁体部を支持する弾性体によって構成され、
前記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続によって、これらの接続部位に前記伝達機構を介して前記可動部の動作を前記開閉機構に伝える圧力制御弁が構成されることを特徴とする流体配管の接続機構。
【請求項2】
前記可動部が、ダイヤフラムであることを特徴とする請求項1に記載の流体配管の接続機構。
【請求項3】
前記圧力制御弁が、減圧弁としての機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載の流体配管の接続機構。
【請求項4】
前記弁体部を支持する支持部が、一部に、閾値以上の温度により前記弁体部を閉じる位置に変位する温度変位部を含み構成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体配管の接続機構。
【請求項5】
前記温度変位部が、形状記憶合金で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の流体配管の接続機構。
【請求項6】
前記温度変位部が、バイメタルで形成されていることを特徴とする請求項4に記載の流体配管の接続機構。
【請求項7】
前記圧力制御弁が、減圧弁としての機能の他に、温度遮断弁としての機能を併せ有することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の流体配管の接続機構。
【請求項8】
前記開閉機構が、前記伝達機構の動作方向に垂直方向に延設された貫通孔を有する弾性体で構成され、
前記貫通孔が、前記伝達機構により伝達される前記可動部の動作に応じて、前記伝達機構の先端部によって開閉されることを特徴とする請求項1に記載の流体配管の接続機構。
【請求項9】
前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に、
前記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続時においてこれらの接触箇所から流体が漏れるのを防止するためのガスケットを有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の流体配管の接続機構。
【請求項10】
前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に、
前記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続時において該接続を維持するためのロック機構を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の流体配管の接続機構。
【請求項11】
前記圧力制御弁の一部を構成する差圧によって動作する可動部、前記可動部の動作によって開閉される開閉機構及び伝達機構のそれぞれが、
シート状部材または板状部材で形成され、それらを積層して構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の流体配管の接続機構。
【請求項12】
複数の配管の一方の側に配設された、差圧によって動作する圧力制御弁の一部を構成する可動部を備えた第1の部品と、
前記複数の配管の他方の側に配設された圧力制御弁の一部を構成する前記可動部の動作によって開閉される開閉機構を備えた第2の部品と、
これらの部品の少なくとも一方に設けられた伝達機構と、を備えた流体配管接続機構の製造方法であって、
前記複数の配管の一方の側に配設するための前記可動部を、シート状部材または板状部材で形成する工程と、
前記伝達機構を、シート状部材または板状部材で形成する工程と、
前記複数の配管の他方の側に配設するための前記開閉機構を、弁座部、弁体部および該弁体部を支持する支持部とによって形成するに際し、これらをシート状部材または板状部材で形成する工程と、
前記可動部側、または前記開閉機構側のいずれか一方に、シート状部材または板状部材でガスケットを形成する工程と、
を有することを特徴とする流体配管接続機構の製造方法。
【請求項13】
前記シート状部材または板状部材の少なくとも一部に、半導体基板を用いることを特徴とする請求項12に記載の流体配管接続機構の製造方法。
【請求項14】
燃料容器と燃料電池発電部との間に流体配管の接続機構を備えた燃料電池システムにおいて、
前記流体配管の接続機構が、請求項1から11のいずれか1項に記載の流体配管の接続機構、
または請求項12から13のいずれか1項に記載の流体配管接続機構の製造方法によって製造された流体配管の接続機構いずれかによって構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項1】
流体が流通する複数の配管を接続する流体配管の接続機構であって、
前記複数の配管の一方の側に配設された、差圧によって動作する圧力制御弁の一部を構成する可動部を備えた第1の部品と、
前記複数の配管の他方の側に配設された、圧力制御弁の一部を構成する前記可動部の動作によって開閉される開閉機構を備えた第2の部品と、
前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に設けられた伝達機構とを備え、
前記開閉機構が、弁座部と、弁体部と、前記弁体部を支持する支持部とを備え、前記支持部が、前記伝達機構によって伝達される前記可動部の動作に応じて、前記弁体部と前記弁座部間を開閉可能に、前記弁体部を支持し、
前記弁体部を支持する支持部が、前記伝達機構の動作方向に垂直で、かつ前記弁体部を含む平面上に設けられている、前記弁体部を支持する弾性体によって構成され、
前記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続によって、これらの接続部位に前記伝達機構を介して前記可動部の動作を前記開閉機構に伝える圧力制御弁が構成されることを特徴とする流体配管の接続機構。
【請求項2】
前記可動部が、ダイヤフラムであることを特徴とする請求項1に記載の流体配管の接続機構。
【請求項3】
前記圧力制御弁が、減圧弁としての機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載の流体配管の接続機構。
【請求項4】
前記弁体部を支持する支持部が、一部に、閾値以上の温度により前記弁体部を閉じる位置に変位する温度変位部を含み構成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体配管の接続機構。
【請求項5】
前記温度変位部が、形状記憶合金で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の流体配管の接続機構。
【請求項6】
前記温度変位部が、バイメタルで形成されていることを特徴とする請求項4に記載の流体配管の接続機構。
【請求項7】
前記圧力制御弁が、減圧弁としての機能の他に、温度遮断弁としての機能を併せ有することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の流体配管の接続機構。
【請求項8】
前記開閉機構が、前記伝達機構の動作方向に垂直方向に延設された貫通孔を有する弾性体で構成され、
前記貫通孔が、前記伝達機構により伝達される前記可動部の動作に応じて、前記伝達機構の先端部によって開閉されることを特徴とする請求項1に記載の流体配管の接続機構。
【請求項9】
前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に、
前記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続時においてこれらの接触箇所から流体が漏れるのを防止するためのガスケットを有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の流体配管の接続機構。
【請求項10】
前記第1の部品と前記第2の部品の少なくとも一方に、
前記第1の部品の配設された配管と、前記第2の部品の配設された配管との接続時において該接続を維持するためのロック機構を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の流体配管の接続機構。
【請求項11】
前記圧力制御弁の一部を構成する差圧によって動作する可動部、前記可動部の動作によって開閉される開閉機構及び伝達機構のそれぞれが、
シート状部材または板状部材で形成され、それらを積層して構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の流体配管の接続機構。
【請求項12】
複数の配管の一方の側に配設された、差圧によって動作する圧力制御弁の一部を構成する可動部を備えた第1の部品と、
前記複数の配管の他方の側に配設された圧力制御弁の一部を構成する前記可動部の動作によって開閉される開閉機構を備えた第2の部品と、
これらの部品の少なくとも一方に設けられた伝達機構と、を備えた流体配管接続機構の製造方法であって、
前記複数の配管の一方の側に配設するための前記可動部を、シート状部材または板状部材で形成する工程と、
前記伝達機構を、シート状部材または板状部材で形成する工程と、
前記複数の配管の他方の側に配設するための前記開閉機構を、弁座部、弁体部および該弁体部を支持する支持部とによって形成するに際し、これらをシート状部材または板状部材で形成する工程と、
前記可動部側、または前記開閉機構側のいずれか一方に、シート状部材または板状部材でガスケットを形成する工程と、
を有することを特徴とする流体配管接続機構の製造方法。
【請求項13】
前記シート状部材または板状部材の少なくとも一部に、半導体基板を用いることを特徴とする請求項12に記載の流体配管接続機構の製造方法。
【請求項14】
燃料容器と燃料電池発電部との間に流体配管の接続機構を備えた燃料電池システムにおいて、
前記流体配管の接続機構が、請求項1から11のいずれか1項に記載の流体配管の接続機構、
または請求項12から13のいずれか1項に記載の流体配管接続機構の製造方法によって製造された流体配管の接続機構いずれかによって構成されていることを特徴とする燃料電池システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−82543(P2008−82543A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216711(P2007−216711)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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