説明

浄化処理装置

有機汚濁物質を高濃度に含む廃水であっても廃棄物の発生を抑制しつつ高効率に浄化することができる浄化処理装置を提供する。溶存酸素供給装置を備えているので、浄化処理槽内の処理水への酸素供給を溶存酸素で行うことができる。また、微生物殺傷手段を備えており、殺傷した微生物を補填栄養源として浄化処理槽の処理水へ送り戻すことができるので、微生物の活性化を促進して浄化効率の更なる向上を図ることができる。その結果、有機汚濁物質を高濃度に含む廃水の場合でも、固形物の減量により通過膜の目詰まりを防止することができるので、固液分離手段として通過膜を使用することができるので、大規模な汚泥沈降槽を設置することを不要として、その分、設備的・スペース的なコストの低減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、浄化処理装置に関し、特に、有機汚濁物質を高濃度に含む廃水であっても廃棄物の発生を抑制しつつ高効率に浄化することができる廃水浄化処理装置に関するものである。
【背景技術】
近年、産業廃水や生活排水による河川或いは海洋の汚染が問題となっており、その廃水の浄化の手法が種々提案されている。排水中の汚濁物質を除去する方法としては、例えば、いわゆる活性汚泥法が一般的に使用されている。
活性汚泥法とは、廃水を浄化処理する活性(能力)を持った汚泥(微生物のかたまり)を使用する方法である。例えば、特開昭54−95973号公報には、大容積の浄化槽に廃水を導入し、この浄化槽内にシート状の合成樹脂膜を多数垂下させて並設する技術が記載されている。この技術によれば、有機汚濁物質を除去するバクテリアを合成樹脂膜に付着させ、廃水と広い面積で接触させることで、バクテリアが有機汚濁物質を除去して、廃水の水質が浄化される。
ここで、有機汚濁物質を除去する微生物を活性化させるための溶存酸素の供給は、通常、浄化槽内に気泡を発生させる方法で行っている。即ち、浄化槽の廃水中へ空気穴を多数設けたパイプを沈め、ポンプにより空気を注入することにより、排水中に気泡を発生させ、廃水中への溶存酸素により、生物的酸素要求量(いわゆる「BOD」)の低下を図るのである。
しかしながら、このように廃水中に気泡を発生させることにより、溶存酸素を微生物へ供給する手法では、廃水の汚濁が軽度の場合には問題ないが、有機汚濁物質などを高濃度で含む廃水の場合には、気泡と水(廃水)との界面に有機汚濁物質や微生物などが介在してしまい、気泡と水との接触が妨げられるという問題点があった。そのため、水への酸素の溶存効率が低下して、有効な微生物の活性化効果が得られなかった。
また、導入した溶存酸素の均一化や酸素による微生物の活性化を効率化させるためには、浄化槽内の廃水を攪拌することが好ましい。従来技術では、この攪拌に、エアーレーション攪拌を使用することが一般的であった。しかしながら、このエアーレーション攪拌では、低濃度微生物(5000ppm〜10000ppm・MLSS)の状態における処理では効果を発揮するが、有機汚濁物質を高濃度に含む廃水の処理には効果的に適用することが困難であるという問題点があった。
この場合には、エアーレーション攪拌と機械的攪拌とを併用することも行われるが、それでも活性化の効果は十分でない。そのため、機械的攪拌による攪拌力をより大きくした場合には、フロック(活性汚泥)を破壊するおそれが生ずるという問題点があった。
更に、活性汚泥法では、廃水の浄化が終了した場合には、活性汚泥と廃水とを分離して、その廃水を浄化処理水として環境などへ排出する。この際の固液分離は、最終処理槽へ汚泥沈降槽(シックナー槽)を設け、この汚泥沈降槽で活性汚泥を沈降させることにより、浄化処理水を上澄み液として得る方法により行われる。そのため、有機汚濁物質を高濃度に含む廃水の場合には、最終処理段階において大量の固形物(活性汚泥)を含むため、沈降速度との関係を考慮して、大規模な汚泥沈降槽を設置しなければならず、設備的にもスペース的にもコストが嵩むという問題点があった。
この固液分離を通過膜を使用して濾過手法により行う方法も検討されているが、上述のように、固形物が多い場合には、目詰まりが生じやすいため、頻繁なメンテナンスが必要となり、よって、通過膜の単独使用は経時的な処理条件の安定性を欠くという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、有機汚濁物質を高濃度に含む廃水であっても、広大な設置スペースや複雑な装置を不要とし、かつ、汚泥残滓等廃棄物の排出量を抑制しつつ、その廃水を高効率に浄化することができる浄化処理装置を提供することを目的としている。
【発明の開示】
この目的を達成するために第1発明の浄化処理装置は、廃水が処理水として供給される浄化処理槽を備え、その浄化処理槽に供給された処理水の浄化処理を行うものであり、前記浄化処理槽から取水した処理水を加圧化の酸素含有ガス雰囲気中に滴下させることにより溶存酸素処理水を得ると共に、その得られた溶存酸素処理水を前記浄化処理槽へ送り戻す溶存酸素供給装置と、前記浄化処理槽から処理水を取水してその処理水に含まれる微生物を殺傷すると共に、その微生物殺傷後の処理水を前記浄化処理槽へ送り戻す微生物殺傷装置と、前記浄化処理槽内の処理水を攪拌して混合する混合攪拌装置と、前記浄化処理槽の処理水から微生物を含む固形物を通過膜により除去して浄化された処理水を通過させる通過膜装置とを備えている。
この第1発明の浄化処理装置によれば、廃水が処理水として浄化処理槽に供給されると、その処理水の浄化処理が浄化処理槽で行われる。
この場合、溶存酸素供給装置により浄化処理槽から取水された処理水は、加圧化の酸素含有ガス雰囲気中に滴下され、溶存酸素を多量に含む溶存酸素処理水として浄化処理槽へ送り戻される。その結果、浄化処理槽内には、微生物を活性化させるに十分な高濃度の溶存酸素が供給される。
また、微生物殺傷装置により浄化処理槽から取水された処理水は、その処理水内に含まれる微生物が殺傷され、浄化処理処理槽へ送り戻される。その結果、浄化処理槽には、殺傷された微生物が栄養源として補填され、微生物の活性化が促進されると共に、殺傷された微生物が分解され、浄化処理槽内の固形物が減量される。
そして、混合攪拌装置により浄化処理槽内の処理水が攪拌されると、処理水内に含まれる微生物と溶存酸素処理水と微生物殺傷後の処理水とが混合されて、微生物による浄化処理が促進される。その後、浄化処理槽内の処理水は、通過膜装置の通過膜を通過することにより、微生物を含む固形物が除去され、浄化された処理水として環境等に放出される。
第2発明の浄化処理装置は、第1発明の浄化処理槽において、前記微生物殺傷装置は、前記浄化処理槽から処理水を取水する取水装置と、その取水装置により取水された処理水へオゾンを溶解させて、その処理水に含まれる微生物を殺傷するオゾン溶解装置と、そのオゾン溶解装置によるオゾンの溶解により微生物が殺傷された処理水を前記浄化処理槽へ送り戻す送水装置とを備えている。
第3発明の浄化処理装置は、第2発明の浄化処理装置において、前記微生物殺傷装置の送水装置は、前記微生物が殺傷された後の処理水を前記取水装置が処理水を取水する取水位置よりも浄化処理槽の上流側へ送り戻すように構成されている。
第4発明の浄化処理装置は、第2または第3発明の浄化処理装置において、前記浄化処理槽へ供給される処理水を一定量に調整する供給量調整装置を備え、その供給量調整装置は、貯留槽を備え、前記廃水が前記浄化処理槽へ供給すべき一定量よりも多い場合にはその廃水を前記貯留槽に貯留すると共に、前記廃水が前記浄化処理槽へ供給すべき一定量よりも少ない場合には前記貯留槽に貯留された廃水を処理水として供給することにより、前記浄化処理槽へ供給される処理水を一定量に調整するものであり、前記微生物殺傷装置の送水装置は、前記微生物が殺傷された後の処理水を前記供給調整装置の貯留槽へ送り戻すように構成されている。
第5発明の浄化処理装置は、第1から第4発明のいずれかの浄化処理装置において、前記溶存酸素供給装置は、前記溶存酸素処理水を前記浄化処理槽へ送り戻すためにその浄化処理槽に連通される送水パイプを備え、その送水パイプの吐出口は、前記溶存酸素処理水が前記浄化処理槽の底部に対して傾斜する方向へ向けて、かつ、その底部の略中央部へ向けて吐出されるように構成されている。
第6発明の浄化処理装置は、第5発明の浄化処理装置において、前記溶存酸素供給装置は、前記浄化処理槽から処理水を取水するためにその浄化処理槽に連通される取水パイプを備えており、その取水パイプの取水口は、前記浄化処理槽の底部に対して少なくとも前記送水パイプの吐出口よりも高い位置に設けられている。
第7発明の浄化処理装置は、第6発明の浄化処理装置において、前記取水パイプの取水口は、前記浄化処理槽の上面視において、前記送水パイプの吐出口の近傍に配設されている。
第8発明の浄化処理装置は、第1から第7発明のいずれかの浄化処理装置において、回転可能に構成されその回転力により前記浄化処理槽内の処理水を攪拌する攪拌翼と、その攪拌翼に回転駆動力を付与する駆動装置とを有する攪拌補助装置を備えている。
第9発明の浄化処理装置は、第1から第8発明の浄化処理装置において、前記浄化処理槽は、その底部の周縁部の少なくとも一部に屈曲面が形成されている。
第10発明の浄化処理装置は、第2から第9発明のいずれかの浄化処理装置において、前記微生物殺傷装置のオゾン溶解装置は、オゾン含有ガスが大気圧以上に加圧されて充填されるオゾン容器体を備え、そのオゾン容器体の上部には、前記取水装置により前記浄化処理槽から取水された処理水を前記オゾン容器体内へ流入させるための流入口が設けられると共に、前記オゾン容器体の底部には、前記流入口からオゾン容器体の底部に落下した処理水を前記送水装置を介して前記浄化処理槽へ送り戻すための流出口が設けられている。
第11発明の浄化処理装置は、第1から第10発明のいずれかの浄化処理装置において、前記溶存酸素供給装置は、酸素含有ガスが大気圧以上に加圧されて充填される酸素容器体を備え、その酸素容器体の上部には、前記浄化処理槽から取水された処理水を前記酸素容器体内へ流入させるための流入口が設けられると共に、前記酸素容器体の底部には、前記流入口から酸素容器体の底部に落下した処理水を前記浄化処理槽へ送り戻すための流出口が設けられている。
第12発明の浄化処理装置は、第10または第11発明の浄化処理装置において、前記オゾン容器体または酸素容器体の内部には、前記流入口の下方に複数の小孔が貫通形成された拡散板が配設されている。
第13発明の浄化処理装置は、第12発明の浄化処理装置において、前記拡散板は、互いに所定の間隔を隔てつつ複数枚が配設されており、それら各拡散板に貫通形成される複数の小孔の内の少なくとも一部は、前記処理水の落下方向視において、隣接する拡散板の小孔と重ならない位置に設けられている。
第14発明の浄化処理装置は、第1から第13発明のいずれかの浄化処理装置において、複数元素のミネラルを含有するミネラル接触材を有し、そのミネラル接触材に前記浄化処理槽から取水した処理水を接触させるミネラル供給装置と、そのミネラル供給装置のミネラル接触材に接触された処理水に磁気力を付与する磁石又はセラミックスを有し、その磁石又はセラミックスにより磁気力が付与された後の処理水を前記浄化処理槽へ送り戻す磁気力付与装置とを備えている。
第15発明の浄化処理装置は、第1から第14発明のいずれかの浄化処理装置において、前記浄化処理槽から取水された処理水を貯留する汚泥貯留培養槽を備えており、その汚泥貯留培養槽には、微生物濃度が所定の基準値を超えた場合における前記浄化処理槽の処理水を貯留し得るように構成されている。
第16発明の浄化処理装置は、第1から第14発明のいずれかの浄化処理装置において、処理水を貯留する汚泥貯留培養槽と、浄化処理槽における処理水の微生物濃度が所定の濃度を超えた場合に、その浄化処理槽における処理水を取水して前記汚泥貯留培養槽に送水する濃縮時取水送水装置とを備えている。
第17発明の浄化処理装置は、第15発明の浄化処理装置において、前記汚泥貯留培養槽に貯留された処理水を取水して加圧化の酸素含有ガス雰囲気中に滴下させることにより溶存酸素処理水を得ると共に、その得られた溶存酸素処理水を前記汚泥貯留培養槽へ送り戻す培養槽用溶存酸素供給装置を備えている。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施の形態における浄化処理装置の構成図である。
図2は、酸素溶解装置を拡大して示した部分断面斜視図である。
図3は、浄化処理槽及び酸素溶解装置を模式的に示した部分断面図である。
図4は、ミネラル磁気装置の薬石塔及び磁化塔を拡大して示した部分断面図である。
【符号の説明】
1 浄化処理装置
2 原水貯留槽
3 流量調整装置
32 調整貯留槽(貯留槽)
4 浄化流路(浄化処理槽)
41a〜41c 浄化処理槽
41a1 屈曲面
42 液中膜槽(浄化処理槽の一部)
43 攪拌装置(攪拌補助装置)
46 送水装置(濃縮時取水送水装置の一部)
5 溶存酸素供給装置
5A〜5C 酸素溶解装置(溶存酸素供給装置の一部)
52 配管(取水パイプ)
52a ポンプ(取水パイプの取水口を含む)
52b 流入口
53 密閉耐圧容器(酸素容器体)
54 配管(送水パイプ、混合攪拌装置の一部)
54a 流出口
54b 吐出口(混合攪拌装置の一部)
56a,56b 拡散板
56a1,56b1 小孔
5D 酸素溶解装置(培養槽用溶存酸素供給装置の一部)
6 ミネラル磁気装置
62 薬石塔(ミネラル供給装置)
62c 薬石(ミネラル接触材)
64 磁化塔(磁気力付与装置)
64c セラミックス材(セラミックス)
64e 磁石
7 通過膜装置
71 通過膜ユニット(通過膜)
8 微生物殺傷装置
8A オゾン溶解装置
82 配管(取水装置の一部、流入口を含む)
82a ポンプ(取水装置の一部)
83 密閉耐圧容器(オゾン容器体)
84 配管(送水装置の一部、流出口を含む)
9 汚泥貯留培養槽
102 流量調整槽(濃縮時取水送水装置の一部)
104 配管(濃縮時取水送水装置の一部)
104a 制御装置(濃縮時取水送水装置の一部)
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態における浄化処理装置1の構成図である。なお、図中では浄化流路4等を断面視して図示しており、また、図中の矢印は、浄化処理装置1における処理水の流れを示している。浄化処理装置1は、有機汚濁物質により汚染された産業廃水などの汚濁水(以下、「原水」と称す。)20の水質浄化を図るためのものである。
図1に示すように、浄化処理装置1は、原水20を貯留する原水貯留槽2と、その原水貯留槽2から取水した原水を後述する浄化流路4へ定量ずつ送水する流量調整装置3と、その流量調整装置3から送水された水を貯留する浄化流路4と、その浄化流路4等に貯留された処理水に酸素を溶解させる溶存酸素供給装置5と、浄化流路4に貯留された処理水にミネラルを供給して磁気力を付与するミネラル磁気装置6と、浄化流路4に貯留された処理水から固形物(活性汚泥)を除去して浄化された処理水を通過させる通過膜装置7と、浄化流路4に貯留された処理水に含まれる微生物を殺傷する微生物殺傷装置8と、余剰汚泥を貯留する汚泥貯留培養槽9とを主に備えている。
原水貯留槽2は、配管21を介して流入する原水20を貯留するための槽であり、図1に示すように、攪拌装置22を備えている。攪拌装置22は、回転可能に形成され処理水内に沈設される攪拌翼と、その攪拌翼に回転駆動力を付与するモータとを備えており、攪拌翼の回転力によって原水貯留槽2内の処理水を攪拌して、その液濃度を均一化する。なお、原水20は、産業廃水には限られず、例えば、河川や湖沼などから取水されるものであっても良い。
流量調整装置3は、原水貯留槽2の下流側に配設され、その原水貯留槽2から原水20を取水すると共に、その取水した原水20を後述する浄化流路4へ処理水として定量ずつ送水するための装置である。この流量調整装置3は、図1に示すように、流量調整槽31と調整貯留槽32とを主に備えており、これら流量調整槽31と調整貯留槽32とにより、浄化流路4へ処理水を定量ずつ送水するように構成されている。
流量調整槽31は、図1に示すように、原水貯留槽2から配管33及びポンプ33aを介して原水20を取水して、その取水した原水20を配管34を介して後述する浄化流路4へ定量ずつ連続的に供給するように構成されている。また、その定量を超えた溢流分については、調整貯留槽32へ配管35を介して送水して貯留するように構成されている。なお、浄化流路4への供給量は、浄化流路4の浄化処理能力(例えば、1時間当たり10トン)により設定される。
調整貯留槽32には、流量調整槽31から配管35を介して送水される溢流分の原水20に加え、図1に示すように、配管36を介して送水される希釈廃水38、及び、後述する微生物殺傷装置7から配管84を介して送水される処理水も貯留するように構成されており、原水貯留槽2から流量調整槽31への原水20の流入量が減少した場合には、その貯留する処理水を一対の配管37及びポンプ37aを介して流量調整槽31へ送水するように構成されている。
これにより、例えば、工場等からの原水20の排出が停止された場合でも、浄化流路4への処理水の供給量を定量に保つことができるので、浄化処理装置1の稼働を継続して、微生物の活動が低下することを抑制することができる。なお、希釈廃水38としては、例えば、地下水や水道水であっても良く、或いは、浄化処理装置1による浄化処理が終了した処理水として後述する貯留槽101に貯留される処理水100を再利用しても良い。
浄化流路4は、流量調整槽31から配管34を介して定量ずつ供給される処理水を一時的に貯留しつつ、その浄化処理を行うためのものであり、上流側(図1左側)から下流側(図1右側)へ複数段(本実施の形態では合計3段)に並設される浄化処理槽41a〜41cと、その浄化処理槽41a〜41cの下流側末端(図1右端)に並設される液中膜槽42とを備えている。
浄化流路4に供給された処理水は、各浄化処理槽41a〜41cを順に通過することにより、その有機汚濁物質が微生物により分解されると共に、液中膜槽42で固形物(活性汚泥)が除去され、後述する貯留槽101に貯留された後、浄化された処理水100として、環境へ排出されたり希釈水38として再利用される。
なお、各浄化処理槽41a〜41c及び液中膜槽42を区画する区画壁の高さは、図1に示すように、上流側(図1左側)から下流側(図1右側)へ向けて順に低くされており、浄化流路4へ供給された処理水が各区画壁を越えつつ(オーバーフローしつつ)各浄化処理槽41a〜41cを順に通過するように構成されている。但し、配管及びポンプを使用することにより、処理水が各浄化処理槽41a〜41cを順に通過するように構成しても良い。
浄化流路4には、溶存酸素供給装置5が設置されている。この溶存酸素供給装置5は、浄化流路4に貯留される処理水に酸素を溶け込ませ(溶解させ)て供給するためのものである。
ここで、有機汚濁物質や微生物を含む固形物(活性汚泥)を高濃度で含有する処理水への酸素の供給手法として、従来の浄化処理装置のように、処理水中に気泡を発生させる手法を採用した場合には、上述したように、処理水中に含まれる様々な物質が気泡の表面に付着して、酸素の溶解が不足する。そこで、本実施の形態における浄化処理装置1では、溶存酸素として酸素を供給する手法を採用することにより、処理水の物性によらずに一定量の酸素を効率良く供給し得るように構成されている。
即ち、処理水を細粒状の水滴に滴化した場合には、表面張力によって水が水滴の表面に配向される一方、固形物は水滴の中心部分に配向されるため、かかる処理水が高濃度に有機汚濁物質等を含有する場合でも、水滴の表面でより多くの酸素と接することができるので、より多くの酸素を効率良く溶け込ませることができる。
本実施の形態における溶存酸素供給装置5は、処理水中に酸素を溶け込ませるに際し、加圧、拡散、滞留、水量の四要素を考慮して、高濃度の酸素を処理液中へ高効率に溶け込ませることができるように構成されている。
具体的には、加圧下の酸素雰囲気中で処理水を拡散させることにより、処理水を細粒状の水滴に滴化して、酸素を高濃度に溶け込ませ、かかる処理水を一定期間容器内で滞留させて余分な気泡を除去する。この場合、浄化流路4内の処理水を大量に酸素雰囲気中に供給することにより、かかる浄化流路4全体としての処理水中の酸素の溶解量を増加させることができる。
例えば、加圧環境下で酸素を溶解し得る量としては、DO濃度(元の酸素溶存量)+10mg/Lの酸素溶存が可能となり、毎分1トンの供給水量であれば、その供給水量に対してDO濃度+10gの酸素溶解が可能となる。従って、水温が摂氏20度の場合には、1トンの水量に対して7.5L以上の酸素が溶解し、摂氏35度程度までは、処理水の汚濁の程度によらず、その処理水の酸素必要量に対応した酸素を溶存酸素として供給することができる。
以下、この溶存酸素供給装置5の詳細構成について説明する。溶存酸素供給装置5は、図1に示すように、酸素供給源51と、複数(本実施の形態では4個)の酸素溶解装置5A〜5Dとを主に備えている。なお、酸素溶解装置5A〜5Cは、それぞれ浄化処理槽41a〜41cに対応して設置されており、酸素溶解装置5Dは、後述する汚泥貯留培養槽8に対応して設置されている。
酸素溶解装置5A〜5Cは、図1に示すように、主に、各浄化処理槽41a〜41cの下流側(図1右側)から処理水を汲み上げる配管52と、汲み上げられた処理水に酸素を溶け込ませる密閉耐圧容器53と、酸素が溶け込んだ処理水(高濃度酸素溶存処理水)を各浄化処理槽41a〜41cの上流側(図1左側)へ送り戻す配管54とをそれぞれ備えている。
配管52は、図1に示すように、その一端にポンプ52aの吐出口が連結されており、ポンプ52aは、浄化処理槽41a〜41cの処理水中に沈設されている。また、配管52の他端は、密閉耐圧容器53の上部に連結されており、ポンプ52aの取水口から取水された処理水は、この配管52を介して、密閉耐圧容器53内へ汲み上げられる。
密閉耐圧容器53の頂部には、酸素を供給する酸素供給源51が配管55を介して連結されており、この配管55には、調整弁(例えば、電磁弁)等を有する制御装置55aが設けられている。この制御装置55aは、酸素供給源51から密閉耐圧容器53へ供給される酸素の圧力および供給量を調整して、密閉耐圧容器53内に貯留される処理水の溶存酸素量を所定の範囲内の値に保持するように制御する。
なお、酸素供給源51には、純酸素が圧入された高圧酸素ボンベを使用することが好ましい。純酸素を使用した場合には、空気を用いる場合と比較して、圧力条件が同じであれば、4.8倍の酸素を処理水中に溶解させることができる。また、酸素供給源51には、例えば、大気から酸素を取り出して、かかる酸素を加圧して供給することができる酸素濃縮装置などを使用しても良い。
ここで、図2を参照して、酸素溶解装置5A〜5Cの詳細構成について説明する。なお、各酸素溶解装置5A〜5Cの詳細構成は略同一であるため、ここでは、酸素溶解装置5Aを代表例として説明する。図2は、酸素溶解装置5Aを拡大して示した部分断面斜視図である。
密閉耐圧容器53は、図2に示すように、ステンレス鋼材や硬質剛性樹脂などの耐腐食性を有する材料で略中空円筒状に形成されると共に、その内部を大気圧以上に加圧しても破損することがないように耐圧性を有して構成されている。なお、ステンレス鋼材で構成する場合には、酸化防止のため、例えば、FRPなどによるコーティング処理を内部全域に施すことが好ましい。
密閉耐圧容器53の上部略中央には、図2に示すように、上述した酸素供給源51に一端側が連結される配管55の他端側が連結されている。そのため、酸素供給源51からの酸素の供給が開始されると、酸素供給源51から配管55を経由して密閉耐圧容器53内へ酸素が供給され、かかる酸素の供給により密閉耐圧容器53内が大気圧以上、即ち、略1気圧以上に加圧される。
なお、密閉耐圧容器53内の圧力は、圧力検出器(図示せず)により検出されており、この圧力検出器の検出結果を受けて、制御装置55a(図1参照)が酸素供給源51からの酸素供給量を調整することにより、略一定の圧力値に調整されている。
また、密閉耐圧容器53の上部右側には、図2に示すように、浄化処理槽41aから処理水を汲み上げる配管52の一端が連結されており、その配管52の流入口52bは、密閉耐圧容器53内へ向けて開口されている。配管52の他端には、上述したように、ポンプ52a(図1参照)が連結されており、そのポンプ52aにより浄化処理槽41aから汲み上げられた処理水は、配管52の流入口52bから密閉耐圧容器53内へ流入される。
配管52の流入口52bには、処理水滴化手段が設けられており、密閉耐圧容器53内へ流入する処理水が細粒状に滴化して落下するように構成されている。なお、処理水滴化手段としては、例えば、配管52の内径をノズル状に部分的に縮径する手法や、複数の小孔が穿設された蓋部材を流入口52bに覆設する手法が例示される。
更に、密閉耐圧容器53の上端左側には、図2に示すように、密閉耐圧容器53の底部に貯留された処理水を浄化処理槽41a(図1参照)へ送り戻すための配管54が設けられている。この配管54は、密閉耐圧容器53の底部へ向けて略垂直に延出されており、その下端には、密閉耐圧容器53の底部との間に所定の間隔を隔てつつ開口される流出口54aが設けられている。
密閉耐圧容器53の底部に貯留された処理水は、後述するように、密閉耐圧容器53内の圧力により、流出口54aから配管54内へ流入して、かかる配管54を介して浄化処理槽41aへ送り戻される。なお、配管54には、調整弁(図示せず)を有する流量調整手段が設けられており、密閉耐圧容器53から浄化処理槽41aへ送り戻す処理水(高濃度酸素溶存処理水)の送水量を任意に制御可能とされている。
一方、密閉耐圧容器53の上部には、図2に示すように、上下一対の拡散板56a,56bが配設されている。この一対の拡散板56a,56bは、上述した配管52の流入口52bの下方に所定の間隔を隔てて配設されており、かかる両拡散板56a,56bの対向面間にも所定の間隔が設けられている。これら拡散板56a,56bには、その厚さ方向に多数の小孔56a1,56b1が穿設されている。
拡散板56a,56bの外周部には、図2に示すように、複数(本実施の形態では4個)の突起部56a2,56b2が外方へ向けて突設されており、拡散板56a,56bは、この突起部56a2,56b2を密閉耐圧容器53の内周面に接続して、密閉耐圧容器53に固定されている。そのため、拡散板56a,56bと密閉耐圧容器53の内周との間には、突起部56a2,56b2の突出分だけ隙間が形成されている。
この拡散板56aによれば、上述した流入口52bから落下した処理水は、拡散板56aへの衝突により細粒状の水滴に滴化されつつ、その拡散板56aの各小孔56a1の縁部を伝って多数の水滴として下方へ滴下する。この拡散板56aから滴下した水滴は、更に落下して拡散板56bへ衝突すると共に、その拡散板56bの各小孔56b1の縁部を伝って更に微細な水滴となって、密閉耐圧容器53の底部へ落下される。
また、一方の拡散板56aの各小孔56a1は、水滴の落下方向視(図2上下方向視)において、他方の拡散板56bの各小孔56b1の穿設位置と重ならない位置にそれぞれ穿設されている。そのため、拡散板56の各小孔56b1を通過した水滴は、拡散板56bの各小孔56b1を素通りせずに、拡散板56bに衝突して密閉耐圧容器53の底部へ落下するので、この衝突により更に微細な水滴とすることができる。
上記のように構成された酸素溶解装置5Aによれば、酸素供給源51からの酸素の供給が配管55を介して開始されると、かかる酸素の供給により、密閉耐圧容器53内が大気圧以上に加圧される。その後、配管52の流入口52bから処理水が密閉耐圧容器53内へ流入されると、かかる処理水が落下して、拡散板56a,56bへ衝突すると共に各小孔56a1,56b1の縁部を伝って多数の水滴となって、下方へ滴下される。
このように、流入口52bから流入した処理水が拡散板56a,56bによって微細な水滴にされると、流入口52bから流入した処理水と密閉耐圧容器53内に充填される酸素との接触面積が拡大されるので、かかる処理水による酸素の溶解率を向上することができる。しかも、密閉耐圧容器53内は、酸素により加圧されているので、かかる加圧により密閉耐圧容器53内の処理水による酸素の溶解率を更に向上することができる。
その後、密閉耐圧容器53内に貯蔵される酸素を溶解した処理水は、図2に示すように、その水位が配管54の流出口54aより高くなると、その水面に加わる密閉耐圧容器53内の酸素の圧力により、配管54の流出口54a内へ圧入され、配管54内を浄化処理槽41aへ向けて流出される。その結果、浄化処理槽41aには、酸素が高濃度で溶存された処理水(高濃度溶存酸素処理水)が供給される。このように、酸素の供給を溶存酸素として行うことにより、従来の浄化処理装置のようにバブリングで行う場合と比較して、微生物を活性化させるのに十分な量の酸素を効率良く、しかも、浄化処理槽41a内の処理水中へ均一に供給することができる。
なお、図2に示すように、配管52が密閉耐圧容器53の上部右側へ連結される場合を説明したが、かかる配設位置は、密閉耐圧容器53の上部略中央部としても良い。拡散板56a,56bをより有効に使用して、処理水の滴化効率を向上することができる。また、密閉耐圧容器53内に2枚の拡散板56a,56bが配設される場合を説明したが、かかる拡散板の配設枚数は、1枚であっても良く、或いは、3枚以上であっても良い。更に、拡散板56a,56bの外周部は、密閉耐圧容器53の内周面に隙間なく密着されていても良い。
図1に戻って説明する。各浄化処理槽41a〜41cには、図1に示すように、攪拌装置43がそれぞれ設けられている。この攪拌装置43は、上述した原水貯留槽2に設置される攪拌装置22と同様に構成されるものであり、モータから付与される回転駆動力により攪拌翼を回転させ、かかる攪拌翼の回転力により各浄化処理槽41a〜41c内の処理水を攪拌する。
これにより、上述した流量調整槽31から配管34を介して流入される処理水と、上述した溶存酸素供給装置5(酸素溶解装置5A〜5C)から供給される溶存酸素を高濃度に含有する処理水と、各浄化処理槽41a〜41c内の微生物を含む固形物(活性汚泥)とが混合されるので、微生物と酸素との接触効率を向上して、かかる微生物の活性化を図ることでき、その結果、浄化流路4における浄化処理効率を向上することができると共に、微生物を含む固形物が各浄化処理槽41a〜41cの底部に滞留することを未然に防止することができる。
更に、本発明の浄化処理装置1によれば、攪拌装置43の回転力による機械的な攪拌だけでなく、上述した溶存酸素供給装置5から供給される処理水の水流を利用して、各浄化処理槽41a〜41c内に処理水の強制的な移動を形成することにより、その処理水を効率的に攪拌する攪拌方式も採用されている。ここで、かかる水流を利用した攪拌方式について、図3を参照して説明する。
図3は、浄化処理槽41a及び酸素溶解装置5Aを模式的に示した部分断面図である。なお、図中では、攪拌装置43や配管34,103等の図示が省略されている。
ここで、各浄化処理槽41a〜41c及び各酸素溶解装置5A〜5Cは、互いに同様に構成されているので、浄化処理槽41a及び酸素溶解装置5Aを代表例としてその構成について説明する。
浄化処理槽41aの処理水を密閉耐圧容器53へ汲み上げる配管52は、図2に示すように、その一端に連結されるポンプ52aの取水口が浄化処理槽41aの水深の略中間位置に沈設されるように構成されている。一方、密閉耐圧容器53内の酸素が溶け込んだ処理水を浄化処理槽41aへ送り戻す配管54は、浄化処理槽41aの底部へ向けてポンプ52aよりも低い位置まで延出されると共に、その端部が浄化処理槽41aの底部略中央部を指向する方向へ傾斜して形成されており、その傾斜部の先端が吐出口54bとされている。
よって、密閉耐圧容器53内の酸素が溶け込んだ処理水が配管54の吐出口54bから浄化処理槽41a内へ吐出されると、かかる吐出口54bから吐出された処理水は、浄化処理槽41aの底部に沿って略水平の水流を形成して、浄化処理槽41a内の処理水を強制的に移動させることができるので、処理水を効率的に攪拌して、処理水と溶存酸素と微生物を含む固形物(活性汚泥)との混合を確実に行うことができる。その結果、浄化処理槽41a内における微生物の分布を均一化して、その浄化処理効率を向上することができる。
また、浄化処理槽41aは、図3に示すように、その底部周縁部の全周に屈曲面41a1が形成されているので、浄化処理槽41a内の処理水が攪拌され、底部に沿って水流が形成された場合には、その底部周縁部(屈曲面41a1)における処理水の水流を円滑に流動させることができる。よって、微生物を含む固形物(活性汚泥)が攪拌されずに底部周縁部に残存することを抑制して、攪拌効率の向上を図ることができるので、浄化処理槽41a内における微生物の分布をより均一化して、その浄化処理効率のより一層の向上を図ることができる。
なお、配管54の吐出口54bは、その吐出方向が浄化処理槽41aの上流側から底部略中央部を指向するように構成されたが(図1参照)、下流側から底部略中央部を指向するようにしても良い。また、配管52のポンプ52aは、浄化処理槽41a内において、配管54の吐出口54bから離間する側の区画壁近傍に沈設されたが、配管54の吐出口54bの近傍に沈設しても良い。これにより、配管54の吐出口54bから吐出され、浄化処理槽41a内で十分に混合されていない処理水を配管52のポンプ52aが直接取水してしまうことを抑制することができる。
また、浄化処理槽41aの底部周縁部は、その屈曲面41a1が断面視円弧状に屈曲して形成されたが、平面上に屈曲して形成されていても良く、これらが組み合わされて形成されていても良い。この屈曲面41a1の大きさ(屈曲度合い)は、浄化処理槽41a〜41cの容量、攪拌装置の構成、剪断力、攪拌される処理水の粘度などの物性により適宜変更することが好ましい。
図1に戻って説明する。浄化流路4における2段目及び3段目の浄化処理槽41b,41cには、図1に示すように、送水装置44,45が設けられている。この送水装置44は、浄化処理槽41bの処理水を1段目の浄化処理槽41aへ送り戻すための装置であり、送水装置45は、浄化処理槽41cの処理水を2段目の浄化処理槽41bに送り戻すための装置である。これら送水装置44,45は、浄化処理槽41b,41c内に沈設されるポンプと、そのポンプにより取水された処理水を上流側(図1左側)の浄化処理槽41a,41bへ送水する配管とをそれぞれ備えている。
これら各送水装置44,45によれば、浄化流路4における処理水を下流側(図1右側))の浄化処理槽41b,41cから上流側(図1左側)の浄化処理槽41a,41bへ送り戻して、再度の浄化処理を行わせることができるので、有機汚濁物質を高濃度に含む廃水であっても、限られた設置スペースで十分な浄化処理を行うことができると共に、並列される複数の浄化処理槽41a〜41cの処理密度の均一化を図ることができる。
なお、図1では、図面を簡略化して理解を容易とするために、送水装置44のポンプが浄化処理槽41bにおける処理水の通過方向(図1左右方向)略中央位置に配置されると共に、配管の吐出側が浄化処理槽41aの最下流側に配置されているが、送水装置44のポンプを浄化処理槽41bの最下流側(図1右側)に配置すると共に、送水装置44の配管吐出側を浄化処理槽41aの最上流側(図1左側)に配置することがより好ましい。送水装置45も同様である。これにより、浄化流路4を通過する処理水の通過時間が長時間化されるので、その分、微生物による活動時間を増加させることができ、かかる微生物による処理水の浄化処理をより一層促進させることができる。
浄化流路4における2段目の浄化処理槽41bには、ミネラル磁気装置6が設置されている。ミネラル磁気装置6は、浄化処理槽41bの上流側(図1左側)から処理水を汲み上げる配管61を備えており、この配管61の一端側が浄化処理槽41b内へ差し込まれている。この配管61にはポンプ61aが介設されており、このポンプ61aを作動させることにより、浄化処理槽41bの処理水が配管61を経由して薬石塔62及び磁化塔64へ供給され、ミネラルが供給されると共に磁気力が付与された後、配管65を経由して、浄化処理槽41bの下流側(図1右側)へ送り戻される。
ここで、図4を参照して、ミネラル磁気装置6の薬石塔62および磁化塔64の詳細について説明する。図4は、ミネラル磁気装置6の薬石塔62及び磁化塔64を拡大して示した部分断面図である。なお、図4では、薬石カゴ62dを構成する網状体の網目の一部、薬石カゴ24dに収容される多数の薬石62cの一部および磁化塔64内に充填される多数のセラミックス材64cの一部を省略して図示している。
薬石塔62は、図4に示すように、上述した配管62と連結される塔本体62aと、その塔本体62aの上部に被せられる天蓋板62bと、塔本体62aに設置される薬石62cと、その薬石62cを収容する薬石カゴ62dとを主に備えている。
塔本体62aは、図4に示すように、ステンレス鋼材や硬質合成樹脂などの耐腐食性を有する材料から略円筒状に形成されており、その上部に薬石カゴ62dを挿入するための開放面が形成されている。この開放面は、ステンレス鋼材や硬質合成樹脂などの耐腐食性を有する材料で形成された天蓋板62bにより閉封されている。なお、天蓋板62bと塔本体62aとの間には、シリコンスポンジなどの合成樹脂材料で形成されたパッキンが挟み込まれており、薬石塔62を通過する処理水が外部へ漏れ出ることを防止している。
塔本体62aの下部(図4下側)には、図4に示すように、上述した浄化処理槽41bに一端側が差し込まれる配管55の他端側が連結されており、その他端側が塔本体62aの外周壁に穿設される流入口62a1と連通されている。流入口62a1は、配管62により移送された処理水を薬石塔62の塔本体62a内へ流入させるための開口である。なお、この流入口62a1には、その縁部に網状体に構成されたメッシュ材が固着されている。
塔本体62aの上部(図4上側)には、図4に示すように、薬石塔62を通過した処理水を後述する磁化塔64へ移送するためのの配管63が連結されている。この配管63は、その一端側(図4右側)が後述する磁化塔64の外周壁に穿設される流入口64a2と連通されると共に、その他端側(図4左側)が塔本体62aの外周壁に穿設される流出口62a2と連通されている。流出口62a2は、薬石塔62を通過した処理水を後述する磁化塔64へ流出させるための開口である。また、流出口62a2は、上述した流入口62a1と同様に、その縁部に網状体に構成されたメッシュ材が固着されている。
塔本体62aの内部には、図4に示すように、複数元素のミネラルを含有した天然石で構成される多数の薬石62cを収容した薬石カゴ62dが複数段(本実施の形態では3段)に積み重ねられている。薬石62cは、薬石塔62を通過する処理水に複数元素のミネラルを供給するためのものであり、この薬石62cを構成する天然石は、処理水にイオン化(電離)して溶け込むことが可能な複数元素のミネラル(鉱物)を含有している。よって、薬石塔62内を通過する処理水が薬石62cと接触することにより、その処理水に複数元素のミネラルをイオン化した状態で溶け込ませることができるのである。
ところで、上記の薬石62cは、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、硫黄(S)、リン(P)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、バリウム(Ba)、ジルコニウム(Zr)、ストロンチウム(Sr)、ルビジウム(Rb)、イットリウム(Y)を主成分としている。
各薬石カゴ62dは、図4に示すように、ステンレス鋼材や硬質合成樹脂などの耐腐食性を有する材料で網状体に構成されており、その内部に上述した多数の薬石62cが収容されている。よって、流入口62a1から塔本体62a内へ流入した処理水は、各薬石カゴ62dを構成する網状体の網目から薬石カゴ62d内へ流入して、その薬石カゴ62d内に収容される薬石62cの隙間を通過することにより、これらの薬石62cと接触することができる。
次に、磁化塔64は、図4に示すように、薬石塔62と配管63を介して連結される塔本体64aと、その塔本体64aに被せられる天蓋板64bと、塔本体64a内を通過する処理水に磁気力を付与し且つ複数元素のミネラルを供給するために塔本体64a内に充填されるセラミックス材64cと、そのセラミックス材64cと共に塔本体64a内を通過する処理水に磁気力を付与する複数の磁石64eを支持する支持部材64dとを主に備えている。
塔本体64aは、図4に示すように、ステンレス鋼材や硬質合成樹脂などの耐腐食性を有する材料から略円筒状に形成されており、その上部にセラミックス64cを入れ込むための開放面が形成されている。この開放面は、ステンレス鋼材や硬質合成樹脂などの耐腐食性を有する材料で形成された天蓋板64bにより閉封されている。なお、天蓋板64bと塔本体64aとの間には、シリコンスポンジなどの合成樹脂材料で形成されたパッキンが挟み込まれており、磁化塔64を通過する処理水が外部へ漏れ出ることを防止している。
塔本体64aの上部に穿設された流入口64a1には、上述したように、配管63が連通されている。流入口64a4は、薬石塔62を通過した処理水を磁化塔64の塔本体64a内へ流入させるための開口である。なお、流入公64a1には、その縁部に網状体に構成されたメッシュ材が固着されている。
また、配管63は、塔本体64aの外周壁における奥側面(図4奥側面)に連結され、流入口64a1へ流入した処理水が塔本体64aの内壁に沿って廻りながら旋回して、塔本体64a内を流下(下降)するようにされている。よって、塔本体64a内へ流入した処理水は、塔本体64a内を上面視(図4上側から矢視)した場合に、塔本体64aの内壁に沿って時計方向(右回り方向)へ旋回しつつ流下される。このように、塔本体64a内へ流入された処理水を旋回させつつ塔本体64a内を通過させることにより、かかる処理水を単に塔本体64aの上部から下部へ略垂直に流下させる場合に比べて、かかる処理水が塔本体64a内を通過する際の通過距離を大きくすることができる。
このため、複数のセラミックス材64c及び磁石64eによる塔本体64a内を通過する処理水への磁気力の付与時間は増加されるので、かかる時間の増加により塔本体64a内を通過する処理水の磁化活性を促進させることができる。しかも、塔本体64aを通過する処理水の旋回により、かかる処理水とセラミックス材64cとの接触時間は増加されるので、その分、塔本体64a内を通過する処理水への複数元素のミネラルの添加を促進させることができる。
また、上記のように塔本体64a内を通過する処理水を旋回させることにより、かかる処理水の性質は、例えば、腐敗し難い性質や、生物の活動を活性化させる等の生物に良い影響を与える性質に変化される。
なお、磁化塔64は、水浄化装置1の設置場所が北半球である場合、塔本体64a内へ流入した処理水が上面視(図4上側から矢視)した塔本体64a内を時計方向(右回り方向)へ旋回しつつ流下するよう構成される一方、水浄化装置1の設置場所が南半球である場合、塔本体64a内へ流入した処理水が上面視した塔本体64a内を反時計方向(左回り方向)へ旋回しつつ流下するようにする構成される。
塔本体64aの下部には、図4に示すように、磁化塔64を通過した処理水を浄化処理槽41bへ送り戻すための配管65が連結されている。この配管63は、その一端側が浄化処理槽41b内へ差し込まれると共に(図1参照)、その他端側(図4左側)が塔本体64aの外周壁に穿設される流出口64a2と連通されている。流出口64a2は、磁化塔64を通過した処理水を配管65へ流出させるための開口である。なお、流出口64a2は、上述した流入口64a1と同様に、その縁部に網状体に構成されたメッシュ材が固着されている。
塔本体64aの内部には、複数元素のミネラルを含有した材料を焼き固めることにより略球体状に形成された複数のセラミックス材64cが充填されている。この複数のセラミックス材64cは、複数元素のミネラルを含有した材料を焼き固めて形成することにより磁性を帯びており、かかる複数のセラミックス材64cの磁性により塔本体64a内を通過する処理水に磁気力を付与することができる。
また、セラミックス材64cは、磁化塔64内を通過する処理水に複数元素のミネラルを供給するものでもある。即ち、セラミックス材64cは、処理水にイオン化(電離)して溶け込むことが可能な複数元素のミネラルを含有している。よって、磁化塔64内を通過する処理水がセラミックス材64cと接触することにより、その処理水に複数元素のミネラルをイオン化した状態で溶け込ませることができる。尚、セラミックス材64cは、上述した薬石62cとほぼ同一の成分の複数元素のミネラルを含有している。
また、磁化塔64の塔本体64a内には、その底板の略中央部分から天蓋板64bへ向けて略棒状の支持部材64dが立設されている。この支持部材64dは、複数の磁石64eを塔本体64aの底板側(図4下側)から天蓋板64bへ向けて略等間隔で並設しつつ支持するためのものである。この支持部材64dにより支持される複数の磁石64eは、その略中央に円形の開口が形成された略ドーナッツ状の永久磁石でそれぞれ構成されており、その開口に支持部材64dが貫入されている。
支持部材64dにより支持される複数の磁石64eによれば、その磁気力が磁化塔64を通過する処理水、即ち、薬石塔62の薬石62cや磁化塔64のセラミックス材64cによりイオン化した複数元素のミネラルが供給された処理水に作用する(付与される)ことにより、処理水に含まれる有機物を分解するのに適した微生物による有機物の分解や、かかる微生物の繁殖を促進させることができる。また、複数の磁石64eは、支持部材64dによって、塔本体64aの底板43a1側から天蓋板64bへ向けて、即ち、塔本体64a内を通過する処理水の下降方向(略垂直方向)へ略等間隔で並設されており、この磁石64eの配置により塔本体64a内を旋回して下降する水へ磁気力を強く作用させることができる。
図1に戻って説明する。磁化塔64に一端側が連結される配管65は、図1に示すように、その他端側が浄化処理槽41bの下流側へ差し込まれている。よって、上述したミネラル磁気装置6によりミネラルが供給され磁化力が付与された処理水は、そのミネラル磁気装置6から配管65を介して浄化処理槽41bへ送り戻される。
浄化流路4に供給され各浄化処理槽41a〜41cを順に通過した処理水は、最終的には、浄化流路4の最下流側(図1右側)に位置する液中膜槽42に到達する。液中膜槽42には、図1に示すように、通過膜装置7と、微生物殺傷装置8と、送水装置46とが主に設けられている。
通過膜装置7は、液中膜槽42に貯留される処理水から固形物(活性汚泥)を除去して浄化された処理水を通過させる固液分離手段として構成されるものであり、処理水を濾過する通過膜ユニット71と、その通過膜ユニット71を洗浄する洗浄装置72と、通過膜ユニット71を通過した処理水を貯留槽101へ送水する配管73とを主に備えている。
通過膜ユニット71は、微小な通過孔が多数形成された多数枚の膜エレメント(図示せず))を膜ケース(図示せず)内にセットして構成されており、図1に示すように、液中膜槽42の処理水中に沈設されている。なお、本実施の形態では、膜エレメントに形成される通過孔の孔内径が平均で略0.4μmとされている。
洗浄装置72は、通過膜ユニット71へ圧縮空気を供給するためのものであり、その一端側が通過膜ユニット71の下部(図1下側)に連結されている。洗浄装置72の他端側には送風装置としてのブロワが連結されており、このブロワを作動させることにより、通過膜ユニット71の下部から圧縮空気を送風して、その通過膜ユニット71の膜ケース内へ大量の気泡を発生させるように構成されている。よって、かかる気泡が膜エレメントの表面に接触し、振動と衝撃を与えながら上昇するため、微生物を含む固形物が洗浄除去され、膜エレメントの目詰まりが防止される。
また、通過膜ユニット71の上部には、図1に示すように、配管73が連結されている。配管73には、ポンプ73aが介設されており、このポンプ73aを作動させることにより、通過膜ユニット71の膜エレメントで濾過された処理水を引き抜いて、その引き抜いた処理水を配管73を介して貯留槽101へ送水可能に構成されている。
その結果、液中膜槽42内の処理水は、通過膜ユニット71の膜エレメントを通過することにより、微生物を含む固形物(活性汚泥)が除去され、配管73及びポンプ73aにより貯留槽101へ送水され貯水される。そして、浄化された処理水100として、例えば、環境へ排出されたり、希釈廃水38として再利用するべく上述した調整貯留槽32へ送り戻される。また、通過膜ユニット71により除去された微生物を含む固形物(活性汚泥)は、液中膜槽42内に放出される。
微生物殺傷装置8は、上述した通過膜装置7で除去され液中膜槽42内へ放出された微生物を殺傷して、補填栄養源として再利用するための装置であり、図1に示すように、上述した通過膜装置7と共に液中膜槽42に設置されている。この微生物殺傷装置8は、オゾン発生装置81とオゾン溶解装置8Aとを主に備えている。
オゾン溶解装置8Aは、図1に示すように、液中膜槽42から処理水を汲み上げる配管82と、その汲み上げられた処理水にオゾンを溶け込ませて微生物を殺傷する密閉耐圧容器83と、その微生物が殺傷された後の処理水を調整貯留槽32へ送水する配管84とを主に備えている。
配管82は、図1に示すように、その一端にポンプ82aの吐出口が連結されており、ポンプ82aは、液中膜槽42の処理水中に沈設されている。また、配管82の他端は、密閉耐圧容器83の上部に連結されており、ポンプ82aの取水口から取水された処理水は、この配管82を介して、密閉耐圧容器83内へ汲み上げられる。
密閉耐圧容器83の頂部には、オゾンガスを発生するオゾン発生装置81が配管85を介して連結されており、この配管85には、調整弁(例えば、電磁弁)等を有する制御装置85aが設けられている。この制御装置85aは、オゾン発生装置81から密閉耐圧容器83へ供給されるオゾンガスの圧力および供給量を調整して、密閉耐圧容器83内に貯留される処理水へのオゾンガスの溶解量を所定の範囲内の値に保持するように制御する。
密閉耐圧容器83内の圧力は、圧力検出器(図示せず)により検出されており、この圧力検出器の検出結果を受けて、制御装置85aがオゾン発生装置81からのオゾンガス供給量を調整することにより、大気圧以上、即ち、略1気圧以上の略一定の圧力値に調整される。なお、オゾン発生装置81によるオゾンの生成機構としては、例えば、光化学反応、電解反応、放電反応、放射線反応等を利用した公知の機構のいずれを採用したものであっても良い。
ここで、オゾン溶解装置8Aは、上述した酸素溶解装置5A〜5C(図2参照)と略同一に構成されている。そのため、以下においては、オゾン溶解装置8Aの詳細構成について、図2を参照しつつ説明する。
オゾン溶解装置8Aにおける密閉耐圧容器83は、上述した酸素溶解装置5Aにおける密閉耐圧容器83と同様に、ステンレス鋼材や硬質剛性樹脂などの耐腐食性を有する材料で略中空円筒状に形成されると共に、その内部を大気圧以上に加圧しても破損することがないように耐圧性を有して構成されている(図2参照)。
オゾン溶解装置8Aにおける配管52の流入口には、上述した酸素溶解装置5A〜5Cにおける配管52の流入口52bと同様に、処理水滴化手段が設けられており、密閉耐圧容器83内へ流入する処理水が細粒状に滴化して落下するように構成されている(図2参照)。
また、オゾン溶解装置8Aにおける配管84は、上述した酸素溶解装置5A〜5Cにおける配管54と同様に、密閉耐圧容器83の底部へ向けて略垂直に延出されており、その下端には、密閉耐圧容器83の底部との間に所定の間隔を隔てつつ開口される流出口が設けられている(図2参照)。
よって、密閉耐圧容器83の底部に貯留された処理水は、上述した酸素溶解装置5A〜5Cの場合と同様に、密閉耐圧容器83内の圧力により配管84内へ流入して、かかる配管54を介して流量調整槽32へ送水される。なお、配管84には、調整弁(図示せず)を有する流量調整手段が設けられており、密閉耐圧容器83から流量調整槽32へ送水する処理水の送水量を任意に制御可能とされている。
更に、密閉耐圧容器83内には、上述した酸素溶解装置5A〜5Cの拡散板56a,56bと同様に構成される上下一対の拡散板を備えており、配管82の流入口の下方に所定の間隔を隔てて配設されると共に、両拡散板の対向面間にも所定の間隔が設けられている。これら拡散板には、酸素溶解装置5A〜5Cにおける拡散板56a,56bと同様に、多数の小孔が穿設されると共に、外周部に突起部が突設されている(図2参照)。
上記のように構成されたオゾン溶解装置8Aによれば、オゾン発生装置81からのオゾンガスの供給が配管85を介して開始されると、かかるオゾンガスの供給により、密閉耐圧容器83内が大気圧以上に加圧される。その後、配管82の流入口から処理水が密閉耐圧容器83内へ流入されると、かかる処理水が落下して、拡散板へ衝突すると共に各小孔の縁部を伝って多数の水滴となって、下方へ滴下される。
このように、流入口から流入した処理水が拡散板によって微細な水滴にされると、その流入した処理水と密閉耐圧容器83内に充填されるオゾンガスとの接触面積が拡大されるので、かかる処理水によるオゾンガスの溶解率を向上することができ、しかも、密閉耐圧容器83内は、オゾンガスにより加圧されているので、かかる加圧により密閉耐圧容器83内の処理水によるオゾンガスの溶解率を更に向上することができる。その結果、処理水中の微生物を効率良く殺傷することができる。
その後、微生物が殺傷された処理水は、密閉耐圧容器83の底部に貯留され、その水位が配管84の流出口より高くなると、その水面に加わる密閉耐圧容器83内のオゾンガスの圧力により、配管84の流出口内へ圧入され、図1に示すように、配管84を経由して調整貯留槽32へ送水される。調整貯留槽32へ送水された処理水は、流量調整槽31から配管34を経由して浄化流路4へ補填栄養源として供給される。
このように、液中膜槽42から処理水を取水して、その処理水中の微生物を殺傷した後、補填栄養源として浄化流路4へ送り戻すことにより、微生物の活動が活性化され、浄化流路4における浄化処理効率を更に向上することができる。
また、浄化流路4における微生物が許容範囲以上に増殖した場合でも、その微生物の一部が殺傷され、栄養源として分解されることにより、他の微生物の活性化を図りつつも、浄化流路4における微生物を含む固形物(活性汚泥)の減量をも同時に図ることができ、その結果、浄化処理装置1全体としての処理後の汚泥残滓等廃棄物の排出量を減少することができる。
なお、オゾン溶解装置8Aにより微生物が殺傷された処理水の配管84による送水先は、必ずしも調整貯留槽32に限られず、例えば、調整貯留槽32に代えて、又は、調整貯留槽32と共に、浄化流路4(浄化処理槽41a〜41c)であっても良い。
送水装置46は、液中膜槽42の処理水を浄化処理槽41a、調整貯留槽32及び汚泥貯留培養槽9へ送り戻すための装置であり、図1に示すように、上述した通過膜装置7及び微生物殺傷装置8と共に液中膜槽42に設置されている。この送水装置46は、液中膜槽42内に沈設されるポンプを備え、そのポンプにより取水された処理水を後述する流量調整槽102へ送水するように構成されている。
流量調整槽102は、図1に示すように、送水装置46から送水される処理水を配管103,104を介して浄化処理槽41a及び調整貯留槽32のそれぞれへ定量ずつ連続的に供給するように構成されている。よって、浄化流路4における処理水を下流側(図1右側))の液中膜槽42から上流側(図1左側)の浄化処理槽41aへ送り戻して、再度の浄化処理を行わせることができるので、有機汚濁物質を高濃度に含む廃水であっても、限られた設置スペースで十分な浄化処理を行うことができると共に、複数の槽が並設された浄化流路4の処理密度を均一化することができる。
ここで、本実施の形態における浄化処理装置1のように、処理水の浄化に微生物を使用する場合には、その浄化処理過程において、一定の微生物の増殖が避けられず、この微生物の増殖による処理の不均一や処理効率の低下、或いは、微生物を含む固形物(活性汚泥)の増加に伴う作業性の悪化を防止する必要がある。そのため、浄化流路4における活性汚泥濃度(以下、「MLSS濃度」と称す。)により算定される数値設定と連動させることにより、定期的に微生物を含む固形物(活性汚泥)を余剰汚泥として排出することが好ましい。
そこで、本実施の形態の浄化処理装置1は、MLSS濃度を計測するMLSS濃度計(図示せず)を液中膜槽42内に設け、そのMLSS濃度計により算定される濃度が既定の設定値を越えた場合に、液中膜槽42から余剰汚泥を汚泥貯留培養槽9へ排出するように構成されている。
具体的には、汚泥貯留培養槽9には、図1に示すように、流量調整槽102及び配管104を介して、液中膜槽42から取水された処理水が送水されるように構成されており、配管104には、電磁式の調整弁を有する制御装置104aが介設されている。この制御装置104aは、MLSS濃度計による測定結果が既定の設定値を越えている場合(濃度が濃い)には、配管104を開放して液中膜槽42から処理水を送水する一方、MLSS濃度計による測定結果が既定の設定値を下回る場合(濃度が薄い)には、配管104を遮断して液中膜槽42からの処理水の送水を禁止するように制御する。
その結果、汚泥貯留培養槽9には、MLSS濃度が既定の設定値を越えた場合における液中膜槽42の処理水だけが貯留されるので、かかる汚泥貯留培養槽9に貯留される処理水内の微生物を含む固形物(活性汚泥)を濃縮した状態とすることができる。よって、汚泥貯留培養槽9からは、濃縮された状態の処理水、即ち、余剰汚泥を取り出すことができるので、かかる余剰汚泥をそのまま脱水処理または廃棄処理することができる。従って、従来の浄化処理装置のように、余剰汚泥を取り出すために汚泥沈降槽や汚泥濃縮槽を別途設ける必要がないので、設備的・スペース的なコストの削減を図ることができる。
なお、汚泥貯留培養槽9には、図1に示すように、配管91及びポンプ91aが設けられており、これら配管91及びポンプ91aによって、汚泥貯留培養槽9に貯留される処理水(余剰汚泥)が次行程である圧縮槽92へ送られる。
また、汚泥貯留培養槽9には、図1に示すように、モータから付与される回転駆動力により攪拌翼を回転して処理水を攪拌する攪拌装置93が設けられると共に、溶存酸素供給装置5の酸素溶解装置5Dが設置されており、汚泥貯留培養槽9から汲み上げられた処理水が酸素が溶け込んだ処理水(高濃度酸素溶存処理水)として送り戻されるように構成されている。
その結果、汚泥貯留培養槽9の処理水が上述したように濃縮された状態であっても、その汚泥貯留培養槽9の処理水に含まれる微生物に酸素を供給して、その活動を活性化することができるので、悪臭の発生を抑制することができる。なお、酸素溶解装置5Dは、上述した酸素溶解装置5A〜5Cと同様に構成されるので、その各構成に酸素溶解装置5A〜5Cと同一の符号を付して、その説明を省略する。
ここで、液中膜槽42から汚泥貯留培養槽9へ処理水を送水するか否かは、制御装置104aがMLSS濃度計の測定結果に基づいて、配管104を開放または遮断することにより、自動的に行われるように構成されたが、配管104の開放および遮断の切り換え動作を操作者が手動で行うように構成しても良い。
このように、本実施の形態における浄化処理装置1によれば、処理水への酸素の供給を溶存酸素の形態で行うことができるので、有機汚濁物質を高濃度で含み、固形物が多い処理水に対しても、十分な量の酸素を供給して、微生物の活性化を促進することにより、浄化効率の向上を図ることができる。更に、微生物の活性化に伴って、処理水内の固形物が増加した場合でも、その処理水内の微生物の一部を殺傷して、補填栄養源として処理水内へ送り戻すことができるので、他の微生物を活性化しつつ、処理水内の固形物の減量をも同時に図ることができるのである。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施の形態における浄化処理装置1では、浄化流路4に3段の浄化処理槽41a〜41cが設置される場合を説明したが、必ずしも3段に限られるわけではなく、かかる設置段数を処理水の浄化処理条件等に応じて適宜増減することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
第1発明の浄化処理装置によれば、溶存酸素供給装置を備えているので、浄化処理槽内の処理水への酸素供給を溶存酸素で行うことができる。よって、有機汚濁物質を高濃度で含み、固形物が多い処理水に対しても、十分な量の酸素を処理水へ供給することができるので、その分、微生物の活性化を促進して、浄化効率の向上を図ることができるという効果がある。
また、微生物殺傷手段を備えており、殺傷した微生物を補填栄養源として浄化処理槽の処理水へ送り戻すことができるので、微生物の活性化を促進して、浄化効率の更なる向上を図ることができるという効果がある。更に、微生物の活性化に伴って処理水内の固形物が増加した場合でも、その微生物の一部は微生物殺傷手段により殺傷され、栄養源として分解されるので、他の微生物の活性化を促進しつつ、処理水中の固形物の減量をも同時に達成することができるという効果がある。
その結果、有機汚濁物質を高濃度に含む廃水の場合でも、上述した固形物の減量により、通過膜の目詰まりを防止することができるので、固液分離手段として通過膜(通過膜装置)を使用することができるという効果がある。よって、従来の浄化処理装置で必要とされた大規模な汚泥沈降槽等の設置を不要とすることができるので、その分、設備的・スペース的なコストの低減を図ることができるという効果がある。
第2発明の浄化処理装置によれば、第1発明の浄化処理装置の奏する効果に加え、微生物殺傷装置は、浄化処理槽から取水した処理水にオゾンを溶解させて微生物を殺傷するように構成されているので、処理水中の微生物を効率良く殺傷することができると共に、その微生物を他の微生物の補填栄養源としての状態を維持したまま殺傷することができるという効果がある。その結果、殺傷した微生物を浄化処理槽へ送り戻して、他の微生物に分解させることができるので、微生物の活性化による浄化処理効率の向上と処理水中の固形物の減量とを同時に図ることができるという効果がある。
第3発明の浄化処理装置によれば、第2発明の浄化処理装置の奏する効果に加え、微生物殺傷手段の送水装置は、微生物殺傷後の処理水を取水装置が処理水を取水する取水位置よりも浄化処理槽の上流側へ送り戻すように構成されているので、微生物の活性化を促進することができると共に、補填栄養源としての殺傷後微生物の供給先が一部に偏ることを防止して、浄化処理槽内における浄化処理の均一化を図ることができるという効果がある。
第4発明の浄化処理装置によれば、第2または第3発明の浄化処理装置の奏する効果に加え、供給量調整装置によって、浄化処理槽へ供給される処理水の供給量を一定量に、即ち、その浄化処理槽の処理能力に応じた供給量に保つことができるので、処理負荷が過大となることを未然に防止して、最適な処理効率での浄化処理を安定して行うことができるという効果がある。
ここで、供給量調整装置は、貯留槽を備え、廃水が浄化処理槽へ供給すべき一定量よりも多い場合には、その廃水を貯留槽に貯留すると共に、廃水が浄化処理槽へ供給すべき一定量よりも少ない場合には貯留槽に貯留された廃水を処理水として供給することにより、浄化処理槽へ供給される処理水を一定量に調整するものである。そして、微生物殺傷装置の送水装置は、微生物殺傷後の処理水を供給量調整装置の貯留槽へ送り戻すように構成されている。
その結果、廃水の供給量が一定量より多い場合には、微生物殺傷後の処理水を貯留槽に貯留しておくことにより、廃水に含まれる有機汚濁物質と補填栄養源としての微生物殺傷後の処理水とが重ねて浄化処理槽へ供給されることを防止することができるので、浄化処理槽の処理水が栄養過多状態となることを抑制して、微生物の活動が阻害されることを抑制することができるという効果がある。
一方、廃水の供給量が一定量よりも少ない場合には、貯留槽に貯留された処理水、即ち、微生物殺傷後の処理水を補填栄養源として、浄化処理槽へ供給することができるので、浄化処理槽の処理水が栄養不足状態となることを抑制して、微生物の活動が停滞することを抑制することができるという効果がある。
第5発明の浄化処理装置によれば、第1から第4発明のいずれかの浄化処理装置の奏する効果に加え、溶存酸素供給装置の送水パイプは、その吐出口が浄化処理槽の底部に対して傾斜する方向へ、かつ、その底部の中央へ向けて溶存酸素処理水を吐出するように構成されているので、有機汚濁物質を高濃度に含む廃水の場合でも、かかる溶存酸素処理水の吐出により浄化処理槽内に水流を形成して、浄化処理槽の攪拌を効率良く行うことができるという効果がある。その結果、浄化処理槽内に導入される溶存酸素や微生物を含む固形物などを十分に混合して、微生物の活性化と浄化処理の均一化とを効率的に達成することができるという効果がある。
第6発明の浄化処理装置によれば、浄化処理槽から処理水を取水する取水パイプの取水口は、浄化処理槽の底部に対して、送水パイプの吐出口よりも高い位置に設けられているので、送水パイプからの溶存酸素処理水の吐出による攪拌作用で混合された後の処理水を取水することができ、その結果、例えば、浄化処理槽の底部に微生物を含む固形物が沈殿している場合でも、その固形物や浄化処理槽へ導入された処理水としての廃水、或いは、溶存酸素処理水を偏ることなく取水して、浄化処理を効率良く行うことができるという効果がある。
第7発明の浄化処理装置によれば、第6発明の浄化処理装置が奏する効果に加え、浄化処理槽から処理水を取水する取水パイプの取水口は、浄化処理槽の上面視において、送水パイプの吐出口の近傍に配設されているので、送水パイプからの溶存酸素処理水の吐出による攪拌作用で混合された後の処理水を取水することができ、その結果、例えば、送水パイプの吐出口から吐出された溶存酸素処理水を直接取水してしまうことが抑制できるので、微生物を含む固形物や浄化処理槽へ導入された処理水としての廃水、或いは、溶存酸素処理水を偏ることなく取水して、浄化処理を効率良く行うことができるという効果がある。
第8発明の浄化処理装置によれば、第1から第7発明のいずれかの浄化処理装置が奏する効果に加え、攪拌補助装置を備えているので、例えば、浄化処理槽へ供給される処理水の供給量に対して、溶存酸素処理装置がその浄化処理装置から取水して送り戻す溶存酸素処理水の送水量が少なく、その溶存酸素供給装置からの送水水流による攪拌作用だけでは、浄化処理槽内を十分に攪拌することができない場合であっても、かかる攪拌補助装置による攪拌力により、浄化処理槽における処理水の攪拌を補助して、その攪拌効率の向上を図ることができるという効果がある。
なお、このように、溶存酸素供給装置からの送水水流による攪拌と、攪拌補助装置による攪拌(攪拌翼による機械的攪拌)とを併用することにより、従来のエアーレーション攪拌を使用する場合のように、機械的攪拌の攪拌力を過大に設定する必要がないので、フロックを破壊することなく浄化処理槽内の処理水を攪拌することができるという効果がある。
第9発明の浄化処理装置によれば、第1から第8発明の浄化処理装置の奏する効果に加え、浄化処理装置はその底部の周縁部の少なくとも一部に屈曲面が形成されているので、浄化処理槽における処理水を攪拌する場合には、その底部の周縁部における処理水を円滑に流動させることができるので、沈殿した固形物が底部の周縁部に残存することを抑制して、その分、攪拌効率の向上を図ることができるという効果がある。
第10発明の浄化処理装置によれば、第2から第9発明のいずれかの浄化処理装置が奏する効果に加え、微生物殺傷装置のオゾン溶解装置は、浄化処理槽から取水した処理水をオゾン容器体内へ水滴状に落下(滴下)させることにより、その落下する水滴を大気圧以上に加圧されたオゾン含有ガスと接触させることができ、その結果、処理水内の微生物を効率的に殺傷することができるといういう効果がある。
第11発明の浄化処理装置によれば、第1から第10発明のいずれかの浄化処理装置の奏する効果に加え、溶存酸素供給装置は、浄化処理槽から取水した処理水を酸素容器体内へ水滴状に落下(滴下)させることにより、その落下する水滴を大気圧以上に加圧された酸素含有ガスと接触させ、かかる水滴内へ酸素を高濃度で溶解させることができるといういう効果がある。
第12発明の浄化処理装置によれば、第10または第11発明の浄化処理装置の奏する効果に加え、オゾン容器体または酸素容器体の内部へ流入口から流入された処理水は、その流入口の下方に配設される拡散板に貫通形成された小孔を通過することにより水滴となって容器体の内部を落下されるので、各容器体内を落下する水滴と各容器体内に充填されるオゾン又は酸素との接触面積を増大して、その水滴内の微生物の殺傷効率または水滴内への酸素の溶解率を向上させることができるという効果がある。
第13発明の浄化処理装置によれば、第12発明の浄化処理装置の奏する効果に加え、各拡散板の小孔は、処理水の落下方向視において、隣接する拡散板の小孔と重ならない位置に設けられているので、オゾン容器体または酸素容器体の内部へ流入口から流入された処理水は、各拡散板の小孔を通過する度に次の拡散板に衝突されるので、より細かな水滴となって容器体の内部を落下されると共に、その落下に長時間を要することとなるので、各容器体内を落下する水滴と各容器体内に充填されるオゾン又は酸素との接触面積、及び、接触時間を増大して、その水滴内の微生物の殺傷効率または水滴内への酸素の溶解率をより一層向上させることができるという効果がある。
第14発明の浄化処理装置によれば、第1から第13発明のいずれかの浄化処理装置の奏する効果に加え、磁気力付与装置により浄化処理槽から取水された処理水は、ミネラル接触材と接触することにより複数元素のミネラルがイオン化して溶け込み、かつ、そのイオン化したミネラルに磁石又はセラミックスの磁気力が付与されることにより、磁化活性化される。この磁化活性化によって、処理水を微生物による有機汚濁物質の分解や微生物の活性化に適した状態とすることができる。よって、例えば、単に微生物に廃水の有機汚濁物質を分解させる場合と比較して、微生物による有機汚濁物質の分解や、その微生物の活性化の促進を図ることができるという効果がある。
第15発明及び第16発明の浄化処理装置によれば、第1から第14発明のいずれかの浄化処理装置の奏する効果に加え、汚泥貯留培養槽には、微生物濃度が所定の基準値を超えた場合における浄化処理槽の処理水が貯留されるので、処理水内の固形物を濃縮した状態とすることができる。よって、かかる汚泥貯留培養槽からは、濃縮された状態の余剰汚泥を取り出すことができるので、かかる余剰汚泥をそのまま脱水処理又は廃棄処理をすることができるという効果がある。その結果、従来の浄化処理装置のように、余剰汚泥を取り出すために汚泥沈降槽や汚泥濃縮槽を別途設ける必要がないので、設備的・スペース的なコストを低減して、その分、浄化処理装置全体としての装置コストを低減することができるという効果がある。
第17発明の浄化処理装置によれば、第1から第14発明のいずれかの浄化処理装置の奏する効果に加え、汚泥貯留培養槽に貯留された処理水を取水して加圧化の酸素含有ガス雰囲気中に滴下させることにより得た溶存酸素処理水を汚泥貯留培養槽へ送り戻す培養槽用溶存酸素供給装置を備えているので、かかる汚泥貯留培養槽における処理水の固形物が濃縮された状態であっても、微生物の活性化を促進して、悪臭の発生を抑制することができるとという効果がある。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水が処理水として供給される浄化処理槽を備え、その浄化処理槽に供給された処理水の浄化処理を行う浄化処理装置において、
前記浄化処理槽から取水した処理水を加圧化の酸素含有ガス雰囲気中に滴下させることにより溶存酸素処理水を得ると共に、その得られた溶存酸素処理水を前記浄化処理槽へ送り戻す溶存酸素供給装置と、
前記浄化処理槽から処理水を取水してその処理水に含まれる微生物を殺傷すると共に、その微生物殺傷後の処理水を前記浄化処理槽へ送り戻す微生物殺傷装置と、
前記浄化処理槽内の処理水を攪拌して混合する混合攪拌装置と、
前記浄化処理槽の処理水から微生物を含む固形分を通過膜により除去して浄化された処理水を通過させる通過膜装置とを備えていることを特徴とする浄化処理装置。
【請求項2】
前記微生物殺傷装置は、
前記浄化処理槽から処理水を取水する取水装置と、
その取水装置により取水された処理水へオゾンを溶解させて、その処理水に含まれる微生物を殺傷するオゾン溶解装置と、
そのオゾン溶解装置によるオゾンの溶解により微生物が殺傷された処理水を前記浄化処理槽へ送り戻す送水装置とを備えていることを特徴とする請求の範囲第1項記載の浄化処理装置。
【請求項3】
前記微生物殺傷装置の送水装置は、前記微生物が殺傷された後の処理水を前記取水装置が処理水を取水する取水位置よりも浄化処理槽の上流側へ送り戻すように構成されていることを特徴とする請求の範囲第2項記載の浄化処理装置。
【請求項4】
前記浄化処理槽へ供給される処理水を一定量に調整する供給量調整装置を備え、
その供給量調整装置は、貯留槽を備え、前記廃水が前記浄化処理槽へ供給すべき一定量よりも多い場合にはその廃水を前記貯留槽に貯留すると共に、前記廃水が前記浄化処理槽へ供給すべき一定量よりも少ない場合には前記貯留槽に貯留された廃水を処理水として供給することにより、前記浄化処理槽へ供給される処理水を一定量に調整するものであり、
前記微生物殺傷装置の送水装置は、前記微生物が殺傷された後の処理水を前記供給調整装置の貯留槽へ送り戻すように構成されていることを特徴とする請求の範囲第2または第3項に記載の浄化処理装置。
【請求項5】
前記溶存酸素供給装置は、前記溶存酸素処理水を前記浄化処理槽へ送り戻すためにその浄化処理槽に連通される送水パイプを備え、
その送水パイプの吐出口は、前記溶存酸素処理水が前記浄化処理槽の底部に対して傾斜する方向へ向けて、かつ、その底部の略中央部へ向けて吐出されるように構成されていることを特徴とする請求の範囲第1から第4項のいずれかに記載の浄化処理装置。
【請求項6】
前記溶存酸素供給装置は、前記浄化処理槽から処理水を取水するためにその浄化処理槽に連通される取水パイプを備えており、
その取水パイプの取水口は、前記浄化処理槽の底部に対して少なくとも前記送水パイプの吐出口よりも高い位置に設けられていることを特徴とする請求の範囲第5項記載の浄化処理装置。
【請求項7】
前記取水パイプの取水口は、前記浄化処理槽の上面視において、前記送水パイプの吐出口の近傍に配設されていることを特徴とする請求の範囲第6項記載の浄化処理装置。
【請求項8】
回転可能に構成されその回転力により前記浄化処理槽内の処理水を攪拌する攪拌翼と、その攪拌翼に回転駆動力を付与する駆動装置とを有する攪拌補助装置を備えていることを特徴とする請求の範囲第1から第7項のいずれかに記載の浄化処理装置。
【請求項9】
前記浄化処理槽は、その底部の周縁部の少なくとも一部に屈曲面が形成されていることを特徴とする請求の範囲第1から第8項のいずれかに記載の浄化処理装置。
【請求項10】
前記微生物殺傷装置のオゾン溶解装置は、オゾン含有ガスが大気圧以上に加圧されて充填されるオゾン容器体を備え、
そのオゾン容器体の上部には、前記取水装置により前記浄化処理槽から取水された処理水を前記オゾン容器体内へ流入させるための流入口が設けられると共に、前記オゾン容器体の底部には、前記流入口からオゾン容器体の底部に落下した処理水を前記送水装置を介して前記浄化処理槽へ送り戻すための流出口が設けられていることを特徴とする請求の範囲第2から第9項のいずれかに記載の浄化処理装置。
【請求項11】
前記溶存酸素供給装置は、酸素含有ガスが大気圧以上に加圧されて充填される酸素容器体を備え、
その酸素容器体の上部には、前記浄化処理槽から取水された処理水を前記酸素容器体内へ流入させるための流入口が設けられると共に、前記酸素容器体の底部には、前記流入口から酸素容器体の底部に落下した処理水を前記浄化処理槽へ送り戻すための流出口が設けられていることを特徴とする請求の範囲第1から第10項のいずれかに記載の浄化処理装置。
【請求項12】
前記オゾン容器体または酸素容器体の内部には、前記流入口の下方に複数の小孔が貫通形成された拡散板が配設されていることを特徴とする請求の範囲第10または第11項に記載の浄化処理装置。
【請求項13】
前記拡散板は、互いに所定の間隔を隔てつつ複数枚が配設されており、それら各拡散板に貫通形成される複数の小孔の内の少なくとも一部は、前記処理水の落下方向視において、隣接する拡散板の小孔と重ならない位置に設けられていることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の浄化処理装置。
【請求項14】
複数元素のミネラルを含有するミネラル接触材を有し、そのミネラル接触材に前記浄化処理槽から取水した処理水を接触させるミネラル供給装置と、
そのミネラル供給装置のミネラル接触材に接触された処理水に磁気力を付与する磁石又はセラミックスを有し、その磁石又はセラミックスにより磁気力が付与された後の処理水を前記浄化処理槽へ送り戻す磁気力付与装置とを備えていることを特徴とする請求の範囲第1から第13項のいずれかに記載の浄化処理装置。
【請求項15】
前記浄化処理槽から取水された処理水を貯留する汚泥貯留培養槽を備えており、その汚泥貯留培養槽には、微生物濃度が所定の基準値を超えた場合における前記浄化処理槽の処理水を貯留し得るように構成されていることを特徴とする請求の範囲第1から第14項のいずれかに記載の浄化処理装置。
【請求項16】
処理水を貯留する汚泥貯留培養槽と、浄化処理槽における処理水の微生物濃度が所定の濃度を超えた場合に、その浄化処理槽における処理水を取水して前記汚泥貯留培養槽に送水する濃縮時取水送水装置とを備えていることを特徴とする請求の範囲第1から第14項のいずれかに記載の浄化処理装置。
【請求項17】
前記汚泥貯留培養槽に貯留された処理水を取水して加圧化の酸素含有ガス雰囲気中に滴下させることにより溶存酸素処理水を得ると共に、その得られた溶存酸素処理水を前記汚泥貯留培養槽へ送り戻す培養槽用溶存酸素供給装置を備えていることを特徴とする請求の範囲第15項記載の浄化処理装置。

【国際公開番号】WO2004/096718
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【発行日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−571336(P2004−571336)
【国際出願番号】PCT/JP2003/005651
【国際出願日】平成15年5月2日(2003.5.2)
【出願人】(599064096)大栄株式会社 (5)
【出願人】(592016957)有限会社ヤマヱ (4)
【Fターム(参考)】