説明

液体定量供給装置

【課題】大容量の容器から小容量の容器に対して全量分の液体を所定量ずつ自動的に注ぎ分けて供給する小型で構造簡易かつ廉価な液体定量供給装置を提供する。
【解決手段】大容量の第1容器体15から小容量の第2容器体4に供給される液体3の上限液面位置と下限液面位置とを液面検出センサ15で検出し、駆動機構18を制御して第1容器体15を注ぎ位置と待機位置とに移動させ、全量の供給を終了すると第1容器体15を初期位置へと復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大容量の液体を充填した第1容器体から小容量の第2容器体に対して、一定量の液体を全量分に亘って自動的に注ぎ分ける液体定量供給装置に関し、例えば食物等の成分を分析する定量法等を実施する際に好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
各種の分析装置や検査装置においては、一定量の試料液等を装置内に供給して所定の分析・検査が行われる。例えば特許文献1には、患者から採取した尿を装置内に自動的に取り込んで所定の検査を行うことで、清潔かつ正確に検査を行い患者毎の管理が確実に行うことが可能な尿測定装置の自動供給機が開示されている。
【0003】
ところで、食物繊維の定量法としては、種々の方法が提案されているが、例えば食品成分表で最も利用されている酵素−重量法の中で水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とに分別定量することが可能なプロスキー変法が採用される。プロスキー変法は、試料を酵素処理することによりでんぷん質及びタンパク質を消化して低分子化した後に濾過を行って濾過物と濾過液とに分別し、さらに濾過液に4倍容量のエタノールを加えて高分子成分を不溶化させる。プロスキー変法は、さらにそれぞれの濾過物をエタノールとアセトンで順次洗浄し、乾燥して不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の重量が求められる。
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3033679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の試料液等の自動供給装置は、上述した特許文献1に開示された尿測定装置の自動供給機のように、もっぱら装置内へ試料液を自動的に順次供給するものであり、大容量の容器から小容量の容器に対して試料液を1回毎に定量でかつ全量分を注ぎ分けて供給するといった機能を有するものでは無い。また、特許文献1に開示された自動供給機は、構造が複雑で大型であるとともに高価であることから、一般に小規模なものが多くまた小型化や低コスト化或いは簡易な操作性が要求される各種の検査・分析装置等への適用が困難である。
【0006】
ところで、上述したプロスキー変法においては、予めセライトで濾過層を形成したつぼ型ガラス濾過器が用いられ、吸引ポンプ等を有する装置に設置した濾過器に対してトールビーカから試料液を供給して濾過が行われる。濾過工程においては、400mlの試料液を充填したトールビーカから容量が30mlの濾過器に対して試料液の注ぎ分けが行われる。濾過工程は、1試料液に対して14回の試料液の注ぎ分けを行わなければならず、多数種の食物について同時に分析を行う場合に分析員が各濾過器内の試料液の状態を常時監視しながら試料液の供給を行うといった対応が必要であった。
【0007】
各種の検査・分析装置においては、装置内への試料液の自動供給機能を設けることにより、検査・分析作業の効率化が図られ極めて効果的ではある。しかしながら、検査・分析装置においては、大量の試料液を対象とし、これを連続して検査・分析するといった処理を施す使用例は極めて少ない。このため従来の検査・分析装置においては、装置内への試料液の供給がもっぱら分析員等によって行われおり、多数種の試料液の検査・分析を行う場合に徹夜等の対応が必要であった。
【0008】
なお、例えば量産型の液体混合装置等においても、液体の計量機構や自動弁等の構造を備えて供給部から一定量の液体を自動的に供給する自動供給機構が付設される。しかしながら、かかる自動供給機構は、構造が複雑かつ大規模であり、多数種の液体を自動供給するといった対応が図られるものでは無い。
【0009】
したがって、本発明は、大容量の容器から小容量の容器に対して全量分の液体を所定量ずつ注ぎ分けて供給する小型で構造簡易かつ廉価な液体定量供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成する本発明にかかる液体定量供給装置は、所定容量の第2容器体に対して所定量の液体を充填した大容量の第1容器体から全量分の液体を所定量ずつ自動的に注ぎ分ける。本発明にかかる液体定量供給装置は、第1容器体を保持するホルダ部と、このホルダ部を駆動する駆動機構と、第2容器内における液体の上限液面位置を検出して第1検出信号を出力するとともに下限液面位置を検出して第2検出信号を出力する液面検出器と、ホルダ部が所定の角度を超えて回動した状態を検出して角度検出信号を出力する回動角度検出手段と、液面検出器から出力された第1検出信号と第2検出信号及び回動角度検出手段から出力された角度検出信号に基づいて駆動機構の動作を制御すると制御部とを備える。本発明にかかる液体定量供給装置は、ホルダ部に保持された第1容器体が駆動機構により、初期位置から第2容器体の上方位置へと移動する移動動作と、この上方位置において回動して第2容器体内に所定量の液体を注ぎ込む液体注ぎ込み動作と、第2容器体に対して所定量の液体を注ぎ込むと液体注ぎ込み動作を停止して復帰回動しながら待機位置へと移動する待機動作と、液体の全量分の注ぎ込みを終了して初期位置へと復帰する復帰動作とを行う。
【0011】
本発明にかかる液体定量供給装置においては、液面検出器が、第1容器体から第2容器体に対して液体が所定の上限液面位置まで注ぎ込まれた状態を検出して制御部に第1検出信号を出力する。本発明にかかる液体定量供給装置においては、この第1検出信号に基づいて制御部から駆動機構に対して制御信号が出力されて、上述した第1容器体の待機動作が行われるようにする。本発明にかかる液体定量供給装置においては、液面検出器が、第2容器体内において液体が所定の下限液面位置まで流れ出した状態を検出すると、制御部に第2検出信号を出力する。本発明にかかる液体定量供給装置においては、この第2検出信号に基づいて制御部から駆動機構に対して制御信号が出力され、第1容器体が待機位置から第2容器体の上方位置へと移動して回動して第2容器体内に所定量の液体を注ぎ込む液体注ぎ込み動作が行われる。
【0012】
本発明にかかる液体定量供給装置においては、上述した第1容器体の液体注ぎ込み動作と待機動作とが繰り返されて、第2容器体に対してその都度所定量の液体を自動的に供給する。本発明にかかる液体定量供給装置においては、第1容器体から第2容器体への液体供給が進行するにしたがって液体の残量が少なくなることで、液体注ぎ込み動作時における第1容器体の回動量が次第に大きくなる。本発明にかかる液体定量供給装置においては、回動角度検出手段が、全量の液体を第2容器体に供給する所定角度を超えるまで第1容器体が回動した状態を検出して制御部に角度検出信号を出力する。本発明にかかる液体定量供給装置においては、この角度検出信号に基づいて制御部から駆動機構に対して制御信号が出力され、上述した第1容器体の初期位置への復帰動作が行われる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる液体定量供給装置によれば、大容量の第1容器体に充填された液体を小容量の第2容器体に対して全量分を所定量ずつに分けて自動的に供給することが可能である。したがって、本発明にかかる液体定量供給装置によれば、第2容器体内における液体の残量監視や補充等の手間を不要として作業の合理化が図られるようにするとともに、液体の精密供給を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態として図面に示した食物繊維の定量法として採用される上述したプロスキー変法の濾過工程に好適に用いられる試料液定量供給装置(以下、定量供給装置と略称する)1について詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向を示す語として用いる「上下」、「左右」は、図1を基準として用いるものとする。
【0015】
定量供給装置1は、例えば500ml程度の大きな容量を有するトールビーカ(第1容器体)2を用いて400mlの試料液3を充填し、このトールビーカ2から30mlと小さな容量のるつぼ型濾過器(第2容器体)4に対して試料液3を一定量毎に分けて自動的に注ぎ込む。定量供給装置1は、トールビーカ2から全量の試料液3が濾過器4へ供給された状態を検出すると、トールビーカ2を初期位置へと復帰させて自動停止する。したがって、定量供給装置1は、何種類もの分析を同時に行う場合でも分析員が全てを常時監視して濾過器4への試料液3の供給操作を行うことを不要とさせ、負担の軽減と正確な分析を行うことを可能とする。
【0016】
定量供給装置1は、詳細を省略するテーブル上に載置されるとともに、図1に示すように筐体5の主面5Aに対向して濾過器3が設置される。濾過器3には、その内部に予めセライト等によって濾過層6が形成されており、テーブル上に載置したスタンド7上に設置されるとともに内部を負圧状態として濾過液を吸引して排水する吸入排水管8が接続される。濾過器3は、スタンド7に設けた高さ調節機構によって所定の高さ位置に調整される。なお、濾過器3については、かかる構成に限定されるものでは無く、例えば吸引瓶の上部開口部に装着されるものであってもよい。
【0017】
定量供給装置1は、図1に示すように筐体5の主面5Aにトールビーカ2を保持して後述する動作を行うビーカホルダ部9が設けられるとともに、上面5Bに電源スイッチ10と、表示ランプ11と、スタートスイッチ12と、ビーカホルダ部9の動作を一時停止させる一時停止スイッチ13及びビーカホルダ部9を初期位置へと復帰させる復帰スイッチ14が設けられる。定量供給装置1には、上面5Bに詳細を後述する濾過器4の液面位置を検出する液面検出センサ15を支持する支持アーム部材16が取り付けられている。定量供給装置1は、筐体5の背面から商用電源に接続されるコンセントコード17が引き出される。
【0018】
表示ランプ11は、電源の投入状態を点灯して表示するとともに、トールビーカ2から濾過器4に試料液3を全て供給してビーカホルダ部9が初期位置へと復帰した状態で点滅表示に切り替わることによって終了の合図を行う。なお、定量供給装置1は、終了の合図を表示ランプ11の点滅とともに、内蔵したブザーを鳴動させて行うようにしてもよい。
【0019】
スタートスイッチ12は、トールビーカ2や濾過器4を設置した状態で操作されることによりビーカホルダ部9の動作が行われるようにする。一時停止スイッチ13は、トールビーカ2から濾過器4に試料液3の供給を行っている状態で何らかの理由によりその動作を停止したい場合に操作され、ビーカホルダ部9が後述する待機位置へと移動されるようにする。復帰スイッチ14は、トールビーカ2から濾過器4に試料液3の供給を行っている状態で何らかの理由によりその動作を中止したい場合に操作され、ビーカホルダ部9が後述する初期位置へと復帰されるようにする。なお、一時停止スイッチ13と復帰スイッチ14は、いわゆる共用スイッチとし、1度押し操作でビーカホルダ部9を待機位置に移動させ2度押し操作で初期位置に移動させるようにしてもよい。
【0020】
定量供給装置1には、筐体4の内部に、詳細を後述するがビーカホルダ部9を駆動するホルダ部駆動機構18と、コントローラ20を有する制御部19が設けられており、1個の駆動モータ21を駆動源としてコントローラ20によって動作制御を行いホルダ部駆動機構18によってビーカホルダ部9を駆動する。定量供給装置1は、図2に示すようにコントローラ20から出力される制御信号に基づいて駆動モータ21を正転或いは逆転するように回転駆動させるモータドライバ22と、駆動モータ21の駆動軸の回転状態を検出するエンコーダ23と、軸サーボ機構24とを備えている。
【0021】
定量供給装置1においては、図2に示すように、電源スイッチ10、スタートスイッチ12、一時停止スイッチ13或いは復帰スイッチ14を操作すると、コントローラ20に所定の信号が入力される。定量供給装置1においては、後述するように濾過器4の液面位置を監視する液面検出センサ15から、上限液面位置を検出する第1検出信号と下限液面位置を検出する第2検出信号とがコントローラ20に出力される。定量供給装置1においては、駆動モータ21に付設されたエンコーダ23からその回転状態を検出する検出信号がコントローラ20に出力される。
【0022】
定量供給装置1においては、上述した各信号に基づいてコントローラ20から表示ランプ11やモータドライバ22に対して所定の制御信号が出力される。定量供給装置1においては、上述したように表示ランプ11が、電源スイッチ10のオン操作で点灯し、濾過の終了で点滅する。なお、定量供給装置1においては、コントローラ20や各センサに原点位置を認識させる操作が行われる。
【0023】
定量供給装置1においては、ビーカホルダ部9が後述するように初期位置から注ぎ準備位置を経て1回目のそそぎ位置の直前までの間における移動動作がエンコーダ23からの入力値に基づいてコントローラ20において把握され、ビーカホルダ部9を高速で移動させるようにコントローラ20によるモータドライバ22の制御が行われる。定量供給装置1においては、ビーカホルダ部9がそそぎ位置の直前に達すると、コントローラ20からモータドライバ22に対して制御信号が出力されて駆動モータ21を低速回転に切り換えて、軸サーボ機構24とホルダ部駆動機構18を介してビーカホルダ部9をゆっくりと回動させる。定量供給装置1においては、かかる動作制御によって試料液3がトールビーカ2から濾過器4内に静かに注ぎ込まれるようにしていわゆるドカつぎによる試料液3の溢れ出しが防止されるようにする。
【0024】
定量供給装置1においては、濾過器4内への試料液3の注ぎ込み状態が液面検出センサ15によって監視されており、試料液3が所定の上限液面位置まで流し込まれるとこの液面検出センサ15からコントローラ20に第1検出信号が出力される。定量供給装置1においては、コントローラ20からモータドライバ22に対して制御信号が出力され、駆動モータ21を所定時間逆転させた後に停止させる制御が行われるようにする。定量供給装置1においては、軸サーボ機構24とホルダ部駆動機構18を介してビーカホルダ部9がわずかに復帰する方向に回動して待機位置に保持されるようにする。定量供給装置1においては、ビーカホルダ部9をわずかに復帰回動させることによって試料液3の表面張力を下げていわゆる液切れが確実に行われるようにする。
【0025】
定量供給装置1においては、濾過器4による試料液3の濾過が進行して所定の下限液面位置となると液面検出センサ15からコントローラ20に第2検出信号が出力される。定量供給装置1においては、コントローラ20からモータドライバ22に対して制御信号が出力され、駆動モータ21がゆっくりと回転を開始する。定量供給装置1においては、軸サーボ機構24とホルダ部駆動機構18を介してビーカホルダ部9が待機位置からゆっくりと回動し、トールビーカ2から濾過器4内への注ぎ込み動作が行われるようにする。
【0026】
定量供給装置1においては、エンコーダ23からの入力値に基づいてコントローラ20においてビーカホルダ部9の全体の回転量が把握されるとともに、この回転量情報に基づいてトールビーカ2の角度情報が把握される。定量供給装置1においては、トールビーカ2が所定の最大角度θを超えて回動動作した状態でその内部から全量の試料液3が濾過器4に注ぎ込まれたことになることから、この最大角度θが予めコントローラ20に設定される。定量供給装置1においては、最大角度θを超えるとコントローラ20からモータドライバ22に対して制御信号が出力され、駆動モータ21を所定時間停止させた後に逆転させる制御が行われるようにする。定量供給装置1においては、駆動モータ21が高速で逆転動作を行うことで、ビーカホルダ部9が初期位置へと高速で復帰する。
【0027】
定量供給装置1は、図1及び図3(A)に示すように、ビーカホルダ部9が、トールビーカ2を直立した状態で載置する受け台25と、この受け台25に立設された支持プレート部材26と、この支持プレート部材26に設けられてトールビーカ2の外周部を保持する可動ホルダ部材27及び上下一対の固定ホルダ部材28A、28Bとを備える。ビーカホルダ部9は、支持プレート部材26の上端部の一方側縁から腕状に支点部29が一体に突出され、筐体5の主面5Aに形成したガイド溝30から突出するホルダ部駆動機構18の後述する駆動軸31に固定され、この駆動軸31により駆動動作される。ビーカホルダ部9には、可動ホルダ部材27を支持するヒンジ機構32が設けられている。
【0028】
可動ホルダ部材27は、支点部29に対してトールビーカ2を挟んだ外側に位置されてトールビーカ2の外周部を固定ホルダ部材28A、28Bとの間に挟み込んで保持する。可動ホルダ部材27は、例えばステンレス板等を素材として中央部位にトールビーカ2の外周部とほぼ同等の曲率で湾曲した略半円形の保持部を形成し、基端側がヒンジ機構32に組み付けられる。可動ホルダ部材27には、保持部の内面に耐薬品特性を有するシリコン等で形成した弾性シート33が接合される。ヒンジ機構32は、受け台25に立設した支軸34と、軸受け筒部35と、図示しないコイルバネ等から構成され、可動ホルダ部材27の一端部を回動自在に支持する。ヒンジ機構32は、コイルバネの弾性力によって可動ホルダ部材27をトールビーカ2を挟み込む方向へと付勢する。
【0029】
固定ホルダ部材28A、28Bも、例えばステンレス板等を素材としてトールビーカ2の外周部とほぼ同等の曲率で湾曲した略半円形状に形成される。固定ホルダ部材28A、28Bは、支持プレート部材26の支点部29と対向する側縁に沿って高さ方向に離間して、それぞれ一端部が固定される。なお、固定ホルダ部材28A、28Bにも、可動ホルダ部材27と同様にそれぞれの内面に弾性シートが接合される。
【0030】
なお、ビーカホルダ部9は、後述する注ぎ動作が行われる際に垂れこぼしを抑制するために、トールビーカ2の注ぎ口が支点部29を超えて濾過器4側に位置するように可動ホルダ部材27と固定ホルダ部材28とによりトールビーカ2を保持することが好ましい。また、ビーカホルダ部9は、トールビーカ2を保持する構造が、上述した可動ホルダ部材27や固定ホルダ部材28の形状や個数等に限定されるもので無いことは勿論であり、適宜の保持構造が採用される。
【0031】
以上のように構成されたビーカホルダ部9には、可動ホルダ部材27をコイルバネの弾性力に抗して外側へと回動させて固定ホルダ部材28A、28Bに対して開いた状態で、受け台25上に所定量の試料液3を充填したトールビーカ2が載置される。ビーカホルダ部9は、可動ホルダ部材27がコイルバネの弾性力によってトールビーカ2を固定ホルダ部材28A、28B側へと押圧することで、このトールビーカ2を受け台25上に保持する。ビーカホルダ部9は、後述するようにホルダ部駆動機構18により図3(A)において反時計方向に回動されてトールビーカ2から濾過器4への試料液3の供給が行われるようにする。ビーカホルダ部9は、同図に示すようにトールビーカ2の荷重がかかる下側を固定ホルダ部材28A、28Bによって支持することで、トールビーカ2を確実に保持するとともにヒンジ機構32の負荷を低減して構造が簡易化される。
【0032】
液面検出センサ15は、例えば超音波センサが用いられ、トールビーカ2から濾過器4内に供給された試料液3の供給量を監視し、濾過器4により試料液3の適正な濾過が行われるようにする。液面検出センサ15は、図1に示すように筐体5に取り付けた折り曲げ自在なラセン管等からなる支持アーム部材16の先端に取り付けられ、支持アーム部材16の曲げ角度等を適宜調整することによって濾過器4内に臨まされるようにする。
【0033】
液面検出センサ15は、出射面から超音波を濾過器4内の試料液3の液面に向けて出射するとともに液面から反射したした超音波を入射面から入射することで、出入射時間をカウントして試料液3の液面位置を検出し、制御部19に対して第1検出信号及び第2検出信号を出力する。
【0034】
定量供給装置1においては、ホルダ部駆動機構18によってビーカホルダ部9が、図3に示す初期位置から注ぎ準備位置を経て注ぎ位置へと移動される。ビーカホルダ部9は、この注ぎ位置においてホルダ部駆動機構18によって回動され、トールビーカ2から濾過器4に所定量の試料液3の供給が行われるようにする。ビーカホルダ部9は、トールビーカ2から濾過器4に所定量の試料液3の供給が行われると、ホルダ部駆動機構18によって注ぎ位置から待機位置へと移動される。ビーカホルダ部9は、トールビーカ2から濾過器4に試料液3が全量を供給すると、ホルダ部駆動機構18によって初期位置へと復帰される。
【0035】
注ぎ準備位置は、トールビーカ2を直立状態に保持しながらビーカホルダ部9を水平方向に移動させ、トールビーカ2を濾過器4に寄せた図4に示す位置である。注ぎ位置は、この注ぎ準備位置からビーカホルダ部9を図1において反時計方向に回動させて、トールビーカ2の注ぎ口を濾過器4の上方に位置させて試料液3を注ぎ込む図5に示す位置である。待機位置は、トールビーカ2から所定量の試料液3を濾過器4に注ぎ込んだ後に、次の注ぎ込み動作が素早く行われるようにトールビーカ2を傾けた状態でその注ぎ口から試料液3が落下しないようにビーカホルダ部9を時計方向にやや回動させた図6に示す位置である。
【0036】
なお、定量供給装置1においては、後述するように濾過の進行に伴ってトールビーカ2内の試料液3の残量が少なくなり、トールビーカ2を次第に大きく傾けて濾過器4への試料液3の注ぎ込みが行われる。したがって、定量供給装置1においては、ビーカホルダ部9の上述した注ぎ位置や待機位置が、濾過の進行に伴ってその都度変化する。
【0037】
定量供給装置1においては、駆動モータ21に正逆の回転動作が可能なサーボモータが用いられ、上述したように制御部19から出力される制御信号によって動作制御される。駆動モータ21には、詳細を省略するが駆動軸の回転状態を検出するエンコーダ23が設けられており、このエンコーダ23によって正逆の回転情報や回転量の情報を検出して制御部19へと出力が行われる。駆動モータ21には、駆動軸の回転動作に基づいてサーボ軸45の出入り動作やその速度等がコントロールされる軸サーボ機構24が設けられている。
【0038】
軸サーボ機構24は、駆動モータ21が正転動作すると、その回転速度に応じてサーボ軸45が突出して、図3(B)において左側へと移動動作を行う。軸サーボ機構24は、駆動モータ21が逆転動作すると、その回転速度に応じてサーボ軸45が所定の速度で突出位置からの後退し、同図において右側へと移動動作を行う。軸サーボ機構24は、このサーボ軸45の動作によってホルダ部駆動機構18を駆動する。
【0039】
ホルダ部駆動機構18は、上述したように1個の駆動モータ21を駆動源とし、制御部19から出力される制御信号に基づく制御が行われて上述したビーカホルダ部9の駆動動作が行われる。ホルダ部駆動機構18は、図3(B)に示すように、左右方向に対向する一対のフレーム36A、36Bと、これらフレーム36A、36B間に上下に離間して水平に支架された一対のガイド軸37A、37Bとに構成各部材が組み付けられて所定の動作を行う。
【0040】
ホルダ部駆動機構18は、ガイド軸37A、37Bに滑り軸受け38A、38Bを介してスライド自在に支持され、筐体5の主面5Aと対向して左右方向にスライド動作されるスライドプレート39を備える。ホルダ部駆動機構18は、このスライドプレート39に上述した駆動軸31と、ピニオン40と、ストッパプレート41と、第1ストッパ部材42と、引張りスプリング43とが設けられる。ホルダ部駆動機構18は、フレーム36Aに固定した第2ストッパ部材44を備える。ホルダ部駆動機構18は、軸サーボ機構24のサーボ軸45に連結された連結プレート46と、この連結プレート46に固定されたラック部材47を備える。
【0041】
ホルダ部駆動機構18は、駆動軸31が、スライドプレート39に一端を固定されるとともに、ガイド溝30から突出した先端部にホルダ部9の駆動プレート26を固定する。駆動軸31には、ピニオン40が固定されるとともに片持ち状態でストッパプレート41が固定される。スライドプレート39には、ストッパプレート41に対向して左端位置に第1ストッパ部材42が取り付けられている。スライドプレート39は、左フレーム36Bとの間に張架した引張りスプリング43の弾性力によって、図3(B)において左側へと付勢される。
【0042】
ホルダ部駆動機構18は、軸サーボ機構24がスライドプレート39の上方に位置して水平方向に配置され、そのサーボ軸45が先端部を左フレーム36Aに貫通されるとともに連結プレート46の上端部を固定している。連結プレート46は、左フレーム36Aに沿って下方へと延長され、下端部にラック部材47を固定する。ラック部材47は、連結プレート46に片持ちされて左フレーム36Aを貫通して水平方向に支持され、その底面部にほぼ全長に亘って送り歯が形成されている。ラック部材47は、駆動モータ21の回転動作によって軸サーボ機構24を介して左右に往復動作される。
【0043】
ホルダ部駆動機構18は、ラック部材47に対して軸方向の所定位置でピニオン40が噛み合わされている。ホルダ部駆動機構18は、上述したように引張りスプリング43の弾性力によってスライドプレート39を左側に付勢しているが、ピニオン40とラック部材47との噛み合いによってこのスライドプレート39が所定位置に保持されるようにする。
【0044】
ホルダ部駆動機構18は、図3(A)に示すように駆動軸31がガイド溝30の右端に位置した状態を定量供給装置1の初期位置とする。ホルダ部駆動機構18は、同図(B)に示すように、スライドプレート39が右フレーム36B側に寄った位置にあって第2ストッパ44との間にガイド溝40の長さとほぼ等しい間隔を保持される。ホルダ部駆動機構18は、ストッパプレート41が第1ストッパ部材42に突き当てられ、ピニオン40の時計方向の回転を阻止している。
【0045】
ホルダ部駆動機構18は、駆動モータ21が正方向に回転すると、軸サーボ機構24のサーボ軸24が次第に突出する動作を行って図4(B)に矢印で示すように連結プレート46を左側へと押圧する。ホルダ部駆動機構18は、連結プレート46を介してラック部材47も同図矢印で示すように左側へと移動することで、噛み合いされているピニオン40を介してスライドプレート39に左側への引張り力を作用させる。ホルダ部駆動機構18は、スライドプレート39が引張りスプリング43の弾性力によってガイド軸37A、37Bに支持されて左側へと移動する。したがって、ビーカホルダ部9は、駆動プレート26がガイド溝30内を右端から左端に向かって移動する駆動軸31と一体となって移動し、同図(A)に示す注ぎ準備位置に達する。ホルダ部駆動機構18においては、ビーカホルダ部9が注ぎ準備位置に達した状態で、図4(B)に示すように側端部が第2ストッパ部材44に突き当たることでスライドプレート39が停止される。
【0046】
ホルダ部駆動機構18においては、駆動モータ21がさらに正方向に回転して軸サーボ機構24のサーボ軸24の突出動作が継続されることにより、ラック部材47も左方向に移動する。ホルダ部駆動機構18においては、図5(B)に矢印で示すようにピニオン40がラック部材47によって反時計方向へと回動され、ピニオン40を介して駆動軸31も反時計方向への回動動作が行われる。ホルダ部駆動機構18においては、駆動軸31の回動によってビーカホルダ部9も同図(A)に矢印で示すように反時計方向に回動する。
【0047】
ホルダ部駆動機構18においては、駆動モータ21が所定の回転動作を行うと低速に切り換えられ、注ぎ口が濾過器4の上方に位置されたトールビーカ2から試料液3の注ぎ込みが開始される。ホルダ部駆動機構18においては、駆動モータ21からの低速回転出力によって、ビーカホルダ部9の傾きが次第に大きくなりトールビーカ2から濾過器4に対して試料液3がゆっくりと注ぎ込まれる。
【0048】
ホルダ部駆動機構18においては、トールビーカ2から濾過器4に対して一定量の試料液3が注ぎ込まれて液面検出センサ15からコントローラ20に第1検出信号が出力されると、このコントローラ20からモータドライバ22に制御信号が出力されて駆動モータ21の停止・逆転動作が行われる。ホルダ部駆動機構18においては、軸サーボ機構24のサーボ軸45が図6(B)に矢印で示すように右側へとやや移動する動作を行うことにより、連結プレート46を介してラック部材47も右側へと移動する。ホルダ部駆動機構18においては、同図に矢印で示すようにピニオン40がラック部材47によって時計方向へと回動されて、このピニオン40を介して駆動軸31の時計方向への回動動作が行われる。
【0049】
ホルダ部駆動機構18においては、駆動軸31の回動によってビーカホルダ部9も図6(A)に矢印で示すように時計方向へと小角度で回動して待機位置へと移動する。ホルダ部駆動機構18においては、ビーカホルダ部9の傾き角度を小さくさせることによって、トールビーカ2からの濾過器4への試料液3の供給が停止されるようにする。ホルダ部駆動機構18においては、駆動モータ21が所定量の逆転動作を行って自動停止することにより、ビーカホルダ部9を待機位置で保持する。
【0050】
ホルダ部駆動機構18においては、試料液3の濾過が進行して濾過器4内の液面が下限液面位置となって液面検出センサ15からコントローラ20に第2検出信号が出力されると、このコントローラ20からモータドライバ22に制御信号が出力されて駆動モータ21の回転が開始される。ホルダ部駆動機構18においては、図5に基づいて説明した上述した注ぎ込み動作と同等の動作によってビーカホルダ部9を待機位置から注ぎ込み位置へと回動させて、トールビーカ2から濾過器4に試料液3の注ぎ込み操作が行われるようにする。
【0051】
ホルダ部駆動機構18においては、トールビーカ2から濾過器4に一定量の試料液3の供給を行うと、図6に基づいて説明した上述した待機位置への移動動作と同等の動作によってビーカホルダ部9を注ぎ込み位置から待機位置へと回動させて、トールビーカ2から濾過器4への試料液3の注ぎ込み操作を停止させるとともに待機位置に保持する。ホルダ部駆動機構18においては、ビーカホルダ部9が所定の回動角度を超えるまで、上述した動作が繰り返されるようにする。
【0052】
ホルダ部駆動機構18においては、トールビーカ2から濾過器4への試料液3の供給が繰り返され、図7に示すようにビーカホルダ部9が所定の最大角度θ、例えば100°を超えて回動動作したことが検出されるとビーカホルダ部9の初期位置への復帰動作が開始される。ホルダ部駆動機構18においては、コントローラ20からモータドライバ22に出力される制御信号によって、駆動モータ21が所定時間のタイミングを以って逆転動作を行う。
【0053】
ホルダ部駆動機構18においては、駆動モータ21によって軸サーボ機構24のサーボ軸45が図6に基づいて説明した動作と同様に右方向へと移動して連結プレート46を介してラック部材47も右方向へと移動させる。ホルダ部駆動機構18においては、ピニオン40がラック部材47によって時計方向へと回動されて、このピニオン40を介して駆動軸31の時計方向への回動動作が行われる。ホルダ部駆動機構18においては、ピニオン40が所定角度まで回動すると、このピニオン40と一体化されたストッパプレート41が第1ストッパ部材42に突き当たる。
【0054】
ホルダ部駆動機構18においては、この状態でビーカホルダ部9を上述した注ぎ準備位置に復帰させる。ホルダ部駆動機構18においては、この状態でピニオン40の回動が停止されるが、ラック部材47の右方向への移動動作が継続されることでピニオン40を介してスライドプレート39が引張りスプリング43の弾性力に抗して右方向へと移動される。ホルダ部駆動機構18においては、駆動軸31がガイド溝30の右端に達しビーカホルダ部9が初期位置に復帰した状態で駆動モータ21が自動停止される。
【0055】
以上のように構成された定量供給装置1において、図8を参照してトールビーカ2から濾過器4に対して試料液3を一定量ずつ自動的に供給させるようにするビーカホルダ部9の動作フローについて説明する。定量供給装置1は、試料液作成工程で作成した所定量の試料液3をトールビーカ2内に充填するとともにこのトールビーカ2を受け台25上に載置して可動ホルダ部材27と固定ホルダ部材28とによって保持する処理や、所定の位置に設置したスタンド7上に濾過器4を載置するとともにこの濾過器4に吸入排水管8を接続する等の段取りが行われる(S−1)。
【0056】
定量供給装置1は、コンセントコード17が商用電源と接続され、電源スイッチ10をオン操作した状態でスタートスイッチ12のオン操作が行われる(S−2)。定量供給装置1は、ビーカホルダ部9が、ホルダ部駆動機構18によって初期位置から注ぎ準備位置を経て注ぎ位置へと移動させる動作が行われる(S−3)。定量供給装置1は、制御部19においてエンコーダ23からコントローラ20に出力される駆動モータ21の回転情報によりビーカホルダ部9の回動角度が監視される(S−4)。
【0057】
定量供給装置1は、ビーカホルダ部9の回動角度が所定の角度に達すると、コントローラ20からの制御信号によって駆動モータ21の駆動速度を低速に切り換える制御が行われる(S−5)。定量供給装置1は、低速で駆動される駆動モータ21によってホルダ部駆動機構18がビーカホルダ部9をゆっくりと回動させてトールビーカ2から濾過器4内に試料液3を静かに注ぎ込ませるようにする(S−6)。
【0058】
定量供給装置1は、濾過器4に一定量の試料液3が注ぎ込まれると、液面位置を監視していた液面検出センサ15から制御部19に第1検出信号が出力される(S−7)。定量供給装置1は、第1検出信号に基づいてコントローラ20からの制御信号によってホルダ部駆動機構18が駆動されてトールビーカ2からの濾過器4への試料液3の供給動作の停止とともにビーカホルダ部9を待機位置へと復帰させる動作が行われる(S−8)。
【0059】
定量供給装置1は、濾過器4による濾過の進行が液面検出センサ15による液面位置の監視によって検出され、下限液面位置に達すると液面検出センサ15から制御部19に第2検出信号が出力される(S−9)。定量供給装置1は、第2検出信号に基づいてコントローラ20からの制御信号によってホルダ部駆動機構18が駆動されてトールビーカ2から濾過器4への試料液3の再供給が行われる(S−10)。
【0060】
定量供給装置1は、トールビーカ2内の試料液3の残量が少なくなり、トールビーカ2を大きく傾けて底のほうに残った試料液3を濾過器4に流し込む状態をビーカホルダ部9の回動角度によって検出する(S−11)。定量供給装置1は、ビーカホルダ部9が100°を超えて回動すると、コントローラ20からの制御信号によってホルダ部駆動機構18が駆動されてビーカホルダ部9を初期位置へと復帰させてトールビーカ2から濾過器4への試料液3の供給操作を終了する(S−12。
【0061】
上述した定量供給装置1においては、折り曲げ自在な支持アーム部材16に液面検出センサ15を取り付けるようにしたが、例えば第2の実施の形態として図9に示した定量供給装置50のように、筐体5の主面5Aに固定したホルダ部51に液面検出センサ15を組み付けるようにしてもよい。定量供給装置50は、ビーカホルダ部9が液面検出センサ15との干渉を考慮せずに自由に回動動作されるようになる。
【0062】
一方、定量供給装置50においては、液面検出センサ15が濾過器4の上方に配置されることで、例えば揮発性の溶媒を用いた試料液3の濾過を行う場合に揮発物が液面検出センサ15の表面に付着して検出精度を低下させることがある。定量供給装置50においては、図9に示すように、筐体5内に吸い込みファン52を設けるとともに主面5Aの液面検出センサ15と濾過器4との間に開口する吸い込み口53を設けて揮発物を吸い込むことで、液面検出センサ15の表面への付着を抑制する。
【0063】
なお、定量供給装置50は、濾過器4からの揮発物が液面検出センサ15に直接影響を及ぼさないよう空気流を変えるようにすればよい。したがって、定量供給装置50は、上述した吸い込みファン52と吸い込み口53とに代えて、筐体5に吹き出しファンと吹き出し口とを設けて空気流制御構造を構成するようにしてもよい。
【0064】
また、定量供給装置1、50においては、上述したようにホルダ部駆動機構18が1個の駆動モータ21と軸サーボ機構24とを備えてビーカホルダ部9の上述した動作を行うようにしたが、かかるホルダ部駆動機構18に限定されないことは勿論である。定量供給装置1、50においては、ホルダ部駆動機構を、例えばビーカホルダ部9を回転動作させる駆動モータと、ビーカホルダ部9を往復移動させるプランジャとによって駆動源を構成するようにしてもよい。また、定量供給装置1、50においては、詳細を省略するが駆動モータの駆動軸或いは軸サーボ機構24のサーボ軸45によって直接ビーカホルダ部9やスライドプレート39を駆動するホルダ部駆動機構を構成してもよい。さらに、定量供給装置1、50においては、駆動モータ21とその出力軸に掛け合わせたタイミングベルトによってビーカホルダ部9やスライドプレート39を駆動するホルダ部駆動機構を構成してもよい。
【0065】
定量供給装置1、50においては、種々の段取り等の作業が効率よく行われるようにするとともにビーカホルダ部9がスタンド7等に当たることなく回動動作が行われるようにするために、初期位置においてビーカホルダ部9と濾過器4との間に適当な間隔が保持されるように構成される。したがって、定量供給装置1、50においては、ビーカホルダ部9が初期位置から注ぎ準備位置まで水平方向に移動された後に回動動作を開始するように構成したが、初期位置と注ぎ準備位置とを同一位置とするようにしてもよいことは勿論である。
【0066】
定量供給装置1、50においては、濾過器4内における試料液3の上限液面位置と下限液面位置とを検出する液面検出センサ15として超音波センサを用いたが、かかる超音波センサに限定されないことは勿論である。定量供給装置1、50においては、液面検出センサ15として、例えば濾過器4内に装填されて試料液3の液面に浮かばされるフロートセンサや、濾過器4の外周部に配置される光学センサ等を用いてもよい。
【0067】
上述した実施の形態は、食物繊維の定量法として採用される上述したプロスキー変法の濾過工程に好適に用いられる定量供給装置1について説明したが、本発明はかかる適用例に限定されないことは勿論である。本発明は、例えば試料液に対して一定量の試液を所定の間隔を以って供給することによって試料液の変化を経時的に分析するといった場合にも好適に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施の形態として示す定量供給装置の斜視図である。
【図2】定量供給装置の構成ブロック図である。
【図3】同図(A)はビーカホルダ部が初期位置にある全体の正面図、同図(B)は同ホルダ部駆動機構の一部切り欠き正面図である。
【図4】同図(A)はビーカホルダ部が注ぎ準備位置にある全体の正面図、同図(B)は同ホルダ部駆動機構の一部切り欠き正面図である。
【図5】同図(A)はビーカホルダ部が注ぎ位置にある全体の正面図、同図(B)は同ホルダ部駆動機構の一部切り欠き正面図である。
【図6】同図(A)はビーカホルダ部が待機位置にある全体の正面図、同図(B)は同ホルダ部駆動機構の一部切り欠き正面図である。
【図7】ビーカホルダ部が最大角度を超えて回動動作した状態の正面図である。
【図8】ビーカホルダ部の動作フローチャートである。
【図9】第2の実施の形態として示す定量供給装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
1 定量供給装置、2 トールビーカ、3 試料液、4 濾過器、5 筐体、6 濾過層、9 ビーカホルダ部、15 液面検出センサ、18 ホルダ部駆動機構、19 制御部、20 コントローラ、21 駆動モータ、22 モータドライバ、23 エンコーダ、24 軸サーボ機構、30 ガイド溝、31 駆動軸、39 スライドプレート、40 ピニオン、41 ストッパプレート、42 第1ストッパ部材、44 第2ストッパ部材、45 サーボ軸、46 連結プレート、47 ラック部材、50 定量供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定容量の第2容器体に対して、液体を充填した第1容器体から全量分の上記液体を所定量ずつ注ぎ分ける液体定量供給装置であり、
上記第1容器体を保持するホルダ部と、
上記第1容器体が、初期位置からその注ぎ口を上記第2容器体の上方に位置するように移動する移動動作と、この上方位置において回動して上記第2容器体内に所定量の上記液体を注ぎ込む液体注ぎ込み動作と、所定量の上記液体を上記第2容器体に対して注ぎ込むと液体注ぎ込み動作を停止して復帰回動しながら待機位置へと移動する待機動作と、上記液体の全量分の注ぎ込みを終了して初期位置へと復帰する復帰動作とを行うように上記ホルダ部を駆動する駆動機構と、
上記第2容器内における上記液体の上限液面位置を検出して第1検出信号を出力するとともに下限液面位置を検出して第2検出信号を出力する液面検出器と、
上記液体注ぎ込み動作において、上記第1容器の所定角度を超えた回動動作を検出して角度検出信号を出力する回動角度検出手段と、
上記液面検出器から出力された上記第1検出信号と上記第2検出信号及び上記回動角度検出手段から出力された上記角度検出信号に基づいて、上記駆動機構の動作を制御する制御部とを備え、
上記第1容器体が、上記駆動機構によって駆動される上記ホルダ部を介して上記第2容器体に対して、上記第2検出信号に基づく上記液体注ぎ込み動作と上記第1検出信号に基づく上記待機動作とを繰り返してその都度所定量の上記液体の供給を行うとともに、上記角度検出信号に基づいて上記復帰動作を行うことを特徴とする液体定量供給装置。
【請求項2】
上記第1容器体が上記液体として所定量の試料液を充填したビーカであるとともに、上記第2容器体が上記ビーカから上記試料液を一定量ずつ注ぎ込まれて全量を濾過する濾過器であることを特徴とする請求項1に記載の液体定量供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−64688(P2007−64688A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248307(P2005−248307)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(599165234)東洋精機株式会社 (6)
【Fターム(参考)】