説明

液体容器

【課題】液体容器の製造工程から販売迄に電源とメイン制御基板との通電を遮断し、使用者が最初に使用する前に、電源とメイン制御基板とを通電することにより、電源消費を極端に抑えて、長期的に液量、液温を検知する。
【解決手段】検知ユニットの制御機構24には、電源8と、液量、液温検知機構のメイン制御基板7と、液量、液温を表示する表示板9と、電源とメイン制御基板との間にあり、メイン制御基板と通電する端子板41と、この電源と端子板との間にあって、電源と端子板との通電を阻止する抜取可能な遮蔽シール43とを順次配設し、ユニット外装体には、制御体部の電源側に近い側壁に遮蔽シールの先端を外部に突出するシール抜取孔を設け、この液体容器の初期使用時前に遮蔽シールを抜取り、端子板を介して電源とメイン制御基板とを通電状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容器内の液量と液温とを検知する検知ユニットを備えた液体容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、外側から液面を直接目視できない内容器内の液量を知るには、例えば上端開口、下端細口とした真空二重瓶構造の内容器を設け、この内容器の前面に揚水パイプを立設し、この揚水パイプ下端と内容器の下端細口とを連通し、この揚水パイプを液体容器正面より目視可能に設け、この揚水パイプの液面を通して内容器内の液量を確認できるようにした構造の液体容器が存在する。
【0003】
しかしながら、このような従来の液体容器においては、内容器と連通して内容器前部に立設した揚水パイプの存在にて内容器内の液面が確認できるにすぎないために、内容器特に真空二重瓶等の上端開口しかなく、内容器と連通する揚水パイプの存在がない構造の液体容器としては、内容器内の液面即ち液量を全く知ることができないという問題点があった。
【0004】
しかも、液面即ち液量と同様に内容器内特に真空二重瓶内の液温が所望の温度に保持されているかを知ることも全くできないという問題点があった。
【0005】
そこで、本出願人は、内容器内に液量検知手段と液温検知手段とを備えた検知ユニットを装着し、液体容器の肩部材に空間部を設け、この空間部内に電源とメイン制御基板、液量、液温を表示する表示板を配置するようにした液体容器を発明し、既に特願2007−62724号として出願している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このような液体容器では、製造工程の最終時に、肩部材の空間部に配置した電源側の電極端子とメイン制御基板側の電極端子とが接続され、電源側よりメイン制御基板側へと電流が流れて、メイン制御基板及びそれに連なる表示板を作動させ電源ONの状態としており、使用者がお店よりこの液体容器を購入して使用する際には、既に液体容器内の電源が相当量消費された状態となって、電源不足により液量、液温を長期的に検知することができないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、液体を収容する内容器2と、この内容器の上端外側に把手3とその反対側に注ぎ口14とを備えた肩部材4と、肩部材の上端に内容器の上端開口を開閉する蓋体5と、内容器内の液量、液温を検知する液量、液温検知機構23と、この液量、液温検知機構を操作する制御機構24と、この両機構を収納するユニット外装体25とを備えた検知ユニット6とを設け、内容器2内の液量と液温を示す液体容器1に於いて、上記検知ユニットの制御機構24には、電源8と、液量、液温検知機構を操作するメイン制御基板7と、液量、液温を表示する表示板9と、電源とメイン制御基板との間にあり、メイン制御基板と通電する端子板41と、この電源と端子板との間にあって、電源と端子板との通電を阻止する抜取可能な遮蔽シール43とを順次配設し、ユニット外装体25には、液量、液温検知機構23を収納する垂下筒体部26と、制御機構24を収納する制御体部33と、この垂下筒体部と制御体部とを繋ぐ連結空洞部34とを一体的に設け、制御体部33の電源側に近い側壁に遮蔽シール43の先端を外部に突出するシール抜取孔42を設け、この液体容器の初期使用時前に遮蔽シール43を抜取り、端子板41を介して電源8とメイン制御基板7とを通電状態とする構成としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、従来の問題点を解決したものであって、液体容器の製造工程から販売迄に電源とメイン制御基板との通電を遮断し、使用者が最初に使用する前に、電源とメイン制御基板とを通電することにより、メイン制御基板を操作可能として電源消費を極端に抑えて、長期的に液量、液温を検知することができる液体容器を提供するにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
液体容器1は、図1及び図3に示すように、卓上型のポットを示すものであって、液体容器本体を兼ねる内容器2の上端に把手3を一体的に備えた肩部材4を装着し、肩部材4の上端中央で内容器2の上端開口を開閉する蓋体5を着脱自在に装着し、内容器内の液量を検知する液量検知手段21と、液温を検知する液温検知手段22とを備えた液量、液温検知機構23を装着し、この液量、液温検知機構を操作するメイン制御基板7と、メイン制御基板により液量及び液温を表示する表示板9と、メイン制御基板の駆動源である電源8とからなる制御機構24を装着し、この液量、液温検知機構23と制御機構24とこの両機構を収納するユニット外装体25とを備えた検知ユニット6とから構成している。
【0010】
液体容器本体を兼ねる内容器2は、ステンレス等の金属製材料により内壁10,外壁11間を真空引きした真空二重瓶であって、底部を同質材料の底壁20にて覆っている。
この内容器2は、上端開口以外の外側より内容器内の液面を目視することができない構造のものである。
【0011】
内容器2は、図3に示すように、上端開口を形成する周壁を上方に延ばした内壁10と、内壁10の周りを囲み上端に段部を形成して、その先端を内壁の上端開口を形成する周壁の上部に重ね合わせて溶着した外壁11とを設け、外壁11の段部外側に肩部材用のネジを刻設している。
【0012】
肩部材4は、図3に示すように、内側に内容器2の肩部材用のネジに螺着する螺子部を備えた二重壁の肩部12と、肩部12の上端より下方中央に向けて延びた中空の受部13と、受部13の前方で二重壁を切り欠いて外方に延び受部中央と連通した注ぎ口14と、受部13の後方で二重壁の肩部12の後方に大きく外方に延びた把手3とを一体的に設けている。
【0013】
肩部材4の受部13は、図2に示すように、中央中空を形成する周壁に後述の蓋体5を螺着する雌ネジを刻設している。この肩部材4の受部13と二重壁の肩部12との把手3に近い個所に後述の検知ユニット6を載置する切欠部15を設けている。把手3の下端は、底壁20に固定されている。
【0014】
内容器2内の液量と液温を検知する検知ユニット6は、図2乃至図3に示すように、液量、液温を検知する液量、液温検知機構23と、液量、液温検知機構を操作して表示する制御機構24と、ユニット外装体25とからなっている。この液量、液温検知機構23は、内容器内の液量を検知する液量検知手段21と、内容器内の液温を検知する液温検知手段22とを備えている。
【0015】
液量検知手段21は、後述のユニット外装体25の垂下筒体部26の外壁に+、−の一方の電極となる上下所定の間隔を隔てて配設した複数の電極子27,27と+、−の他方の電極となる電極子28を垂下筒体部26の下壁に設けて、内容器2内の液体に浸かった下壁の電極子28と上下に配設した液体に浸かった最上部の電極子27間に電流が通じることで静電容量を検知し、制御機構24のメイン制御基板7を通じて計測、制御機構の表示板9にて表示される。各電極子27,27、28の配線は、垂下筒体部26内を通り制御機構のメイン制御基板7へと通じている。
【0016】
液温検知手段22は、サーミスタ等の温度感知器31で検知し、後述のユニット外装体25の垂下筒体部26の下壁に配置し、その配線は、垂下筒体部26内を通り制御機構のメイン制御基板7へと通じ、表示板9にて表示する。
【0017】
制御機構24は、液量、液温検知機構23にて検知した液量、液温全てのデータを処理するマイクロコンピュータを備えたメイン制御基板7と、処理されたデータを表示する表示板9と、これらを駆動する駆動源である電池や蓄電池等の電源8とからなっており、後述のユニット外装体25の制御体部33内に配置している。
【0018】
ユニット外装体25は、内容器2内に垂下する垂下筒体部26と、把手3の近くで肩部12より突出した制御体部33と、この垂下筒体部と制御体部とを連結し、受部13の切欠部15に載置する連結空洞部34とを一体的に設けている。
垂下筒体部26は、上述のように、外壁に複数の電極子27,27と、下壁に電極子28と温度感知器31とを備え、各配線が垂下筒体部内を通っている。
【0019】
制御体部33内には、図4乃至図5に示すように、制御機構24の電源8を電源カバー35と共に奥に配置し、その上にメイン制御基板7と表示板9とを制御基板カバー36と共に配置し、制御基板カバーを覆う固定板37をビス38止めし、固定板の中央空洞部内に透明板39を配置し、透明板を覆うように透明シール40を貼付しており、電源8の奥の端子側とメイン制御基板7の端子側とを連通する細い金属板からなる端子板41を配置している。
42は、シール抜取孔である。
【0020】
この電源8の奥の端子側とメイン制御基板7と連通した端子板41との間には、液体容器1の製造、組立時には、抜取可能な遮蔽シール43を配置して、電源8とメイン制御基板7との通電を阻止している。
【0021】
この遮蔽シール43は、液体容器1の製造、組立時にその先端が制御体部33のシール抜取孔42より抜きででおり、遮蔽シールを引き出すと電源8の端子側と端子板41とが接続し、メイン制御基板7を通電することとなる。
【0022】
この電源とメイン制御基板とを通電可能とする他の方法としては、小さな棒状体にて電源側に設けたスイッチを一旦押すと半永久的に両者通電する構造や又、磁石を近づけて電源側に設けたスイッチをオンする構造のものも考えられる。
【0023】
ユニット外装体25の連結空洞部34は、図2に示すように、受部13の切欠部15に着脱自在に装着し、後述の蓋体5のシールパッキン44と当接する受部13の平坦面45と面一となるように配置している。
【0024】
蓋体5は、受部13の蓋体用の雌ネジに螺着する雄ネジを備えた下蓋46と、下蓋の上端を閉鎖する上蓋47と、弁体48を上蓋外側より上下動するレバー49とを備え、レバーの操作により弁体48周りを開放して内容器2内の液体を液通路を介して注ぎ口14より外部へ注出する構造としている。
【0025】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれら実施例構造のみに限定されるものではなく、例えば内容器を外装ケースで囲んだ卓上型魔法瓶のように本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、本発明にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明実施例の斜視図。
【図2】本発明実施例の分解斜視図。
【図3】本発明実施例のA−A縦断面図。
【図4】本発明他実施例の検知ユニットの縦断面図。
【図5】本発明他実施例の検知ユニットの分解断面図。
【符号の説明】
【0027】
1…液体容器
2…内容器
3…把手
4…肩部材
5…蓋体
6…検知ユニット
7…メイン制御基板
8…電源
9…表示板
12…肩部
13…受部
14…注ぎ口
15…切欠部
21…液量検知手段
22…液温検知手段
23…液量、液温検知機構
24…制御機構
25…ユニット外装体
26…垂下筒体部
27,27…電極子
28…電極子
31…温度感知器
33…制御体部
34…連結空洞部
41…端子板
42…シール抜取孔
43…遮蔽シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する内容器(2)と、この内容器の上端外側に把手(3)とその反対側に注ぎ口(14)とを備えた肩部材(4)と、肩部材の上端に内容器の上端開口を開閉する蓋体(5)と、内容器内の液量、液温を検知する液量、液温検知機構(23)と、この液量、液温検知機構を操作する制御機構(24)と、この両機構を収納するユニット外装体(25)とを備えた検知ユニット(6)とを設け、内容器(2)内の液量と液温を示す液体容器(1)に於いて、上記検知ユニットの制御機構(24)には、電源(8)と、液量、液温検知機構を操作するメイン制御基板(7)と、液量、液温を表示する表示板(9)と、電源とメイン制御基板との間にあり、メイン制御基板と通電する端子板(41)と、この電源と端子板との間にあって、電源と端子板との通電を阻止する抜取可能な遮蔽シール(43)とを順次配設し、ユニット外装体(25)には、液量、液温検知機構(23)を収納する垂下筒体部(26)と、制御機構(24)を収納する制御体部(33)と、この垂下筒体部と制御体部とを繋ぐ連結空洞部(34)とを一体的に設け、制御体部(33)の電源側に近い側壁に遮蔽シール(43)の先端を外部に突出するシール抜取孔(42)を設け、この液体容器の初期使用時前に遮蔽シール(43)を抜取り、端子板(41)を介して電源(8)とメイン制御基板(7)とを通電状態とすることを特徴とした液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−307138(P2008−307138A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155812(P2007−155812)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000104032)オルゴ株式会社 (22)
【Fターム(参考)】