説明

液体洗浄剤物品

【課題】正方形や長方形に近い形状を有するプラスチックボトルに収納された洗浄剤物品においてボトル凹みと洗浄剤の皮膜形成の抑制された洗浄剤物品の提供。
【解決手段】
25℃での原液pHが5〜8、(A)成分:ノニオン界面活性剤を40〜70質量%含有し、R−CO(OR)mORで表される非イオン性界面活性剤(A−1)をノニオン界面活性剤(A)成分中の60質量%以上、(B)酸化防止剤、(C)成分:水含有する液体洗浄剤組成物を底部の外周から起立した4つの側壁によって構成される胴部有し、1つの角部を挟んで隣接する2つの側壁の輪郭線がそれぞれ外側に向かって円弧状を為し、一方の側壁が他方の側壁よりも曲率の大きい面(1<R/R≦3)で構成されているプラスチックボトルに収納してなる洗浄剤物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックボトルに収納された液体洗浄剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源、環境負荷の低減(ごみの量の削減)を目的として、洗浄剤容器の小型化が進んできている。その一環として容器形状においては正方形や長方形に近い断面を有する容器は隙間なく積み上げ可能のため、容倉庫や荷台の省スペース化で保管・輸送コスト削減などがなされて来ている。また、洗浄剤組成物においても濃縮化(界面活性剤の高濃度化)が求められ、衣料用の液体洗浄剤組成物としては、ノニオン界面活性剤を主基材とした洗浄剤組成物や、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を併用した洗浄剤組成物等が広く用いられている。
洗剤容器には一般にプラスチックボトルが用いられ、上述した液体製品をボトル本体に加温充填し、キャップを閉じた後に、常温又は低温下で保管をしたり、中身の洗剤が酸素吸収したりすると、密閉されたボトル本体内の圧力が低下することによって、ボトル本体に凹みが生じることがある(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
このような凹みは、ボトル本体の胴部に生じやすいものの、胴部のどの部位に発生するかを特定することは困難である。また、胴部にはラベル等が貼り付けられることから、胴
部のラベルの貼着位置に凹みが生じると、商品の見栄えを悪くするだけでなく、消費者の
購入意欲を低下させる原因ともなる。
【0004】
特に、胴部の水平断面が正方形や長方形に近い形状を有するプラスチックボトルの場合、最も小型に見え、収納に場所をとらない形であるが、ラベル等が貼り付けられる面は、胴部の側面のうちで最も広い面であることが多く、この最も広い面は、ボトル本体内が加圧状態又は減圧状態となったときに、最も変形し易い面となるため、外観の見映えを著しく損なう懸念がある。従来のプラスチックボトルでは、例えば硬質樹脂材料を用いてボトル本体の変形を抑えたり、ボトル本体を厚肉に形成したり、樹脂材料に高剛性なものを使用したりして、ボトル本体の剛性を高める対策を取った場合には、生産コストの増加を招く等の課題があった。
【0005】
さらに、上述した濃縮タイプの洗浄剤組成物を収納した場合、洗浄剤の使用により内容物が少なくなった場合、キャップを解放のまま放置すると容器の角の部分に皮膜を形成し易いという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−94491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、胴部の水平断面が正方形や長方形に近い形状を有する特定のプラスチックボトルに特定の濃縮タイプの液体洗浄剤組成物を収納することにより、ボトルの減圧などによる変形に対し、組成物のガス吸収抑制とボトルの変形部位を特定することにより、ラベルの貼着位置等に影響を与えることなく、ボトル外観の見栄えの低下を最小限に抑え、さらに、液体洗浄剤組成物の残量が少なくなっても皮膜の形成を抑制することの出来る液体洗浄剤物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
本発明は(A)〜(C)に示す成分を含有し、25℃での原液pHが5〜8である液体洗浄剤組成物をプラスチックボトルに収納してなる液体洗浄剤物品であって、
(A)成分:ノニオン界面活性剤を40〜70質量%含有し、R−CO(OR)mOR[式中、R−CO(OR)mORは炭素数9〜13のアルキル基又は炭素数9〜13のアルケニル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、mは平均付加モル数を表し5〜20である。]で表される非イオン性界面活性剤(A−1)をノニオン界面活性剤(A)成分中の60質量%以上含有する。
(B)酸化防止剤
(C)成分:水
上記のプラスチックボトルが、ブロー成形によりボトル本体が成形されてなるプラスチックボトルであって、ボトル本体は、底部と、前記底部の外周から起立した4つの側壁によって構成される胴部と、前記胴部の上端から上方に向かって漸次縮径された肩部と、前記肩部の上端から筒状に起立した口頸部とを有し、前記胴部の水平断面において、少なくとも1つの角部を挟んで隣接する2つの側壁の輪郭線がそれぞれ外側に向かって円弧状を為すと共に、一方の側壁が他方の側壁よりも曲率の大きい面で構成されており、前記、一方の側壁の曲率を1/R、前記他方の側壁の曲率を1/Rとしたときに、1<R/R≦3であり、ボトルの底部が略正方形を為していることを特徴とする液体洗浄剤物品である。
【0009】
(B)成分は、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ビタミンE(トコフェロール)、エルソルビン酸ナトリウム、メトキシフェノール、二酸化硫黄、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)、緑茶抽出物(カテキン)から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
【0010】
本明細書において「濃縮タイプ」の液体洗浄剤組成物とは、液体洗浄剤組成物中の合計の界面活性剤濃度が高いものを意味し、該界面活性剤濃度が、液体洗浄剤組成物中、40質量%以上であり、好ましくは50質量%以上のものを包含する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプラスチック容器に収納された液体洗浄剤物品では、ボトル本体を厚肉に形成したり、剛性の高い高価な樹脂材料を用いたりすることなく、ボトル本体の減圧等により1つの角部を挟んで隣接する2つの側壁のうち、曲率の大きい面で構成された一方の側壁に対して曲率の小さい面で構成された他方の側壁を選択的に変形(変形部位を特定)させることができ、ラベルの貼着位置等に影響を与えることなく、見栄えの低下を最小限に抑えるとともに、界面活性剤濃縮の高い洗浄剤組成物(収納液)が残り少なくなった場合でも、本発明の洗浄剤組成物により皮膜の形成を抑制できる液体洗浄剤物品を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の洗浄剤物品はプラスチック容器に収納してなる液体洗浄剤組成物であって、 液体洗浄剤組成物は、以下に示す(A)〜(C)成分を含有し、25℃での組成物原液のpHは5〜8である組成物である。
【0013】
<(A)成分>
本発明において、(A)成分は、ノニオン界面活性剤であり、液体洗浄剤組成物に洗浄力を付与するために用いられる。(A)成分の含有量は40質量%〜70質量%含有することが好ましい。特に、(A)成分の含有量が45〜65質量%の範囲内であれば、(A)成分が高濃度で含有されることになるので、本発明の液体洗浄剤組成物を濃縮タイプの洗浄剤として好適に用いることができる。
また、(A)成分は、R−CO(OR)mORの式で表されるノニオン界面活性剤(A−1)を、ノニオン界面活性剤(A)成分全量に対し、60質量%以上含有する。
式中、Rは炭素数9〜13のアルキル基又は炭素数9〜13のアルケニル基である。炭素数が上記範囲内であることにより、洗浄性能やボトルの底部の四隅に残った洗浄剤組成物の皮膜形成を抑制効果が向上する。該アルキル基およびアルケニル基の炭素数は、それぞれ、10〜13であることが好ましく、11〜13であることがより好ましい。該アルキル基およびアルケニル基は、それぞれ、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
は炭素数2〜4のアルキレン基であり、エチレン基またはプロピレン基が好ましい。
は炭素数1〜3のアルキル基であり、メチル基が好ましい。
mはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表す。mは5〜20であり、12〜18が好ましい。mが該範囲内であることで、洗浄性能やボトルの底部の四隅に残った洗浄剤組成物の皮膜形成を抑制する効果が向上する
また、(A−1)成分において、アルキレンオキサイドの付加モル数が異なるアルキレンオキサイド付加体の分布の割合を示すナロー率は、20質量%以上であることが好ましく、上限値としては実質的には80質量%以下であることが好ましい。当該ナロー率は、20〜60質量%であることがより好ましく、低温での経時安定性が向上するため、30〜45質量%がさらに好ましい。
当該ナロー率は高いほど、良好な洗浄力が得られる。また、当該ナロー率が20質量%以上、特に30質量%以上であると、界面活性剤の原料臭気の少ない液体洗浄剤組成物が得られやすくなる。これは、(A)成分の製造後、(A)成分と共存する(A)成分の原料である脂肪酸エステルと前記一般式(I)中のn=1および2のアルキレンオキサイド付加体が少なくなるためと考えられる。
【0014】
ここで、本明細書において「ナロー率」とは、アルキレンオキサイドの付加モル数が異なるアルキレンオキサイド付加体の分布の割合を示す下記の数式(S)で表されるものを意味する。
【0015】
【数1】

【0016】
式(S)中、nmaxは全体のアルキレンオキサイド付加体中に最も多く存在するアルキレンオキサイド付加体のアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。iはアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。Yiは全体のアルキレンオキサイド付加体中に存在するアルキレンオキサイドの付加モル数がiであるアルキレンオキサイド付加体の割合(質量%)を示す。
【0017】
前記ナロー率は、たとえば該(A−1)成分の製造方法等によって制御することができる。
(A−1)成分の製造方法としては、特に制限されるものではないが、たとえば表面改質された複合金属酸化物触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステルにエチレンオキサイドを付加重合させる方法(特開2000−144179号公報参照)により容易に製造することができる。
かかる表面改質された複合金属酸化物触媒の好適なものとしては、具体的には、金属水酸化物等により表面改質された、金属イオン(Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等)が添加された酸化マグネシウム等の複合金属酸化物触媒や、金属水酸化物及び/または金属アルコキシド等により表面改質されたハイドロタルサイトの焼成物触媒等である。
また、前記複合金属酸化物触媒の表面改質においては、複合金属酸化物と、金属水酸化物及び/または金属アルコキシドとの混合割合を、複合金属酸化物100質量部に対して、金属水酸化物及び/または金属アルコキシドの割合を0.5〜10質量部とすることが好ましく、1〜5質量部とすることがより好ましい。
【0018】
(A−1)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(A−1)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物中、24〜70質量%であり、40〜65質量%であることが好ましい。
(A)成分中の(A−1)成分の含有量が60質量%以上、好ましくは80質量%以上であると、良好な液性が得られる。それにより、高濃度の界面活性剤を含有する濃縮タイプの液体洗浄剤組成物が得られ、ボトルの底部の四隅に残った洗浄剤組成物の皮膜形成を抑制する効果が向上する。
(A)成分の含有量は70質量%以下、好ましくは65質量%以下であると、経時に伴う液表面での液体洗浄剤組成物のゲル化等が起きにくくなって、液表面において皮膜が形成されにくくなる。
(A−1)成分以外の(A)成分は、第1級アルコールにエチレンオキサイド(EO)を付加したポリオキシエチレンアルキルエーテル、第1級アルコールにエチレンオキサイド(EO)プロピレンオキサイド(PO)を付加したポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
【0019】
<(B)成分>
(B)成分は、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ビタミンE(トコフェロール)、エルソルビン酸ナトリウム、メトキシフェノール、二酸化硫黄、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)、緑茶抽出物(カテキン)、ローズマリー抽出物などより選ばれる酸化防止剤の1種以上を使用することが出来る。(B)成分を(A)成分を主原料とする液体洗浄剤と併用することにより、洗浄剤由来の酸素吸収が抑制され、それに伴い、この液体洗浄剤洗浄剤を収納したプラスチック容器の凹みを抑制することが出来る。
酸化防止剤としては、BHT、メトキシフェノール、ビタミンEが洗浄剤の酸素抑制効果が高く好ましく、BHTが特に好ましい
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本組成物(100質量%)中の(B)成分の含有量は、0.03質量%以上2質量%以下であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましい。(C)成分の含有量が0.03質量%以上であれば、液体洗浄剤組成物の酸素吸収が抑制される。また、(C)成分の含有量が0.05質量%以上であればさらに効果は高くなる。2質量%以上配合しても効果はそれ以上向上しない。
【0020】
また、本発明にかかる液体洗浄剤組成物において、pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;多価カルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン、アンモニア等が挙げられ、液体洗浄剤組成物の経時安定性の面から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましい。
pH調整剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。
pH調整剤は、液体洗浄剤組成物の25℃でのpHを、好ましくはpH5〜8に調整する量が適宜添加される。
【0021】
本発明の液体洗浄剤組成物のpHは、25℃にて5〜8であることが好ましく、6〜8であることがより好ましい。pHが6〜8であることにより、特に、プラスチック容器に収納された液体洗浄剤組成物を長期間保存しても、(B)成分と併用することにより容器の凹みを抑制することが出来る。
前記pHの調整は、たとえば一定量の硫酸、水酸化ナトリウム等を添加することにより制御することができる。また、pHの微調整用として無機酸(好ましくは塩酸、硫酸)または水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等をさらに添加することもできる。
本発明において、液体洗浄剤組成物(25℃に調温)のpHは、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー(株)製)等により測定される値を示す。
【0022】
<任意成分>
本組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記(A)成分、(B)成分に加えて、必要に応じて任意成分として衣料用の液体洗浄剤組成物に通常用いられる以下に挙げるような成分を含有していてもよい。
【0023】
例えば、ノニオン界面活性剤以外の下記界面活性剤を含有していてもよい。
アニオン活性剤:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキル硫酸塩(AS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(AES)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩(α−SF)、ポリオキシエチレンアルキルエ−テルカルボン酸塩等。
具体的には、炭素数8〜16のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するアルキル硫酸塩;炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数1〜10のポリオキシエチレンアルキルエ−テル硫酸塩;炭素数10〜20のアルキル基を有するα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数1〜10のポリオキシエチレンアルキルエ−テルカルボン酸塩等。
【0024】
両性界面活性剤:カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)等。
カチオン界面活性剤:アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等。
【0025】
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、重量平均分子量が約200のポリエチレングリコール、重量平均分子量が約400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキルエーテル類などの水混和性の有機溶剤を用いることができる。当該有機溶剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.1〜15質量%であることが好ましい。
【0026】
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩(防腐剤としての効果もある)、尿素等の減粘剤又は可溶化剤を用いることができる。当該減粘剤又は可溶化剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.01〜10質量%であることが好ましい。
【0027】
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸等の金属イオン捕捉剤を用いることができる。当該金属イオン捕捉剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.1〜20質量%であることが好ましい。
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、ローム・アンド・ハウス社製のケーソンCG(商品名)等の防腐剤を用いることができる。
【0028】
さらに、本発明の液体洗浄剤組成物においては、洗浄性能向上や安定性向上等を目的として酵素(プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等)、シリコン等の風合い向上剤、アルカノールアミン等のアルカリビルダー、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、蛍光剤、移染防止剤、再汚染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤、等を用いることができる。
その他、商品の付加価値向上等を目的として、着色剤、乳濁化剤、芳香のための香料等も含むことができる。
【0029】
着色剤としては、アシッドレッド138、Polar Red RLS、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青色1号、青色205号、緑色3号、ターコイズP−GR(いずれも商品名)等の汎用の色素や顔料を用いることができる。当該着色剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.00005〜0.005質量%であることが好ましい。
乳濁化剤としては、ポリスチレンエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられ、通常、固形分30〜50質量%のエマルションが好適に用いられる。具体例としては、ポリスチレンエマルション(サイデン化学社製、商品名:サイビノールRPX−196 PE−3、固形分40質量%)等を用いることができる。
香料としては、特開2002−146399号公報に記載の香料成分が挙げられる。当該香料の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.01〜2質量%であることが好ましい。
【0030】
本発明にかかる液体洗浄剤組成物において、水の含有量は、液体洗浄剤組成物中、10 〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜40質量%である。該範囲であれば、「濃縮タイプ」として安定な液体洗浄剤組成物が得られやすくなる。
本発明の液体洗浄剤組成物は、好適には水を溶剤として、常法に基づいて製造することができる。
【0031】
使用方法は、通常の使用方法、すなわち本発明の液体洗浄剤組成物(本発明品)を、洗濯時に洗濯物と一緒に水に投入する方法、泥汚れや皮脂汚れに本発明品を直接塗布する方法、本発明品を予め水に溶かして衣類を浸漬する方法等が挙げられる。また、本発明品を洗濯物に塗布後、適宜放置し、その後、通常の洗濯液を用いて通常の洗濯を行う方法も好ましい。その際、本発明品の使用量は、従来の液体洗浄剤組成物の使用量よりも、実質上半量以下に少なくすることができる。さらに、本発明の液体洗浄剤組成物は、(A−1)成分により、すすぎ性に優れるため、縦型タイプやドラム式タイプにおける通常の全自動洗濯機の標準コースで2回行われるすすぎ工程を1回に減らしても良好なすすぎ性を示す。
【0032】
本発明に使用されるプラスチックボトルは、ブロー成形によりボトル本体が成形されてなるプラスチックボトルであって、ボトル本体は、底部と、前記底部の外周から起立した4つの側壁によって構成される胴部と、前記胴部の上端から上方に向かって漸次縮径された肩部と、前記肩部の上端から筒状に起立した口頸部とを有し、前記胴部の水平断面において、少なくとも1つの角部を挟んで隣接する2つの側壁の輪郭線がそれぞれ外側に向かって円弧状を為すと共に、一方の側壁が他方の側壁よりも曲率の大きい面で構成されており、前記、一方の側壁の曲率を1/R、前記他方の側壁の曲率を1/Rとしたときに、1<R/R≦3であり、ボトルの底部が略正方形を為していることを特徴とする。
【0033】
本プラスチックボトルは、正方形、または長方形に近い断面を有し、容器内部に加圧状態、または減圧状態が生じた場合でも、「曲率の大きい面」(変形しても目立たない面)を選択的に変形させることで、「曲率の小さい面」(変形させたくない面)に生じる変形を抑制することが可能となり、「曲率の大きい面」に加飾が施こすことにより、ボトルの見栄えの低下を最小限に抑えることが可能となる。さらに、上記、洗浄剤の組合せにおいて、容倉庫や荷台の省スペース化で保管・輸送コスト削減やボトル変形をさらに抑制し、かつ使用により収納される液体洗浄剤組成物が少なくなった場合でも、ボトルの角の部分に発生する皮膜形成抑制が抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1〜図3は把手部を有する四角柱のプラスチックボトル1、図4〜図6は把手部を有さない四角柱のプラスチックボトル2、図7〜図9は円柱状のプラスチックボトル3(比較品)を示す。

【図1】図1は、本発明を適用したプラスチックボトルをノズル部側から見た斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すプラスチックボトルを底部側から見た斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すプラスチックボトルの平面図である。
【図4】図4は、本発明を適用したプラスチックボトルをノズル部側から見た斜視図である。
【図5】図5は、図4に示すプラスチックボトルを底部側から見た斜視図である。
【図6】図6は、図4に示すプラスチックボトルの平面図である。
【図7】図7は、本発明の範囲外である円柱状のプラスチックボトルをノズル部側から見た斜視図である。
【図8】図8は、図7に示すプラスチックボトルを底部側から見た斜視図である。
【図9】図9は、図7に示すプラスチックボトルの平面図である。
【0035】
以下、本発明を適用した把手部を有する四角柱のプラスチックボトル1を例に、図面を参照して詳細に説明する。
【符号の説明】
【0036】
2…ボトル本体 3…底部 4…胴部 4a…第1の側壁 4b…第2の側壁
4c…第3の側壁 4d…第4の側壁 4e…第1の角部 4f…第2の角部
4g…第3の角部 4h…第4の角部 5…肩部 6…ノズル部 7…把手部
8…トンネル部
【0037】
図1及び図2に示すように、本発明を適用したプラスチックボトル1は、ボトル本体2を備え、このボトル本体2は、底部3と、底部3の外周から筒状に起立した胴部4と、胴部4の上端において漸次縮径された肩部5と、肩部5の上端から筒状に起立した口頸部とを有し、この口頸部にキャップ6が装着される構造となっている。また、このボトル本体2には、使用時に持ち易く且つ注出操作をし易くするための把手部7が設けられている。
【0038】
このようなボトル本体2は、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、ポリエス
テル樹脂などの合成樹脂材料からなる。また、このボトル本体2の製造には、例えばダイ
レクトブロー成形や2軸延伸ブロー成形などのように、パリソンと呼ばれる筒状の成形材
料を溶融状態とし、金型に入れ、内部に空気を吹き込んで膨らませると同時に冷却して成
形する方法が用いられる。
【0039】
なお、ボトル本体2に装着されるキャップ6は、その形態について特に限定されるもの
ではなく、ボトル本体2の口頸部に螺合により着脱自在に装着されるカバーキャップの他
にも、例えば、ボトル本体2から注出された内容液を計り取る計量キャップを備えたもの
などであってもよい。
【0040】
ボトル本体2は、略正方形を為す底部3の外周から起立した4つの側壁4a〜4dと、各側壁4a〜4dの間に位置する4つの角部4e〜4hとを有して、胴部4が略四角筒状に構成されてなる。すなわち、このボトル本体2の胴部4は、第1の角部4eを挟んで隣接する第1の側壁4a及び第2の側壁4bと、第1の角部4eと相対する第2の角部4fを挟んで隣接する第3の側壁4c及び第4の側壁4dと、第1の側壁4aと第4の側壁4dとの間に第3の角部4gと、第2の側壁4bと第3の側壁4cとの間に第3の角部4gと相対する第4の角部4hとを有して構成されている。
【0041】
把手部7は、胴部4の第2の角部4f側に位置している。具体的に、この把手部7は、第2の角部4fを残して第3の側壁4cと第4の側壁4dとの間を貫通するようにトンネル部8が形成されることによって、胴部4と一体に形成されている。
【0042】
ところで、本発明を適用したプラスチックボトル1では、図3に示すように、胴部4の水平断面において、第1の角部4eを挟んで隣接する第1の側壁4a及び第2の側壁4bの輪郭線がそれぞれ外側に向かって所定の曲率半径R1、で円弧状を為すと共に、第1の側壁4aが第2の側壁4bよりも曲率の大きい面で構成されている。
【0043】
なお、「曲率」とは、曲線や曲面の曲がり具合を表す値のことであり、例えば半径Rの円周の曲率は1/Rであり、このときの半径Rを「曲率半径」と言う。したがって、曲がり具合がきついほど、曲率(1/R)は大きくなり、逆に曲率半径(R)は小さくなる。また、第1の側壁4aの曲率は1/R、第2の側壁4bの曲率は1/Rで表され、曲率半径はR<Rである。
【0044】
以上のような構造を有するプラスチックボトル1では、上述した液体製品(内容液)を
ボトル本体2に加温充填し、キャップ7を閉じた後に、常温又は低温下で保管などすると、密閉されたボトル本体2内の圧力が低下することになる。
【0045】
このとき、ボトル本体2では、第1の角部4eを挟んで隣接する第1の側壁4aと第2の側壁4bとのうち、曲率の大きい面で構成された第1の側壁4aに対して曲率の小さい面で構成された第2の側壁4bを選択的に変形させることができる。
【0046】
したがって、このプラスチックボトル1では、ボトル本体を厚肉に形成したり、剛性の高い高価な樹脂材料を用いたりすることなく、ボトル本体2の変形させたくない面(ラベル等が貼着される正面側)を第1の側壁4aで構成し、変形しても目立たない面(裏面側)を第2の側壁4bで構成することによって、ラベルの貼着位置等に影響を与えることなく、見栄えの低下を最小限に抑えることが可能である。
【0047】
また、本発明を適用したプラスチックボトル1では、1<R/R≦3の関係を満足することが好ましい。このような関係を満足することで、第1の側壁4aの曲率1/Rと第2の側壁4bの曲率1/Rとの間に大きな差、すなわち第1の側壁4aと第2の側壁4bとの間に外観上(見た目)の差を生じさせることなく、第1の側壁4aに対して第2の側壁4bを選択的に変形させることが可能である。
【0048】
なお、上記ボトル本体2の胴部4のうち、第3の側壁4c及び第4の側壁4dについては、上記トンネル部8が胴部4と一体に形成された部分であるため、上記第1及び第2の側壁4a,4bよりも剛性が高く、その輪郭線がそれぞれ外側に向かって所定の曲率半径で円弧状を為す構成であっても、第1の側壁4aに対して第2の側壁4bを選択的に変形させることに対して、特に影響を与えることはない。
【0049】
また、各側壁4a〜4dの間に位置する角部4e〜4hについても、その輪郭線が円弧状を為しているものの、各側壁4a〜4dよりも曲率が大きく剛性の高い部分であるため、第1の側壁4aに対して第2の側壁4bを選択的に変形させることに対して、特に影響を与えることはない。
【0050】
また、上記プラスチックボトル1では、第1の側壁4a及び第2の側壁4bにラベル等を貼着する場合、変形させたくない第1の側壁4a側には、第2の側壁4a側よりも剛性の高い(例えば厚みの大きい又は硬度の高い)ラベル等を貼着することが好ましい。
これにより、第1の側壁4aに対して第2の側壁4bを更に優先的に変形させることが
可能となる。また、これは第2の側壁4bが第1の側壁4aよりも厚肉に形成された場合に、第1の側壁4aの剛性が低下することによる凹みの発生を防止する効果もある。
【0051】
図4〜図6に示す把手部の無いプラスチックボトル2についても、把手部の無い事以外は上記と同様である。
【実施例】
【0052】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
【0053】
<液体洗浄剤組成物の製造>
表1〜3に示す組成の液体洗浄剤組成物を、常法に準じて、以下のように製造した。
まず、2cmの撹拌子の入った円筒ガラス瓶(直径50mm、高さ100mm)に、(A)成分を入れた。次に、任意成分の混合溶液を入れて、400rpmで撹拌子を撹拌させた。次いで、表1〜3に示す組成の液体洗浄剤組成物においては、(B)成分を入れて撹拌し、表6に示す組成の液体洗浄剤組成物においては、(D)成分を入れて撹拌し、続けて(B)成分を順次入れて撹拌し、それぞれ混合した。その後、全体量(全体量を100質量部とする。)が93質量部になるように精製水を入れ、撹拌混合した後、液温を40〜50℃にし、(C)成分を入れて撹拌した。次いで、25℃まで冷却した後、pHを調整し、全体量が100質量%になるように精製水を加えて液体洗浄剤組成物を製造した。
【0054】
pHの調整は、液体洗浄剤組成物の25℃でのpHが表1〜3に示す値となるように、pH調整剤(水酸化ナトリウムまたは硫酸)を適量添加することにより行った。
pHの測定は、液体洗浄剤組成物を25℃に調整し、ガラス電極式pHメーター(製品名:ホリバF−22、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。測定方法は、JISK3362−1998に準拠して行った。
なお、表2〜3中の配合量の単位は質量%であり、純分換算量を示す。
以下に、(A)成分のナロー率の測定方法、および表中に示した成分について説明する。
【0055】
<(A)成分のナロー率の測定方法>
以下に示す(A)成分について、下記測定条件により、エチレンオキサイドの付加モル数が異なるエチレンオキサイド付加体の分布を測定した。そして、(A)成分のナロー率(質量%)を前記数式(S)に基づいて算出した。
[HPLCによるエチレンオキサイド付加体の分布の測定条件]
装置 :LC−6A((株)島津製作所製)
検出器 :SPD−10A
測定波長:220nm
カラム :Zorbax C8 (Du Pont(株)製)
移動相 :アセトニトリル/水=60/40(体積比)
流速 :1mL/min
温度 :20℃
【0056】
<プラスチックボトルの凹み評価>
表1に示すプラスチックボトル(図1〜図9参照)に、表2〜表3に示す液体洗浄剤組成物を20℃に調整後、各ボトル満中量の80%、40%になるように充填し、キャップで密封し、50℃(恒温室)に30日間保存した。
その後、20℃(恒温室)に1日保存後、ボトルの表部分の凹み度合いを目視、及び手で触り以下の基準で評価した。
◎:見た目及び触診で保存前と変化なし
○:見た目では変化がないが触ると僅かに凹んでいる感じがする
△:見た目で僅かに凹んでおり、触ると凹みが分かる:
×:見た目で凹みがはっきり分かる
【0057】
【表1】



尚、ボトルは材質:高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、成形法:2軸延伸ブロー成形にて製造した。
【0058】
<プラスチックボトル内での皮膜形成性の評価>
表1に示すプラスチックボトルに表2〜表4の洗浄剤組成物を満中量の5%となるように充填し。蓋は閉めずに開放系で5℃で10時間放置後の外観を以下の基準にて測定した。
◎:流動性あり、洗浄剤組成物液面に皮膜なし
○:流動性あり、僅かに洗浄剤組成物液面に皮膜あり
△:流動性はあるが洗浄剤組成物液面に皮膜あり
×:洗浄剤組成物がゲル化、固化し流動性がない
【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
表2〜表3の結果に示すように、本発明の洗浄剤物品(プラスチック容器に収納してなる液体洗浄剤組成物は、実施例1〜19に示すようにプラスチックボトルの凹み、および洗浄剤組成物の残りが少なくなった場合でもゲル化や固化を抑制できる良好な結果が得られた。一方、(B)成分を含有しない比較例1、およびプラスチックボトルが本発明の範囲外となる比較例2、比較例4はボトルの凹みが見られた。また、洗浄剤組成物に使用するの(A)成分が本発明の範囲外となる比較例3は洗浄剤組成物は(A)成分が本発明の範囲外であり製造直後からゲル化したため、ボトルの凹み評価に供することが出来なかった。
【0062】
表2〜表3中の各符号は以下のものを示す。
<表中に示した成分>
・(A)成分
A−1:C1123CO(OC15OCH、ナロー率 33質量%;合成品。
A−2:C1123CO(OC15OCHと、C1327CO(OC15OCHとの質量比で8/2の混合物、ナロー率 33質量%;合成品。
A−3:C1123CO(OC15OCH、ナロー率 45質量%;合成品。
A−4:C1123CO(OC15OCHと、C1327CO(OC15OCHとの質量比で8/2の混合物、ナロー率 45質量%;合成品。
【0063】
A−5:C2n+1O(CO)15H、n=12の化合物とn=14の化合物との質量比で、C12/C14=71/29の1級アルコール混合物の、エチレンオキサイドの平均付加モル数15モル付加物;合成品。
【0064】
ただし、A−1は、特開2000−144179号公報に記載の実施例における製造例1に準じて製造した合成品を用いた。
すなわち、化学組成が2.5MgO・Al・nHOである水酸化アルミナ・マグネシウム(協和化学工業(株)製、商品名:キョーワード300)を、600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5規定の水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル350gとを4リットルオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温を行い、温度を180℃、圧力を3atmに維持しつつ、エチレンオキサイド1079gを導入し、撹拌しながら反応させた。
さらに、反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土および珪藻土をそれぞれ5g添加した後、触媒を濾別し、A−1を得た。
なお、触媒に対するアルカリ添加量をコントロールすることにより、ナロー率33質量%のA−1を得た。
【0065】
A−2は、上記のA−1の合成方法において、ラウリン酸メチルエステル単独の代わりに、ラウリン酸メチルエステル280gおよびミリスチン酸メチルエステル70gをそれぞれ用い、エチレンオキサイド1052gを導入した以外は、A−1の合成方法と同様にして製造した。
なお、触媒に対するアルカリ添加量をコントロールすることにより、ナロー率33質量%のA−2を得た。
【0066】
A−3は、上記のA−1の合成方法において、ラウリン酸メチルエステル350gを用い、エチレンオキサイド1079gを導入した以外は、A−1の合成方法と同様にして製造した。
なお、触媒に対するアルカリ添加量をコントロールすることにより、ナロー率45質量%のA−3を得た。
【0067】
A−4は、上記のA−1の合成方法において、ラウリン酸メチルエステル単独の代わりに、ラウリン酸メチルエステル280gおよびミリスチン酸メチルエステル70gをそれぞれ用い、エチレンオキサイド1052gを導入した以外は、A−1の合成方法と同様にして製造した。
なお、触媒に対するアルカリ添加量をコントロールすることにより、ナロー率45質量%のA−4を得た。
【0068】
A−5の合成は、以下のように行った。
P&G社製の天然アルコールCO−1270を224.4g、30%NaOH水溶液2.0gを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。次に温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコールを攪拌しながら酸化エチレン(ガス状)760.4gを、吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調整しながらアルコールの液中に徐々に加えた。
酸化エチレンの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間未反応の酸化エチレンを留去した。
次に温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1%水溶液のpHが約7になるように、70%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、A−5を得た。
【0069】
なお、A−1〜A−4において、ナロー率は、上記のナロー率の測定方法により、得られた合成品におけるエチレンオキサイドの付加モル数が異なるエチレンオキサイド付加体の分布を測定して算出した。
(B)成分
B―1:BHT(ジブチルヒドロキシトルエン) Degussa社 商品名「K―NOX BHT」
B―2:トコフェロール:エーザイ製
B―3:BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール) 和光純薬工業製 商品名「BHA―wako」
B−4:p−メトキシフェノール:川口化学工業(株)製、商品名「MQ−F」
<任意成分>
LAS塩:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸[ライオン(株)製、商品名:ライポンLH−200(LAS−H 純分96質量%)]を、モノエタノ−ルアミン(日本触媒(株)製)で中和したものを示す。直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸のモノエタノールアミン塩として平均分子量381。表中の配合量は、当該モノエタノールアミン塩としての値(質量%)を示す。
【0070】
AES塩:炭素数C12〜13ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキサイドの平均付加モル数2);合成品。
【0071】
[AESの合成方法]
4Lのオートクレーブ中に、Neodol23アルコール[商品名、シェルケミカルズ社製;C12、13アルコール(炭素数12のアルコールと、炭素数13のアルコールとの質量比1/1の混合物)、分岐率20質量%]400gと、水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながらエチレンオキサイド272gを導入し、エチレンオキサイドの平均付加モル数2の反応物を得た。
次に、上記で得られたアルコールエトキシレート280gを、撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)67gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、B−2(AES)を得た。
エタノール:三菱化学社製、「95vol%合成エタノール」。
ポリエチレングリコ−ル:ライオンケミカル製、商品名「PEG#1000−L60」。
パルミチン酸:日本油脂製、商品名「NAA−160」
p−トルエンスルホン酸:協和発酵工業製。
安息香酸Na:(株)伏見製薬所製、商品名「安息香酸ナトリウム」。
クエン酸:扶桑化学工業製、商品名「液体クエン酸」。

リカナーゼ:ノボザイムズ製、商品名「リカナーゼultra2.5L」。
エバラーゼ:ノボザイムズ製、商品名「エバラーゼ16L」。 香料組成物:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A。
色素:癸巳化成(株)製、商品名「緑色201号」。
水酸化ナトリウム:鶴見曹達製。
硫酸:東邦亜鉛製。
精製水:イオン交換水使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記、(A)〜(C)に示す成分を含有し、25℃での原液pHが5〜8である液体洗浄剤組成物をプラスチックボトルに収納してなる液体洗浄剤物品であって、
(A)成分:ノニオン界面活性剤を40〜70質量%含有し、R−CO(OR)mOR[式中、Rは炭素数9〜13のアルキル基又は炭素数9〜13のアルケニル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、mは平均付加モル数を表し5〜20である。]で表される非イオン性界面活性剤(A−1)をノニオン界面活性剤(A)成分中の60質量%以上含有する。
(B)酸化防止剤
(C)成分:水
該プラスチックボトルが、ブロー成形によりボトル本体が成形されてなるプラスチックボトルであって、ボトル本体は、底部と、前記底部の外周から起立した4つの側壁によって構成される胴部と、前記胴部の上端から上方に向かって漸次縮径された肩部と、前記肩部の上端から筒状に起立した口頸部とを有し、前記胴部の水平断面において、少なくとも1つの角部を挟んで隣接する2つの側壁の輪郭線がそれぞれ外側に向かって円弧状を為すと共に、一方の側壁が他方の側壁よりも曲率の大きい面で構成され、前記、一方の側壁の曲率を1/R、前記他方の側壁の曲率を1/Rとしたときに、1<R/R≦3であり、ボトルの底部が略正方形を為していることを特徴とする液体洗浄剤物品。
【請求項2】
(B)成分がBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ビタミンE(トコフェロール)、エルソルビン酸ナトリウム、メトキシフェノール、二酸化硫黄、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)、緑茶抽出物(カテキン)から選ばれる1種以上を含有する液体洗浄剤組成物である請求項1に記載の液体洗浄剤物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−148858(P2011−148858A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9215(P2010−9215)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】