説明

液体洗濯洗剤組成物

本発明は、家庭洗浄条件下で非ケラチン性基材を処理するための液体洗濯洗剤組成物を対象とし、このような組成物は、(A)陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つの界面活性剤;(B)非官能化シリコーンと官能化シリコーンとを含むシリコーンブレンド;並びに(C)洗剤ビルダー、洗浄性酵素、移染抑制剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、少なくとも1つの追加の非シリコーン洗濯補助剤を含む。請求された組成物は更に、いかなるコアセルベート相形成ポリマーも本質的に含まず、いかなる陽イオン性付着助剤も本質的に含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗濯洗剤組成物及びそのような液体洗濯洗剤組成物で処理された非ケラチン性基材に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は、布地を洗濯する場合、洗浄において優れていることを望むだけでなく、優れた布地ケア効果が付与されることをも求める。このような布地ケア効果の例として、皺減少効果、皺除去効果、皺防止効果、布地柔軟性効果、布地感触効果、衣類の形状を保つ効果、衣類の形状を回復する効果、弾性効果、アイロンがけをし易くする効果、香料効果、色ケア効果、耐磨耗効果、毛玉防止効果、又はそれらのいずれかの組み合わせのうちの1つ以上を挙げることができる。洗浄効果と、追加の布地ケア効果、例えば布地柔軟化効果の両方をもたらす組成物が、「ツー・イン・ワン(2-in-1)」洗剤組成物として、及び/又は「洗いを通じて柔軟化する」組成物として知られている。
【0003】
液体洗剤組成物中での陰イオン性洗浄界面活性剤と多数の陽イオン性布地ケア剤、例えば布地柔軟化剤との不適合性により、洗剤産業は代替組成物を配合した。これらの組成物は、布地洗浄及び追加の布地ケアの両方の効果をもたらす。該代替組成物は、陰イオン性洗浄界面活性剤と、陰イオン性洗浄界面活性剤及び陽イオン性布地ケア剤の不相溶性によって無効果にならない追加の非陽イオン性布地ケア剤とを含有する。非陽イオン性布地柔軟化剤の例は、粘土類及びシリコーン類である。ポリジアルキルポリシロキサン系化合物及びアミノシリコーン系化合物は、「ツー・イン・ワン(2-in-1)」洗剤組成物において有益な非陽イオン性布地ケア剤として認められてきた。EP0150872(P&G、1985年8月7日公開)は、陰イオン性、非イオン性、両性及び/又は双極性界面活性剤(類)並びに特定の式を有する有機官能性ポリジアルキルシロキサン処理剤を含む液体洗剤組成物を記載している。
【0004】
従来の陽イオン性布地ケア剤と対比して、通常は陰イオン性に荷電した布地及び織物への上記の非陽イオン性布地ケア剤の付着特性は、付着量が非常に少ないというものである。この欠点を克服するため、「ツー・イン・ワン(2-in-1)」洗剤組成物にはしばしば付着助剤が添加された。好適な付着助剤は、通常は陽イオン性に荷電し、及び/又は高分子量を有する。周知の陽イオン性付着助剤の例は、陽イオン性グアーガム類、及びポリ四級アンモニウム化合物類である。PCT国際公開特許WO00/70005(ユニリーバ(Unilever)、2000年11月23日公開)は、柔軟化剤の布地への付着を改善する目的で添加された、非イオン性布地柔軟化剤、陰イオン性界面活性剤及び陽イオン性ポリマーを含む布地柔軟化組成物を記載している。EP0658100B1(ユニリーバ(Unilever)、1995年6月21日公開)は、非石鹸洗剤、陽イオン性ポリマー及びシリコーンを含む液体洗剤組成物を記載している。EP1080714(ジョンソン&ジョンソン(Johnson&Johnson)、2001年3月7日公開)は、水溶性シリコーン剤と、少なくとも1つの陽イオン性コンディショニング剤と、少なくとも1つの洗剤とを含む、付着、コンディショニング及び柔軟性の能力が増強された「ツー・イン・ワン(2-in-1)」洗剤組成物を記載している。
【0005】
残念ながら、陽イオン性付着助剤の組み込みは、いくつかの欠点をもたらすことが見出された。陽イオン性付着助剤は、洗浄プロセス中の洗浄効果を大幅に改変することができる。実際に、陽イオン性付着助剤含有液体洗剤組成物で洗濯された布地は白色度の低下を示し得ることが見出された。理論に束縛されるものではないが、この白色度の低下は洗浄溶液中に存在する付着助剤が、懸濁した汚れを衣類上に引き込むことができるために起こると考えられている。これらの汚れはその後、該組成物の洗浄成分によって先に達成された洗浄効果を低減する。更に、陽イオン性付着助剤は、染料を同伴し、溶解した染料の布地への再付着の原因となり得ることが見出された。この影響は、着色された布地が白色の布地と同じ洗浄サイクルで一緒に洗濯された時に特に問題となる。
【0006】
陽イオン性付着助剤はしばしば、完全に配合された洗剤組成物中及び/又は洗剤組成物が希釈剤(典型的には水)で希釈された洗浄溶液中でコアセルベート化相を形成する。それゆえ、以上で陽イオン性付着助剤について述べた事柄すべてが、コアセルベート相形成ポリマー類にも当てはまる。
【0007】
前述の見地から、以上で述べた技術的問題を解決すること、並びに家庭洗濯作業において、上記で特定される欠点なしに、優れた布地洗浄及び優れた布地ケアを呈する組成物を提供することへの必要性が引き続き存在する。1つのアプローチとして、当然、陽イオン性付着助剤が引き起こし得る問題を避けるために陽イオン性付着助剤を排除することが挙げられる。しかし、上述のように、非陽イオン性布地柔軟化シリコーン化合物が十分に付着することを確実とすることがなお必要である。したがって、普通の洗浄サイクルにおいて陽イオン性付着助剤なしに、改善された洗浄効果及び追加の布地ケア効果をもたらす液体洗濯洗剤組成物の必要性が存在する。特に、適合性の布地ケア成分及び布地洗浄成分を、これらの両方の組み合わせが妥協のないレベルの布地洗浄及び布地ケアを与えるように選択することに関して、重要な未解決の問題が残っている。更に、陽イオン性付着助剤なしに、優れた布地ケア効果を確実にすると同時に、卓越した洗浄並びに製品配合安定性及び配合柔軟性を確実にするような形で、陰イオン性界面活性剤と非陽イオン性の布地ケア有益剤とを組み合わせることが、特に困難なままになっている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、洗浄性界面活性剤と非陽イオン性布地ケア剤界面活性剤とを含む組成物を、そのような組成物が同時に陽イオン性付着助剤を本質的に含まない状態で提供することによって、上述の技術的問題に対処することである。このような組成物が優れた布地クリーニング及び優れた布地ケアを提供することが見出された。
【0009】
本発明の実施形態の1つは、少なくとも1つの洗浄性界面活性剤と、少なくとも1つの洗剤補助剤と、シリコーン材料のブレンドとを含み、本質的に陽イオン性付着助剤を含まない液体洗濯洗剤組成物である。特に重要なのは、好適なシリコーン材料の選択である。特定の種類のシリコーン成分の選択された組み合わせが、優れた布地洗浄効果及び優れた布地ケア効果をもたらすことが見出された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
更に、本発明に関連して発見された家庭での洗濯における優れた布地ケア又は衣類ケア効果としては、意外にも、本明細書の製品が、所望により自動の、洗濯機での洗浄前の処理、及び洗いを通じた効果並びに手洗いによる処理のような異なる方式で使用された時の効果が挙げられる。更に、レジメン的な効果、すなわち、従来の洗剤を含む製品システムの使用から、本組成物及びそれと共に使用するために特に配合された組成物の使用を含む製品システムへと切り替える効果が見出された。特に、少なくとも1つの洗浄性界面活性剤と、少なくとも1つの洗剤補助剤と、シリコーン材料のブレンドとの組み合わせは、陽イオン性付着助剤のない時に、布地洗浄及び布地ケアに対する相乗効果をもたらすことが見出された。このことは、本発明の液体洗濯洗剤組成物で処理された布地に付与される、布地柔軟化効果、色ケア効果、耐磨耗効果及び毛玉防止効果、又はこれらのいずれかの組み合わせに関して、特に当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、家庭洗浄条件下で非ケラチン性基材を処理するための液体洗濯洗剤組成物に関し、このような組成物は、
(A)陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つの界面活性剤;
(B)非官能化シリコーンと官能化シリコーンとを含むシリコーンブレンド;並びに
(C)洗剤ビルダー、洗浄性酵素、移染抑制剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、少なくとも1つの追加の非シリコーン洗濯補助剤
を含み、その際、該組成物は更に、いかなるコアセルベート相形成ポリマーも本質的に含まず、いかなる陽イオン性付着助剤も本質的に含まない。
【0012】
本発明は、更に、本発明の液体洗濯洗剤組成物で処理される非ケラチン性基材に関する。好ましい実施形態において、本発明の液体洗濯洗剤組成物によって提供される所定量のシリコーンブレンドが、このような非ケラチン性基材上に付着した。付着したシリコーンの量は、好ましくは非ケラチン性基材1g当たり少なくとも0.001mgのシリコーン、より好ましくは非ケラチン性基材1g当たり0.1mgのシリコーン〜非ケラチン性基材1g当たり500mgのシリコーン、更により好ましくは非ケラチン性基材1g当たり0.125mgのシリコーン〜非ケラチン性基材1g当たり10mgのシリコーン、最も好ましくは非ケラチン性基材1g当たり0.150mgのシリコーン〜非ケラチン性基材1g当たり1.0mgのシリコーンである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
A.界面活性剤 − 本組成物は、一必須成分として、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む。この構成成分の好適な濃度は、組成物の10重量%〜80重量%、好ましくは20重量%〜65重量%、より好ましくは25重量%〜45重量%の範囲である。
【0014】
本質的には、洗剤組成物の技術分野において既知であるように、「界面活性剤科学シリーズ(Surfactant Science Series)」、第7巻、W.M.リンフィールド(Linfield)編、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)に開示されているような、あらゆる陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせが使用されてもよい。組成物での使用に好適なその他の陰イオン性、非イオン性、双極性、両性又は任意の追加の界面活性剤類の非限定例は、マカッチャン(McCutcheon)の乳化剤及び洗剤(Emulsifiers and Detergents)(1989年鑑、M.C.パブリッシング社(M.C.Publishing Co.)出版)、並びに米国特許第5,104,646号、同第5,106,609号、同第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、及び同第2,528,378号に記載されている。
【0015】
B.シリコーンブレンド − 本発明の組成物は、非官能化シリコーンと官能化シリコーンとを含むシリコーンブレンドを本質的に含有する。本発明の組成物におけるブレンドの好適な濃度は、組成物の0.05重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5.0重量%、より好ましくは0.25重量%〜3.0重量%、最も好ましくは0.5重量%〜2.0重量%である。ブレンド内の非官能化シリコーンと官能化シリコーンとの重量比は、100:1〜1:100、好ましくは25:1〜1:5、より好ましくは約20:1〜1:1、最も好ましくは15:1〜2:1の範囲である。
【0016】
(b1)非官能化シリコーン:
本発明の目的のため、非官能化シリコーンは、繰返しSiO基並びに炭素、水素及び酸素を含む置換基を含有するポリマーである。それ故、本発明の組成物での使用に選択される非官能化シリコーン類には、非イオン性の、架橋していない、窒素を含まないシリコーンポリマーが挙げられる。
【0017】
好ましくは、非官能化シリコーンは、式(I)〜(III)を有する非イオン性の窒素を含まないシリコーンポリマー類:
【化1】

−(RSiO−[(RSiO]−[(R)(R)SiO]−Si(R−R
(II)
【化2】

及びこれらの組み合わせから選択され、
式中、各Rは1〜20個の炭素原子を有する線状、分枝状又は環状アルキル基;2〜20個の炭素原子を有する線状、分枝状又は環状アルケニル基:6〜20個の炭素原子を有するアリール基;7〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール基;7〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル基及びアリールアルケニル基並びにこれらの組み合わせから成る群から独立して選択され;各Rは1〜20個の炭素原子を有する線状、分枝状又は環状アルキル基;2〜20個の炭素原子を有する線状、分枝状又は環状アルケニル基:6〜20個の炭素原子を有するアリール基;7〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール基;アリールアルキル;7〜20個の炭素原子を有するアリールアルケニル基から成る群から及び一般式(IV)を有するポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基から独立して選択され:
−(CHO(CO)(CO) (IV)
その際、少なくとも1つのRはポリ(エチレンオキシ/プロピレンオキシ)コポリマー基であり、各Rは、水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、及びアセチル基から独立して選択され、その際、指数wは、窒素を含まないシリコーンポリマーの粘度が0.01m/s(20℃で10,000センチストークス)〜2.0m/s(20℃で2,000,000センチストークス)、好ましくは0.1m/s(20℃で100,000センチストークス)〜1.0m/s(20℃で1,000,000センチストークス)、より好ましくは0.3m/s(20℃で300,000センチストークス)〜0.8m/s(20℃で800,000センチストークス)、最も好ましくは0.55m/s(20℃で550,000センチストークス)〜0.7m/s(20℃で700,000センチストークス)であるような値を有し;式中、aは1〜50であり;bは1〜50であり;nは1〜50であり;全c(すべてのポリアルキレンオキシ側基)は1〜100の値を有し;全dは0〜14であり;全c+dは5〜150の値を有する。
【0018】
より好ましくは、非官能化シリコーンは上記の式(II)〜(III)を有する線状非イオン性シリコーン類から選択され、式中、Rは、メチル、フェニル及びフェニルアルキルから成る群から選択され;式中、Rは、メチル、フェニル、フェニルアルキルから成る群及び上に定義される一般式(IV)を有する基から選択され;式中、Rは、上記のように定義され;aは1〜30であり、bは1〜30であり、nは3〜5であり、全cは6〜100であり、全dは0〜3であり、全c+dは7〜100であり、並びに式中、指数wは、非官能化シリコーンの粘度が0.01m/s(20℃で10,000センチストークス)〜2.0m/s(20℃で2,000,000センチストークス)、好ましくは0.1m/s(20℃で100,000センチストークス)〜1.0m/s(20℃で1,000,000センチストークス)、より好ましくは0.3m/s(20℃で300,000センチストークス)〜0.8m/s(20℃で800,000センチストークス)、最も好ましくは0.55m/s(20℃で550,000センチストークス)〜0.7m/s(20℃で700,000センチストークス)であるような値を有する。
【0019】
最も好ましくは、非官能化シリコーンは、上記の式(III)を有する線状非イオン性の窒素を含まないシリコーンポリマー類から選択され、式中、Rはメチルであり、式中、指数wは、式(III)の窒素を含まないシリコーンポリマーの粘度が0.01m/s(20℃で10,000センチストークス)〜2.0m/s(20℃で2,000,000センチストークス)、好ましくは0.1m/s(20℃で100,000センチストークス〜1.0m/s(20℃で1,000,000センチストークス)、より好ましくは0.3m/s(20℃で300,000センチストークス)〜0.8m/s(20℃で800,000センチストークス)、最も好ましくは0.55m/s(20℃で550,000センチストークス)〜0.7m/s(20℃で700,000センチストークス)であるような値を有する。
【0020】
式(II)の窒素を含まないシリコーンポリマー類の非限定的な例は、米国コネチカット州ダンベリーのOSIスペシャルティー社(Specialties Inc.)(ウィトコ(Witco)の一事業部)から入手可能なシルウェット(Silwet)(登録商標)化合物である。式(I)及び(III)の窒素を含まないシリコーンポリマー類の非限定例は、ダウ・コーニング(Dow Corning)からのシリコーン(Silicone)200流体シリーズである。
【0021】
(b2)官能化シリコーン:
本発明の目的で、官能化シリコーンは、繰返しSiO基と少なくとも1つの窒素、イオウ又はリン原子を含む置換基とを含有するポリマーである。好ましくは、本発明の組成物に用いるために選択される官能化シリコーンには、アミノ官能化シリコーン類、すなわち、少なくとも1つの一級アミン、二級アミン又は三級アミンを含有するシリコーンが挙げられる。四級化アミノ官能化シリコーン類、すなわち四級アンモニウムシリコーン類も、本発明の目的で官能化シリコーンの定義に入る。好ましい官能化シリコーンは、0.01%〜1%、好ましくは0.05%〜0.5%の範囲のアミン/アンモニウム官能性%を有する。典型的には、官能化シリコーンは、0.0001m/s(20℃で100センチストークス)〜2.0m/s(20℃で2,000,000センチストークス)、好ましくは0.01m/s(20℃で10,000センチストークス)〜0.1m/s(20℃で100,000センチストークス)、最も好ましくは0.02m/s(20℃で20,000センチストークス)〜0.08m/s(20℃で80,000センチストークス)の粘度を有する。本発明の別の実施形態において、官能化シリコーンは、0.0001m/s(20℃で100センチストークス)〜0.02m/s(20℃で20,000センチストークス)、好ましくは0.002m/s(20℃で2,000センチストークス)〜0.01m/s(20℃で10,000センチストークス)、より好ましくは0.004m/s(20℃で4,000センチストークス)〜0.006m/s(20℃で6,000センチストークス)の粘度を有する。
【0022】
一般に、陰イオン性に荷電した官能化シリコーン類、陽イオン性に荷電した官能化シリコーン類、双極性官能化シリコーン類、両性官能化シリコーン類及びこれらの組み合わせを含むいかなる官能化シリコーンも本発明で使用できる。好適な陽イオン性に荷電した官能化シリコーン類は、出願人の同時係属出願PCT国際公開特許WO02/018528及びEP02447167.4に開示されている。
【0023】
本発明の組成物に用いるのに好ましい官能化シリコーンの例としては、一般式(V)に合致するものが挙げられるが、これに限定されない:
(R3−a−Si−(−OSiG−(−OSiG(R2−b−O−SiG3−a(R (V)
式中、Gは水素、フェニル、ヒドロキシ、又はC〜Cアルキル、好ましくはメチルであり;aは0又は1〜3の値を有する整数、好ましくは1であり;bは0、1又は2、好ましくは1であり;nは0〜1,999、好ましくは49〜500の数であり;mは1〜2,000の整数、好ましくは1〜10の整数であり;nとmとの合計は1〜2,000、好ましくは50〜500の数であり;Rは、一般式C2qLに従う一価のラジカルであり、ここでqは2〜8の値を有する整数であり、Lは以下の基から選択される:−N(R)CH−CH−N(R;−N(R;式中、Rは、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカル、好ましくはC〜C20のアルキルラジカルである。
【0024】
式(V)に対応する好ましいアミノシリコーンを、次式(VI)に示す:
【化3】

式中、Rは、C〜Cアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル及びこれらの組み合わせから、好ましくはメチル及びメトキシから独立して選択され、式中、n及びmは以上に定義されている。両方のR基がメチルである場合、上記のポリマーは「トリメチルシリルアモジメチコン」として公知である。
【0025】
最も好ましいアミノシリコーン類はワッカー(Wacker)よりワッカーベルシル(Wacker Belsil)(登録商標)ADM1100及びワッカー・フィニッシュ(Wacker Finish)(登録商標)WR1100の商品名で市販されているもの、並びにゼネラル・エレクトリック(General Electric)よりゼネラル・エレクトリック(General Electric)(登録商標)SF1923として市販されているものである。
【0026】
(シリコーンブレンドの好ましい実施形態)
本発明の好ましい実施形態において、シリコーンブレンドは、0.55m/s(20℃で550,000センチストークス)〜0.7m/s(20℃で700,000センチストークス)の粘度を有する非官能化シリコーンを、0.3%〜0.5%の範囲のアミン/アンモニウム官能性%を有する官能化シリコーンと組み合わせて含む。この好ましい実施形態において、非官能化シリコーン対官能化シリコーンの重量比は15:1〜2:1である。
【0027】
本発明の別の好ましい実施形態において、シリコーンブレンドは乳化剤で乳化される。概括的に述べて、これは、非官能化シリコーンと官能化シリコーンとの予め形成されたブレンドが乳化されることを意味する。このような乳化されたブレンドは、その後他の成分に添加されて本発明の最終的な液体洗濯洗剤組成物を形成する。シリコーンブレンドと乳化剤との重量比は、一般に1000:1〜1:1000、好ましくは500:1〜1:100、より好ましくは200:1〜1:1、最も好ましくは20:1〜5:1である。本発明の組成物のその他の成分すべてと化学的及び物理的に適合性のあるいかなる乳化剤も、そこでの使用に好適である。しかし、以下のような陽イオン性乳化剤、非イオン性乳化剤及びこれらの組み合わせが好ましい。
【0028】
陽イオン性乳化剤:
本発明のシリコーンブレンドでの使用に適した陽イオン性乳化剤は、少なくとも1つの四級化窒素及び1つの長鎖ヒドロカルビル基を有する。また、2つ、3つ、又は更に4つの長鎖ヒドロカルビル基を含む化合物も含まれる。このような陽イオン性乳化剤の例には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、又はそれらのヒドロキシアルキル置換された類似体、好ましくは、式、Rを有する化合物が挙げられる。R、R、R及びRは、C〜C26アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、ベンジル、アルキルベンジル、アルケニルベンジル、ベンジルアルキル、ベンジルアルケニルから独立して選択され、Xは、陰イオンである。ヒドロカルビル基R、R、R及びRは、独立して、一般式(CO)Hの基(xは1〜15、好ましくは2〜5の値を有する)によって、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化又はプロポキシル化、より好ましくはエトキシル化することができる。ベンジルは、R、R又はRの多くても1つであるべきである。ヒドロカルビル基R、R、R及びRは、独立して、1つ以上の、好ましくは2つのエステル基([−O−C(O)−];[−C(O)−O−])及び/又はアミド基([O−N(R)−];[−N(R)−O−])(Rは、上記のRとして定義される)を含むことができる。陰イオンXは、ハロゲン化物、硫酸メチル(methysulfate)、酢酸塩及びリン酸塩から、好ましくはハロゲン化物及び硫酸メチルから、より好ましくは塩化物及び臭化物から選択してよい。R、R、R及びRヒドロカルビル鎖は、様々なヨウ素価、好ましくは0〜140のヨウ素価で、完全に飽和される又は不飽和であることができる。各長鎖アルキル基又はアルケニル基の少なくとも50%は、主に線状であるが、分枝状及び/又は環状の基も含まれる。
【0029】
長いヒドロカルビル鎖を1つだけ含む陽イオン性乳化剤の場合、Rに好ましいアルキル鎖長は、C12〜C15であり、R、R及びRに好ましい基は、メチル及びヒドロキシエチルである。
【0030】
2つ若しくは3つ、又は更には4つの長いヒドロカルビル鎖を含む陽イオン性乳化剤に対し、好ましい全体の鎖長はC18であるが、短鎖の、例えばC12、14、C16、及びもう少し長鎖の、例えばC20の鎖を0でない割合で有する鎖長の組み合わせが非常に望ましい場合もある。
【0031】
好ましいエステル含有乳化剤は、次の一般式を有する:
{(RN((CHER
式中、各R基は、C1〜4アルキル、ヒドロキシアルキル又はC2〜4アルケニルから独立して選択され;各Rは、C8〜28アルキル基又はアルケニル基から独立して選択され;Eはエステル部分、すなわち、−OC(O)−又は−C(O)O−であり、nは0〜5の整数であり、Xは、好適な陰イオン、例えば、塩化物、メトサルフェート(methosulfate)、及びこれらの組み合わせである。
【0032】
好ましいエステル含有陽イオン性乳化剤の第2の種類は、式:{(RN(CHCH(O(O)CR)CHO(O)CRによって表すことができ、式中、R、R、X及びnは、上記のように定義される。この後者の部類は、1,2ビス[硬化タローイルオキシ]−3−トリメチルアンモニウムプロパンクロリドによって例示することができる。
【0033】
本発明のブレンドに使用するのに適した陽イオン性乳化剤は、水溶性、水分散性又は非水溶性のいずれかであることができる。
【0034】
非イオン性乳化剤:
非イオン性乳化剤の選択のため、「(a2)非イオン性界面活性剤」の章を参照する。そこに開示されているすべての非イオン性界面活性剤も、非イオン性乳化剤として使用できる。更に、その他の好適な非イオン性乳化剤としては、米国特許第4,565,647号(レナド(Llenado)、1986年1月21日発行)に開示されているもののような、6〜30個の炭素原子、好ましくは8〜16個の炭素原子、より好ましくは10〜12個の炭素原子を含有する疎水性基、及び1.3〜10、好ましくは1.3〜3、最も好ましくは1.3〜2.7の糖単位を含有する多糖類、例えば、ポリグリコシド親水性基を有するアルキルポリグルコシド系の乳化剤が挙げられる。5又は6個の炭素原子を含有する還元糖のいずれも使用でき、例えば、グルコース、ガラクトース及びガラクトシル部分で、グルコシル部分を置換することができる(任意に疎水基が2−、3−、4−等の位置で結合し、それによりグルコシド又はガラクトシドと対立するものとしてグルコース又はガラクトースを生じさせる)。糖間結合は、例えば、追加糖単位の1つの位置と、元の糖単位の2−、3−、4−及び/又は6位との間ですることができる。
【0035】
好ましいアルキルポリグリコシドは次式を有し:
O(C2nO)(グリコシル)
式中、Rは、アルキル、アルキルフェニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルフェニル及びこれらの組み合わせから成る群より選択され、その際、アルキル基は6〜30個、好ましくは8〜16個、より好ましくは10〜12個の炭素原子を含有し;nは2又は3、好ましくは2であり;tは0〜10、好ましくは0であり;xは1.3〜10、好ましくは1.3〜3、最も好ましくは1.3〜2.7である。グリコシルは、好ましくはグルコースから誘導される。これらの化合物を調製するには、初めにアルコール又はアルキルポリエトキシアルコールを形成し、次いでグルコース又はグルコース源と反応させて、グルコシドを形成する(1位で結合)。次いで追加グリコシル単位をそれらの1位と元のグリコシル単位の2、3、4及び/又は6位、好ましくは主に2位との間で結合させることができる。この種の化合物及び洗剤でのその使用は、EP−B0070077、0075996、0094118、及びPCT国際公開特許WO98/00498に開示されている。
【0036】
乳化剤は、シリコーンブレンドの乳化の前に、任意に溶媒又は溶媒系で希釈されてもよい。典型的には、希釈された乳化剤は、予め形成されたシリコーンブレンドに添加される。好適な溶媒は、水性又は非水性であることができ、また水のみ若しくは有機溶媒のみ、及び/又はそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい有機溶媒としては、一価アルコール類、二価アルコール類、多価アルコール類、エーテル類、アルコキシル化エーテル類、低粘度シリコーン含有溶媒及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましいのは、グリセロール、グリコール類、ポリアルキレングリコール類、ジアルキレングリコールモノC〜Cエーテル類のようなポリアルキレングリコール類及びこれらの組み合わせである。更により好ましいのは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びこれらの組み合わせである。極めて好ましいのは、溶媒の組み合わせ、特にエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールのような低級脂肪族アルコール類、及び/又は1,2−プロパンジオール若しくは1,3−プロパンジオールのようなジオール類の組み合わせ;あるいはそれらとジアルキレングリコールモノC〜Cエーテル類及び/又はグリコール類及び/又は水との組み合わせである。好適な一価アルコール類としては、とりわけ、C〜Cアルコール類が挙げられる。
【0037】
粒径:
乳化されているか又は乳化されていないかのいずれかの前記シリコーンブレンドは、1μm〜500μm、好ましくは5μm〜100μm、より好ましくは10μm〜50μmの平均シリコーン粒径を有する。粒径は、コールター社(Coulter Corporation)(米国フロリダ州マイアミ33196(Miami,Florida,33196,USA))からのコールター(Coulter)LS230レーザー回折粒径分析器(Laser Diffraction Particle Size Analyser)を使用して、レーザー散乱技術によって測定されることができる。粒径は、平均値及び中央値のパラメータを使用して、体積加重%モードで測定される。別の粒径測定方法は、ニコン(Nikon)(登録商標)社(日本、東京)が製造した顕微鏡;型式ニコン(Nikon)(登録商標)E−1000(拡大700×)を使用した、顕微鏡によるものである。
【0038】
C.洗剤ビルダー、洗浄性酵素、移染抑制剤、及びこれらの組み合わせ。
【0039】
本発明の液体洗剤組成物は、洗剤ビルダー、洗浄性酵素、移染抑制剤及びこれらの組み合わせから選択される、追加の洗濯補助剤を含有しなければならない。
【0040】
C1.洗剤ビルダー−本発明の追加の洗濯補助剤は、洗剤ビルダーを含んでもよい。使用される場合、これらのビルダーは典型的に、組成物の1.0重量%〜80重量%、好ましくは5.0重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜60重量%の濃度で存在する。
【0041】
一般に、既知の洗剤ビルダーのいずれも本明細書で有用であり、これには、ゼオライト類、層状シリケート類、及びアルカリ金属ポリリン酸塩類のようなリン酸塩類などの無機物種、並びに脂肪酸類を含む有機物種、特にシトレート、2,2−オキシジスクシネート、カルボキシメチルオキシスクシネート、ニトリロトリアセテートなどの、アルカリ金属塩が含まれる。比較的低分子量(例えば、1,000未満)を有する、リン酸塩を含まない水溶性有機ビルダー類が、本明細書で使用するのに極めて好ましい。他の好適なビルダー類には、炭酸ナトリウム、及び様々なSiO:NaO含有量の比を有する、例えば1:1〜3:1、典型的には2:1の比の、ケイ酸ナトリウムが挙げられる。
【0042】
特にC12〜C18飽和及び/又は不飽和の、線状及び/又は分枝状の脂肪酸類が好ましいが、好ましくはこのような脂肪酸類の組み合わせである。極めて好ましいのは、飽和及び不飽和の脂肪酸類の組み合わせであり、例えば好ましいものは、ナタネ由来脂肪酸とC16〜C18初留揮発分全除去(topped whole cut)脂肪酸との組み合わせ、又はナタネ由来脂肪酸とタローアルコール由来脂肪酸、パルミチン酸、オレイン酸、脂肪アルキルコハク酸及びこれらの組み合わせとの組み合わせである。更に好ましいのは、合成又は天然由来の分枝状脂肪酸類、特に生分解性の分枝状の種類である。
【0043】
これらのいかなる脂肪酸ビルダー類の組み合わせも、溶解性を更に促進するため有利であり得る。短鎖長の脂肪酸類は溶解性を促進することが知られているが、これは、例えばC以下の鎖長において、多くの場合それらが悪臭性であるという知見との間で、バランスをとる必要がある。
【0044】
用語「脂肪酸ビルダー」は、一般的に使用されているが、本洗剤に配合される時には、脂肪酸が少なくとも部分的に、中和した形態へと中和されており、対イオンが典型的には、アルカノールアミン類、ナトリウム、カリウム、アルカノールアンモニウム又はこれらの組み合わせであることができることを理解及び認識すべきである。好ましくは、脂肪酸類は、モノエタノールアミンのようなアルカノールアミン類によって中和されており、本明細書の組成物の液体マトリックス中で完全に溶解する。
【0045】
脂肪酸類は、本発明の組成物において好ましいビルダーである。
【0046】
C2.酵素 − 洗濯補助剤は、1以上の洗浄性酵素も含んでよい。本明細書に用いるのに好適な洗浄性酵素としては、バチルスからのサブチリシン類のようなプロテアーゼ類[例えば、サブチリス、レンタス、リケニフォルミス、アミロリケファシエンス(BPN、BPN’)、アルカロフィラス(alcalophilus)]、例えばエスペラーゼ(Esperase)(登録商標)、アルカラーゼ(Alcalase)(登録商標)、エバラーゼ(Everlase)(登録商標)及びサビナーゼ(Savinase)(登録商標)(ノボザイムズ(Novozymes))、BLAP及び変異型[ヘンケル(Henkel)]が挙げられる。さらなるプロテアーゼ類は、EP130756、PCT国際公開特許WO91/06637、PCT国際公開特許WO95/10591及びPCT国際公開特許WO99/20726に記載されている。アミラーゼ類(α及び/又はβ)は、PCT国際公開特許WO94/02597及びPCT国際公開特許WO96/23873に記載されている。市販品の例は、ピュラフェクトOxAm(Purafect Ox Am)(登録商標)[ジェネンコア(Genencor)]、並びにターマミル(Termamyl)(登録商標)、ナタラーゼ(Natalase)(登録商標)、バン(Ban)(登録商標)、フンガミル(Fungamyl)(登録商標)及びデュラミル(Duramyl)(登録商標)[すべてノボザイムズ(Novozymes)より]である。セルラーゼ類としては、細菌又はカビセルラーゼ類、例えばフミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、特にDSM1800によって産生される、例えば50Kda及び約43kD[ケアザイム(Carezyme)(登録商標)]が挙げられる。同じく好適なセルラーゼ類は、トリコデルマ・ロンギプラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)からのEGIIIセルラーゼである。好適なリパーゼ類としては、シュードモナス及びクロモバクター(Chromobacter)群によって産生されるものが挙げられる。好ましいのは、例えばノボザイムズ(Novozymes)からのリポラーゼ(Lipolase)(登録商標)、リポラーゼ・ウルトラ(Lipolase Ultra)(登録商標)、リポプライム(Lipoprime)(登録商標)及びリペックス(Lipex)(登録商標)である。クチナーゼ類[EC3.1.1.50]及びエステラーゼ類も好適である。カルボヒドラーゼ類、例えばマンナナーゼ(US6060299)、ペクテート・リアーゼ(pectate lyase)(PCT国際公開特許WO99/27083)、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(PCT国際公開特許WO96/33267)、キシログルカナーゼ(PCT国際公開特許WO99/02663)。最終的にエンハンサーと共に用いられる漂白酵素としては、例えばペルオキシダーゼ類、ラッカーゼ類、オキシゲナーゼ類(例えば、カテコール1,2ジオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼ(PCT国際公開特許WO95/26393)、(非ヘム)ハロペルオキシダーゼ類が挙げられる。
【0047】
洗剤組成物における性能を最適化するためにタンパク質/遺伝工学技術を介して野生型酵素を変性させることは、一般的な方法である。使用される時、これらの酵素は通常、純酵素(組成物の重量%)の0.0001重量%〜2.0重量%、好ましくは0.0001重量%〜0.5重量%、より好ましくは0.005重量%〜0.1重量%の濃度で存在する。
【0048】
酵素は、カルシウム及び/又はマグネシウム化合物類、ホウ素化合物類及び置換ホウ酸類、芳香族ホウ酸エステル類、ペプチド類及びペプチド誘導体類、ポリオール類、低分子量カルボキシレート類、比較的疎水性の有機化合物類[例えば特定のエステル類、ジアルキルグリコールエーテル類、アルコール類又はアルコールアルコキシレート類]、カルシウムイオン源に追加したアルキルエーテルカルボキシレート、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低級脂肪族アルコール類及びカルボン酸類、N,N−ビス(カルボキシメチル)セリン塩類;(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルコポリマー及びPEG;リグニン化合物、ポリアミドオリゴマー、グリコール酸又はその塩類;ポリヘキサメチレンビグアニド又はN,N−ビス−3−アミノプロピルドデシルアミン若しくは塩、並びにこれらの組み合わせのようないかなる既知の安定剤系も使用して安定化できる。
【0049】
本発明の組成物の液体マトリックス中で、タンパク質分解酵素による第二の酵素の分解は、プロテアーゼ可逆阻害物質[例えば、ペプチド又はタンパク質型、特にVI族及びプラスミノストレピン(plasminostrepin)の変性サブチリシン阻害物質;ロイペプチン、ペプチドトリフルオロメチルケトン類、ペプチドアルデヒド類によって避けることができる。
【0050】
C3.移染抑制剤 − 洗濯補助剤は、1つの布地から別の布地への染料の移動の抑制に有効な1以上の物質も含んでよい。一般に、このような移染抑制剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー類、ポリアミンN−酸化物ポリマー類、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルイミダゾールのコポリマー類、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ類、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。使用される場合、これらの剤は典型的には、組成物の0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.05重量%〜2重量%の濃度で存在する。
【0051】
より具体的には、本明細書に用いるのに好ましいポリアミンN−酸化物ポリマー類は、次の構造式を有する単位を含有する:R−A−Z;式中、ZはN−O基が結合できるか又は該N−O基が重合可能単位の一部を形成できるか又は該N−O基が両方の単位に結合できる重合可能単位であり;Aは次の構造の1つである:−NC(O)−、−C(O)O−、−S−、−O−、−N=;xは0又は1であり;Rは、N−O基の窒素が結合できる又はN−O基がこれらの基の一部である、脂肪族、エトキシル化脂肪族類、芳香族類、複素環式若しくは脂環式基又はこれらのいずれかの組み合わせである。好ましいポリアミンN−酸化物類は、Rがピリジン、ピロール、イミダゾール、ピロリジン、ピペリジン及びこれらの誘導体類のような複素環基であるものである。
【0052】
N−O基は、次の一般構造で表すことができる:
【化4】

式中、R、R、Rは脂肪族、芳香族、複素環式若しくは脂環式基又はこれらの組み合わせであり;x、y及びzは0又は1であり;N−O基の窒素は前記の基のいずれかに結合するか又はその一部を形成することができる。ポリアミンN−酸化物類のアミンオキシド単位は、pKa<10、好ましくはpKa<7、より好ましくはpKa<6である。
【0053】
形成されるアミンオキシドポリマーが水溶性であり、移染抑制特性を有する限り、いかなるポリマー主鎖も使用できる。好適なポリマー主鎖の例は、ポリビニル類、ポリアルキレン類、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリアミド、ポリイミド類、ポリアクリレート類及びこれらの組み合わせである。これらのポリマーには、1つのモノマー種がアミンN−酸化物であり、他方のモノマー種がN−酸化物であるランダム又はブロックコポリマー類が挙げられる。アミンN−酸化物ポリマー類は、典型的にはアミン対アミンN−酸化物の比が10:1〜1:1,000,000である。しかし、ポリアミンオキシドポリマー中に存在するアミンオキシド基の数は、適切な共重合によって又は適切なN−酸化の程度によって変動しうる。ポリアミンオキシド類は、ほぼいかなる重合度でも得ることができる。典型的には、平均分子量は500〜1,000,000、より好ましくは1,000〜500,000、最も好ましくは5,000〜100,000の範囲内である。この好ましい物質の部類は、「PVNO」と呼ぶことができる。
【0054】
本発明の組成物及び本明細書で家庭洗濯を実行するためのプロセスにおいて有用な最も好ましいポリアミンN−酸化物は、平均分子量が50,000であり、アミン対アミンN−酸化物比が1:4であるポリ(4−ビニルピリジン−N−酸化物)である。
【0055】
N−ビニルピロリドン及びN−ビニルイミダゾールポリマー類のコポリマー類(「PVPVI」としての部類と呼ばれる)も本明細書に用いるのに好ましい。好ましくは、PVPVIは、平均分子量が5,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜200,000、最も好ましくは10,000〜20,000の範囲である。(平均分子量範囲は、バース(Barth)らの、化学分析(Chemical Analysis)、第113巻、「ポリマー特性評価の最新方法(Modern Methods of Polymer Characterization)」に記載される光散乱によって決定され、この開示を本明細書に参考として組み入れる。)PVPVIコポリマー類は、典型的にはN−ビニルイミダゾール対N−ビニルピロリドンのモル比が1:1〜0.2:1、より好ましくは0.8:1〜0.3:1、最も好ましくは0.6:1〜0.4:1である。これらのコポリマー類は、線状又は分枝状のいずれかであることができる。
【0056】
本組成物は、平均分子量が5,000〜400,000、好ましくは5,000〜200,000、より好ましくは5,000〜50,000であるポリビニルピロリドン(「PVP」)も用いてよい。PVPは、洗剤分野の当業者に既知である;例えばEP−A−262,897及びEP−A−256,696参照。PVPを含有する組成物は、平均分子量が500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000であるポリエチレングリコールも含有できる。好ましくは、PEG対PVPの比は、洗浄溶液中に放出されるppmベースで、2:1〜50:1、より好ましくは3:1〜10:1である。
【0057】
D.コアセルベート相形成ポリマー及び陽イオン性付着助剤
本発明の液体洗濯洗剤組成物は、いかなるコアセルベート相形成ポリマー及びいかなる陽イオン性付着助剤も本質的に含んではならない。「本質的に含まない」は、いかなるコアセルベート相形成ポリマー及びいかなる陽イオン性付着助剤も組成物の約0.01重量%未満、好ましくは約0.005重量%未満、より好ましくは約0.001重量%未満、最も好ましくは完全に又はまったく含まないことを意味する。
【0058】
本発明の目的で、コアセルベート相形成ポリマーは、組成物の構成成分のいずれかと反応、相互作用、複合又はコアセルベートしてコアセルベート相を形成するいかなるポリマー材料でもある。語句「コアセルベート相」は、L.ピクレル(Piculell)及びB.リンドマン(Lindman)著、コロイド界面科学の進歩(Adv.Colloid Interface Sci.)、41(1992年)並びにB.ジョンソン(Jonsson)、B.リンドマン(Lindman)、K.ホルムベルグ(Holmberg)及びB.クロンバーブ(Kronberb)著、「水溶液中の界面活性剤及びポリマー(Surfactants and Polymers In Aqueous Solution)」、ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley & Sons)、1998年に開示されているような、当業者に既知のすべての種類の分離ポリマー相を含む。コアセルベーションのメカニズム及びそのすべての具体的な形態は、「水性媒質中の界面張力(Interfacial Forces in Aqueous Media)」、C.J.ファン・オス(C.J.van Oss)、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、1994年、245〜271頁に、完全に記載されている。「コアセルベート相」という語句を使用する時には、このような用語は、時として文献で「複合コアセルベート相」又は「関連相分離(associated phase separation)」を指すことがあることを理解すべきである。
【0059】
同じく本発明の目的で、陽イオン性付着助剤は、陽イオン性の官能性置換基を有し、洗濯作業中に1以上の布地ケア剤の布地への付着を増強又は推進する役目を果たすポリマーである。すべてではないが多くの陽イオン性付着助剤は、コアセルベート相形成ポリマーでもある。陽イオン性付着助剤がコアセルベートを形成してもしなくても、又はコアセルベート相形成ポリマーが付着助剤として作用してもしなくても、これらの2つのポリマー種のいずれも本発明の洗剤組成物中に多量に存在することはできない。
【0060】
典型的なコアセルベート相形成ポリマー類及びいかなる陽イオン性付着助剤も、ホモポリマーであるか、2つ以上のモノマー種から形成される。ポリマーの分子量は、一般に5,000〜10,000,000、典型的には少なくとも10,000、より典型的には100,000〜2,000,000の範囲となる。コアセルベート相形成ポリマー類及びいかなる陽イオン性付着助剤も、典型的には、組成物の使用目的のpHで、少なくとも約0.2meq/gの陽イオン電荷密度を有し、このpHは一般にpH3〜pH9、より一般的にはpH4〜pH8の範囲である。除外される又は最少にされるコアセルベート相形成ポリマー類及びいずれかの陽イオン性付着助剤は、典型的には天然又は合成由来であり、置換及び非置換ポリ四級アンモニウム化合物、陽イオン性に変性された多糖類、陽イオン性に変性された(メタ)アクリルアミドポリマー類/コポリマー類、陽イオン性に変性された(メタ)アクリレートポリマー類/コポリマー類、キトサン、四級化されたビニルイミダゾールポリマー類/コポリマー類、ジメチルジアリルアンモニウムポリマー類/コポリマー類、ポリエチレンイミン系ポリマー類、陽イオン性グアーガム類、及びこれらの誘導体類並びにこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0061】
これらのポリマー類は四級アンモニウム若しくはプロトン化アミノ基、又はこれらの組み合わせのような、陽イオン性窒素含有基を有してもよい。この陽イオン窒素含有基は、一般には陽イオン性ポリマーの全モノマー単位の一部分に置換基として存在する。したがって、ポリマーがホモポリマーでない場合には、該ポリマーは、間隔をあける非陽イオン性モノマー単位(spacing non-cationic monomer units)を含有することが多い。このようなモノマー類は、CTFA化粧品成分要覧(CTFA Cosmetic Ingredient Directory)、第7版に記載されている。
【0062】
除外される又は最少にされるコアセルベート相形成陽イオン性ポリマー類の非限定例としては、陽イオン性プロトン化アミン又は四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマー類と、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル及びジアルキルアクリルアミド類、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド類、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカプロラクトン並びにビニルピロリジンのような水溶性スペーサーモノマー類とのコポリマー類が挙げられる。アルキル置換モノマー及びジアルキル置換モノマーは、典型的にはC〜Cアルキル基、より典型的にはC〜Cアルキル基を有する。他のスペーサーとしては、ビニルエステル類、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコール及びエチレングリコールが挙げられる。
【0063】
除外される又は最少にされるその他のコアセルベート相形成陽イオン性ポリマーとしては、例えば次のものが挙げられる:a)1−ビニル−2−ピロリジンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩(例えば塩化物塩(chloride alt))とのコポリマー類(当産業界では米国化粧品工業会(CTFA)によりポリクオタニウム−16と称される)。この物質は、バスフ・ワイアンドット社(BASF Wyandotte Corp)からルビクワット(LUVIQUAT)の商品名で市販されている(例えばルビクワットFC370);b)1−ビニル−2−ピロリジンとジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー類(当産業界(CTFA)ではポリクオタニウム−11と称される)。この物質は、グラフ社(Graf Corporation)(米国ニュージャージー州ウェイン(Wayne))からガフクワット(GAFQUAT)の商品名で市販されている(例えばガフクワット755N);c)例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウムホモポリマー及びアクリルアミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウムとのコポリマー類(当産業界(CTFA)ではそれぞれポリクオタニウム6及びポリクオタニウム7と称される)を含む陽イオン性ジアリル四級アンモニウム含有ポリマー類;d)3〜5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸類のホモポリマー類及びコポリマー類のアミノアルキルエステル類の鉱酸塩類(米国特許第4,009,256号に記載されているようなもの);e)アクリル酸と塩化ジメチルジアリルアンモニウムとのコポリマー類(当産業界ではCTFAによりポリクオタニウム22と称される)、アクリル酸の塩化ジメチルジアリルアンモニウム及びアクリルアミドとのターポリマー類(当産業界ではCTFAによりポリクオタニウム39と称される)、並びにアクリル酸の塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム及びメチルアクリレートとのターポリマー類(当産業界ではCTFAによりポリクオタニウム47と称される)を含むアクリル酸の両性コポリマー類。
【0064】
除外される又は最少にされるその他のコアセルベート相形成ポリマー類及び陽イオン性付着助剤としては、陽イオン性セルロース及びその誘導体、陽イオン性デンプン及びその誘導体、並びに陽イオン性グアーガム類及びその誘導体のような、陽イオン性多糖ポリマー類が挙げられる。
【0065】
陽イオン性多糖類ポリマー類としては、次式のものが挙げられる:
A−O−[R−N(R)(R)(R)]X
式中、Aは、デンプンのような無水グルコース残基又セルロース無水グルコース残基であり、Rはアルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、若しくはヒドロキシアルキレン基、又はこれらの組み合わせであり;R、R及びRは独立してアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、又はアルコキシアリールを表し、各基は18個までの炭素原子を含む。それぞれの陽イオン性部分の炭素原子の総数(すなわちR、R及びRにおける炭素原子の合計)は、典型的には20個以下であり、Xは以上に記載されるような陰イオン性対イオンである。
【0066】
商業的に利用される陽イオン性多糖類ポリマーの特定の種類は、米国特許第4,298,494号に記載されている陽イオン性ポリガラクトマンナンガム誘導体類のような陽イオン性グアーガム誘導体であり、これはローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)よりジャガー(JAGUAR)の商標名シリーズで市販されている。好適な物質の例は、次式のヒドロキシプロピル塩化トリモニウムであり:
【化5】

式中、Gはグアーガムを表し、Xは以上に記載されているように陰イオン性対イオン、典型的には塩化物である。このような物質はジャガー(JAGUAR)C−13−Sの商品名で入手可能である。ジャガー(C−13−S)においては、陽イオン電荷密度は0.7meq/gである。類似の陽イオン性グアーガム類はまた、アクアロン(AQUALON)よりN−ハンス(N-Hance)(登録商標)3196及びガラクトソル(Galactosol)(登録商標)SP813Sの商品名で入手可能である。
【0067】
「化粧品及びパーソナルケアにおけるポリマー科学と技術の原理(Principles of Polymer Science and Technology in Cosmetics and Personal Care)」、ゴッダード(Goddard)及びグルーバー(Gruber)、特に260〜261頁を参照すると、除外される又は最少とされるべき合成陽イオン性ポリマー類のさらなるリストを見付けることができる。
【0068】
E.任意の組成物構成成分
本発明の組成物は、液体キャリア、泡抑制剤、蛍光増白剤、安定剤、カップリング剤、布地直接香料、キレート化剤、陽イオン性窒素含有洗浄性界面活性剤、プロ香料、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、酵素安定化系、汚れ放出ポリマー、分散剤又は高分子有機ビルダー(水溶性ポリアクリレート類、アクリレート/マレエートコポリマー類等を含む)、染料、着色剤、硫酸ナトリウムのような充填剤塩、ヒドロトロープ類(例えばトルエンスルホネート類、クメンスルホネート類及びナフタレンスルホネート類)、光活性化剤、加水分解可能な界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、収縮防止剤、しわ防止剤、殺菌剤、殺真菌剤、カラースペックル(color speckles)、着色ビーズ、球体又は押出品、日焼け止め剤、フッ素化化合物、粘土、パールエッセンス剤、発光剤又は化学発光剤、腐食防止剤及び/又は器具保護剤、アルカリ性供給源又はその他のpH調整剤、可溶化剤、キャリア、加工助剤、顔料、フリーラジカルスカベンジャー、並びにpH制御剤のような1以上の任意の組成物構成成分を任意に含んでもよい。好適な物質には、米国特許第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,698,504号、同第5,695,679号、同第5,686,014号及び同第5,646,101号に記載のものが挙げられる。
【0069】
(液体洗剤組成物の調製方法)
本発明の液体洗剤組成物は、いかなる好適な方式でも調製することができ、概して、当業者に既知であるようにいずれかの順番で組み合わせ又は添加することが必要となり得る。
【0070】
非ケラチン性基材の処理方法及び形成に関する本発明の組成物の使用−
本明細書で使用する時、用語「非ケラチン性基材」とは、本発明の組成物によって本明細書に記載した布地ケア効果の1以上を付与させることができる、織物基材、好ましくは繊維、より好ましくは布地又は衣類を意味する。ヒト及び/又は他の動物の体毛及び柔毛のようなケラチン性基材は明白に除外される。特定の状況においては、羊毛及び絹のような基材をケラチン性とみなすことができることが理解されるが、本発明の目的では、用語「非ケラチン性基材」はこれらの2つの特定の基材を含む。
【0071】
付着したシリコーンの量は、好ましくは非ケラチン性基材1g当たり少なくとも0.001mgのシリコーン、より好ましくは非ケラチン性基材1g当たり0.1mgのシリコーン〜非ケラチン性基材1g当たり500mgのシリコーン、更により好ましくは非ケラチン性基材1g当たり0.125mgのシリコーン〜非ケラチン性基材1g当たり10mgのシリコーン、最も好ましくは非ケラチン性基材1g当たり0.150mgのシリコーン〜非ケラチン性基材1g当たり1.0mgのシリコーンである。付着したシリコーンブレンドの量は、オランダのフィリップス・エレクトロニクス社(Philips Electronics N.V.)からのX線蛍光分光器(X-Ray Fluorescence Spectroscope)PW2404を用いて、X線蛍光分光法によって測定されることができる。
【実施例】
【0072】
以下の非限定的な例は、本発明を例示するものである。別途明記しない場合、百分率は重量によるものである。
【0073】
本発明の目的のためには、粘度はカリムド(Carrimed)CSL2レオメータを用いてせん断速度21s−1で測定される。
【0074】
粒径測定は、コールター社(Coulter Corporation)(米国フロリダ州マイアミ33196(Miami,Florida,33196,USA))からのコールター(Coulter)LS230レーザー回折粒径分析器(Laser Diffraction Particle Size Analyser)を使用して、又はニコン(Nikon)(登録商標)社(日本、東京)が製造した顕微鏡;型式ニコン(Nikon)(登録商標)E−1000(拡大700×)を使用して顕微鏡法によって実施された。粒径は、平均値及び中央値のパラメータを使用して、体積加重%モードで測定される。
【0075】
(実施例)
最終的な液体洗濯洗剤組成物は、予め形成されたシリコーンブレンド(これは任意に乳化剤で乳化される)と、少なくとも1つの界面活性剤及び更に少なくとも1つの追加の非シリコーン洗濯補助剤とを組み合わせることによって配合される。界面活性剤及び洗濯補助剤は、任意に乳化された、予め形成されたシリコーンブレンドと組み合わせる前に任意にプレミックスされてもよい。
【0076】
布地洗浄プレミックスA1、A2及びA3:
【表1】

(1)マーリパル(Marlipal)1415/8.1(セイソル(Sasol)より)
(2)ネオドール(Neodol)23−9(シェル(Shell)より)
(3)C12〜C14アルキルジメチルアミンオキシド(P&Gより)(水中31%活性溶液として供給される)
【0077】
シリコーンブレンドB1〜B4:
シリコーンブレンド(ブレンドB1)の調製:15.0gのGE(登録商標)SF1923を45.0gのPDMS0.6m/s(20℃で600,000センチストークス;GE(登録商標)Visc−600M)に添加し、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター(IKA Labortechnik Eurostar)出力調節−粘度ラボミキサー)で少なくとも1時間混合する。
【0078】
シリコーンブレンド(ブレンドB2)の調製:15.0gのワッカー・フィニッシュ(Wacker Finish)(登録商標)WR1100を、45.0gのPDMS0.6m/s(20℃で600,000センチストークス;GE(登録商標)Visc−600M)に添加し、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター出力調節−粘度ラボミキサー)で少なくとも1時間混合する。
【0079】
5.0gのネオドール(Neodol)23−9(シェル(Shell)より)(C12〜C13EO9非イオン性乳化剤)(35℃で保管される)を、25gの脱塩水に35℃で添加し、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター出力調節−粘度ラボミキサー)で15分間攪拌する。
【0080】
17.1gのネオドール(Neodol)23−9(シェル(Shell)より)+水の組み合わせを、40.0gのワッカー・フィニッシュ(Wacker Finish)(登録商標)WR1100+PDMS0.6m/sブレンドに添加する。該組み合わせを、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター出力調節−粘度ラボミキサー)を使用して低速(21rad/s(200RPM))で45分間攪拌する。
【0081】
シリコーンブレンド(ブレンドB3)の調製:15.0gのワッカー・フィニッシュ(Wacker Finish)(登録商標)WR1100を、45.0gのPDMS0.6m/s(20℃で600,000センチストークス;GE(登録商標)Visc−600M)に添加し、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター出力調節−粘度ラボミキサー)で少なくとも1時間混合する。
【0082】
0.7gのプランタレン(Plantaren)2000N UP アルキルポリグルコシド界面活性剤(コグニス社(Cognis Corporation)より)(50%活性)を29.3gの脱塩水に添加し、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター出力調節−粘度ラボミキサー)で15分間攪拌する。
【0083】
17.1gのプランタレン(Plantaren)2000N UP アルキルポリグルコシド+水の組み合わせを、40.0gのワッカー・フィニッシュ(Wacker Finish)(登録商標)WR1100+PDMS0.6m/sブレンドに添加する。該組み合わせを、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター出力調節−粘度ラボミキサー)を使用して低速(21rad/s(200RPM))で45分間攪拌する。
【0084】
シリコーンブレンド(ブレンドB4)の調製:30.0gのGE(登録商標)SF1923を30.0gのPDMS0.6m/s(20℃で600,000センチストークス;GE(登録商標)Visc−600M)に添加し、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター出力調節−粘度ラボミキサー)で少なくとも1時間混合する。
【0085】
12.5gのC12〜C14ジメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド(クラリアント(Clariant)より)(40%活性)を、50gのGE(登録商標)SF1923+PDMS0.6m/sブレンドに添加する。該組み合わせを、通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター出力調節−粘度ラボミキサー)を使用して30分間攪拌する。続いて、37.5gの脱塩水を添加し、該組み合わせを通常の実験用ブレードミキサー(型:IKAラボテクニック・ユーロスター出力調節−粘度ラボミキサー)を使用して低速(21rad/s(200RPM))で更に45分間攪拌する。
【0086】
(最終的な洗剤組成物)
最終的な液体洗剤組成物を形成するための2つのプレミックスの組み合わせA1及びB1(エントリー1)又はA1及びB2(エントリー2)又はA1及びB3(エントリー3)又はA1及びB4(エントリー4)又はA2及びB1(エントリー5)又はA2及びB2(エントリー6)又はA2及びB3(エントリー7)又はA2及びB4(エントリー8)又はA3及びB1(エントリー9)又はA3及びB2(エントリー10)又はA3及びB3(エントリー11)又はA3及びB4(エントリー12):
30.0gのプレミックスB1を1500gのプレミックスA1又はA2又はA3のいずれかに添加し、通常の実験用ブレードミキサーで52rad/s(500RPM)で30分間攪拌する。
【0087】
42.9gのプレミックスB2又はB3又はB4のいずれかを1500gのプレミックスA1又はA2又はA3のいずれかに添加し、通常の実験用ブレードミキサーで31rad/s(300RPM)で15分間攪拌する。
【0088】
ブレンドB1、B2、B3又はB4のすべてについてA1、A2又はA3製品中の平均粒径は10μm〜50μmの範囲である。
【0089】
組成物エントリー1〜12の液体洗濯洗剤組成物はすべて、完全に配合された組成物として並びに洗濯サイクル中の希釈された形態で、卓越した製品安定性を示す。組成物エントリー1〜12の液体洗剤組成物はすべて、布地が中に入れられた後従来の様式で洗濯される自動洗濯機のドラムに加えた場合において、優れた布地洗浄及び布地ケアの性能を提供する。
【0090】
任意の陽イオン性付着助剤の存在下及び任意のコアセルベート相形成ポリマーの存在下で観察される白色度の低下は、大幅に少なくなり、好ましくは排除される。本発明の組成物を、特に共に使用した時、移染が最小限で良好な色維持性能が観察される。
【0091】
エントリー1〜12の組成物は、この組成物で処理された布地に付与される布地柔軟化効果に関して特に有利であり;このことは、着色された布地に対して特に当てはまり、このような布地では、観察される布地柔軟化効果は白色の布地に提供される布地柔軟化効果と比較して、より一層高まる。エントリー1、2、3、10、11及び12の例の組成物も、それで処理された布地にもたらされる耐磨耗効果及び毛玉防止効果に関して有利である。エントリー1、2、3、10、11及び12の組成物は、それで処理された布地に付与される色ケア効果に関して特に有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭洗浄条件下で非ケラチン性基材を処理するための液体洗濯洗剤組成物であって、
(A)陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つの界面活性剤;
(B)非官能化シリコーンと官能化シリコーンとを含むシリコーンブレンド;並びに
(C)洗剤ビルダー、洗浄性酵素、移染抑制剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、少なくとも1つの追加の非シリコーン洗濯補助剤
を含み、その際、該組成物が更に、いかなるコアセルベート相形成ポリマーも本質的に含まず、いかなる陽イオン性付着助剤も本質的に含まない、組成物。
【請求項2】
本質的に含まないが、いかなるコアセルベート相形成ポリマー及びいかなる陽イオン性付着助剤も組成物の0.01重量%未満、好ましくは0.005重量%未満、より好ましくは0.001重量%未満であり、最も好ましくは含まないことを意味する、請求項1に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項3】
前記非官能化シリコーンが、非イオン性の、架橋していない、窒素を含まないシリコーンポリマーである、請求項1又は2に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項4】
前記非官能化シリコーンが、0.01m/s(20℃で10,000センチストークス)〜2.0m/s(20℃で2,000,000センチストークス)、好ましくは0.1m/s(20℃で100,000センチストークス)〜1.0m/s(20℃で1,000,000センチストークス)、より好ましくは0.3m/s(20℃で300,000センチストークス)〜0.8m/s(20℃で800,000センチストークス)、最も好ましくは0.55m/s(20℃で550,000センチストークス)〜0.7m/s(20℃で700,000センチストークス)の粘度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項5】
前記官能化シリコーンが、アミノ官能化シリコーンポリマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項6】
前記官能化シリコーンが、0.01%〜1%、好ましくは0.05%〜0.5%の範囲のアミン/アンモニウム官能性%を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項7】
前記官能化シリコーンが、0.0001m/s(20℃で100センチストークス)〜2.0m/s(20℃で2,000,000センチストークス)、好ましくは0.01m/s(20℃で10,000センチストークス)〜0.1m/s(20℃で100,000センチストークス)、最も好ましくは0.02m/s(20℃で20,000センチストークス)〜0.08m/s(20℃で80,000センチストークス)の粘度を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項8】
前記官能化シリコーンが、0.0001m/s(20℃で100センチストークス)〜0.02m/s(20℃で20,000センチストークス)、好ましくは0.002m/s(20℃で2,000センチストークス)〜0.01m/s(20℃で10,000センチストークス)、より好ましくは0.004m/s(20℃で4,000センチストークス)〜0.006m/s(20℃で6,000センチストークス)の粘度を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項9】
前記シリコーンブレンド内に非官能化シリコーン及び官能化シリコーンが100:1〜1:100、好ましくは25:1〜1:5、より好ましくは20:1〜1:1、最も好ましくは15:1〜2:1の重量比で存在する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項10】
前記シリコーンブレンドが、乳化剤、好ましくは陽イオン性乳化剤、非イオン性乳化剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される乳化剤で乳化される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項11】
乳化されているか又は乳化されていないかのいずれかの前記シリコーンブレンドが、1μm〜500μm、好ましくは5μm〜100μm、より好ましくは10μm〜50μmの平均粒径を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項12】
前記界面活性剤が、組成物の10重量%〜80重量%、好ましくは20重量%〜60重量%、より好ましくは25重量%〜45重量%の濃度で存在する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項13】
前記シリコーンブレンドが、組成物の0.05重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5.0重量%、より好ましくは0.25重量%〜3.0重量%、最も好ましくは0.5重量%〜2.0重量%の濃度で存在する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの安定剤を更に含み、これが好ましくは結晶性ヒドロキシル含有安定剤、より好ましくはトリヒドロキシステアリン類、硬化油類、その誘導体類及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物で処理された非ケラチン性基材であって、このような処理された非ケラチン性基材上に本発明の液体洗濯洗剤組成物によって提供される所定量のシリコーンブレンドが付着され、その際、付着したシリコーンの量が、好ましくは非ケラチン性基材1g当たり少なくとも0.001mgのシリコーン、より好ましくは非ケラチン性基材1g当たり0.1mgのシリコーン〜非ケラチン性基材1g当たり500mgのシリコーン、更により好ましくは非ケラチン性基材1g当たり0.125mgのシリコーン〜非ケラチン性基材1g当たり10mgのシリコーン、最も好ましくは非ケラチン性基材1g当たり0.150mgのシリコーン〜非ケラチン性基材1g当たり1.0mgのシリコーンである、非ケラチン性基材。

【公表番号】特表2007−530711(P2007−530711A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518939(P2006−518939)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/022101
【国際公開番号】WO2005/007790
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】