説明

液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法

【課題】より高精度な両面印刷を行うことができるようにした、液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法を提供する。
【解決手段】 帯電した液体トナーにより静電潜像の現像を行い、中間転写体2と、液体トナーを吸引するためのバイアス電圧が印可されたバックアップローラ3とのニップ部N1において被印刷物Sの第1面、第1面の反対側の面である第2面の順に中間転写体2上の液体トナーを転写して両面印刷を行う液体現像電子写真方式の両面印刷機50であって、被印刷物Sの第2面に液体トナーが転写される前に、被印刷物の想定乾燥度に基づいて定めた第1加熱量で第1面を加熱して定着させる第1トナー定着手段5と、第1加熱量よりも大きい加熱量に定められた第2加熱量で第2面を非接触状態で加熱して定着させる第2トナー定着手段5とを有して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体のキャリアに分散したトナーを用いて印刷を行う液体現像電子写真方式で被印刷物の両面に印刷を行う液体現像電子写真方式の両面印刷機及び液体現像電子写真方式による両面印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、帯電した熱可塑性樹脂及び色素(顔料等)によって構成されトナーが液体現像剤(キャリア)内に分散された液体トナーを用いて感光体に形成された静電潜像を現像し、液体トナーを被印刷物の表面に転写し、転写された液体トナー中のトナーを被印刷物に定着させることにより印刷を行う方式(以下、液体現像電子写真方式という)の印刷機が実用化されている。
【0003】
液体現像電子写真方式の印刷機は、液体トナーを用いない乾式の電子写真装置と比較して、粒子径が大幅に小さいトナーであってもトナーの飛散などの不具合が生じることなく良好に用いることができるという利点がある。粒子径が小さいトナーを用いて印刷を行うことにより、色調品質が向上することができるのに加え、被印刷物(例えば印刷シート)の質感を反映させることができる等、印刷品質が大幅に向上するという利点がある。
【0004】
このような液体現像電子写真方式の印刷機は、一般に、一対の定着ローラにより被印刷物に転写された液体トナーを加熱及び加圧することで、被印刷物上の液体トナー中のキャリアを蒸発させるとともにトナーを溶融させて被印刷物の表面に定着(固定)させるトナー定着部を有している(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の技術のように一対の定着ローラにより液体トナーを加熱及び加圧するように構成すれば、被印刷物上において加熱により液体トナー中のトナーを溶融させた上で溶融したトナーを被印刷物に押し付けることができるので、トナーを定着させるとともに被印刷物表面のトナーの定着面が均されて良好な印刷面を得ることができる。
【特許文献1】特開2007−171529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような液体現像電子写真方式によって両面印刷を行う場合には、以下のような課題がある。
図8は、本発明の創案過程において得られた液体現像電子写真方式による両面印刷機の概略構成を示す図である。
図8に示すように、両面印刷機100は、給紙部151,印刷部152及び排紙部153を有して構成されており、印刷部151は、4つの現像ユニット101A〜101D,中間転写体102,バックアップローラ103,搬送ローラ群104,一対の定着ローラ105,スイッチ機構106,シート反転機構107及び反転経路108を有して構成されている。
【0006】
そして、各現像ユニット101A〜101Dにおいて、液体トナーによって現像された像が中間転写体102の周面に転写される。
一方、中間転写体102とバックアップローラ103とは互いに接してニップ部Nを形成している。また、バックアップローラ103には、液体トナーを引き寄せるためのバイアス電圧が印可されている。
【0007】
そして、印刷シート(被印刷物)Sがニップ部Nを通過する際に、中間転写体102とバックアップローラ103との加圧とバックアップローラ103のバイアス電圧とにより、中間転写体102の周面上の液体トナーが印刷シートSの上面(印刷面)に転写されるようになっている。
したがって、給紙部151から給紙された印刷シートSはニップ部において、まず片方の面(第1面)に液体トナーが転写され、搬送ローラ104を経て一対の定着ローラ105により印刷シートSの印刷面(第1面)上の液体トナーが加熱及び加圧されて液体トナー中のトナーを溶融させ印刷シートSの第1面に定着される。
【0008】
そして、一対の定着ローラ105により第1面の液体トナーが定着された印刷シートSはスイッチ機構106により、シート反転機構107へと導かれる。
シート反転機構107に導かれた印刷シートSは、一旦、シート搬送経路の行き止まり部分に一旦保持された後、反対方向にスイッチバックして搬送され、印刷シートSを反転経路108側へと搬送される。そして、反転経路108を経て再び中間転写体102とバックアップローラ103とのニップ部Nに到達する。このとき、ニップ部Nにおいて中間転写体102に接触する面は第1面の反対側の面である第2面となる。
【0009】
印刷シートSは、ニップ部Nにおいて第2面上に液体トナーが転写され搬送ローラ104を経て一対の定着ローラ105により印刷シートSの印刷面(第2面)上の液体トナーが加熱及び加圧されて液体トナー中のトナーを溶融させ印刷シートSの第2面に定着される。
そして、両面の液体トナーが定着された印刷シートSはスイッチ機構106を経て排紙部153側へ排紙されて両面印刷が完了する。
【0010】
しかしながら、図8を用いて説明した両面印刷機100において、特許文献1のごとく一対の定着ローラ105により印刷シートSの第1面に十分に液体トナーを定着させると、印刷シートSが過度に乾燥してしまい、ニップ部Nにおける第2面への液体トナーの転写性が低下して第2面の印刷品質が低下してしまうという不都合が生じる。
これは、印刷シートSの通常時の水分含有率の場合、印刷シートSの表面抵抗率は約107〜108[Ω/m2]程度であるが、印刷シートSが過度に乾燥した場合には、印刷シートSの表面抵抗率が約1010[Ω/m2]程度にまで達し、バックアップローラ103のバイアス電圧による液体トナーの静電転写を阻害するためである。
【0011】
しかし、印刷シートSの第1面の液体トナー定着の際に印刷シートSの過度な乾燥を起こさない程度に一対の定着ローラ105による加熱量を調整して定着を行うと、液体トナーの印刷シートSへの定着が十分でないため、第1面側の液体トナーの溶融が不十分で一対の定着ローラ105側に転写されるいわゆる低温オフセットと呼ばれる現象が生じ、印刷品質の低下の原因となる。
【0012】
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、被印刷物に対するトナーの転写不良等を防止して、より高精度な両面印刷を行うことができるようにした、液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するために、本発明の液体現像電子写真方式の両面印刷機液体現像電子写真方式の両面印刷機(請求項1)は、帯電した粒子状のトナーが液体のキャリア中に分散されている液体トナーを静電潜像の形成された感光体上に転写して現像を行う現像ユニットと、上記現像ユニットにより現像された上記液体トナーを転写する中間転写体と、上記中間転写体と接することによりニップ部を形成するとともに上記液体トナーを吸引するためのバイアス電圧が印可されたバックアップローラと、を有し、上記ニップ部において枚葉状の被印刷物の第1面及び上記第1面の反対側の面である第2面の順に上記中間転写体上の液体トナーを転写することで両面印刷を行う液体現像電子写真方式の両面印刷機であって、上記被印刷物の上記第2面に上記液体トナーが転写される前に、上記被印刷物の上記第1面に転写された上記液体トナーを定着させるべく定着後の上記被印刷物の想定乾燥度に基づいて予め定められた所定の第1加熱量で上記第1面を加熱する第1トナー定着手段と、上記液体トナーが転写された上記被印刷物の上記第2面を非接触状態で加熱して定着させるべく上記第1加熱量よりも大きい加熱量であって予め定められた第2加熱量で加熱する第2トナー定着手段と、を有していることを特徴としている。
【0014】
また、上記第1トナー定着手段の下流側には、上記被印刷物の上記第1面に上記液体トナーを転写した中間転写体に再び上記被印刷物を搬送する還流経路と、上記還流経路を搬送される上記被印刷物の表裏を反転させて上記中間転写体と上記第2面とを接触させる反転手段と、が設けられていることが好ましい(請求項2)。
これにより、被印刷物の第1面に転写された液体トナーの定着後、被印刷物の表裏を反転させるとともに上で被印刷物の第1面に液体トナーを転写した中間転写体に被印刷物を搬送するので、被印刷物の第1面及び第2面に液体トナーを転写する中間転写体及びバックアップローラを共有することができ、両面印刷機の寸法をコンパクトに構成することができる。
【0015】
また、上記反転手段は、上記被印刷物を一時収納する被印刷物収納部と、上記被印刷物を上記被印刷物収納部側に導く被印刷物収納部側ガイドローラと、上記被印刷物を上記第1面に上記液体トナーを転写した上記還流経路側に導く還流経路側ガイドローラと、上記被印刷物収納部側ガイドローラから上記被印刷物収納部に上記被印刷物を搬送したのち、上記被印刷物収納部から被印刷物を反対方向に搬送して上記還流経路側ガイドローラへ搬送するスイッチバックローラと、を有していることが好ましい(請求項3)。
【0016】
これにより、被印刷物収納部に被印刷物を一旦収納した後、被印刷物を反対方向に搬送して、還流経路に導入することで、被印刷物の表裏を反転させるとともに上で被印刷物の第1面に液体トナーを転写した還流経路側に再び被印刷物を搬送することができる。
また、上記第1トナー定着手段よりも下流側には、上記被印刷物の1回目の通過時には上記被印刷物を上記反転手段側に導き、上記被印刷物の2回目の通過時には上記被印刷物を排紙する排紙経路側に導くスイッチング手段を有していることが好ましい(請求項4)。
【0017】
被印刷物の第1面に転写された液体トナーの定着後には、被印刷物を確実に反転手段側に導くことで、第2面への液体トナーの転写が行われるとともに、第2面に転写された液体トナーの定着後には、被印刷物を確実に排紙経路側に導くことで、被印刷物の両面に確実に印刷が行われるとともに、既に印刷された面にさらに印刷が行われることを防止することができる。
【0018】
また、上記第1トナー定着手段及び上記第2トナー定着手段は、いずれも上記液体トナーが転写された上記被印刷物に閃光を照射することにより上記被印刷物を加熱する閃光照射装置を有していることが好ましい(請求項5)。
被印刷物に閃光を照射することにより、被印刷物を非接触で瞬時に昇温させることができ、液体トナー中のキャリアを蒸発させるとともにトナーを溶融させて被印刷物に効果的に定着させることができる。また、閃光により昇温させることで熱源の過照射による被印刷物の過度の昇温を防止することができる。
【0019】
また、上記第1トナー定着手段と上記第2トナー定着手段とは上記閃光照射装置を共有するように構成されていることが好ましい(請求項6)。
これにより、被印刷物の第1面及び第2面の定着に用いる閃光照射装置を共有することができ、両面印刷機の寸法をコンパクトに構成することができる。
また、上記閃光照射装置よりも被印刷物の搬送方向上流側には上記被印刷物をそれぞれ予め昇温させる被印刷物予加熱手段を有していることが好ましい(請求項7)。
【0020】
一般に、閃光照射装置は消費する被印刷物の昇温にかかるエネルギ効率が比較的良好でなく、ランニングコストの増大の要因となるが、閃光照射装置によって被印刷物を昇温させる前に、よりエネルギ効率のよい被印刷物予加熱手段によって被印刷物を予加熱しておくことで、閃光照射装置の出力を低減しても十分に液体トナーを定着させることができ、装置全体としてのランニングコストを低下させることができる。
【0021】
また、上記第2トナー定着手段よりも下流側には、上記被印刷物を加熱及び加圧する一対の加熱ニッピングローラが設けられていることが好ましい(請求項8)。
第1トナー定着手段及び第2トナー定着手段により、定着した被印刷物を加熱及び加圧することにより、被印刷物の第1面及び第2面に対する液体トナーの定着性をさらに向上させ、印刷品質を向上させることができる。
【0022】
また、上記被印刷物の両端部を把持した状態で搬送するチェーングリッパを有し、上記被印刷物は上記チェーングリッパに把持された状態で上記第2トナー定着手段を通過するように構成されていることが好ましい(請求項9)。
例えば、搬送ローラや搬送ベルトによって、第2トナー定着手段に被印刷物を搬送した場合には、第2トナー定着手段において被印刷物が加熱される際の熱により、被印刷物の第1面のトナーが溶融等することによって、第1面のトナーが搬送ローラや搬送ベルトに再転写される低温オフセットが生じる虞があるが、被印刷物が両端のみを把持された状態で搬送されるので、第2トナー定着手段において被印刷物が加熱された場合でも、被印刷物の第1面側が接触する場所がないため、低温オフセットを確実に防止することができる。
【0023】
また、本発明の液体現像電子写真方式による両面印刷方法(請求項10)は、帯電した粒子状のトナーが液体のキャリア中に分散されている液体トナーを静電潜像の形成された感光体上に転写して現像を行い、現像された上記感光体上の上記液体トナーを中間転写体に転写し、上記液体トナーを吸引するためのバイアス電圧が印可されたバックアップローラと上記中間転写体とにより形成されるニップ部において上記中間転写体から枚葉状の被印刷物に上記液体トナーを転写して印刷を行う液体現像電子写真方式による両面印刷方法であって、上記被印刷物の片方の面である第1面に上記中間転写体とから上記液体トナーを転写する第1面転写ステップと、上記第1面転写ステップ実行後、定着後の上記被印刷物の想定乾燥度に基づいて予め定められた所定の第1加熱量で上記被印刷物の上記第1面を加熱して定着させる第1トナー定着ステップと、上記被印刷物の上記第1面の反対側の面である第2面に上記中間転写体から上記液体トナーを転写する第2面転写ステップと、上記第2面転写ステップ実行後、上記被印刷物の上記第2面を非接触状態で上記第1加熱量よりも大きい加熱量であって予め定められた第2加熱量だけ加熱して定着させる第2トナー定着ステップと、を有していることを特徴としている。
【0024】
また、上記第1トナー定着ステップと上記第2面転写ステップとの間には、上記被印刷物の上記第1面に上記液体トナーを転写した上記中間転写体に再び上記被印刷物を搬送するとともに、上記被印刷物の上記中間転写体と接触する面を反転させる被印刷物反転還流ステップを有していることが好ましい(請求項11)。
また、上記第1トナー定着ステップ及び上記第2トナー定着ステップはいずれも上記液体トナーが転写された上記被印刷物に閃光を照射して上記被印刷物の温度を昇温させる閃光照射ステップを有していることが好ましい(請求項12)。
【0025】
また、上記閃光照射ステップに先立って、上記液体トナーが転写された上記被印刷物を予め昇温させる被印刷物予加熱ステップを有していることが好ましい(請求項13)。
また、上記第2トナー定着ステップの実行後、一対の定着ローラにより上記被印刷物を加熱及び加圧する被印刷物加熱加圧ステップを有していることが好ましい(請求項14)。
【発明の効果】
【0026】
本発明の液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法によれば、被印刷物の第1面に転写された液体トナーを定着させる際に、被印刷物に含有される水分を過度に蒸発させることを防止することができるので、第1面上の液体トナーを少なくとも第2面の印刷を行うのに十分な程度に定着させることができるとともに、被印刷物の過度な乾燥による電気抵抗値の増大を防止して液体トナーの転写性を確保でき、第2面の液体トナーの転写不良を防止することができる。また、被印刷物第2面に転写された液体トナーを非接触で第1トナー定着手段よりも大きい加熱量で定着させるので、第2面に対して液体トナーを十分に定着できるとともに、第1面上の液体トナーの定着性までも向上させることができ、より高精度な両面印刷を行うことができる。
【0027】
さらに、被印刷物の第2面に転写された液体トナーを非接触で加熱し、被印刷物に定着させることができるので、被印刷物に接触して加熱したときに第1面の液体トナーが再び溶融して、例えば、加熱ローラ等に転写される低温オフセットを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態について説明する。図1〜図5はいずれも本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法を説明するためのものであって、図1はその概略構成を模式的に示す側面図、図2はチェーングリッパの構成を模式的に示す斜視図、図3はスイッチ機構の構成を模式的に示す図、図4は現像ユニットの構成を模式的に示す図、図5は本印刷機の動作手順を示すフローチャートである。
【0029】
(全体構成)
図1に示すように、両面印刷機(液体現像電子写真方式の両面印刷機)50は、給紙部51,印刷部52,排紙部53から構成されている。給紙部51は、枚葉紙である印刷シート(被印刷物)Sを1枚ずつ給紙トレイ51Aから印刷部52へと給紙するように構成されている。そして、印刷部52は、まず、給紙された印刷シートSの片方の面(第1面)に対して印刷を完了させて、その後、第1面の反対側の面(第2面)に対して印刷を行うことで、印刷シートSの両面(第1面,第2面)に対して印刷を行うように構成されている。
【0030】
排紙部53は印刷部52により両面印刷された印刷シートSを排紙トレイ53Aに排紙するように構成されている。なお、両面印刷機50の下部はキャスタ50Aが取り付けられており、両面印刷機50の移動を容易にできるように構成されている。
なお、両面印刷機50には、コンピュータ及び表示装置並びに入力端末を備えた制御装置60と信号線で接続されており、両面印刷機50の各部を制御信号により制御しうるように構成されている。なお、制御装置60を両面印刷機50に内蔵するように構成してもよい。
【0031】
(印刷部の概略構成)
本実施形態にかかる両面印刷機50はプロセスカラー印刷を行うことが可能に構成されており、印刷部52には、K(墨),C(藍),M(紅),Y(黄)のプロセスカラー各色に対応する4つの現像ユニット1A〜1Dが配設されている。
印刷部52は、各現像ユニット1A〜1D,中間転写体2,バックアップローラ3,チェーングリッパ4,トナー定着装置としての閃光照射装置(第1トナー定着手段,第2トナー定着手段)5,スイッチ機構(スイッチング手段)6,反転装置を構成する往復ガイドローラ(反転手段)7,スイッチバックローラ(反転手段)8,シート収納部(反転手段,被印刷物収納部)9,複数の搬送ローラ(還流経路)10及び一対の加熱ローラ(加熱ニッピングローラ)11を有して構成されている。
【0032】
各現像ユニット1A〜1Dは、それぞれ制御装置60から送信された画像データに基づいて、感光ドラム21上に静電潜像の形成し、静電潜像に対応する位置に液体トナー30(図4も参照)を感光ドラム21から中間転写体2に転写して中間転写体2の周面に転写されるように構成されている。なお、各現像ユニット1A〜1Dの詳細な構成については後述する。
【0033】
なお、液体トナー30は、電荷が負荷された熱可塑性素材と色素(顔料あるいは染料)とにより形成される粒子状のトナーが液体状のキャリア中に分散されて配合されたものであり、ここでは、キャリアとしてパラフィン系の溶液に、平均粒径1μm程度の粒子状のトナーが重量比で20〜40パーセント程度含有されたものを液体トナー30として用いている。
【0034】
中間転写体2とバックアップローラ3とは互いに当接しており、当接部分にニップ部(転写位置)N1が形成されている。
中間転写体2の周面は、例えば、ウレタン系導電性ゴムや導電性樹脂等で構成されており、中間転写体2には、例えば、−200〜−300V程度のバイアス電圧が印加されている。
【0035】
一方、バックアップローラ3は、中間転写体2へ対して所定の圧力、例えば、1〜13kg/cm程度で圧力を加えるように配設されて上述のニップ部N1を形成しており、中間転写体2とバックアップローラ3との間を搬送される印刷シートSを中間転写体2に押付ける機能を有している。
また、バックアップローラ3には、例えば、−800V程度の転写バイアスが印加されている。これにより、中間転写体2のバイアス電圧(−200〜−300V)との差によって液体トナー30をバックアップローラ3側へ吸引する力を与えて中間転写体2から印刷シートSへの液体トナー30の静電転写を促進するようになっている。
【0036】
このニップ部N1において中間転写体2から印刷シートSに液体トナー30による画像が転写されるようになっている。
なお、バックアップローラ3の周面には、複数の搬送ローラ1ーにより搬送された印刷シートSを掴み離しすることによって、再び、印刷シートSをニップ部N1に導くグリッパ3Aが設けられている。なお、グリッパ3Aのより具体的な動作については後述する。
【0037】
チェーングリッパ4は、図1,図2に示すように、無端状に構成された2本のチェーン4A,4Aが2本平行に並列して配設されている。
各チェーン4Aには、複数のグリッパ4Bが等間隔に取り付けられている。グリッパ4B間の間隔は、印刷シートSのシート搬送方向長さよりも短く設定されている。
グリッパ4Bは、印刷シートSの側端部を把持するように構成されており、図示しない掴み離し機構により、所定の搬送位置で印刷シートSを把持し、別の所定の位置で印刷シートSの把持を解除するようになっている。
【0038】
チェーングリッパ4による印刷シートSの搬送経路の上方には、閃光照射装置5が配設されている。
閃光照射装置5は、キセノンフラッシュランプ、メタルハライドランプ、クリプトンランプ、キセノン−水銀ランプ等によって構成されており、制御装置60からの信号に応じて閃光による加熱量Q及び加熱タイミングを調整可能に構成されている。
【0039】
そして、印刷シートSがチェーングリッパ4により、閃光照射装置5の下部を通過するタイミングに合わせて印刷シートSの上面(印刷面)に瞬間的に閃光を照射させ、印刷シートSに接触することなく(非接触で)印刷シートSを加熱可能に構成されている。
閃光照射装置5の制御構成について説明すると、制御装置60は、給紙部51から給紙された印刷シートSが1回目に閃光照射装置5の下部を通過する際には、印刷シートSの加熱量が、第1加熱量Q1となるように印刷シートSの印刷面(第1面)に閃光照射装置の出力を調整するようになっている。
【0040】
なお、第1加熱量Q1は、加熱による印刷シートSの乾燥により、印刷シートSの反対面(第2面)の表面抵抗率R[Ω/m2]が過度に大きくなり、印刷シートSの第2面に対する中間転写体2からの液体トナー30の転写性の悪化が生じないように、閃光照射装置5による加熱による定着後に想定される印刷シートSの想定乾燥度に基づいて予め実験等により定められた所定の実験等によって求めた値である。より具体的には、印刷シートSの第2面の表面抵抗率が約107〜108[Ω/m2]の範囲内となるように、第1加熱量
Q1が設定されている。
【0041】
また、制御装置60は、印刷シートSが2回目に閃光照射装置5の下部を通過する際には、印刷シートSの加熱量が、第1加熱量Q1よりも大きい加熱量である第2加熱量Q2(Q1<Q2)となるように印刷シートSの印刷面(第2面)に閃光照射装置5の出力を調整するようになっている。
この第2加熱量Q2は、印刷シートSの第2面上の液体トナー30を十分に溶融させ、印刷シートSの第2面に定着させるとともに、印刷シートSの第1面の液体トナーの定着までも促進するように予め実験等により求めた値である。
【0042】
以下、図3を参照して、反転手段としてのスイッチ機構6,往復ガイドローラ7,スイッチバックローラ8及びシート収納部9について説明する。なお、図3中一点鎖線は印刷シートSの搬送経路を示している。
スイッチ機構6は、印刷シートSの搬送方向を案内するための突起部であるガイド部6Aと、回転軸である軸6Bとを有して構成されており、軸6Bを中心に図示しない駆動装置により回転可能構成されている。
【0043】
そして、ガイド部6Aの位置を第1の位置(図3中破線で示す位置)と第2の位置(図3中実線で示す位置)とに切り換え可能となるように、スイッチ機構6の動作は制御装置60によって制御されるようになっている。
往復ガイドローラ7は、駆動ローラ7A,シート収納部側ガイドローラ(被印刷物収納部側ガイドローラ)7B及び還流経路側ガイドローラ7Cにより構成されている。
【0044】
駆動ローラ7Aは、図示省略のモータ等により常に同じ方向(図3では時計回り)に回転するように構成されており、それぞれ駆動ローラの回転角度150〜180度程度の間隔を有してシート収納部ガイドローラ7B及び還流経路側ガイドローラ7Cと接している。
シート収納部ガイドローラ7B及び還流経路側ガイドローラ7Cは、それぞれ駆動ローラにより従動するように構成されている。
【0045】
つまり、スイッチ機構6から往復ガイドローラ7側へ搬送された印刷シートSは、駆動ローラ7の回転駆動により、駆動ローラ7の周面をシート収納部側ガイドローラ7B側へと案内されてスイッチバックローラ8へと導かれるようになっている。
一方、スイッチバックローラ8から往復ガイドローラ7側へ搬送された印刷シートSは、駆動ローラ7の回転駆動により、駆動ローラ7の周面を還流経路側ガイドローラ7C側へと案内されて複数の搬送ローラ10側へと導かれるようになっている。
【0046】
スイッチバックローラ8は、一対の駆動ローラによって印刷シートSを把持し、搬送可能に構成されており、往復ガイドローラ7側から搬入された印刷シートSを保持しながら、印刷シートSの予め設定された必要長さ分Lだけシート収納部9に一時収納する。その後、印刷シートSを保持した状態でスイッチバックローラ8は反対方向に回転駆動し、保持する印刷シートSをシート収納部9から反対方向に搬送して往復ガイドローラ7側へ搬送するように構成されている。このスイッチバックローラ8の作動は制御装置60により制御されるようになっている。
【0047】
スイッチバックローラ8から往復ガイドローラ7に搬送された印刷シートSは、駆動ローラ7Aの周面の回転により還流経路側ガイドローラ7Cと駆動ローラとの間へと案内
され、複数の搬送ローラ10側へと導入されるようになっている。
即ち、往復ガイドローラ7の駆動ローラ7Aとシート収納部側ガイドローラ7Bとの間を通過後、一旦、シート収納部9に収納され、スイッチバックローラ8により再び往復ガイドローラ7の駆動ローラ7Aと還流経路側ガイドローラ7Cとの間を通過することにより、印刷シートSの表裏が反転するように構成されている。
【0048】
複数の搬送ローラ10は、それぞれ図3に示す方向に回転駆動して、印刷シートSをバックアップローラ3の周面のグリッパ3Aにまで搬送するようになっている。
そして、グリッパ3Aは、印刷シートSを掴んだ状態でバックアップローラ3の回転に応じて印刷シートSをニップ部N1直前まで搬送し、印刷シートSの把持を解除してからバックアップローラ3の内部に収納されるようになっている。
【0049】
このとき、既に印刷シートSは1回目のニップN1通過時とは表裏反転されているためニップ部N1においては中間転写体2と印刷シートSの第1面とは反対側の面である第2面が接触するようになっている。
つまり、印刷シートSの第1面に液体トナーを転写する中間転写体2及びバックアップローラ3とは印刷シートSの第2面に液体トナーを転写する中間転写体2及びバックアップローラ3とは共用されるように構成されている。また、印刷シートSの第1面に閃光を照射する閃光照射装置5と印刷シートSの第2面に閃光を照射する閃光照射装置5とは共用されるように構成されている。即ち、第1トナー定着手段と第2トナー定着手段とは1つの閃光照射装置5を共有するように構成されている。
【0050】
一対の加熱ローラ11は、スイッチ機構6よりも排紙部53側に設けられており、互いに表面温度が、適度に設定されており、印刷シートSが通過する際に一対のローラ11により互いに印刷シートSを加圧しうるニップ部N2が形成されている。
【0051】
(現像ユニットの構成)
ここで、各現像ユニット1A〜1Dに詳細な構成について説明する。なお、各現像ユニット1A〜1Dはトナーの色と中間転写体2に対する配置位置を除いては概ね同様に構成されているため、1つの現像ユニット(特に指定しない場合には以下、現像ユニット1と記載する)の構成についてのみ説明し、各現像ユニット1A〜1D毎の説明は省略する。
【0052】
現像ユニット1は、感光ドラム(感光体)21,クリーニングユニット22,除電器23,感光体帯電装置24,露光装置25及び現像装置26を有して構成されている。
感光ドラム21の周面には、アモルファスシリコン(a−Si)や感光性ポリマー等の感光剤を含んで形成された感光層21Aが形成されている。
感光ドラム21は、ニップ部N3において中間転写体2と当接しており、感光ドラム上の液体トナー30を中間転写体2側に転写しうるように構成されている。
【0053】
一方、感光ドラム21の周囲には、ニップ部N3を起点として感光ドラム21の回転方向に沿って、クリーニングユニット22,除電器23,感光体帯電装置24,露光装置25及び現像装置19がそれぞれ順に感光層21Aに対向して配設されている。
クリーニングユニット22は、クリーニングローラ22A,ブレード22B,22C,液体トナー排出口22Dを有して構成されており、感光ドラム21の周面に残存している液体トナー30を除去して図示しないトナー回収路に排出するように構成されている。
【0054】
より具体的に説明すると、クリーニングローラ22Aは、感光ドラム21に接して従動方向に回転するように配設されており、感光ドラム21の周面に残存する液体トナー30を回収するようになっている。
また、ブレード22Bは、弾性材料で形成された矩形状の板体であり、一方の長辺部が感光ドラム21の周面に接触するように配設されており、クリーニングローラ22Aで除去できなかった感光ドラム21周面の液体トナー30を掻き取って感光ドラム21から液体トナー30を完全に除去するようになっている。
【0055】
ブレード22Cは、ブレード22Bと同様に弾性材料で形成された矩形状の板体であり、一方の長辺部がクリーニングローラ22Aの周面に接触するように配設されている。そして、クリーニングローラ22Aの周面に付着した液体トナー30を掻き取って除去するようになっている。
そして、感光ドラム21から除去された液体トナー30は、トナー排出口22から排出されるようになっている。
【0056】
除電器23は、感光ドラム21の感光層21Aに残留する電荷を消去する機能を有している。
感光体帯電装置24は、コロトロン型あるいはスコロトン型等の非接触型放電方式の帯電器が感光ドラム21に沿って複数(ここでは3つ)配設されて構成されており、感光ドラム21の感光層21Aを一様に、例えば、500V程度に帯電させる機能を有している。
【0057】
露光装置25は、感光ドラム21の軸方向に沿って発光体(ここではLED)を棒状に配列された発光装置(つまりLEDアレイ)により構成されており、制御装置60から送られてくる画像データに基づいて、各LEDを発光させるようになっている。
つまり、感光体帯電装置24によって一様に帯電されている感光層21Aの表面に露光装置25からの光が照射されることにより、光の照射部分では感光層21Aの帯電が解除され、感光層21Aに画像データに基づいた静電潜像を形成しうるようになっている。
【0058】
なお、発光装置としては、LEDアレイの替わりに、画像データに基づいて半導体レーザー等を走査して静電潜像を形成するように構成してもよい。
現像装置26は、アニロックスローラ31,均しローラ32,現像ローラ33,トナー帯電器34,クリーニングローラ35,ブレード36,37,トナー供給口38及び液体トナー供給口39を有して構成されており、感光ドラム21の静電潜像が形成された部分に液体トナー30を転写するようになっている。
【0059】
トナー供給口39には、上述の液体トナー30が貯留されており、アニロックスローラ31の一部が液体トナー30に浸されるようにトナー供給口38から液体トナー30が適宜供給されるようになっている。
アニロックスローラ31は、金属製のローラでありその周面には表面には液体トナー30を所望の膜厚で供給するのに適した凹部(セル)が全面に亘って形成されている。アニロックスローラ25は、感光ドラム21と同方向(図4中の矢印の方向)に回転駆動されるようになっている。
【0060】
また、ブレード37は板状の高密度ポリエチレンで形成されており、その先端がアニロックスローラ31の周面に接してアニロックスローラ31の周面に付着した液体トナー30を掻き落としてアニロックスローラ31の周面上の液体トナー30の膜厚を所望の膜厚にするように設定されている。
均しローラ32はウレタンゴムで形成されている。そして、均しローラ32はアニロックスローラ31と現像ローラ33との間に配設されており、アニロックスローラ31及び現像ローラ33のそれぞれと接している。
【0061】
また、均しローラ32は、アニロックスローラ31との接点において互いの周面が同じ方向に進む向き(図4中の矢印の方向)に回転するように構成されている。
現像ローラ33は導電性ゴムで形成されており、感光ドラム21と接してニップ部N4を形成するように配設されている。また、現像ローラ33は、ニップ部N4において感光ドラム21の周面と現像ローラ33の周面とが同じ方向に進む向き(図4中の矢印の方向)に回転するように構成されている。換言すると、現像ローラ33は均しローラ32との接点において互いの周面が反対方向に進む向きに回転するように構成されている。
【0062】
また、現像ローラ33の周面の速度は感光ドラム21の周面の回転速度と同じ速度で回転するように構成されている。
このように、導電性を有する現像ローラ33と感光ドラム21とがニップ部N4で接することにより、現像ローラ33の周面から感光ドラム21の静電潜像が形成された部分へと帯電したトナーを含む液体トナー30が転写され、現像が行われるようになっている。
【0063】
そして、現像された感光ドラム21の周面上の液体トナー30はニップ部N3において中間転写体2に転写され、中間転写体2の周面にトナーによる画像を含んだ液体トナー層31を形成するように構成されている。
なお、各現像ユニット1A〜1Dによってそれぞれ形成されるトナー画像は、中間転写体2の周面の同位置に重なり、且つ、印刷シートSがニップ部N1を通過するタイミングに同期して、トナー画像が中間転写体2から印刷シートSの適切な位置に転写されるように配置される。
【0064】
トナー帯電器34は、現像ローラ33の周面に近接しており、ニップ部N4よりも現像ローラ33の回転方向上流側、且つ、現像ローラ33と均しローラ32との接面よりもローラ23の回転方向下流側に位置するように配設されている。
トナー帯電器34は、コロトロン型あるいはスコロトン型等の非接触型放電方式の帯電器であり、現像ローラ33の周面に付着している液体トナー30中の帯電したトナーのキャリア中の分布を均等化する機能を有している。
【0065】
クリーニングローラ35は、ニップ部N4よりも現像ローラ33の回転方向下流側において、現像ローラ33と接しており、感光体3へ転写されずに現像ローラ33の周面に残存した液体トナー30を除去するようになっている。
そしてブレード36は、クリーニングローラ35の周面に付着した液体トナー30を掻き落とすようになっている。
【0066】
(作用効果)
本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子写真方式の両面印刷機はこのように構成されているので、本実施形態にかかる方法では、図5に示すように、まず、ステップS100では、制御装置60からの信号に基づいて印刷が開始され、印刷シートSが1枚だけ給紙トレイ51Aから印刷部52へと給紙される。
【0067】
そして、ステップS110では、印刷部53において各現像ユニット1A〜1Dそれぞれにおいて、印刷シートSの第1面に転写されるべき静電画像が形成された感光ドラム21の周面に対応するK(墨),C(藍),M(紅),Y(黄)各色の液体トナー30が転写され、感光ドラム上に画像が現像される。
続いてステップS120では、ステップS110において感光ドラム21の周面に転写された液体トナー30が中間転写体2に転写され、中間転写体2の周面から印刷シートSの中間転写体2と接する側の面(ここでは、第1面)に対して液体トナー30が転写される(第1面転写ステップ)。
【0068】
そして、ステップS130では、チェーングリッパ4により両端部を把持された状態の印刷シートSに閃光照射装置5から閃光が照射され、印刷シートSの第1面に対して、第1加熱量Q1の加熱量(実効的な熱量)が与えられる(第1トナー定着ステップ,閃光照射ステップ)。
これにより、印刷シートSの第1面に転写された液体トナー30中のトナーが溶融するとともにキャリアが蒸発することにより液体トナー30が印刷シートSの第1面に定着される。
【0069】
ステップS140では、スイッチ機構6が第1の位置に設定され、スイッチ機構6のガイド部6Aが図3中破線で示す位置に移動される。
ステップS150では、ステップS130において、閃光を照射された印刷シートSがスイッチ機構6のガイド部6Aに案内されて、往復ガイドローラ7の駆動ローラ7Aとシート収納部側ガイドローラ7Bとの間を経てスイッチバックローラ8により保持された状態で、一時、シート収納部9に収納される。
【0070】
ステップS160では、スイッチバックローラ8が印刷シートSをシート収納部9に収納したときとは反対方向に回転駆動され、印刷シートSは再び往復ガイドローラ7側へ搬送される。
そして、ステップS170では、印刷シートSは往復ガイドローラ7の駆動ローラ7Aと還流経路側ガイドローラ7Cとの間を経て最上流の搬送ローラ10へと案内される。なお、ステップS150〜S170が被印刷物反転ステップに相当する。
【0071】
ステップS180では、ステップS170において最上流の搬送ローラ10に搬送された印刷シートSが、バックアップローラ3のグリッパ3Aに搬送され、グリッパ3Aにより印刷シートSの搬送方向先端部が把持される。
一方、ステップS190では、ステップS110と同様に、印刷部53において各現像ユニット1A〜1Dそれぞれにおいて、印刷シートSの第2面に転写されるべき静電画像が形成された感光ドラム21の周面に対応するK(墨),C(藍),M(紅),Y(黄)各色の液体トナー30が転写され、感光ドラム上に画像が現像される。
【0072】
続いてステップS200では、ステップS190において感光ドラム21の周面に転写された液体トナー30が中間転写体2に転写され、中間転写体2の周面から印刷シートSの中間転写体2と接する側の面(ここでは、第2面)に対して液体トナー30が転写される(第2面転写ステップ)。
なお、ステップS130においては、予め実験により得られた加熱量である第1加熱量Q1で印刷シートSを加熱しているので、印刷シートSの過度な乾燥が抑制され印刷シートSの乾燥度(水分含有率)は、印刷シートSの表面(第2面)の表面抵抗率が過度に上昇しない程度となっている。
【0073】
したがって、ステップS200においてもステップS130と同様にバックアップローラ3のバイアス電圧により中間転写体2から印刷シートSの第2面への液体トナー30の転写が十分に促進される。
そして、ステップS210では、チェーングリッパ4により両端部を把持された状態の印刷シートSに閃光照射装置5から閃光が照射され、印刷シートSの第2面に対して、第2加熱量Q2の加熱量が与えられる(第2トナー定着ステップ,閃光照射ステップ)。
【0074】
これにより、印刷シートSの第2面上の液体トナー30のトナーを十分に溶融させるとともにキャリアを蒸発させて、印刷シートSの第2面上の液体トナー30を印刷シートSの第2面に定着させる。そしてさらに、第2加熱量Q2の熱により印刷シートSの第1面の液体トナー30の定着がより強固にされる。
ステップS220では、スイッチ機構6が第2の位置に設定され、スイッチ機構6のガイド部6Aが図3中実線で示す位置に移動される。
【0075】
ステップS230では、スイッチ機構6を経て一対の加熱ローラ11のニップ部N2に搬送された印刷シートSの両面が加圧されるとともに加熱される。
ステップS240では、ステップS230において第1面と第2面との両面が加圧され加熱された印刷シートSが、排紙部53を搬送される間に冷却されて排紙トレイ53Aに排出され、印刷を終了する。
【0076】
なお、上述のステップS100〜S240では1枚の印刷シートSの印刷に係る印刷手順を示したが、実際には、制御装置60に印刷絵柄データや印刷枚数等の印刷終了条件を予め入力しておき、制御装置60が印刷終了条件が成立していると判定するまで、複数枚数の印刷シートSを印刷するように構成されている。
【0077】
このように、本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法によれば、まず、液体トナー30を転写された印刷シートSの第1面に、閃光を照射して実験等によって予め設定した第1加熱量Q1で瞬時に加熱するので、液体トナー30中のトナーが少なくとも部分的に溶融するとともに、液体トナー30のキャリアを蒸発されることにより、液体トナー30を印刷シートSの第1面に少なくとも第2面の印刷を行うのに十分な程度に定着させることができる。このとき、印刷シートSを第1加熱量Q1で瞬時に加熱するので印刷シートSに含有される水分を過度に蒸発させることが防止でき、印刷シートSの過度な乾燥による表面抵抗率[Ω/m2]の増大を防止することができる。
【0078】
これにより、印刷シートSの第2面に液体トナー30を転写させる際に、中間転写体2とバックアップローラ3との加圧に加えて、中間転写体2とバックアップローラ3とのバイアス電圧の差による液体トナー30の転写性の補助を十分に得ることができ、印刷シートSの第2面への液体トナー30の転写不良を防止することができる。
さらに、印刷シートSの第2面に転写された液体トナー30を非接触で加熱して定着させるので、例えば、加熱ローラ等の接触型の加熱手段を用いた場合に、第1面に定着している液体トナー30が再度溶融して加熱ローラ側に転写される等の低温オフセットを確実に防止して高精度な両面印刷を行うことができる。
【0079】
また、印刷シートSの第1面の液体トナー30の定着後、スイッチ機構6,往復ガイドローラ7,スイッチバックローラ8及びシート収納部9により被印刷物の表裏を反転させ、再び中間転写体2に表裏反転された印刷シートSを搬送するので、印刷シートSの第1面及び第2面に液体トナー30を転写する中間転写体2及びバックアップローラ3並びに閃光照射装置5を共有することができ、両面印刷機50の寸法をコンパクトに構成することができるとともに、コストを低減することができる。
【0080】
さらに、閃光照射装置5により印刷シートSに閃光を照射することにより、被印刷物を瞬時に昇温させることができ、液体トナー30中のキャリアの蒸発とトナーの溶融とを被印刷物に接触することなく効果的に行うことができる。
また、閃光照射装置5による加熱により両面ともに液体トナー30が定着された印刷シートSをさらに加熱及び加圧することにより、印刷シートSの第1面及び第2面に対する液体トナー30の定着性をさらに向上させ、印刷品質を向上させることができる。
【0081】
なお、閃光照射装置5による2度の加熱により十分に液体トナー30が定着される場合には、一対の加熱ローラ11は省略してもよい。また、一対の加熱ローラ11の替わりにニップ部において印刷シートSを加圧するのみの一対の加圧ロールを設けてもよい。
閃光照射装置5による2度の加熱により印刷シートSに定着された液体トナー30中のトナーを加圧により印刷シートSの第1面及び第2面に押し付けることで、液体トナー30の印刷シートSに対する定着性をさらに向上されることができる。
【0082】
[第1実施形態の変形例]
続いて、本発明の第1実施形態の変形例について説明する。本実施形態は、一部の構成を除いて上述の第1実施形態と同様に構成されており、第1実施形態と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。
図6に示すように、本変形例では、各現像ユニット1A〜1D毎に中間転写体62A〜62Dが設けられている。
【0083】
そして、4つの中間転写体62A〜62Dはバックアップローラ63を共有するように構成されており、印刷シートSには、各中間転写体62A〜62Dとバックアップローラ64とで形成される各ニップ部において、K(墨),C(藍),M(紅),Y(黄)の各プロセスカラーの液体トナー30が順々に転写されるように構成されている。
したがって、印刷シートSは、給紙トレイ52Aから各中間転写体62A〜62Dとバックアップローラ64とで形成されるニップ部を順次通過することで、第1面及び第2面に各色の液体トナー30が転写されるように構成されている。
【0084】
各中間転写体62A〜62Dはそれぞれ、径の大きさが感光ドラム21の径と同じとなっていることを除けば、第1実施形態における中間転写体2と同様に構成されている。
また、バックアップローラ64の下流側、且つ、閃光照射装置5の上流側には、ハロゲンランプ等により構成されるオーブン(被印刷物予加熱手段)65が配設されている。
さらに、チェーングリッパ4は、オーブン65及び閃光照射装置5の下方に位置するように配設されている。
【0085】
なお、本変形例では加熱ニッピングローラは省略している。
また、本変形例では、各ニップ部において印刷シートSに液体トナーが転写されることによる印刷シートSの延び量が予め実験により求められ、制御装置60に記憶されており、制御装置60は、4つの現像ユニット1A〜1Dの内、シート搬送経路10Aの下流側に進む程、露光装置25に送信する画像データの画像サイズを印刷シートSの延び量に追従するように補正して感光ドラム21に形成される静電潜像の画像サイズを調整するように構成されている。
【0086】
本発明の第1実施形態の変形例かかる液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法は上述のように構成されているので、印刷シートSに各色の液体トナー30が順々に転写される形式のものであっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、一般に、閃光照射装置5は印刷シートSの加熱のために消費するエネルギ効率が比較的良好でないためランニングコストの増大の一因となり得る。しかし、閃光照射装置5によって印刷シートSを昇温させるのに先立って、よりエネルギ効率のよいオーブン65により印刷シートSを予加熱しておく(被印刷物予加熱ステップ)ことで、閃光照射装置5の出力を低減しても十分に液体トナー30を定着させることができ、両面印刷機50全体としてのランニングコストを低下させることができる。
【0087】
さらに、チェーングリッパ4がオーブン65及び閃光照射装置5の下方において印刷シートSを搬送するので加熱による第1面の低温オフセットを防止して、より高品質な両面印刷を行うことができる。
また、制御装置60が、各ニップ部において生じる印刷シートSの延びに合わせるように感光ドラム21上に形成する静電潜像の画像サイズを補正するので、印刷シートSの延びによる印刷色調の低下を抑制して高品質の印刷を行うことができる。
【0088】
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、一部の構成を除いて上述の第1実施形態と同様に構成されており、第1実施形態と同様のものについては説明を省略し、同符号を用いて説明する。
図7に示すように、本実施形態にかかる両面印刷機の印刷部52には、印刷シートSの第1面に液体トナー30を転写するための現像ユニット1A〜1D及び中間転写体2と、印刷シートSの第2面に液体トナー30を転写するための現像ユニット1E〜1H及び中間転写体72が図7中において印刷シートSの搬送経路を挟んで互いに上下方向逆向きに設けられている点が大きく異なっている。なお、現像ユニット1E〜1H及び中間転写体72並びにバックアップローラ73は、配置位置が左右異なるのみで現像ユニット1A〜1D及び中間転写体2並びにバックアップローラ3と同様に構成されている。
【0089】
そして、中間転写体2とバックアップローラ3とで形成されるニップ部N2と中間転写体72とバックアップローラ3とで形成されるニップ部N5との間には、閃光定着装置(第1トナー定着手段)101が配設されている。
また、ニップ部N5よりも下流側には、閃光照射装置(第2トナー定着手段)75及び一対の加熱ローラ71が設けられている。
【0090】
閃光定着装置101は、実施例1と同様の光源を有しており図示しない点灯回路によって印刷シートSの第1面に第1加熱度Q3を与えうる程度の表面温度に設定されている。
閃光照射装置75は、配置位置が左右反対であることを除けば第1実施形態のチェーングリッパ4及び閃光照射装置5と同様に構成されている。ただし、閃光照射装置5は、常に第1加熱量Q3よりも大きい加熱量である第2加熱量Q4(Q3<Q4)だけの熱量を印刷シートSの第2面に与えるように出力を調整されている。
【0091】
本発明の第2実施形態にかかる液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法は上述のように構成されているので、給紙部51から供給された印刷シートSは、ニップ部N2において、第1面に液体トナー30を転写され(第1面転写ステップ)、その後、閃光照射装置101で第1加熱量Q3だけ加熱される。
これにより、印刷シートSの第1面上の液体トナー30中のトナーが紙搬送に最低必要な強度で溶融されることにより印刷シートSの第1面により効果的に定着できるとともに、印刷シートSから蒸発する水分量を抑制して印刷シートSの表面抵抗率[Ω/m2]が適
切な範囲内に維持される(第1トナー定着ステップ)。
【0092】
そして、中間転写体72とバックアップローラ73とで形成されるニップ部N5において、印刷シートSの第1面の反対側の面(即ち、第2面)に液体トナー30が転写される(第2面転写ステップ)。
ニップ部N5において第2面に液体トナー30が転写された印刷シートSは、チェーングリッパ(不図示)により両端を把持された状態で、閃光照射装置75により閃光が照射され、印刷シートSの第2面は非接触により瞬時に第2加熱量Q4分加熱され、第2面に転写された液体トナー30中のトナーが溶融するとともにキャリアが蒸発され、液体トナー30が印刷シートSの第2面に定着されるとともに、印刷シートSの第1面の液体トナー30の定着がより強固となる(第2トナー定着ステップ)。
【0093】
そして、閃光照射装置75により第2面を定着された印刷シートSは、さらに一対の定着ローラ71A,71Bにより形成されるニップ部N6を通過した後、排紙通路で冷却されながら排紙トレイ53Aに排出される。
このように、本発明の第2実施形態にかかる液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法によれば、印刷シートSの第2面に液体トナー30が転写された後に、予め設定された第2加熱量Q2で、加熱されると共に一対のローラ71A,71Bによって加圧されることで、第1実施形態のように、比較的小さい加熱量である第1加熱量Q1を閃光の照射のみによる非接触で行う場合よりも、ニップ部N6で加圧する分だけ印刷シートSの第1面及び第2面に液体トナー30が押し付けられ、印刷シートSの第1面及び第2面に対する液体トナー30の定着性の向上を達成することができる。
【0094】
また、本実施形態にかかる両面印刷機によれば、現像ユニット及び中間転写体並びにバックアップローラをそれぞれ印刷シートSの両面分設置する必要があるため、装置が大型してしまうというデメリットもあるが、その反面、印刷シートSが1組の中間転写体及びバックアップローラを2回通過する必要がないため、第1実施形態のものと比較して印刷速度を約2倍に向上させることができるという利点もある。
【0095】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
各実施形態及び変形例は、可能である限り適宜組み合わせて構成してもよい。例えば、第2実施形態の閃光照射装置よりも上流側に第1実施形態の変形例にかかるオーブンを設けて構成してもよい。
【0096】
また、実施形態ではいずれも第2トナー定着手段として閃光照射装置を用いているが、第2トナー定着装置は、被印刷物の第2面上の液体トナーを非接触状態で加熱して定着させうるものであれば、例えば、ハロゲンランプやIRランプ等でも適宜適用可能である。
また、上述の実施形態では、被印刷物の一例として枚葉紙である印刷シートについて説明したが、被印刷物は枚葉紙に限らず液体現像電子写真方式の両面印刷機により印刷することが可能なものであるならば何にでも適用できる。例えば、枚葉紙の替わりに帯状の連続紙を被印刷物として連続的に印刷を行ってもよい。
【0097】
なお、本発明にかかる液体現像電子印刷機は、印刷色数を限定するものではなく単色のみの印刷を行う印刷機として構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法を説明するためのものであって、その概略構成を模式的に示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法を説明するためのものであって、チェーングリッパの構成を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法を説明するためのものであって、スイッチ機構の構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法を説明するためのものであって、現像ユニットの構成を模式的に示す側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法を説明するためのものであって、本印刷機の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例にかかる液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法を説明するためのものであって、その概略構成を模式的に示す側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる液体現像電子写真方式の両面印刷機及び両面印刷方法を説明するためのものであって、その概略構成を模式的に示す側面図である。
【図8】本発明の創案過程において得られた液体現像電子写真方式の両面印刷機を説明するためのものであってその概略構成を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0099】
1,1A〜1D 現像ユニット
2,62A〜62D,72 中間転写体
3,73 バックアップローラ
4,74 チェーングリッパ
5,75 閃光照射装置(第1トナー定着手段,第2トナー定着手段)
6 スイッチ機構(スイッチング手段)
7 往復ガイドローラ(反転手段)
7A 駆動ローラ
7B シート収納部側ガイドローラ(被印刷物収納部側ガイドローラ)
7C 還流経路側ガイドローラ
8 スイッチバックローラ(反転手段)
9 シート収納部(反転手段,被印刷物収納部)
10 搬送ローラ(還流経路)
11 一対の加熱ローラ(加熱ニッピングローラ)
21 感光ドラム(感光体)
21A 感光層
22 クリーニングユニット
22A クリーニングローラ
22B,22C ブレード
22D 液体トナー排出口
23 除電器
24 感光体帯電装置
25 露光装置
26 現像装置
30 液体トナー
31 アニロックスローラ
32 均しローラ
33 現像ローラ
34 トナー帯電器
35 クリーニングローラ
36,37 ブレード
38 トナー供給口
39 トナー貯留部
50 両面印刷機(液体現像電子写真方式の両面印刷機)
51 給紙部
51A 給紙トレイ
52 印刷部
53 排紙部
53A 排紙トレイ
60 制御装置
71 一対の加熱ローラ(第1トナー定着手段)
71A,72B ローラ
S 印刷シート
101 閃光照射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した粒子状のトナーが液体のキャリア中に分散されている液体トナーを静電潜像の形成された感光体上に転写して現像を行う現像ユニットと、上記現像ユニットにより現像された上記液体トナーを転写する中間転写体と、上記中間転写体と接することによりニップ部を形成するとともに上記液体トナーを吸引するためのバイアス電圧が印可されたバックアップローラと、を有し、上記ニップ部において枚葉状の被印刷物の第1面及び上記第1面の反対側の面である第2面の順に上記中間転写体上の液体トナーを転写することで両面印刷を行う液体現像電子写真方式の両面印刷機であって、
上記被印刷物の上記第2面に上記液体トナーが転写される前に、上記被印刷物の上記第1面に転写された上記液体トナーを定着させるべく定着後の上記被印刷物の想定乾燥度に基づいて予め定められた所定の第1加熱量で上記第1面を加熱する第1トナー定着手段と、
上記液体トナーが転写された上記被印刷物の上記第2面を非接触状態で加熱して定着させるべく上記第1加熱量よりも大きい加熱量であって予め定められた第2加熱量で加熱する第2トナー定着手段と、を有している
ことを特徴とする、液体現像電子写真方式の両面印刷機。
【請求項2】
上記第1トナー定着手段の下流側には、
上記被印刷物の上記第1面に上記液体トナーを転写した中間転写体に再び上記被印刷物を搬送する還流経路と、
上記還流経路を搬送される上記被印刷物の表裏を反転させて上記中間転写体と上記第2面とを接触させる反転手段と、が設けられている
ことを特徴とする、請求項1記載の液体現像電子写真方式の両面印刷機。
【請求項3】
上記反転手段は、
上記被印刷物を一時収納する被印刷物収納部と、
上記被印刷物を上記被印刷物収納部側に導く被印刷物収納部側ガイドローラと、
上記被印刷物を上記第1面に上記液体トナーを転写した上記還流経路側に導く還流経路側ガイドローラと、
上記被印刷物収納部側ガイドローラから上記被印刷物収納部に上記被印刷物を搬送したのち、上記被印刷物収納部から被印刷物を反対方向に搬送して上記還流経路側ガイドローラへ搬送するスイッチバックローラと、を有している
ことを特徴とする、請求項2記載の液体現像電子写真方式の両面印刷機。
【請求項4】
上記第1トナー定着手段よりも下流側に、
上記被印刷物の1回目の通過時には上記被印刷物を上記反転手段側に導き、上記被印刷物の2回目の通過時には上記被印刷物を排紙する排紙経路側に導くスイッチング手段が設けられている
ことを特徴とする、請求項2又は3記載の液体現像電子写真方式の両面印刷機。
【請求項5】
上記第1トナー定着手段及び上記第2トナー定着手段は、いずれも上記液体トナーが転写された上記被印刷物に閃光を照射することにより上記被印刷物を加熱する閃光照射装置を有している
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体現像電子写真方式の両面印刷機。
【請求項6】
上記第1トナー定着手段と上記第2トナー定着手段とは上記閃光照射装置を共有するように構成されている
ことを特徴とする、請求項5記載の液体現像電子写真方式の両面印刷機。
【請求項7】
上記閃光照射装置よりも被印刷物の搬送方向上流側には上記被印刷物をそれぞれ予め昇温させる被印刷物予加熱手段を有している
ことを特徴とする、請求項6又は7記載の液体現像電子写真方式の両面印刷機。
【請求項8】
上記第2トナー定着手段よりも下流側には、上記被印刷物を加熱及び加圧する一対の加熱ニッピングローラが設けられている
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体現像電子写真方式の両面印刷機。
【請求項9】
上記被印刷物の両端部を把持した状態で搬送するチェーングリッパを有し、
上記被印刷物は上記チェーングリッパに把持された状態で上記第2トナー定着手段を通過するように構成されている
ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体現像電子写真方式の両面印刷機。
【請求項10】
帯電した粒子状のトナーが液体のキャリア中に分散されている液体トナーを静電潜像の形成された感光体上に転写して現像を行い、現像された上記感光体上の上記液体トナーを中間転写体に転写し、上記液体トナーを吸引するためのバイアス電圧が印可されたバックアップローラと上記中間転写体とにより形成されるニップ部において上記中間転写体から枚葉状の被印刷物に上記液体トナーを転写して印刷を行う液体現像電子写真方式による両面印刷方法であって、
上記被印刷物の片方の面である第1面に上記中間転写体とから上記液体トナーを転写する第1面転写ステップと、
上記第1面転写ステップ実行後、定着後の上記被印刷物の想定乾燥度に基づいて予め定められた所定の第1加熱量で上記被印刷物の上記第1面を加熱して定着させる第1トナー定着ステップと、
上記被印刷物の上記第1面の反対側の面である第2面に上記中間転写体から上記液体トナーを転写する第2面転写ステップと、
上記第2面転写ステップ実行後、上記被印刷物の上記第2面を非接触状態で上記第1加熱量よりも大きい加熱量であって予め定められた第2加熱量だけ加熱して定着させる第2トナー定着ステップと、を有している
ことを特徴とする、液体現像電子写真方式による両面印刷方法。
【請求項11】
上記第1トナー定着ステップと上記第2面転写ステップとの間には、
上記被印刷物の上記第1面に上記液体トナーを転写した上記中間転写体に再び上記被印刷物を搬送する還流ステップと、
上記還流ステップにおいて上記被印刷物の上記中間転写体と接触する面を反転させる被印刷物反転ステップと、を有している
ことを特徴とする、請求項10記載の液体現像電子写真方式による両面印刷方法。
【請求項12】
上記第1トナー定着ステップ及び上記第2トナー定着ステップはいずれも上記液体トナーが転写された上記被印刷物に閃光を照射して上記被印刷物の温度を昇温させる閃光照射ステップを有している
ことを特徴とする、請求項10又は11記載の液体現像電子写真方式による両面印刷方法。
【請求項13】
上記閃光照射ステップに先立って、上記液体トナーが転写された上記被印刷物を予め昇温させる被印刷物予加熱ステップを有している
ことを特徴とする、請求項12記載の液体現像電子写真方式による両面印刷方法。
【請求項14】
上記第2トナー定着ステップの実行後、一対の定着ローラにより上記被印刷物を加熱及び加圧する被印刷物加熱加圧ステップを有している
ことを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載の液体現像電子写真方式による両面印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−163064(P2009−163064A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1638(P2008−1638)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】