説明

液剤滴下装置及び液剤滴下装置の脱泡処理方法

【課題】液剤を無駄にせずにシリンジ内に入った気泡を排出することが可能な液剤滴下装置を提供すること。
【解決手段】液晶滴下装置は、シリンジ20とプランジャ30とを備え、プランジャ30はシリンジ20に往復動可能に挿入されるとともに、外周面30aと内周面22aとの間に所定のギャップ26を設けた。シリンジ20の上端の開口を閉塞するシールホルダ23には側面23aとギャップ26とを繋ぐ通路23bが形成されている。脱泡処理は制御部が先端弁を閉じ、供給弁を開いた状態でプランジャ30を押し下げることで、液剤貯留空間22bの外部へ気泡を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤滴下装置及び液剤滴下装置の脱泡処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液剤滴下装置は、プランジャを操作することによって、液剤をシリンジに供給するとともに、シリンジ内に貯留された液晶等の液剤をノズルから吐出する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の液剤滴下装置は、シリンジの下部に接続された流路からシリンジ内に液剤を供給し、シリンジの下端に設けられたノズルから液剤を吐出する。
【特許文献1】特開2005−125186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、液剤滴下装置では、シリンジ内への液剤の供給やバルブの開閉等の動作によって気泡が発生し、発生した気泡がシリンジ内へ混入することがあった。気泡は液剤中にあっては上方へ移動するため、上記特許文献1の液剤滴下装置ではシリンジ内に気泡が入ると外部へ排出し難く、シリンジの内部に気泡が溜まる。そして、シリンジ内に気泡が溜まると、プランジャの押圧操作に対して気泡が収縮し、適量の液剤の滴下を妨げるといった問題があった。
【0004】
上記特許文献1においてシリンジ内に溜まった気泡を外部へ排出するためには、プランジャを取り外し、バッファから大量の液剤をシリンジに供給してシリンジから液剤を外部に溢れ出させることにより、液剤とともに気泡を取り除く方法が考えられる。しかし、この方法では、シリンジを分解しなければならないので手間がかかるとともに、外部に溢れ出た液剤を排棄することになり液剤の無駄が生じてしまう。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は液剤を無駄にせずにシリンジ内に入った気泡を排出することが可能な液剤滴下装置及び液剤滴下装置の脱泡処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、液剤を貯留するシリンジと、前記シリンジへの液剤の供給を制御する供給弁と、前記シリンジから前記ノズルへの前記液剤の供給を制御する先端弁と、前記シリンジ内の前記液剤を前記ノズルに向かって押圧するプランジャと、を備え、前記プランジャは、前記シリンジ内に液剤を貯留する液剤貯留空間を形成する前記シリンジの内周面との間にギャップを有して前記シリンジに往復動可能に挿入され、前記シリンジには、前記プランジャが前記シリンジに往復動可能に挿入された状態で、前記液剤貯留空間内へ上端から液剤を供給する供給流路が形成されてなる。
【0007】
同構成によれば、先端弁を閉じ、供給弁を開いた状態でプランジャを押し下げることでシリンジ内に貯留された液剤を逆流させる。その際に、液剤貯留空間へ液剤を供給する流路は液剤貯留空間の上端へと連通しているため、液剤貯留空間の上部に溜まった気泡を逆流する液剤とともに排出することができる。このとき液剤は、液剤滴下装置の内部を移動しているだけであるから排棄する必要が無いので、液剤を無駄にせずにシリンジ内に入った気泡を排出することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液剤滴下装置において、前記シリンジは、前記液剤を貯留するシリンジ本体と、該シリンジ本体上端の開口を閉塞し、前記プランジャが往復動可能に支持されるとともに、前記供給流路が形成されたシールホルダと、を備えた。
【0009】
同構成によれば、シリンジ本体上端の開口を閉塞するシールホルダに供給流路が形成されているため、液剤貯留空間の上端へ液剤を供給する通路を容易に形成することが出来る。更に、従来のようにシリンジの側面に液剤を供給する通路を形成する必要が無いため、シリンジの加工が容易になる。また、シリンジ内の下端から上端までを液剤貯留空間とすることができるため、シリンジ内により多くの液剤を貯留することが可能となる。そのため、シリンジ内に液剤を供給するための動作回数を減らすことができ、作業効率を向上することが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の液剤滴下装置において、前記供給流路に接続され可撓性を備えた第1のチューブと、前記シリンジと前記ノズルとの間に接続され可撓性を備えた第2のチューブと、を備え、前記供給弁は、前記第1のチューブを挟着若しくは挟着を解除することにより前記第1のチューブの流路を開閉する第1のピンチバルブで構成し、前記先端弁は、前記第2のチューブを挟着若しくは挟着を解除することにより前記第2のチューブの流路を開閉する第2のピンチバルブで構成し、前記第1及び第2のピンチバルブは、少なくとも一つが移動可能な複数の挟着片を備え、該複数の挟着片で前記第1及び第2のチューブの流路を開閉することによって、前記液剤中の気泡の発生を防止した。同構成によれば、バルブの開閉に伴う気泡の発生を低減できるため、脱泡処理の回数を減らすことが可能となり液剤滴下装置の作業効率を向上させることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の液剤滴下装置において、前記シリンジへ供給する前記液剤を貯留するバッファを備え、前記第1のチューブは前記バッファの下端に接続された。同構成によれば、バッファの下端に接続された供給流路を通って液剤がシリンジに供給される。重力の影響で液剤がバッファ内の下部から溜まり気泡がバッファ内の上部から溜まるため、シリンジに液剤を供給する際に気泡が混入することを低減できる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の液剤滴下装置において、前記バッファは、該バッファの下端が前記シリンジの上端よりも上方に配設され、前記バッファから前記液剤貯留空間へ前記液剤が供給される場合に、前記第1のチューブ及び前記供給流路は、前記液剤が下方へのみ流れるように形成された。同構成によれば、シリンジ外に排出された液剤が流路の途中で溜まらず、液剤を供給する際に再びシリンジ内の液剤が混入することを防ぐことができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の液剤滴下装置において、前記プランジャを往復動させるアクチュエータと、前記アクチュエータ、前記供給弁及び前記先端弁を制御する制御部と、前記ノズルから吐出される前記液剤を検出するセンサと、備え、前記制御部は、前記シリンジ内に液剤を供給する供給動作をする場合には、前記供給弁を開き、前記先端弁を閉じた状態で前記アクチュエータを駆動して前記プランジャを引き上げ、前記ノズルから液剤を吐出する吐出動作をする場合には、前記供給弁を閉じ、前記先端弁を開いた状態で前記アクチュエータを駆動して前記プランジャを押し下げ、前記センサからの出力信号に応じて、前記供給弁を開き、前記先端弁を閉じた状態で前記アクチュエータを駆動して前記プランジャを押し下げるようにした。同構成によれば、センサから出力信号に応じ、制御部によって自動的に脱泡処理がなされる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、液剤を貯留するシリンジと、前記シリンジへの液剤の供給を制御する供給弁と、前記シリンジからノズルへの前記液剤の供給を制御する先端弁と、前記シリンジ内の前記液剤を前記ノズルに向かって押圧するプランジャと、を備え、前記プランジャは、前記シリンジ内に液剤を貯留する液剤貯留空間を形成する前記シリンジの内周面との間にギャップを有して前記シリンジに往復動可能に挿入され、前記シリンジには、前記プランジャが前記シリンジに往復動可能に挿入された状態で、前記液剤貯留空間内へ上端から液剤を供給する供給流路が形成された液剤滴下装置の脱泡処理方法であって、前記先端弁を閉じ、前記供給弁を開いた状態で前記プランジャを押し下げるようにした。
【0015】
同構成によれば、先端弁を閉じ、供給弁を開いた状態でプランジャを押し下げることで、シリンジ内に貯留された液剤は逆流する。液剤貯留空間へ液剤を供給する流路は液剤貯留空間の上端へと連通しているため、シリンジ内の上部に溜まった気泡を逆流する液剤とともに排出することができる。このとき液剤は、液剤滴下装置の内部を移動しているだけであるから排棄する必要が無いので、液剤を無駄にせずにシリンジ内に入った気泡を排出することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上記述したように、本発明によれば、液剤を無駄にせずにシリンジ内に入った気泡を排出することが可能な液剤滴下装置及び脱泡処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を液晶滴下装置に具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、液晶滴下装置の概略構成図である。液晶滴下装置は、液晶ディスプレイパネルの製造工程のうち、液晶ディスプレイパネルを構成する基板に液晶を滴下する工程において用いられる。
【0018】
液晶滴下装置はバッファ10を備え、該バッファ10には図示しないタンクから液剤としての液晶が供給されるとともに、バッファ10内に貯留された液晶が第1のチューブ11を介してシリンジ20に供給される。バッファ10内では、重力の影響で液晶がバッファ10内の下部から溜まり気泡がバッファ10内の上部から溜まることにより、液晶と気泡を分離する。バッファ10の下端に接続された第1のチューブ11を介して気泡が除かれた液晶がシリンジ20に供給される。また、バッファ10は、該バッファ10の下端がシリンジ20の上端よりも上方に配設されている。第1のチューブ11は、可撓性を備え、かつ液晶に対し耐食性を備えた合成ゴム、例えばシリコンゴム等で形成されている。第1のチューブ11の両端部は、それぞれ継手部12a,12bを介してバッファ10及びシリンジ20に接続されている。
【0019】
図2に示すように、シリンジ20は中空略円筒状に形成された外管21を備え、その外管21内には円筒状に形成された内管22が内挿されている。外管21及び内管22はシリンジ本体を構成する。外管21の上端の開口は、略円筒状のシールホルダ23によって閉塞されている。そのシールホルダ23には、円柱状に形成されたプランジャ30が挿通されるとともに、プランジャ30が内管22に遊挿されている。シールホルダ23とプランジャ30との間にはOリング等のシール材24及び軸受け25が配設され、該軸受け25によりプランジャ30が長手方向に沿って往復動可能に支持されている。プランジャ30の外径は内管22の内径よりも小さく形成され、プランジャ30の外周面30aと内管22の内周面22aとの間に所定のギャップ26が形成されている。プランジャ30を往復動させても、外周面30aと内周面22aとの間にはギャップ26が設けられているため、シリンジ20内に磨耗粉等の発生を抑制することができる。
【0020】
シールホルダ23は、外管21の上端から突出し、その突出した部分の側面23aに図1に示す第1のチューブ11が接続されている。そして、シールホルダ23には、第1のチューブ11内部とシリンジ20内部、つまりギャップ26及び内周面22aに囲まれた液剤貯留空間22b、とを連通する通路23bが形成されている。図1に示すバッファ10から第1のチューブ11を介して供給される液晶は、通路23bに囲まれた供給流路23c及びギャップ26を介して、液剤貯留空間22bに導入される。バッファ10から供給される液晶が下方にのみ流れるように、第1のチューブ11が配設されるとともに供給流路23cが形成されている。そのため、バッファ10とシリンジ20との間の流路に気泡が溜まることを防止できる。
【0021】
図1に示すように、シリンジ20内の液晶は、第2のチューブ40を介してノズル41に供給され、該ノズル41から滴下される。第2のチューブ40は、可撓性を備え、かつ液晶に対し耐食性を備えた合成ゴム、例えばシリコンゴム等で形成されている。第2のチューブ40の両端部は、それぞれ継手部42a,42bを介してシリンジ20及びノズル41に接続されている。
【0022】
ノズル41の先端付近には例えば光電センサからなるセンサ60が配設されている。センサ60はノズル41から吐出される液晶の有無を検出して検出信号を出力する。センサ60は、投光素子及び受光素子を備え、投光素子及び受光素子間の光路(検出領域)内への液晶の進入量に応じたレベルの検出信号が出力される。適量の液晶が吐出された場合にはその滴下量に応じた大きさの液滴が光路を遮ることにより受光量が減少するが、液晶が吐出されない又は少量の液晶しか吐出されない場合には受光量が変化しないか、又は変化量が少ない。例えば、プランジャ30にて液晶を押圧したとき、その押圧力によりシリンジ20内の液晶がノズル41へと供給され、該ノズル41から吐出される。従って、プランジャ30により液晶を押圧するタイミングに合わせてセンサ60から出力される検出信号に変化があるか否か、又はその変化量により適量の液晶が吐出されているか否かを判断することが出来る。
【0023】
第1のチューブ11の継手部12b近傍にはピンチバルブからなる供給弁50aが配設されている。供給弁50aはアクチュエータ部51からアーム52が突出形成され、そのアームから3本の挟着片53a〜53cが平行に突出形成されている。挟着片53a〜53cのうち両側の挟着片53a,53cはアーム52に対し固定され、中央の挟着片53bは挟着片53a又は挟着片53cに向かって移動可能に構成されている。そして、第1のチューブ11は挟着片53a,53bの間に挿通されている。
【0024】
図3に示すように、供給弁50aは、挟着片53bを挟着片53aに向かって移動させることにより第1のチューブ11を挟着して流路を閉じ、挟着片53bを挟着片53cに向かって移動させることにより第1のチューブ11の挟着を解除して流路を開いた状態にする。つまり、供給弁50aはバッファとシリンジとの間の流路の開閉を行う。
【0025】
第2のチューブ40の継手部42a近傍にはピンチバルブからなる先端弁50bが配設されている。先端弁は供給弁50aと同様に構成されており、第2のチューブ40が挟着片の間に挿通されている。先端弁50bはシリンジ20とノズル41との間の流路の開閉を行う。
【0026】
このように、供給弁50a及び先端弁50bは、第1のチューブ11及び第2のチューブ40を挟着又は挟着を解除するといった簡単な構成で弁の開閉を行うため、供給弁50a及び先端弁50bの開閉によって発生する気泡を抑制することができる。
【0027】
液晶滴下装置は制御部61を備え、該制御部61は供給弁50a及び先端弁50bに接続されている。供給弁50a及び先端弁50bは制御部61からの信号により、第1のチューブ11及び第2のチューブ40の流路を開閉する。また、制御部61はアクチュエータ62に接続されている。アクチュエータ62はプランジャ30に接続されており、制御部61からの信号によってプランジャ30を往復動させる。
【0028】
ここで、液晶滴下装置が液晶を滴下する通常処理について説明する。
先ず、制御部61は供給弁50aを開き、先端弁50bを閉じた状態でアクチュエータ62を駆動して、図4(a)に示すようにプランジャ30をP1方向に引き上げる。この動作によって、バッファ10内に貯留された液晶が第2のチューブ40からY1方向に流れて液剤貯留空間22b内に供給される。次に、ノズル41から液晶を吐出するために制御部61は供給弁50aを閉じ、先端弁50bを開いた状態でアクチュエータ62を駆動して、図4(b)に示すようにプランジャ30をP2方向に押し下げる。この動作によって、液剤貯留空間22b内に貯留された液晶がプランジャ30によって押圧されてY2方向に移動し、ノズル41から液晶が吐出される。
【0029】
図4(c)に示すように、シリンジ20内に気泡BUが溜まっている場合では、液晶がプランジャ30によって押圧されても、その押圧に対して気泡BUが収縮するため、液晶がY3方向に流れてノズルから液晶が吐出されない。そこで、センサ60はノズル41から吐出される液晶の有無を検出し、検出信号を制御部61に出力する。制御部61は、通常処理中にプランジャ30を押し下げたにもかかわらず、所定期間内にセンサ60によって液晶が検出されない場合に気泡をシリンジ20から排出する脱泡処理を行う。
【0030】
次に、液晶滴下装置の脱泡処理について説明する。脱泡処理は制御部61が供給弁50aを開き、先端弁50bを閉じた状態でアクチュエータ62を駆動して、図4(d)に示すようにプランジャ30を下方に押し下げる。プランジャ30を押し下げることによりシリンジ20内の液晶は下方に押圧されるが、供給弁50aが開かれ、先端弁50bが閉じられているため液晶はシリンジ20の上方に逆流し、供給流路23cを通ってY4方向に流れる。そして、逆流する液晶とともに、液剤貯留空間22bの上部に溜まった気泡BUもY4方向に流れてシリンジ20の外部に排出される。このとき、第2のチューブ40の長さ(チューブ内の体積)と、プランジャ30の押し下げによって変化するシリンジ20内の体積を調整することにより、シリンジ20内に溜まった気泡BUをバッファ10まで排出することができる。このようにシリンジ20の外部へ排出された液晶は、液晶滴下装置内を移動するだけであるため液晶を排棄する必要がない。そのため、脱泡処理を行っても液晶を無駄にしないで済むようになる。
【0031】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)液晶滴下装置は、シリンジ20とプランジャ30とを備え、プランジャ30はシリンジ20に往復動可能に挿入されるとともに、外周面30aと内周面22aとの間に所定のギャップ26を設けた。シリンジ20の上端の開口を閉塞するシールホルダ23には側面23aとギャップ26とを繋ぐ通路23bが形成されている。制御部61は供給弁50aを開き、先端弁50bを閉じた状態でプランジャ30を押し下げる脱泡処理を行うことにより、シリンジ20内の液晶が液剤貯留空間22bからバッファ10に向かって逆流し、シリンジ20内に溜まった気泡BUをシリンジ20の外部に排出することができる。
【0032】
(2)脱泡処理を行っても液晶は液晶滴下装置内を移動するだけであるため、液晶を排棄する必要が無く、材料の無駄を省くことができる。
(3)プランジャ30と内周面22aとの間にギャップ26を設けてプランジャ30をシリンジ20内に挿入したため、プランジャ30を往復動させてもプランジャ30と内周面22aで摩擦が生じない。そのため、シリンジ20内に磨耗粉等が発生することを抑制することができるのでシリンジ20を清掃する回数を減らすことが可能となり液晶滴下装置の作業効率が向上する。
【0033】
(4)チューブを挟着又は挟着を解除することにより弁の開閉を行うピンチバルブを供給弁50a及び先端弁50bとして用いたので、弁の開閉に伴う気泡の発生が抑制されるため脱泡処理を行う回数を減らすことができ液晶滴下装置の作業効率が向上する。
【0034】
(5)バッファ10内では、重力の影響で液晶がバッファ10内の下部から溜まり気泡がバッファ10内の上部から溜まることにより、液晶と気泡を分離する。そして、バッファ10の下端に接続された第1のチューブ11を介してシリンジ20に液晶を供給するため、シリンジ20内に気泡が混入することを防止できる。
【0035】
(6)バッファ10から供給される液晶が下方にのみ流れるように、第1のチューブ11を配設するとともに供給流路23cを形成したため、バッファ10とシリンジ20との間の流路に気泡が溜まることを防止できる。
【0036】
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態では、供給弁50a及び先端弁50bにピンチバルブを用いたが、これに限らず、例えば、ロータリーバルブ等を用いてもよい。
【0037】
・上記実施形態では、シール材24にOリングを用いたが、これに限らず、例えばバリシール(登録商標)を用いてもよい。
・上記実施形態では、センサ60に光電センサを用いたが、ノズル41から吐出する液晶を検出することができればどのようなセンサを用いてもよい。
【0038】
・上記実施形態において、シールホルダ23をシリンジ20の上端に一部突出して設けたが、バッファ10からシリンジ20へ供給される液晶が下方へのみ流れて液剤貯留空間22bに入ればよく、シールホルダ23はシリンジ20内に埋め込まれる構成でもよい。
【0039】
・上記実施形態では、シールホルダ23を設けたが、シールホルダ23を設けずにプランジャ30とシリンジ20との間に設けられたギャップ26の最上部と繋がる流路をシリンジ20に一体形成してもよい。
【0040】
・第1のチューブ11及び第2のチューブ40は、可撓性を備え、かつ液剤に対し耐食性を備えた材質であればよく、例えば四フッ化エチレン樹脂等でもよい。
・上記実施形態では、滴下される液晶の有無をセンサ60で検出した結果によって脱泡処理を行ったが、これに限らず、滴下が所定回数される毎に脱泡処理を行ってもよい。
【0041】
・上記実施形態では、シリンジ20内に溜まった気泡をバッファ10まで排出したが、バッファ10まで排出せずともよく、供給弁50aよりもバッファ10側まで排出できればよい。
【0042】
・上記実施形態では、液晶を滴下する液晶滴下装置に具現化したが、液晶以外の液剤を滴下してもよく、例えば接着剤やはんだペーストを滴下する装置に具現化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】液晶滴下装置の概略構成図。
【図2】シリンジの一部断面図。
【図3】ピンチバルブの動作を示す説明図。
【図4】(a)〜(d)は液晶滴下装置の動作を示す説明図。
【符号の説明】
【0044】
10…バッファ、11…第1のチューブ、20…シリンジ、22a…内周面、22b…液剤貯留空間、23…シールホルダ、23c…供給流路、26…ギャップ、30…プランジャ、40…第2のチューブ、41…ノズル、50a…供給弁、50b…先端弁、53a〜53c…挟着片、60…センサ、61…制御部、62…アクチュエータ、BU…気泡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤を貯留するシリンジと、
前記シリンジへの液剤の供給を制御する供給弁と、
前記シリンジからノズルへの前記液剤の供給を制御する先端弁と、
前記シリンジ内の前記液剤を前記ノズルに向かって押圧するプランジャと、を備え、
前記プランジャは、前記シリンジ内に液剤を貯留する液剤貯留空間を形成する前記シリンジの内周面との間にギャップを有して前記シリンジに往復動可能に挿入され、
前記シリンジには、前記プランジャが前記シリンジに往復動可能に挿入された状態で、前記液剤貯留空間内へ上端から液剤を供給する供給流路が形成されたことを特徴とする液剤滴下装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液剤滴下装置において、
前記シリンジは、前記液剤を貯留するシリンジ本体と、
該シリンジ本体上端の開口を閉塞し、前記プランジャが往復動可能に支持されるとともに、前記供給流路が形成されたシールホルダと、を備えた
ことを特徴とする液剤滴下装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液剤滴下装置において、
前記供給流路に接続され可撓性を備えた第1のチューブと、
前記シリンジと前記ノズルとの間に接続され可撓性を備えた第2のチューブと、を備え、
前記供給弁は、前記第1のチューブを挟着若しくは挟着を解除することにより前記第1のチューブの流路を開閉する第1のピンチバルブで構成し、
前記先端弁は、前記第2のチューブを挟着若しくは挟着を解除することにより前記第2のチューブの流路を開閉する第2のピンチバルブで構成し、
前記第1及び第2のピンチバルブは、少なくとも一つが移動可能な複数の挟着片を備え、該複数の挟着片で前記第1及び第2のチューブの流路を開閉することによって、
前記液剤中の気泡の発生を防止したことを特徴とする液剤滴下装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液剤滴下装置において、
前記シリンジへ供給する前記液剤を貯留するバッファを備え、
前記第1のチューブは前記バッファの下端に接続されたことを特徴とする液剤滴下装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液剤滴下装置において、
前記バッファは、該バッファの下端が前記シリンジの上端よりも上方に配設され、
前記バッファから前記液剤貯留空間へ前記液剤が供給される場合に、前記第1のチューブ及び前記供給流路は、前記液剤が下方へのみ流れるように形成されたことを特徴とする液剤滴下装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の液剤滴下装置において、
前記プランジャを往復動させるアクチュエータと、
前記アクチュエータ、前記供給弁及び前記先端弁を制御する制御部と、
前記ノズルから吐出される前記液剤を検出するセンサと、を備え、
前記制御部は、
前記シリンジ内に液剤を供給する供給動作をする場合には、前記供給弁を開き、前記先端弁を閉じた状態で前記アクチュエータを駆動して前記プランジャを引き上げ、
前記ノズルから液剤を吐出する吐出動作をする場合には、前記供給弁を閉じ、前記先端弁を開いた状態で前記アクチュエータを駆動して前記プランジャを押し下げ、
前記センサからの出力信号に応じて、前記供給弁を開き、前記先端弁を閉じた状態で前記アクチュエータを駆動して前記プランジャを押し下げる
ことを特徴とする液剤滴下装置。
【請求項7】
液剤を貯留するシリンジと、
前記シリンジへの液剤の供給を制御する供給弁と、
前記シリンジからノズルへの前記液剤の供給を制御する先端弁と、
前記シリンジ内の前記液剤を前記ノズルに向かって押圧するプランジャと、を備え、
前記プランジャは、前記シリンジ内に液剤を貯留する液剤貯留空間を形成する前記シリンジの内周面との間にギャップを有して前記シリンジに往復動可能に挿入され、
前記シリンジには、前記プランジャが前記シリンジに往復動可能に挿入された状態で、前記液剤貯留空間内へ上端から液剤を供給する供給流路が形成された液剤滴下装置の脱泡処理方法であって、
前記先端弁を閉じ、前記供給弁を開いた状態で前記プランジャを押し下げることを特徴とする液剤滴下装置の脱泡処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−86894(P2008−86894A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269825(P2006−269825)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】