液晶表示装置、電子機器
【課題】コストパフォーマンスを考慮した偏光サングラス対応が施された液晶表示装置、電子機器を提供すること。
【解決手段】本適用例の液晶表示装置は、一対の基板と、一対の基板により挟持された液晶層と、一対の基板のうち一方の基板に設けられた画素電極9および共通電極19と、画素電極9および共通電極19がそれぞれに設けられた複数の画素と、一対の基板に設けられた偏光素子とを備え、液晶層における液晶分子の初期配向方向が、画素の行方向(X軸方向)に対して右上がり15度で設定され、偏光素子の透過軸が初期配向方向と同一方向であり、画素電極9は、初期配向方向に対して所定の角度(5度)をなして交差する複数のスリット29を有する。液晶層は画素電極9と共通電極19との間で生ずる電界により駆動される。
【解決手段】本適用例の液晶表示装置は、一対の基板と、一対の基板により挟持された液晶層と、一対の基板のうち一方の基板に設けられた画素電極9および共通電極19と、画素電極9および共通電極19がそれぞれに設けられた複数の画素と、一対の基板に設けられた偏光素子とを備え、液晶層における液晶分子の初期配向方向が、画素の行方向(X軸方向)に対して右上がり15度で設定され、偏光素子の透過軸が初期配向方向と同一方向であり、画素電極9は、初期配向方向に対して所定の角度(5度)をなして交差する複数のスリット29を有する。液晶層は画素電極9と共通電極19との間で生ずる電界により駆動される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横方向電界モードの液晶表示装置、これを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図17は、従来の液晶表示装置の単位画素を示す概略平面図である。図17に示すように、横方向電界モードの液晶表示装置として、液晶層を介して対向配置された第1および第2透明基板を備え、第1透明基板上の各単位画素に設けられた薄膜トランジスタ301と、共通信号線304に接続するカウンタ電極と、カウンタ電極と絶縁して配置された画素電極305とを有するフリンジフィールドスイッチングモード(FFS;Fringe Field Switching mode)の液晶表示装置300が知られている(特許文献1)。
【0003】
上記画素電極305は、画素の長辺の中心にゲートバスライン302と平行に配置される基準スリット306と、基準スリット306の上下部に所定の傾きで配置される複数個の上部スリット307および下部スリット308とを有している。そして、陽の液晶(正の誘電異方性を有する液晶)の場合、ゲートバスライン302と平行に液晶の配向処理が施される。また、陰の液晶(負の誘電異方性を有する液晶)の場合には、データバスライン303と平行に液晶の配向処理が施される。そして、外面に配置された第1および第2偏光板は、互いに直交する透過軸を有し、いずれか1つの透過軸が配向処理方向と同一であるとしている。
【0004】
上記液晶表示装置によれば、偏光サングラスを通して上記液晶表示装置を見たときに偏光サングラスの透過軸とフロント側に設けられた偏光板の透過軸とが直交して、表示が適正に視認できないおそれがある。
【0005】
このような不具合を改善する方法として、位相差板をフロント側の偏光板の前面に配置する方法が開示されている(特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−182230号公報
【特許文献2】特開平6−258633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の上記液晶表示装置300に特許文献2の位相差板を組み合わせることは、偏光サングラス対応として技術的には問題がないものの、コストが上昇する要因となる。また、昨今の表示デバイス薄型化の市場要求に対しては逆行するという課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例の液晶表示装置は、一対の基板と、前記一対の基板により挟持された液晶層と、前記一対の基板のうち一方の基板に設けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極がそれぞれに設けられた複数の画素と、前記一対の基板に設けられた偏光素子とを備え、前記液晶層は、前記第1電極と前記第2電極との間に生ずる電界によって駆動され、前記液晶層における液晶分子の初期配向方向が、前記画素の配列方向に対して平行または直交以外の角度で設定され、前記偏光素子の透過軸が前記初期配向方向と同一方向であり、前記第1電極または前記第2電極は、前記初期配向方向に対して所定の角度をなして交差する複数のスリットを有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、一般的に透過軸が水平または垂直のいずれかで構成される偏光サングラスを通して液晶表示装置を見ても、一対の基板に設けられた偏光素子の透過軸と偏光サングラスの透過軸とは直交しないので、表示を適正な状態で確認することができる。言い換えれば、偏光サングラス対応のために位相差板を設ける必要がなく、薄型でコストパフォーマンスに優れた横方向電界方式の液晶表示装置を提供することができる。また液晶装置を90度回転させ画像を表示させる機能のついた液晶装置においても一対の基板に設けられた偏光素子の透過軸と偏光サングラスの透過軸とは直交しないので表示を適正な状態で確認することができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例の液晶表示装置において、前記複数のスリットは、前記画素の配列方向に対して平行または直交以外の傾斜角度を有することが好ましい。
この構成によれば、初期配向方向に加えて複数のスリットの傾斜角度が画素の配列方向に対して平行または直交以外の角度に設定される。したがって、複数のスリットを基準とすると初期配向方向すなわち偏光素子の透過軸が画素の配列方向となす角度がより大きくなる。よって、偏光サングラスの透過軸と偏光素子の透過軸とがなす角度が大きくなる。ゆえに、より効果的な偏光サングラス対応が実現される。
【0012】
[適用例3]上記適用例の液晶表示装置において、前記スリットの前記初期配向方向に対する前記所定の角度が、5度乃至10度であることが好ましい。
液晶分子は、初期配向方向と電界方向とがなす角度がより小さい方向にツイストする。第1電極と第2電極との間に生ずる電界の方向(電界方向)は、基本的にスリットの長手方向に対して直交する方向に生じる。
したがって、液晶分子の初期配向方向に対して交差するスリットの所定の角度が小さくなると、初期配向方向と電界方向とがなす角度の一方が90度に近づく、すなわちツイスト方向の安定性が失われ易い。一方で上記所定の角度が大きくなると、初期配向方向と電界方向とがなす角度の一方が小さくなる。よって、ツイスト方向の安定性が増すものの、液晶分子のツイスト角度が小さくなるので偏光素子によって直線偏光に変換された透過光の透過率が低下し易い。
この構成によれば、所定の角度を5度乃至10度の範囲とすることにより、偏光サングラス対応を実現すると共に、ツイスト方向の安定性を確保しつつ、明るい表示が得られる液晶表示装置を提供することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例の液晶表示装置において、前記第1電極または前記第2電極は、前記初期配向方向に対して所定の角度をなして交差すると共に、前記画素の配列方向に対する前記傾斜角度が異なる少なくとも2種の前記スリットを有し、前記少なくとも2種の前記スリットに対応する前記液晶層は、前記液晶分子が互いに逆方向にツイストするように駆動されることが好ましい。
この構成によれば、液晶分子のツイスト方向が1方向である場合に比べて、実質的に広いツイスト角度を有することになる。したがって、偏光サングラス対応が施され、広視野角特性を有する液晶表示装置を提供することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例の液晶表示装置において、前記少なくとも2種の前記スリットは、前記初期配向方向に対して対称な前記所定の角度を有することが好ましい。
この構成によれば、互いに逆方向にツイストする液晶分子のツイスト角度が同一となるため、視野角特性における偏りを防止することができる。
【0015】
[適用例6]上記適用例の液晶表示装置において、前記少なくとも2種の前記スリットは、前記傾斜角度が第1の角度である第1スリットと、前記傾斜角度が第2の角度である第2スリットと、前記傾斜角度が前記第1の角度の部分と前記第2の角度の部分とを有する第3スリットとからなることが好ましい。
傾斜角度が異なる少なくとも2種のスリットを有する場合、傾斜角度が異なるスリットに挟まれた画素部分の液晶分子は、駆動時において傾斜角度が異なるスリットにより生ずる電界方向のいずれにもツイストし難くなる。言い換えれば、当該画素部分の液晶分子を駆動することが難しくなり、画素の実質的な開口率が低下し易い。この構成によれば、傾斜角度が第1の角度の部分と第2の角度の部分とを有する第3スリットを設けることにより、液晶分子の駆動が困難となる当該画素部分を少なくすることができる。すなわち、駆動時における画素の開口率が実質的に向上し、照明装置を用いて照明したときの輝度を向上させることができる。
【0016】
[適用例7]上記適用例の液晶表示装置において、前記第3スリットにおける前記第1の角度と前記第2の角度の境界部分が、前記画素の配列方向に対して斜めに交差するように設定されていることが好ましい。
第3スリットにおける第1の角度と第2の角度の境界部分は、ツイスト方向を制御し難い部分である。この構成によれば、当該境界部分が画素の配列方向に対して斜めに交差するように設定されているため、ツイスト方向を制御し難い部分が画素間においてスジ状に連続し視認し易くなることを防ぐ。すなわち、表示ムラを低減できる。
【0017】
[適用例8]上記適用例の液晶表示装置において、前記少なくとも2種の前記スリットのうち、前記傾斜角度が小さい前記スリットおよび/または前記スリットの前記傾斜角度が小さい部分の少なくとも一部が、前記画素の列方向の両端側に位置するように前記第1電極または前記第2電極に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、画素の列方向の両端側に傾斜角度が小さいスリットおよび/またはスリットの傾斜角度が小さい部分の少なくとも一部を配置することにより、当該両端側における電界方向の変化に起因する液晶分子のリバースツイストの発生を抑制することができる。ゆえに、リバースツイストによる画素の実質的な開口率の低下を抑制し、より高いコントラストおよび輝度が得られる液晶表示装置を提供することができる。
【0018】
[適用例9]本適用例の電子機器は、上記適用例の液晶表示装置が搭載されたことを特徴とする。
この構成によれば、偏光サングラス対応が施され、表示を適正に確認することができる電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0020】
<実施形態1>
まず、本実施形態の液晶表示装置について、図1および図2を参照して説明する。図1は、液晶表示装置を示す概略図である。同図(a)は概略正面図、同図(b)は、同図(a)のH−H'線で切った概略断面図である。
【0021】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の液晶表示装置100は、一対の基板としての素子基板10および対向基板20を備えている。対向基板20は、所定の位置で一回り大きいサイズの素子基板10とシール材40を介して接合されている。
【0022】
シール材40により接合された素子基板10と対向基板20との隙間(ギャップ)に、正の誘電異方性を有する液晶が充填され液晶層50を構成している。すなわち、素子基板10と対向基板20とにより液晶層50を挟持している。
【0023】
シール材40の外側は、周辺回路領域であり、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路70および外部回路と接続するための複数の実装端子80とが設けられている。また、素子基板10のX軸方向において対向する他の二辺に沿って、それぞれ走査線駆動回路90が設けられている。素子基板10の残る一辺に沿って、2つの走査線駆動回路90を接続する複数の配線13が設けられている。
【0024】
シール材40の内側には、X軸方向およびY軸方向にマトリクス状に配列した複数の画素を有している。1つの画素は、3色のカラーフィルタ22R(赤),22G(緑),22B(青)に対応した3つのサブ画素から構成されている。3色のカラーフィルタ22R,22G,22Bは、同色のカラーフィルタがY軸方向に連続するように対向基板20側に形成されている。また、素子基板10側には、サブ画素ごとに、これを駆動制御するスイッチング素子としての複数のTFT(Thin Film Transistor)30が設けられている。すなわち、液晶表示装置100は、ストライプ方式のカラーフィルタを備え、カラー表示を可能としたアクティブ型の表示装置である。
【0025】
本実施形態では、実際に表示に寄与する複数の画素の領域を表示領域ARとし、各サブ画素を区画すると共に、表示領域ARを額縁状に遮光する遮光膜61が設けられている。遮光膜61が設けられた遮光領域60は、液晶表示装置100を電子機器に取り付ける際に、表示領域ARの位置を規定する目安となっている。
【0026】
また、素子基板10と対向基板20の外側の表面(液晶層50に対して反対側の表面)にそれぞれ偏光素子としての偏光板14,24が貼り付けられている。このような液晶表示装置100は、LEDなどを光源とした照明装置(図示省略)により照明される。より詳細な液晶表示装置100の構造については後述する。
【0027】
図2は、液晶表示装置の等価回路図である。図2に示すように、液晶表示装置100の表示領域ARを構成する各サブ画素SGは、第1電極としての画素電極9と、第2電極としての共通電極19と、画素電極9をスイッチング制御するためのTFT30とを有している。画素電極9と共通電極19との間には液晶層50が介在している。共通電極19は走査線駆動回路90から延びる共通線3bと電気的に接続されており、各サブ画素SGにおいて共通の電位に保持されるようになっている。
【0028】
データ線駆動回路70から延びるデータ線6aがTFT30のソースと電気的に接続されている。データ線駆動回路70は、画像信号S1,S2,…,Snを、データ線6aを介して各サブ画素SGに供給する。画像信号S1〜Snはこの順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループごとに供給するようにしてもよい。
【0029】
また、TFT30のゲートには、走査線駆動回路90から延びる走査線3aが電気的に接続されている。走査線駆動回路90から所定のタイミングで走査線3aにパルス的に供給される走査信号G1,G2,…,Gmが、この順に線順次でTFT30のゲートに印加されるようになっている。画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されている。
【0030】
スイッチング素子であるTFT30が走査信号G1,G2,…,Gmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号S1,S2,…,Snが所定のタイミングで画素電極9に書き込まれるようになっている。画素電極9を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号S1,S2,…,Snは、液晶層50を介した画素電極9と共通電極19との間で一定期間保持される。
【0031】
本実施形態の液晶表示装置100は、画素電極9と共通電極19との間で生ずる横方向電界により液晶層50を駆動するFFS(Fringe Field Switching mode)方式を採用している。また、液晶表示装置100を偏光サングラスを通して見たときに、表示が視認できない、あるいは視認し難い状態とならないように、画素の構造並びに光学設計を工夫したものである。以下、実施例を挙げて説明を行う。
【0032】
(実施例1)
図3は実施例1の画素の構造を示す概略平面図、図4は図3のA−A'線で切った画素の構造を示す概略断面図である。
【0033】
図3に示すように、液晶表示装置100の1つの画素は、3色(R,G,B)のカラーフィルタ22R,22G,22Bに対応する3つのサブ画素SGにより構成されている。各サブ画素SGには、複数のスリット(隙間)29が略梯子状に形成された矩形の画素電極9が設けられている。すなわち、サブ画素SGの形状は矩形状である。
複数の画素は、サブ画素SGの長手方向が画素の列方向となるようにマトリクス状に配置(配列)されている。
画素電極9の外周を取り囲むようにして、走査線3aと共通線3bと複数のデータ線6aとが配置されている。
走査線3aとデータ線6aとの交差部近傍にTFT30が形成されており、TFT30はデータ線6aおよび画素電極9と電気的に接続されている。
また、画素電極9と平面視でほぼ重なる位置に矩形状の共通電極19が形成されている。なお、共通電極19は、隣接するサブ画素SGに亘ってベタ状に設けてもよい。
【0034】
画素電極9は、ITO(Indium Tin Oxide)等の成膜後に透明な導電材料からなる導電膜である。1つのサブ画素SGの画素電極9に複数本(図示では24本)のスリット29が形成されている。各スリット29は、走査線3aおよびデータ線6aの双方と交差する方向(図中斜め方向)に延びて、データ線6aに沿ったY軸方向において等間隔に配列するように形成されている。各スリット29は略同一の幅に形成され、互いに平行である。これにより、画素電極9は、複数本(図示では23本)の帯状電極部9aを有することになる。スリット29が一定の幅を有して等間隔で配列していることから、帯状電極部9aも一定の幅を有して等間隔で配列している。実施例1では、スリット29の幅と帯状電極部9aの幅はいずれも4μmである。
スリット29が走査線3aに沿ったX軸となす傾斜角度は、この場合20度となっている。以降、このようなスリット29を指して右上がり(20度)のスリット29と呼ぶ。
なお、スリット29の傾斜角度の基準を走査線3aに沿ったX軸としたが、画素の配列における行方向に置き換えても良い。また、Y軸を画素の配列における列方向として置き換えてこれを基準としてもよい。
【0035】
共通電極19は、ITO等の透明導電材料からなる導電膜であり、走査線3aと平行に延びる共通線3bと一体に形成されている。したがって、共通電極19は共通線3bと電気的に接続されている。
【0036】
共通線3bと共通電極19とを別々の導電膜を用いて形成してもよい。これらを電気的に接続する方法としては、共通電極19と共通線3bとを層間絶縁膜を介して異なる配線層に形成し、層間絶縁膜に開口したコンタクトホールを介して両者を接続する方法が挙げられる。
走査線3a、データ線6a、共通線3bは、電気信号を伝達する観点からそれぞれ低抵抗な導電材料を用いて形成されることが好ましく、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等が挙げられる。
【0037】
TFT30は、走査線3a上に部分的に形成された島状のアモルファスシリコン膜からなる半導体層35と、データ線6aを分岐して半導体層35上に延出されたソース電極31と、半導体層35上から画素電極9の形成領域に延びる矩形状のドレイン電極32とを備えている。
走査線3aは、半導体層35と対向する位置でTFT30のゲート電極として機能する。ドレイン電極32と画素電極9とは、両者が平面的に重なる位置に形成された画素コンタクトホール47を介して電気的に接続されている。
なお、図示のサブ画素SGにおいて、画素電極9と共通電極19とが平面視で重なる領域が、当該サブ画素SGの容量として機能するので、画像信号を保持するために別途保持容量をサブ画素SGの形成領域内に設ける必要が無く、高い開口率を得ることができる。
また、画素電極9と共通電極19とが平面視で重なる領域は、この場合、透過表示領域Tとなっている。
【0038】
図4に示すように、液晶表示装置100は、画素電極9および共通電極19を有する素子基板10と、対向基板20とにより、液晶層50を挟持している。
透明なガラス等からなる対向基板20上には、液晶層50側に向かってカラーフィルタ22(22B,22G,22R)と、カラーフィルタ22をサブ画素SGごと(色ごと)に区画する遮光膜61と、カラーフィルタ22および遮光膜61を覆う配向膜23とが形成されている。
【0039】
遮光膜61は、ブラックマトリクス(BM)と呼ばれるものである。その形成方法は、例えば、遮光性材料として金属または金属化合物の薄膜を対向基板20の表面(液晶層50側)に成膜し、フォトリソグラフィ法により、サブ画素SGに対応した開口部を有するようにパターニングする方法が挙げられる。代表的な金属または金属化合物としては、クロム(Cr)または酸化クロムが挙げられる。また、遮光性材料として黒色顔料などを含む樹脂をオフセットなどの印刷法でパターニングする方法が挙げられる。
【0040】
カラーフィルタ22は、例えば、各色の着色材料を含む感光性樹脂材料を、遮光膜61が形成された対向基板20に塗布して、これをフォトリソグラフィ法により露光・現像することにより、上記遮光膜61の開口部を埋めるように形成することができる。塗布方法としては、スピンコート、スリットコートなどの方法を用いることができる。また、遮光膜61上に隔壁部を設け、隔壁部により区画された領域に各色の着色材料を含む液状体を液滴として塗布する液滴吐出法を用いてもよい。
【0041】
同じく、透明なガラス等からなる素子基板10上には、走査線3a、共通電極19および共通線3bが形成されている。これらの走査線3a、共通電極19および共通線3bを覆って、シリコン酸化物膜等からなる絶縁薄膜11が形成されている。
絶縁薄膜11上には、島状の半導体層35と、半導体層35と一部が重なるようにソース電極31とドレイン電極32とが形成されている。これらの半導体層35、ソース電極31およびドレイン電極32を覆って、シリコン酸化物膜や樹脂膜からなる層間絶縁膜12が形成されている。
層間絶縁膜12上には、画素電極9が形成され、層間絶縁膜12を貫通してドレイン電極32に達する画素コンタクトホール47を介して、画素電極9とドレイン電極32とが電気的に接続されている。
素子基板10の画素電極9を覆って、ポリイミド等からなる配向膜18が形成されている。液晶層50に面する素子基板10側の配向膜18および対向基板20側の配向膜23は、ラビング処理等の配向処理を施されて液晶を所定方向に配向させるようになっている。配向処理の詳細については、後述する光学設計条件において説明する。
【0042】
対向基板20の表面(液晶層50側に対して反対側の表面)に偏光板24が貼り付けられ、素子基板10の表面(液晶層50側に対して反対側の表面)に偏光板14が貼り付けられている。一対の偏光板14,24の光学的な配置は、クロスニコル(互いの透過軸が直交する状態)となっている。
【0043】
図5(a)は実施例1の光学設計条件を示す概略図、同図(b)は実施例1の液晶分子の挙動を示す概略図である。
【0044】
図5(a)に示すように、実施例1の光学設計条件は、右上がり20度のスリット29に対して、ラビング方向(配向処理の方向)が右上がり15度となっている。より具体的には、素子基板10側の配向膜18は、平面視で走査線3aに沿ったX軸に対して15度の傾斜角度で右上から左下に向かうようにラビング処理が施されている。これに対して、対向基板20側の配向膜23は、素子基板10と対向配置された状態の平面視でX軸に対して15度の傾斜角度で左下から右上に向かうようにラビング処理が施されている。ゆえに、相互のラビング方向は、180度逆方向になっている。
一対の偏光板14,24の光学的な配置は、前述したようにクロスニコルである。偏光板14の透過軸は、ラビング方向すなわち液晶分子の初期配向方向と一致している。他方の偏光板24の透過軸は、偏光板14の透過軸に対して直交し、同図(a)では破線で図示されている。
したがって、液晶表示装置100は、非駆動状態では、照明装置から入射した光が透過できない黒表示となるノーマリーブラックである。
【0045】
図5(b)に示すように、駆動状態では、画素電極9と共通電極19との間に横方向電界が生ずる。電界方向は、スリット29の長手方向に対して直交する方向となる。初期配向方向に配列した液晶分子は、電界方向にツイストする。実施例1では、スリット29は、初期配向方向に対して所定の角度(5度)で交差しており、液晶分子は、ツイストするために必要なエネルギーが小さい方向(初期配向方向と電界方向とのなす角度がより小さい方向)、すなわち、この場合、時計回りにツイストする。
【0046】
実施例1によれば、一対の偏光板14,24は、いずれもX軸、Y軸に対して平行または垂直以外の角度で配置される。したがって、偏光サングラスを通して液晶表示装置100を見ても、液晶表示装置100から射出する光が偏光サングラスにより吸収されない。よって、適正に表示を視認することが可能となる。
【0047】
(実施例2)
図6は実施例2の画素の構造を示す概略平面図、図7(a)は実施例2の光学設計条件を示す概略図、同図(b)は実施例2の液晶分子の挙動を示す概略図である。なお、以降、画素の構造の説明にあたり、1つのサブ画素SGを取り上げて説明する。他のサブ画素SGも同様であることは言うまでもない。また、実施例1と同じ構成の部分は、同じ符号を付して説明する。
【0048】
図6に示すように、実施例2は、実施例1に対して、画素電極9は傾斜角度が異なる2種のスリット29,29aを有することを特徴としている。
【0049】
具体的には、画素電極9の長手方向において、下方に実施例1と同様に傾斜角度が右上がり20度の複数の第1スリットとしてのスリット29を有し、上方に傾斜角度が右上がり10度の複数の第2スリットとしてのスリット29aを有する。傾斜角度が右上がり20度の部分を第1の領域9bとする。傾斜角度が右上がり10度の部分を第2の領域9cとする。第1の領域9bと第2の領域9cとがほぼ同じ面積となるように、複数のスリット29,29aが設けられている。
【0050】
図7(a)に示すように、実施例2の光学設計条件は、基本的に実施例1と同じである。すなわち、ラビング方向は右上がり15度であり、偏光板14の透過軸はラビング方向と一致している。一対の偏光板14,24の透過軸は互いに直交している。したがって、傾斜角度が右上がり10度のスリット29aに着目して説明する。
【0051】
図7(b)に示すように、スリット29aは、ラビング方向が右上がり15度であるため、ラビング方向に対して所定の角度(5度)で交差している。実施例1で説明したように電界方向は、スリット29aの長手方向に対して直交する方向に発生する。
したがって、スリット29aに対応する液晶層50の液晶分子は、駆動時に反時計回りにツイストすることになる。
【0052】
よって、図6に示す第1の領域9bでは液晶分子は時計回りにツイストし、第2の領域9cでは液晶分子は反時計回りにツイストすることになる。このように、サブ画素SGにおいて、ツイスト方向が2種存在する方式を2ドメイン方式と呼ぶ。偏光サングラス対応が実現されるだけでなく、実質的なツイスト角度が広くなり、実施例1に比べて広い視野角特性が得られる。
【0053】
実施例2のように、スリット29,29aがラビング方向すなわち初期配向方向に対して交差する所定の角度を、以降、液晶分子のツイスト方向を基準として時計回りの5度、反時計回りの−5度として定義する。すなわち、実施例2のスリット29,29aは、傾斜角度が異なるものの、初期配向方向に対しては±5度(絶対値で同じ角度)で交差するものである。スリット29,29aの所定の角度は、初期配向方向に対して線対称な角度となっているため、逆方向にツイストするツイスト角度が互いに同じであり、視野角特性における偏りが抑制される。
【0054】
(実施例3)
図8は実施例3の画素の構造を示す概略平面図である。なお、実施例1および実施例2と同じ構成の部分は、同じ符号を付して説明する。
【0055】
図8に示すように、実施例3の画素の構造は、実施例2のスリット29,29aに加えて、傾斜角度が右上がり10度の部分と右上がり20度の部分とを有する第3スリットとしてのスリット29bを有することが特徴の1つである。光学設計条件は、実施例2と同じである。
【0056】
具体的には、画素電極9の長手方向において、下方側に傾斜角度が右上がり20度の複数のスリット29を有し、上方側に傾斜角度が右上がり10度の複数のスリット29aを有する。そして、複数のスリット29からなるスリット群と、複数のスリット29aからなるスリット群との間に複数のスリット29bからなるスリット群が配置されている。
スリット29bは、傾斜角度が右上がり20度から10度に変化している。傾斜角度が変化している部分は、画素電極9をほぼ斜めに横断する破線9d上に位置している。
実施例3においても実施例2と同様に、液晶分子のツイスト方向が逆転する第1の領域9bと第2の領域9cとがほぼ同じ面積となるように、複数のスリット29,29a,29bが設けられている。上記傾斜角度が変化している部分は、ツイスト方向が異なる領域の境界部分である。
【0057】
このように2種の傾斜角度を有するスリット29bを配置することにより、実施例2に比べて、第1の領域9bと第2の領域9cとの間で生ずる液晶分子のツイスト方向を制御し難い領域を減少させることができる。また、傾斜角度が変化する部分を画素電極9の長手方向に対して傾斜する破線9d上に位置させることにより、破線9dが長手方向と直交する場合に比べて、サブ画素SG間において液晶分子のツイスト方向を制御し難い領域(表示に寄与しない領域)がスジ状に強調されることを抑制することができる。ゆえに、スジ状の表示ムラの発生を低減することができる。
さらには、画素電極9の大きさや形状に応じてスリットを配置する設計上の自由度を高めることができる。具体的には、傾斜角度が大きくなったり複数種である場合に、画素電極9において表示に寄与しないデッドスペースが増すことを抑制することができる。
【0058】
(実施例4)
図9は実施例4の画素の構造を示す概略平面図、図10(a)は実施例4の光学設計条件を示す概略図、同図(b)および(c)は実施例4の液晶分子の挙動を示す概略図である。なお、実施例1と同じ構成の部分は、同じ符号を付して説明する。
【0059】
図9に示すように、実施例4の画素の構造は、実施例1〜実施例3に対して、スリット29c,29d,29e,29fの傾斜が右下がりとなっている。また、傾斜角度が違う。さらには、傾斜角度が小さいスリット29dおよびスリット29e,29fの傾斜角度が小さい部分が画素電極9の長手方向の両端側に配置されていることが特徴である。
【0060】
具体的には、画素電極9は、傾斜角度が右下がり50度のスリット29cと、右下がり40度のスリット29dと、右下がり40度の部分と右下がり50度の部分とを有するスリット29e,29fとを有する。
【0061】
画素電極9の中央側は、右下がり50度の傾斜角度のスリット29cを中心としてスリット29e,29fの右下がり50度の部分により構成されている。画素電極9の長手方向における両端側は、右下がり40度のスリット29dと、スリット29e,29fの右下がり40度の部分により構成されている。
【0062】
図10(a)に示すように、実施例4の光学設計条件は、右下がり50度のスリット29cに対してラビング方向が右下がり45度となっている。ラビング方向と偏光板14の透過軸は一致している。一対の偏光板14,24の透過軸は直交している。偏光板24の透過軸は破線で示されている。
【0063】
図10(b)に示すように、右下がり50度のスリット29cに着目すると、液晶分子の初期配向方向に対してスリット29cは−5度で交差する。駆動時に発生する電界方向はスリット29cの長手方向と直交する方向となるため、液晶分子は、反時計回りにツイストする。これに対して、右下がり40度のスリット29dに着目すると、図10(c)に示すように、液晶分子の初期配向方向に対してスリット29cは5度で交差する。駆動時に発生する電界方向はスリット29dの長手方向と直交する方向となるため、液晶分子は、時計回りにツイストする。すなわち、2ドメインの構成となる。
【0064】
よって、図9において、第3の領域9eと第4の領域9fとは、液晶分子のツイスト方向が異なる。第3の領域9eと第4の領域9fの境界は、破線9h,9g上に位置している。スリット29e,29fの傾斜角度が変化する部分は、破線9h,9gの直線部分に位置している。これにより、実施例3と同様に画素の実質的な開口率の低下を防いでいる。
【0065】
実施例4によれば、実施例1〜実施例3に比べて、偏光板14,24の透過軸の傾斜角度をさらに傾けた右下がり45度または右上がり45度とするので、偏光サングラスの透過軸との交差角度が最大となる。すなわち、偏光サングラスを通して液晶表示装置100を見たときの色調などの変化を抑え、より適正な状態で表示を確認することができる。
【0066】
図13は、リバースツイストの発生メカニズムを説明する概略平面図である。図13に示すように、例えば、スリット29cを画素電極9の長手方向における両端部まで延在させた場合、該両端側におけるスリット29cの一方の短辺と長辺とがなす角度は、50度と130度になる。これに対してスリット29cの他方の短辺と長辺とがなす角度は、40度と140度になる。上記一方の短辺における電界方向Eは、液晶分子の初期配向方向とのなす角度が他方の短辺に比べて、液晶分子のツイスト方向が反転する角度となり易い。したがって、液晶分子のツイスト方向が反転したリバースツイストが発生し易い。
【0067】
実施例4では、画素電極9の長手方向の両端部におけるリバースツイストの発生のし易さを考慮して、40度と50度の傾斜角度のうち、傾斜角度が小さい40度のスリット29dおよびスリット29e,29fの40度の傾斜角度となる部分を画素電極9の長手方向における両端側に配置した。これにより、画素電極9の該両端部におけるリバースツイストの発生を抑制し、リバースツイストに起因する実質的な開口率の低下を防止した。
【0068】
(実施例5)
図11は実施例5の画素の構造を示す概略平面図、図12(a)は実施例5の光学設計条件を示す概略図、同図(b)および(c)は実施例5の液晶分子の挙動を示す概略図である。なお、実施例1と同じ構成の部分は、同じ符号を付して説明する。
【0069】
図11に示すように、実施例5の画素の構造は、実施例4に対してスリットの傾斜角度をさらに急峻としたものである。
【0070】
具体的には、画素電極9は、右下がり70度のスリット29gと、右下がり70度の部分と右下がり80度の部分とを有するスリット29h,29iと、両端側が右下がり70度でその間が右下がり80度のスリット29jとを有する。
【0071】
画素電極9の長手方向における中央側にスリット29h,29i,29jの傾斜角度が大きい部分(80度)が配置され、両端側に傾斜角度が小さいスリット29gおよびスリット29h,29i,29jの傾斜角度が小さい部分(70度)が配置されている。
【0072】
図12(a)に示すように、実施例5の光学設計条件は、スリット29jに着目すると、傾斜角度が右下がり80度の主たる部分に対して、ラビング方向は右下がり75度となっている。偏光板14の透過軸は、ラビング方向と一致している。偏光板14に対して透過軸が直交する偏光板24の透過軸は破線で示されている。
【0073】
図12(b)に示すように、右下がり80度のスリット部は、液晶分子の初期配向方向に対して−5度の角度で交差している。駆動時の電界方向は、当該スリットの長手方向に対して直交する方向である。したがって、液晶分子は、反時計回りにツイストする。
これに対して、図12(c)に示すように、右下がり70度のスリット29gは、液晶分子の初期配向方向に対して5度の角度で交差している。駆動時の電界方向は、当該スリット29gの長手方向に対して直交する方向である。したがって、液晶分子は、時計回りにツイストする。すなわち、2ドメインの構成となる。
【0074】
よって、図11に示す第5の領域9iでは液晶分子は時計回りにツイストし、第6の領域9jでは反時計回りにツイストする。第5の領域9iと第6の領域9jとの境界は、破線9m,9kで示されている。スリット29h,29i,29jにおいて傾斜角度が変化する部分は、破線9m,9kの直線部分に位置している。
【0075】
実施例5によれば、偏光板14の透過軸の角度は右下がり75度、偏光板24の透過軸は右上がり15度となるため、実質的に実施例1と同じ偏光板の配置となる。すなわち、偏光サングラス対応が実現される。
【0076】
実施例1〜実施例5のいずれかの画素の構造を適用した液晶表示装置100によれば、一対の偏光板14,24の透過軸が画素の配列方向(行方向および列方向)に対して平行または直交以外の角度で構成される。したがって、偏光サングラスを通して液晶表示装置100を見ても、表示が視認し難くならずに確認することができる。また、偏光サングラス対応のための位相差板を前面に設ける必要がないので、高いコストパフォーマスを有すると共に、より薄型の液晶表示装置100を提供することができる。なお、一対の偏光板14,24を透過軸が同一方向となるように配置して、非駆動時に白表示となるノーマリーホワイトの場合でも、このようなスリットの配置や液晶分子の初期配向状態すなわち光学設計条件を適用できることは言うまでもない。
また、偏光サングラス対応における技術思想としては、液晶表示装置100において表示される画像の表示水平方向または表示垂直方向に対して、偏光素子の透過軸および液晶分子の初期配向方向並びにスリット29の傾斜角度を規定するものである。
【0077】
図14は視野角によるコントラスト特性を示すグラフである。詳しくは、液晶分子の初期配向方向に対してスリットが5度/−5度で交差する2ドメイン方式の場合であって、視野角によるコントラスト比を示している。このような同心円状のグラフは、コントラストコーンと呼ばれている。
【0078】
図14に示したコントラストコーンを実施例1〜実施例5に当て嵌めると次のようになる。実施例2および実施例3では、図14のコントラストコーンを反時計回りに15度回転させた状態となる。実施例4では、図14のコントラストコーンを時計回りに45度回転させた状態となる。実施例5では、図14のコントラストコーンを時計回りに75度回転させた状態となる。このような視野角によるコントラスト特性を基に各実施例の表示特性と図17に示した従来の液晶表示装置300の表示特性を比較したのが、図15に示した比較表である。
【0079】
図15の比較表に示すように、偏光サングラス対応という観点では、実施例1〜実施例5の液晶表示装置100は、従来例の液晶表示装置300に対して優れている。すなわち実施例1〜実施例3並びに実施例5の評価を○、実施例4の評価を特に◎とし、従来例の評価を×とした。
また、視野角特性という観点では、シングルドメイン方式の実施例1に対して2ドメイン方式を採用している実施例2〜実施例5および従来例が優れている。同じ2ドメイン方式の中でも実施例2および実施例3と実施例4とを比較すると、実施例4は、図14のコントラストコーンを時計回りに45度回転させるため、上下方向、左右方向から見たときのコントラストが低下する特性となる。したがって、液晶表示装置100の使用方法によっては、本来の広視野角が寄与しないおそれがあるため評価を△〜○とした。
輝度特性の観点では、スリットの形状や配置を工夫し実質的な開口率が向上した実施例3および実施例4が他に比べて優れている。したがって、実施例3および実施例4の評価を◎とした。従来の液晶表示装置300(図17参照)については、上部スリット307と下部スリット308との間に基準スリット306が設けられているのでこれも評価が◎である。実施例5のスリット29g,29h,29i,29jは、傾斜角度が急峻なため、所謂縦長の画素電極9に対して、傾斜角度を異ならせて配置する場合、ツイスト方向が制御し難い境界領域が広くなり易い(すなわち実質的な開口率が低下し易い)ので、評価を△〜○とした。
【0080】
<実施形態2>
図16は、電子機器としての携帯型電話機を示す概略斜視図である。図16に示すように、本実施形態の電子機器としての携帯型電話機200は、入力用のボタン類や表示部202などを備えた本体201を有する。
【0081】
表示部202には、上記実施形態1の液晶表示装置100とLEDなどを光源とする照明装置が組み込まれている。
【0082】
したがって、偏光サングラスを通して携帯型電話機200を見ても適正に表示を確認することができる。
【0083】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0084】
(変形例1)上記実施形態1の実施例1〜実施例5において、スリットの傾斜角度は、右上がり10度/20度、右下がり40度/50度、右下がり70度/80度に限定されない。偏光サングラスを通して液晶表示装置100を正面から見たときに、液晶表示装置100に装備される偏光板14または偏光板24の透過軸と偏光サングラスの透過軸とが直交しないように、スリットの配置並びに光学設計条件を設定することが最も肝要である。
また、液晶分子の初期配向方向に対して交差するスリットの所定の角度は、5度(実際には±5度)に限定されない。正の誘電異方性を有する液晶材料のΔn(複屈折率)や図4に示した液晶層50の厚みdの設定、並びにラビング処理後の配向膜18,23における液晶分子のチルト角などに基づく光学特性を考慮して5度〜15度の範囲で選定が可能である。
液晶分子の初期配向方向に対して交差するスリットの所定の角度が小さくなると、初期配向方向と電界方向とがなす角度の一方が90度に近づく、すなわちツイスト方向の安定性が失われ易い。一方で上記所定の角度が大きくなると、初期配向方向と電界方向とがなす角度の一方が小さくなる。よって、ツイスト方向の安定性が増すものの、液晶分子のツイスト角度が小さくなるので偏光素子によって直線偏光に変換された透過光の透過率が低下し易い。
したがって、好ましくは上記所定の角度を5度〜10度の範囲とすることにより、偏光サングラス対応を実現すると共に、ツイスト方向の安定性を確保しつつ、明るい表示が得られる液晶表示装置100を提供することができる。
【0085】
(変形例2)上記実施形態1の液晶表示装置100において、画素電極9におけるスリットの形状は、これに限定されない。例えば、実施例1〜実施例5の各スリットは、その長手方向における両端部が閉じているが、両端部の一方を開放した状態としてもよい。これによれば、開放した部分の電界方向がスリットの長手方向に直交する方向に向かい易くなり、画素の開口率を実質的に向上させることができる。
【0086】
(変形例3)上記実施形態1の液晶表示装置100において、画素電極9と共通電極19の構成は、これに限定されない。例えば、素子基板10において、スリットがない画素電極9を下層に配置し、当該画素電極9に対して層間絶縁膜を介して共通電極19を重畳し、共通電極19に複数のスリットを形成して共通線3bと電気的に接続させてもよい。すなわち、複数のスリットは、請求項における第1電極または第2電極のいずれかに形成すればよく、第1電極は画素電極9(第2電極は共通電極19)に限定されない。
【0087】
(変形例4)上記実施形態1の液晶表示装置100において、3色のカラーフィルタ22R,22G,22Bに対応するサブ画素SGの面積は、色ごとに同じとは限らない。例えば、視感度に応じてサブ画素SGの面積を変えてもよい。言い換えれば、各色に対応して画素電極9の面積を変えてもよい。具体的には、面積をG(緑)<R(赤)<B(青)の順に大きくしてもよい。
【0088】
(変形例5)上記実施形態1の液晶表示装置100は、透過表示領域Tを有する透過型に限定されない。例えば、サブ画素SGにおいて、透過表示領域Tと、反射板を有する反射表示領域とを備えた半透過反射型の液晶表示装置においても実施例1〜実施例5のスリットの配置並びに光学設計条件を適用することができる。
【0089】
(変形例6)上記実施形態1の液晶表示装置100において、偏光素子は、一対の基板としての素子基板10および対向基板20の外側に設けることに限定されない。例えば、液晶層50に面する一対の基板の内側に偏光素子を設けてもよい。このような内面偏光素子の例としてはワイヤーグリット偏光素子、コーティング偏光素子等が挙げられる。
また、液晶表示装置100を反射板を有する反射型とする場合には、外光が入射する側の基板に偏光素子を設ければよい。すなわち、偏光素子は上下一対設けることに限定されない。
【0090】
(変形例7)上記実施形態1において、液晶表示装置100は、FFS方式に限定されない。例えば、横方向電界方式であるIPS(In Place Switching)方式の液晶表示装置においても適用可能である。
【0091】
(変形例8)上記実施形態2において、上記実施形態1の液晶表示装置100を搭載可能な電子機器は、携帯型電話機200に限定されない。例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、電子手帳、映像情報を表示するビューワーやDVDプレーヤ、携帯型情報端末などの電子機器に搭載すれば、好適である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】(a)は液晶表示装置の構成を示す概略正面図、(b)は(a)のH−H'線で切った液晶表示装置の構造を示す概略断面図。
【図2】液晶表示装置の等価回路図。
【図3】実施例1の画素の構造を示す概略平面図。
【図4】図3のA−A'線で切った液晶表示装置の断面図。
【図5】(a)は実施例1の光学設計条件を示す概略図、(b)は実施例1の液晶分子の挙動を示す概略図。
【図6】実施例2の画素の構造を示す概略平面図。
【図7】(a)は実施例2の光学設計条件を示す概略図、(b)は実施例2の液晶分子の挙動を示す概略図。
【図8】実施例3の画素の構造を示す概略平面図。
【図9】実施例4の画素の構造を示す概略平面図。
【図10】(a)は実施例4の光学設計条件を示す概略図、(b)および(c)は実施例4の液晶分子の挙動を示す概略図。
【図11】実施例5の画素の構造を示す概略平面図。
【図12】(a)は実施例5の光学設計条件を示す概略図、(b)および(c)は実施例5の液晶分子の挙動を示す概略図。
【図13】リバースツイストの発生メカニズムを説明する概略平面図。
【図14】視野角によるコントラスト特性を示すグラフ。
【図15】従来例および実施例の液晶表示装置を評価した比較表。
【図16】電子機器としての携帯型電話機を示す概略斜視図。
【図17】従来の液晶表示装置の単位画素を示す概略平面図。
【符号の説明】
【0093】
9…第1電極としての画素電極、10…一方の基板としての素子基板、14,24…偏光素子としての偏光板、19…第2電極としての共通電極、29,29a,29b,29c,29d,29e,29f,29g,29h,29i,29j…スリット、50…液晶層、100…液晶表示装置、200…電子機器としての携帯型電話機、300…従来の液晶表示装置、SG…サブ画素。
【技術分野】
【0001】
本発明は、横方向電界モードの液晶表示装置、これを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図17は、従来の液晶表示装置の単位画素を示す概略平面図である。図17に示すように、横方向電界モードの液晶表示装置として、液晶層を介して対向配置された第1および第2透明基板を備え、第1透明基板上の各単位画素に設けられた薄膜トランジスタ301と、共通信号線304に接続するカウンタ電極と、カウンタ電極と絶縁して配置された画素電極305とを有するフリンジフィールドスイッチングモード(FFS;Fringe Field Switching mode)の液晶表示装置300が知られている(特許文献1)。
【0003】
上記画素電極305は、画素の長辺の中心にゲートバスライン302と平行に配置される基準スリット306と、基準スリット306の上下部に所定の傾きで配置される複数個の上部スリット307および下部スリット308とを有している。そして、陽の液晶(正の誘電異方性を有する液晶)の場合、ゲートバスライン302と平行に液晶の配向処理が施される。また、陰の液晶(負の誘電異方性を有する液晶)の場合には、データバスライン303と平行に液晶の配向処理が施される。そして、外面に配置された第1および第2偏光板は、互いに直交する透過軸を有し、いずれか1つの透過軸が配向処理方向と同一であるとしている。
【0004】
上記液晶表示装置によれば、偏光サングラスを通して上記液晶表示装置を見たときに偏光サングラスの透過軸とフロント側に設けられた偏光板の透過軸とが直交して、表示が適正に視認できないおそれがある。
【0005】
このような不具合を改善する方法として、位相差板をフロント側の偏光板の前面に配置する方法が開示されている(特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−182230号公報
【特許文献2】特開平6−258633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の上記液晶表示装置300に特許文献2の位相差板を組み合わせることは、偏光サングラス対応として技術的には問題がないものの、コストが上昇する要因となる。また、昨今の表示デバイス薄型化の市場要求に対しては逆行するという課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例の液晶表示装置は、一対の基板と、前記一対の基板により挟持された液晶層と、前記一対の基板のうち一方の基板に設けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極がそれぞれに設けられた複数の画素と、前記一対の基板に設けられた偏光素子とを備え、前記液晶層は、前記第1電極と前記第2電極との間に生ずる電界によって駆動され、前記液晶層における液晶分子の初期配向方向が、前記画素の配列方向に対して平行または直交以外の角度で設定され、前記偏光素子の透過軸が前記初期配向方向と同一方向であり、前記第1電極または前記第2電極は、前記初期配向方向に対して所定の角度をなして交差する複数のスリットを有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、一般的に透過軸が水平または垂直のいずれかで構成される偏光サングラスを通して液晶表示装置を見ても、一対の基板に設けられた偏光素子の透過軸と偏光サングラスの透過軸とは直交しないので、表示を適正な状態で確認することができる。言い換えれば、偏光サングラス対応のために位相差板を設ける必要がなく、薄型でコストパフォーマンスに優れた横方向電界方式の液晶表示装置を提供することができる。また液晶装置を90度回転させ画像を表示させる機能のついた液晶装置においても一対の基板に設けられた偏光素子の透過軸と偏光サングラスの透過軸とは直交しないので表示を適正な状態で確認することができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例の液晶表示装置において、前記複数のスリットは、前記画素の配列方向に対して平行または直交以外の傾斜角度を有することが好ましい。
この構成によれば、初期配向方向に加えて複数のスリットの傾斜角度が画素の配列方向に対して平行または直交以外の角度に設定される。したがって、複数のスリットを基準とすると初期配向方向すなわち偏光素子の透過軸が画素の配列方向となす角度がより大きくなる。よって、偏光サングラスの透過軸と偏光素子の透過軸とがなす角度が大きくなる。ゆえに、より効果的な偏光サングラス対応が実現される。
【0012】
[適用例3]上記適用例の液晶表示装置において、前記スリットの前記初期配向方向に対する前記所定の角度が、5度乃至10度であることが好ましい。
液晶分子は、初期配向方向と電界方向とがなす角度がより小さい方向にツイストする。第1電極と第2電極との間に生ずる電界の方向(電界方向)は、基本的にスリットの長手方向に対して直交する方向に生じる。
したがって、液晶分子の初期配向方向に対して交差するスリットの所定の角度が小さくなると、初期配向方向と電界方向とがなす角度の一方が90度に近づく、すなわちツイスト方向の安定性が失われ易い。一方で上記所定の角度が大きくなると、初期配向方向と電界方向とがなす角度の一方が小さくなる。よって、ツイスト方向の安定性が増すものの、液晶分子のツイスト角度が小さくなるので偏光素子によって直線偏光に変換された透過光の透過率が低下し易い。
この構成によれば、所定の角度を5度乃至10度の範囲とすることにより、偏光サングラス対応を実現すると共に、ツイスト方向の安定性を確保しつつ、明るい表示が得られる液晶表示装置を提供することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例の液晶表示装置において、前記第1電極または前記第2電極は、前記初期配向方向に対して所定の角度をなして交差すると共に、前記画素の配列方向に対する前記傾斜角度が異なる少なくとも2種の前記スリットを有し、前記少なくとも2種の前記スリットに対応する前記液晶層は、前記液晶分子が互いに逆方向にツイストするように駆動されることが好ましい。
この構成によれば、液晶分子のツイスト方向が1方向である場合に比べて、実質的に広いツイスト角度を有することになる。したがって、偏光サングラス対応が施され、広視野角特性を有する液晶表示装置を提供することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例の液晶表示装置において、前記少なくとも2種の前記スリットは、前記初期配向方向に対して対称な前記所定の角度を有することが好ましい。
この構成によれば、互いに逆方向にツイストする液晶分子のツイスト角度が同一となるため、視野角特性における偏りを防止することができる。
【0015】
[適用例6]上記適用例の液晶表示装置において、前記少なくとも2種の前記スリットは、前記傾斜角度が第1の角度である第1スリットと、前記傾斜角度が第2の角度である第2スリットと、前記傾斜角度が前記第1の角度の部分と前記第2の角度の部分とを有する第3スリットとからなることが好ましい。
傾斜角度が異なる少なくとも2種のスリットを有する場合、傾斜角度が異なるスリットに挟まれた画素部分の液晶分子は、駆動時において傾斜角度が異なるスリットにより生ずる電界方向のいずれにもツイストし難くなる。言い換えれば、当該画素部分の液晶分子を駆動することが難しくなり、画素の実質的な開口率が低下し易い。この構成によれば、傾斜角度が第1の角度の部分と第2の角度の部分とを有する第3スリットを設けることにより、液晶分子の駆動が困難となる当該画素部分を少なくすることができる。すなわち、駆動時における画素の開口率が実質的に向上し、照明装置を用いて照明したときの輝度を向上させることができる。
【0016】
[適用例7]上記適用例の液晶表示装置において、前記第3スリットにおける前記第1の角度と前記第2の角度の境界部分が、前記画素の配列方向に対して斜めに交差するように設定されていることが好ましい。
第3スリットにおける第1の角度と第2の角度の境界部分は、ツイスト方向を制御し難い部分である。この構成によれば、当該境界部分が画素の配列方向に対して斜めに交差するように設定されているため、ツイスト方向を制御し難い部分が画素間においてスジ状に連続し視認し易くなることを防ぐ。すなわち、表示ムラを低減できる。
【0017】
[適用例8]上記適用例の液晶表示装置において、前記少なくとも2種の前記スリットのうち、前記傾斜角度が小さい前記スリットおよび/または前記スリットの前記傾斜角度が小さい部分の少なくとも一部が、前記画素の列方向の両端側に位置するように前記第1電極または前記第2電極に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、画素の列方向の両端側に傾斜角度が小さいスリットおよび/またはスリットの傾斜角度が小さい部分の少なくとも一部を配置することにより、当該両端側における電界方向の変化に起因する液晶分子のリバースツイストの発生を抑制することができる。ゆえに、リバースツイストによる画素の実質的な開口率の低下を抑制し、より高いコントラストおよび輝度が得られる液晶表示装置を提供することができる。
【0018】
[適用例9]本適用例の電子機器は、上記適用例の液晶表示装置が搭載されたことを特徴とする。
この構成によれば、偏光サングラス対応が施され、表示を適正に確認することができる電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0020】
<実施形態1>
まず、本実施形態の液晶表示装置について、図1および図2を参照して説明する。図1は、液晶表示装置を示す概略図である。同図(a)は概略正面図、同図(b)は、同図(a)のH−H'線で切った概略断面図である。
【0021】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の液晶表示装置100は、一対の基板としての素子基板10および対向基板20を備えている。対向基板20は、所定の位置で一回り大きいサイズの素子基板10とシール材40を介して接合されている。
【0022】
シール材40により接合された素子基板10と対向基板20との隙間(ギャップ)に、正の誘電異方性を有する液晶が充填され液晶層50を構成している。すなわち、素子基板10と対向基板20とにより液晶層50を挟持している。
【0023】
シール材40の外側は、周辺回路領域であり、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路70および外部回路と接続するための複数の実装端子80とが設けられている。また、素子基板10のX軸方向において対向する他の二辺に沿って、それぞれ走査線駆動回路90が設けられている。素子基板10の残る一辺に沿って、2つの走査線駆動回路90を接続する複数の配線13が設けられている。
【0024】
シール材40の内側には、X軸方向およびY軸方向にマトリクス状に配列した複数の画素を有している。1つの画素は、3色のカラーフィルタ22R(赤),22G(緑),22B(青)に対応した3つのサブ画素から構成されている。3色のカラーフィルタ22R,22G,22Bは、同色のカラーフィルタがY軸方向に連続するように対向基板20側に形成されている。また、素子基板10側には、サブ画素ごとに、これを駆動制御するスイッチング素子としての複数のTFT(Thin Film Transistor)30が設けられている。すなわち、液晶表示装置100は、ストライプ方式のカラーフィルタを備え、カラー表示を可能としたアクティブ型の表示装置である。
【0025】
本実施形態では、実際に表示に寄与する複数の画素の領域を表示領域ARとし、各サブ画素を区画すると共に、表示領域ARを額縁状に遮光する遮光膜61が設けられている。遮光膜61が設けられた遮光領域60は、液晶表示装置100を電子機器に取り付ける際に、表示領域ARの位置を規定する目安となっている。
【0026】
また、素子基板10と対向基板20の外側の表面(液晶層50に対して反対側の表面)にそれぞれ偏光素子としての偏光板14,24が貼り付けられている。このような液晶表示装置100は、LEDなどを光源とした照明装置(図示省略)により照明される。より詳細な液晶表示装置100の構造については後述する。
【0027】
図2は、液晶表示装置の等価回路図である。図2に示すように、液晶表示装置100の表示領域ARを構成する各サブ画素SGは、第1電極としての画素電極9と、第2電極としての共通電極19と、画素電極9をスイッチング制御するためのTFT30とを有している。画素電極9と共通電極19との間には液晶層50が介在している。共通電極19は走査線駆動回路90から延びる共通線3bと電気的に接続されており、各サブ画素SGにおいて共通の電位に保持されるようになっている。
【0028】
データ線駆動回路70から延びるデータ線6aがTFT30のソースと電気的に接続されている。データ線駆動回路70は、画像信号S1,S2,…,Snを、データ線6aを介して各サブ画素SGに供給する。画像信号S1〜Snはこの順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループごとに供給するようにしてもよい。
【0029】
また、TFT30のゲートには、走査線駆動回路90から延びる走査線3aが電気的に接続されている。走査線駆動回路90から所定のタイミングで走査線3aにパルス的に供給される走査信号G1,G2,…,Gmが、この順に線順次でTFT30のゲートに印加されるようになっている。画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されている。
【0030】
スイッチング素子であるTFT30が走査信号G1,G2,…,Gmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号S1,S2,…,Snが所定のタイミングで画素電極9に書き込まれるようになっている。画素電極9を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号S1,S2,…,Snは、液晶層50を介した画素電極9と共通電極19との間で一定期間保持される。
【0031】
本実施形態の液晶表示装置100は、画素電極9と共通電極19との間で生ずる横方向電界により液晶層50を駆動するFFS(Fringe Field Switching mode)方式を採用している。また、液晶表示装置100を偏光サングラスを通して見たときに、表示が視認できない、あるいは視認し難い状態とならないように、画素の構造並びに光学設計を工夫したものである。以下、実施例を挙げて説明を行う。
【0032】
(実施例1)
図3は実施例1の画素の構造を示す概略平面図、図4は図3のA−A'線で切った画素の構造を示す概略断面図である。
【0033】
図3に示すように、液晶表示装置100の1つの画素は、3色(R,G,B)のカラーフィルタ22R,22G,22Bに対応する3つのサブ画素SGにより構成されている。各サブ画素SGには、複数のスリット(隙間)29が略梯子状に形成された矩形の画素電極9が設けられている。すなわち、サブ画素SGの形状は矩形状である。
複数の画素は、サブ画素SGの長手方向が画素の列方向となるようにマトリクス状に配置(配列)されている。
画素電極9の外周を取り囲むようにして、走査線3aと共通線3bと複数のデータ線6aとが配置されている。
走査線3aとデータ線6aとの交差部近傍にTFT30が形成されており、TFT30はデータ線6aおよび画素電極9と電気的に接続されている。
また、画素電極9と平面視でほぼ重なる位置に矩形状の共通電極19が形成されている。なお、共通電極19は、隣接するサブ画素SGに亘ってベタ状に設けてもよい。
【0034】
画素電極9は、ITO(Indium Tin Oxide)等の成膜後に透明な導電材料からなる導電膜である。1つのサブ画素SGの画素電極9に複数本(図示では24本)のスリット29が形成されている。各スリット29は、走査線3aおよびデータ線6aの双方と交差する方向(図中斜め方向)に延びて、データ線6aに沿ったY軸方向において等間隔に配列するように形成されている。各スリット29は略同一の幅に形成され、互いに平行である。これにより、画素電極9は、複数本(図示では23本)の帯状電極部9aを有することになる。スリット29が一定の幅を有して等間隔で配列していることから、帯状電極部9aも一定の幅を有して等間隔で配列している。実施例1では、スリット29の幅と帯状電極部9aの幅はいずれも4μmである。
スリット29が走査線3aに沿ったX軸となす傾斜角度は、この場合20度となっている。以降、このようなスリット29を指して右上がり(20度)のスリット29と呼ぶ。
なお、スリット29の傾斜角度の基準を走査線3aに沿ったX軸としたが、画素の配列における行方向に置き換えても良い。また、Y軸を画素の配列における列方向として置き換えてこれを基準としてもよい。
【0035】
共通電極19は、ITO等の透明導電材料からなる導電膜であり、走査線3aと平行に延びる共通線3bと一体に形成されている。したがって、共通電極19は共通線3bと電気的に接続されている。
【0036】
共通線3bと共通電極19とを別々の導電膜を用いて形成してもよい。これらを電気的に接続する方法としては、共通電極19と共通線3bとを層間絶縁膜を介して異なる配線層に形成し、層間絶縁膜に開口したコンタクトホールを介して両者を接続する方法が挙げられる。
走査線3a、データ線6a、共通線3bは、電気信号を伝達する観点からそれぞれ低抵抗な導電材料を用いて形成されることが好ましく、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等が挙げられる。
【0037】
TFT30は、走査線3a上に部分的に形成された島状のアモルファスシリコン膜からなる半導体層35と、データ線6aを分岐して半導体層35上に延出されたソース電極31と、半導体層35上から画素電極9の形成領域に延びる矩形状のドレイン電極32とを備えている。
走査線3aは、半導体層35と対向する位置でTFT30のゲート電極として機能する。ドレイン電極32と画素電極9とは、両者が平面的に重なる位置に形成された画素コンタクトホール47を介して電気的に接続されている。
なお、図示のサブ画素SGにおいて、画素電極9と共通電極19とが平面視で重なる領域が、当該サブ画素SGの容量として機能するので、画像信号を保持するために別途保持容量をサブ画素SGの形成領域内に設ける必要が無く、高い開口率を得ることができる。
また、画素電極9と共通電極19とが平面視で重なる領域は、この場合、透過表示領域Tとなっている。
【0038】
図4に示すように、液晶表示装置100は、画素電極9および共通電極19を有する素子基板10と、対向基板20とにより、液晶層50を挟持している。
透明なガラス等からなる対向基板20上には、液晶層50側に向かってカラーフィルタ22(22B,22G,22R)と、カラーフィルタ22をサブ画素SGごと(色ごと)に区画する遮光膜61と、カラーフィルタ22および遮光膜61を覆う配向膜23とが形成されている。
【0039】
遮光膜61は、ブラックマトリクス(BM)と呼ばれるものである。その形成方法は、例えば、遮光性材料として金属または金属化合物の薄膜を対向基板20の表面(液晶層50側)に成膜し、フォトリソグラフィ法により、サブ画素SGに対応した開口部を有するようにパターニングする方法が挙げられる。代表的な金属または金属化合物としては、クロム(Cr)または酸化クロムが挙げられる。また、遮光性材料として黒色顔料などを含む樹脂をオフセットなどの印刷法でパターニングする方法が挙げられる。
【0040】
カラーフィルタ22は、例えば、各色の着色材料を含む感光性樹脂材料を、遮光膜61が形成された対向基板20に塗布して、これをフォトリソグラフィ法により露光・現像することにより、上記遮光膜61の開口部を埋めるように形成することができる。塗布方法としては、スピンコート、スリットコートなどの方法を用いることができる。また、遮光膜61上に隔壁部を設け、隔壁部により区画された領域に各色の着色材料を含む液状体を液滴として塗布する液滴吐出法を用いてもよい。
【0041】
同じく、透明なガラス等からなる素子基板10上には、走査線3a、共通電極19および共通線3bが形成されている。これらの走査線3a、共通電極19および共通線3bを覆って、シリコン酸化物膜等からなる絶縁薄膜11が形成されている。
絶縁薄膜11上には、島状の半導体層35と、半導体層35と一部が重なるようにソース電極31とドレイン電極32とが形成されている。これらの半導体層35、ソース電極31およびドレイン電極32を覆って、シリコン酸化物膜や樹脂膜からなる層間絶縁膜12が形成されている。
層間絶縁膜12上には、画素電極9が形成され、層間絶縁膜12を貫通してドレイン電極32に達する画素コンタクトホール47を介して、画素電極9とドレイン電極32とが電気的に接続されている。
素子基板10の画素電極9を覆って、ポリイミド等からなる配向膜18が形成されている。液晶層50に面する素子基板10側の配向膜18および対向基板20側の配向膜23は、ラビング処理等の配向処理を施されて液晶を所定方向に配向させるようになっている。配向処理の詳細については、後述する光学設計条件において説明する。
【0042】
対向基板20の表面(液晶層50側に対して反対側の表面)に偏光板24が貼り付けられ、素子基板10の表面(液晶層50側に対して反対側の表面)に偏光板14が貼り付けられている。一対の偏光板14,24の光学的な配置は、クロスニコル(互いの透過軸が直交する状態)となっている。
【0043】
図5(a)は実施例1の光学設計条件を示す概略図、同図(b)は実施例1の液晶分子の挙動を示す概略図である。
【0044】
図5(a)に示すように、実施例1の光学設計条件は、右上がり20度のスリット29に対して、ラビング方向(配向処理の方向)が右上がり15度となっている。より具体的には、素子基板10側の配向膜18は、平面視で走査線3aに沿ったX軸に対して15度の傾斜角度で右上から左下に向かうようにラビング処理が施されている。これに対して、対向基板20側の配向膜23は、素子基板10と対向配置された状態の平面視でX軸に対して15度の傾斜角度で左下から右上に向かうようにラビング処理が施されている。ゆえに、相互のラビング方向は、180度逆方向になっている。
一対の偏光板14,24の光学的な配置は、前述したようにクロスニコルである。偏光板14の透過軸は、ラビング方向すなわち液晶分子の初期配向方向と一致している。他方の偏光板24の透過軸は、偏光板14の透過軸に対して直交し、同図(a)では破線で図示されている。
したがって、液晶表示装置100は、非駆動状態では、照明装置から入射した光が透過できない黒表示となるノーマリーブラックである。
【0045】
図5(b)に示すように、駆動状態では、画素電極9と共通電極19との間に横方向電界が生ずる。電界方向は、スリット29の長手方向に対して直交する方向となる。初期配向方向に配列した液晶分子は、電界方向にツイストする。実施例1では、スリット29は、初期配向方向に対して所定の角度(5度)で交差しており、液晶分子は、ツイストするために必要なエネルギーが小さい方向(初期配向方向と電界方向とのなす角度がより小さい方向)、すなわち、この場合、時計回りにツイストする。
【0046】
実施例1によれば、一対の偏光板14,24は、いずれもX軸、Y軸に対して平行または垂直以外の角度で配置される。したがって、偏光サングラスを通して液晶表示装置100を見ても、液晶表示装置100から射出する光が偏光サングラスにより吸収されない。よって、適正に表示を視認することが可能となる。
【0047】
(実施例2)
図6は実施例2の画素の構造を示す概略平面図、図7(a)は実施例2の光学設計条件を示す概略図、同図(b)は実施例2の液晶分子の挙動を示す概略図である。なお、以降、画素の構造の説明にあたり、1つのサブ画素SGを取り上げて説明する。他のサブ画素SGも同様であることは言うまでもない。また、実施例1と同じ構成の部分は、同じ符号を付して説明する。
【0048】
図6に示すように、実施例2は、実施例1に対して、画素電極9は傾斜角度が異なる2種のスリット29,29aを有することを特徴としている。
【0049】
具体的には、画素電極9の長手方向において、下方に実施例1と同様に傾斜角度が右上がり20度の複数の第1スリットとしてのスリット29を有し、上方に傾斜角度が右上がり10度の複数の第2スリットとしてのスリット29aを有する。傾斜角度が右上がり20度の部分を第1の領域9bとする。傾斜角度が右上がり10度の部分を第2の領域9cとする。第1の領域9bと第2の領域9cとがほぼ同じ面積となるように、複数のスリット29,29aが設けられている。
【0050】
図7(a)に示すように、実施例2の光学設計条件は、基本的に実施例1と同じである。すなわち、ラビング方向は右上がり15度であり、偏光板14の透過軸はラビング方向と一致している。一対の偏光板14,24の透過軸は互いに直交している。したがって、傾斜角度が右上がり10度のスリット29aに着目して説明する。
【0051】
図7(b)に示すように、スリット29aは、ラビング方向が右上がり15度であるため、ラビング方向に対して所定の角度(5度)で交差している。実施例1で説明したように電界方向は、スリット29aの長手方向に対して直交する方向に発生する。
したがって、スリット29aに対応する液晶層50の液晶分子は、駆動時に反時計回りにツイストすることになる。
【0052】
よって、図6に示す第1の領域9bでは液晶分子は時計回りにツイストし、第2の領域9cでは液晶分子は反時計回りにツイストすることになる。このように、サブ画素SGにおいて、ツイスト方向が2種存在する方式を2ドメイン方式と呼ぶ。偏光サングラス対応が実現されるだけでなく、実質的なツイスト角度が広くなり、実施例1に比べて広い視野角特性が得られる。
【0053】
実施例2のように、スリット29,29aがラビング方向すなわち初期配向方向に対して交差する所定の角度を、以降、液晶分子のツイスト方向を基準として時計回りの5度、反時計回りの−5度として定義する。すなわち、実施例2のスリット29,29aは、傾斜角度が異なるものの、初期配向方向に対しては±5度(絶対値で同じ角度)で交差するものである。スリット29,29aの所定の角度は、初期配向方向に対して線対称な角度となっているため、逆方向にツイストするツイスト角度が互いに同じであり、視野角特性における偏りが抑制される。
【0054】
(実施例3)
図8は実施例3の画素の構造を示す概略平面図である。なお、実施例1および実施例2と同じ構成の部分は、同じ符号を付して説明する。
【0055】
図8に示すように、実施例3の画素の構造は、実施例2のスリット29,29aに加えて、傾斜角度が右上がり10度の部分と右上がり20度の部分とを有する第3スリットとしてのスリット29bを有することが特徴の1つである。光学設計条件は、実施例2と同じである。
【0056】
具体的には、画素電極9の長手方向において、下方側に傾斜角度が右上がり20度の複数のスリット29を有し、上方側に傾斜角度が右上がり10度の複数のスリット29aを有する。そして、複数のスリット29からなるスリット群と、複数のスリット29aからなるスリット群との間に複数のスリット29bからなるスリット群が配置されている。
スリット29bは、傾斜角度が右上がり20度から10度に変化している。傾斜角度が変化している部分は、画素電極9をほぼ斜めに横断する破線9d上に位置している。
実施例3においても実施例2と同様に、液晶分子のツイスト方向が逆転する第1の領域9bと第2の領域9cとがほぼ同じ面積となるように、複数のスリット29,29a,29bが設けられている。上記傾斜角度が変化している部分は、ツイスト方向が異なる領域の境界部分である。
【0057】
このように2種の傾斜角度を有するスリット29bを配置することにより、実施例2に比べて、第1の領域9bと第2の領域9cとの間で生ずる液晶分子のツイスト方向を制御し難い領域を減少させることができる。また、傾斜角度が変化する部分を画素電極9の長手方向に対して傾斜する破線9d上に位置させることにより、破線9dが長手方向と直交する場合に比べて、サブ画素SG間において液晶分子のツイスト方向を制御し難い領域(表示に寄与しない領域)がスジ状に強調されることを抑制することができる。ゆえに、スジ状の表示ムラの発生を低減することができる。
さらには、画素電極9の大きさや形状に応じてスリットを配置する設計上の自由度を高めることができる。具体的には、傾斜角度が大きくなったり複数種である場合に、画素電極9において表示に寄与しないデッドスペースが増すことを抑制することができる。
【0058】
(実施例4)
図9は実施例4の画素の構造を示す概略平面図、図10(a)は実施例4の光学設計条件を示す概略図、同図(b)および(c)は実施例4の液晶分子の挙動を示す概略図である。なお、実施例1と同じ構成の部分は、同じ符号を付して説明する。
【0059】
図9に示すように、実施例4の画素の構造は、実施例1〜実施例3に対して、スリット29c,29d,29e,29fの傾斜が右下がりとなっている。また、傾斜角度が違う。さらには、傾斜角度が小さいスリット29dおよびスリット29e,29fの傾斜角度が小さい部分が画素電極9の長手方向の両端側に配置されていることが特徴である。
【0060】
具体的には、画素電極9は、傾斜角度が右下がり50度のスリット29cと、右下がり40度のスリット29dと、右下がり40度の部分と右下がり50度の部分とを有するスリット29e,29fとを有する。
【0061】
画素電極9の中央側は、右下がり50度の傾斜角度のスリット29cを中心としてスリット29e,29fの右下がり50度の部分により構成されている。画素電極9の長手方向における両端側は、右下がり40度のスリット29dと、スリット29e,29fの右下がり40度の部分により構成されている。
【0062】
図10(a)に示すように、実施例4の光学設計条件は、右下がり50度のスリット29cに対してラビング方向が右下がり45度となっている。ラビング方向と偏光板14の透過軸は一致している。一対の偏光板14,24の透過軸は直交している。偏光板24の透過軸は破線で示されている。
【0063】
図10(b)に示すように、右下がり50度のスリット29cに着目すると、液晶分子の初期配向方向に対してスリット29cは−5度で交差する。駆動時に発生する電界方向はスリット29cの長手方向と直交する方向となるため、液晶分子は、反時計回りにツイストする。これに対して、右下がり40度のスリット29dに着目すると、図10(c)に示すように、液晶分子の初期配向方向に対してスリット29cは5度で交差する。駆動時に発生する電界方向はスリット29dの長手方向と直交する方向となるため、液晶分子は、時計回りにツイストする。すなわち、2ドメインの構成となる。
【0064】
よって、図9において、第3の領域9eと第4の領域9fとは、液晶分子のツイスト方向が異なる。第3の領域9eと第4の領域9fの境界は、破線9h,9g上に位置している。スリット29e,29fの傾斜角度が変化する部分は、破線9h,9gの直線部分に位置している。これにより、実施例3と同様に画素の実質的な開口率の低下を防いでいる。
【0065】
実施例4によれば、実施例1〜実施例3に比べて、偏光板14,24の透過軸の傾斜角度をさらに傾けた右下がり45度または右上がり45度とするので、偏光サングラスの透過軸との交差角度が最大となる。すなわち、偏光サングラスを通して液晶表示装置100を見たときの色調などの変化を抑え、より適正な状態で表示を確認することができる。
【0066】
図13は、リバースツイストの発生メカニズムを説明する概略平面図である。図13に示すように、例えば、スリット29cを画素電極9の長手方向における両端部まで延在させた場合、該両端側におけるスリット29cの一方の短辺と長辺とがなす角度は、50度と130度になる。これに対してスリット29cの他方の短辺と長辺とがなす角度は、40度と140度になる。上記一方の短辺における電界方向Eは、液晶分子の初期配向方向とのなす角度が他方の短辺に比べて、液晶分子のツイスト方向が反転する角度となり易い。したがって、液晶分子のツイスト方向が反転したリバースツイストが発生し易い。
【0067】
実施例4では、画素電極9の長手方向の両端部におけるリバースツイストの発生のし易さを考慮して、40度と50度の傾斜角度のうち、傾斜角度が小さい40度のスリット29dおよびスリット29e,29fの40度の傾斜角度となる部分を画素電極9の長手方向における両端側に配置した。これにより、画素電極9の該両端部におけるリバースツイストの発生を抑制し、リバースツイストに起因する実質的な開口率の低下を防止した。
【0068】
(実施例5)
図11は実施例5の画素の構造を示す概略平面図、図12(a)は実施例5の光学設計条件を示す概略図、同図(b)および(c)は実施例5の液晶分子の挙動を示す概略図である。なお、実施例1と同じ構成の部分は、同じ符号を付して説明する。
【0069】
図11に示すように、実施例5の画素の構造は、実施例4に対してスリットの傾斜角度をさらに急峻としたものである。
【0070】
具体的には、画素電極9は、右下がり70度のスリット29gと、右下がり70度の部分と右下がり80度の部分とを有するスリット29h,29iと、両端側が右下がり70度でその間が右下がり80度のスリット29jとを有する。
【0071】
画素電極9の長手方向における中央側にスリット29h,29i,29jの傾斜角度が大きい部分(80度)が配置され、両端側に傾斜角度が小さいスリット29gおよびスリット29h,29i,29jの傾斜角度が小さい部分(70度)が配置されている。
【0072】
図12(a)に示すように、実施例5の光学設計条件は、スリット29jに着目すると、傾斜角度が右下がり80度の主たる部分に対して、ラビング方向は右下がり75度となっている。偏光板14の透過軸は、ラビング方向と一致している。偏光板14に対して透過軸が直交する偏光板24の透過軸は破線で示されている。
【0073】
図12(b)に示すように、右下がり80度のスリット部は、液晶分子の初期配向方向に対して−5度の角度で交差している。駆動時の電界方向は、当該スリットの長手方向に対して直交する方向である。したがって、液晶分子は、反時計回りにツイストする。
これに対して、図12(c)に示すように、右下がり70度のスリット29gは、液晶分子の初期配向方向に対して5度の角度で交差している。駆動時の電界方向は、当該スリット29gの長手方向に対して直交する方向である。したがって、液晶分子は、時計回りにツイストする。すなわち、2ドメインの構成となる。
【0074】
よって、図11に示す第5の領域9iでは液晶分子は時計回りにツイストし、第6の領域9jでは反時計回りにツイストする。第5の領域9iと第6の領域9jとの境界は、破線9m,9kで示されている。スリット29h,29i,29jにおいて傾斜角度が変化する部分は、破線9m,9kの直線部分に位置している。
【0075】
実施例5によれば、偏光板14の透過軸の角度は右下がり75度、偏光板24の透過軸は右上がり15度となるため、実質的に実施例1と同じ偏光板の配置となる。すなわち、偏光サングラス対応が実現される。
【0076】
実施例1〜実施例5のいずれかの画素の構造を適用した液晶表示装置100によれば、一対の偏光板14,24の透過軸が画素の配列方向(行方向および列方向)に対して平行または直交以外の角度で構成される。したがって、偏光サングラスを通して液晶表示装置100を見ても、表示が視認し難くならずに確認することができる。また、偏光サングラス対応のための位相差板を前面に設ける必要がないので、高いコストパフォーマスを有すると共に、より薄型の液晶表示装置100を提供することができる。なお、一対の偏光板14,24を透過軸が同一方向となるように配置して、非駆動時に白表示となるノーマリーホワイトの場合でも、このようなスリットの配置や液晶分子の初期配向状態すなわち光学設計条件を適用できることは言うまでもない。
また、偏光サングラス対応における技術思想としては、液晶表示装置100において表示される画像の表示水平方向または表示垂直方向に対して、偏光素子の透過軸および液晶分子の初期配向方向並びにスリット29の傾斜角度を規定するものである。
【0077】
図14は視野角によるコントラスト特性を示すグラフである。詳しくは、液晶分子の初期配向方向に対してスリットが5度/−5度で交差する2ドメイン方式の場合であって、視野角によるコントラスト比を示している。このような同心円状のグラフは、コントラストコーンと呼ばれている。
【0078】
図14に示したコントラストコーンを実施例1〜実施例5に当て嵌めると次のようになる。実施例2および実施例3では、図14のコントラストコーンを反時計回りに15度回転させた状態となる。実施例4では、図14のコントラストコーンを時計回りに45度回転させた状態となる。実施例5では、図14のコントラストコーンを時計回りに75度回転させた状態となる。このような視野角によるコントラスト特性を基に各実施例の表示特性と図17に示した従来の液晶表示装置300の表示特性を比較したのが、図15に示した比較表である。
【0079】
図15の比較表に示すように、偏光サングラス対応という観点では、実施例1〜実施例5の液晶表示装置100は、従来例の液晶表示装置300に対して優れている。すなわち実施例1〜実施例3並びに実施例5の評価を○、実施例4の評価を特に◎とし、従来例の評価を×とした。
また、視野角特性という観点では、シングルドメイン方式の実施例1に対して2ドメイン方式を採用している実施例2〜実施例5および従来例が優れている。同じ2ドメイン方式の中でも実施例2および実施例3と実施例4とを比較すると、実施例4は、図14のコントラストコーンを時計回りに45度回転させるため、上下方向、左右方向から見たときのコントラストが低下する特性となる。したがって、液晶表示装置100の使用方法によっては、本来の広視野角が寄与しないおそれがあるため評価を△〜○とした。
輝度特性の観点では、スリットの形状や配置を工夫し実質的な開口率が向上した実施例3および実施例4が他に比べて優れている。したがって、実施例3および実施例4の評価を◎とした。従来の液晶表示装置300(図17参照)については、上部スリット307と下部スリット308との間に基準スリット306が設けられているのでこれも評価が◎である。実施例5のスリット29g,29h,29i,29jは、傾斜角度が急峻なため、所謂縦長の画素電極9に対して、傾斜角度を異ならせて配置する場合、ツイスト方向が制御し難い境界領域が広くなり易い(すなわち実質的な開口率が低下し易い)ので、評価を△〜○とした。
【0080】
<実施形態2>
図16は、電子機器としての携帯型電話機を示す概略斜視図である。図16に示すように、本実施形態の電子機器としての携帯型電話機200は、入力用のボタン類や表示部202などを備えた本体201を有する。
【0081】
表示部202には、上記実施形態1の液晶表示装置100とLEDなどを光源とする照明装置が組み込まれている。
【0082】
したがって、偏光サングラスを通して携帯型電話機200を見ても適正に表示を確認することができる。
【0083】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0084】
(変形例1)上記実施形態1の実施例1〜実施例5において、スリットの傾斜角度は、右上がり10度/20度、右下がり40度/50度、右下がり70度/80度に限定されない。偏光サングラスを通して液晶表示装置100を正面から見たときに、液晶表示装置100に装備される偏光板14または偏光板24の透過軸と偏光サングラスの透過軸とが直交しないように、スリットの配置並びに光学設計条件を設定することが最も肝要である。
また、液晶分子の初期配向方向に対して交差するスリットの所定の角度は、5度(実際には±5度)に限定されない。正の誘電異方性を有する液晶材料のΔn(複屈折率)や図4に示した液晶層50の厚みdの設定、並びにラビング処理後の配向膜18,23における液晶分子のチルト角などに基づく光学特性を考慮して5度〜15度の範囲で選定が可能である。
液晶分子の初期配向方向に対して交差するスリットの所定の角度が小さくなると、初期配向方向と電界方向とがなす角度の一方が90度に近づく、すなわちツイスト方向の安定性が失われ易い。一方で上記所定の角度が大きくなると、初期配向方向と電界方向とがなす角度の一方が小さくなる。よって、ツイスト方向の安定性が増すものの、液晶分子のツイスト角度が小さくなるので偏光素子によって直線偏光に変換された透過光の透過率が低下し易い。
したがって、好ましくは上記所定の角度を5度〜10度の範囲とすることにより、偏光サングラス対応を実現すると共に、ツイスト方向の安定性を確保しつつ、明るい表示が得られる液晶表示装置100を提供することができる。
【0085】
(変形例2)上記実施形態1の液晶表示装置100において、画素電極9におけるスリットの形状は、これに限定されない。例えば、実施例1〜実施例5の各スリットは、その長手方向における両端部が閉じているが、両端部の一方を開放した状態としてもよい。これによれば、開放した部分の電界方向がスリットの長手方向に直交する方向に向かい易くなり、画素の開口率を実質的に向上させることができる。
【0086】
(変形例3)上記実施形態1の液晶表示装置100において、画素電極9と共通電極19の構成は、これに限定されない。例えば、素子基板10において、スリットがない画素電極9を下層に配置し、当該画素電極9に対して層間絶縁膜を介して共通電極19を重畳し、共通電極19に複数のスリットを形成して共通線3bと電気的に接続させてもよい。すなわち、複数のスリットは、請求項における第1電極または第2電極のいずれかに形成すればよく、第1電極は画素電極9(第2電極は共通電極19)に限定されない。
【0087】
(変形例4)上記実施形態1の液晶表示装置100において、3色のカラーフィルタ22R,22G,22Bに対応するサブ画素SGの面積は、色ごとに同じとは限らない。例えば、視感度に応じてサブ画素SGの面積を変えてもよい。言い換えれば、各色に対応して画素電極9の面積を変えてもよい。具体的には、面積をG(緑)<R(赤)<B(青)の順に大きくしてもよい。
【0088】
(変形例5)上記実施形態1の液晶表示装置100は、透過表示領域Tを有する透過型に限定されない。例えば、サブ画素SGにおいて、透過表示領域Tと、反射板を有する反射表示領域とを備えた半透過反射型の液晶表示装置においても実施例1〜実施例5のスリットの配置並びに光学設計条件を適用することができる。
【0089】
(変形例6)上記実施形態1の液晶表示装置100において、偏光素子は、一対の基板としての素子基板10および対向基板20の外側に設けることに限定されない。例えば、液晶層50に面する一対の基板の内側に偏光素子を設けてもよい。このような内面偏光素子の例としてはワイヤーグリット偏光素子、コーティング偏光素子等が挙げられる。
また、液晶表示装置100を反射板を有する反射型とする場合には、外光が入射する側の基板に偏光素子を設ければよい。すなわち、偏光素子は上下一対設けることに限定されない。
【0090】
(変形例7)上記実施形態1において、液晶表示装置100は、FFS方式に限定されない。例えば、横方向電界方式であるIPS(In Place Switching)方式の液晶表示装置においても適用可能である。
【0091】
(変形例8)上記実施形態2において、上記実施形態1の液晶表示装置100を搭載可能な電子機器は、携帯型電話機200に限定されない。例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、電子手帳、映像情報を表示するビューワーやDVDプレーヤ、携帯型情報端末などの電子機器に搭載すれば、好適である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】(a)は液晶表示装置の構成を示す概略正面図、(b)は(a)のH−H'線で切った液晶表示装置の構造を示す概略断面図。
【図2】液晶表示装置の等価回路図。
【図3】実施例1の画素の構造を示す概略平面図。
【図4】図3のA−A'線で切った液晶表示装置の断面図。
【図5】(a)は実施例1の光学設計条件を示す概略図、(b)は実施例1の液晶分子の挙動を示す概略図。
【図6】実施例2の画素の構造を示す概略平面図。
【図7】(a)は実施例2の光学設計条件を示す概略図、(b)は実施例2の液晶分子の挙動を示す概略図。
【図8】実施例3の画素の構造を示す概略平面図。
【図9】実施例4の画素の構造を示す概略平面図。
【図10】(a)は実施例4の光学設計条件を示す概略図、(b)および(c)は実施例4の液晶分子の挙動を示す概略図。
【図11】実施例5の画素の構造を示す概略平面図。
【図12】(a)は実施例5の光学設計条件を示す概略図、(b)および(c)は実施例5の液晶分子の挙動を示す概略図。
【図13】リバースツイストの発生メカニズムを説明する概略平面図。
【図14】視野角によるコントラスト特性を示すグラフ。
【図15】従来例および実施例の液晶表示装置を評価した比較表。
【図16】電子機器としての携帯型電話機を示す概略斜視図。
【図17】従来の液晶表示装置の単位画素を示す概略平面図。
【符号の説明】
【0093】
9…第1電極としての画素電極、10…一方の基板としての素子基板、14,24…偏光素子としての偏光板、19…第2電極としての共通電極、29,29a,29b,29c,29d,29e,29f,29g,29h,29i,29j…スリット、50…液晶層、100…液晶表示装置、200…電子機器としての携帯型電話機、300…従来の液晶表示装置、SG…サブ画素。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板と、
前記一対の基板により挟持された液晶層と、
前記一対の基板のうち一方の基板に設けられた第1電極および第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極がそれぞれに設けられた複数の画素と、
前記一対の基板に設けられた偏光素子とを備え、
前記液晶層は、前記第1電極と前記第2電極との間に生ずる電界によって駆動され、
前記液晶層における液晶分子の初期配向方向が、前記画素の配列方向に対して平行または直交以外の角度で設定され、
前記偏光素子の透過軸が前記初期配向方向と同一方向であり、
前記第1電極または前記第2電極は、前記初期配向方向に対して所定の角度をなして交差する複数のスリットを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記複数のスリットは、前記画素の配列方向に対して平行または直交以外の傾斜角度を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記スリットの前記初期配向方向に対する前記所定の角度が、5度乃至10度であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1電極または前記第2電極は、前記初期配向方向に対して所定の角度をなして交差すると共に、前記画素の配列方向に対する前記傾斜角度が異なる少なくとも2種の前記スリットを有し、
前記少なくとも2種の前記スリットに対応する前記液晶層は、前記液晶分子が互いに逆方向にツイストするように駆動されることを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記少なくとも2種の前記スリットは、前記初期配向方向に対して対称な前記所定の角度を有することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記少なくとも2種の前記スリットは、前記傾斜角度が第1の角度である第1スリットと、前記傾斜角度が第2の角度である第2スリットと、前記傾斜角度が前記第1の角度の部分と前記第2の角度の部分とを有する第3スリットとからなることを特徴とする請求項4または5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第3スリットにおける前記第1の角度と前記第2の角度の境界部分が、前記画素の配列方向に対して斜めに交差するように設定されていることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記少なくとも2種の前記スリットのうち、前記傾斜角度が小さい前記スリットおよび/または前記スリットの前記傾斜角度が小さい部分の少なくとも一部が、前記画素の列方向の両端側に位置するように前記第1電極または前記第2電極に配置されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液晶表示装置が搭載されたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
一対の基板と、
前記一対の基板により挟持された液晶層と、
前記一対の基板のうち一方の基板に設けられた第1電極および第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極がそれぞれに設けられた複数の画素と、
前記一対の基板に設けられた偏光素子とを備え、
前記液晶層は、前記第1電極と前記第2電極との間に生ずる電界によって駆動され、
前記液晶層における液晶分子の初期配向方向が、前記画素の配列方向に対して平行または直交以外の角度で設定され、
前記偏光素子の透過軸が前記初期配向方向と同一方向であり、
前記第1電極または前記第2電極は、前記初期配向方向に対して所定の角度をなして交差する複数のスリットを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記複数のスリットは、前記画素の配列方向に対して平行または直交以外の傾斜角度を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記スリットの前記初期配向方向に対する前記所定の角度が、5度乃至10度であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1電極または前記第2電極は、前記初期配向方向に対して所定の角度をなして交差すると共に、前記画素の配列方向に対する前記傾斜角度が異なる少なくとも2種の前記スリットを有し、
前記少なくとも2種の前記スリットに対応する前記液晶層は、前記液晶分子が互いに逆方向にツイストするように駆動されることを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記少なくとも2種の前記スリットは、前記初期配向方向に対して対称な前記所定の角度を有することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記少なくとも2種の前記スリットは、前記傾斜角度が第1の角度である第1スリットと、前記傾斜角度が第2の角度である第2スリットと、前記傾斜角度が前記第1の角度の部分と前記第2の角度の部分とを有する第3スリットとからなることを特徴とする請求項4または5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第3スリットにおける前記第1の角度と前記第2の角度の境界部分が、前記画素の配列方向に対して斜めに交差するように設定されていることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記少なくとも2種の前記スリットのうち、前記傾斜角度が小さい前記スリットおよび/または前記スリットの前記傾斜角度が小さい部分の少なくとも一部が、前記画素の列方向の両端側に位置するように前記第1電極または前記第2電極に配置されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液晶表示装置が搭載されたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−288604(P2009−288604A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142236(P2008−142236)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
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