説明

液晶表示装置

【課題】低電圧でリセット動作が可能な液晶表示装置の実現。
【解決手段】第1の電極31,32A,32Bと、第1の電極に交わる方向に延在する第2の電極14と、第1の電極と第2の電極間に配置されたコレステリック液晶12と、第1の電極又は第2の電極を駆動して、コレステリック液晶を移動させる駆動部28と、を有する表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレステリック液晶などのメモリ性を有する液晶表示素子を用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業および大学などにおいて、電子ペーパーの開発が盛んに進められている。電子ペーパーの利用が期待されている応用分野として、電子書籍を筆頭に、モバイル端末機器のサブディスプレイやICカードの表示部など、多様な応用形態が提案されている。電子ペーパーの有力な方式の1つに、コレステリック液晶がある。コレステリック液晶は、半永久的な表示保持(メモリ性)や鮮やかなカラー表示、高コントラスト、高解像度といった優れた特徴を有している。
【0003】
コレステリック液晶は、カイラルネマティック液晶とも称されることがあり、ネマティック液晶にキラル性の添加剤(カイラル材)を比較的多く(数十%)添加することにより、ネマティック液晶の分子がらせん状のコレステリック相を形成する液晶である。
【0004】
図1(A)および図1(B)は、コレステリック液晶の状態を説明する図である。図1(A)および図1(B)に示すように、コレステリック液晶を利用した表示素子10は、上側基板11と、コレステリック液晶層12と、下側基板13と、有する。コレステリック液晶には、図1(A)に示すように、らせん軸が光の入射方向に向かう、つまり入射光を反射するプレーナ状態と、図1(B)に示すように、らせん軸が光の入射方向に交わる方向に向かう、つまり入射光を透過するフォーカルコニック状態と、があり、これらの状態は、無電界下でも安定してその状態が保持される。
【0005】
プレーナ状態の時には、液晶分子のらせんピッチに応じた波長の光を反射する。反射が最大となる波長λは、液晶の平均屈折率n、らせんピッチpから次の式で表される。
【0006】
λ=n・p
一方、反射帯域Δλは、液晶の屈折率異方性Δnにより大きく異なる。
【0007】
プレーナ状態の時には、入射光が反射するので「明」状態、すなわち白を表示することができる。一方、フォーカルコニック状態の時には、下側基板13の下に光吸収層を設けることにより、液晶層を透過した光が吸収されるので「暗」状態、すなわち黒を表示することができる。
【0008】
次に、コレステリック液晶を利用した表示素子の駆動方法を説明する。
【0009】
図2は、一般的なコレステリック液晶の電圧−反射率特性の一例を示している。横軸は、コレステリック液晶を挟む電極間に所定のパルス幅で印加されるパルス電圧の電圧値(V)を表し、縦軸はコレステリック液晶の反射率(%)を表している。図2に示す実線の曲線Pは、初期状態がプレーナ状態のコレステリック液晶の電圧−反射率特性を示し、破線の曲線FCは、初期状態がフォーカルコニック状態のコレステリック液晶の電圧−反射率特性を示す。
【0010】
図2において、電極間に所定の電圧(例えば±36V)を印加して、コレステリック液晶中に相対的に強い電界を発生させると、液晶分子のらせん構造は完全にほどけて、すべての分子が電界の方向に従うホメオトロピック状態になる。次に、液晶分子がホメオトロピック状態の時に、印加電圧を±36Vから所定の電圧(例えば、±4V)に急激に低下させて、液晶中の電界を急激にほぼゼロにすると、液晶のらせん軸は電極に垂直になり、らせんピッチに応じた光を選択的に反射するプレーナ状態になる。
【0011】
一方、電極間に所定の電圧(例えば、±24V)を印加し、コレステリック液晶中に相対的に弱い電界を発生させると、液晶分子のらせん構造が完全には解けない状態になる。この状態において、印加電圧を±24Vから±4Vに急激に低下させて、液晶中の電界を急激にほぼゼロにするか、あるいは強い電界を印加し緩やかに電界を除去した場合は、液晶分子のらせん軸が電極に平行になり、入射光を透過するフォーカルコニック状態になる。
【0012】
また、中間的な強さの電界を印加し、急激に電界を除去すると、プレーナ状態とフォーカルコニック状態が混在し、中間調の表示が可能となる。以上の現象を利用して、表示を行う。上記の電圧応答特性に基づく駆動方法の原理を図3(A)〜(C)で説明する。
【0013】
図3(A)は電圧パルスのパルス幅が数十msの場合のパルス応答特性を示し、図3(B)は電圧パルスのパルス幅が2msの場合のパルス応答特性を示し、図3(C)は電圧パルスのパルス幅が1msの場合のパルス応答特性を示す。それぞれの図において、上側にはコレステリック液晶に印加される電圧パルスが示され、下側には電圧−反射率特性が示され、横軸は電圧(V)を表し、縦軸は反射率(%)を表す。液晶の駆動パルスとしてよく知られているように、電圧パルスは、分極による液晶の劣化を防止するために、正極性と負極性のパルスを組み合わせている。
図3(A)に示すようにパルス幅が大きい場合には、実線で示すように、初期状態がプレーナ状態だと、電圧をある範囲に上げると、フォーカルコニック状態となり、さらに電圧を上げると、再度プレーナ状態となる。破線で示すように、初期状態がフォーカルコニック状態だと、パルス電圧を上げるにつれて次第にプレーナ状態になる。
【0014】
パルス幅が大きい場合に、初期状態がプレーナ状態とフォーカルコニック状態のいずれでも必ずプレーナ状態になるパルス電圧は±36Vである。また、この中間のパルス電圧では、プレーナ状態とフォーカルコニック状態が混在した状態になり、中間調が得られる。一方、図3(B)に示すように、パルス幅が2msの場合には、初期状態がプレーナ状態では、パルス電圧が10Vでは反射率は変化しないが、それ以上大きな電圧になるとプレーナ状態とフォーカルコニック状態が混在した状態になり、反射率が低下する。反射率の低下量は電圧が大きくなるに従って大きくなるが、36Vよりさらに大きな電圧になると反射率の低下量は一定となる。これは、初期状態がプレーナ状態とフォーカルコニック状態が混在した状態でも同じである。従って、初期状態がプレーナ状態である場合に、パルス幅が2msでパルス電圧が20Vの電圧パルスを1回印加すると、反射率はある程度低下する。このようにしてプレーナ状態とフォーカルコニック状態が混在した状態で反射率が少し低下した状態で、パルス幅が2msでパルス電圧が20Vの電圧パルスをさらに印加すると、反射率はさらに低下する。これを繰り返すと、反射率は所定値まで低下する。図3(C)に示すように、パルス幅が1msの場合には、パルス幅が2msの場合と同様に、電圧パルスを印加することにより反射率が低下するが、反射率の低下具合はパルス幅が2msの場合と比べて小さい。パルス幅が狭い場合には、同じ電圧でも反射率の低下具体は小さくなる。
【0015】
以上のことから、数十msのパルス幅で36Vのパルスを印加すればプレーナ状態になり、2msのパルス幅で十数Vから20V程度のパルスを印加すればプレーナ状態とフォーカルコニック状態が混在した状態になって反射率が低下し、反射率の低下量は、パルスの累積時間に関係すると考えられる。
【0016】
コレステリック液晶による多階調表示方法については各種の駆動方法が提案されている。例えば、特許文献1では、高電圧(例えば±36V)で幅の広いリセットパルスを印加するリセット動作により画素をプレーナ状態にした後、リセットパルスより低電圧(例えば±24V)で幅の狭い書き込みパルスを印加する書き込み動作によりプレーナ状態の画素をフォーカルコニック状態に変化させる。書き込みパルスの印加回数を調整することにより、多階調表示が可能である。なお、異なるパルス幅の書き込みパルスを組み合わせる場合もある。
【0017】
【特許文献1】国際公開WO2007/110949A1
【特許文献2】国際公開WO2007/007394A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
単純マトリクス型液晶表示素子では、上側基板に設けられた複数の第1帯状電極と下側基板に設けられた複数の第2帯状電極が対向して交差するように、上下基板を貼り合わせる。駆動(ドライバ)回路は、第1および第2帯状電極に電圧信号を印加する。ドライバ回路を構成するドライバICは印加電圧に応じた性能のものが使用されるので、ドライバICはリセットパルスの電圧以上の電圧を印加可能な性能が要求される。
【0019】
一方、コレステリック液晶表示素子のプレーナ状態の反射率は、図4に示すように、セルギャップが大きくなると上昇する特性を有する。赤(R)および緑(G)のパネルの反射率は、約10.0μmまではセルギャップが増加するに従って増加し、青(B)のパネルの反射率は、約7.0μmまではセルギャップが増加するに従って増加する。そのため、高反射率を得るにはセルギャップをある程度以上大きくすることが望ましいが、セルギャップが大きくなると印加電圧を上昇させる必要があり、高性能のドライバICを使用する必要がある。出力電圧の高い高性能のドライバICは、汎用製品でないため価格が急激に増加してコスト増加を生じるだけでなく、電源回路などのコストも増加し、消費電力も増加するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
実施例の表示装置は、第1の電極と、前記第1の電極に交わる方向に延在する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極間に配置されたコレステリック液晶と、前記第1の電極又は前記第2の電極を駆動して、前記コレステリック液晶を移動させる駆動部と、を有する。
【発明の効果】
【0021】
出力電圧の低いドライバICを使用して初期状態にできるので、低コストの表示装置で、セルギャップを大きくして高反射率が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
コレステリック液晶では、液晶が流動すると、指向性が高く、反射率が高い相(プレーナ状態)が現れる第1状態になる。実施形態では、この現象を利用して全画素のリセット動作を行う。リセット動作により全画素を第1状態(プレーナ状態)にした後、従来例と同様に、液晶に電圧信号を印加して各画素を所定の階調レベルにする書き込み動作を行う。
【0023】
リセット動作が液晶の流動により行われるので、従来例のように高電圧を印加するリセット動作を行う必要がなく、書き込み動作に必要な比較的低い出力電圧のドライバICが使用できるので、コストおよび消費電力を低減できる。また、従来と同じ出力電圧のドライバICを使用する場合には、セルギャップを厚くすることができ、反射率を向上して明るい表示が得られる。
リセット動作における液晶の流動量(移動量)は、液晶の相を変化させられる程度でよく、例えば数μm移動するだけでよい。
【0024】
液晶を流動させる方法は各種あり得るが、一方の基板に設けられている帯状電極を発熱体(抵抗)として利用し、駆動(ドライバ)回路から帯状電極に印加する電圧信号によりジュール熱を発生し、この近辺の液晶を加熱して膨張させ、それにより液晶を流動させる方法であれば、既存の構成をそのまま利用できる。
【0025】
例えば、第1および第2(上下)基板に設けられる第1帯状電極および第2帯状電極の一方を、帯状の透明電極と、透明電極の両側エッジ部分に電気的に接触して設けられた2本の金属電極と、で構成する。この構成は、第1または第2帯状電極のすべてで同様である。そして、2本の金属電極の一方の第1の側の端にドライバから電圧信号を印加する場合に、2本の金属電極の他方の第1の側の端を、ドライバが接続される金属電極の一方に接続するか、基準電圧源に接続するかを切り替えるスイッチを設ける。書き込み動作には2本の金属電極を接続するようにスイッチを切り替えると、ドライバからの電圧信号は2本の金属電極を介して帯状透明電極全体に印加されるので、従来と同様の電圧印加が行える。一方、リセット動作には、スイッチを、2本の金属電極の他方の第1の側の端が基準電圧源に接続するように切り替える。これにより、2本の金属電極および透明電極の電圧降下のために、2本の金属電極に挟まれる透明電極の第1の側には比較的高い電圧が印加されて大きな電流が流れるのに対して、第1の側と反対側の第2の側の透明電極には比較的低い電圧が印加され、流れる電流量も低下する。電流量に応じて発熱量も変化するので、帯状電極に沿って液晶の温度分布が発生し、それに応じて液晶の膨張量に差を生じて、帯状電極に沿って液晶が流動する。
【0026】
また、第1または第2帯状電極のすべてを上記のように、2本の金属電極と透明電極と、で構成する。そして、2本の金属電極の一方の第1の側の端にドライバから電圧信号を印加する場合に、2本の金属電極の他方の第1の側の端を2本の金属電極の一方に接続するか否かを切り替える第1スイッチと、2本の金属電極の他方の第2の側の端を基準電圧源に接続するかを切り替える第2スイッチと、を設ける。書き込み動作には、第1スイッチを2本の金属電極の他方の第1の側の端が2本の金属電極の一方に接続するように切り替え、第2スイッチを2本の金属電極の他方の第2の側の端を基準電圧源に接続しないように切り替え、上記と同様の電圧印加が行えるようにする。リセット動作には、第1スイッチを2本の金属電極の他方の第1の側の端が2本の金属電極の一方に接続しないように切り替え、第2スイッチを2本の金属電極の他方の第2の側の端を基準電圧源に接続するように切り替える。そして、ドライバにより電圧信号を印加する複数の帯状電極の位置を、例えばスキャンするように連続して変化させると、発熱する帯状電極の位置が順番に変化して、膨張する液晶の位置が順次移動するので、これに伴って帯状電極に垂直な方向に液晶が流動する。
【0027】
液晶の膨張により上下基板厚さが変化したのでは、液晶が膨張しても液晶は流動しないので、スペーサ構造物は、第1および第2(上下)基板を接着固定して基板間隔を所定の厚さに維持する。スペーサ構造物は、リセット動作時に液晶の流動を妨げないことが必要であり、液晶が流動する方向に伸びる互いに平行な壁面を備える。
なお、開示の技術は、コレステリック液晶だけでなく、メモリ性があり、流動により所定の状態に変化する液晶を利用した液晶表示装置であれば、適用可能である。
【0028】
図5は、実施形態の液晶表示装置で使用するコレステリック液晶表示素子10の構成を示す図である。図5に示すように、この表示素子10は、見る側から順番に、青(ブルー)用パネル10B、緑(グリーン)用パネル10G、および赤(レッド)用パネル10Rの3枚のパネルが積層されている。また、レッド用パネル10Rの下側には光吸収層17が設けられている。パネル10B、10Gおよび10Rは、同じ構成を有するが、パネル10Bは反射の中心波長が青色(約480nm)、パネル10Gは反射の中心波長が緑色(約550nm)、パネル10Rは反射の中心波長が赤色(約630nm)になるように、液晶材料およびカイラル材が選択され、カイラル材の含有率が決定されている。パネル10B、10Gおよび10Rは、青層用制御回路18B、緑層用制御回路18Gおよび赤層用制御回路18Rで、それぞれ駆動される。
【0029】
図6は、パネル10R、10G、10Bに共通する構成を有する1枚の表示素子(パネル)10Aを示す図である。パネル10R、10G、10Bの構成を、図6を参照して説明する。
【0030】
図6に示すように、表示素子10Aは、上側基板11と、上側基板11の表面に設けられた上側電極(帯状電極)層14と、下側基板13の表面に設けられた下側電極(帯状電極)層15と、シール材16と、を有する。上側基板11と下側基板13は、電極が対向するように配置され、間に液晶材料を封入した後シール材16で封止される。なお、液晶層12内にスペーサが配置されるが図示は省略している。上側電極層14と下側電極層15の電極には、駆動回路18から電圧パルス信号が印加され、それにより液晶層12に電圧が印加される。液晶層12に電圧を印加して、液晶層12の液晶分子をプレーナ状態またはフォーカルコニック状態にして表示を行う。
【0031】
上側基板11と下側基板13は、いずれも透光性を有しているが、パネル10Rの下側基板13は不透光性でもよい。透光性を有する基板としては、ガラス基板があるが、ガラス基板以外にも、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPC(ポリカーボネート)などのフィルム基板を使用してもよい。
【0032】
上側電極層14と下側電極層15の電極の材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO: Indium Tin Oxide)が代表的であるが、その他インジウム亜鉛酸化物(IZO: Indium Zic Oxide)などの透明導電膜を使用することが可能である。
【0033】
上側電極層14の透明電極は、互いに平行な複数の帯状の上側透明電極として上側基板11上に形成され、下側電極層15の透明電極は、互いに平行な複数の帯状の下側透明電極として下側基板13上に形成されている。そして、上側基板11と下側基板13は、基板に垂直な方向から見た時に、上側電極と下側電極が交差するように配置され、交差部分に画素が形成される。電極上には絶縁性のある薄膜が形成される。この薄膜が厚いと駆動電圧を高くする必要がある。逆に、薄膜がないとリーク電流が流れるため、消費電力が増大するという問題を生じる。ここでは、薄膜は比誘電率が約5であり、液晶よりもかなり低いため、薄膜の厚さは約0.3μm以下とするのが適している。
【0034】
なお、この絶縁性薄膜は、SiO2の薄膜、あるいは配向安定化膜として知られているポリイミド樹脂、アクリル樹脂などの有機膜で実現できる。
【0035】
後述のように、下側基板13にはスペーサ構造物が設けられ、上側基板11と下側基板13を所定の間隔で接着固定する。この間隔(セルギャップ)、すなわち液晶層12の厚さは3.5μm〜6μmの範囲が適正である。セルギャップがこの値より小さいと反射率が低下して暗い表示になり、逆のこの値より大きいと駆動電圧が上昇する。
【0036】
液晶層12を形成する液晶組成物は、ネマティック液晶混合物にカイラル材を10〜40重量%(wt%)添加したコレステリック液晶である。ここで、カイラル材の添加量は、ネマティック液晶成分とカイラル材の合計量を100wt%とした時の値である。
【0037】
ネマティック液晶としては、従来から公知の各種のものを使用可能であるが、誘電率異方性(Δε)が15〜35の範囲の液晶材料であることが望ましい。誘電率異方性が15以上であれば、駆動電圧が比較的低くなり、この範囲より大きいと駆動電圧自体は低下するが比抵抗が小さくなり、特に高温時の消費電力が増大する。
【0038】
また、屈折率異方性(Δn)は、0.18〜0.24であることが望ましい。屈折率異方性が、この範囲より小さいと、プレーナ状態の反射率が低くなり、この範囲より大きいと、フォーカルコニック状態での散乱反射が大きくなるのに加えて、粘度も高くなり、応答速度が低下する。
【0039】
図7は、本実施形態のコレステリック液晶表示装置の全体構成を示す図である。表示素子10は、図5に示したコレステリック液晶表示素子10であり、例えば、1024×768画素を有する。電源21は、例えば3V〜5Vの電圧を出力する。昇圧部22は、DC−DCコンバータなどのレギュレータにより、電源21からの入力電圧を24V程度に昇圧する。電圧切替部23は、昇圧された電圧から、コモンドライバ28およびセグメントドライバ29に供給する電圧を生成する。電圧安定部24は、電圧切替部23の出力する電圧を、オペアンプ回路などで安定化する。
【0040】
原振クロック部25は、動作の基本となる基本クロックを発生する。分周部26は、基本クロックを分周して、後述する動作に必要な各種クロックを生成する。
【0041】
制御回路27は、基本クロック、各種クロックおよび画像データDに基づいて制御信号を生成して、コモンドライバ28およびセグメントドライバ29に供給する。後述するリセット動作のためのコモンドライバ28への制御信号の供給も制御回路27が行う。
【0042】
コモンドライバ28は768本のスキャンラインを駆動し、セグメントドライバ29は1024本のデータラインを駆動する。RGBの各画素に与える画像データが異なるため、セグメントドライバ29は各データラインを独立して駆動する。コモンドライバ28は、RGBのラインを共通に駆動する。本実施形態では、ドライバICは、汎用の2値出力のSTNドライバを使用した。ここでは、上側基板11の上に形成される上側電極層14の上側帯状電極14がセグメントドライバ29により駆動され、下側基板13の上に形成される下側電極層15の下側帯状電極15がコモンドライバ28により駆動されるものとする。以下の説明では、上側帯状電極に参照符号14を、下側帯状電極に参照符号15を付して表す場合がある。
【0043】
セグメントドライバ29へ入力する画像データは、フルカラーの原画像を誤差拡散法によりRGB各16階調の4096色のデータに変換した、4ビットのデータD0−D3である。この階調変換は、高い表示品質を得られる方法が好ましく、誤差拡散法のほかにブルーノイズマスク法などが使用できる。
【0044】
コレステリック液晶表示装置については広く知られており、全画素をプレーナ状態にするリセット動作を行った後、各画素を所望の階調レベルにする書き込み動作を行う駆動方法については特許文献1などに記載されている。
【0045】
実施形態のコレステリック液晶表示装置は、リセット動作を行った後、書き込み動作を行うが、リセット動作を液晶を流動させることにより行う。また、上下基板はセルギャップが所定の厚さを維持するようにスペーサ構造物により接着固定される。スペーサ構造物については、例えば特許文献2などに記載されている。
【0046】
図8および図9は、第1実施形態のコレステリック液晶表示装置で使用する液晶表示素子(パネル)10の上側帯状電極14、下側帯状電極15、およびスペーサ構造物の形状を示す図である。
【0047】
第1実施形態のパネルの上側基板11および下側基板13は、100μm厚のポリカーボネート製基板である。従来例と同様に、上側基板11上には、IZO透明導電膜の上側帯状電極14が形成され、さらにその上に絶縁膜が形成される。一方、下側基板13上には、図8および図9に示すように、200μm幅の帯状電極の両側のエッジに沿う部分に10μm幅の2本の金属電極32A、32Bを形成する。金属電極は、例えば銅を100nmの厚さでスパッタ成膜した上で、パターニングして形成する。そして、金属電極の部分を含む200μm幅の帯状電極の部分に125nmの厚さのIZO透明導電膜を、スパッタ成膜した上でパターニングして透明電極31を形成する。なお、IZO透明導電膜のパターンは、表示領域のみ形成し、実装領域は金属配線パターンのみとした。これは上側基板11でも同様であり、IZO透明導電膜の帯状電極14は、実装領域では金属配線パターンに接続される。従って、下側帯状電極15は、透明電極31および金属電極32A、32Bを有する。
【0048】
下側基板13の透明電極31および金属電極32A、32Bを有する複数の下側帯状電極15の間には、レジストによりスペーサ構造物33が形成される。
【0049】
上記のような上側基板11と下側基板13を、上側帯状電極14と下側帯状電極15が対向して交差するように貼り合わせ、スペーサ構造物33により上側基板11と下側基板13が接着固定される。これにより、上側帯状電極14と下側帯状電極15の間隔(セルギャップ)は所定の厚さに安定して維持される。
【0050】
上側帯状電極14と下側帯状電極15が交差する部分が画素部分である。図示のように、液晶層12は、スペーサ構造物33により、下側帯状電極15に沿って区切られる。言い換えれば、液晶は上側帯状電極14に沿って流動できない。
【0051】
コモンドライバ28は、各下側帯状電極15に電圧信号を印加するドライバ34を下側帯状電極15の本数分有する。図8に示すように、ドライバ34の出力端子は金属電極32Bに接続される。また、金属電極32Aに接続されるスイッチ35がコモンドライバ28内に設けられ、スイッチ35は金属電極32Aをドライバ34の出力端子または基準電圧源(グランド)に接続するかが切り替え可能である。この構成は、ほかの下側帯状電極15およびそれに接続されるドライバ34についても同様である。なお、スイッチ35は、コモンドライバ28の外に設けることも可能である。
【0052】
書き込み動作時には、図8に示すように、コモンドライバ28は、スイッチ35を、金属電極32Aがドライバ34の出力端子に接続されるように切り替える。これにより、2本の金属電極32Aおよび32Bには同じ電圧信号が印加され、透明電極31に同じ電圧が印加される。この状態の帯状電極は、従来の帯状電極と同じであり、書き込み動作に関する説明は省略する。
【0053】
リセット動作時には、図9に示すように、コモンドライバ28は、スイッチ35を、金属電極32Aがグランド(接地線)に接続されるように切り替える。次いで、この状態でドライバ34から電圧信号、例えば10V、20msの電圧パルスを印加する。すると、2本の金属電極32A、32Bおよび透明電極31の電圧降下のために、下側帯状電極15のドライバ34およびスイッチ35が接続される側(上流側)では比較的高い電圧が印加されて大きな電流が流れる。一方、反対側(下流側)では比較的低い電圧が印加されて流れる電流量が低下する。電流量に応じて発熱量も変化するので、帯状電極に沿って液晶の温度分布が発生し、それに応じて液晶の膨張量に差を生じる。これにより、上流側では液晶層12に大きな圧力が発生し、下流側では圧力が小さい。スペーサ構造物33が下側帯状電極15に沿って伸びているため、この圧力差に応じて、液晶が上流側から下流側に流動する。流動方向を矢印で示す。
【0054】
コレステリック液晶では、液晶が流動すると、プレーナ状態になるので、全画素でリセット動作が行われたことになる。プレーナ状態になるための液晶の流動量(移動量)は、液晶の相を変化させられる程度でよく、数μm移動するだけで十分である。
【0055】
上記のようにして全画素のリセット動作を行った後、コモンドライバ28は、スイッチ35を図8のように切り替えて従来例と同様に書き込み動作を行う。本実施形態では、従来例のように高電圧を印加するリセット動作を行う必要がなく、コモンドライバ28およびセグメントドライバ29を構成するドライバICを、書き込み動作に必要な比較的低い出力電圧のもので構成できるので、コストおよび消費電力を低減できる。また、従来と同じ出力電圧のドライバICを使用する場合には、セルギャップを厚くすることができ、反射率を向上して明るい表示が得られる。
【0056】
図10から図13は、第1実施形態のコレステリック液晶表示素子(パネル)の製造工程を示す図であり、図10および図11がコモン電極15が形成されるコモン基板13の製造工程を示し、図12がセグメント電極14が形成されるセグメント基板11の製造工程を示し、図13が組立工程を示す。基本的にコモン基板とセグメント基板のいずれを上側基板または下側基板として使用することも可能である。ここでは下側基板がコモン基板、上側基板がセグメント基板である場合を例とし、下側基板にスペーサ構造物33が形成されるものとして説明する。
【0057】
図10(A)に示すように、下側基板13の上に銅を100nmの厚さで成膜して金属電極層32を形成する。
【0058】
図10(B)に示すように、金属電極層32の上にレジスト層41を塗布する。
【0059】
図10(C)に示すように、光リソグラフィなどにより、レジスト層41を金属電極32A、32Bの形状に対応してパターニングする。
【0060】
図10(D)に示すように、パターニングしたレジスト層41の上からエッチングして、金属電極層32を金属電極32A、32Bの形状に加工する。
【0061】
図10(E)に示すように、パターニングしたレジスト層41を剥離すると、パターニングされた金属電極32A、32Bが現れる。
【0062】
図10(F)に示すように、下側基板13上に透明導電膜層31を形成する。
【0063】
図10(G)に示すように、透明導電膜層31の上にレジスト層43を塗布する。
【0064】
図10(H)に示すように、光リソグラフィなどにより、レジスト層43を帯状電極の形状に対応してパターニングする。
【0065】
図10(I)に示すように、パターニングしたレジスト層43の上からエッチングして、透明導電膜層31を帯状電極に加工する。
【0066】
図10(J)に示すように、パターニングしたレジスト層43を剥離すると、パターニングされた透明電極31が現れる。このようにして、下側帯状電極15が形成される。
【0067】
図11(K)に示すように、下側基板13の上に、パターニングされた帯状電極(透明電極31および金属電極32A、32B)を覆うように、スペーサ構造物33の壁面用ネガレジスト45を塗布する。
【0068】
図11(L)に示すように、スペーサ構造物33の壁面として残す部分を透過するフォトマスク46を使用して露光を行う。
【0069】
図11(M)に示すように、下側基板13の表面を現像すると、ネガレジスト45のスペーサ構造物33の壁面に対応する部分が硬化し、それ以外の部分は除去されるので、ベークするとスペーサ構造物33の壁面が形成される。さらにパネルの周囲にシール46を形成する。シール46は、壁面用ネガレジスト45を利用して形成してもよい。
以上で、下側基板13が完成する。
【0070】
図12(A)に示すように、上側基板11上に透明導電膜層14を形成する。
【0071】
図12(B)に示すように、透明導電膜層14の上にレジスト層42を塗布する。
【0072】
図12(C)に示すように、光リソグラフィなどにより、レジスト層42を帯状電極の形状に対応してパターニングする。
【0073】
図12(D)に示すように、パターニングしたレジスト層42の上からエッチングして、透明導電膜層14を帯状電極に加工する。
【0074】
図12(E)に示すように、パターニングしたレジスト層42を剥離すると、パターニングされた透明電極14が現れる。このようにして、上側帯状電極14が形成される。
【0075】
図12(F)に示すように、上側基板11の上に、パターニングされた帯状電極14を覆うように絶縁膜44を形成する。これにより上側基板11が完成する。
【0076】
次に、図13(A)に示すように、上側基板11を反転して、上側基板11の帯状電極14と下側基板13の帯状電極(透明電極31および金属電極32A、32B)が直交するように位置合わせし、絶縁膜44が壁面用ネガレジストで作られたスペーサ構造物33に接触するように貼り合わせ、壁面用ネガレジストを硬化させて絶縁膜44を接着する。
【0077】
図13(B)に示すように、貼り合わせた上下基板11、13の間の空セル(画素)を真空状態とし、パネル端部をコレステリック液晶に浸漬させ、大気開放して、空セルに液晶を注入する。
【0078】
図13(C)に示すように、液晶注入後、封口剤47を用いて注入口を閉じ、パネルが完成する。従って、シール46と封口剤47が、図6のシール材16に対応する。
【0079】
以上は、スペーサ構造物33の壁面をネガレジストで形成する場合の製造工程であるが、スペーサ構造物の壁面をポジレジストで形成することも可能である。ポジレジストを使用する場合には、スペーサ構造物の壁面の部分が現像しても硬化しないので、粒状のスペーサを散布してセルギャップを一定にすることがネガレジストの場合と異なる。
【0080】
以上、実施形態のコレステリック液晶表示素子の製造工程を説明したが、製造工程には各種の変形例があり得るのはいうまでもない。
【0081】
図14および図15は、第2実施形態のコレステリック液晶表示装置で使用する液晶表示素子(パネル)10の上側帯状電極14、下側帯状電極15、およびスペーサ構造物の形状を示す図である。第1実施形態と異なるのは、上側帯状電極14を、透明電極51と2本の金属電極52A、52Bで構成し、金属電極52Aとドライバ54の出力端子の間を接続するか否かを切り替えるスイッチ55および金属電極52Aをグランド(接地線)に接続するか否かを切り替えるスイッチ56を設けたことである。この構成は、ほかの上側帯状電極およびそれに接続されるドライバ54についても同様である。
【0082】
スペーサ構造物53は、複数の下側帯状電極15の間に設けられる。従って、液晶は上側帯状電極14に沿って流動できない。
【0083】
第1実施形態と同様に、全画素をプレーナ状態にするリセット動作を行った後、各画素を所望の階調状態にする書き込み動作を行う。
【0084】
書き込み動作時には、図14に示すように、コモンドライバ28は、スイッチ55を閉状態に、すなわち金属電極52Aがドライバ54の出力端子に接続されるように切り替え、スイッチ56を開状態に、すなわち金属電極52Aがグランドに接続されない状態にする。この状態では、金属電極52Aおよび32B、透明電極51を有する上側帯状電極14に同じ電圧が印加される。この状態の帯状電極は、従来の帯状電極と同じである。
【0085】
リセット動作時には、図15に示すように、コモンドライバ28は、スイッチ55を開状態に、すなわち金属電極52Aがドライバ54の出力端子に接続されないように切り替え、スイッチ56を閉状態に、すなわち金属電極52Aがグランドに接続される状態にする。次いで、この状態でドライバ54から電圧信号、例えば10V、1000msの電圧パルスを印加すると、透明電極51に一様に電流が流れ、透明電極51全体で均一に発熱し、その付近の液晶の温度が上昇して膨張する。ドライバ54により電圧信号を印加する上側帯状電極14(金属電極52B)の位置を、例えば図15において右から左に移動させると、液晶の膨張する位置が左側に移動する。この時、スペーサ構造物53が存在するため、矢印で示すように、液晶は右から左に流動してプレーナ状態になる。
プレーナ状態にした後、上述のように、コモンドライバ28は、スイッチ55を閉状態に、すなわち金属電極52Aがドライバ54の出力端子に接続されるように切り替え、スイッチ56を開状態に、すなわち金属電極52Aがグランドに接続されない状態にする。次いで、各画素を所望の階調状態にする書き込み動作を行う。
【0086】
第2実施形態では、すべての上側帯状電極14を、透明電極51と2本の金属電極52A、52Bで構成し、スイッチ55、56を各上側帯状電極14に対応して設け、すべての上側帯状電極14に順にパルス状の電圧信号を印加した。しかし、すべての上側帯状電極14に順にパルス状の電圧信号を印加する必要はない。例えば、図16に示すように、1つ以上の上側帯状電極14を有する3つのグループ61A、61B、61Cを、パネル10の両端および中央部に形成し、各グループ内の上側帯状電極14について、電圧信号を印加して発熱させてもよい。各グループの上側帯状電極14が少ない場合には電圧信号を同時に印加してもよいが、左側のグループ61Aでは印加位置を左から右に移動させ、右側のグループ61Cでは印加位置を右から左に移動させ、中央のグループ61Bでは印加位置を中央から両側に移動するように変化させてもよい。また、第2実施形態および図16の例で、リセット動作時に電圧信号を印加する上側帯状電極14は密接している必要はなく、数本に1本の割合の上側帯状電極14にリセット動作用電圧信号を印加することも可能である。
【0087】
最後に、第2実施形態のリセット動作において液晶を流動させるために、どのようなリセット動作用電圧信号を印加する必要があるかをシミュレーションした結果を説明する。
【0088】
図17(A)は、1画素における上側帯状電極14を示す。IZO膜の透明電極51は、125nm厚で、200μm幅で、1画素の長さが200μmで、抵抗率は4×10-4Ω・cmである。また、銅製の金属電極52A、52Bは、100nm厚で、10μm幅で、1画素の長さが200μmで、抵抗率は1.55×10-8Ω・cmである。従って、図17(A)の回路において、透明電極51の抵抗は32Ωであり、1本の金属電極の抵抗は31Ωであり、電源71からグランドまでの抵抗は94Ωである。
【0089】
セルギャップを5μmとすると、1画素内の液晶量は2×10-7lで、液晶の比熱をポリエチレンの比熱2.23J/g・Kとすると、熱容量Cは4.46×10-7J/Kである。また、上下基板の1画素の重量は8.0×10-6gで、比熱を2.23J/g・Kとすると、熱容量Cは1.784×10-5J/Kである。従って、1画素の総熱容量は1.804×10-5J/Kである。
【0090】
ここで、1V、10msの電圧パルスを印加すると、流れる電流は1.0638×10-4Aで、電極での発熱量は3.62115×10-7Jである。これにより液晶は2.38度温度が変化し、体積が0.24%変化する。これにより、液晶層の厚さは変化せず、スペーサ構造物のために上側帯状電極14の伸びる方向にも流動しないとすると、スペーサ構造物の伸びる方向に0.48μm流動する。画素の両側に伸びるとすると、両側に0.24μm移動する。
【0091】
上記のモデルでは、1画素のみをシミュレーションしたが、上側帯状電極14の伸びる方向には数百個の画素が配列される。そこで、例えば、上側帯状電極14の伸びる方向には200個の画素が配列されるとした場合のシミュレーションした結果を説明する。透明電極51および金属電極の52A、52Bの条件は上記と同様である。
【0092】
図17(B)は、図17(A)のような画素が200個連続して配置されているとした場合の抵抗分布を示す。ここで、1V、10msの電圧パルスを印加するとする。各画素の透明電極部分に流れる電流をipとし、経路での電圧降下からipを算出する。
【0093】
V=n!×ip×Rl+Rp×ip+n×ip×Rl
ここで、n=200、Rl=31、Rp=32であり、V=1であるから、
p=5.35721×10-5
各画素での発熱量=n×31×ip2+32×ip2
各画素の熱容量は、上記のように4.46×10-7J/Kである。なお、ここでは基板の熱容量は考慮しないことにする。従って、温度上昇は1.6041×102となり、液晶の体積は16%増加して、両側に16μm流動する。
【0094】
従って、リセット動作時に印加する電圧は1V、10ms程度でよい。
【0095】
以上、実施形態を説明したが、他にも各種の実施形態が可能であるのはいうまでもない。例えば、ここで開示した技術明は、コレステリック液晶を使用した表示素子以外にも、メモリ性を有するドットマトリクス型の表示素子であれば、適用可能である。
【0096】
また、各種の条件は、対象とする表示素子の仕様に応じて決定すべきであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、コレステリック液晶の状態を説明する図であり、(A)がプレーナ状態を、(B)がフォーカルコニック状態を示す。
【図2】図2は、印加電圧によるコレステリック液晶の状態変化を説明する図である。
【図3】図3は、コレステリック液晶に印加するパルスの電圧とパルス幅による反射率の変化を説明する図である。
【図4】図4は、コレステリック液晶表示素子におけるプレーナ状態の反射率のセルギャップに対する変化を示す図である。
【図5】図5は、実施形態のカラー液晶表示素子の積層構造を示す図である。
【図6】図6は、実施形態のカラー液晶表示素子を構成する1枚のコレステリック液晶表示素子の構造を示す図である。
【図7】図7は、実施形態のカラー液晶表示素子の概略構成を示す図である。
【図8】図8は、第1実施形態のコレステリック液晶表示素子の帯状電極およびスペーサ構造物を示す図である。(書き込み動作時)
【図9】図9は、第1実施形態のコレステリック液晶表示素子の帯状電極およびスペーサ構造物を示す図である。(リセット動作時)
【図10】図10は、実施形態のコレステリック液晶表示素子の製造工程を示す図であり、下側基板の製造工程を示す。
【図11】図11は、実施形態のコレステリック液晶表示素子の製造工程を示す図であり、下側基板の製造工程を示す。
【図12】図12は、実施形態のコレステリック液晶表示素子の製造工程を示す図であり、上側基板の製造工程を示す。
【図13】図13は、実施形態のコレステリック液晶表示素子の製造工程を示す図であり、組立工程を示す。
【図14】図14は、第2実施形態のコレステリック液晶表示素子の帯状電極およびスペーサ構造物を示す図である。(書き込み動作時)
【図15】図15は、第2実施形態のコレステリック液晶表示素子の帯状電極およびスペーサ構造物を示す図である。(リセット動作時)
【図16】図16は、第3実施形態のコレステリック液晶表示素子のリセット動作を説明する図である。
【図17】図17は、液晶流動のシュミレーションモデルを説明する図である。
【符号の説明】
【0098】
10 表示素子
11 上側基板
12 液晶層
13 下側基板
14 上側電極層(上側帯状電極)
15 下側電極層(下側帯状電極)
17 吸光層
18 制御回路
21 電源
22 昇圧部
25 制御回路
26 ロウドライバ(RGB共通)
27 カラムドライバ(RGB独立)
31 透明電極
32A、32B 金属電極
33 スペーサ構造物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
前記第1の電極に交わる方向に延在する第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極間に配置されたコレステリック液晶と、
前記第1の電極又は前記第2の電極を駆動して、前記コレステリック液晶を移動させる駆動部と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記コレステリック液晶を移動させた後、前記第1の電極及び前記第2の電極を駆動して、前記コレステリック液晶に階調を書き込むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記第1の電極又は前記第2の電極を駆動して、前記第1の電極又は前記第2の電極を発熱させ、前記コレステリック液晶を移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記第1の電極又は前記第2の電極を駆動して、前記第1の電極又は前記第2の電極に温度分布を形成させ、前記コレステリック液晶を移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
第1の電極と、
前記第1の電極に交わる方向に延在する第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極間に配置されたコレステリック液晶と、
接地線と、
前記第1の電極又は前記第2の電極を前記接地線に接続し、前記接地線に接続された第1の電極又は前記第2の電極を駆動する駆動部と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
前記駆動部は、前記第1の電極又は前記第2の電極を駆動した後、前記第1の電極又は前記第2の電極を前記接地線から切り離し、前記第1の電極及び前記第2の電極を駆動して、前記コレステリック液晶に階調を書き込むことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
第1の電極と前記第1の電極に交わる方向に延在する第2の電極との間に配置されたコレステリック液晶を、前記第1の電極又は前記第2の電極を駆動して移動させることを特徴とする表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−39075(P2010−39075A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200018(P2008−200018)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】