説明

液晶表示装置

【課題】表示品位の良好な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 第1方向に沿って延出したゲート配線と、第1方向と直交する第2方向に対して左回りに鋭角に交差する第3方向に沿って延出した斜め配線部を含むソース配線と、第3方向に沿って延出した斜め電極部を含む画素電極と、前記画素電極を覆う第1配向膜と、を備えた第1基板と、前記画素電極に対向する対向電極と、前記対向電極を覆う第2配向膜と、を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、前記第1配向膜の第1ラビング方向は、前記第3方向に対して左回りに鋭角に交差する方向であって、第1ラビング方向と第3方向とのなす角度は3.6°以上であることを特徴とする液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に代表される平面表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特徴を生かして、パーソナルコンピュータなどのOA機器、情報端末、時計、テレビなどの表示装置として各種分野で利用されている。中でも薄膜トランジスタ(TFT)を用いた液晶表示装置は、その応答性の高さから携帯端末やコンピュータなど多くの情報を表示するモニタとして多用されている。
【0003】
ところで、ツイステッドネマティック(Twisted Nematic;TN)モードや、インプレーンスイッチング(In−Plane Switching;IPS)モードなどの各種モードの液晶表示装置は、液晶分子を初期配向させるために、ラビング処理された配向膜を備えている。配向膜をラビング処理する際のラビング方向については、種々検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−300555号公報
【特許文献2】特開平11−174453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、
第1方向に沿って延出したゲート配線と、第1方向と直交する第2方向に対して左回りに鋭角に交差する第3方向に沿って延出した斜め配線部を含むソース配線と、第3方向に沿って延出した斜め電極部を含む画素電極と、前記画素電極を覆う第1配向膜と、を備えた第1基板と、前記画素電極に対向する対向電極と、前記対向電極を覆う第2配向膜と、を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、前記第1配向膜の第1ラビング方向は、前記第3方向に対して左回りに鋭角に交差する方向であって、第1ラビング方向と第3方向とのなす角度は3.6°以上であることを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0007】
本実施形態によれば、
第1方向に沿って延出したゲート配線と、第1方向と直交する第2方向に対して右回りに鋭角に交差する第4方向に沿って延出した斜め配線部を含むソース配線と、第4方向に沿って延出した斜め電極部を含む画素電極と、前記画素電極を覆う第1配向膜と、を備えた第1基板と、前記画素電極に対向する対向電極と、前記対向電極を覆う第2配向膜と、を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、前記第1配向膜の第1ラビング方向は、前記第4方向に対して右回りに鋭角に交差する方向であって、第1ラビング方向と第4方向とのなす角度は3.6°以上であることを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0008】
本実施形態によれば、
第1方向に沿って並んだ複数の第1画素電極からなり、前記第1画素電極の各々が第1方向と直交する第2方向に対して左回りに鋭角に交差する第3方向に沿って延出した第1斜め電極部を含む第1画素ラインと、前記第1画素ラインに隣接する第2画素ラインであって、第1方向に沿って並んだ複数の第2画素電極からなり、前記第2画素電極の各々が第1方向と直交する第2方向に対して右回りに鋭角に交差する第4方向に沿って延出した第2斜め電極部を含む第2画素ラインと、前記第1画素電極及び前記第2画素電極の各々を覆う第1配向膜と、前記第1画素電極及び前記第2画素電極の各々に対向する対向電極と、前記対向電極を覆う第2配向膜と、前記第1配向膜と前記第2配向膜との間に配置された液晶層と、を備え、前記第1配向膜の第1ラビング方向は、前記第3方向に対して左回りに鋭角に交差する方向であって、第1ラビング方向と第3方向とのなす角度は3.6°以上であることを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0009】
本実施形態によれば、
第1方向に沿って並んだ複数の第1画素電極からなり、前記第1画素電極の各々が第1方向と直交する第2方向に対して左回りに鋭角に交差する第3方向に沿って延出した第1斜め電極部を含む第1画素ラインと、前記第1画素ラインに隣接する第2画素ラインであって、第1方向に沿って並んだ複数の第2画素電極からなり、前記第2画素電極の各々が第1方向と直交する第2方向に対して右回りに鋭角に交差する第4方向に沿って延出した第2斜め電極部を含む第2画素ラインと、前記第1画素電極及び前記第2画素電極の各々を覆う第1配向膜と、前記第1画素電極及び前記第2画素電極の各々に対向する対向電極と、前記対向電極を覆う第2配向膜と、前記第1配向膜と前記第2配向膜との間に配置された液晶層と、を備え、前記第1配向膜の第1ラビング方向は、前記第4方向に対して右回りに鋭角に交差する方向であって、第1ラビング方向と第4方向とのなす角度は3.6°以上であることを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施形態における液晶表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示パネルの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【図3】図3は、図1に示した液晶表示装置の構造を概略的に示す断面図である。
【図4】図4は、本実施形態の液晶表示装置に適用可能なアレイ基板の構成を概略的に示す上面図である。
【図5】図5は、各画素で黒表示を行った際の、なす角度θ3に対する透過率のシミュレーション結果を示す図である。
【図6】図6は、なす角度θ3が−25°から+3.6°未満の範囲である場合に、図4に示したアレイ基板をA−A’線で切断したときの液晶表示パネルの断面及び液晶分子の配向状態を模式的に示す図である。
【図7】図7は、なす角度θ3が+3.6°以上45°以下の範囲である場合に、図4に示したアレイ基板をA−A’線で切断したときの液晶表示パネルの断面及び液晶分子の配向状態を模式的に示す図である。
【図8】図8は、本実施形態の液晶表示装置に適用可能なアレイ基板の他の構成を概略的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本実施形態における液晶表示装置1の構成を模式的に示す図である。
【0013】
すなわち、液晶表示装置1は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPN、液晶表示パネルLPNに接続された駆動ICチップ2及びフレキシブル配線基板3、液晶表示パネルLPNを照明するバックライト4などを備えている。
【0014】
液晶表示パネルLPNは、第1基板であるアレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された第2基板である対向基板CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された図示しない液晶層と、を備えて構成されている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示するアクティブエリアACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数である)。
【0015】
バックライト4は、図示した例では、アレイ基板ARの背面側に配置されている。このようなバックライト4としては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
【0016】
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【0017】
液晶表示パネルLPNは、アクティブエリアACTにおいて、n本のゲート配線G(G1〜Gn)、n本の補助容量線C(C1〜Cn)、m本のソース配線S(S1〜Sm)などを備えている。ゲート配線G及び補助容量線Cは、第1方向Xに沿ってそれぞれ延出している。ソース配線Sは、ゲート配線G及び補助容量線Cと交差している。図示した例では、ソース配線Sは直線状であるが、ここでは等価回路を示しており、実際の形状とは異なる。
【0018】
各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ゲートドライバGDに接続されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ソースドライバSDに接続されている。これらのゲートドライバGD及びソースドライバSDの少なくとも一部は、例えば、アレイ基板ARに形成され、コントローラを内蔵した駆動ICチップ2と接続されている。
【0019】
各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、対向電極CEなどを備えている。保持容量Csは、例えば補助容量線Cと画素電極PEとの間に形成される。
【0020】
なお、本実施形態においては、液晶表示パネルLPNは、アレイ基板ARが画素電極PEを備える一方で対向基板CTが対向電極CEを備えた構成であり、これらの画素電極PEと対向電極CEとの間に形成される電界を主に利用して液晶層LQの液晶分子をスイッチングする。画素電極PEと対向電極CEとの間に形成される電界は、アレイ基板ARの主面あるいは対向基板CTの主面に略垂直な縦電界である。
【0021】
スイッチング素子SWは、例えば、nチャネル薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されている。アクティブエリアACTには、m×n個のスイッチング素子SWが形成されている。
【0022】
画素電極PEは、スイッチング素子SWに電気的に接続されている。アクティブエリアACTには、m×n個の画素電極PEが形成されている。対向電極CEは、例えばコモン電位であり、液晶層LQを介して複数の画素電極PEに対して共通に配置されている。この対向電極CEは、図示しない導電部材を介して、アレイ基板ARに形成された給電部VSと電気的に接続されている。補助容量線Cは、補助容量電圧が印加される電圧印加部VCSと電気的に接続されている。
【0023】
図3は、図1に示した液晶表示装置1の構造を概略的に示す断面図である。なお、ここでは、TNモードの液晶表示装置を例に説明する。
【0024】
アレイ基板ARは、例えば、ガラス基板やプラスチック基板などの光透過性を有する第1絶縁基板SUB1を用いて形成されている。このアレイ基板ARは、第1絶縁基板SUB1の対向基板CTに対向する側に、スイッチング素子SW、画素電極PE、第1配向膜AL1などを備えている。
【0025】
スイッチング素子SWは、トップゲート型であっても良いし、ボトムゲート型であっても良く、詳述しないが、ポリシリコンやアモルファスシリコンなどによって形成された半導体層を備えている。図示した例では、スイッチング素子SWは、絶縁層ISによって覆われている。
【0026】
画素電極PEは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する導電材料によって形成されている。図示した例では、画素電極PEは、絶縁層ISの上に形成されており、絶縁層ISに形成されたコンタクトホールを介してスイッチング素子SWに電気的に接続されている。
【0027】
第1配向膜AL1は、アレイ基板ARの対向基板CTと対向する面に配置され、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。この第1配向膜AL1は、画素電極PEを覆っている。このような第1配向膜AL1は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0028】
一方、対向基板CTは、例えば、ガラス基板やプラスチック基板などの光透過性を有する第2絶縁基板SUB2を用いて形成されている。この対向基板CTは、第2絶縁基板SUB2のアレイ基板ARに対向する側に、対向電極CE、第2配向膜AL2などを備えている。なお、この対向基板CTには、図示は省略するが、各画素PXを区画するブラックマトリクスや各画素PXに対応して配置されたカラーフィルタ層、カラーフィルタ層の表面の凹凸の影響を緩和するオーバーコート層などが配置されても良い。
【0029】
対向電極CEは、画素電極PEの各々に対向している。この対向電極CEは、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。このような対向電極CEは、例えば、ITOやIZOなどの光透過性を有する導電材料によって形成されている。
【0030】
第2配向膜AL2は、対向基板CTのアレイ基板ARと対向する面に配置され、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。この第2配向膜AL2は、対向電極CEを覆っている。このような第2配向膜AL2は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0031】
第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、後述するように、それぞれラビング処理されている。第1配向膜AL1の第1ラビング方向は、第2配向膜AL2の第2ラビング方向と略直交している。
【0032】
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、それぞれの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が対向するように配置されている。このとき、アレイ基板ARの第1配向膜AL1と対向基板CTの第2配向膜AL2との間には、図示しないスペーサ(例えば、樹脂材料によって一方の基板と一体的に形成された柱状スペーサ)により、所定のセルギャップが形成されている。
【0033】
液晶層LQは、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に形成されたセルギャップに保持され、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に配置されている。液晶層LQは、図示しないが液晶分子を含んでいる。
【0034】
アレイ基板ARの外面、つまり、アレイ基板ARを構成する第1絶縁基板SUB1の外面には、第1吸収軸を有する第1偏光板PL1が接着剤などにより貼付されている。また、対向基板CTの外面、つまり、対向基板CTを構成する第2絶縁基板SUB2の外面には、第1吸収軸に対して直交する第2吸収軸を有する第2偏光板PL2が接着剤などにより貼付されている。
【0035】
このような構成の液晶表示装置1においては、液晶層LQに含まれる液晶分子は、画素電極PEと対向電極CEとの間に電界が形成されていない状態(初期配向状態)では、90°ツイスト配向している。このとき、バックライト4からのバックライト光は、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNを透過した後に第2偏光板PL2を透過する(白表示)。
【0036】
また、液晶層LQに含まれる液晶分子は、画素電極PEと対向電極CEとの間に縦電界が形成された状態では、アレイ基板ARの主面あるいは対向基板CTの主面に対して略垂直に配向している。このとき、バックライト4からのバックライト光は、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNを透過した後に第2偏光板PL2に吸収される(黒表示)。このようにして、ノーマリーホワイトモードが実現する。
【0037】
図4は、本実施形態の液晶表示装置1に適用可能なアレイ基板ARの構成を概略的に示す上面図である。なお、画素電極の形状及び画素電極のレイアウトを主として説明し、ゲート配線G1乃至G5及びソース配線Sは簡略化して線で図示している。
【0038】
ゲート配線G1乃至G5の各々は、第1方向Xに沿って略直線状に延出している。ソース配線Sの各々は、第1方向Xと直交する第2方向Yに沿って概ね延出しているが、屈曲している。これらのゲート配線G1乃至G5(あるいは図示しない補助容量線)、及び、ソース配線Sは、画素電極間の隙間を遮光するように配置され、ブラックマトリクスとして機能する。
【0039】
図示した例では、ソース配線Sは、第2方向Yに沿って延出した垂直配線部SV、第2方向Yに対して左回り(反時計回り)に鋭角に交差する第3方向D3に沿って延出した第1斜め配線部SS1、及び、第2方向Yに対して右回り(時計回り)に鋭角に交差する第4方向D4に沿って延出した第2斜め配線部SS2を含んでいる。ここで、第2方向Yと第3方向D3とのなす角度θ1及び第2方向Yと第4方向D4とのなす角度θ2は、ともに0°より大きく90°より小さい角度である。
【0040】
垂直配線部SVは、ゲート配線G1乃至G5とそれぞれ直交している。第1斜め配線部SS1は、右下がり(あるいは左上がり)であって、隣接するゲート配線、例えばゲート配線G1とゲート配線G2との間、ゲート配線G3とゲート配線G4との間などに位置している。第2斜め配線部SS2は、右上がり(あるいは左下がり)であって、隣接するゲート配線、例えばゲート配線G2とゲート配線G3との間、ゲート配線G4とゲート配線G5との間などに位置している。
【0041】
ここでは、ゲート配線G1とゲート配線G2との間に第1画素ラインPXL1が形成され、ゲート配線G2とゲート配線G3との間に第2画素ラインPXL2が形成され、ゲート配線G3とゲート配線G4との間に第3画素ラインPXL3が形成され、ゲート配線G4とゲート配線G5との間に第4画素ラインPXL4が形成されているものとする。
【0042】
第1画素ラインPXL1及び第3画素ラインPXL3のそれぞれは、第1方向Xに沿って並んだ複数の第1画素電極PE1からなる。第1画素ラインPXL1を構成する第1画素電極PE1の形状は、第3画素ラインPXL3を構成する第1画素電極PE1の形状と同一である。つまり、奇数画素ラインを構成する第1画素電極PE1の形状はすべて同一である。
【0043】
第2画素ラインPXL2及び第4画素ラインPXL4のそれぞれは、第1方向Xに沿って並んだ複数の第2画素電極PE2からなる。第2画素ラインPXL2を構成する第2画素電極PE2の形状は、第4画素ラインPXL4を構成する第2画素電極PE2の形状と同一である。つまり、偶数画素ラインを構成する第2画素電極PE2の形状はすべて同一である。
【0044】
以下に、第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2のそれぞれの形状について、より具体的に説明する。
【0045】
第1画素電極PE1は、第3方向D3に沿って延出した第1斜め電極部EC1を含んでいる。つまり、第1斜め電極部EC1のエッジは、第3方向D3に平行であり、また、第1斜め配線部SS1と平行である。詳述しないが、第1斜め電極部EC1のエッジは、第1斜め配線部SS1の直上に位置している。
【0046】
また、図示した例では、第1画素電極PE1は、第1斜め電極部EC1の一端側に一端電極部EA1を有するとともに第1斜め電極部EC1の他端側に他端電極部EB1を有している。これらの一端電極部EA1及び他端電極部EB1の各々は、第2方向Yに沿って延出している。つまり、一端電極部EA1及び他端電極部EB1の各々のエッジは、第2方向Yに平行であり、また、垂直配線部SVと平行である。詳述しないが、一端電極部EA1及び他端電極部EB1の各々のエッジは、垂直配線部SVの直上に位置している。
【0047】
このような第1斜め電極部EC1と、一端電極部EA1及び他端電極部EB1とを有する第1画素電極PE1は、概略S字型の形状を有している。
【0048】
第2画素電極PE2は、第4方向D4に沿って延出した第2斜め電極部EC2を含んでいる。つまり、第2斜め電極部EC2のエッジは、第4方向D4に平行であり、また、第2斜め配線部SS2と平行である。詳述しないが、第2斜め電極部EC2のエッジは、第2斜め配線部SS2の直上に位置している。
【0049】
また、図示した例では、第2画素電極PE2は、第2斜め電極部EC2の一端側に一端電極部EA2を有するとともに第2斜め電極部EC2の他端側に他端電極部EB2を有している。これらの一端電極部EA2及び他端電極部EB2の各々は、第2方向Yに沿って延出している。つまり、一端電極部EA2及び他端電極部EB2の各々のエッジは、第2方向Yに平行であり、また、垂直配線部SVと平行である。詳述しないが、一端電極部EA2及び他端電極部EB2の各々のエッジは、垂直配線部SVの直上に位置している。
【0050】
このような第2斜め電極部EC2と、一端電極部EA2及び他端電極部EB2とを有する第2画素電極PE2は、第1画素電極PE1とは逆向きの概略S字型の形状を有している。
【0051】
奇数画素ラインを構成する第1画素電極PE1の形状と、偶数画素ラインを構成する第2画素電極PE2の形状とは、第1方向Xに沿った線に対して線対称となる場合がある。この場合には、第2方向Yに対する第3方向D3のなす角度θ1と第2方向Yに対する第4方向θ2とが同一であり、第1斜め電極部EC1の長さと第2斜め電極EC2の長さとが同一であり、一端電極部EA1の長さと一端電極部EA2の長さとが同一であり、しかも、他端電極部EB1の長さと他端電極部EB2の長さとが同一である。
【0052】
ここで、上述したようなレイアウトの第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2を覆う第1配向膜AL1の第1ラビング方向RB1について説明する。まず、図4に示した例では、第1ラビング方向RB1は、第3方向D3を基準とし、第3方向D3に対して左回りに鋭角に交差する方向である。また、この第1ラビング方向RB1と第3方向D3とのなす角度θ3は、3.6°以上である。
【0053】
次に、なす角度θ3を規定する根拠となるシミュレーション結果について説明する。
【0054】
図5は、各画素で黒表示を行った際の、なす角度θ3に対する透過率のシミュレーション結果を示す図である。ここで、なす角度θ3が0°の場合は第1ラビング方向RB1が第3方向D3に平行である場合に相当し、なす角度θ3が正の角度である場合は第1ラビング方向RB1が第3方向D3に対して左回り(反時計回り)に鋭角に交差する方向である場合に相当し、なす角度θ3が負の角度である場合は第1ラビング方向RB1が第3方向D3に対して右回り(時計回り)に鋭角に交差する方向である場合に相当する。ここでは、なす角度θ3が−25°から+45°までの範囲で透過率をシミュレーションしている。
【0055】
本シミュレーションによれば、なす角度θ3が+3.6°以上である場合に、透過率を十分に低減できることが確認された。また、なす角度θ3が+45°以下の範囲では透過率を十分に低減できることが確認された。
【0056】
一方で、なす角度θ3が−25°から+3.6°未満の範囲では、黒表示を行っているにもかかわらず、透過率が比較的高い状態にあることが確認された。
【0057】
図6は、なす角度θ3が−25°から+3.6°未満の範囲である場合に、図4に示したアレイ基板ARをA−A’線で切断したときの液晶表示パネルLPNの断面及び液晶分子LMの配向状態を模式的に示す図である。ここでは、黒表示状態での液晶分子の配向状態を示している。
【0058】
ソース配線Sの第1斜め配線部SS1に対して右側に位置する第1画素電極PE1と対向電極CEとの間では、液晶分子LMは略均一に配向している。これに対して、ソース配線Sの第1斜め配線部SS1に対して左側に位置する第1画素電極PE1と対向電極CEとの間では、特に第1画素電極PE1のエッジ付近で液晶分子LMの配向異常が発生している。
【0059】
このような配向異常の原因の一つとしては、第1画素電極PE1を覆っている第1配向膜AL1(図示を省略)の第1ラビング方向と、不所望な横電界(例えば、ソース配線Sと第1画素電極PE1との間の横電界)との相互作用が挙げられる。このような相互作用が液晶分子LMに作用すると、液晶分子LMの配向状態が不安定になりやすい。このような配向異常は、黒表示状態の場合に限らず、外部から液晶表示パネルLPNに応力が加わった場合にも発生しやすい。
【0060】
配向異常が発生した箇所では光抜けが発生するため、上記のシミュレーション結果で示したように、黒表示を行っているにもかかわらず、透過率が上昇してしまう。この場合には、コントラスト比の低下を招くのは勿論のこと、視野角の低下を招く場合もあり、表示品位の低下の原因となる。
【0061】
図7は、なす角度θ3が+3.6°以上45°以下の範囲である場合に、図4に示したアレイ基板ARをA−A’線で切断したときの液晶表示パネルLPNの断面及び液晶分子LMの配向状態を模式的に示す図である。ここでは、黒表示状態での液晶分子の配向状態を示している。
【0062】
このような構成の本実施形態によれば、ソース配線Sの第1斜め配線部SS1に対して右側に位置する第1画素電極PE1と対向電極CEとの間では、液晶分子LMは略均一に配向している。また、ソース配線Sの第1斜め配線部SS1に対して左側に位置する第1画素電極PE1と対向電極CEとの間でも、液晶分子LMは略均一に配向している。
【0063】
このため、配向異常に起因した光抜けの発生を抑制することができ、上記のシミュレーション結果で示したように、黒表示状態において十分に透過率を低下させることが可能である。したがって、コントラスト比の低下が抑制可能であるとともに、視野角の低下が抑制可能である。これにより、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0064】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0065】
図8は、本実施形態の液晶表示装置1に適用可能なアレイ基板ARの他の構成を概略的に示す上面図である。なお、画素電極の形状及び画素電極のレイアウトについては、図4に示した例と同一である。図8に示した例では、図4に示した例と比較して、第1配向膜AL1の第1ラビング方向RB1が相違している。その他については、図4に示した例と同一であり、説明を省略する。
【0066】
すなわち、第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2を覆う第1配向膜AL1の第1ラビング方向RB1は、第2方向Yに対して右回りに鋭角に交差する第4方向D4を基準とし、第4方向D4に対して右回りに鋭角に交差する方向である。また、この第1ラビング方向RB1と第4方向D4とのなす角度θ4は、3.6°以上である。
【0067】
なす角度θ3と同様に、なす角度θ4に対する透過率のシミュレーションを行ったところ、同様の結果が得られた。ここでは、なす角度θ4の符号は、なす角度θ3の符号とは逆であり、なす角度θ4が正の角度である場合は第1ラビング方向RB1が第4方向D4に対して右回り(時計回り)に鋭角に交差する方向である場合に相当し、なす角度θ4が負の角度である場合は第1ラビング方向RB1が第4方向D4に対して左回り(反時計回り)に鋭角に交差する方向である場合に相当する。
【0068】
なす角度θ4が−25°から+45°までの範囲で透過率をシミュレーションしたところ、その結果は図示しないが、なす角度θ4が+3.6°以上である場合に、透過率を十分に低減できることが確認された。また、なす角度θ4が+45°以下の範囲では透過率を十分に低減できることが確認された。一方で、なす角度θ4が−25°から+3.6°未満の範囲では、黒表示を行っているにもかかわらず、透過率が比較的高い状態にあることが確認された。
【0069】
このような変形例においても、上記の例と同様に、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0070】
なお、本実施形態においては、図4及び図8に示した例のように、第1画素電極PE1及び第2画素電極PE2のそれぞれが概略S字型の形状を有する場合について説明したが、第1画素電極PE1が第1斜め電極部EC1のみからなる平行四辺形であって第2画素電極PE2が第2斜め電極部EC2のみからなる平行四辺形であっても良い。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0072】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1…液晶表示装置
LPN…液晶表示パネル AR…アレイ基板 CT…対向基板 LQ…液晶層
PE…画素電極 CE…対向電極
G…ゲート配線
S…ソース配線
SV…垂直配線部 SS1…第1斜め配線部 SS2…第2斜め配線部
PE1…第1画素電極
EC1…第1斜め電極部 EA1…一端電極部 EB1…他端電極部
PE2…第2画素電極
EC2…第2斜め電極部 EA2…一端電極部 EB2…他端電極部
AL1…第1配向膜 RB1…第1ラビング方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って延出したゲート配線と、第1方向と直交する第2方向に対して左回りに鋭角に交差する第3方向に沿って延出した斜め配線部を含むソース配線と、第3方向に沿って延出した斜め電極部を含む画素電極と、前記画素電極を覆う第1配向膜と、を備えた第1基板と、
前記画素電極に対向する対向電極と、前記対向電極を覆う第2配向膜と、を備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、
前記第1配向膜の第1ラビング方向は、前記第3方向に対して左回りに鋭角に交差する方向であって、第1ラビング方向と第3方向とのなす角度は3.6°以上であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
第1方向に沿って延出したゲート配線と、第1方向と直交する第2方向に対して右回りに鋭角に交差する第4方向に沿って延出した斜め配線部を含むソース配線と、第4方向に沿って延出した斜め電極部を含む画素電極と、前記画素電極を覆う第1配向膜と、を備えた第1基板と、
前記画素電極に対向する対向電極と、前記対向電極を覆う第2配向膜と、を備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備え、
前記第1配向膜の第1ラビング方向は、前記第4方向に対して右回りに鋭角に交差する方向であって、第1ラビング方向と第4方向とのなす角度は3.6°以上であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
前記なす角度は45°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記画素電極は、前記斜め電極部の一端側に一端電極部を有するとともに前記斜め電極部の他端側に他端電極部を有し、前記一端電極部及び前記他端電極部の各々は第2方向に沿って延出したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第2配向膜の第2ラビング方向は、前記第1ラビング方向と略直交することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
さらに、第1基板の外面に配置され第1吸収軸を有する第1偏光板と、前記第2基板の外面に配置され第1吸収軸に対して直交する第2吸収軸を有する第2偏光板と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
第1方向に沿って並んだ複数の第1画素電極からなり、前記第1画素電極の各々が第1方向と直交する第2方向に対して左回りに鋭角に交差する第3方向に沿って延出した第1斜め電極部を含む第1画素ラインと、
前記第1画素ラインに隣接する第2画素ラインであって、第1方向に沿って並んだ複数の第2画素電極からなり、前記第2画素電極の各々が第1方向と直交する第2方向に対して右回りに鋭角に交差する第4方向に沿って延出した第2斜め電極部を含む第2画素ラインと、
前記第1画素電極及び前記第2画素電極の各々を覆う第1配向膜と、
前記第1画素電極及び前記第2画素電極の各々に対向する対向電極と、
前記対向電極を覆う第2配向膜と、
前記第1配向膜と前記第2配向膜との間に配置された液晶層と、を備え、
前記第1配向膜の第1ラビング方向は、前記第3方向に対して左回りに鋭角に交差する方向であって、第1ラビング方向と第3方向とのなす角度は3.6°以上であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
第1方向に沿って並んだ複数の第1画素電極からなり、前記第1画素電極の各々が第1方向と直交する第2方向に対して左回りに鋭角に交差する第3方向に沿って延出した第1斜め電極部を含む第1画素ラインと、
前記第1画素ラインに隣接する第2画素ラインであって、第1方向に沿って並んだ複数の第2画素電極からなり、前記第2画素電極の各々が第1方向と直交する第2方向に対して右回りに鋭角に交差する第4方向に沿って延出した第2斜め電極部を含む第2画素ラインと、
前記第1画素電極及び前記第2画素電極の各々を覆う第1配向膜と、
前記第1画素電極及び前記第2画素電極の各々に対向する対向電極と、
前記対向電極を覆う第2配向膜と、
前記第1配向膜と前記第2配向膜との間に配置された液晶層と、を備え、
前記第1配向膜の第1ラビング方向は、前記第4方向に対して右回りに鋭角に交差する方向であって、第1ラビング方向と第4方向とのなす角度は3.6°以上であることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−137553(P2012−137553A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288635(P2010−288635)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】