説明

液晶表示装置

【課題】横電界モードの液晶表示装置であって、表示品位の良好な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1絶縁基板と、前記第1絶縁基板の上方に配置された画素電極及び対向電極と、を備えた第1基板と、第2絶縁基板と、前記第2絶縁基板の前記第1基板と向かい合う側において前記第2絶縁基板の基板端部よりも内側で額縁状に形成された額縁部を有する第1遮光層と、前記第2絶縁基板の前記第1基板と向かい合う側に配置され前記第1遮光層から離間し前記第2絶縁基板の基板端部まで延在した第2遮光層と、を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、前記第1遮光層と前記第2遮光層との間を遮光する第3遮光層と、前記第2絶縁基板の前記第1基板と向かい合う側とは反対側の表面に配置され前記基板端部まで延在した光透過性を有する導電性のシールド部材と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置が盛んに開発されており、中でも液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特徴を生かして、各種分野に適用されている。なかでもIPS(In-Plane Switching)モードやFFS(Fringe-Field Switching)モードなどの横電界モードの液晶表示装置は、視野角特性に優れ(正面から斜めに表示装置を傾けたときの画質の変化の違和感が少ない)多くの携帯機器で使われるようになってきている。
【0003】
例えば、特許文献1によれば、共通電極、画素電極、及び、接地用電極が形成された第1基板と、第1基板側と反対側の面に導電層が形成されるとともに導電層側の面から第1基板側の面にかけて貫通する貫通孔を有する第2基板と、第1基板と第2基板とによって挟持された電気光学物質と、を備え、導電層は、貫通孔に配置された導電部材などを通じて接地用電極に電気的に接続された横電界方式の電気光学装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−8971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IPSモードやFFSモードなどの横電界モードの液晶表示装置は、アレイ基板が横電界を形成するための電極を備えているのに対し、対向基板は電極を備えていない。このため、外部から液晶表示パネルの内部に電荷が流入したり、駆動に伴って帯電したりすることにより、輝度ムラの発生やフリッカの増加といった表示品位に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、このような現象を抑制するために、対向基板と偏光板との間にシールド電極を設置する構成が多く採用されている。
【0006】
この発明の目的は、横電界モードの液晶表示装置であって、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態によれば、
第1絶縁基板と、前記第1絶縁基板の上方に配置された画素電極及び対向電極と、を備えた第1基板と、第2絶縁基板と、前記第2絶縁基板の前記第1基板と向かい合う側において前記第2絶縁基板の基板端部よりも内側で額縁状に形成された額縁部を有する第1遮光層と、前記第2絶縁基板の前記第1基板と向かい合う側に配置され前記第1遮光層から離間し前記第2絶縁基板の基板端部まで延在した第2遮光層と、を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、前記第1遮光層と前記第2遮光層との間を遮光する第3遮光層と、前記第2絶縁基板の前記第1基板と向かい合う側とは反対側の表面に配置され前記基板端部まで延在した光透過性を有する導電性のシールド部材と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、横電界モードの液晶表示装置であって、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態における液晶表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示パネルの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【図3】図3は、図2に示したアレイ基板における画素の構造を対向基板の側から見た概略平面図である。
【図4】図4は、図3に示した画素をA−B線で切断した液晶表示パネルの断面構造を概略的に示す図である。
【図5】図5は、図3に示した画素をC−D線で切断した液晶表示パネルの断面構造を概略的に示す図である。
【図6】図6は、対向基板に形成される第1遮光層が基板端部まで延在していない液晶表示パネルLPN1の主要部、及び、第1遮光層が基板端部まで延在した液晶表示パネルLPN2の主要部を概略的に示す平面図である。
【図7】図7は、本実施形態における液晶表示パネルの構成を対向基板の側から見た概略平面図である。
【図8】図8は、図7に示した液晶表示パネルに適用可能な第1遮光層及び第2遮光層の一例を示す概略平面図である。
【図9】図9は、図7に示した液晶表示パネルをE−F線で切断した断面構造を概略的に示す断面図である。
【図10】図10は、図6に示した液晶表示パネルLPN2、及び、本実施形態の液晶表示パネルLPNのフリッカ率の測定結果の一例を示す図である。
【図11】図11は、図9に示した液晶表示パネルにおける領域Pの構造を拡大した概略断面図である。
【図12】図12は、図9に示した液晶表示パネルにおける領域Pの他の構造を拡大した概略断面図である。
【図13】図13は、スリットに向かい合う第3遮光層の配置例を概略的に示す平面図である。
【図14】図14は、図7に示した液晶表示パネルをE−F線で切断した他の断面構造を概略的に示す断面図である。
【図15】図15は、図7に示した液晶表示パネルをE−F線で切断した他の断面構造を概略的に示す断面図である。
【図16】図16は、第1遮光層に対して固定電位を印加するための構成例を概略的に示す断面図である。
【図17】図17は、図7に示した液晶表示パネルに適用可能な第1遮光層及び第2遮光層の他の例を示す概略平面図である。
【図18】図18は、画素表示モードにおける画像信号の書き込みを説明するための図である。
【図19】図19は、検出モードにおける検出信号の書き込み及び検出動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本実施形態における液晶表示装置の構成を模式的に示す図である。
【0012】
すなわち、液晶表示装置1は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPN、液晶表示パネルLPNに接続された駆動ICチップ2及びフレキシブル配線基板3、液晶表示パネルLPNを照明するバックライト4などを備えている。
【0013】
液晶表示パネルLPNは、アレイ基板(第1基板)ARと、アレイ基板ARに対向して配置された対向基板(第2基板)CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された図示しない液晶層と、を備えて構成されている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示するアクティブエリア(画面部)ACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数)。
【0014】
バックライト4は、アレイ基板ARの背面側に配置されている。このようなバックライト4としては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
【0015】
本実施形態の液晶表示装置1においては、対向基板CTの側に表示面が形成される。また、液晶表示パネルLPNの内部にタッチパネル機能を内蔵したタイプの液晶表示装置1においては、対向基板CTの側に表示面が形成されるとともに接触を検出する検出面が形成される。
【0016】
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【0017】
アレイ基板AR及び対向基板CTは、例えば略四角形である。アレイ基板ARは、第1辺AR1、第2辺AR2、第3辺AR3、及び、第4辺AR4を有している。対向基板CTは、第1辺CT1、第2辺CT2、第3辺CT3、及び、第4辺CT4を有している。対向基板CTの第2辺CT2はアレイ基板ARの第2辺AR2の直上に位置し、同様に、対向基板CTの第3辺CT3はアレイ基板ARの第3辺AR3の直上に位置し、対向基板CTの第4辺CT4はアレイ基板ARの第4辺AR4の直上に位置している。対向基板CTの第1辺CT1は、アレイ基板ARの第1辺AR1よりも内側、つまり、アクティブエリアACT側に位置している。
【0018】
なお、対向基板CTにおける第1辺CT1、第2辺CT2、第3辺CT3、及び、第4辺CT4は、対向基板CTを構成する後述する第2絶縁基板の基板端部に相当する。
【0019】
アレイ基板ARは、アクティブエリアACTにおいて、X方向に沿ってそれぞれ延出したn本のゲート配線G(G1〜Gn)及びn本の容量線C(C1〜Cn)、X方向に交差するY方向に沿ってそれぞれ延出したm本のソース配線S(S1〜Sm)、各画素PXにおいてゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されたm×n個のスイッチング素子SW、各画素PXにおいてスイッチング素子SWに各々電気的に接続されたm×n個の画素電極PE、容量線Cの一部であり画素電極PEと向かい合う対向電極CEなどを備えている。保持容量Csは、容量線Cと画素電極PEとの間に形成される。液晶層LQは、画素電極PEと対向電極CEとの間に介在する。
【0020】
各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、第1駆動回路GDに接続されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、第2駆動回路SDに接続されている。各容量線Cは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、第3駆動回路CDに接続されている。これらの第1駆動回路GD、第2駆動回路SD、及び、第3駆動回路CDの少なくとも一部は、アレイ基板ARに形成され、駆動ICチップ2と電気的に接続されている。
【0021】
図示した例では、駆動ICチップ2は、アクティブエリアACTの外側において、アレイ基板ARに実装されている。この駆動ICチップ2は、対向基板CTの第1辺CT1とアレイ基板ARの第1辺AR1との間に位置している。なお、フレキシブル配線基板の図示は省略しており、アレイ基板ARには、フレキシブル配線基板を接続するための端子Tが形成されている。端子Tは、アレイ基板ARの第1辺AR1に並んで配置されている。端子Tのうち、コモン端子Tcomには、コモン電位のコモン配線Vcomが接続されている。このコモン配線Vcomは、第1駆動回路GD及び第3駆動回路CDの外側を通り、アレイ基板ARの第2辺AR2、第3辺AR3、及び、第4辺AR4に沿って配置されている。
【0022】
駆動ICチップ2は、アクティブエリアACTに画像を表示する画像表示モードにおいて各画素PXの画素電極PEに画像信号を書き込むのに必要な制御を行う画像信号書込回路2Aを備えている。また、タッチパネル機能を内蔵したタイプでは、駆動ICチップ2は、画像信号書込回路2Aに加えて、検出面において物体の接触を検出する検出モードにおいて容量線Cとソース配線Sとの間の静電容量の変化を検出する検出回路2Bを備えている。詳細については後述する。
【0023】
図3は、図2に示したアレイ基板ARにおける画素PXの構造を対向基板CTの側から見た概略平面図である。なお、ここでは、アレイ基板ARが画素電極PE及び対向電極CEを備え、これらの間に形成される横電界(すなわち、基板の主面にほぼ平行な電界)を主に利用して液晶層を構成する液晶分子をスイッチングするFFSモードを適用した構成について説明する。
【0024】
ゲート配線GはそれぞれX方向に延出している。ソース配線SはそれぞれY方向に延出している。なお、Y方向はX方向に直交する方向である。スイッチング素子SWは、ゲート配線Gとソース配線Sとの交差部近傍に配置され、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。このスイッチング素子SWは、半導体層SCを備えている。この半導体層SCは、例えば、ポリシリコンやアモルファスシリコンなどによって形成可能であり、ここではポリシリコンによって形成されている。
【0025】
スイッチング素子SWのゲート電極WGは、半導体層SCの直上に位置し、ゲート配線Gに電気的に接続されている(図示した例では、ゲート電極WGは、ゲート配線Gと一体的に形成されている)。スイッチング素子SWのソース電極WSは、ソース配線Sに電気的に接続されている(図示した例では、ソース電極WSは、ソース配線Sと一体的に形成されている)。スイッチング素子SWのドレイン電極WDは、画素電極PEに電気的に接続されている。
【0026】
容量線Cは、X方向に延出している。すなわち、容量線Cは、各画素PXに配置されるとともにソース配線Sの上方に延在しており、X方向に隣接する各画素PXに共通に設けられている。この容量線Cは、各画素PXに対応して形成された対向電極CEを含んでいる。対向電極CEは、容量線Cのうちの画素電極PEと概ね対向する部分に相当する。各対向電極CEは、ソース配線Sの上方で互いに電気的に接続されている。図示した例では、容量線Cは、Y方向に隣接する2つのゲート配線Gの間においてX方向に並んだ1行分の複数の画素PXに対して共通に設けられている。
【0027】
各画素PXの画素電極PEは、対向電極CEの上方に配置されている。各画素電極PEは、各画素PXにおいて画素形状に対応した島状、例えば、略四角形に形成されている。これらの画素電極PEは、各々スイッチング素子SWのドレイン電極WDに接続されている。このような各画素電極PEには、スリットPSLが形成されている。図示した例では、1画素電極PEにつき、4本のスリットPSLがY方向に延出している。勿論、これらのスリットPSLは、対向電極CEの上方に位置している。
【0028】
図4は、図3に示した画素PXをA−B線で切断した液晶表示パネルLPNの断面構造を概略的に示す図である。
【0029】
すなわち、アレイ基板ARは、ガラス板などの光透過性を有する第1絶縁基板20を用いて形成されている。このアレイ基板ARは、第1絶縁基板20の内面(すなわち液晶層LQに対向する面)にスイッチング素子SW、対向電極CEを含む容量線C、及び、画素電極PEを備えている。ここに示したスイッチング素子SWは、トップゲート型の薄膜トランジスタである。
【0030】
半導体層SCは、第1絶縁基板20の上に配置されている。このような半導体層SCは、ゲート絶縁膜21によって覆われている。また、ゲート絶縁膜21は、第1絶縁基板20の上にも配置されている。なお、図示していないが、第1絶縁基板20と半導体層SCとの間に絶縁膜であるアンダーコート層が介在していても良い。
【0031】
スイッチング素子SWのゲート電極WGは、ゲート絶縁膜21の上に配置され、半導体層SCの直上に位置している。なお、図示しないが、ゲート配線もゲート絶縁膜21の上に配置され、ゲート電極WGと同一材料によって形成されている。このようなゲート電極WG及びゲート配線は、第1層間絶縁膜22によって覆われている。また、第1層間絶縁膜22は、ゲート絶縁膜21の上にも配置されている。これらのゲート絶縁膜21及び第1層間絶縁膜22は、例えば、窒化シリコン(SiN)などの無機系材料によって形成されている。
【0032】
スイッチング素子SWのソース電極WS及びドレイン電極WDは、第1層間絶縁膜22の上に配置されている。これらのソース電極WS及びドレイン電極WDは、ゲート絶縁膜21及び第1層間絶縁膜22を貫通するコンタクトホールを介して半導体層SCにコンタクトしている。また、ソース配線Sも第1層間絶縁膜22の上に配置され、ソース電極WSと同一材料によって形成されている。これらのゲート電極WG、ソース電極WS、及び、ドレイン電極WDは、例えば、モリブデン、アルミニウム、タングステン、チタンなどの遮光性(あるいは、ほとんど光を透過しない物性)の導電材料によって形成されている。
【0033】
ソース電極WS、ドレイン電極WD、及び、ソース配線Sは、第2層間絶縁膜23によって覆われている。また、この第2層間絶縁膜23は、第1層間絶縁膜22の上にも配置されている。このような第2層間絶縁膜23は、例えば、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などの各種樹脂材料によって形成されている。
【0034】
容量線Cあるいは対向電極CEは、第2層間絶縁膜23の上に配置されている。容量線Cあるいは対向電極CEは、第3層間絶縁膜24によって覆われている。また、この第3層間絶縁膜24は、第2層間絶縁膜23の上にも配置されている。このような第3層間絶縁膜24は、上述した無機系材料あるいは樹脂材料によって形成されている。
【0035】
画素電極PEは、第3層間絶縁膜24の上に配置されている。この画素電極PEは、第2層間絶縁膜23及び第3層間絶縁膜24を貫通するコンタクトホールを介してドレイン電極WDに接続されている。この画素電極PEには、スリットPSLが形成されている。画素電極PEのスリットPSLは、例えば5〜6μmのピッチで形成されている。
【0036】
容量線Cあるいは対向電極CEと、画素電極PEとは、ともに光透過性を有する導電材料、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などのほぼ透明な導電材料によって形成されている。第3層間絶縁膜24を介して向かい合う画素電極PEと対向電極CEとは保持容量Csを形成する。画素電極PEは、第1配向膜25によって覆われている。この第1配向膜25は、アレイ基板ARの液晶層LQに接する面に配置されている。
【0037】
一方、対向基板CTは、ガラス板などの光透過性を有する第2絶縁基板30を用いて形成されている。この対向基板CTは、第2絶縁基板30の内面(すなわち液晶層LQに対向する面)に、第1遮光層51及びカラーフィルタ層32を備えている。
【0038】
第1遮光層51は、第2絶縁基板30上に配置されている。この第1遮光層51は、各画素PXを区画する区画部(あるいはブラックマトリクスと称される場合もある)511を含んでいる。区画部511は、アレイ基板ARに設けられたゲート配線Gやソース配線S、さらにはスイッチング素子SWなどの配線部に対向するように配置され、略格子状に形成されている。
【0039】
このような第1遮光層51は、例えば、カーボンブラックなどが分散され黒色を呈する樹脂材料やクロム(Cr)などの遮光性の金属材料によって形成されている。また、このような第1遮光層51は、導電性(この場合、数Ω/cmから帯電防止レベルである1012Ω/cm以上まで非常に広い範囲を含む)を有している。
【0040】
カラーフィルタ層32は、第2絶縁基板30の上に配置されている。より具体的には、カラーフィルタ層32は、区画部511によって囲まれた内側に配置され、その一部が区画部511に重なっている場合もある。このようなカラーフィルタ層32は、互いに異なる複数の色、例えば赤色、青色、緑色といった3原色にそれぞれ着色された樹脂材料によって形成されている。
【0041】
上述したような横電界モードの液晶表示パネルLPNにおいては、対向基板CTの液晶層LQに接する面が平坦であることが望ましく、対向基板CTは、さらに、第1遮光層51及びカラーフィルタ層32の表面の凹凸を平坦化するオーバーコート層33を備えている。図示した例では、オーバーコート層33は、第1遮光層51及びカラーフィルタ層32の上に配置されている。このようなオーバーコート層33は、光透過性を有する樹脂材料によって形成されている。オーバーコート層33は、第2配向膜34によって覆われている。この第2配向膜34は、対向基板CTの液晶層LQに接する面に配置されている。これらの第1配向膜25及び第2配向膜34は、例えばポリイミドによって形成されている。
【0042】
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、それぞれの第1配向膜25及び第2配向膜34が向かい合うように配置されている。このとき、アレイ基板ARと対向基板CTとの間には、図示しないスペーサ(例えば、樹脂材料によって一方の基板に一体的に形成された柱状スペーサ)が配置され、これにより、所定のセルギャップが形成される。アレイ基板ARと対向基板CTとは、所定のセルギャップが形成された状態でシール部材によって貼り合わせられている。
【0043】
液晶層LQは、これらのアレイ基板ARの第1配向膜25と対向基板CTの第2配向膜34との間に形成されたセルギャップに封入された液晶組成物によって構成されている。アレイ基板ARと対向基板CTとの間のセルギャップ、つまり、第1配向膜25と第2配向膜34との間の液晶層LQの層厚は、例えば、3μmである。
【0044】
液晶表示パネルLPNの一方の外面、すなわちアレイ基板ARを構成する第1絶縁基板20の外面には、第1偏光板PL1が配置されている。また、液晶表示パネルLPNの他方の外面、すなわち対向基板CTを構成する第2絶縁基板30の外面には、光透過性を有するシールド部材SEが配置され、さらに、このシールド部材SEを介して第2偏光板PL2が配置されている。
【0045】
シールド部材SEは、ITOなどの光透過性を有する導電材料によって形成されたいわゆるシールド電極であっても良いし、第2偏光板PL2を第2絶縁基板30の外面に接着するための導電性糊であっても良い。図示を省略するが、シールド部材SEは、導電部材を介してアレイ基板ARに形成されたシールド配線に電気的に接続されている。シールド配線は例えば接地されている。このようなシールド部材SEは、液晶分子を駆動するのに不要な外部からの静電気などの電気的要素をシールドする。つまり、シールド部材SEを配置することにより、不所望な電界の液晶層LQへの進入を抑制することが可能である。
【0046】
図5は、図3に示した3つの画素PXをC−D線で切断した液晶表示パネルLPNの断面構造を概略的に示す図である。なお、図4を参照して説明した構成と同一構成については同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。また、ここでは、図3に示した3つの画素PXが左側から順に赤色画素PXR、緑色画素PXG、及び、青色画素PXBである場合について説明する。
【0047】
各ソース配線Sは、第1層間絶縁膜22の上に配置されている。これらのソース配線Sは、第2層間絶縁膜23によって覆われている。このようなソース配線Sは、アレイ基板ARにおいて、X方向に隣接する各画素PXの間に位置している。ソース配線Sの上方には、対向基板CTに形成された第1遮光層51の区画部511が位置している。
【0048】
対向電極CEを含む容量線Cは、第2層間絶縁膜23の上に配置されている。画素電極PEは、容量線Cを覆う第3層間絶縁膜24の上において容量線Cのうちの対向電極CEと向かい合っている。
【0049】
対向基板CTは、カラーフィルタ層32として、赤色を呈するカラーフィルタ層32R、緑色を呈するカラーフィルタ層32G、青色を呈するカラーフィルタ層32Bを備えている。カラーフィルタ層32Rは、赤色画素PXRに対応して配置されている。カラーフィルタ層32Gは、緑色画素PXGに対応して配置されている。カラーフィルタ層32Bは、青色画素PXBに対応して配置されている。第1遮光層51の区画部511は、赤色画素PXRと緑色画素PXGとの間、緑色画素PXGと青色画素PXBとの間、及び、図示しないが赤色画素PXRと青色画素PXBとの間にそれぞれ配置され、各画素PXを区画するとともに隣接する画素PXの間を遮光している。
【0050】
図6は、対向基板CTに形成される第1遮光層51が基板端部まで延在していない液晶表示パネルLPN1の主要部、及び、第1遮光層51が基板端部まで延在した液晶表示パネルLPN2の主要部を概略的に示す平面図である。
【0051】
液晶表示パネルLPN1では、第1遮光層51は、対向基板CTの第1辺CT1、第2辺CT2、第3辺CT3、及び、第4辺CT4のいずれの辺よりも内側に形成されている。一方、液晶表示パネルLPN2では、第1遮光層51は、対向基板CTの第1辺CT1、第2辺CT2、第3辺CT3、及び、第4辺CT4まで延在している。つまり、この液晶表示パネルLPN2では、第1遮光層51は、対向基板CTの基板端部から露出している。
【0052】
図示したように、液晶表示パネルLPN1と液晶表示パネルLPN2とを比較した場合、後者の液晶表示パネルLPN2の方がコンパクト化(特に狭額縁化)に有利である。また、このような液晶表示パネルLPN2を採用した表示装置や携帯機器などの各種電子機器においては、その小型化や見栄え(デザイン性)の改善が期待できる。
【0053】
しかしながら、液晶表示パネルLPN2では、第1遮光層51は、上述したように導電性を有しているため、人間の指や電子機器側のモジュール部材が基板端部に接触した際に、露出した第1遮光層51に対して電荷の出入りが簡単に起こってしまう。このような第1遮光層51は、アクティブエリアACTに配置された区画部511と電気的に接続されているため、基板端部からの電荷の出入りに起因して、アクティブエリアACTにおいて不均一な電荷の分布が形成されるおそれがある。このため、たとえシールド部材SEを設置して外部電界をシールドしても、アクティブエリアACTにおける不均一な電荷の分布に起因して、表示品位に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0054】
より具体的には、例えば、基板端部に人間の指などが接触した場合には、表示ムラあるいはフリッカの変動が生ずる。特に、フリッカ変動が生じている場合、容量線Cの電位を調整してフリッカ調整を行う際に、調整ずれが発生し、商品性能が損なわれるおそれがある。
【0055】
なお、基板端部に導電性の異物が付着した場合や、図示しないが対向基板CTの外面に配置されたシールド部材とアレイ基板ARに形成されたシールド配線とを電気的に接続するための導電部材が基板端部で第1遮光層51に接触した場合や、この導電部材と基板端部との間に導電性の異物が介在し第1遮光層51とショートした場合などにおいても、上記の問題が発生するおそれがある。
【0056】
図7は、本実施形態における液晶表示パネルLPNの構成を対向基板CTの側から見た概略平面図である。
【0057】
アレイ基板ARには、駆動ICチップ2及びフレキシブル配線基板3が接続されている。また、アレイ基板ARには、シールド配線60が形成されている。このシールド配線60は、例えば、フレキシブル配線基板3と電気的に接続され、接地されている。
【0058】
対向基板CTには、シールド部材SEが形成されている。図示した例では、シールド部材SEは、対向基板CTの第1辺CT1、第2辺CT2、第3辺CT3、及び、第4辺CT4までそれぞれ延在している。このシールド部材SEは、第1辺CT1の近傍において、導電性テープや導電性ペーストなどの導電部材61を介してシールド配線60と電気的に接続されている。このようなシールド部材SEの上には、第2偏光板PL2が配置されている。
【0059】
図8は、図7に示した液晶表示パネルLPNに適用可能な第1遮光層51及び第2遮光層52の一例を示す概略平面図である。
【0060】
対向基板CTのアレイ基板ARと向かい合う側に形成された第1遮光層51及び第2遮光層52は、互いに電気的に絶縁されている。すなわち、第1遮光層51は、区画部511と、この区画部511に繋がった額縁部512と、を有している。つまり、区画部511と額縁部512とは電気的に接続されている。区画部511は、アクティブエリアACTに対応する位置に配置されている。この区画部511は、X方向及びY方向に延出し、格子状に形成されている。額縁部512は、区画部511の各終端部と繋がっている。この額縁部512は、アクティブエリアACTの周縁に沿って配置され、額縁状に形成されている。このような額縁部512は、対向基板CTの第1辺CT1、第2辺CT2、第3辺CT3、及び、第4辺CT4よりも内側に形成されている。つまり、額縁部512は、対向基板CTを構成する第2絶縁基板30の基板端部よりも内側に形成されている。
【0061】
一方、第2遮光層52は、第1遮光層51から離間し、且つ、第1遮光層51の外側に配置されている。つまり、第2遮光層52は、アクティブエリアACTには配置されていない。図示した例では、この第2遮光層52は、第1遮光層51の外側において、額縁状に形成され、対向基板CTの第1辺CT1、第2辺CT2、第3辺CT3、及び、第4辺CT4まで延在している。つまり、第2遮光層52は、対向基板CTを構成する第2絶縁基板30の基板端部まで延在している。換言すると、このような第1遮光層51と第2遮光層52との間には、ループ状のスリットSLが形成されている。スリットSLの幅は、第1遮光層51と第2遮光層52とを電気的に絶縁するのに十分な距離に設定され、例えば10μm程度である。
【0062】
このような第2遮光層52は、第1遮光層51と同様に、例えば、カーボンブラックなどが分散され黒色を呈する樹脂材料やクロム(Cr)などの遮光性の金属材料によって形成されている。第1遮光層51と第2遮光層52とは異なる遮光性材料によって形成されても良いが、製造工程数の削減や材料の利用効率改善のために、第1遮光層51及び第2遮光層52は、同一の遮光性材料を用いてフォトリソグラフィプロセスにより一括して形成されることが望ましい。第1遮光層51及び第2遮光層52が一括して形成された場合には、これらの各膜厚は実質的に同一である。
【0063】
図9は、図7に示した液晶表示パネルLPNをE−F線で切断した断面構造を概略的に示す断面図である。なお、図9においては、説明に必要な主要部のみを図示している。
【0064】
すなわち、液晶表示パネルLPNを構成するアレイ基板ARと対向基板CTとは、シール部材SMによって貼り合わせられている。アレイ基板ARと対向基板CTとの間には、液晶層LQが保持されている。アレイ基板ARの外面には第1偏光板PL1が配置される一方で、対向基板CTの外面つまり第2絶縁基板30の外面にはシールド部材SEを介して第2偏光板PL2が配置されている。第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、少なくともアクティブエリアACTをカバーしている。シールド部材SEは、導電部材61を介してシールド配線60に電気的に接続されている。
【0065】
対向基板CTでは、第2絶縁基板30のアレイ基板ARと向かい合う側の内面に、カラーフィルタ層32、区画部511及び額縁部512を有する第1遮光層51、及び、第2遮光層52が形成されている。図示した例では、第2遮光層52は、対向基板CTの第1辺CT1及び第3辺CT3に相当する第2絶縁基板30の基板端部まで延在している。第1遮光層51と第2遮光層52との間には、第2絶縁基板30まで貫通するスリットSLが形成されている。オーバーコート層33は、カラーフィルタ層32、区画部511及び額縁部512を有する第1遮光層51、及び、第2遮光層52の上に配置されている。図示した例では、オーバーコート層33は、さらに、スリットSLを覆っている。
【0066】
アレイ基板ARは、第1遮光層51と第2遮光層52との間を遮光する第3遮光層53を備えている。つまり、第3遮光層53は、第1遮光層51と第2遮光層52との間に形成されたスリットSLと向かい合っている。このような第3遮光層53は、アレイ基板ARに備えられる各種配線を形成する遮光性の導電材料、例えば、ゲート配線及びソース配線の少なくとも一方と同一材料によって形成されている。このため、第3遮光層53は、バックライト4からのバックライト光がスリットSLを介して漏れ出るのを防止している。
【0067】
このような構成の本実施形態によれば、アクティブエリアACTに対応して配置された区画部511を含む第1遮光層51が基板端部で露出することはなく、基板端部まで延在した第2遮光層52とその内側に配置された第1遮光層51とが電気的に絶縁されている。このため、たとえ基板端部で第2遮光層52への電荷の出入りがあったとしても、アクティブエリアACTに不均一な電荷の分布が形成されにくくなり、表示品位への影響を低減することが可能となる。したがって、コンパクトでデザイン性の優れた表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0068】
図10は、図6に示した液晶表示パネルLPN2、及び、本実施形態の液晶表示パネルLPNのフリッカ率の測定結果の一例を示す図である。図において、横軸は時間(分)であり、縦軸はフリッカ率である。なお、フリッカ率とは、VESA(Video Electronics Standards Association)規格によるフリッカ率(液晶表示パネルの光出力を光−電変換した電気信号をオシロスコープに入力したときの波形のフリッカ振幅(AC成分のp−p)と平均輝度(DC成分)の比率で定義したの)であり、フリッカ率=(フリッカ振幅)/(平均輝度)の式で定義されるものである。
【0069】
図示したように、本実施形態の液晶表示パネルLPNによれば、第1遮光層51が基板端部で露出した液晶表示パネルLPN2と比較して、時間の経過に伴うフリッカ率の変動を抑制できることが確認された。
【0070】
図11は、図9に示した液晶表示パネルLPNにおける領域Pの構造を拡大した概略断面図である。
【0071】
アレイ基板ARは、ゲート絶縁膜21の上に形成された第3遮光層53を備えている。この第3遮光層53は、図示しないゲート配線と同一材料すなわち遮光性の導電材料を用いて形成されている。つまり、第3遮光層53は、ゲート配線と同一層に配置されている。このような第3遮光層53は、フォトリソグラフィプロセスによりゲート配線などとともに一括して形成される。このようにして形成された第3遮光層53は、第1層間絶縁膜22によって覆われている。
【0072】
第3遮光層53の幅は、スリットSLの幅つまり第1遮光層51と第2遮光層52との間隔よりも大きく設定されることが望ましい。このとき、第3遮光層53は、スリットSLのみならず、第1遮光層51の額縁部512及び第2遮光層52に向かい合うように配置されることが望ましい。これにより、斜め方向からスリットSLに向かうバックライト光を確実に遮光できるとともに、アレイ基板ARと対向基板CTとの合わせズレに対する十分なマージンを確保できる。
【0073】
図示した例では、対向基板CTは、第1遮光層51と第2遮光層52との間にカラーフィルタ層32Xを備えている。つまり、スリットSLには、カラーフィルタ層32Xが充填されている。ここでは、カラーフィルタ層32Xの膜厚が第1遮光層51及び第2遮光層52の膜厚と同一であって、カラーフィルタ層32Xの表面が第1遮光層51及び第2遮光層52の表面と同一平面を形成しているが、カラーフィルタ層32Xの膜厚は必ずしも第1遮光層51及び第2遮光層52の膜厚と同一であるとは限らない。また、カラーフィルタ層32Xの一部が第1遮光層51及び第2遮光層52に重なっている場合もある。いずれにしても、カラーフィルタ層32Xは、スリットSLを隙間なく埋めるように配置されることが望ましい。これらのカラーフィルタ層32X、第1遮光層51及び第2遮光層52は、オーバーコート層33によって覆われている。
【0074】
このようなカラーフィルタ層32Xは、アクティブエリアACTに配置されたいずれかのカラーフィルタ層と同一材料によって形成される。上述したように、アクティブエリアACTに、赤色を呈するカラーフィルタ層32R、緑色を呈するカラーフィルタ層32G、青色を呈するカラーフィルタ層32Bが配置された構成の場合、カラーフィルタ層32Xは、視感度が最も低い色、あるいは、透過率が最も低い色である青色のカラーフィルタ層32Bと同一材料によって形成される。カラーフィルタ層32Bとカラーフィルタ層32Xとは、製造工程数の削減や材料の利用効率改善のために、フォトリソグラフィプロセスにより一括して形成されることが望ましい。
【0075】
このように、スリットSLにカラーフィルタ層32Xを配置したことにより、第1遮光層51及び第2遮光層52の表面と第2絶縁基板30の表面(つまりスリットSLの底面)との段差を低減することができる。また、たとえ第3遮光層53による遮光が不十分であったとしても、カラーフィルタ層32XによってスリットSLからの光漏れを抑制することが可能となる。
【0076】
なお、図11に示した例では、第3遮光層53は、ゲート配線と同一材料である遮光性の導電材料を用いてゲート配線と同一層に形成された場合について説明したが、ソース配線と同一材料である遮光性の導電材料を用いてソース配線と同一層に形成されても良い。この場合、第3遮光層53は、フォトリソグラフィプロセスによりソース配線などとともに一括して形成される。
【0077】
図12は、図9に示した液晶表示パネルLPNにおける領域Pの他の構造を拡大した概略断面図である。
【0078】
図示した例は、図11に示した例と比較して、アレイ基板ARに備えられた第3遮光層53が2層構造である点で相違している。すなわち、第3遮光層53は、ゲート絶縁膜21の上に形成された第1セグメント531と、第1層間絶縁膜22の上に形成された第2セグメント532とを有している。
【0079】
第1セグメント531は、ゲート配線と同一材料である遮光性の導電材料を用いてゲート配線と同一層に形成されている。このような第1セグメント531は、第1層間絶縁膜22によって覆われている。第2セグメント532は、ソース配線と同一材料である遮光性の導電材料を用いてソース配線と同一層に形成されている。このような第2セグメント532は、第2層間絶縁膜23によって覆われている。
【0080】
このような構成においては、第1セグメント531及び第2セグメント532のそれぞれ幅は、必ずしもスリットSLの幅よりも大きく設定されていなくても良い。図示した例では、第1セグメント531は、スリットSL及び第1遮光層51に向かい合うように配置され、第2セグメント532は、第1セグメント531、スリットSL、及び、第2遮光層52に向かい合うように配置されている。つまり、第1遮光層51の一部と、第2遮光層52の一部とが第1層間絶縁膜22を介して重なっている。
【0081】
このような構成においても、図11を参照して説明したのと同様の効果が得られる。
【0082】
図13は、スリットSLに向かい合う第3遮光層53の配置例を概略的に示す平面図である。
【0083】
アレイ基板ARに形成された第3遮光層53は、対向基板CTに形成されたスリットSLの略全体に対して向かい合っている。図示した例では、第3遮光層53は、ループ状に形成されたスリットSLに向かい合うように、額縁状に形成されている。このような第3遮光層53は、全体が単一の層で形成されている必要はなく、例えば、対向基板CTの第2辺CT2、第3辺CT3、及び、第4辺CT4に沿って形成されたスリットSLに向かい合う部分については、図12に示したような第1セグメント531で形成し、第1辺CT1に沿って形成されたスリットSLと向かい合う部分については、図12に示した第2セグメント532で形成しても良い。
【0084】
第3遮光層53は、導電材料によって形成されるため、アレイ基板ARの各種配線とのショートを防止する必要がある。このため、アレイ基板ARに第3遮光層53を形成するにあたり、第1セグメント531及び第2セグメント532のいずれのセグメントを適用するかについては、配線と交差する部分において、配線と第3遮光層53との間に層間絶縁膜が介在するように適宜選択される。
【0085】
なお、第3遮光層53は、電気的にフローティングであっても良いが、所定の電位が供給される配線の一部であっても良い。例えば、第3遮光層53の少なくとも一部は、図2に示したコモン配線Vcomであっても良い。
【0086】
図14は、図7に示した液晶表示パネルLPNをE−F線で切断した他の断面構造を概略的に示す断面図である。
【0087】
図示した例は、図9に示した例と比較して、対向基板CTが第3遮光層53を備えている点で相違している。
【0088】
すなわち、対向基板CTにおいては、第2絶縁基板30のアレイ基板ARと向かい合う側の内面に、第3遮光層53が形成されている。この第3遮光層53は、対向基板CTの各辺よりも内側に形成され、第2絶縁基板30の基板端部から露出することはない。このような第3遮光層53は、第1オーバーコート層331によって覆われている。
【0089】
カラーフィルタ層32、区画部511及び額縁部512を有する第1遮光層51、及び、第2遮光層52は、第1オーバーコート層331の上に形成され、第2オーバーコート層332によって覆われている。また、第2オーバーコート層332は、第1遮光層51と第2遮光層52との間のスリットSLも覆っている。これらの第1オーバーコート層331及び第2オーバーコート層332は、上述したオーバーコート層33と同様に、光透過性を有する樹脂材料によって形成されている。
【0090】
ここに示した例では、第1オーバーコート層331は、第3遮光層53と第1遮光層51及び第2遮光層52との間に介在した層間絶縁膜に相当する。第1遮光層51と第2遮光層52との間に形成されたスリットSLの直上には、第3遮光層53が位置している。
【0091】
このような構成においても、図9を参照して説明したのと同様の効果が得られる。また、第3遮光層53は、対向基板CTに形成されているため、アレイ基板ARに形成した図9の例と比較して、配線と交差する可能性が極めて低く、レイアウトの自由度を向上できる。
【0092】
なお、第1遮光層51及び第2遮光層52が第2絶縁基板30と第1オーバーコート層331との間に配置され、第3遮光層53が第1オーバーコート層331と第2オーバーコート層332との間に配置されても良い。
【0093】
図15は、図7に示した液晶表示パネルLPNをE−F線で切断した他の断面構造を概略的に示す断面図である。
【0094】
図示した例は、図14に示した例と比較して、第1遮光層51と第2遮光層52との間にスリットを形成することなく、第3遮光層を省略した点で相違している。
【0095】
すなわち、対向基板CTでは、第2絶縁基板30のアレイ基板ARと向かい合う側の内面に、第2遮光層52が形成されている。この第2遮光層52は、対向基板CTの各辺まで延在し、第2絶縁基板30の基板端部から露出している。このような第2遮光層52は、第1オーバーコート層331によって覆われている。
【0096】
カラーフィルタ層32、及び、区画部511及び額縁部512を有する第1遮光層51は、第1オーバーコート層331の上に形成され、第2オーバーコート層332によって覆われている。ここに示した例では、第1オーバーコート層331は、第2遮光層52と第1遮光層51との間に介在した層間絶縁膜に相当する。
【0097】
図中の拡大図に示すように、第1遮光層51の額縁部512は、対向基板CTの各辺よりも内側に形成されているが、その少なくとも外縁部512Oが第1オーバーコート層331を介して第2遮光層52の内縁部52Iに重なっている。つまり、対向基板CTは、外縁部512O、第1オーバーコート層331、及び、内縁部52Iが積層された積層部LMを有している。
【0098】
このような構成によれば、第3遮光層を省略したにもかかわらず、電気的に絶縁された第1遮光層51と第2遮光層52との間からの光漏れを防止することができる。したがって、図9を参照して説明したのと同様の効果が得られる。
【0099】
なお、第1遮光層51が第2絶縁基板30と第1オーバーコート層331との間に配置され、第2遮光層52が第1オーバーコート層331と第2オーバーコート層332との間に配置されても良い。
【0100】
上述した本実施形態においては、第1遮光層51は電気的にフローティング状態であったが、第1遮光層51に固定電位を印加しても良い。
【0101】
図16は、第1遮光層51に対して固定電位を印加するための構成例を概略的に示す断面図である。
【0102】
図示した例は、図9に示した例と比較して、アレイ基板ARが接続電極70を備え、さらに、第1遮光層51と接続電極70とを電気的に接続する導電部材71を備えた点で相違している。
【0103】
すなわち、接続電極70は、第1遮光層51と向かい合っている。この接続電極70には固定電位が印加されている。接続電極70の表面は露出している。一方で、第1遮光層51を覆うオーバーコート層33には、第1遮光層51まで貫通した貫通孔THが形成されている。この貫通孔THは、接続電極70と向かい合っている。導電部材71は、例えば、導電性ペーストなどであり、接続電極70にコンタクトするとともに貫通孔THを介して第1遮光層51にコンタクトし、両者を電気的に接続している。
【0104】
このような構成によれば、図9を参照して説明したのと同様の効果が得られるのに加えて、液晶表示パネルLPNの状態をより安定化することが可能となる。
【0105】
なお、第1遮光層51に固定電位を印加する手法は、図9に示したようなアレイ基板ARに第3遮光層53を形成する形態のみならず、図14に示したような対向基板CTに第3遮光層53を形成する形態、及び、図15に示したような第3遮光層を省略しつつ第1遮光層51と第2遮光層52とを電気的に絶縁する形態にもそれぞれ適用可能である。
【0106】
上述した本実施形態においては、第2遮光層52は、第1遮光層51の外側において額縁状に形成したが、対向基板CTの4辺に沿って配置されていなくても良い。つまり、本実施形態は、基板端部まで延在した第2遮光層52が対向基板CTの少なくとも1辺に沿って配置されている場合に、当該第2遮光層52と第1遮光層51とを電気的に絶縁するものである。
【0107】
図17は、図7に示した液晶表示パネルLPNに適用可能な第1遮光層51及び第2遮光層52の他の例を示す概略平面図である。
【0108】
図示した例は、図8に示した例と比較して、対向基板CTの第3辺CT3に沿った第2遮光層52を省略した点で相違している。すなわち、第1遮光層51は、区画部511と、額縁状の額縁部512と、を有している。一方で、第2遮光層52は、第1遮光層51から離間し、且つ、第1遮光層51の外側において、対向基板CTの第1辺CT1、第2辺CT2、及び、第4辺CT4まで延在している。つまり、対向基板CTの第3辺CT3と第1遮光層51の額縁部512との間には、第2遮光層が存在しない。このような第1遮光層51と第2遮光層52との間には、略U字状のスリットSLが形成されている。
【0109】
このような構成においても、図9を参照して説明したのと同様の効果が得られる。
【0110】
次に、本実施形態の液晶表示装置が液晶表示パネルLPNの内部にタッチパネル機能を内蔵したタイプである場合について説明する。
【0111】
図18は、画素表示モードにおける画像信号の書き込みを説明するための図である。
【0112】
駆動ICチップ2の画像信号書込回路2Aは、第1駆動回路GDを制御して各ゲート配線Gに対して図示しないスイッチング素子SWをオン状態とする制御信号を出力する。また、画像信号書込回路2Aは、第2駆動回路SDを制御して各ソース配線Sに対して画像信号を出力する。ソース配線Sに出力された画像信号は、オン状態のスイッチング素子SWを介して図示しない画素電極PEに書き込まれる。一方で、画像信号書込回路2Aは、第3駆動回路CDを制御して各容量線Cに対してコモン電圧を印加する。
【0113】
これにより、画素電極PEと容量線Cの対向電極CEとの間の液晶層LQに対し、画像信号相当の電圧が印加される。液晶層LQでは、印加された電圧に応じて液晶分子が配向し、液晶層LQを透過する光に対する変調率が変化する。このため、バックライト4から出射され液晶表示パネルLPNに入射したバックライト光は、画素電極PE−対向電極CE間の電圧に依存して選択的に第2偏光板PL2を透過する。これにより、表示面に画像信号に対応した画像が表示される。
【0114】
図19は、検出モードにおける検出信号の書き込み及び検出動作を説明するための図である。なお、検出モードにおいては、画素電極PEはフローティングの状態にある。
【0115】
駆動ICチップ2の検出回路2Bは、第3駆動回路CDを制御して容量線Cに対して検出信号を書き込む。ここでは、検出信号は、例えば交流信号である。このとき、第3駆動回路CDは、複数の容量線C、図示した例では、隣り合う4本の容量線Cに対して同時に検出信号を書き込む。これは、容量線Cを複数本ずつ束ねてブロックを形成し、これらの容量線Cを検出要素として利用するものである。詳述しないが、第3駆動回路CDは、例えば、各容量線Cに接続された1個以上のスイッチを含み、画像表示モードにおいては順次スイッチをオンさせて容量線Cにコモン電圧を印加するのに対して、検出モードにおいては複数本の容量線Cに接続さえたスイッチを同時にオンさせて検出信号を書き込む。
【0116】
一方で、検出回路2Bは、第2駆動回路SDを制御して各ソース配線Sをプリチャージする。容量線Cには交流の検出信号が書き込まれるため、ソース配線Sの電位が変動する。検出回路2Bは、このときのソース配線Sの電位変動を読み取る。検出面に物体が接近または接触した場合には、容量線Cとソース配線Sとの間の静電容量が変化する。このような静電容量の変化に伴って、ソース配線Sの電位変動も変化する。このため、検出回路2Bでは、ソース配線Sの電位変動の変化もしくは電流値の変化をモニタすることにより、容量線Cとソース配線Sとの間の静電容量の変化、つまり、検出面への物体の接近または接触が検出される。
【0117】
なお、第2駆動回路SDは、複数のソース配線S、図示した例では、隣り合う12本のソース配線Sから同時に電位変動もしくは電流値変動を読み取る。これは、ソース配線Sを複数本ずつ束ねてブロックを形成し、これらのソース配線Sを検出要素として利用するものである。詳述しないが、第2駆動回路SDは、例えば、各ソース配線Sに接続された1以上のスイッチを含み、画像表示モードにおいては順次スイッチをオンさせてソース配線Sに画像信号を書き込むのに対して、検出モードにおいては複数本のソース配線Sに接続さえたスイッチを同時にオンさせてプリチャージした後に電位変動もしくは電流値変動を読み取る。
【0118】
なお、図示した例では、容量線Cに検出信号を書き込み、ソース配線Sから静電容量の変化に伴った電位変動を読み取ったが、ソース配線Sに検出信号を書き込み、容量線Cから静電容量の変化に伴った電位変動を読み取っても良い。また、検出モードにおいて、容量線C及びソース配線Sを束ねる本数については必要な検出感度に応じて適宜設定される。
【0119】
また、この検出モードにおいて、検出要素である容量線Cやソース配線Sの束ねる組み合わせをタイミング毎に変えても良い。例えば、第1のタイミングでは、隣り合った複数本の検出要素(容量線Cやソース配線S)を束ね、第2のタイミングでは、適度に束ねる組み合わせを変えることで、検出の精度を改善する事ができる。たとえば、最初に束ねた複数本と隣接する複数本から半分ずつの検出要素を束ねたり、1本おきの検出要素を束ねたり、2本おきの検出要素を束ねるなどしても良い。このような束ねる組み合わせは、各検出要素に接続されたスイッチの組み合わせで自在に変更可能である。
【0120】
このように、アレイ基板ARに形成された電極(ここに示した例では、容量線C及びソース配線S)を静電容量検出電極として利用したタッチパネル機能を内蔵した液晶表示パネルLPNにおいて、第1遮光層51が基板端部で露出している場合には、電荷の出入りなどに起因して検出容量値が変化してしまうため、タッチパネルとしての検出感度が著しく低下し、また、外部のノイズを拾ってしまうため、検出性能が損なわれる。
【0121】
一方で、本実施形態によれば、基板端部で露出している第2遮光層52は、アクティブエリアに位置する第1遮光層51とは電気的に絶縁されており、また、第1遮光層51がフローティングとなっているため、安定した検出が可能である。
【0122】
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0123】
本実施形態においては、FFSモードを適用した液晶表示装置について説明したが、FFSモードに限らずIPSモードなどの横電界モードを適用した液晶表示装置についても上記構成を適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0124】
1…液晶表示装置
2…駆動ICチップ 2A…画像信号書込回路 2B…検出回路
LPN…液晶表示パネル AR…アレイ基板 CT…対向基板 LQ…液晶層
ACT…アクティブエリア PX…画素
G…ゲート配線 S…ソース配線
PE…画素電極 C…容量線 CE…対向電極
SL…スリット
51…第1遮光層 511…区画部 512…額縁部
52…第2遮光層
53…第3遮光層
SE…シールド部材 60…シールド配線 61…導電部材
70…接続電極 71…導電部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁基板と、前記第1絶縁基板の上方に配置された画素電極及び対向電極と、を備えた第1基板と、
第2絶縁基板と、前記第2絶縁基板の前記第1基板と向かい合う側において前記第2絶縁基板の基板端部よりも内側で額縁状に形成された額縁部を有する第1遮光層と、前記第2絶縁基板の前記第1基板と向かい合う側に配置され前記第1遮光層から離間し前記第2絶縁基板の基板端部まで延在した第2遮光層と、を備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、
前記第1遮光層と前記第2遮光層との間を遮光する第3遮光層と、
前記第2絶縁基板の前記第1基板と向かい合う側とは反対側の表面に配置され前記基板端部まで延在した光透過性を有する導電性のシールド部材と、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1基板は、さらに、前記シールド部材と電気的に接続されるシールド配線を備えたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
さらに、前記シールド配線と電気的に接続されたフレキシブル配線基板を備えたことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記シールド部材は、ITOまたは導電性糊によって形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
さらに、前記シールド部材の上に配置された偏光板を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−185513(P2012−185513A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−111317(P2012−111317)
【出願日】平成24年5月15日(2012.5.15)
【分割の表示】特願2010−84065(P2010−84065)の分割
【原出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】