説明

液浸露光用レジスト組成物、及びそれを用いた半導体装置の製造方法

【課題】液浸露光技術において、液浸媒体への溶出を抑制してレジストの機能を損なわず、前記液浸媒体に対して高い接触角を有し、微細なレジストパターンを形成可能な液浸露光用レジスト組成物、及びそれを用いた半導体装置の製造方法の提供。
【解決手段】本発明の液浸露光用レジスト組成物は、レジストの基材樹脂の他に、シリコン含有側鎖を有し、酸によりアルカリ可溶性に変化する樹脂を含有するものであって、全樹脂中のシリコン含有量が1質量%以下である。本発明の半導体装置の製造方法は、被加工面上に、本発明の前記液浸露光用レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した後、該レジスト膜に対して液浸露光により露光光を照射し、現像することによりレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、該レジストパターンをマスクとしてエッチングにより前記被加工面にパターンを転写するパターン転写工程とを少なくとも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置の投影レンズとウェハとの間に、屈折率nが1(空気の屈折率)よりも大きい媒質(液体)を満たすことにより解像度の向上を実現する液浸露光技術を用いて、半導体装置を製造する際に形成するレジストパターンに用いられる、液浸露光用レジスト組成物、及びそれを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体集積回路の高集積化が進み、それに伴って最小パターンのサイズは100nm以下の領域にまで及んでいる。微細パターンの形成には、薄膜を形成した被処理基板上をレジスト膜で被覆し、選択露光を行った後、現像することによりレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとしてドライエッチングを行い、その後前記レジストパターンを除去することにより所望のパターンを得る方法などが用いられている。
【0003】
パターンの微細化を図るためには、露光光源の短波長化と、該光源の特性に応じた高解像度を有するレジスト材料の開発とが必要とされる。しかし、前記露光光源の短波長化の実現を目的とした露光装置の改良には莫大なコストがかかるという問題があり、近年、KrF(フッ化クリプトン)エキシマレーザー光(波長248nm)に代わる次世代の露光光としてArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザー光(波長193nm)の実用化が進み、ArFエキシマレーザー露光装置が市販され始めているものの、未だ非常に高価である。また、前記短波長露光に対応したレジスト材料の開発も容易ではなく、露光光源の短波長化のみにより、パターンの微細化を実現することは非常に困難であった。
【0004】
そこで、最新の露光技術として、液浸露光法が注目されている。該液浸露光法によれば、露光装置の投影レンズとウェハとの間を、屈折率nが1(空気の屈折率)よりも大きい媒質(液体)で満たすことにより、解像度の向上を実現することができる。通常、露光装置の解像度(R)は、次式、解像度(R)=k(係数)×λ(光源波長)/NA(開口数)、により表され、光源波長λが短く、投影レンズの開口数NAが大きいほど、高い解像度が得られる。ここで、NAは、次式、NA=n×sinα、で表され、nは露光光が通過する媒質の屈折率を表し、αは露光光が形成する角度を表す。従来のパターン形成方法における露光は、大気中で行われるため、屈折率nは1であるが、前記液浸露光法では、前記投影レンズと前記ウェハとの間に、屈折率nが1より大きい液体を満たす。このため、前記開口数NAの式において、nを拡大することとなり、同一の露光光の入射角αでは、最小解像寸法を1/nに縮小させることができる。また、同一の開口数NAでは、αを小さくさせることができ、焦点深度をn倍に拡大させることができるという利点がある。
【0005】
このような、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する液体を使用した液浸技術は、顕微鏡の分野では既存の技術であったが、微細加工技術への本格的な適用に向けた開発は始まったばかりであり、問題点も徐々に明らかになってきている段階である。
その問題点の一つとして、前記投影レンズと前記ウェハとの間に満たす液浸媒体(例えば、水)に、レジスト膜が曝されることにより、該レジスト膜中に発生する酸が、前記液浸媒体中に染み出して、レジストの感度を低下させることが挙げられる。前記レジスト膜中に前記液浸媒体が浸透した状態で、エキシマレーザー光が照射されると、従来の露光方法のように、ドライの雰囲気では生じなかった化学反応によって、レジスト本来の性能が損なわれることがあり、また、前記レジスト膜からの溶出物によって、光学素子及び露光装置内部が汚染され、露光不良による解像度の低下や装置エラーが発生することがある。
【0006】
このような問題の発生を防止するため、前記レジスト膜の上面にレジストカバー膜を形成する方法が検討されているが、レジスト膜を溶かさず、またレジスト膜とミキシングすることなく、レジストカバー膜を塗布形成することは困難である。また、前記ArFエキシマレーザー光は、波長が193nmと短く、通常の有機物を透過しないため、レジストカバー膜に使用可能な透明性を有する材料の選択の幅は極めて狭い。
例えば、フッ素系樹脂を用いたレジストカバー膜が知られているが(特許文献1参照)、レジストカバー膜自身からのコンタミネーションの溶出や、レジスト膜とのミキシングなどの問題があり、これらを考慮しながら、スループットの向上やレジスト膜の欠陥低減を図るために、前記液浸媒体(水)との接触角を大きく(疎水性を高く)することは困難である。また、レジスト膜の形成後に、もう一層の膜(レジストカバー膜)を形成する工程が必要であるため、スループットの低下及びコスト増大などの問題が多い。
【0007】
そこで、前記問題を解決した材料の開発が望まれている。例えば、レジストの基材樹脂自体の構造を変化させて高疎水化する手法が考えられる。しかし、いたずらに高疎水化を行うと、現像欠陥が増加し、レジスト性能自体の高性能化が困難となることが、業界ではよく知られている。また、溶出し難い構造や特性を有する酸発生剤を添加する方法が考えられる。しかし、この場合、本来のレジスト性能を損なう場合が多く、したがって、これらの方法の実現には、高いハードルが存在すると考えられる。
【0008】
一方、レジスト組成中に、基材樹脂とは異なるフッ素系樹脂を添加して、レジストの疎水性を向上させる方法が、最近報告されているが(非特許文献1参照)、フッ素原子を多量にレジストに導入すると、層分離が生じやすく、レジストの表面荒れや、それに付随して生じるパターンの形状異常、欠陥発生の懸念がある。
また、アルカリ不溶性のかご形Si化合物を含有する液浸露光用レジスト組成物が提案されているが(特許文献2参照)、このレジスト組成物を用いても、得られたパターンに欠陥が発生するおそれがある。
【0009】
したがって、半導体製造工程におけるスループットの低下がなく、しかも液浸媒体への溶出を抑制することにより、光学素子及び露光装置内の汚染の発生を抑制可能であり、元来のレジストの機能を損なわず、しかも前記液浸媒体に対して高い接触角を有し、液浸露光により高精細に露光可能なレジスト膜に好適に使用可能な材料、及びこれを用いた関連技術は、未だ開発されていないのが現状であり、かかる技術の開発が望まれている。
【0010】
【特許文献1】特開2006−72326号公報
【特許文献2】特開2006−309245号公報
【非特許文献1】M.Irie et al.,Journal of Photopolymer Science and Technology,19(4),565(2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、液浸媒体への溶出を抑制してレジストの機能を損なわず、前記液浸媒体に対して高い接触角を有し、微細なレジストパターンを形成可能な液浸露光用レジスト組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、液浸媒体への溶出を抑制してレジストの機能を損なわず、またコンタミネーションの溶出による前記光学素子及び前記露光装置内の汚染の発生を抑制して、液浸露光により微細かつ高精細なレジストパターンを形成可能であり、該レジストパターンを用いて形成した微細な配線パターンを有する高性能な半導体装置を、効率的に量産可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、前記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。即ち、液浸露光技術を用いて半導体装置を製造する際に形成するレジストパターンに用いられるレジスト材料として、シリコン含有側鎖を有し、酸によりアルカリ可溶性に変化する樹脂を、レジスト組成物における全樹脂中のシリコン含有量が1質量%以下となるように添加量を調整したレジスト組成物を用いると、前記シリコン含有側鎖を有する樹脂が、レジスト膜の表層に偏在し、レジスト膜の表面のみを高疎水化させることができ、投影レンズ及びウェハの間に満たされる液浸媒体との間に生じる溶出や染み込みなどの影響を抑制し、元来のレジストの機能を損なわず、高感度で高解像なレジストパターンを形成することができることを知見した。また、このレジスト組成物を用いると、レジストカバー膜の形成が不要であるため、従来のリソグラフィー工程と同じスループットで、液浸露光技術によりレジストパターンを形成し、半導体装置を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明は、本発明者等の前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明の液浸露光用レジスト組成物は、シリコン含有側鎖を有し、酸によりアルカリ可溶性に変化する樹脂と、基材樹脂とを少なくとも含み、全樹脂中のシリコン含有量が1質量%以下であることを特徴とする。
該液浸露光用レジスト組成物を用いて形成したレジスト膜においては、前記シリコン含有側鎖を有する樹脂が、前記レジスト膜の表層に偏在し、該レジスト膜の表面のみを高疎水化させることができ、液浸媒体に対する接触角が高い。このため、前記液浸露光用レジスト組成物の前記液浸媒体への溶出を抑制し、元来のレジストパフォーマンスを維持することができ、しかも高スループットでレジストパターンを形成することができる。
【0014】
また、本発明の前記液浸露光用レジスト組成物においては、前記シリコン含有側鎖を有する樹脂が、その一部に、シリコン含有側鎖を有し下記一般式(1)で表されるアクリルユニットを含むのが好ましい。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、Xは、下記構造式(1)及び(2)のいずれかを表す。
【化2】

ただし、前記構造式(1)中、R’は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数4以下のアルキル基を表す。前記構造式(2)中、Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数5以下の直鎖、分岐鎖、及び環状アルキル基のいずれかを表す。
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法は、被加工面上に、本発明の前記液浸露光用レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した後、該レジスト膜に対して液浸露光により露光光を照射し、現像することによりレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、該レジストパターンをマスクとしてエッチングにより前記被加工面にパターンを転写するパターン転写工程とを少なくとも含むことを特徴とする。
該半導体装置の製造方法では、前記レジストパターン形成工程において、配線パターン等のパターンを形成する対象である前記被加工面上に本発明の前記液浸露光用レジスト組成物を用いてレジスト膜が形成された後、該レジスト膜に対して前記液浸露光により露光光が照射されて露光され、その後現像される。このとき、前記レジスト膜は、本発明の前記液浸露光用レジスト組成物で形成されているので、前記レジスト膜の表面の疎水性が高く、前記レジスト膜と、投影レンズとウェハとの間に満たされる液浸媒体との間に生じる溶出や染み込みなどの影響を抑制することができ、元来のレジストパフォーマンスを損なうことなくパターニングすることができる。その結果、簡便かつ効率よくレジストパターンが形成される。このようにして得られたレジストパターンは、前記レジスト膜の機能を損なうことなく高精細に露光が行われるため、微細かつ高精細である。
次に、前記パターン転写工程においては、前記レジストパターン形成工程において形成したレジストパターンを用いてエッチングを行うことにより、前記被加工面が微細かつ高精細にしかも寸法精度よくパターニングされ(パターンが転写され)、極めて微細かつ高精細で、しかも寸法精度に優れた配線パターン等のパターンを有する半導体装置が製造される。
【0016】
また、本発明の前記半導体装置の製造方法は、半導体基板の表面に、トランジスタを形成するトランジスタ形成工程と、パターンが転写された前記被加工面に配線を形成する配線形成工程とを含んでいるのが好ましい。
該半導体装置の製造方法では、前記トランジスタ形成工程において、前記半導体基板の表面に、前記トランジスタが形成される。そして、前記配線形成工程において、前記レジストパターン形成工程及び前記パターニング工程にて、前記被加工面に形成されたパターン(配線パターン)を用いて配線が形成される。その結果、高品質かつ高性能な半導体装置が効率よく製造される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、前記目的を達成することができる。
即ち、本発明によると、液浸媒体への溶出を抑制してレジストの機能を損なわず、前記液浸媒体に対して高い接触角を有し、微細なレジストパターンを形成可能な液浸露光用レジスト組成物を提供することができる。
また、本発明によると、液浸媒体への溶出を抑制してレジストの機能を損なわず、またコンタミネーションの溶出による前記光学素子及び前記露光装置内の汚染の発生を抑制して、液浸露光により微細かつ高精細なレジストパターンを形成可能であり、該レジストパターンを用いて形成した微細な配線パターンを有する高性能な半導体装置を、効率的に量産可能な半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(液浸露光用レジスト組成物)
本発明の液浸露光用レジスト組成物は、液浸露光技術を用いて半導体装置を製造する際に形成するレジストパターンに用いられる。
本発明の前記液浸露光用レジスト組成物は、シリコン含有側鎖を有し、酸によりアルカリ可溶性に変化する樹脂と、基材樹脂とを少なくとも含み、好ましくは酸発生剤を含み、更に必要に応じて適宜選択した、クエンチャー、界面活性剤などのその他の成分を含んでなる。
【0019】
−シリコン含有側鎖を有し、酸によりアルカリ可溶性に変化する樹脂−
前記シリコン含有側鎖を有し、酸によりアルカリ可溶性に変化する樹脂(以下、単に「シリコン側鎖含有樹脂」と称することがある。)は、全樹脂(該シリコン側鎖含有樹脂及び後述する基材樹脂)中のシリコン含有量が、1質量%以下となるように添加することが必要である。
前記シリコン側鎖含有樹脂は、疎水性が高いため塗布時に疎水性の強い大気界面、すなわち膜の表層部に偏在しやすく、一般的な有機系樹脂と比較して水の浸透性が極めて小さい。したがって、前記シリコン側鎖含有樹脂を、液浸露光用レジスト組成物中に添加すると、レジスト表層部に偏在することによって、液浸媒体(例えば水)へのレジスト膜中からの酸、添加物等の溶出や、前記液浸媒体のレジスト膜への浸透による副反応を防ぐことができる。
ただし、前記シリコン含有量が、1質量%を超えると、疎水性が強くなりすぎることから現像不良が起きやすくなったり、微細なパターンを形成した場合に残渣が生じることがある。
【0020】
ここで、シリコン側鎖含有樹脂1Aを基材樹脂1Bに対して少量添加し、更に溶剤、酸発生剤等を混合して調製した液浸露光用レジスト組成物1を、被加工面(例えば、基板)2上に、塗布し、加熱すると(図1A参照)、被加工面2よりも大気の疎水性が高いため、疎水性の強いシリコン側鎖含有樹脂1Aが、大気との界面に偏在した状態で皮膜(レジスト膜)3が形成される(図1B参照)。したがって、前記基材樹脂のみで形成されたレジスト膜よりも、レジスト膜表面の疎水性が高まり、液浸媒体(水)のレジスト膜中への浸透や、レジスト成分の溶出低減を図ることができ、しかも、レジストカバー膜を形成することが不要であるため、スループット及びコストの点で、有利である。
【0021】
前記シリコン側鎖含有樹脂は、該樹脂の一部に、シリコン含有側鎖を有し下記一般式(1)で表されるアクリルユニットを含んでいるのが好ましい。
【化3】

ただし、前記一般式(1)中、Xは、下記構造式(1)及び(2)のいずれかを表す。
【化4】

ただし、前記構造式(1)中、R’は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数4以下のアルキル基を表す。前記構造式(2)中、Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数5以下の直鎖、分岐鎖、及び環状アルキル基のいずれかを表す。
【0022】
前記シリコン含有側鎖としては、Si原子を含有する限り、その構造としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、一つの側鎖単位に、少なくとも2個のSi原子を含有しているのが好ましく、少なくとも3個のSi原子を含有しているのがより好ましい。このような構造を有する前記シリコン含有側鎖としては、例えば、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルメチル基、ペンタメチルジシロキサニルプロピル基、トリス(トリメチルシロキシ)シリルメチル基、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル基、POSSTM(ポリヘドラルオリゴメリックシルセスオキサン)と称されるかご型シロキサンを含む側鎖、などが好適に挙げられる。
【0023】
前記シリコン側鎖含有樹脂における前記シリコン含有側鎖の含有量としては、前記シリコン側鎖含有樹脂における樹脂自体が、酸によりアルカリ可溶性に変化する樹脂である場合、また、前記シリコン含有側鎖以外の側鎖に、カルボキシル基、ヘキサフルオロカルビノール基等の強いアルカリ可溶性基を含む場合など、アルカリ可溶性を示す限り特に制限はないが、70mol%以下が好ましく、50mol%以下がより好ましい。
前記シリコン含有側鎖の含有量が、70mol%を超えると、アルカリ可溶性が大きく低下することがある。
また、前記シリコン含有側鎖の含有量の下限値としては、側鎖に含まれるSi原子の数や構造により適宜選択することができるが、2mol%以上が好ましい。アルカリ可溶性であっても、前記シリコン含有側鎖の含有量が少ないと、前記レジスト膜の表面に前記シリコン側鎖含有樹脂が偏在し難くなることがあり、偏在しても、充分な疎水性が得られないことがある。
【0024】
前記シリコン側鎖含有樹脂は、露光によって発生する酸によりアルカリ可溶性に変化することが必要である。この場合、前記シリコン側鎖含有樹脂自体がレジストとしての機能を有し、前記基材樹脂との酸反応性の差も小さく、レジストのコントラストの向上に寄与するほか、レジストパターンに欠陥が発生するのを抑制することができる。
前記酸によりアルカリ可溶性に変化する樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アクリル系樹脂が好適に挙げられる。
【0025】
一方、露光によって発生する酸によりアルカリ可溶性に変化しない樹脂組成であると、より微細なパターンを精密に形成する必要がある場合、欠陥の発生の原因となる可能性が高い。このため、前記シリコン側鎖含有樹脂における前記シリコン含有側鎖以外の側鎖は、酸反応性を有するか、アルカリ可溶性を有しているのが好ましい。
このような側鎖としては、特に制限はなく、レジスト基材樹脂の側鎖として汎用されているものの中から、適宜選択することができるが、t−ブチル基、テトラヒドロピラニル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、2−アルキル−2−ノルボルニル基、1−アルキルシクロアルキル基、3−オキソシクロヘキシル基、ラクトン基、2−ヒドロキシエチル基、ノルボルナンラクトン基、3−ヒドロキシアダマンチル基、カルボキシル基、ヘキサフルオロカルビノール基などが好適に挙げられる。これらの中でも、より高疎水化し易く、レジストのコントラストを阻害しない点で、t−ブチル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、2−アルキル−2−ノルボルニル基、1−アルキルシクロアルキル基、3−オキソシクロヘキシル基が特に好ましい。
また、酸反応性の脂環族基、ラクトン基などを導入すると、親水性−疎水性の好適なバランスを取ることができる点で有利であり、該酸反応性の脂環族基としては、2−アルキル−2−アダマンチル基が好適に挙げられる。
【0026】
前記シリコン側鎖含有樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、標準ポリスチレン換算で、1,000〜1,000,000が好ましく、3,000〜50,000がより好ましい。
前記重量平均分子量が、1,000未満であると、耐熱性が低下することがあり、1,000,000を超えると、塗布性が低下することがある。
前記重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)法により測定することができる。
【0027】
前記シリコン側鎖含有樹脂の前記液浸露光用レジスト組成物における含有量としては、特に制限はなく、液浸露光に必要となる疎水性の程度、前記シリコン含有側鎖の含有量などに応じて適宜選択することができるが、前記基材樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
前記シリコン側鎖含有樹脂の含有量が、前記基材樹脂100質量部に対して、0.1質量部未満であると、所望の疎水性が得られないことがあり、10質量部を超えると、前記シリコン含有側鎖の含有量にも依存するが、エッチング後にレジストパターンに欠陥が発生することがある。
【0028】
前記シリコン側鎖含有樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法により適宜合成することができ、例えば、酸で反応する置換基で置換されていてもよいアルカリ可溶性基を有するモノマと、シリコン含有側鎖を有するモノマとを反応させることにより合成することができ、具体的には、酸クロリドモノマと水酸基を有するシリコン化合物とを定法によりエステル化反応させることにより合成したシリコン側鎖含有モノマを用いて、前記したような他の例えば酸反応性側鎖を有するモノマとの共重合を、例えばAIBNのようなラジカル開始剤を用いて行うことによって得ることができ、後述する実施例における合成例1〜4に記載の方法などにより好適に合成することができる。
前記アルカリ可溶性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、カルボン酸含有基、スルホン酸含有基、フェノール含有基、ヘキサフルオロカルビノール含有基、シラン基、シラノール基等を含有する基が挙げられる。これらの中でも、前記基材樹脂に用いられるアクリル系樹脂が有するアルカリ可溶性基と同一であり、アルカリ現像液を用いた現像時に、剥離や現像残等を生ずることなく均一に溶解し、前記レジスト膜と共に除去可能な点で、カルボン酸含有基、ヘキサフルオロカルビノール含有基が好ましい。。
前記酸で反応する置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アダマンタン、ノルボルナン等の脂環式基を有するもの、tert−ブチル基、tert−ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、ジメチルベンジル基、3−オキソシクロヘキシル基、メバロニックラクトン基、γ−ブチロラクトン−3−イル基などが挙げられる。
【0029】
−基材樹脂−
前記基材樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アクリル系樹脂が好ましく、ArFエキシマレーザー光に対する透過率が高くエッチング耐性に優れる点で、前記基材樹脂中に脂環族構造を有するものがより好ましい。
前記脂環族構造は、前記基材樹脂の主鎖及び側鎖の少なくともいずれかに位置し、該脂環族構造としては、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、アダマンタン、ノルボルナン、デカリン、トリシクロノナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
前記脂環族構造を有するアクリル系樹脂としては、例えば、アダマンチル基を側鎖に有する、アクリル系樹脂、COMA系樹脂、ハイブリッド系(脂環族アクリル系−COMA系共重合体)樹脂、シクロオレフィン系樹脂など、ArFレジストの基材樹脂として一般的に知られている樹脂、などを好適に使用することができる。
【0030】
−酸発生剤−
前記酸発生剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩等のオニウム塩;ベンジルトシレート、ベンジルスルホネート等のスルホン酸エステル;ジブロモビスフェノールA、トリスジブロモプロピルイソシアヌレート等のハロゲン化有機化合物;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸発生剤の前記液浸露光用レジスト組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、基材樹脂の質量に対し0.1〜20質量%が好ましい。
前記含有量が、0.1質量%未満であると、化学増幅型レジストとしての感度が充分に得られないことがあり、20質量%を超えると、成膜性や解像性が低下することがある。
【0031】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、本発明の効果を害しない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、溶剤、公知の各種添加剤が挙げられ、例えば、露光コントラストの向上を目的とした場合には、クエンチャーを添加することができ、塗布性の向上を目的とした場合には、界面活性剤を添加することができる。
【0032】
前記溶剤としては、特に制限はなく、汎用のレジスト溶剤を使用することができるが、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどが好適に挙げられる。また、補助溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチロラクトンなどを更に添加してもよい。これらの中でも、前記液浸露光用レジスト組成物の塗布時の急速な乾燥を抑制し、塗布性に優れる点で、100〜200℃程度の沸点を有し、樹脂の溶解性が良好な有機溶剤が好ましい。
【0033】
前記クエンチャーとしては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、トリ−n−オクチルアミン、2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エン(DBN)、等に代表される窒素含有化合物が好適に挙げられる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、ナトリウム塩、カリウム塩等の金属イオンを含有しない、非イオン性のものが好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物系、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレン誘導体系、ソルビタン脂肪酸エステル系、グリセリン脂肪酸エステル系、第1級アルコールエトキシレート系、フェノールエトキシレート系、シリコーン系、及びフッ素系から選択される界面活性剤が好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、イオン性界面活性剤であっても、非金属塩系のものであれば、使用することは可能であり、同様に塗布性の向上効果を得ることができる。
【0034】
前記その他の成分の前記液浸露光用レジスト組成物における含有量としては、前記シリコン含有側鎖を有する樹脂、前記基材樹脂等の種類や含有量に応じて適宜決定することができる。
【0035】
本発明の前記液浸露光用レジスト組成物によると、前記液浸媒体への溶出を抑制し、元来のレジストの機能を損なうことなく、微細かつ高精細なレジストパターンを形成することができるので、例えば、マスクパターン、レチクルパターン、磁気ヘッド、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、SAWフィルタ(弾性表面波フィルタ)等の機能部品、光配線の接続に利用される光部品、マイクロアクチュエータ等の微細部品、半導体装置などの製造に好適に使用可能であり、以下の本発明の半導体装置の製造に好適に使用可能である。
【0036】
(半導体装置の製造方法)
本発明の半導体装置の製造方法は、レジストパターン形成工程と、形成したレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うパターン転写工程とを少なくとも含み、更に、配線形成工程、トランジスタ形成工程など、必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
【0037】
<レジストパターン形成工程>
前記レジストパターン形成工程は、被加工面上に、本発明の前記液浸露光用レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した後、該レジスト膜に対して液浸露光により露光光を照射し、現像することを含み、更に必要に応じて適宜選択した、その他の処理を含む。
【0038】
−レジスト膜の形成−
前記レジスト膜は、前記被加工面上に、本発明の前記液浸露光用レジスト組成物を用いて形成することができる。
なお、本発明の前記液浸露光用レジスト組成物の詳細については、上述した通りである。
【0039】
前記被加工面としては、半導体装置等の電子デバイスにおける各種部材の表面層が挙げられるが、シリコンウェハ等の基板乃至その表面、各種酸化膜等の低誘電率膜乃至その表面などが好適に挙げられる。
前記低誘電率膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、比誘電率が2.7以下の層間絶縁膜が好ましい。このような層間絶縁膜としては、例えば、多孔質シリカ膜、フッ素化樹脂膜などが好適に挙げられる。
前記多孔質シリカ膜は、例えば、シリカ膜形成用材料を塗布した後、熱処理を行うことにより、溶剤を乾燥させ、焼成させることにより形成することができる。
前記フッ素化樹脂膜は、例えば、該フッ素化樹脂膜が、フルオロカーボン膜である場合、CとCとの混合ガス又はCガスをソースとして用い、これらをRFCVD法(パワー400W)により堆積させることにより形成することができる。
【0040】
前記レジスト膜は、公知の方法、例えば塗布等により形成することができる。
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の塗布方法の中から適宜選択することができるが、スピンコート法などが好適に挙げられる。該スピンコート法の場合、その条件としては、例えば、回転数が100〜10,000rpm程度であり、800〜5,000rpmが好ましく、時間が1秒間〜10分間程度であり、10〜90秒間が好ましい。
前記塗布の際の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、50〜500nmが好ましく、80〜300nmがより好ましい。
前記厚みが50nm未満であると、ピンホールなどの欠陥が生じることがあり、500nmを超えると、ArFエキシマレーザー光やFエキシマレーザー光の透過率が低下し、解像性や露光感度が低下することがある。
【0041】
前記塗布の際乃至その後で、塗布した前記レジスト組成物をベーク(加温及び乾燥)するのが好ましく、該ベークの条件、方法などとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その温度としては、40〜150℃程度が好ましく、80〜120℃がより好ましく、また、その時間としては、10秒間〜5分間程度が好ましく、30〜120秒間がより好ましい。
以上の工程により、前記被加工面上に前記レジスト膜が形成される。
【0042】
−液浸露光−
前記液浸露光は、公知の液浸露光装置により好適に行うことができる。該露光光の照射は、前記レジスト膜の一部の領域に対して行われることにより、該一部の領域の極性が変化し、後述の現像において、前記液浸露光用レジスト組成物がポジ型である場合には、露光領域が除去され、前記レジスト組成物がネガ型である場合には、未露光領域が除去されてレジストパターンが形成される。
【0043】
前記液浸露光に用いられ、露光装置の投影レンズとウェハとの間に満たされる液浸媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高解像度を得るためには、空気の屈折率(屈折率=1)よりも高い屈折率を有する液体であるのが好ましい。
前記屈折率が1よりも大きい(高い)液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記屈折率は、高いほど好ましく、例えば、純水、オイル、グリセリン、アルコール等が好適に挙げられる。これらの中でも、純水(屈折率=1.44)が好ましい。
【0044】
前記露光光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、短波長の光であるのが好ましく、高精細なレジストパターンが得られる点で、ArFエキシマレーザー光(193nm)、Fエキシマレーザー光(157nm)などが好適に挙げられる。
【0045】
−現像−
前記現像においては、前記液浸露光用レジスト組成物がポジ型である場合、露光領域が除去され、前記液浸露光用レジスト組成物がネガ型である場合、未露光領域が除去される。
前記露光領域又は前記未露光領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルカリ現像液が好ましく、例えば、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液が好ましい。
以上により、前記レジスト膜の露光領域又は未露光領域が溶解除去され、レジストパターンが形成(現像)される。
【0046】
ここで、レジストパターンの形成方法の一例を、以下に図面を参照しながら説明する。
まず、図2Aに示すように、被加工面(基板)4上に、本発明の液浸露光用レジスト組成物を塗布した後、ベーク(加温及び乾燥)をしてレジスト膜5を形成する。そして、被加工面4に形成されたレジスト膜5に対し、図2Bに示す液浸露光装置6を用いて露光する。
図2Bは、液浸露光装置の一例を示す概略説明図である。該液浸露光装置6は、投影レンズ7を有するステッパー(逐次移動露光装置)と、ウェハステージ8とを備えている。ウェハステージ8は、被加工面4が搭載可能に設けられており、また、投影レンズ7とウェハステージ8上の被加工面4との間には、液浸媒体9が満たされるようになっている。ステッパーの解像度は、下記のレイリーの式(1)で表され、光源の波長が短かければ短いほど、また、投影レンズ7のNA(投影レンズ7の明るさN.A.(開口数))が大きければ大きいほど高い解像度が得られる。
解像度=k(比例定数)×λ(光源からの光の波長)/NA(開口数)・・・式(1)
図2B中、X部分の拡大図を図2Cに示す。図2Cに示すように、nは露光光が通過する液浸媒体9の屈折率を表し、θは露光光が形成する角度を表す。通常の露光方法では、露光光が通過する媒質は空気であるため、屈折率n=1であり、投影レンズ(縮小投影レンズ)7の開口数NAは理論的には最高でも1.0未満であり、実際には0.9程度(θ=65°)にとどまる。一方、液浸露光装置6では、液浸媒体9として、屈折率nが1より大きい液体を使用することにより、nを拡大することとなり、同一の露光光の入射角θでは、最小解像寸法を1/nに縮小させることができ、同一の開口数NAでは、θを小さくさせることができ、焦点深度をn倍に拡大させることができる。例えば、液浸媒体9として純水を利用すると、光源がArFエキシマレーザーである場合には、n=1.44であり、理論的にはNAを1.35程度にまで増加させることができ、より微細なパターンを形成することができる。
【0047】
このような液浸露光装置6のウェハステージ8上に被加工面(基板)4を載せ、レジスト膜5に対し、露光光(例えば、ArFエキシマレーザー光)をパターン状に照射して露光する。次いで、アルカリ現像処理を行うと、図3に示すように、レジスト膜5の内、ArFエキシマレーザー光が照射された領域が溶解除去され、被加工面(基板)4上にレジストパターン5Aが形成(現像)される。
なお、以上はArFエキシマレーザー光に対応した、ポジ型の本発明の前記液浸露光用レジスト組成物を用いたレジストパターンの形成方法の一例であり、露光光と前記液浸露光用レジスト組成物との組合せは、これに限られるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0048】
<パターン転写工程>
前記パターン転写工程は、前記レジストパターンをマスクとして用いて(マスクパターンなどとして用いて)、エッチングにより前記被加工面にパターンを転写する工程である。
前記エッチングの方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ドライエッチングが好適に挙げられる。該エッチングの条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以上の工程により、前記レジストパターンをマスクとしてエッチングにより前記被加工面がパターンが転写される。
【0049】
<配線形成工程>
前記配線形成工程は、パターンが転写された前記被加工面に配線を形成する工程である。
前記配線の形成は、前記パターン転写工程により形成されたパターン(配線パターン)におけるスペース部に、例えば、配線前駆体としての導体を被覆することにより行うことができる。
前記導体の被覆は、公知のメッキ方法、例えば、無電解メッキ、電解メッキなどの常用メッキ法を用いて行うことができる。
以上の工程により、前記被加工面に前記配線が形成される。
【0050】
本発明の半導体装置の製造方法によると、前記液浸媒体への溶出を抑制して、元来のレジストの機能を損なわず、また、前記光学素子及び前記露光装置内の汚染の発生を抑制して、液浸露光により高精細に露光を行うことができ、微細かつ高精細なレジストパターンを簡便かつ効率的に形成可能であり、該レジストパターンを用いて形成した微細な配線パターンを有する高性能な半導体装置、例えば、フラッシュメモリ、DRAM、FRAM、等を初めとする各種半導体装置などを効率的に量産することができる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。
【0052】
(合成例1)
−シリコン側鎖含有樹脂1の合成−
メタクリル酸メバロニックラクトン1.98g、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル2.43g、及びメタクリルオキシメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(Gelest社製)1.97gを、100mlのナス型フラスコに入れ、8.3mlのMIBKを加え、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバーを入れ、窒素ガスを15分間バブリングさせ、反応系内から酸素を十分に除去した。ラジカル重合開始剤として、AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)0.62gを加え、リービッヒ冷却管を付けた3つ口フラスコを、70℃のオイルバスに入れて6時間反応させた。
得られた反応溶液を室温に冷やし、1,000mlのメタノールに攪拌しながら滴下し、白色沈殿を得た。ガラスフィルターで濾別後、得られた樹脂を、50℃の真空乾燥炉に入れ、6時間乾燥させた。得られた樹脂を、約50mlのTHFに溶解し、再び1,000mlのメタノールで沈殿させ、濾別、真空乾燥させ、再度上記の操作を行って、下記構造式(3)で表される樹脂を得た。収量は2.5gであった。また、GPCにより測定した重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)は、13,600であり、1H−NMRにより決定した組成比は、下記構造式(3)に示す通りであった。
【0053】
【化5】

【0054】
(合成例2)
−シリコン側鎖含有樹脂2の合成−
メタクリル酸3−γ−ブチロラクトン1.53g、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル2.46g、及びメタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(Gelest社製)2.1gを、100mlのナス型フラスコに入れ、8.3.mlのMIBKを加え、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバーを入れ、窒素ガスを15分間バブリングさせ、反応系内から酸素を十分に除去した。ラジカル重合開始剤として、AIBN0.74gを加え、リービッヒ冷却管を付けた3つ口フラスコを、70℃のオイルバスに入れ6時間反応させた。
得られた反応溶液を室温に冷やし、1,000mlのメタノールに攪拌しながら滴下し、白色沈殿を得た。ガラスフィルターで濾別後、得られた樹脂を、50℃の真空乾燥炉に入れ、6時間乾燥させた。得られた樹脂を、約50mlのTHFに溶解し、再び1,000mlのメタノールで沈殿させ、濾別、真空乾燥させ、再度上記の操作を行って、下記構造式(4)で表される樹脂を得た。収量は、2.99gであった。また、GPCにより測定した重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)は、19,600であり、1H−NMRにより決定した組成比は、下記構造式(4)に示す通りであった。
【0055】
【化6】

【0056】
(合成例3)
−シリコン側鎖含有樹脂3の合成−
メタクリル酸メバロニックラクトン2.17g、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル2.66g、及びメタクリル酸ヘプタシクロペンチル−T8−シルセスキオキサンプロピル(Gelest社製)2.5gを、100mlのナス型フラスコに入れ、8.1mlのTHFを加え、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバーを入れ、窒素ガスを15分間バブリングさせ、反応系内から酸素を十分に除去した。ラジカル重合開始剤として、AIBN0.6gを加え、リービッヒ冷却管を付けた3つ口フラスコを、60℃のオイルバスに入れ5時間反応させた。
得られた反応溶液を室温に冷やし、THFで約100mlに希釈し、1,000mlのメタノールに攪拌しながら滴下し、白色沈殿を得た。ガラスフィルターで濾別後、得られた樹脂を、50℃の真空乾燥炉に入れ、6時間乾燥させた。得られた樹脂を、約100mlのTHFに溶解し、再び1,000mlのメタノールで沈殿させ、濾別、真空乾燥させ、再度上記の操作を行って、下記構造式(5)で表される樹脂を得た。収量は、4.65gであった。また、GPCにより測定した重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)は、16,700であり、1H−NMRにより決定した組成比は、下記構造式(5)に示す通りであった。
【0057】
【化7】

【0058】
(合成例4)
−シリコン側鎖含有樹脂4の合成−
メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル6.0g、及びメタクリル酸ヘプタイソブチル−T8−シルセスキオキサンプロピル(Gelest社製)2.4gを、100mlのナス型フラスコに入れ9.5mlのTHFを加え、テフロン(登録商標)コーティングされたスターラーバーを入れ、窒素ガスを15分間バブリングさせ、反応系内から酸素を十分に除去した。ラジカル重合開始剤として、AIBN0.69gを加え、リービッヒ冷却管を付けた3つ口フラスコを、60℃のオイルバスに入れ5時間反応させた。
得られた反応溶液を室温に冷やし、THFで約100mlに希釈し、1,000mlのメタノールに攪拌しながら滴下し、白色沈殿を得た。ガラスフィルターで濾別後、得られた樹脂を、50℃の真空乾燥炉に入れ、6時間乾燥させた。得られた樹脂を、約100mlのTHFに溶解し、再び1,000mlのメタノールで沈殿させ、濾別、真空乾燥させ、再度上記の操作を行って、下記構造式(6)で表される樹脂を得た。収量は、4.5gであった。GPCにより測定した重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)は、12,300であり、1H−NMRにより決定した組成比は、下記構造式(6)に示す通りであった。
【0059】
【化8】

【0060】
(実施例1)
−液浸露光用レジスト組成物の調製−
下記構造式(7)〜(9)で表される基材樹脂(アクリル樹脂)a〜cと、合成例1〜4で合成した、前記構造式(3)〜(6)で表されるシリコン側鎖含有樹脂1〜4とを、表1に示す組成で用い、更に、前記基材樹脂100質量部に対して、前記酸発生剤としてのトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(みどり化学製)3質量部及び前記溶剤としてのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)900質量部を添加し、液浸露光用レジスト組成物A〜Rを調製した。
【0061】
・基材樹脂a(重量平均分子量(Mw)=15,600)
【化9】

・基材樹脂b(重量平均分子量(Mw)=9,600)
【化10】

・基材樹脂c(重量平均分子量(Mw)=7,100)
【化11】

【0062】
【表1】

なお、表1において、「A」〜「R」は、前記液浸露光用レジスト組成物A〜Rに対応している。前記レジスト組成物A〜Rの内、前記液浸露光用レジスト組成物K〜Mは、比較例に相当し、前記液浸露光用レジスト組成物A〜J及びN〜Rは、実施例(本発明)に相当する。
【0063】
(実施例2)
−疎水性評価実験−
反射防止膜(BARC、「ARC−39」;日産化学製)を塗布形成した基板上に、表1に示す液浸露光用レジスト組成物A〜Rを、それぞれスピンコート法により、1,500rpm、20秒間の条件で回転塗布し、110℃のホットプレートで60秒間ベークして膜厚250nmのレジスト膜を形成した。各レジスト膜について、超純水を用いて、水の静的接触角及び後退接触角(動的接触角)の測定を行い比較した。
前記静的接触角は、接触角測定装置(「CA−W150」;協和界面科学製)を用い、吐出時間40msの条件で行った。
また、前記後退接触角は、自作装置を用い、連続的に角度変化可能な傾斜ステージ上にレジスト膜が形成された基板を固定し、レジスト膜表面に液滴(50μL)を滴下した。そして、滴下直後から、一定速度でステージを傾斜させ、液滴が移動し始めてから一定時間後の液滴の形状から、後退接触角を計測した。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】

表2の結果より、シリコン側鎖含有樹脂を添加しなかった液浸露光用レジスト組成物K〜Mに比して、シリコン側鎖含有樹脂を添加した本発明の液浸露光用レジスト組成物A〜J及びN〜Qは、いずれも接触角が向上しており、疎水性が高いことが明らかとなった。
特に、液浸露光におけるレジストパターンの欠陥発生低減や、スループット向上に有効といわれる、70°以上の後退接触角が、液浸露光用レジスト組成物D、E、H、I及びJでは得られた。これらは、Si含有量が、0.17〜0.65質量%と、極めて少ない含有量で、大きな疎水性向上効果が得られることが判った。
【0065】
(実施例3)
−レジスト機能の評価−
反射防止膜(BARC、「ARC−39」;日産化学製)を塗布形成した基板上に、表1に示す液浸露光用レジスト組成物K〜M、D、H、I及びJを、それぞれスピンコート法により、1,500rpm、20秒間の条件で回転塗布し、110℃のホットプレートで60秒間ベークして膜厚250nmのレジスト膜を形成した。
次いで、液浸露光装置を用い、各レジスト膜と光学素子との間に、前記液浸媒体としての水を満たし、前記露光光としてArFエキシマレーザー光(波長193nm)を用いて露光した。
【0066】
次いで、各レジスト膜に対して、2.38質量%TMAH水溶液で現像操作を行い、前記レジスト膜の露光部分を溶解除去した。その結果、それぞれ表3に示す露光量で、200nmのライン&スペースパターンを解像することができた。
【0067】
【表3】

表3の結果より、本発明の液浸露光用レジスト組成物D、H、I及びJは、前記シリコン側鎖含有樹脂を含んでいても、該シリコン側鎖含有樹脂を含まない比較例の液浸露光用レジスト組成物K〜Mと同じ感度でライン&スペースパターンを形成することができ、シリコン側鎖含有樹脂の添加の有無による感度変化はなく、レジスト元来のパフォーマンスの低下がないことが判った。また、いずれの液浸露光用レジスト組成物を用いた場合でも、残渣は観察されなかった。
【0068】
(実施例4)
−コンタミネーションの溶出実験−
反射防止膜(BARC、「ARC−39」;日産化学製)を塗布形成した、6インチウェハ上に、表1に示す液浸露光用レジスト組成物K〜M、A、D、E、H、I及びJを、それぞれスピンコート法により、1,500rpm、20秒間の条件で回転塗布し、110℃のホットプレートで60秒間ベークして膜厚250nmのレジスト膜を形成した。得られたレジスト膜のそれぞれに対し、254nmのDUVランプを用い、露光量50mJ/cmで露光を行いながら、超純水5mLを用いて、ウェハの表面(面積154cm)を洗浄し、サンプル溶液を得た。
得られたサンプル溶液の内、5μLを、LC−MS(Agilent Technologies株式会社製 1100)を用いて分析し、酸発生剤のアニオン(CSO3−)の溶出量を定量した。結果を、表4に示す。
【0069】
【表4】

表4の結果より、シリコン側鎖含有樹脂を添加しなかった液浸露光用レジスト組成物K(基材樹脂:a)に比して、液浸露光用レジスト組成物A、D、及びEは、それぞれコンタミネーションの溶出量が大幅に減少しており、同様に、液浸露光用レジスト組成物L(基材樹脂:b)に比して、液浸露光用レジスト組成物Hは、また、液浸露光用レジスト組成物M(基材樹脂:c)に比して、液浸露光用レジスト組成物I及びJは、それぞれコンタミネーションの溶出量が大幅に減少していることが判った。このことより、シリコン側鎖含有樹脂を添加した本発明の液浸露光用レジスト組成物は、液浸露光時に問題となるレジスト膜中から液浸媒体へのコンタミネーションの溶出を抑制することができることが明らかとなった。
【0070】
(実施例5)
−半導体装置の製造−
図4に示すように、シリコン基板11上に層間絶縁膜12を形成し、図5に示すように、層間絶縁膜12上にスパッタリング法によりチタン膜13を形成した。次に、図6に示すように、ArF液浸露光によりレジストパターン14を形成し、これをマスクとして用い、反応性イオンエッチングによりチタン膜13をパターニングして開口部15aを形成した。引き続き、反応性イオンエッチングによりレジストパターン14を除去するととともに、図7に示すように、チタン膜13をマスクにして層間絶縁膜12に開口部15bを形成した。
【0071】
次に、チタン膜13をウェット処理により除去し、図8に示すように層間絶縁膜12上にTiN膜16をスパッタリング法により形成し、続いて、TiN膜16上にCu膜17を電解めっき法で成膜した。次いで、図9に示すように、CMPにて開口部15b(図7)に相当する溝部のみにバリアメタルとCu膜(第一の金属膜)を残して平坦化し、第一層の配線17aを形成した。
【0072】
次いで、図10に示すように、第一層の配線17aの上に層間絶縁膜18を形成した後、図4〜図9と同様にして、図11に示すように、第一層の配線17aを、後に形成する上層配線と接続するCuプラグ(第二の金属膜)19及びTiN膜16aを形成した。
【0073】
上述の各工程を繰り返すことにより、図12に示すように、シリコン基板11上に第一層の配線17a、第二層の配線20、及び第三層の配線21を含む多層配線構造を備えた半導体装置を製造した。なお、図12においては、各層の配線の下層に形成したバリアメタル層は、図示を省略した。
この実施例5では、レジストパターン14が、実施例1で調製した本発明の液浸露光用レジスト組成物Cを用い、液浸露光技術により形成したレジストパターンである。
また、層間絶縁膜12は、誘電率2.7以下の低誘電率膜であり、例えば、多孔質シリカ膜(「セラメート NCS」;触媒化成工業製、誘電率2.25)、CとCとの混合ガス若しくはCガスをソースとして用い、これらをRFCVD法(パワー400W)により堆積形成したフルオロカーボン膜(誘電率2.4)などである。
【0074】
以上より、本発明の前記液浸露光用レジスト組成物により形成されたレジスト膜は、疎水性が高く、液浸露光の際に問題となる、レジスト膜中の酸発生剤等から液浸媒体へのコンタミネーションの溶出、並びに、これに起因する光学素子及び露光装置内の汚染の発生を防止し、より速いスキャン露光で、微細なレジストパターンを形成可能である。
このため、本発明の前記液浸露光用レジスト組成物を用いると、微細かつ高精細なレジストパターンを簡便かつ効率的に形成することができるので、半導体装置の高集積化及び高機能化に伴う、配線の微細化及び多層化に有用であり、半導体装置の製造の量産性が大幅に向上する。
【0075】
ここで、本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) シリコン含有側鎖を有し、酸によりアルカリ可溶性に変化する樹脂と、基材樹脂とを少なくとも含み、全樹脂中のシリコン含有量が1質量%以下であることを特徴とする液浸露光用レジスト組成物。
(付記2) シリコン含有側鎖を有する樹脂が、その一部に、シリコン含有側鎖を有し下記一般式(1)で表されるアクリルユニットを含む付記1に記載の液浸露光用レジスト組成物。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、Xは、下記構造式(1)及び(2)のいずれかを表す。
【化2】

ただし、前記構造式(1)中、R’は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数4以下のアルキル基を表す。前記構造式(2)中、Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数5以下の直鎖、分岐鎖、及び環状アルキル基のいずれかを表す。
(付記3) シリコン含有側鎖を有する樹脂が、アクリル系樹脂である付記1から2のいずれかに記載の液浸露光用レジスト組成物。
(付記4) 一般式(1)で表されるアクリルユニットが、シリコン含有側鎖に加えて、酸で反応する脂環族基とラクトン基とを側鎖に有する付記2から3のいずれかに記載の液浸露光用レジスト組成物。
(付記5) 酸で反応する脂環族基が、2−アルキル−2−アダマンチル基である付記4に記載の液浸露光用レジスト組成物。
(付記6) シリコン含有側鎖を有する樹脂が、酸で反応する置換基で置換されていてもよいアルカリ可溶性基を有するモノマと、シリコン含有側鎖を有するモノマとを反応させることにより得られる付記1から5のいずれかに記載の液浸露光用レジスト組成物。
(付記7) 基材樹脂が、アクリル系樹脂である付記1から6のいずれかに記載の液浸露光用レジスト組成物。
(付記8) アクリル系樹脂が、脂環族構造を有する付記7に記載の液浸露光用レジスト組成物。
(付記9) シリコン含有側鎖を有する樹脂の含有量が、基材樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部である付記1から8のいずれかに記載の液浸露光用レジスト組成物。
(付記10) 酸発生剤を含む付記1から9のいずれかに記載の液浸露光用レジスト組成物。
(付記11) 被加工面上に、付記1から10のいずれかに記載の液浸露光用レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した後、該レジスト膜に対して液浸露光により露光光を照射し、現像することによりレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
該レジストパターンをマスクとしてエッチングにより前記被加工面にパターンを転写するパターン転写工程とを少なくとも含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記12) 半導体基板の表面に、トランジスタを形成するトランジスタ形成工程と、
パターンが転写された被加工面に配線を形成する配線形成工程とを少なくとも含む付記11に記載の半導体装置の製造方法。
(付記13) 液浸露光における媒体が、水及び水溶液のいずれかである付記11から12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記14) 被加工面が、比誘電率2.7以下の層間絶縁膜の表面である付記11から13のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記15) 層間絶縁膜が、多孔質シリカ膜及びフッ素化樹脂膜の少なくともいずれかである付記14に記載の半導体装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の液浸露光用レジスト組成物は、液浸媒体への溶出を抑制してレジストの機能を損なわず、前記液浸媒体に対して高い接触角を有するので、レジストパターンの形成に好適に使用可能であり、例えば、マスクパターン、レチクルパターン、磁気ヘッド、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、SAWフィルタ(弾性表面波フィルタ)等の機能部品、光配線の接続に利用される光部品、マイクロアクチュエータ等の微細部品、半導体装置などの製造に好適に使用可能であり、本発明の半導体装置の製造方法に好適に使用可能である。
本発明の半導体装置の製造方法は、フラッシュメモリ、DRAM、FRAM、等を初めとする各種半導体装置の製造に好適に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1A】図1Aは、レジスト膜の表層に、シリコン側鎖含有樹脂が偏在するメカニズムを説明するための概略図(その1)である。
【図1B】図1Bは、レジスト膜の表層に、シリコン側鎖含有樹脂が偏在するメカニズムを説明するための概念図(その2)である。
【図2A】図2Aは、本発明の液浸露光用レジスト組成物を用いたレジストパターンの形成方法の一例を説明するための概略図であり、レジスト膜を形成した状態を示す。
【図2B】図2Bは、本発明の液浸露光用レジスト組成物を用いたレジストパターンの形成方法の一例を説明するための概略図であり、液浸露光装置の一例を表す。
【図2C】図2Cは、図2Bに示す液浸露光装置の一部拡大図である。
【図3】図3は、本発明の液浸露光用レジスト組成物を用いたレジストパターンの形成方法の一例を説明するための概略図であり、液浸露光した後、現像した状態を表す。
【図4】図4は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、シリコン基板上に層間絶縁膜を形成した状態を表す。
【図5】図5は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、図4に示す層間絶縁膜上にチタン膜を形成した状態を表す。
【図6】図6は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、チタン膜上にレジスト膜を形成し、チタン層にホールパターンを形成した状態を表す。
【図7】図7は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、ホールパターンを層間絶縁膜にも形成した状態を表す。
【図8】図8は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、ホールパターンを形成した層間絶縁膜上にCu膜を形成した状態を表す。
【図9】図9は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、ホールパターン上以外の層間絶縁膜上に堆積されたCuを除去した状態を表す。
【図10】図10は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、ホールパターン内に形成されたCuプラグ上及びTiN膜上に層間絶縁膜を形成した状態を表す。
【図11】図11は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、表層としての層間絶縁膜にホールパターンを形成し、Cuプラグを形成した状態を表す。
【図12】図12は、本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明するための概略図であり、三層構造の配線を形成した状態を表す。
【符号の説明】
【0078】
1 液浸露光用レジスト組成物(本発明)
1A シリコン側鎖含有樹脂
1B 基材樹脂
2 被加工面(基板)
3 レジスト膜
4 被加工面(基板)
5 レジスト膜
5A レジストパターン
6 液浸露光装置
7 投影レンズ
8 ウェハステージ
9 液浸媒体
11 シリコン基板
12 層間絶縁膜
13 チタン膜
14 レジストパターン
15a 開口部
15b 開口部
16 TiN膜
16a TiN膜
17 Cu膜
17a 配線(第一層)
18 層間絶縁膜
19 Cuプラグ(第二の金属膜)
20 配線(第二層)
21 配線(第三層)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン含有側鎖を有し、酸によりアルカリ可溶性に変化する樹脂と、基材樹脂とを少なくとも含み、全樹脂中のシリコン含有量が1質量%以下であることを特徴とする液浸露光用レジスト組成物。
【請求項2】
シリコン含有側鎖を有する樹脂が、その一部に、シリコン含有側鎖を有し下記一般式(1)で表されるアクリルユニットを含む請求項1に記載の液浸露光用レジスト組成物。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、Xは、下記構造式(1)及び(2)のいずれかを表す。
【化2】

ただし、前記構造式(1)中、R’は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数4以下のアルキル基を表す。前記構造式(2)中、Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数5以下の直鎖、分岐鎖、及び環状アルキル基のいずれかを表す。
【請求項3】
シリコン含有側鎖を有する樹脂が、アクリル系樹脂である請求項1から2のいずれかに記載の液浸露光用レジスト組成物。
【請求項4】
一般式(1)で表されるアクリルユニットが、シリコン含有側鎖に加えて、酸で反応する脂環族基とラクトン基とを側鎖に有する請求項2から3のいずれかに記載の液浸露光用レジスト組成物。
【請求項5】
酸で反応する脂環族基が、2−アルキル−2−アダマンチル基である請求項4に記載の液浸露光用レジスト組成物。
【請求項6】
シリコン含有側鎖を有する樹脂が、酸で反応する置換基で置換されていてもよいアルカリ可溶性基を有するモノマと、シリコン含有側鎖を有するモノマとを反応させることにより得られる請求項1から5のいずれかに記載の液浸露光用レジスト組成物。
【請求項7】
基材樹脂が、アクリル系樹脂である請求項1から6のいずれかに記載の液浸露光用レジスト組成物。
【請求項8】
アクリル系樹脂が、脂環族構造を有する請求項7に記載の液浸露光用レジスト組成物。
【請求項9】
被加工面上に、請求項1から8のいずれかに記載の液浸露光用レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した後、該レジスト膜に対して液浸露光により露光光を照射し、現像することによりレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
該レジストパターンをマスクとしてエッチングにより前記被加工面にパターンを転写するパターン転写工程とを少なくとも含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体基板の表面に、トランジスタを形成するトランジスタ形成工程と、
パターンが転写された被加工面に配線を形成する配線形成工程とを少なくとも含む請求項9に記載の半導体装置の製造方法。



【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−58632(P2009−58632A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224245(P2007−224245)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】