液滴吐出検出装置および液滴吐出検出方法
【課題】液滴の正常な吐出を安価にかつ精度良く検出できる液滴吐出検出装置の提供。
【解決手段】液滴吐出検出装置1は、液滴吐出ヘッド110を制御して液滴を吐出させる液滴吐出ヘッド制御手段と、被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得手段と、電子画像を画像処理してドット列を検出する検出手段とを備える。液滴吐出ヘッド制御手段は、液滴吐出ヘッド110の各ノズルから、そのノズルの番号を二進法で表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させる。検出手段は、電子画像の吐出判定ドット列に基づいてノズル番号を検出し、このノズル番号が連続しているか否かを判定して、抜けているノズル番号の有無を検出する。
【解決手段】液滴吐出検出装置1は、液滴吐出ヘッド110を制御して液滴を吐出させる液滴吐出ヘッド制御手段と、被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得手段と、電子画像を画像処理してドット列を検出する検出手段とを備える。液滴吐出ヘッド制御手段は、液滴吐出ヘッド110の各ノズルから、そのノズルの番号を二進法で表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させる。検出手段は、電子画像の吐出判定ドット列に基づいてノズル番号を検出し、このノズル番号が連続しているか否かを判定して、抜けているノズル番号の有無を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出ヘッド(プリントヘッド)のノズルから液滴が正常に吐出されたか否かを検出する液滴吐出検出装置および液滴吐出検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の液滴吐出装置では、ノズルにごみが混入して目詰まりしたり、圧力室内に気泡が混入したり、アクチュエーターの不具合などにより、ノズルから液滴が吐出されず、ドット抜けと呼ばれる不具合が生じる場合がある。また、ノズルから吐出された液滴の飛行曲がり等が原因となり、液滴が印刷用紙などに着弾(印刷)して得られるドットの位置が正規の位置からずれたため、正規の位置においてドット抜けが生じる場合もある。
【0003】
このような液滴が正しい位置に吐出されない不具合を検出する方法として、ドットずれ検出方法が知られている(特許文献1)。
この特許文献1は、液滴吐出ヘッドのノズルから検査用紙に液滴を吐出させ、検査用紙に着弾した液滴によるドットを撮影する。この際、同一ドットが含まれるようにカメラを移動させ、全てのドットを撮影して複数の画像データを取得する。
そして、撮影された画像から、各ドットのX,Y座標を画像処理で取得する。この際、各画像の座標系を一つに統合するため、前記同一ドットの座標が同じ座標となるように座標変換を行う。そして、各ドットのX,Y座標に基づいて最小二乗法により第1の基準直線を決定し、第1の基準直線に対する各ドットの位置ずれ量を求め、ドットの位置ずれを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−130383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1のドットずれ検出方法では、同一ドットが含まれるようにカメラまたは検査用紙に置かれたXYステージを移動させて、撮影しなければならないため、高精度の位置決め機構が必要である。このため、検出装置のコストが高くなると言う問題がある。
【0006】
また、前記同一ドット自体がドット抜けしている場合には、2つの画像の座標系を統合することができず、ドットずれの検出処理の精度も低下する。
さらに、各ドットのX,Y座標から最小二乗法で基準直線を決定しているので、異常ノズルの特定は、全ての撮影画像を取得し、画像処理が正常に終了した場合しかできない。このため、液滴吐出の不具合の検出を簡便に行うことができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、液滴の正常な吐出を安価にかつ精度良く検出できる液滴吐出検出装置および液滴吐出検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから被検査物に液滴を吐出することで形成されるドットを検出する液滴吐出検出装置であって、前記液滴吐出ヘッドを制御して液滴を吐出させる液滴吐出ヘッド制御手段と、前記被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得手段と、前記電子画像を画像処理して前記ドット列を検出する検出手段と、を備え、前記液滴吐出ヘッド制御手段は、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、各ノズル毎に異なるコードであり、かつ、各ノズルの並び順に対応する前記コードの並び順が予め設定されているコードを表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させて、前記被検査物上に前記ノズルの並び順で各吐出判定ドット列を形成し、前記検出手段は、前記画像取得手段で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された吐出判定ドット列を画像処理によって検出し、検出された吐出判定ドット列をコード化し、そのコードの並び順が前記予め設定されている並び順と対応しているかを判定し、抜けているコードの有無を検出することを特徴する。
【0009】
本発明では、液滴吐出ヘッド制御手段によって、各ノズル毎に異なるコードであり、その並び順が予め設定されているコードを表す吐出判定ドット列を形成し、画像取得手段で吐出判定ドット列を撮影して画像を取得する。そして、検出手段で、取得した画像の吐出判定ドット列を検出してコード化し、そのコードの並び順が前記予め設定されている並び順と対応しているかを判定し、抜けているコードの有無を検出している。
このため、抜けているコードが存在すれば、そのコードに対応するノズルに異常があることを容易に検出できる。
また、複数の画像を取得した場合でも、各画像の座標系を統合する必要がないため、精度が高い高価な位置決め機構を用いる必要が無く、装置の製造コストを低減できる。その上、各画像の座標系を統合する必要がないために、各画像において同じドットを撮影する必要がない。このため、各画像において同じドット列を重複して撮影する場合に、そのドット列が仮にノズル異常で形成されていない場合でも、前後のノズルのコードを検出すれば、その異常を検出することができる。
さらに、前後のノズルのコードの並びで異常ノズルを検出できるため、すべてのノズルの吐出判定ドット列を検出しなくても、検出した吐出判定ドット列までの範囲で異常ノズルを検出することができる。このため、液滴吐出の不具合を簡便に行うことができる。
【0010】
本発明の液滴吐出検出装置において、前記液滴吐出ヘッド制御手段は、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、そのノズルの番号を二進法で表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させ、前記検出手段は、前記画像取得手段で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された吐出判定ドット列を画像処理によって検出し、検出された吐出判定ドット列に基づいてノズル番号を検出し、このノズル番号が連続しているか否かを判定して、抜けているノズル番号の有無を検出することが好ましい。
【0011】
本発明では、前記吐出判定ドット列として、ノズル番号を二進法で表したドット列を形成しているので、吐出判定ドット列からノズル番号を容易に検出することができる。従って、ノズル番号の並び順を判定することで、抜けているノズル番号を検出すれば、異常ノズルを容易に特定できる。特に、前記ノズル番号が+1ずつ加算される数値であれば、その連続性を容易に判断でき、ドット抜けのノズルも容易に特定できる。
また、ノズル番号を二進法で表したドット列を用いれば、BCDコードを用いた場合に比べて桁数を少なくできる。例えば、ノズル番号を1〜180まで表現する場合、二進法では、20の桁から28の桁まで9桁を用意すればよい。これに対し、BCDコードでは、十進数の1桁を二進数4桁で表現するため、三桁の数字である180まで表現するには、二進数で12桁が必要となる。従って、二進法で表せば、吐出判定ドット列の桁数を小さくできる。
【0012】
本発明の液滴吐出検出装置において、前記液滴吐出ヘッド制御手段は、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、前記吐出判定ドット列の他に、前記吐出判定ドット列の位置を検出するための位置決めドット列を形成するための液滴を吐出させ、前記検出手段は、前記画像取得手段で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された前記位置決めドット列の位置を検出し、この位置決めドット列の位置を基準にして、前記吐出判定ドット列を検出することが好ましい。
【0013】
本発明によれば、画像処理で吐出判定ドット列の各ドットを検出する際に、位置決めドット列を基準にして検出することができる。このため、各画像を撮影する場合も、各位置決めドット列が含まれていれば、高精度に位置決めする必要がなく、この点でも高価な位置決め機構を不要にできる。さらに、吐出判定ドット列の各ドットの位置を検出する際に、位置決めドット列間の長さを基準にすれば、撮影時の倍率を変更しても正しく検出できる。従って、ノズル数などに応じて、撮影時の倍率を調整して撮影範囲を変更しても、画像処理プログラムは同一のものを利用でき、汎用性も向上できる。
【0014】
本発明の液滴吐出検出装置において、前記画像取得手段は、前記被検査物上に形成された吐出判定ドット列の画像を、前記ノズルの並び方向に設定された複数の撮影領域毎に取得し、前記複数の撮影領域は、隣接する撮影領域において、2列の同じドット列が含まれるように設定されていることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、各撮影領域において2列分の同じドット列が含まれるように設定されているので、カメラの位置に多少のずれが生じても、少なくとも1列分のドット列は確実に各画像内に含んで撮影できる。このため、各ノズル番号のドット列において不完全に撮影されるものを無くすことができる。
【0016】
本発明の液滴吐出検出装置において、前記検出手段は、前記抜けているコードが有る場合には、そのコードに対応するノズルを異常ノズルと判定し、重複するコードが有る場合には、それらの前後のコードに基づいてコードの並び順の連続性を確認し、連続性がない重複コードに対応するノズルを異常ノズルと判定することが好ましい。
本発明によれば、吐出判定ドット列を検出することで、ドット抜けなどの異常ノズルを容易に判定できる。
【0017】
本発明の液滴吐出検出方法は、複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから被検査物に液滴を吐出することで形成されるドットを検出する液滴吐出検出方法であって、前記液滴吐出ヘッドを制御して液滴を吐出させる液滴吐出工程と、前記被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得工程と、前記電子画像を画像処理して前記ドット列を検出する検出工程と、を備え、前記液滴吐出工程は、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、各ノズル毎に異なるコードであり、かつ、各ノズルの並び順に対応する前記コードの並び順が予め設定されているコードを表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させて、前記被検査物上に前記ノズルの並び順で各吐出判定ドット列を形成し、前記検出工程は、前記画像取得工程で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された吐出判定ドット列を画像処理によって検出し、検出された吐出判定ドット列をコード化し、そのコードの並び順が前記予め設定されている並び順と対応しているかを判定し、抜けているコードの有無を検出することを特徴する。
本発明の液滴吐出検出方法においても、前記液滴吐出検出装置と同じ作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る液滴吐出検出装置を示す平面図である。
【図2】前記液滴吐出検出装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る液滴吐出装置を示す斜視図である。
【図4】液滴吐出装置の液滴吐出ヘッドの要部を示す斜視図である。
【図5】液滴吐出検出方法を示すフローチャートである。
【図6】被検査物上に形成されたドット列を示す平面図である。
【図7】前記ドット列の構成を説明するための図である。
【図8】被検査物上に形成されたドット列の撮影領域を示す平面図である。
【図9】検出工程を示すフローチャートである。
【図10】位置決めドット列の位置検出方法を説明するための図である。
【図11】吐出判定ドット列の位置検出方法を説明するための図である。
【図12】吐出判定ドット列の検出結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態に係る本発明の液滴吐出検出装置について、図面を参照して説明する。
【0020】
[液滴吐出検出装置の構成]
図1に示す液滴吐出検出装置1は、液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)のノズルから吐出された液滴が被検査物に着弾して得られたドットを検出して、液滴が正常に吐出されているか否かを検出するものである。特に、液滴が吐出されていないノズル、いわゆるドット抜けしたノズルを検出するものである。
この液滴吐出検出装置1によれば、液滴吐出ヘッドに、液滴の不吐出等の吐出異常が生じているのを発見することができ、これにより、液滴吐出装置(インクジェット描画装置)によって製造される製品の歩留まりの向上に寄与することができる。
【0021】
図1に示すように、液滴吐出検出装置1は、紙等のシート状の被検査物20が載置される検査テーブル2と、検査テーブル2上の被検査物20を撮影可能なカメラ3と、カメラ3を水平方向(XY軸方向)および上下方向(Z軸方向)に移動させる移動手段4とを備えている。
なお、図1中の左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向、図1の紙面に直交する方向をZ軸方向としている。
【0022】
検査テーブル2の上面は、水平な載置面2Aとされ、この載置面2Aに被検査物20が載置される。この際、被検査物20を真空吸着等の保持手段で保持しても良い。
カメラ3は、例えばCCDセンサー等の固体撮像素子と、カメラレンズとを有している。このカメラ3は、被検査物20上の所定領域を撮影する。
【0023】
移動手段4は、カメラ3を支持する支持板5と、支持板5を介してカメラ3をZ軸方向に移動可能かつ所定の位置に位置決め可能に支持するZ軸方向移動手段6と、Z軸方向移動手段6および支持板5を介してカメラ3をX軸方向に移動可能かつ所定の位置に位置決め可能に支持するX軸方向移動手段7と、X軸方向移動手段7、Z軸方向移動手段6および支持板5を介してカメラ3をY軸方向に移動可能かつ所定の位置に位置決め可能に支持するY軸方向移動手段8とを備えている。
【0024】
X軸方向移動手段7およびY軸方向移動手段8としては、例えばリニアモーター等を用いた構成が挙げられ、Z軸方向移動手段6としては、例えば送りねじ機構を用いた構成が挙げられる。ただし、これに限定されることなく、同様の機能を有するものであれば他のいかなるものでも良い。
【0025】
図2に示すように、液滴吐出検出装置1は、さらに、制御手段10と、画像処理手段11と、出力手段としてのディスプレイ12および外部記憶装置13とを有している。
画像処理手段11は、カメラ3により撮影されたドット列の電子画像を記憶する記憶部17を備え、この記憶部17に記憶された画像を処理することにより、各ドットの座標を取得する機能等を有している。
従って、カメラ3および画像処理手段11によって、被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得手段が構成されている。
【0026】
ディスプレイ12は、例えば液晶ディスプレイなどで構成されており、操作画面、データ入力画面、カメラ3により撮影されたドット列の画像、ドット抜け等の検出結果等を表示することができる。
外部記憶装置13は、ハードディスクなどで構成されている。この外部記憶装置13には、制御手段10で実行されるプログラムや、ドット抜け等の検出結果が記憶される。
【0027】
制御手段10は、CPU(Central Processing Unit)15と、記憶部16とを有している。そして、制御手段10は、外部記憶装置13に記憶されたプログラムをCPU15で実行することで、移動手段4、画像処理手段11、ディスプレイ12、液滴吐出装置100をそれぞれ制御する。
特に、制御手段10は、液滴吐出装置100に対しては、後述するように、制御対象となる搬送部102、ヘッド案内部103、液滴吐出ヘッド110を制御する。また、制御手段10は、画像処理手段11で取得された画像を処理して液滴のドット抜けなどを検出する。従って、制御手段10によって、本発明の液滴吐出ヘッド制御手段および検出手段が構成されている。
なお、記憶部16は、CPU15が直接アクセス可能な内部メモリー(内部記憶装置)として機能するものである。
【0028】
[液滴吐出装置の構成]
次に、被検査物20に液滴を吐出する液滴吐出ヘッド110を備える液滴吐出装置100の構成について、図3を参照して説明する。
【0029】
液滴吐出装置100は、例えばウエハー製造工場などにおいて使用される産業用インクジェットプリンターである。なお、本発明において、液滴吐出装置100とは、産業用の液滴吐出装置だけでなく、文字・画像等を印刷する通常のインクジェットプリンターをも含む概念である。
また、液滴吐出ヘッド110が吐出する液体(分散液を含む)としては、特に限定されるものではなく、例えば、インク、カラーフィルターのフィルター材料、有機EL装置におけるEL発光層を形成するための蛍光材料、PDP装置における蛍光体を形成するための蛍光材料、電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料、基板の表面にバンクを形成するためのバンク材料、各種コーティング材料、電極を形成するための液状電極材料、2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサーを構成する粒子材料、金属配線を形成するための液状金属材料、マイクロレンズを形成するためのレンズ材料、レジスト材料、光拡散体を形成するための光拡散材料等が挙げられる。
【0030】
液滴吐出装置100は、被印刷物を載置するステージ101と、ステージ101を図3におけるY軸方向に搬送する搬送部102と、被印刷物に印刷を実施する液滴吐出ヘッド110と、液滴吐出ヘッド110をX軸方向に移動させるヘッド案内部103とを備えている。
なお、搬送部102やヘッド案内部103は、モーターなどを用いてステージ101や液滴吐出ヘッド110を移動させる従来から知られている構成であるため、説明を省略する。
この搬送部102、ヘッド案内部103や、液滴吐出ヘッド110は、吐出検査時には、図2に示すように、制御手段10によって制御される。また、吐出検査時には、前記ステージ101上には、液滴が吐出されてドット列が形成される被検査物20が載置される。この被検査物20としては、通常は印刷用紙を用いればよいが、吐出する液滴の種類などに応じて、樹脂シートや、ガラス板、金属板などの適宜な材質のものを選択すればよい。
【0031】
液滴吐出ヘッド110の下面には、図4に示すように、液滴を吐出するための複数のノズル111が形成されている。ノズル111は、通常は、X軸方向およびY軸方向に複数個ずつ配置されて二次元に配列されているが、本実施形態では、説明を簡略するため、X軸方向のみに所定数のノズル111が一定間隔で配置されているものとする。そして、図4において、右側からノズル番号1のノズル1111、ノズル番号2のノズル1112、ノズル番号3のノズル1113、…、ノズル番号nのノズル111nとする。
【0032】
なお、ノズル111から液滴を吐出させるアクチュエーターとしては、発熱体により発生する蒸気泡で液滴をノズル111から吐出する、いわゆるサーマルインクジェット方式、圧力室に圧電素子を配置し、圧電素子の歪みにより圧力室の液に圧力を印加して液滴をノズル111から吐出させるピエゾインクジェット方式など、液体に加圧してノズル111から吐出させるものであればいかなるものであってもよい。
【0033】
[液滴吐出検出方法(ドット抜け検査方法)]
次に上述したような液滴吐出検出装置1における、液滴吐出検出方法について図面に基づいて説明する。
図5は、液滴吐出検出装置1における液滴吐出検出方法を示すフローチャートである。図5に示すように、液滴吐出検出方法は、液滴吐出工程S1、画像取得工程S2、検出工程S3を備えている。
【0034】
[1.液滴吐出工程]
液滴吐出検出装置1の制御手段10は、まず、液滴吐出装置100を制御して検査用のドット列を形成するために、以下に説明する液滴吐出工程S1を行う。
【0035】
[1−1.事前準備]
図3に示すように、液滴吐出装置100のステージ101に、被検査物20となる紙やシートを載置しておく。この際、被検査物20はX軸方向の長さ寸法が前記液滴吐出ヘッド110のX軸方向に並ぶノズル111の形成領域以上となるように設定されている。例えば、ノズル111がX軸方向に180個形成されている場合、被検査物20のX軸方向の長さ寸法が、180個のノズル111が並んだ寸法以上となるように設定されている。
このため、すべてのノズル111から液滴を同時に吐出した際に、被検査物20にすべてのノズル111からの液滴が着弾してドットが形成されることになる。
【0036】
[1−2.第1の位置決めドット列印刷]
次に、制御手段10は、液滴吐出装置100を制御して、図6に示すようなドット列が形成されるように、被検査物20に対して液滴を吐出させる。
すなわち、図6において、上下方向が液滴吐出装置100のX軸方向、左右方向がY軸方向である。
液滴吐出装置100は、液滴吐出ヘッド110をヘッド案内部103によってX軸方向に移動して、すべてのノズル111が被検査物20に対向する位置に配置する。
【0037】
この際、図4に示すように、各ノズル111は、+X軸側の端部のノズル番号1のノズル1111から、−X軸方向に順次+1ずつノズル番号が増加する並びで各ノズル111が配列されている。
従って、図6において、+X軸方向の端部である最も上側のドット列は、ノズル番号1のノズル1111から吐出された液滴で形成され、上から2番目のドット列は、ノズル番号2のノズル1112から吐出された液滴で形成される。
なお、図6では、どのノズル番号のノズル111から吐出された液滴で形成されたドットであるのかを示すために、ドット列の右側にアラビア数字を表示し、一点鎖線で囲っているが、これらの数字や一点鎖線は参照用に付記したものであり、実際の被検査物20上に印刷されているものではない。
【0038】
そして、制御手段10は、液滴吐出装置100を制御し、最初にすべてのノズル111から液滴を吐出し、図6において各ドット列の右端のドットを形成する。次に、ステージ101を−Y軸方向に移動し、被検査物20に対して液滴吐出ヘッド110を相対的に+Y軸方向に移動する。そして、すべてのノズル111から液滴を吐出し、先ほど形成したドットの左側に2番目のドットを形成(印刷)する。この動作を再度行い、3つのほぼ連続するドットを、各ノズル111位置に対応して形成する。これらの3つのドットにより、第1の位置決めドット列23が形成される。
【0039】
[1−3.吐出判定ドット列印刷]
次に、制御手段10は、液滴吐出装置100を制御し、第1の位置決めドット列23に続いて、吐出判定ドット列24を形成(印刷)する。
本実施形態では、吐出判定ドット列24は、各ノズル111のノズル番号を2進法で表したドットが形成されている。すなわち、図7に模式的に示すように、吐出判定ドット列24には、第1の位置決めドット列23に続いて、所定間隔で20の桁、21の桁、22の桁、23の桁、24の桁、25の桁、26の桁、27の桁、28の桁、29の桁、210の桁の領域が設定されている。なお、本実施形態では、ノズル111は180個設けられているため、二進法では28の桁まで設定する必要がある。従って、最小限、20の桁から28の桁までは形成されている。この桁数は、液滴吐出ヘッド110のノズル数に応じて設定すればよい。
【0040】
本実施形態では、各領域にドットが形成されている場合には、その桁の数字を「1」とし、ドットが形成されていない場合には「0」と判断する。
このため、ノズル番号「1」を表すには、20の桁のみにドットを形成すればよい。同様に、ノズル番号「2」は、21の桁のみにドットを形成し、ノズル番号「3」は、20の桁および21の桁にドットを形成する。
実際には、ステージ101が−Y軸方向に移動するため、最初に、20の桁の領域にノズルが対向する位置までステージ101を移動し、その位置にドットを形成する必要があるノズル番号(具体的には奇数番号)のノズル111から液滴を吐出する。
次に、21の桁の領域にノズルが対向する位置までステージ101を移動し、その位置にドットを形成する必要があるノズル番号のノズル111から液滴を吐出する。
これを、22の桁から28の桁まで繰り返し行い、各ノズル111の番号を二進法で表した吐出判定ドット列24を形成する。
【0041】
[1−4.第2の位置決めドット列印刷]
次に、第1の位置決めドット列23と同様に、3つのドットを順次形成して第2の位置決めドット列25を形成(印刷)する。
【0042】
なお、液滴吐出ヘッド110のノズル111が2列以上設けられている場合には、ステージ101を移動し、第2の位置決めドット列25の次に、2列目のノズル111を用いて、前記第1の位置決めドット列23、吐出判定ドット列24、第2の位置決めドット列25を形成する。この場合、1列目の第2の位置決めドット列25を、2列目の第1の位置決めドット列23として兼用してもよい。
また、2列目のノズルにおいても、通常は、ノズル番号1〜180を設定すればよいが、1列目のノズル番号に続く番号、つまり181〜360を設定してもよい。この場合、吐出判定ドット列24の29の桁にもドットが形成されることになる。
【0043】
[2.画像取得工程]
次に、液滴吐出工程S1で各ドット列が形成された被検査物20を、液滴吐出検出装置1の検査テーブル2上に載置する。この被検査物20の載置は、通常は検査員が行えばよいが、搬送ロボット等を用いて自動化してもよい。
そして、制御手段10は、被検査物20の画像取得工程S2を実行する。
画像取得工程S2では、被検査物20全体を1度に撮影できないため、カメラ3を移動して複数の画像を取得し、記憶部17に記憶する。
すなわち、図1、8に示すように、被検査物20を、各ノズル番号に沿った方向が、液滴吐出検出装置1においてY軸方向となる向きに載置面2A上に載置する。
この際、カメラ3は、各ドットを識別するために、所定の倍率で被検査物20を撮影する。具体的には、図8に示すように、液滴吐出検出装置1のX軸方向、つまり、各ノズル番号毎の第1の位置決めドット列23、吐出判定ドット列24、第2の位置決めドット列25までの領域は1度に撮影できるように設定されている。一方、液滴吐出検出装置1のY軸方向には、ノズル番号で10個分のドット列を含む領域を撮影できるように設定されている。
【0044】
このため、制御手段10は、Y軸方向移動手段8を制御し、カメラ3をY軸方向に順次移動させながら、被検査物20を撮影する。これにより、複数枚の画像が取得できる。図8において、各画像31〜34の撮影領域を二点鎖線で示す。
この際、制御手段10は、Y軸方向の移動量を各ドット列の8行分、つまり、液滴吐出ヘッド110においてノズル8個分に設定している。このため、最初の画像31では、ノズル番号1〜10までのドット列が撮影され、二番目の画像32では、ノズル番号9〜18までのドット列が撮影され、三番目の画像33では、ノズル番号17〜26までのドット列が撮影され、四番目の画像34では、ノズル番号25〜34までのドット列が撮影されている。
【0045】
このように各画像31〜34では、前後の画像と、ノズル番号で2つ分のドット列が重複するように、カメラ3のY軸方向の移動量が設定されている。これは、ノズル番号で1つ分のドット列が重複するようにした場合には、撮影位置にズレが生じると、重複する部分のドット列を完全に撮影できない可能性があるためである。例えば、画像31,32で、ノズル番号10のドット列のみを重ねて撮影する場合、撮影領域が僅かにずれて、各画像31,32においてノズル番号10のドット列を半分しか含まない可能性がある。この場合、いずれの画像31,32においても、ノズル番号10のドット列が完全には撮影されないことになる。
これに対し、本実施形態のように、2列分のドット列が重なるように設定すれば、多少のずれが生じても、少なくとも1列分は確実に各画像内に撮影される。例えば、画像31において、ノズル番号10のドット列が不完全に撮影された場合でも、ノズル番号9のドット列は確実に撮影できる。一方、画像32においては、ノズル番号9のドット列が不完全に撮影された場合でも、ノズル番号10のドット列は確実に撮影できる。従って、2つの画像31,32において、重複するノズル番号9,10のドット列は、いずれかの画像においては確実に撮影することができる。このため、各ノズル番号のドット列において不完全に撮影されるものを無くすことができる。
【0046】
[3.検出工程]
次に、制御手段10は、画像取得工程S2で取得して記憶部17に記憶した画像を処理し、液滴の不吐出などの原因で生じるドット抜けを検出する(S3)。
この検出工程S3の詳細なフローチャートを、図9に示す。
検出工程S3では、制御手段10は、まず、取得した各画像において、位置決めドット列23,25の位置を検出する(S31)。
具体的には、図10に示すように、位置決めドット列23,25における各ドットを検出する。この際、画像処理中は、図10に示すように、同一のノズルで形成された各ドット列23,24,25が並ぶ方向をX軸方向とし、ノズル番号が異なるドット列が並ぶ方向をY軸方向とする。そして、前記3つのドットが連続する位置を検出し、真ん中のドットの中心点(図10で十字マークで示す点)の座標を検出する。
【0047】
次に、制御手段10は、S31で検出した位置決めドット列23,25の位置を基準にして、吐出判定ドット列24の各桁の位置を検出し、各桁位置におけるドットの有無を検出する(S32)。
具体的には、図11に示すように、吐出判定ドット列24の各桁位置を位置決めドット列23,25の位置を基準に検出し、その各桁位置にドットが存在するか否かを検出する。
【0048】
次に、制御手段10は、S32で検出した吐出判定ドット列24のドットの検出結果に基づいて、ドット列を数値化する。すなわち、ドットが検出された桁位置には「有」、ドットが検出されなかった桁位置には「無」を表示すると、図10,11の画像31の検出結果は、図12に示すようになる。
そして、吐出判定ドット列24の各桁位置は二進法で設定されているので、十進法の数字で数値化すると、図12に示す画像31の検出結果の場合、上から「1」〜「10」の数値となる。ここで、吐出判定ドット列24は、そのドットを形成する液滴を吐出したノズル番号を二進法であらわしたものであるから、S33ではノズル番号が数値化されることになる。
また、図8に示す画像32の場合、上から「9」〜「18」の数値となり、画像33の場合、「17」〜「26」の数値となり、画像34の場合、「25」〜「34」の数値となる。
【0049】
次に、制御手段10は、S33で数値化した各画像のノズル番号を、各画像の順に記憶部16や外部記憶装置13に記憶する(S34)。この際、各画像において、他の画像と重複して読み取られたノズル番号は、一つにまとめて記憶すればよい。
そして、制御手段10は、S34で記憶したノズル番号を読み出し、連続性があるかを確認する(S35)。本実施形態では、ノズル番号を「1」から順に+1増加させているので、検出されたノズル番号も同じパターンとなる。従って、あるノズル番号mの直前のノズル番号は数値「m−1」となり、直後のノズル番号は「m+1」となるはずである。
従って、このようなパターンとなっていれば、ノズル番号に連続性があると判定できる。一方、例えば、ノズル番号「4」の後が「6」であった場合のように、検出されたノズル番号に連続性が無い場合、数値化されていないドットが抜けドットであり、そのノズル番号のノズルに、目詰まりや吐出用のアクチュエーターの不良、あるいは飛行曲がりによる吐出位置ずれなどの異常が生じていることを検出できる。
【0050】
次に、制御手段10は、S34で記憶したノズル番号において、同じノズル番号が存在するか確認する。同じノズル番号が存在する場合、どちらかが異常ノズルであって、吐出した液滴が正しい位置に着弾しなかったことが想定できる。同じノズル番号が存在したら、各ノズル番号の前後のノズル番号を確認し、連続性がないほうを異常ノズルと判定する。
【0051】
以上の処理によって、異常ノズルを検出することができる。すなわち、目詰まりなどで液滴を吐出できない異常ノズルが存在する場合、そのノズル番号のドット列には、位置決めドット列23,25や吐出判定ドット列24が何ら形成されない。このため、このノズル番号の数値は抜けてしまい、ノズル番号の連続性を確認した際に、ノズル番号の連続性がないことから、数値化されなかったノズル番号のノズルに異常が生じていることを検出できる。
また、液滴を吐出するピエゾ素子などのアクチュエーターの動作不良などによって、液滴が吐出されない場合も同様に検出できる。
さらに、吐出した液滴が飛行曲がりなどでずれて、異なる位置にドットが形成されると、本来のノズル番号とは異なる番号を認識する可能性もあるが、その場合も同じ番号のドット列が発生し、ノズル番号の連続性を確認することで、異常ノズルを検出することができる。
【0052】
なお、上記の処理によって、異常ノズルが検出された場合は、必要に応じてノズルのクリーニング処理等を行い、ノズルの異常が解消されたかを確認する。クリーニング処理としては、例えばインクを打ち捨てる、いわゆるフラッシング処理や、ワイパーなどによりノズル111が設けられた面を拭き取るワイピングなどが挙げられる。
【0053】
[作用効果]
このような本実施形態によれば、液滴吐出工程S1において、各ノズル111から液滴を吐出して吐出判定ドット列24を形成する際に、各ノズル111のノズル番号を二進法で示すドット列となるように制御している。そして、検出工程S3では、撮影した画像の吐出判定ドット列24部分を画像処理で認識し、そのドット列で表される数値をノズル番号として記憶しているので、そのノズル番号の連続性や重複を判定すれば、どのノズル番号のノズル111に異常が生じているのかを容易に検出することができる。
【0054】
また、被検査物20に形成されたドット列を識別可能な倍率で撮影するために、印刷されたドット列のすべてを一度に撮影することができず、複数の画像31〜34として撮影する場合がある。この際、従来のドットずれ検出方法では、複数の画像の座標系を統合するために同じドットを高精度に位置決めされたカメラで撮影して連結ドットを取得しなければならず、高価な位置決め機構が必要となる。
これに対し、本実施形態では、各画像31〜34において、各ドット列毎にノズル番号を取得すればよく、各画像の座標系を統合する必要がない。このため、各画像を撮影する際の位置決め精度が低くても、各画像において、ノズル番号を検出できればよく、かつ、同じノズル番号のドット列が含まれていれば、ノズル番号の連続性の判断も問題なく実行でき、ドット抜けを判別することができる。従って、高価な位置決め機構も不要にでき、コストを削減できる。
【0055】
さらに、従来のドットずれ検出方法では、同一の連結ドットが形成されていない場合には、各画像の座標系を統合できず、その後の処理を行えないために異常ノズルの検出もできない。
これに対し、本実施形態では、各画像において重複して撮影するドット列が、そのドット列を印刷するためのノズル111に異常があって形成されていない場合でも、前後のノズル番号を検出することで、ドット抜けであることを判別でき、異常ノズルを容易に検出できる。
【0056】
吐出判定ドット列24には、ノズル番号を二進法で示すドットを印刷しているので、BCDコード等でノズル番号を表す場合に比べて、桁数を少なくでき、吐出判定ドット列24の幅寸法も小さくできる。
【0057】
また、前記実施形態では、位置決めドット列23,25を形成しているので、画像処理で吐出判定ドット列24の各ドットを検出する際に、位置決めドット列23,25を基準にして検出することができる。このため、各画像31〜34を撮影する場合も、各位置決めドット列23,25が含まれていれば、高精度に位置決めする必要がなく、この点でも高価な位置決め機構を不要にできる。さらに、吐出判定ドット列24の各ドットの位置を検出する際に、位置決めドット列23,25間の長さを基準にすれば、撮影時の倍率を変更しても正しく検出できる。従って、ノズル数などに応じて、撮影時の倍率を調整して撮影範囲を変更しても、画像処理プログラムは同一のものを利用でき、汎用性も向上できる。
【0058】
[他の実施の形態]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0059】
また、前記実施形態では、吐出判定ドット列24にノズル番号を二進法で示すドットを形成していたが、ノズル番号をBDCコードなどの「1,0」の二進数で表すことができるコード形式で形成してもよい。
さらに、前記実施形態では、ノズル番号を、+1ずつ加算するパターンで設定していたが、例えば、+2ずつ加算するパターンなど他のパターンで設定してもよい。例えば、ノズル番号を、「1、3、5、…」などの奇数のみで設定すれば、二進法でドット列を形成した場合に、20桁にドットが必ず形成される。このような特徴を考慮して、ノズル抜けを判断することもできる。
【0060】
また、吐出判定ドット列24に形成するドット列は、ノズル番号を表すものに限定されず、各ノズル111を個別に判別でき、かつ、そのノズル111の順番を判定できるものであればよい。例えば、各種の記号や文字を所定の並びで設定した表、例えば、「ひらがな」を「あいうえお順」に並べた表などを、記憶部16に記憶する。そして、その表の順番でコード化されたものを、吐出判定ドット列24にドット列で印刷する。次に、そのドット列を画像処理してコードを検出し、元の記号や文字に変化する。そして、前記表の並びと比較することで、ドット抜け等の異常ノズルを検出すればよい。
【0061】
前記実施形態では、カメラ3で撮影する撮影領域を、隣接する撮影領域において、2列の同じドット列が含まれるように設定していたが、1列の同じドット列が含まれるように設定してもよい。さらには、隣接するドット列が、隣接する撮影領域のそれぞれに含まれるようにし、同じドット列が2つの撮影領域に含まれないように設定してもよい。ただし、これらの場合には、カメラ3の位置精度を高める必要があるため、前記実施形態のように設定することが好ましい。
【0062】
前記実施形態では、吐出判定ドット列24の他に、位置決めドット列23,25を形成していたが、これらの位置決めドット列23,25は必ずしも必要ではなく、吐出判定ドット列24部分の画像を処理して各ドットを検出してもよい。例えば、前記実施形態では、20の桁は、ノズル番号の順でドットの有り無しが交互に表れる。従って、この交互のパターンを検出すれば20の桁の位置を検出できる。また、21の桁は、ノズル番号の順でドットの有り無しが2つずつ交互に表れる。従って、この2つずつの交互のパターンを検出すれば21の桁の位置を検出できる。そして、これらの2つの桁の位置を検出すれば、各桁位置の間隔を把握でき、他の桁位置も検出できる。従って、各ノズル番号のドット列からノズル番号を検出することができる。
ただし、前記実施形態のように、位置決めドット列23,25を設けた方が、吐出判定ドット列24の桁位置を容易に検出できて画像処理の負荷を軽減できる利点がある。
【0063】
さらに、液滴吐出検出装置1や液滴吐出装置100の具体的な構成は、前記実施形態のものに限らない。例えば、カメラ3や液滴吐出ヘッド110と被検査物20とを相対的に移動させる構成としては、被検査物20が載置される検査テーブル2やステージ101が動くものでも、カメラ3や液滴吐出ヘッド110側が移動するものでもよく、実施にあたって適宜設定すればよい。
【符号の説明】
【0064】
1…液滴吐出検出装置、2…検査テーブル、2A…載置面、3…カメラ、4…移動手段、6…Z軸方向移動手段、7…X軸方向移動手段、8…Y軸方向移動手段、10…制御手段、11…画像処理手段、15…CPU、16,17…記憶部、20…被検査物、23…第1の位置決めドット列、24…吐出判定ドット列、25…第2の位置決めドット列、31〜34…画像、100…液滴吐出装置、101…ステージ、102…搬送部、103…ヘッド案内部、110…液滴吐出ヘッド、111…ノズル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出ヘッド(プリントヘッド)のノズルから液滴が正常に吐出されたか否かを検出する液滴吐出検出装置および液滴吐出検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の液滴吐出装置では、ノズルにごみが混入して目詰まりしたり、圧力室内に気泡が混入したり、アクチュエーターの不具合などにより、ノズルから液滴が吐出されず、ドット抜けと呼ばれる不具合が生じる場合がある。また、ノズルから吐出された液滴の飛行曲がり等が原因となり、液滴が印刷用紙などに着弾(印刷)して得られるドットの位置が正規の位置からずれたため、正規の位置においてドット抜けが生じる場合もある。
【0003】
このような液滴が正しい位置に吐出されない不具合を検出する方法として、ドットずれ検出方法が知られている(特許文献1)。
この特許文献1は、液滴吐出ヘッドのノズルから検査用紙に液滴を吐出させ、検査用紙に着弾した液滴によるドットを撮影する。この際、同一ドットが含まれるようにカメラを移動させ、全てのドットを撮影して複数の画像データを取得する。
そして、撮影された画像から、各ドットのX,Y座標を画像処理で取得する。この際、各画像の座標系を一つに統合するため、前記同一ドットの座標が同じ座標となるように座標変換を行う。そして、各ドットのX,Y座標に基づいて最小二乗法により第1の基準直線を決定し、第1の基準直線に対する各ドットの位置ずれ量を求め、ドットの位置ずれを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−130383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1のドットずれ検出方法では、同一ドットが含まれるようにカメラまたは検査用紙に置かれたXYステージを移動させて、撮影しなければならないため、高精度の位置決め機構が必要である。このため、検出装置のコストが高くなると言う問題がある。
【0006】
また、前記同一ドット自体がドット抜けしている場合には、2つの画像の座標系を統合することができず、ドットずれの検出処理の精度も低下する。
さらに、各ドットのX,Y座標から最小二乗法で基準直線を決定しているので、異常ノズルの特定は、全ての撮影画像を取得し、画像処理が正常に終了した場合しかできない。このため、液滴吐出の不具合の検出を簡便に行うことができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、液滴の正常な吐出を安価にかつ精度良く検出できる液滴吐出検出装置および液滴吐出検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから被検査物に液滴を吐出することで形成されるドットを検出する液滴吐出検出装置であって、前記液滴吐出ヘッドを制御して液滴を吐出させる液滴吐出ヘッド制御手段と、前記被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得手段と、前記電子画像を画像処理して前記ドット列を検出する検出手段と、を備え、前記液滴吐出ヘッド制御手段は、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、各ノズル毎に異なるコードであり、かつ、各ノズルの並び順に対応する前記コードの並び順が予め設定されているコードを表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させて、前記被検査物上に前記ノズルの並び順で各吐出判定ドット列を形成し、前記検出手段は、前記画像取得手段で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された吐出判定ドット列を画像処理によって検出し、検出された吐出判定ドット列をコード化し、そのコードの並び順が前記予め設定されている並び順と対応しているかを判定し、抜けているコードの有無を検出することを特徴する。
【0009】
本発明では、液滴吐出ヘッド制御手段によって、各ノズル毎に異なるコードであり、その並び順が予め設定されているコードを表す吐出判定ドット列を形成し、画像取得手段で吐出判定ドット列を撮影して画像を取得する。そして、検出手段で、取得した画像の吐出判定ドット列を検出してコード化し、そのコードの並び順が前記予め設定されている並び順と対応しているかを判定し、抜けているコードの有無を検出している。
このため、抜けているコードが存在すれば、そのコードに対応するノズルに異常があることを容易に検出できる。
また、複数の画像を取得した場合でも、各画像の座標系を統合する必要がないため、精度が高い高価な位置決め機構を用いる必要が無く、装置の製造コストを低減できる。その上、各画像の座標系を統合する必要がないために、各画像において同じドットを撮影する必要がない。このため、各画像において同じドット列を重複して撮影する場合に、そのドット列が仮にノズル異常で形成されていない場合でも、前後のノズルのコードを検出すれば、その異常を検出することができる。
さらに、前後のノズルのコードの並びで異常ノズルを検出できるため、すべてのノズルの吐出判定ドット列を検出しなくても、検出した吐出判定ドット列までの範囲で異常ノズルを検出することができる。このため、液滴吐出の不具合を簡便に行うことができる。
【0010】
本発明の液滴吐出検出装置において、前記液滴吐出ヘッド制御手段は、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、そのノズルの番号を二進法で表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させ、前記検出手段は、前記画像取得手段で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された吐出判定ドット列を画像処理によって検出し、検出された吐出判定ドット列に基づいてノズル番号を検出し、このノズル番号が連続しているか否かを判定して、抜けているノズル番号の有無を検出することが好ましい。
【0011】
本発明では、前記吐出判定ドット列として、ノズル番号を二進法で表したドット列を形成しているので、吐出判定ドット列からノズル番号を容易に検出することができる。従って、ノズル番号の並び順を判定することで、抜けているノズル番号を検出すれば、異常ノズルを容易に特定できる。特に、前記ノズル番号が+1ずつ加算される数値であれば、その連続性を容易に判断でき、ドット抜けのノズルも容易に特定できる。
また、ノズル番号を二進法で表したドット列を用いれば、BCDコードを用いた場合に比べて桁数を少なくできる。例えば、ノズル番号を1〜180まで表現する場合、二進法では、20の桁から28の桁まで9桁を用意すればよい。これに対し、BCDコードでは、十進数の1桁を二進数4桁で表現するため、三桁の数字である180まで表現するには、二進数で12桁が必要となる。従って、二進法で表せば、吐出判定ドット列の桁数を小さくできる。
【0012】
本発明の液滴吐出検出装置において、前記液滴吐出ヘッド制御手段は、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、前記吐出判定ドット列の他に、前記吐出判定ドット列の位置を検出するための位置決めドット列を形成するための液滴を吐出させ、前記検出手段は、前記画像取得手段で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された前記位置決めドット列の位置を検出し、この位置決めドット列の位置を基準にして、前記吐出判定ドット列を検出することが好ましい。
【0013】
本発明によれば、画像処理で吐出判定ドット列の各ドットを検出する際に、位置決めドット列を基準にして検出することができる。このため、各画像を撮影する場合も、各位置決めドット列が含まれていれば、高精度に位置決めする必要がなく、この点でも高価な位置決め機構を不要にできる。さらに、吐出判定ドット列の各ドットの位置を検出する際に、位置決めドット列間の長さを基準にすれば、撮影時の倍率を変更しても正しく検出できる。従って、ノズル数などに応じて、撮影時の倍率を調整して撮影範囲を変更しても、画像処理プログラムは同一のものを利用でき、汎用性も向上できる。
【0014】
本発明の液滴吐出検出装置において、前記画像取得手段は、前記被検査物上に形成された吐出判定ドット列の画像を、前記ノズルの並び方向に設定された複数の撮影領域毎に取得し、前記複数の撮影領域は、隣接する撮影領域において、2列の同じドット列が含まれるように設定されていることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、各撮影領域において2列分の同じドット列が含まれるように設定されているので、カメラの位置に多少のずれが生じても、少なくとも1列分のドット列は確実に各画像内に含んで撮影できる。このため、各ノズル番号のドット列において不完全に撮影されるものを無くすことができる。
【0016】
本発明の液滴吐出検出装置において、前記検出手段は、前記抜けているコードが有る場合には、そのコードに対応するノズルを異常ノズルと判定し、重複するコードが有る場合には、それらの前後のコードに基づいてコードの並び順の連続性を確認し、連続性がない重複コードに対応するノズルを異常ノズルと判定することが好ましい。
本発明によれば、吐出判定ドット列を検出することで、ドット抜けなどの異常ノズルを容易に判定できる。
【0017】
本発明の液滴吐出検出方法は、複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから被検査物に液滴を吐出することで形成されるドットを検出する液滴吐出検出方法であって、前記液滴吐出ヘッドを制御して液滴を吐出させる液滴吐出工程と、前記被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得工程と、前記電子画像を画像処理して前記ドット列を検出する検出工程と、を備え、前記液滴吐出工程は、前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、各ノズル毎に異なるコードであり、かつ、各ノズルの並び順に対応する前記コードの並び順が予め設定されているコードを表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させて、前記被検査物上に前記ノズルの並び順で各吐出判定ドット列を形成し、前記検出工程は、前記画像取得工程で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された吐出判定ドット列を画像処理によって検出し、検出された吐出判定ドット列をコード化し、そのコードの並び順が前記予め設定されている並び順と対応しているかを判定し、抜けているコードの有無を検出することを特徴する。
本発明の液滴吐出検出方法においても、前記液滴吐出検出装置と同じ作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る液滴吐出検出装置を示す平面図である。
【図2】前記液滴吐出検出装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る液滴吐出装置を示す斜視図である。
【図4】液滴吐出装置の液滴吐出ヘッドの要部を示す斜視図である。
【図5】液滴吐出検出方法を示すフローチャートである。
【図6】被検査物上に形成されたドット列を示す平面図である。
【図7】前記ドット列の構成を説明するための図である。
【図8】被検査物上に形成されたドット列の撮影領域を示す平面図である。
【図9】検出工程を示すフローチャートである。
【図10】位置決めドット列の位置検出方法を説明するための図である。
【図11】吐出判定ドット列の位置検出方法を説明するための図である。
【図12】吐出判定ドット列の検出結果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態に係る本発明の液滴吐出検出装置について、図面を参照して説明する。
【0020】
[液滴吐出検出装置の構成]
図1に示す液滴吐出検出装置1は、液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)のノズルから吐出された液滴が被検査物に着弾して得られたドットを検出して、液滴が正常に吐出されているか否かを検出するものである。特に、液滴が吐出されていないノズル、いわゆるドット抜けしたノズルを検出するものである。
この液滴吐出検出装置1によれば、液滴吐出ヘッドに、液滴の不吐出等の吐出異常が生じているのを発見することができ、これにより、液滴吐出装置(インクジェット描画装置)によって製造される製品の歩留まりの向上に寄与することができる。
【0021】
図1に示すように、液滴吐出検出装置1は、紙等のシート状の被検査物20が載置される検査テーブル2と、検査テーブル2上の被検査物20を撮影可能なカメラ3と、カメラ3を水平方向(XY軸方向)および上下方向(Z軸方向)に移動させる移動手段4とを備えている。
なお、図1中の左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向、図1の紙面に直交する方向をZ軸方向としている。
【0022】
検査テーブル2の上面は、水平な載置面2Aとされ、この載置面2Aに被検査物20が載置される。この際、被検査物20を真空吸着等の保持手段で保持しても良い。
カメラ3は、例えばCCDセンサー等の固体撮像素子と、カメラレンズとを有している。このカメラ3は、被検査物20上の所定領域を撮影する。
【0023】
移動手段4は、カメラ3を支持する支持板5と、支持板5を介してカメラ3をZ軸方向に移動可能かつ所定の位置に位置決め可能に支持するZ軸方向移動手段6と、Z軸方向移動手段6および支持板5を介してカメラ3をX軸方向に移動可能かつ所定の位置に位置決め可能に支持するX軸方向移動手段7と、X軸方向移動手段7、Z軸方向移動手段6および支持板5を介してカメラ3をY軸方向に移動可能かつ所定の位置に位置決め可能に支持するY軸方向移動手段8とを備えている。
【0024】
X軸方向移動手段7およびY軸方向移動手段8としては、例えばリニアモーター等を用いた構成が挙げられ、Z軸方向移動手段6としては、例えば送りねじ機構を用いた構成が挙げられる。ただし、これに限定されることなく、同様の機能を有するものであれば他のいかなるものでも良い。
【0025】
図2に示すように、液滴吐出検出装置1は、さらに、制御手段10と、画像処理手段11と、出力手段としてのディスプレイ12および外部記憶装置13とを有している。
画像処理手段11は、カメラ3により撮影されたドット列の電子画像を記憶する記憶部17を備え、この記憶部17に記憶された画像を処理することにより、各ドットの座標を取得する機能等を有している。
従って、カメラ3および画像処理手段11によって、被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得手段が構成されている。
【0026】
ディスプレイ12は、例えば液晶ディスプレイなどで構成されており、操作画面、データ入力画面、カメラ3により撮影されたドット列の画像、ドット抜け等の検出結果等を表示することができる。
外部記憶装置13は、ハードディスクなどで構成されている。この外部記憶装置13には、制御手段10で実行されるプログラムや、ドット抜け等の検出結果が記憶される。
【0027】
制御手段10は、CPU(Central Processing Unit)15と、記憶部16とを有している。そして、制御手段10は、外部記憶装置13に記憶されたプログラムをCPU15で実行することで、移動手段4、画像処理手段11、ディスプレイ12、液滴吐出装置100をそれぞれ制御する。
特に、制御手段10は、液滴吐出装置100に対しては、後述するように、制御対象となる搬送部102、ヘッド案内部103、液滴吐出ヘッド110を制御する。また、制御手段10は、画像処理手段11で取得された画像を処理して液滴のドット抜けなどを検出する。従って、制御手段10によって、本発明の液滴吐出ヘッド制御手段および検出手段が構成されている。
なお、記憶部16は、CPU15が直接アクセス可能な内部メモリー(内部記憶装置)として機能するものである。
【0028】
[液滴吐出装置の構成]
次に、被検査物20に液滴を吐出する液滴吐出ヘッド110を備える液滴吐出装置100の構成について、図3を参照して説明する。
【0029】
液滴吐出装置100は、例えばウエハー製造工場などにおいて使用される産業用インクジェットプリンターである。なお、本発明において、液滴吐出装置100とは、産業用の液滴吐出装置だけでなく、文字・画像等を印刷する通常のインクジェットプリンターをも含む概念である。
また、液滴吐出ヘッド110が吐出する液体(分散液を含む)としては、特に限定されるものではなく、例えば、インク、カラーフィルターのフィルター材料、有機EL装置におけるEL発光層を形成するための蛍光材料、PDP装置における蛍光体を形成するための蛍光材料、電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料、基板の表面にバンクを形成するためのバンク材料、各種コーティング材料、電極を形成するための液状電極材料、2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサーを構成する粒子材料、金属配線を形成するための液状金属材料、マイクロレンズを形成するためのレンズ材料、レジスト材料、光拡散体を形成するための光拡散材料等が挙げられる。
【0030】
液滴吐出装置100は、被印刷物を載置するステージ101と、ステージ101を図3におけるY軸方向に搬送する搬送部102と、被印刷物に印刷を実施する液滴吐出ヘッド110と、液滴吐出ヘッド110をX軸方向に移動させるヘッド案内部103とを備えている。
なお、搬送部102やヘッド案内部103は、モーターなどを用いてステージ101や液滴吐出ヘッド110を移動させる従来から知られている構成であるため、説明を省略する。
この搬送部102、ヘッド案内部103や、液滴吐出ヘッド110は、吐出検査時には、図2に示すように、制御手段10によって制御される。また、吐出検査時には、前記ステージ101上には、液滴が吐出されてドット列が形成される被検査物20が載置される。この被検査物20としては、通常は印刷用紙を用いればよいが、吐出する液滴の種類などに応じて、樹脂シートや、ガラス板、金属板などの適宜な材質のものを選択すればよい。
【0031】
液滴吐出ヘッド110の下面には、図4に示すように、液滴を吐出するための複数のノズル111が形成されている。ノズル111は、通常は、X軸方向およびY軸方向に複数個ずつ配置されて二次元に配列されているが、本実施形態では、説明を簡略するため、X軸方向のみに所定数のノズル111が一定間隔で配置されているものとする。そして、図4において、右側からノズル番号1のノズル1111、ノズル番号2のノズル1112、ノズル番号3のノズル1113、…、ノズル番号nのノズル111nとする。
【0032】
なお、ノズル111から液滴を吐出させるアクチュエーターとしては、発熱体により発生する蒸気泡で液滴をノズル111から吐出する、いわゆるサーマルインクジェット方式、圧力室に圧電素子を配置し、圧電素子の歪みにより圧力室の液に圧力を印加して液滴をノズル111から吐出させるピエゾインクジェット方式など、液体に加圧してノズル111から吐出させるものであればいかなるものであってもよい。
【0033】
[液滴吐出検出方法(ドット抜け検査方法)]
次に上述したような液滴吐出検出装置1における、液滴吐出検出方法について図面に基づいて説明する。
図5は、液滴吐出検出装置1における液滴吐出検出方法を示すフローチャートである。図5に示すように、液滴吐出検出方法は、液滴吐出工程S1、画像取得工程S2、検出工程S3を備えている。
【0034】
[1.液滴吐出工程]
液滴吐出検出装置1の制御手段10は、まず、液滴吐出装置100を制御して検査用のドット列を形成するために、以下に説明する液滴吐出工程S1を行う。
【0035】
[1−1.事前準備]
図3に示すように、液滴吐出装置100のステージ101に、被検査物20となる紙やシートを載置しておく。この際、被検査物20はX軸方向の長さ寸法が前記液滴吐出ヘッド110のX軸方向に並ぶノズル111の形成領域以上となるように設定されている。例えば、ノズル111がX軸方向に180個形成されている場合、被検査物20のX軸方向の長さ寸法が、180個のノズル111が並んだ寸法以上となるように設定されている。
このため、すべてのノズル111から液滴を同時に吐出した際に、被検査物20にすべてのノズル111からの液滴が着弾してドットが形成されることになる。
【0036】
[1−2.第1の位置決めドット列印刷]
次に、制御手段10は、液滴吐出装置100を制御して、図6に示すようなドット列が形成されるように、被検査物20に対して液滴を吐出させる。
すなわち、図6において、上下方向が液滴吐出装置100のX軸方向、左右方向がY軸方向である。
液滴吐出装置100は、液滴吐出ヘッド110をヘッド案内部103によってX軸方向に移動して、すべてのノズル111が被検査物20に対向する位置に配置する。
【0037】
この際、図4に示すように、各ノズル111は、+X軸側の端部のノズル番号1のノズル1111から、−X軸方向に順次+1ずつノズル番号が増加する並びで各ノズル111が配列されている。
従って、図6において、+X軸方向の端部である最も上側のドット列は、ノズル番号1のノズル1111から吐出された液滴で形成され、上から2番目のドット列は、ノズル番号2のノズル1112から吐出された液滴で形成される。
なお、図6では、どのノズル番号のノズル111から吐出された液滴で形成されたドットであるのかを示すために、ドット列の右側にアラビア数字を表示し、一点鎖線で囲っているが、これらの数字や一点鎖線は参照用に付記したものであり、実際の被検査物20上に印刷されているものではない。
【0038】
そして、制御手段10は、液滴吐出装置100を制御し、最初にすべてのノズル111から液滴を吐出し、図6において各ドット列の右端のドットを形成する。次に、ステージ101を−Y軸方向に移動し、被検査物20に対して液滴吐出ヘッド110を相対的に+Y軸方向に移動する。そして、すべてのノズル111から液滴を吐出し、先ほど形成したドットの左側に2番目のドットを形成(印刷)する。この動作を再度行い、3つのほぼ連続するドットを、各ノズル111位置に対応して形成する。これらの3つのドットにより、第1の位置決めドット列23が形成される。
【0039】
[1−3.吐出判定ドット列印刷]
次に、制御手段10は、液滴吐出装置100を制御し、第1の位置決めドット列23に続いて、吐出判定ドット列24を形成(印刷)する。
本実施形態では、吐出判定ドット列24は、各ノズル111のノズル番号を2進法で表したドットが形成されている。すなわち、図7に模式的に示すように、吐出判定ドット列24には、第1の位置決めドット列23に続いて、所定間隔で20の桁、21の桁、22の桁、23の桁、24の桁、25の桁、26の桁、27の桁、28の桁、29の桁、210の桁の領域が設定されている。なお、本実施形態では、ノズル111は180個設けられているため、二進法では28の桁まで設定する必要がある。従って、最小限、20の桁から28の桁までは形成されている。この桁数は、液滴吐出ヘッド110のノズル数に応じて設定すればよい。
【0040】
本実施形態では、各領域にドットが形成されている場合には、その桁の数字を「1」とし、ドットが形成されていない場合には「0」と判断する。
このため、ノズル番号「1」を表すには、20の桁のみにドットを形成すればよい。同様に、ノズル番号「2」は、21の桁のみにドットを形成し、ノズル番号「3」は、20の桁および21の桁にドットを形成する。
実際には、ステージ101が−Y軸方向に移動するため、最初に、20の桁の領域にノズルが対向する位置までステージ101を移動し、その位置にドットを形成する必要があるノズル番号(具体的には奇数番号)のノズル111から液滴を吐出する。
次に、21の桁の領域にノズルが対向する位置までステージ101を移動し、その位置にドットを形成する必要があるノズル番号のノズル111から液滴を吐出する。
これを、22の桁から28の桁まで繰り返し行い、各ノズル111の番号を二進法で表した吐出判定ドット列24を形成する。
【0041】
[1−4.第2の位置決めドット列印刷]
次に、第1の位置決めドット列23と同様に、3つのドットを順次形成して第2の位置決めドット列25を形成(印刷)する。
【0042】
なお、液滴吐出ヘッド110のノズル111が2列以上設けられている場合には、ステージ101を移動し、第2の位置決めドット列25の次に、2列目のノズル111を用いて、前記第1の位置決めドット列23、吐出判定ドット列24、第2の位置決めドット列25を形成する。この場合、1列目の第2の位置決めドット列25を、2列目の第1の位置決めドット列23として兼用してもよい。
また、2列目のノズルにおいても、通常は、ノズル番号1〜180を設定すればよいが、1列目のノズル番号に続く番号、つまり181〜360を設定してもよい。この場合、吐出判定ドット列24の29の桁にもドットが形成されることになる。
【0043】
[2.画像取得工程]
次に、液滴吐出工程S1で各ドット列が形成された被検査物20を、液滴吐出検出装置1の検査テーブル2上に載置する。この被検査物20の載置は、通常は検査員が行えばよいが、搬送ロボット等を用いて自動化してもよい。
そして、制御手段10は、被検査物20の画像取得工程S2を実行する。
画像取得工程S2では、被検査物20全体を1度に撮影できないため、カメラ3を移動して複数の画像を取得し、記憶部17に記憶する。
すなわち、図1、8に示すように、被検査物20を、各ノズル番号に沿った方向が、液滴吐出検出装置1においてY軸方向となる向きに載置面2A上に載置する。
この際、カメラ3は、各ドットを識別するために、所定の倍率で被検査物20を撮影する。具体的には、図8に示すように、液滴吐出検出装置1のX軸方向、つまり、各ノズル番号毎の第1の位置決めドット列23、吐出判定ドット列24、第2の位置決めドット列25までの領域は1度に撮影できるように設定されている。一方、液滴吐出検出装置1のY軸方向には、ノズル番号で10個分のドット列を含む領域を撮影できるように設定されている。
【0044】
このため、制御手段10は、Y軸方向移動手段8を制御し、カメラ3をY軸方向に順次移動させながら、被検査物20を撮影する。これにより、複数枚の画像が取得できる。図8において、各画像31〜34の撮影領域を二点鎖線で示す。
この際、制御手段10は、Y軸方向の移動量を各ドット列の8行分、つまり、液滴吐出ヘッド110においてノズル8個分に設定している。このため、最初の画像31では、ノズル番号1〜10までのドット列が撮影され、二番目の画像32では、ノズル番号9〜18までのドット列が撮影され、三番目の画像33では、ノズル番号17〜26までのドット列が撮影され、四番目の画像34では、ノズル番号25〜34までのドット列が撮影されている。
【0045】
このように各画像31〜34では、前後の画像と、ノズル番号で2つ分のドット列が重複するように、カメラ3のY軸方向の移動量が設定されている。これは、ノズル番号で1つ分のドット列が重複するようにした場合には、撮影位置にズレが生じると、重複する部分のドット列を完全に撮影できない可能性があるためである。例えば、画像31,32で、ノズル番号10のドット列のみを重ねて撮影する場合、撮影領域が僅かにずれて、各画像31,32においてノズル番号10のドット列を半分しか含まない可能性がある。この場合、いずれの画像31,32においても、ノズル番号10のドット列が完全には撮影されないことになる。
これに対し、本実施形態のように、2列分のドット列が重なるように設定すれば、多少のずれが生じても、少なくとも1列分は確実に各画像内に撮影される。例えば、画像31において、ノズル番号10のドット列が不完全に撮影された場合でも、ノズル番号9のドット列は確実に撮影できる。一方、画像32においては、ノズル番号9のドット列が不完全に撮影された場合でも、ノズル番号10のドット列は確実に撮影できる。従って、2つの画像31,32において、重複するノズル番号9,10のドット列は、いずれかの画像においては確実に撮影することができる。このため、各ノズル番号のドット列において不完全に撮影されるものを無くすことができる。
【0046】
[3.検出工程]
次に、制御手段10は、画像取得工程S2で取得して記憶部17に記憶した画像を処理し、液滴の不吐出などの原因で生じるドット抜けを検出する(S3)。
この検出工程S3の詳細なフローチャートを、図9に示す。
検出工程S3では、制御手段10は、まず、取得した各画像において、位置決めドット列23,25の位置を検出する(S31)。
具体的には、図10に示すように、位置決めドット列23,25における各ドットを検出する。この際、画像処理中は、図10に示すように、同一のノズルで形成された各ドット列23,24,25が並ぶ方向をX軸方向とし、ノズル番号が異なるドット列が並ぶ方向をY軸方向とする。そして、前記3つのドットが連続する位置を検出し、真ん中のドットの中心点(図10で十字マークで示す点)の座標を検出する。
【0047】
次に、制御手段10は、S31で検出した位置決めドット列23,25の位置を基準にして、吐出判定ドット列24の各桁の位置を検出し、各桁位置におけるドットの有無を検出する(S32)。
具体的には、図11に示すように、吐出判定ドット列24の各桁位置を位置決めドット列23,25の位置を基準に検出し、その各桁位置にドットが存在するか否かを検出する。
【0048】
次に、制御手段10は、S32で検出した吐出判定ドット列24のドットの検出結果に基づいて、ドット列を数値化する。すなわち、ドットが検出された桁位置には「有」、ドットが検出されなかった桁位置には「無」を表示すると、図10,11の画像31の検出結果は、図12に示すようになる。
そして、吐出判定ドット列24の各桁位置は二進法で設定されているので、十進法の数字で数値化すると、図12に示す画像31の検出結果の場合、上から「1」〜「10」の数値となる。ここで、吐出判定ドット列24は、そのドットを形成する液滴を吐出したノズル番号を二進法であらわしたものであるから、S33ではノズル番号が数値化されることになる。
また、図8に示す画像32の場合、上から「9」〜「18」の数値となり、画像33の場合、「17」〜「26」の数値となり、画像34の場合、「25」〜「34」の数値となる。
【0049】
次に、制御手段10は、S33で数値化した各画像のノズル番号を、各画像の順に記憶部16や外部記憶装置13に記憶する(S34)。この際、各画像において、他の画像と重複して読み取られたノズル番号は、一つにまとめて記憶すればよい。
そして、制御手段10は、S34で記憶したノズル番号を読み出し、連続性があるかを確認する(S35)。本実施形態では、ノズル番号を「1」から順に+1増加させているので、検出されたノズル番号も同じパターンとなる。従って、あるノズル番号mの直前のノズル番号は数値「m−1」となり、直後のノズル番号は「m+1」となるはずである。
従って、このようなパターンとなっていれば、ノズル番号に連続性があると判定できる。一方、例えば、ノズル番号「4」の後が「6」であった場合のように、検出されたノズル番号に連続性が無い場合、数値化されていないドットが抜けドットであり、そのノズル番号のノズルに、目詰まりや吐出用のアクチュエーターの不良、あるいは飛行曲がりによる吐出位置ずれなどの異常が生じていることを検出できる。
【0050】
次に、制御手段10は、S34で記憶したノズル番号において、同じノズル番号が存在するか確認する。同じノズル番号が存在する場合、どちらかが異常ノズルであって、吐出した液滴が正しい位置に着弾しなかったことが想定できる。同じノズル番号が存在したら、各ノズル番号の前後のノズル番号を確認し、連続性がないほうを異常ノズルと判定する。
【0051】
以上の処理によって、異常ノズルを検出することができる。すなわち、目詰まりなどで液滴を吐出できない異常ノズルが存在する場合、そのノズル番号のドット列には、位置決めドット列23,25や吐出判定ドット列24が何ら形成されない。このため、このノズル番号の数値は抜けてしまい、ノズル番号の連続性を確認した際に、ノズル番号の連続性がないことから、数値化されなかったノズル番号のノズルに異常が生じていることを検出できる。
また、液滴を吐出するピエゾ素子などのアクチュエーターの動作不良などによって、液滴が吐出されない場合も同様に検出できる。
さらに、吐出した液滴が飛行曲がりなどでずれて、異なる位置にドットが形成されると、本来のノズル番号とは異なる番号を認識する可能性もあるが、その場合も同じ番号のドット列が発生し、ノズル番号の連続性を確認することで、異常ノズルを検出することができる。
【0052】
なお、上記の処理によって、異常ノズルが検出された場合は、必要に応じてノズルのクリーニング処理等を行い、ノズルの異常が解消されたかを確認する。クリーニング処理としては、例えばインクを打ち捨てる、いわゆるフラッシング処理や、ワイパーなどによりノズル111が設けられた面を拭き取るワイピングなどが挙げられる。
【0053】
[作用効果]
このような本実施形態によれば、液滴吐出工程S1において、各ノズル111から液滴を吐出して吐出判定ドット列24を形成する際に、各ノズル111のノズル番号を二進法で示すドット列となるように制御している。そして、検出工程S3では、撮影した画像の吐出判定ドット列24部分を画像処理で認識し、そのドット列で表される数値をノズル番号として記憶しているので、そのノズル番号の連続性や重複を判定すれば、どのノズル番号のノズル111に異常が生じているのかを容易に検出することができる。
【0054】
また、被検査物20に形成されたドット列を識別可能な倍率で撮影するために、印刷されたドット列のすべてを一度に撮影することができず、複数の画像31〜34として撮影する場合がある。この際、従来のドットずれ検出方法では、複数の画像の座標系を統合するために同じドットを高精度に位置決めされたカメラで撮影して連結ドットを取得しなければならず、高価な位置決め機構が必要となる。
これに対し、本実施形態では、各画像31〜34において、各ドット列毎にノズル番号を取得すればよく、各画像の座標系を統合する必要がない。このため、各画像を撮影する際の位置決め精度が低くても、各画像において、ノズル番号を検出できればよく、かつ、同じノズル番号のドット列が含まれていれば、ノズル番号の連続性の判断も問題なく実行でき、ドット抜けを判別することができる。従って、高価な位置決め機構も不要にでき、コストを削減できる。
【0055】
さらに、従来のドットずれ検出方法では、同一の連結ドットが形成されていない場合には、各画像の座標系を統合できず、その後の処理を行えないために異常ノズルの検出もできない。
これに対し、本実施形態では、各画像において重複して撮影するドット列が、そのドット列を印刷するためのノズル111に異常があって形成されていない場合でも、前後のノズル番号を検出することで、ドット抜けであることを判別でき、異常ノズルを容易に検出できる。
【0056】
吐出判定ドット列24には、ノズル番号を二進法で示すドットを印刷しているので、BCDコード等でノズル番号を表す場合に比べて、桁数を少なくでき、吐出判定ドット列24の幅寸法も小さくできる。
【0057】
また、前記実施形態では、位置決めドット列23,25を形成しているので、画像処理で吐出判定ドット列24の各ドットを検出する際に、位置決めドット列23,25を基準にして検出することができる。このため、各画像31〜34を撮影する場合も、各位置決めドット列23,25が含まれていれば、高精度に位置決めする必要がなく、この点でも高価な位置決め機構を不要にできる。さらに、吐出判定ドット列24の各ドットの位置を検出する際に、位置決めドット列23,25間の長さを基準にすれば、撮影時の倍率を変更しても正しく検出できる。従って、ノズル数などに応じて、撮影時の倍率を調整して撮影範囲を変更しても、画像処理プログラムは同一のものを利用でき、汎用性も向上できる。
【0058】
[他の実施の形態]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0059】
また、前記実施形態では、吐出判定ドット列24にノズル番号を二進法で示すドットを形成していたが、ノズル番号をBDCコードなどの「1,0」の二進数で表すことができるコード形式で形成してもよい。
さらに、前記実施形態では、ノズル番号を、+1ずつ加算するパターンで設定していたが、例えば、+2ずつ加算するパターンなど他のパターンで設定してもよい。例えば、ノズル番号を、「1、3、5、…」などの奇数のみで設定すれば、二進法でドット列を形成した場合に、20桁にドットが必ず形成される。このような特徴を考慮して、ノズル抜けを判断することもできる。
【0060】
また、吐出判定ドット列24に形成するドット列は、ノズル番号を表すものに限定されず、各ノズル111を個別に判別でき、かつ、そのノズル111の順番を判定できるものであればよい。例えば、各種の記号や文字を所定の並びで設定した表、例えば、「ひらがな」を「あいうえお順」に並べた表などを、記憶部16に記憶する。そして、その表の順番でコード化されたものを、吐出判定ドット列24にドット列で印刷する。次に、そのドット列を画像処理してコードを検出し、元の記号や文字に変化する。そして、前記表の並びと比較することで、ドット抜け等の異常ノズルを検出すればよい。
【0061】
前記実施形態では、カメラ3で撮影する撮影領域を、隣接する撮影領域において、2列の同じドット列が含まれるように設定していたが、1列の同じドット列が含まれるように設定してもよい。さらには、隣接するドット列が、隣接する撮影領域のそれぞれに含まれるようにし、同じドット列が2つの撮影領域に含まれないように設定してもよい。ただし、これらの場合には、カメラ3の位置精度を高める必要があるため、前記実施形態のように設定することが好ましい。
【0062】
前記実施形態では、吐出判定ドット列24の他に、位置決めドット列23,25を形成していたが、これらの位置決めドット列23,25は必ずしも必要ではなく、吐出判定ドット列24部分の画像を処理して各ドットを検出してもよい。例えば、前記実施形態では、20の桁は、ノズル番号の順でドットの有り無しが交互に表れる。従って、この交互のパターンを検出すれば20の桁の位置を検出できる。また、21の桁は、ノズル番号の順でドットの有り無しが2つずつ交互に表れる。従って、この2つずつの交互のパターンを検出すれば21の桁の位置を検出できる。そして、これらの2つの桁の位置を検出すれば、各桁位置の間隔を把握でき、他の桁位置も検出できる。従って、各ノズル番号のドット列からノズル番号を検出することができる。
ただし、前記実施形態のように、位置決めドット列23,25を設けた方が、吐出判定ドット列24の桁位置を容易に検出できて画像処理の負荷を軽減できる利点がある。
【0063】
さらに、液滴吐出検出装置1や液滴吐出装置100の具体的な構成は、前記実施形態のものに限らない。例えば、カメラ3や液滴吐出ヘッド110と被検査物20とを相対的に移動させる構成としては、被検査物20が載置される検査テーブル2やステージ101が動くものでも、カメラ3や液滴吐出ヘッド110側が移動するものでもよく、実施にあたって適宜設定すればよい。
【符号の説明】
【0064】
1…液滴吐出検出装置、2…検査テーブル、2A…載置面、3…カメラ、4…移動手段、6…Z軸方向移動手段、7…X軸方向移動手段、8…Y軸方向移動手段、10…制御手段、11…画像処理手段、15…CPU、16,17…記憶部、20…被検査物、23…第1の位置決めドット列、24…吐出判定ドット列、25…第2の位置決めドット列、31〜34…画像、100…液滴吐出装置、101…ステージ、102…搬送部、103…ヘッド案内部、110…液滴吐出ヘッド、111…ノズル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから被検査物に液滴を吐出することで形成されるドットを検出する液滴吐出検出装置であって、
前記液滴吐出ヘッドを制御して液滴を吐出させる液滴吐出ヘッド制御手段と、
前記被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得手段と、
前記電子画像を画像処理して前記ドット列を検出する検出手段と、を備え、
前記液滴吐出ヘッド制御手段は、
前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、各ノズル毎に異なるコードであり、かつ、各ノズルの並び順に対応する前記コードの並び順が予め設定されているコードを表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させて、前記被検査物上に前記ノズルの並び順で各吐出判定ドット列を形成し、
前記検出手段は、
前記画像取得手段で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された吐出判定ドット列を画像処理によって検出し、検出された吐出判定ドット列をコード化し、そのコードの並び順が前記予め設定されている並び順と対応しているかを判定し、抜けているコードの有無を検出する
ことを特徴する液滴吐出検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出検出装置において、
前記液滴吐出ヘッド制御手段は、
前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、そのノズルの番号を二進法で表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させ、
前記検出手段は、
前記画像取得手段で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された吐出判定ドット列を画像処理によって検出し、検出された吐出判定ドット列に基づいてノズル番号を検出し、このノズル番号が連続しているか否かを判定して、抜けているノズル番号の有無を検出する
ことを特徴とする液滴吐出検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液滴吐出検出装置において、
前記液滴吐出ヘッド制御手段は、
前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、前記吐出判定ドット列の他に、前記吐出判定ドット列の位置を検出するための位置決めドット列を形成するための液滴を吐出させ、
前記検出手段は、
前記画像取得手段で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された前記位置決めドット列の位置を検出し、この位置決めドット列の位置を基準にして、前記吐出判定ドット列を検出する
ことを特徴とする液滴吐出検出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の液滴吐出検出装置において、
前記画像取得手段は、前記被検査物上に形成された吐出判定ドット列の画像を、前記ノズルの並び方向に設定された複数の撮影領域毎に取得し、
前記複数の撮影領域は、隣接する撮影領域において、2列の同じドット列が含まれるように設定されている
ことを特徴とする液滴吐出検出装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の液滴吐出検出装置において、
前記検出手段は、
前記抜けているコードが有る場合には、そのコードに対応するノズルを異常ノズルと判定し、
重複するコードが有る場合には、それらの前後のコードに基づいてコードの並び順の連続性を確認し、連続性がない重複コードに対応するノズルを異常ノズルと判定する
ことを特徴とする液滴吐出検出装置。
【請求項6】
複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから被検査物に液滴を吐出することで形成されるドットを検出する液滴吐出検出方法であって、
前記液滴吐出ヘッドを制御して液滴を吐出させる液滴吐出工程と、
前記被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得工程と、
前記電子画像を画像処理して前記ドット列を検出する検出工程と、を備え、
前記液滴吐出工程は、
前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、各ノズル毎に異なるコードであり、かつ、各ノズルの並び順に対応する前記コードの並び順が予め設定されているコードを表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させて、前記被検査物上に前記ノズルの並び順で各吐出判定ドット列を形成し、
前記検出工程は、
前記画像取得工程で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された吐出判定ドット列を画像処理によって検出し、検出された吐出判定ドット列をコード化し、そのコードの並び順が前記予め設定されている並び順と対応しているかを判定し、抜けているコードの有無を検出する
ことを特徴する液滴吐出検出方法。
【請求項1】
複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから被検査物に液滴を吐出することで形成されるドットを検出する液滴吐出検出装置であって、
前記液滴吐出ヘッドを制御して液滴を吐出させる液滴吐出ヘッド制御手段と、
前記被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得手段と、
前記電子画像を画像処理して前記ドット列を検出する検出手段と、を備え、
前記液滴吐出ヘッド制御手段は、
前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、各ノズル毎に異なるコードであり、かつ、各ノズルの並び順に対応する前記コードの並び順が予め設定されているコードを表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させて、前記被検査物上に前記ノズルの並び順で各吐出判定ドット列を形成し、
前記検出手段は、
前記画像取得手段で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された吐出判定ドット列を画像処理によって検出し、検出された吐出判定ドット列をコード化し、そのコードの並び順が前記予め設定されている並び順と対応しているかを判定し、抜けているコードの有無を検出する
ことを特徴する液滴吐出検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出検出装置において、
前記液滴吐出ヘッド制御手段は、
前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、そのノズルの番号を二進法で表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させ、
前記検出手段は、
前記画像取得手段で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された吐出判定ドット列を画像処理によって検出し、検出された吐出判定ドット列に基づいてノズル番号を検出し、このノズル番号が連続しているか否かを判定して、抜けているノズル番号の有無を検出する
ことを特徴とする液滴吐出検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液滴吐出検出装置において、
前記液滴吐出ヘッド制御手段は、
前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、前記吐出判定ドット列の他に、前記吐出判定ドット列の位置を検出するための位置決めドット列を形成するための液滴を吐出させ、
前記検出手段は、
前記画像取得手段で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された前記位置決めドット列の位置を検出し、この位置決めドット列の位置を基準にして、前記吐出判定ドット列を検出する
ことを特徴とする液滴吐出検出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の液滴吐出検出装置において、
前記画像取得手段は、前記被検査物上に形成された吐出判定ドット列の画像を、前記ノズルの並び方向に設定された複数の撮影領域毎に取得し、
前記複数の撮影領域は、隣接する撮影領域において、2列の同じドット列が含まれるように設定されている
ことを特徴とする液滴吐出検出装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の液滴吐出検出装置において、
前記検出手段は、
前記抜けているコードが有る場合には、そのコードに対応するノズルを異常ノズルと判定し、
重複するコードが有る場合には、それらの前後のコードに基づいてコードの並び順の連続性を確認し、連続性がない重複コードに対応するノズルを異常ノズルと判定する
ことを特徴とする液滴吐出検出装置。
【請求項6】
複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから被検査物に液滴を吐出することで形成されるドットを検出する液滴吐出検出方法であって、
前記液滴吐出ヘッドを制御して液滴を吐出させる液滴吐出工程と、
前記被検査物上に形成されたドット列の電子画像を取得する画像取得工程と、
前記電子画像を画像処理して前記ドット列を検出する検出工程と、を備え、
前記液滴吐出工程は、
前記液滴吐出ヘッドの各ノズルから、各ノズル毎に異なるコードであり、かつ、各ノズルの並び順に対応する前記コードの並び順が予め設定されているコードを表す吐出判定ドット列を形成するための液滴を吐出させて、前記被検査物上に前記ノズルの並び順で各吐出判定ドット列を形成し、
前記検出工程は、
前記画像取得工程で取得された電子画像において、各ノズル毎に形成された吐出判定ドット列を画像処理によって検出し、検出された吐出判定ドット列をコード化し、そのコードの並び順が前記予め設定されている並び順と対応しているかを判定し、抜けているコードの有無を検出する
ことを特徴する液滴吐出検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−224485(P2011−224485A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97615(P2010−97615)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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