説明

液滴吐出装置

【課題】描画精度を維持したまま、コストおよび単位重量を低く抑えることができる液滴吐出装置を提供することである。
【解決手段】描画エリア31において、ワークWの移動に同期して、機能液滴吐出ヘッド53を吐出駆動することで描画を行うと共に、描画エリア31からワークWの移動方向片側に外れた2つの除給材エリア35,36において、ワークWの除給材を行う液滴吐出装置1であって、X軸スライダー23を有すると共に、ワークWがセットされる一対のワークステージ21と、X軸スライダー23を介して、一対のワークステージ21の移動を描画エリアおよび2つの除給材エリア35,36に亘ってガイドするX軸移動ガイド22と、を備え、X軸移動ガイド22は、描画エリア31と2つの除給材エリア35,36に対応して3分割されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークおよび機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、ワークに描画を行う液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液滴吐出装置として、ワークおよび機能液滴吐出ヘッドを相対的に移動させながら、描画エリアにおいて、ワークに描画を行うと共に、描画エリアから外れた除給材エリアにおいて、ワークの除給材を行うものが知られている(特許文献1参照)。
この液滴吐出装置は、ワークをセットするセットステージと、描画エリアおよび除給材領域間に亘り、セットステージを介してワークをX軸方向に移動させるX軸移動テーブルと、機能液を吐出する複数の機能液滴吐出ヘッドを有するキャリッジと、キャリッジをY軸方向に移動させるY軸移動テーブルと、を備えている。
この場合、X軸移動テーブルは、セットステージを支持するスライダーと、スライダーの移動を、描画エリアおよび除給材エリア間に亘ってガイドするガイド部と、ガイド部を支持するベース部と、を備えており、ベース部は、コンクリートの構成体で構成され、ガイド部は単一の石定盤で構成されている。このように装置の基礎部分を狂いの少ない部材で構成することにより、描画品質に影響を与えるセットステージの移動を高い精度に維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−43496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、描画エリアの外側に除給材エリアを有する液滴吐出装置では、X軸移動テーブル(によるセットステージ)の移動範囲が極端に長くなり、これに併せて装置の基礎部分となるガイド部およびベース部が長くなる。特に、大型のワークに描画を行なう大型の液滴吐出装置では、基礎部分となるガイド部およびベース部が長くなるだけでなく強度を考慮して大型化する。このため、ガイド部およびベース部がコスト高になると共に、その単体としての重量が非常に重くなってしまい、搬送等に支障を生ずる問題があった。また、ガイド部(およびベース部)が大型化すると機械精度が出し難くなり、描画精度が低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、描画エリアにおいては高い機械精度が要求されるものの、除給材エリアにおいてはさほど高い機械精度が要求されないことに着目して、為されたたものであり、描画精度を維持したまま、コストおよび単位重量を低く抑えることができる液滴吐出装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液滴吐出装置は、描画エリアにおいて、ワークの移動に同期して、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動することで描画を行うと共に、描画エリアからワークの移動方向片側に外れた除給材エリアにおいて、ワークの除給材を行う液滴吐出装置であって、スライダーを有すると共に、ワークがセットされるセットテーブルと、スライダーを介して、セットテーブルの移動を描画エリアおよび除給材エリアに亘ってガイドするガイド手段と、を備え、ガイド手段は、描画エリアと除給材エリアとに対応して2分割されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の他の液滴吐出装置は、描画エリアにおいて、ワークの移動に同期して、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動することで描画を行うと共に、描画エリアからワークの移動方向両側に外れた2つの除給材エリアにおいて、ワークの除給材をそれぞれ行う液滴吐出装置であって、それぞれがスライダーを有すると共に、ワークがセットされる一対のセットテーブルと、各スライダーを介して、一対のセットテーブルの移動を描画エリアおよび2つの除給材エリアに亘ってガイドするガイド手段と、を備え、ガイド手段は、描画エリアと2つの除給材エリアに対応して3分割されていることを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、ガイド手段は、描画エリアと除給材エリアとの間で2分割(あるいは3分割)されているため、ガイド手段の単体を短くすることができる。これにより、ガイド手段のコストを低減することができると共に、ガイド手段単体の重量を軽減することができる。また、ガイド手段は、描画エリアでは分割されていないため、高い機械精度により描画精度を維持することができる。
【0009】
この場合、描画エリアおよび除給材エリアに亘って、ガイド手段を支持するベース体を、更に備え、ベース体は、描画エリアと除給材エリアとに対応して2分割されていることが、好ましい。
【0010】
同様に、描画エリアおよび2つの除給材エリアに亘って、ガイド手段を支持するベース体を、更に備え、ベース体は、描画エリアと2つの除給材エリアとに対応して3分割されていることが、好ましい。
【0011】
これらの構成によれば、ベース体を2分割(あるいは3分割)されているため、ベース体単体を軽量化することができると共に、コストを抑えることができる。また、ベース体は、描画エリアでは分割されていないため、描画精度を維持することができる。
【0012】
この場合、ガイド手段は、方形断面の石定盤で構成され、スライダーは、ガイド手段の表面および両側面にガイドされるエアースライダーで構成されていることが、好ましい。
【0013】
この構成によれば、スライダーは、ガイド手段の表面および両側面によって安定にガイドされるため、ガイド手段(およびベース体)を分割しても、適切にセットテーブルを描画エリアおよび除給材エリア間で移動させることができる。なお、分割されたガイド手段(およびベース体)は、その突合せ部分において、連結手段により位置決め状態で連結されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】液滴吐出装置の斜視図である。
【図2】液滴吐出装置の平面図である。
【図3】液滴吐出装置の側面図である。
【図4】第1実施形態に係るX軸テーブルの平面図である。
【図5】機能液吐出装置の一連の動作を表した図である。
【図6】ワークテーブル廻りの断面図である。
【図7】第2実施形態に係るX軸テーブルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入したインクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを用いて、カラーフィルターや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成すると共に、これに並行して機能液滴吐出ヘッドの機能維持・機能回復(保守)を実施するものである。なお、以下の説明では、ワークの移動方向をX軸方向(主走査方向)とし、機能液滴吐出ヘッド(キャリッジユニット)の移動方向をY軸方向(副走査方向)として説明する。
【0016】
図1ないし図3に示すように、液滴吐出装置1は、機台ベース(ベース体)2と、X軸方向に延在し、セットしたワークWをX軸方向に移動させるX軸テーブル3と、X軸テーブルを跨ぐように架け渡された一対のY軸支持ベース4と、複数の機能液滴吐出ヘッド53が搭載された複数の(例えば10個)キャリッジユニット5と、一対のY軸支持ベース4上に配設され、複数のキャリッジユニット5(複数の機能液滴吐出ヘッド53)をY軸方向に移動させるY軸テーブル6と、X軸テーブル3から外れた位置でY軸テーブル6に下側から臨み、機能液滴吐出ヘッド53のメンテナンスに供する保守装置7と、X軸テーブル3に搭載した検査ステージ8と、検査ステージ8と協働して機能液滴吐出ヘッド53の吐出検査を行う一対の画像認識ユニット9と、を備えている。
【0017】
また、液滴吐出装置1は、X軸テーブル3に対し、ワークWの除給を行う一対の除給材ロボット11と、上記の構成装置を、温度および湿度が管理された雰囲気内に収容するチャンバー(図示省略)と、装置全体を統括制御する制御装置12と、を備えている。なお、X軸テーブル3に、さらに、機能液滴吐出ヘッド53からの捨て吐出を受けるフラッシングステージ13や、機能液滴吐出ヘッド53から吐出された機能液の重量を測定する重量測定ステージ14を搭載するようにしてもよい。
【0018】
保守装置7は、機能液滴吐出ヘッド53に対しキャッピングおよび吸引を行う吸引ユニット15と、吸引後の機能液滴吐出ヘッド53のノズル面を払拭するワイピングユニット16と、を有している。液滴吐出装置1の稼働開始時や要メンテナンス時に、Y軸テーブル6により機能液滴吐出ヘッド53を吸引ユニット15およびワイピングユニット16に臨ませて適宜、メンテナンスを行うようになっている。
【0019】
X軸テーブル3は、ワークWがセットされる一対のワークステージ21と、一対のワークステージ21のX軸方向への移動をガイドする一対のX軸移動ガイド(ガイド手段)22と、一対のX軸移動ガイド22上に各ワークステージ21をスライド自在に支持する一対のX軸スライダー(スライダー)23と、一対のX軸移動ガイド22上に検査ステージ8をスライド自在に支持する検査スライダー24と、各X軸スライダー23を介して一対のワークステージ21を個々に移動させ、且つ検査スライダー24を介して検査ステージ8を移動させるX軸リニアモーター25と、を有している。
同様に、Y軸テーブル6は、各キャリッジユニット5を支持する複数のブリッジプレート(図示省略)と、複数のブリッジプレートのY軸方向への移動をガイドする一対のY軸移動ガイド26と、一対のY軸移動ガイド26上に各ブリッジプレートをスライド自在に支持する複数のY軸スライダーと、各Y軸スライダーを介して複数のキャリッジユニット5を個々に移動させるY軸リニアモーター(共に図示省略)と、を有している。
【0020】
一方、X軸テーブル3およびY軸テーブル6の交差領域には、ワークWに描画動作を行う描画エリア31が設定され、描画エリア31からY軸方向に外れたY軸テーブル6の移動領域には、上記の保守装置7を配設した保守エリア32が設定されている。また、描画エリア31からX軸方向の両外側には、機能液滴吐出ヘッド53からの検査吐出の吐出結果を検査する第1検査エリア33および第2検査エリア34が設定され、さらに、各検査エリア33,34に対するX軸方向の両外側には、ワークWを除給する第1除給材エリア35および第2除給材エリア36が設定されている。すなわち、実施形態の液滴吐出装置1では、X軸方向において、中心に設けられた描画エリア31の両外側に、一対の検査エリア33,34および一対の除給材エリア35,36が設けられている。
【0021】
一対のワークステージ21は、第1ワークステージ41および第2ワークステージ42からなり、第1ワークステージ41は第1除給材エリア35および描画エリア31間を移動し、第2ワークステージ42は第2除給材エリア36および描画エリア31間を移動する。一対の画像認識ユニット9は、第1画像認識ユニット43および第2画像認識ユニット44からなり、第1画像認識ユニット43は第1検査エリア33に、第2画像認識ユニット44は第2検査エリア34にそれぞれ配設されている。検査ステージ8は、第1検査エリア33および第2検査エリア34間を移動し、描画エリア31を通過中に機能液滴吐出ヘッド53(キャリッジユニット5)から検査吐出を受ける。一対の除給材ロボット11は、第1除給材ロボット45および第2除給材ロボット46からなり、第1除給材ロボット45は第1除給材エリア35に、第2除給材ロボット46は第2除給材エリア36にそれぞれ配設されている。
【0022】
図3に示すように、各キャリッジユニット5は、12個の機能液滴吐出ヘッド53を搭載したヘッドユニット51と、ヘッドユニット51をY軸テーブル6にθ回転および昇降自在に支持するヘッド回転機構52と、を備えている。ヘッドユニット51は、キャリッジプレート(図示省略)に対し、機能液滴吐出ヘッド53が、左右に6個ずつ二分して組み付けられている。左右1組(2個)の機能液滴吐出ヘッド53は、同一種類の機能液を吐出し、上下に6組の機能液滴吐出ヘッド53が相互に階段状に位置ずれして配設されている。そして、機能液滴吐出ヘッド53は、そのノズル面に、2列のノズル列を有する圧電素子駆動のインクジェットヘッドで構成されている。なお、キャリッジユニット5の個数およびキャリッジユニット5に搭載される機能液滴吐出ヘッド53の数は任意である。
【0023】
検査ステージ8は、ロール状に巻回した検査シートを吸着載置する吸着ステージと、吸着ステージに検査シートを繰出す繰出し機構と、検査後の検査シートを巻取る巻取り機構(いずれも図示省略)と、を備えている。検査ステージ8は、繰出し機構により繰出された検査シートを、吸着ステージに吸着させた状態で、機能液滴吐出ヘッド53からの検査吐出を受ける。
【0024】
各画像認識ユニット9は、検査ステージ8に上方から臨む複数(例えば5台)のカメラ54と、複数のカメラ54を支持する複数のカメラ台(図示省略)と、機台ベース2を跨ぐように架け渡され、複数のカメラ台をY軸方向にスライド自在に支持するカメラフレーム55と、複数のカメラ台を介して各カメラ54をカメラフレーム55に沿ってY軸方向に移動させるカメラ移動機構(図示省略)と、を有している。この画像認識ユニット9では、複数のカメラ台を介して各カメラ54をY軸方向に移動させながら、検査シートに検査吐出された液滴を数個ずつ連続して画像認識する。画像認識された検査結果は、制御装置12に送られ、ドット抜けや飛行曲がり等を検査(吐出検査)する。
【0025】
ここで、図4を参照し、液滴吐出装置1の一連の動作について説明する。
図4は、液滴吐出装置1の一連の動作における第1ワークステージ41、第2ワークステージ42および検査ステージ8の位置関係を模式的に表している。先ず、第1除給材エリア35に位置する第1ワークステージ41上において、第1除給材ロボット45により、ワークWが給材されアライメントされた状態から、第1ワークステージ41を、描画エリア31の描画開始位置に移動させる(同図(a))。描画開始と同時に第1ワークステージ41は、描画エリア31内を数回(N回)往復動し、且つ機能液滴吐出ヘッド53(キャリッジユニット5)からワークWに描画吐出を受ける(同図(b))。この間、検査ステージ8は、第2検査エリア34において待機し、第2除給材エリア36の第2ワークステージ42には、第2除給材ユニットにより、別のワークWが給材され且つワークWのアライメントが実施される。
【0026】
第1ワークステージ41は、最終往動動作(N回目の往動動作)を終えると、最終復動動作(N回目の復動動作)に続いて描画エリア31を出て第1検査エリア33を通過し、第1除給材エリア35に移動する。この第1ワークステージ41の最終復動動作および第1除給材エリア35への移動に同期して、検査ステージ8は、第1ワークステージ41を追従するように、第2検査エリア34から描画エリア31を通過して第1検査エリア33に移動する(同図(c))。そして、検査ステージ8は、この描画エリア31を通過した際に(移動中)、機能液滴吐出ヘッド53から検査吐出を受ける。
【0027】
この第1ワークステージ41と検査ステージ8の移動に同期して、新しいワークWがセットされた第2ワークステージ42が、描画エリア31の描画開始位置に移動する(同図(d))。図4の(c)および(d)の移動は、実際は同時に実施される。描画開始されると第2ワークステージ42は、上記と同様に描画エリア31内を数回(N回)往復動することで、機能液滴吐出ヘッド53(キャリッジユニット5)からワークWへ吐出を受ける(同図(e))。一方、第1除給材エリア35に移動した第1ワークステージ41に対し、第1除給材ロボット45によってワークWの除給材とアライメントが実施される。さらに、第1検査エリア31に移動した検査ステージ8は、第1画像認識ユニット43に臨み、その検査吐出結果の吐出検査に供される。すなわち、第1除給材エリア35において除給材動作が、第1検査エリア33において吐出検査が、描画エリア31において描画動作が、それぞれ並行して行われている。
【0028】
第2ワークステージ42は、最終往動動作(N回目の往動動作)を終えると、最終復動動作(N回目の復動動作)に続いて描画エリア31を出て第2検査エリア34を通過し、第2除給材エリア36に移動する。この第2ワークステージ42の最終復動動作および第2除給材エリア36への移動に同期して、検査ステージ8は、第2ワークステージ42を追従するように、第1検査エリア33から描画エリア31を通過し、検査吐出を受けて第2検査エリア34に移動する(同図(f))。すなわち、第1検査エリア33における検査ステージ8の吐出検査は、第2ワークステージ42(ワークW)の最終往動動作(N回目の往動動作)が終了するまでに、完了していることとなる。
【0029】
次に、図1、図5および図6を参照して、X軸テーブル3周りの構造について詳細に説明する。上述のように、X軸テーブル3は、一対のワークステージ21と、一対のX軸移動ガイド22と、一対のX軸スライダー23と、検査スライダー24と、X軸リニアモーター25と、を有し、機台ベース2上に固定されている。この場合、一対のX軸スライダー23は、上記の第1ワークステージ41および第1ワークステージ41を搭載し、検査スライダー24は、検査ステージ8を搭載している。
【0030】
各ワークステージ21は、アライメントされたワークWを吸着セットする吸着テーブル61と、吸着テーブル61を支持すると共にこれをθ回転させるθテーブル62と、を有している。そして、各ワークステージ21の下面には各X軸スライダー23が設けられ、検査ステージ8の下面には検査スライダー24が設けられている。一対のX軸スライダー23および検査スライダー24は、いずれもエアースライダーで構成されており、これらは基本構造が同一であるため、以下、一方のX軸スライダー23を例に説明を進める。
【0031】
X軸スライダー23は、ワークステージ21(θテーブル62)を直接支持するスライダー本体63と、スライダー本体63に取り付けた一対の浮上用エアーパッド64および一対の幅規制用エアーパッド65と、で構成されている。一方の浮上用エアーパッド64は、一方のX軸移動ガイド22の上面に対峙し、一方の幅規制用エアーパッド65は、一方のX軸移動ガイド22の外側の側面に対峙している。同様に、他方の浮上用エアーパッド64は、他方のX軸移動ガイド22の上面に対峙し、他方の幅規制用エアーパッド65は、他方のX軸移動ガイド22の外側の側面に対峙している。なお、X軸リニアモーター25は、そのステーターがX軸移動ガイド22に固定され、スライダーがスライダー本体63に固定されており、ステーターは、X軸移動ガイド22と同様に、一対の除給材エリア35,36に亘るようにX軸方向に延在している。また、X軸リニアモーター25は、左右一対設けるようにしてもよい。
【0032】
一対のX軸移動ガイド22は、機台ベース2上において相互平行に配設され、一対の除給材エリア35,36に亘るようにX軸方向に延在している。各X軸移動ガイド22は、方形断面の石定盤で構成されており、描画エリア31に対応する描画部移動ガイド71と、2つの除給材エリア35,36に対応する一対の除給材部移動ガイド72と、で3分割されている。すなわち、各X軸移動ガイド22は、描画部移動ガイド71の両小口に、各除給材部移動ガイド72の一方の小口を突き合わせる(実際には、僅かな間隙を設ける)ようにして、直線状に配設されている。そして、描画部移動ガイド71および一対の除給材部移動ガイド72は、相互の小口間の間隙が数〜数十マイクロメーターとなるように、機台ベース2に支持固定されている。また、各小口の突き当て部分には、それぞれ連結装置を設け、且つ各小口間には接着剤(コーキング剤)を充填しておいてもよい。なお、描画部移動ガイド71と一対の除給材部移動ガイド72との突合せ部分は、平面視直角の他、X軸方向において部分的にオーバーラップする平面視斜めや平面視クランク状であってもよい。
【0033】
機台ベース2は、X軸テーブル3を包含する大きさの方形のベースであり、例えばスチール枠材にPCコンクリートを流し込んだコンクリート構造体や鋳物等で、構成されている。機台ベース2も、各X軸移動ガイド22と同様に、描画エリア31に対応する描画部機台ベース73と、2つの除給材エリア35,36に対応する一対の除給材部機台ベース74と、で3分割されている。したがって、描画部機台ベース73は、各描画部移動ガイド71と同じ長さに形成され、各除給材部機台ベース74,74は、各除給材部移動ガイド72と略同じ長さに形成されている。そして、機台ベース2は、描画部機台ベース73の両小口に、各除給材部機台ベース74,74の一方の小口を突き合わせる(実際には、僅かな間隙を設ける)ようにして、直線状に配設されている。なお、各小口の突き当て部分には、それぞれ連結装置を設け、且つ各小口間には接着剤(コーキング剤)を充填しておくことが好ましい。また、描画部機台ベース73と一対の除給材部機台ベース74,74との突合せ部分は、平面視直角の他、X軸方向において部分的にオーバーラップする平面視斜めや平面視クランク状であってもよい。
【0034】
ところで、各X軸移動ガイド22が複数に分割されているため、除給材エリア35,36でワークWをアライメントしても、描画動作すべく描画エリア31に移動したときに、機能液滴吐出ヘッド53に対しワークWの位置が狂ってしまう虞がある。したがって、本実施形態では、予め除給材エリア35,36におけるワークW位置に対する、描画エリア31におけるワークW位置のズレの癖を試験的に求めておき、これを描画データに反映するようにしている。
【0035】
次に、図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、重複記載を避けるべく第1実施形態とは異なる部分を主として説明する。この液滴吐出装置1のX軸テーブル3は、ワークWがセットされる単一のワークステージ21と、一対のX軸移動ガイド(ガイド手段)22と、一対のX軸スライダー(スライダー)23と、検査スライダー24と、X軸リニアモーター25と、を有している。また、この液滴吐出装置1では、描画エリア31からX軸方向の一方の外側は、ワークWを除給する除給材エリア35が設定されており、描画エリア31からX軸方向の他方の外側には、機能液滴吐出ヘッド53からの検査吐出の吐出結果を検査する単一の検査エリア33が設定されている。
【0036】
そして、検査エリア33には、画像認識ユニット9が配設されており、機能液滴吐出ヘッド53(キャリッジユニット5)から検査吐出を受けた検査ステージ8は、検査エリア33に移動して、検査ステージ8の吐出結果を画像認識して吐出検査に供される。また、除給材エリア35には、Y軸方向に外れた位置に除給材ロボット11が配設されており、移動してきたワークステージ21上のワークWを除給する。
【0037】
一対のX軸移動ガイド22は、機台ベース2上において相互平行に配設され、単一の除給材エリア35に亘るようにX軸方向に延在している。各X軸移動ガイド22は、方形断面の石定盤で構成されており、描画エリア31に対応する描画部移動ガイド71と、2つの除給材エリア35に対応する除給材部移動ガイド72と、で2分割されている。すなわち、各X軸移動ガイド22は、描画部移動ガイド71の一方の小口に、除給材部移動ガイド72の一方の小口を突き当てる(実際には、僅かな間隙を設ける)ようにして、直線状に配設されている。そして、描画部移動ガイド71および除給材部移動ガイド72は、相互の小口間の間隙が数〜数十マイクロメーターとなるように、機台ベース2に支持固定されている。なお、各小口の突き当て部分には、それぞれ連結装置を設け、且つ各小口間には接着剤(コーキング剤)を充填しておいてもよい。
【0038】
機台ベース2も、各X軸移動ガイド22と同様に、描画エリア31に対応する描画部機台ベース73と、単一の除給材エリア35に対応する単一の除給材部機台ベース74と、で2分割されている。したがって、描画部機台ベース73は、各描画部移動ガイド71と同じ長さに形成され、各除給材部機台ベース74は、各除給材部移動ガイド72と略同じ長さに形成されている。そして、機台ベース2は、描画部機台ベース73の一方の小口に、除給材部機台ベース74の一方の小口を突き当てる(実際には、僅かな間隙を設ける)ようにして、直線状に配設されている。なお、各小口の突き当て部分には、それぞれ連結装置を設け、且つ各小口間には接着剤(コーキング剤)を充填しておくことが好ましい。
【0039】
なお、一対のX軸移動ガイド22は、一体のものとして構成され、この状態で2分割あるいは3分割(第1実施形態の場合)されていてもよい。また、機台ベース2は、分割されることなく単一のもので構成されていてもよい。
【0040】
以上の構成によれば、X軸移動ガイド22および機台ベース2は、描画エリア31と除給材領域との間で2分割(あるいは3分割)されているため、X軸移動ガイド22および機台ベース2単体の長さを短くすることができる。これにより、X軸移動ガイド22および機台ベース2のコストを低減することができると共に、X軸移動ガイド22単体および機台ベース2単体の重量を軽減することができる。また、X軸移動ガイド22および機台ベース2は、描画エリア31では分割されていないため、高い機械精度により描画精度を維持することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…液滴吐出装置 2…機台ベース 21…ワークステージ 22…X軸移動ガイド 23…X軸スライダー 53…機能液滴吐出ヘッド W…ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画エリアにおいて、ワークの移動に同期して、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動することで描画を行うと共に、前記描画エリアから前記ワークの移動方向片側に外れた除給材エリアにおいて、前記ワークの除給材を行う液滴吐出装置であって、
スライダーを有すると共に、前記ワークがセットされるセットテーブルと、
前記スライダーを介して、前記セットテーブルの移動を前記描画エリアおよび前記除給材エリアに亘ってガイドするガイド手段と、を備え、
前記ガイド手段は、前記描画エリアと前記除給材エリアとに対応して2分割されていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記描画エリアおよび前記除給材エリアに亘って、前記ガイド手段を支持するベース体を、更に備え、
前記ベース体は、前記描画エリアと前記除給材エリアとに対応して2分割されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
描画エリアにおいて、ワークの移動に同期して、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動することで描画を行うと共に、前記描画エリアから前記ワークの移動方向両側に外れた2つの除給材エリアにおいて、前記ワークの除給材をそれぞれ行う液滴吐出装置であって、
それぞれがスライダーを有すると共に、前記ワークがセットされる一対のセットテーブルと、
前記各スライダーを介して、前記一対のセットテーブルの移動を前記描画エリアおよび2つの前記除給材エリアに亘ってガイドするガイド手段と、を備え、
前記ガイド手段は、前記描画エリアと2つの前記除給材エリアに対応して3分割されていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
前記描画エリアおよび2つの前記除給材エリアに亘って、前記ガイド手段を支持するベース体を、更に備え、
前記ベース体は、前記描画エリアと2つの前記除給材エリアとに対応して3分割されていることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記ガイド手段は、方形断面の石定盤で構成され、
前記スライダーは、前記ガイド手段の表面および両側面にガイドされるエアースライダーで構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−177681(P2011−177681A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46233(P2010−46233)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】