説明

液状樹脂材料の供給装置及び液状樹脂材料の供給方法

【課題】射出装置が不要であり、材料の十分な混合が得られる液状樹脂材料の供給技術を提供することを課題とする。
【解決手段】成形設備10は、金型11と、この金型11を型締めする型締装置12と、金型11へ液状樹脂材料を供給する供給装置20とからなる。この液状樹脂材料の供給装置20は、主剤に硬化剤などの添加剤を添加した液状樹脂材料を、十分に攪拌混合する撹拌混合機構30と、得られた液状混合材料を圧送するポンプ機構50と、このポンプ機構50から第1流路51を介して送られてきた液状混合材料を一定量計量し、間欠的に第2流路61を通じて金型11へ供給する定量計量供給機構60とからなる。
【効果】予め混合した液状混合材料を定量計量供給機構から直接金型へ供給することができる。結果、射出装置が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状樹脂材料を金型へ供給する供給技術に関する。
【背景技術】
【0002】
型締装置で型締めされた金型へ、射出装置から樹脂材料を射出することで成形品を得る、射出成形法が広く実用化されている。
射出装置に供給される樹脂材料は、樹脂ビーズ(固体)が一般的である。すなわち、樹脂ビーズが加熱筒に投入され、加熱とスクリュー回転により可塑化・混練され、流動化材料が得られる。この流動化材料が金型へ射出され、固まって成形品となる。
【0003】
ところで、シリコーンゴムに代表される樹脂材料の場合は、射出装置に供給される前から液状材料の形態で、射出装置に供給され、金型内で固まる。このように、射出装置に供給される前から液状材料であるものを、「液状樹脂材料」と呼ぶことにする。
【0004】
この液状樹脂材料の一例に、2液型液状樹脂材料がある。2液型液状樹脂材料は、1液が主剤であり、他の1液が硬化剤に代表される添加剤である。
主剤に硬化剤を混ぜると、硬化剤の作用により、常温では数時間〜数十時間で、又成形温度では数十秒〜数十分で所定の硬度まで硬化する。
硬化剤を使用する場合は、配管等の詰まりを避けるために、主剤に出来るだけ遅くに添加することが望まれる。
【0005】
このように固まりやすい液状樹脂材料の供給技術が各種提案されている(例えば、特許文献1(図1)参照。)。
【0006】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図10は従来の技術の液状樹脂材料供給装置の原理図であり、主剤201が、ポンプ202により計量シリンダ203に圧送される。この計量シリンダ203で計量したのち、主剤201は射出装置204の加熱筒205へ供給される。また、硬化剤206が、ポンプ207により計量シリンダ208に圧送される。この計量シリンダ208で計量したのち、硬化剤206は射出装置204の加熱筒205へ供給される。
【0007】
主剤201と硬化剤206は、加熱筒205でスクリュー209により混練され、その後に白抜き矢印211のように射出される。
【0008】
特許文献1の技術には、次に述べるような検討事項が存在する。
射出装置204が必須であるため、装置費用が嵩む。
また、スクリュー209で混合(混練)すると、混合が不十分になる虞がある。
また、スクリュー209で混合(混練)すると、外の空気を巻き込む虞がある。
【0009】
そこで、射出装置が不要であり、材料の十分な混合が得られ且つ材料に気泡を含ませないような液状樹脂材料の供給技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4373932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、射出装置が不要であり、材料の十分な混合が得られる液状樹脂材料の供給技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、主剤に硬化剤などの添加剤を添加した液状樹脂材料を、十分に攪拌混合する撹拌混合機構と、得られた液状混合材料を圧送するポンプ機構と、送られてきた液状混合材料を一定量計量し、間欠的に金型へ供給する定量計量供給機構とからなる液状樹脂材料の供給装置であって、
前記定量計量供給機構は、前記ポンプ機構で送られる前記液状混合材料を貯えるポット部並びにこのポット部へ前記液状混合材料を導入する流入口及び前記ポット部から前記液状混合材料を排出する流出口を有する本体部と、この本体部に移動自在に取付けられるプランジャと、前記本体部に設けられ前記プランジャを前進側へ押出すプランジャ押出手段と、前記ポンプ機構と前記流入口とを結ぶ第1流路に設けられ前記第1流路を開閉する流入弁と、前記流出口と前記金型とを結ぶ第2流路に設けられ前記第2流路を開閉する流出弁とからなり、
前記流入口は、前記プランジャの軸方向に前記流出口より前記プランジャ押出手段側にオフセットした部位に設けられ、
前記プランジャには、このプランジャが最も前進した位置にあっても前記流入口から供給される前記液状混合材料を前記プランジャの先端へ導く材料流路
が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明では、材料流路は、プランジャの外周面に螺旋状に設けられた螺旋溝であることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明では、第2流路は、金型を型締めする型締装置に設けられる注入口に、着脱自在に連結されることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明では、プランジャとプランジャ押出手段とは、分離されている特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1記載の液状樹脂材料の供給装置を用いて行う液状樹脂材料の供給方法であって、
前記流出弁を閉じ、前記流入弁を開き、前記ポンプ機構により、前記液状混合材料を送出す送出工程と、
送出される前記液状混合材料の圧力でプランジャが後退し、前記ポット部に溜まる前記液状混合材料の量が所定量に達したら前記流入弁を閉じる定量計量工程と、
次に、前記流出弁を開き、前記プランジャ押出手段で前記プランジャを前進させて、前記液状混合材料を前記金型へ供給する材料供給工程と、
からなることを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項5記載の液状樹脂材料の供給方法であって、
前記プランジャと前記プランジャ押出手段とは、分離されており、
材料供給工程が完了したら、前記プランジャ押出手段を強制的に後退させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、主剤に硬化剤などの添加剤を添加した液状樹脂材料を、十分に攪拌混合する撹拌混合機構を備えている。結果、混合不足が解消できる。
【0019】
また、定量計量供給機構は、液状混合材料を貯えるポット部並びにこのポット部へ液状混合材料を導入する流入口及びポット部から液状混合材料を排出する流出口を有する本体部と、この本体部に移動自在に取付けられるプランジャとを備え、流入口は、プランジャの軸方向に流出口よりプランジャ押出手段側にオフセットした部位に設けられ、プランジャには、このプランジャが最も前進した位置にあっても流入口から供給される液状樹脂材料をプランジャの先端へ導く材料流路が設けられている。
【0020】
液状混合材料は、その一部が流入口に滞留しやすい。滞留すると材料が硬化し、清掃が必要となる。
その点、本発明では流入口付近の材料をプランジャに設けた材料通路を介してポット部へ強制的に導くようにした。このため、流入口付近の材料が流入口付近に滞留する心配はない。
【0021】
このような定量計量供給機構を採用したため、予め混合した液状混合材料を定量計量供給機構から直接金型へ供給することができる。結果、射出装置が不要となる。
本発明によれば、射出装置が不要であり、材料の十分な混合が得られる液状樹脂材料の供給装置が提供される。
【0022】
請求項2では、材料流路は、プランジャの外周面に螺旋状に設けられた螺旋溝である。
螺旋溝であるから、直線溝よりも流路抵抗が大きく、液状混合材料の逆流防止が図れる。
【0023】
請求項3に係る発明では、第2流路は、型締装置に設けられる注入口に着脱自在に連結される。
連結はねじ連結が好適である。連結により、第2流路の先端が圧力で注入口から外れることを防止できる。
【0024】
請求項4に係る発明では、プランジャとプランジャ押出手段とが分離されている。
プランジャとプランジャ押出手段とを連結した場合には、プランジャとプランジャ押出手段とを樹脂圧で押し返す必要があり、プランジャの移動に円滑さが欠け、計量精度に悪影響が出る。
本発明では、プランジャとプランジャ押出手段とが分離されているため、プランジャ押出手段を高速で後退させることができる。プランジャは単独で樹脂圧を受けるため、移動がより滑らかになり、計量精度がより向上する。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、請求項1と同様に、主剤に硬化剤などの添加剤を添加した液状樹脂材料を、十分に攪拌混合する撹拌混合機構を備えている。結果、混合不足が解消できる。加えて、予め混合した液状混合材料を定量計量供給機構から直接金型へ供給することができる。結果、射出装置が不要となる。
本発明によれば、射出装置が不要であり、材料の十分な混合が得られる液状樹脂材料の供給方法が提供される。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、請求項4と同様に、プランジャとプランジャ押出手段とが分離されているため、プランジャ押出手段を高速で後退させることができる。プランジャは単独で樹脂圧を受けるため、移動がより滑らかになり、計量精度がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る液状樹脂材料を用いた成形設備の原理図である。
【図2】撹拌混合機構の原理図である。
【図3】ポンプ機構の原理図である。
【図4】定量計量供給機構の原理図である。
【図5】図4の作用説明図である。
【図6】型締装置の要部断面図である。
【図7】図6の要部断面図である。
【図8】図7の作用説明図である。
【図9】本発明に係る液状樹脂材料の供給方法を説明するフロー図である。
【図10】従来の技術の液状樹脂材料供給装置の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0029】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、成形設備10は、金型11と、この金型11を型締めする型締装置12と、金型11へ液状樹脂材料を供給する供給装置20とからなる。
この液状樹脂材料の供給装置20は、主剤に硬化剤などの添加剤を添加した液状樹脂材料を、十分に攪拌混合する撹拌混合機構30と、得られた液状混合材料を圧送するポンプ機構50と、このポンプ機構50から第1流路51を介して送られてきた液状混合材料を一定量計量し、間欠的に第2流路61を通じて金型11へ供給する定量計量供給機構60とからなる。
【0030】
図2に示すように、撹拌混合機構30は、例えば、基台31と、この基台31にスラスト軸受32及びラジアル軸受33を介して回転可能に載せられる回転台34と、基台31に取付られ回転台34を回す減速機付きモータ35と、基台31の側方に建てられるシリンダ36と、このシリンダ36から上へ延びるピストンロッド37に固定され水平に延びる横バー38と、この横バー38の先端から鉛直に下へ延ばすロッド39と、このロッド39の下端に固定される錨形状の撹拌羽根41、41と、ロッド39の途中に固定される蓋42と、この蓋42から延ばされるフレキシブルホース43と、このフレキシブルホース43の先端に接続される真空ポンプ44とからなる。真空ポンプ44は横バー38に載せたが、設置位置は任意である。
【0031】
主剤に硬化剤などの添加剤を添加した液状樹脂材料46が入れられている容器47を、回転台34に載せる。次に、撹拌羽根41、41が液状樹脂材料46に没するようにして、ロッド39を下げ、蓋42で容器47の上部開口を塞ぐ。蓋42にシール材48が付いているため、容器47は蓋42で密閉される。
【0032】
モータ35で回転台34を毎秒1回転程度の速度で回す。すると、静止している回転羽根41、41に対して容器47が回転し、この容器47に液状樹脂材料46が連れて回る。同時に、真空ポンプ44で容器47内を負圧(大気圧より低圧)にする。
【0033】
相対回転差により、液状樹脂材料46に、ロッド39周りの流れに加えて上下の循環流れが発生する。このような三次元的な流れにより、主剤に添加剤が均一に混合される。
液状樹脂材料46に含まれている気泡は、上下の循環流れにより液面49へ押し上げられる。蓋42と液面49との間は、負圧であるため、気泡が液面49から上昇し、真空ポンプ44へ向かう。
【0034】
撹拌混合機構30は、真空撹拌混合機と呼ばれ、真空により気泡を除去し、撹拌により混合を促す。所定時間の撹拌混合(脱気を含む。)が終了したら、容器47を次工程へ移す。十分に混合された液状樹脂材料を、以下、液状混合材料を呼ぶことにする。
【0035】
移された容器47に、ポンプ機構50を装着する。
図3に示すように、ポンプ機構50は、落とし蓋状の円板52と、この円板52の中心から立てた吸込管53と、この吸込管53の上端に接続されるポンプケーシング54と、このポンプケーシング54の上面に固定されポンプケーシング54に内蔵されるポンプ羽根を高速で回すポンプモータ55と、ポンプケーシング54から横へ延びる吐出管56とからなる。
【0036】
容器47の内容物は十分に混合された後の液状混合材料58である。
この液状混合材料58の上面(液面)に載せるようにして、容器47に円板52を上から挿入する。円板52にはOリングなどのシール材59が付いており、円板52が密に容器47の内周面に嵌る。そして、ポンプモータ55を始動する。液状混合材料58が吐出管56から吐出される。この吐出に伴って液状混合材料58の上面が下がるが、円板52も一緒に下がるため、円板52の下に外気が進入する心配はなく、液状混合材料58に空気が混入することがない。
【0037】
ポンプ機構50で圧送される液状混合材料58は、第1流路51を介して定量計量供給機構60に送られる。
定量計量供給機構60は、図4に示すように、液状混合材料を貯えるポット部62並びにこのポット部62へ液状混合材料を導入する流入口63及びポット部62から液状混合材料を排出する流出口64を有する本体部65と、この本体部65に移動自在に取付けられポット部62に溜まった液状混合材料の圧力で後退(図では上昇)するプランジャ66と、本体部65に設けられプランジャ66を前進側へ押出すプランジャ押出手段67と、第1流路51に設けられ液状混合材料の流れを遮断又は許容する流入弁68と、第2流路61に設けられ液状混合材料の流れを遮断又は許容する流出弁69とからなる。
【0038】
そして、流入口63は、プランジャ66の軸方向に流出口64よりプランジャ押出手段側にLだけオフセットした部位に設けられる。
さらには、プランジャ66には、このプランジャ66が最も前進した位置にあっても流入口63から供給される液状樹脂材料をプランジャ66の先端へ導く材料流路71が設けられている。
【0039】
材料流路71は、プランジャ66の外周面に螺旋状に設けられた螺旋溝72が好適である。
螺旋溝72であるから、プランジャ66に軸直角方向の力が加わる心配が無く、プランジャ66と本体部65との摺動抵抗を下げることができる。
また、螺旋溝72であるから、直線溝よりも流路抵抗が大きく、液状混合材料の逆流防止が図れる。
【0040】
プランジャ押出手段67は、シリンダ73と、このシリンダ73に収納されるピストン74と、このピストン74から延びるピストンロッド75とからなるエアシリンダが好適である。そして、プランジャ押出手段67は、ブラケット76を介して本体部65に取付けられる。
【0041】
定量計量供給機構60の作用を次に説明する。
図4にて、流出弁69を閉じ、流入弁68を開けると、第1流路51を通じて液状混合材料が流入口63に至る。液状混合材料58は螺旋溝72に沿って旋回しながら下降しプランジャ66の図面下方に溜まる。螺旋溝72は180°ピッチで2条設けると、流路面積が稼げると共に、軸直角方向の力が相殺され、プランジャ66にとって好ましい。
【0042】
また、流入口63からの液状混合材料は、全量が螺旋溝72に流入する。そのため、液状混合材料の一部が流入口63付近に滞留し、固化する心配はない。
さらには、螺旋溝72であるから、直線溝よりも流路抵抗が大きく、液状混合材料が逆流しにくくなり、逆流防止が図れる。
【0043】
プランジャ66の図面下方に溜まる液状混合材料の圧力でプランジャ66が押し上げられる。このプランジャ66の押し上げストロークとポット部62の内断面積との積で、液状混合材料の量が定まる。
【0044】
図5(a)に示すように、所定の液状混合材料58がポット部62に溜まった時点で、計量が完了し、流入弁68を閉じる。
ここで、プランジャ66の後退限における流入口63の位置は、材料流路71に当接することが望ましい。これにより、液状混合材料58が常に材料流路71を通ってポット部62に計量されるため、材料の滞留による材料硬化を確実に防止することができる。
次の材料供給では、流出弁69を開き、プランジャ押出手段67でプランジャ66を前進させる。
すると、(b)に示すように液状混合材料が第2流路61へ押出される。
材料供給が完了したら、プランジャ押出手段67を後退させる。これで、図4に戻る。
【0045】
図4において、プランジャ66とプランジャ押出手段67とを連結することも可能である。しかしこの場合には、プランジャ66とプランジャ押出手段67とを樹脂圧で押し返す必要があり、プランジャ66の移動に円滑さが欠け、計量精度に悪影響が出る。
本実施例では、プランジャ66とプランジャ押出手段67とが分離されているため、プランジャ押出手段67を高速で後退させることができる。また、プランジャ66は単独で樹脂圧を受けるため、移動がより滑らかになり、計量精度がより向上する。
【0046】
次に、第2通路61と型締装置12と金型11の関係を説明する。
図6に示すように、型締装置12に、注入口78と、この注入口78から延びると共に分岐するランナー79と、このランナー79から金型11側のキャビティ81、81に向かうゲート82、82と、これらのゲート82、82の各々を開閉するニードル83、83と、このニードル83、83を個々に前進させる駆動機構(図7で説明する。)とが設けられている。
【0047】
また、注入口78に、連結管85の先端がねじ込まれる。この連結管85の基部には予め三方弁86が取付けられている。三方弁86の残る2口のうち、1口に大気放出管87が取付けられ、残る1口に第2通路61が着脱自在に取付けられる。
レバー88を操作することで、第2通路61と連結管85とのみを連通する第1形態と、連結管85と大気放出管87とのみを連通する第2形態とが、選択できる。
【0048】
材料供給工程では第1形態を選択する。いわゆるエア抜きを実施するときには第2形態を選択することができる。
第2通路61が三方弁86から外れた状態で、工具掛け部89にスパナーなどの工具を掛けて、連結管85を注入口78にねじ込む又は注入口78から外す。
【0049】
図7に示すように、駆動機構90は、ニードル83の基部を押して前進させる傾斜部91及びニードル83の後退動を許容するポケット部92を含むカム面93を有するドライバー部材94と、このドライバー部材94を、ニードル83の移動方向に直交する方向へ移動させる駆動部材95と、移動方向以外の方向へドライバー部材94がずれることを防止するために金型13の一面96に設けられるガイド部材97、97とからなる。
駆動部材95は、L字金具98により、金型13の他の面99(一面96と直交する面)に取付ける。
【0050】
駆動部材95は、例えば、シリンダ101と、このシリンダ101に移動自在に収納されるピストン102と、このピストン102から延びる第1ピストン軸103及び第2ピストン軸104と、2本のエアホース105、105とからなるエアシリダユニットが好適であるが、油圧シリンダ、電動シリンダであってもよい。
【0051】
好ましくは、ニードル83の基部に鍔部106を設け、この鍔部106と型締装置12との間に圧縮コイルばね107を介在させ、この圧縮コイルばね107でニードル83を弁開側へ付勢するようにする。
【0052】
以上の構成からなる駆動機構90の作用を次に述べる。
図7では、ニードル83で、ゲート82が塞がれている。次に、材料供給に備えて、駆動部材95により、ドライバー部材94を後退させる(矢印(1))。
図7の作用を図8に基づいて説明する。
(a)は、ドライバー部材94により、ニードル83が前進しているところの弁閉状態を示す。
(b)に示すように、ドライバー部材94を移動し(矢印(2))、ランナー79へ液状混合材料58を供給すると、ニードル83は供給圧力と圧縮コイルばね107の付勢力との合力で、後退し、弁開状態になり、状混合材料58がキャビティ81へ供給される。
【0053】
圧縮コイルばね107の作用により、液状混合材料58の供給圧力が低い場合であっても、確実に弁開状態を得ることができ、成形作業の安定化を図ることができる。
【0054】
次に、液状樹脂材料の供給方法をフロー図に基づいて説明する。
図9に示すように、液状樹脂材料を攪拌混合機構で十分に撹拌混合する(ST01)。容器を移動し(ST02)、この容器にポンプ機構をセットする(ST03)。並行して第2流路の先端を型締装置に連結する(ST04)。これで準備工程が終了する。
【0055】
次に、流出弁を閉じ(ST05)、流入弁を開き(ST06)、ポンプ機構を運転し液状混合材料を送出する(ST07)。この工程が送出工程となる。
送出される液状混合材料の圧力でプランジャが後退する。このプランジャが所定の位置まで後退するか、送出し時間が所定の時間に達するか、又はポット部の圧力を監視し、この圧力が所定値に達したら、計量が完了したと判断して(ST08)、流入弁を閉じる(ST09)。これで定量計量工程が完了した。
【0056】
次に、流出弁を開き(ST10)、プランジャ押出手段でプランジャを前進させて、液状混合材料を金型へ供給する(ST11)。プランジャが前進限まで前進するか、又は供給時間が所定の時間に達したら材料供給工程が完了する(ST12)。
【0057】
材料供給工程が完了したら、プランジャ押出手段を強制的に後退させる(ST13)。ST14で、運転を続ける必要がなければ、このフローを終わり、運転を続ける必要があれば、ST05に戻す。
【0058】
尚、実施例では、液状混合材料58として、主剤に硬化剤などの添加剤を添加した2液型液状樹脂材料を採用したが、更に着色剤等を添加した3液以上の構成としても良い。また、2液型液状樹脂材料に換えて、主剤に硬化剤が予め添加された1液型液状樹脂材料に着色剤を添加した構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、射出装置を用いることなく、シリコーンゴムに代表される液状樹脂材料を、金型へ注入する液状樹脂材料の供給技術に好適である。
【符号の説明】
【0060】
11…金型、12…型締装置、20…液状樹脂材料の供給装置、30…撹拌混合機構、50…ポンプ機構、51…第1流路、58…液体混合材料、60…定量計測供給機構、61…第2流路、62…ポット部、63…流入口、64…流出口、65…本体部、66…プランジャ、67…プランジャ押出手段、68…流入弁、69…流出弁、71…材料流路、72…螺旋溝、78…注入口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤に硬化剤などの添加剤を添加した液状樹脂材料を、十分に攪拌混合する撹拌混合機構と、得られた液状混合材料を圧送するポンプ機構と、送られてきた液状混合材料を一定量計量し、間欠的に金型へ供給する定量計量供給機構とからなる液状樹脂材料の供給装置であって、
前記定量計量供給機構は、前記ポンプ機構で送られる前記液状混合材料を貯えるポット部並びにこのポット部へ前記液状混合材料を導入する流入口及び前記ポット部から前記液状混合材料を排出する流出口を有する本体部と、この本体部に移動自在に取付けられるプランジャと、前記本体部に設けられ前記プランジャを前進側へ押出すプランジャ押出手段と、前記ポンプ機構と前記流入口とを結ぶ第1流路に設けられ前記第1流路を開閉する流入弁と、前記流出口と前記金型とを結ぶ第2流路に設けられ前記第2流路を開閉する流出弁とからなり、
前記流入口は、前記プランジャの軸方向に前記流出口より前記プランジャ押出手段側にオフセットした部位に設けられ、
前記プランジャには、このプランジャが最も前進した位置にあっても前記流入口から供給される前記液状混合材料を前記プランジャの先端へ導く材料流路が設けられていることを特徴とする液状樹脂材料の供給装置。
【請求項2】
前記材料流路は、前記プランジャの外周面に螺旋状に設けられた螺旋溝であることを特徴とする請求項1記載の液状樹脂材料の供給装置。
【請求項3】
前記第2流路は、前記金型を型締めする型締装置に設けられる注入口に、着脱自在に連結されることを特徴とする請求項1記載の液状樹脂材料の供給装置。
【請求項4】
前記プランジャと前記プランジャ押出手段とは、分離されている特徴とする請求項1記載の液状樹脂材料の供給装置。
【請求項5】
請求項1記載の液状樹脂材料の供給装置を用いて行う液状樹脂材料の供給方法であって、
前記流出弁を閉じ、前記流入弁を開き、前記ポンプ機構により、前記液状混合材料を送出す送出工程と、
送出される前記液状混合材料の圧力でプランジャが後退し、前記ポット部に溜まる前記液状混合材料の量が所定量に達したら前記流入弁を閉じる定量計量工程と、
次に、前記流出弁を開き、前記プランジャ押出手段で前記プランジャを前進させて、前記液状混合材料を前記金型へ供給する材料供給工程と、
からなることを特徴とする液状樹脂材料の供給方法。
【請求項6】
請求項5記載の液状樹脂材料の供給方法であって、
前記プランジャと前記プランジャ押出手段とは、分離されており、
材料供給工程が完了したら、前記プランジャ押出手段を強制的に後退させることを特徴とする液状樹脂材料の供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−187828(P2012−187828A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53575(P2011−53575)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000227054)日精樹脂工業株式会社 (293)
【Fターム(参考)】