説明

混在廃プラスチックの熱分解方法及び混在廃プラスチックの熱分解装置

【課題】 本発明は、塩素を組成成分として含有する熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂が混在している廃プラスチック(以後混在プラスチックとする)をアルカリ性粉末と混合して、単純化した簡潔な処理工程で比較的低温で熱分解し、効率良く極めて低い塩素濃度の油分を得ることができ、さらに塩化水素による機器の腐食を防止できる熱分解方法及びそのための装置を提供する。
【解決手段】 本発明の混在廃プラスチックの熱分解方法は、反応器内で混在廃プラスチックとアルカリ性粉末を接触・混合し、不活性ガスをパージした状態で、高周波電流による誘導加熱装置で前記反応器内部温度を200℃〜700℃に加熱し、混在廃プラスチックを熱分解・ガス化させ、低い塩素濃度の油分を得、及び混在廃プラスチックに含有する塩素分をアルカリ金属塩として回収する構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリ塩化ビニル(PVC)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)等の塩素を組成成分として含有する熱可塑性樹脂、及びフェーノル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が混在している廃プラスチック(以後混在プラスチックとする)をアルカリ性粉末と混合して高周波電流による誘導加熱装置で前記反応器内部温度を200℃〜700℃の温度領域で熱分解反応させ塩素由来物質を中和する方法及びそのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックごみは年々増加の傾向にある。最近10年間において年率約6%の増加をしており、このような状況から、廃プラスチックの埋立て処理や焼却処理だけでなく、発生抑制やリサイクルシステムを確立して、廃棄物の減量・資源化を積極的に進めることが望まれている。
【0003】
石油価格の上昇・変動が激しくなり、上記対策のひとつとして、廃プラスチックを熱分解処理し、燃料油等の石油資源として再生することが切望されている。このような廃プラスチックを熱分解する技術は1970年代より多々開発されているが、適正な熱分解装置は完成してない状況である。
【0004】
一方、ポリ塩化ビニル(PVC)等塩素を組成成分として含有する樹脂を加熱分解して油分を得る技術として(特許文献1)には、廃プラスチックを250℃(塩化ビニルは70℃)前後の温度域に加熱した押出機により脱塩素する第1工程と塩素分が除去された廃プラスチックをさらに450℃(塩化ビニルは170℃)前後の温度域に加熱して熱分解し分解ガスを発生させる第2工程からなる油化方法であって、第1工程で脱塩素され発生した塩化水素は水で捕集処理する方法である。
【特許文献1】特開2003−96469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記従来技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に記載の技術では、押出機加熱シリンダベント部及び塩化ビニル処理部より発生する有害ガスを水に吸収させると、有害ガスに同伴した有機性オイルが溶解した高濃度の排水負荷をもつ塩酸水溶液が大量に発生する。このため、前記水溶液を水質汚濁防止法に適合する排水へ処理する有機性オイルの排水処理設備が必要となる。
(2)押出機、塩化ビニル処理部、オフガス処理部と、ガス発生工程が、多段にわたるので、オフガス処理装置が煩雑で複雑である。
(3)熱分解ガス化が、熱分解槽と残渣処理槽の2工程となり煩雑な構造となっている。
2工程を連通管により接続するとともに、この連通管に開閉バルブを付設するため、連通管が詰まった場合などには、洗浄やメンテナンスが大変となる。
(4)溶解工程と熱分解工程の2工程を備えるため、設備全体が大型となり設置性の低下及び汎用性の低下を招くとともに、無用な消費電力の増加によりランニングコストが大きくなるとともに、運転操作も煩雑となる。
(5)溶解工程と熱分解工程の2工程を連通管により接続するとともに、この連通管に開閉バルブを付設するため、処理工程が煩雑になるとともに、連通管が詰まった場合などには、洗浄やメンテナンスが大変となる。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、プロセスが簡潔であり、脱塩素率が向上し、排水処理設備も必要とせず、極めて低い塩素濃度の油分を得ることができ、さらに高いエネルギー効率を実現できる混在廃プラスチックの熱分解装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の混在廃プラスチックの熱分解方法及び混在廃プラスチックの熱分解装置は、以下の構成を有する。
本発明の請求項1に記載の混在廃プラスチックの熱分解方法は、反応器内で混在廃プラスチックとアルカリ性粉末を接触・混合し、不活性ガスをパージした状態で、高周波電流による誘導加熱装置で前記反応器本体に配したコイルに高周波電流を流し反応器内部温度を200℃〜700℃に加熱し、前記混在廃プラスチックを分解・ガス化させる構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)1つの反応器内で混在廃プラスチックとアルカリ性粉末が接触反応することにより、ポリ塩化ビニル(PVC)等の塩素原子を含有する樹脂が混在する廃プラスチックを接触分解ガス化するに際し、複雑な脱塩素工程を必要とせず、また、脱塩素反応によって生成する塩化水素もアルカリ性粉末と反応し、反応器内で除去されるから、この発生した分解ガスを冷却凝縮すると極めて低い塩素濃度の油分を得ることができる。即ち、従来技術では、油分に数10,000ppmの塩素が存在したが、本発明では300ppm以下まで低下する。
(2)脱塩素反応によって生成する塩化水素は、反応器内でアルカリ性粉末と反応し、アルカリ性粉末の塩類として捕捉されるため、塩化水素による機器の腐食を防止できる。さらに塩化水素回収設備、排水処理設備も不要となる。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明の混在廃プラスチックの熱分解方法及び混在廃プラスチックの熱分解装置は、以下のような顕著な効果が得られる。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば
(1)1つの反応器内で混在廃プラスチックとアルカリ粉末が接触反応することにより、ポリ塩化ビニル(PVC)等の塩素原子を含有する樹脂が混在する廃プラスチックを接触分解ガス化するに際し、複雑な脱塩素工程を必要とせず、また、脱塩素反応によって生成する塩化水素もアルカリ性粉末と反応し、反応器内で除去されるから、極めて低い塩素濃度の油分を得ることができる。即ち、従来技術では数10,000ppmの有機塩素が存在したが、本発明では300ppm以下まで低下する。アルカリ性粉体には、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属の水酸化物の粉末を使用する。
(2)脱塩素反応によって生成する塩化水素は、反応器内でアルカリ性粉末と反応し、アルカリ性粉末の塩類として捕捉されるため、塩化水素による機器の腐食を防止できる。さらに塩化水素回収設備、排水処理設備も不要となる。
(3)反応器にて、分解・ガス化された極めて塩化水素濃度が低い分解ガスは、特殊な冷却装置で冷却され、塩素濃度が300ppm以下の油分を得ることができる。
(4)分解ガスは、極めて塩化水素濃度の低い分解ガスであるため、塩化水素による機器の腐食を防止でき、修繕費等のランニングコストが低減し、またトラブルによる停止がない長期運転が可能な装置となる。
(5)反応器内に不活性ガスが導入された雰囲気で混在廃プラスチックの分解・ガス化を行うので、反応器内が不活性ガスでパージされた状態又は酸素が希薄な状態で混在廃プラスチックが加熱されて分解されるので、ダイオキシンの発生を防止することができ環境保全性に優れる。また、酸素が希薄な状態で混在廃プラスチックが加熱されて分解されるので、油分、可燃ガスによる爆発の危険性が無い極めて安全な装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば
反応器を脱塩素率の向上に寄与する材質の金属(一例として炭素鋼がある)で製作すると、反応器内に触媒金属を存在させることなく、脱塩素率を向上させることができ極めて塩化水素濃度の低い分解ガスが発生することになり、塩化水素による機器の腐食を防止でき、修繕費等のランニングコストが低減し、またトラブルによる停止がない長期運転が可能な装置となる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば
請求項1の冷却凝縮した油分の塩素濃度を請求項8の塩素濃度自動連続測定装置で測定し、混在廃プラスチックを反応槽に投入する前工程にて、廃プラスチックへのアルカリ性粉末添加量を目標とする油分塩素濃度になるように増減して混合し、最適塩素濃度の油分を提供でき、装置の連続運転に容易に対応でき混在廃プラスチック処理量が向上し、エネルギー効率の高い装置となる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば
(1)反応器本体にコイルを配し、前記コイルに高周波電流を流し前記反応器本体を誘導加熱し、混在廃プラスチックを分解・ガス化する混在廃プラスチックの熱分解装置を提供できる。
(2)反応器本体に付設した撹拌機により混在廃プラスチックとアルカリ性粉末が撹拌接触し、混在廃プラスチックとアルカリ性粉末の脱塩素反応、分解・ガス化が迅速に高効率で進む混在廃プラスチックの熱分解装置を提供できる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、
混在廃プラスチックの伝熱と反応を迅速に進行せしめて混在廃プラスチックを分解・ガス化して油分を得るようにしたから、熱可塑性樹脂で80%以上、熱硬化性樹脂で40%以上の油分回収収率を実現し、高周波電流を流す誘導加熱設定温度の調節によりワックスも生成され難く、低流動点の油分を得ることができる混在廃プラスチックの熱分解装置を提供できる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば
(1)複数の反応器を1基の高周波による誘導加熱装置により作動させることにより、誘導加熱装置の有効利用運転、及び初期投資の低減と設備管理負荷の低減を図ることができる。
(2)又、各反応器の負荷の変動に容易に追従することが可能となり、安定して混在廃プラスチックを分解・ガス化することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、分解ガスを冷却凝縮する熱交換器を二重管方式とし、内管に分解ガスを通し、外管に冷却冷媒を流すことにより、多管式熱交換器の管内で多発する付着・閉塞のトラブルが極めて減少し、メンテナンスも容易な冷却装置となる。
【0016】
請求項7に記載の発明によれば
反応器内で、200℃〜700℃の温度領域でカルボン酸であるフタル酸類はアルカリ性粉末との中和反応によりフタル酸塩類が生成する。このフタル酸塩類はフタル酸類より、油分・水分への溶解度が高く、従来技術ではフタル酸類固形物による装置への付着・閉塞トラブルが頻繁に発生していたが、前記トラブルの発生が皆無の混在廃プラスチックの熱分解装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態においては、アルカリ性粉体として、水酸化カルシウムを用いた場合について説明する。
(第1の実施の形態)
【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例で使用した混在廃プラスチックは、現在は埋め立て処分されているプラスチックである。
【0019】
(実験例1)油分塩素濃度(wt%)
混在廃プラスチックの水酸化カルシウム添加比率(wt%)と油分塩素濃度(wt%)の相関
(1)HCl+Ca(OH)→CaCl+H
(2)上記の反応式により、廃プラスチック中の塩素分が塩化水素(HCl)となり、この塩化水素(HCl)が水酸化カルシウム(Ca(OH))と反応し、塩化カルシウム(CaCl)と水(HO)を生成する。
(3)油分塩素濃度(wt%)は、生成した水(HO)に塩化水素(HCl)が溶解し塩酸水溶液となり、この塩酸水溶液が油分に溶解することにより強酸であれば高い油分塩素濃度(wt%)、弱酸であれば低い油分塩素濃度(wt%)を呈する。
(4)塩酸水溶液濃度の強弱は水酸化カルシウム(Ca(OH))との反応性により決定される。
(5)(実験例1)として混在廃プラスチックの水酸化カルシウム添加比率(wt%)と油分塩素濃度(wt%)の相関を記すが、水酸化カルシウム添加比率(wt%)に油分塩素濃度(wt%)が反比例し減少している結果を示している。
(6)ここで、水酸化カルシウム添加比率(wt%)は下記の式で表す。
水酸化カルシウム添加比率(wt%)
=(水酸化カルシウム重量/混在廃プラスチック重量)×100
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】


【0022】
【表3】

【0023】
(実施例2)油分発熱量(J/g)
混在廃プラスチックの水酸化カルシウム添加比率(wt%)と油分発熱量(J/g)の相関
(1)水酸化カルシウム添加比率(wt%)即ち油分塩素濃度(wt%)が低下するとともに油分発熱量(J/g)が上昇する。
(2)これは油分塩素濃度(wt%)が低下するとともに油分中の塩酸水溶液含有量が減少し、水分による油分発熱量(J/g)の低下が減少していることを示している。
【0024】
【表4】


【0025】
【表5】

【0026】
【表6】


【0027】
次に、本発明に係わる混在廃プラスチックの熱分解装置の具体的な実施の形態について図面を参照して説明する。
(第2の実施の形態)
図1に、本発明の実施の形態に係わる混在廃プラスチックの熱分解装置のブロック図を示す。図2に、本発明の実施の形態に係わる混在廃プラスチックの熱分解装置(反応プロセス)概要を示す模式図を示す。
【0028】
混在廃プラスチックとアルカリ性粉末を混合し、原料ホッパー1に貯蔵される。アルカリ性粉末の添加量は、油分の塩素濃度を連続測定し最適又は任意の塩素濃度の油分を得るように制御される。
【0029】
原料ホッパー1より定量で切り出された混在廃プラスチックとアルカリ性粉末の混合原料は、反応器(熱分解炉)2に投入され、不活性ガスをパージした状態で、高周波電流による誘導加熱装置9でコイル10に高周波電流を流し反応器(熱分解炉)2内部温度を200℃〜700℃に加熱し、混在廃プラスチックを分解・ガス化させる。
【0030】
反応器(熱分解炉)2内で混在廃プラスチックとアルカリ性粉末が接触反応することにより、塩素原子を含有する樹脂が混在する廃プラスチックを接触分解油化するに際し、脱塩素反応によって生成する塩化水素がアルカリ性粉末と反応し、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩類となり反応器(熱分解炉)2内で除去される。
【0031】
混在廃プラスチックが分解・ガス化した熱分解ガスは、水冷式のNo.1熱交換器4・No.2熱交換器6で冷却液化され、No.1油分留出槽5・No.2油分留出槽7に回収される。脱塩素反応によって生成する塩化水素が前記のように、反応器(熱分解炉)2内で除去されるから、極めて低い塩素濃度の油分を得ることができる。即ち、従来技術では、油分に数10,000ppmの塩素が存在したが、本発明では300ppm以下まで低下する。この油分は製油所に送り、石油製品の原料に戻すフィードストックリサイクルすることが、環境負荷低減できるとともに、真の循環型社会を構築できることになるので、最も望ましい方法である。
【0032】
反応器(熱分解炉)2内にて発生した熱分解ガスには、
水冷式のNo.1熱交換器4・No.2熱交換器6で冷却凝縮しきれなかった低沸点のガス成分が存在する。この低沸点のガス成分は、反応器(熱分解炉)2内が不活性ガスでパージされた状態で混在廃プラスチックが加熱されて分解されるので、ダイオキシンの発生を防止することができ環境保全性に優れているので、水封槽8を経由して大気に放出する。
【0033】
残渣ピット3に回収した混在廃プラスチックの残渣には、脱塩素反応によって生成する塩化水素がアルカリ性粉末と反応したアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩類が含まれるが、この塩類は、道路の凍結防止剤、工事現場における防塵剤としての用途があり、有効に活用できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリ塩化ビニル(PVC)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)等塩素を組成成分として含有する熱可塑性樹脂及びフェーノル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が混在している廃プラスチック(以後混在プラスチックとする)をアルカリ性粉末と混合して高周波電流による誘導加熱装置で前記反応器内部温度を200℃〜700℃の温度領域で加熱分解反応させ塩素由来物質を中和する方法及びそのための装置に関し分解反応効率に優れ、分解し難いといわれる直鎖分子であっても低温で分解することができ分解残渣がほとんど生じることがなく、またプロセスが簡潔であり油分収率で40〜80%以上の高いエネルギー効率を実現でき、フタル酸類固形物による装置への付着・閉塞トラブルの発生が皆無の混在廃プラスチックの熱分解装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】 本発明の最良の実施形態に係わる混在廃プラスチックの熱分解装置(反応プロセス)概要を示すシステムフロー図である。
【図2】 本発明の実施例に係わる混在廃プラスチックの熱分解装置(反応プロセス)概要を示す模式図である。
【図3】 本発明の実施例に係わる混在廃プラスチックの熱分解方法におけるシャンプーペットボトル粉砕混在廃プラスチックの水酸化カルシウム添加比率(重量%)と油分塩素濃度(重量%)の相関を示すグラフである。
【図4】 本発明の実施例に係わる混在廃プラスチックの熱分解方法における医療廃棄物廃プラスチックの水酸化カルシウム添加比率(重量%)と油分塩素濃度(重量%)の相関を示すグラフである。
【図5】 本発明の実施例に係わる混在廃プラスチックの熱分解方法における(PP+PVC)プラスチックの水酸化カルシウム添加比率(重量%)と油分塩素濃度(重量%)の相関を示すグラフである。
【図6】 本発明の実施例に係わる混在廃プラスチックの熱分解方法におけるシャンプーペットボトル粉砕混在廃プラスチックの水酸化カルシウム添加比率(重量%)と油分発熱量(J/g)の相関を示すグラフである。
【図7】 本発明の実施例に係わる混在廃プラスチックの熱分解方法における医療廃棄物廃プラスチックの水酸化カルシウム添加比率(重量%)と油分発熱量(J/g)の相関を示すグラフである。
【図8】 本発明の実施例に係わる混在廃プラスチックの熱分解方法における(PP+PVC)プラスチックの水酸化カルシウム添加比率(重量%)と油分発熱量(J/g)の相関を示すグラフである。
【符号の説明】
【0036】
1 原料ホッパー(混在廃プラスチック・アルカリ粉末仕込みホッパー)
2 反応器(熱分解炉)
3 残渣ピット
4 No.1熱交換器
5 No.1油分留出槽
6 No.2熱交換器
7 No.2油分留出槽
8 水封槽
9 高周波誘導加熱装置・制御動力盤
10 コイル
11 攪拌機
12 自動バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器内及び前処理工程で混在廃プラスチックとアルカリ性粉体を混合し、高周波電流による誘導加熱装置で前記反応器内部温度を200℃〜700℃の温度領域とし、さらに反応器内を不活性ガス雰囲気下とし、前記混在廃プラスチックを分解・ガス化させ、この発生した分解ガスを冷却凝縮して油分を得ることを特徴とする混在廃プラスチック熱分解装置。
【請求項2】
前記の反応器材質を磁性のおびやすい金属にすることにより、混在廃プラスチックに含有する塩素分の除去率を向上させることを特徴とする請求項1に記載の混在廃プラスチック熱分解装置。
【請求項3】
反応器内部温度を200℃〜700℃の温度領域に温度調整する加熱手段と、混在廃プラスチックとアルカリ性粉末とを混合・撹拌する撹拌手段とを有する反応器を備えていることを特徴とする請求項1に記載の混在廃プラスチック熱分解装置。
【請求項4】
混在廃プラスチック分解装置の反応器加熱手段としては、高周波電流による誘導加熱装置を採用し、精度ある加熱温度の設定により、混在廃プラスチックの分解・ガス化を向上させることを特徴とする請求項1に記載の混在廃プラスチック熱分解装置。
【請求項5】
混在廃プラスチック分解装置の反応器を、請求項4の高周波電流による誘導加熱装置による加熱方法として、複数の反応器を1基の誘導加熱装置による加熱方式とすることを特徴とする請求項1に記載の廃プラスチック熱分解装置。
【請求項6】
混在廃プラスチックに含有するフタル酸類やプラスチックの成形加工時に添加する安定剤はアルカリ性粉末との反応により、油分・水分に溶解しやすいアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩類となり、機器・配管の閉塞が起こりにくいことを特徴とする請求項1に記載の混在廃プラスチック熱分解装置。
【請求項7】
冷却装置として、混在廃プラスチックの分解時に発生するフタル酸等固形物の析出、プラスチックの成形加工時に添加する安定剤の分解物によるトラブルが起こりにくい、冷却装置を有することを特徴とする請求項1に記載の混在廃プラスチック熱分解装置。
【請求項8】
冷却凝縮した油分の塩素濃度を自動連続で測定し、混在廃プラスチックへのアルカリ性粉末添加量を制御し、最適又は任意の塩素濃度の油分を得ること、及びアルカリ性粉末使用量の最適化を図ることを特徴とする請求項1に記載の混在廃プラスチック熱分解装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−184673(P2011−184673A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76147(P2010−76147)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(501386924)有限会社 ラムサ・ABE (26)
【Fターム(参考)】