説明

混成画素補間装置および混成画素補間方法

【課題】画素補間処理に伴う画質劣化を改善すること。
【解決手段】混成画素補間装置1は、1画素につき1つの色成分のみを有する原画像データD1を、1画素につき複数の色成分を有する画素補間データへ変換する機能を有する。この混成画素補間装置1は、入力する原画像データD1中の所定の画素領域内の画素データを保持するレジスタ2と、このレジスタ2から入力する画素データD2をサンプリングして画素補間処理を行う複数の画素補間部41,42,…,4n-1,4n(n:2以上の整数)と、混合係数α1,α2,…,αnを算出する混合係数演算部3とを備えると共に、各画素補間部41〜4nから出力された補間データDI1,DI2,…,DInを取り込み混合して出力する混合部5とを備えている。混合係数演算部3では、混合係数α1〜αnは、画質劣化を最小に抑えられるように、画素補間部41〜4nの各々に対して算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1画素につき1つの色成分のみをもつ原画像データについて、当該画素に欠けている色成分を補間する画素補間装置および画素補間方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラでは、被写体から入射した光は、レンズなどの光学系や光学フィルタなどを透過した後に結像し、CCDセンサやCMOSセンサなどの撮像センサで検出され光電変換を施されて、原画像データ(Raw Image Data)として出力される。一般に、撮像センサに入射した光は、光電変換を施される前に、色フィルタアレイを透過して各画素毎に着色される。色フィルタアレイは、R(赤色),G(緑色),B(青色)の3原色、若しくは、Y(黄色),M(マゼンダ色),G(緑色),C(シアン色)などの補色の色フィルタを所定の規則で配列したものが一般的である。一枚の撮像センサを用いる単板式の色フィルタアレイの場合は、各画素につき一色の色フィルタしか形成されていないため、撮像センサは、各画素につき1色成分しか持たない原画像データを出力する。その原画像データはそのままディスプレイ・モニターに表示できないため、原画像データ中の各画素に欠けている色成分を、周辺画素の色成分を参照して補間するという画素補間処理を行う必要がある。
【0003】
図7および図8は、色フィルタの配列に合わせて各色成分をマトリクス状に配列した原画像データ100,110を例示する模式図である。図7は、3原色系の色フィルタアレイの透過光を撮像した原画像データ100を示しており、各画素にR,G,Bの何れかの色成分が一対一で対応している。太線枠101で囲まれる2×2画素領域の色成分配列が基本配列である。また、図8は、補色系の色フィルタアレイの透過光を撮像した原画像データ110を示しており、各画素にY,M,G,Cの何れかの色成分が一対一で対応している。太線枠111で囲まれる2×2画素領域の色成分配列が基本配列である。
【0004】
画素補間処理においては、例えば、図7に示すように、B成分のみをもつ中央部の着目画素に対して周辺画素における4つのR成分と4つのG成分とが参照される。そして、参照した色成分を各色毎に平均化するなどして、当該着目画素に欠けているR成分とG成分とが補間される。補色系の原画像データ110についても同様である。例えば、図8に示すように、M成分のみをもつ着目画素に対して周辺画素における4つのC成分、2つのG成分および2つのY成分を参照して、欠けているC成分,G成分およびY成分が補間される。このような画素補間法に限らず、多種多様な画素補間法が存在する。
【0005】
しかしながら、着目画素近傍の周辺画素を参照して色成分を作り出すのであるから、本来存在しない偽色の発生や、ノイズ成分の拡大などの画質劣化が生じる。特に、金属質の画像領域、色のエッジ部分および色の偏りが大きな画像領域においては、偽色が発生し易いことが知られている。また、周辺画素を各色毎に平均化して補間するため、細かい模様などを示す高周波数成分が除去され易い。
【0006】
また、図7,図8に示したように撮像センサ上の各画素は規則的に配列しているため、細かい縞模様や格子状のパターンを撮像すると、画素補間処理により着目画素近傍の周辺画素が互いに干渉し合い、モアレ(干渉縞)が発生することも知られている。
【0007】
従って、以上の画質劣化を避けるために、従来から、着目画素近傍の画像パターンを検出し、各画像パターンに適した補間法に切り換えるという適応型画素補間処理が行われているが、上記画質劣化を完全に除去するに至っていないのが現状である。また、補間方法を画素単位で切り換えた場合、局所的な不連続性が発生し、画質がかえって劣化するという問題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の現状などに鑑みて本発明が目的とするところは、画素補間処理に伴う画質劣化を大幅に改善し得る混成画素補間装置および混成画素補間方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る混成画素補間装置は、1画素につき1つの色成分のみを有する原画像データを、1画素につき複数の色成分を有する画素補間データへ変換する混成画素補間装置であって、前記原画像データ中の着目画素を囲む第1局所領域に含まれ、当該着目画素に欠けている色成分と同じ色の色成分を有する全ての画素の色成分を用いて、当該着目画素に欠けている色成分を互いに異なる方法で補間する複数の画素補間部と、前記原画像データ中の当該着目画素を囲む第2局所領域における全ての画素の色成分を用いて、前記画素補間部の各々に割り当てられる混合係数を算出する混合係数演算部と、前記複数の画素補間部の各々から入力する補間データに前記混合係数を乗じて画素単位で混合して前記画素補間データを生成する混合部と、を備え、前記画素補間部の一は、前記第1局所領域において当該着目画素と同じ色の色成分の平均値または総和と、当該着目画素に欠けている色成分の平均値または総和との比率を各色毎に算出する手段と、当該比率と前記着目画素が有する色成分とを乗算して前記欠けている色成分を生成する手段と、を有し、前記画素補間部の他の一は、前記原画像データの中の着目画素を囲む第1局所領域において当該着目画素に欠けている色成分の平均値を算出して当該着目画素に欠けている色成分を生成する手段を有し、前記画素補間部の前記一に割り当てられる前記混合係数は前記第2局所領域の色成分の偏りが大きいほど小さく、前記画素補間部の前記他の一に割り当てられる前記混合係数は前記第2局所領域の色成分の偏りが大きいほど大きいことを特徴としたものである。
【0010】
請求項2に係る混成画素補間装置は、1画素につき1つの色成分のみを有する原画像データを、1画素につき複数の色成分を有する画素補間データへ変換する混成画素補間装置であって、前記原画像データ中の着目画素を囲む第1局所領域に含まれ、当該着目画素に欠けている色成分と同じ色の色成分を有する全ての画素の色成分を用いて、当該着目画素に欠けている色成分を互いに異なる方法で補間する複数の画素補間部と、前記原画像データ中の画素のうち当該着目画素のみの信号レベルに基づいて、前記画素補間部の各々に割り当てられる混合係数を算出する混合係数演算部と、前記複数の画素補間部の各々から入力する補間データに前記混合係数を乗じて画素単位で混合して前記画素補間データを生成する混合部と、を備え、前記画素補間部の一は、前記第1局所領域において当該着目画素と同じ色の色成分の平均値または総和と、当該着目画素に欠けている色成分の平均値または総和との比率を各色毎に算出する手段と、当該比率と前記着目画素が有する色成分とを乗算して前記欠けている色成分を生成する手段と、を有し、前記画素補間部の他の一は、前記原画像データの中の着目画素を囲む第1局所領域において当該着目画素に欠けている色成分の平均値を算出して当該着目画素に欠けている色成分を生成する手段を有し、前記画素補間部の前記一に割り当てられる前記混合係数は、当該着目画素の信号レベルが小さいほど小さく、前記画素補間部の前記他の一に割り当てられる前記混合係数は前記着目画素の信号レベルが小さいほど大きい。
【0011】
請求項3に係る混成画素補間装置は、請求項1記載の混成画素補間装置であって、前記混合係数演算部は、前記着目画素の信号レベルに基づいて前記各混合係数を算出する手段を有するものである。
【0012】
請求項4に係る混成画素補間装置は、請求項2又は3記載の混成画素補間装置であって、前記混合係数演算部は、前記着目画素の信号レベルを所定の変換テーブルに従って変換する変換手段を有し、該変換手段で変換した値に基づいて前記各混合係数を算出するものである。
【0013】
請求項5に係る混成画素補間装置は、請求項1記載の混成画素補間装置であって、前記混合係数演算部は、前記第2局所領域における前記色成分に関する統計値に基づいて前記各混合係数を算出する手段を有するものである。
【0014】
請求項6に係る混成画素補間装置は、請求項5記載の混成画素補間装置であって、前記統計値を、前記第2局所領域における各色毎の輝度の総和または平均値としたものである。
【0015】
請求項7に係る混成画素補間装置は、請求項4記載の混成画素補間装置であって、前記統計値を、前記第2局所領域における前記色成分の各色毎の標準偏差または分散としたものである。
【0016】
請求項8に係る混成画素補間装置は、請求項5〜7の何れか1項に記載の混成画素補間装置であって、前記混合係数演算部は、前記統計値を用いて前記第2局所領域の色の偏り度を算出し、該偏り度に応じて前記混合係数を算出する手段を有するものである。
【0017】
請求項9に係る混成画素補間装置は、請求項8記載の混成画素補間装置であって、前記偏り度を前記統計値の各色間の比率としたものである。
【0018】
請求項10に係る混成画素補間装置は、請求項9記載の混成画素補間装置であって、前記比率を前記統計値の中の最大値と最小値との比としたものである。
【0019】
請求項11に係る混成画素補間装置は、請求項8記載の混成画素補間装置であって、前記偏り度を前記統計値の各色間の差分としたものである。
【0020】
請求項12に係る混成画素補間装置は、請求項5〜11の何れか1項に記載の混成画素補間装置であって、前記混合係数演算部は、前記統計値または前記偏り度の値を所定の変換テーブルに従って変換する変換手段を有し、該変換手段で変換した値に基づいて前記各混合係数を算出するものである。
【0021】
請求項13に係る混成画素補間装置は、請求項1〜12の何れか1項に記載の混成画素補間装置であって、前記混合係数演算部で算出された前記各混合係数を、外部入力の制御信号に応じて入れ替える手段を更に備えたものである。
【0022】
請求項14に係る混成画素補間装置は、請求項1〜13の何れか1項に記載の混成画素補間装置であって、前記原画像データは、デジタルカメラに搭載される単板式の撮像素子で撮像したものである。
【0023】
次に、請求項15に係る混成画素補間方法は、1画素につき1つの色成分のみを有する原画像データを、1画素につき複数の色成分を有する画素補間データへ変換する混成画素補間方法であって、(a)前記原画像データ中の着目画素を囲む第1局所領域に含まれ、当該着目画素に欠けている色成分と同じ色の色成分を有する全ての画素の色成分を用いて、当該着目画素に欠けている色成分を、互いに異なる複数の画素補間工程で補間する工程と、(b)前記原画像データ中の当該着目画素を囲む第2局所領域における全ての画素の色成分を用いて、前記工程(a)における前記各画素補間工程の各々に割り当てられる混合係数を算出する工程と、(c)前記工程(a)において前記各画素補間工程で補間された補間データに前記混合係数を乗じて画素単位で混合して前記画素補間データを生成する工程と、を備え、前記工程(a)の前記複数の画素補間工程のうち、一の画素補間工程は、(a−1)前記第1局所領域において当該着目画素と同じ色の色成分の平均値または総和と、当該着目画素に欠けている色成分の平均値または総和との比率を各色毎に算出する工程と、(a−2)前記工程(a−1)で算出された当該比率と前記着目画素が有する色成分とを乗算して前記欠けている色成分を生成する工程と、を有し、前記工程(a)の前記複数の画素補間工程のうち、前記画素補間工程の他の一は、(a−3)前記原画像データの中の着目画素を囲む第1局所領域において当該着目画素に欠けている色成分の平均値を算出して当該着目画素に欠けている色成分を生成する工程を有し、前記画素補間工程の前記一に割り当てられる前記混合係数は前記第2局所領域の色成分の偏りが大きいほど小さく、前記画素補間工程の前記他の一に割り当てられる前記混合係数は前記第2局所領域の色成分の偏りが大きいほど大きいことを特徴としたものである。
【0024】
請求項16に係る混成画素補間方法は、1画素につき1つの色成分のみを有する原画像データを、1画素につき複数の色成分を有する画素補間データへ変換する混成画素補間方法であって、(a)前記原画像データ中の着目画素を囲む第1局所領域に含まれ、当該着目画素に欠けている色成分と同じ色の色成分を有する全ての画素の色成分を用いて、当該着目画素に欠けている色成分を、互いに異なる複数の画素補間工程で補間する工程と、(b)前記原画像データ中の画素のうち当該着目画素のみの信号レベルに基づいて、前記工程(a)における前記各画素補間工程の各々に割り当てられる混合係数を算出する工程と、(c)前記工程(a)において前記各画素補間工程で補間された補間データに前記混合係数を乗じて画素単位で混合して前記画素補間データを生成する工程と、を備え、前記工程(a)の前記複数の画素補間工程のうち、前記画素補間工程の一は、(a−1)前記第1局所領域において当該着目画素と同じ色の色成分の平均値または総和と、当該着目画素に欠けている色成分の平均値または総和との比率を各色毎に算出する工程と、(a−2)前記工程(a−1)で算出された当該比率と前記着目画素が有する色成分とを乗算して前記欠けている色成分を生成する工程と、を有し、前記工程(a)の前記複数の画素補間工程のうち、前記画素補間工程の他の一は、(a−3)前記原画像データの中の着目画素を囲む第1局所領域において当該着目画素に欠けている色成分の平均値を算出して当該着目画素に欠けている色成分を生成する工程を有し、前記画素補間部の前記一に割り当てられる前記混合係数は、当該着目画素の信号レベルが小さいほど小さく、前記画素補間部の前記他の一に割り当てられる前記混合係数は前記着目画素の信号レベルが小さいほど大きい。
【0025】
請求項17に記載の混成画素補間方法は、請求項15記載の混成画素補間方法であって、前記工程(b)は、前記着目画素の信号レベルに基づいて前記各混合係数を算出する工程を備えるものである。
【0026】
請求項18に係る混成画素補間方法は、請求項16又は17記載の混成画素補間方法であって、前記工程(b)は、前記着目画素の信号レベルを所定の変換テーブルに従って変換する変換手段を有し、該変換手段で変換した値に基づいて前記各混合係数を算出する工程を備えるものである。
【0027】
請求項19に係る混成画素補間方法は、請求項15記載の混成画素補間方法であって、前記工程(b)は、前記第2局所領域における前記色成分に関する統計値に基づいて前記各混合係数を算出する工程を備えたものである。
【0028】
請求項20に係る混成画素補間方法は、請求項19記載の混成画素補間方法であって、前記統計値を、前記第2局所領域における各色毎の輝度の総和または平均値としたものである。
【0029】
請求項21に係る混成画素補間方法は、請求項19記載の混成画素補間方法であって、前記統計値を、前記局所領域における前記色成分の各色毎の標準偏差または分散としたものである。
【0030】
請求項22に係る混成画素補間方法は、請求項19〜21の何れか1項に記載の混成画素補間方法であって、前記工程(b)は、前記統計値を用いて前記第2局所領域の色の偏り度を算出し、該偏り度に応じて前記各混合係数を算出する工程を備えたものである。
【0031】
請求項23に係る混成画素補間方法は、請求項22記載の混成画素補間方法であって、前記偏り度を前記統計値の各色間の比率としたものである。
【0032】
請求項24に係る混成画素補間方法は、請求項23記載の混成画素補間方法であって、前記比率を、前記統計値のうち最大値と最小値との比としたものである。
【0033】
請求項25に係る混成画素補間方法は、請求項22記載の混成画素補間方法であって、前記偏り度を前記統計値の各色間の差分としたものである。
【0034】
請求項26に係る混成画素補間方法は、請求項19〜25の何れか1項に記載の混成画素補間方法であって、前記工程(b)は、前記統計値または前記偏り度の値を所定の変換テーブルに従って変換する変換工程を有し、該変換工程で変換した値に基づいて前記各混合係数を算出する工程を備えるものである。
【0035】
請求項27に係る混成画素補間方法は、請求項19〜26の何れか1項に記載の混成画素補間方法であって、(d)前記工程(b)で算出された前記各混合係数を、外部入力の制御信号に応じて入れ替える工程、を更に備えるものである。
【0036】
請求項28に係る発明は、請求項15〜27の何れか1項に記載の混成画素補間方法であって、前記原画像データは、デジタルカメラに搭載される単板式の撮像素子で撮像したものである。
【発明の効果】
【0037】
以上の如く、本発明の請求項1に係る混成画素補間装置および請求項15に係る混成画素補間方法によれば、色成分の偏りが大きいほど、画素補間部(工程)の一による補間データの色再現性が低下することろ、当該画素補間部(工程)の一に割り当てられる混合係数が小さく、画素補間部(工程)の他の一に割り当てられる混合係数が大きいので、画質劣化を抑制することができる。
【0038】
請求項2に係る混成画素補間装置および請求項16に係る混成画素補間方法によれば、着目画素の信号レベルが小さいほど、画素補間部(工程)の一による補間データにはノイズが強調されることろ、当該画素補間部(工程)の一に割り当てられる混合係数が小さく、画素補間部(工程)の他の一に割り当てられる混合係数が大きいので、画質劣化を抑制することができる。
【0039】
請求項3に係る混成画素補間装置および請求項17に係る混成画素補間方法によれば、着目画素の信号レベルに応じて最適な混合係数を算出できるため、高品位の画素補間データを得ることができる。更に請求項4に係る混成画素補間装置および請求項18係る混成画素補間方法によれば、その信号レベルをそのまま使用する場合と比べて、混合係数をより最適化することが可能となる。
【0040】
請求項5,6,7に係る混成画素補間装置および請求項19,20,21に係る混成画素補間方法によれば、上記局所領域における画像の特性をより正確に算出して、画素補間データの画質劣化をより効果的に抑制することが可能となる。
【0041】
請求項8および請求項22によれば、色の偏り度合いに応じて混合係数を算出できるため、画素補間データの画質劣化をより効果的に抑制することが可能となる。
【0042】
請求項9,10,11に係る混成画素補間装置および請求項23,24,25に係る混成画素補間方法によれば、比較的簡素な構成および方法で色の偏り度を算出することが可能となる。
【0043】
請求項12および請求項26によれば、上記統計値や偏り度をそのまま使用する場合と比べて、混合係数を最適化できるため、高品位の画素補間データを得ることができる。
【0044】
請求項13および請求項27によれば、制御信号の値を切り換えることにより、細かい状況に柔軟に対応した混合係数を算出することが可能となる。
【0045】
請求項14および請求項28によれば、デジタルカメラで撮像した画像の画質向上が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の種々の実施の形態について説明する。
【0047】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る混成画素補間装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。この混成画素補間装置1には、単板式のCCDセンサまたはCMOSセンサから出力されA/D変換などの信号処理を施された原画像データ(Raw Image Data)D1が入力している。上述した通り、この原画像データD1は、各画素につき1つの色成分のみを有するものである。
【0048】
混成画素補間装置1は、入力する原画像データD1中の所定の画素領域内の画素データを保持するレジスタ2と、このレジスタ2から入力する画素データD2をサンプリングして画素補間処理を行う複数の画素補間部41,42,…,4n-1,4n(n:2以上の整数)と、混合係数α1,α2,…,αnを算出する混合係数演算部3とを備えると共に、各画素補間部41〜4nから出力された補間データDI1,DI2,…,DInを取り込み混合して出力する混合部5とを備えて構成されている。
【0049】
本実施の形態1では、画素補間部41〜4n、混合係数演算部3および混合部5はハードウェア構成を有するが、本発明ではこれに限らず、画素補間部41〜4n、混合係数演算部3および混合部5のうち少なくとも一つの機能ブロックがソフトウェア処理で実現されるものでもよい。
【0050】
前記レジスタ2は、例えば、3×3画素や5×5画素などの2次元画像領域の画素データを順次保持するシフトレジスタ(図示せず)やラインメモリ(図示せず)などから構成されている。このレジスタ2は、この2次元画像領域中の中央部の画素を着目画素として他の画素と区別してその色成分を保持する。また、前記画素補間部41〜4nは、互いに異なる画素補間方法で、レジスタ2から入力する画素データD2をサンプリングして利用し、当該着目画素に欠けている色成分を補間する機能を有するものである。
【0051】
また、前記混合係数演算部3は、レジスタ2から入力する画素データD2、或いは、画素補間部41〜4nで処理したデータDP1,DP2,…、DPn-1,DPnに基づいて、各画素補間部41〜4nに割り当てる混合係数α1,α2,…,αn(係数情報Mc)を画素単位で演算する。それら混合係数α1〜αnは、画素補間部41〜4nの各々が全体の画素補間処理の中で寄与する割合に比例する数値であり、混合係数の総和α1+α2+…+αnは一定値に設定される。
【0052】
また、混合部5は、前記混合係数演算部3から入力する混合係数α1〜αnを、画素補間部41〜4nから入力する補間データDI1〜DInに重み付けして(乗算して)出力する乗算回路61〜6nを有し、更に、これら乗算回路61〜6nから出力された全ての乗算データを加算し、画素補間データDcとして出力する加算回路7を有している。乗算回路61〜6nには、それぞれ、画素補間部41〜4nから補間データDI1〜DInが入力し、混合係数演算部3からは、各補間データDI1〜DInに対応した混合係数α1〜αnが入力している。
【0053】
上記混合係数演算部3は、着目画素近傍の3×3画素や5×5画素程度の局所領域の色成分に関する統計値(総和,平均値,分散,標準偏差など)を算出し、解析して、画素補間部41〜4nの各々に割り当てる混合係数α1〜αnを算出する。その統計値の算出に利用するデータとしては、その局所領域における各色成分の輝度、色相、彩度、明度などが挙げられる。また、画素データD2の色空間(表色系)を、国際照明委員会(CIE)により策定されたXYZ表色系に変換したり、その色成分を、明度Yと色度x,y(x,y:色相と彩度を表す値)とからなる色度座標系に変換したりした後に、局所領域における統計値を算出してもよい。
【0054】
以上の混成画素補間装置1によれば、各画素補間部41〜4nから出力された補間データDI1〜DInは、混合係数演算部3によって割り当てられた混合係数α1〜αnの比率で混合される。混合係数演算部3は前述の統計値に基づいて、各画素補間部41〜4nが有する利点または弱点に応じて混合係数α1〜αnを算出する。従って、各画素補間部41〜4nが有する弱点を互いに補い合い得るように、若しくは各画素補間部41〜4nが有する利点を強調し得るように、局所領域の画像の特性に応じて最適な画素補間処理を実行でき、高品位の補間データDcを得ることが可能となる。
【0055】
尚、本実施の形態1では、画素補間部41〜4nは並列処理で生成した補間データDI1〜DInを出力し、これら補間データDI1〜DInが混合係数α1〜αnの比率で同時に混合されているが、本発明では必ずしも補間データDI1〜DInを同時に混合する必要は無く、補間データDI1〜DInの混合処理を多段階で行ってもよい。例えば、2種類の画素補間部の出力データを混合して得られる混合データを出力した後に、この混合データと他の画素補間部の出力データとを混合するという2段階の混合処理が可能である。
【0056】
実施の形態2.
次に、上記実施の形態1に係る混成画素補間装置1の具体例として、実施の形態2に係る混成画素補間装置およびその方法について説明する。図2は、本実施の形態に係る混成画素補間装置の概略構成図である。この混成画素補間装置は、外部から入力する原画像データD1の局所領域の画素データを保持するレジスタ2と、互いに異なる方法で画素補間処理を行う画素補間部41,42と、混合係数α,1−α(0≦α≦1)を算出する混合係数演算部3と、各画素補間部41,42から出力された補間データDI1,DI2を混合する混合部5とを備えている。尚、混合係数αの数値範囲(0≦α≦1)は10進表記の小数で表現されているが、実際には、混合係数αの上限である"1"の値はデジタル処理系に応じて決められるものである。
【0057】
図3は、レジスタ2に保持される5×5画素領域の画像データ30を例示する模式図である。同図に示されるように、画像データ30は、図7に示した色成分配列に従って構成されており、斜線で示される中央部の画素が着目画素Pcである。図2に示す画素補間部41,42は、図3に示す画素領域のうち、太線枠32の内部の5×5画素領域もしくは太線枠31の内部の3×3画素領域の局所領域の画素データをサンプリングして画素補間処理を実行する機能をもつ。
【0058】
前記画素補間部41は、局所領域内のR,G,B,…の輝度値を各色毎に平均化した平均値(統計値)AV1,AV2,AV3を算出する平均化回路10A,10B,10Cと、除算回路11A,11Bと、乗算回路12,13とで構成される。平均化回路10Aは、着目画素Pcが有する色成分に関する平均値AV1を算出するものである。図3に示した例では、その平均値AV1として、局所領域内の全てのB成分の算術平均値が求められる。その他の平均化回路10B,10Cは、それぞれ、当該着目画素Pcに欠けている色成分に関する平均値AV2,AV3を算出するものである。図3に示した例では、それら平均値AV2,AV3として、局所領域内の全てのR成分とG成分の算術平均値が求められることになる。
【0059】
除算回路11Aには、着目画素Pcの色成分に関する平均値AV1とその他の平均値AV2とが入力し、除算回路11Aは、平均値AV2を平均値AV1で除算して得られる比率(=AV2/AV1)を乗算回路12に出力する。他方の除算回路11Bには、着目画素Pcの色成分に関する平均値AV1とその他の平均値AV3とが入力し、除算回路11Aは、平均値AV3を平均値AV1で除算して得られる比率(=AV3/AV1)を乗算回路13に出力する。乗算回路12,13は、それぞれ、除算回路11A,11Bから入力するデータと着目画素Pcの画素データと乗算し、当該着目画素Pcに欠けている色成分として出力する。そして、これら除算回路12,13から出力された各色成分は、信号線上で結合されデータDI1となって混合部5に出力される。
【0060】
以上の画素補間部41の処理内容は数学的には次の通りである。着目画素Pcの画素値をScで表し、当該着目画素Pcに欠けている色成分の画素値をS1,S2で表すとき、以下の式(1),(2)が成立する。
【0061】
S1=(AV2/AV1)×Sc …(1)
S2=(AV3/AV1)×Sc …(2)
尚、上式(1),(2)に示すように、画素値S1,S2を算出する際に、局所領域内の輝度値の平均値AV1〜AV3を使用したが、本発明ではこれに限らず、局所領域内における各色の画素数が等しい場合には、平均値AV1〜AV3の代わりに、その局所領域の各色の輝度の総和を用いても同一の画素値S1,S2を得ることができる。
【0062】
このように、着目画素Pcの周辺画素のデータは、比率(AV2/AV1,AV3/AV1)を算出する際に使用されるが、周辺画素を使用した内挿補間などの従来法では使用されない。また、当該着目画素Pcに欠けている色成分は、それら比率を着目画素の画素値Scに重み付けして得られるものである。従って、画素補間後の画像中に偽色は発生せず、周辺画素同士が干渉し合うモアレも発生せず、高周波数成分が損なわれることがないため、欠けている色成分を高い精度で再現することができる。尚、上記では、着目画素がB成分をもつ場合について説明したが、着目画素が他の色成分(R成分、G成分)をもつ場合にも同様の補間法を適用できることは自明である。
【0063】
但し、画素補間部41の画素補間法では、SN比が悪くて当該着目画素Pcにノイズが混入している場合には、そのノイズが強調され完全に再現されるという弱点がある。特に原画像データの低輝度部分にはノイズが混入され易いことから、着目画素Pcが低輝度をもつ場合には画素補間部41に割り当てる混合係数の値を小さくすることが望ましい。
【0064】
更に、色のエッジ部分や比較的狭い画素領域において、色が白黒に変化し脱色が起こるという弱点もある。欠けている色成分を正確に算出するには、局所領域において平均値AV1〜AV3を算出する際に、当該局所領域中に各色毎にある程度の平均信号レベルが必要とされるが、色の偏り度合いが大きい場合には特定の色の平均信号レベルが低くなり、前述の脱色が起きて色再現性が低下してしまう。この色再現性の低下を避けるには、局所領域における色の偏り度合いが小さい場合には、画素補間部41に割り当てる混合係数の値を大きく調整し、その色の偏り度合いが大きい場合には当該混合係数の値を小さく調整するのが望ましい。
【0065】
図2に示す画素補間部42は、レジスタ2から入力する画素データD2を用いて、従来の周辺画素を利用した内挿補間法による画素補間機能を有し、補間データDI2を混合部5に出力する。但し、画素補間部42は必ずしも内挿補間法を採用する必要は無く、上述した画素補間部41の弱点を補い得る画素補間機能を有していればよい。
【0066】
尚、本実施の形態では、混合係数演算部3は、画素補間部41の平均化回路10A,10B,10Cから伝達した値を利用しているが、本発明ではその代わりに、混合係数演算部3の内部に上記平均値AV1,AV2,AV3を算出する平均化回路が形成されていてもよい。
【0067】
混合係数演算部3は、上述の画素補間部41が有する弱点を補い、またこの画素補間部41が有する利点を強調し得るように、混合係数α,1−αを算出する機能をもつ。図2に示すように、混合係数演算部3は、レジスタ2から伝達する着目画素Pcの画素値Scを所定の変換テーブル20cに従って変換する第1の変換回路20を備えている。図4は、入力値と出力値との対応例を示すグラフである。このグラフには、入力値に関して一様に増加する関数を表す変換曲線33a,33b,33cが示されており、変換テーブル20cは、このような変換曲線33a〜33c上の入力値と出力値との組を格納している。
【0068】
このような変換回路20は、レジスタ2から入力する着目画素Pcのデータを、前記変換テーブル20cに従って変換して加算回路24に出力する。図4に示す変換曲線33a〜33cは、何れも、低輝度の入力値に対して出力値を低く抑えた形状をもつ。これは、原画像データの低輝度部分に含まれるノイズの影響を低く抑えるためである。
【0069】
また、混合係数演算部3は、更に、上記平均化回路10A,10B,10Cから伝達する平均値AV1,AV2,AV3を昇順または降順に並べ替えて出力するソート回路21と、除算回路22と、この除算回路22から入力する画素値を所定の変換テーブル23cに従って変換する第2の変換回路23とを備えている。除算回路22は、ソート回路21から出力される各色の平均値AV1,AV2,AV3のうち最小値(Mn)を最大値(Mx)で除算した値(Mn/Mx)を、偏り度として算出する。このように最小値と最大値とを抽出し、常に最小値を最大値で除算することにより、ゼロ値除算によるオーバーフローの発生を回避することができる。
【0070】
尚、本実施の形態では、色の偏り度として平均値AV1〜AV3の中の最小値と最大値との比を採用するが、その代わりに、その最小値(Mn)と最大値(Mx)との差分もしくは差分絶対値を採用してもよい。
【0071】
また、図5は、第2の変換回路23が備える変換テーブル23cの入力値と出力値との対応例を示すグラフである。図4に示したグラフと同様に、図5には、入力値に関して一様に増加する関数を表す変換曲線34が示されており、変換テーブル23cは、このような変換曲線34上の入力値と出力値との組を格納している。この第2の変換回路23は、除算回路22から入力するデータを前記変換テーブル23cに従って変換して加算回路24に出力する。
【0072】
尚、上記の変換回路20,23には、入力値をアドレス・データとし、このアドレス・データに対応する記憶データを出力値として出力するメモリ回路(LUT(ルック・アップ・テーブル)回路)を使用すればよい。また、この種のメモリ回路の代わりに、入力値に対応する4点程度の出力値のみを記憶するレジスタを備え、実際の入力値がレジスタのデータと対応している場合はそのデータを出力し、それが対応していない場合はレジスタの4点のデータを用いて内挿補間して出力する簡易的な演算回路を使用しても構わない。
【0073】
除算回路22で算出した除算値(Mn/Mx)は、局所領域における色の偏り度を示す値である。図5に示すように、変換回路23に入力するその除算値が小さい程に色の偏り度が大きくなり、その除算値が大きい程に色の偏り度が小さくなる。変換回路23は、図5のようなグラフに従って、色の偏り度が大きい程に小さな値を出力し、色の偏り度が小さい程に大きな値を出力する。
【0074】
そして、加算回路24は、第1および第2の変換回路20,23から入力する値を加算して内部係数β(0≦β≦1)を、減算回路25と、第1セレクタ27の"0"側端子と、第2セレクタ28の"1"側端子とにそれぞれ出力する。減算回路25は、内部係数βの上限値から内部係数βを減算した値(=1−β)を第1セレクタ27の"1"側端子に出力する。
【0075】
また、第1セレクタ27は、レジスタ26から供給される選択信号Stの論理値が"0"か"1"かに応じて"0"側端子または"1"側端子を選択し、選択した端子から入力するデータを混合係数αとして混合部5に出力するものである。レジスタ26は、CPU(図示せず)などから伝達した選択信号Stを保持し、第1セレクタ27と第2セレクタ28とに供給している。その選択信号Stの論理値は、デフォルトでは"0"に設定されている。また、他方の第2セレクタ28は、レジスタ26から伝達する選択信号Stの論理値が"0"か"1"かに応じて"0"側端子または"1"側端子を選択し、選択した端子から入力するデータを混合係数1−αとして混合部5に出力するものである。
【0076】
混合部5には、混合係数演算部3から混合係数α,1−αが入力している。この混合部5において、乗算回路61は、第1の画素補間部41から入力する補間データDI1と混合係数αとを乗算して加算回路7に出力し、他方の乗算回路62は、第2の画素補間部42から入力する補間データDI2と混合係数1−αとを乗算して加算回路7に出力する。最終的に、加算回路7は、各乗算回路61,62から入力するデータを画素単位で加算して画素補間データDcとして出力する。
【0077】
以上の実施の形態2に係る混成画素補間装置によれば、着目画素Pcの輝度値と、除算回路22から出力される最大値(Mx)および最小値(Mn)の比(Mn/Mx)とに応じて混合係数α,1−αが算出される。よって、原画像データの局所領域中に、上述した第1の画素補間部41が有する弱点を出現させる特性(色の偏り度合いが大きいこと、ノイズの多い低輝度部分)が含まれていた場合には、混合係数αの値を小さく調整し、第1の画素補間部41の寄与を小さく、第2の画素補間部42の寄与を大きくすることができる。従って、画質劣化が抑制された高品位の画素補間データDcを得ることが可能である。
【0078】
尚、本実施の形態では、局所領域における各色毎の輝度の平均値AV1〜AV3の最小値と最大値との比(=Mn/Mx)を色の偏り度として採用したが、本発明ではその比に限らず、統計量である標準偏差σや分散σ2を算出しこれら統計量を用いて偏り度を算出して使用することもできる。尚、局所領域内の任意の画素値Sxに対して偏差Δは、Δ=(Sx−K)(K:AV1〜AV3の何れか)で定義される。このとき、分散σ2は、局所領域内におけるΔ2の平均値であり、標準偏差σは、分散σ2の正平方根である。
【0079】
また、変換回路20,23は、変換テーブル20c,23cに従って、着目画素Pcの画素値Scや色の偏り度を示す比(=Mn/Mx)を別の値に変換している。従って、各変換テーブル20c,23cの変換曲線を調整することにより混合係数α,1−αを最適化して上記画質劣化を最小に抑制できる。また、変換回路20,23が複数の変換テーブルを切り換え自在に有する場合には、複数の状況に対応して変換テーブルを切り換えることにより混合係数α,1−αを最適化することができる。具体的には、この混成画素補間装置を複数の撮影モードに対応したデジタルカメラに組み込んだ場合が想定される。撮影モードとしては「風景撮影モード」,「ポートレート撮影モード」,「接写モード」,「夜間撮影モード」などが挙げられるが、各撮影モードに最適な変換テーブルを選択することができる。
【0080】
更に、本実施の形態に係る混成画素補間装置は、レジスタ26の選択信号Stの論理値に応じて内部係数β,1−βを入れ替えて出力するセレクタ27,28を備えているため、選択信号Stの論理値を外部から指定することで、状況に柔軟に対応した混合係数α,1−αを算出できる。例えば、この混成画素補間装置を複数の撮影モードに対応したデジタルカメラに組み込んだ場合は、CPUなどの判断により前述の各撮影モードに応じて画質劣化が小さくなるように、選択信号Stの論理値を指定することができる。
【0081】
尚、本実施の形態1では、変換回路20,23の出力値を加算する加算回路24を用いて内部係数βを算出していたが、その加算回路24に代えて、双方の出力値の大小関係を判定し、大きい方または小さい方の出力値を選択して出力する大小判定回路を用いてもよい。その種の大小判定回路を用いる場合は、着目画素の輝度値の変換値(変換回路20の出力値)と、色の偏り度の変換値(変換回路23の出力値)との何れか一方を他方に優先して使用できることから、変換回路20,23の双方から中レベルの変換値が出力され、内部係数βが上限値付近で容易に飽和してしまうのを避けることが可能となる。
【0082】
実施の形態1の変形例.
図6は、上記実施の形態1の変形例に係る混成画素補間装置の概略構成図である。本変形例に係る混成画素補間装置は、補色系の色フィルタアレイを有する単板式の撮像センサで撮像した原画像データD1に対応しており、その基本構成は、図2に示した混成画素補間装置と同じである。図6中、図2に示した符号と同一符号を付された構成要素は、上記の構成要素の機能と略同じ機能を有するものとして詳細な説明を省略する。
【0083】
この混成画素補間装置は、図8に示したような4種類の補色成分をもつ原画像データD1の局所領域における画素データを保持するレジスタ2と、このレジスタ2から入力する画素データD2をサンプリングして画素補間処理を行う2種類の画素補間部43,44と、混合係数α,1−α(0≦α≦1)を算出する混合係数演算部3Fと、各画素補間部43,44から出力された補間データDI3,DI4を混合する混合部5とを備えている。
【0084】
第1の画素補間部43は、図2に示した画素補間部41の機能と略同じ機能を有する。また、第2の画素補間部44は、第1の画素補間部43が有する弱点を補う画素補間処理機能を有するものである。第1の画素補間部43は、局所領域内の4種類の補色成分を各色毎に平均化した平均値(統計値)AV1,AV2,AV3,AV3を算出する平均化回路40A,40B,40C,40Dと、除算回路41A,41B,41Cと、乗算回路42,43,44とで構成されている。平均化回路40A〜40Dのうち平均化回路40Aは、着目画素Pcの補色成分に関する平均値AV1を算出する。また、除算回路41A,41B,41Cは、それぞれ、平均値AV2,AV3,AV4を着目画素Pcの平均値AV1で除算した値を乗算回路42,43,44に出力する。そして、乗算回路42,43,44は、次式(3),(4),(5)に従って、当該着目画素Pcに欠けている補色成分の画素値S1,S2,S3を算出し、これらを信号線上で束ねて補間データDI3として混合部5に出力する。
【0085】
S1=(AV2/AV1)×Sc …(3)
S2=(AV3/AV1)×Sc …(4)
S3=(AV4/AV1)×Sc …(5)
また、混合係数演算部3Fは、図2に示した混合係数演算部3の機能と略同じ機能を有する。すなわち、この混合係数演算部3Fにおいて、変換回路50は、図2に示した変換回路20と同様に、内部の変換テーブル50cに従って着目画素Pcの輝度値を変換して出力する。また、ソート回路51は、画素補間部43から入力する平均値AV1〜AV4を昇順または降順に並べ替えて出力し、除算回路22は、ソート回路51から入力する平均値AV1〜AV4の最大値(Mx)と最小値(Mn)との比(Mn/Mx)を算出し、変換回路53は、図2に示した変換回路23と同様に、内部の変換テーブル53cに従って除算回路22から入力する除算値を変換して出力する。
【0086】
また、加算回路54は、変換回路50と変換回路53とから入力するデータを加算して内部係数βとして出力し、減算回路25は、内部係数βの上限値(=1)から当該内部係数βを除算した値(=1−β)を出力する。そして、セレクタ27,28は、レジスタ26から供給される選択信号Stの論理値に応じて内部係数β、1−βを選択し、混合係数α,1−αとして混合部5に出力する。
【0087】
最終的に、混合部5は、画素補間部43から入力する補間データDI3と混合係数αとを乗算した値と、画素補間部44から入力する補間データDI4と混合係数1−αとを乗算した値とを加算し、画素補間データDcとして出力することになる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態1に係る混成画素補間装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る混成画素補間装置の概略構成図である。
【図3】レジスタに保持される5×5画素領域の画像データを例示する模式図である。
【図4】第1の変換回路での入力値と出力値との対応例を示すグラフである。
【図5】第2の変換回路での入力値と出力値との対応例を示すグラフである。
【図6】実施の形態1の変形例に係る混成画素補間装置の概略構成図である。
【図7】R,G,Bの3原色成分をマトリクス状に配列した原画像データを例示する模式図である。
【図8】Y,M,G,Cの補色成分をマトリクス状に配列した原画像データを例示する模式図である。
【符号の説明】
【0089】
1 混成画素補間装置
2 レジスタ
3 混合係数演算部
1〜4n 画素補間部
5 混合部
1〜6n 乗算回路
7 加算回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1画素につき1つの色成分のみを有する原画像データを、1画素につき複数の色成分を有する画素補間データへ変換する混成画素補間装置であって、
前記原画像データ中の着目画素を囲む第1局所領域に含まれ、当該着目画素に欠けている色成分と同じ色の色成分を有する全ての画素の色成分を用いて、当該着目画素に欠けている色成分を互いに異なる方法で補間する複数の画素補間部と、
前記原画像データ中の当該着目画素を囲む第2局所領域における全ての画素の色成分を用いて、前記画素補間部の各々に割り当てられる混合係数を算出する混合係数演算部と、
前記複数の画素補間部の各々から入力する補間データに前記混合係数を乗じて画素単位で混合して前記画素補間データを生成する混合部と、
を備え、
前記画素補間部の一は、
前記第1局所領域において当該着目画素と同じ色の色成分の平均値または総和と、当該着目画素に欠けている色成分の平均値または総和との比率を各色毎に算出する手段と、
当該比率と前記着目画素が有する色成分とを乗算して前記欠けている色成分を生成する手段と、
を有し、
前記画素補間部の他の一は、
前記原画像データの中の着目画素を囲む第1局所領域において当該着目画素に欠けている色成分の平均値を算出して当該着目画素に欠けている色成分を生成する手段
を有し、
前記画素補間部の前記一に割り当てられる前記混合係数は前記第2局所領域の色成分の偏りが大きいほど小さく、前記画素補間部の前記他の一に割り当てられる前記混合係数は前記第2局所領域の色成分の偏りが大きいほど大きい、混成画素補間装置。
【請求項2】
1画素につき1つの色成分のみを有する原画像データを、1画素につき複数の色成分を有する画素補間データへ変換する混成画素補間装置であって、
前記原画像データ中の着目画素を囲む第1局所領域に含まれ、当該着目画素に欠けている色成分と同じ色の色成分を有する全ての画素の色成分を用いて、当該着目画素に欠けている色成分を互いに異なる方法で補間する複数の画素補間部と、
前記原画像データ中の画素のうち当該着目画素のみの信号レベルに基づいて、前記画素補間部の各々に割り当てられる混合係数を算出する混合係数演算部と、
前記複数の画素補間部の各々から入力する補間データに前記混合係数を乗じて画素単位で混合して前記画素補間データを生成する混合部と、
を備え、
前記画素補間部の一は、
前記第1局所領域において当該着目画素と同じ色の色成分の平均値または総和と、当該着目画素に欠けている色成分の平均値または総和との比率を各色毎に算出する手段と、
当該比率と前記着目画素が有する色成分とを乗算して前記欠けている色成分を生成する手段と、
を有し、
前記画素補間部の他の一は、
前記原画像データの中の着目画素を囲む第1局所領域において当該着目画素に欠けている色成分の平均値を算出して当該着目画素に欠けている色成分を生成する手段
を有し、
前記画素補間部の前記一に割り当てられる前記混合係数は、当該着目画素の信号レベルが小さいほど小さく、前記画素補間部の前記他の一に割り当てられる前記混合係数は前記着目画素の信号レベルが小さいほど大きい、混成画素補間装置。
【請求項3】
請求項1記載の混成画素補間装置であって、前記混合係数演算部は、前記着目画素の信号レベルに基づいて前記各混合係数を算出する手段を有する、混成画素補間装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の混成画素補間装置であって、前記混合係数演算部は、前記着目画素の信号レベルを所定の変換テーブルに従って変換する変換手段を有し、該変換手段で変換した値に基づいて前記各混合係数を算出する、混成画素補間装置。
【請求項5】
請求項1記載の混成画素補間装置であって、前記混合係数演算部は、前記第2局所領域における前記色成分に関する統計値に基づいて前記各混合係数を算出する手段を有する、混成画素補間装置。
【請求項6】
請求項5記載の混成画素補間装置であって、前記統計値は、前記第2局所領域における各色毎の輝度の総和または平均値である、混成画素補間装置。
【請求項7】
請求項5記載の混成画素補間装置であって、前記統計値は、前記第2局所領域における前記色成分の各色毎の標準偏差または分散である、混成画素補間装置。
【請求項8】
請求項5〜7の何れか1項に記載の混成画素補間装置であって、前記混合係数演算部は、前記統計値を用いて前記第2局所領域の色の偏り度を算出し、該偏り度に応じて前記混合係数を算出する手段を有する、混成画素補間装置。
【請求項9】
請求項8記載の混成画素補間装置であって、前記偏り度は前記統計値の各色間の比率である、混成画素補間装置。
【請求項10】
請求項9記載の混成画素補間装置であって、前記比率は、前記統計値の中の最大値と最小値との比である、混成画素補間装置。
【請求項11】
請求項8記載の混成画素補間装置であって、前記偏り度は前記統計値の各色間の差分である、混成画素補間装置。
【請求項12】
請求項5〜11の何れか1項に記載の混成画素補間装置であって、前記混合係数演算部は、前記統計値または前記偏り度の値を所定の変換テーブルに従って変換する変換手段を有し、該変換手段で変換した値に基づいて前記各混合係数を算出する、混成画素補間装置。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載の混成画素補間装置であって、前記混合係数演算部で算出された前記各混合係数を、外部入力の制御信号に応じて入れ替える手段を更に備える混成画素補間装置。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか1項に記載の混成画素補間装置であって、前記原画像データは、デジタルカメラに搭載される単板式の撮像素子で撮像したものである、混成画素補間装置。
【請求項15】
1画素につき1つの色成分のみを有する原画像データを、1画素につき複数の色成分を有する画素補間データへ変換する混成画素補間方法であって、
(a)前記原画像データ中の着目画素を囲む第1局所領域に含まれ、当該着目画素に欠けている色成分と同じ色の色成分を有する全ての画素の色成分を用いて、当該着目画素に欠けている色成分を、互いに異なる複数の画素補間工程で補間する工程と、
(b)前記原画像データ中の当該着目画素を囲む第2局所領域における全ての画素の色成分を用いて、前記工程(a)における前記各画素補間工程の各々に割り当てられる混合係数を算出する工程と、
(c)前記工程(a)において前記各画素補間工程で補間された補間データに前記混合係数を乗じて画素単位で混合して前記画素補間データを生成する工程と、
を備え、
前記工程(a)の前記複数の画素補間工程のうち、一の画素補間工程は、
(a−1)前記第1局所領域において当該着目画素と同じ色の色成分の平均値または総和と、当該着目画素に欠けている色成分の平均値または総和との比率を各色毎に算出する工程と、
(a−2)前記工程(a−1)で算出された当該比率と前記着目画素が有する色成分とを乗算して前記欠けている色成分を生成する工程と、
を有し、
前記工程(a)の前記複数の画素補間工程のうち、前記画素補間工程の他の一は、
(a−3)前記原画像データの中の着目画素を囲む第1局所領域において当該着目画素に欠けている色成分の平均値を算出して当該着目画素に欠けている色成分を生成する工程
を有し、
前記画素補間工程の前記一に割り当てられる前記混合係数は前記第2局所領域の色成分の偏りが大きいほど小さく、前記画素補間工程の前記他の一に割り当てられる前記混合係数は前記第2局所領域の色成分の偏りが大きいほど大きい、混成画素補間方法。
【請求項16】
1画素につき1つの色成分のみを有する原画像データを、1画素につき複数の色成分を有する画素補間データへ変換する混成画素補間方法であって、
(a)前記原画像データ中の着目画素を囲む第1局所領域に含まれ、当該着目画素に欠けている色成分と同じ色の色成分を有する全ての画素の色成分を用いて、当該着目画素に欠けている色成分を、互いに異なる複数の画素補間工程で補間する工程と、
(b)前記原画像データ中の画素のうち当該着目画素のみの信号レベルに基づいて、前記工程(a)における前記各画素補間工程の各々に割り当てられる混合係数を算出する工程と、
(c)前記工程(a)において前記各画素補間工程で補間された補間データに前記混合係数を乗じて画素単位で混合して前記画素補間データを生成する工程と、
を備え、
前記工程(a)の前記複数の画素補間工程のうち、前記画素補間工程の一は、
(a−1)前記第1局所領域において当該着目画素と同じ色の色成分の平均値または総和と、当該着目画素に欠けている色成分の平均値または総和との比率を各色毎に算出する工程と、
(a−2)前記工程(a−1)で算出された当該比率と前記着目画素が有する色成分とを乗算して前記欠けている色成分を生成する工程と、
を有し、
前記工程(a)の前記複数の画素補間工程のうち、前記画素補間工程の他の一は、
(a−3)前記原画像データの中の着目画素を囲む第1局所領域において当該着目画素に欠けている色成分の平均値を算出して当該着目画素に欠けている色成分を生成する工程
を有し、
前記画素補間部の前記一に割り当てられる前記混合係数は、当該着目画素の信号レベルが小さいほど小さく、前記画素補間部の前記他の一に割り当てられる前記混合係数は前記着目画素の信号レベルが小さいほど大きい、混成画素補間方法。
【請求項17】
請求項15記載の混成画素補間方法であって、前記工程(b)は、前記着目画素の信号レベルに基づいて前記各混合係数を算出する工程を備える、混成画素補間方法。
【請求項18】
請求項16又は17記載の混成画素補間方法であって、前記工程(b)は、前記着目画素の信号レベルを所定の変換テーブルに従って変換する変換手段を有し、該変換手段で変換した値に基づいて前記各混合係数を算出する工程を備える、混成画素補間方法。
【請求項19】
請求項15記載の混成画素補間方法であって、前記工程(b)は、前記第2局所領域における前記色成分に関する統計値に基づいて前記各混合係数を算出する工程を備える、混成画素補間方法。
【請求項20】
請求項19記載の混成画素補間方法であって、前記統計値は、前記第2局所領域における各色毎の輝度の総和または平均値である、混成画素補間方法。
【請求項21】
請求項19記載の混成画素補間方法であって、前記統計値は、前記第2局所領域における前記色成分の各色毎の標準偏差または分散である、混成画素補間方法。
【請求項22】
請求項19〜21の何れか1項に記載の混成画素補間方法であって、前記工程(b)は、前記統計値を用いて前記第2局所領域の色の偏り度を算出し、該偏り度に応じて前記各混合係数を算出する工程を備える、混成画素補間方法。
【請求項23】
請求項22記載の混成画素補間方法であって、前記偏り度は前記統計値の各色間の比率である、混成画素補間方法。
【請求項24】
請求項23記載の混成画素補間方法であって、前記比率は、前記統計値のうち最大値と最小値との比である、混成画素補間方法。
【請求項25】
請求項22記載の混成画素補間方法であって、前記偏り度は前記統計値の各色間の差分である、混成画素補間方法。
【請求項26】
請求項19〜25の何れか1項に記載の混成画素補間方法であって、前記工程(b)は、前記統計値または前記偏り度の値を所定の変換テーブルに従って変換する変換工程を有し、該変換工程で変換した値に基づいて前記各混合係数を算出する工程を備える、混成画素補間方法。
【請求項27】
請求項19〜26の何れか1項に記載の混成画素補間方法であって、(d)前記工程(b)で算出された前記各混合係数を、外部入力の制御信号に応じて入れ替える工程、を更に備える混成画素補間方法。
【請求項28】
請求項15〜27の何れか1項に記載の混成画素補間方法であって、前記原画像データは、デジタルカメラに搭載される単板式の撮像素子で撮像したものである、混成画素補間方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−300666(P2007−300666A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176347(P2007−176347)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【分割の表示】特願2002−44903(P2002−44903)の分割
【原出願日】平成14年2月21日(2002.2.21)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】