説明

温水供給システム

【課題】大量の有機性廃棄物の減容処理(炭化および焼却)と、ダイオキシン等の有害物質の発生の防止を図り、さらに温水の供給をすることができる温水供給システムを提供する。
【解決手段】本発明による温水供給システムは、減容組立体Iと、燃焼組立体IIと、温水を発生する熱交換組立体IIIと、前記減容組立体Iが発生する一定の温度以下のガスを燃焼室に接続する低温ガス接続手段である安全装置12と、前記燃焼組立体IIの高温気体を熱交換機0に接続する高温気体接続手段である配管28と、から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温廃棄ガスの再燃焼処理を必要とする廃棄物減容器と、可燃性廃棄物あるいは可燃性廃棄物から造った燃料相当品を熱源とする燃焼領域をもつ温水ボイラを組み合わせた温水供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
有機性廃棄物の減容は、一般的に機械的方法、微生物的方法、燃焼方法等によって行われている。このうち、燃焼方法(炭化を含む)は残留物がきわめて少ない点に着目され、種々の提案(例えば特許文献1)がなされている。
しかし、低温の排気ガスを多量に発生し、ダイオキシン発生の危険性が高いので、排気ガスを、800℃を越える温度での二次燃焼をさせる必要がある。そのための専用の装置も提案されている(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−136249号公報
【特許文献2】特開2000−346324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
木質系の廃棄物などを燃料とした温水ボイラが知られている。このボイラは、木質系の廃棄物などを燃料とすることにより木質系の廃棄物の減容と温水を提供できるという特徴がある。しかし温水ボイラの燃料としては使えない、大量の有機性廃棄物の処理には適していない。
本発明の目的は、前述した燃焼方法(炭化を含む)で残留物をきわめて少なくすることができる減容器と、温水ボイラを組み合わせて、
(ア)大量の有機性廃棄物の減容処理(炭化および焼却)(イ)ダイオキシン等の有害物質の発生の防止を図りさらに(ウ)温水の供給をすることができる温水供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために、本発明による請求項1記載の温水供給システムは、
処理対象の有機物を減容し、有害物質の発生が予想される一定の温度以下のガスを含む排気ガスを発生する減容器を含む減容組立体と、
有機物燃料を燃焼させ高温気体を発生する燃焼室を有する燃焼組立体と、
高温気体と熱交換をする熱交換器を含み温水を発生する熱交換組立体と、
前記減容組立体が発生する一定の温度以下のガスを前記燃焼室に接続する低温ガス接続手段と、
前記燃焼組立体の高温気体を熱交換設備に接続する高温気体接続手段と、から構成されている。
【0005】
本発明による請求項2記載の温水供給システムは、請求項1記載の温水供給システムにおいて、前記減容組立体は、酸素を制限した燻焼により有機物を含む廃棄物を炭化により減容し、前記一定温度は800℃に満たない温度である。
本発明による請求項3記載の温水供給システムは、請求項1記載の温水供給システムにおいて、前記燃焼組立体の有機物燃料は木質ペレットであり、800〜1000℃の燃焼ガスを発生するように構成されている。
【0006】
本発明による請求項4記載の温水供給システムは、請求項1記載の温水供給システムにおいて、
前記低温ガス接続手段は、切り換え弁と、減容器からの排気ガスの温度を検知する温度センサと、前記温度センサの出力に基づいて切り換え弁を駆動する制御回路とを含み、
前記一定の温度を越える排気ガスを排出し、前記一定の温度以下の排気ガスを燃焼組立体に供給するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
前記構成によれば、廃棄物の減容を、燻焼、炭化、焼却等の多面的な手法により実現することができる。さらにこれらに関連してダイオキシン等の有害物質の発生の防止を専用のバーナ等を用いることなく温水ボイラに関連して実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面等を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。図1は、本発明による温水供給システムの実施の形態を示す概略図である。
本発明による温水供給システムは、基本的に減容組立体(I)と、燃焼組立体(II)と、熱交換組立体(III)を含んでいる。減容組立体(I)の有害物質の発生が予想される一定の温度以下のガスは、低温ガス接続手段により燃焼組立体(II)に、接続される。高温気体接続手段は、燃焼組立体(II)で発生した高温気体を熱交換設備に接続する。さらに、熱交換組立体(III)で用いられた高温気体を排気処理する排気処理組立体(IV)を設けることができる。
【0009】
前記システムの減容組立体(I)は一例であり、他の構成を用いることもできる。燻焼式減容化の原理による減容器10には、図1に示すように負イオン発生源11で発生した負イオンがファン19により減容器10の給気口Hから送り込まれる。被処理物として、おが屑、プラスチック、プラスチックフィルム、木質系廃棄物、生ゴミを用いることができる。
【0010】
減容器10内では、負イオンの効果と、減容器への空気の導入の制限により、非火災型の燻焼が進み、低温にて減容される。図1に示されているように、減容器10の上方に扉付の投入口17が設けられ、下方には残留物を、減容処理をしていない時に適時排出するためのベルトコンベア13が配置されている。
【0011】
以上のようにして、減容器10は、有機性廃棄物を自燃させるが、その他一般に焼却炉と称されるもの、あるいは、空気の導入をおさえ、燻焼させる方式の減容器では、いずれの方式においても、排気ガスが800℃を越えない場合には、排気ガス中にダイオキシンが含まれる危険性が高い。
そこで、この排気ガスは、次の燃焼組立体(II)において800℃を越える高温で処理される。
減容組立体(I)には安全装置12,セパレータ15,受けタンク16が設けられ、燃焼組立体(II)には吸引ファン25,押込ファン26が設けられ、これらが共同して低温ガス接続の機能を果たす低温ガス接続手段を形成している。
【0012】
セパレータ15は、減容器10から排気中の蒸気を凝縮させ、受けタンク16に落とし、燃焼組立体(II)に、蒸気が入るのを防止する。
減容器10とセパレータ15の間には、安全装置12が配置されている。
図2は本発明によるシステムの低温ガス接続手段の動作を説明するための略図であって、同図(A)は低温ガスの接続状態を、同図(B)は高温ガスの放出状態を示している。
安全装置12は、減容器10からの排気温度がたとえば200℃を越えたとき、排気をセパレータ15に入れず、安全領域に排出するものである。
【0013】
安全装置12は減容器10からの排気ガスの温度を検出するための温度センサ121,制御器122,制御器122により駆動される電磁アクチュエータ123を含んでいる。安全装置12の本体内には弁体120が本体内で滑動可能に配置されており、同図(A)にしめされている状態である弁体120は、電磁アクチュエータ123により図示の位置に係止されており、減容器10からの排気ガスをセパレータ15に接続している。
温度センサ121により減容器10からの排気ガスが200℃を越えたときは、制御器122を介して電磁アクチュエータ123のプランジャが引き込められ、弁体120は、弁体の自重で落下し、減容器10からのガスを安全領域に放出する(同図(B))。
【0014】
燃焼組立体(II)では、燃焼室20にペレット供給口23から木質ペレットが導入され、これを燃料として、800から1000℃の燃焼ガスを発生する。この燃焼ガスが水との熱交換のために、熱交換組立体(III)に送り込まれる。
燃焼組立体(II)の燃焼室20の下方には回転ロストル22および、その下には灰出口24が設けられている。
燃焼室20の下方からは、押込ファン26によって燃焼のための空気が導入される。また吸引ファン25によって、セパレータ15からの気体が、押込ファン26からの空気と合流して、燃焼室20の下方に送り込まれる。
燃焼室20の上部には機械的安全装置27が設けられ、停電や、制御系の異状時に、燃焼室20内の気体を、安全領域に排出するように構成されている。
【0015】
燃焼室20からの高温排気は、配管28を通って、熱交換組立体(III)の熱交換器30の高温側に導入される。配管28は、燃焼組立体(II)の高温気体を熱交換組立体(III)に接続する高温気体接続手段を構成している。
【0016】
熱交換組立体(III)に設けられている熱交換器30は、たとえばフィン付管を使った多管式で、燃焼室20から配管28を通ってきた高温の排気気体と、水導入口33から入ってきた低温水を、フィン付管の、フィンおよび壁部で熱交換し、加熱して、温水として、温水供給口34から供給する。
熱交換組立体(III)には、熱交換に使った高温気体が入る高温気体室31が設けられている。
【0017】
排気処理組立体(IV)は、熱交換組立体(III)である程度、低温化された高温気体を、さらに低温化し、微粒子を除去したあと、排気する組立体である。
排気処理組立体(IV)は、気体から、気体に含まれている微粒子を除去するための、サイクロン41をもっている。サイクロン41の下方には集塵容器42が設けられており、上端には排気口43が設けられている。
熱交換組立体(III)で熱交換に使われた高温気体は、吸引ファン44により、サイクロン41の上方部に導入され、サイクロン現象により、微粒子は集塵容器42に入り、気体は排気口43から排出される。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によれば、廃棄物の減容を、燻焼、炭化、焼却等の多面的な手法により実現することができる。さらにこれらに関連してダイオキシン等の有害物質の発生の防止を専用のバーナ等を用いることなく温水ボイラに関連して実現することができる。
したがって、本発明は、廃棄物処理産業、また燃焼組立体で用いられる木材ペレットは、間伐材の利用につながるから、林業の分野にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による温水供給システムの実施例を示す略図である。
【図2】本発明によるシステムの低温ガス接続手段の動作を説明するための略図であって、同図(A)は低温ガスの接続状態を、同図(B)は高温ガスの放出状態を示している。
【符号の説明】
【0020】
I 減容組立体
10 減容器
11 負イオン発生源
12 安全装置
120 弁体
121 温度センサ
122 制御器
123 電磁アクチュエータ
13 コンベア
15 セパレータ
16 受けタンク
17 投入口
19 ファン
II 燃焼組立体
20 燃焼室
22 回転ロストル
23 ペレット供給口
24 灰出口
25 吸引ファン
26 押込ファン
27 機械的安全装置
28 配管
III 熱交換組立体
30 熱交換器
31 高温気体室
33 水導入口
34 温水供給口
IV 廃棄処理組立体
41 サイクロン
42 集塵容器
43 排気口
44 吸引ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の有機物を減容し、有害物質を含む一定の温度以下の排気ガスを発生する減容器を含む減容組立体と、
有機物燃料を燃焼させ高温気体を発生する燃焼室を有する燃焼組立体と、
高温気体と熱交換をする熱交換器を含み温水を発生する熱交換組立体と、
前記減容組立体が発生する一定の温度以下のガスを前記燃焼室に接続する低温ガス接続手段と、
前記燃焼組立体の高温気体を熱交換設備に接続する高温気体接続手段と、
から構成した温水供給システム。
【請求項2】
前記減容組立体は、有機物を含む廃棄物を炭化により減容し、前記一定温度は800℃を越えない温度である請求項1記載の温水供給システム。
【請求項3】
前記燃焼組立体の有機物燃料は木質ペレットであり、800〜1000℃の燃焼ガスを発生する請求項1記載の温水供給システム。
【請求項4】
前記低温ガス接続手段は、切り換え弁と、減容器からの排気ガスの温度を検知する温度センサと、前記温度センサの出力に基づいて切り換え弁を駆動する制御回路とを含み、
前記一定の温度を越える排気ガスを排出し、前記一定の温度以下の排気ガスを燃焼組立体に供給するものである請求項1記載の温水供給システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−298186(P2007−298186A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123774(P2006−123774)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000138325)株式会社ヤマウラ (11)
【Fターム(参考)】