説明

測位システム、端末装置、端末装置の制御方法、端末装置の制御プログラム、端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】通信基地局の大幅なシステム変更を必要とすることなく、3つ以上の通信基地局からの信号を受信できない場合であっても測位することができる基地局間非同期方式の通信網における測位システム等を提供すること。
【解決手段】通信基地局20A等は、基地局位置情報152を格納する基地局位置情報格納手段と、送信時刻における送信時刻と衛星時刻との時差を示す時差情報160を生成する時差情報生成手段等を有し、管理装置80は、基地局情報格納手段352等を有し、端末装置50は、管理装置80から、基地局位置情報及び時差情報を取得する端末側基地局情報取得手段と、端末装置50の上空に位置する測位衛星12a等である上空衛星の数を判断する上空衛星数判断手段と、上空衛星の数に基づいて、衛星信号測位手段、通信用信号電波測位手段、又は、複合測位手段のいずれかを選択する測位手段選択手段等を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信基地局間において同一のクロックなどの共通の基準タイミングを持たない基地局間非同期方式の通信網における測位システム、端末装置、端末装置の制御方法、端末装置の制御プログラム、端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、CDMA(Code Devision Multipel Access)方式のいわゆるデジタル移動通信システムにおいて、複数の基地局間における時刻同期を確保することを前提に、複数の基地局と移動無線端末装置間での受信信号の到達時間差により位置を検出する方法が知られている(例えば、特開平7−181242号公報)。
しかし、全国に多数存在する各基地局間において、時刻同期をとるためのシステムの構築は、経済的負担が大きいという問題がある。
これに対して、基地局間非同期方式の通信網において、複数の基地局相互の時刻差情報を管理する位置管理局を設け、その位置管理局が移動端末の位置の測位を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平11―252632号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来技術において、各基地局が送信しているタイミング信号と他の基地局から受信したタイミング信号の到達時間差を求めるシステムは基地局の大幅なシステム変更が必要であり、その構築の経済的負担が大きい。
しかも、3つ以上の基地局からの信号を受信できない場合には、移動端末の位置の測位を行うことができないという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、通信基地局の大幅なシステム変更を必要とすることなく、3つ以上の通信基地局からの信号を受信できない場合であっても測位することができる基地局間非同期方式の通信網における測位システム、端末装置、端末装置の制御方法、端末装置の制御プログラム、端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、複数の通信基地局と、前記通信基地局と通信可能な端末装置と、前記通信基地局と前記端末装置と通信可能な管理装置と、を有する通信基地局間非同期の測位システムであって、前記通信基地局は、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報を格納する基地局位置情報格納手段と、前記通信基地局から送信する通信用信号電波に送信時刻を示す送信時刻情報を乗せる送信時刻情報付通信用信号電波生成手段と、測位衛星からの信号である衛星信号に基づいて、前記測位衛星の時刻である衛星時刻を示す衛星時刻情報を生成する衛星時刻情報生成手段と、前記送信時刻における前記送信時刻と前記衛星時刻との時差を示す時差情報を生成する時差情報生成手段と、前記管理装置に対して、前記基地局位置情報及び前記時差情報を送信する基地局情報送信手段と、前記端末装置に対して、前記送信時刻情報が乗せられた前記通信用信号電波を送信する通信用信号電波送信手段と、を有し、前記管理装置は、前記通信基地局から前記基地局位置情報及び前記時差情報を受信する管理装置側基地局情報受信手段と、前記基地局情報を格納する基地局情報格納手段と、前記端末装置の位置に応じて、前記基地局情報を送信する端末側基地局情報送信手段と、を有し、前記端末装置は、前記測位衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記衛星時刻を示す端末側衛星時刻情報を生成する端末側衛星時刻情報生成手段と、前記管理装置から、前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する基地局情報取得手段と、前記端末装置の上空に位置する前記測位衛星である上空衛星の数を判断する上空衛星数判断手段と、前記衛星信号に基づいて、前記端末装置の位置を測位する衛星信号測位手段と、前記通信基地局から、前記通信用信号電波を受信する通信用信号電波受信手段と、前記通信用信号電波を受信した時刻を示す受信時刻情報を生成する受信時刻情報生成手段と、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報、に基づいて、前記端末装置の位置を測位する通信用信号電波測位手段と、前記衛星信号、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報に基づいて、前記端末装置の位置を測位する複合測位手段と、前記上空衛星の数に基づいて、前記衛星信号測位手段、前記通信用信号電波測位手段、又は、前記複合測位手段のいずれかを選択する測位手段選択手段と、を有することを特徴とする通信基地局間非同期の測位システムにより達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、前記通信基地局は、前記衛星時刻情報生成手段によって、前記衛星時刻情報を生成することができる。例えば、複数の前記衛星信号に基づいて、現在位置の測位を行い、その結果として測位位置情報とともに正確な前記衛星時刻を取得することができることは周知である。
そして、前記通信基地局は、前記時差情報生成手段によって、前記送信時刻における前記送信時刻と前記衛星時刻との時差を示す前記時差情報を生成することができる。
すなわち、前記通信基地局は、前記送信時刻を前記衛星時刻に同期させるのではなくて、前記時差情報を生成するだけであるから、その構成は簡易であり、前記通信基地局の大幅なシステム変更を必要としない。
【0007】
そして、前記管理装置は、前記基地局情報受信手段によって、前記通信基地局から前記基地局位置情報及び前記時差情報を受信することができ、前記基地局情報格納手段に前記基地局位置情報及び前記時差情報を格納することができる。
そして、前記管理装置は、前記基地局情報送信手段を有するから、前記端末装置の位置に応じて、前記基地局位置情報及び前記時差情報を送信することができる。
【0008】
そして、前記端末装置は、前記基地局情報取得手段によって、前記管理装置から前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得することができる。
また、前記端末装置は、前記通信用信号電波受信手段によって、前記通信基地局から、前記通信用信号電波を受信することができる。
そして、前記受信時刻情報生成手段によって、前記通信用信号電波を受信した時刻を示す受信時刻情報を生成することができる。ここで、前記端末装置は、前記端末側衛星時刻情報生成手段によって、前記衛星時刻情報を生成することができるから、前記受信時刻情報を前記衛星時刻と差がない状態にすることができる。
そして、3個以上の前記通信基地局から前記基地局位置情報及び前記時差情報を受信することができて、その3個以上の前記通信基地局から前記通信用信号電波を受信することができる場合には、各前記通信基地局から前記通信用信号電波が前記端末装置に到達するまでの伝搬時間を正確に算出することができるから、前記通信用信号電波測位手段による測位が可能である。
【0009】
しかし、0個乃至2個の前記通信基地局からしか前記通信用信号電波を受信することができない場合には、前記通信用信号電波測位手段による測位をすることはできない。
この点、前記端末装置は、前記複合測位手段及び前記衛星測位手段を有するから、0個乃至2個の前記通信基地局からしか前記通信用信号電波を受信することができない場合には、前記通信用信号電波と前記衛星信号に基づいて、あるいは、複数の前記衛星信号のみに基づいて、測位をすることができる。
このため、前記端末装置は、3つ以上の前記通信基地局からの信号を受信できない場合であっても測位することができる。
これにより、本発明の構成によれば、通信基地局の大幅なシステム変更を必要とすることなく、3つ以上の通信基地局からの信号を受信できない場合であっても測位することができる。
【0010】
前記目的は、第2の発明によれば、通信基地局間非同期の通信網における複数の通信基地局から送信時刻を示す送信時刻情報が乗せられた通信用信号電波を受信可能な端末装置であって、測位衛星からの信号である衛星信号に基づいて、前記測位衛星の時刻である衛星時刻を示す端末側衛星時刻情報を生成する端末側衛星時刻情報生成手段と、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報及び、前記送信時刻における前記送信時刻と前記衛星時刻との時差を示す時差情報を保持している管理装置から、前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する端末側基地局情報取得手段と、前記端末装置の上空に位置する前記測位衛星である上空衛星の数を判断する上空衛星数判断手段と、前記衛星信号に基づいて、前記端末装置の位置を測位する衛星信号測位手段と、前記通信基地局から、前記通信用信号電波を受信する通信用信号電波受信手段と、前記通信用信号電波を受信した時刻を示す受信時刻情報を生成する受信時刻情報生成手段と、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報、に基づいて、前記端末装置の位置を測位する通信用信号電波測位手段と、前記衛星信号、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報に基づいて、前記端末装置の位置を測位する複合測位手段と、前記上空衛星の数に基づいて、前記衛星信号測位手段、前記通信用信号電波測位手段、又は、前記複合測位手段のいずれかを選択する測位手段選択手段と、を有することを特徴とする端末装置によって達成される。
【0011】
第2の発明の構成によれば、第1の発明の構成と同様に、通信基地局の大幅なシステム変更を必要とすることなく、3つ以上の通信基地局からの信号を受信できない場合であっても測位することができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明の構成において、前記測位手段選択手段は、前記上空衛星の数が3個以上である場合には前記衛星信号測位手段を選択し、前記上空衛星の数が1個又は2個である場合には前記複合測位手段を選択し、前記上空衛星の数が0個である場合には前記通信用信号電波測位手段を選択する構成となっていることを特徴とする端末装置である。
【0013】
一般に、前記衛星信号に基づく測位の測位精度は、前記通信用信号電波に基づく測位の測位精度よりも高い。
この点、前記端末装置の前記測位手段選択手段は、前記上空衛星の数が3個以上である場合には前記衛星信号測位手段を選択し、前記上空衛星の数が1個又は2個である場合には前記複合測位手段を選択し、前記上空衛星の数が0個である場合には前記通信用信号電波測位手段を選択する構成となっているから、前記測位衛星から前記衛星信号を受信することができるかぎり、前記衛星信号のみに基づいて、あるいは、前記衛星信号と前記通信用信号電波の双方に基づいて測位を行うことができる。
このため、前記端末装置は、前記上空衛星の数に応じて、最も高い測位精度において測位をすることができる。
【0014】
第4の発明は、第2の発明又は第3の発明のいずれかの構成において、前記端末装置の前記基地局情報取得手段は、前記管理装置から、前記端末装置の位置に応じて、通信中の前記通信基地局及び、前記通信中の前記通信基地局と通信圏が重複する前記通信基地局の前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する構成となっていることを特徴とする端末装置である。
【0015】
前記通信用信号電波を使用する測位のためには、少なくとも3個の前記通信基地局から前記通信用信号電波を受信する必要がある。しかし、常に3個以上の前記通信基地局から前記通信用信号電波を受信することができるとは限らない。ここで、例えば、1個の前記通信基地局から前記通信用信号電波を受信することができる場合に、前記管理装置から、その前記通信基地局の前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得し、次に、前記通信用信号電波を受信することができる前記通信装置が増えた場合に、前記管理装置から、新たに前記通信用信号電波を受信することができる前記通信装置についての前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得することも考えられる。しかし、このようにすると、通信可能な前記通信基地局が増える都度、前記端末装置と前記管理装置とが通信する必要があるという問題がある。
この点、第5の発明の構成によれば、前記端末装置の前記基地局情報取得手段は、前記管理装置から、前記端末装置に位置に応じて、通信中の前記通信基地局及び、前記通信中の前記通信基地局と通信圏が重複する前記通信基地局の前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する構成となっている。
すなわち、1個の前記通信基地局から前記通信用信号電波を受信することができる場合に、その1個の前記通信基地局の前記基地局位置情報及び前記時差情報のみならず、前記一つの通信基地局と通信圏が重複する前記通信基地局の前記基地局位置情報及び前記時差情報を予め、取得する。
このため、通信可能な前記通信基地局が増える都度、前記端末装置と前記管理装置とが通信する必要がない。
これにより、前記端末装置と前記管理装置との間の通信量を低減することができる。
【0016】
第5の発明は、第2の発明又は第3の発明のいずれかの構成において、前記端末装置の前記基地局情報取得手段は、前記管理装置から、前記端末装置の位置に応じて、通信中の前記通信基地局及び、前記通信中の前記通信基地局を含む一定の地理的範囲内に位置する前記通信基地局の前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する構成となっていることを特徴とする端末装置である。
【0017】
前記端末装置が、例えば、時速100キロメートル(km/h)という高速で移動中の場合には、頻繁に、前記通信用信号電波を受信することができる前記通信基地局が切替ると考えられる。ここで、通信可能な前記通信基地局が切替る都度、前記端末装置と前記管理装置とが通信すれば、通信量が過大になるという問題がある。
この点、第5の発明の構成によれば、前記端末装置の前記基地局情報取得手段は、前記管理装置から、前記端末装置の位置に応じて、通信中の前記通信基地局及び、前記通信中の前記通信基地局を含む一定の地理的範囲内に位置する前記通信基地局の前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する構成となっている。
すなわち、1個の前記通信基地局から前記通信用信号電波を受信することができる場合に、その1個の前記通信基地局の前記基地局位置情報及び前記時差情報のみならず、前記1個の通信基地局を含む一定の地理的範囲内に位置する前記通信基地局の前記基地局位置情報及び前記時差情報を予め、取得する。
このため、前記通信用信号電波を受信することができる前記通信基地局が切替る都度、前記端末装置と前記管理装置とが通信する必要がない。
これにより、前記端末装置と前記管理装置との間の通信量を低減することができる。
【0018】
前記目的は、第6の発明によれば、通信基地局間非同期の通信網における複数の通信基地局から送信時刻を示す送信時刻情報が乗せられた通信用信号電波を受信可能な端末装置が、測位衛星からの信号である衛星信号に基づいて、前記測位衛星の時刻である衛星時刻を示す端末側衛星時刻情報を生成する端末側衛星時刻情報生成ステップと、前記端末装置が、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報及び、前記送信時刻における前記送信時刻と前記衛星時刻との時差を示す時差情報を保持している管理装置から、前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する基地局情報取得ステップと、前記端末装置が、前記端末装置の上空に位置する前記測位衛星である上空衛星の数を判断する上空衛星数判断ステップと、前記端末装置が、前記上空衛星数判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記衛星信号に基づいて前記端末装置の測位を行う衛星信号測位手段と、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記通信用信号電波を受信した時刻を示す受信時刻情報に基づいて前記端末装置の測位を行う通信用信号電波測位手段と、前記衛星信号、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報に基づいて前記端末装置の測位を行う複合測位手段と、から一つを選択する測位手段選択ステップと、を有することを特徴とする端末装置の制御方法によって達成される。
【0019】
第6の発明の構成によれば、第2の発明の構成と同様に、通信基地局の大幅なシステム変更を必要とすることなく、3つ以上の通信基地局からの信号を受信できない場合であっても測位することができる。
【0020】
前記目的は、第7の発明によれば、コンピュータに、通信基地局間非同期の通信網における複数の通信基地局から送信時刻を示す送信時刻情報が乗せられた通信用信号電波を受信可能な端末装置が、測位衛星からの信号である衛星信号に基づいて、前記測位衛星の時刻である衛星時刻を示す端末側衛星時刻情報を生成する端末側衛星時刻情報生成ステップと、前記端末装置が、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報及び、前記送信時刻における前記送信時刻と前記衛星時刻との時差を示す時差情報を保持している管理装置から、前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する基地局情報取得ステップと、前記端末装置が、前記端末装置の上空に位置する前記測位衛星である上空衛星の数を判断する上空衛星数判断ステップと、前記端末装置が、前記上空衛星数判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記衛星信号に基づいて前記端末装置の測位を行う衛星信号測位手段と、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記通信用信号電波を受信した時刻を示す受信時刻情報に基づいて前記端末装置の測位を行う通信用信号電波測位手段と、前記衛星信号、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報に基づいて前記端末装置の測位を行う複合測位手段と、から一つを選択する測位手段選択ステップと、を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムによって達成される。
【0021】
前記目的は、第8の発明によれば、コンピュータに、通信基地局間非同期の通信網における複数の通信基地局から送信時刻を示す送信時刻情報が乗せられた通信用信号電波を受信可能な端末装置が、測位衛星からの信号である衛星信号に基づいて、前記測位衛星の時刻である衛星時刻を示す端末側衛星時刻情報を生成する端末側衛星時刻情報生成ステップと、前記端末装置が、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報及び、前記送信時刻における前記送信時刻と前記衛星時刻との時差を示す時差情報を保持している管理装置から、前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する基地局情報取得ステップと、前記端末装置が、前記端末装置の上空に位置する前記測位衛星である上空衛星の数を判断する上空衛星数判断ステップと、前記端末装置が、前記上空衛星数判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記衛星信号に基づいて前記端末装置の測位を行う衛星信号測位手段と、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記通信用信号電波を受信した時刻を示す受信時刻情報に基づいて前記端末装置の測位を行う通信用信号電波測位手段と、前記衛星信号、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報に基づいて前記端末装置の測位を行う複合測位手段と、から一つを選択する測位手段選択ステップと、を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る測位システム10等を示す概略図である。
図1に示すように、測位システム10は、基地局20A,20B,20C,20D及び20Eを有する。この基地局20A等は、複数の通信基地局の一例である。
【0024】
図2は、基地局20A等の通信圏A等の一例を示す図である。
図2に示すように、基地局20Aの通信圏Aと、基地局20Bの通信圏Bと,基地局20Cの通信圏Cとは、重複範囲W1を有する。また、通信圏Bと、通信圏Cと,基地局20Dの通信圏Dとは、重複範囲W2を有する。また、通信圏Cと、通信圏Dと、基地局20Eの通信圏Eとは、重複範囲W3を有する。
通信圏A等は、基地局20A等からの通信用信号電波である例えば、信号電波S1(以後、信号S1と呼ぶ),S2,S3,S4,S5がそれぞれ到達可能な範囲である。
【0025】
測位システム10は、また、基地局20A等と通信可能な端末50を有する。この端末50は、端末装置の一例である。
測位システム10は、また、基地局20A等及び端末50と通信網である例えば、インターネット網70を介して通信可能な管理サーバ80(以後、サーバ80と呼ぶ)を有する。サーバ80は、管理装置の一例である。
基地局20A等は、基地局GPS装置32を有し、測位衛星である例えば、GPS衛星12a,12b,12c及び12dからの信号である衛星信号である例えば、信号G1,G2,G3及びG4を受信することができる。
基地局20A等は基地局通信装置34を有し、端末通信装置62を有する端末50に対して、信号S1等を送信することができる。なお、信号S1等には、各基地局20A等を他の基地局と識別するための情報が乗せられている。
基地局20A等は、互いに時刻同期がされておらず、通信基地局間非同期の通信網を構成している。
【0026】
端末50は、端末GPS装置60を有し、GPS衛星12a等から信号G1等を受信することができる。端末50は例えば、携帯電話機、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistance等であるが、これらに限らない。
【0027】
なお、本実施の形態とは異なり、GPS衛星12a等は3個でもよいし、5個以上でもよい。また、本実施の形態とは異なり、基地局20A等は5個以上でもよく、端末50は2個以上でもよい。
【0028】
(基地局20Aの主なハードウエア構成について)
図3は基地局20Aの主なハードウエア構成を示す概略図である。
なお、基地局20B,20C,20D及び20Eの主なハードウエア構成は、基地局20Aと同様であるので、説明を省略する。
図3に示すように、基地局20Aは、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス22を有する。
このバス22には、CPU(Central Processing Unit)24、記憶装置26、外部記憶装置28等が接続されている。記憶装置26は例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。外部記憶装置28は例えば、HD(Hard Disk)である。
【0029】
また、このバス22には、各種情報等を入力するための入力装置30、基地局GPS装置32、基地局通信装置34が接続されている。基地局通信装置34は、端末50と通信するための信号S1を送信するための構成である。
また、このバス22には、各種情報等を表示するための表示装置36、基地局時計38が接続されている。基地局時計38は、他の基地局20B等の基地局時計38と同期しておらず、GPS衛星12a等の時刻(以後、GPS時刻と呼ぶ)とも同期していない。
【0030】
さらに、このバス22には、基地局第2時計40が接続されている。後述のように、基地局第2時計40が計測する時刻は、GPS時刻と差がない状態に維持することができる。
さらに、このバス22には、基地局第2通信装置42が接続されている。後述のように、基地局第2通信装置42は、基地局位置情報152及び時差情報160(図6参照)を送信するための構成である。
【0031】
(管理サーバ80の主なハードウエア構成について)
図4は、サーバ80の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図4に示すように、サーバ80は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス82を有する。
このバス82には、CPU84、記憶装置86、外部記憶装置88、入力装置90、サーバ通信装置92及び表示装置94が接続されている。
【0032】
(端末50の主なハードウエア構成について)
図5は、端末50の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図5に示すように、端末50は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス52を有する。
このバス52には、CPU54、記憶装置56、入力装置58、端末GPS装置60、端末通信装置62、表示装置64及び端末時計66が接続されている。後述のように、端末時計66が計測する時刻は、GPS時刻と差がない状態に維持することができる。
【0033】
(基地局20Aの主なソフトウエア構成について)
図6は、基地局20Aの主なソフトウエア構成を示す概略図である。
なお、基地局20B,20C,20D及び20Eの主なソフトウエア構成は、基地局20Aと同様なので、説明を省略する。
図6に示すように、基地局20Aは、各部を制御する基地局制御部100、図3の基地局GPS装置32に対応する基地局GPS部102、図2の基地局通信装置34に対応する基地局通信部104等を有する。この基地局通信部104は、信号S1を送信する通信用信号電波送信手段の一例である。
基地局20Aは、また、図3の基地局時計38に対応する基地局計時部106、図3の基地局第2時計40に対応する基地局第2計時部108及び図3の基地局第2通信装置42に対応する基地局第2通信部110等を有する。
基地局20Aは、さらに、各種プログラムを格納する基地局第1記憶部120、各種情報を格納する基地局第2記憶部150を有する。
【0034】
図6に示すように、基地局20Aは、基地局第2記憶部150に、基地局位置情報152を格納している。基地局位置情報152は、基地局20Aの位置を示す情報であり、例えば、基地局20Aの位置が緯度、経度及び高度によって示されている。この基地局位置情報152は基地局位置情報の一例であり、基地局第2記憶部150は基地局位置情報格納手段の一例である。
【0035】
図6に示すように、基地局20Aは、基地局第2記憶部150に、衛星軌道情報154を格納している。衛星軌道情報154は例えば、すべてのGPS衛星12a等の概略軌道情報であるアルマナック(Almanac)及び各GPS衛星12a等の精密軌道情報であるエフェメリス(Ephemeris)を含む。衛星軌道情報154は、GPS衛星12a等からの信号G1等に基づく測位を行うために使用される。
基地局制御部100は、定期的に基地局GPS部102によってGPS衛星12a等からの信号G1等を受信し、信号G1等からアルマナック及びエフェメリスを抽出するようになっている。アルマナックは例えば7日ごとに、エフェメリスは例えば4時間ごとに更新されており、常に有効な状態に維持されている。
【0036】
基地局20Aは、基地局計時部106によって、信号S1の送信時刻を示す送信時刻情報156を生成する。基地局制御部100は、送信時刻情報156を基地局第2記憶部150に格納する。
図6に示すように、基地局20Aは、基地局第1記憶部120に、送信フレーム生成プログラム122を格納している。送信フレーム生成プログラム122は、基地局制御部100が、信号S1に送信時刻情報156を乗せるためのプログラムである。すなわち、送信フレーム生成プログラム122と基地局制御部100は、送信時刻情報付通信用信号電波生成手段の一例である。
【0037】
図7は、基地局通信部104が送信する信号S1に乗せられる送信フレームFRの一例等を示す概略図である。
図7に示すように、送信フレームFRは例えば、サブフレームSF1乃至SF7から構成されており、各サブフレームSF1等には、各サブフレームSF1等の送信時刻t1乃至t7を示す情報がそれぞれ含まれている。送信時刻t1等は、基地局計時部106によって計測される。
基地局20Aは、基地局通信部104によって、タイミング信号TS1を含む信号S1を継続的に送信している。
【0038】
図6に示すように、基地局20Aは、基地局第1記憶部120に、GPS時刻生成プログラム124を格納している。GPS時刻生成プログラム124は、基地局制御部100が、GPS衛星12a等からの信号G1等(図1参照)に基づいて、GPS時刻を示すGPS時刻情報158を生成するためのプログラムである。すなわち、GPS時刻生成プログラム124と基地局制御部100は、衛星時刻情報生成手段の一例である。
基地局制御部100は、衛星軌道情報154を使用して、基地局GPS部102によって受信した複数の信号G1等に基づいて、現在位置の測位を行うとともに、正確なGPS時刻情報158を生成し、基地局第2記憶部150に格納する。
【0039】
なお、本実施の形態とは異なり、基地局20A、測位を行わず、例えば、1個のGPS衛星12aからの信号S1に基づいて、GPS時刻情報158を生成するようにしてもよい。基地局20Aの位置の座標が明らかであれば、1個のGPS衛星12aからの信号S1に基づいて、GPS時刻を取得することができることは、周知である。
【0040】
図6に示すように、基地局20Aは、基地局第1記憶部120に、基地局第2時計補正プログラム126を格納している。基地局第2時計補正プログラム126は、基地局制御部100が、上述のGPS時刻情報158に基づいて、基地局第2計時部108の時刻を、GPS時刻と差がない状態に維持するためのプログラムである。
これにより、基地局20Aは、基地局第2計時部108の時刻をGPS時刻と差がない状態に維持している。
【0041】
図6に示すように、基地局20Aは、基地局第1記憶部120に、時差情報生成プログラム128を格納している。時差情報生成プログラム128は、基地局制御部100が、信号S1の送信時刻における、送信時刻情報156に示される送信時刻と基地局第2計時部108の時差を示す時差情報160を生成するためのプログラムである。すなわち、時差情報生成プログラム128と基地局制御部100は、時差情報生成手段の一例である。
具体的には、基地局制御部100は、図5に示すように、基地局通信部104が生成した送信フレームFRを受信し、基地局第2計時部108の時刻t1aとの時差tdを示す時差情報160を生成する。具体的には、基地局計時部106が生成し、信号S1に含まれるタイミング信号TS1と、基地局第2計時部108が生成するタイミング信号TS2とのタイミング差によって時差tdを計測する。ここで、基地局20A内部における送信フレームFRの伝搬遅延時間は、極めて短時間であるから、ないものとみなす。
上述のように、基地局第2計時部108の時刻はGPS時刻と差がない状態に維持されているから、時差情報160は、送信時刻t1とGPS時刻との時差を示している。
基地局制御部100は、生成した時差情報160を基地局第2記憶部150に格納する。
【0042】
図6に示すように、基地局20Aは、基地局第1記憶部120に、時差情報送信プログラム130を格納している。時差情報送信プログラム130は、基地局制御部200が基地局第2通信部110によって、基地局位置情報152及び時差情報160を、端末50に送信するためのプログラムである。すなわち、時差情報送信プログラム130と基地局制御部100と基地局第2通信部110は、基地局情報送信手段の一例である。
具体的には、基地局制御部100は、基地局位置情報152及び時差情報160を生成すると、上述の信号S1とは別の系統の信号電波に乗せて、サーバ80へ送信する。
【0043】
上述のように、基地局20Aは、基地局計時部106によって計測された送信時刻をGPS時刻に同期させるのではなくて、時差情報160を生成して、通信用の信号S1とは別系統の信号に乗せてサーバ80へ送信するから、その構成は簡易であり、基地局間非同期の一般的な通信基地局の大幅なシステム変更を必要としない。
【0044】
(管理サーバ80の主なソフトウエア構成について)
図8は、サーバ80の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図8に示すように、サーバ80は、各部を制御するサーバ制御部300、図4のサーバ通信装置92に対応するサーバ通信部302等を有する。
サーバ80は、さらに、各種プログラムを格納するサーバ第1記憶部310、各種情報を格納するサーバ第2記憶部350を有する。
【0045】
サーバ80は、サーバ通信部302によって、基地局20A等から基地局位置情報152及び時差情報160を受信する。すなわち、サーバ通信部302は、管理装置側基地局情報受信手段の一例である。
サーバ制御部300は、受信した基地局位置情報152及び時差情報160を、サーバ側基地局情報354として、サーバ第2記憶部350の基地局情報データベース352に格納する。すなわち、基地局情報データベース352は、基地局情報格納手段の一例である。サーバ側基地局情報354は、基地局位置情報152に対応するサーバ側基地局位置情報356と、時差情報160に対応するサーバ側時差情報358を含む。
【0046】
図9は、基地局情報データベース352のデータ構造の一例を示す図である。
図9に示すように、基地局情報データベース352には、ベース局を基準として、ベース局と通信圏が重複する基地局が関連付けられて、それぞれのサーバ側基地局情報354が格納されている。
例えば、基地局20Aをベース局とする場合には、通信圏重複基地局として、基地局20B及び20Cが関連付けられる。端末50が、基地局20Aの通信圏A(図2参照)内であって、かつ、基地局20Bの通信圏B及び基地局20Cの通信圏Cの重複部分W1に位置する場合には、3つの基地局20A等からの信号S1等に基づく測位が可能である。すなわち、基地局情報データベース352は、ベース局の通信圏内に位置する端末50が、測位するために必要となると予想される基地局を関連づけて、それぞれのサーバ側基地局情報354を格納している。
【0047】
図8に示すように、サーバ80は、サーバ第1記憶部310に、通信中基地局特定プログラム312を格納している。通信中基地局特定プログラム312は、サーバ制御部300が、端末50が通信中の基地局20A等を特定するためのプログラムである。
例えば、端末50が、通信圏A(図2参照)に位置する場合には、基地局20Aを介してサーバ80と通信する。
サーバ制御部300は、基地局20Aからの信号S1に乗せられている基地局20Aを識別するための情報に基づいて、端末50が通信中の基地局20Aを特定する。
【0048】
図8に示すように、サーバ80は、サーバ第1記憶部310に、基地局情報送信プログラム314を格納している。基地局情報送信プログラム314は、サーバ制御部300が、端末50の位置に応じて、基地局情報データベース352からベース局及び通信圏重複基地局のサーバ側基地局情報354を取得し、そのサーバ側基地局情報354を端末50に対して送信するためのプログラムである。すなわち、基地局情報送信プログラム314とサーバ制御部300は、管理装置側基地局情報送信手段の一例である。
【0049】
(端末50の主なソフトウエア構成について)
図10は、端末50の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図10に示すように端末50は、各部を制御する端末制御部200、図5の端末GPS装置60に対応する端末GPS部202、図5の端末通信装置62に対応する端末通信部204、図5の端末時計66に対応する端末計時部206等を有する。
端末50は、また、各種プログラムを格納する端末第1記憶部210、各種情報を格納する端末第2記憶部250を有する。
【0050】
図10に示すように、端末50は、端末第2記憶部250に、端末側衛星軌道情報252を格納している。端末側衛星軌道情報252は例えば、アルマナック及びエフェメリスを含む情報である。
端末制御部200は、定期的に端末GPS部202によってGPS衛星12a等からの信号G1等を受信し、信号G1等からアルマナックを例えば7日ごとに、エフェメリスを例えば4時間ごとに抽出し、常に有効な状態に維持するようになっている。
なお、本実施の形態とは異なり、端末制御部200は、基地局20Aから、アルマナック及びエフェメリスを含む衛星軌道情報154(図4参照)を、端末通信部204によって取得するようにしてもよい。
【0051】
図10に示すように、端末50は、端末第1記憶部210に、端末側GPS時刻情報生成プログラム212を格納している。端末側GPS時刻情報生成プログラム212は、端末制御部200が、GPS衛星12a等からの信号G1等(図1参照)に基づいて、GPS時刻を示す端末側GPS時刻情報254を生成するためのプログラムである。この端末側GPS時刻情報254は端末側衛星時刻情報の一例であり、端末側GPS時刻情報生成プログラム212と端末制御部200は、端末側衛星時刻情報生成手段の一例である。
【0052】
図10に示すように、端末50は、端末第1記憶部210に、端末時計補正プログラム214を格納している。端末時計補正プログラム214は、端末制御部200が、端末側GPS時刻情報254に基づいて、端末計時部206の時刻を補正するためのプログラムである。
これにより、端末50は、端末計時部206の時刻をGPS時刻と差がない状態にすることができる。
【0053】
図10に示すように、端末50は、端末第1記憶部210に、基地局情報取得必要性判断プログラム216を格納している。基地局情報取得必要性判断プログラム216は、端末制御部200が、現在通信中の基地局20A等の通信圏A等を離脱したか否かを判断するためのプログラムである。
【0054】
図10に示すように、端末50は、端末第1記憶部210に、基地局情報取得プログラム218を格納している。基地局情報取得プログラム218は、端末制御部200が、サーバ80から、サーバ側基地局情報354を取得するためのプログラムである。すなわち、基地局情報取得プログラム218と端末制御部200は、基地局情報取得手段の一例である。
端末制御部200は、上述の基地局情報取得必要性判断プログラム216によって、例えば、基地局20Aの通信圏Aを離脱したと判断した場合に、現在、端末50が通信中の基地局20B、及び基地局20Bの通信圏Bと通信圏が重複する基地局20D等のサーバ側基地局情報354(図8参照)を取得する。これにより、基地局20A等の通信圏A等を離脱した場合に、離脱後に通信中の例えば、基地局20Bをベース局とするサーバ側基地局情報354を取得し、測位することができる。なお、測位方法については、後述する。
端末制御部200は、取得したサーバ側基地局情報354を端末側基地局情報255として、端末第2記憶部250に格納する。この端末側基地局情報255は、端末側基地局位置情報256及び端末側基地局時差情報258を含む。
また、端末制御部200は基地局情報取得プログラム218に基づいて、基地局20A等の通信圏A等を離脱した場合以外に、端末50の電源(図示せず)が入れられたときにも、サーバ側基地局情報354を取得するようになっている。端末50の電源が切れていた場合には、現在の通信可能な基地局20A等を判断することができないから、改めて、電源を入れたときに通信可能な基地局20A等から、サーバ側基地局情報354を取得するのである。
さらに、端末制御部200は基地局情報取得プログラム218に基づいて、サーバ80から、定期的に例えば、30分ごとに、サーバ側基地局情報354を受信するようになっている。一般に、時刻を計測するための基準周波数を生成する例えば、水晶発振器は、温度変化によってその周波数が変化するから、時差情報160に示される時差も温度変化によって変化する。サーバ80は、基地局20A等から継続的に時差情報160(図6参照)を受信しているから、温度変化による変化を反映したサーバ側時差情報358を有している。
このため、定期的にサーバ側基地局情報354を受信することで、温度変化によって変化した後の時差情報160を取得しているサーバ80から、サーバ側時差情報358を取得することができる。
【0055】
信号S1等を使用する測位のためには、少なくとも3個の基地局20A等から信号S1等を受信する必要がある。しかし、常に3個以上の基地局20A等から信号S1等を受信することができるとは限らない。ここで、例えば、1個の基地局20Aから信号S1を受信することができる場合に、サーバ80から、基地局20Aのサーバ側基地局情報354を取得し、次に、20BからS2を受信することができるようになった場合に、サーバ80から、基地局20Bのサーバ側基地局情報354を取得し、次に、基地局20CからS3を受信することができる場合に、サーバ80から、基地局20Cのサーバ側基地局情報354を取得することも考えられる。しかし、このようにすると、通信可能な通信基地局20A等が増える都度、端末50とサーバ80とが通信する必要があるという問題がある。
この点、端末50は、サーバ80から、端末50の位置に応じて、例えば、通信中の基地局20A及び、通信中の基地局20Aと通信圏が重複する基地局B及びCのサーバ側基地局情報354を取得する構成となっている。
すなわち、例えば、1個の基地局20Aから信号S1を受信することができる場合に、その1個の基地局20Aのサーバ側基地局情報354のみならず、基地局20Aと通信圏が重複する基地局B及びCのサーバ側基地局情報354を予め、取得する。
このため、通信可能な基地局が20Aが等増える都度、端末50とサーバ80とが通信する必要がない。
これにより、端末50とサーバ80との間の通信量を低減することができる。
【0056】
図10に示すように、端末50は、端末第1記憶部210に、上空衛星数判断プログラム220を格納している。上空衛星数判断プログラム220は、端末制御部200が、端末50の上空に位置するGPS衛星12a等の数を判断するためのプログラムである。すなわち、上空衛星数判断プログラム220と端末制御部200は、上空衛星数判断手段の一例である。
具体的には、端末制御部200は、端末側衛星軌道情報252に含まれるアルマナックを使用して、端末計時部206によって計測された現在時刻において、端末50の上空に位置し、観測可能なGPS衛星12a等の数を判断する。そして、端末制御部200は、上空に位置するGPS衛星12a等の数を示す上空衛星数情報256を端末第2記憶部250に格納する。
【0057】
図10に示すように、端末50は、端末第1記憶部210に、衛星測位プログラム222を格納している。衛星測位プログラム222は、端末制御部200が、3個以上のGPS衛星12a等からの信号G1等(図1参照)に基づいて、端末50の位置の測位を行うためのプログラムである。すなわち、衛星測位プログラム222と端末制御部200は、衛星信号測位手段の一例である。
具体的には、端末制御部200は、信号G1等が各GPS衛星12a等から発信された時刻と、信号G1等を受信した時刻との差を算出して、信号G1等の速度が光速であることに基づいて、各GPS衛星12a等と端末50との距離(擬似距離と呼ぶ)を算出する。一方で、端末側衛星軌道情報252に含まれるエフェメリスによって、端末計時部206によって計測した現時刻における各GPS衛星12a等の衛星軌道上の位置を算出する。
そして、上述の擬似距離と各GPS衛星12a等の衛星軌道上の位置に基づいて、現在位置を測位する。
端末制御部200は、測位によって生成した衛星測位位置情報262を端末第2記憶部250に格納する。
なお、端末制御部200が衛星測位プログラム222によって行う測位を、衛星測位と呼ぶ。
【0058】
図10に示すように、端末50は、端末第1記憶部210に、通信信号受信プログラム224を格納している。通信信号受信プログラム224は、端末制御部200が、基地局20A等から、信号S1等を受信するためのプログラムである。すなわち、通信信号受信プログラム224と端末制御部200は、通信用信号電波受信手段の一例である。
通信信号受信プログラム224は、送信時刻情報抽出プログラム224aを含む。送出時刻情報抽出プログラム224aは、端末制御部200が、信号S1等から、送信時刻情報156(図6参照)を抽出するためのプログラムである。
端末制御部200は、抽出した送信時刻情報156を、端末側送信時刻情報264として端末第2記憶部250に格納する。
【0059】
図10に示すように、端末50は、端末第1記憶部210に、受信時刻情報生成プログラム226を格納している。受信時刻情報生成プログラム226は、端末制御部200が、信号S1等を受信した時刻を示す受信時刻情報266を生成するためのプログラムである。この受信時刻情報266は受信時刻情報の一例であり、受信時刻情報生成プログラム226と端末制御部200は、受信時刻情報生成手段の一例である。
具体的には、端末制御部200は、端末計時部206によって、信号S1を受信した時刻を計測し、受信時刻情報266を生成する。
端末制御部200は、生成した受信時刻情報266を、端末第2記憶部250に格納する。
【0060】
図10に示すように、端末50は、端末第1記憶部210に、基地局測位プログラム228を格納している。基地局測位プログラム228は、端末制御部200が、端末側基地局位置情報256、端末側基地局時差情報258、端末側送信時刻情報264及び受信時刻情報266に基づいて、端末50の位置を測位するためのプログラムである。すなわち、基地局測位プログラム228と端末制御部200は、通信用信号電波測位手段の一例である。
以後、端末制御部200が基地局測位プログラム228によって行う測位を、基地局測位と呼ぶ。
【0061】
図11は、基地局測位方法の一例の説明図である。
図11(a)は、各基地局20A等の位置を示す図である。基地局20A等の位置は、端末側基地局位置情報256によって既知である。
図11(b)は、各基地局20A等からの信号S1等の伝搬時間tb01等を示す図である。伝搬時間tb01等は、未知数である。
図11(c)は、各信号S1等の送信時刻t1等を示す図である。送信時刻t1等は、端末側送信時刻情報264によって既知である。ここで、基地局20A等間においては、時刻同期していないから、t1、t2及びt3は、同時刻とは限らない。
図11(d)は、各基地局20A等の時差ta1等を示す図である。時差ta1等は、端末側基地局時差情報258によって既知である。
図11(e)は信号S1等の伝搬速度を示す図である。信号S1等は電波に乗せられているから、その伝搬速度は光速Cである。
図11(f)は、信号S1等の送信時刻t1等と、端末50が信号S1等を受信した時刻との時間差td01等を示す図である。図11(g)に示すように、端末50が信号S1等を受信した時刻をt0とする。
図11(h)に示す端末50の位置(X,Y,Z)は、未知数である。
【0062】
以上を前提に、図11(i)乃至図11(k)に示す式(1)乃至(9)について説明する。
まず、各基地局20A等と端末50との距離は、信号S1等の伝搬時間と電波の速度(光速C)を乗算したものに等しいから、図11(i)の式(1)乃至式(3)が成り立つ。
次に、送信時刻t1は、GPS時刻との時差ta1を含むから、図11(j)の式(4)乃至(6)が成り立つ。
さらに、図11(f)の時間差td01等については、図11(c)の送信時刻t1等、図11(b)の伝搬時間tb01及び図7(g)の時刻t0に基づいて、図11(k)の式(7)乃至式(9)が成り立つ。
ここで、未知数が端末50の位置を示す、X、Y、Z、伝搬時間tb01、tb02及びtb03の6個であるから、式(1)、(2)、(3)、(7)、(8)及び(9)を連立させて計算することによって、未知数をすべて算出することができる。
端末制御部200は、このようにして生成した基地局測位位置情報268を端末第2記憶部250に格納する。
なお、上述の基地局測位は、端末50は、基地局20A等と通信可能であることを前提とするから、基地局20A等の通信圏内に位置する。このため端末50の位置する領域が起伏が少なく、基地局20A等の位置の高度成分Z1等(図11(a)参照)がほぼ等しい場合には、例えば、高度成分Z1,Z2及びZ3の平均値を端末50の位置の高度成分Zとして、上述の基地局測位を行うことも可能である。
【0063】
図10に示すように、端末50は、端末第1記憶部210に、ハイブリッド測位プログラム230を格納している。ハイブリッド測位プログラム230は、端末制御部200が、信号G1等、端末側基地局位置情報256、端末側基地局時差情報258、端末側送信時刻情報264及び受信時刻情報266に基づいて、端末50の位置を測位するためのプログラムである。すなわち、ハイブリッド測位プログラム230と端末制御部200は、複合測位手段の一例である。
端末制御部200がハイブリッド測位プログラム230に基づいて行う測位は、図11を使用して説明した上述の基地局測位プログラム228に基づいて行う測位方法において、1個又は2個の基地局20AをGPS衛星12a等に代替して行う。
なお、一般的には、人口衛星による測位、移動体通信情報による測位、ジャイロなどによる加速度センサ、車速パルスなどのセンサ類を2つ以上組み合わせた測位方法をハイブリッド測位と呼ぶが、本実施の形態においては基地局20A等の情報とGPS衛星12a等の情報を組み合わせた、端末制御部200がハイブリッド測位プログラム230に基づいて行う測位をハイブリッド測位と呼ぶ。
端末制御部200は、ハイブリッド測位によって生成したハイブリッド測位位置情報270を端末第2記憶部250に格納する。
【0064】
図10に示すように、端末50は、端末第1記憶部210に、測位方法選択プログラム232を格納している。測位方法選択プログラム232は、端末制御部200が、上空衛星数情報260に示されるGPS衛星12a等の数に基づいて、衛星測位、基地局測位、又は、ハイブリッド測位のいずれかを選択するためのプログラムである。すなわち、測位方法選択プログラム232と端末制御部200は、測位手段選択手段の一例である。
具体的には、端末制御部200は、上空衛星数情報260に示されるGPS衛星12a等の数が3個以上である場合には、衛星測位を選択する。そして、端末制御部200は、上空衛星数情報260に示されるGPS衛星12a等の数が1個又は2個である場合には、ハイブリッド測位を選択する。そして、端末制御部200は、上空衛星数情報260に示されるGPS衛星12a等の数が0個である場合には、基地局測位を選択する。
【0065】
一般に、GPS衛星12a等からの信号G1等に基づく測位の測位精度は、通信用の信号S1等に基づく測位の測位精度よりも高い。例えば、衛星測位による場合には、測位誤差は0メートル(m)乃至20メートル(m)であるのに対し、基地局測位による場合には、測位誤差が5メートル(m)乃至400メートル(m)である。
この点、端末50は、GPS衛星12a等から信号G1等を受信することができるかぎり、信号G1等のみ、又は、信号G1等と通信用の信号S1等を使用して測位を行うことができる。
このため、端末50は、上空に位置し、観測可能なGPS衛星12a等の数に応じて、最も高い測位精度において測位をすることができる。
これに対し、例えば、屋内などGPS衛星12a等が3個以上観測できない環境においては、屋内でも受信可能な通信用の信号S1等を使用して、ハイブリッド測位又は基地局測位を行うことができる。
【0066】
図10に示すように、端末50は、端末第1記憶部210に、測位位置情報表示プログラム234を格納している。測位位置情報表示プログラム234は、端末制御部200が、衛星測位位置情報262、基地局測位位置情報268、又は、ハイブリッド測位位置情報270のいずれかを表示装置64(図5参照)に表示するためのプログラムである。
【0067】
以上が本実施の形態に係る測位システム10の構成であるが、以下、その動作例を主に図12及び図13を使用して説明する。
図12及び図13は本実施の形態に係る測位システム10の動作例を示す概略フローチャートである。
【0068】
端末50が、従来通信中の基地局20Dの通信圏Dを離脱し、基地局20Aと通信開始したという前提で、以下説明する。
まず、端末50は、端末側GPS時刻情報254(図10参照)を生成する(図12のステップST1)。このステップST1は、端末側衛星時刻情報生成ステップの一例である。端末側GPS時刻情報254に基づいて、端末計時部206(図10参照)の時刻を補正することによって、GPS時刻と差がない状態にすることができる。
【0069】
一方、基地局20A等は、継続的に時差情報160(図6参照)を生成する(図12のステップST1A)。
そして、基地局20A等は、生成した時差情報160をサーバ80に送信する(ステップST2A)。
一方、サーバ80は、基地局20A等から時差情報160を受信し、基地局情報データベース352(図8参照)に格納する(ステップST3A)。
【0070】
続いて、端末50は、従来通信中の基地局20Dの通信圏Dを離脱したか否かを判断する(ステップST2)。
端末50が、従来通信中の基地局20Dの通信圏Dを離脱した判断した場合には、基地局20Aを介してサーバ80に対して、通信中の基地局20A、及び、基地局20Aをベース局とする通信圏重複基地局20B及び20Cのサーバ側基地局情報354を要求する(ステップST3)。
【0071】
端末50からの要求を受けた基地局20Aは、サーバ80に対して、サーバ側基地局情報354を要求する(ステップST4)。
【0072】
一方、サーバ80は、サーバ側基地局情報354の要求を送信した基地局20Aと、その基地局20Aと通信圏が重複する基地局20B及び20Cのサーバ側基地局情報354を基地局情報データベース352から取得し(ステップST5)、そのサーバ側基地局情報354を、基地局20Aへ送信する(ステップST6)。
【0073】
基地局20Aは、サーバ側基地局情報354を受信すると(図13のステップST7)、端末50に対して、そのサーバ側基地局情報354を送信する(ステップST7)。
【0074】
続いて、端末50は、基地局20A等から、サーバ側基地局情報354を受信する(ステップST8)。このステップST8は、基地局情報取得ステップの一例である。
【0075】
続いて、端末50は、上空に位置し、観測可能なGPS衛星12a等の数を判断する(ステップST9)。このステップST9は、上空衛星数判断ステップの一例である。
端末50は、観測可能なGPS衛星12a等の数が、3個以上であると判断した場合には、衛星測位を実施し(ステップST101)、衛星測位位置情報262(図10参照)を生成する。このステップST101は、測位手段選択ステップの一例である。
そして、端末50は、衛星測位位置情報262を、表示装置64(図5参照)に表示する(ステップST102)。
【0076】
ステップST9において、端末50は、観測可能なGPS衛星12a等の数が、1個又は2個であると判断した場合には、ハイブリッド測位を実施し(ステップST201)、ハイブリッド測位位置情報270(図10参照)を生成する。このステップST201もまた、測位手段選択ステップの一例である。
そして、端末50は、ハイブリッド測位位置情報270を、表示装置64(図5参照)に表示する(ステップST202)。
【0077】
ステップST9において、端末50は、観測可能なGPS衛星12a等の数が、0個であると判断した場合には、基地局測位を実施し(ステップST301)、基地局測位位置情報268(図10参照)を生成する。このステップST301もまた、測位手段選択ステップの一例である。
そして、端末50は、基地局測位位置情報268を、表示装置64(図5参照)に表示する(ステップST302)。
【0078】
以上で説明したように、測位システム10によれば、基地局の大幅なシステム変更を必要とすることなく、3つ以上の基地局からの信号を受信できない場合であっても測位することができる。
【0079】
なお、本実施の形態とは異なり、上述のステップST101,ST201,ST202において、端末50は、GPS衛星12a等及び/又は基地局20A等との間の擬似距離、及び、GPS衛星12a等の軌道上の座標に関する情報を基地局20A等を介して、サーバ80に提供し、サーバ80が端末50の位置の測位演算を行うようにしてもよい。そして、端末50は、サーバ80から測位演算の結果としての位置情報を受けるようにしてもよい。
【0080】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について、説明する。
第2の実施の形態における測位システム10A(図1参照)の構成は、上記第1の実施の形態の測位システム10と多くの構成が共通するため共通する部分は同一の符号等とし、説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
測位システム10Aにおいては、端末50Aは、通信中の基地局20A等及び、基地局20A等と一定の地理的範囲内に位置する基地局のサーバ側基地局情報354を取得する点が、第1の実施形態の測位システム10と異なる。
【0081】
(管理サーバ80Aの主なソフトウエア構成について)
図14は、管理サーバ80A(以後、サーバ80Aと呼ぶ)の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図15は、基地局情報データベース352Aのデータ構造の一例を示す図である。
図16は、広域ゾーンX1等の一例を示す図である。
【0082】
図14に示すように、サーバ80Aは、サーバ第2記憶部350に、基地局情報データベース352Aを格納している。
基地局情報データベース352Aは、例えば、基地局20Aを基準とすれば、基地局20Aと広域関連基地局である基地局20B,20C,20D,20E及び20Fを関連付け、それぞれのサーバ側基地局情報354を格納している。
図16に示すように、基地局20Aの通信圏A、基地局20Bの通信圏B等は、広域ゾーンX1を形成している。同様に、基地局20G等の通信圏G等は広域ゾーンX2を形成しており、基地局20M等の通信圏M等は広域ゾーンX3を形成している。広域ゾーンX1等は、一定の地理的範囲の一例である。
【0083】
図14に示すように、サーバ80Aは、サーバ第1記憶部310に、基地局情報送信プログラム314Aを格納している。基地局情報送信プログラム314Aは、サーバ制御部300が通信中基地局特定プログラム312によって、端末50が通信中の例えば、基地局20を特定した場合に、基地局20A、及び、基地局20をベース局とする広域関連基地局20B等のサーバ側基地局情報354を送信するためのプログラムである。
【0084】
(端末50Aの主なソフトウエア構成について)
図17は、端末50Aの主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図17に示すように、端末50Aは、端末第1記憶部210に、基地局情報取得必要性判断プログラム216Aを格納している。基地局情報取得必要性判断プログラム216Aは、端末制御部200が、端末50Aが位置する広域ゾーンX1等が切替ったか否かを判断するためのプログラムである。
例えば、端末制御部200は、従来端末50Aが広域ゾーンX1に属する基地局A乃至Fのいずれとも通信ができなくなり、新たな広域ゾーンX2に属するいずれかの基地局G乃至Lと通信可能になった場合に、広域ゾーンX1が広域ゾーンX2に切り替わったと判断する。
【0085】
図17に示すように、端末50Aは、端末第1記憶部210に、基地局情報取得プログラム218Aを格納している。基地局情報取得プログラム218Aは、端末制御部200が、上述の基地局情報取得必要性判断プログラム216Aに基づいて、端末50Aが位置する広域ゾーンX1等が切替ったと判断した場合に、基地局20A等を介してサーバ80Aから、サーバ側基地局情報354を取得するためのプログラムである。
例えば、端末制御部200は、上述の基地局情報取得必要性判断プログラム216Aに基づいて、端末50が位置する広域ゾーンX1が切替ったと判断した場合には、サーバ80から、現在位置する広域ゾーンX2内に位置する基地局20G等のサーバ側基地局情報354を取得する。
【0086】
端末50Aが、例えば、時速100キロメートル(km/h)という高速で移動中の場合には、頻繁に、信号S1等を受信することができる基地局20A等が切替ると考えられる。ここで、通信可能な基地局20等が切替る都度、端末50Aとサーバ80Aとが通信するとすれば、通信量が過大になるという問題がある。
この点、端末50Aは、サーバ80Aから、端末50Aの位置に応じて、例えば、通信中の基地局20A及び、基地局20Aを含む広域ゾーンX1内に位置する基地局20B等のサーバ側基地局情報354を取得する構成となっている。
すなわち、1個の基地局20Aから信号S1を受信することができる場合に、その1個の基地局20Aのサーバ側基地局情報354のみならず、1個の基地局20Aを含む広域ゾーンX1内に位置する基地局20B等のサーバ側基地局情報354を予め、取得する。
このため、信号S1を受信することができる基地局20A等が切替る都度、端末50Aとサーバ80Aとが通信する必要がない。
これにより、端末50とサーバ80との間の通信量を低減することができる。
【0087】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の端末側衛星時刻情報生成ステップと、基地局情報取得ステップと、上空衛星数判断ステップと、測位手段選択ステップ等を実行させるための端末装置の制御プログラムとすることができる。
また、このような端末装置の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【0088】
これら端末装置の制御プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewritable)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0089】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態に係る測位システムを示す概略図である。
【図2】基地局の通信圏の一例を示す図である。
【図3】基地局の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図4】管理サーバの主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図5】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図6】基地局の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図7】送信フレームFR等を示す概略図である。
【図8】管理サーバの主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図9】基地局情報データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【図10】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図11】基地局測位方法の一例の説明図である。
【図12】測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【図13】測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【図14】管理サーバの主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図15】基地局情報データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【図16】広域ゾーンの一例を示す図である。
【図17】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0091】
10,10A・・・測位システム、12a,12b,12c,12d・・・GPS衛星、20A,20B,20C,20D,20E・・・基地局、50,50A…端末、80,80A…管理サーバ、104・・基地局通信部、106・・・基地局計時部、108・・・基地局第2計時部、110・・・基地局第2通信部、122・・・送信フレーム生成プログラム、124・・・GPS時刻生成プログラム、126・・・基地局第2時計補正プログラム、128・・・時差情報生成プログラム、130・・・時差情報送信プログラム、212・・・端末側GPS時刻情報生成プログラム、214・・・端末時計補正プログラム、216,216A・・・基地局情報取得必要性判断プログラム、218,218A・・・基地局情報取得プログラム、220・・・上空衛星数判断プログラム、222・・・衛星測位プログラム、224・・・通信信号受信プログラム、226・・・受信時刻情報生成プログラム、228・・・基地局測位プログラム、230・・・ハイブリッド測位プログラム、232・・・測位方法選択プログラム、234・・・測位位置情報表示プログラム、312…通信中基地局特定プログラム、314,314A…基地局情報送信プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信基地局と、
前記通信基地局と通信可能な端末装置と、
前記通信基地局と前記端末装置と通信可能な管理装置と、
を有する通信基地局間非同期の測位システムであって、
前記通信基地局は、
前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報を格納する基地局位置情報格納手段と、
前記通信基地局から送信する通信用信号電波に送信時刻を示す送信時刻情報を乗せる送信時刻情報付通信用信号電波生成手段と、
測位衛星からの信号である衛星信号に基づいて、前記測位衛星の時刻である衛星時刻を示す衛星時刻情報を生成する衛星時刻情報生成手段と、
前記送信時刻における前記送信時刻と前記衛星時刻との時差を示す時差情報を生成する時差情報生成手段と、
前記管理装置に対して、前記基地局位置情報及び前記時差情報を送信する基地局情報送信手段と、
前記端末装置に対して、前記送信時刻情報が乗せられた前記通信用信号電波を送信する通信用信号電波送信手段と、
を有し、
前記管理装置は、前記通信基地局から前記基地局位置情報及び前記時差情報を受信する基地局情報受信手段と、
前記基地局情報を格納する基地局情報格納手段と、
前記端末装置の位置に応じて、前記基地局情報を送信する管理装置側基地局情報送信手段と、
を有し、
前記端末装置は、
前記測位衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記衛星時刻を示す端末側衛星時刻情報を生成する端末側衛星時刻情報生成手段と、
前記管理装置から、前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する端末側基地局情報取得手段と、
前記端末装置の上空に位置する前記測位衛星である上空衛星の数を判断する上空衛星数判断手段と、
前記衛星信号に基づいて、前記端末装置の位置を測位する衛星信号測位手段と、
前記通信基地局から、前記通信用信号電波を受信する通信用信号電波受信手段と、
前記通信用信号電波を受信した時刻を示す受信時刻情報を生成する受信時刻情報生成手段と、
前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報、に基づいて、前記端末装置の位置を測位する通信用信号電波測位手段と、
前記衛星信号、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報に基づいて、前記端末装置の位置を測位する複合測位手段と、
前記上空衛星の数に基づいて、前記衛星信号測位手段、前記通信用信号電波測位手段、又は、前記複合測位手段のいずれかを選択する測位手段選択手段と、
を有することを特徴とする通信基地局間非同期の測位システム。
【請求項2】
通信基地局間非同期の通信網における複数の通信基地局から送信時刻を示す送信時刻情報が乗せられた通信用信号電波を受信可能な端末装置であって、
測位衛星からの信号である衛星信号に基づいて、前記測位衛星の時刻である衛星時刻を示す端末側衛星時刻情報を生成する端末側衛星時刻情報生成手段と、
前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報及び、前記送信時刻における前記送信時刻と前記衛星時刻との時差を示す時差情報を保持している管理装置から、前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する端末側基地局情報取得手段と、
前記端末装置の上空に位置する前記測位衛星である上空衛星の数を判断する上空衛星数判断手段と、
前記衛星信号に基づいて、前記端末装置の位置を測位する衛星信号測位手段と、
前記通信基地局から、前記通信用信号電波を受信する通信用信号電波受信手段と、
前記通信用信号電波を受信した時刻を示す受信時刻情報を生成する受信時刻情報生成手段と、
前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報、に基づいて、前記端末装置の位置を測位する通信用信号電波測位手段と、
前記衛星信号、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報に基づいて、前記端末装置の位置を測位する複合測位手段と、
前記上空衛星の数に基づいて、前記衛星信号測位手段、前記通信用信号電波測位手段、又は、前記複合測位手段のいずれかを選択する測位手段選択手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項3】
前記測位手段選択手段は、前記上空衛星の数が3個以上である場合には前記衛星信号測位手段を選択し、前記上空衛星の数が1個又は2個である場合には前記複合測位手段を選択し、前記上空衛星の数が0個である場合には前記通信用信号電波測位手段を選択する構成となっていることを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記端末装置の前記基地局情報取得手段は、前記管理装置から、前記端末装置の位置に応じて、通信中の前記通信基地局及び、前記通信中の前記通信基地局と通信圏が重複する前記通信基地局の前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する構成となっていることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項5】
前記端末装置の前記基地局情報取得手段は、前記管理装置から、前記端末装置の位置に応じて、通信中の前記通信基地局及び、前記通信中の前記通信基地局を含む一定の地理的範囲内に位置する前記通信基地局の前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する構成となっていることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の端末装置。
【請求項6】
通信基地局間非同期の通信網における複数の通信基地局から送信時刻を示す送信時刻情報が乗せられた通信用信号電波を受信可能な端末装置が、測位衛星からの信号である衛星信号に基づいて、前記測位衛星の時刻である衛星時刻を示す端末側衛星時刻情報を生成する端末側衛星時刻情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報及び、前記送信時刻における前記送信時刻と前記衛星時刻との時差を示す時差情報を保持している管理装置から、前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する基地局情報取得ステップと、
前記端末装置が、前記端末装置の上空に位置する前記測位衛星である上空衛星の数を判断する上空衛星数判断ステップと、
前記端末装置が、前記上空衛星数判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記衛星信号に基づいて前記端末装置の測位を行う衛星信号測位手段と、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記通信用信号電波を受信した時刻を示す受信時刻情報に基づいて前記端末装置の測位を行う通信用信号電波測位手段と、前記衛星信号、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報に基づいて前記端末装置の測位を行う複合測位手段と、から一つを選択する測位手段選択ステップと、
を有することを特徴とする端末装置の制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、
通信基地局間非同期の通信網における複数の通信基地局から送信時刻を示す送信時刻情報が乗せられた通信用信号電波を受信可能な端末装置が、測位衛星からの信号である衛星信号に基づいて、前記測位衛星の時刻である衛星時刻を示す端末側衛星時刻情報を生成する端末側衛星時刻情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報及び、前記送信時刻における前記送信時刻と前記衛星時刻との時差を示す時差情報を保持している管理装置から、前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する基地局情報取得ステップと、
前記端末装置が、前記端末装置の上空に位置する前記測位衛星である上空衛星の数を判断する上空衛星数判断ステップと、
前記端末装置が、前記上空衛星数判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記衛星信号に基づいて前記端末装置の測位を行う衛星信号測位手段と、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記通信用信号電波を受信した時刻を示す受信時刻情報に基づいて前記端末装置の測位を行う通信用信号電波測位手段と、前記衛星信号、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報に基づいて前記端末装置の測位を行う複合測位手段と、から一つを選択する測位手段選択ステップと、
を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
通信基地局間非同期の通信網における複数の通信基地局から送信時刻を示す送信時刻情報が乗せられた通信用信号電波を受信可能な端末装置が、測位衛星からの信号である衛星信号に基づいて、前記測位衛星の時刻である衛星時刻を示す端末側衛星時刻情報を生成する端末側衛星時刻情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報及び、前記送信時刻における前記送信時刻と前記衛星時刻との時差を示す時差情報を保持している管理装置から、前記基地局位置情報及び前記時差情報を取得する基地局情報取得ステップと、
前記端末装置が、前記端末装置の上空に位置する前記測位衛星である上空衛星の数を判断する上空衛星数判断ステップと、
前記端末装置が、前記上空衛星数判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記衛星信号に基づいて前記端末装置の測位を行う衛星信号測位手段と、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記通信用信号電波を受信した時刻を示す受信時刻情報に基づいて前記端末装置の測位を行う通信用信号電波測位手段と、前記衛星信号、前記基地局位置情報、前記時差情報、前記送信時刻情報及び前記受信時刻情報に基づいて前記端末装置の測位を行う複合測位手段と、から一つを選択する測位手段選択ステップと、
を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−214934(P2006−214934A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29423(P2005−29423)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】