測位装置、測位方法及びプログラム
【課題】測位手段による位置情報の精度の向上を図る。
【解決手段】CPU10は、GPS測位によって得られた少なくとも二以上の位置データに基づいて算出される移動ベクトルと、GPS測位によって得られた位置データとそれぞれ同時期に自律航法測位により得られた二以上の地点における移動ベクトルとをそれぞれ算出する。そして、CPU10は、算出された各移動ベクトルの差が所定範囲以内である場合には、GPS測位によって測定された位置データを移動履歴データ記憶部22に記憶するとともに、各移動ベクトルの差が所定範囲以内でない場合には、前回移動履歴データ記憶部22に記憶されたGPS測位によって測位された位置データを起点として自律航法測位による計測に基づいて算出された位置情報を移動履歴データ記憶部22に記憶する。
【解決手段】CPU10は、GPS測位によって得られた少なくとも二以上の位置データに基づいて算出される移動ベクトルと、GPS測位によって得られた位置データとそれぞれ同時期に自律航法測位により得られた二以上の地点における移動ベクトルとをそれぞれ算出する。そして、CPU10は、算出された各移動ベクトルの差が所定範囲以内である場合には、GPS測位によって測定された位置データを移動履歴データ記憶部22に記憶するとともに、各移動ベクトルの差が所定範囲以内でない場合には、前回移動履歴データ記憶部22に記憶されたGPS測位によって測位された位置データを起点として自律航法測位による計測に基づいて算出された位置情報を移動履歴データ記憶部22に記憶する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位装置、測位方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(Global Positioning System)などの絶対位置の測定が可能な測位手段を用いて移動経路上の各地点の位置情報を取得する測位装置がある。
【0003】
そして、このような測位装置においては、加速度センサや方位センサ等の自律航法用センサを利用してGPSの測位結果を補完する技術についていくつか提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−232771号公報
【特許文献2】特開平11−230772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の測位装置では、測位装置の環境によっては、GPSの測位結果に基づく正確な位置情報を得ることができない場合がある。すなわち、GPSによる測位は、複数のGPS衛星からの送信データに基づいて位置情報を算出することによって行われるものであるが、例えば、図10に示されるように、測位装置を所持するユーザが屋外からビルB内に移動する場合において、地点a0からa8迄の間は、GPS衛星からの送信データにより、GPSによる測位が可能であるが、地点a8からさらにビルBの屋内へ進むと、GPS衛星からの送信データを受信することができず、GPSによる測位が不能となってしまう。そのため、GPSによる測位が不能となった後は、自律航法センサによる自律航法測位により、位置情報を取得することにより、GPSによる測位の補完が行われる。
【0006】
しかしながら、このような測位装置では、地点a0からa6までの間は、GPS衛星と測位装置との間に障害物がないため、GPSによる測位が正確に行われるが、地点a6からビルBに向かうと、GPS衛星と測位装置との間にビルBが介在することにより、例えば、領域Aにおいてマルチパスが発生し、地点a7やa8においては、GPSによる正確な測位が行われなくなる。このときの、GPSによる測位結果を図11に示す。図11に示されるように、時間t0〜t6までは、実際の位置が正確に示されているが、時間t6を過ぎると、マルチパスの影響により正確な位置が示されなくなっている。
【0007】
このような状態となった後に、GPSによる測位が不能となった場合には、最終的に取得されたGPSによる測位結果が正確でないものであるため、その後、自律航法測位を行っても、正確な測位結果を得ることができず、例えば、図12に示されるように、実際の軌跡(図12中、一点鎖線で示す)とは乖離した軌跡(図12中、破線で示す)となってしまう。
【0008】
本発明の課題は、測位手段による位置情報の精度の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、測位装置であって、
位置変動量の計測を行う移動計測手段と、
位置情報を測定可能な測位手段と、
前記位置情報を記憶する記憶手段と、
前記測位手段によって得られた少なくとも二以上の位置情報に基づく位置変動量と、前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に前記移動計測手段により得られた二以上の地点における相対的な位置変動量と、をそれぞれ算出し、該算出された各位置変動量の差が所定範囲以内である場合には、前記測位手段によって測定された位置情報を前記記憶手段に記憶するとともに、各位置変動量の差が所定範囲以内でない場合には、前回前記記憶手段に記憶された前記測位手段によって測位された位置情報を起点として前記移動計測手段による位置変動の計測に基づいて算出された位置情報を前記記憶手段に記憶する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の測位装置において、
前記制御手段は、前記測位手段によって測位された位置情報を、各位置変動量の差が所定範囲以内であるか否かの判断結果と対応付けて前記記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の測位装置において、
前記制御手段は、何れか一方又は両方の前記位置変動量が所定の大きさ以上であることを条件として、各位置変動量の差が所定範囲以内であるか否かの判断を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の測位装置において、
前記制御手段は、前記測位手段によって得られた時期が少なくとも所定時間間隔である二以上の位置情報に基づいて位置変動量を算出することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、位置変動量の計測を行う移動計測手段と、位置情報を測定可能な測位手段と、前記位置情報を記憶する記憶手段とを用いて、測定された位置情報の記憶を行う測位方法において、
前記測位手段によって得られた少なくとも二以上の位置情報に基づく位置変動量と、前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に前記移動計測手段により得られた二以上の地点における相対的な位置変動量と、をそれぞれ算出し、該算出された各位置変動量の差が所定範囲以内である場合には、前記測位手段によって測定された位置情報を前記記憶手段に記憶するとともに、各位置変動量の差が所定範囲以内でない場合には、前回前記記憶手段に記憶された前記測位手段によって測位された位置情報を起点として前記移動計測手段による位置変動の計測に基づいて算出された位置情報を前記記憶手段に記憶する制御ステップを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、プログラムであって、
位置変動量の計測を行う移動計測手段と、位置情報を測定可能な測位手段とから測定結果をそれぞれ入力し、該入力された位置情報の記憶手段への記憶を行うコンピュータを、
前記測位手段によって得られた少なくとも二以上の位置情報に基づく位置変動量と、前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に前記移動計測手段により得られた二以上の地点における相対的な位置変動量と、をそれぞれ算出し、該算出された各位置変動量の差が所定範囲以内である場合には、前記測位手段によって測定された位置情報を前記記憶手段に記憶するとともに、各位置変動量の差が所定範囲以内でない場合には、前回前記記憶手段に記憶された前記測位手段によって測位された位置情報を起点として前記移動計測手段による位置変動の計測に基づいて算出された位置情報を前記記憶手段に記憶する制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、測位手段による位置情報の精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の撮像装置の全体を示すブロック図である。
【図2】測位処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】自律航法測位結果記録テーブルを説明する図である。
【図4】GPS測位結果記録テーブルを説明する図である。
【図5】最終的に記録された移動履歴データの一例を示すデータチャートである。
【図6】自律航法測位によって移動履歴データが取得される工程を説明する図である。
【図7】GPS測位によって移動履歴データが取得される工程を説明する図である。
【図8】最終的に記録された移動履歴データに基づく道程を説明する図である。
【図9】測位処理の別の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】従来のGPS測位における環境による影響を説明する図である。
【図11】従来のGPS測位によって移動履歴データが取得される工程を説明する図である。
【図12】従来のGPS測位及び自律航法測位によって移動履歴データが取得される工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0018】
本発明の実施形態である撮像装置1について、図1を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態の撮像装置1は、移動中に撮影操作が行われた場合に撮影により得られた画像データを撮影地点の位置情報と対応付けて記憶しておくことのできる装置である。
【0020】
本実施形態の撮像装置1は、移動中に測位処理を行って移動経路上の各地点の位置データの記録が可能な測位装置を備えるものである。すなわち、この撮像装置1は、図1に示すように、装置の全体的な制御を行うCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)10と、CPU10に作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)11と、CPU10が実行する制御プログラムや制御データを格納したROM(Read Only Memory)12と、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星からの送信データを受信するためのGPS受信アンテナ13およびGPS受信部14と、自律航法用センサである3軸地磁気センサ15および3軸加速度センサ16と、各種の情報表示や画像表示を行う表示部18と、各部に動作電圧を供給する電源19と、外部から操作指令を入力する操作部26と、自律航法用センサ(15,16)の計測データに基づいて自律航法の測位演算を行う自律航法制御処理部20と、自律航法制御処理部20により取得された位置データの補正演算を行う自律航法データ補正処理部21と、移動経路に沿った一連の位置データが蓄積されていく移動履歴データ記憶部22と、撮影を行うカメラ装置23等を備えている。
【0021】
GPS受信部14は、CPU10からの動作指令に基づいて、GPS受信アンテナ13を介して受信される信号の復調処理を行って、GPS衛星の各種送信データをCPU10に送る。CPU10は、このGPS衛星の送信データに基づいて所定の測位演算を行うことで、現在位置を表わす位置データを取得することができる。
【0022】
3軸地磁気センサ15は地磁気の方向を検出するセンサであり、3軸加速度センサ16は3軸方向の加速度をそれぞれ検出するセンサである。
【0023】
自律航法制御処理部20は、CPU10の演算処理を補助するためのものであり、所定のサンプリング周期で3軸地磁気センサ15と3軸加速度センサ16の計測データをCPU10を介して入力し、これらの計測データから撮像装置1の移動方向と移動量とを算出していく。さらに、CPU10から供給される基準地点の位置データに、上記算出された移動方向および移動量からなるベクトルデータを積算していくことで、移動地点の位置データを求めてCPU10に供給する。
【0024】
自律航法データ補正処理部21は、自律航法制御処理部20によって算出された位置データに対して、より正確な位置データに補正するための補正演算を行うものである。
【0025】
移動履歴データ記憶部22は、例えばRAMまたは不揮発メモリなどにより構成され、例えば、図5に示されるような移動履歴データが記録される。移動履歴データは、装置移動中において取得された位置データが順次登録されるものである。
【0026】
カメラ装置23は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子と、被写体の画像を結像させるレンズ等を有し、CPU10の指令に従って撮像素子に結像された被写体の画像をデジタル信号に変換して記録する装置である。このカメラ装置23には、例えば大容量の記憶装置(記録媒体)が設けられており、撮影により得られた画像データはこの記憶装置に保存されるようになっている。
【0027】
ROM12には、自律航法機能による位置測定とGPSを利用した位置測定とを併用して移動経路上の各地点の位置データを取得する測位プログラムが格納されている。このプログラムは、ROM12に格納するほか、例えば、データ読取装置を介してCPU10が読み取り可能な、例えば、光ディスク等の可搬型記憶媒体、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリに格納しておくことが可能である。また、このようなプログラムをキャリアウェーブ(搬送波)を媒体として通信回線を介して撮像装置1にダウンロードされる形態を適用することもできる。
【0028】
次に、以上のように構成された撮像装置1において実行される測位処理について、図2を参照しながら説明する。この測位処理は、CPU10によってROM12に記憶された測位プログラムが読み出され、これが実行されることにより実現される。また、この測位処理は、例えば、撮像装置1の電源がONされたり、あるいは、操作部26を介して始動の操作入力が行われたりした場合に実行される。なお、以下の説明において、GPS衛星の送信データに基づく測位のことをGPS測位、自律航法機能による位置測定のことを自律航法測位と称することとする。
【0029】
測位処理が開始されると、CPU10は、自律航法センサ(3軸地磁気センサ15、3軸加速度センサ16)を起動した後(ステップS101)、GPSモジュールを起動する(ステップS102)。ここで、GPSモジュールとは、GPS受信部14などのGPS測位を行うための装置である。
【0030】
次に、CPU10は、測位間隔を監視するためのタイマを起動した後(ステップS103)、測位を行ってからT1時間の経過を待って(ステップS104)、GPS測位及び自律航法測位によりそれぞれ現在の位置の測位を行い、その位置データをそれぞれ移動履歴データ記憶部22に記憶する(ステップS105)。より具体的には、CPU10は、GPS受信部14にコマンドを発行してGPS衛星からの送信データを受信して測位演算を行い、その演算結果である位置データを、図4に示されるような、GPS測位結果記録テーブルに記憶する。また、CPU10は、この測位演算の実行と同時に、自律航法制御処理部20に3軸地磁気センサ15の計測データ及び3軸加速度センサ16の計測データを送って相対的な位置変動データを生成させ、このデータを前段の位置データに加算して現在の位置データを算出し、図3に示されるような、自律航法測位結果記録テーブルに記憶する。なお、GPS衛星からの送信データが得られない等によってGPS測位による位置データが得られないときは、自律航法測位による位置データのみ取得される。なお、ステップS104において監視されるT1時間は、GPS測位と自律航法測位の測位間隔であり、例えば、1秒に設定されているが、他の時間に設定されていてもよい。
【0031】
次に、CPU10は、移動履歴データ記憶部22の自律航法測位結果記録テーブルからT2時間前に取得された自律航法測位による位置データを読み出し、ステップS105において取得された自律航法測位による測位位置との間の移動変動量から移動ベクトルを算出する(ステップS106)。ここで、T2時間は、GPS測位と自律航法測位の移動ベクトルを算出する位置データの間隔であり、例えば、10秒に設定されているが、他の時間に設定されていてもよい。また、移動ベクトルの始点として使用するために読み出される位置データは、T2時間前に取得されたものに限らず、所定回数前に取得された位置データとしてもよい。また、前回取得された位置データとしてもよい。
【0032】
また、CPU10は、移動履歴データ記憶部22のGPS測位結果記録テーブルからT2時間前に取得されたGPS測位による位置データを読み出し、ステップS105において取得されたGPS測位による測位位置との間の移動変動量から移動ベクトルを算出する(ステップS107)。
【0033】
そして、CPU10は、ステップS106において算出された移動ベクトルと、ステップS107において算出された移動ベクトルとを比較し(ステップS108)、両者が一致しているか否かを判定する(ステップS109)。なお、ステップS109において、移動ベクトルの誤差が一定誤差範囲内であるか否かを判定するようにしてもよい。具体的には、例えば、自律航法による移動ベクトルを基準とした上述の一定誤差の範囲を、自律航法による移動ベクトルとGPS測位に基づいて算出される移動ベクトルの各始点を揃えた上で、自律航法測位による移動ベクトルの終点を中心とした所定距離の半径の範囲の円内に、GPS測位による測位位置との間の移動変動量から算出した移動ベクトルの終点が入っているか否かを判定するようにしてもよい。
【0034】
CPU10は、ステップS109において、移動ベクトルが一致していると判定したときは(ステップS109:Y)、ステップS105において取得したGPS測位による位置データが正確なものとして、その位置データを、GPS測位が適用されたことを示すフラグとともに、移動履歴データ記憶部22の移動履歴データテーブルに記憶した後(ステップS110)、ステップS104に移行する。このとき、自律航法測位結果記録テーブルに記憶される位置データを0にリセットするようにしてもよい。一方、CPU10は、移動ベクトルが一致していると判定しないときは(ステップS109:N)、ステップS105において取得したGPS測位による位置データが正確なものではないとして、前回移動履歴データテーブルに記憶された位置データに今回の自律航法測位結果を加算し、その値を、GPS測位が適用されなかったことを示すフラグとともに、移動履歴データテーブルに記憶した後(ステップS111)、ステップS104に移行する。
【0035】
ここで、移動履歴データテーブルは、図5に示されるようなデータ構造を有しているデータテーブルである。すなわち、移動履歴データテーブルは、位置データを取得した時刻と、GPS測位によって取得された位置データ又は自律航法測位結果に基づいて算出された位置データと、GPS測位によって取得された位置データであるか否かを示すデータとが記憶されている。
【0036】
このように、少なくとも2点間におけるGPS測位による位置データに基づく移動ベクトルと自律航法測位による位置データに基づく移動ベクトルとが一致した場合には、GPS測位による位置データの信頼性が高いものと推定することができるので、本実施形態では、このときにおけるGPS測位による位置データを移動履歴として記憶し、信頼性の低いものと推定されるGPS測位による位置データについては、移動履歴として採用せず、前回記憶された信頼性の高いGPS測位による位置データと自律航法測位の測位結果とによって位置データ算出し、これを移動履歴として記憶することで、常に信頼性の高い位置データを履歴として記憶させることができる。
【0037】
以上のように構成された撮像装置1において、測位が行われる動作について、図3〜図8を参照しながら説明する。
【0038】
図3は、撮像装置1において取得された自律航法測位による測位結果が記憶される自律航法測位結果記録テーブルであり、図4は、撮像装置1において取得されたGPS測位による測位結果が記憶されるGPS測位結果記録テーブルである。
なお、本実施形態においては、自律航法測位による測位結果及びGPS測位による測位結果を全て記憶するようにしているが、移動ベクトルを求めるために必要な分だけ記憶するようにしてもよい。
【0039】
図3及び図4に示されるテーブルには、一連の位置データに付随して、位置データの取得順序を表すインデックスナンバー「No.」と、位置データが取得されたときの時刻を表す時刻データと、T2時間前に取得された位置データとの移動変動量を示す移動ベクトルと、移動ベクトルの始点と終点を示すインデックスナンバー等がそれぞれ登録されるようになっている。また、図4に示されるGPS測位結果記録テーブルには、さらに、移動ベクトルの比較結果が登録されるようになっている。この比較結果は、例えば、GPS測位によって信頼性の高い位置データが30分以上取得できない場合、その間は、自律航法測位に基づく位置データの算出が行われるが、長時間自律航法測位を行うと、自律航法測位による誤差が大きくなってしまう。そのため、GPS測位によって取得された位置データを検証して信頼性の高いデータを抽出し、これに基づいて事後的に位置データの補正を行うなど、様々な場面で利用することができる。
【0040】
まず、図3に示されるように、時刻t0において自律航法測位による位置データ「X:0.0,Y:0.0」が取得される。また、このとき、図4に示されるように、GPS測位による位置データとして「X:280.0,Y:180.0」が取得される。なお、時刻t0〜t3におけるT2時間前の各位置データについては取得済みであって、移動ベクトルも一致していると判定されているものとする。また、GPS測位による測位開始直後は、適切なGPS衛星からの送信データを受信することができない場合が多く、GPS測位による測位結果の信頼性は低いので、例えば、電源ON直後などのGPS測位が不安定な状態においては、移動ベクトルが一致と判定するまでは、自律航法測位による仮の位置データにて測位結果を記憶しておき、移動ベクトルが一致と判定したときに取得されたGPS測位による位置データに基づいて、仮の位置データに対して補正することにより、真の位置データに変更するようにしてもよい。
【0041】
そして、T1時間毎に、自律航法測位による位置データが取得され、取得した位置データとT2時間前の位置データとに基づいて移動ベクトルが算出され、その結果が記憶される。また、同様に、T1時間毎に、GPS測位による位置データが取得され、取得した位置データとT2時間前の位置データとに基づいて移動ベクトルが算出され、その結果が記憶される。このようにして記憶された自律航法測位による移動軌跡と移動ベクトルを図6に示す。また、GPS測位による移動軌跡と移動ベクトルを図7に示す。
【0042】
そして、算出された各移動ベクトルが比較判定され、その判定結果がGPS測位結果記録テーブルに記憶される。また、その判定結果に応じて、GPS測位による位置データ又は前回記憶された位置データに自律航法測位による測位結果を加算して求めた位置データが、図5に示される、移動履歴データテーブルに記憶される。なお、移動履歴データテーブルに記憶された位置データに基づく移動軌跡を図8に示す。
【0043】
図3及び図4に示された例によれば、時刻t6までは、図6及び図7において実線にて示されるt0−t4の移動ベクトルとt1−t5の移動ベクトルとt2−t6の移動ベクトルのように、自律航法による移動ベクトルとGPS測位に基づく移動ベクトルとが一致しているため、移動履歴データテーブルに記憶される位置データはGPS測位による位置データとなるが、時刻t7及びt8では、マルチパスの影響により、GPS測位による位置データが、実際の位置とは大きくかけ離れてしまうため、図6及び図7において鎖線にて示されるt3−t7の移動ベクトルとt4−t8の移動ベクトルのように、GPS測位による位置データに基づいて算出される位置ベクトルと、自律航法測位による位置データ基づいて算出される位置ベクトルとの差が大きく異なるようになる。その結果、時刻t7及びt8では、GPS測位による位置データの信頼性は低いものと判断され、移動履歴データテーブルには、前回記憶された位置データに自律航法測位による測位結果を加算して求めた位置データが記憶される。また、時刻t9以降については、GPS測位が不能となったため、移動ベクトルを算出することができず、このような場合にも、前回記憶された位置データに自律航法測位による測位結果を加算して求めた位置データが移動履歴データテーブルに記憶される。
【0044】
このように、本実施形態によれば、移動履歴データテーブルには、時刻t6まではGPS測位による信頼性の高い位置データが記憶され、時刻t7以降は、GPS測位による信頼性の高い位置データが得られた時刻t6における位置データに、自律航法測位による測位結果を加算して得られた位置データが記憶されるので、図8に示されるように、撮像装置1を所持するユーザが実際に移動した軌跡と同じ軌跡を表すことができ、位置データの信頼性を向上させることができる。
【0045】
次に、本実施形態における測位処理の別の形態について、図9を参照しながら説明する。
【0046】
CPU10は、図9に示されるようにステップS201〜ステップS206の処理を実行する。なお、ステップS201〜ステップS206の処理内容は、図2に示される測位処理のステップS101〜S106と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
次に、CPU10は、ステップS206において算出された自律航法測位による移動ベクトルが所定距離以上であるか否かを判定する(ステップS207)。ここで、移動ベクトルの距離判定を行うのは、GPS測位による誤差の範囲を考慮したものである。例えば、GPS測位による誤差がおよそ10mである場合には、判定の距離の閾値を10m以上とする。
【0048】
CPU10は、ステップS207において、移動ベクトルが所定距離以上であると判定しないときは、当該移動ベクトルは誤差の影響を受けるため、正しく比較できるものではないと判断して、今回のGPS測位結果を採用せず、ステップS211の処理を実行する。一方、CPU10は、移動ベクトルが所定距離以上であると判定したときは、ステップS208の処理に移行する。
【0049】
その後、CPU10は、ステップS208〜ステップS212の処理を実行する。なお、ステップS208〜ステップS212の処理内容は、図2に示される測位処理のステップS107〜ステップS111と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、3軸地磁気センサ15、3軸加速度センサ16及び自律航法制御処理部20は、位置変動量の計測(自律航法測位)を行う。そして、CPU10及びGPS受信部14は、位置データを測定(GPS測位)する。そして、移動履歴データ記憶部22は、位置データを記憶する。そして、CPU10は、GPS測位によって得られた少なくとも二以上の位置データに基づいて算出される移動ベクトルと、GPS測位によって得られた位置データとそれぞれ同時期に自律航法測位により得られた二以上の地点における移動ベクトルとをそれぞれ算出する。そして、CPU10は、算出された各移動ベクトルの差が所定範囲以内である場合には、GPS測位によって測定された位置データを移動履歴データ記憶部22に記憶するとともに、各移動ベクトルの差が所定範囲以内でない場合には、前回移動履歴データ記憶部22に記憶されたGPS測位によって測位された位置データを起点として自律航法測位による計測に基づいて算出された位置情報を移動履歴データ記憶部22に記憶する。その結果、実際に移動した軌跡と同じ軌跡を表すことができ、位置情報の精度を向上させることができる。
【0051】
また、本発明の実施形態によれば、CPU10は、GPS測位によって測位された位置データを、各移動ベクトルの差が所定範囲以内であるか否かの判断結果と対応付けて移動履歴データ記憶部22に記憶する。その結果、GPS測位によって測位された位置データの良否を後に検証し、その結果に基づいて位置データを利用することができる等、ユーザの利便性の向上が図れる。
【0052】
また、本発明の実施形態によれば、CPU10は、何れか一方又は両方の移動ベクトルが所定の大きさ以上であることを条件として、各移動ベクトルの差が所定範囲以内であるか否かの判断を行う。その結果、移動ベクトルの対比判断において、GPS測位による誤差の影響を受けにくくすることができ、位置情報の精度を向上させることができる。
【0053】
また、本発明の実施形態によれば、CPU10は、GPS測位によって得られた時期が少なくとも所定時間間隔である二以上の位置データに基づいて移動ベクトルを算出する。その結果、その結果、移動ベクトルについてある程度の距離を得ることができ、移動ベクトルの対比判断において、GPS測位による誤差の影響を受けにくくすることができ、位置情報の精度を向上させることができる。
【0054】
なお、本発明の実施形態では、撮像装置に本発明の実施形態に係る測位装置を備える構成としたが、一般的なポータブルタイプのナビゲーション装置や移動体に据付型の測位装置に本発明の実施形態に係る測位装置を適用し、移動履歴を記憶するようにしてもよい。
【0055】
また、本発明の実施形態では、移動ベクトルの対比結果をGPS測位による位置データとともに記憶するようにしたが、移動ベクトルの対比結果を記憶しないようにしてもよい。
【0056】
また、本発明の実施形態では、例えば、移動ベクトルの起点となるGPS測位による位置データが実際の位置とは異なるものである場合、移動ベクトルの終点となるGPS測位による位置データが実際の位置とはほとんど異ならないものであったとしても、自律航法測位による位置データに基づいて算出された移動ベクトルとは大きく異なるため、GPS測位による位置データが移動履歴として採用されないこととなるが、移動ベクトルの終点となるGPS測位による位置データが信頼性の高いものであると認識できる場合には、当該GPS測位による位置データを移動履歴として採用するようにしてもよい。
【0057】
また、本発明の実施形態において、例えば、気圧センサ等を備えて、高さ方向の移動量を計測して高度の算出を行うようにしてもよい。
【0058】
また、本発明の実施形態では、自律航法測位の演算や位置データの補正処理を、自律航法制御処理部20や自律航法データ補正処理部21により実行させるようにしたが、これらの演算をCPU10のソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0059】
また、本発明の実施形態では、測位手段として、GPSを利用して測位を行う構成としたが、例えば、携帯電話の基地局との通信により測位を行う構成や、RFID(Radio Frequency Identification)などを用いて位置情報を外部から受信したり入力することで現在位置を確定する構成など、その他の種々の構成を適用することができる。
【0060】
また、本発明の実施形態では、相対的な位置変動の計測を行う移動計測手段として、3軸地磁気センサと3軸加速度センサとを例示したが、装置の天地の向きが一定となるものであれば、2軸の方位センサや2軸の加速度センサを用いることもできる。また、方位を求めるのに、ジャイロスコープなどを適用することもできる。さらに、車輪速センサを用いて移動速度を求めるようにしてもよい。また、本発明の実施形態では、取得される位置データを二次元の位置データとしているが、高さ方向の位置データを含めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 撮像装置
10 CPU
11 RAM
12 ROM
14 GPS受信部
15 3軸地磁気センサ
16 3軸加速度センサ
20 自律航法制御処理部
22 移動履歴データ記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位装置、測位方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(Global Positioning System)などの絶対位置の測定が可能な測位手段を用いて移動経路上の各地点の位置情報を取得する測位装置がある。
【0003】
そして、このような測位装置においては、加速度センサや方位センサ等の自律航法用センサを利用してGPSの測位結果を補完する技術についていくつか提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−232771号公報
【特許文献2】特開平11−230772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の測位装置では、測位装置の環境によっては、GPSの測位結果に基づく正確な位置情報を得ることができない場合がある。すなわち、GPSによる測位は、複数のGPS衛星からの送信データに基づいて位置情報を算出することによって行われるものであるが、例えば、図10に示されるように、測位装置を所持するユーザが屋外からビルB内に移動する場合において、地点a0からa8迄の間は、GPS衛星からの送信データにより、GPSによる測位が可能であるが、地点a8からさらにビルBの屋内へ進むと、GPS衛星からの送信データを受信することができず、GPSによる測位が不能となってしまう。そのため、GPSによる測位が不能となった後は、自律航法センサによる自律航法測位により、位置情報を取得することにより、GPSによる測位の補完が行われる。
【0006】
しかしながら、このような測位装置では、地点a0からa6までの間は、GPS衛星と測位装置との間に障害物がないため、GPSによる測位が正確に行われるが、地点a6からビルBに向かうと、GPS衛星と測位装置との間にビルBが介在することにより、例えば、領域Aにおいてマルチパスが発生し、地点a7やa8においては、GPSによる正確な測位が行われなくなる。このときの、GPSによる測位結果を図11に示す。図11に示されるように、時間t0〜t6までは、実際の位置が正確に示されているが、時間t6を過ぎると、マルチパスの影響により正確な位置が示されなくなっている。
【0007】
このような状態となった後に、GPSによる測位が不能となった場合には、最終的に取得されたGPSによる測位結果が正確でないものであるため、その後、自律航法測位を行っても、正確な測位結果を得ることができず、例えば、図12に示されるように、実際の軌跡(図12中、一点鎖線で示す)とは乖離した軌跡(図12中、破線で示す)となってしまう。
【0008】
本発明の課題は、測位手段による位置情報の精度の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、測位装置であって、
位置変動量の計測を行う移動計測手段と、
位置情報を測定可能な測位手段と、
前記位置情報を記憶する記憶手段と、
前記測位手段によって得られた少なくとも二以上の位置情報に基づく位置変動量と、前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に前記移動計測手段により得られた二以上の地点における相対的な位置変動量と、をそれぞれ算出し、該算出された各位置変動量の差が所定範囲以内である場合には、前記測位手段によって測定された位置情報を前記記憶手段に記憶するとともに、各位置変動量の差が所定範囲以内でない場合には、前回前記記憶手段に記憶された前記測位手段によって測位された位置情報を起点として前記移動計測手段による位置変動の計測に基づいて算出された位置情報を前記記憶手段に記憶する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の測位装置において、
前記制御手段は、前記測位手段によって測位された位置情報を、各位置変動量の差が所定範囲以内であるか否かの判断結果と対応付けて前記記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の測位装置において、
前記制御手段は、何れか一方又は両方の前記位置変動量が所定の大きさ以上であることを条件として、各位置変動量の差が所定範囲以内であるか否かの判断を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の測位装置において、
前記制御手段は、前記測位手段によって得られた時期が少なくとも所定時間間隔である二以上の位置情報に基づいて位置変動量を算出することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、位置変動量の計測を行う移動計測手段と、位置情報を測定可能な測位手段と、前記位置情報を記憶する記憶手段とを用いて、測定された位置情報の記憶を行う測位方法において、
前記測位手段によって得られた少なくとも二以上の位置情報に基づく位置変動量と、前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に前記移動計測手段により得られた二以上の地点における相対的な位置変動量と、をそれぞれ算出し、該算出された各位置変動量の差が所定範囲以内である場合には、前記測位手段によって測定された位置情報を前記記憶手段に記憶するとともに、各位置変動量の差が所定範囲以内でない場合には、前回前記記憶手段に記憶された前記測位手段によって測位された位置情報を起点として前記移動計測手段による位置変動の計測に基づいて算出された位置情報を前記記憶手段に記憶する制御ステップを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、プログラムであって、
位置変動量の計測を行う移動計測手段と、位置情報を測定可能な測位手段とから測定結果をそれぞれ入力し、該入力された位置情報の記憶手段への記憶を行うコンピュータを、
前記測位手段によって得られた少なくとも二以上の位置情報に基づく位置変動量と、前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に前記移動計測手段により得られた二以上の地点における相対的な位置変動量と、をそれぞれ算出し、該算出された各位置変動量の差が所定範囲以内である場合には、前記測位手段によって測定された位置情報を前記記憶手段に記憶するとともに、各位置変動量の差が所定範囲以内でない場合には、前回前記記憶手段に記憶された前記測位手段によって測位された位置情報を起点として前記移動計測手段による位置変動の計測に基づいて算出された位置情報を前記記憶手段に記憶する制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、測位手段による位置情報の精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の撮像装置の全体を示すブロック図である。
【図2】測位処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】自律航法測位結果記録テーブルを説明する図である。
【図4】GPS測位結果記録テーブルを説明する図である。
【図5】最終的に記録された移動履歴データの一例を示すデータチャートである。
【図6】自律航法測位によって移動履歴データが取得される工程を説明する図である。
【図7】GPS測位によって移動履歴データが取得される工程を説明する図である。
【図8】最終的に記録された移動履歴データに基づく道程を説明する図である。
【図9】測位処理の別の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】従来のGPS測位における環境による影響を説明する図である。
【図11】従来のGPS測位によって移動履歴データが取得される工程を説明する図である。
【図12】従来のGPS測位及び自律航法測位によって移動履歴データが取得される工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0018】
本発明の実施形態である撮像装置1について、図1を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態の撮像装置1は、移動中に撮影操作が行われた場合に撮影により得られた画像データを撮影地点の位置情報と対応付けて記憶しておくことのできる装置である。
【0020】
本実施形態の撮像装置1は、移動中に測位処理を行って移動経路上の各地点の位置データの記録が可能な測位装置を備えるものである。すなわち、この撮像装置1は、図1に示すように、装置の全体的な制御を行うCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)10と、CPU10に作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)11と、CPU10が実行する制御プログラムや制御データを格納したROM(Read Only Memory)12と、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星からの送信データを受信するためのGPS受信アンテナ13およびGPS受信部14と、自律航法用センサである3軸地磁気センサ15および3軸加速度センサ16と、各種の情報表示や画像表示を行う表示部18と、各部に動作電圧を供給する電源19と、外部から操作指令を入力する操作部26と、自律航法用センサ(15,16)の計測データに基づいて自律航法の測位演算を行う自律航法制御処理部20と、自律航法制御処理部20により取得された位置データの補正演算を行う自律航法データ補正処理部21と、移動経路に沿った一連の位置データが蓄積されていく移動履歴データ記憶部22と、撮影を行うカメラ装置23等を備えている。
【0021】
GPS受信部14は、CPU10からの動作指令に基づいて、GPS受信アンテナ13を介して受信される信号の復調処理を行って、GPS衛星の各種送信データをCPU10に送る。CPU10は、このGPS衛星の送信データに基づいて所定の測位演算を行うことで、現在位置を表わす位置データを取得することができる。
【0022】
3軸地磁気センサ15は地磁気の方向を検出するセンサであり、3軸加速度センサ16は3軸方向の加速度をそれぞれ検出するセンサである。
【0023】
自律航法制御処理部20は、CPU10の演算処理を補助するためのものであり、所定のサンプリング周期で3軸地磁気センサ15と3軸加速度センサ16の計測データをCPU10を介して入力し、これらの計測データから撮像装置1の移動方向と移動量とを算出していく。さらに、CPU10から供給される基準地点の位置データに、上記算出された移動方向および移動量からなるベクトルデータを積算していくことで、移動地点の位置データを求めてCPU10に供給する。
【0024】
自律航法データ補正処理部21は、自律航法制御処理部20によって算出された位置データに対して、より正確な位置データに補正するための補正演算を行うものである。
【0025】
移動履歴データ記憶部22は、例えばRAMまたは不揮発メモリなどにより構成され、例えば、図5に示されるような移動履歴データが記録される。移動履歴データは、装置移動中において取得された位置データが順次登録されるものである。
【0026】
カメラ装置23は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子と、被写体の画像を結像させるレンズ等を有し、CPU10の指令に従って撮像素子に結像された被写体の画像をデジタル信号に変換して記録する装置である。このカメラ装置23には、例えば大容量の記憶装置(記録媒体)が設けられており、撮影により得られた画像データはこの記憶装置に保存されるようになっている。
【0027】
ROM12には、自律航法機能による位置測定とGPSを利用した位置測定とを併用して移動経路上の各地点の位置データを取得する測位プログラムが格納されている。このプログラムは、ROM12に格納するほか、例えば、データ読取装置を介してCPU10が読み取り可能な、例えば、光ディスク等の可搬型記憶媒体、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリに格納しておくことが可能である。また、このようなプログラムをキャリアウェーブ(搬送波)を媒体として通信回線を介して撮像装置1にダウンロードされる形態を適用することもできる。
【0028】
次に、以上のように構成された撮像装置1において実行される測位処理について、図2を参照しながら説明する。この測位処理は、CPU10によってROM12に記憶された測位プログラムが読み出され、これが実行されることにより実現される。また、この測位処理は、例えば、撮像装置1の電源がONされたり、あるいは、操作部26を介して始動の操作入力が行われたりした場合に実行される。なお、以下の説明において、GPS衛星の送信データに基づく測位のことをGPS測位、自律航法機能による位置測定のことを自律航法測位と称することとする。
【0029】
測位処理が開始されると、CPU10は、自律航法センサ(3軸地磁気センサ15、3軸加速度センサ16)を起動した後(ステップS101)、GPSモジュールを起動する(ステップS102)。ここで、GPSモジュールとは、GPS受信部14などのGPS測位を行うための装置である。
【0030】
次に、CPU10は、測位間隔を監視するためのタイマを起動した後(ステップS103)、測位を行ってからT1時間の経過を待って(ステップS104)、GPS測位及び自律航法測位によりそれぞれ現在の位置の測位を行い、その位置データをそれぞれ移動履歴データ記憶部22に記憶する(ステップS105)。より具体的には、CPU10は、GPS受信部14にコマンドを発行してGPS衛星からの送信データを受信して測位演算を行い、その演算結果である位置データを、図4に示されるような、GPS測位結果記録テーブルに記憶する。また、CPU10は、この測位演算の実行と同時に、自律航法制御処理部20に3軸地磁気センサ15の計測データ及び3軸加速度センサ16の計測データを送って相対的な位置変動データを生成させ、このデータを前段の位置データに加算して現在の位置データを算出し、図3に示されるような、自律航法測位結果記録テーブルに記憶する。なお、GPS衛星からの送信データが得られない等によってGPS測位による位置データが得られないときは、自律航法測位による位置データのみ取得される。なお、ステップS104において監視されるT1時間は、GPS測位と自律航法測位の測位間隔であり、例えば、1秒に設定されているが、他の時間に設定されていてもよい。
【0031】
次に、CPU10は、移動履歴データ記憶部22の自律航法測位結果記録テーブルからT2時間前に取得された自律航法測位による位置データを読み出し、ステップS105において取得された自律航法測位による測位位置との間の移動変動量から移動ベクトルを算出する(ステップS106)。ここで、T2時間は、GPS測位と自律航法測位の移動ベクトルを算出する位置データの間隔であり、例えば、10秒に設定されているが、他の時間に設定されていてもよい。また、移動ベクトルの始点として使用するために読み出される位置データは、T2時間前に取得されたものに限らず、所定回数前に取得された位置データとしてもよい。また、前回取得された位置データとしてもよい。
【0032】
また、CPU10は、移動履歴データ記憶部22のGPS測位結果記録テーブルからT2時間前に取得されたGPS測位による位置データを読み出し、ステップS105において取得されたGPS測位による測位位置との間の移動変動量から移動ベクトルを算出する(ステップS107)。
【0033】
そして、CPU10は、ステップS106において算出された移動ベクトルと、ステップS107において算出された移動ベクトルとを比較し(ステップS108)、両者が一致しているか否かを判定する(ステップS109)。なお、ステップS109において、移動ベクトルの誤差が一定誤差範囲内であるか否かを判定するようにしてもよい。具体的には、例えば、自律航法による移動ベクトルを基準とした上述の一定誤差の範囲を、自律航法による移動ベクトルとGPS測位に基づいて算出される移動ベクトルの各始点を揃えた上で、自律航法測位による移動ベクトルの終点を中心とした所定距離の半径の範囲の円内に、GPS測位による測位位置との間の移動変動量から算出した移動ベクトルの終点が入っているか否かを判定するようにしてもよい。
【0034】
CPU10は、ステップS109において、移動ベクトルが一致していると判定したときは(ステップS109:Y)、ステップS105において取得したGPS測位による位置データが正確なものとして、その位置データを、GPS測位が適用されたことを示すフラグとともに、移動履歴データ記憶部22の移動履歴データテーブルに記憶した後(ステップS110)、ステップS104に移行する。このとき、自律航法測位結果記録テーブルに記憶される位置データを0にリセットするようにしてもよい。一方、CPU10は、移動ベクトルが一致していると判定しないときは(ステップS109:N)、ステップS105において取得したGPS測位による位置データが正確なものではないとして、前回移動履歴データテーブルに記憶された位置データに今回の自律航法測位結果を加算し、その値を、GPS測位が適用されなかったことを示すフラグとともに、移動履歴データテーブルに記憶した後(ステップS111)、ステップS104に移行する。
【0035】
ここで、移動履歴データテーブルは、図5に示されるようなデータ構造を有しているデータテーブルである。すなわち、移動履歴データテーブルは、位置データを取得した時刻と、GPS測位によって取得された位置データ又は自律航法測位結果に基づいて算出された位置データと、GPS測位によって取得された位置データであるか否かを示すデータとが記憶されている。
【0036】
このように、少なくとも2点間におけるGPS測位による位置データに基づく移動ベクトルと自律航法測位による位置データに基づく移動ベクトルとが一致した場合には、GPS測位による位置データの信頼性が高いものと推定することができるので、本実施形態では、このときにおけるGPS測位による位置データを移動履歴として記憶し、信頼性の低いものと推定されるGPS測位による位置データについては、移動履歴として採用せず、前回記憶された信頼性の高いGPS測位による位置データと自律航法測位の測位結果とによって位置データ算出し、これを移動履歴として記憶することで、常に信頼性の高い位置データを履歴として記憶させることができる。
【0037】
以上のように構成された撮像装置1において、測位が行われる動作について、図3〜図8を参照しながら説明する。
【0038】
図3は、撮像装置1において取得された自律航法測位による測位結果が記憶される自律航法測位結果記録テーブルであり、図4は、撮像装置1において取得されたGPS測位による測位結果が記憶されるGPS測位結果記録テーブルである。
なお、本実施形態においては、自律航法測位による測位結果及びGPS測位による測位結果を全て記憶するようにしているが、移動ベクトルを求めるために必要な分だけ記憶するようにしてもよい。
【0039】
図3及び図4に示されるテーブルには、一連の位置データに付随して、位置データの取得順序を表すインデックスナンバー「No.」と、位置データが取得されたときの時刻を表す時刻データと、T2時間前に取得された位置データとの移動変動量を示す移動ベクトルと、移動ベクトルの始点と終点を示すインデックスナンバー等がそれぞれ登録されるようになっている。また、図4に示されるGPS測位結果記録テーブルには、さらに、移動ベクトルの比較結果が登録されるようになっている。この比較結果は、例えば、GPS測位によって信頼性の高い位置データが30分以上取得できない場合、その間は、自律航法測位に基づく位置データの算出が行われるが、長時間自律航法測位を行うと、自律航法測位による誤差が大きくなってしまう。そのため、GPS測位によって取得された位置データを検証して信頼性の高いデータを抽出し、これに基づいて事後的に位置データの補正を行うなど、様々な場面で利用することができる。
【0040】
まず、図3に示されるように、時刻t0において自律航法測位による位置データ「X:0.0,Y:0.0」が取得される。また、このとき、図4に示されるように、GPS測位による位置データとして「X:280.0,Y:180.0」が取得される。なお、時刻t0〜t3におけるT2時間前の各位置データについては取得済みであって、移動ベクトルも一致していると判定されているものとする。また、GPS測位による測位開始直後は、適切なGPS衛星からの送信データを受信することができない場合が多く、GPS測位による測位結果の信頼性は低いので、例えば、電源ON直後などのGPS測位が不安定な状態においては、移動ベクトルが一致と判定するまでは、自律航法測位による仮の位置データにて測位結果を記憶しておき、移動ベクトルが一致と判定したときに取得されたGPS測位による位置データに基づいて、仮の位置データに対して補正することにより、真の位置データに変更するようにしてもよい。
【0041】
そして、T1時間毎に、自律航法測位による位置データが取得され、取得した位置データとT2時間前の位置データとに基づいて移動ベクトルが算出され、その結果が記憶される。また、同様に、T1時間毎に、GPS測位による位置データが取得され、取得した位置データとT2時間前の位置データとに基づいて移動ベクトルが算出され、その結果が記憶される。このようにして記憶された自律航法測位による移動軌跡と移動ベクトルを図6に示す。また、GPS測位による移動軌跡と移動ベクトルを図7に示す。
【0042】
そして、算出された各移動ベクトルが比較判定され、その判定結果がGPS測位結果記録テーブルに記憶される。また、その判定結果に応じて、GPS測位による位置データ又は前回記憶された位置データに自律航法測位による測位結果を加算して求めた位置データが、図5に示される、移動履歴データテーブルに記憶される。なお、移動履歴データテーブルに記憶された位置データに基づく移動軌跡を図8に示す。
【0043】
図3及び図4に示された例によれば、時刻t6までは、図6及び図7において実線にて示されるt0−t4の移動ベクトルとt1−t5の移動ベクトルとt2−t6の移動ベクトルのように、自律航法による移動ベクトルとGPS測位に基づく移動ベクトルとが一致しているため、移動履歴データテーブルに記憶される位置データはGPS測位による位置データとなるが、時刻t7及びt8では、マルチパスの影響により、GPS測位による位置データが、実際の位置とは大きくかけ離れてしまうため、図6及び図7において鎖線にて示されるt3−t7の移動ベクトルとt4−t8の移動ベクトルのように、GPS測位による位置データに基づいて算出される位置ベクトルと、自律航法測位による位置データ基づいて算出される位置ベクトルとの差が大きく異なるようになる。その結果、時刻t7及びt8では、GPS測位による位置データの信頼性は低いものと判断され、移動履歴データテーブルには、前回記憶された位置データに自律航法測位による測位結果を加算して求めた位置データが記憶される。また、時刻t9以降については、GPS測位が不能となったため、移動ベクトルを算出することができず、このような場合にも、前回記憶された位置データに自律航法測位による測位結果を加算して求めた位置データが移動履歴データテーブルに記憶される。
【0044】
このように、本実施形態によれば、移動履歴データテーブルには、時刻t6まではGPS測位による信頼性の高い位置データが記憶され、時刻t7以降は、GPS測位による信頼性の高い位置データが得られた時刻t6における位置データに、自律航法測位による測位結果を加算して得られた位置データが記憶されるので、図8に示されるように、撮像装置1を所持するユーザが実際に移動した軌跡と同じ軌跡を表すことができ、位置データの信頼性を向上させることができる。
【0045】
次に、本実施形態における測位処理の別の形態について、図9を参照しながら説明する。
【0046】
CPU10は、図9に示されるようにステップS201〜ステップS206の処理を実行する。なお、ステップS201〜ステップS206の処理内容は、図2に示される測位処理のステップS101〜S106と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
次に、CPU10は、ステップS206において算出された自律航法測位による移動ベクトルが所定距離以上であるか否かを判定する(ステップS207)。ここで、移動ベクトルの距離判定を行うのは、GPS測位による誤差の範囲を考慮したものである。例えば、GPS測位による誤差がおよそ10mである場合には、判定の距離の閾値を10m以上とする。
【0048】
CPU10は、ステップS207において、移動ベクトルが所定距離以上であると判定しないときは、当該移動ベクトルは誤差の影響を受けるため、正しく比較できるものではないと判断して、今回のGPS測位結果を採用せず、ステップS211の処理を実行する。一方、CPU10は、移動ベクトルが所定距離以上であると判定したときは、ステップS208の処理に移行する。
【0049】
その後、CPU10は、ステップS208〜ステップS212の処理を実行する。なお、ステップS208〜ステップS212の処理内容は、図2に示される測位処理のステップS107〜ステップS111と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、3軸地磁気センサ15、3軸加速度センサ16及び自律航法制御処理部20は、位置変動量の計測(自律航法測位)を行う。そして、CPU10及びGPS受信部14は、位置データを測定(GPS測位)する。そして、移動履歴データ記憶部22は、位置データを記憶する。そして、CPU10は、GPS測位によって得られた少なくとも二以上の位置データに基づいて算出される移動ベクトルと、GPS測位によって得られた位置データとそれぞれ同時期に自律航法測位により得られた二以上の地点における移動ベクトルとをそれぞれ算出する。そして、CPU10は、算出された各移動ベクトルの差が所定範囲以内である場合には、GPS測位によって測定された位置データを移動履歴データ記憶部22に記憶するとともに、各移動ベクトルの差が所定範囲以内でない場合には、前回移動履歴データ記憶部22に記憶されたGPS測位によって測位された位置データを起点として自律航法測位による計測に基づいて算出された位置情報を移動履歴データ記憶部22に記憶する。その結果、実際に移動した軌跡と同じ軌跡を表すことができ、位置情報の精度を向上させることができる。
【0051】
また、本発明の実施形態によれば、CPU10は、GPS測位によって測位された位置データを、各移動ベクトルの差が所定範囲以内であるか否かの判断結果と対応付けて移動履歴データ記憶部22に記憶する。その結果、GPS測位によって測位された位置データの良否を後に検証し、その結果に基づいて位置データを利用することができる等、ユーザの利便性の向上が図れる。
【0052】
また、本発明の実施形態によれば、CPU10は、何れか一方又は両方の移動ベクトルが所定の大きさ以上であることを条件として、各移動ベクトルの差が所定範囲以内であるか否かの判断を行う。その結果、移動ベクトルの対比判断において、GPS測位による誤差の影響を受けにくくすることができ、位置情報の精度を向上させることができる。
【0053】
また、本発明の実施形態によれば、CPU10は、GPS測位によって得られた時期が少なくとも所定時間間隔である二以上の位置データに基づいて移動ベクトルを算出する。その結果、その結果、移動ベクトルについてある程度の距離を得ることができ、移動ベクトルの対比判断において、GPS測位による誤差の影響を受けにくくすることができ、位置情報の精度を向上させることができる。
【0054】
なお、本発明の実施形態では、撮像装置に本発明の実施形態に係る測位装置を備える構成としたが、一般的なポータブルタイプのナビゲーション装置や移動体に据付型の測位装置に本発明の実施形態に係る測位装置を適用し、移動履歴を記憶するようにしてもよい。
【0055】
また、本発明の実施形態では、移動ベクトルの対比結果をGPS測位による位置データとともに記憶するようにしたが、移動ベクトルの対比結果を記憶しないようにしてもよい。
【0056】
また、本発明の実施形態では、例えば、移動ベクトルの起点となるGPS測位による位置データが実際の位置とは異なるものである場合、移動ベクトルの終点となるGPS測位による位置データが実際の位置とはほとんど異ならないものであったとしても、自律航法測位による位置データに基づいて算出された移動ベクトルとは大きく異なるため、GPS測位による位置データが移動履歴として採用されないこととなるが、移動ベクトルの終点となるGPS測位による位置データが信頼性の高いものであると認識できる場合には、当該GPS測位による位置データを移動履歴として採用するようにしてもよい。
【0057】
また、本発明の実施形態において、例えば、気圧センサ等を備えて、高さ方向の移動量を計測して高度の算出を行うようにしてもよい。
【0058】
また、本発明の実施形態では、自律航法測位の演算や位置データの補正処理を、自律航法制御処理部20や自律航法データ補正処理部21により実行させるようにしたが、これらの演算をCPU10のソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0059】
また、本発明の実施形態では、測位手段として、GPSを利用して測位を行う構成としたが、例えば、携帯電話の基地局との通信により測位を行う構成や、RFID(Radio Frequency Identification)などを用いて位置情報を外部から受信したり入力することで現在位置を確定する構成など、その他の種々の構成を適用することができる。
【0060】
また、本発明の実施形態では、相対的な位置変動の計測を行う移動計測手段として、3軸地磁気センサと3軸加速度センサとを例示したが、装置の天地の向きが一定となるものであれば、2軸の方位センサや2軸の加速度センサを用いることもできる。また、方位を求めるのに、ジャイロスコープなどを適用することもできる。さらに、車輪速センサを用いて移動速度を求めるようにしてもよい。また、本発明の実施形態では、取得される位置データを二次元の位置データとしているが、高さ方向の位置データを含めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 撮像装置
10 CPU
11 RAM
12 ROM
14 GPS受信部
15 3軸地磁気センサ
16 3軸加速度センサ
20 自律航法制御処理部
22 移動履歴データ記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置変動量の計測を行う移動計測手段と、
位置情報を測定可能な測位手段と、
前記位置情報を記憶する記憶手段と、
前記測位手段によって得られた少なくとも二以上の位置情報に基づく位置変動量と、前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に前記移動計測手段により得られた二以上の地点における相対的な位置変動量と、をそれぞれ算出し、該算出された各位置変動量の差が所定範囲以内である場合には、前記測位手段によって測定された位置情報を前記記憶手段に記憶するとともに、各位置変動量の差が所定範囲以内でない場合には、前回前記記憶手段に記憶された前記測位手段によって測位された位置情報を起点として前記移動計測手段による位置変動の計測に基づいて算出された位置情報を前記記憶手段に記憶する制御手段と、
を備えることを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記測位手段によって測位された位置情報を、各位置変動量の差が所定範囲以内であるか否かの判断結果と対応付けて前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記制御手段は、何れか一方又は両方の前記位置変動量が所定の大きさ以上であることを条件として、各位置変動量の差が所定範囲以内であるか否かの判断を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の測位装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記測位手段によって得られた時期が少なくとも所定時間間隔である二以上の位置情報に基づいて位置変動量を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の測位装置。
【請求項5】
位置変動量の計測を行う移動計測手段と、位置情報を測定可能な測位手段と、前記位置情報を記憶する記憶手段とを用いて、測定された位置情報の記憶を行う測位方法において、
前記測位手段によって得られた少なくとも二以上の位置情報に基づく位置変動量と、前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に前記移動計測手段により得られた二以上の地点における相対的な位置変動量と、をそれぞれ算出し、該算出された各位置変動量の差が所定範囲以内である場合には、前記測位手段によって測定された位置情報を前記記憶手段に記憶するとともに、各位置変動量の差が所定範囲以内でない場合には、前回前記記憶手段に記憶された前記測位手段によって測位された位置情報を起点として前記移動計測手段による位置変動の計測に基づいて算出された位置情報を前記記憶手段に記憶する制御ステップを備えることを特徴とする測位方法。
【請求項6】
位置変動量の計測を行う移動計測手段と、位置情報を測定可能な測位手段とから測定結果をそれぞれ入力し、該入力された位置情報の記憶手段への記憶を行うコンピュータを、
前記測位手段によって得られた少なくとも二以上の位置情報に基づく位置変動量と、前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に前記移動計測手段により得られた二以上の地点における相対的な位置変動量と、をそれぞれ算出し、該算出された各位置変動量の差が所定範囲以内である場合には、前記測位手段によって測定された位置情報を前記記憶手段に記憶するとともに、各位置変動量の差が所定範囲以内でない場合には、前回前記記憶手段に記憶された前記測位手段によって測位された位置情報を起点として前記移動計測手段による位置変動の計測に基づいて算出された位置情報を前記記憶手段に記憶する制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
位置変動量の計測を行う移動計測手段と、
位置情報を測定可能な測位手段と、
前記位置情報を記憶する記憶手段と、
前記測位手段によって得られた少なくとも二以上の位置情報に基づく位置変動量と、前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に前記移動計測手段により得られた二以上の地点における相対的な位置変動量と、をそれぞれ算出し、該算出された各位置変動量の差が所定範囲以内である場合には、前記測位手段によって測定された位置情報を前記記憶手段に記憶するとともに、各位置変動量の差が所定範囲以内でない場合には、前回前記記憶手段に記憶された前記測位手段によって測位された位置情報を起点として前記移動計測手段による位置変動の計測に基づいて算出された位置情報を前記記憶手段に記憶する制御手段と、
を備えることを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記測位手段によって測位された位置情報を、各位置変動量の差が所定範囲以内であるか否かの判断結果と対応付けて前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記制御手段は、何れか一方又は両方の前記位置変動量が所定の大きさ以上であることを条件として、各位置変動量の差が所定範囲以内であるか否かの判断を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の測位装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記測位手段によって得られた時期が少なくとも所定時間間隔である二以上の位置情報に基づいて位置変動量を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の測位装置。
【請求項5】
位置変動量の計測を行う移動計測手段と、位置情報を測定可能な測位手段と、前記位置情報を記憶する記憶手段とを用いて、測定された位置情報の記憶を行う測位方法において、
前記測位手段によって得られた少なくとも二以上の位置情報に基づく位置変動量と、前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に前記移動計測手段により得られた二以上の地点における相対的な位置変動量と、をそれぞれ算出し、該算出された各位置変動量の差が所定範囲以内である場合には、前記測位手段によって測定された位置情報を前記記憶手段に記憶するとともに、各位置変動量の差が所定範囲以内でない場合には、前回前記記憶手段に記憶された前記測位手段によって測位された位置情報を起点として前記移動計測手段による位置変動の計測に基づいて算出された位置情報を前記記憶手段に記憶する制御ステップを備えることを特徴とする測位方法。
【請求項6】
位置変動量の計測を行う移動計測手段と、位置情報を測定可能な測位手段とから測定結果をそれぞれ入力し、該入力された位置情報の記憶手段への記憶を行うコンピュータを、
前記測位手段によって得られた少なくとも二以上の位置情報に基づく位置変動量と、前記測位手段によって得られた位置情報とそれぞれ同時期に前記移動計測手段により得られた二以上の地点における相対的な位置変動量と、をそれぞれ算出し、該算出された各位置変動量の差が所定範囲以内である場合には、前記測位手段によって測定された位置情報を前記記憶手段に記憶するとともに、各位置変動量の差が所定範囲以内でない場合には、前回前記記憶手段に記憶された前記測位手段によって測位された位置情報を起点として前記移動計測手段による位置変動の計測に基づいて算出された位置情報を前記記憶手段に記憶する制御手段として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−133381(P2011−133381A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293833(P2009−293833)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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