説明

測定装置、成型装置、転写装置および測定方法

【課題】感圧紙等のテスト部材を用いることにより、型の姿勢を従来よりも正確にしかも効率よく測定する。
【解決手段】第1の部材7の平面に対する第2の部材の平面5の傾きを測定する測定装置において、薄い板状に形成され圧力を受けたときに前記圧力の大きさに応じて色合いが変化するテスト部材であって前記各部材の各平面で押圧されて色合いが変化したテスト部材TPの色合いを画像処理することによって、前記第1の部材の平面に対する前記第2の部材の平面の傾きを算出する算出手段17を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、成型装置、転写装置および測定方法に係り、特に、1つの面に対する他の1つの面の傾きを測定するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子線描画法などで石英基板等に超微細な転写パターンを形成して型(テンプレート、スタンパ)を作製し、被成型品として被転写基板表面に形成されたレジスト膜に前記型を所定の圧力で押圧して、当該型に形成された転写パターンを被成型品に転写するナノインプリント技術が研究開発されている(非特許文献1参照)。
【0003】
転写装置を用いて上述した転写をするに際して、型を被成型品に押圧するときに両者の表面(微細な転写パターンが形成されている型の平面状の部位と被成型品の平面状の部位)が密接かつ均一に接触し、精密な型の形状(微細な転写パターン)が被成型品に転写されるように、型の姿勢(被成型品に対する型の姿勢)を微調整する制御を行う必要がある。
【0004】
このような微調整を行う際に用いられる方法として、押圧(型による被成型品の押圧)時の圧力分布データを参照する方法がいくつか存在する。これらの方法のうちでよく用いられる方法として、型を感圧紙に所定の圧力で押し付けて、色が変化した感圧紙の色合いの分布状況を目視し、この目視の結果に基づきオペレータが手動で型の姿勢を調節する方法がある。
【0005】
感圧紙は圧力に応じた色合いのデータを表示するので(受けた圧力値に応じ色合いが変化するので)、この色合いの分布状況から、型がどちらの方向に傾いているのかをオペレータが判断することができ、型の姿勢を調整することができるのである。
【非特許文献1】Precision Engineering Journal of the International Societies for Precision Engineering and Nanotechnology
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述した従来の型の姿勢の調節方法(マニュアル方式の調節方法)では、人(オペレータ)の目視データに依存しながらカットアンドトライ的に何度か試行錯誤し、型の姿勢を調節することになる。
【0007】
このようなカットアンドトライ的な調整方法は、研究装置では採用することができるとしても、実際の製品や半製品の生産装置(生産ライン)では採用することが困難である。実際の生産ラインでは、生産効率を上げることが重要であり、また、オペレータが変わった場合に、調節のバラツキが発生し(型の姿勢を正確に調節することができない事態が発生し)、製品等の品質にバラツキが発生する場合があるからである。
【0008】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、感圧紙等のテスト部材を用いることにより、型の姿勢を従来よりも正確にしかも効率よく測定することができる測定装置、成型装置、転写装置および測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、第1の部材の平面に対する第2の部材の平面の傾きを測定する測定装置において、薄い板状に形成され圧力を受けたときに前記圧力の大きさに応じて色合いが変化するテスト部材であって前記各部材の各平面で押圧されて色合いが変化したテスト部材の色合いを画像処理することによって、前記第1の部材の平面に対する前記第2の部材の平面の傾きを算出する算出手段を有する測定装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の測定装置において、前記色合いに応じた圧力の値を記憶している記憶手段を備え、前記算出手段は、押圧されて色合いが変化した部分を多数の小さな領域に分割し、これらの各領域における色合いを複数のクラスに分類し、この分類されたクラスに属する各小領域における重心の位置を各クラス毎に求め、これらの求めた各重心の回帰直線である第1の回帰直線を求め、この求めた第1の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の傾斜方向を求める手段であり、また、前記算出手段は、前記第1の記憶手段を用いて、前記各重心における圧力値を求め、これらの圧力値の回帰直線である第2の回帰直線を求め、この求めた第2の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の交差角度を求める手段である測定装置である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、第1の部材の平面をこの第1の平面に対向している第2の部材の平面で直接的にまたは各平面の間に板状の物体を挟み込んで間接的に押圧する構成を備えた成型装置において、薄い板状に形成され圧力を受けたときに前記圧力の大きさに応じて色合いが変化するテスト部材を、前記各部材同士がお互いに離反しているときに前記各部材の間に挿入するテスト部材設置手段と、前記各部材の各平面で押圧されて色合いが変化したテスト部材の色合いを画像処理することによって、前記第1の部材に対する前記第2の部材の平面の傾きを算出する算出手段とを有する成型装置である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の成型装置において、前記色合いに応じた圧力の値を記憶している記憶手段を備え、前記算出手段は、押圧されて色合いが変化した部分を多数の小さな領域に分割し、これらの各領域における色合いを複数のクラスに分類し、分類されたクラスに属する各小領域における重心を各クラス毎に求め、これらの求めた各重心の回帰直線である第1の回帰直線を求め、この求めた第1の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の傾斜方向を求める手段であり、また、前記算出手段は、前記記憶手段を用いて、前記各重心における圧力値を求め、これらの圧力値の回帰直線である第2の回帰直線を求め、この求めた第2の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の交差角度を求める手段である成型装置である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の成型装置において、前記各部材の各平面で前記テスト部材を挟み込む場合、前記テスト部材と前記平面との間に板状の弾性体を挿入する弾性体挿入手段を有する成型装置である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の成型装置において、前記算出手段の算出結果に応じて、前記第2の部材に対する前記第1の部材の姿勢を修正する姿勢修正手段を有する成型装置である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、被成型品を保持する平面を備えた被成型品保持体と、前記被成型品保持体に対して接近もしくは離反する方向で前記被成型品保持体に対して相対的に移動すると共に、微細な転写パターンが形成されている型を保持する平面を備えた型保持体と、前記型保持体を前記被成型品保持体に対して相対的に移動するための駆動手段と、薄い板状に形成され圧力を受けたときに前記圧力の大きさに応じて色合いが変化するテスト部材を、前記被成型品保持体と前記型保持体との間に挿入し、また、前記被成型品保持体と前記型保持体との間から抜き取るテスト部材設置手段と、前記被成型品保持体の平面と前記型保持体の平面とで押圧されて色合いが変化したテスト部材の色合いを画像処理することによって、前記被成型品保持体の平面に対する前記型保持体の平面の傾きを算出する算出手段とを有する転写装置である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の転写装置おいて、前記色合いに応じた圧力の値を記憶している記憶手段を備え、前記算出手段は、押圧されて色合いが変化した部分を多数の小さな領域に分割し、これらの各領域における色合いを複数のクラスに分類し、分類されたクラスに属する各小領域における重心を各クラス毎に求め、これらの求めた各重心の回帰直線である第1の回帰直線を求め、この求めた第1の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の傾斜方向を求める手段であり、また、前記算出手段は、前記記憶手段を用いて、前記各重心における圧力値を求め、これらの圧力値の回帰直線である第2の回帰直線を求め、この求めた第2の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の交差角度を求める手段である転写装置である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項7または請求項8に記載の転写装置において、前記テスト部材設置手段で前記各部材の各平面で前記テスト部材を挟み込む場合、板状の弾性体を前記テスト部材と前記平面との間に挿入する弾性体挿入手段を有する転写装置である。
【0018】
請求項10に記載の発明は、第1の部材の平面に対する第2の部材の平面の傾きを測定する測定方法において、薄い板状に形成され圧力を受けたときに前記圧力の大きさに応じて色合いが変化するテスト部材を、前記各部材同士がお互いに離反しているときに前記各部材の間に挿入する挿入段階と、前記挿入段階で前記テスト部材を挿入した後に、前記各部材の各平面により前記テスト部材を所定の圧力で押圧する押圧段階と、前記押圧段階で押圧されて色合いが変化したテスト部材の色合いを画像処理することによって、前記第1の部材の平面に対する前記第2の部材の平面の傾きを算出する算出段階とを有する測定方法である。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の測定方法において、前記算出段階は、押圧されて色合いが変化した部分を多数の小さな領域に分割し、これらの各領域における色合いを複数のクラスに分類し、分類されたクラスに属する各小領域における重心を各クラス毎に求め、これらの求めた各重心の回帰直線である第1の回帰直線を求め、この求めた第1の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の傾斜方向を求める段階であり、また、前記算出段階は、前記色合いに応じた圧力の値を記憶している記憶手段を用いて、前記各重心における圧力値を求め、これらの圧力値の回帰直線である第2の回帰直線を求め、この求めた第2の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の交差角度を求める段階である測定方法である。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項10または請求項11に記載の測定方法において、前記挿入段階は、前記各部材の間に前記テスト部材を挿入するときに、板状の弾性体を前記テスト部材と前記各平面との間に挿入する段階であり、前記押圧段階は、前記各部材の各平面により前記テスト部材と前記弾性体とを所定の圧力で押圧する段階である測定方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、感圧紙等のテスト部材を用いることにより、型の姿勢を従来よりも正確にしかも効率よく測定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る転写装置1の概略構成を示す正面図である。
【0023】
なお、本件明細書においては、説明の便宜のために、水平方向の一方向をX軸方向とし、水平方向の他の一方向であって前記X軸方向に垂直な方向をY軸方向とし、鉛直方向をZ軸方向とする。
【0024】
転写装置(ナノインプリント装置)1は、従来の転写装置と同様に、型Mの表面に形成された微細なパターン(たとえば凹凸パターン)を被成型品Wの表面に転写する装置であり、ベースフレーム3と、型Mを保持すると共にベースフレーム3に移動自在に設けられた型保持体5と、被成型品Wを保持する被成型品保持体7とを備えて構成されている。型保持体5を移動する駆動手段の例であるアクチュエータ(たとえば、サーボモータ)9の回転出力軸が回転することによって、ボールネジ11のナットが軸CL1を中心にして回転し、ボールネジ11のネジ軸が型保持体5と共に被成型品保持体7に対して接近・離反する方向(Z軸方向)に移動するようになっている。
【0025】
また、転写装置1には、型保持体5と被成型品保持体7との間の距離を計測する計測手段が設けられている。具体的には、サーボモータ9にロータリエンコーダ13が設けられており、ボールネジ11のナット(サーボモータ9の回転出力軸)の回転角度を検出し、型保持体5の位置を計測することができるようになっている。さらに、転写装置1には、型保持体5(型M)で被成型品保持体7(被成型品W)を押圧する押圧力を測定するためのロードセル(図示せず)のごとき押圧力検出手段が設けられている。
【0026】
そして、制御装置2の制御の下、ロータリエンコーダ13や前記ロードセルの検出結果によってフィードバック制御を行いつつ、型保持体5を適宜下方に移動し型Mを被成型品Wに適宜の圧力で接触させた後、たとえば、UVインプリント法の場合にあっては、図示しない紫外線発生装置が生成した紫外線(UV光)を矢印で示すように被成型品Wに照射し、転写を行っている。
【0027】
なお、型保持体5は、たとえばリニアガイドベアリング(図示せず)を介してベースフレーム3にZ軸方向で移動自在に設けられている。ボールネジ11のナットは、ベアリング15を介してベースフレーム3に回転自在に設けられており、ボールネジ11のナットは、サーボモータ9の回転出力軸にカップリング等を介して一体的に接続されている。また、ボールネジ11のネジ軸は、ボールネジ11のナットに係合していると共に、下端が型保持体5に一体的に設けられている。
【0028】
なお、被成型品保持体7は、ベースフレーム3に一体的に設けられているが、被成型品保持体7が制御装置2の制御の下、サーボモータ等のアクチュエータによってX軸方向やY軸方向に適宜移動位置決め自在な構成であってもよい。
【0029】
ここで、被成型品Wや型Mについて詳しく説明する。
【0030】
転写がなされた被成型品Wは、CD−ROM、DVD−ROMや液晶表示装置のバックライトの導光板等として使用されるものである。また、被成型品Wは、たとえば円形状や矩形状な平板状に形成されており、また、たとえばポリカーボネイト等の樹脂で構成され所定の厚さを備えた基材と、この基材の厚さ方向の一方の面に設けられた被成型層とで構成されている。被成型層としては、たとえば、紫外線硬化樹脂(UV硬化樹脂)または熱硬化性樹脂等が考えられる。
【0031】
型Mは、たとえば、石英ガラスで円形状や矩形状な平板状に構成されており、厚さ方向の一方の面(平面状の面)には、微細な転写パターンが形成されている。より詳しくは、型Mの下面(型Mを転写装置1に設置したときの下面)側には複数の微細な凹凸部が形成されている。なお、転写パターンの深さ(凸部に対する凹部の深さ)は、型Mの種類によって異なるが、数10nm(ナノメートル)〜数10μm(マイクロメートル)になっている。
【0032】
型保持体5の下部には、ほぼ水平な平面が形成されており、この平面に型Mが一体的に取り付けられるように(保持されるように)なっている。また、被成型品保持体7の上部にも、ほぼ水平な平面が形成されており、この平面に被成型品Wが一体的に取り付けられるようになっている。そして、型Mの下面(微細な転写パターンが形成されほぼ水平方向に展開している面)と、被成型品Wの上面(被成型層が形成されほぼ水平方向で型Mの下面とほぼ平行に展開している基材の上面)とが互いに対向するようになっている。
【0033】
また、転写装置1には、テスト部材TP(図3等参照)を設置するためのテスト部材設置手段16と、被成型品保持体7の平面(上面)に対する型保持体5の平面(下面)の僅かな傾きを算出する算出手段17とが設けられている。
【0034】
テスト部材TPは、薄い板状に形成されており、厚さ方向で挟み込まれて厚さ方向の圧力を受けたときに前記圧力の大きさに応じて色合いが変化するものである。たとえば、圧力を受けていない場合は白色であり、圧力が大きくなるにしたがってピンクから赤というように色の濃淡が変化する感圧紙のごとき部材である。
【0035】
なお、色の濃淡だけでなく、圧力の大きさに応じて色調が変化するような部材であってもよい。すなわち、たとえば、圧力を受けていない状態から圧力が大きくなるにしたがって、白色、水色、青色、緑色、黄色、橙色、赤色の順に中間色を含んで連続的に色が変化するような部材であってもよい。
【0036】
テスト部材設置手段16によって、被成型品保持体7と型保持体5とがお互いに離反しているときに、テスト部材TPを、被成型品保持体7と型保持体5との間に挿入し、また、被成型品保持体7と型保持体5との間から抜き取ることができるようになっている。具体的には、ロボット(たとえば制御装置2の制御の下で稼動するロボット)によって、テスト部材TPを挿入しまたは抜き取ることができるようになっている。なお、テスト部材設置手段16を設けることなく、オペレータが手動によりテスト部材TPを挿入しまたは抜き取るようにしてもよい。
【0037】
また、算出手段17によって、テスト部材TPの色合いを画像処理し、被成型品保持体7の平面に対する型保持体5の平面の僅かな傾きを算出することができるようになっている。なお、テスト部材TPは、テスト部材設置手段16で被成型品保持体7と型保持体5との間に挿入され被成型品保持体7の平面と型保持体5の平面で押圧されて色合いが変化したものである。
【0038】
また、転写装置1には、算出手段17の算出結果に応じ、被成型品保持体7の平面に対して型保持体5の平面が平行になるように、被成型品保持体7に対する型保持体5の姿勢を修正する姿勢修正手段19が設けられている。
【0039】
ここで、図2(図1におけるII部の拡大図)を用い、姿勢修正手段19について例を掲げて説明をする。
【0040】
型保持体5は、上部型保持体21と下部型保持体23とを備えて構成されており、下部型保持体23は、半径がR1の凸状の球面状の面を上部に備えており、上部型保持体21は、半径がR1の凹状の球面状の面を下部に備えている。
【0041】
そして、凹状の球面状の面と凸状の球面状の面とがお互いにたとえば滑り対隅をなして係合していることにより、上部型保持体21に対して下部型保持体23の姿勢(X軸まわりにおける下部型保持体23の僅かな回動角度、Y軸まわりにおける下部型保持体23の僅かな回動角度)が変化するようになっている。なお、凹状凸状の球面状の面の中心Oは、下部型保持体23の平面状の下面の中心とほぼ一致している。
【0042】
また、圧電素子を用いたアクチュエータ25によって、上部型保持体21に対する下部型保持体23の姿勢を調整することができるようになっている。アクチュエータ25の本体部27は、上部型保持体21に一体的に設けられており、アクチュエータ25の出力軸29の先端部は、下部型保持体23に一体的に設けられている。アクチュエータ25の出力軸29は、図2で示した矢印AR1の方向に伸縮自在になっている。なお、矢印AR1の方向は、中心Oを中心とした半径R2(前記半径R1よりも僅かに小さい半径)の円(球)の接線方向とほぼ一致している。
【0043】
また、図2ではアクチュエータ25は1つしか描かれていないが、実際には3つのアクチュエータ25が設けられており、各アクチュエータ25は、前記軸CL1とほぼ一致している軸CL2を中心にした円(XY平面に描かれる円)の円周を3等配する位置に設けられている。
【0044】
なお、圧電素子を用いたアクチュエータ25に代えて、静電アクチュエータやマイクロモータ等の精密な駆動が可能なアクチュエータを採用してもよい。
【0045】
また、図3(テスト部材TPを押圧する態様を示す図)に示すように、制御装置2は、被成型品Wを保持していない被成型品保持体7の上面と、型Mを保持していない型保持体5の下面とがお互いに離れているときに、テスト部材設置手段16により被成型品保持体7と型保持体5との間にテスト部材TPを挿入し(図3(a)参照)、この挿入後に、サーボモータ9により型保持体5を被成型品保持体7に近づけて所定の圧力でテスト部材TPを挟み込んで、型保持体5の平面(下面)と被成型品保持体7の平面(上面)とでテスト部材TPを押圧するようになっている(図3(b)参照)。
【0046】
なお、図3(a)、(b)では、型保持体5と被成型品保持体7とで、テスト部材TPを直接挟み込んでいるが、型保持体5に型Mを設置した態様、または、被成型品保持体7に被成型品W(被成型層が設けられていないことが望ましい)を設置した態様、または、型保持体5に型Mを設置しかつ被成型品保持体7に被成型品Wを設置した態様で、テスト部材TPを挟み込んでもよい。
【0047】
また、制御装置2は、前記押圧後(図3(b)参照)に、サーボモータ9により型保持体5を被成型品保持体7から離して押圧されたテスト部材TPをテスト部材設置手段16により被成型品保持体7と型保持体5との間から抜き取るようになっている(図3(c)参照)。
【0048】
この抜き取ったテスト部材TPを用いて、算出手段17で被成型品保持体7の平面に対する型保持体5の平面の傾きを算出し、この算出結果に応じ、制御装置2の制御の下、姿勢修正手段19で被成型品保持体7の上面に対して型保持体5の下面が平行にすべく、被成型品保持体7に対する型保持体5の姿勢を修正するようになっている。
【0049】
なお、転写装置1では、型保持体5が移動するが、型保持体5に代えてまたは加えて、被成型品保持体7が移動してもよい。すなわち、被成型品保持体7に対して型保持体5が相対的に移動する構成になっていればよい。
【0050】
ここで、算出手段17について詳しく説明する。
【0051】
算出手段(算出装置)17は、たとえば、画像処理装置31に設けられており、押圧されて色合いが変化した部分を多数の小さな領域に分割し、これらの各領域における色合いをたとえば量子化して複数のクラスに分類し、分類されたクラスに属する各小領域における重心を各クラス毎に求め、これらの求めた各重心の回帰直線である第1の回帰直線を求め、この求めた第1の回帰直線から被成型品保持体7の上面に対する型保持体5の下面の傾斜方向を求めるようになっている。
【0052】
また、算出手段17は、記憶手段(図示せず)を用いて、前記各重心における圧力値を求め、これらの圧力値の回帰直線である第2の回帰直線を求め、この求めた第2の回帰直線から被成型品保持体7の上面に対する型保持体5の下面の交差角度を求めるようになっている。前述した傾斜方向と前述した交差角度とが明らかになれば、被成型品保持体7の上面に対する型保持体5の下面の傾きが明らかになる。
【0053】
前記記憶手段は、前記色合いに応じた圧力の値を記憶している記憶装置であり、たとえば、図1に示す画像処理装置31に設けられている。また、前記記憶手段は、量子化された色合いのクラスに対応する圧力の大きさを、各クラス毎に記憶しているものである。たとえば、色合いを、「白色」、「薄いピンク色」、「ピンク色」・・・というようなクラスに分類した際、白色に対応する圧力が、「0」MPaであり、薄いピンク色に対応する圧力がたとえば「0.1」MPaであり、ピンク色に対応する圧力がたとえば「0.2」MPaであるというようにして記憶している。
【0054】
算出手段17についてさらに詳しく説明する。なお、この説明においては、テスト部材TPの変色領域(押圧領域)の形態が円形状であるものとして説明するが、変色領域は矩形状等他の形状であってもよい。
【0055】
図4は、テスト部材TPにおける実際の変色の形態を示す図であり、図5は、図4に示すものを小領域に分割してクラス分けした状態を示す図であり、図6は、前述した第1の回帰直線G1を示す図であり、図7は、前述した第2の回帰直線G2を示す図である。
【0056】
たとえば、テスト部材設置手段16によって、テスト部材TPが画像処理装置31のスキャナ(カメラでもよい)に設置されるようになっている。この設置に際しては、第1の回帰直線G1から被成型品保持体7の上面に対する型保持体5の下面の傾斜方向を求める必要があるので、前記変色領域の姿勢(Z軸回りの回動位置)をはっきりしておく必要がある。すなわち、前記変色領域がZ軸を中心にして回動しないようにする等、前記変色領域が形成されたテスト部材TPを単に平行移動して前記スキャナ設置する必要がある。
【0057】
なお、テスト部材設置手段16に代えて、別途設けた装置を用いて前述した設置を行ってもよいし、オペレータが手動で前述した設置を行ってもよい。
【0058】
前述した設置を行った後に、図4に示す円形の変色領域が、スキャナによって画像処理装置31に読み込まれるようになっている。
【0059】
そして、画像処理装置31は、読み込まれた画像データを、図5(xy平面)に示すように、多数の小さい矩形な領域に分割するようになっている。なお、図5から理解できるように分割された各小領域はお互いに隣接している。また、xy平面の原点は、テスト部材TPの円形の変色領域のたとえば左上に存在しており、x軸は、円形の変色領域の上端に接触しており、y軸は、円形の変色領域の左端に接触している。
【0060】
続いて、分割された各小領域を、色合いに応じて10クラス程度のクラス分けするようになっている。なお、図5では、C1〜C6の6クラスにクラス分けされている。次に、各クラスの重心P1〜P6の位置(x座標値、y座標値)を求めるようになっている。
【0061】
これらの求められた各重心P1〜P6の位置(x座標値、y座標値)からxy平面上に存在する第1の回帰直線G1を求める。この第1の回帰直線G1はy=ax+bという直線式(図6では、y=0.59x+6.975)で表すことができる。この第1の回帰直線G1とxy平面のx軸(y軸でもよい)との交差角度ζ(図6では、30.54°になっている。)を求めることによって、被成型品保持体7の上面に対する型保持体5の下面の傾斜方向が求まるようになっている。すなわち、交差角度ζが、被成型品保持体7の上面に対する型保持体5の下面の傾斜方向になる。
【0062】
被成型品保持体7の上面に対する型保持体5の下面の傾斜方向は、型保持体5の下面上に存在する直線であって被成型品保持体7の上面に平行な直線と直交する方向に延びている直線の延伸方向(Z軸方向から見たときに得られる延伸方向)である。
【0063】
ところで、第1の回帰直線G1は、通常は、前記円形の変色領域の中心もしくはこの近傍を通過するのであるが、なんらかの要因で、第1の回帰直線G1が前記円形の変色領域の中心から大きく(所定の値以上)離れてしまう場合がある。このように大きく離れたときには、エラーが発生したものとして処理し、別のテスト部材TPを用いて算出手段17等を用いた再度の測定を行うようにしてもよい。
【0064】
また、第1の回帰直線G1をu軸とし、x軸とy軸とに直交して図5の原点から延びている軸をz軸とする。そして、前記記憶手段を用いて求められた各重心P1〜P6の圧力値を求め、これらの圧力値を示す各点Q1〜Q6を、図7に示すように、u軸とz軸とによって規定される平面状に配置するようになっている。これらの配置された各点(圧力値を示す各点)Q1〜Q6は、u座標値とz座標値とを備えている。圧力値を示す各点Q1〜Q6のu軸座標値は、前記原点からの距離(u軸方向における距離)を示し、圧力値を示す各点Q1〜Q6のz軸座標値は、圧力値を示している。なお、より精確には、たとえば、点Q3におけるu軸座標値は、図6に示す点P3を通り回帰直線G1に対して垂直な直線と、回帰直線G1との交点における値であり、点Q1等の他の点のu軸座標値も同様である。
【0065】
そして、u軸とz軸とによって規定される平面状に配置された各点Q1〜Q6を用いて第2の回帰直線G2を求めるようになっている。この第2の回帰直線G2はz=cu+dという直線式で表すことができる。この第2の回帰直線G2と前述したxy平面との交差角度φを求め、この交差角度φに対して所定の係数(予め実験して求められた係数)kを乗じることによって、被成型品保持体7の上面に対する型保持体5の下面の交差角度εを求めることができるようになっている。
【0066】
なお、型保持体5による押圧力が若干変化しても、前記交差角度φはほとんど変化せず、図7に示す第2の回帰直線G2が平行移動するだけである。
【0067】
姿勢修正手段19による修正は、たとえば、1つ目のアクチュエータ25の変位補正指令値をδ1(たとえばδ1=εR2sinζ)とし、2つ目のアクチュエータ25の変位補正指令値をδ2(たとえばδ2=εR2sin(ζ+2π/3))とし、3つ目のアクチュエータ25の変位補正指令値をδ3(たとえばδ3=εR2sin(ζ−2π/3))として行われるようになっている。
【0068】
次に、被成型品保持体7に対する型保持体5の姿勢を調整する際の動作を図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0069】
まず、被成型品Wを保持していない被成型品保持体7の上面と、型Mを保持していない型保持体5の下面とがお互いに離れているときに、被成型品保持体7と型保持体5との間にテスト部材TPを挿入する。この挿入後に、型保持体5を被成型品保持体7に近づけて所定の圧力で所定の時間テスト部材TPを挟み込んで型保持体5の平面と被成型品保持体7の平面とでテスト部材TPを押圧する。この押圧後に、型保持体5を被成型品保持体7から離して押圧されたテスト部材TPを抜き取り、この抜き取ったテスト部材TPの変色領域を、画像処理装置31のスキャナで2次元の配列データとして読み込む(S1)。
【0070】
続いて、配列データ(小領域に分割された各色合いデータ)を濃度別にクラス分けし(S3)、各クラス分けしたもの毎に重心P1、P2・・・を求め(S5)、この求めた重心から第1の回帰直線G1を求めて、被成型品保持体7の上面に対する型保持体5の下面の傾斜方向を求める(S7)。
【0071】
続いて、第1の回帰直線G1上の重心位置に対応した濃度の傾きφから第2の回帰直線G2を求め、被成型品保持体7の上面に対する型保持体5の下面の交差角度εを求める(S9)。
【0072】
続いて、ステップS7、ステップS9で求めた結果に応じ、被成型品保持体7に対する型保持体5の姿勢の修正を行う(S11)。このようにして、被成型品保持体7に対する型保持体5の姿勢の修正を行った後に、型Mを用いて被成型品Wへの転写を行う。
【0073】
転写装置1によれば、算出手段17によって、テスト部材TPを画像処理して、型保持体5(型M)の傾き(姿勢)を算出しているので、オペレータが型保持体5(型M)の傾きを目視等によって求める場合とこは異なり、型保持体5(型M)姿勢を正確に(バラツキ無く、均一、一様に)しかも効率よく測定することができる。
【0074】
また、一度補正をすれば、以後、この補正された姿勢を維持することができるので、被成型品Wの材質や形状に影響されず安定した転写(被成型品Wの成型)を行うことができる。
【0075】
なお、被成型品保持体7と型保持体5とでテスト部材TPを挟み込む場合、板状の弾性体ESをテスト部材TPと被成型品保持体7や型保持体5の平面の間に挿入し(図3(d)参照)また抜き取る弾性体挿入手段を設けた構成であってもよい。
【0076】
板状の弾性体ESは、テスト部材TPの押圧される面の総てが内側に入る大きさを備えており、板状の弾性体ESとテスト部材TPとは各厚さ方向でお互いが重ねられて、被成型品保持体7と型保持体5とに挟まれて押圧されるようになっている。
【0077】
弾性体ESを挿入すれば、型保持体5の傾きが大きい場合であっても、型保持体5の姿勢の測定を容易に行うことができる。
【0078】
さらに、算出手段17等を用いた1回目の測定を、弾性体ESを挟んで行い、この結果に応じて、型保持体5の姿勢を一旦補正し、この補正後に弾性体ESを挟むことなくテスト部材TPのみを挟んで2回目の測定を行い、この結果に応じて、型保持体5の姿勢を調整してもよい。このようにすることで、1回目の調整で大まかな姿勢の調整を行い、2回目の調整で精密な調整を行うことができる。
【0079】
ところで、上記説明ではZ軸を上下方向としたが、Z軸を水平方向としてもよくまた斜め方向としてもよい。Z軸をこのように変更することによりX軸やY軸も同様に変更されるものである。
【0080】
また、上記説明では、転写装置を例に掲げて説明したが、射出成型装置等の成型装置に算出手段17等を採用することができる。
【0081】
転写装置1は、被成型品保持体7の平面を型保持体5の平面で押圧する際、間に型Mや被成型品Wなどの板状の物体を入れて押圧して転写を行うので、第1の平面を第2の平面で間接的に押圧するものの例として考えることができるが、射出成型装置は、第1の平面を第2の平面で直接的に押圧するものの例として考えることができる。
【0082】
すなわち、射出成型装置は、たとえば第1の部材の平面に第2の部材の環状の平面を接触させて押圧して使用されるものであり、第2の部材の環状の平面の内側で第2の部材は凹状になっており、第1の部材の平面を第2の環状の平面で押圧したときに前記凹状の部位と前記第1の部材の平面とで形成される閉空間に溶融した樹脂を流し込みことによって射出成型がなされるようになっている。
【0083】
この場合、第1の部材の平面と第2の環状の平面と平行にして確実に密着させることにより、樹脂の漏れを防止することができるものである。
【0084】
また、上述した転写装置1に係るものを、測定装置の発明として把握してもよい。
【0085】
すなわち、第1の部材の平面に対する第2の部材の平面の傾きを測定する測定装置において、薄い板状に形成され圧力を受けたときに前記圧力の大きさに応じて色合いが変化するテスト部材であって前記各部材の各平面で押圧されて色合いが変化したテスト部材の色合いを入力する入力する入力手段と、この入力手段で入力した色合いを画像処理することによって、前記第1の部材の平面に対する前記第2の部材の平面の傾きを算出する算出手段と、前記算出手段での算出結果を出力する出力手段とを有する測定装置として把握してもよい。
【0086】
さらに、測定方法の発明として把握してもよい。
【0087】
すなわち、第1の部材の平面に対する第2の部材の平面の傾きを測定する測定方法において、薄い板状に形成され圧力を受けたときに前記圧力の大きさに応じて色合いが変化するテスト部材を、前記各部材同士がお互いに離反しているときに前記各部材の間に挿入する挿入段階と、前記挿入段階で前記テスト部材を挿入した後に、前記各部材の各平面により前記テスト部材を所定の圧力で押圧する押圧段階と、前記押圧段階で押圧されて色合いが変化したテスト部材の色合いを画像処理することによって、前記第1の部材の平面に対する前記第2の部材の平面の傾きを算出する算出段階を有する測定方法の発明として把握してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施形態に係る転写装置の概略構成を示す正面図である。
【図2】図1におけるII部の拡大図である。
【図3】テスト部材を押圧する態様を示す図である。
【図4】テスト部材における実際の変色の形態を示す図である。
【図5】図4に示すものを小領域に分割しクラス分けした状態を示す図である。
【図6】第1の回帰直線を示す図である。
【図7】第2の回帰直線を示す図である。
【図8】被成型品保持体に対する型保持体の姿勢を調整する際の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 転写装置
2 制御装置
5 型保持体
7 被成型品保持体
16 テスト部材設置手段
17 算出手段
19 姿勢修正手段
31 画像処理装置
ε 被成型品保持体の上面に対する型保持体の下面の交差角度
ζ 被成型品保持体の上面に対する型保持体の下面の傾斜方向
C1〜C6 クラス
ES 弾性体
G1 第1の回帰直線
G2 第2の回帰直線
M 型
P1〜P6 重心
TP テスト部材
W 被成型品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材の平面に対する第2の部材の平面の傾きを測定する測定装置において、
薄い板状に形成され圧力を受けたときに前記圧力の大きさに応じて色合いが変化するテスト部材であって前記各部材の各平面で押圧されて色合いが変化したテスト部材の色合いを画像処理することによって、前記第1の部材の平面に対する前記第2の部材の平面の傾きを算出する算出手段を有することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置において、
前記色合いに応じた圧力の値を記憶している記憶手段を備え、
前記算出手段は、押圧されて色合いが変化した部分を多数の小さな領域に分割し、これらの各領域における色合いを複数のクラスに分類し、この分類されたクラスに属する各小領域における重心の位置を各クラス毎に求め、これらの求めた各重心の回帰直線である第1の回帰直線を求め、この求めた第1の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の傾斜方向を求める手段であり、
また、前記算出手段は、前記第1の記憶手段を用いて、前記各重心における圧力値を求め、これらの圧力値の回帰直線である第2の回帰直線を求め、この求めた第2の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の交差角度を求める手段であることを特徴とする測定装置。
【請求項3】
第1の部材の平面をこの第1の平面に対向している第2の部材の平面で直接的にまたは各平面の間に板状の物体を挟み込んで間接的に押圧する構成を備えた成型装置において、
薄い板状に形成され圧力を受けたときに前記圧力の大きさに応じて色合いが変化するテスト部材を、前記各部材同士がお互いに離反しているときに前記各部材の間に挿入するテスト部材設置手段と;
前記各部材の各平面で押圧されて色合いが変化したテスト部材の色合いを画像処理することによって、前記第1の部材に対する前記第2の部材の平面の傾きを算出する算出手段と;
を有することを特徴とする成型装置。
【請求項4】
請求項3に記載の成型装置において、
前記色合いに応じた圧力の値を記憶している記憶手段を備え、
前記算出手段は、押圧されて色合いが変化した部分を多数の小さな領域に分割し、これらの各領域における色合いを複数のクラスに分類し、分類されたクラスに属する各小領域における重心を各クラス毎に求め、これらの求めた各重心の回帰直線である第1の回帰直線を求め、この求めた第1の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の傾斜方向を求める手段であり、
また、前記算出手段は、前記記憶手段を用いて、前記各重心における圧力値を求め、これらの圧力値の回帰直線である第2の回帰直線を求め、この求めた第2の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の交差角度を求める手段であることを特徴とする成型装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の成型装置において、
前記各部材の各平面で前記テスト部材を挟み込む場合、前記テスト部材と前記平面との間に板状の弾性体を挿入する弾性体挿入手段を有することを特徴とする成型装置。
【請求項6】
請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の成型装置において、
前記算出手段の算出結果に応じて、前記第2の部材に対する前記第1の部材の姿勢を修正する姿勢修正手段を有することを特徴とする成型装置。
【請求項7】
被成型品を保持する平面を備えた被成型品保持体と;
前記被成型品保持体に対して接近もしくは離反する方向で前記被成型品保持体に対して相対的に移動すると共に、微細な転写パターンが形成されている型を保持する平面を備えた型保持体と;
前記型保持体を前記被成型品保持体に対して相対的に移動するための駆動手段と;
薄い板状に形成され圧力を受けたときに前記圧力の大きさに応じて色合いが変化するテスト部材を、前記被成型品保持体と前記型保持体との間に挿入し、また、前記被成型品保持体と前記型保持体との間から抜き取るテスト部材設置手段と;
前記被成型品保持体の平面と前記型保持体の平面とで押圧されて色合いが変化したテスト部材の色合いを画像処理することによって、前記被成型品保持体の平面に対する前記型保持体の平面の傾きを算出する算出手段と;
を有することを特徴とする転写装置。
【請求項8】
請求項7に記載の転写装置おいて、
前記色合いに応じた圧力の値を記憶している記憶手段を備え、
前記算出手段は、押圧されて色合いが変化した部分を多数の小さな領域に分割し、これらの各領域における色合いを複数のクラスに分類し、分類されたクラスに属する各小領域における重心を各クラス毎に求め、これらの求めた各重心の回帰直線である第1の回帰直線を求め、この求めた第1の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の傾斜方向を求める手段であり、
また、前記算出手段は、前記記憶手段を用いて、前記各重心における圧力値を求め、これらの圧力値の回帰直線である第2の回帰直線を求め、この求めた第2の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の交差角度を求める手段であることを特徴とする転写装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の転写装置において、
前記テスト部材設置手段で前記各部材の各平面で前記テスト部材を挟み込む場合、板状の弾性体を前記テスト部材と前記平面との間に挿入する弾性体挿入手段を有することを特徴とする転写装置。
【請求項10】
第1の部材の平面に対する第2の部材の平面の傾きを測定する測定方法において、
薄い板状に形成され圧力を受けたときに前記圧力の大きさに応じて色合いが変化するテスト部材を、前記各部材同士がお互いに離反しているときに前記各部材の間に挿入する挿入段階と;
前記挿入段階で前記テスト部材を挿入した後に、前記各部材の各平面により前記テスト部材を所定の圧力で押圧する押圧段階と;
前記押圧段階で押圧されて色合いが変化したテスト部材の色合いを画像処理することによって、前記第1の部材の平面に対する前記第2の部材の平面の傾きを算出する算出段階と;
を有することを特徴とする測定方法。
【請求項11】
請求項10に記載の測定方法において、
前記算出段階は、押圧されて色合いが変化した部分を多数の小さな領域に分割し、これらの各領域における色合いを複数のクラスに分類し、分類されたクラスに属する各小領域における重心を各クラス毎に求め、これらの求めた各重心の回帰直線である第1の回帰直線を求め、この求めた第1の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の傾斜方向を求める段階であり、
また、前記算出段階は、前記色合いに応じた圧力の値を記憶している記憶手段を用いて、前記各重心における圧力値を求め、これらの圧力値の回帰直線である第2の回帰直線を求め、この求めた第2の回帰直線から前記第2の部材の平面に対する前記第1の部材の平面の交差角度を求める段階であることを特徴とする測定方法。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の測定方法において、
前記挿入段階は、前記各部材の間に前記テスト部材を挿入するときに、板状の弾性体を前記テスト部材と前記各平面との間に挿入する段階であり、
前記押圧段階は、前記各部材の各平面により前記テスト部材と前記弾性体とを所定の圧力で押圧する段階であることを特徴とする測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−304380(P2008−304380A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152978(P2007−152978)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】