濁水処理システム及びその処理方法
【課題】安定的にSS:5mg/l以下の濾水を得ることができるようにするとともに、高分子凝集剤を使用することなく無機凝集剤のみで十分な濾過が可能であるなどの利点を有する濁水処理システムを提供する。
【解決手段】濁水が貯留される原水タンク2と、濁水の凝集沈殿させる凝集沈降分離装置3と、凝集沈降後の濁水を濾過する濾過装置4とを含む濁水処理システムにおいて、前記濾過装置4として、コイル状に巻回された筒状体を構成するコイル22の隣接輪相互間に間隙Gが形成され、この間隙部Gに濾過助剤が付着架橋してなる1又は複数の液体濾過フィルターエレメント9,9…を備え、処理水の導入口10、排出口11及び導入口10と排出口11との間を仕切る仕切材17を有する容器の中に、前記液体濾過フィルターエレメント9,9…の一端を仕切板17に固定させて複数格納し、逆洗用エア又は逆洗水を供給して逆洗可能としてある装置を用いる。
【解決手段】濁水が貯留される原水タンク2と、濁水の凝集沈殿させる凝集沈降分離装置3と、凝集沈降後の濁水を濾過する濾過装置4とを含む濁水処理システムにおいて、前記濾過装置4として、コイル状に巻回された筒状体を構成するコイル22の隣接輪相互間に間隙Gが形成され、この間隙部Gに濾過助剤が付着架橋してなる1又は複数の液体濾過フィルターエレメント9,9…を備え、処理水の導入口10、排出口11及び導入口10と排出口11との間を仕切る仕切材17を有する容器の中に、前記液体濾過フィルターエレメント9,9…の一端を仕切板17に固定させて複数格納し、逆洗用エア又は逆洗水を供給して逆洗可能としてある装置を用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種トンネル工事、地盤改良工事、地中連続壁造成工事などの工事において、掘削時に発生する濁水を高い濾過精度で高効率に処理するための濁水処理システム及びその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネル又はシールドトンネルなどの各種トンネル工事、地盤改良工事、地中連続壁造成工事などの工事においては、含水比の高い濁水が大量に発生する。この濁水の処理は、工事種別や施工条件、周囲の環境条件等に応じて適切な処理設備が選択される。濁水処理システムの一例を図14に示す。
【0003】
図14に示される例は、各種工事現場からの原水(濁水)が先ず原水槽50に貯留される。前記原水のSS(浮遊物質量)は概ね500〜3000mg/lである。そして、所定量の原水が凝集沈降分離装置51(所謂、シックナ)に移送され、ここで、無機凝集剤と高分子凝集剤とが添加されるとともに、中和処理のために炭酸ガスが投入される。前記凝集処理によって濁水中に浮遊する多くの微細粒子群がフロックとなって沈降分離される。この凝集沈降分離工程によって、原水のSSは、概ね10〜25mg/lまで低減される。前記沈殿したフロックはフィルタープレス55などの脱水装置によって脱水処理される。
【0004】
前記無機凝集剤(例えば、PAC又は硫酸バンド等)は、排泥水中の浮遊物質が帯びている電荷(一般には負に帯電)に反対の電荷を与えて電気的に中性とし、粒子間相互の反発を無くして凝集させるものであり、前記高分子凝集剤(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド陰イオン変性物、ポリアクリルアミド、デンプン等)は水中に懸濁しているコロイドや微粒子の表面電荷を中和して粒子を凝集させ、吸着架橋作用により大きなフロックを形成するためのものである。これらの凝集剤は単独で使用されることもあるが、凝集沈降効果を上げるために、併用されることが多い。
【0005】
次いで、前記凝集沈殿処理によって大幅にSSが低減された濁水は、次の砂濾過装置52に投入され、ここで概ね浮遊物質量SSを5mg/l以下まで低下させた後、水質管理槽53に移送され、ここで有害物質の混入量が各種基準内にあるかどうかを検査した後、放流槽54に移され、最終的に放流処理される。前記無機凝集剤と高分子凝集剤とを併用し、かつ砂濾過装置52を用いる濁水処理装置としては、例えば下記特許文献1,2等を挙げることができる。
【特許文献1】特開平11−216494号公報
【特許文献2】特開2002−86191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記砂濾過装置52を用いた濁水処理装置の場合は、前段の凝集沈降分離装置51での凝集沈殿が不十分であると、砂濾過装置52でSS;5mg/l以下の濾水を得ることが困難になるため、濁水処理が不安定となる問題があった。
【0007】
また、砂濾過装置52の逆洗に大量の水を必要とするため、大きな清水タンクを設置する必要があるとともに、逆洗に時間が掛かり処理効率が向上しないなどの問題もあった。
【0008】
更に、前処理となる凝集沈降分離装置51において、凝集沈殿を促進するため、無機凝集剤と高分子凝集剤とを併用しているが、高分子凝集剤は環境衛生上問題となるなどの問題もあった。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、安定的にSS:5mg/l以下の濾水を得ることができるようにするとともに、逆洗のために多くの清水を必要としない、高分子凝集剤を使用することなく無機凝集剤のみで十分な濾過が可能であるなどの利点を有する濁水処理システムを提供することにある。
【0010】
第2の課題は、特定の濁水濾過工程を採用することによって濁水処理の大幅な効率化を実現し得る濁水処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、濁水が貯留される原水タンクと、濁水を凝集沈殿させる凝集沈降分離装置と、凝集沈降後の濁水を濾過する濾過装置とを含む濁水処理システムにおいて、
前記濾過装置として、コイル状に巻回された筒状体又は多数の輪状片が重ね合わされた筒状体を構成するコイル又は輪状片の隣接輪相互間に間隙が形成され、この間隙部に濾過助剤を付着させてなる1又は複数の液体濾過フィルターエレメントを備え、処理水の導入口、排出口及び導入口と排出口との間を仕切る仕切材を有する容器の中に、前記液体濾過フィルターエレメントの一端を仕切板に固定させて複数格納するとともに、逆洗用エア又は逆洗水を供給して逆洗可能としてある濾過装置を用いたことを特徴とする濁水処理システムが提供される。
【0012】
上記請求項1記載の発明は、濁水処理システムの濾過装置として、コイル状に巻回された筒状体又は多数の輪状片が重ね合わされた筒状体を構成するコイル又は輪状片の隣接輪相互間に間隙が形成され、この間隙部に濾過助剤を付着させてなる1又は複数の液体濾過フィルターエレメントを備え、処理水の導入口、排出口及び導入口と排出口との間を仕切る仕切材を有する容器の中に、前記液体濾過フィルターエレメントの一端を仕切板に固定させて複数格納するとともに、逆洗用エア又は逆洗水を供給して逆洗可能としてある濾過装置を用いたものである。
【0013】
上記濾過装置自体は、公知のものであり、本出願人の1人が先の特開2006−272251号公報において提案したものである。この濾過装置の濾過性能は非常に高く、凝集沈降分離装置における凝集沈殿に多少のバラツキがあったとしても、安定的にSS:5mg/l以下の濾水を得ることができるようになる。また、逆洗用としてエアを用いる場合は洗浄水は不要であるとともに、逆洗水を用いる場合であっても少量の水で済むようになる。さらに、凝集沈降分離装置での凝集沈殿程度が多少悪くても安定的にSS:5mg/l以下の濾水を得ることができるため、前記凝集沈降分離装置で使用する凝集剤は無機凝集剤のみで済むようになり、環境負荷の低減を図ることが可能となる。
【0014】
請求項2に係る本発明として、前記濾過装置を2つ並設し、これら濾過装置を交互に使用することにより、濾過工程を連続的に行うようにしてある請求項1記載の濁水処理システムが提供される。
【0015】
上記請求項2記載の発明は、仮に単一の濾過装置により前記濾過助剤の付着工程、濁水を供給して濾過を行う濾過工程、濾過助剤を脱着する逆洗工程のサイクル工程を行う場合には、前記付着工程及び逆洗工程の時間は濾過を行わない無駄時間となるため、濾過装置を2つ並設し、これら濾過装置を交互に使用することにより、濾過工程を連続的に行うようにしたものである。
【0016】
請求項3に係る本発明として、濾過助剤タンクを備え、前記濾過装置へ濾過助剤を供給する供給路及び濾過装置から濾過助剤を返送する返送路を形成し、前記濾過助剤を繰り返し使用可能としてある請求項1,2いずれかに記載の濁水処理システムが提供される。
【0017】
上記請求項3記載の発明は、従来の濾過装置では、濾過助剤は1回の使用で廃棄処理されていたが、本発明では、濾過助剤タンクを備え、前記濾過装置へ濾過助剤を供給する供給路及び濾過装置から濾過助剤を返送する返送路を形成し、前記濾過助剤を繰り返し使用可能としたものである。これにより、濾過助剤のコスト低減を図り得るようになる。
【0018】
請求項4に係る本発明として、請求項1〜3いずれかに記載の濁水処理システムにおける濾過装置の処理手順は、前記濾過助剤の付着架橋工程、濁水を供給して濾過を行う濾過工程、濾過助剤を脱着する逆洗工程のサイクル工程とするとともに、前記濾過工程時間を3〜40分に設定することを特徴とする濁水処理システムにおける処理方法が提供される。
【0019】
上記請求項4記載の発明は、濁水処理システムにおける濾過装置の処理手順は、前記濾過助剤の付着工程、濁水を供給して濾過を行う濾過工程、濾過助剤を脱着する逆洗工程のサイクル工程とするとともに、前記濾過工程時間を3〜40分に設定するものである。前記濾過工程時間は好ましくは5〜20分に設定するのがより望ましい。
【0020】
後述の実験例で示すように、時間当たりの処理量は濾過工程時間を長くした連続運転とするよりは、むしろ濾過工程時間を比較的に短い所定時間に設定して、濾過助剤の付着工程、濁水の濾過工程、濾過助剤を脱着する逆洗工程のサイクル工程とした方が単位時間当たりの処理量が大幅に向上するとの知見に基づくものである。
【0021】
請求項5に係る本発明として、前記濾過助剤の繰り返し使用回数を6〜8回に設定してある請求項3,4いずれかに記載の濁水処理システムにおける処理方法が提供される。
【0022】
上記請求項5記載の発明は、前記濾過助剤の繰り返し使用回数を6〜8回に設定したものである。後述の実験例に示されるように、8回の使用程度までは十分な処理量を確保できるとの知見に基づくものである。
【発明の効果】
【0023】
以上詳説のとおり本発明によれば、安定的にSS:5mg/l以下の濾水を得ることができるようになるとともに、逆洗のために多くの清水を必要としない、高分子凝集剤を使用することなく無機凝集剤のみで十分な濾過が可能であるなどの利点を有する濁水処理システムとすることが可能となる。
【0024】
また、特定の濁水濾過工程の採用によって濁水処理の大幅な効率化を実現し得るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0026】
図1は本発明に係る濁水処理システム1の処理フローを示すブロック図であり、図2は本濁水処理システム1で使用する濾過装置4の一部破断正面図、図3はその構成図、図4は液体濾過フィルターエレメント9の縦断面図、図5は液体濾過フィルターエレメント9における処理手順図である。
【0027】
本濁水処理システム1は、図1に示されるように、濁水が貯留される原水タンク2と、濁水を凝集沈殿させる凝集沈降分離装置3と、凝集沈降後の濁水を濾過する濾過装置4とを含む濁水処理システムにおいて、前記濾過装置4として、コイル状に巻回された筒状体又は多数の輪状片が重ね合わされた筒状体を構成するコイル又は輪状片の隣接輪相互間に間隙が形成され、この間隙部に濾過助剤を付着させてなる1又は複数の液体濾過フィルターエレメントを備え、処理水の導入口、排出口及び導入口と排出口との間を仕切る仕切材を有する容器の中に、前記液体濾過フィルターエレメントの一端を仕切板に固定させて複数格納するとともに、逆洗用エア又は逆洗水を供給して逆洗可能としてある濾過装置を用いたものである。
【0028】
以下、更に具体的に詳述する。
【0029】
山岳トンネル又はシールドトンネルなどの各種トンネル工事、地盤改良工事、地中連続壁造成工事などの工事において発生した濁水は、まず原水槽2に貯留される。この濁水のSS(浮遊物質量)は、図示例では500〜3000mg/lである。このSS濃度は工事種毎に異なるが、一般の山岳トンネルでは、通常200〜10000mg/lの範囲であり、その平均は概ね1500〜3000mg/lの範囲である。
【0030】
前記原水槽2に貯留された濁水は、所定量づつ凝集沈降分離装置3に送られる。この凝集沈降分離装置3では、PAC(ポリ塩化アルミニウム)などの無機凝集剤が添加されるとともに、中和処理のために炭酸ガスが投入される。凝集沈降分離装置3では、無機凝集剤によって浮遊SSが凝集し沈降分離される。凝集によって沈降したフロックは、フィルタープレス7(脱水装置)に送られ、ここで脱水処理され、得られたケーキが廃棄処理される。なお、前記脱水装置としては、前記フィルタープレス7以外に、例えばロールプレス、ドラムプレス、ベルトフィルターなどの各種脱水装置を使用することができる。前記炭酸ガスは、所謂前中和処理であり、濁水を中和処理するとともに、セメントを含んだスラッジの固結を防止することができる。
【0031】
前記凝集沈降処理によって原水は、概ねSS濃度が50mg/l以下に低減されており、次に濾過装置4に送られる。
【0032】
前記濾過装置4として、本発明では特に、コイル状に巻回された筒状体又は多数の輪状片が重ね合わされた筒状体を構成するコイル又は輪状片の隣接輪相互間に間隙が形成され、この間隙部に濾過助剤が付着架橋してなる1又は複数の液体濾過フィルターエレメント9、9…を備え、処理水の導入口、排出口及び導入口と排出口との間を仕切る仕切材を有する容器の中に、前記液体濾過フィルターエレメントの一端を仕切板に固定させて複数格納するとともに、逆洗用エア又は逆洗水を供給して逆洗可能としてある濾過装置を用いるものである。
【0033】
この濾過装置4は、特開2006-272251号公報にて提案された濾過装置である。詳細な説明は同公報に譲るとして、その概略を以下に説明する。
【0034】
濾過装置4は、図2及び図3に示されるように、処理水の導入口10、処理水の排出口11、逆洗排出口12及びエアー吹込み口13を備えた容器14中に複数の液体濾過フィルターエレメント9,9…の一端が仕切板17に固定された状態で格納されたもので、前記容器14の導入口10側に設けられた圧力センサー15と、排出口11、逆洗排出口12及びエアー吹込み口13に夫々取り付けられ、圧力スイッチ18に連動して開閉する電磁弁16,16…とを備えるものである。
【0035】
前記液体濾過フィルターエレメント9について簡単に説明すると、図4に示すように、小突起21を有する線材同士が密着するように巻回し、このコイル22の両端に取付具23を備え、中心にコイルの全長よりもやや長い芯金24を入れて両端をナット25,25で固定することによって、隣接輪相互間に小突起21による微少な間隙Gを生じるのでこれを濾液通路とし、このフィルターエレメント9の周囲に濾過助剤を付着させて濾過しようとする液体を通過させるように構成されている。濾液は、導入口10から流入すると、フィルターエレメント9の外側から濾過助剤の層を通り、エレメント9の間隙部Gからエレメント9の内側に入り、エレメント9と芯金24の間を通り、エレメント9の取付具23の開口部から容器14中の仕切板17の上部にある排出口11側に流出する。容器14の内側は仕切板17によって仕切られているので、処理水と処理済み水は完全に分離される。また、前記コイル22に代えて、多数の輪状片が重ね合わされた筒状体からなるフィルターエレメントとすることも可能である。このエレメントは、前記コイルに代えて多数の輪状片が重ね合わされた筒状体としたものであって、その他の構成はコイルのものとほぼ同様である。
【0036】
前記濾過助剤としては、ケイ藻土及び添加物として、パルプ、活性炭、花崗岩、セラミック、各種樹脂、ガラス、金属、金属酸化物類等の微粒物や粉状物が濾過する液体乃至濾過する目的に応じて用いられる。前記濾過助剤としては、ケイ藻土以外に、炭素系、セルロース系、パーライト系等の平均粒径が8〜24μmの多孔質粒子を使用することも可能である。
【0037】
前記濾過助剤をコイル22の外面に付着させるには、別途設けた濾過助剤タンクから導入口10を通じて容器14内に供給することにより、微小間隙G部に最初は相対的に大径のケイ藻土微粒子が保持され、次いで保持された大径のケイ藻土微粒子間に徐々に小径のケイ藻土微粒子が保持されていく。その結果、微小間隙Gには、極めて微細な間隙(例えば、0.5〜数μmオーダー)を有する多孔質の濾過助剤微粒子群が保持されることとなる。この場合、濾過助剤タンクから前記濾過装置4へ濾過助剤を供給する供給路及び濾過装置4から濾過助剤を返送する返送路を形成し、前記濾過助剤を繰り返し使用可能とするのが望ましい。繰り返し使用回数は、後述する実験例により、6〜8回とするのが望ましい。
【0038】
前記濾過装置4では、図5に示されるように、(A)逆洗浄によりフィルター再生状態から、(B)前記濾過助剤の付着工程(以下、この工程をプリコートともいう。)、(C)濁水を供給して濾過を行う濾過工程、(D)濾過助剤を脱着する逆洗工程のサイクル工程となる。前記(B)付着工程では、ケイ藻土を供給してコイル22の外面に付着させ、前記(C)濾過工程では、導入口10から処理水を送り濾過を行い、(D)濾過助剤の脱着工程では、エアー吹込み口13からエアーを供給してコイル外面に付着している濾過助剤を脱着する。
【0039】
さらに前記濾過処理及び逆洗処理の動作について説明すると、前記濾過装置4が濾過処理中においては、圧力センサー15が感知する圧力は、圧力スイッチ18の設定圧よりも低レベルにあり、逆洗排出口12及びエアー吹込み口13の各電磁弁16,16は閉じており、処理水排出口11の電磁弁16は開いている。導入口10には逆止弁19が取り付けられていて、処理水が流入するときのみ逆止弁19が開くので、容器14の内部から凝集沈降分離装置3側に処理水が逆流することはない。濾過処理が進行してフィルターエレメント9が目詰まり状態になり、圧力センサー15の検出値が導入口10側の圧力が圧力スイッチ18の設定圧に達すると、圧力スイッチ18の電気信号によって排出口11の電磁弁16が閉じて逆洗排出口12及びエアー吹き込み口13の各電磁弁16,16のソレノイドを動かして弁を開くとともに逆洗が開始される。
【0040】
即ち、エアー吹き込み口13から吹き込まれた高圧エアーがフィルターエレメント9の上方からフィルターエレメント9の内部に導かれ、フィルターエレメント9を内側から僅かに拡張させるので、フィルターエレメント9の筒状体を構成するコイル又は輪状片の隣接輪相互間の間隙が2〜10ミクロン程度広がり、間隙部に付着していた濾過助剤がエアーの勢いによって紛状になって除去される。エアーが混在した逆洗排水は逆洗排出口12から容器14の外部に排出される。一定時間逆洗が行われた後、タイムスイッチにより各電磁弁16が元の状態に復帰して逆洗が終了し、再び濾過処理が開始される。このように圧力センサー15が導入口10側の圧力を感知し、圧力スイッチ18によって各電磁弁16が開閉して自動的に逆洗が行われるので連続運転が可能となる。なお、検知圧力は排出口側の圧力を測定するようにしてもよい。
【0041】
前記逆洗のタイミングを圧力センサー15に連動して行うのに代えて、濾過装置4による濾過処理時間を測定するタイマーに連動するように設定してもよい。この場合は、濾過工程時間を後述する実験例に示すように、3〜40分、好ましくは5〜20分に設定するのが望ましい。
〔濁水処理システム1のシステム構成形態例〕
次に、前記濁水処理システム1のシステム構成例を図6〜図8に示す。図6は、プリコート工程時における状態を示し、図7は濾過工程時における状態を示し、図8は濾過助剤の脱着工程時の状態を示してある。
【0042】
システム構成は、濾過助剤補給タンク30、一次プリコートタンク31,二次プリコートタンク32と、凝集沈降分離装置3からの濁水処理水槽33(シックナー処理水槽)とを備えるとともに、2つの濾過装置4A、4Bを備え、更に濾過装置4A、4Bに逆洗用エアを供給するコンプレッサー36と、濾過装置4A、4Bによる濾水処理水槽34と、濾過助剤の廃棄用タンク35とを備え、これら各タンク、装置間が管路によって結ばれている。
【0043】
先ず、前記濾過助剤補給タンク30は、ケイ藻土などを主剤とする濾過助剤が投入されるタンクであり、前記一次プリコートタンク31は、前記濾過助剤補給タンク30から濾過助剤が輸送され、処理開始時又は濾過助剤の廃棄後に使用する新たな濾過助剤を調整し、フィルターエレメント9に供給する際に使用され、前記二次プリコートタンク32は、濾過助剤を繰り返し使用する際に、濾過装置4A、4Bとの間で、濾過助剤の供給と返送とを行うためのものである。
【0044】
図6に示されるプリコート工程時には、前記一次プリコートタンク31に貯留されている濾過助剤が、太線で示された管路を通り、導入口10側から濾過装置4A、4Bに供給され、濾過助剤がフィルターエレメント9のコイル22の外面に付着される。液体分については、一次プリコートタンク31まで返送される。
【0045】
次いで、濾過工程では、図7に示されるように、濁水処理水槽33に貯留されている処理水が、太線で示された管路を通り、導入口10側から濾過装置4A、4Bに供給され、処理水の濾過が行われる。濾過後の処理水は、流量計にて流量が管理されるとともに、処理水槽34に投入される。この濾過工程では、濾過装置4A、4Bが交互に使用されることにより連続処理を可能としている。使用されていない濾過装置4A(4B)では、プリコート工程又は濾過助剤の脱着工程が行われる。
【0046】
図8に示される濾過助剤の脱着工程では、コンプレッサー36から太線で示された管路を通り、エア吹込み口13から濾過装置4A、4Bに逆洗用エアが送られ、付着していた濾過助剤の脱着が行われる。脱着された濾過助剤は、導入口10を通り、二次プリコートタンク32に送られる。脱着後に、再び濾過助剤をフィルターエレメント9に付着させるには、二次プリコートタンク32から濾過装置4A(4B)まで供給される。濾過助剤を複数回、本発明に従って6〜8回繰り返し使用したならば、コンプレッサー36から送られたエアによって脱着が行われ、逆洗排出口12を通り、エア吹込み口13から濾過装置4A、4Bに逆洗用エアが送られ、濾過助剤が廃棄用タンク35に送られる。
【実施例】
【0047】
本発明に係る濁水処理システム1において、より効率的な濁水処理を実現するために各種の実験を行った。
【0048】
1.SSとフィルター能力の関係
(1)ろ過時間と累積処理量の関係
投入水のSSを300、200、100、50、25mg/l毎にろ過時間と累積処理量を求めた。結果は、図9に示すとおりである。
【0049】
SSが高くなるほど、累積処理量が減少している。また、ある一定時間経過すると、勾配が緩やかとなり累積処理量の増加度合が鈍る傾向を示す(SS:25mg/lは15分経過時、SS:50mg/lは12分経過時、SS:100mg/lは9分経過時、SS:200mg/lは6分経過時、SS:300mg/lは3分経過時)。これは、ある一定の目詰まりを超えれば、目詰まりが急激に進み、SSが高い程、一定の目詰まり状態に早く到達するからと思われる。
【0050】
(2)ろ過時間と1時間当り処理量の関係
上記(1)より、ある一定時間経過後、処理量の急激な低下が見られる。目詰まりの進行したケイ藻土(濾過助剤)を継続して使用するより、新たな珪藻土でろ過した方が、時間当たりの処理量は増えるのではないかとの視点に立ち、このことを確認するために図9の結果を以下のように整理し直した。
【0051】
1時間当り処理量=累積処理量×60/(ろ過時間+7) ここで、数字の「7」は、目詰まりしたケイ藻土を除き、新たなケイ藻土をプリコートするまでの時間である。
【0052】
たとえば、ろ過時間が15分で処理量が724lの場合、1時間当り処理量は、724×60/(15+7)で1975(l)となる。このようにして、整理したものが、図10である。図を見れば、最大値となる濾過時間は、SS:25mg/lで15分、SS:50mg/l及び100mg/lで12分、SS:200及び300mg/lで9分である。長時間、連続的にろ過するよりも、短時間でケイ藻土をリセットし直したほうが、時間当りの処理量は増加することが確認された。
【0053】
以上より、濾過時間を、3〜40分、好ましくは5〜20分に設定し、濾過助剤の付着架橋工程、濁水を供給して濾過を行う濾過工程、濾過助剤を脱着する逆洗工程を繰り返し行うことが、単に連続的に処理するよりは遙かに効率が良いことが知見された。
【0054】
(3)フィルター本数とSSの関係
上記(2)より、濾過時間を15分とした場合の各SSの1時間当り処理量は、SS:25mg/lで1975(l)/hr、SS:50mg/lで1412(l)/hr 、SS:100mg/lで1239(l)/hr 、SS:200mg/lで896(l)/hr 、SS:300mg/lで687(l)/hr である。
【0055】
これらを基に、SS:30m3/hr処理するのに必要なフィルター本数を求めた。SS:25 mg/lで365本、SS:50mg/lで510本、SS:100mg/lで581本、SS:200mg/lで804本、SS:300mg/lで1048本である。この関係を図11に示した。これらの5点から、(フィルター本数)=2.3354×(SS)+346.3の近似式が得られた。
【0056】
(4)ろ過時間と処理水SSの関係
投入水のSS毎に処理水のSSをまとめたのが図12である。SS:300mg/l以外は、濾過直後、SS:1.0〜1.6mg/l程度であるが、時間とともに下がり、5分後には、SS:1.0mg/l以下となる。10分以降、SS:0.6mg/l以下を維持する。SS:300mg/lにおいては、直後から、SS:0.5mg/l以下を維持できる。これは、投入水のSS分が、初期の段階で目詰まりを起こし、ろ過精度を上げているものと考える。
【0057】
(5)ケイ藻土の再利用回数
ケイ藻土の再利用の可能性を検討するために、15分間濾過した後に、逆洗し集め、再度このケイ藻土を再利用し、濾過を行ってみた。(逆洗時のSS分も全て回収し、プリコートした。)投入水のSSは、100mg/l、25mg/lとした。結果は、図13に示すとおりである。
【0058】
SS:25mg/lにおいては、2回目は、2100(l)/hrから1500(l)/hrに下がるが、その後、回数を増やしても、1600(l)/hr前後を維持する。SS:100mg/lにおいては、8回目までは、1回目と同程度を維持するが、9回目以降、徐々に低下する。
【0059】
以上より、SS:100mg/l以下の投入水においては、6〜8回程度の再利用が可能と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る濁水処理システム1の処理フローを示すブロック図である。
【図2】本濁水処理システム1で使用する濾過装置4の一部破断正面図である。
【図3】濾過装置4の構成図である。
【図4】液体濾過フィルターエレメント9の縦断面図である。
【図5】液体濾過フィルターエレメント9における処理手順図である。
【図6】濁水処理システム1のシステムの構成形態例及びプリコート工程を示す図である。
【図7】濁水処理システム1のシステムの構成形態例における濾過工程を示す図である。
【図8】濁水処理システム1のシステムの構成形態例における濾過助剤の脱着工程を示す図である。
【図9】実施例における「(1)ろ過時間と累積処理量の関係」を示すグラフである。
【図10】実施例における「(2)ろ過時間と1時間当り処理量の関係」を示すグラフである。
【図11】実施例における「(3)フィルター本数とSSの関係」を示すグラフである。
【図12】実施例における「(4)ろ過時間と処理水SSの関係」を示すグラフである。
【図13】実施例における「(5)ケイ藻土の再利用回数」を示すグラフである。
【図14】従来の濁水処理システム1の処理フローを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
1…濁水処理システム、2…原水槽、3…凝集沈降分離装置、4…濾過装置、5…水質管理槽、6…放流槽、7…フィルタープレス、9…液体濾過フィルターエレメント、10…処理水導入口、11…処理水排出口、12…逆洗排出口、13…エアー吹込み口、14…容器、15…圧力センサー、16…電磁弁、17…仕切板、18…圧力スイッチ、21…小突起、22…コイル、23…取付具、24…芯金、25…ナット、G…間隙
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種トンネル工事、地盤改良工事、地中連続壁造成工事などの工事において、掘削時に発生する濁水を高い濾過精度で高効率に処理するための濁水処理システム及びその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネル又はシールドトンネルなどの各種トンネル工事、地盤改良工事、地中連続壁造成工事などの工事においては、含水比の高い濁水が大量に発生する。この濁水の処理は、工事種別や施工条件、周囲の環境条件等に応じて適切な処理設備が選択される。濁水処理システムの一例を図14に示す。
【0003】
図14に示される例は、各種工事現場からの原水(濁水)が先ず原水槽50に貯留される。前記原水のSS(浮遊物質量)は概ね500〜3000mg/lである。そして、所定量の原水が凝集沈降分離装置51(所謂、シックナ)に移送され、ここで、無機凝集剤と高分子凝集剤とが添加されるとともに、中和処理のために炭酸ガスが投入される。前記凝集処理によって濁水中に浮遊する多くの微細粒子群がフロックとなって沈降分離される。この凝集沈降分離工程によって、原水のSSは、概ね10〜25mg/lまで低減される。前記沈殿したフロックはフィルタープレス55などの脱水装置によって脱水処理される。
【0004】
前記無機凝集剤(例えば、PAC又は硫酸バンド等)は、排泥水中の浮遊物質が帯びている電荷(一般には負に帯電)に反対の電荷を与えて電気的に中性とし、粒子間相互の反発を無くして凝集させるものであり、前記高分子凝集剤(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド陰イオン変性物、ポリアクリルアミド、デンプン等)は水中に懸濁しているコロイドや微粒子の表面電荷を中和して粒子を凝集させ、吸着架橋作用により大きなフロックを形成するためのものである。これらの凝集剤は単独で使用されることもあるが、凝集沈降効果を上げるために、併用されることが多い。
【0005】
次いで、前記凝集沈殿処理によって大幅にSSが低減された濁水は、次の砂濾過装置52に投入され、ここで概ね浮遊物質量SSを5mg/l以下まで低下させた後、水質管理槽53に移送され、ここで有害物質の混入量が各種基準内にあるかどうかを検査した後、放流槽54に移され、最終的に放流処理される。前記無機凝集剤と高分子凝集剤とを併用し、かつ砂濾過装置52を用いる濁水処理装置としては、例えば下記特許文献1,2等を挙げることができる。
【特許文献1】特開平11−216494号公報
【特許文献2】特開2002−86191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記砂濾過装置52を用いた濁水処理装置の場合は、前段の凝集沈降分離装置51での凝集沈殿が不十分であると、砂濾過装置52でSS;5mg/l以下の濾水を得ることが困難になるため、濁水処理が不安定となる問題があった。
【0007】
また、砂濾過装置52の逆洗に大量の水を必要とするため、大きな清水タンクを設置する必要があるとともに、逆洗に時間が掛かり処理効率が向上しないなどの問題もあった。
【0008】
更に、前処理となる凝集沈降分離装置51において、凝集沈殿を促進するため、無機凝集剤と高分子凝集剤とを併用しているが、高分子凝集剤は環境衛生上問題となるなどの問題もあった。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、安定的にSS:5mg/l以下の濾水を得ることができるようにするとともに、逆洗のために多くの清水を必要としない、高分子凝集剤を使用することなく無機凝集剤のみで十分な濾過が可能であるなどの利点を有する濁水処理システムを提供することにある。
【0010】
第2の課題は、特定の濁水濾過工程を採用することによって濁水処理の大幅な効率化を実現し得る濁水処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、濁水が貯留される原水タンクと、濁水を凝集沈殿させる凝集沈降分離装置と、凝集沈降後の濁水を濾過する濾過装置とを含む濁水処理システムにおいて、
前記濾過装置として、コイル状に巻回された筒状体又は多数の輪状片が重ね合わされた筒状体を構成するコイル又は輪状片の隣接輪相互間に間隙が形成され、この間隙部に濾過助剤を付着させてなる1又は複数の液体濾過フィルターエレメントを備え、処理水の導入口、排出口及び導入口と排出口との間を仕切る仕切材を有する容器の中に、前記液体濾過フィルターエレメントの一端を仕切板に固定させて複数格納するとともに、逆洗用エア又は逆洗水を供給して逆洗可能としてある濾過装置を用いたことを特徴とする濁水処理システムが提供される。
【0012】
上記請求項1記載の発明は、濁水処理システムの濾過装置として、コイル状に巻回された筒状体又は多数の輪状片が重ね合わされた筒状体を構成するコイル又は輪状片の隣接輪相互間に間隙が形成され、この間隙部に濾過助剤を付着させてなる1又は複数の液体濾過フィルターエレメントを備え、処理水の導入口、排出口及び導入口と排出口との間を仕切る仕切材を有する容器の中に、前記液体濾過フィルターエレメントの一端を仕切板に固定させて複数格納するとともに、逆洗用エア又は逆洗水を供給して逆洗可能としてある濾過装置を用いたものである。
【0013】
上記濾過装置自体は、公知のものであり、本出願人の1人が先の特開2006−272251号公報において提案したものである。この濾過装置の濾過性能は非常に高く、凝集沈降分離装置における凝集沈殿に多少のバラツキがあったとしても、安定的にSS:5mg/l以下の濾水を得ることができるようになる。また、逆洗用としてエアを用いる場合は洗浄水は不要であるとともに、逆洗水を用いる場合であっても少量の水で済むようになる。さらに、凝集沈降分離装置での凝集沈殿程度が多少悪くても安定的にSS:5mg/l以下の濾水を得ることができるため、前記凝集沈降分離装置で使用する凝集剤は無機凝集剤のみで済むようになり、環境負荷の低減を図ることが可能となる。
【0014】
請求項2に係る本発明として、前記濾過装置を2つ並設し、これら濾過装置を交互に使用することにより、濾過工程を連続的に行うようにしてある請求項1記載の濁水処理システムが提供される。
【0015】
上記請求項2記載の発明は、仮に単一の濾過装置により前記濾過助剤の付着工程、濁水を供給して濾過を行う濾過工程、濾過助剤を脱着する逆洗工程のサイクル工程を行う場合には、前記付着工程及び逆洗工程の時間は濾過を行わない無駄時間となるため、濾過装置を2つ並設し、これら濾過装置を交互に使用することにより、濾過工程を連続的に行うようにしたものである。
【0016】
請求項3に係る本発明として、濾過助剤タンクを備え、前記濾過装置へ濾過助剤を供給する供給路及び濾過装置から濾過助剤を返送する返送路を形成し、前記濾過助剤を繰り返し使用可能としてある請求項1,2いずれかに記載の濁水処理システムが提供される。
【0017】
上記請求項3記載の発明は、従来の濾過装置では、濾過助剤は1回の使用で廃棄処理されていたが、本発明では、濾過助剤タンクを備え、前記濾過装置へ濾過助剤を供給する供給路及び濾過装置から濾過助剤を返送する返送路を形成し、前記濾過助剤を繰り返し使用可能としたものである。これにより、濾過助剤のコスト低減を図り得るようになる。
【0018】
請求項4に係る本発明として、請求項1〜3いずれかに記載の濁水処理システムにおける濾過装置の処理手順は、前記濾過助剤の付着架橋工程、濁水を供給して濾過を行う濾過工程、濾過助剤を脱着する逆洗工程のサイクル工程とするとともに、前記濾過工程時間を3〜40分に設定することを特徴とする濁水処理システムにおける処理方法が提供される。
【0019】
上記請求項4記載の発明は、濁水処理システムにおける濾過装置の処理手順は、前記濾過助剤の付着工程、濁水を供給して濾過を行う濾過工程、濾過助剤を脱着する逆洗工程のサイクル工程とするとともに、前記濾過工程時間を3〜40分に設定するものである。前記濾過工程時間は好ましくは5〜20分に設定するのがより望ましい。
【0020】
後述の実験例で示すように、時間当たりの処理量は濾過工程時間を長くした連続運転とするよりは、むしろ濾過工程時間を比較的に短い所定時間に設定して、濾過助剤の付着工程、濁水の濾過工程、濾過助剤を脱着する逆洗工程のサイクル工程とした方が単位時間当たりの処理量が大幅に向上するとの知見に基づくものである。
【0021】
請求項5に係る本発明として、前記濾過助剤の繰り返し使用回数を6〜8回に設定してある請求項3,4いずれかに記載の濁水処理システムにおける処理方法が提供される。
【0022】
上記請求項5記載の発明は、前記濾過助剤の繰り返し使用回数を6〜8回に設定したものである。後述の実験例に示されるように、8回の使用程度までは十分な処理量を確保できるとの知見に基づくものである。
【発明の効果】
【0023】
以上詳説のとおり本発明によれば、安定的にSS:5mg/l以下の濾水を得ることができるようになるとともに、逆洗のために多くの清水を必要としない、高分子凝集剤を使用することなく無機凝集剤のみで十分な濾過が可能であるなどの利点を有する濁水処理システムとすることが可能となる。
【0024】
また、特定の濁水濾過工程の採用によって濁水処理の大幅な効率化を実現し得るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0026】
図1は本発明に係る濁水処理システム1の処理フローを示すブロック図であり、図2は本濁水処理システム1で使用する濾過装置4の一部破断正面図、図3はその構成図、図4は液体濾過フィルターエレメント9の縦断面図、図5は液体濾過フィルターエレメント9における処理手順図である。
【0027】
本濁水処理システム1は、図1に示されるように、濁水が貯留される原水タンク2と、濁水を凝集沈殿させる凝集沈降分離装置3と、凝集沈降後の濁水を濾過する濾過装置4とを含む濁水処理システムにおいて、前記濾過装置4として、コイル状に巻回された筒状体又は多数の輪状片が重ね合わされた筒状体を構成するコイル又は輪状片の隣接輪相互間に間隙が形成され、この間隙部に濾過助剤を付着させてなる1又は複数の液体濾過フィルターエレメントを備え、処理水の導入口、排出口及び導入口と排出口との間を仕切る仕切材を有する容器の中に、前記液体濾過フィルターエレメントの一端を仕切板に固定させて複数格納するとともに、逆洗用エア又は逆洗水を供給して逆洗可能としてある濾過装置を用いたものである。
【0028】
以下、更に具体的に詳述する。
【0029】
山岳トンネル又はシールドトンネルなどの各種トンネル工事、地盤改良工事、地中連続壁造成工事などの工事において発生した濁水は、まず原水槽2に貯留される。この濁水のSS(浮遊物質量)は、図示例では500〜3000mg/lである。このSS濃度は工事種毎に異なるが、一般の山岳トンネルでは、通常200〜10000mg/lの範囲であり、その平均は概ね1500〜3000mg/lの範囲である。
【0030】
前記原水槽2に貯留された濁水は、所定量づつ凝集沈降分離装置3に送られる。この凝集沈降分離装置3では、PAC(ポリ塩化アルミニウム)などの無機凝集剤が添加されるとともに、中和処理のために炭酸ガスが投入される。凝集沈降分離装置3では、無機凝集剤によって浮遊SSが凝集し沈降分離される。凝集によって沈降したフロックは、フィルタープレス7(脱水装置)に送られ、ここで脱水処理され、得られたケーキが廃棄処理される。なお、前記脱水装置としては、前記フィルタープレス7以外に、例えばロールプレス、ドラムプレス、ベルトフィルターなどの各種脱水装置を使用することができる。前記炭酸ガスは、所謂前中和処理であり、濁水を中和処理するとともに、セメントを含んだスラッジの固結を防止することができる。
【0031】
前記凝集沈降処理によって原水は、概ねSS濃度が50mg/l以下に低減されており、次に濾過装置4に送られる。
【0032】
前記濾過装置4として、本発明では特に、コイル状に巻回された筒状体又は多数の輪状片が重ね合わされた筒状体を構成するコイル又は輪状片の隣接輪相互間に間隙が形成され、この間隙部に濾過助剤が付着架橋してなる1又は複数の液体濾過フィルターエレメント9、9…を備え、処理水の導入口、排出口及び導入口と排出口との間を仕切る仕切材を有する容器の中に、前記液体濾過フィルターエレメントの一端を仕切板に固定させて複数格納するとともに、逆洗用エア又は逆洗水を供給して逆洗可能としてある濾過装置を用いるものである。
【0033】
この濾過装置4は、特開2006-272251号公報にて提案された濾過装置である。詳細な説明は同公報に譲るとして、その概略を以下に説明する。
【0034】
濾過装置4は、図2及び図3に示されるように、処理水の導入口10、処理水の排出口11、逆洗排出口12及びエアー吹込み口13を備えた容器14中に複数の液体濾過フィルターエレメント9,9…の一端が仕切板17に固定された状態で格納されたもので、前記容器14の導入口10側に設けられた圧力センサー15と、排出口11、逆洗排出口12及びエアー吹込み口13に夫々取り付けられ、圧力スイッチ18に連動して開閉する電磁弁16,16…とを備えるものである。
【0035】
前記液体濾過フィルターエレメント9について簡単に説明すると、図4に示すように、小突起21を有する線材同士が密着するように巻回し、このコイル22の両端に取付具23を備え、中心にコイルの全長よりもやや長い芯金24を入れて両端をナット25,25で固定することによって、隣接輪相互間に小突起21による微少な間隙Gを生じるのでこれを濾液通路とし、このフィルターエレメント9の周囲に濾過助剤を付着させて濾過しようとする液体を通過させるように構成されている。濾液は、導入口10から流入すると、フィルターエレメント9の外側から濾過助剤の層を通り、エレメント9の間隙部Gからエレメント9の内側に入り、エレメント9と芯金24の間を通り、エレメント9の取付具23の開口部から容器14中の仕切板17の上部にある排出口11側に流出する。容器14の内側は仕切板17によって仕切られているので、処理水と処理済み水は完全に分離される。また、前記コイル22に代えて、多数の輪状片が重ね合わされた筒状体からなるフィルターエレメントとすることも可能である。このエレメントは、前記コイルに代えて多数の輪状片が重ね合わされた筒状体としたものであって、その他の構成はコイルのものとほぼ同様である。
【0036】
前記濾過助剤としては、ケイ藻土及び添加物として、パルプ、活性炭、花崗岩、セラミック、各種樹脂、ガラス、金属、金属酸化物類等の微粒物や粉状物が濾過する液体乃至濾過する目的に応じて用いられる。前記濾過助剤としては、ケイ藻土以外に、炭素系、セルロース系、パーライト系等の平均粒径が8〜24μmの多孔質粒子を使用することも可能である。
【0037】
前記濾過助剤をコイル22の外面に付着させるには、別途設けた濾過助剤タンクから導入口10を通じて容器14内に供給することにより、微小間隙G部に最初は相対的に大径のケイ藻土微粒子が保持され、次いで保持された大径のケイ藻土微粒子間に徐々に小径のケイ藻土微粒子が保持されていく。その結果、微小間隙Gには、極めて微細な間隙(例えば、0.5〜数μmオーダー)を有する多孔質の濾過助剤微粒子群が保持されることとなる。この場合、濾過助剤タンクから前記濾過装置4へ濾過助剤を供給する供給路及び濾過装置4から濾過助剤を返送する返送路を形成し、前記濾過助剤を繰り返し使用可能とするのが望ましい。繰り返し使用回数は、後述する実験例により、6〜8回とするのが望ましい。
【0038】
前記濾過装置4では、図5に示されるように、(A)逆洗浄によりフィルター再生状態から、(B)前記濾過助剤の付着工程(以下、この工程をプリコートともいう。)、(C)濁水を供給して濾過を行う濾過工程、(D)濾過助剤を脱着する逆洗工程のサイクル工程となる。前記(B)付着工程では、ケイ藻土を供給してコイル22の外面に付着させ、前記(C)濾過工程では、導入口10から処理水を送り濾過を行い、(D)濾過助剤の脱着工程では、エアー吹込み口13からエアーを供給してコイル外面に付着している濾過助剤を脱着する。
【0039】
さらに前記濾過処理及び逆洗処理の動作について説明すると、前記濾過装置4が濾過処理中においては、圧力センサー15が感知する圧力は、圧力スイッチ18の設定圧よりも低レベルにあり、逆洗排出口12及びエアー吹込み口13の各電磁弁16,16は閉じており、処理水排出口11の電磁弁16は開いている。導入口10には逆止弁19が取り付けられていて、処理水が流入するときのみ逆止弁19が開くので、容器14の内部から凝集沈降分離装置3側に処理水が逆流することはない。濾過処理が進行してフィルターエレメント9が目詰まり状態になり、圧力センサー15の検出値が導入口10側の圧力が圧力スイッチ18の設定圧に達すると、圧力スイッチ18の電気信号によって排出口11の電磁弁16が閉じて逆洗排出口12及びエアー吹き込み口13の各電磁弁16,16のソレノイドを動かして弁を開くとともに逆洗が開始される。
【0040】
即ち、エアー吹き込み口13から吹き込まれた高圧エアーがフィルターエレメント9の上方からフィルターエレメント9の内部に導かれ、フィルターエレメント9を内側から僅かに拡張させるので、フィルターエレメント9の筒状体を構成するコイル又は輪状片の隣接輪相互間の間隙が2〜10ミクロン程度広がり、間隙部に付着していた濾過助剤がエアーの勢いによって紛状になって除去される。エアーが混在した逆洗排水は逆洗排出口12から容器14の外部に排出される。一定時間逆洗が行われた後、タイムスイッチにより各電磁弁16が元の状態に復帰して逆洗が終了し、再び濾過処理が開始される。このように圧力センサー15が導入口10側の圧力を感知し、圧力スイッチ18によって各電磁弁16が開閉して自動的に逆洗が行われるので連続運転が可能となる。なお、検知圧力は排出口側の圧力を測定するようにしてもよい。
【0041】
前記逆洗のタイミングを圧力センサー15に連動して行うのに代えて、濾過装置4による濾過処理時間を測定するタイマーに連動するように設定してもよい。この場合は、濾過工程時間を後述する実験例に示すように、3〜40分、好ましくは5〜20分に設定するのが望ましい。
〔濁水処理システム1のシステム構成形態例〕
次に、前記濁水処理システム1のシステム構成例を図6〜図8に示す。図6は、プリコート工程時における状態を示し、図7は濾過工程時における状態を示し、図8は濾過助剤の脱着工程時の状態を示してある。
【0042】
システム構成は、濾過助剤補給タンク30、一次プリコートタンク31,二次プリコートタンク32と、凝集沈降分離装置3からの濁水処理水槽33(シックナー処理水槽)とを備えるとともに、2つの濾過装置4A、4Bを備え、更に濾過装置4A、4Bに逆洗用エアを供給するコンプレッサー36と、濾過装置4A、4Bによる濾水処理水槽34と、濾過助剤の廃棄用タンク35とを備え、これら各タンク、装置間が管路によって結ばれている。
【0043】
先ず、前記濾過助剤補給タンク30は、ケイ藻土などを主剤とする濾過助剤が投入されるタンクであり、前記一次プリコートタンク31は、前記濾過助剤補給タンク30から濾過助剤が輸送され、処理開始時又は濾過助剤の廃棄後に使用する新たな濾過助剤を調整し、フィルターエレメント9に供給する際に使用され、前記二次プリコートタンク32は、濾過助剤を繰り返し使用する際に、濾過装置4A、4Bとの間で、濾過助剤の供給と返送とを行うためのものである。
【0044】
図6に示されるプリコート工程時には、前記一次プリコートタンク31に貯留されている濾過助剤が、太線で示された管路を通り、導入口10側から濾過装置4A、4Bに供給され、濾過助剤がフィルターエレメント9のコイル22の外面に付着される。液体分については、一次プリコートタンク31まで返送される。
【0045】
次いで、濾過工程では、図7に示されるように、濁水処理水槽33に貯留されている処理水が、太線で示された管路を通り、導入口10側から濾過装置4A、4Bに供給され、処理水の濾過が行われる。濾過後の処理水は、流量計にて流量が管理されるとともに、処理水槽34に投入される。この濾過工程では、濾過装置4A、4Bが交互に使用されることにより連続処理を可能としている。使用されていない濾過装置4A(4B)では、プリコート工程又は濾過助剤の脱着工程が行われる。
【0046】
図8に示される濾過助剤の脱着工程では、コンプレッサー36から太線で示された管路を通り、エア吹込み口13から濾過装置4A、4Bに逆洗用エアが送られ、付着していた濾過助剤の脱着が行われる。脱着された濾過助剤は、導入口10を通り、二次プリコートタンク32に送られる。脱着後に、再び濾過助剤をフィルターエレメント9に付着させるには、二次プリコートタンク32から濾過装置4A(4B)まで供給される。濾過助剤を複数回、本発明に従って6〜8回繰り返し使用したならば、コンプレッサー36から送られたエアによって脱着が行われ、逆洗排出口12を通り、エア吹込み口13から濾過装置4A、4Bに逆洗用エアが送られ、濾過助剤が廃棄用タンク35に送られる。
【実施例】
【0047】
本発明に係る濁水処理システム1において、より効率的な濁水処理を実現するために各種の実験を行った。
【0048】
1.SSとフィルター能力の関係
(1)ろ過時間と累積処理量の関係
投入水のSSを300、200、100、50、25mg/l毎にろ過時間と累積処理量を求めた。結果は、図9に示すとおりである。
【0049】
SSが高くなるほど、累積処理量が減少している。また、ある一定時間経過すると、勾配が緩やかとなり累積処理量の増加度合が鈍る傾向を示す(SS:25mg/lは15分経過時、SS:50mg/lは12分経過時、SS:100mg/lは9分経過時、SS:200mg/lは6分経過時、SS:300mg/lは3分経過時)。これは、ある一定の目詰まりを超えれば、目詰まりが急激に進み、SSが高い程、一定の目詰まり状態に早く到達するからと思われる。
【0050】
(2)ろ過時間と1時間当り処理量の関係
上記(1)より、ある一定時間経過後、処理量の急激な低下が見られる。目詰まりの進行したケイ藻土(濾過助剤)を継続して使用するより、新たな珪藻土でろ過した方が、時間当たりの処理量は増えるのではないかとの視点に立ち、このことを確認するために図9の結果を以下のように整理し直した。
【0051】
1時間当り処理量=累積処理量×60/(ろ過時間+7) ここで、数字の「7」は、目詰まりしたケイ藻土を除き、新たなケイ藻土をプリコートするまでの時間である。
【0052】
たとえば、ろ過時間が15分で処理量が724lの場合、1時間当り処理量は、724×60/(15+7)で1975(l)となる。このようにして、整理したものが、図10である。図を見れば、最大値となる濾過時間は、SS:25mg/lで15分、SS:50mg/l及び100mg/lで12分、SS:200及び300mg/lで9分である。長時間、連続的にろ過するよりも、短時間でケイ藻土をリセットし直したほうが、時間当りの処理量は増加することが確認された。
【0053】
以上より、濾過時間を、3〜40分、好ましくは5〜20分に設定し、濾過助剤の付着架橋工程、濁水を供給して濾過を行う濾過工程、濾過助剤を脱着する逆洗工程を繰り返し行うことが、単に連続的に処理するよりは遙かに効率が良いことが知見された。
【0054】
(3)フィルター本数とSSの関係
上記(2)より、濾過時間を15分とした場合の各SSの1時間当り処理量は、SS:25mg/lで1975(l)/hr、SS:50mg/lで1412(l)/hr 、SS:100mg/lで1239(l)/hr 、SS:200mg/lで896(l)/hr 、SS:300mg/lで687(l)/hr である。
【0055】
これらを基に、SS:30m3/hr処理するのに必要なフィルター本数を求めた。SS:25 mg/lで365本、SS:50mg/lで510本、SS:100mg/lで581本、SS:200mg/lで804本、SS:300mg/lで1048本である。この関係を図11に示した。これらの5点から、(フィルター本数)=2.3354×(SS)+346.3の近似式が得られた。
【0056】
(4)ろ過時間と処理水SSの関係
投入水のSS毎に処理水のSSをまとめたのが図12である。SS:300mg/l以外は、濾過直後、SS:1.0〜1.6mg/l程度であるが、時間とともに下がり、5分後には、SS:1.0mg/l以下となる。10分以降、SS:0.6mg/l以下を維持する。SS:300mg/lにおいては、直後から、SS:0.5mg/l以下を維持できる。これは、投入水のSS分が、初期の段階で目詰まりを起こし、ろ過精度を上げているものと考える。
【0057】
(5)ケイ藻土の再利用回数
ケイ藻土の再利用の可能性を検討するために、15分間濾過した後に、逆洗し集め、再度このケイ藻土を再利用し、濾過を行ってみた。(逆洗時のSS分も全て回収し、プリコートした。)投入水のSSは、100mg/l、25mg/lとした。結果は、図13に示すとおりである。
【0058】
SS:25mg/lにおいては、2回目は、2100(l)/hrから1500(l)/hrに下がるが、その後、回数を増やしても、1600(l)/hr前後を維持する。SS:100mg/lにおいては、8回目までは、1回目と同程度を維持するが、9回目以降、徐々に低下する。
【0059】
以上より、SS:100mg/l以下の投入水においては、6〜8回程度の再利用が可能と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る濁水処理システム1の処理フローを示すブロック図である。
【図2】本濁水処理システム1で使用する濾過装置4の一部破断正面図である。
【図3】濾過装置4の構成図である。
【図4】液体濾過フィルターエレメント9の縦断面図である。
【図5】液体濾過フィルターエレメント9における処理手順図である。
【図6】濁水処理システム1のシステムの構成形態例及びプリコート工程を示す図である。
【図7】濁水処理システム1のシステムの構成形態例における濾過工程を示す図である。
【図8】濁水処理システム1のシステムの構成形態例における濾過助剤の脱着工程を示す図である。
【図9】実施例における「(1)ろ過時間と累積処理量の関係」を示すグラフである。
【図10】実施例における「(2)ろ過時間と1時間当り処理量の関係」を示すグラフである。
【図11】実施例における「(3)フィルター本数とSSの関係」を示すグラフである。
【図12】実施例における「(4)ろ過時間と処理水SSの関係」を示すグラフである。
【図13】実施例における「(5)ケイ藻土の再利用回数」を示すグラフである。
【図14】従来の濁水処理システム1の処理フローを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
1…濁水処理システム、2…原水槽、3…凝集沈降分離装置、4…濾過装置、5…水質管理槽、6…放流槽、7…フィルタープレス、9…液体濾過フィルターエレメント、10…処理水導入口、11…処理水排出口、12…逆洗排出口、13…エアー吹込み口、14…容器、15…圧力センサー、16…電磁弁、17…仕切板、18…圧力スイッチ、21…小突起、22…コイル、23…取付具、24…芯金、25…ナット、G…間隙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濁水が貯留される原水タンクと、濁水を凝集沈殿させる凝集沈降分離装置と、凝集沈降後の濁水を濾過する濾過装置とを含む濁水処理システムにおいて、
前記濾過装置として、コイル状に巻回された筒状体又は多数の輪状片が重ね合わされた筒状体を構成するコイル又は輪状片の隣接輪相互間に間隙が形成され、この間隙部に濾過助剤を付着させてなる1又は複数の液体濾過フィルターエレメントを備え、処理水の導入口、排出口及び導入口と排出口との間を仕切る仕切材を有する容器の中に、前記液体濾過フィルターエレメントの一端を仕切板に固定させて複数格納するとともに、逆洗用エア又は逆洗水を供給して逆洗可能としてある濾過装置を用いたことを特徴とする濁水処理システム。
【請求項2】
前記濾過装置を2つ並設し、これら濾過装置を交互に使用することにより、濾過工程を連続的に行うようにしてある請求項1記載の濁水処理システム。
【請求項3】
濾過助剤タンクを備え、前記濾過装置へ濾過助剤を供給する供給路及び濾過装置から濾過助剤を返送する返送路を形成し、前記濾過助剤を繰り返し使用可能としてある請求項1,2いずれかに記載の濁水処理システム。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の濁水処理システムにおける濾過装置の処理手順は、前記濾過助剤の付着工程、濁水を供給して濾過を行う濾過工程、濾過助剤を脱着する逆洗工程のサイクル工程とするとともに、前記濾過工程時間を3〜40分に設定することを特徴とする濁水処理システムにおける処理方法。
【請求項5】
前記濾過助剤の繰り返し使用回数を6〜8回に設定してある請求項3,4いずれかに記載の濁水処理システムにおける処理方法。
【請求項1】
濁水が貯留される原水タンクと、濁水を凝集沈殿させる凝集沈降分離装置と、凝集沈降後の濁水を濾過する濾過装置とを含む濁水処理システムにおいて、
前記濾過装置として、コイル状に巻回された筒状体又は多数の輪状片が重ね合わされた筒状体を構成するコイル又は輪状片の隣接輪相互間に間隙が形成され、この間隙部に濾過助剤を付着させてなる1又は複数の液体濾過フィルターエレメントを備え、処理水の導入口、排出口及び導入口と排出口との間を仕切る仕切材を有する容器の中に、前記液体濾過フィルターエレメントの一端を仕切板に固定させて複数格納するとともに、逆洗用エア又は逆洗水を供給して逆洗可能としてある濾過装置を用いたことを特徴とする濁水処理システム。
【請求項2】
前記濾過装置を2つ並設し、これら濾過装置を交互に使用することにより、濾過工程を連続的に行うようにしてある請求項1記載の濁水処理システム。
【請求項3】
濾過助剤タンクを備え、前記濾過装置へ濾過助剤を供給する供給路及び濾過装置から濾過助剤を返送する返送路を形成し、前記濾過助剤を繰り返し使用可能としてある請求項1,2いずれかに記載の濁水処理システム。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の濁水処理システムにおける濾過装置の処理手順は、前記濾過助剤の付着工程、濁水を供給して濾過を行う濾過工程、濾過助剤を脱着する逆洗工程のサイクル工程とするとともに、前記濾過工程時間を3〜40分に設定することを特徴とする濁水処理システムにおける処理方法。
【請求項5】
前記濾過助剤の繰り返し使用回数を6〜8回に設定してある請求項3,4いずれかに記載の濁水処理システムにおける処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−119982(P2010−119982A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297779(P2008−297779)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)
【出願人】(596002549)株式会社モノベエンジニアリング (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)
【出願人】(596002549)株式会社モノベエンジニアリング (7)
【Fターム(参考)】
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