説明

炊飯器

【課題】食味を向上させ、また加熱により蓋や蓋加熱手段などが温度上昇して変形や故障することがない炊飯器を提供すること。
【解決手段】所定の工程において、所定の時間以内において温度検知手段17による検知温度が所定の温度を超えたときに水が無いと判断するようにし、さらに蓋加熱板8の加熱量、所定の時間、所定の温度を検知温度に応じて可変することで構成された水有無検知手段が蓋加熱板8に貯えられた水の有無を検知した情報を基に、水が有る場合と水が無い場合それぞれの炊飯プログラムを設け、蓋加熱板8に水が供給されない、もしくは炊飯途中で蓋加熱板8に貯溜される水がなくなった場合でも、蓋加熱板8の温度上昇による鍋2内上層の飯の乾燥を低減することで、食味を向上させ、また温度上昇して変形や故障することをなくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食味を向上させるために、水の沸点以上の蒸気を利用する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な家庭用の炊飯器においては、鍋内の米と水を加熱するために鍋底部に配置した鍋加熱手段が主であり、蓋内の加熱手段は鍋内の米、水の上方の空間を介するため、結果的に、補助的な加熱となる。よって、鍋内上層の米は加熱量が不足し、鍋内の米、水を均一な加熱をすることができなかった。
【0003】
さらに、本来炊飯においては、水がほぼ無くなり米の流動性がなくなる、炊飯の最終工程である、蒸らし工程で、それまでの加熱を継続し、米澱粉の糊化を完成させることが、美味なる飯を炊くために必須であるが、この工程で、加熱を継続すると鍋底付近の飯が焦げてしまうため加熱を弱めることが多かった。
【0004】
加熱を弱めることに伴う糊化不足を防止し、食味を向上させるための手段としては、蓋内にあらかじめ水を貯留し前記水から蒸気を発生させ上部の加熱を促進する炊飯器が提案されている。
【0005】
図10はその具体的な構成を示すもので、炊飯器101は着脱自在に鍋102を収納するため、有底筒状の鍋収納部103を有す。
【0006】
鍋収納部103の底部、および側部には、鍋102を誘導加熱する鍋加熱コイル104,105が設けられている。
【0007】
106は底温度センサーで、鍋102の底面と当接するよう構成されている。制御手段107は炊飯器101の動作を制御する。
【0008】
また、炊飯器101の後部に軸支され、鍋102の上部を開閉する蓋108を備えている。
【0009】
蓋108には蓋加熱コイル109で誘導加熱される蓋加熱板110が設けられている。蓋加熱板110は蓋加熱板蒸気口111を有しており、蓋108の天面には蓋蒸気口112が設けられ、鍋102の内部は機外と連通して大気圧となっている。
【0010】
蒸気口パッキン113は、蓋加熱板110と蓋108に挟持されており、鍋パッキン114は、蓋108の閉時に蓋加熱板110と鍋102の上縁外周部にあるフランジ部の間で挟持されている。
【0011】
また、蓋加熱板110上には、水を貯溜するとともに、蓋加熱コイル109の誘導加熱作用で蒸気を生成する蒸気発生部115が形成されている。
【0012】
さらに、蒸気発生部115で発生した蒸気は、図示していない空間領域を蒸気投入口へと移動して鍋102の内部へと投入される。蓋加熱板110は全体が所定の高温度に維持されており、特に蒸気の通過部分を高温度にすることで、過熱蒸気を生成するようにしてある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−160917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記の従来の構成の炊飯器では、使用者が誤って給水容器に水を入れないと、蓋加熱板に貯溜される水がなく、また十分な水を供給しないと、炊飯途中でなくなってしまい、蓋加熱板の温度上昇により鍋内上層の飯の水分が蒸発して乾燥し、逆に食味を低下させる恐れがある。また、蓋や蓋加熱手段などが温度上昇して変形や故障する恐れがあるという課題を有していた。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、蓋加熱板に水が供給されない、もしくは炊飯途中で蓋加熱板に貯溜される水がなくなった場合でも、蓋加熱板の温度上昇による鍋内上層の飯の乾燥を低減することで、食味を向上させ、また、加熱により蓋や蓋加熱手段などが温度上昇して変形や故障することがない炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するもので、炊飯器の本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う開閉自在な蓋と、前記鍋内を上方から加熱する蓋加熱板と、前記蓋加熱板を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱板に形成した蒸気発生部と、前記蒸気発生部で生成した蒸気を加熱する蒸気加熱部と、前記蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を温度検知手段により検知する水有無検知手段とを具備し、前記水有無検知手段は、所定の工程において所定の時間以内に前記温度検知手段による検知温度が所定の温度を超えたときに水が無いと判断し、前記所定の工程における蓋加熱手段による蓋加熱板の加熱量、前記所定の時間、前記所定の温度のいずれか、あるいはその組合せは、前記所定の工程初期における前記温度検知手段による検知温度に応じて可変され、前記水有無検知手段が蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を検知した情報を基に、水が有る場合、水が無い場合それぞれの炊飯プログラムを実行させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の炊飯器は、鍋内の米、水の加熱において不足する上方からの加熱を行い、かつ上方の乾燥を防止する炊飯器において、蓋加熱板に水が供給されない、もしくは炊飯途中で蓋加熱板に貯溜される水がなくなった場合でも、蓋加熱板の温度上昇による鍋内上層の飯の乾燥を低減することで、食味を向上させ、また加熱により蓋や蓋加熱手段などが温度上昇して変形や故障することがなくなり、より信頼性の高い炊飯器を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の発明は、炊飯器の本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う開閉自在な蓋と、前記鍋内を上方から加熱する蓋加熱板と、前記蓋加熱板を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱板に形成した蒸気発生部と、前記蒸気発生部で生成した蒸気を加熱する蒸気加熱部と、前記蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を温度検知手段により検知する水有無検知手段とを具備し、前記水有無検知手段は、所定の工程において所定の時間以内に前記温度検知手段による検知温度が所定の温度を超えたときに水が無いと判断し、前記所定の工程における蓋加熱手段による蓋加熱板の加熱量、前記所定の時間、前記所定の温度のいずれか、あるいはその組合せは、前記所定の工程初期における前記温度検知手段による検知温度に応じて可変され、前記水有無検知手段が蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を検知した情報を基に、水が有る場合、水が無い場合それぞれの炊飯プログラムを実行させるようにしたものである。
【0018】
これにより、蓋加熱板の温度上昇による鍋内上層の飯の乾燥を低減し、食味を向上させ
るとともに、加熱により蓋や蓋加熱手段が温度上昇して変形や故障することをなくした炊飯器を提供することができる。
【0019】
また、水有無検知手段を温度検知手段で構成したことにより、蓋加熱板に貯溜される水の有無を検知するだけでなく、貯溜されている水の温度を検知することができる。
【0020】
よって、蓋加熱板に貯溜される水を沸騰する100℃直前まで、上昇させた状態で保持して、蒸気を鍋内に投入するタイミングに合わせて蒸気を投入できるので、食味をさらに向上した炊飯器を提供することができる。
【0021】
また、水有無検知手段は、所定の工程において所定の時間以内に前記温度検知手段による検知温度が所定の温度を超えたときに水が無いと判断することで構成され、所定の工程における前記蓋加熱手段による前記蓋加熱板への加熱量と、前記所定の時間と、前記所定の温度とのいずれか、あるいはその組合せを、所定の工程初期における、温度検知手段による検知温度に応じて可変することにより、より精度の高い水有無検知を行うことができ、より信頼性を向上させることができる。
【0022】
第2の発明は、前記第1の発明において、前記所定の工程初期における前記温度検知手段による検知温度が所定の温度より低い場合には、前記所定の工程における蓋加熱手段による蓋加熱板の加熱量を大きくする、あるいは前記所定の時間を長くする、あるいは、前記所定の温度を低くする、あるいはそれらを組合わせてなり、前記所定の工程初期における前記温度検知手段による検知温度が所定の温度より高い場合には、前記所定の工程における前記蓋加熱手段による前記蓋加熱板への加熱量を小さくする、あるいは前記所定の時間を短くする、あるいは、前記所定の温度を高くする、あるいはそれらを組合せてなり、前記所定の工程初期における、前記温度検知手段による検知温度が所定の温度より高い場合には、前記所定の工程における前記蓋加熱手段による前記蓋加熱板への加熱量を小さくする、あるいは前記所定の時間を短くする、あるいは、前記所定の温度を高くする、あるいはそれらを組合せてなることにより、より精度の高い水有無検知を行うことができ、より信頼性を向上させることができる。
【0023】
第3の発明は、炊飯器の本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う開閉自在な蓋と、前記鍋内を上方から加熱する蓋加熱板と、前記蓋加熱板を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱板に形成した蒸気発生部と、前記蒸気発生部で生成した蒸気を加熱する蒸気加熱部と、前記蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を温度検知手段により検知する水有無検知手段と、炊飯メニューを選択するメニュー選択手段とを備え、前記水有無検知手段は、所定の工程において所定の時間以内に前記温度検知手段による検知温度が所定の温度を超えたときに水が無いと判断し、前記所定の工程における前記蓋加熱手段による前記蓋加熱板の加熱量と、前記所定の時間と、前記所定の温度とのいずれか、あるいはその組合せは、前記メニュー選択手段により選択された炊飯メニューに応じて可変され、前記水有無検知手段が前記蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を検知した情報を基に、水が有る場合と水が無い場合とでそれぞれの炊飯プログラム実行させることにより、炊飯メニューに応じてより精度の高い水有無検知を行うことができ、より信頼性を向上させることができる。
【0024】
第4の発明は、炊飯器の本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う開閉自在な蓋と、前記鍋内を上方から加熱する蓋加熱板と、前記蓋加熱板を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱板に形成した蒸気発生部と、前記蒸気発生部で生成した蒸気を加熱する蒸気加熱部と、前記蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を温度検知手段により検知する水有無検知手段と、炊飯中の米の炊飯量を判定する炊飯量判定手段とを備え、前記水有無検知手段は、所定の工程において所定の時間以内に前
記温度検知手段による検知温度が所定の温度を超えたときに水が無いと判断し、前記所定の工程における前記蓋加熱手段による前記蓋加熱板の加熱量と、前記所定の時間と、前記所定の温度とのいずれか、あるいはその組合せは、前記炊飯量判定手段により判定された炊飯量に応じて可変され、前記水有無検知手段が前記蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を検知した情報を基に、水が有る場合と水が無い場合とでそれぞれの炊飯プログラムを実行させることにより、炊飯量に応じてより精度の高い水有無検知を行うことができ、より信頼性を向上させることができる。
【0025】
第5の発明は、前記第1〜4いずれか一つの発明において、蓋の開閉を検知する蓋開閉検知手段を備え、前記水有無検知手段は、前記所定の工程において、蓋開閉検知手段が蓋開を検知した場合には水が無いと判断することにより、加熱により蓋や蓋加熱手段が温度上昇して変形や故障することをなくした炊飯器を提供することができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
図1〜図4において、1は炊飯器の本体で、着脱自在の鍋2を内装している。さらに、鍋2の上面を覆う蓋3が開閉自在に設置されている。
【0028】
また、4は鍋2を加熱する鍋加熱手段、5は鍋2の温度を検知する鍋温度検知手段で、本体1内部に配置してある。
【0029】
蓋3には蒸気となる水を蓄える給水タンク6が着脱自在に取付けられており、ポンプ7を介して前記給水タンク6の水をステンレスなどの磁性材からなる蓋加熱板8に供給するようにしている。
【0030】
前記蓋加熱板8には水を貯留する凹部状の蒸気発生部9を備えている。図2に示すように、蒸気発生部9は凸部10により2分割されている。
【0031】
また、蒸気発生部9には5度の傾斜が設けられ、炊飯器が傾斜したところに置かれ、且つ水が少なくなったときでも常に水が所定位置に貯留するようにしている。
【0032】
11は鍋2内に前記蒸気発生部9で発生した水蒸気を供給する蒸気噴出口で、前記蒸気発生部9と対角の位置に設けられている。
【0033】
12は前記蓋加熱板8に対向して設けた非磁性材製の蓋カバー、13は前記蓋カバー12の上面に設けられ、前記蓋加熱板8の中心の略真上に中心を有する誘導コイルからなる蓋加熱手段である。
【0034】
また、前記蓋加熱板8の蒸気発生部9の凹部形状に合わせて蓋加熱手段13も凹部形状に設定してある。
【0035】
そして、蓋加熱手段13には誘導コイルからなる補助加熱手段14が直列に接続されており、前記凸部10を加熱する位置に設けられている。
【0036】
15はフェライトで、蓋加熱手段13の上で、且つ投影位置で蒸気発生部9の位置に設けている。蓋加熱手段13、及びフェライト15の上にはアルミニウム製の蓋反射板16を配置している。
【0037】
17は水有無検知手段を構成する温度検知手段で、前記蓋カバー12に取り付られている。
【0038】
図3に示すように、この温度検知手段17は温度により抵抗値を変える蓋サーミスタ18と、前記蓋サーミスタ18の後方から出ている2本のサーミスタリード線19を貫通するサーミスタ碍子20が前記サーミスタ18のガラス部と溶着されている。
【0039】
前記サーミスタリード線19の外周には絶縁チューブ21が設けられて相互の短絡を防止している。
【0040】
蓋サーミスタ18は有底筒状のアルミニウムやステンレスでできたコンタクト22に内装保持されている。
【0041】
蓋サーミスタ18の先端は、ポリイミドフィルム等の樹脂製のフィルムでできた絶縁フィルム23を介してコンタクト22の底面部に当接しており、また、側面外側には樹脂製のホルダー24が設けられ蓋サーミスタ18の姿勢を安定させると共に、コンタクト22とサーミスタリード線19の沿面距離を増やし、コンタクト22に人間等から入る静電気を防止する。
【0042】
コンタクト22は蓋加熱板8を蓋3に装着したときに、同蓋加熱板8の凸部10で、且つ補助加熱手段14の中心部に当接する位置に設けられ、蓋加熱板8の凸部10の温度を検出する。
【0043】
回路基板25にはマイクロコンピュータ(図示しない)が搭載されている。マイクロコンピュータはソフトウエアにより、鍋加熱手段4及び蓋加熱手段13を制御する。
【0044】
26は蓋カバー12の外周部に設けられたパッキンで、前記蓋加熱板8、及び蓋カバーとで蒸気加熱部27を構成する。
【0045】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0046】
まず、炊飯を行う米とその米量に対応する水を鍋2に入れ、本体1の所定の状態に内装する。
【0047】
さらに給水タンク6内に所定量の水を入れて本体1にセットし、炊飯開始スイッチ(図示せず)を使用者が操作すると、マイクロコンピュータに記憶させている所定のプログラムにしたがってポンプ7を駆動し、給水タンク6に入れた水を蒸気発生部9に貯留させ、炊飯工程を実施する。
【0048】
炊飯工程は、浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程で進行していく。蒸気発生部9に貯留された水は炊飯中に発生する蒸気の潜熱と熱交換され、炊き上げ工程後半には、沸騰状態となる。
【0049】
蒸らし工程に入ると、まず水有無検知工程が実施される。水が有ると判断すると、蓋加熱手段13により蓋加熱板8が加熱され、沸騰状態にある水の一部が直ちに蒸発して蒸気を出す。
【0050】
この蒸気が蒸気加熱部27を通過する間にさらに蓋加熱板8で加熱されて100℃以上の過熱蒸気となり、蒸気噴出口11より鍋2内に放出される。
【0051】
これにより、米の乾燥を防止しつつ、鍋2内の底部の残留水分を除去して米の糊化を促進させることができ、おいしい飯を炊き上げることができる。
【0052】
蒸気発生部9に水が有る場合は、これを2分する凸部10も水近傍に位置するため、その凸部10の温度も水の温度とほぼ同様になっており、これにより、凸部10に当接する温度検知手段17により水の温度を検知することができる。
【0053】
したがって、鍋2内に蒸気を投入する直前に蒸気発生部9の水の温度が適温(例えば、96℃)になるように、温度検知手段17によって蒸気発生部9に貯溜された水の温度を制御することにより、炊飯中の所定の適確なタイミングで過熱蒸気を鍋2内に投入することができる。
【0054】
水有無検知工程については、図5、図6に示すような工程を設ける。図5でθは鍋温度検知手段5の検知温度、Aは水が有る場合の蓋サーミスタ18の検知温度、B−2は水がない場合の蓋サーミスタ18の検知温度、aは水が有る場合の炊飯プログラム、b−2は水が無い場合の炊飯プログラムを示す。
【0055】
まず、蒸らし工程を開始すると、時間カウントを開始すると同時に、蓋加熱手段13によって蓋加熱板8の加熱を行う。
【0056】
使用者が所定量の水を給水タンク6に入れている場合、蒸気発生部9に加えられた熱量は水の気化熱として使用されるため、蒸気発生部9の温度は水の沸点である100℃近傍であり、凸部10の温度も同様に100℃近傍である。
【0057】
また、蒸気発生部9の空間には、沸騰状態にある水から蒸発した蒸気が満たされているため、コンタクト22を介した蓋サーミスタ18の検知温度は100℃近傍になっている。
【0058】
これに対して、使用者が所定量より少ない水を給水タンク6に入れている場合、蓋加熱手段13によって蓋加熱板8の加熱を続けると、蒸気発生部9に貯水された水は沸騰し、工程途中で水がなくなるので、あるいは使用者が給水タンクに水を入れ忘れた場合は蒸気発生部9の水がないので、蓋加熱手段8によって加熱を続けると、蒸気発生部9は水の沸点である100℃を超える温度に上昇し、凸部10も同時に100℃を超える温度に上昇する。
【0059】
したがって、所定の時間t2(例えば80秒)以内に、蓋サーミスタ18の温度が所定の温度T2(例えば110℃)を検知すると、水が無いとし、所定の時間t2内に所定の温度T2を検知しないと水が有るとすることにより、水の有無を検知し、水の有無に適したそれぞれの炊飯プログラムを動作させることができる。
【0060】
ここで、水有無検知工程における、蓋加熱手段13による蓋加熱板8の加熱量は、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度に応じて可変される。
【0061】
水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が所定の温度、例えば96℃より低い場合には、蓋加熱板8の加熱量を増大することにより、凸部10も速やかに加熱され、蓋サーミスタ18の温度も早く上がり、水が所定量以下であれば早期に所定量の水が無いと判断することができ、蓋加熱板8の温度上昇による鍋2内上層の飯の乾燥を低減することで、食味を向上させるとともに、より早期に蓋カバー12、蓋加熱手段13の温度上昇を抑制し、変形や故障の恐れを防止することができる。
【0062】
また、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が所定の温度より高い場合には、蓋加熱板8の加熱量を低減することにより、蒸気発生部9に水が無い場合に蓋加熱板8が過度に温度上昇することを低減することができ、鍋2の内部上層の飯の乾燥を低減することで、食味を向上させるとともに、蓋加熱板8に隣接する蓋カバー12、蓋加熱手段13の過度の温度上昇を抑制し、変形や故障を防止することができる。
【0063】
また、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が所定の温度より低い場合には、水が所定量以下である場合でも、所定の温度まで到達する時間が長く必要となるため、所定の時間t2を長くする(例えば120秒)ことにより、所定量の水がないにもかかわらず、所定量の水があると誤検知することを防止できる。
【0064】
同様に、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が所定の温度T2より高い場合には、所定の温度まで到達する時間が短くなるため、所定の時間t2を短く可変する(例えば60秒)ことにより、水が所定量の水があるにもかかわらず、所定の時間までに水がなくなり、所定量の水がないと誤検知することを防止できる。
【0065】
また、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が所定の温度T3より低い場合には、水が所定量以下である場合でも、所定の温度T2までより大きな温度上昇が必要となるため、所定の温度T2を低く可変する(例えば105℃)ことにより、早期に水が無いと判断することができ、蓋加熱板8の温度上昇による鍋2の内部上層の飯の乾燥を低減することで、食味を向上させるとともに、より早期に蓋カバー12、蓋加熱手段13の過度の温度上昇を抑制し、変形や故障の恐れを防止することができる。
【0066】
同様に水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が所定の温度T3より高い場合には、所定の温度T2までに要する温度上昇が小さくなるため、所定の温度T2を高く可変する(例えば115℃)ことにより、水が所定量の水があるにもかかわらず、所定の時間までに水がなくなり、所定量の水がないと誤検知することを防止できる。
【0067】
さらに、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度に応じて、蓋加熱板8の加熱量、所定の時間t2、所定の温度T2を組み合わせて可変させることにより、より精度の高い水有無検知を行うことができる。
【0068】
以上のように、時間内の蓋サーミスタ18の検知温度の上昇により、蒸気発生部9の水の有無を判断することにより、蓋加熱板8の温度に応じた、精度の高い水有無検知を行うことができ、より信頼性向を向上させることができる。
【0069】
なお、蓋加熱手段13により加熱を行う際、同時に補助加熱手段14によっても加熱されるため、凸部10のコンタクト22との接触部も速やかに加熱され、蓋サーミスタ18の温度も早く上がり、早期に水が無いと判断することができ、より早期に蓋カバー12、蓋加熱手段13の過度の温度上昇を抑制し、変形や故障を防止することができる。
【0070】
また、水有無検知工程は、蓋加熱手段13による蓋加熱板8の加熱を間欠的に行うことで、蓋加熱板8の加熱量を低減することにより、蒸気発生部9に水が無い場合に蓋加熱板8が過度に温度上昇することを低減することができ、蓋加熱板8に隣接する蓋カバー12、蓋加熱手段13の過度の温度上昇を抑制し、変形や故障の恐れを防止することができるものである。
【0071】
なお、蓋加熱板8の加熱を間欠的に行わなくても、単位時間当たりの加熱量を減少させることで、総加熱量を低減しても同様の効果が得られる。
【0072】
図7は、LCD29からなる報知手段30を蓋3などに配置した例で、このLCD29は炊飯残時間などの炊飯に関する情報の表示機能も兼ねている。炊飯途中で水無しと検知した場合には、LCD29により「給水タンク水不足」という表示を点灯させることで、使用者が炊飯前に所定量の給水タンク6に水を供給していなかったことを報知し、次回以降の炊飯では事前に給水タンク6に所定量の水を入れることを促すことができる。
【0073】
これにより、炊飯前に所定量の水を給水タンク6に入れない機会を低減することができる。
【0074】
なお、報知手段30は、他の言葉や絵などを使用して表示しても良いし、音や、音声、光など他の手段や、点滅など他の方法でも水の不足を報知できればよい。また、報知手段30は、炊飯に関する情報の表示手段とは別に、独立して設けてもよいし、何らかの表示手段と一体でもよい。
【0075】
さらに、炊飯途中の水有無検知工程において、水無しという報知は炊飯が終了してから行うと、使用者が炊飯中に「給水タンク水不足」の表示に気がつき、給水しようとして蓋3を開放し、鍋2内の蒸気が炊飯器の本体1外に漏れ出すことを低減することができるのでよい。
【0076】
また、炊飯途中に水無しと判定すると水がない場合の炊飯プログラムで炊飯を行う場合には、炊飯途中で使用者が給水しても蒸気を発生させないので、炊飯途中に使用者が無駄に給水することを低減することができる。
【0077】
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態2を示し、図1と同機能をもつ構成部分には同一符号を付し、具体的な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0078】
本実施の形態では、炊飯メニューを選択する炊飯メニュー選択手段31を本体1に設けたものである。
【0079】
炊飯メニュー選択手段31は、使用者の判断で少なくとも2つ以上ある炊飯メニューの中から所望の炊飯メニューを選択するものである。
【0080】
以下その動作、作用を説明する。
【0081】
まず、炊飯を行う米とその米量に対応する水を鍋2に入れ、本体1の所定の状態に内装する。
【0082】
さらに、給水タンク6内に所定量の水を入れて本体1にセットし、炊飯メニュー選択手段31により、所望の炊飯メニューを選択した後、炊飯開始スイッチ(図示せず)を使用者が操作すると、各炊飯メニュー毎にマイクロコンピュータに記憶させている少なくとも2つ以上ある所定のプログラムの中から、炊飯メニュー選択手段31により、選択された炊飯メニューが選択され、選択されたプログラムにしたがってポンプ7を駆動し給水タンク6に入れた水を蒸気発生部9に貯留させるとともに、炊飯工程が実施される。
【0083】
炊飯工程は、浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程で進行していき、鍋2内の米と水の状態が適正値として設定された温度や時間、加熱量で制御される。
【0084】
各工程における温度や時間、加熱量は各炊飯メニューに応じて異なり、最適な炊飯がで
きるように設定されている。
【0085】
蒸気発生部9に貯留された水は炊飯中に発生する蒸気の潜熱により蓋加熱板8の蒸気発生部9で熱交換され、炊き上げ工程後半には、沸騰状態となる。
【0086】
蒸らし工程に入ると、まず実施の形態1と同様に水有無検知工程が実施され、水が有ると判断すると、蓋加熱手段13により蓋加熱板8が加熱され、沸騰状態にある水の一部が直ちに蒸発し蒸気を出す。
【0087】
この蒸気が蒸気加熱部27を通過する間に前記蓋加熱板8より加熱されて100℃以上の過熱蒸気となり、蒸気噴出口11より鍋2内に放出される。
【0088】
これにより、米の乾燥を防止しつつ、鍋2内の底部の残留水分を除去するとともに、米の糊化を促進させることができ、おいしい飯を炊き上げることができる。
【0089】
蒸気発生部9に水が有る場合は、凸部10も水近傍に位置するため、その凸部10の温度も水の温度とほぼ同様になっており、凸部10に当接する温度検知手段17により水の温度を検知することができる。
【0090】
したがって、鍋2内に蒸気を投入する直前に蒸気発生部9の水の温度が適温(例えば、96℃)になるように、温度検知手段17によって蒸気発生部9に貯溜された水の温度を制御することにより、炊飯中の所定の適確なタイミングで過熱蒸気を鍋2内に投入することができる。
【0091】
ここで、蒸気発生部9の水の温度は、各炊飯メニュー毎に最適な温度になるように制御されることは言うまでも無い。
【0092】
水有無検知工程については、実施の形態1と同様の工程により実施されるが、水有無検知工程における、蓋加熱手段13による蓋加熱板8の加熱量は、炊飯メニューに応じて可変される。例えば、玄米を炊飯する「玄米コース」では、炊飯対象となる玄米は硬い殻に覆われていて米粒内に水と熱が入り込みにくいので、糊化しにくい。
【0093】
したがって、炊き上げ工程における加熱量は、一般の白米等を炊飯するメニューと比較して大きく設定されている。
【0094】
また、より高温の蒸気を必要とするため、蒸気発生部9の水の温度は、一般の白米等を炊飯するメニューと比較し、高い温度(例えば98℃)に設定される。
【0095】
したがって、「玄米コース」が選択されている場合には、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が一般の白米等を炊飯するメニューと比較し高くなるため、蓋加熱板8の加熱量を低減することにより、蓋加熱板8が過度に温度上昇することを低減することができ、鍋内2上層の飯の乾燥を低減することで、食味を向上させるとともに、蓋加熱板8に隣接する蓋カバー12、蓋加熱手段13の過度の温度上昇を抑制し、変形や故障の恐れを防止することができる。
【0096】
また、同様に「玄米コース」が選択されている場合には、一般の白米等を炊飯するメニューと比較し、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ17による凸部10の検知温度が高くなり、所定の温度まで到達する時間が短くなるため、所定の時間t2を短く可変することにより、水が所定量の水があるにもかかわらず、所定の時間までに水がなくなり、所定量の水がないと誤検知することを防止できる。
【0097】
また、同様に「玄米コース」が選択されている場合には、一般の白米等を炊飯するメニューと比較し、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ17による凸部10の検知温度が高くなり、所定の温度T2までに要する温度上昇が小さくなるため、所定の温度T2を高く可変することにより、水が所定量の水があるにもかかわらず、所定の時間までに水がなくなり、所定量の水がないと誤検知することを防止できる。
【0098】
以上のように、前記メニュー選択手段により選択された炊飯メニューに応じて、前記所定の工程における前記蓋加熱手段による前記蓋加熱板への加熱量と、前記所定の時間と、前記所定の温度とのいずれか、あるいはその組合せを可変することにより、炊飯メニューに応じた精度の高い水有無検知を行うことができ、より食味と信頼性を向上させることができる。
【0099】
(実施の形態3)
図9は本発明の実施の形態2を示し、図1と同機能をもつ構成部分には同一符号を付し、具体的な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0100】
図9において、蓋3に磁石32、本体1にリードスイッチ33が設けられており、このリードスイッチ33は磁石32が所定の距離以上に離れるとオフ、所定の距離以内に近づくとオン信号を出力することを利用して蓋開閉検知を行う蓋開閉検知手段34が設けられている。
【0101】
以下その動作、作用を説明する。
【0102】
まず、炊飯を行う米とその米量に対応する水を鍋2に入れ、本体1の所定の状態に内装する。
【0103】
さらに、給水タンク6内に所定量の水を入れ本体1にセットし、炊飯開始スイッチ(図示せず)を使用者が操作すると、所定のプログラムにしたがってポンプ7を駆動し、給水タンク6に入れた水を蒸気発生部9に貯留させるとともに、炊飯工程が実施される。
【0104】
炊飯工程は、浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程で進行していき、鍋2内の米と水の状態が適正値として設定された温度や時間、加熱量で制御される。
【0105】
ここで、炊飯量判定手段35は、炊き上げ工程において、鍋温度検知手段5より検知された鍋温度の単位時間当たりの変化に基づいて米飯の炊飯量を判定するよう構成されている。
【0106】
より具体的には、炊飯量判定手段35は、予め設定した加熱パワーで一定時間、加熱された鍋2の温度上昇率を算出することにより、米の炊飯量が予め設定された量以上であるかどうかを判定するよう構成されている。
【0107】
炊飯量判定後の各工程における温度や時間、加熱量は各炊飯量に応じて異なり、最適な炊飯ができるように設定されている。
【0108】
蒸気発生部9に貯留された水は炊飯中に発生する蒸気の潜熱により蓋加熱板8の蒸気発生部9で熱交換され、炊き上げ工程後半には、沸騰状態となる。
【0109】
蒸らし工程に入ると、まず実施の形態1と同様に水有無検知工程が実施され、水が有ると判断すると、蓋加熱手段13により蓋加熱板8は加熱され、沸騰状態にある水の一部が
直ちに蒸発し蒸気を出す。
【0110】
この蒸気が蒸気加熱部27を通過する間に前記蓋加熱板8より加熱され100℃以上の過熱蒸気となり、蒸気噴出口11より鍋2内に放出される。
【0111】
これにより、鍋2全体の加熱の局部的な温度上昇と上面とその近傍の米の乾燥を防止しつつ、鍋2内の底部の残留水分を除去することと米の糊化を促進させることができ、おいしい飯を炊き上げることができる。
【0112】
蒸気発生部9に水が有る場合は、蒸気発生部を2分する凸部10も水近傍に位置するため凸部10の温度も水の温度とほぼ同様になっており、凸部10に当接する温度検知手段17により水の温度を検知することができる。
【0113】
したがって、鍋2内に蒸気を投入する直前に蒸気発生部9の水の温度が適温(例えば、96℃)温度になるように、温度検知手段17によって、蒸気発生部9に貯溜された水の温度を制御することにより、炊飯中の所定の適確なタイミングで過熱蒸気を鍋2内に投入することができる。
【0114】
ここで、蒸気発生部9の水の温度は、炊飯量判定手段35により判定された炊飯量毎に最適な温度になるように制御されることは言うまでも無い。
【0115】
水有無検知工程については、実施の形態1と同様の工程により実施されるが、水有無検知工程における、蓋加熱手段34による蓋加熱板8の加熱量は、炊飯量に応じて可変される。
【0116】
例えば、最大炊飯量が10合であり、炊飯量が2合以下の場合には、鍋内の飯から蓋加熱板8までの距離が離れているため、飯上部を加熱し、より効果的に糊化を促進するためには、蒸らし工程開始時における蓋加熱板8の温度は、5合炊飯時と比較してより高温に設定される(例えば98℃)。
【0117】
したがって、炊飯量判定手段35により炊飯量を2合以下と判定された場合には、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が5合炊飯時と比較して高くなるため、蓋加熱板8の加熱量を低減することにより、蓋加熱板8が過度に温度上昇することを低減することができ、鍋内2上層の飯の乾燥を低減することで、食味を向上させるとともに、蓋加熱板8に隣接する蓋カバー12、蓋加熱手段13の過度の温度上昇を抑制し、変形や故障を防止することができる。
【0118】
また、炊飯量が8合以上の場合には、飯上部と蓋加熱板8との距離が近く、飯上部の乾燥を防ぐために、蓋加熱板8の温度は5合炊飯時と比較し、低く設定される(例えば94℃)。したがって、炊飯量判定手段35により炊飯量を8合以上と判定された場合には、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が5合炊飯時と比較して低くなるため、蓋加熱板8の加熱量を増大することにより、凸部10も速やかに加熱され、蓋サーミスタ18の温度も早く上がり、水が所定量以下であれば早期に所定量の水が無いと判断することができ、蓋加熱板8の温度上昇による鍋2内上層の飯の乾燥を低減することで、食味を向上させるとともに、より早期に蓋カバー12、蓋加熱手段13の過度の温度上昇を抑制し、変形や故障の恐れを防止することができる。
【0119】
また、同様に、炊飯量判定手段35により炊飯量を2合以下と判定された場合には、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が5合炊飯時と比較して高くなり、所定の温度まで到達する時間が短くなるため、所定の時間t2を短くする(例
えば60秒)ことにより、水が所定量の水があるにもかかわらず、所定の時間までに水がなくなり、水がないと誤検知することを防止できる。
【0120】
同様に炊飯量判定手段35により炊飯量を8合以上と判定された場合には、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が、5合炊飯時と比較して低くなり、水が所定量以下である場合でも、所定の温度まで到達する時間が長く必要となるため、所定の時間t2を長くする(例えば120秒)ことにより、水が所定量ないにもかかわらず、所定量の水があると誤検知することを防止できる。
【0121】
また、同様に炊飯量判定手段35により炊飯量を2合以下と判定された場合には、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が5合炊飯時と比較して高くなり、所定の温度T2までに要する温度上昇が小さくなるため、所定の温度T2を高く可変することにより、水が所定量の水があるにもかかわらず、所定の時間までに水がなくなり、水がないと誤検知することを防止できる。
【0122】
同様に炊飯量判定手段35により炊飯量を8合以上と判定された場合には、水有無検知工程初期の蓋サーミスタ18による凸部10の検知温度が5合炊飯時と比較して低くなり、水が所定量以下である場合でも、所定の温度T2までより大きな温度上昇が必要となるため、所定の温度T2を低く可変する(例えば105℃)ことにより、早期に水が無いと判断することができ、蓋加熱板8の温度上昇による鍋2内上層の飯の乾燥を低減することで、食味を向上させるとともに、より早期に蓋カバー12、蓋加熱手段13の過度の温度上昇を抑制し、変形や故障の恐れを防止することができる。
【0123】
以上において、炊飯量の区分は2合以下、8合以上に限られること無く、また、最大炊飯量が異なる場合においても、自由に設定できることは言うまでも無い。
【0124】
以上のように、炊飯量判定手段35により判定された炊飯量に応じて、前記所定の工程における前記蓋加熱手段による前記蓋加熱板への加熱量と、前記所定の時間と、前記所定の温度とのいずれか、あるいはその組合せを可変することにより、炊飯量に応じた精度の高い水有無検知を行うことができ、より食味と信頼性を向上させることができる。
【0125】
また、水有無検知工程において、蓋開閉検知手段34が蓋開を検知した場合には、以降の工程においては水が無い場合の炊飯プログラムを動作させる。
【0126】
これにより、水有無検知工程において、蓋が開けられ、蓋加熱板が外気により冷却され、水が所定量以下であっても、所定の温度まで到達する時間が長く必要となり、水が所定量あると誤検知して、蓋加熱板8が過度に温度上昇することを低減することができ、蓋加熱板8に隣接する蓋カバー12、蓋加熱手段13の過度の温度上昇を抑制し、変形や故障の恐れを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、機器設置製を維持しつつ、飯を乾燥させること無く米澱粉の糊化を促進し美味なる飯を得るとともに、蓋内部の温度上昇による変形や故障の恐れを防止することができるので、業務用炊飯器や他の熱機器にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図2】同炊飯器における蓋加熱板の一部斜視図
【図3】同炊飯器における温度検知手段の断面図
【図4】同炊飯器における蓋加熱手段の平面図
【図5】同炊飯器における水有無検知工程を示す工程図
【図6】同炊飯器における水有無検知工程を示すフローチャート
【図7】同炊飯器における表示部の平面図
【図8】本発明の実施の形態2における炊飯器の断面図
【図9】本発明の実施の形態3における炊飯器の断面図
【図10】従来の炊飯器の断面図
【符号の説明】
【0129】
2 鍋
3 蓋
5 鍋加熱手段
8 蓋加熱板
9 蒸気発生部
13 蓋加熱手段
17 温度検知手段(水有無検知手段)
27 蒸気加熱部
31 炊飯メニュー選択手段
34 蓋開閉検知手段
35 炊飯量判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器の本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う開閉自在な蓋と、前記鍋内を上方から加熱する蓋加熱板と、前記蓋加熱板を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱板に形成した蒸気発生部と、前記蒸気発生部で生成した蒸気を加熱する蒸気加熱部と、前記蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を温度検知手段により検知する水有無検知手段とを具備し、前記水有無検知手段は、所定の工程において所定の時間以内に前記温度検知手段による検知温度が所定の温度を超えたときに水が無いと判断し、前記所定の工程における蓋加熱手段による蓋加熱板の加熱量、前記所定の時間、前記所定の温度のいずれか、あるいはその組合せは、前記所定の工程初期における前記温度検知手段による検知温度に応じて可変され、前記水有無検知手段が蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を検知した情報を基に、水が有る場合、水が無い場合それぞれの炊飯プログラムを実行させることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記所定の工程初期における前記温度検知手段による検知温度が所定の温度より低い場合には、前記所定の工程における蓋加熱手段による蓋加熱板の加熱量を大きくする、あるいは前記所定の時間を長くする、あるいは、前記所定の温度を低くする、あるいはそれらを組合わせてなり、前記所定の工程初期における前記温度検知手段による検知温度が所定の温度より高い場合には、前記所定の工程における前記蓋加熱手段による前記蓋加熱板への加熱量を小さくする、あるいは前記所定の時間を短くする、あるいは、前記所定の温度を高くする、あるいはそれらを組合せてなる請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
炊飯器の本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う開閉自在な蓋と、前記鍋内を上方から加熱する蓋加熱板と、前記蓋加熱板を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱板に形成した蒸気発生部と、前記蒸気発生部で生成した蒸気を加熱する蒸気加熱部と、前記蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を温度検知手段により検知する水有無検知手段と、炊飯メニューを選択するメニュー選択手段とを備え、前記水有無検知手段は、所定の工程において所定の時間以内に前記温度検知手段による検知温度が所定の温度を超えたときに水が無いと判断し、前記所定の工程における前記蓋加熱手段による前記蓋加熱板の加熱量と、前記所定の時間と、前記所定の温度とのいずれか、あるいはその組合せは、前記メニュー選択手段により選択された炊飯メニューに応じて可変され、前記水有無検知手段が前記蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を検知した情報を基に、水が有る場合と水が無い場合とでそれぞれの炊飯プログラム実行させることを特徴とする炊飯器。
【請求項4】
炊飯器の本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う開閉自在な蓋と、前記鍋内を上方から加熱する蓋加熱板と、前記蓋加熱板を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱板に形成した蒸気発生部と、前記蒸気発生部で生成した蒸気を加熱する蒸気加熱部と、前記蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を温度検知手段により検知する水有無検知手段と、炊飯中の米の炊飯量を判定する炊飯量判定手段とを備え、前記水有無検知手段は、所定の工程において所定の時間以内に前記温度検知手段による検知温度が所定の温度を超えたときに水が無いと判断し、前記所定の工程における前記蓋加熱手段による前記蓋加熱板の加熱量と、前記所定の時間と、前記所定の温度とのいずれか、あるいはその組合せは、前記炊飯量判定手段により判定された炊飯量に応じて可変され、前記水有無検知手段が前記蓋加熱板の蒸気発生部に貯えられた水の有無を検知した情報を基に、水が有る場合と水が無い場合とでそれぞれの炊飯プログラムを実行させることを特徴とする炊飯器。
【請求項5】
前記蓋の開閉を検知する蓋開閉検知手段を備え、前記水有無検知手段は、前記所定の工程において、蓋開閉検知手段が蓋開を検知した場合には水が無いと判断する請求項1〜4い
ずれか1項記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−148806(P2010−148806A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332563(P2008−332563)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】