説明

炊飯器

【課題】安価でコンパクトな減圧解除機構を備えた炊飯器を提供する。
【解決手段】本体を覆う蓋体21と、本体1と蓋体21との閉状態を保持するクランプ34とクランプ受け38と、本体と蓋体21との閉状態を解除する蓋開ボタン32と、クランプ34とクランプ受け38の係合解除を阻害する阻害手段121と、蓋開ボタン32の変化を検知し阻害手段121による阻害を解除する検知手段45を備え、検知手段45を蓋開ボタン32内部で遊動可能に備え、検知手段45を所定方向に付勢する付勢手段53を設けた炊飯器であって、付勢手段53をタクトスイッチ42の動作力より強く、タクトスイッチ42の耐久力より弱く設定したことにより、検知手段45のコンパクト化と検知精度の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧手段を備えた炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鍋内を加圧状態にして炊飯を行い、その前後の浸しや保温時には、鍋内を減圧状態にして調理を行う炊飯器の場合、鍋内が減圧状態の時には、蓋体と鍋との密閉状態を解除してから、係合手段を動作させ蓋体を開かせる必要があり、蓋体を開こうとする際に、蓋体と本体の係合を解除する前に鍋内の減圧状態を大気圧に戻す必要がある為に減圧解除機構を備えていた(特許文献1参照)。
【0003】
また従来より、蓋開閉を検知する手段として、温度センサによる、蓋開閉前後の温度差によって、蓋を開閉したことを検知する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構造では、減圧解除機構は蓋体を開こうとする際に操作する蓋開ボタンを併用することで、蓋開ボタンを押動操作を押し過ぎても減圧解除機構に備えられた検知手段に無理な荷重がかからない様、高価なマグネット等を用いた磁束検知方式や取付けスペースを必要とするマイクロスイッチなどを採用していた。
【0006】
また、従来の構成では、外気温、鍋内のご飯の温度などの影響により、蓋開閉前後の温度差が少ない場合、蓋を開閉したことを検知できない場合があった。
【0007】
さらに、被炊飯物を入れた鍋を炊飯器本体にセットした後、予約炊飯の操作中などのキー操作の途中で放置し、キーの押し忘れによる炊飯又は調理のスタート忘れが起こるという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を解決して、安価でコンパクトな減圧解除機構を備えた炊飯器を提供することを第1の目的とする。
【0009】
また本発明は、確実に蓋開閉を検知できる炊飯器を提供することを第2の目的とする。
【0010】
さらに本発明は、被炊飯物を入れた鍋を炊飯器本体にセットした後、炊飯又は調理スタート忘れを防止する炊飯器を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明の炊飯器では、鍋と、前記鍋を収納する本体と、前記本体を覆う蓋体と、前記鍋内を大気圧より低い状態にする減圧手段と、所定状態を保持する保持手段と、前記蓋体を所定方向に付勢する蓋付勢手段と、前記所定状態を解除する解除手段と、前記保持手段の保持解除を阻害する阻害手段と、前記阻害手段を解除する阻害解除手段を備え、前記阻害解除手段を前記解除手段内部で遊動可能に備え、更に前記阻害解除手段を所定方向に付勢する解除付勢手段を設けた炊飯器であって、前記解除付勢手段を前記阻害解除手段の動作力より強く、前記阻害解除手段の耐久力より弱く設定したことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明の炊飯器では、前記阻害解除手段を収納するケースに、セルフヒンジを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明の炊飯器では、前記阻害解除手段を防水構造としたことを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明の炊飯器では、前記防水構造に用いるシート部材の厚みを、100〜125μmとしたことを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明の炊飯器では、鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋と前記加熱手段を内蔵する本体と、前記鍋の上部を覆い前記本体のヒンジ部を軸として開閉自在に取り付けられた蓋体と、前記蓋体の開閉を検知して保温時の保温温度を第一の保温温度から前記第一の保温温度より高い第二の保温温度に切り替える機能を有する炊飯器であって、前記蓋体の開閉を検知する蓋開閉検知手段を前記蓋体内に有し、前記蓋開閉検知手段をフォトカプラースイッチとしたことを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明の炊飯器では、前記フォトカプラースイッチ内部にフロートを有したことを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明の炊飯器では、炊飯器本体と、前記炊飯器本体に収容され、調理物を入れる鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記加熱手段を制御する制御手段と、前記鍋の重さを検知する重量検知手段と、前記蓋の開閉を検知する蓋検知手段を備え、空状態の前記鍋の重量が予め記憶されており、前記空状態以上の重さの前記鍋がセットされ、前記蓋を閉めた後、操作手段が操作されない場合に報知手段で報知することを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明の炊飯器では、前記空状態以上の重さの前記鍋がセットされ、前記蓋を閉めた後、切操作手段を操作することにより、前記報知手段を停止するものとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、コンパクト化と検知精度の向上を図ることができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、部品点数の削減を図ることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、耐水性の向上を図ることができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、検知精度の向上と耐久性の確保を図ることができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、蓋開閉を確実に検知できる。
【0024】
請求項6の発明によれば、フロートの移動により蓋開閉を確実に検知できる。
【0025】
請求項7の発明によれば、警告音がすることにより、鍋をセットした後の炊飯又は調理スタート忘れを防止できる。
【0026】
請求項8の発明によれば、鍋をセットした後、使用者の都合のいい時間で炊飯又は調理ができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例における炊飯器の全体断面図である。
【図2】同上、蓋閉時における要部の拡大断面図である。
【図3】同上、図2とは別な断面であらわした蓋閉時における要部の拡大断面図である。
【図4A】同上、蓋閉時において、蓋開ボタンを押動操作していない状態の要部の拡大断面図である。
【図4B】同上、蓋閉時において、1回目に蓋開ボタンを押動操作した状態の要部の拡大断面図である。
【図4C】同上、蓋閉時において、2回目に蓋開ボタンを押動操作した状態の要部の拡大断面図である。
【図5】同上、クランクスイッチホルダをセルフヒンジ部で開いた状態の断面図である。
【図6】同上、完成した可動部組立体を示す斜視図である。
【図7】同上、加圧時における調圧部の拡大断面図である。
【図8】同上、減圧時における調圧部の拡大断面図である。
【図9】同上、図7とは別な断面であらわした加圧時における調圧部および安全弁の拡大断面図である。
【図10】同上、外蓋を外した状態の蓋体内部の斜視図である。
【図11】同上、蓋体後部の別な変形例を示す要部断面図である。
【図12】同上、蓋体後部のさらに別な変形例を示す要部断面図である。
【図13】同上、外蓋を外した状態の蓋体内部の斜視図である。
【図14】同上、クランプと、調圧用ソレノイドおよび開閉用ソレノイドの周辺の構造を示す斜視図である。
【図15】同上、調圧用ソレノイドとその周辺の構造を示す斜視図である。
【図16】同上、開閉用ソレノイドとその周辺の構造を示す斜視図である。
【図17】同上、開閉用ソレノイドの非通電時における要部の断面図である。
【図18】同上、開閉用ソレノイドの通電時における要部の断面図である。
【図19】同上、安全弁の断面図である。
【図20】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図21】同上、鍋内の温度および圧力の推移と、各部の動作状態をあらわしたタイミングチャートである。
【図22】同上、鍋内の温度および圧力の推移と、各部の動作状態をあらわしたタイミングチャートである。
【図23】本発明の第2実施例における炊飯器の蓋体付近の要部拡大図である。
【図24】同上、蓋開閉検知手段の断面図である。
【図25】同上、蓋開閉検知手段の別な変形例を示す断面図である。
【図26】同上、蓋開閉検知手段のさらに別な変形例を示す断面図である。
【図27】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図28】同上、保温工程時のフローチャートである。
【図29】本発明の第3実施例における炊飯器の電気的構成を示すブロック図である。
【図30】同上、鍋セット時のフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら、本発明における炊飯器の好ましい各実施例を説明する。なお、これらの各実施例において、同一箇所には同一符号を付し、共通する部分の説明は重複するため極力省略する。
【実施例1】
【0029】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における炊飯器の好ましい実施例を説明する。
【0030】
図1は、各実施例に共通する炊飯器の基本的な全体構成を示している。同図において、炊飯器の外郭をなす本体1は、その上面と上側面を構成する上枠2と、側面を構成するほぼ筒状の外枠3と、外枠3の底部開口を覆う底板4とにより構成される。また、上枠2の上面内周部から一体に垂下させて形成されるほぼ筒状の鍋収容部5と、この鍋収容部5の下面開口を覆って設けられる内枠6とにより、後述する鍋11を収納する有底筒状で非磁性材料からなる鍋収容体7が形成される。
【0031】
11は、米や水などの被炊飯物を収容し、前記本体1を構成する鍋収容体9内に着脱自在に収納される有底筒状の鍋である。この鍋11は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材料とした鍋本体12と、この鍋本体12の外面の側面下部から底面部にかけて接合されたフェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体13とにより構成される。また、鍋11の上端周囲には、その外周側に延出する円環状のフランジ部14が形成される。
【0032】
前記内枠8の外面の発熱体13に対向する側面下部および底面部には、鍋11の特に底部を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル16が設けられている。そして、この加熱コイル16に高周波電流を供給すると、加熱コイル16から発生する交番磁界によって鍋11の発熱体13が発熱し、鍋11ひいては鍋11内の被炊飯物が加熱されるようになっている。
【0033】
また、内枠8の底部中央部には、鍋11の底部外面と弾発的に接触するように、鍋温度検出手段としての温度センサ17が配置され、鍋11の温度を検知し、加熱コイル16による鍋11の底部の加熱温度を主に温度管理するようになっている。
【0034】
前記鍋収容体9の上端には、鍋11の側面上部、特にフランジ部14を加熱するためのコードヒータ18が円環状に配置される。このコードヒータ18は電熱式ヒータからなり、鍋収容体7の上端に載置して取付けられた熱放散抑止部材としてのヒータリング19上に保持されると共に、コードヒータ18を上から覆うようにしてヒータリング19に取付けられた金属板20を備えて、フランジヒータを構成している。この金属板20は、本体1と後述する蓋体21との隙間に対向して位置している。そして、前記金属板20の上面に鍋11のフランジ部14の下面が載置し、これにより、鍋11が本体1の上枠2に吊られた状態で、鍋収容体7内に収容されるようになっている。
【0035】
蓋体21は、図2や図3にもその細部が示されているように、蓋体21の上面外殻をなす外蓋22と、外蓋22の上面部を覆う三次元形状の金属蓋23と、その外面が蓋体21の内面(下面)を形成する放熱板24と、外蓋22および放熱板24を結合させて蓋体21の骨格を形成する蓋ベース材としての外蓋カバー25とを主たる構成要素としている。また、前記蓋体21の内部にあって、放熱板24の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ26が設けられている。この蓋ヒータ26は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。
【0036】
前記上枠2の後方には、蓋体21と連結するヒンジ部28が設けられる。このヒンジ部28には、正面から見て左右方向に一対の孔(図示せず)が設けられていると共に、ねじりコイルバネなどで形成した付勢手段としてのヒンジバネ29が、その内部に収納される。一方、外蓋カバー25の後方にも、前記ヒンジ部28に設けた孔と対向するようにヒンジ受部としての外蓋カバーヒンジ孔(図示せず)が設けられる。そして、このヒンジ孔とヒンジ部28の孔に共通して、棒状のヒンジシャフト30を挿通することで、本体1と蓋体21がヒンジ部28のヒンジシャフト30を支点として開閉自在に軸支される。さらに、前記ヒンジバネ29の一端と他端が、外蓋カバー25と上枠2にそれぞれ引掛けられることで、蓋体21はヒンジバネ29の弾性反発力を利用して常時開方向に付勢される。
【0037】
蓋体21の前方上面には、蓋開ボタン32が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン32を押すと、蓋体21と本体1との係合が解除され、ヒンジバネ29によって蓋体21が自動的に開く構成となっている。
【0038】
ここで、図2や図3を参照しながら、本実施例における蓋体21と本体1の開閉構造について、さらに詳しく説明する。蓋体21には係合部に相当するクランプ34が配置される。このクランプ34は、蓋体21の内部に設けたクランプシャフト35を中心として、外蓋カバー25に対し回転自在に軸支される。蓋体21を開閉する操作手段に相当する蓋開ボタン32は、使用者が操作できるように蓋体21の前方上面から露出状態に配設される。蓋体21の内部には、クランプ34の基端部34Aを蓋開ボタン32側に付勢するバネなどのクランプ付勢手段36が設けられ、これにより蓋開ボタン32を常時上方に押し上げる力が作用するようになっている。
【0039】
クランプ34は、蓋開ボタン32に当接する基端部34Aの他に、外蓋カバー25の下面にあるクランプ用孔37を貫通して下方に突出する垂下部34Bと、クランプ34の実質的な先端部に相当し、垂下部34Bの下端を起点として、そこから本体1の内方に延出する係合部34Cとにより構成される。クランプ34はステンレスなどの金属部品で形成し、係合部34Cは略L字状とする。そうすることで、クランプ34を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ受け38との係合を得られる。また、炊飯器ひいては本体1の正面側から見て、中央から左右の略均等位置に、前記クランプ34の係合部34Cを設ける。これらの垂下部34Bや係合部34Cは、クランプ34の下側にあって左右一対に設けられる。クランプ34の回転中心となるクランプシャフト35は、垂下部34Bの上端に沿うように配置され、係合部34Cは本体1の略前後方向に揺動する。
【0040】
一方、上枠2に設けたヒンジ部28の略反対側に位置して、該上枠2の前方には係合受部に相当するクランプ受け38が配設されており、蓋体21を本体1側に閉じようとすると、クランプ付勢手段36の付勢力により、クランプ34がクランプシャフト35を中心軸として回転し、当該クランプ受け38に係合することで、本体1に対し蓋体21を閉状態に保持するようになっている。クランプ受け38はステンレスなどの金属部品で形成する。そうすることで、クランプ受け38を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ34との係合を得られる。反対に蓋体21を開く場合には、蓋開ボタン32を押動操作し、クランプ34の基端部34Aを下方に押下げてクランプ34を逆方向に回転させ、係合部34Cを本体1の前方に変位させて、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除する。上枠2のクランプ受け下方部は、クランプ34がクランプシャフト35を軸として回転動作する際に、ぶつからない深さを有することが必要である。また、クランプ34とクランプ受け38下方部の隙間は、通常時のクランプ34とクランプ受け38の係合量よりも大となる寸法関係としておく。更に、外蓋カバー25と上枠2の隙間よりも大となる寸法関係としておく。
【0041】
なお、ここでは蓋体21側にある可動するクランプ34を係合部といい、本体1側にある固定したクランプ受け38を係合受部としているが、蓋体21に固定した係合部を設け、本体1に可動する係合受部を設けてもよい。何れにせよ、これらのクランプ34およびクランプ受け38が、本体1と蓋体21との閉状態を保持するための係合手段を構成する。
【0042】
次に、蓋開ボタン32の変位を検知する検知の構成について、図1〜図3の他に、図4A〜図4Cと、図5、図6をそれぞれ参照しながら説明する。蓋開ボタン32の裏(内)側部には、LED41やタクトスイッチ42を実装した基板43が配設される。LED41は、蓋開ボタン32の上面部に対向して配置され、後述する減圧手段91が動作すると点灯作動する警報手段として設けられている。また、タクトスイッチ42は、蓋開ボタン32を押動操作して、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除しようとしたときに、クランプスイッチ42が基端部34Aに押し付けられることにより、その動作を検知して検知信号を出力する。つまり、ここでのタクトスイッチ42は、蓋開ボタン32の変化を検知する検知手段45として設けられる。なお、別なセンサにより同等の機能を有する検知手段45を構成してもよい。また、本実施例のタクトスイッチ42は、蓋開ボタン32内に設けられているが、検知手段45として本来の目的を発揮すれば、その限りではない。
【0043】
ここで基板43は、PP(ポリプロピレン)などの合成樹脂により形成されたクランプスイッチホルダ46の上部収容体47と下部収容体48により挟持して収容され、蓋開ボタン42内部に遊動するように配設される。
【0044】
ここでクランプスイッチホルダ46は、中空箱型形状を有して底面に開口部49を備えた上部収容体47と、開口部49を開閉自在に形成された板状の下部収容体48とを有しており、前記上部収容体47に下部収容体48を上下方向に回動自在にするヒンジ部として、上部収容体47の開口縁の前端と下部収容体48の前端とを薄肉状に連結して形成したセルフヒンジ部50を備えている。
【0045】
前記基板43は、下部収容体48の上面に配設されており、タクトスイッチ42の操作部51は下部収容体48の後側に形成された貫通部52に挿通され、下部収容体48の底面より下方へ突出して設けられている。
【0046】
このように基板43は、上部収容体47の開口部49が下部収容体48によって閉塞された状態で上部収容体47と下部収容体48によって囲まれて形成された収容空間53に収容可能に備えている。
【0047】
また基板43は、下部収容体48と共にセルフヒンジ部50を軸として上部収容体47に上下方向に回動自在とすることで、上部収容体47内外に出入自在に構成されている。
【0048】
また、下部収納体48の上面には、上部収納体47の開口部49を閉塞した状態で開口縁の前縁及び後縁の内側にそれぞれ立設する前側ガイド部材47Aと後側ガイド部材47Bが設けられている。
【0049】
このクランプスイッチホルダ46では、下部収納体48の底面の略中央部分には、バネなどの付勢手段53を取付可能とする略円筒状の付勢手段取付部48Aが垂設されており、付勢手段53の一方が付勢手段取付部48Aに嵌合して接続されると共に、付勢手段53の他方がクランプ34の上面に当接することで、下部収納体48は付勢手段53より常に上向きの付勢力が付勢される構造となっている。このため、タクトスイッチ42は蓋開ボタン32内で付勢手段53を介して上下方向に遊動可能に設けられている。
【0050】
タクトスイッチ42の操作部51とクランプ34との間には防水機構として、操作部51の下部を覆うように配設されたエンボス形状に加工し、断面略ハット形状を有する合成樹脂製シートとしてのPET(ポリエチレンテレフタレート)シート54を備えている。
【0051】
PETシート54の厚みは、90〜125μm(マイクロメートル)としている。ここでPETシート54の厚みが90μm未満ではPETシート54が薄すぎるため耐久性が損なわれ、また厚みが125μm以上ではPETシート54が厚すぎるため検知精度が損なわれるという問題がある。
【0052】
ここでは警報手段としてのLED41を外部に透光させるために、クランプスイッチホルダ46を透明部材から形成し、前記LED41に臨んで、蓋開ボタン32の中央部をなす凸状の導光部32Aが形成される。
【0053】
さらに、クランプスイッチホルダ46には、前述した蓋開ボタン32が取付け固定される。これにより、蓋開ボタン32と基板43は、クランプスイッチホルダ46を含む一体的な可動部組立体55として構成され、蓋開ボタン32の押動操作と共に、タクトスイッチ42を実装した基板43も動くことになる。
【0054】
61は、放熱板24の外側すなわち下側に設けられる蓋体21の下部部材としての内蓋組立体である。この内蓋組立体61は、鍋11の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有し、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属性の内蓋62と、鍋11と内蓋62との間をシールするために、当該内蓋62の外側全周に設けられ、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなる蓋パッキン63と、内釜の内圧力を調整する調圧部64とを備えている。環状に形成された蓋パッキン63は、蓋体21を閉じた時(蓋閉時)に、鍋11のフランジ部14上面に当接して、この鍋11と内蓋62との間の隙間を塞ぎ、鍋11から発生する蒸気を密閉するものである。
【0055】
前記放熱板24には、蓋体21の特に内蓋62の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ51による内蓋62の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ65が設けられていている。また、蓋体21の上面後方寄り部には、蓋体21の上面側から着脱可能な蒸気排出部としての蒸気排出ユニット66が設けられる。蒸気排出ユニット66と調圧部64は蓋体21の内部で連通しており、これらの蒸気排出ユニット66や調圧部64により、鍋11内で発生した蒸気を外部へ放出するための蒸気排出機構が形成される。
【0056】
ここで、図7〜図9を参照しながら、調圧部64の構成をより詳しく説明する。前記調圧部64は、調圧用の調圧弁69と、調圧弁69を保持する調圧弁ホルダー組立体70と、調圧弁69を覆うドーム状の調圧弁カバー71とを備えて構成される。調圧弁69は耐食性に優れた材料で、ある程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレスからなるボールで形成される。
【0057】
調圧弁ホルダー組立体70は、第1ホルダー72と、第2ホルダー73と、減圧支持部材に相当する第1調圧パッキン75と、第2調圧パッキン76と、鍋11内からの圧力が第1調圧パッキン75に直接加わらないように、この第1調圧パッキン75の下方にあって、加圧支持部材に相当する弁支持体77と、第1調圧パッキン75の下面に弁支持体77が当接する方向に、当該弁支持体77を付勢する弾性体としての調圧バネ78と、により構成される。弁支持体77には、鍋11内の加圧時にボール状の調圧弁69の下方に当接する連通孔74が設けられる。この連通孔74は、鍋11と内蓋62とを連通させる為のもので、連通孔74を通過する蒸気が、蒸気排出ユニット66から外気へ放出されるようになっている。また、第1ホルダー72と第2ホルダー73には、互いを嵌合する為の凸状の係合部79と凹状の被係合部80がそれぞれ設けられている。これらの第1ホルダー72と第2ホルダー73は、前記第1調圧パッキン75や弁支持体77などを保持する保持部材として、内蓋62に設けた孔81に装着される。第1ホルダー72は全体がキャップ状に形成され、その中央部に貫通孔72Aを有し、貫通孔72Aの周辺部72Bと第2ホルダー73の上端部73Aとにより、第1調圧パッキン75の基部を挟持するようになっている。また、第2ホルダー73は筒状で、その下側には内蓋62の孔81周辺の下面に当接するフランジ73Bが形成されると共に、フランジ69の上方外周には、リング状の前記第2調圧パッキン76を嵌合させる凹溝73Cが形成される。さらに、第2ホルダー73の内周側には、調圧バネ78の一端部を嵌め込むために、断面L字状の突片73Dが形成される。
【0058】
調圧弁ホルダー組立体70の組立に際しては、まず第2ホルダー73の凹溝73Cに調圧パッキン72を嵌め込んだものを、内蓋62に設けた孔81に差込み、第2ホルダー73の内周側で調圧バネ78を挟むようにして、弁支持体77を第2ホルダー73の上方から挿入する。次に、弁支持体77および第2ホルダー73の上端部73Aを覆うようにして、第1調圧パッキン75を弁支持体77に載置し、その状態から更に第1調圧パッキン75を挟む様にして、第1ホルダー72を上方から被せ、係合部79と被係合部80とを互いに嵌合させて、第2ホルダー73に第1ホルダー72を取付ける。そして、図7や図8に示すように、調圧弁ホルダー組立体70を組立てた状態では、鍋11内部に第2ホルダー73の内側面と弁支持体77の下面が直接対向し、これらの第2ホルダー73や弁支持体77の上側に配置された第1調圧パッキン75は、鍋11内から直接圧力を受けずに済む構造になっている。
【0059】
このように組立てた調圧弁ホルダー組立66で調圧弁69を保持し、上方から調圧弁カバー71を被せることで調圧部64を構成する。この時、調圧弁ホルダー組立66と調圧弁カバー71との取付けは爪嵌合でも良いし、ネジやリベットなどの止着部材を利用して止めてもよい。調圧弁カバー71は、調圧弁69の移動範囲を規制するためのもので、連通孔74から放出する蒸気を蒸気排出ユニット66に導く複数の孔(図示せず)が設けられている。また内蓋62は、調圧弁ホルダー組立66と調圧弁カバー71とで峡持されるので、内蓋62の孔81は露出しない。
【0060】
弁支持体77の連通孔74の開口面積は、弁支持体77の下側に形成した脚部83の内側の、鍋11内から直接圧力を受ける面84の面積より小さくなっている。これにより、連通孔74の開口面積と調圧弁69との重量により、鍋11内の圧力を調整することができる。
【0061】
調圧弁69を動かして蓋体21の密閉度即ち鍋11の内圧を調節するソレノイド82が、蓋体21内部に設けられている。ソレノイド82の非通電状態では、その先端部を進出位置に保持し、調圧弁69を連通孔74から退避する一方、ソレノイド82の通電状態では、その先端部を退避させ、調圧弁69を連通孔74に自重で転動させ、連通孔74を塞いで鍋11内に圧力を投入する。
【0062】
第1調圧パッキン75および第2調圧パッキン76は、何れもシリコーンゴム等の弾性部材で構成する。これにより、特に図8に示す鍋11内の減圧時には、第1調圧パッキン75の弾性変形により、調圧弁69が当該第1調圧パッキン75に密着し、第1調圧パッキン75における開口部すなわち孔75Aのシール性が向上する。
【0063】
前記内蓋組立体61には、その他に鍋11内の圧力が何らかの要因で設定値以上である異常圧力に昇圧すると開弁して、鍋11の内圧を下げる安全弁85が設けられる。調圧部64および安全弁85は、内蓋62を外蓋カバー25の下側に取付けたときに、蒸気排出ユニット66の入口側に臨んで設けられる。そして、内蓋62,蓋パッキン63,調圧部64および安全弁85は、内蓋組立体61の外周に設けたパッキンベース86で一体化され、外蓋カバー25内面に着脱可能に備えてある。この円環状のパッキンベース86は、内蓋62と蓋パッキン63とを装着するものであるが、ここには内蓋62の取付部と、蓋パッキン63の取付部の他に、外蓋カバー25への取付部と、使用者が内蓋組立体61を容易に着脱できるように、取手部をそれぞれ形成している。
【0064】
91は、蓋体21を本体1に閉じた状態で、鍋11内を通常の大気圧よりも低くするために設けた減圧手段である。この減圧手段91は、蓋体21の後部に設けた減圧駆動源としての減圧ポンプ92と、この減圧ポンプ92から本体1および蓋体21を経て、内蓋62に設けた孔(図示せず)に至る管状の経路94とにより構成される。また、蓋体21の内部には、経路94の基端部を開閉する開閉手段としての電磁弁95(図6参照)が設けられる。電磁弁95には、前記内蓋62の孔の周囲に向けて放熱板24から下方に突出した筒状の減圧パッキン(図示せず)が接続される。
【0065】
そして、内蓋62を含む内蓋組立体61を蓋体21の下面に装着すると、減圧パッキンが弾性変形しながら内蓋62の上面に密閉当接し、これにより鍋11と減圧ポンプ92とを連通する経路94が形成される。また、内蓋組立体61を装着した状態で蓋体21を閉じると、蓋パッキン63が鍋11に密着して、調圧弁69が連通孔74を塞いでいれば、密閉した鍋11と電磁ポンプ82との間が経路94により連通する。この状態から減圧ポンプ92を起動させると、電磁弁95ひいては経路94が開放して、鍋11内の空気が経路94および減圧ポンプ92を通って本体1の外部に排出され、密閉した鍋11内の圧力が低下する。また、鍋11内の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合に、電磁弁95ひいては経路94を閉塞して、鍋11内を減圧状態に保っている。さらに、スローリークにより鍋11内の圧力が上昇した場合にも、電磁弁95ひいては経路94を開放し、減圧ポンプ92を起動させて、鍋11内を大気圧よりも低い状態に維持している。
【0066】
この様な鍋11内が大気圧よりも低い状態では、弁支持体77を構成する脚部83の内側の空気が鍋11内に吸引され、それに伴い調圧弁69や、この調圧弁69を載置支持する弁支持体77が、調圧バネ78の付勢に抗して下降する。しかし、弁支持体77の開口部70が第1調圧パッキン75の孔71Aよりも低い位置に移動すると、調圧弁69はそれまでの弁支持体77に代わって第1調圧パッキン75に載置され、当該第1調圧パッキン75の孔71Aを塞ぐので、鍋11内の密閉が確保され、減圧を継続して行なえる(図8参照)。
【0067】
逆に炊飯時などにおいて、鍋11内を大気圧以上に加圧する時には、弁支持体脚79の内側が鍋11内から直接圧力を受けるため、調圧弁69の自重に抗して弁支持体77が上昇する。ここで、弁支持体77の開口部70が第1調圧パッキン75の孔71Aよりも高い位置に移動すると、調圧弁69はそれまでの第1調圧パッキン75に代わって弁支持体77に載置され、連通孔74を塞ぐと共に、弁支持体77に載置している調圧弁69も、弁支持体77と同様に上昇する。そして、弁支持体77は上昇後、第1調圧パッキン75に当接し、それにより第1調圧パッキン75の孔71Aを通過しようとする蒸気などを遮断して、鍋11内の密閉を保持できる(図7参照)。
【0068】
次に、減圧手段91を構成する減圧ポンプ92周辺の構造について、図1,図6,図10を参照して説明する。減圧ポンプ92は、鍋11内より発生する蒸気を外部へ排出する蒸気排出ユニット66の近傍にあるポンプケース96に固定される。このポンプケース96は、外蓋カバー25の後方に配置されたものである。また、減圧ポンプ92を取付けるポンプケース96の固定部には、減圧ポンプ92からの振動伝達を低減させるために、弾性部材からなるブッシュ97が取付けられる。減圧ポンプ92は、空気を吸入する吸入口92Aと、その吸入した空気を外部に排出する排出口92Bがそれぞれ設けられており、前記電磁弁95と吸入口92Aとをチューブによる経路94により連通し、内蓋62の下方に位置する鍋11内の空気を吸引するようになっている。また、減圧ポンプ92から排出される空気には、被調理物から蒸発する水分が若干含まれることから、排出口92Bと外蓋カバー25に形成されたボスを連通した経路98により、空気中の水分を蓋体21の外部に排出する構成としている。
【0069】
なお、前記ポンプケース96は、減圧ポンプ92を外蓋カバー25に設置するための補助的部品であり、その使用を強要するものではない。本実施例では、外蓋カバー25を覆う補強部材としての蓋補強板99を設けた関係で、減圧ポンプ92を外蓋カバー25に直接設置するのが難しいために、ポンプケース96を使用している。
【0070】
本実施例では、蓋体21に配置した減圧ポンプ92の存在感を主張するために、敢えて外蓋22とは別体に、ポンプカバー105とポンプカバーケース106を設けている。ポンプカバーケース106は、前記ポンプケース96と共に、減圧ポンプ92を囲むように設けられ、またポンプケース105はポンプカバーケース106の上方にあって、蓋体21の外郭部品の一部をなしている。外蓋22の溝部には弾性部材からなる防水パッキン107(図1参照)が設けられ、この防水パッキン107をポンプケース96とポンプカバーケース106の端縁で挟み込むことで、減圧ポンプ92への水や蒸気などの侵入を防いでいる。
【0071】
蓋体21内に減圧ポンプ92を含む全ての減圧手段81が配置されている関係で、減圧ポンプ92から電磁弁95に至る経路94を最短の距離で引き回すことができる。また経路94は、その途中で可動するヒンジ部28などを通らず、経路94の損傷を防ぐことができる。
【0072】
次に、減圧ポンプ92周辺の構造に関連した別な変形例を図11と図12にそれぞれ示す。前記蒸気排出ユニット66は、鍋11内からの蒸気の流通経路を形成する椀状の蒸気口108と、蒸気口108の上部開口を覆い、その上面に蒸気の通過孔である複数の蒸気排出孔(図示せず)を有する蒸気口キャップ109で構成され、前記減圧ポンプ92は蒸気排出ユニット66の後方に配置される。特に図14に示す第1変形例では、蒸気排出ユニット66を蓋体21から取外しやすいように、蒸気口キャップ109の後方に指掛け部109Aが延設されているが、減圧ポンプ92はこの指掛け部109Aの下方に位置して設けられている。これにより、蓋体21内で減圧ポンプ92をコンパクトに収納して、蓋体21の大型化や外観デザインへの影響を抑えることができる。
【0073】
また、図12に示す第2変形例では、減圧ポンプ92をヒンジ部28の上部に配置している。この場合、比較的重量のある減圧ポンプ92を、蓋体21の回動中心であるヒンジ部28のヒンジシャフト30の近傍に配置することで、蓋体21を自動的に開けようと付勢するヒンジバネ29のモーメントを通常よりも弱くすることができ、蓋体21および本体1の肉厚を増やしたり、補助部品を追加するなどのコストアップの要因を抑制することができる。
【0074】
再度図1〜図3に戻り、前記本体1の前部には操作パネル101が設けられている。この操作パネル101の内側には、時間や選択したメニューを表示するLCD102や、図示しないが、現在の行程を表示するLEDや、炊飯を開始させたり、メニューを選択させたりする操作スイッチ103の他に、鍋11内の減圧状態を選択する減圧選択スイッチなどを配置した基板が配設される。操作パネル101にはボタン名などが表示され、電子部品である制御手段にほこりや水が付着することも防止している。なお、操作パネル101を蓋体21の正面側に設けてもよい。
【0075】
111は、本体1の内部前方に設けられた加熱制御手段である。この加熱制御手段111は、加熱手段である加熱コイル16を駆動させるための発熱素子(図示せず)を基板に備えて構成される。この加熱コイル16を駆動する素子は、加熱コイル16の発振と共に加熱されるが、動作状態を保証する使用条件温度を有するので、一定温度以下で使用する必要がある。そのために、加熱コイル16を駆動する素子は、例えばアルミニウムのような熱伝導性の良好な材料で構成されるフィン状の放熱器112に熱的に接続され、冷却手段である冷却ファン113から発する風を放熱器112に当てて熱を奪うことにより、使用条件温度内で素子を駆動するようにしている。さらに、本体1の内部には、電源プラグ(図示せず)を巻き取るためのコードリール116が設けられる。
【0076】
蓋体21の内部には、減圧手段91の他に、クランプ34の移動を規制する阻害手段121が設けられる。阻害手段121の構成について、図13〜図18を参照して説明すると、調圧用のソレノイド82は、調圧弁69を動かして蓋体21の密閉度即ち鍋11内圧を調節するものであり、電磁力により内部からプランジャー151を出没させて、調圧部64内にある調圧弁69を動かす構成となっている。また蓋体21の内部には、外蓋カバー25に向けてプランジャー151と共に可動する調圧フレーム152と、蓋体21内部を水密状態に保持するための可撓性調圧パッキン153(図2および図3を参照)が設けられる。図13にも示すように、これらの調圧用ソレノイド82や調圧フレーム152は、外蓋カバー25により蓋体21内に形成された調圧収容部154に収容配置される。
【0077】
調圧フレーム152は、図14や図15に示すように、調圧弁69に向けて突出した操作部としての調圧操作部161と、調圧用ソレノイド82を囲うようにして設けたフレーム部162と、調圧操作部161の略反対側に設けられた調圧フレームロック片163とを備えて構成される。
【0078】
さらにここでは、外蓋カバー25により蓋体21内に形成された別の開閉手段収容部171に、開閉用ソレノイド172が配置される。この開閉用ソレノイド172も、前記調圧用ソレノイド82と同様に、電磁力により内部からプランジャー173を出没させる構成となっている。また蓋体21の内部には、プランジャー173と共に可動し、開閉用ソレノイド172と共に調圧収容部154に収容配置される開閉フレーム175と、蓋体21内部を水密状態に保持するための可撓性開閉パッキン176(図17および図18参照)が設けられる。
【0079】
一方、図17や図18に示すように、前記内蓋62には、前記調圧部64に対向する孔81とは別な開閉用孔181が設けられ、この開閉用孔181に臨んで上下動する開閉弁182を収容した弁開閉手段183が、内蓋62の上面側に装着される。したがって、この変形例では、調圧部64および安全弁85の他に、弁開閉手段183が内蓋62に設けられる。弁開閉手段183は、前述した開閉用孔181の上方にある開閉弁182と、開閉用孔181を開ける方向、すなわち上方に開閉弁182を付勢する付勢手段としての開閉弁バネ184とを備えている。また、開閉弁182の上部に臨んで、接触若しくは所定の隙間を有した状態で、蓋体21側に前記可撓性開閉パッキン176が配設される。可撓性開閉パッキン176は、外蓋カバー25に設けられた開閉用シャフト186の動作と連動するようになっている。
【0080】
開閉用シャフト186と前記開閉用ソレノイド172のプランジャー173との間には、開閉フレーム175の前方に一体化して設けた腕片状の開閉用シャフト操作部188が配設される。この開閉用シャフト操作部188は、開閉用シャフト186の上部に対向してカム面188Aを形成しており、プランジャー173ひいてはこれに連動する開閉用シャフト操作部188が出没するのに伴い、開閉用シャフト186の上部が接するカム面188Aの位置が変わることで、開閉用シャフト186ひいては開閉弁182が上下動するようになっている。具体的には、図17に示す開閉用ソレノイド172の非通電状態では、開閉弁バネ184により開閉弁182が開閉用孔181から離れて、この開閉弁182および開閉用シャフト186が押し上がるように、プランジャー173および開閉用シャフト操作部188が進出位置に移動し、逆に図18に示す開閉用ソレノイド172の通電状態では、開閉弁バネ184の付勢に抗して、開閉用シャフト操作部188のカム面188Aが開閉用シャフト186ひいては開閉弁182を押下げ、それにより開閉弁182の下部が内蓋62の開閉用孔181を閉塞するように、プランジャー173および開閉用シャフト操作部188が後退位置に移動する。よって、開閉用ソレノイド172の通電状態では、蒸気口146に連通する開閉用孔181を開閉弁182が塞いで、鍋11内に圧力を投入できる状態にする。
【0081】
先に説明したように、調圧用ソレノイド82の周辺において、調圧フレーム152の前方には、調圧弁69を動かすための調圧操作部161が設けられる一方で、調圧フレーム152の後方には、突出した調圧フレームロック片163が設けられる。これと同様に、開閉用ソレノイド172の周辺において、開閉フレーム175の前方には、カム面188Aを有する開閉用シャフト操作部188が設けられ、開閉フレーム175の後方には、突出した開閉フレームロック片189が設けられる。そして、調圧用ソレノイド82のプランジャー151が後退位置にあるときには、クランプ34がクランプ受け38から係合解除する方向に動くのを規制するために、調圧フレームロック片163がクランプ34の基端部44Aの下方に潜り込むように配置されると共に、開閉用ソレノイド172のプランジャー173が後退位置にあるときにも、開閉フレームロック片189がクランプ34の基端部44Aの下方に潜り込むように配置される。逆に、調圧用ソレノイド82のプランジャー151が進出位置にあるときには、調圧フレームロック片163がクランプ34の基端部34Aから離れると共に、開閉用ソレノイド172のプランジャー173が進出位置にあるときにも、開閉フレームロック片189がクランプ34の基端部34Aから離れる。つまり、クランプ34の基端部34Aの下方に、調圧フレームロック片163と開閉フレームロック片189の両方またはどちらか一方が位置するときには、クランプ34の動作が規制され、クランプ34がクランプ受け38から係合解除できなくなるが、調圧フレームロック片163と開閉フレームロック片189の両方が、クランプ34の基端部34Aの下方から離れると、クランプ34の動作は規制されなくなり、蓋開ボタン32を押動操作すると、クランプ34がクランプ受け38から離脱して、蓋体21が開くようになっている。
【0082】
図19は、前記安全弁85の断面図である。この安全弁85は、内蓋62に形成した孔201の周辺に設けられ、この孔201の下側から取付けられるベース部材202と、孔201の上側から取付けられるキャップ部材203と、キャップ部材203内に設けられる開閉保持手段204と、孔201の内面とベース部材202との間を水密に封止する環状パッキン206とにより構成される。この中で、開閉保持部材204は、キャップ部材203内に上下動自在に設けられる弁体としての開閉手段207と、キャップ部材203および開閉手段207の間に介在する弾性部材208とを備えている。ベース部材202には、内蓋62の孔201ひいては安全弁85の内部から前記蒸気排出ユニット66に連通する開放部211が開口形成されていると共に、この開放部211を常時塞ぐように、開閉保持手段204を構成する弾性部材208が、開閉手段207を一方向に付勢するようになっている。
【0083】
次に制御系統について、図20を参照しながら説明する。同図において、111は加熱制御手段で、これは前記鍋温度センサ17および蓋温度センサ65からの各温度情報や、操作スイッチ103からの操作信号の他に、前記蓋開ボタン32に設けたタクトスイッチ42や、蓋体21の開閉を検知する別なタクトスイッチ191からの検知信号を受けて、炊飯時および保温時に鍋11の底部を加熱する加熱コイル16と、鍋11の側部を加熱するコードヒータ18と、蓋体21を加熱する蓋ヒータ36とを各々制御すると共に、前述した減圧ポンプ92や電磁弁95を各々制御するものである。
【0084】
本実施例の加熱制御手段111は、鍋温度センサ17の検出温度に基づいて主に加熱コイル16が制御されて鍋11の底部を温度管理し、蓋温度センサ65の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ26が制御されて放熱板24ひいては内蓋62を温度管理するようになっている。加熱制御手段111は、自身の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯時に前記鍋11内の被炊飯物を炊飯加熱する炊飯制御手段117と、保温時に鍋11内のご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段118とをそれぞれ備えている。
【0085】
ここでの保温制御手段118はタイマー手段119を備えており、保温動作が開始するとタイマー手段119を起動させて保温経過時間を計時し、この保温経過時間が予め設定した時間(例えば1時間)に達したら、鍋11内の圧力が加圧状態からほぼ大気圧に戻り、且つ鍋11内の温度が保温温度にまで低下した、いわゆる保温が安定する状態と判断するようになっている。また、加熱制御手段11はその他に、操作スイッチ103からの予約炊飯開始の指令を受けて、予め記憶手段に記憶された所定時間に鍋11内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段117を制御する予約炊飯コースを実行可能な予約炊飯制御手段120を備えている。なお、前記所定時間は、操作スイッチ103の例えば時間キーや分キーを操作することで、適宜変更することができる。
【0086】
122は、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、加熱コイル16に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。またこれとは別に、加熱制御手段111の出力側には、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、放熱板24や内蓋62を加熱するように蓋ヒータ36を駆動させる蓋ヒータ駆動手段123と、コードヒータ18をオンにするコードヒータ駆動手段124と、ソレノイド82,172を個々にオンまたはオフにするソレノイド駆動手段125と、減圧ポンプ92を駆動させるポンプ駆動手段126と、電磁弁89をオンまたはオフにする電磁弁駆動手段127と、前述したLED41やLCD102などを含む表示手段128を駆動させる表示駆動手段129が各々設けられる。前記炊飯制御手段117による炊飯時、および保温制御手段118による保温時には、鍋温度センサ17と蓋温度センサ65からの各温度検出により、加熱コイル16による鍋11の底部への加熱と、コードヒータ18による鍋11の側面への加熱と、蓋ヒータ36による蓋体21への加熱が行なわれるように構成する。また、前記炊飯制御手段117による炊飯が終了し、鍋11内の被調理物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段118による保温に自動的に移行し、鍋温度センサ17の検知温度に基づき、加熱コイル16やコードヒータ18による鍋11への加熱を調節することで、ご飯を所定の保温温度(約70℃〜76℃)に保温するように構成している。
【0087】
特に前記コードヒータ18による加熱について補足説明すると、炊飯後にご飯の温度が約100℃から約73℃の保温温度に低下するまでと、約73℃の保温安定時に、コードヒータ18を発熱させて、蓋体21と本体1との隙間の空間に金属板29から熱放射して、この隙間からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、鍋11のフランジ部14を加熱する。また、保温時にご飯を再加熱する期間にもコードヒータ18により鍋11のフランジ部14を加熱し、ご飯の加熱により発生する水分が鍋11の内面上部に結露することを防止するように構成している。
【0088】
さらに、本実施例における加熱制御手段111は、予約炊飯制御手段120による予約炊飯の待機時の炊飯が開始するまでの期間や、炊飯制御手段117が実質的な炊飯を開始するまでのひたし行程の期間や、保温制御手段118により前述した保温が安定する状態と判断した後で、鍋11内が大気圧より低くなるように、減圧ポンプ92や減圧状態保持用の電磁弁95を動作させる減圧制御手段130としての機能をも備えている。
【0089】
次に、上記構成について、その作用を図21および図22のタイミングチャートに基づき説明する。図21において、最上段およびその次の段にある各グラフは、鍋11内における圧力および温度の各推移を示し、以下、減圧選択スイッチの動作タイミングと、前記LCDによる減圧表示ランプの動作タイミングと、減圧ポンプ92の動作タイミングと、電磁弁95の動作タイミングとをそれぞれ示している(塗潰しの状態がオン)。また、図22において、最上段およびその次の段にある各グラフは、鍋11内における温度および圧力の各推移を示し、以下、調圧弁69(調圧用ソレノイド82)の動作タイミングと、開閉弁182(開閉用ソレノイド172)の動作タイミングとをそれぞれ示している(塗潰しの状態がオン)。
【0090】
炊飯や保温が行なわれていない切状態において、調圧用ソレノイド82と開閉用ソレノイド172は共に非通電(オフ)状態にある。このとき、調圧用ソレノイド82のプランジャー151は進出位置にあって、連通孔74が開放するように調圧弁69が移動すると共に、開閉用ソレノイド172のプランジャー173も進出位置にあって、内蓋62の開閉用孔181が開放するように開閉弁182が上方に移動する。したがって、鍋11内は連通孔74および開閉用孔181を通して外部と連通し、大気圧に維持される。また、調圧フレームロック片163と開閉フレームロック片189の両方が、クランプ34の基端部34Aの下方から離れた位置にあるので、クランプ34の動作は規制されず、蓋開ボタン32を押動操作すれば、クランプ34がクランプ受け38から離脱する。すなわち切状態では、蓋体21を自由に開閉することができる。
【0091】
次に、予約炊飯時における動作を説明すると、操作スイッチ103の時間キーや分キーを操作することで、前記所定時間に相当する炊上がりの希望時刻を設定し、鍋11内に被炊飯物である米および水を入れて、その後で操作スイッチ103の別な例えばタイマースイッチを操作すると、予約炊飯制御手段120による予約炊飯コースが設定(セット)され、予約炊飯の待機状態に移行する。この予約炊飯コースでは、所定時間に鍋11内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段117を制御するが、予約炊飯の待機状態から実質的に炊飯が開始する時点までの間に、減圧制御手段130が動作して鍋11内の圧力が大気圧(1atm=1013hPa)よりも低くなるように、減圧ポンプ92や電磁弁95が制御される。
【0092】
具体的には、予約炊飯コースがセットされると、減圧制御手段130は炊飯が開始する直前まで減圧選択スイッチをオンにすると共に、鍋11内が減圧中であることを表示手段128に表示させる。これにより、使用者は鍋11内が減圧中であることを知ることができる。また、減圧制御手段130は、鍋11内から空気を排出するために、減圧ポンプ92を駆動させる信号をポンプ駆動手段126に出力すると共に、この減圧ポンプ92に同期して電磁弁95ひいては経路94を開放させる信号を電磁弁駆動手段127に出力する。その後、減圧制御手段130は減圧ポンプ92の駆動を停止させ、且つ電磁弁95ひいては経路94を閉じて、鍋11内を減圧状態に維持する。
【0093】
予約炊飯の待機中は、加熱制御手段111がソレノイド82をオン状態(通電状態)にしているため、調圧弁69が連通孔74を塞ぐ位置に転動されているが、鍋11内には僅かではあるが空気が侵入し(スローリーク)、鍋11内の圧力が電磁弁95の閉塞時点から次第に上昇する。減圧制御手段130は、一定時間が経過すると、再び減圧ポンプ92を駆動させると共に、電磁弁95ひいては経路94を開放させて、鍋11内から空気を排出する。その後は上述した動作が繰り返されて、減圧ポンプ92と電磁弁95が同時にオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。なお、実質的な炊飯が開始した後の動作は、後述する通常の炊飯動作と共通しているので、ここでは省略する。
【0094】
こうして、予約炊飯コースが設定された後、炊飯が開始するまでの待機時間が長く設定された場合でも、鍋11内は減圧状態が維持される。また、この減圧時には、調圧弁69が第1調圧パッキン75に載置され、当該第1調圧パッキン75の孔71Aを塞ぐので、鍋11内の密閉が確保される。そのため、鍋11内で雑菌が増殖したり、被炊飯物である米や水の腐敗が起こるのを効果的に防止できる。よって、最終的には炊上がり時に食味のよいご飯を得ることができる。また、この実施例では、予約炊飯の待機中の全期間に渡って、圧力制御手段130が鍋11内の圧力を減圧する制御を行なっているが、例えば予約炊飯コースが設定された後、所定の時間(例えば2時間)が経過したら、鍋11に対する減圧制御を行なうようにしてもよい。このように、予約炊飯の待機中の一定時間だけ、鍋11の圧力を大気圧よりも低くすることで、例えば炊飯開始までの待機時間がさほど長くないのに、鍋11内への減圧制御が強制的に行なわれて、減圧ポンプ92や電磁弁95を動作させるのに無駄な電力を消費する懸念を解消できる。
【0095】
次に、予約炊飯を行なわない通常の炊飯について、その動作を説明する。なお、前述した通り、予約炊飯コースにおける実質的な炊飯が開始した後の動作は、これから説明する通常炊飯の動作と共通している。
【0096】
鍋11内に被炊飯物である米および水を入れ、操作スイッチ103の例えば炊飯キーを操作すると、炊飯制御手段117による炊飯が開始する。ここで炊飯制御手段117は、実質的な炊飯を開始する前に、鍋11内の米に対する吸水を促進させるために、鍋温度センサ17による鍋11の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル16とコードヒータ18で鍋11の底部と側面部をそれぞれ加熱し、鍋11内の水温を約45〜60℃に15〜20分間保持するひたしを行なう。
【0097】
このひたし時には、減圧制御手段130が動作して鍋11内の圧力が大気圧よりも低くなるように、減圧ポンプ92や電磁弁95が制御される。具体的には、ひたし行程が開始すると、減圧制御手段130は実質的な炊飯が開始する直前まで減圧選択スイッチをオンにすると共に、鍋11内が減圧中であることを表示手段128のLCDに表示させる。これにより、使用者は鍋11内が減圧中であることを知ることができる。また、減圧制御手段130は、鍋11内から空気を排出するために、減圧ポンプ92を駆動させる信号をポンプ駆動手段126に出力すると共に、この減圧ポンプ92に同期して電磁弁95ひいては経路94を開放させる信号を電磁弁駆動手段127に出力する。その後、減圧制御手段130は減圧ポンプ92の駆動を停止させ、且つ電磁弁95ひいては経路94を閉じて、鍋11内を減圧状態に維持し、スローリークによる圧力上昇を考慮して、所定時間が経過すると、減圧制御手段130は再び減圧ポンプ92を所定時間駆動させると共に、電磁弁95ひいては経路94を開放させて、鍋11内から空気を排出する。その後は上述した動作が繰り返されて、減圧ポンプ92と電磁弁95が同時にオン,オフ制御され、鍋11内の圧力が所望の範囲内の値に維持される。
【0098】
また、鍋11内が大気圧以下のときには、調圧用ソレノイド82と開閉用ソレノイド172が共に通電(オン)状態になって、調圧用ソレノイド82のプランジャー151と開閉用ソレノイド172のプランジャー173が各々後退位置に移動する。これにより、調圧弁69が第1調圧パッキン75の孔71Aを塞ぎ、開閉弁96が内蓋62の開閉用孔181を塞ぐので、鍋11内の密閉が確保される。また、調圧フレームロック片163と開閉フレームロック片189の両方が、クランプ34の基端部34Aの下方に潜り込むので、クランプ34の回動が規制され、蓋開ボタン32を押動操作しようとしても、クランプ34とクランプ受け38との係合が二重にロックされ、蓋体21が開かないようになる。
【0099】
こうして、ひたし時には鍋11内は減圧状態が維持される。また、この減圧時には、調圧弁69が第1調圧パッキン75に載置され、当該第1調圧パッキン75の孔71Aを塞ぐので、鍋11内の密閉が確保される。そのため、ひたし時に密閉状態で鍋11内を減圧することができ、鍋11内において米に水を十分に吸水させることが可能になる。
【0100】
その後、所定時間のひたしが終了すると、炊飯制御手段117は実質的な炊飯動作を開始すると共に、減圧制御手段130による鍋11への減圧制御は中断し、減圧選択スイッチはオフになると共に、LCDによる減圧状態である旨の表示も停止する。併せて、減圧ポンプ92および電磁弁95は、その後の保温が安定した状態になるまでオフ状態となる。また、炊飯制御手段11は、調圧弁69を連通孔74から退避させる。これにより鍋11はほぼ大気圧に維持されるが、開閉用ソレノイド172は引き続きオン状態にあり、開閉フレームロック片189がクランプ34の基端部34Aの下方に位置して、蓋体21を開けることができないようになっている。
【0101】
鍋11内の沸騰状態を検知すると、炊き上げ(沸騰継続加熱)とむらしが続けて行なわれるが、むらしの途中までは鍋11内を大気圧以上にするために、炊飯制御手段117は減圧手段91の作動を停止させつつ、調圧用ソレノイド82をオン状態にし、調圧弁69により連通口70を閉塞する。これにより、鍋11内と外部との連通は遮断される。また、調圧フレームロック片163と開閉フレームロック片189の両方が、クランプ34の基端部44Aの下方に潜り込むので、クランプ34とクランプ受け38との係合が二重にロックされ、蓋体21を開けることはできない。
【0102】
炊飯行程に移行すると、炊飯制御手段117は加熱コイル16により鍋11を強加熱し、被炊飯物への沸騰加熱を行なう。この沸騰加熱時に鍋11の底部の温度が90℃以上になり、蓋体21の温度が90℃以上で安定したら、鍋11内が沸騰状態になったものとして、それまでよりも加熱量を低減した沸騰継続加熱に移行する。沸騰加熱の途中で、炊飯制御手段117はソレノイド82をオフ状態にして、調圧弁69を連通口70から退避させる。これにより、調圧部64は密閉せずに鍋11の内外を連通させた開放状態となり、鍋11はほぼ大気圧に維持される。一方、開閉用ソレノイド172は引き続きオン状態にあり、開閉フレームロック片189がクランプ34の基端部44Aの下方に位置して、蓋体21を開けることができないようになっている。なお、上述の蓋体21の温度が90℃以上で安定したことは、蓋温度センサ65からの検出温度の温度上昇率により検知される。また、この沸騰検知において、鍋温度センサ17と蓋温度センサ65とにより、鍋11の底部および蓋体21がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に鍋11内が沸騰したことを精度よく検知できる。
【0103】
また、前記鍋11の底部,鍋11の側面部または蓋体21のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない検知温度になったら、加熱制御手段111は何らかの異常があると判断して炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。逆に、前記鍋11の底部または蓋体21のいずれかが90℃以上になって所定時間(例えば5分)経過しているのに、それ以外の鍋11の底部または蓋体21のいずれかが90℃未満で低い状態の場合、この温度の低い状態の鍋温度センサ17または蓋温度センサ65が、何らかの理由(汚れや傾きや接触不良など)で温度検知精度が悪化していると判断し、同様に炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、むらしに移行するか、保温を行ない、これに対処する。
【0104】
鍋11内の沸騰状態を検知すると、炊き上げ(沸騰継続加熱)とむらしが続けて行なわれるが、むらしの途中までは鍋11内を大気圧以上にするために、炊飯制御手段117は減圧手段91の作動を停止させつつ、調圧用ソレノイド82をオン状態にし、調圧弁69により連通孔74を閉塞する。これにより、鍋11内と外部との連通は遮断される。また、調圧フレームロック片163と開閉フレームロック片189の両方が、クランプ34の基端部44Aの下方に潜り込むので、クランプ34とクランプ受け38との係合が二重にロックされ、蓋体21を開けることはできない。
【0105】
また、沸騰継続に移行すると、炊飯制御手段117は蓋ヒータ36による蓋加熱を開始させる。ここでの蓋加熱は、内蓋62の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサ65の検知温度により管理される。また沸騰継続加熱に移行したら、炊飯制御手段117はソレノイド82を周期的にオン・オフさせる。この沸騰継続加熱では、操作スイッチ103により選択したメニューに応じて、ソレノイド82の通断電タイミングを変えるのが好ましい。これにより、鍋11に通じる調圧部64の密閉度を、選択したメニューに応じて最適なものに可変することができる。
【0106】
そして、鍋11の底部が所定の温度上昇を生じたら、鍋11内の炊上がりを検知して、炊飯制御手段117による炊飯行程を終了し、保温制御手段118により保温行程に移行して、最初のむらしに移行する。むらし中は蓋温度センサ65の検出温度による温度管理によって蓋ヒータ36を通断電し、内蓋62への露付きを防止すると共に、ご飯が焦げない程度に高温(98〜100℃)が保持されるように、鍋11の底部の温度を管理する。むらしは所定時間(15〜20分)続けられ、むらしが終了したら保温制御手段118による保温に移行する。
【0107】
また、むらしに移行すると、その後の保温開始直後に蓋体21が開けられることを考慮して、鍋11内を徐々に大気圧に戻す動作が行なわれる。そして保温制御手段118は、むらしの途中で調圧用ソレノイド82を先にオン状態からオフ状態に切り換えて、調圧弁69を連通孔74から退避させ、その後で所定時間が経過してから、開閉用ソレノイド172をオン状態からオフ状態に切り換える。こうすれば、少なくとも連通孔74を開放した後も、開閉用ソレノイド172がオフ状態になるまでは、蓋体21を開けることができなくなり、鍋11内が大気圧に戻りきらないうちに、不用意に蓋体21が開くのを防止できる。
【0108】
保温行程に移行した直後は、鍋11内が連通孔74および開閉用孔181を通して外部と連通し、大気圧に維持される。それと共に、調圧フレームロック片163と開閉フレームロック片189の両方が、クランプ34の基端部44Aの下方から離れた位置にあるので、蓋体21を自由に開閉することができる。
【0109】
その後、前記実施例でも説明したように、保温制御手段118は保温経過時間が予め設定した時間に達すると、減圧制御手段130により鍋11内の圧力が大気圧よりも低くなるように、減圧ポンプ92や電磁弁95が再び作動制御する。それと共に、鍋11内を密閉状態にするために、調圧用ソレノイド82と開閉用ソレノイド172を同時にオン状態にする。これにより、調圧フレームロック片163と開閉フレームロック片189の両方が、クランプ34の基端部44Aの下方に潜り込んで、クランプ34の回動が規制される。なお、こうした動作は、保温行程の所定時間後ではなく、保温行程で鍋11内が所定温度に到達したのを鍋温度センサ17が検出したときに、行なわれるようにしてもよい。
【0110】
また保温になると、加熱コイル16にて鍋11の底部と側面下部を加熱すると共に、鍋11内に収容するご飯の温度よりも僅かに高く、蓋ヒータ36により蓋体21の下面を加熱し、さらに鍋11の側面をコードヒータ18でご飯が乾燥せず、かつ露が多量に付着しないように温度管理する。鍋11内のご飯の温度は70〜76℃に温度保持されるが、この保温時においても、鍋温度センサ17や蓋温度センサ65が相互に異常に高かったり、あるいは異常に低かったりした場合には、異常を検知してこの異常加熱を防止する。
【0111】
保温行程に移行すると、保温制御手段118は前記タクトスイッチ42,191からの検知信号を受け付ける。すなわち、図4Aに示すように、鍋11内を減圧状態にする減圧手段91の作動制御中であって、調圧用ソレノイド82と開閉用ソレノイド172が同時にオンしている状態で、使用者が蓋体21を開けようと意図して蓋開ボタン32を押動操作しようとすると、クランプ34の基端部34Aが調圧フレームロック片163と開閉フレームロック片189に当たって、その回動を規制されてはいるものの、図4Bに示すように付勢手段の上向きの付勢力に抗して蓋開ボタン32を下方へ押し込み、タクトスイッチ42に動作力以上の荷重を加えると、タクトスイッチ42が動作して検知信号が保温制御手段118へ送信される。このときのタクトスイッチ42からの検知信号を保温制御手段118が受けると、調圧用ソレノイド82と開閉用ソレノイド172は連動してオフ状態になり、双方のプランジャー151,173が進出して、連通孔74および開閉用孔181を開放すると共に、図4Cに示すように、クランプ34に対する調圧フレームロック片163や開閉フレームロック片189の回動規制も解除され、蓋開ボタン32を再度押すことで、クランプ34とクランプ受け38との係合を解除して、蓋体21を開けることができるようになる。
【0112】
蓋体21が開くと(即ち、蓋開ボタン32の押動操作を終了すると)、蓋開ボタン32はクランプ付勢手段36からの付勢力により再び上昇し、所定の位置で止まる。この時、蓋開ボタン32内のタクトスイッチ42は電気的なオン・オフではなく、機構的に検知手段45に負荷が加わっている状態つまりタクトスイッチ42が押された状態を示したオン(ON)状態となり、それに応じた信号が加熱制御手段111に出力される。
【0113】
この時のタクトスイッチ42からの検知信号を加熱制御手段111が受けてから、所定の時間が経過した後、再度加熱制御手段111が、タクトスイッチ42がオン(ON)状態であることを検知すると、加熱制御手段111を構成する減圧制御手段130が減圧手段91を駆動させ、鍋11内を減圧する。この時、蓋体21が開いた状態なっていても、調圧フレームロック片163は蓋開ボタン32の押動操作を規制するものの、クランプ34の回転動作は規制されていないため、蓋体21を閉じることができる。
【0114】
加熱制御手段111は、所定の行程である保温中にのみ、タクトスイッチ42からの信号を読取っている。この場合、加熱制御手段111はタクトスイッチ42からの信号を受け付けるものの、その受け付けた信号を利用して制御を行なうことはしない。こうすることで、加熱制御手段111としてのソフトウェア上の構成を簡素化することができる。また、保温以外の行程で、加熱制御手段111がタクトスイッチ42からの信号を読取ってもよい。
【0115】
また、前記むらしや保温行程中において、減圧手段91が作動し、鍋11内が大気圧以下のときには、LED41を連続点灯させる制御信号を、加熱制御手段111が表示駆動手段129に送出する。これにより使用者は、鍋11内が減圧中であることにより、蓋体21と本体1が係合ロックされていることを直ぐに認識できる。また、蓋開ボタン32を押動操作しようと意図してから、実際に蓋体21を開放できるまでには、若干のタイムラグがあるので、蓋体21のクランプ34と本体1のクランプ受け38との係合を解除しようと意図したときの検知信号をタクトスイッチ42が出力すると、LED41が点滅動作に切り替わり、その後所定時間が経過したら、LED41を自動的に消灯させるようにすれば、何故直ぐに蓋体21が開かないのかを使用者に理解させることができる。
【0116】
また、付勢手段53により付勢されたクランプスイッチホルダ46が蓋開ボタン32内部で遊動することにより、付勢手段53を介してクランプスイッチホルダ46とクランプ34が常に弾性的に接触しているため、蓋開ボタン32が押されてタクトスイッチ42がクランプ34に押し当てられる際に追従性が生まれ、タクトスイッチ42による検知精度を向上させることができると共に、タクトスイッチ42を動作させるのに必要な動作力以上の力で蓋開ボタン32を押し過ぎても付勢手段53が蓋開ボタン32を押す力を吸収するので、タクトスイッチ42にその耐久力以上の荷重がかかることを防ぎ、タクトスイッチ42を保護することができる。そのため、付勢手段53の付勢力は、タクトスイッチ42の動作力より強く、且つタクトスイッチ42の耐久力より弱く設定されている。
【0117】
このように、安価で超小型なタクトスイッチ42を使用することができ、蓋開閉検知手段を構成する為に特別なスペースを確保する必要が無い。またタクトスイッチ42を使用することにより、他のスイッチを使用するよりも配線数も減らすことができる。
【0118】
クランプスイッチホルダ46の付勢手段53は、タクトスイッチ42を動作させるのに必要な動作力より強く、タクトスイッチ42の耐久力より弱く設定することにより、安定した精度と耐久性を得ることができる。
【0119】
また、クランプスイッチホルダ46の上部収納体47と下部収納体48は、セルフヒンジ部50により一体に形成することにより、備品点数を減らすと共に、小型部品である故の組立性にも配慮することができる。
【0120】
さらに、クランプスイッチホルダ46にエンボス形状に加工したPETシート54などを取付けることにより、防水タイプのスイッチを使用するより格安で防水構造にすることができる。
【0121】
また、防水に用いるPETシート54の厚みは、90〜125μmとすることで、タクトスイッチ42の検知精度の損失を低減し、長期使用にも耐える耐久性を備えることができる。
【0122】
前記蓋開閉検知手段45は、蓋体21の蓋開き時に付勢手段53により付勢されたクランプ34により、タクトスイッチ42がON状態となり蓋体21が開いていることを検知する。これにより、蓋体21が開いている時に蓋ヒータ26や減圧手段91への通電を停止し、無用な電力消費を抑えることができる。また蓋体21の蓋開き時に減圧手段91が動作すると、クランプ34がロックされ蓋体21が閉まらなくなることも防止できる。
【0123】
下部収容体48の底面には付勢手段53より上向きの付勢力が常時付与されているため、下部収納体48がセルフヒンジ部50を軸に下方へ回動して、上部収容体47の開口部49が開放されることを防止し、タクトスイッチホルダ46に収容された基板43が離脱することを防止できる。
【0124】
さらに、下部収納体48に前側ガイド部材48A及び後側ガイド部材48Bを設けることによって、上部収容体47に対する下部収納体48の位置決めが容易になると共に、下部収納体48の回動動作の際に基板43が下部収納体48の上面から滑落しようとしても、基板43の前後が前側ガイド部材48A及び後側ガイド部材48Bによって保持され、基板43が脱落することを防ぐことができる。
【0125】
以上のように本実施例は請求項1に対応しており、鍋11と、鍋11を収納する本体1と、本体1を覆う蓋体21と、鍋11内を大気圧より低い状態にする減圧手段91と、本体1と蓋体21との所定状態すなわち閉状態を保持する保持手段たる係合手段としてのクランプ34とクランプ受け38と、蓋体21を所定方向たる開方向に付勢する蓋付勢手段としてのヒンジバネ29と、所定状態すなわち本体1と蓋体21との閉状態を解除する解除手段として蓋開ボタン32と、クランプ34とクランプ受け38の保持解除つまり係合解除を阻害する阻害手段121と、蓋開ボタン32の変化を検知し阻害手段121による阻害を解除する阻害解除手段たる検知手段45を備え、検知手段45を前記蓋開ボタン32内部で遊動可能に備え、更に検知手段45を所定方向に付勢する解除付勢手段としての付勢手段53を設けた炊飯器であって、付勢手段53をタクトスイッチ42の動作力より強く、タクトスイッチ42の耐久力より弱く設定したことにより、検知手段45のコンパクト化と検知精度の向上を図ることができる。
【0126】
また本実施例は請求項2に対応しており、タクトスイッチ42を収納するケースであるクランプスイッチホルダ46に、セルフヒンジ部50を備えたことにより、部品点数の削減を図ることができる。
【0127】
さらに本実施例は請求項3に対応しており、タクトスイッチ42を防水構造としたことにより、検知手段45の耐水性の向上を図ることができる。
【0128】
また本実施例は請求項4に対応しており、前記防水構造に用いるシート部材であるPETシート54の厚みを、100〜125μmとしたことにより、検知手段45の検知精度の向上と耐久性の確保を図ることができる。
【実施例2】
【0129】
次に、本発明の第2実施例を図23〜図29を参照して説明する。なお、上記実施例と同一部分には同一符号付し、その共通する箇所の説明は重複するため極力省略する。
【0130】
本実施例では、図23に示すように、蓋体21の中に蓋体21の開閉を検知するための蓋開閉検知手段として光電センサであるフォトカプラーセンサを用いたフォトカプラースイッチ300を設置している。
【0131】
そしてフォトカプラースイッチ300の一例として図24〜図26に示すように、フォトカプラースイッチ300の中空箱型形状のスイッチ本体301内部にフロート302を有し、蓋体21を開けた場合、ヒンジ部28側にフロート302が移動し、蓋体21を開けたことを検知する。
【0132】
ここで、フォトカプラースイッチ300は、前述のスイッチ本体301内で転がり自在に備えた球状のフロート302と、発光ダイオード等の発光素子を備えた投光部(図示せず)とフォトトランジスタ等の受光素子を備えた受光部(図示せず)を有してスイッチ本体に設けた透孔301Aよりフロート302の動作を光学的に検知可能なフロート検知部303とからなる。さらに、フロート検知部303としては、図24及び図25に示すような投光部と受光部を一体に備えた測距方式、回帰反射方式、および拡散反射方式や、図26に示すような投光部303Aと受光部303Bとを別体に備えた対向方式(透過方式)であっても構わないものとする。また、透孔301A及びフロート検知部303について、図24〜図26ではいずれも、スイッチ本体301に対して炊飯器の前側に設けているが、スイッチ本体301に対してヒンジ部28側に設けたものでも構わないものとする。さらに、スイッチ本体301に透孔301Aを設けずに、スイッチ本体301自体を透光性を有する素材で形成してもよい。また、図26においては投光部303Aと受光部303Bの位置は反対であってもよい。
【0133】
また、フロート302については、フロート検知部303からの光を遮蔽或いは反射が可能なものとし、またその形状については球状に限定されず、例えば転がりの良い形状であれば、円柱形状やその他の形状としても構わないものとする。このフロート302は、フォトカプラースイッチ300内で炊飯器の後方から前方に向けて下り傾斜状に形成された傾斜部である溝304上に載置されており、蓋体21が閉じた状態ではフロート302がフロート検知部303側へ近付くようにスイッチ本体301内を前方に移動し、逆に蓋体21が開いた状態ではフロート302がフロート検知部303から離れるようにスイッチ本体301内を後方へ移動する構成となっている。
【0134】
このように、蓋体21の開閉の際のフロート302の移動により、フロート検知部303の受光状況が変わるため、フロート検知部303が蓋体21の開閉を検知する構成となっている。
【0135】
また図27に示すように、図20に示す構成の他に蓋開閉検知手段300を加熱制御手段111の入力側に備え、保温制御手段118は蓋開閉検知手段300からの検知信号に基づき加熱コイル16やコードヒータ18の制御を行うものである。
【0136】
本実施例では、図28に示すように、通常は第一の保温温度T1にてご飯の保温を行う保温工程において(ステップS101)、蓋開閉検知手段300が蓋体21の開放を検知する(ステップS102)と、保温制御手段118へ検知信号を送信し、保温制御手段118は加熱コイル16やコードヒータ18の出力を変更して第一の保温温度T1から、第一の保温温度T1より高い温度の第二の保温温度T2(T1<T2)に切り替えて保温工程での保温温度を上昇させる(ステップS103)。
【0137】
また蓋開閉検知手段300により蓋体21が閉まったことが検知される(ステップS104)と、保温制御手段118へ検知信号を送信し、保温制御手段118は加熱コイル16やコードヒータ18の出力を変更して第二の保温温度T2から、第一の保温温度T1に切り替えて保温工程での保温温度を通常の保温温度に戻す(ステップS101)。
【0138】
このように、保温工程中に鍋11内のご飯をよそうために蓋体21を開閉した場合に、外気によって炊飯器内の鍋11やその中のご飯が冷やされてしまうが、保温制御手段118が蓋開閉検知手段300より蓋体21が開放されたことが検知されると、保温温度を通常の保温温度である第一の保温温度T1から高温の第二の保温温度T2に変更するように加熱コイル16やコードヒータ18を制御する。そのため、保温中に蓋体21が開けられても、蓋体21の開放中に保温温度を上げることで、鍋11内が外気によって冷やされるのを防ぎ、保温中のご飯の温度低下による劣化を防ぐことができる。
【0139】
以上のように本実施例では請求項5に対応しており、鍋11と、鍋11を加熱する加熱手段である加熱コイル16やコードヒータ18と、鍋11と加熱コイル16やコードヒータ18を内蔵する本体1と、鍋11の上部を覆い本体1のヒンジ部28を軸として開閉自在に取り付けられた蓋体21と、蓋体21の開閉を検知して保温時の保温温度を第一の保温温度T1から第一の保温温度T1より高い第二の保温温度T2に切り替える機能を有する炊飯器であって、蓋体21の開閉を検知する蓋開閉検知手段300を蓋体21内に有し、蓋開閉検知手段300をフォトカプラースイッチとしたことにより、蓋体21の開閉を確実に検知できる。
【0140】
また本実施例では請求項6に対応しており、フォトカプラースイッチ300内部にフロート302を有したことで、フロート302の移動により蓋体21の開閉を確実に検知できる。
【0141】
さらに実施例上の効果として、蓋開閉検知手段300に光電センサであるフォトカプラースイッチを採用したことで、フロート302に高価な磁石を用いる必要がないのでコストを抑制することができるとともに、フロート302に樹脂材料等の軽量な素材を用いることで蓋開閉検知手段300の軽量化による蓋体21全体の軽量化を図り、蓋体21の開閉や炊飯器の持ち運び等の操作性の向上を図ることも可能である。
【実施例3】
【0142】
次に、本発明の第3実施例を図29〜図30を参照して説明する。なお、上記実施例と同一部分には同一符号付し、その共通する箇所の説明は重複するため極力省略する。
【0143】
また図29に示すように、本実施例の炊飯器の電気的な構成では、図27に示す構成の他に加熱制御手段111の入力側には、被炊飯物を含む鍋11の重量を検知する重量検知手段400と、操作パネル101に設けられ、全ての動作を中止して切状態にする切操作手段たる切キー401とを備え、一方の加熱制御手段111の出力側には、報知手段たるブザー402を備え、加熱制御手段111に備えた記憶手段403には、鍋11の空状態の重量が予めメモリーされているものとする。
【0144】
本実施例では、図30に示すように加熱制御手段111の記憶手段403に鍋11の空の状態である空鍋の重量が予めメモリーされており、水と米またはその他の食品が入った鍋11を炊飯器にセットして蓋体21を閉めた場合、重量検知手段400にてセットされた鍋11の重量が空鍋より重いこと(ステップS201)及び蓋開閉検知手段300により蓋体21を閉めたこと(ステップS202)を検知し、一定の時間操作スイッチ103等の各種スイッチの操作がされない各種スイッチが未操作である場合(ステップS203)にブザー402よりブザー音などがするようにする(ステップS204)。
【0145】
ここで、ステップS204の状態において、切キー401を押すことで(ステップS205)、ブザー402のブザー音を停止して、ブザー音による操作スイッチ103等のであることの警告を解除することができる(ステップS206)。また、ステップS203で操作スイッチ103等を操作することで、炊飯又は調理がスタートされる(S207)。
【0146】
本実施例では請求項7に対応しており、炊飯器本体1と、炊飯器本体1に収容され、調理物として水と米またはその他の食品を入れる鍋11と、鍋11を加熱する加熱手段としての加熱コイル16及びコードヒータ18と、鍋11の温度を検知する鍋温度検知手段としての鍋温度センサ17と、加熱コイル16及びコードヒータ18を制御する制御手段としての加熱制御手段111と、鍋11の重さを検知する重量検知手段400と、蓋11の開閉を検知する蓋検知手段としての蓋開閉検知手段300を備え、空状態の鍋11の重量が予め記憶されており、空状態以上の重さの前記鍋11がセットされ、蓋体21を閉めた後、操作手段としての操作スイッチ103が操作されない場合に報知手段としてのブザー402で報知することで、ブザー402より警告音がすることにより、鍋11をセットした後の炊飯又は調理スタート忘れを防止できる。
【0147】
また本実施例では請求項8に対応しており、空状態以上の重さの鍋11がセットされ、蓋体21を閉めた後、切操作手段としての切キー401を操作することにより、ブザー402を停止するものとしたことで、鍋11をセットした後、使用者の都合のいい時間で炊飯又は調理ができる。
【0148】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において様々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0149】
1 本体
11 鍋
16 加熱コイル(加熱手段)
17 鍋温度センサ
18 コードヒータ(加熱手段)
21 蓋体
29 ヒンジバネ(蓋付勢手段)
32 蓋開ボタン(解除手段)
34 クランプ(保持手段)
38 クランプ受け(保持手段)
42 タクトスイッチ(検知手段)
45 検知手段(阻害解除手段)
50 セルフヒンジ部
53 付勢手段(解除付勢手段)
54 PETシート(シート部材)
91 減圧手段
103 操作スイッチ(操作手段)
111 加熱制御手段(制御手段)
121 阻害手段
300 フォトカプラースイッチ(蓋開閉検知手段)
302 フロート
400 重量検知手段
401 切キー(切操作手段)
402 ブザー(報知手段)
T1 第一の保温温度
T2 第二の保温温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と、前記鍋を収納する本体と、前記本体を覆う蓋体と、前記鍋内を大気圧より低い状態にする減圧手段と、所定状態を保持する保持手段と、前記蓋体を所定方向に付勢する蓋付勢手段と、前記所定状態を解除する解除手段と、前記保持手段の保持解除を阻害する阻害手段と、前記阻害手段を解除する阻害解除手段を備え、前記阻害解除手段を前記解除手段内部で遊動可能に備え、更に前記阻害解除手段を所定方向に付勢する解除付勢手段を設けた炊飯器であって、
前記解除付勢手段を前記阻害解除手段の動作力より強く、前記阻害解除手段の耐久力より弱く設定したことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記阻害解除手段を収納するケースに、セルフヒンジを備えたことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記阻害解除手段を防水構造としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記防水構造に用いるシート部材の厚みを、100〜125μmとしたことを特徴とする請求項3記載の炊飯器。
【請求項5】
鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋と前記加熱手段を内蔵する本体と、前記鍋の上部を覆い前記本体のヒンジ部を軸として開閉自在に取り付けられた蓋体と、前記蓋体の開閉を検知して保温時の保温温度を第一の保温温度から前記第一の保温温度より高い第二の保温温度に切り替える機能を有する炊飯器であって、
前記蓋体の開閉を検知する蓋開閉検知手段を前記蓋体内に有し、前記蓋開閉検知手段をフォトカプラースイッチとしたことを特徴とする炊飯器。
【請求項6】
前記フォトカプラースイッチ内部にフロートを有したことを特徴とする請求項5記載の炊飯器。
【請求項7】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体に収容され、調理物を入れる鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記加熱手段を制御する制御手段と、前記鍋の重さを検知する重量検知手段と、前記蓋の開閉を検知する蓋検知手段を備え、空状態の前記鍋の重量が予め記憶されており、前記空状態以上の重さの前記鍋がセットされ、前記蓋を閉めた後、操作手段が操作されない場合に報知手段で報知することを特徴とする炊飯器。
【請求項8】
前記空状態以上の重さの前記鍋がセットされ、前記蓋を閉めた後、切操作手段を操作することにより、前記報知手段を停止するものとしたことを特徴とする請求項7記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図6】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−40119(P2012−40119A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182800(P2010−182800)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】