説明

炭化水素橋かけ基を有する官能化シランモノマーを重合させる半導体オプトエレクトロニクス用ポリマーの製造方法

下基式(I):


(式中、Rは加水分解性基であり、Rは水素であり、Rは直鎖状または分枝状の2価のヒドロカルビル橋かけ基である)で表わされるモノマーを準備する工程であって、前記モノマーを対応する出発物質のヒドロシリル化によって生成される工程と、該モノマーを単独重合または共重合させてポリマーを生成させる工程とを含む、半導体オプトエレクトロニクス用ポリマーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な有機官能化シラン前駆体およびそのポリマーであって、例えば集積回路内の誘電体として使用される薄膜、オプトエレクトロニクスの用途、およびその他の類似の用途に利用可能なポリマーを製造する方法に関する。より詳しくは、本発明は、まず中間体モノマーを作製し、次いでこのモノマーを有機官能化シランモノマーに転換し、最後に該官能化モノマーのポリマーまたはポリマー組成物を生成させることに関する。また本発明は、有機官能化モノマーの重合によってシロキサン組成物を調製し、重合した組成物を層の形で基材上に付着させ、該層を硬化させて被膜を形成するような、被膜の製造方法に関する。さらに、本発明は、集積回路およびオプトエレクトロニクスデバイスと、それらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス、特に家電製品においては、電子画像センサの商業的利用が過去数年にわたって劇的に増加してきた。電子画像センサは、カメラ、携帯電話に見られ、また自動車の新しい安全機能のために使用され、例えば車両間の距離を推定し、ミラーなどに映されない死角を保護及び検出するために使用されている。この要求を満たすために、多くの半導体製造業者は、生産ラインをCMOSセンサ製造へと変換している。CMOSセンサの製造には、標準的なIC製造で現在使用されているプロセスの多くが使用され、最新のデバイスを製造するのに多額の資本投資を必要としない。
【0003】
ボトムアッププロセスでは、シリコン層中にフォトダイオードを作製する。該ダイオードの上方に、電流が流れるように標準的な誘電体および金属の回路を作製する。デバイス表面からカラーフィルタを通して能動フォトダイオードへと光を通す光透過性材料が、ダイオードの直上にある。通常、透明な保護および平坦化材料を、カラーフィルタおよびデバイスの上に配置する。デバイス性能を改善するために、カラーフィルタの上方の平坦化層の上にマイクロレンズを作製する。最後に、このレンズ上にパッシベーション層を配置してもよく、またはスライドガラスをレンズアレイ上に配置して、このレンズとカバーとの間に空隙が残るようにする。ほとんどのCMOSセンサは、1層または複数層の金属を有するサブトラクティブアルミニウム/CVD酸化物メタライゼーションを使用して、組み立てられる。平坦化層またはマイクロレンズの製造には、ポリイミドやノボラック材料などの有機ポリマーも使用され、また、時にはシロキサンポリマーも使用される。
【0004】
有機ポリマーは、その誘電率の挙動に関して、2つの異なるグループに分けることができる。非極性ポリマーは、ほぼ純粋に共有結合を有する分子を含有する。これらは、主に非極性のC−C結合からなるので、密度および化学組成のみを用いて誘電率を推定することができる。極性ポリマーは、低損失を有するのではなく、むしろ電気陰性度が異なる原子を含有し、それが非対称の電荷分布をもたらす。したがって、極性ポリマーは、誘電損失および誘電率がより高く、評価される周波数および温度に誘電損失および誘電率が依存する。いくつかの有機ポリマーは、誘電性を目的として開発されている。しかしながら、これらの被膜の利用可能性は、その低い熱安定性、軟らかさ、およびSiO系の誘電体に合わせて開発された伝統的な技術的プロセスとの不適合性が理由で、制限されている。例えば、有機ポリマーは、被膜に損傷を与えることなく化学機械研磨することができずまたは乾式処理によってエッチバックすることができない。
【0005】
したがって、最近の関心の一部は、SSQ(シルセスキオキサンまたはシロキサン)またはシリカ系の誘電体および光学材料に集中している。SSQ系の材料の場合、シルセスキオキサン(シロキサン)が基本単位である。シルセスキオキサンまたはT樹脂は、実験式(R−SiO3/2で表わされる有機−無機ハイブリッドポリマーである。これらの材料の最も一般的な代表例は、はしご型構造を含み、また、ケイ素上の立方体(T立方体)の頂点に配置された8個のケイ素原子を含有するかご型構造は、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、およびアリールを含むことができる。多くのシルセスキオキサン類は、そのSi上での有機置換によって、一般の有機溶媒に対して適度に良好な溶解性を有する。有機置換により、低密度および低誘電率のマトリックス材料が提供される。マトリックス材料のより低い誘電率は、SiO中のSi−O結合に比べてSi−R結合が低分極率であることにも原因がある。マイクロエレクトロニクスの用途に合わせたシルセスキオキサン系の材料は、主に水素−シルセスキオキサン、HSQ、およびメチル−シルセスキオキサン、(CH−SiO3/2(MSQ)である。MSQ材料は、CH基のサイズがより大きいのでHSQに比べてより低い誘電率を有し、それぞれ約2.8および3.0〜3.2であり、Si−CH結合はSi−Hに比べてより低い分極率を有する。しかしながら、これらの被膜の可視範囲での屈折率は、通常、約1.4から1.5であり、常に1.6未満である。
【0006】
シリカ系の材料は、SiOの4面体基本構造を有する。シリカは、各Si原子が4個の酸素原子と結合した分子構造を有する。各シリコン原子は、酸素原子の正4面体の中心にあり、即ち架橋結合を形成する。純粋なシリカの全ては、稠密構造と、高い化学的安定性および優れた熱安定性とを有する。例えば、マイクロエレクトロニクスで使用される非晶質シリカ被膜は、2.1から2.2g/cmの密度を有する。しかしながら、これらの誘電率も、高く、Si−O結合の高分極率に関連した誘電率の高周波数分散により、4.0から4.2の範囲である。したがって、1個または複数のSi−O−Si結合基を、k値を低下させるCH基などのC含有有機基で置換する必要がある。しかしながら、これらの有機単位は、架橋結合度を低下させ、さらに立体障害に起因する分子間の自由体積を増大させる。したがって、これらの機械的強度(ヤング率<6GPa)および耐薬品性は、4面体二酸化ケイ素に比べて低下する。また、これらのメチル系のシリケートおよびSSQ(即ち、MSQ)ポリマーは、亀裂閾値が比較的低く、通常、1μm以下のオーダーである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、伝統的な集積回路(IC)のプロセスおよびCMOS画像センサの用途に適合する、高屈折率の新規シロキサンポリマーを提供することである。
【0008】
他の目的は、新規な有機官能化分子を生成させるために、モノマーを変性する方法を提供することである。
【0009】
本発明の第3の目的は、優れた誘電特性および光学特性を有する薄膜の調製に適切な、ポリ(オルガノシロキサン)組成物を製造する方法を提供することである。
【0010】
本発明の第4の目的は、上述のポリマーによって形成された、誘電率が低く、機械的および熱的特性に優れた新規な薄膜を提供することである。
【0011】
本発明の第5の目的は、シリコンおよびガラスウェハ上に誘電体層を設けることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これら及びその他の目的は、下記の明細書から明らかになる公知の誘電体薄膜およびその調製方法より優れたそれらの利点と共に、以下に説明され且つクレームされる本発明によって達成される。
【0013】
本発明のこれらの目的を達成するために、多シラン分子をベースにし、かつ半導体またはオプトエレクトロニクスデバイス用の層間絶縁膜として有用な、新規なポリオルガノシルセスキオキサン材料を発表する。
【0014】
一般に、該新規材料のモノマーは、少なくとも2個の金属原子であって、ヒドロカルビルの橋かけ基によって相互に連結され、かつ加水分解性の置換基を両方の金属原子上に見せる金属原子と、少なくとも1個の有機基であって、ポリマーの分極率を低下させ、ポリマーをさらに架橋させ、ポリマーにナノメートルサイズの多孔度を形成し、またはこのモノマーから形成された前述の性質の全ての組合せが可能な有機基とを含む。
【0015】
特に、金属原子は、シリコン原子であり、橋かけ基は、これら2個のシリコン原子を一緒に結合させる直鎖状または分枝状の(2価の)ヒドロカルビル基である。さらに、典型的にはシリコン原子の1つが3個の加水分解性基を含有し、その他のシリコン原子は2個の加水分解性基および有機架橋基、反応性開裂基または分極率低下有機基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、多環式基、または有機含有シリコン基などを含有する。後者の基は、完全にまたは部分的にフッ素化されていてもよい。
【0016】
本発明で使用される前駆体の一般式Iは、下記の通りである。
【0017】
【化1】

式中、Rは、水素、ハロゲン化物、アルコキシ基、またはアシルオキシ基などの加水分解性基であり、
は、水素、有機架橋基、反応性開裂基、または分極率低下有機基であり、
は、直鎖状または分枝状の2価のヒドロカルビル橋かけ基である。
【0018】
本発明の方法において、式Iは、わずかに異なる2種類の前駆体を包含し、即ち、第1の最初の前駆体は、Rが水素を表す式Iに相当する。第2の種類の前駆体は、Rが有機架橋基、反応性開裂基、または分極率低下有機基、あるいはこれらの組合せを表す式Iを有する。これらの基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、多環式基、および有機含有ケイ素基によって表される。
【0019】
基が水素の式による化合物は、コバルトオクタカルボニルの存在下でトリハロシランとジハロシランとを反応させ、良好な収率で1,1,1,4,4−ペンタハロ−1,4−ジシラブタン中間体を生成させるヒドロシリル化反応によって、生成させることができる。この中間体は、有機官能化シランが生成するようR位の水素を置換するために、例えばヒドロシリル化によって変換することができる。R基が反応性基である場合、この基は、被膜の硬化手順の間に分解し、架橋基または分極率低下基あるいはこれらの組合せを残す可能性がある。
【0020】
本発明のポリマーは、多シランモノマー、または本発明に記述されるポリマーの組合せ、または本発明の分子の組合せ、および当該技術分野で公知の分子の加水分解性基を加水分解し、次いで縮合重合プロセスによってさらに重合することにより生成する。
【0021】
新しい材料を、例えば(シリコン)ウェハを具える目的物において、光学誘電体被膜として使用することができる。
【0022】
また、本発明は、式Iを有するモノマーを含む、4.0以下、またはより好ましくは3.5以下の誘電率と、632.8nmの波長範囲で1.58超、または好ましくは1.60超の屈折率とを有する薄膜を形成して、シロキサン材料を形成し、このシロキサン材料を薄層の形で堆積させ、この薄層を硬化して被膜を形成する方法を提供する。
【0023】
本発明の新規な材料によって、またこの材料を製造する方法によって、顕著な利点が得られる。したがって、本発明は、光学誘電体ポリマーに関する既存の問題、より具体的には、IC統合温度にも適用可能な、屈折率、CMP適合性、機械的性質(モジュラスおよび硬さ)、亀裂閾値、および熱特性の問題に対する解決策を提示する。被膜は、特に、任意選択的に熱硬化プロセスと同時に実施される、光または放射線(好ましくはUV波長または電子線)強化硬化にも適用可能である。
【0024】
新規な有機官能化分子は、マトリックス内でさらに反応することが可能になる形に組み立てることができる。これは、例えば分子の有機官能基が、架橋、開裂、またはこれら両方の組合せ、即ち連続する開裂および架橋反応を受け得ることを意味する。
【0025】
本発明によれば、高い架橋結合基密度に起因して、優れた耐薬品性および非常に低い化学吸着挙動がもたらされる。
【0026】
基が開裂基である場合、依然として非常に小さい孔径がもたらされ、即ち、典型的には1.5nm以下になる。しかしながら、新しい技術により形成されたポリマーは、シクロデキストリンなどの伝統的なタイプのポロゲンにも適合性があり、該ポロゲンを使用してポリマーに微小多孔性を形成し、それによってポリマーの誘電率を低下させることができる。
【0027】
新規な光学誘電体材料が優れた平坦化特性を有し、その結果、半導体基板トポグラフィの最上面に優れた局所的および全体的な平面性がもたらされ、そのため、誘電体および酸化物ライナーの堆積後において化学的機械的平坦化を行う必要性が低減されまたは完全に無くなることが、他の重要な利点である。
【0028】
さらに、新規な材料は、優れたギャップフィル特性を有する。
【0029】
まとめると、本発明は、高い亀裂閾値、低い細孔容積および孔径を示す、熱的および機械的に安定で高屈折率の稠密な誘電体被膜を形成するのに利用可能な、光学誘電体シロキサンポリマーを提供する。該ポリマーは、優れた電気および光学特性を有すると共に、熱処理を施した後に優れた局所的および全体的な平坦化を示しさらにギャップフィルを示す、非水性およびシラノールを含まない被膜を与える。新規なポリマーで作製された被膜は、最後の硬化温度よりも高い温度にかけられた後であっても、この最後の硬化の後に、構造的、機械的、および電気的に変化しないままである。これらの性質の全ては、従来の光学誘電体ポリマーよりも優れているので、既存の問題を克服しさらに光半導体デバイスに光学誘電体被膜を集積する際にデバイス性能を改善するために、極めて重要である。
【0030】
次に、本発明について、下記の詳細な説明を用いかつ多くの実施例を参照して、より詳しく検討する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、少なくとも1つの多シランモノマー単位と、シリコン原子間に少なくとも1個の有機橋かけ基とを含む、光学誘電体ポリマーを提供する。さらに、シリコン原子の1個は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、多環芳香族、多環式基、または有機含有ケイ素基のような、1個の有機架橋基、反応性開裂基、屈折率向上基、UV保護基、分極率低下有機基、またはこれらの全ての組合せも含有する。
【0032】
シリコン原子の1個は2個の加水分解性基を含み、他のシリコン原子は3個の加水分解性基を含み、これらの加水分解性基は、水素、ハロゲン化物、アルコキシ基、またはアシルオキシ基などであるが、最も好ましくは塩素、メトキシド基、またはエトキシド基、あるいはこれらの組合せのいずれかであり、いったん加水分解し重合されたら、連続したシロキサン骨格のマトリックスを形成することができる。
【0033】
本発明において重合に使用される前駆体の一般式Iは、下記の通りである。
【0034】
【化2】

式中、Rは、加水分解性基であり、
は、有機架橋基、反応性開裂基、分極率低下有機基、またはこれら全ての組合せであって、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、多環式基、または有機含有シリコン基などであり、
は、直鎖状または分枝状の2価のヒドロカルビル橋かけ基である。
【0035】
は、好ましくはハロゲン化物の基、アルコキシ基、アシルオキシ基、および水素から選択され、Rは、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニルおよびアリール基、多環式基、または有機含有ケイ素基から選択され、Rは、好ましくは2価のヒドロカルビル基の定義に全て含まれる直鎖状および分枝状のアルキレン基、アルケニレン基、およびアルキニレン基、および2価の脂環式基(多環式基)、および2価の芳香族基から選択される。
【0036】
上記式のモノマーを実質単独重合し、その後に硬化を行って架橋を実現させることにより得られる硬化組成物は、架橋オルガノシロキサンポリマー、即ちポリ(オルガノシロキサン)を含む。これは薄膜に形成することができる。
【0037】
本明細書で使用される「アルケニル」には、ビニル基およびアリル基などの直鎖状および分枝状のアルケニル基が含まれる。本明細書で使用される「アルキニル」という用語には、直鎖状および分枝状アルキニル基が含まれ、適切な場合はアセチレンである。「アリール」は、置換または非置換の単環式、2環式、またはそれ以上の環式芳香族の炭素環基を意味し、このアリールの例は、フェニル、ナフチル、またはペンタフルオロフェニルプロピルである。本明細書で使用される「多環式」基には、例えば、アダマンチル、ジメチルアダマンチルプロピル、ノルボルニル、またはノルボルネンが含まれる。より具体的には、アルキル、アルケニルまたはアルキニルは、直鎖状でも分枝状でもよい。
【0038】
アルキルは、好ましくは1から18個、より好ましくは1から14個、特に好ましくは1から12個の炭素原子を含有する。アルキルは、好ましくは、αまたはβ位において、1個または複数の、好ましくは2個のCからCアルキル基で、特に好ましくはハロゲン化したアルキル基で分岐状となっており、特には部分的にまたは完全にフッ素化しまたは過フッ素化したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基で分岐状となっている。いくつかの例は、非フッ素化、部分フッ素化、および過フッ素化のi−プロピル、t−ブチル、ブタ−2−イル、2−メチルブタ−2−イル、および1,2−ジメチルブタ−2−イルである。特にアルキル基は、1から6個の炭素原子を含有する低級アルキルであり、該低級アルキルは、メチルおよびハロゲンから選択された1から3個の置換基を任意に有する。メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、およびt−ブチルが特に好ましい。
【0039】
アルケニルは、好ましくは2から18個、より好ましくは2から14個、特に好ましくは2から12個の炭素原子を含有する。エチレン系の基、即ち2個の炭素原子が2重結合で結合している基は、好ましくは、分子中のSiまたはM原子に結びつく2位以上に位置している。分枝状アルケニルは、好ましくはαまたはβ位において、1個または複数の、好ましくは2個のCからCアルキル、アルケニル、またはアルキニル基で分岐状となっており、特に好ましくはフッ素化しまたは過フッ素化したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基で分枝状となっている。
【0040】
アルキニルは、好ましくは3から18個、より好ましくは3から14個、特に好ましくは3から12個の炭素原子を含有する。エチリン系の基、即ち2個の炭素原子が3重結合で結合されている基は、好ましくは、分子中のSiまたはM原子に結びつく2位以上に位置している。分枝状アルキニルは、好ましくはαまたはβ位において、1個または複数の、好ましくは2個のCからCアルキル、アルケニル、またはアルキニル基で分枝状となっており、特に好ましくは過フッ素化したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基で分枝状となっている。
【0041】
2価の脂環式基は、ノルボルネン(ノルボルネニル)およびアダマンチル(アダマンチレン)などの、5から20個の炭素原子を有する環構造由来の残基を含む多環式の脂環式基であってもよい。「アリーレン」は、フェニレン、ナフチレン、およびアントラセニルなどの、1から6個の環、好ましくは1から6個、特には1から5個の縮合環を含む、2価のアリールを表す。
【0042】
アリール基は、好ましくは、環上にハロゲン、アルキル、またはアルケニルから選択された1から5個の置換基を任意に有してもよいフェニル、あるいは環構造上にハロゲン、アルキル、またはアルケニルから選択された1から11個の置換基を任意に有してもよいナフチルであり、これらの置換基は、任意にフッ素化されていてもよい(過フッ素化または部分フッ素化されたものを含む)。
【0043】
多環式基は、例えば、1〜8個の置換基を任意に有してもよい、あるいは1〜12個の炭素原子を含有するアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール基によって任意選択的にシリコン原子から間隔をおくこともできる、アダマンチル、ジメチルアダマンチルプロピル、ノルボルニル、またはノルボルネンである。
【0044】
「加水分解性基」は、ハロゲン(塩素、フッ素、臭素)、アルコキシ(特には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、またはブトキシなどのC1−10アルコキシ)、アシルオキシ、水素、または重合中に、例えば縮合重合中にモノマーを容易に開裂できる任意のその他の基を表す。
【0045】
アルコキシ基は、一般に、式RO−(式中、Rは、上記にて定義されたアルキルを表す)を有する基を表す。アルコキシ基のアルキル残基は、直鎖状でも、分枝状でもよい。典型的な場合、アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、およびt−ブトキシ基などの1から6個の炭素原子を有する低級アルコキシ基からなる。
【0046】
アシルオキシ基は、一般式R−(式中、Rは、上記にて定義されたアルキルを表す)を有する。特に、アシルオキシ基のアルキル残基は、アルコキシ基において対応する残基と同義である。
【0047】
この開示の文脈において、有機基置換ハロゲンは、F原子でも、Cl原子でも、Br原子でも、I原子でもよく、好ましくはFまたはClである。一般に、本明細書の「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。
【0048】
式Iのモノマーでは、シリコン原子がリンカー基を介して互いに連結している。通常、リンカー基は、1から20個、好ましくは約1から10個の炭素原子を含む。好適なリンカー基Rの例としては、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基が挙げられる。「アルキレン」基は、一般に式−(CH−(式中、rは1から10の整数である)で表わされる。少なくとも1個の−CH−単位の水素の一方または両方は、下記の置換基のいずれかによって置換することができる。「アルケニレン」基は、炭化水素骨格中に少なくとも1つの2重結合を含有するアルキレン残基に相当する。2重結合がいくつか存在する場合、それらは共役していることが好ましい。これとは対照的に「アルキニレン」基は、アルキレン残基に対応する炭化水素骨格中に少なくとも1つの3重結合を含有する。
【0049】
2価のリンカー残基は、置換されていなくても、置換されていてもよい。置換基は、好ましくはフルオロ、ブロモ、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、C6−18アリール、アクリル、エポキシ、カルボキシル、およびカルボニル基からなる群から選択される。特に興味深い選択肢は、少なくとも1個のアルキル基、好ましくは低級アルキル基または1から4個の炭素原子で置換されたメチレン基からなる。置換の結果、分枝状リンカー鎖が得られる。分枝状リンカー鎖、例えば−CH(CH)−は、実施例に関連して以下に示されるように、炭素原子のいくつかが側鎖に位置する場合であっても、相当する直鎖状の、例えば−CHCH−と同じ程度の炭素原子を合計で含有できる。そのような分子を、本発明においては「異性体」と見なすことができる。
【0050】
式Iに従う特に好ましい化合物の例として、1−(トリクロロシリル)−2−(メチルジクロロシリル)エタンおよび1−(メチルジクロロシリル)−1−(トリクロロシリル)エタンを挙げることができる。
【0051】
上述のように、本発明による方法の第1工程では、下記式を有するモノマーを生成させる。
【0052】
【化3】

式中、Rは加水分解性基であり、Rは水素であり、Rは、直鎖状または分枝状の2価のヒドロカルビル橋かけ基である。
【0053】
このモノマー、および類似のシラン系の材料は、ヒドロシリル化によって生成させることができ、該ヒドロシリル化は、触媒としてのコバルトオクタカルボニルの存在下で実施される。
【0054】
特に、コバルトオクタカルボニル、或いは、一般には、任意の類似する遷移金属オクタン酸塩触媒の存在下で触媒される新規なヒドロシリル化反応は、反応物質としてハロシラン類を使用している。したがって、上記式で表わされRが水素を表す化合物を高収率で生成させるために、第1のトリハロゲン化シラン化合物を、コバルトオクタカルボニルの存在下で第2のジハロゲン化シラン化合物と反応させることができる。使用されるトリハロシランは、通常、ヒドロシリル化反応を促進させるために不飽和結合を含む反応性有機基を有する。
【0055】
この反応を、実施例1において以下に例示するが、この例では、ビニルトリクロロシランをジクロロシランと反応させて、1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタンを生成させる。
【0056】
驚くべきことに、開示した方法によって、所望の化合物が高純度で得られ、そのため、R位に所望の置換基を組み込むことによって、次のシロキサン材料の調製工程に、該モノマーを前駆体として使用することが可能になる。
【0057】
本発明は、熱的および機械的に安定であり、高屈折率であり、光透過性であり、高亀裂閾値であり、稠密で、細孔容積および孔径が小さい誘電体被膜を形成するのに利用可能な光学誘電体シロキサンポリマーを提供する。該ポリマーは、優れた電気特性を有すると共に、熱処理を施された後に優れた局所的および全体的な平坦化並びにギャップフィルを有する、水およびシラノールを含まない被膜をもたらす。本発明のポリマーで作製された被膜は、最後の硬化温度よりも高い温度にかけられた場合であっても、最後の硬化の後に構造的、機械的、および電気的に変化しないままである。これら全ての性質は、従来の低誘電率ポリマーよりも優れているので、半導体デバイスに低誘電率被膜を集積する際の既存の問題を克服するのに極めて重要である。
【0058】
重合合成は、加水分解および縮合の化学合成技法に基づく。重合は、融液相または液体媒体中で実施することができる。温度は、約20から200℃の範囲、典型的には約25から160℃、特には約80から150℃の範囲内である。一般に重合は、周囲圧力で実施され、最高温度は、使用する任意の溶媒の沸点によって設定される。重合は、還流状態で実施することができる。触媒なしで、またはアルカリ性、若しくは、特に酸性の触媒を使用することによって、速成モノマーを重合することが可能である。
【0059】
本発明のオルガノシロキサン材料は、500から100,000g/molの(重量平均)分子量を有する。分子量は、この範囲の下端にすることができ(例えば、500から10,000g/mol、またはより好ましくは500から8,000g/mol)、またはオルガノシロキサン材料は、この範囲の上端の分子量を有することができる(10,000から100,000g/mol、またはより好ましくは15,000から50,000g/molなど)。より低い分子量を有するポリマーオルガノシロキサン材料と、より高い分子量を有するオルガノシロキサン材料とを、混合することが望ましいと考えられる。
【0060】
本発明者等は、直鎖状または分枝状リンカー基を含む式Iのモノマーを単独重合することによって、適切なポリマー組成物を得ることができることを見出した。しかしながら、式Iで表わされRが直鎖状の2価のヒドロカルビル残基を表す第1のモノマーと、式Iで表わされRが分枝状の2価のヒドロカルビル残基を表す第2のモノマーとを、この第1のモノマーと第2のモノマーとのモル比が95:5から5:95、特には90:10から10:90、好ましくは80:20から20:80になるように共重合することによって得られる組成物を提供することも可能である。さらに、式Iのモノマーは、任意の公知の加水分解性シロキサンまたは有機金属(例えば、特に限定されるものではないが、チタンアルコキシド、塩化チタン、ジルコニウムアルコキシド、塩化ジルコニウム、タンタルアルコキシド、塩化タンタル、アルミニウムアルコキシド、または塩化アルミニウム)モノマーと、任意の比で共重合させることもできる。
【0061】
1つの好ましい実施形態によれば、これらの性質を変更するために、半導体デバイスの基板上に堆積させたシロキサン材料を加熱して、さらに架橋させ、それによって、加熱後の収縮が10%未満、好ましくは5%未満、特には2%未満で、425℃超の熱安定性を示す被膜が得られる。
【0062】
特定の実施形態によれば、被膜を、約200℃より低い温度でスピンコートした後にベークし、次いでUV放射線に曝すと同時に熱処理を450℃よりも低い温度で0.1から20分間行うことによって硬化する。硬化は、上記式Iを有するモノマー由来の単位のR位で、有機置換基を反応させるのに十分な時間実施される。
【0063】
本発明のポリマーは、誘電率が4.0以下、特には3.5以下であり、屈折率が632.8nmの波長範囲で1.58以上、特には1.60以上であり、ヤング率が5.0GPa以上であり、多孔率が5%以下であり、熱処理を施した後の亀裂閾値が1μm以上である低誘電体被膜を形成することが可能である。また、多シラン成分を使用するポリマーから形成された被膜は、最高400℃またはそれ以上の温度で、半導体構造上で安定なままである。
【0064】
上述のように、本発明は、集積回路デバイスの製造方法も提供する。そのような方法は、典型的には:
−複数のトランジスタを半導体基板上に形成する工程と;
−・金属の層を堆積させ、
・金属層をパターニングし、
・第1のモジュラスおよび第1のk値を有する第1の誘電体材料を堆積させ、
・第1の材料の第1のモジュラスよりも高い第2のモジュラスと、第1の材料の第1のk値よりも低いk値を有する第2の誘電体材料を堆積させ、
・第1および第2の誘電体材料をパターニングし、パターニングされた領域に、バイア充填金属材料を堆積させること
によって多層相互接続を形成する工程と
を含む。
【0065】
第1の誘電体層に使用される本発明に従う材料は、好ましくは、骨格に第1の有機置換基が結合した繰り返し−M−O−M−O−骨格を有するオルガノシロキサン材料であり、この材料は、分子量が500から100,000g/molであり、Mがケイ素であり、Oが酸素である。分子量は、1500から30,000g/molであり、下記の性質の1つまたは複数を示すことが好ましい:
k値が4.0以下、またはより一層好ましくは3.5以下であり、
屈折率が1.58以上、またはより一層好ましくは1.6以上であり、
CTEが30ppm以下であり、
ヤング率が4GPa以上である。
【0066】
優れた平坦化特性により、化学的機械的平坦化の先行工程なしで、パターニング工程を実施することができる。あるいは、第2の誘電体材料の全厚さの45%以下を、この第2の誘電体材料上で化学的機械的平坦化を行うことによって除去する。
【0067】
第1の溶媒によって形成された液体媒体中で式Iのモノマーを重合して、シロキサン材料を含む加水分解生成物を形成し、この加水分解生成物を薄層として基板上に堆積させ、この薄層を硬化して、厚さ0.01から10μmの薄膜を形成することによって、オルガノシロキサン材料を堆積させることができる。
【0068】
あるいは、式Iのモノマーと、任意の公知の加水分解性シロキサンまたは有機金属(例えば、特に限定されるものではないが、チタンアルコキシド、塩化チタン、ジルコニウムアルコキシド、塩化ジルコニウム、タンタルアルコキシド、塩化タンタル、アルミニウムアルコキシド、または塩化アルミニウム)モノマーとを、第1の溶媒によって形成された液体媒体中で重合して、シロキサン材料またはハイブリッドシロキサン−有機金属材料を含む加水分解生成物を形成し、この加水分解生成物を薄層として基板上に堆積させ、この薄層を硬化して、厚さ0.01から10μmの薄膜を形成することによって、オルガノシロキサン材料を堆積させることができる。
【0069】
誘電体材料の1種が本発明による材料を含むのに対して、その他の材料は、公知の有機、無機、または有機/無機材料、例えば、この記述の導入部分で既に論じられた種類の材料であってもよい。
【0070】
一般にオルガノシロキサン材料は、スピンコート材料である。
【0071】
オルガノシロキサン材料は、有機−無機であり、熱膨張率が12から30ppmである。該オルガノシロキサン材料は、1.6以下の屈折率を有することができる。
【0072】
本発明のさらなる詳細について、下記の実施例と関連付けて論じる。
【実施例】
【0073】
(実施例1)
1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタン(中間体)
【0074】
【化4】

【0075】
ビニルトリクロロシラン(68.8g、426mmol)およびコバルトオクタカルボニル(700mg)を、100mL丸底フラスコに入れ、氷浴内で0℃に冷却した。次いでジクロロシラン(沸点8℃、44.3g、439mmol)をこのフラスコ内に凝縮した。この系を、一晩の間に室温まで温めた。蒸留を60〜62℃/8mbarで行った結果、1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタン(120.8g、460mmol)が93%の収率で得られた。
【0076】
(実施例2)
トリス(3,3,6,6,6−ペンタクロロ−3,6−ジシラヘキシル)クロロシラン
【0077】
【化5】

【0078】
11.00g(0.076mol)のトリビニルクロロシランを、100ml容器に添加し、その後、2mlの1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタンを添加した。この溶液を80℃に加熱し、10%のHPtCl/IPA溶液15μLを添加した。強い発熱反応が観察され、加熱を止めた。1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタンの残りを、この溶液の温度を130℃よりも低く保ちながら、30分間でゆっくりと添加した。1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタンの総量は、61.50g(0.234mol、2.6%過剰)であった。添加後、熱を再び加え始め、この溶液を110℃で1時間撹拌した。その後、溶液を蒸留することにより、47.08g(66%)のトリス(3,3,6,6,6−ペンタクロロ−3,6−ジシラヘキシル)クロロシランが得られた。沸点264℃/<0.5mbar。
【0079】
(実施例3)
1,1,1,4,4,7,7,7−オクタクロロ−1,4,7−トリシラヘプタン

【0080】
【化6】

【0081】
ビニルトリクロロシラン(16.8g、104mmol)を60℃に加熱し、10%のHPtCl/IPA溶液100μLを添加した。1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタン(20.4g、77.7mmol)を、温度が100℃を超えないように20分間でゆっくりと添加した。反応を、100℃で12時間進行させ、その後、115〜130℃/<1mbarで、真空中で蒸留した。収量は31.5g(74.3mmol、96%)であった。
【0082】
(実施例4)
1,1,1,4,4,7,7,7−オクタクロロ−1,4,7−トリシラオクタン
【0083】
【化7】

【0084】
1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタン(51.6g、196mmol)を80℃に加熱し、10%のHPtCl/IPA溶液20μLを添加した。ビニルメチルジクロロシラン(29.7g、210mmol)を、その温度が130℃を超えないように20分間でゆっくりと添加した。反応を1時間半進行させ、その後、90〜102℃/<1mbarで、真空中で蒸留した。収量は70.2g(174mmol、89%)であった。
【0085】
(実施例5〜7)
1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラデカン
1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラドデカン
1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラテトラカイデカン
【0086】
【化8】

【0087】
32ml(21.53g、0.256mol)の1−ヘキセンおよび20μlのHPtCl/IPA溶液を、100ml容器に添加した。溶液を80℃まで加熱し、46.90g(0.179mol)の1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタンを、30分間でゆっくりと添加した。発熱反応が観察されたときに加熱を止めた。添加中の温度は、130℃よりも低く保った。添加後、熱を再び加え、溶液を110℃で1時間撹拌した。その後、生成物を蒸留によって精製した。沸点100℃/0.8mbar。収量50.40g(81.4%)。
【0088】
1−ヘキセンの代わりに1−オクテンまたは1−デセンを使用して、それぞれ1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラドデカン(沸点131℃/0.7mbar、収率88%)および1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラテトラカイデカン(沸点138℃/0.8mbar、収率82%)を生成させることができる。
【0089】
(実施例8)
1,1,1,4,4−ペンタクロロ−7−フェニル−1,4−ジシラヘプタン
【0090】
【化9】

【0091】
18.77g(0.159mol)のアリルベンゼンおよび50μlのHPtCl/IPA溶液を、100ml容器に添加した。溶液を80℃まで加熱し、41.85g(0.159mol)の1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタンを30分間でゆっくりと添加した。発熱反応が観察されたときに、加熱を止めた。添加中の温度は、130℃よりの低く保った。添加後、熱を再び加え、溶液を110℃で1時間撹拌した。その後、生成物を蒸留によって精製した。沸点137℃/0.8mbar。収量35.10g(58%)。
【0092】
(実施例9)
1,1,1,4,4−ペンタクロロ−6−ペンタフルオロフェニル−1,4−ジシラヘキサン
【0093】
【化10】

【0094】
116.15g(0.442mol)の1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタンを250ml容器に添加し、その後、100μlのHPtCl/IPA溶液を添加した。溶液を85℃まで加熱し、85.80g(0.442mol)のペンタフルオロスチレンを30分間でゆっくりと添加した。添加後、溶液を100℃で1時間撹拌し、次いで蒸留した。沸点122℃/<1mbar、収量158.50g(78%)。
【0095】
(実施例10)
1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラ−5−ヘキセン
【0096】
【化11】

【0097】
2000ml容器中で、40.00g(0.152mol)の1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタンを1000mlの1,4−ジオキサンに溶解させた。溶液を0℃まで冷却し、飽和するまでアセチレンのバブリングを行った。このようにして得られた溶液を室温までゆっくりと温めた。1,4−ジオキサンを蒸発させ、得られた粗製1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラ−5−ヘキセンを蒸留によって精製した。
【0098】
(実施例11)
1,1,1,4,4−ペンタクロロ−7−(3,5−ジメチルアダマンチル)−1,4−ジシラヘプタン
【0099】
【化12】

【0100】
81.71g(0.336mol)の臭化3,5−ジメチルアダマンチルを、500mlのペンタンに溶解させた。この溶液を、氷/アセトン浴によって−10℃未満に冷却した。51.40g(0.425mol)のアリルブロミドを添加し、その後、410mgのFeBrを添加した。次いで溶液を、−20〜10℃で3時間撹拌し、その後、GC−MSによる分析を実施することにより、一部の未反応出発物質が残存していることが示された。420mgのFeBrを添加し、溶液をさらに2時間撹拌した後、GC−MSにより、全ての臭化ジメチルアダマンチルが反応したことが示された。溶液を室温まで温め、500mlの水で2回洗浄した。有機層を収集し、ペンタンを蒸発させた。残存する材料を700mlのエタノールに溶解させ、少量の水を添加した後、25g(0.382mol)の金属亜鉛を添加した。次いで、溶液を加熱還流し、15時間撹拌した。室温に冷却した後、溶液を濾過した。300mlの水を添加し、生成物を、500mlのペンタンで2回洗浄することによって抽出した。ペンタン層を収集し、水で1回洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。ペンタンを蒸発させ、残存する粗製1−アリル−3,5−ジメチルアダマンタンを蒸留によって精製したところ、その収量は45.90g(67%)であった。1−アリル−3,5−ジメチルアダマンタンを100ml容器に移した後、50μlのHPtCl/IPA溶液を加えた。溶液を85℃まで加熱し、59.50g(0.227mol)の1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタンを、30分間でゆっくりと添加した。添加後、溶液を100℃まで加熱し、1時間撹拌した。次いでこのように得られた生成物を、蒸留によって精製することにより、53.54g(51%)、沸点157〜158℃/<0.5mbarが得られた。
【0101】
(実施例12)
1,1,1,4,4−ペンタクロロ−5,6−ジメチル−1,4−ジシラ−6−ヘプタン
【0102】
【化13】

【0103】
49.85g(0.190mol)の1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタンを100mlの容器に添加した後、約20〜30mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を添加した。この溶液を80℃に加熱し、13.10g(0.192mol)のイソプレンを30分間でゆっくりと添加した。添加後、溶液を100℃で1時間撹拌し、次いで蒸留した。沸点96℃/<1mbar、収量58.50g(93%)。
【0104】
同じ反応を、80℃でHPtCl/IPA触媒により、または室温でCo(CO)触媒により実施する場合、αおよびβ置換異性体の1:1混合物が得られる。
【0105】
(実施例13)
1,1,1,4,4−ペンタクロロ−6−(5−ノルボルン−2−エン)−1,4−ジシラヘキサン
【0106】
【化14】

【0107】
22.63g(0.086mol)の1,1,1,4,4−ペンタクロロ−1,4−ジシラブタンを100ml容器に添加した後、HPtCl/IPA溶液70μlを添加した。得られた溶液を85℃に加熱し、次いで10.81g(0.090mol)の5−ビニル−2−ノルボルネンを30分間でゆっくりと添加した。添加後、溶液を100℃で1時間撹拌し、次いで蒸留した。沸点140℃/<1mbar、収量20.05g(61%)。
【0108】
(実施例14)
9−フェナントレニルトリエトキシシラン
【0109】
【化15】

【0110】
5.33g(0.219mol)のマグネシウムおよび少量のヨウ素を1000mlの容器に添加し、その後、56.38g(0.219mol)の9−ブロモフェナントレンを添加した。この容器に196ml(182.74g、0.877mol)のSi(OEt)を添加した。200mlのTHFを添加した後、発熱反応が生じた。溶液を冷却した後に加熱還流し、一晩撹拌した。
【0111】
還流を停止し、300mlのn−ヘプタンを添加した。溶液を別の容器にデカントし、残留する固体を200mlのn−ヘプタンで2回洗浄した。洗浄溶液を、反応溶液に添加した。THFおよびn−ヘプタンを蒸発させ、残留する材料を蒸留した。沸点175℃/0.7mbar。収量は52.63g=70%であった。
【0112】
(実施例15)
1−(9−フェナントレニル)−1,1,4,4,4−ペンタメトキシ−1,4−ジシラブタン
【0113】
【化16】

【0114】
7.23g(0.296mol)のマグネシウムおよび少量のヨウ素を1000ml容器に添加し、その後、56.38g(0.219mol)の9−ブロモフェナントレンを添加した。ビス(トリメトキシシリル)エタン(237g、0.876mol)をこの容器に添加し、その後、200mlのTHFを添加した。数分で、発熱反応が生じた。溶液を冷却した後に加熱還流して、一晩撹拌した。
【0115】
還流を停止し、300mlのn−ヘプタンを添加した。溶液を別の容器にデカントし、残留する固体を200mlのn−ヘプタンで2回洗浄した。洗浄溶液を反応溶液に添加した。THFおよびn−ヘプタンを蒸発させ、残留する材料を蒸留した。沸点190〜205℃/<0.1mbar。収量は59.23g=65%であった。
【0116】
(実施例16)
3−(9−フェナントレニル)プロピルトリメトキシシラン
【0117】
【化17】

【0118】
6.90g(0.284mol)のマグネシウム粉末および数個のヨウ素結晶を1000ml容器に添加し、その後、73.07g(0.284mol)の9−ブロモフェナントレンを添加した。90mlのTHFを添加した後、発熱反応が生じた。溶液を元の室温まで冷却する間に30mlのTHFを添加し、この溶液を65℃に加熱し、一晩撹拌した。
【0119】
溶液をそのまま50℃に冷却し、34.42g(0.285mol)のアリルブロミドを、1滴ずつ30分間、溶液の穏かな還流が保たれる速度で添加した。添加後、溶液を65℃で2時間撹拌した。溶液を室温に冷却し、THFのほとんどを真空によって除去した。700mlのDCMを添加し、溶液を分離漏斗に移した。溶液を700mlの水で2回洗浄した。有機層を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶液を濾過した後、溶媒を蒸発させた。残留する材料を、蒸留によって精製した。沸点110〜115℃/<0.5mbar。収量54.5g(88%)。
【0120】
アリルフェナントレン(41.59g、0.191mol)を250ml丸底フラスコに添加し、90℃まで加熱した。10%のHPtClのIPA溶液50μlを添加した。HSiClの添加を開始した後、発熱反応が観察された。26.59g(0.196mol)のHSiClを、40分間でゆっくりと添加した。添加後、溶液を100℃で1時間撹拌した。過剰なHSiClを真空によって除去し、100ml(97g、0.914mol)のオルトギ酸トリメチルを添加し、その後、50mgのBuPClを触媒として添加した。溶液を70℃で90時間撹拌し、生成物を蒸留によって精製した。沸点172℃/<0.5mbar。収量50g(アリルフェナントレンの量に対して74%)。
【0121】
(実施例17)
高屈折率ポリマー1
9−フェナントレニルトリエトキシシラン(15g、44mmol)、アセトン(22.5g)、および0.01MのHCl(7.2g、400mmol)を100mLの丸底フラスコに入れ、23時間還流した。揮発性物質を減圧下で蒸発させた。白色固体ポリマー(11.84g)が得られた。ポリマーをPGMEA(29.6g、250%)で希釈し、次いでシリコンウェハ上に流延させた。ソフトベークを150℃/5分行った後、400℃/15分で硬化した。屈折率は、632.8nmの波長範囲で1.6680であり、誘電率は、1MHzで3.5であった。しかしながら、ポリマーは、標準的な有機溶媒およびアルカリウェットエッチング用化学薬品に対して、優れた耐薬品性を有していなかった。
【0122】
(実施例18)
高屈折率ポリマー2
9−フェナントレニルトリエトキシシラン(17.00g、0.05mol、THF中での9−ブロモフェナントレン、マグネシウム、およびテトラエトキシシランとの間のグリニャール反応によって合成した)およびアセトン(15.00g)を、固形分が溶解するまで撹拌した。次いで希硝酸(0.01MのHNO、6.77g、0.38mol)を添加した。2相(水および有機物)分離した。この系を、溶液が透明になるまで(約15分)還流した。グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(3.00g、0.01)を添加し、フラスコを6時間還流した。揮発性物質を、25.00gのポリマー溶液が残留するまでロータリーエバポレータで蒸発させた。酢酸n−プロピル(32.50g)を添加し、27gが残るまで蒸発を再び継続した。次に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(30g)を添加し、24.84gが粘性ポリマーとして残るまで再び蒸発させた。不揮発性物質の量は、69.24%であることが測定された。より多くのPGMEA(8.89g)を、固体含有量が約50%になるように添加した。溶液を油浴(165℃)内で加熱し、4時間20分還流した。反応中に形成された水をロータリーエバポレータで除去し、それと共にPGMEAを、18gが残されるまで除去した。より多くのPGMEA(42g)を添加することにより、固体含有量が22.16%の溶液が得られた。ポリマーは、THF中の単分散ポリスチレン標準物質に対し、GPCによって測定したときに、M/M=1,953/2,080 g/molを有していた。
【0123】
サンプル調製:上記溶液(9.67g)を、PGMEA(5.33g)、界面活性剤(BYK−Chemie製BYK−307、4mg)、および陽イオン開始剤(Rhodorsil 2074、10mg)と共に配合した。この溶液を、4インチのウェハ上で、2000rpmでスピンコートした。被膜を130℃/5分でソフトベークし、200℃/5分で硬化した。硬化後の被膜の厚さは310nmであり、屈折率は632.8nmで1.66であり、誘電率は1MHzで3.4であった。被膜は、アセトンにより溶解しなかったが、これは架橋がうまく行われたことを示している。同様に、より濃縮されたPGMEA溶液(固形分25%)を調製し、スピンコートし、硬化した。被膜は厚さ830nmであり、モジュラスが7.01GPa、ナノインデンテーションにより測定したときの硬さは0.41GPaであった。
【0124】
(実施例19)
高屈折率ポリマー3
1−(9−フェナントレニル)−1,1,4,4,4−ペンタメトキシ−1,4−ジシラブタン(9.55g、22.9mmol)、9−フェナントレニルトリエトキシシラン(9.02g、26.5mmol)、およびSLSI級アセトン(14.0g)を、テフロン(登録商標)コーティング付き磁気撹拌子を備えた250ml丸底フラスコに入れた。蒸留水(6.0g、333mmol)を添加し、系を15分間還流した。次いで希HCl(3.7重量%)2滴を滴下した。2分以内に溶液が均質になったが、これは加水分解が進行したことを示していた。1−(9−フェナントレニル)−1,1,4,4,4−ペンタメトキシ−1,4−ジシラブタン(11.45g、27.5mmol)をアセトン(16.0g)に溶かした溶液を注いだ後、0.01MのHCl溶液(8.4g、466mmol)を注いだ。反応を14時間還流させた。還流後、全ての揮発性物質を真空中で除去することにより、28.1gの乾燥ポリマーが、無色透明の固形分として得られた。この固形分は、TGAにより測定した場合、アルゴン雰囲気中で500℃まで熱的に安定であった(図2)。
【0125】
固形分を、酢酸n−ブチル(NBA、73.06g、260%)および界面活性剤(56mg、Byk−Chemie製BYK(登録商標)−307)中で希釈した。代わりに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、240%)およびメチルエチルケトン(MEK、400%)に溶かした溶液も調製した。NBAに溶かした溶液を、0.2μのテフロン(登録商標)フィルタに通して濾過し、4インチのシリコンウェハ上に3000rpmでスピンキャストした。ソフトベークを150℃/5分および200℃/5分で行った後、硬化をN雰囲気中で400℃/15分行った結果、屈折率が632.8nmで1.6511であり厚さが683nmである被膜が得られた。被膜の誘電率は、1MHzで3.4であった。最終的な厚さが最大1850nmの被膜が調製され、亀裂の徴候は示さなかった。この被膜に損傷を与えることなく、アセトンなどの有機溶媒でこの被膜をラビングすることができた。
【0126】
(実施例20)
高屈折率ポリマー4
3−(9−フェナントレニル)プロピルトリメトキシシラン(11.0g、mmol)、アセトン(16.5g)、および0.01MのHClを、100mlの丸底フラスコに入れ、16時間還流した。最初は、この溶液は乳白色であったが、加水分解が開始してから間もなく透明になった。重合がさらに進行すると、溶液は再び微かに曇った。減圧下での蒸発によって、揮発性物質を除去することにより、白い無色の粉末9.60gが得られた。ポリマーは、TGAによって測定したときに、アルゴン中で450℃まで安定であった(図3)。
【0127】
2.06gのポリマーを8.24gのメチルエチルケトン(400%)および界面活性剤(5mg、Byk−Chemie製BYK(登録商標)−307)に溶解させ、0.2μのテフロン(登録商標)フィルタに通して濾過することによって、流延溶液を調製した。ポリマーを、4インチのシリコンウェハ上で3000rpmでスピンキャストした。ソフトベークを150℃/5分で行った後、硬化をN雰囲気中で400℃/15分行った結果、屈折率が632.8nmで1.671であり厚さが840nmである被膜が得られた。被膜の誘電率は、1MHzで3.4であった。被膜は、亀裂の徴候を示さなかった。被膜に損傷を与えることなく、アセトンなどの有機溶媒でこの被膜をラビングすることができた。
【0128】
また、全ての高屈折率ポリマーのトレンチギャップフィルを、1μm(幅)×4μm(高さ)のトレンチに関して試験した。全てのポリマーは、優れたギャップフィル性能を示し、N雰囲気中で400℃/15分が過ぎた後も、亀裂を示さなかった。
【0129】
また、全ての高屈折率ポリマー1〜4は、CMP(化学機械研磨)に適合性があることが見出された。最初に150から300℃で被膜を硬化し、その後、伝統的な酸化物CMPスラリーでCMPを行い、次いで180から450℃で、より高い温度での追加の硬化を実施することが有利であることがわかった。より低い温度で最初に硬化した場合、被膜は部分的に硬化するだけであり、即ち若干の残留シラノールが被膜内に残存する。シラノールが原因で、ポリマー被膜は依然としてわずかに親水性であり、これは酸化物CMPプロセスを行う場合に好ましい。全てのポリマーは、酸素プラズマを使用することによるエッチバックプロセスにも適合性があった。酸素プラズマおよびプラズマプロセスを利用した場合、非常に均一に1分当たり約100mmエッチングされたポリマー被膜は、いかなる反応シフト指標、表面粗さの増加、または欠陥形成も引き起こさなかった。従来の高屈折率有機ポリマーは、被膜の表面品質に損傷を与えることなくまたは被膜の光学特性を変化させることなくCMPおよびエッチバック処理を行うことができないことを報告することには価値がある。
【0130】
また、上述の化学的性質により到達することができる新世代のCMOS画像センサ(図1)に関しては、3つの重要な技術的問題、即ちデバイスのサイズ、速度および消費電力、量子効率の問題がある。
【0131】
図1の説明:10 半導体基板;20 フォトダイオード;30 金属線、層間誘電体および金属間誘電体;40 カラーフィルタアレイ層;50 マイクロレンズアレイ;100 高屈折率シロキサンポリマーが充填された高アスペクト比フォトダイオードギャップ;200 カラーフィルタの平坦化およびパッシベーション用の高屈折率シロキサンポリマー;300 マイクロレンズパッシベーションシロキサンポリマー。
【0132】
デバイスのサイズ:画素が小さくなるほど、同じ面積における画素数は多くなり、即ち電界因子が改善される。これは、レンズサイズ、ダイオードサイズを縮小し、メタライゼーションをより薄くし、多層金属を付着させることによって、実現することができる。
【0133】
速度:金属線を短くし、導体Cu対Alを改善し、誘電体のk値を低下させることによって、速度が改善されかつ消費電力が低下することになる。
【0134】
量子効率:これは、光をレンズに導きかつ光をダイオードに至るまで伝達する新しい材料を使用することによって、デバイス効率を改善する機会である。
【0135】
カラーフィルタアレイの前に堆積され、その機械的性質が確定されるように比較的高い温度で硬化され、かつその他の材料と適合性ある材料を、チップの作製に使用した。カラーフィルタを堆積させた後に堆積させる材料は、約250℃またはそれ以下のより低い温度で完全に硬化しなければならない。本発明の材料は、カラーフィルタアレイの上方および下方に付着させるのに非常に適している。
【0136】
量子効率の最大化:レンズへの入射光は集束され、カラーフィルタを通過し、デバイス層のダイオードまで伝達される。目的は、ダイオードに到達する光の量を最大限にすることである。例えば、ダイオードの直上にある材料は、透明で、最大量の光を通す必要がある。図1の材料100の側壁の界面は、屈折に起因する光損失の源であり、ダイオードにまで至る反射光を減少させる。簡単な解決策は、反射性コーティングで側壁にライニングを施すことであるが、これは費用を増加させ、非常に難しいと考えられる。また、CVD金属堆積は、チャネルをより狭くすることになり(光透過率が低下する)、最終的には狭いフィーチャのために最上面がピンチオフされることになる。しかしながら、材料100が、それに隣接する壁の作製に使用される材料よりも高い屈折率を有する場合、屈折は最小限になり、より多くの光がダイオードにまで導かれることになる。したがって、メタライゼーションは、CVD SiOによって取り囲まれ、該CVD SiOが光チャネル用の側壁を形成する。CVD酸化物は、632.8nmの波長範囲で約1.46の屈折率を有し、したがって光チャネルは、界面での屈折を低減させるために、屈折率>1.46を有する必要がある。したがって、基本的に、これは、ダイオードに光を伝達する垂直導波路である。したがって、高屈折率を有する、実施例19から得た材料をベースにしたポリマーは、本出願に関しては十分に機能すると考えられる。これは透明な被膜であり、したがって隣接するCVD SiOに対し、機械的な適合性があると考えられる。実施例19から得たポリマーの屈折率は、1.65であり、したがって、屈折率が1.46である酸化物側壁からの光の反射率は増大することになる。この材料は、250℃という低温で硬化することができるが、Al、Cu、およびSiOで必要とされるプロセスに適合できるように、400℃よりも高い温度で硬化させることもできる。さらに、デバイスがより小さくなり、メタライゼーションが短縮されて速度が改善するので、チャネルに関するアスペクト比が増大する。
【0137】
カラーフィルタおよびレンズのパッシベーション:カラーフィルタアレイ上方の材料(図1の200)は、デバイス性能を安価に高めるための別の機会である。実施例18から得たポリマーは、可視光を通すがUVを効果的に遮断し、したがってカラーフィルタおよびダイオードの両方を保護し、信号ノイズも遮断される。実施例18から得たポリマーは、優れた平坦化材料であり、効果的なパッシベーション層でもある。ポリマーは、カラーフィルタ層とマイクロレンズ層との屈折率も一致させ、したがって被膜界面からの反射を低減させる。またこの材料は、約200℃の低温で硬化することができ、したがって有機カラーフィルタ材料に熱分解を引き起こさない。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】CMOS画像センサデバイスの概略断面図を示す。
【図2】高屈折率ポリマー3の熱重量測定図を示す。
【図3】高屈折率ポリマー4の熱重量測定図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

(式中、Rは加水分解性基であり、Rは水素であり、Rは直鎖状または分枝状の2価のヒドロカルビル橋かけ基である)で表わされるモノマーを準備する工程であって、前記モノマーを対応する出発物質のヒドロシリル化によって生成させる工程と、
前記モノマーを単独重合または共重合させてポリマーを生成させる工程と
を含む、半導体オプトエレクトロニクス用ポリマーの製造方法。
【請求項2】
触媒としてのコバルトオクタカルボニルの存在下でヒドロシリル化を実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応物質としてハロシラン類を使用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記式で表わされRが水素を表わす化合物を生成させるために、コバルトオクタカルボニルの存在下で第1のトリハロゲン化シラン化合物を第2のジハロゲン化シラン化合物と反応させる、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記トリハロシランが、ヒドロシリル化反応を促進させるために不飽和結合を含む反応性有機基を有する。請求項4に記載の方法。
【請求項6】
下記式:
【化2】

(式中、Rは加水分解性基であり、Rは水素であり、Rは直鎖状または分枝状の2価のヒドロカルビル橋かけ基である)で表わされる有機官能化モノマーを重合し、該重合した組成物を層の形状で基板上に付着させ、該層を硬化して被膜を形成することによって得られる被膜を半導体基板上に堆積させる工程を含む、オプトエレクトロニクス用薄膜の製造方法。
【請求項7】
上記式のモノマーから薄膜を製造する方法であって、それぞれ独立して、
が、水素、ハロゲン化物、アルコキシ基、およびアシルオキシ基からなる群から選択され、
が、アルキル基、アルケニル基、およびアリール基から選択され、
が、直鎖状および分枝状のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、2価の脂環式基、2価の多環式基、および2価の芳香族基から選択される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記重合した組成物が架橋したポリ(オルガノシロキサン)を含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、式Iで表わされるモノマーの単独重合によって本質的に得られる、請求項6から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、式Iで表わされRが直鎖状の2価のヒドロカルビル残基を表す第1のモノマーと、式Iで表わされRが分枝状の2価のヒドロカルビル残基を表す第2のモノマー)との共重合によって得られ、該第1のモノマーと該第2のモノマーとのモル比が95:5から5:95、特には90:10から10:90、好ましくは80:20から20:80である、請求項6から8のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
厚さが0.01から50μm、特には0.5から5μm、好ましくは1から3μmのポリ(オルガノシロキサン)の硬化した薄層を生成させる工程を含む、請求項6から10のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−546860(P2008−546860A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516352(P2008−516352)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/FI2006/000192
【国際公開番号】WO2006/134205
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(504275591)
【Fターム(参考)】