説明

炭化珪素単結晶の製造装置および製造方法

【課題】昇華再析出法によるSiC単結晶の製造において、坩堝の自己発熱によらない加熱方法により、種結晶の温度、原料の温度、及び成長空間領域の温度分布を容易に制御できるSiC単結晶の製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】坩堝1内を含めた外部チャンバ10内を真空にしたあと、誘導コイル8、9に通電することでヒータ4、5を誘導加熱し、その輻射熱により坩堝1を加熱することで坩堝1内を所定温度にする。このとき、放射温度計18〜22を通じて坩堝1の各部やヒータ4、5の測温を行いながら、各誘導コイル8、9への通電の周波数もしくは通電量を制御し、ヒータ4、5で温度差を発生させながら加熱する。さらに、ヒータ4とヒータ5との間を仕切壁部6fにて断熱することで、成長結晶の表面の温度と粉末原料3の温度を別々に制御性良く調整することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーMOSFET等の素材に利用することができる炭化珪素(以下、SiCという)単結晶の製造装置および製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、SiC単結晶を成長させる方法として、昇華再析出法が広く用いられている。昇華再析出法は、黒鉛製の坩堝内に種結晶を接合すると共に、坩堝底部に配したSiC原料粉末を2100〜2300℃に加熱することで、SiC原料粉末を昇華させ、その昇華させたガスを原料温度よりも10〜200℃低い温度に設定された種結晶上に再結晶化させるというものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、この昇華再析出法に用いられるSiC単結晶製造装置の模式的な断面構造を示した図である。この図に示したように、SiC単結晶を一定の雰囲気ガス内で成長させるために、アルゴンガス、窒素ガスの導入機構J1と排気機構J2を備えた石英管J3内に坩堝J4を配置して、加熱はコイルJ5を用いた誘導加熱法で行っている。すなわち、石英管J3の外に配置したコイルJ5に高周波電流を流すことで、坩堝J4を自己発熱させている。
【0004】
また、坩堝J4の熱逃げと石英管J3の熱損傷を防ぐために、坩堝J4の周囲を黒鉛製断熱部材(フェルト)J6で被覆しているが、坩堝J4の温度測定を行うために、坩堝J4の上部と下部の中央部において断熱部材J6に計測窓となる孔J7、J8を空け、坩堝J4の上面と下面を部分的に露出させると共に、その露出箇所を放射温度計J9、J10で測温する。これにより、坩堝J4の上部の温度を種結晶J11の温度、坩堝J4の下部の温度をSiC原料粉末J12の温度と想定し、これらを制御することで種結晶J11上にSiC単結晶を成長させている。
【特許文献1】特開2003−321298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高品質な結晶を成長させるには、種結晶J11と原料粉末J12の温度を制御するだけでなく、坩堝J4の内部の温度分布を制御すること、特に種結晶J11の表面から原料粉末J12側の成長空間領域の温度分布を制御することが重要となる。種結晶J11の表面は種結晶J11であるSiC結晶のc面(0001)面と成す角度(オフ角)を一定とし、成長前の種結晶J11の表面を一定の結晶面としているため、成長結晶の表面形状としては凸形状や凹形状ではなく、できるだけ種結晶J11の表面と平行となるように、平坦に成長させることが望ましい。しかしながら、成長空間領域の温度分布を制御することが難しく、成長過程での成長結晶の表面形状が変わってしまう。成長過程で成長結晶の成長面が曲面になると、成長面に種結晶J11の表面(成長開始時)とは異なるオフ角の領域が混在することになり、種結晶J11の表面のオフ角よりも大きい、あるいは小さい領域では結晶の成長状態が変わって、結晶欠陥が発生することがある。したがって、成長面を常に種結晶J11の表面と同じ結晶面にするには種結晶J11の全面において成長速度が一定となる成長にしなければならず、成長空間領域の等温面が種結晶J11の表面とできる限り平行となる温度分布にすることが望ましい。
【0006】
このため、種結晶J11と原料粉末J12を所望温度にするとともに、成長空間領域の等温面が種結晶J11の表面と平行となる温度分布になるように、誘導加熱用のコイルJ5のパワー調整、コイルJ5に対する坩堝J4の位置、坩堝J4の構造などを変えて制御することになるが、坩堝J4を自己発熱させる方式で種結晶J11と原料粉末J12の温度をそれぞれ設定温度にし、かつ、成長空間の温度分布も制御することは容易でない。さらに、坩堝J4の内壁などにSiCが付着するなどの経時変化によって坩堝J4の発熱状態が変化するため、所望の温度状態を保つことは難しい。
【0007】
また、図8に示したように、坩堝J4の上部と下部の2点をそれぞれ設定温度にしても、常にその上部と下部の間の温度分布、坩堝J4の内空間領域の温度分布も同じになっているとは限らない。これに対し、坩堝J4の側面温度の測定、望ましくは坩堝の高さ方向に複数点の測定ができれば再現性・制御性は向上するが、側面の温度測定には坩堝J4の側面の断熱部材J6に孔を開けるしかない。
【0008】
また、坩堝J4を自転させながら結晶成長させる場合に、成長前の温度設定だけでなく成長中も連続して温度を測定するには、坩堝J4の上下面は問題ないが側面は回転速度に同期させて測温をしなければならない。しかしながら、回転速度がずれると断熱部材J6の温度を測定することになり、実際は困難である。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、種結晶の温度、原料の温度、及び成長空間領域の温度分布を容易に制御できるSiC単結晶の製造装置と製造方法を提供することを第1の目的とする。また、的確に断熱部材の側面の孔から測温度が行えるようにすることを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明では、坩堝(1)の外周に、坩堝(1)を自己発熱することで、炭化珪素原料(3)を加熱すると共に種結晶(2)を加熱するヒータ(4、5、40、50、51)と、ヒータ(4、5、40、50、51)のうち炭化珪素原料(3)を加熱する部位と種結晶(2)を加熱する部位との間において、坩堝(1)の外周を囲むように配置された断熱材料にて構成された仕切壁部(6f)と、を有していることを第1の特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、坩堝(1)の自己発熱で坩堝(1)の表面温度と坩堝内部の温度分布を制御するのではなく、坩堝(1)の外部の温度制御、すなわち坩堝(1)の外部に配置したヒータ(4、5、40、50、51)と仕切壁部(6f)により坩堝(1)の外部を所望の温度分布にすることで、坩堝(1)の内部の温度分布である種結晶(2)の温度、炭化珪素原料(3)の温度、及び成長空間領域の温度分布を制御することができる。坩堝(1)の外部の温度分布はヒータ(4、5、40、50、51)と仕切壁部(6f)の性能が大きく劣化しない限りは経時変化することがなく、坩堝(1)の外部の温度分布が一定な状態で坩堝(1)を加熱できる。
【0012】
具体的には、仕切壁部(6f)にて、坩堝(1)のうち成長空間領域と対応する場所の外周を囲むように配置することができる。
【0013】
この場合、仕切壁部(6f)は、ヒータ(40)に埋め込まれるように配置されていても良いし、ヒータを坩堝(1)の外周のうち炭化珪素原料(3)を加熱するための第1ヒータ(4、50)および種結晶(2)を加熱するための第2ヒータ(5、51)とを含んだ構成とし、仕切壁部(6f)を第1ヒータ(4、50)および第2ヒータ(5、51)の間に配置した構造としても構わない。
【0014】
また、仕切壁部(6f)は、坩堝(1)の外周面から離間するように配置されていても良いし、坩堝(1)の外周面に接するように配置されていても良い。
【0015】
坩堝(1)の加熱方式は、誘導加熱によるヒータの自己発熱方式でも抵抗加熱によるヒータの自己発熱方式であっても良い。
【0016】
誘導加熱による自己発熱方式の場合、例えば、ヒータ(4、5、40)と対向するように誘導コイル(8、9、41)を備え、誘導コイル(8、9、41)への通電によりヒータ(4、5、40)を誘導加熱にて自己発熱させる構成とすることができる。このような誘導加熱による自己発熱方式とすると、発熱体は発熱に伴う形状変化が少ないため、寿命が長くなり、結晶成長の安定性とコスト面から有効である。
【0017】
なお、誘導加熱による自己発熱方式の場合、誘導コイル(8、9、41)への通電により、坩堝(1)は誘導加熱による自己発熱が生じず、ヒータ(4、5、40)のみが誘導加熱にて自己発熱させられるようにするのが重要である。
【0018】
また、誘導加熱による自己発熱方式の場合、ヒータ(40)1つに対して誘導コイル(8、9)が複数個対向するように配置し、該複数個の誘導コイル(8、9)によりヒータ(40)を誘導加熱させる構成とすることもできるし、ヒータ(4、5)および誘導コイル(8、9)を共に同数の複数個用意し、1つのヒータ(4、5)に対して1つの誘導コイル(8、9)が対向するように配置して、複数個のヒータ(4、5)それぞれを1つずつの誘導コイル(8、9)にて誘導加熱させる構成としても良い。
【0019】
なお、誘導加熱による自己発熱方式の場合のヒータ(4、5、40)の材料としては黒鉛が適している。
【0020】
さらに、誘導加熱による自己発熱方式の場合、ヒータ(4、5、40)と誘導コイル(8、9、41)との間を絶縁する絶縁材(7)を備えると良い。このようにすると、坩堝(1)から漏れた炭化珪素の昇華ガスが誘導コイル(8、9、41)に付着することを防止できる。例えば、絶縁材として石英管(7)を用いることができる。
【0021】
一方、抵抗加熱による自己発熱方式の場合、ヒータ(50、51)は抵抗体で構成され、該抵抗体の通電加熱による自己発熱にて坩堝(1)を加熱することになる。この場合にもヒータ(50、51)の材料としては黒鉛が適している。
【0022】
また、本発明では、坩堝(1)の外周面を覆う外周部(6a)と、坩堝(1)を載せて回転する台座部(6c)と、外周部(6a)よりも内側に配置された仕切壁部(6f)とを含む断熱部材(6)を有し、外周部(6a)には坩堝(1)の外周に達する孔(13、15)を含む孔(13〜17)が形成され、坩堝(1)の外周に達する孔(13、15)を通して坩堝(1)の側面を測温するための温度検出部(18、20)が備えられていることを第2の特徴としている。
【0023】
このように、断熱部材(6)にて坩堝(1)を覆う場合、外周部(6a)に坩堝(1)の外周に達する孔(13、15)を含む孔(13〜17)を形成しておき、これを通して坩堝(1)の側面を温度検出部(18、20)にて測温することができる。このような構成の場合、台座部(6c)を回転させることによって坩堝(1)を回転させたとしても、断熱部材(6)の外周部(6a)は回転しないため、外周部(6a)に形成された孔(13、15)の位置も変わらず、温度検出部(18、20)にて確実に測温を行うことが可能となる。
【0024】
この場合、絶縁材(7)を断熱部材(6)の外側に配置すると共に、前記孔(13〜17)と対応する位置に孔を形成することで、絶縁材(7)の熱損傷を抑制することが可能となる。
【0025】
また、この場合、孔(13、15)を複数個設けておき、坩堝(1)の軸方向において異なる場所に形成されるようにすると好ましい。このように、坩堝(1)の測温を坩堝(1)の軸方向において異なる場所で行えるようにすれば、さらに正確な制御ができる。この場合、坩堝(1)のうち炭化珪素原料(3)が配置される場所の側面に達する孔(13)と、坩堝(1)のうち種結晶(2)が配置される場所の側面に達する孔(15)とを含むようにすると好ましい。
【0026】
また、坩堝(1)と断熱部材(6)を覆う外部チャンバ(10)と、外部チャンバ(10)と断熱部材(6)の間の空間をガス導入室(R2)として、該ガス導入室(R2)内に雰囲気ガスを導入するガス導入管(11)と、断熱部材(6)と坩堝(1)との間の空間をガス流動室(R1)として、ガス導入室(R2)とガス流動室(R1)とを連通する連通通路(13〜17)と、ガス導入室(R2)からガス流動室(R1)に流動してきた雰囲気ガスをガス流動室(R1)から外部チャンバ(10)の外部に排出するための排気配管(12)とを備えた構成にすると良い。
【0027】
断熱部材(6)に孔(13〜17)を空ける場合、坩堝(1)から漏れる炭化珪素原料(3)の昇華ガスにて孔(13〜17)が塞がれる可能性がある。しかしながら、ガス導入室(R2)から連通通路(13〜17)を通じてガス流動室(R1)に雰囲気ガスを送り、さらに、ガス流動室(R1)から排気配管(12)を通じて雰囲気ガスが排出されるようにすれば、孔(13〜17)側に昇華ガスが行かないようにすることができる。このため、坩堝(1)から漏れる炭化珪素原料(3)の昇華ガスにて孔(13〜17)が塞がれないようにできる。例えば、孔(13〜17)を連通通路とすることができる。この場合の雰囲気ガスとしては、例えばアルゴン、水素、窒素などを使うと良い。
【0028】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0030】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の断面構成を示す。以下、図1に基づいてSiC単結晶製造装置の構成についての説明を行う。
【0031】
図1に示すように、SiC単結晶製造装置には、有底円筒状の容器本体1aと円形状の蓋体1bとによって構成されたグラファイト製の坩堝1が備えられている。図2(a)は、この坩堝1の部分拡大図、図2(b)は、結晶成長を行ったときの様子を示した断面図である。図2に示すように、坩堝1内には、蓋体1bの裏面に貼り付けられるように例えば円形状のSiCの種結晶2が配置されている。また、坩堝1のうち容器本体1aの底部には、昇華ガスの供給源となるSiCの粉末原料3が配置されている。そして、坩堝1内の空間のうち種結晶2と粉末原料3との間を成長空間領域として、粉末原料3からの昇華ガスが種結晶2の表面上に再結晶化して、種結晶2の表面にSiC単結晶30が成長させられる構成とされている。
【0032】
さらに、坩堝1の外周を囲むように円筒型のヒータ4、5が配置されている。一方のヒータ4は、坩堝1のうち粉末原料3が配置された箇所の側面と対向するように配置され、他方のヒータ5は、坩堝1のうち種結晶2が配置された箇所の側面と対向するように配置されている。
【0033】
さらに、ヒータ4、5の外周を囲み、かつ、ヒータ4、5および坩堝1を上下から囲むように、黒鉛製の中空円柱形状の断熱部材6が配置されている。この断熱部材6の内部空間のうちヒータ4、5および坩堝1を囲んでいる空間がガス流動室R1となる。
【0034】
断熱部材6は複数の部品にて構成されている。具体的には、坩堝1やヒータ4、5の外周を囲む外周部6aと、坩堝1やヒータ4、5の上方を塞ぐ蓋部6bと、例えばカーボンなどの土台とする板を介して坩堝1を載せる台座部6cと、台座部6cの外周を囲むように配置され、坩堝1やヒータ4、5の下方を塞ぐ底部6dと、底部6dよりも坩堝1側に配置され、台座部6cの周囲を囲みつつ外周部6aの内壁に形成された凹部内に嵌め込まれた環状部6eと、ヒータ4とヒータ5の間に配置されたリング状の仕切壁部6fとを備えて構成されている。台座部6cは坩堝1を載せた状態で回転可能に構成されていると共に坩堝1の軸方向に沿って上下移動可能に構成されており、結晶成長中に台座部6cを回転もしくは上下移動させることにより、坩堝1も回転もしくは上下移動させられる構造となっている。なお、断熱部材6を構成する各部6a〜6fの厚みや坩堝1との距離(隙間)に関しては、適宜調整可能であるが、坩堝1の形状、坩堝1の内部構造、結晶成長時のヒータ4、5の温度(ヒータ内の温度分布)等によって最適な形状を選択すると好ましい。
【0035】
そして、坩堝1、ヒータ4、5および断熱部材6を含めて、これら全体が絶縁材料である石英管7に取り囲まれるように収容されている。この石英管7の外周には高周波駆動される誘導コイル8、9が配置されており、これに高周波の電流を流すことにより、坩堝1の外周に配置されたヒータ4、5を誘導加熱できる。このとき、石英管7にて誘導コイル8、9と坩堝1、ヒータ4、5および断熱部材6が絶縁できる。
【0036】
また、これら坩堝1、ヒータ4、5、断熱部材6、石英管7および誘導コイル8、9は、外部チャンバ10に収容されている。この外部チャンバ10と石英管7との間に形成される部屋がガス導入室R2となる。そして、外部チャンバ10内には、石英管7内に雰囲気ガスとして例えば不活性ガス(Arガス等)や水素、結晶へのドーパントとなる窒素などの混入ガスを導入できるようにガス導入管11が設けられていると共に、混成ガスを排出できるように排気配管12が備えられている。排気配管12は、断熱部材6の蓋部6bおよび石英管7を貫通してガス流動室R1と外部チャンバ10の外部とを連通させるように形成されている。なお、ガス導入管11の位置は任意に決められるが、排気配管12の位置と反対側、つまり排気配管12がガス流動室R1の上方位置に設けられているのであれば、ガス導入管11がガス流動室R1の下方からガスを導入できるように、ガス導入室R2の下方位置に設けるようにすると好ましい。
【0037】
さらに、断熱部材6および石英管7を貫通してガス導入室R2とガス流動室R1とを連通させるように、複数個の孔13〜17が形成されている。孔13〜16は、断熱部材6の外周部6aに形成され、それぞれ異なる高さ(坩堝1の軸方向に沿って異なる位置)に配置されている。具体的には、孔13は、坩堝1のうち粉末原料3が配置される位置の側面と対応する場所に形成されており、孔14は、ヒータ4と対応する場所に形成されており、孔15は、坩堝1の側面における粉末原料3と種結晶2との間、つまり成長空間領域と対応する場所に形成されており、孔16は、ヒータ5と対応する場所に形成されている。また、孔17は、断熱部材6の蓋部6bに形成され、坩堝1の蓋体1bの中央位置、つまり種結晶2の裏面側と対応する位置に形成されている。なお、各孔13〜17だけでも良いが、各孔13〜17の内側にアルミナ、カーボンなどで作製した筒を通しておくと好ましい。
【0038】
そして、各孔13〜17を通じて坩堝1の各部やヒータ4、5の温度を測定する温度検出部としての放射温度計18〜22が外部チャンバ10の外側に配置されている。ただし、坩堝1の側面の測温に関しては、孔13、15から坩堝1に至るまでの間にヒータ4、5があるため、ヒータ4、5の隙間と孔13、15とが一致するように位置合わせをしてある。これらにより、SiC単結晶製造装置が構成されている。
【0039】
なお、ヒータ4、5の長さ(坩堝1の軸方向に沿った長さ)、厚み、内径および後述する誘導コイル8、9を駆動する際の周波数等に関しては特に説明していないが、種結晶2の温度よりも粉末原料3の温度を高くすることや、坩堝1の内部の温度分布の制御性を考慮して適宜設定することになる。
【0040】
続いて、上記のような構成のSiC単結晶製造装置によるSiC単結晶30の製造方法について説明する。
【0041】
まず、図示しない排気機構を用いて、排気配管12を通じたガス排出を行うことで、坩堝1内を含めた外部チャンバ10内を真空にすると共に、誘導コイル8、9に通電することでヒータ4、5を誘導加熱し、その輻射熱により坩堝1を加熱することで坩堝1内を所定温度にする。このとき、各誘導コイル8、9への通電の周波数もしくはパワーを異ならせることにより、ヒータ4、5で温度差が発生させられる加熱を行えるようにしている。
【0042】
その後、ガス導入管11を通じて、例えば不活性ガス(Arガス等)や水素、結晶へのドーパントとなる窒素などの混入ガスを流入させる。そして、石英管7の内部を所定圧に保ちつつ、種結晶2の成長面の温度及びSiC粉末原料3の温度を目標温度まで上昇させる。例えば、成長結晶を4H−SiCとする場合、粉末原料3の温度を2100〜2300℃とし、成長結晶表面の温度をそれよりも10〜100℃程度低くする。そして、台座部6cを回転させることで坩堝1を回転させると共に、必要に応じてSiC結晶30の成長表面の位置を上昇させるべく台座部6cを上方に移動させる。
【0043】
このとき、各部の温度制御を放射温度計18〜22を通じて坩堝1の各部やヒータ4、5の測温を行いながら誘導コイル8、9の通電量を制御する。具体的には、孔13を通じて坩堝1の側面のうち粉末原料3が配置された部位を放射温度計18にて測温し、孔14を通じてヒータ4を放射温度計19にて測温し、孔15を通じて坩堝1の側面のうち成長空間領域と対応する部位を放射温度計20にて測温し、孔16を通じてヒータ5を放射温度計21にて測温し、孔17を通じて坩堝1の上面を放射温度計22にて測温し、各部の温度が所望温度となるようにする。この測温により、坩堝1の粉末原料3や成長空間領域と対応する側面の温度を検出できるため、従来と比較して、より正確に坩堝1の内部の温度を推測することが可能となる。そして、このような側面の測温を断熱部材6等に形成した孔13、15を通じて行うことになるが、断熱部材6のうち台座部6cのみを回転させ、孔13、15が形成された外周部6aに関しては回転させなくても良いため、常に的確に側面の測温を行うことが可能となる。
【0044】
また、坩堝1の測温だけでなく、ヒータ4、5の測温も行うことができるため、より正確に坩堝1の内部の温度を調整することが可能となる。そして、このようなヒータ4、5の測温も、断熱部材6等に形成した孔14、16を通じて行うことになるが、断熱部材6のうち台座部6cのみを回転させ、孔14、16が形成された外周部6aに関しては回転させなくても良いため、常に的確にヒータ4、5の測温を行うことが可能となる。
【0045】
また、ガス導入管11を通じて雰囲気ガスを導入しているため、この雰囲気ガスがガス導入室R2から各孔13〜17を通じてガス流動室R1内に流動していったのち、排気配管12を通じて排出されることになる。結晶成長中に坩堝1から原料ガスが洩れてくることになるが、この場合にもガス流動室R1から排気配管12側に向かう雰囲気ガスの流れがあるため、原料ガスが各孔13〜17側に行くことは殆どなく、結晶析出によって各孔13〜17が塞がれてしまうということもない。
【0046】
さらに、ヒータ4とヒータ5との間を仕切壁部6fにて断熱している。このため、ヒータ4、5それぞれにより、成長結晶の表面の温度と粉末原料3の温度を別々に制御性良く調整することが可能となる。特に、成長空間領域と対応する場所に仕切壁部6fを配置することで、成長空間の等温面を種結晶2の表面と平行にすることが容易となる。
【0047】
図3は、本実施形態のように仕切壁部6fを設けた場合と設けていない場合の等温線を模式的に描いた断面図である。この図に示すように、仕切壁部6fを設けていない場合には坩堝1の上方までヒータ4の熱が伝わるため等温線が湾曲した形状となるが、仕切壁部6fを設けることにより坩堝1の上方にヒータ4の熱が伝わることを防止でき、等温面をほぼ種結晶2の表面に対して平行にすることが可能となる。
【0048】
成長空間領域の温度分布により成長結晶の形状が決まり、成長結晶の表面は等温面に沿った成長をするため、成長結晶の表面を平坦に成長させるために、なるべく等温面を種結晶2の表面と平行になるようにすると好ましい。これに対し、仕切壁部6fを設けることによって上記のように成長結晶の表面の温度と粉末原料3の温度を別々に制御性良く調整できるため、等温面をできるだけ種結晶2の表面と平行にすることが可能となり、成長結晶の表面を平坦に成長させることが可能となる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では、坩堝1の自己発熱で坩堝1の表面温度と坩堝内部の温度分布を制御するのではなく、坩堝1の外部の温度制御、すなわち坩堝1の外部に配置したヒータ4、5と仕切壁部6fで、坩堝1の外部を所望の温度分布にすることで、坩堝1の内部の温度分布である種結晶2の温度、粉末原料3の温度、及び成長空間領域の温度分布を制御することができる。坩堝1の外部の温度分布はヒータ4、5と仕切壁部6fの性能が大きく劣化しない限りは経時変化することがなく、坩堝1の外部の温度分布が一定な状態で坩堝1を加熱できる。
【0050】
なお、ここでは、仕切壁部6fは、坩堝1の外周面から間隔を空けて配置される場合について説明したが、仕切壁部6fを坩堝1と接触させ、部分的に仕切壁部6fに坩堝1の軸方向に延設された穴を設けることで雰囲気ガスが流動させられるような構造としてもよい。
【0051】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のSiC単結晶製造装置は、第1実施形態に対してヒータの構成およびそれに関連する部分を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0052】
図4は、本実施形態のSiC単結晶製造装置の断面図である。第1実施形態では、ヒータ4、5という2つを用いたが、図4に示すように、本実施形態では、1つのヒータ40および誘導コイル41のみを用いて加熱を行う。断熱部材6の仕切壁部6fは、ヒータ40の両先端部の中間位置において、ヒータ40に埋め込まれるように配置され、ヒータ40の上方と下方との間の断熱を行えるようになっている。孔14、16はヒータ40の上方と下方それぞれの測温を行うために用いているが、さらに孔42を孔14、16の間に備えると共に、この孔42を通じて測温を行うための放射温度計43を備えることで、ヒータ40のうち仕切壁部6f近傍の測温も行えるようにし、より坩堝1の内部の温度を細かく推定できるようにしている。
【0053】
このような構成では、第1実施形態のように2つのヒータ4、5を用いていないため、細かな温度制御が行えないものの、仕切壁部6fにてヒータ40の上方と下方との温度調整を行えるため、ほぼ上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。これにより、ヒータ40や誘導コイル41の構成を簡略化することが可能となる。
【0054】
なお、ここでは仕切壁部6fを1つだけ設けた例を示したが、1つのヒータ40にした場合、断熱効果による温度分布の制御が比較的難しくなるため、複数個仕切壁部6fを設け、坩堝1の軸方向に沿って並べるようにしても良い。この場合、各仕切壁部6fの間隔を空けても良い。また、ヒータ40の厚みを場所によって変えることで、ヒータ40の上方と下方の温度差が設けやすくなるようにすることもできる。
【0055】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態のSiC単結晶製造装置は、第2実施形態に対して誘導コイルの構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0056】
図5は、本実施形態のSiC単結晶製造装置の断面図である。第2実施形態では、1つのヒータ40に対して1つの誘導コイル41を用いたが、図5に示すように、本実施形態では、1つのヒータ40に対して2つの誘導コイル41a、41bを備えた構造としている。
【0057】
このような構成では、誘導コイル41a、41bの周波数もしくはパワーを制御することにより、1つのヒータ40の上方と下方とを異なる温度にするという細かな温度制御を行うことが可能になり、第1実施形態に対してヒータ構成の簡略化を行いつつ、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0058】
なお、本実施形態においても、ヒータ40の厚みを場所によって変えたり、ヒータ40の長さを仕切壁部6fよりも上方と下方とで変えることにより、ヒータ40の上方と下方の温度差が設けやすくなるようにすることもできる。
【0059】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態のSiC単結晶製造装置は、第1実施形態に対して加熱機構を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0060】
図6は、本実施形態のSiC単結晶製造装置の断面図である。第1実施形態では、ヒータ4、5および誘導コイル8、9を用いた誘導加熱により坩堝1の加熱を行っているが、本実施形態では、坩堝1の周囲に配置した例えば黒鉛で構成された抵抗体にて構成されたヒータ50、51による抵抗加熱により坩堝1の加熱を行う。このため、断熱部材6の周囲には第1実施形態で示した誘導コイル8、9は備えられておらず、抵抗体にて構成されたヒータ50、51のみを備えた構造としている。そして、誘導コイル8、9を使用しないため、昇華ガスの誘導コイル付着を防止する必要がないことから、石英管7も備えていない。
【0061】
このような構成では、誘導コイル41a、41bの周波数もしくはパワーを制御することにより、1つのヒータ40の上方と下方とを異なる温度にするという細かな温度制御を行うことが可能になり、第1実施形態に対してヒータ構成の簡略化を行いつつ、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0062】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態のSiC単結晶製造装置は、第1実施形態に対して仕切壁部6fを変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
【0063】
図7は、本実施形態のSiC単結晶製造装置の断面図である。第1実施形態では、仕切壁部6fを断熱部材6の外周部6aに接するように配置したが、本実施形態では、坩堝1の周囲を囲むように仕切壁部6fを貼り付けている。仕切壁部6fとヒータ4、5と坩堝1との位置関係、ヒータ4、5の温度、坩堝1の内部構造などを考慮に入れ、成長空間領域の等温面ができるだけ種結晶2の表面と平行となるように、仕切壁部6fの貼り付け場所の最適位置を設定すると共に、仕切壁部6fの最適寸法、最適材料を選択している。
【0064】
このように、仕切壁部6fを坩堝1の外周に貼り付けるようにしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、2つの誘導コイル8、9にてそれぞれ対応するヒータ4、5の温度制御を行っているが、1つの誘導コイルにより2つのヒータ4、5の両方を共に制御しても良い。また、第1〜第3実施形態では、ヒータもしくは誘導コイルを1つまたは2つで構成したが、当然、これらのいずれか一方もしくは双方を3つ以上の個数で構成しても良い。
【0066】
また、上記第1〜第5実施形態では、孔13〜17がガス導入室R2とガス流動室R1とを連通する連通通路としての役割を兼用する構成としているが、孔13〜17とは別に連通通路を形成しても良い。
【0067】
また、上記各実施形態では、ヒータ4、5、40、50、51を坩堝1のうち粉末原料3や種結晶2が配置された箇所の側面と対向するように配置しているが、必ずしもこれらの場所にしなければならない訳ではない。例えば、種結晶2よりも上方にヒータ5を配置しても良い。すなわち、ヒータ4、5は、粉末材料3や種結晶2を加熱するために用いられるものであり、図1に示した配置場所からずれていても構わない。この場合、坩堝1のうち種結晶2が配置された箇所の側面と対向する位置に仕切壁部6fが配置されても良い。
【0068】
また、絶縁材として石英管7を例に挙げて説明したが、すべてが石英にて構成されている必要は無い。例えば、蓋部6bの上に載っている部分は誘電されないため、絶縁体である石英である必要はなく、カーボン板としても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の断面図である。
【図2】(a)は、この坩堝1の部分拡大図、(b)は、結晶成長を行ったときの様子を示した断面図である。
【図3】仕切壁部を設けた場合と設けていない場合の等温線を模式的に描いた断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の断面図である。
【図7】本発明の第5実施形態にかかるSiC単結晶製造装置の断面図である。
【図8】従来のSiC単結晶製造装置の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1…坩堝、1a…容器本体、1b…蓋体、2…種結晶、3…粉末原料、4、5、40、50、51…ヒータ、5…ヒータ、6…断熱部材、6a…外周部、6b…蓋部、6c…台座部、6d…底部、6e…環状部、6f…仕切壁部、7…石英管、8、9、41…誘導コイル、10…外部チャンバ、11…ガス導入管、12…排気配管、13〜17、42…孔、18〜22、43…放射温度計、30…SiC単結晶、R1…ガス流動室、R2…ガス導入室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒状の容器本体(1a)と該容器本体(1a)を蓋閉めするための蓋部(1b)を有した中空状の円柱形状をなす坩堝(1)を有し、前記蓋体(1b)に炭化珪素基板からなる種結晶(2)を配置すると共に前記容器本体(1a)に炭化珪素原料(3)を配置し、前記炭化珪素原料(3)の昇華ガスを供給することにより、前記種結晶(2)と前記炭化珪素原料(3)との間の空間にて構成される成長空間領域において前記種結晶(2)上に炭化珪素単結晶(30)を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記坩堝(1)の外周に配置され、前記坩堝(1)を自己発熱により加熱することで、前記炭化珪素原料(3)を加熱すると共に前記種結晶(2)を加熱するヒータ(4、5、40、50、51)と、
前記ヒータ(4、5、40、50、51)のうち前記炭化珪素原料(3)を加熱する部位と前記種結晶(2)を加熱する部位との間において、前記坩堝(1)の外周を囲むように配置された断熱材料にて構成された仕切壁部(6f)と、を有していることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項2】
前記仕切壁部(6f)は、前記坩堝(1)のうち前記成長空間領域とを囲む部位の外周を囲むように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項3】
前記仕切壁部(6f)は、前記ヒータ(40)に埋め込まれるように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項4】
前記ヒータは、前記炭化珪素原料(3)を加熱するための第1ヒータ(4、50)および前記種結晶(2)を加熱するための第2ヒータ(5、51)とを含み、
前記仕切壁部(6f)は、前記第1ヒータ(4、50)および前記第2ヒータ(5、51)の間に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項5】
前記仕切壁部(6f)は、前記坩堝(1)の外周面から離間するように配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
前記仕切壁部(6f)は、前記坩堝(1)の外周面に接するように配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項7】
前記ヒータ(4、5、40)と対向するように誘導コイル(8、9、41)が備えられ、前記誘導コイル(8、9、41)への通電により前記ヒータ(4、5、40)を誘導加熱にて自己発熱させる構成とされていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項8】
前記誘導コイル(8、9、41)への通電により、前記坩堝(1)は誘導加熱による自己発熱が生じず、前記ヒータ(4、5、40)のみが誘導加熱にて自己発熱させられることを特徴とする請求項7に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項9】
前記ヒータ(40)1つに対して前記誘導コイル(8、9)が複数個対向するように配置され、該複数個の前記誘導コイル(8、9)により前記ヒータ(40)を誘導加熱させる構成とされていることを特徴とする請求項7または8に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項10】
前記ヒータ(4、5)および前記誘導コイル(8、9)は共に同数の複数個配置されており、1つの前記ヒータ(4、5)に対して1つの前記誘導コイル(8、9)が対向するように配置され、複数個の前記ヒータ(4、5)それぞれを1つずつの前記誘導コイル(8、9)にて誘導加熱させる構成とされていることを特徴とする請求項7または8に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項11】
前記ヒータ(4、5、40)は黒鉛にて構成されていることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項12】
前記ヒータ(4、5、40)と前記誘導コイル(8、9、41)との間を絶縁する絶縁材(7)が備えられていることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項13】
前記絶縁材は石英管(7)にて構成されていることを特徴とする請求項12に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項14】
前記ヒータ(50、51)は、抵抗体であり、該抵抗体の通電加熱による自己発熱にて前記坩堝(1)を加熱する構成とされていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項15】
前記ヒータ(50、51)は黒鉛にて構成されていることを特徴とする請求項14に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項16】
前記坩堝(1)の外周面を覆う外周部(6a)と、前記坩堝(1)を載せて回転する台座部(6c)と、前記外周部(6a)よりも内側に配置された前記仕切壁部(6f)とを含む断熱部材(6)を有し、前記外周部(6a)には前記坩堝(1)の外周に達する孔(13、15)を含む孔(13〜17)が形成され、前記坩堝(1)の外周に達する孔(13、15)を通して前記坩堝(1)の側面を測温するための温度検出部(18、20)が備えられていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項17】
前記坩堝(1)の外周面を覆う外周部(6a)と、前記坩堝(1)を載せて回転する台座部(6c)と、前記外周部(6a)よりも内側に配置された前記仕切壁部(6f)とを含む断熱部材(6)を有し、前記外周部(6a)には前記坩堝(1)の外周に達する孔(13、15)を含む孔(13〜17)が形成され、前記坩堝(1)の外周に達する孔(13、15)を通して前記坩堝(1)の側面を測温するための温度検出部(18、20)が備えられており、
前記絶縁材(7)は、前記断熱部材(6)の外側に配置されていると共に、前記孔(13〜17)と対応する位置に孔が形成されていることを特徴とする請求項12または13に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項18】
前記孔(13、15)は複数個あり、前記坩堝(1)の軸方向において異なる場所に形成されていることを特徴とする請求項16または17に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項19】
前記孔(13、15)は、前記坩堝(1)のうち前記炭化珪素原料(3)が配置される場所の側面に達する孔(13)と、前記坩堝(1)のうち前記種結晶(2)が配置される場所の側面に達する孔(15)とを含んでいることを特徴とする請求項18に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項20】
前記坩堝(1)と前記断熱部材(6)を覆う外部チャンバ(10)と、
前記外部チャンバ(10)と前記断熱部材(6)の間の空間をガス導入室(R2)として、該ガス導入室(R2)内に雰囲気ガスを導入するガス導入管(11)と、
前記断熱部材(6)と前記坩堝(1)との間の空間をガス流動室(R1)として、前記ガス導入室(R2)と前記ガス流動室(R1)とを連通する連通通路(13〜17)と、
前記ガス導入室(R2)から前記ガス流動室(R1)に流動してきた前記雰囲気ガスを前記ガス流動室(R1)から前記外部チャンバ(10)の外部に排出するための排気配管(12)とが備えられていることを特徴とする請求項1ないし19のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項21】
前記坩堝(1)と前記断熱部材(6)を覆う外部チャンバ(10)と、
前記外部チャンバ(10)と前記断熱部材(6)の間の空間をガス導入室(R2)として、該ガス導入室(R2)内に雰囲気ガスを導入するガス導入管(11)と、
前記断熱部材(6)と前記坩堝(1)との間の空間をガス流動室(R1)として、前記ガス導入室(R2)と前記ガス流動室(R1)とを連通する連通通路(13〜17)と、
前記ガス導入室(R2)から前記ガス流動室(R1)に流動してきた前記雰囲気ガスを前記ガス流動室(R1)から前記外部チャンバ(10)の外部に排出するための排気配管(12)とを含み、
前記連通通路は、前記坩堝(1)の外周に達する孔(13、15)を含む孔(13〜17)にて構成されていることを特徴とする請求項16ないし19のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項22】
有底円筒状の容器本体(1a)と該容器本体(1a)を蓋閉めするための蓋部(1b)を有した中空状の円柱形状をなす坩堝(1)を有し、前記蓋体(1b)に炭化珪素基板からなる種結晶(2)を配置すると共に前記容器本体(1a)に炭化珪素原料(3)を配置し、前記炭化珪素原料(3)の昇華ガスを供給することにより、前記種結晶(2)と前記炭化珪素原料(3)との間の空間にて構成される成長空間領域において前記種結晶(2)上に炭化珪素単結晶(30)を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
前記坩堝(1)の外周に配置され、前記坩堝(1)を加熱することで、前記炭化珪素原料(3)を加熱すると共に前記種結晶(2)を加熱するヒータ(4、5、40、50、51)を配置すると共に、
前記ヒータ(4、5、40、50、51)のうち前記炭化珪素原料(3)を加熱する部位と前記種結晶(2)を加熱する部位との間において、前記坩堝(1)の外周を囲むように、断熱材料にて構成された仕切壁部(6f)を配置し、
前記ヒータ(4、5、40、50、51)を自己発熱させつつ、前記仕切壁部(6f)にて前記ヒータ(4、5、40、50、51)のうち前記炭化珪素原料(3)を加熱する部位と前記種結晶(2)を加熱する部位とを断熱した状態で前記坩堝(1)を加熱することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項23】
前記坩堝(1)の外周面を覆う外周部(6a)と、前記坩堝(1)を載せて回転する台座部(6c)と、前記外周部(6a)よりも内側に配置された前記仕切壁部(6f)とを有し、前記外周部(6a)には前記坩堝(1)の外周に達する孔(13、15)を含む孔(13〜17)が形成された断熱部材(6)を備えると共に、
前記坩堝(1)の外周に達する孔(13、15)を通して前記坩堝(1)の側面を測温するための温度検出部(18、20)を備え、
前記台座部(6c)を回転させることで前記坩堝(1)を回転させた状態で、前記孔(13、15)を通じて前記温度検出部(18、20)にて前記坩堝(1)の側面の測温を行うことで、前記坩堝(1)の温度制御を行うことを特徴とする請求項22に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項24】
前記坩堝(1)と前記断熱部材(6)を外部チャンバ(10)にて覆い、
前記外部チャンバ(10)と前記断熱部材(6)の間の空間をガス導入室(R2)として、該ガス導入室(R2)内にガス導入管(11)を通じて雰囲気ガスを導入すると共に、
前記断熱部材(6)と前記坩堝(1)との間の空間をガス流動室(R1)として、前記ガス導入室(R2)と前記ガス流動室(R1)とを連通通路(13〜17)にて連通させ、排気配管(12)を通じて前記ガス導入室(R2)から前記ガス流動室(R1)に流動してきた前記雰囲気ガスを前記ガス流動室(R1)から前記外部チャンバ(10)の外部に排出しながら前記種結晶(2)の表面に炭化珪素単結晶(30)を成長させることを特徴とする請求項22または23に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−290885(P2008−290885A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135250(P2007−135250)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】