説明

無接点電力伝送コイル、携帯端末及び端末充電装置

【課題】 無接点電力伝送コイルの薄型化を可能にして、携帯端末や端末充電装置の更なる薄型化を可能とする。
【解決手段】
平面コイルは、単線又は撚り線からなる電線40を渦巻き状に巻回して形成されている。フレキシブルプリント基板30は、第一,第二の外部接続端子部31,32と、平面コイルの内周部37の電線端部に接続される第一のコイル接点部36と、平面コイルの外周部38の電線端部に接続される第二のコイル接点部35と、第一のコイル接点部36と第一の外部接続端子部31とを接続する第一の内部導体パターン33と、第二のコイル接点部35と第二の外部接続端子部32とを接続する第二の内部導体パターン34とが形成されている。そして、平面コイルの一方の平面部がそのフレキシブルプリント基板30の表面上に貼り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話端末などの小型且つ薄型の携帯端末に内蔵された二次電池の充電を行う際に、電磁誘導を利用して非接触による電力伝送を行うための無接点電力伝送コイルと、その無接点電力伝送コイルを内蔵した携帯端末及び端末充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば携帯端末に内蔵された二次電池を充電するための充電用電力を、無接点電力伝送コイルによる電磁誘導を利用して伝送するようなシステムが知られている。
【0003】
また、特開2006−42519号の公開特許公報(特許文献1)には、例えば携帯電話端末のように薄型化が要求される携帯端末に搭載される無接点電力伝送コイルとして、表面に絶縁層が設けられた単線又は撚り線からなる電線を略々同一平面内に渦巻き状(スパイラル状)に巻回した平面コイルを用いることが開示されている。さらに、この公報には、送電側の平面コイルと受電側の平面コイルを対向させて配置した時に、それら両コイルの対向面の反対側の面に、両コイルから発生する磁界による不要輻射を抑えるための磁性シートを、当該反対側の面全体を覆うようにそれぞれ設けることが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−42519号公報(図2及び図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図27及び図28には、従来の渦巻き状の平面コイルを備えた無接点電力伝送コイル200の概略的な構造を示す。
【0006】
図27に示すように、渦巻き状平面コイルは、単線や撚り線からなる電線201を同一平面内に渦巻き状に巻回したものとなされており、当該平面コイルの外周側203の電線端部(例えば巻き終わり側の電線端部)205がそのまま外部へ引き出され、一方、内周側202の電線端部(例えば巻き始め側の電線端部)204が上記渦巻き状に巻回された電線部の上(若しくは下)を通って外周側に引き出されている。そして、当該無接点電力伝送コイル200は、図28に示すように、上記平面コイルの一方の平面部側に接着シート211等により磁性シート210が貼り付けられ、他方の平面部側が必要に応じて接着シート211等により端末筐体213の内壁面等に貼り付けられる。なお、図示は省略しているが、磁性シート210の外側には、アルミニウム等からなる金属シートも貼り付けられる。
【0007】
ところで、最近は携帯電話端末等をこれまで以上に薄型化することが望まれており、そのため、当該端末の筐体内に配設される各種電子部品そのものの厚みを薄くすることのみならず、上述した渦巻き状平面コイルからなる無接点電力伝送コイルについても、その厚みをさらに薄くすることが要求されている。
【0008】
しかしながら、上述の図27及び図28に示したような従来の渦巻き状平面コイルを携帯電話端末等に搭載した場合、平面コイルの内周側202の電線端部204が上記渦巻き状に巻回された電線部の上(若しくは下)を通って外周側に引き出されているため、或る程度の太さがある電線が重なることになり、その電線重なり部分によって当該平面コイルの最大厚みが非常に大きくなってしまい、携帯電話端末の更なる薄型化に対する障害となっている。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、更なる薄型化が可能な渦巻き状平面コイルからなる無接点電力伝送コイルと、その無接点電力伝送コイルを内蔵した携帯端末及び端末充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の無接点電力伝送コイル、本発明の携帯端末、及び、本発明の端末充電装置は、単線又は撚り線からなる線状導体を略々同一平面内に渦巻き状に巻回して形成された平面コイルと、第一,第二の外部接続端子部と、渦巻き状の線状導体の内周側端部に接続される第一の接点部と、渦巻き状の線状導体の外周側端部に接続される第二の接点部と、第一の接点部と第一の外部接続端子部とを接続する第一の導体パターンと、第二の接点部と第二の外部接続端子部とを接続する第二の導体パターンとが形成されたプリント基板とを有し、平面コイルの一方の平面部がプリント基板の表面上に取り付けられていることにより、上述した課題を解決する。
【0011】
すなわち本発明によれば、平面コイルは、単線又は撚り線からなる線状導体を略々同一平面内に渦巻き状に巻回して形成されており、その平面コイルの内周側端部と外部接続端子との間の接続を、プリント基板の導体パターンにより行っているため、平面コイルの線状導体を内周側から外周側へ引き出す場合のように、線状導体が重なってしまうことがない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、単線又は撚り線からなる線状導体の重なりを無くすことができるため、無接点電力伝送コイルの更なる薄型化が可能となる。したがって、その無接点電力伝送コイルを搭載することで、携帯端末や端末充電装置の薄型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
なお、本実施形態では、本発明の渦巻き状平面コイルを有する無接点電力伝送コイルが搭載された携帯端末の一例として携帯電話端末を挙げ、また、本発明の端末充電装置の一例として、上記携帯電話端末を少なくとも充電可能なクレードルを挙げているが、勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0015】
〔クレードルと携帯電話端末の概略構成及び充電時の基本動作〕
図1には、本発明実施形態の携帯電話端末2とクレードル1の主要部の概略的な内部構造を示す。
【0016】
本実施形態の携帯電話端末2は、少なくとも、当該端末の動作電力を発生する二次電池からなるバッテリ22と、上記バッテリ22の充電を行う際の受電側の無接点電力伝送コイルとなる二次側伝送コイル21と、上記二次側伝送コイル21を通じて受電した電力を上記バッテリ22へ供給して充電させるための充電制御回路を含む各種電子回路が実装された回路基板23とを、当該端末筐体の内部に備えている。なお、本実施形態においては、一般的な携帯電話端末が備えているその他の構成要素の図示及び説明については省略している。
【0017】
上記バッテリ22は着脱可能となされており、携帯電話端末2には当該バッテリ22を着脱する際に開閉(若しくは着脱)されるバッテリ蓋20が設けられている。
【0018】
上記二次側伝送コイル21は、後述するように、導電性を有する線状導体が渦巻き状に形成された平面コイルとなされており、当該二次側伝送コイル21の一方の平面部が、上記バッテリ蓋20の内壁面、若しくは上記バッテリ22のバッテリ蓋側の外表面上に貼り付けられている。本実施形態では、上記バッテリ蓋20の内壁面に二次側伝送コイル21が貼り付けられている場合を例に挙げて説明する。上記二次側伝送コイル21の詳細な構成については後述する。
【0019】
一方、本実施形態のクレードル1は、少なくとも、携帯電話端末2のバッテリ22の充電を行う際の送電側の無接点電力伝送コイルとなる一次側伝送コイル10と、上記一次側伝送コイル10への電力供給とその制御を行う制御基板部11と、例えば家庭用電源に接続される電源コード12とを、当該クレードル筐体の内部に備えている。なお、本実施形態において、一般的なクレードルが備えているその他の構成要素の図示及び説明については省略する。
【0020】
このクレードル1の一次側伝送コイル10は、携帯電話端末2の二次側伝送コイル21と略々同様に、導電性を有する線状導体が渦巻き状に形成された平面コイルとなされており、当該一次側伝送コイル10の一方の平面部が、当該クレードル1に設けられている端末載置台の筐体内壁面側に貼り付けられている。
【0021】
制御基板部11は、当該クレードル1の端末載置台に上記携帯電話端末2が置かれ、その携帯電話端末2の二次側伝送コイル21と当該クレードル1の一次側伝送コイル10とが近接配置することにより、一次側伝送コイル10内の磁界の状態が変化する。そして、制御基板部11は、上記二次側伝送コイル21が近接配置された時の一次側伝送コイル10における磁界の状態変化を間欠駆動等により監視する。
【0022】
本実施形態の携帯電話端末2の充電制御回路は、クレードル1の端末載置台に自端末が置かれて、二次側伝送コイル21とクレードル1の一次側伝送コイル10とが近接配置することで、二次側伝送コイル21内の磁界の状態に変化が生じた時、その磁界状態変化に応じた電圧変動を検知可能となされている。そして、携帯電話端末2の充電制御回路は、上記一次側伝送コイル10が近接配置された時の二次側伝送コイル21における磁界の状態変化に応じた電圧変動による電圧値が、予め定めた所定の電圧値になったことを検知した時に、自端末がクレードル1の端末載置台に置かれたと判断する。
【0023】
また、本実施形態において、クレードル1と携帯電話端末2は、上記一次側伝送コイル10及び二次側伝送コイル21を介した情報の伝達が可能となされている。例えば、上記携帯電話端末2がクレードル1の端末載置台に置かれ、上述のように磁界の状態変化に基づいて相互に一次側コイル10と二次側コイル21とが近接配置した時、それらクレードル1と携帯電話端末2は、上記一次側伝送コイル10及び二次側伝送コイル21を介した情報伝達により、互いに相手方を認証するための識別情報の交換を行う。
【0024】
そして、本実施形態において、上記一次側コイル10と二次側コイル21とが近接配置されたことをクレードル1及び携帯電話端末2が共に検知し、更に、クレードル1と携帯電話端末2とが互いに相手方を認証できた時に、クレードル1から電力伝送が行われ、その伝送された電力により携帯電話端末2のバッテリ22の充電が行われることになる。
【0025】
このように携帯電話端末2のバッテリ22への充電が開始される場合、上記クレードル1の制御基板部11は、上記電源コード12を通じて供給される家庭用交流電圧を所定の直流電圧に変換し、その直流電圧を用いて所定の周波数の交流電圧を生成して、当該生成した交流電圧を上記一次側伝送コイル10へ供給する。一方、携帯電話端末2側では、上記クレードル1の一次側伝送コイル10からの交流電圧により上記二次側伝送コイル21に交流電圧が誘起されると、その誘起された交流電圧を整流して直流電圧に変換し、その直流電圧によりバッテリ22の充電を行う。
【0026】
また、本実施形態において、クレードル1の制御基板部11は、一次側伝送コイル10の磁界の状態変化に基づく電圧値が予め定めた所定の電圧値にならなかった時、若しくは、一次側伝送コイル10の磁界の状態変化に基づく電圧値が予め定めた所定の電圧値になった場合でも上記識別情報による相手方の認証が出来なかった時には、上記一次側伝送コイル10の磁界の状態変化が例えばコイン等の金属物体やその他の導電性物体が端末載置台に載っていることで発生したものであると判断し、上記一次側伝送コイル10への電力供給を行わないように制御する。
【0027】
また、本実施形態において、クレードル1からの電力伝送により携帯電話端末2のバッテリ22の充電が行われている時、それらクレードル1と携帯電話端末2との間では、上記一次側伝送コイル10及び二次側伝送コイル21を介して充電情報の伝達が行われる。すなわち、携帯電話端末2の充電制御回路は、クレードル1からの電力伝送によりバッテリ22の充電が行われている時、そのバッテリ22の充電情報をクレードル1へ伝送する。クレードル1の制御基板部11は、携帯電話端末2から伝達された充電情報により、その端末2のバッテリ22の充電状況を監視しており、バッテリ22の充電が完了していないことを当該充電情報により把握している場合には上記一次側伝送コイル10を通じた電力伝送を続行し、一方、バッテリ22の充電が完了したことを充電情報により把握した場合には電力伝送を停止するような制御を行う。その他にも、制御基板部11は、例えば、携帯電話端末2から何らかの異常を示す情報が供給されたような場合にも電力伝送を停止する制御を行う。
【0028】
〔無接点電力伝送コイルの詳細〕
以下、本発明の実施形態にかかる無接点電力伝送コイルの詳細を説明する。なお、以下に説明する各実施形態では、主に携帯電話端末2に搭載される無接点電力伝送コイル(二次側伝送コイル21)を例に挙げている。また、以下に示す各図は、各実施形態の無接点電力伝送コイルを概略的に示すものであり、コイルの巻線数や各部の縮尺,配置等については実際のものとは異なっており、本発明の説明を容易にするために必要に応じてデフォルメされて示されている。
【0029】
〔電線を渦巻き状に巻回した無接点電力伝送コイルの詳細〕
図2〜図4には、電線40を渦巻き状に巻回した平面コイルを有する無接点電力伝送コイル21WSの概略構成を示す。図2はフレキシブルプリント基板30上に平面コイルが取り付けられた状態を正面から見た概略図を示しており、図3は平面コイルが取り付けられていない状態のフレキシブルプリント基板30を正面から見た概略図を、図4は本実施形態の無接点電力伝送コイル21WSの概略断面図を示している。
【0030】
図2〜図4において、本実施形態の無接点電力伝送コイル21WSは、表面に絶縁層が設けられた単線又は撚り線の電線40を略々同一平面内に渦巻き状(スパイラル状)に巻回した平面コイルを有し、その平面コイルの一方の平面部側がフレキシブルプリント基板30の表面上に接着シート42にて貼り付けられており、また、平面コイルの他方の平面部側には、当該コイル及びクレードル1側の無接点電力伝送コイル10の磁路を効率良く形成して鎖交磁束を多くすると共に、それら両コイルから発生する磁界による不要輻射を抑えるための磁性シート43が当該他方の平面部の全体を覆うように接着シート41を介して貼り付けられている。なお、フレキシブルプリント基板30への平面コイルの取り付け、及び平面コイルへの磁性シート43の取り付けは、図4に示した例のように、接着シート41,43による貼り付けの他に、平面コイル内、平面コイルとプリント基板30との間、平面コイルと磁性シート43との間に、例えば接着性を有する樹脂をインサートすることによる取り付けであっても良い。このように樹脂をインサートすることによる取り付けを行った場合、接着シートが不要となり、その分だけ無接点電力伝送コイルの厚みを薄くすることが可能となる。その他、図示は省略しているが、磁性シート43の外側には必要に応じてアルミニウム等からなる金属シートも貼り付けられる。また、フレキシブルプリント基板30の上記無接点電力伝送コイル21WSが貼り付けられた面の反対側の面は、図示しない接着シートにより、携帯電話端末2のバッテリ蓋20の内壁面に貼り付けられることになる。
【0031】
フレキシブルプリント基板30は、例えばポリイミド樹脂などを基材とした非常に薄いシート状の基板であり、その表面には絶縁層が形成されている。但し、本実施形態のフレキシブルプリント基板30は、図2及び図3に示すように、平面コイルが貼り付けられた時にその平面コイル内周部37内に配置される第一のコイル接点部36と、平面コイル外周部38の外側近傍に配置される第二のコイル接点部35と、第一の外部接続端子部31及び第二の外部接続端子部32とについては、表面絶縁層が形成されず、当該フレキシブルプリント基板の内部導体が外部へ露出するようになされている。また、第一のコイル接点部36と第一の外部接続端子部31は、表面絶縁層下に形成された第一の内部導体パターン33を通じて電気的に接続されており、同様に、第二のコイル接点部35と第二の外部接続端子部32は、表面絶縁層下に形成された第二の内部導体パターン34を通じて電気的に接続されている。そして、上記フレキシブルプリント基板30に平面コイルが貼り付けられた時、上記第一のコイル接点部36には当該平面コイルの内周部37の巻き始め電線端部が電気的に接続され、上記第二のコイル接点部35には当該平面コイルの外周部38の巻き終わり電線端部が電気的に接続される。なお、実施形態の場合、図2及び図3に示すように、フレキシブルプリント基板30は、突出部39を有する略々四角形状となされ、上記突出部39に第一の外部接続端子部31と第二の外部接続端子部32が配されているが、本発明はこの基板形状に限定されるものではない。また、平面コイルが取り付けられる基板30は、フレキシブルプリント基板の他に、薄型のソリッドタイプのプリント基板であっても良い。
【0032】
上述のように、図2〜図4に示した実施形態の無接点電力伝送コイル21WSによれば、平面コイルの巻き始め電線端部がフレキシブルプリント基板30の第一のコイル接点部36に電気的に接続されると共に、平面コイルの巻き終わり電線端部がフレキシブルプリント基板30の第二のコイル接点部35に電気的に接続され、さらに、第一のコイル接点部36と第一の外部接続端子部31とが当該フレキシブルプリント基板30の第一の内部導体パターン33を通じて電気的に接続され、同様に、第二のコイル接点部35と第二の外部接続端子部32とが当該フレキシブルプリント基板30の第二の内部導体パターン34を通じて電気的に接続されており、前述の図27及び図28に示したように電線が重なってしまう部分が無く、したがって、当該無接点電力伝送コイル21WSの厚みを非常に薄くすることが可能になっている。
【0033】
〔フレキシブルプリント基板により形成された無接点電力伝送コイルの詳細〕
次に、図5〜図8には、渦巻き状の導体パターンからなる平面コイルパターンが各々形成された複数のフレキシブルプリント基板を積層した多層構造の無接点電力伝送コイル21PSの概略構成を示す。なお、図5は多層構造のフレキシブルプリント基板からなる無接点電力伝送コイル21PSを正面から見た概略図を示しており、図6は多層構造のフレキシブルプリント基板の各層をそれぞれ分離した状態を示し、図7は多層構造のフレキシブルプリント基板からなる本実施形態の無接点電力伝送コイル21PSの概略断面図を、図8は図7中の楕円E1で囲った部分を拡大して示している。
【0034】
図5〜図8において、本実施形態の無接点電力伝送コイル21PSは、例えば四層構造からなり、第一層目基板64a,第二層目基板64b,第三層目基板64c,第四層目基板64dは、それぞれ例えばポリイミド樹脂などを基材としたシート状の基板上に渦巻き状に巻回された線状の導体パターン60が形成されている。最上層である第一層目基板64aの表面には表面絶縁層62が形成されており、第一層目基板64aと第二層目基板64bとの間には接着層及び層間絶縁層63aが形成されている。同様に、第二層目基板64bと第三層目基板64cとの間には接着層及び層間絶縁層63bが、第三層目基板64cと第四層目基板64dとの間には接着層及び層間絶縁層63cが形成されている。最下層の第四層目基板64dの裏面側には接着層及び絶縁層63dを介して磁性シート43が貼り付けられている。
【0035】
また、第一層目基板64a〜第四層目基板64dの各導体パターン60の内周部57のパターン端部は第一のスルーホール56により電気的に接続され、同様に、第一層目基板64a〜第四層目基板64dの各導体パターン60の外周部58のパターン端部は第二のスルーホール55により電気的に接続されている。さらに、各層の導体パターンの内周部57側の第一のスルーホール56は、各層の導体パターンの外周部58側に設けられているスルーホール61と電気的に接続されている。なお、図示は省略しているが、磁性シート43の外側には必要に応じてアルミニウム等からなる金属シートも貼り付けられる。また、表面絶縁層62の表面側は、図示しない接着シートにより携帯電話端末2のバッテリ蓋20の内壁面に貼り付けられることになる。
【0036】
また、本実施形態に無接点電力伝送コイル21PSにおいて、例えば第四層目基板64dの第二のスルーホール55は本発明にかかる第二のコイル接点部として、第二の内部導体パターン54を通じて第二の外部接続端子部52と電気的に接続されており、同様に、第四層目基板64dの第一のスルーホール56は本発明にかかる第一のコイル接点部として、上記スルーホール61及び第一の内部導体パターン53を通じて第一の外部接続端子部51と電気的に接続されている。なお、この実施形態の場合、図5及び図7に示すように、多層構造のフレキシブルプリント基板は、突出部59を有する略々四角形状となされ、上記突出部59に第一の外部接続端子部51と第二の外部接続端子部52が配されているが、本発明はこの基板形状に限定されるものではない。
【0037】
上述のように、図5〜図8に示した実施形態の無接点電力伝送コイル21PSによれば、平面コイルが電線に比べて非常に薄い多層フレキシブルプリント基板上の導体パターン60により形成されていると共に、平面コイルの各導体パターン60の内周部57のパターン端部(巻き始めパターン端部)が接続された第一のスルーホール56と第一の外部接続端子部51とが、上記スルーホール61と第一の内部導体パターン53を通じて電気的に接続され、同様に、平面コイルの各導体パターン60の外周部58のパターン端部(巻き終わりパターン端部)が接続された第二のスルーホール55と第二の外部接続端子部52とが第二の内部導体パターン54を通じて電気的に接続され、前述の図27及び図28に示したように電線が重なってしまう部分が無く、したがって当該無接点電力伝送コイル21PSの厚みを非常に薄くすることが可能になっている。特に、図5〜図8に示した無接点電力伝送コイル21PSの場合は、平面コイルがフレキシブルプリント基板の導体パターン60により形成されているため、前述のような電線による平面コイルを用いた無接点電力伝送コイルよりも更に厚みを薄くすることが可能となっている。
【0038】
〔平面コイルと磁性シートによる鎖交磁束の説明〕
次に、図9〜図14を参照しながら、磁性シートの貼り付け方によって変わる鎖交磁束について説明する。なお、以下の説明では、図2〜図4に示した電線を渦巻き状に巻回した無接点電力伝送コイルを例に挙げているが、図5〜図8に示した渦巻き状の導体パターンを多層フレキシブルプリント基板に形成した無接点電力伝送コイルについても同様である。
【0039】
図9,図11,図13には、巻回された電線40からなる平面コイルの平面部上に磁性シート43,44或いは磁性体層45が形成された無接点電力伝送コイル21をバッテリ蓋20の壁25に貼り付けた携帯電話端末2の当該コイル近傍部分と、同じく、巻回された電線80からなる平面コイルの平面部上に磁性シート83,84或いは磁性体層85が形成された無接点電力伝送コイル10を筐体壁13に貼り付けたクレードル1の当該コイル近傍(端末載置台近傍)部分の概略的な断面を示す。また図10には図9中の楕円E2で囲った部分を拡大すると同時に携帯電話端末2とクレードル1の両平面コイルにより形成される磁束Mの流れを示し、同様に、図12には図10中の楕円E3で囲った部分を拡大すると同時に両平面コイルにより形成される磁束Mの流れを、図14には図13中の楕円E4で囲った部分を拡大すると同時に両平面コイルにより形成される磁束Mの流れを示している。なお、図10,図12,図14の例では、図示を簡略化するための磁束Mの向きを一方向で描いているが、実際の電力伝送時には交流電圧が用いられるため磁束Mの向きは交互に反転することになる。また、図9〜図14では接着シートの図示を省略している。
【0040】
図9及び図10の例は、携帯電話端末2側の無接点電力伝送コイル21とクレードル1側の無接点電力伝送コイル10の両者共に、平面コイルの平面部の全体を覆うように磁性シート43,83が貼り付けられている場合を表しており、図11及び図12の例は、無接点電力伝送コイル21及び無接点電力伝送コイル10の両者共に、平面コイルの平面部の形状に略々合わせた大きさの磁性シート44,84が貼り付けられている場合を、図13及び図14の例は、無接点電力伝送コイル21及び無接点電力伝送コイル10の両者共に、平面コイルの平面部の形状に合わせ且つ平面コイルの側面部にも略々密着するようになされた磁性体層45,85が設けられている場合を示している。
【0041】
これら図9〜図14において、例えば図9及び図10のように平面コイルの平面部の全体を覆うように磁性シート43,83を貼り付けた構成では、平面コイルの側面部で磁性シート43,83が平面コイルに密着せずに或る程度の隙間ができるため、磁路が遠くなって効率良く形成されず鎖交磁束は少なくなる。また、図11及び図12のように平面コイルの平面部の形状に略々合わせた大きさの磁性シート44,84を貼り付けた構成では、平面コイルの上面にしか磁性シートが存在しないため、磁路が効率良く形成されず鎖交磁束は少なくなる。一方、図13及び図14のように平面コイルの平面部の形状に略々合わせ且つ平面コイルの側面部にも略々密着するように磁性体層45,85が形成された構成では、平面コイルの上面だけでなく平面コイルの側面部にも磁性体層が存在するため、磁路が効率良く形成されて多くの鎖交磁束が形成されることになる。したがって、これらのことからわかるように、効率良く磁路を形成して多くの鎖交磁束を得るためには、図13及び図14に示したように、平面コイルの平面部だけでなく側面部にも略々密着するように磁性体層を形成することが望ましい。
【0042】
〔電線の平面コイル外周側面部にも磁性体層を形成した無接点電力伝送コイルの詳細〕
図15〜図18には、電線40を渦巻き状に巻回した平面コイルの平面部と側面部にも磁性体層100を形成した場合の本実施形態の無接点電力伝送コイル21WDの概略構成を示す。なお、図15はフレキシブルプリント基板90上に電線40の平面コイルが貼り付けられた状態を正面から見た概略図を示しており、図16はその平面コイルが貼り付けられていない状態のフレキシブルプリント基板90を正面から見た概略図を、図17はこの例の無接点電力伝送コイル21WDの概略断面を、図18は図17中の楕円E5で囲った部分を拡大して示している。
【0043】
図15〜図18において、本実施形態の無接点電力伝送コイル21WDは、電線40が巻回された平面コイルの一方の平面部側がフレキシブルプリント基板90の表面上に例えば接着シート42にて貼り付けられており、また、当該平面コイルの他方の平面部及び側面部には、磁性シートの貼り付け若しくはフェライト粉などを材料とする磁性体溶液を塗布することにより磁性体層100が形成されている。なお、図示は省略しているが、磁性体層100の外側には必要に応じてアルミニウム等からなる金属シートが貼り付けられる。また、フレキシブルプリント基板90の上記無接点電力伝送コイル21WDが貼り付けられた面の反対側の面は、図示しない接着シートにより、携帯電話端末2のバッテリ蓋20の内壁面に貼り付けられることになる。
【0044】
フレキシブルプリント基板90は、ポリイミド樹脂などを基材とした非常に薄いシート状の基板であり、その表面には絶縁層が形成されていると共に、平面コイルの平面部に略々合致した形状を有している。また、この実施形態のフレキシブルプリント基板90は、前述の図2及び図3の場合と同様に、平面コイルの内周部37内に配置される第一のコイル接点部36と、平面コイル外周部38の外側近傍に配置される第二のコイル接点部35と、第一の外部接続端子部31及び第二の外部接続端子部32とについては、表面絶縁層が形成されず、当該フレキシブルプリント基板90の内部導体が外部へ露出しており、さらに、第一のコイル接点部36と第一の外部接続端子部31は表面絶縁層下に形成された第一の内部導体パターン33を通じて電気的に接続され、第二のコイル接点部35と第二の外部接続端子部32は表面絶縁層下に形成された第二の内部導体パターン34を通じて電気的に接続されている。そして、上記フレキシブルプリント基板90に平面コイルが貼り付けられた時、上記第一のコイル接点部36には当該平面コイルの内周部37の巻き始め電線端部が電気的に接続され、上記第二のコイル接点部35には当該平面コイルの外周部38の巻き終わり電線端部が電気的に接続される。なお、この実施形態の場合、図15及び図16に示すように、フレキシブルプリント基板90は、突出部39を有し、この突出部39に第一の外部接続端子部31と第二の外部接続端子部32が配されているが、突出部39の形状については図15,図16の例に限定されるものではない。
【0045】
上述のように、図15〜図18に示した無接点電力伝送コイル21WDによれば、前述の図1〜図4の例と同様に、第一のコイル接点部36と第一の外部接続端子部31とがフレキシブルプリント基板90の第一の内部導体パターン33を通じて電気的に接続され、第二のコイル接点部35と第二の外部接続端子部32とがフレキシブルプリント基板90の第二の内部導体パターン34を通じて電気的に接続されているため、当該無接点電力伝送コイル21WDの厚みを非常に薄くすることが可能になっている。
【0046】
また、図15〜図18の無接点電力伝送コイル21WDにおいては、平面コイルの平面部の形状に略々合致し且つ側面部にも略々密着するように磁性体層100が形成されているため、当該携帯電話端末2の充電時にはクレードル1の無接点電力伝送コイルとの間で磁路が効率良く形成されて多くの鎖交磁束が形成されることになり、効率の良い電力伝送が可能となる。特に、電線40が巻回された平面コイルに対して磁性体溶液を塗布するで磁性体層100を形成した場合、電線40の巻回により生ずる平面コイルの凹凸内に磁性体が入り込むことになるため、コイルと磁性体との間に隙間がなくなり、より効率良く磁路を形成することが可能となる。また、磁性体層を塗布により形成する場合には、磁性シートを貼り付ける場合よりも製造工程の削減、取り扱いの簡易化が可能となる。
【0047】
〔フレキシブルプリント基板に形成された平面コイル外周側面部にも磁性体層を形成した無接点電力伝送コイルの詳細〕
図19〜図21には、多層フレキシブルプリント基板の渦巻き状の導体パターンからなる平面コイルパターンの平面部と側面部にも磁性体層101を形成した場合の本実施形態の無接点電力伝送コイル21PDの概略構成を示す。なお、図19は平面コイルパターンが形成されたフレキシブルプリント基板を積層した多層構造の無接点電力伝送コイル21PDの概略構成を示し、図20はこの例の無接点電力伝送コイル21PDの概略断面を、図21は図20中の楕円E6で囲った部分を拡大して示している。
【0048】
図19〜図21において、本実施形態の無接点電力伝送コイル21PDは、渦巻き状の導体パターン60からなる平面コイルパターンの平面部に略々合致した形状を有した多層フレキシブルプリント基板からなる。当該多層フレキシブルプリント基板は、前述の図5の例と同様に、それぞれ例えばポリイミド樹脂などを基材としたシート状の基板上に渦巻き状の導体パターン60が形成された第一層目基板64a,第二層目基板64b,第三層目基板64c,第四層目基板64dとを有し、第一層目基板64aの表面には表面絶縁層62が形成され、第一層目基板64aと第二層目基板64bとの間には接着層及び層間絶縁層63aが、第二層目基板64bと第三層目基板64cとの間には接着層及び層間絶縁層63bが、第三層目基板64cと第四層目基板64dとの間には接着層及び層間絶縁層63cが形成されている。また、この例において、最下層の第四層目基板64dの裏面側及び当該多層フレキシブルプリント基板の外周側面部には、少なくとも絶縁層65が形成されており、さらにその絶縁層65の外側には、磁性シートの貼り付け若しくは磁性体溶液を塗布することにより磁性体層101が形成されている。なお、図示は省略しているが、磁性体層101の外側には必要に応じてアルミニウム等からなる金属シートが貼り付けられる。また、当該多層フレキシブルプリント基板の磁性体層が形成された平面部の反対側の面は、図示しない接着シートにより、携帯電話端末2のバッテリ蓋20の内壁面に貼り付けられることになる。
【0049】
また、この例の無接点電力伝送コイル21PDは、前述の図5の例と同様に、第一層目基板64a〜第四層目基板64dの各導体パターン60の内周部57のパターン端部(巻き始め端部)は第一のスルーホール56により電気的に接続され、第一層目基板64a〜第四層目基板64dの各導体パターン60の外周部58のパターン端部(巻き終わり端部)は第二のスルーホール55により電気的に接続され、各層の導体パターン60の内周部57側の第一のスルーホール56は各層の導体パターン60の外周部58側のスルーホール61と電気的に接続されている。さらに、当該無接点電力伝送コイル21PDにおいて、例えば第四層目基板64dの第二のスルーホール55は第二の内部導体パターン54を通じて第二の外部接続端子部52と電気的に接続されており、第四層目基板64dの第一のスルーホール56はスルーホール61と第一の内部導体パターン53を通じて第一の外部接続端子部51と電気的に接続されている。なお、この実施形態の場合、図19に示すように、多層構造のフレキシブルプリント基板は、突出部59を有し、この突出部59に第一の外部接続端子部51と第二の外部接続端子部52が配されているが、突出部59の形状については図19の例に限定されるものではない。
【0050】
上述のように、図19〜図21に示した実施形態の無接点電力伝送コイル21PDによれば、前述の図5の例と同様に、電線に比べて非常に薄い多層フレキシブルプリント基板上の導体パターン60により平面コイルが形成されていると共に、導体パターン60の内周部57のパターン端部が第一のスルーホール56及びスルーホール61と第一の内部導体パターン53を通じて第一の外部接続端子部51と接続され、同様に、導体パターン60の外周部58のパターン端部が第二のスルーホール55と第二の内部導体パターン54を通じて第二の外部接続端子部52と接続されているため、当該無接点電力伝送コイル21PDの厚みを非常に薄くすることが可能になっている。
【0051】
また、図19〜図21の無接点電力伝送コイル21PDにおいては、平面コイルパターンの平面部の形状に略々合致し且つ側面部にも略々密着するように磁性体層101が形成されているため、当該携帯電話端末2の充電時にはクレードル1の無接点電力伝送コイルとの間で磁路が効率良く形成されて多くの鎖交磁束が形成されることになり、効率の良い電力伝送が可能となる。
【0052】
なお、上述の図20及び図21の例では、無接点電力伝送コイル21PDにおいて、平面コイルパターン(導体パターン60)の内周部57には、多層フレキシブルプリント基板に上記内周部57よりも僅かに小さい径の穴が空けられ、その穴内部を略々完全に塞ぐように磁性体層が形成されているが、例えば図22及び図23に示すように、その穴内部に形成される磁性体層を当該多層フレキシブルプリント基板の厚みの途中までに留めるようにしても良い。但し、磁束を集中させることを考えた場合には、図20及び図21の例のように、多層フレキシブルプリント基板の厚み分の磁性体層を穴内部に形成することが望ましい。
【0053】
〔温度検知素子の実装例〕
本実施形態のように、無接点電力伝送コイルを用い、電磁誘導を利用して、クレードル1から携帯電話端末2へ電力伝送を行うような構成において、例えば、上記クレードル1の端末載置台上に例えばコインなどの金属異物が載ってしまったような場合、つまり金属異物がクレードル1の無接点電力伝送コイル10に近接した位置に存在する場合には、その金属異物に渦電流が発生して異常過熱する虞がある。
【0054】
このため、一般に、無接点電力伝送コイルの近傍に温度検知デバイスを取り付け、当該温度検知デバイスにて異常過熱を検出した時に、無接点電力伝送コイルへの電力供給を停止するような制御が行われている。
【0055】
しかしながら、当該無接点電力伝送コイルの近傍に温度検知デバイスを取り付けるようにした場合、その温度検知デバイスそのものの厚みだけでなく、当該温度検知デバイスを取り付けるための部材の厚みも加わり、無接点電力伝送コイル部の薄型化の妨げになってしまう。
【0056】
そこで、本実施形態では、図24〜図26に示すように、フレキシブルプリント基板上の導体パターン中に、当該無接点電力伝送コイルの異常発熱を防止するための温度検知素子層110を直接形成すると共に、その温度検知素子層110からの配線パターンについてもフレキシブルプリント基板内に形成する。なお、これら図24〜図26で示したような温度検知素子層110が形成された無接点電力伝送コイルは、送電側であるクレードル1側のコイルに設けられる。勿論、携帯電話端末2側のコイルに適用することも可能である。
【0057】
図24及び図25には、前述の図15〜図18で説明したような巻回された電線40からなる平面コイルを有する無接点電力伝送コイルにおいて、フレキシブルプリント基板90の導体パターン内に温度検知素子層110を直接形成したときの概略構成を示している。なお、図24はこの例の無接点電力伝送コイルの概略断面を示し、図25は平面コイルが貼り付けられていない状態のフレキシブルプリント基板90を正面から見た概略図を示している。
【0058】
これら図24及び図25において、フレキシブルプリント基板90の導体パターンには、温度検知素子層110が形成されている。また、この例の場合のフレキシブルプリント基板90には、上記温度検知素子層110の温度検知信号を外部に取り出すための第三の外部接続端子部111及び第四の外部接続端子部112が設けられており、それら第三の外部接続端子部111及び第四の外部接続端子部112と上記温度検知素子層110との間には配線パターンが形成されている。
【0059】
また、図26には、前述の図19〜図21で説明した導体パターン60からなる平面コイルを有する多層フレキシブルプリント基板の無接点電力伝送コイルにおいて、例えば第一層目基板64aの導体パターン内に温度検知素子層110を直接形成したときの概略構成を示している。なお、図26は無接点電力伝送コイルの概略断面のうち、温度検知素子層110が形成されている一部分のみを拡大した概略図である。
【0060】
この図26において、多層フレキシブルプリント基板の例えば第一層目基板64aの導体パターンには、温度検知素子層110が直接形成されている。なお、図示は省略しているが、この例の場合、上記温度検知素子層110の温度検知信号が伝送される配線パターンはスルーホール等を通じて、前記図25と同様に第三の外部接続端子部111及び第四の外部接続端子部112に接続されている。
【0061】
上述のように、図24〜図26に示した無接点電力伝送コイルによれば、温度検知素子層110が、フレキシブルプリント基板上の導体パターン中に直接形成されているため、無接点電力伝送コイルが厚くなることはない。また、この例の無接点電力伝送コイルの場合、温度検知素子層110は、電磁誘導を利用した電力伝送が行われる両コイルが対向する側となるフレキシブルプリント基板内に設けられるため、つまり、前述の金属異物等のによる異常加熱が発生するような場合に、その金属異物に最も近い側となるフレキシブルプリント基板内設けられるため、異常過熱の発生を直ぐに検知することが可能となる。
【0062】
なお、上述の例では、温度検知素子層110を一つとした例を挙げたが、温度検知素子は複数設けられていても良い。特にこの例の場合、温度検知素子が複数存在したとしても、無接点電力伝送コイルの厚さが増すことはない。
【0063】
上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した各実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0064】
上述の実施形態では、無接点電力伝送コイルの薄型化について携帯電話端末2を例に挙げて説明したが、クレードル1にも本発明は適用可能である。また、本実施形態では無接点電力伝送コイルは送電側或いは受電側の何れか一方の機能のみを有している例を挙げたが、送電側と受電側の両方の機能を備えた無接点電力伝送コイルにも本発明は適用可能である。
【0065】
また、本実施形態では、携帯電話端末2とクレードル1の組み合わせを例に挙げたが、本発明はそれらに限定されず、例えばPDA(Personal Digital Assistants)等の各種の携帯端末とそのクレードルとの組み合わせや、非接触型ICカードとそのリーダライタなどに用いられる平面のコイルにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明実施形態の携帯電話端末とクレードルの主要部の概略的な内部構造を示す図である。
【図2】電線が渦巻き状に巻回された平面コイルがフレキシブルプリント基板上に貼り付けられた状態の無接点電力伝送コイルを正面から見た概略図である。
【図3】図2の平面コイルが貼り付けられていない状態のフレキシブルプリント基板を正面から見た概略図である。
【図4】図2の無接点電力伝送コイルの概略断面図である。
【図5】渦巻き状の導体パターンからなる平面コイルパターンが各々形成された多層構造のフレキシブルプリント基板からなる無接点電力伝送コイルを正面から見た概略図である。
【図6】図5の多層構造のフレキシブルプリント基板の各層をそれぞれ分離した状態を示す図である。
【図7】図5の多層構造のフレキシブルプリント基板からなる無接点電力伝送コイルの概略断面図である。
【図8】図7の多層構造のフレキシブルプリント基板からなる無接点電力伝送コイルの一部拡大図である。
【図9】電線が渦巻き状に巻回された平面コイルの平面部の全体を覆うように磁性シートが貼り付けられた携帯電話端末側及びクレードル側の両無接点電力伝送コイルが近接配置されている時の当該コイル近傍部分の概略的な断面図である。
【図10】図9の一部を拡大すると共に両コイルにより形成される磁束の流れを示す図である。
【図11】電線が渦巻き状に巻回された平面コイルの平面部上のみに磁性シートが貼り付けられた携帯電話端末側及びクレードル側の両無接点電力伝送コイルが近接配置されている時の当該コイル近傍部分の概略的な断面図である。
【図12】図10の一部を拡大すると共に両コイルにより形成される磁束の流れを示す図である。
【図13】電線が渦巻き状に巻回された平面コイルの平面部と側面部を完全に覆うように磁性シートが貼り付けられた携帯電話端末側及びクレードル側の両無接点電力伝送コイルが近接配置されている時の当該コイル近傍部分の概略的な断面図である。
【図14】図13の一部を拡大すると共に両コイルにより形成される磁束の流れを示す図である。
【図15】電線が渦巻き状に巻回された平面コイルに略々合致した形状のフレキシブルプリント基板を有する無接点電力伝送コイルを正面から見た概略図である。
【図16】図15の平面コイルが貼り付けられていない状態のフレキシブルプリント基板を正面から見た概略図である。
【図17】図15の平面コイルの平面部と外周側面部に磁性体層を形成した状態の無接点電力伝送コイルの概略断面図である。
【図18】図15の無接点電力伝送コイルの一部拡大図である。
【図19】渦巻き状の導体パターンからなる平面コイルパターンに略々合致した形状の多層フレキシブルプリント基板を有する無接点電力伝送コイルを正面から見た概略図である。
【図20】図19の多層フレキシブルプリント基板の平面コイルの平面部と外周側面部に磁性体層を形成した状態の無接点電力伝送コイルの概略断面図である。
【図21】図20の無接点電力伝送コイルの一部拡大図である。
【図22】渦巻き状の導体パターンからなる平面コイルパターンに略々合致した形状の多層フレキシブルプリント基板の平面コイル内周部に空けられた穴の途中まで磁性体層が形成された状態の無接点電力伝送コイルの概略断面図である。
【図23】図22の無接点電力伝送コイルの一部拡大図である。
【図24】電線が渦巻き状に巻回された平面コイルの平面部と外周側面部に磁性体層が形成された無接点電力伝送コイルのフレキシブルプリント基板内に温度検知素子層を設けた例を示す概略断面図である。
【図25】平面コイルが貼り付けられていない状態で、図24の温度検知素子層を有するフレキシブルプリント基板を正面から見た概略図である。
【図26】渦巻き状の導体パターンからなる平面コイルの平面部と外周側面部に磁性体層が形成された無接点電力伝送コイルのフレキシブルプリント基板内に温度検知素子層を設けた例を示す概略断面図である。
【図27】渦巻き状に巻回された電線の内周側の電線端部が、その渦巻き状に巻回された電線部の上若しくは下を通って外周側に引き出される従来の平面コイルを正面から見た概略図である。
【図28】図27の平面コイルの概略断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 クレードル、2 携帯電話端末、10 クレードル側の無接点電力伝送コイル、11 制御基板部、12 電源コード、13 クレードルの筐体壁、20 バッテリ蓋、21 携帯電話端末側の無接点電力伝送コイル、22 バッテリ、23 回路基板、25 バッテリ蓋の壁、30,90 フレキシブルプリント基板、31,51 第一の外部接続端子部、32,52 第二の外部接続端子部、33,53 第一の内部導体パターン、34,54 第二の内部導体パターン、35 第二のコイル接点部、36 第一のコイル接点部、37,57 平面コイル内周部、 38,58 平面コイル外周部、39,59 突出部、40 渦巻き状に巻回された電線、41,42 接着シート、43,44,45 磁性シート、55 第二のスルーホール、56 第1のスルーホール、61 スルーホール、60 渦巻き状の導体パターン、62 表面絶縁層、63a 63b,63,c63d 接着層及び層間絶縁層、64a 第一層目基板、64b 第二層目基板、64c 第三層目基板、64d 第四層目基板、65 絶縁層、80 クレードルの渦巻き状に巻回された電線、83,84,85 クレードル側の磁性シート、100,101 磁性体層、110 温度検知素子層、111 第三の外部接続端子部、112 第四の外部接続端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単線又は撚り線からなる線状導体を略々同一平面内に渦巻き状に巻回して形成された平面コイルと、
第一,第二の外部接続端子部と、上記渦巻き状に巻回された線状導体の内周側端部に接続される第一の接点部と、上記渦巻き状に巻回された線状導体の外周側端部に接続される第二の接点部と、上記第一の接点部と第一の外部接続端子部とを接続する第一の導体パターンと、上記第二の接点部と第二の外部接続端子部とを接続する第二の導体パターンとが形成されたプリント基板とを有し、
上記平面コイルの一方の平面部が上記フレキシブルプリント基板の表面上に取り付けられている、
ことを特徴とする無接点電力伝送コイル。
【請求項2】
上記平面コイルの少なくとも他方の平面部上を覆う磁性体層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の無接点電力伝送コイル。
【請求項3】
上記プリント基板は、温度検知素子が形成された温度検知素子層と、上記温度検知素子により検知された温度検知信号を外部に取り出すための導体パターン及び外部接続端子部とを有することを特徴とする請求項1記載の無接点電力伝送コイル。
【請求項4】
二次電池と、
単線又は撚り線からなる線状導体を略々同一平面内に渦巻き状に巻回して形成された平面コイルと、第一,第二の外部接続端子部と、上記渦巻き状に巻回された線状導体の内周側端部に接続される第一の接点部と、上記渦巻き状に巻回された線状導体の外周側端部に接続される第二の接点部と、上記第一の接点部と第一の外部接続端子部とを接続する第一の導体パターンと、上記第二の接点部と第二の外部接続端子部とを接続する第二の導体パターンとが形成されたプリント基板とを有し、上記平面コイルの一方の平面部が上記プリント基板の表面上に取り付けられて成る無接点電力伝送コイルと、
上記無接点電力伝送コイルを通じて受電した電力を上記二次電池へ充電する制御を行う充電制御回路とを有する、
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
上記無接点電力伝送コイルには、上記平面コイルの少なくとも他方の平面部上を覆う磁性体層が形成されていることを特徴とする請求項4記載の携帯端末。
【請求項6】
上記無接点電力伝送コイルの上記プリント基板は、温度検知素子が形成された温度検知素子層と、上記温度検知素子により検知された温度検知信号を外部に取り出すための導体パターン及び外部接続端子部とを有することを特徴とする請求項4記載の携帯端末。
【請求項7】
二次電池を備えた所定の携帯端末が載置される端末載置台と、
単線又は撚り線からなる線状導体を略々同一平面内に渦巻き状に巻回して形成された平面コイルと、第一,第二の外部接続端子部と、上記渦巻き状に巻回された線状導体の内周側端部に接続される第一の接点部と、上記渦巻き状に巻回された線状導体の外周側端部に接続される第二の接点部と、上記第一の接点部と第一の外部接続端子部とを接続する第一の導体パターンと、上記第二の接点部と第二の外部接続端子部とを接続する第二の導体パターンとが形成されたプリント基板とを有し、上記平面コイルの一方の平面部が上記プリント基板の表面上に取り付けられて成り、上記所定の携帯端末に搭載されているコイルとの間の電磁誘導を利用して、非接触により当該携帯端末の二次電池を充電するための電力伝送を行う無接点電力伝送コイルと、
上記無接点電力伝送コイルへの電力供給を制御する電力供給制御部とを有する、
ことを特徴とする端末充電装置。
【請求項8】
上記無接点電力伝送コイルには、上記平面コイルの少なくとも他方の平面部上を覆う磁性体層が形成されていることを特徴とする請求項7記載の端末充電装置。
【請求項9】
上記無接点電力伝送コイルの上記プリント基板は、温度検知素子が形成された温度検知素子層と、上記温度検知素子により検知された温度検知信号を外部に取り出すための導体パターン及び外部接続端子部とを有し、
上記電力供給制御部は、少なくとも、上記温度検知素子にて検知された温度検知信号に基づいて上記無接点電力伝送コイルへの電力供給を制御することを特徴とする請求項7記載の端末充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2008−172872(P2008−172872A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1634(P2007−1634)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】