説明

無線システム

【課題】アンテナの軸の方向を迅速に定める。
【解決手段】各コンピュータ13は、各ステッピングモータ15、16を回転させ、各アンテナ101の軸101aの傾斜角および方位角を変化させ、受信電力が最大になるようにする。この際、各コンピュータ13は、無線装置1で測定される傾斜角の正負の符号と無線装置2で測定される傾斜角の正負の符号とが互いに異なり且つ各傾斜角の絶対値が互いに等しいという関係を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリ波を送受信する無線システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信の大容量化に対応すべく、ミリ波を用いた無線通信システムが開発されている。例えば60GHz帯を用いた通信速度1.25Gbpsを有する無線通信システムも既に開発されている(非特許文献1参照)。
【0003】
しかし、このようなミリ波無線においては、使用するデバイスの出力に限界があるため、無線機の出力が数十mW程度に止まっている。また、受信機においても、低NFの増幅器が得られない、あるいは広帯域のデータ伝送を行うため雑音電力が大きくなる、などの結果、受信機に使用されるミリ波検波器の最小受信感度が−50dBm程度しか得られていない。このように、送信機の出力が低く、また受信感度も悪いため、1km程度のデータ伝送を行うためにはアンテナのビーム幅が 1 度以下の非常に指向性が高いアンテナを使用する必要がある。しかし、このようなビーム幅が狭いアンテナを使用すると、送信機−受信機間でアンテナの軸合せを行う際に、送信機−受信機のアンテナ方位が互いに高い精度で一致しない限り、ミリ波検波器の最小受信感度を上回り、受信機に入力された電力に応じて変動するモニタ電圧を変化させるために必要な受信電力を得ることは出来ない。
【0004】
例えば、送信電力10dBm、送信機及び受信機のアンテナゲイン50dBi、最小受信電力−40dBm、伝送距離1kmの場合、アンテナのビーム形状をガウシアン関数で近似した場合、検波器の最小受信感度を超えモニタ電圧が変動するミリ波電力が入力されるアンテナ方位のマージンは最大受信電力が得られる方位を中心として約1度の範囲でしかない。
【0005】
一方、従来のマイクロ波帯無線ではビーム幅が3度以上の指向性の低いアンテナを使用しており、最小受信電力も−100dBm 程度であるため、望遠鏡などでアンテナ軸を大まかに合わせれば、検波器の最小受信感度を上回る受信電力が得られる。図4に一般的なマイクロ波帯無線でのアンテナ軸調整方法を示す。図4において色の濃淡は受信電力の強度を示す(色の濃い方が受信電力の強度が高い)。望遠鏡などでアンテナ軸を大まかにあわせた場合の初期段階において、既に検波器は受信電力を検知し、モニタ電圧は変動しているため、モニタ電圧が最大になるようにアンテナ軸を調整すればよかった。
【0006】
例えば、図4に示すように、望遠鏡などで相手方アンテナの位置を確認するとともに受信電力の強度が高くなるよう(円1→円4方向に)アンテナ軸方向を調整していく。
【0007】
しかし、上記のようなミリ波無線では大まかな位置合せのみでは検波器で検知できるだけの受信電力が得られない場合が多く、検波器の最低受信感度を上回る受信電力が得られるアンテナ方位を探すために時間がかかる。GPSから得られる位置情報を使用してアンテナの水平方向を決めるシステムが実用化されている。このシステムではアンテナの向けるべき水平方位は算出可能であるが、現在アンテナが向いている水平方向が正確に決められないため、ミリ波無線の初期の位置合せに使用するには精度が不足している。
【0008】
磁石等を用いて北の方位を探してその方向にアンテナを向け、絶対角度を求めるという手法もあるが、磁石による方位決めでは周りの金属物の影響により正確な角度が出ないという問題がある。また、GPSからは無線機が設置された場所の高さ情報を得ることができないため、アンテナの傾斜角度の初期設定値を求めることはできないという問題もある。このように、ミリ波無線で1km程度の伝送を行うためには、アンテナ軸の調整を簡易かつ短時間に行う手法を開発する必要があった。
【0009】
つまり、高指向性のアンテナを使用するミリ波無線システムにおいて、アンテナのビーム幅が細くかつ受信感度が悪いために、アンテナの軸合せの初期段階に時間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】K. Ohata, K. Maruhashi, M. Ito, S. Kishimoto, K. Ikuina, T. Hashiguchi, K.Ikeda, N. Takahashi, “1.25Gbps wireless Gigabit Ethernet link at 60GHz-band,” in Tech. Dig. IEEE MTT-S International Microwave Symposium Digest, 2003, pp. 373 - 376, 2003
【非特許文献2】自社製品 Transmission PRO 360 ヘリ自動追尾雲台(遠隔制御仕様)、 [online] 、松浦機械製作所、[平成21年2月20日検索]、インターネット[URL:http://www.matsuura-kikai.com/a/index_interbee1.html]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アンテナの軸の方向を迅速に定めることができる無線システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、2つの無線装置を含む無線システムであって、一方の前記無線装置は、アンテナと、該アンテナの軸の鉛直方向の傾斜角を測定する傾斜角度計と、該軸の方向を変化させるための機械手段と、該機械手段を制御するコンピュータと、該アンテナからミリ波を放射する無線機とを有し、他方の前記無線装置は、アンテナと、該アンテナの軸の鉛直方向の傾斜角を測定する傾斜角度計と、該軸の方向を変化させるための機械手段と、該機械手段を制御するコンピュータと、該アンテナでミリ波を受信する無線機とを有し、前記各コンピュータは、前記各アンテナの軸の方向を定める軸方向設定動作において、一方の無線装置で測定された傾斜角の正負の符号と他方の無線装置で測定された傾斜角の正負の符号とが互いに異なり且つ各傾斜角の絶対値が互いに等しいという傾斜角どうしの関係を維持しつつ、前記機械手段を制御して前記各アンテナの軸の方向を変化させる間において、前記ミリ波の受信電力が大きくなるようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一方の無線装置で測定された傾斜角の正負の符号と他方の無線装置で測定された傾斜角の正負の符号とが互いに異なり且つ各傾斜角の絶対値が互いに等しいという傾斜角どうしの関係を維持しつつ、各アンテナの軸の方向を変化させるので、アンテナの軸の方向を迅速に定めることができ、本来の無線通信への移行を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態に係る無線システムの構成を示す図である。
【図2】図1の無線システムにおける初期動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】各アンテナの軸が同一直線に含まれるときの傾斜角αと、最大の受信電力が得られるときの傾斜角βを示す図である。
【図4】一般的なマイクロ波無線でのアンテナ軸調整方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る無線システムの構成を示す図である。
【0017】
無線システムは、無線装置1、2から構成される。無線装置は、例えば、互いに異なる標高の場所(建物の上など)に設けられる。各無線装置は、同じ構成要素を有し、ここでは便宜的に、無線装置1の構成要素について説明する。なお、一方の無線装置の説明において他方の無線装置に関することをいう場合は「相手の」ということとする。また、一方の無線装置の説明において当該無線装置に関することをいう場合は「自身の」ということとする。
【0018】
無線装置1は、無線機10、無線機台11、雲台12およびコンピュータ13を備える。無線装置1のコンピュータ13と無線装置2のコンピュータ13との間には、例えば無線LANシステム3が設けられている。
【0019】
無線機10は無線機台11に載置され、無線機台11は雲台12に載置されている。雲台12はコンピュータ13に載置されている。無線機10は、アンテナ101と傾斜角度計102とGPS受信機103と望遠鏡104を備える。無線機台11は、その方向を変えられるように設置されており、これにより、アンテナ101の軸101aの方向も変えられるようになっている。
【0020】
傾斜角度計102は、測定した角度がアンテナ101の軸101aの鉛直方向の角度(傾斜角という)となるように設置され、常に傾斜角をコンピュータ13に通知するようになっている。軸が水平になっている場合、傾斜角はゼロとなり、軸が斜め下方向を向いている場合、傾斜角は正値となり、軸が斜め上方向を向いている場合、傾斜角は負値となる。コンピュータ13への傾斜角などの通知はケーブル13aを介してなされる。
【0021】
雲台12には、ステッピングモータ15、16とが設置されている。ステッピングモータ15、16、無線機台11などを機械手段と総称する。コンピュータ13は、ステッピングモータ15を回転させて、無線機台11を動かし、軸101aの方位角を変えられるようになっている。また、コンピュータ13は、ステッピングモータ16を回転させて、軸101aの傾斜角を変えられるようになっている。
【0022】
GPS受信機103は、図示しないGPS衛星からの電波を受け、これにより、自身の緯度と経度からなる位置情報と現在時刻を求め、常に位置情報と現在時刻をケーブル13aを介してコンピュータ13に通知するようになっている。
【0023】
望遠鏡104は、アンテナの軸が太陽に向いていることを検出する太陽方向検出装置の一例であり、例えば、無線機に載置されている。望遠鏡104の光軸はアンテナの軸に平行になっている。つまり、大局的には、光軸とアンテナの軸は同一直線に含まれている。
【0024】
コンピュータ13は、予め両アンテナの高さ(標高という)、ならびに、太陽に向かう方向の方位角を求める計算式(太陽方位角計算式という)を記憶している。
【0025】
(無線システムの初期動作)
次に、無線システムにおける初期動作について説明する。なお、各無線装置は、それぞれ別のユーザに操作されることとする。初期動作では、まず方位角設定動作がなされ、次に、軸方向設定動作がなされる。軸方向設定動作後は、各軸の方向は固定され、本来の無線通信が行われる。
【0026】
図2は、初期動作の流れを示すフローチャートである。ここでは、各軸が任意の方向を向いていることとする。
【0027】
まず、方位角設定動作について説明する。各無線装置のコンピュータ13は、ユーザの操作によりステッピングモータ15、16を回転させて、ユーザが望遠鏡104から太陽を覗き込むことができるようにする(S1)。これにより、軸が太陽に向く。
【0028】
次に、各コンピュータ13は、自身のGPS受信機から通知された位置情報と現在時刻とを太陽方位計算式に適用して、太陽に向かう方向の方位角つまり現在の軸101aの方位角を求める(S3)。
【0029】
次に、各コンピュータ13は、無線LANシステム3を介して、相手のコンピュータ13に位置情報を送信し、自身と相手の位置情報とに基づいて、相手の無線装置に向かう方向の方位角を求める(S5)。
【0030】
次に、各コンピュータ13は、ステップS3、S5で求めた方位角の差を計算し、差の分だけステッピングモータ15を回転させる(S7)。これにより、軸が相手の方位を向く。
【0031】
以上が方位角設定動作であるが、予め方位角設定動作後の状態となっている場合は、以下の軸方向設定動作のみを行えばよい。この場合、GPS受信機103と望遠鏡104は不要であり、設けなくてよい。
【0032】
その軸方向設定動作について説明する。
【0033】
各コンピュータ13は、自身と相手のアンテナの標高および位置情報に基づいて、各軸が同一直線に含まれるような場合の自身の傾斜角を求める(S9)。ここでは、一方の傾斜角が正値であり、他方の傾斜角が負値であり、絶対値同士は等しくなる。つまり、各傾斜角の間には、一方の傾斜角の正負の符号と相手の傾斜角の正負の符号とが互いに異なり且つ各傾斜角の絶対値が互いに等しいという関係(傾斜角どうしの関係という)が成立する。
【0034】
次に、各コンピュータ13は、ステッピングモータ16を回転させて、自身の傾斜角が、ステップS9で求めた傾斜角に等しくなるようにする(S11)。これにより、一方の軸が他方の軸の延長線上に位置することとなる。つまり、各軸が同一直線に含まれる。
【0035】
次に、無線装置1のコンピュータ13は、自身の無線機10を制御し、無線機10は、アンテナ101からミリ波の放射を開始する(S13)。
【0036】
次に、無線装置2のコンピュータ13は、自身の無線機10から通知される受信電力がゼロか否かを判定する(S15)。つまり、ミリ波の受信の有無を判定する。
【0037】
ステップS15で受信電力がゼロであると判定されたなら、各コンピュータ13は、傾斜角どうしの関係を維持しつつ、各傾斜角を変化(スキャン)させ(S17)、ステップS15に戻る。この際、各コンピュータ13は、判定結果と傾斜角の通知を、無線LANシステム3を介して行う。
【0038】
一方、ステップS15で受信電力がゼロでないと判定されたなら、各コンピュータ13は、傾斜角どうしの関係を維持しつつ、各傾斜角および各方位角を変化(スキャン)させ、受信電力が最大になるようにする(S19)。この際、各無線機間において双方向の通信が可能となったなら、各コンピュータ13は、傾斜角の通知、必要ならば方位角の通知も、各無線機を介して行う。一方、各無線機間において片方向の通信が可能となったなら、各コンピュータ13は、その方向の情報伝達を各無線機を介して行い、逆方向の情報伝達を無線LANシステム3を介して行う。なお、かかる情報伝達は、無線LANシステム3を介して行ってもよい。
【0039】
なお、軸方向設定動作では、無線装置2の受信電力を最大にするようにしたが、逆に、無線装置2から無線装置1にミリ波を送信し、その受信電力を最大にするようにしてもよい。
【0040】
次に、初期動作の具体例を説明する。
【0041】
ここでは、無線装置1が東経135度北緯40度、無線装置2が東経135.5度北緯40度に設置されていることとする。また、現在時刻は、日本時間の2009年3月20日正午であることとする。
【0042】
まず、ステップS1を行うことで、各軸101aが太陽に向く。次に、ステップS3で、南を示す方位角が求められる。次に、無線装置1におけるステップS5では、東を示す方位角(0度とする)が求められ、無線装置2におけるステップS7では、西を示す方位角(180度とする)が求められる。
【0043】
次に、無線装置1におけるステップS7では、軸101aが東に向けられ、無線装置2におけるステップS7では、軸101aが西に向けられる。次に、無線装置1におけるステップS9では、ある傾斜角(+30度とする)が求められ、無線装置2におけるステップS9では、傾斜角−30度が求められる。次に、無線装置1におけるステップS11では、傾斜角が30度にされ、無線装置2におけるステップS11では、傾斜角が−30度にされる。ステップS13では、無線装置1の無線機10がアンテナ101からミリ波の放射を開始する。ステップS15では、無線装置2のコンピュータ13が、受信電力がゼロか否かを判定する。受信電力がゼロであると判定されたなら、ステップS17では、例えば、無線装置1における傾斜角が+30.1度、無線装置2における傾斜角が−30.1度にされる。こうして、受信電力がゼロでないと判定されたなら、ステップS19では、各傾斜角および各方位角を変化させた結果、例えば、無線装置1における傾斜角が+30.2度、無線装置2における傾斜角が−30.2度、無線装置1における方位角が+0.1度(東から若干北に傾いた方位角)、無線装置2における方位角が180.05度(西から若干南に傾いた方位角)のときに、受信電力が最大になる。
【0044】
以上が、無線システムの初期動作であり、その後、無線機間の無線回線において本来の無線通信が行われる。なお、初期動作における無線通信の方向と、本来の無線通信における通信方向は、同じであってもよいし、違っていてもよい。また、初期動作では片方向通信とし、本来の無線通信では双方向通信としてもよい。また、初期動作では双方向通信とし、本来の無線通信では片方向通信としてもよい。
【0045】
(変形例)
さて、最大の受信電力は、各軸101aが同一直線に含まれないときに得られる場合がある。換言すれば、図3に示すように、各軸101aが同一直線に含まれるときの一方の傾斜角αと、最大の受信電力が得られるときのその一方の傾斜角βとは一致しない場合がある。例えば、傾斜角αが+30度で、傾斜角βが+30.1度となる。この場合、ステップS19で傾斜角および方位角を変化させた結果、一方の傾斜角が初めて傾斜角βとなり、最大の受信電力が得られることとなる。つまり、ステップS19では傾斜角を変化させる必要があり、初期動作が長引く可能性がある。
【0046】
そこで、各コンピュータは、予め各軸が同一直線に含まれるときの自身の傾斜角と、最大の受信電力が得られるときの自身の傾斜角との関係式を記憶しておき、ステップS9の後に、ステップS9で求めた傾斜角を関係式に適用して、最大の受信電力が得られるときの自身の傾斜角を求め(S10)、次に、傾斜角が、ステップS10で求めた傾斜角に等しくなるようにし(S11)、その後、ステップS13に移行すればよい。こうすれば、ステップS19では、各方位角だけを変化(スキャン)させればよく、最大の受信電力を早く得て、初期動作を迅速に終了させることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態に係る無線システムによれば、傾斜角どうしの関係を維持しつつ、各アンテナの軸の方向を変化させるので、軸方向設定動作を迅速に終了でき、つまり、アンテナの軸の方向を迅速に定めることができる。
【0048】
また、各コンピュータは、各アンテナの軸が同一直線に含まれるときの傾斜角と最大の受信電力が得られるときの傾斜角との関係式を予め記憶し、軸方向設定動作において、アンテナの軸が同一直線に含まれるときの傾斜角を求め、傾斜角を関係式に適用して、最大の受信電力が得られるときの傾斜角を求め、測定される傾斜角を求めた傾斜角に等しくするので、傾斜角は変化させる必要がなく、アンテナの軸の方向をより迅速に定めることができる。
【0049】
また、各コンピュータは、太陽方向検出装置によりアンテナの軸が太陽に向いていることが検出されるようにし、現在のアンテナの軸の方位角を求め、相手の無線装置に向かう方向の方位角を求め、各方位角の差を求め、該差の分だけ機械手段を制御することにより、アンテナの軸の方位角を相手の無線装置に向かう方向の方位角に等しくさせるので、アンテナの方位角が如何なる場合であっても、アンテナの軸の方向を迅速に定めることができる。
【0050】
なお、各コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納し、陳列などして流通させたり、当該コンピュータプログラムをインターネットなどの通信網を介して伝送させてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1、2…無線装置
10…無線機
11…無線機台
12…雲台
13…コンピュータ
13a…ケーブル
15、16…ステッピングモータ
101…アンテナ
101a…アンテナの軸
102…傾斜角度計
103…GPS受信機
104…望遠鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの無線装置を含む無線システムであって、
一方の前記無線装置は、アンテナと、該アンテナの軸の鉛直方向の傾斜角を測定する傾斜角度計と、該軸の方向を変化させるための機械手段と、該機械手段を制御するコンピュータと、該アンテナからミリ波を放射する無線機とを有し、
他方の前記無線装置は、アンテナと、該アンテナの軸の鉛直方向の傾斜角を測定する傾斜角度計と、該軸の方向を変化させるための機械手段と、該機械手段を制御するコンピュータと、該アンテナでミリ波を受信する無線機とを有し、
前記各コンピュータは、前記各アンテナの軸の方向を定める軸方向設定動作において、一方の無線装置で測定された傾斜角の正負の符号と他方の無線装置で測定された傾斜角の正負の符号とが互いに異なり且つ各傾斜角の絶対値が互いに等しいという傾斜角どうしの関係を維持しつつ、前記機械手段を制御して前記各アンテナの軸の方向を変化させる間において、前記ミリ波の受信電力が大きくなるようにする
ことを特徴とする無線システム。
【請求項2】
前記各コンピュータは、最大の前記受信電力が得られたなら、前記軸方向設定動作を終了する
ことを特徴とする請求項1記載の無線システム。
【請求項3】
前記各コンピュータは、前記各アンテナの標高を予め記憶し、前記軸方向設定動作において、各アンテナの軸が同一直線に含まれるときの傾斜角を当該各標高に基づいて求め、前記各アンテナの軸の方向を変化させるときの最初の傾斜角を当該求めた傾斜角に等しくする
ことを特徴とする請求項1または2記載の無線システム。
【請求項4】
前記各コンピュータは、各アンテナの軸が同一直線に含まれるときの傾斜角と最大の受信電力が得られるときの傾斜角との関係式を予め記憶し、前記軸方向設定動作において、各アンテナの軸が同一直線に含まれるときの傾斜角を求め、該傾斜角を当該関係式に適用することにより、最大の受信電力が得られるときの傾斜角を求め、測定される傾斜角を当該求めた傾斜角に等しくしつつ、前記機械手段を制御して前記各アンテナの軸の方位角を変化させる間において、前記受信電力が大きくなるようにする
ことを特徴とする請求項1または2記載の無線システム。
【請求項5】
前記各無線装置は、アンテナの軸が太陽に向いていることを検出する太陽方向検出装置と、現在時刻および該無線装置の位置情報を取得する受信機とを備え、
前記各コンピュータは、予め太陽に向かう方向の方位角を求める太陽方位角計算式を記憶し、前記軸方向設定動作に先立ってなされる方位角設定動作において、前記太陽方向検出装置によりアンテナの軸が太陽に向いていることが検出されるように機械手段を制御し、取得された位置情報と現在時刻とを前記太陽方位角計算式に適用することにより、現在のアンテナの軸の方位角を求め、取得された各位置情報に基づいて、相手の無線装置に向かう方向の方位角を求め、各方位角の差を求め、該差の分だけ機械手段を制御することにより、アンテナの軸の方位角を相手の無線装置に向かう方向の方位角に等しくさせる
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の無線システム。
【請求項6】
前記各コンピュータは、相手の無線装置で取得された位置情報を予めコンピュータ間に設けられた通信システムを介して取得する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の無線システム。
【請求項7】
前記各コンピュータは、前記各無線機間において双方向の通信が可能となったなら、前記軸方向設定動作における前記各コンピュータ間での情報の伝達を前記各無線機を介して行う
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の無線システム。
【請求項8】
前記各コンピュータは、前記各無線機間において片方向通信が可能となったなら、前記軸方向設定動作における一方のコンピュータから他方のコンピュータへの情報の伝達を前記各無線機を介して行い、逆方向の情報の伝達を予めコンピュータ間に設けられた通信システムを介して行う
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の無線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−200146(P2010−200146A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44425(P2009−44425)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度 総務省 「電波資源拡大のための研究開発」のうち、「ミリ波帯高精細映像伝送技術の研究開発」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】