説明

無線システム

【課題】 障害発生時も通話状態を継続させて運用することができる無線システムを提供する。
【解決手段】 複数の無線通信の基地局と通信を行う通信部15と、通信部を制御する第1方式の現用の制御部11と、通信部を制御する第1方式の予備用の制御部12と、通信部を制御する第2方式の現用の制御部13と、通信部を制御する第2方式の予備用の制御部14と、第1方式の現用の制御部および第2方式の現用の制御部から障害情報を受け、この障害情報に基づいて、第1方式の現用の制御部を第1方式の予備用の制御部に切換え、または、第2方式の現用の制御部を第2方式の予備用の制御部に切換えるコンソール部10を有する無線システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、構内交換機等の構内無線システムに関し、特に、CS(Central Station)制御部が二重化されおよびSCS(Sub-Control Station)制御部が二重化された構内の無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の構内無線システムにおいては、コールドスタンバイ方式による二重化が知られている。このコールドスタンバイ方式による二重化とは、予備として用意されたシステムを動作させない状態で使用するシステムである。このようなコールドスタンバイ方式では、系切替えが必要とされる障害が発生した場合に、いったん、通話路が切断されるために音声が途切れてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−004293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、従来の構内無線システムによるコールドスタンバイ方式においては、予備として用意されたシステムを動作させない状態で待機するシステムであるため、いったん、系切替えが必要とされる障害が発生した場合、通話路が切断されるために音声が途切れてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、障害発生時も通話状態を継続させて運用することができる無線システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための一実施形態は、
複数の無線通信の基地局と通信を行う通信部と、
前記通信部を制御する第1方式の現用の制御部と、
前記通信部を制御する第1方式の予備用の制御部と、
前記通信部を制御する第2方式の現用の制御部と、
前記通信部を制御する第2方式の予備用の制御部と、
前記第1方式の現用の制御部および前記第2方式の現用の制御部から障害情報を受け、この障害情報に基づいて、前記第1方式の現用の制御部を前記第1方式の予備用の制御部に切換え、または、前記第2方式の現用の制御部を前記第2方式の予備用の制御部に切換えるコンソール部と、を具備することを特徴とする無線システムである。
【発明の効果】
【0007】
上述した実施形態によれば、障害発生時に0/1系切替えおよび、A/B系切替えを行うことで無線システムの通話状態を継続することができ、システムダウンも防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態である無線システムの構造の一例を示す説明図。
【図2】同じく無線システムの現用系のCS制御部の切換え動作を示すフローチャート。
【図3】同じく無線システムの予備系のCS制御部の切換え動作を示すフローチャート。
【図4】同じく無線システムの現用系のSCS制御部の切換え動作を示すフローチャート。
【図5】同じく無線システムの予備系のSCS制御部の切換え動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る無線システムの構造について、詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である無線システムの構造の一例を示す説明図である。
本発明の一実施形態である無線システム1は、図1において、複数の制御部から障害情報を収集し、この障害情報に基づいて後述する各制御部を管理する管理コンソールPC10と、この管理コンソールPC10とLAN(Local Area Network)等で接続されている0系(現用系)であるCS制御部11と、1系(予備系)であるCS制御部11と、同様に、管理コンソールPC10とLAN等で接続されているA系(現用系)であるSCS制御部13と、B系(予備系)であるSCS制御部14と、これらSCS制御部13,14と光ケーブルで接続されている、複数の基地局21、22、…、24と通信を行うSCS部15と、このSCS部15の一部であって光通信でSCS制御部13と通信を行うA系の光送受信部16と、このSCS部15の一部であって光通信でSCS制御部14と通信を行うB系の光送受信部17を有している。
【0010】
このような無線システム1においては、システム起動時は、0系のCS制御部11が現用系、1系のCS制御部12が予備系で動作し、A系のSCS制御部13が現用系、B系のSCS制御部14が予備系で動作する。そして、CS制御部11,12、SCS制御部13,14共に、現用系から予備系へホットスタンバイ状態で待機するために、0系/1系(図1の(1))および、A系/B系(図1の(2))の制御部間で、通話状態情報などの転送処理を行っている。
【0011】
管理コンソールPC10は、図1の(3)および(4)に示すように、CS制御部11,12から障害情報を取得し、また、図1の(5)および(6)に示すように、SCS制御部13,14から障害情報を取得し、管理コンソールPC10は、この取得した障害情報を管理する。
【0012】
次に、図2の無線システムのCS制御部現用系の切換え動作を示すフローチャートを用いて、現用系のCS制御部11の系切替え動作を説明する。CS制御部11は、格納しているソフトウエアにより、起動時に自系が現用系であるか予備系であるかの判定を行う(ステップS11)。そして、現用系であれば、自系の障害監視および予備系の障害監視を行う(ステップS12)。
【0013】
CS制御部11は、予備系の障害をソフトウエアにより検出すると(ステップS12)、予備系の障害情報を更新する(ステップS13)。CS制御部11は、さらに、自系の障害監視を行う(ステップS14)。CS制御部11は、自系の障害をソフトウエアにより検出した場合(ステップS14)、障害要因判定により、0/1系切替えおよびA/B系切替えを行うかの判定を行う(ステップS17,ステップS21)。CS制御部11は、判定に従い、予備系に系切換えの指示を行った後(ステップS18)、自己リセットする(ステップS19)。または、SCS部へ、A/B系切替え指示を行う(ステップS22)。
【0014】
ここで、CS制御部11は、障害要因別判定処理に対して、自系障害要因および予備系障害情報により判定を行う。自系障害要因は、運用可能障害(軽障害)、運用不可障害(重障害)に分類される。
また、軽障害、重障害でそれぞれ優先順位を設けることで、運用状態によっては、系切替え(1/0系切替え、A/B系切替え)を行わない。例えば、第1基地局〜第4基地局の優先度が高く、第5基地局〜第8基地局の優先度が低いシステムにおいて、A系(現用系)のSCS制御部13で自系の基地局4〜8の障害を検出し、B系(予備系)のSCS制御部14で自系の第1基地局〜第3基地局の障害を検出した場合に、現用系の方が故障箇所が多いため、通常A/B系切替えを行うところ、優先順位の高い基地局の数は、現用系の方が多いのでA/B系切替えは行わず、A系のSCS制御部が現用系として運用を継続する。
【0015】
なお、現用系(0系)のCS制御部が自系の障害を検出し、障害要因別判定処理で0/1系切替えおよび、A/B系切替えの判断ができない場合は(ステップS16)、管理コンソールPC10へ問い合わせることで判断する(ステップS15)。また、管理コンソールPC10に問い合わせた結果、系切替えを行わない場合は、オペレータによる手動切替えが可能である。
【0016】
このように、本発明の一実施形態である無線システムにおいては、現用系のCS制御部11において、ホットスタンバイ状態において、現用系のCS制御部11と予備系のCS制御部12が用意されており、適宜、管理コンソールPC10の管理下において、0系/1系の切り替えを行うことで、障害発生時も通話状態を継続させて運用することができる。
【0017】
次に、図3の無線システムのCS制御部予備系の切換え動作を示すフローチャートを用いて、予備系のCS制御部11の系切替え動作を説明する。CS制御部12は、起動時にソフトウエアにより、自系が現用系であるか予備系であるかの判定を行う(ステップS31)。CS制御部12は、予備系であれば自系の障害監視および現用系の障害監視を行う(ステップS32)。CS制御部12は、自系の障害をソフトウエアにより検出した場合、自系の障害情報の更新を行う(ステップS33)。自系障害要因は、運用可能障害(軽障害)、運用不可障害(重障害)に分類される。CS制御部12は、CS制御部予備系で自系の軽障害を検出した場合は(ステップS33)、自系の障害情報の更新を行い、運用を継続する。ただし、CS制御部12は、重障害の場合は自己リセットして、障害復旧を試みる(ステップS40)。
【0018】
予備系(1系)のCS制御部12が現用系(0系)のCS制御部11の障害を検出した場合、障害要因別判定処理にて、0/1系切替えを行うか判断する(ステップS31)。予備系(1系)のCS制御部12が、障害要因別判定処理で0/1系切替えの判断ができない場合は(ステップS36)、管理コンソールへ問い合わせることで判断する(ステップS37)。なお、管理コンソールPC10に問い合わせた結果、系切替えを行わない場合は、予備系として運用を継続する。CS制御部12が0/1系切り替えと判断すれば(ステップS38)、自系現用系の切替え処理を行う(ステップS39)。
【0019】
このように、本発明の一実施形態である無線システムにおいては、予備系のCS制御部12においても、ホットスタンバイ状態において、現用系のCS制御部11と予備系のCS制御部12が用意されており、適宜、管理コンソールPC10の管理下において、0系/1系の切り替えを行うことで、障害発生時も通話状態を継続させて運用することができる。
【0020】
次に、図4の無線システムのSCS制御部現用系の切換え動作を示すフローチャートを用いて、現用系のSCS制御部13の系切替え動作を説明する。SCS制御部13は、格納しているソフトウエアにより、起動時に自系が現用系であるか予備系であるかの判定を行う(ステップS41)。そして、現用系であれば、自系の障害監視および予備系の障害監視を行う(ステップS42)。
【0021】
SCS制御部13は、予備系の障害をソフトウエアにより検出すると(ステップS42)、予備系の障害情報を更新する(ステップS43)。SCS制御部13は、さらに、自系の障害監視を行う(ステップS44)。SCS制御部13は、自系の障害をソフトウエアにより検出した場合(ステップS44)、障害要因判定により、A/B系切替えを行うかの判定を行う(ステップS47)。または、SCS制御部14へA/B系切替え指示を行う(ステップS48)。
【0022】
なお、現用系(0系)のSCS制御部13が自系の障害を検出し、障害要因別判定処理で0/1系切替えおよび、A/B系切替えの判断ができない場合は(ステップS45)、管理コンソールPC10へ問い合わせることで判断する(ステップS46)。また、管理コンソールPC10に問い合わせた結果、系切替えを行わない場合は、オペレータによる手動切替えが可能である。
【0023】
このように、本発明の一実施形態である無線システムにおいては、現用系のSCS制御部13においても、ホットスタンバイ状態において、現用系のSCS制御部13と予備系のSCS制御部14とが用意されており、適宜、管理コンソールPC10の管理下において、A系/B系の切り替えを行うことで、障害発生時も通話状態を継続させて運用することができる。
【0024】
次に、図5の無線システムのSCS制御部予備系の切換え動作を示すフローチャートを用いて、予備系のSCS制御部14の系切替え動作を説明する。SCS制御部14は、起動時にソフトウエアにより、自系が現用系であるか予備系であるかの判定を行う(ステップS51)。SCS制御部14は、予備系であれば自系の障害監視および現用系の障害監視を行う(ステップS52)。SCS制御部14は、自系の障害をソフトウエアにより検出した場合、自系の障害情報の更新を行う(ステップS53)。自系障害要因は、運用可能障害(軽障害)、運用不可障害(重障害)に分類される。SCS制御部14は、CS制御部予備系で自系の軽障害を検出した場合は(ステップS52)、自系の障害情報の更新を行い(ステップS54)、運用を継続する。ただし、SCS制御部14は、重障害の場合は自己リセットして、障害復旧を試みる(ステップS60)。
【0025】
予備系(1系)のSCS制御部14が現用系(0系)のSCS制御部13の障害を検出した場合(ステップS55)、障害要因別判定処理を行い(ステップS56)、A/B系切替えを行うか判断する(ステップS58)。予備系(1系)のSCS制御部14が、障害要因別判定処理で0/1系切替えの判断ができない場合は(ステップS56)、管理コンソールへ問い合わせることで判断する(ステップS57)。なお、管理コンソールPC10に問い合わせた結果、系切替えを行わない場合は、予備系として運用を継続する。SCS制御部14がA/B系切り替えと判断すれば(ステップS58)、自系現用系の切替え処理を行う(ステップS59)。
【0026】
このように、本発明の一実施形態である無線システムにおいては、予備系のSCS制御部14においても、ホットスタンバイ状態において、現用系のSCS制御部13と予備系のSCS制御部14とが用意されており、適宜、管理コンソールPC10の管理下において、A系/B系の切り替えを行うことで、障害発生時も通話状態を継続させて運用することができる。
【0027】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1…、10…管理コンソールパーソナルコンピュータ、11…CS制御部、12…CS制御部、13…SCS制御部、14…SCS制御部、15…SCS部、16…光送受信部、17…光送受信部、21〜24…基地局、K…携帯電話機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信の基地局と通信を行う通信部と、
前記通信部を制御する第1方式の現用の制御部と、
前記通信部を制御する第1方式の予備用の制御部と、
前記通信部を制御する第2方式の現用の制御部と、
前記通信部を制御する第2方式の予備用の制御部と、
前記第1方式の現用の制御部および前記第2方式の現用の制御部から障害情報を受け、この障害情報に基づいて、前記第1方式の現用の制御部を前記第1方式の予備用の制御部に切換え、または、前記第2方式の現用の制御部を前記第2方式の予備用の制御部に切換えるコンソール部と、を具備することを特徴とする無線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−100001(P2012−100001A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245111(P2010−245111)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000166650)株式会社日立国際電気エンジニアリング (100)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】