説明

無線タグ型センサ

【課題】特定のガスを検知する機能を備えた無線タグを提供する。
【解決手段】二つのアンテナ61−1、61−2と、アンテナ61−1、61−2から識別信号sig.1−1、sig.1−2を送信する送信回路62と、アンテナ61−1、61−2と送信回路62を一括収容した樹脂製のタグ体63と、タグ体63から露出した第1感応部68−1と、第1感応部68−1に覆われた第2感応部68−2と、を備え、感応部68−1に覆われた第2感応部68−2を検知対象ガスとの反応によりその電気抵抗率が変化する物質で形成し、感応部68−1に覆われた第2感応部68−2の電気抵抗率が変化することにより、アンテナ61−1、61−2から送信される信号が変化するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ機能を備えた無線タグすなわち無線タグ型センサに関する。この無線タグ型センサには、塵や埃、花粉など粒子状物質を検知する機能を備えた無線タグ、油分を検出する機能を備えた無線タグ、特定のガスを検知する機能を備えた無線タグが含まれる。
【背景技術】
【0002】
センサ機能を備えた無線タグとして、雨検知用の無線タグが知られている。その一つとして、雨滴を受ける位置に二つの電極を互いに離間させて配置しておき、雨滴によって両電極間が短絡することによりアンテナの回路が形成され、そのアンテナによる受信電力により発信回路を作動させるように構成したものがある(特許文献1)。また、両電極間に雨滴(水滴)が付着したことによる両電極間の静電容量の変化を検知することで降雨を検知する技術も知られている(特許文献2)。さらに、油分を検出する技術も知られている(特許文献3、特許文献4、特許文献5、等)。特定のガスを検出する技術も知られている(特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−134132号公報
【特許文献2】特開平9−61394号公報
【特許文献3】特開2006−047030号公報
【特許文献4】特表2006−501344号公報
【特許文献5】特表2005−508660号公報
【特許文献6】特開2004−28838号公報
【特許文献7】特開2006−112894号公報
【特許文献8】特開2005−331364号公報
【特許文献9】特開2000−111507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、雨滴(水滴)を検知する機能を備えた無線タグは知られている。油分を検出する技術は周知である。
【0005】
しかし、塵や埃など粒子状物質を検知する機能を備えた無線タグは知られていない。油分を検知する機能を備えた無線タグは知られていない。特定のガスを検出する機能を備えた無線タグは知られていない。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、塵や埃など粒子状物質を検知する機能を備えた新規な無線タグ(すなわち無線タグ型粉塵センサ)を提供すること、更には、油分を検出する機能を備えた無線タグ(すなわち無線タグ型油センサ)及び特定のガスを検知する機能を備えた無線タグ(すなわち無線タグ型ガスセンサ)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のセンサには、以下のものが含まれる。
[導体微粒子検出用センサ]
構成1−1:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容したタグ体と、タグ体の表面の一部であって検知対象粒子が付着する粒子検出領域と、粒子検出領域を挟んで対向配置(粒子検出領域を両者の間に介在させて互いに離間させて配置)された一対の電極と、を備え、粒子検出領域に付着(単に接触している状態を含む。以下同様。)した検知対象粒子によって両電極間が短絡(導通、電気的に接続)することによりアンテナの回路又はアンテナと送信回路とを接続する回路が形成されるように構成した無線タグ型粉塵センサ。
構成1−2:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容したタグ体と、タグ体の表面の一部に形成された凹部の内面又は内部空間であって検知対象粒子が付着又は堆積する粒子検出領域と、粒子検出領域を挟んで対向配置された一対の電極と、を備え、粒子検出領域に付着した検知対象粒子によって両電極間が短絡することによりアンテナの回路が形成されるように構成した無線タグ型粉塵センサ。
構成1−3:構成1−2を前提にして、粒子検出領域を挟んで対向配置された対をなす電極を凹部の深さ方向に離間させて複数対配置するとともにアンテナを複数備え、複数対の電極間が順次短絡することにより複数のアンテナの回路が順次形成されるように構成した無線タグ型粉塵センサ。
構成1−4:構成1−2を前提にして、対をなす電極を凹部の深さ方向に離間させて複数対配置し、短絡した電極対に応じて又は短絡した電極対の数に応じて異なる信号を送信するように構成した無線タグ型粉塵センサ。
構成1−5:構成1−1〜1−4のいずれかを前提にして、両電極相互の間隔が、両電極間に存在する粒子検出領域に検知対象粒子が複数個付着したときに両電極間が短絡する大きさに選定されている無線タグ型粉塵センサ。
【0008】
[誘電体粒子検出用センサ]
構成2−1:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容したタグ体と、タグ体の表面の一部であって検知対象粒子が付着する粒子検出領域と、粒子検出領域に互いの間隙が重なるようにして互いに並行に設けられた一対の電極と、を備え、粒子検出領域に付着した検知対象粒子によって両電極間の静電容量が変化することにより、アンテナから送信される信号が変化(データ内容或いは周波数が変化)するように構成した無線タグ型粉塵センサ。
構成2−2:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容したタグ体と、タグ体の表面の一部に形成された凹部の内面又は内部空間であって検知対象粒子が付着する粒子検出領域と、粒子検出領域を挟んで対向配置された一対の電極と、を備え、粒子検出領域に付着した検知対象粒子によって両電極間の静電容量が変化することにより、アンテナから送信される信号が変化(データ内容或いは周波数が変化)するように構成した無線タグ型粉塵センサ。
構成2−3:構成2−1又は2−2を前提にして、両電極相互の間隔は、両電極間に存在する粒子検出領域に検知対象粒子が複数個付着し得る大きさに選定されている。
構成2−4:構成2−1〜2−3を前提にして、電極が、タグ体を構成する樹脂で覆われている無線タグ型粉塵センサ。
【0009】
[導体微粒子・誘電体粒子検出用センサ(明所用)]
構成3−1:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容したタグ体と、タグ体の表面の検知対象粒子が付着する位置に形成された受光窓と、受光窓を通して入射する光を検出する受光素子と、を備え、受光素子の出力に応じてアンテナから送信される信号が変化(内容(値)、強度又は周波数が変化)するように構成した無線タグ型粉塵センサ。
構成3−2:構成3−1を前提にして、受光素子が、フォトダイオード又は太陽電池である無線タグ型粉塵センサ。
【0010】
[導体微粒子・誘電体粒子検出用センサ(暗所用)]
構成4−1:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容したタグ体と、タグ体の検知対象粒子が付着する位置に固定して設けられ且つ所定の出力で発光する発光素子と、タグ体の検知対象粒子が付着する位置に固定して設けられ且つ発光素子からの光を受光する受光素子と、を備え、受光素子の出力に応じてアンテナから送信される信号の強度又は周波数が変化するように構成した無線タグ型粉塵センサ。
【0011】
[無線タグ型油センサ]
構成5−1:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容したタグ体と、タグ体の表面の一部に形成された凹部の内面又は内部空間であって油分が浸入する油分検出領域と、油分検出領域を挟んで対向配置された電極の対と、を備え、油分検出領域に浸入した油分によって電極間の静電容量が順次変化することにより、アンテナから送信される信号が変化(内容(値)、強度又は周波数が変化)するように構成した無線タグ型油センサ。
構成5−2:構成5−1を前提にして、電極は、タグ体を構成する樹脂で覆われている無線タグ型油センサ。
【0012】
[無線タグ型ガスセンサ]
構成6−1:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を気密に一括収容したタグ体と、タグ体から露出した感応部と、を備え、前記感応部を検知対象ガスとの反応によりその電気抵抗率が変化する物質で形成し、前記感応部の電気抵抗率が変化することにより、前記アンテナから送信される信号が変化するように構成した無線タグ型ガスセンサ。
構成6−2:構成6−1を前提にして、前記感応部を外気と非接触状態に維持する封止体を取り外し可能に備えた。
構成6−3:構成6−2を前提にして、前記封止体は、前記タグ体の表面に前記感応部を覆うようにして密着させて貼り付けられた剥離シートである無線タグ型ガスセンサ。
構成6−4:構成6−1〜6−3のいずれかを前提にして、前記感応部の電気抵抗率が増大することにより前記アンテナ又は前記送信回路が機能し得ない状態になるように構成した無線タグ型ガスセンサ。
構成6−5:構成6−1〜6−3のいずれかを前提にして、前記感応部の電気抵抗率が低下することにより前記アンテナ又は前記送信回路が機能し得る状態になるように構成した無線タグ型ガスセンサ。
構成6−6:構成6−4を前提にして、前記感応部をFe(鉄)の薄膜で構成した無線タグ型ガスセンサ。
構成6−7:構成6−5を前提にして、前記感応部が水素を吸蔵することにより電気抵抗率が低下する水素感応膜で構成されている無線タグ型ガスセンサ。水素感応膜として、配位高分子金属錯体を用いた無線タグ型ガスセンサ。水素感応膜として、酸化タングステンを主成分とする結晶微粒子の集合体で構成され、結晶微粒子酸化タングステンの表面に酸化状態の触媒金属を含有する膜を用いた無線タグ型ガスセンサ。
構成6−8:構成6−5を前提にして、前記感応部を酸化スズで構成した無線タグ型ガスセンサ。
【0013】
[貼着式センサ]
構成7:構成1〜8のうちのいずれかを前提にして、被貼着物に貼り付けるための粘着剤層と、粘着剤層を覆う剥離シートとを備えた無線タグ型センサ。
【発明の効果】
【0014】
本発明の無線タグ型粉塵センサによれば、このセンサからの信号に基づいて粒子状物質を検出することができる。
【0015】
本発明の無線タグ型油センサによれば、このセンサからの信号に基づいて油分を検出することができる。
【0016】
本発明の無線タグ型ガスセンサによれば、このセンサからの信号に基づいて特定のガスを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】粉塵センサの形態例を示す斜視図
【図2】図1に示す粉塵センサの平面図
【図3】図1に示す粉塵センサの側面図
【図4】図1に示す粉塵センサの下面図
【図5】図1に示す粉塵センサの要部断面図
【図6】図1に示す粉塵センサの回路図
【図7】図1〜図6に示す粉塵センサの両電極が短絡した状態を例示する要部断面図
【図8】粉塵センサの別の形態例を示す斜視図
【図9】図8に示す粉塵センサの平面図
【図10】図8に示す粉塵センサの側面図
【図11】図8に示す粉塵センサの下面図
【図12】図8に示す粉塵センサの要部断面図
【図13】図8に示す粉塵センサの回路図
【図14】図8〜図13に示す粉塵センサの両電極が短絡した状態を例示する要部断面図
【図15】粉塵センサの更に別の形態例を示す斜視図
【図16】図15に示す粉塵センサの平面図
【図17】図15に示す粉塵センサの側面図
【図18】図15に示す粉塵センサの下面図
【図19】図15に示す粉塵センサの要部断面図
【図20】図15に示す粉塵センサの回路図
【図21】図15〜図20に示す粉塵センサの凹部の低位置に設けられた両電極が短絡した状態を例示する要部断面図
【図22】図15〜図20に示す粉塵センサの凹部の高位置に設けられた両電極が短絡した状態を例示する要部断面図
【図23】凹部を有する粉塵センサの別の形態例を示す要部断面図
【図24】図23に示す粉塵センサの凹部の低位置に設けられた両電極が短絡した状態を例示する要部断面図
【図25】図23に示す粉塵センサの凹部の高位置に設けられた両電極が短絡した状態を例示する要部断面図
【図26】凹部の更に別の形態例を示す斜視図
【図27】複数対の電極を備えた粉塵センサの別の形態例を示す回路図
【図28】粉塵センサの更に別の形態例を示す斜視図
【図29】図28に示す粉塵センサの平面図
【図30】図28に示す粉塵センサの側面図
【図31】図28に示す粉塵センサの下面図
【図32】図28に示す粉塵センサの要部断面図
【図33】図28に示す粉塵センサの回路図
【図34】図28に示す粉塵センサの表面に誘電体微粒子が付着した状態を例示する要部断面図
【図35】粉塵センサの更に別の形態例を示す斜視図
【図36】図35に示す粉塵センサの平面図
【図37】図35に示す粉塵センサの側面図
【図38】図35に示す粉塵センサの下面図
【図39】図35に示す粉塵センサの要部断面図
【図40】図35に示す粉塵センサの回路図
【図41】図35に示す粉塵センサの凹部に誘電体微粒子が浸入し付着又は堆積した状態を例示する要部断面図
【図42】粉塵センサの更に別の形態例を示す斜視図
【図43】図42に示す粉塵センサの平面図
【図44】図42に示す粉塵センサの側面図
【図45】図42に示す粉塵センサの下面図
【図46】図42に示す粉塵センサの要部断面図
【図47】図42に示す粉塵センサの回路図
【図48】図42に示す粉塵センサの表面に検知対象粒子が付着又は堆積した状態を例示する要部断面図
【図49】粉塵センサの更に別の形態例を示す斜視図
【図50】図49に示す粉塵センサの平面図
【図51】図49に示す粉塵センサの側面図
【図52】図49に示す粉塵センサの下面図
【図53】図49に示す粉塵センサの要部断面図
【図54】図49に示す粉塵センサの回路図
【図55】図49に示す粉塵センサの発光素子の光が凹部内の検知対象粒子によって遮られている状態を例示する要部断面図
【図56】発光素子と受光素子を複数対備えた粉塵センサにおいて高位置の発光素子の光が凹部内の検知対象粒子によって遮られている状態を例示する要部断面図
【図57】油センサの形態例を示す斜視図
【図58】図57に示す油センサの平面図
【図59】図57に示す油センサの側面図
【図60】図57に示す油センサの下面図
【図61】図57に示す油センサの要部断面図
【図62】図57に示す油センサの回路図
【図63】図57に示す油センサの凹部に油分が溜まった状態を例示する要部断面図
【図64】ガスセンサの形態例を示す斜視図
【図65】図64に示すガスセンサの平面図
【図66】図64に示すガスセンサの側面図
【図67】図64に示すガスセンサの下面図
【図68】図64に示すガスセンサの要部透視平面図
【図69】図68のA−A断面図
【図70】図68のB−B断面図
【図71】図64に示すガスセンサの回路図
【図72】(a)図64に示すガスセンサの未使用状態の側面図、(b)図64に示すガスセンサの未使用状態の平面図
【図73】図64に示すガスセンサの未使用時と使用時の状態を示した側面図
【図74】図64に示すガスセンサの未使用時又は使用開始直後の状態を示す回路図
【図75】(a)図64に示すガスセンサの第1のアンテナが機能し得なくなった時の回路図、(b)図64に示すガスセンサの第1及び第2のアンテナが機能し得なくなった状態を示す回路図
【図76】ガスセンサの別の形態例を示す回路図
【図77】ガスセンサの更に別の形態例を示す斜視図
【図78】図77に示すガスセンサの平面図
【図79】図77に示すガスセンサの側面図
【図80】図77に示すガスセンサの下面図
【図81】図77に示すガスセンサの要部断面図
【図82】図77に示すガスセンサの回路図
【図83】(a)図77に示すガスセンサの未使用状態の側面図、(b)図77に示すガスセンサの未使用状態の平面図
【図84】(a)図77に示すガスセンサのアンテナが機能し得ない状態の時の回路図、(b)図77に示すガスセンサのアンテナが機能し得る状態を示す回路図
【図85】ガスセンサの更に別の形態例を示す斜視図
【図86】センサの剥離シートを剥ぎ取る過程を示す側面図
【図87】センサを被貼着物に貼り付けて固定した状態を例示する側面図
【図88】本発明のセンサを子局に用いた施設内監視システム(エバネセント通信システム)の原理説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の無線タグ型センサの実施形態について説明する。
【0019】
1.導体微粒子検出用センサ
【0020】
1−1.第1の形態例
図1は無線タグ型粉塵センサ(以下、単に粉塵センサという。)の形態例を示す斜視図である。図2は図1に示す粉塵センサの平面図である。図3は図1に示す粉塵センサの側面図である。図4は図1に示す粉塵センサの下面図である。図5は図1に示す粉塵センサの要部断面図である。図5は図1に示す粉塵センサの回路図である。
【0021】
1−1−1.構成
この粉塵センサ10−1は、アンテナ11と、アンテナ11から識別信号sig.1を送信する送信回路12と、アンテナ11と送信回路12を一括収容した樹脂製のタグ体13と、タグ体13の表面の一部であって検知対象粒子である導体微粒子Pcが付着する粒子検出領域14と、粒子検出領域14を挟んで対向配置された一対の電極15a、15bと、を備えている。
【0022】
両電極15a、15b相互の間隔D0は、両電極15a、15b間に存在する粒子検出
領域14に導体微粒子Pcが複数個付着したときに、それらの導体微粒子Pcによって両電極15a、15b間が短絡する大きさに選定されている。たとえば導体微粒子Pcの平均粒径がDであるとき、間隔D0は、D0>Dで表される関係が成立するように選定される。この例では、D0を約3Dとしている。
【0023】
アンテナ1の回路は、粒子検出領域14に付着した導体微粒子Pcによって両電極15a、15b間が短絡(導通、電気的に接続)することにより形成される。アンテナ11の同調周波数f0は、アンテナコイル11AのインダクタンスLとコンデンサ11Bの容量
Cによって定まる。
【0024】
送信回路12は、アンテナ11による受信電力を使用して作動し、識別信号sig.1をアンテナ11から送信する。識別信号sig.1は、粉塵センサ10−1に個別に割り当てられたID情報(ユニーク値)の信号である。
【0025】
タグ体13は、長方形の平板状に成形された密閉構造の硬質樹脂ケーシングであり、ケーシング内への水分や外気の侵入を完全に遮断している。
【0026】
両電極15a、15bは、その表面15sを露出させてタグ体13に埋設されている。この例では、両電極15a、15bの表面15sとタグ体13の表面(上面)13aは同一平面をなしている。
【0027】
タグ体13の下面には、粘着剤層81が形成されている。粘着剤層81は、剥離シート82で覆われている。剥離シート82は簡単に剥がすことができるようになっている(図87参照)。
【0028】
1−1−2.作用・効果
粉塵センサ10−1は、鉄粉などの導体微粒子Pcが発生する空間(被監視空間)における導体微粒子Pcの発生量や堆積量の監視用に使用される。導体微粒子Pcが発生する空間の床面などに粉塵センサ10−1を設置しておくと、空間中に浮遊あるいは飛散した導体微粒子Pcが粉塵センサ10−1の表面に付着する。そして、粉塵センサ10−1の表面の一部をなす粒子検出領域14に付着した導体微粒子Pcによって両電極15a、15b間が短絡すると(図7参照)、アンテナ11の回路が形成される。その結果、図示しないリーダからの電波をアンテナ11が受信し始める。そして、アンテナ11による受信電力で送信回路12が作動する。送信回路12が作動することにより、アンテナ11から識別信号が送信される。
【0029】
したがって、粉塵センサ10−1からの識別信号sig.1を図示しないリーダで受信できるようにしておき、その識別信号sig.1の有無を監視することにより、被監視空間における導体微粒子Pcの発生量や堆積量が規定値以上になったか否かを知ることができる。この規定値は、導体微粒子Pcの平均粒径Dと両電極15a、15b相互の間隔D0との関係によって概略定められる。この例では、D0の値を約3Dに選定している。したがって、3乃至5個以上の導体微粒子Pcが連続して並んで堆積或いは付着する程度の導体微粒子Pcの発生量又は堆積量になったことを、粉塵センサ10からの識別信号sig.1を受信することにより検知できる。粉塵センサ10−1上への導体微粒子Pcの堆積量がある程度以上大きくなると、堆積した導体微粒子Pcによってアンテナ11の機能が阻害されるようになるので、上記規定値はこのような機能阻害が発生しない程度の値に選定しておく必要がある。なお、粉塵の粒径は数nm〜数十μmと幅広いので、検出目標粒径によって両電極15a、15b相互の間隔D0も広い範囲から選定されることになる。
【0030】
また、識別信号sig.1を受信することにより、粉塵センサ10−1のID情報(ユニーク値)を知ることができるので、複数の粉塵センサ10が設置されている場合でも、どの粉塵センサ10からの信号であるかを判別することができる。
【0031】
また、この粉塵センサ10−1は、タグ体13の下面に粘着剤層81が形成され、その粘着剤層81が剥離シート82で覆われているので、剥離シート82を剥がせば、図87に示すように、粉塵センサ10−1を被貼着物85に貼り付けて固定することができる。この形態例の場合の被貼着物85の例として、鉄粉などの導体微粒子が発生する工場や作業現場の床面や壁面、作業者の保安帽、防じんマスクなどを挙げることができる。
【0032】
1−2.第2の形態例
図8は粉塵センサの別の形態例を示す斜視図である。図9は図8に示す粉塵センサの平面図である。図10は図8に示す粉塵センサの側面図である。図11は図8に示す粉塵センサの下面図である。図12は図8に示す粉塵センサの要部断面図である。図13は図8に示す粉塵センサの回路図である。
【0033】
1−2−1.構成
この粉塵センサ10−2は、アンテナ11と、アンテナ11から識別信号sig.1を送信する送信回路12と、アンテナ11と送信回路12を一括収容した樹脂製のタグ体13と、タグ体13の表面の一部に形成された凹部16の内面又は内部空間であって検知対象粒子である導体微粒子Pcが付着又は堆積する粒子検出領域17と、粒子検出領域17を挟んで対向配置された一対の電極15a、15bと、を備えている。
【0034】
両電極15a、15b相互の間隔D0は、両電極15a、15b間に存在する粒子検出
領域17に導体微粒子Pcが複数個付着したときに、それらの導体微粒子Pcによって両電極15a、15b間が短絡する大きさに選定されている。たとえば導体微粒子Pcの平均粒径がDであるとき、間隔D0は、D0>Dで表される関係が成立するように選定される。この例では、D0を約2.8Dとしている。
【0035】
アンテナ11の回路は、粒子検出領域17に付着又は堆積した導体微粒子Pcによって両電極15a、15b間が短絡(導通、電気的に接続)することにより形成される。アンテナ11の同調周波数f0は、アンテナコイル11AのインダクタンスLとコンデンサ1
1Bの容量Cによって定まる。
【0036】
送信回路12は、アンテナ11による受信電力を使用して作動し、識別信号sig.1をアンテナ11から送信する。識別信号sig.1は、粉塵センサ10に個別に割り当てられたID情報(ユニーク値)の信号である。
【0037】
タグ体13は、長方形の平板状に成形された密閉構造の硬質樹脂ケーシングであり、ケーシング内への水分や外気の侵入を完全に遮断している。
【0038】
両電極15a、15bは、その表面15sを露出させてタグ体13の凹部16の側面部に埋設されている。この例では、両電極15a、15bの表面15sとタグ体13の凹部16の側面16aは同一平面をなしている。
【0039】
タグ体13の下面には、粘着剤層81が形成されている。粘着剤層81は、剥離シート82で覆われている。剥離シート82は簡単に剥がすことができるようになっている(図86参照)。
【0040】
1−2−2.作用・効果
粉塵センサ10−2は、鉄粉などの導体微粒子Pcが発生する空間(被監視空間)における導体微粒子Pcの発生量や堆積量の監視用に使用される。導体微粒子Pcが発生する空間の床面などに粉塵センサ10−2を設置しておくと、空間中に浮遊あるいは飛散した導体微粒子Pcが粉塵センサ10−2の凹部16に浸入する。そして、粉塵センサ10−2の内面又は内部空間である粒子検出領域17に付着又は堆積した導体微粒子Pcによって両電極15a、15b間が短絡すると(図14参照)、アンテナ11の回路が形成される。その結果、図示しないリーダからの電波をアンテナ11が受信し始める。そして、アンテナ11による受信電力で送信回路12が作動する。送信回路12が作動することにより、アンテナ11から識別信号が送信される。
【0041】
したがって、粉塵センサ10からの識別信号sig.1を図示しないリーダで受信できるようにしておき、その識別信号sig.1の有無を監視することにより、被監視空間における導体微粒子Pcの発生量や堆積量が規定値以上になったか否かを知ることができる。この規定値は、導体微粒子Pcの平均粒径Dと両電極15a、15b相互の間隔D0と
の関係によって概略定められる。この例では、D0の値を約2.8Dに選定している。し
たがって、3乃至4個以上の導体微粒子Pcが連続して並んで堆積或いは付着する程度の導体微粒子Pcの発生量又は堆積量になったことを、粉塵センサ10−2からの識別信号sig.1を受信することにより検知できる。粉塵センサ10−2上への導体微粒子Pcの堆積量がある程度以上大きくなると、堆積した導体微粒子Pcによってアンテナ11の機能が阻害されるようになるので、上記規定値はこのような機能阻害が発生しない程度の値に選定しておく必要がある。
【0042】
また、識別信号sig.1を受信することにより、粉塵センサ10−2のID情報(ユニーク値)を知ることができるので、複数の粉塵センサ10−2が設置されている場合でも、どの粉塵センサ10−2からの信号であるかを判別することができる。
【0043】
また、この粉塵センサ10−2は、タグ体13の下面に粘着剤層81が形成され、その粘着剤層81が剥離シート82で覆われているので、剥離シート82を剥がせば、図87に示すように、粉塵センサ10−2を被貼着物85に貼り付けて固定することができる。この形態例の場合の被貼着物85の例として、鉄粉などの導体微粒子が発生する工場や作業現場の床面や壁面、作業者の保安帽、防じんマスクなどを挙げることができる。
【0044】
1−3.第3の形態例
図15は粉塵センサの更に別の形態例を示す斜視図である。図16は図15に示す粉塵センサの平面図である。図17は図15に示す粉塵センサの側面図である。図18は図15に示す粉塵センサの下面図である。図19は図15に示す粉塵センサの要部断面図である。図20は図15に示す粉塵センサの回路図である。
【0045】
1−3−1.構成
この粉塵センサ10−3は、二つのアンテナ11−1、11−2と、アンテナ11−1、11−2から識別信号sig.1−1、sig.1−2を送信する送信回路12と、アンテナ11−1、11−2と送信回路12を一括収容した樹脂製のタグ体13と、タグ体13の表面の一部に形成された凹部16の内面又は内部空間であって検知対象粒子である導体微粒子Pcが付着又は堆積する粒子検出領域17と、粒子検出領域17を挟んで対向配置された対をなす電極15a、15bと、を備えている。この例では、電極15a、15bの対が凹部16の深さ方向に離間させて二対配置されている。
【0046】
両電極15a、15b相互の間隔D0は、両電極15a、15b間に存在する粒子検出
領域17に導体微粒子Pcが複数個付着したときに、それらの導体微粒子Pcによって両電極15a、15b間が短絡する大きさに選定されている。たとえば導体微粒子Pcの平均粒径がDであるとき、間隔D0は、D0>Dで表される関係が成立するように選定される。この例では、D0を約2.8Dとしている。
【0047】
第1のアンテナ11−1の回路は、粒子検出領域17に付着又は堆積した導体微粒子Pcによって下側の電極対15Lを構成する電極15a、15b間が短絡(導通、電気的に接続)することにより形成される。アンテナ11−1の同調周波数f0は、アンテナコイ
ル11A−1のインダクタンスL1とコンデンサ11B−1の容量C1によって定まる。第2のアンテナ11−2の回路は、粒子検出領域17に付着又は堆積した導体微粒子Pcによって上側の電極対15Uを構成する電極15a、15b間が短絡(導通、電気的に接続)することにより形成される。アンテナ11−2の同調周波数f0は、アンテナコイル
11A−2のインダクタンスL2とコンデンサ11B−2の容量C2によって定まる。
【0048】
送信回路12は、アンテナ11−1、11−2による受信電力を使用して作動する。そして、第1のアンテナ11−1が形成されているときには、識別信号sig.1−1をアンテナ11−1から送信し、第2のアンテナ11−2が形成されているときには、識別信号sig.1−2をアンテナ11−2から送信する。識別信号sig.1−1は、粉塵センサ10−3に個別に割り当てられたID情報(ユニーク値)と検出量が小であることを示す値とを含む信号である。識別信号sig.1−2は、当該ID情報(ユニーク値)と検出量が大であることを示す値とを含む信号である。
【0049】
タグ体13は、長方形の平板状に成形された密閉構造の硬質樹脂ケーシングであり、ケーシング内への水分や外気の侵入を完全に遮断している。
【0050】
第1及び第2の電極対15L、15Uを構成する各電極15a、15bは、その表面15sを露出させてタグ体13の凹部16の側面部に埋設されている。この例では、各電極15a、15bの表面15sとタグ体13の凹部16の側面16aは同一平面をなしている。
【0051】
タグ体13の下面には、粘着剤層81が形成されている。粘着剤層81は、剥離シート82で覆われている。剥離シート82は簡単に剥がすことができるようになっている(図86参照)。
【0052】
1−3−2.作用・効果
粉塵センサ10−3は、鉄粉などの導体微粒子Pcが発生する空間(被監視空間)における導体微粒子Pcの発生量や堆積量の監視用に使用される。導体微粒子Pcが発生する空間の床面などに粉塵センサ10−3を設置しておくと、空間中に浮遊あるいは飛散した導体微粒子Pcが粉塵センサ10−3の凹部16に浸入する。そして、粉塵センサ10−3の内面又は内部空間である粒子検出領域17に付着又は堆積した導体微粒子Pcによって第1の電極対15Lを構成する両電極15a、15b間が短絡すると(図21参照)、第1のアンテナ11−1の回路が形成される。その結果、図示しないリーダからの電波を第1のアンテナ11−1が受信し始める。そして、第1のアンテナ11−1による受信電力で送信回路12が作動する。送信回路12が作動することにより、第1のアンテナ11−1から識別信号sig.1−1が送信される。
【0053】
第1の電極対15Lの両電極15a、15b間が短絡した後も粉塵センサ10−3を放置しておくと、導体微粒子Pcが粉塵センサ10−3の凹部16に浸入しさらに堆積する。そして、粒子検出領域17に堆積した導体微粒子Pcによって第2の電極対15Uの両電極15a、15b間が短絡すると(図22参照)、第2のアンテナ11−2の回路が形成される。その結果、図示しないリーダからの電波を第2のアンテナ11−2が受信し始める。そして、両方のアンテナ11−1、11−2による受信電力で送信回路12が作動する。その結果、第1のアンテナ11−1から識別信号sig.1−1が送信されるとともに、第2のアンテナ11−2から識別信号sig.1−2が送信される。
【0054】
したがって、この粉塵センサ10−3からの識別信号sig.1−1、sig.1−2を図示しないリーダで受信できるようにしておき、両識別信号sig.1−1、sig.1−2の有無を監視することにより、被監視空間における導体微粒子Pcの発生量や堆積量が規定値以上になったか否かを段階的(この例では、未発生(或いは発生量極小)、発生量小、発生量大の3段階)に知ることができる。すなわち、識別信号sig.1−1が受信されなければ、導体微粒子Pcが未発生或いは第1の電極対15Lの両電極15a、15b間が短絡しない程の極少量しか発生していないことを知ることができる。そして、識別信号sig.1−1を検知することにより、第1の電極対15Lの両電極15a、15b間が短絡する程度の少量の導体微粒子Pcが粉塵センサ10−3上に堆積したことを知ることができる。また、識別信号sig.1−2を検知することにより、高い位置にある第2の電極対15Uの両電極15a、15b間が短絡する程度の大量の導体微粒子Pcが粉塵センサ10−3上に堆積したことを知ることができる。
【0055】
また、識別信号sig.1−1、sig.1−2を受信することにより、粉塵センサ10−3のID情報(ユニーク値)を知ることができるので、複数の粉塵センサ10−3が設置されている場合でも、どの粉塵センサ10−3からの信号であるかを判別することができる。
【0056】
また、この粉塵センサ10−3は、タグ体13の下面に粘着剤層81が形成され、その粘着剤層81が剥離シート82で覆われているので、剥離シート82を剥がせば、図87に示すように、粉塵センサ10−3を被貼着物85に貼り付けて固定することができる。この形態例の場合の被貼着物85の例として、鉄粉などの導体微粒子が発生する工場や作業現場の床面や壁面、作業者の保安帽、防じんマスクなどを挙げることができる。
【0057】
なお、第1〜第3の実施形態では、粒子検出領域17を画成する凹部16として、矩形状の凹部16を例示したが、凹部16の形状は矩形状である必要はない。図23〜図25に示すように、凹部16の形状を逆台形状に設計しておけば、凹部16に堆積した導体微粒子Pcの除去作業が容易になる。図26に示すように、逆台形状の凹部16の長手方向両端面も含めて四側面全てが傾斜面になっていれば、凹部16に堆積した導体微粒子Pcの除去作業がより容易になる。
【0058】
また、第3の実施形態では、凹部16の上下に離間させて二対の電極対15L、15Uを配置するとともに二つのアンテナ11−1、11−2を備え、二対の電極15L、15Uが順次短絡することにより二つのアンテナ11−1、11−2の回路が順次形成され、それに対応して識別信号sig.1−1、sig.1−2を送信するように構成した例について説明したが、図27に示すように、二対の電極対15L、15Uに対してアンテナ11を一つだけ備えた構成としてもよい。この場合、各電極対15L、15Uの短絡を送信回路12が検知し、短絡した電極対15L、15Uに応じた識別信号sig.1−1、sig.1−2を送信する。
【0059】
また、第3の実施形態の構成において、下側の電極対15Lは、粉塵センサ10−3が正常に機能しているか否かのチェック用として使用することもできる。すなわち、粉塵センサ10−3から識別信号sig.1−1が送信されていることを確認することにより、この粉塵センサ10−3の導体微粒子検出機能が正常に働いていることを知ることができる。そして、粉塵センサ10−3から識別信号sig.1−2が送信されてきたら、導体微粒子Pcの堆積量が相当量に達したと判断することができる。
【0060】
2.誘電体微粒子検出用センサ
【0061】
2−1.第4の形態例
図28は粉塵センサの更に別の形態例を示す斜視図である。図29は図28に示す粉塵センサの平面図である。図30は図28に示す粉塵センサの側面図である。図31は図28に示す粉塵センサの下面図である。図32は図28に示す粉塵センサの要部断面図である。図33は図28に示す粉塵センサの回路図である。
【0062】
2−1−1.構成
この粉塵センサ20−1は、アンテナ21と、アンテナ21から識別信号sig.2を送信する送信回路22と、送信回路22を一括収容した樹脂製のタグ体23と、タグ体23の表面の一部であって検知対象粒子である誘電体微粒子Piが付着する粒子検出領域24と、粒子検出領域24に互いの間隙が重なるようにして互いに並行に設けられた一対の電極25a、25bと、を備えている。
【0063】
両電極25a、25b相互の間隔は、粒子検出領域24に誘電体微粒子Piが付着したときに、両電極25a、25b間の静電容量Cxが変化する大きさに選定されている。
【0064】
アンテナ21の同調周波数fxは、アンテナコイル21AのインダクタンスLとコンデンサ21Bの容量C1と上記一対の電極25a、25b間の静電容量Cxによって定まる。すなわち、このアンテナ21は、上記一対の電極25a、25bからなる容量可変コンデンサをエレメントとして含んでいる。
【0065】
送信回路22は、アンテナ21が図示しないリーダからの電波に同調したときのアンテナ21による受信電力を使用して作動し、識別信号sig.2をアンテナ21から送信する。識別信号sig.2は、粉塵センサ20−1に個別に割り当てられたID情報(ユニーク値)の信号である。
【0066】
タグ体23は、長方形の平板状に成形された密閉構造の硬質樹脂ケーシングであり、ケーシング内への水分や外気の侵入を完全に遮断している。
【0067】
両電極25a、25bは、タグ体23の表面近傍に埋設されている。
【0068】
タグ体23の下面には、粘着剤層81が形成されている。粘着剤層81は、剥離シート82で覆われている。剥離シート82は簡単に剥がすことができるようになっている(図86参照)。
【0069】
2−1−2.作用・効果
粉塵センサ20−1は、埃、合成樹脂粉、花粉などの誘電体微粒子Piが発生或いは浸入する空間(被監視空間)における誘電体微粒子Piの発生量や堆積量の監視用に使用される。誘電体微粒子Piが発生する空間の床面などに粉塵センサ20−1を設置しておくと、空間中に浮遊あるいは飛散した誘電体微粒子Piが粉塵センサ20−1の表面に付着する(図34参照)。粉塵センサ20−1の表面の一部をなす粒子検出領域24に付着した導体微粒子Pcの影響により粒子検出領域24近傍の誘電率が変化する。その結果、両電極25a、25b間の静電容量Cxが変化する。アンテナ21の同調周波数fxが図示しないリーダからの電波の周波数と一致すると、当該リーダからの電波をアンテナ21が受信し始める。そして、アンテナ21による受信電力で送信回路22が作動する。送信回路22が作動することにより、アンテナ21から識別信号sig.2が送信される。
【0070】
したがって、粉塵センサ20−1からの識別信号sig.2を図示しないリーダで受信できるようにしておき、リーダから所定周波数(アンテナ21の同調周波数)の電波を常時又は定期的に送信し、粉塵センサ20−1からの識別信号sig.2の送信の有無を監視することにより、被監視空間における誘電体微粒子Piの発生量や堆積量が規定値以上になったか否かを知ることができる。この規定値は、誘電体微粒子Piの誘電率、両電極25a、25b相互の間隔、両電極25a、25bの面積などによって概略定められる。
【0071】
また、識別信号sig.2を受信することにより、粉塵センサ20−1のID情報(ユニーク値)を知ることができるので、複数の粉塵センサ20−1が設置されている場合でも、どの粉塵センサ20−1からの信号であるかを判別することができる。
【0072】
また、この粉塵センサ20−1は、タグ体23の下面に粘着剤層81が形成され、その粘着剤層81が剥離シート82で覆われているので、剥離シート82を剥がせば、図87に示すように、粉塵センサ20−1を被貼着物85に貼り付けて固定することができる。この形態例の場合の被貼着物85の例として、合成樹脂粉、コンクリート破砕粉、穀物粉などの誘電体微粒子が発生する工場や作業現場の床面や壁面、作業者の保安帽、防じんマスクなどを挙げることができる。
【0073】
2−2.第5の形態例
図35は粉塵センサの更に別の形態例を示す斜視図である。図36は図35に示す粉塵センサの平面図である。図37は図35に示す粉塵センサの側面図である。図38は図35に示す粉塵センサの下面図である。図39は図35に示す粉塵センサの要部断面図である。図40は図35に示す粉塵センサの回路図である。
【0074】
2−2−1.構成
この粉塵センサ20−2は、アンテナ21と、アンテナ21から識別信号sig.2を送信する送信回路22と、送信回路22を一括収容した樹脂製のタグ体23と、タグ体23の表面の一部に形成された凹部26の内面又は内部空間であって検知対象粒子である誘電体微粒子Piが付着又は堆積する粒子検出領域27と、粒子検出領域27を挟んで対向配置された一対の電極25a、25bと、を備えている。凹部26の底部周縁部は断面円弧状の曲面になっている。
【0075】
両電極25a、25b相互の間隔は、粒子検出領域24に誘電体微粒子Piが付着又は堆積したときに、両電極25a、25b間の静電容量Cxが変化する大きさに選定されている。
【0076】
アンテナ21の同調周波数fxは、アンテナコイル21AのインダクタンスLとコンデンサ21Bの容量C1と上記一対の電極25a、25b間の静電容量Cxによって定まる。すなわち、このアンテナ21は、上記一対の電極25a、25bからなる容量可変コンデンサをエレメントとして含んでいる。
【0077】
送信回路22は、アンテナ21が図示しないリーダからの電波に同調したときのアンテナ21による受信電力を使用して作動し、識別信号sig.2をアンテナ21から送信する。識別信号sig.2は、粉塵センサ20−1に個別に割り当てられたID情報(ユニーク値)の信号である。
【0078】
タグ体23は、長方形の平板状に成形された密閉構造の硬質樹脂ケーシングであり、ケーシング内への水分や外気の侵入を完全に遮断している。
【0079】
両電極25a、25bは、タグ体23の凹部26の側面近傍に埋設されている。
【0080】
タグ体23の下面には、粘着剤層81が形成されている。粘着剤層81は、剥離シート82で覆われている。剥離シート82は簡単に剥がすことができるようになっている(図86参照)。
【0081】
2−2−2.作用・効果
粉塵センサ20−2は、埃、合成樹脂粉、花粉などの誘電体微粒子Piが発生或いは浸入する空間(被監視空間)における誘電体微粒子Piの発生量や堆積量の監視用に使用される。誘電体微粒子Piが発生する空間の床面などに粉塵センサ20−2を設置しておくと、空間中に浮遊あるいは飛散した誘電体微粒子Piが粉塵センサ20−2の表面に付着するとともに凹部26に浸入する(図41参照)。凹部26に浸入し付着又は堆積した誘電体微粒子Piの影響により粒子検出領域24の誘電率が変化する。その結果、両電極25a、25b間の静電容量Cxが変化する。アンテナ21の同調周波数fxが図示しないリーダからの電波の周波数frと一致すると、当該リーダからの電波をアンテナ21が受
信し始める。そして、アンテナ21による受信電力で送信回路22が作動する。送信回路22が作動することにより、アンテナ21から識別信号sig.2が送信される。
【0082】
したがって、粉塵センサ20−1からの識別信号sig.2を図示しないリーダで受信できるようにしておき、リーダから所定周波数frの電波を常時又は定期的に送信し、ア
ンテナ21の同調周波数fxがリーダからの送信電波の周波数frと一致したときに粉塵
センサ20−1から送られてくる識別信号sig.2の有無を監視することにより、被監視空間における誘電体微粒子Piの発生量や堆積量が規定値以上になったか否かを知ることができる。この規定値は、誘電体微粒子Piの誘電率、両電極25a、25b相互の間隔、両電極25a、25bの面積などによって概略定められる。
【0083】
また、識別信号sig.2を受信することにより、粉塵センサ20−1のID情報(ユニーク値)を知ることができるので、複数の粉塵センサ20−1が設置されている場合でも、どの粉塵センサ20からの信号であるかを判別することができる。
【0084】
また、この粉塵センサ20−1は、タグ体23の下面に粘着剤層81が形成され、その粘着剤層81が剥離シート82で覆われているので、剥離シート82を剥がせば、図87に示すように、粉塵センサ20−1を被貼着物85に貼り付けて固定することができる。この形態例の場合の被貼着物85の例として、合成樹脂粉、コンクリート破砕粉、穀物粉などの誘電体微粒子が発生する工場や作業現場の床面や壁面、作業者の保安帽、防じんマスクなどを挙げることができる。
【0085】
また、凹部26の底部周縁部が断面円弧状の曲面になっているので、凹部26内をクリーニングした際に凹部26の底部周縁部に誘電体微粒子Piなど異物が残留し難い。
【0086】
なお、第4及び第5の実施形態では、アンテナ21の同調周波数fxがリーダからの送信電波の周波数frと一致したときに粉塵センサ20から送られてくる識別信号sig.
2の有無を監視することにより、被監視空間における誘電体微粒子Piの発生量や堆積量が規定値以上になったか否かを検知する方式を採用しているが、粉塵センサ20との交信状態が保たれるように、アンテナ21の同調周波数fxに追従させて送信電波の周波数frを変化させる機能を備えたリーダを使用すれば、同調周波数fx(=fr)の変化に基づいて、誘電体微粒子Piの発生量や堆積量の変化を検知することもできる。すなわち、粒子検出領域24に付着又は堆積した誘電体微粒子Piによって両電極25a、25b間の静電容量Cxが変化することにより、アンテナ21から送信される信号の周波数が変化するように構成してもよい。また、両電極25a、25b間の静電容量Cxの変化に応じて、すなわちアンテナ21の同調周波数fxの変化に応じて、識別信号sig.2の内容(値)を送信回路22が能動的に変化させるように構成してもよい。
【0087】
3.導体微粒子・誘電体粒子検出用センサ(明所用)
【0088】
3−1.第6の形態例
図42は粉塵センサの更に別の形態例を示す斜視図である。図43は図42に示す粉塵センサの平面図である。図44は図42に示す粉塵センサの側面図である。図45は図42に示す粉塵センサの下面図である。図46は図42に示す粉塵センサの要部断面図である。図47は図42に示す粉塵センサの回路図である。
【0089】
3−1−1.構成
この粉塵センサ30は、アンテナ31と、アンテナ31から識別信号sig.3を送信する送信回路32と、アンテナ31と送信回路32を一括収容した樹脂製のタグ体33と、タグ体33の表面の検知対象粒子Pが付着する位置に形成された受光窓34と、受光窓34を通して入射する光を検出する受光素子35と、を備えている。
【0090】
アンテナ31の同調周波数f0は、アンテナコイル31AのインダクタンスL1とコン
デンサ31Bの容量C1によって定まる。
【0091】
タグ体33は、長方形の平板状に成形された密閉構造の硬質樹脂ケーシングであり、ケーシング内への水分や外気の侵入を完全に遮断している。
【0092】
受光窓34は、タグ体33の表面に矩形状に開口している。受光窓34は、光を良好に透過する透明樹脂板36によって気密に閉塞されている。
【0093】
受光素子35は、その受光面を受光窓34を通して外部に臨ませた状態でタグ体33内に収容され保持されている。受光素子35の出力は送信回路32に入力される。
【0094】
送信回路32は、アンテナ31による受信電力を使用して作動する。そして、受光素子35の出力が所定のレベル以上のときに識別信号sig.3をアンテナ31から送信する。識別信号sig.3は、粉塵センサ31に個別に割り当てられたID情報(ユニーク値)を示す信号である。
【0095】
タグ体33の下面には、粘着剤層81が形成されている。粘着剤層81は、剥離シート82で覆われている。剥離シート82は簡単に剥がすことができるようになっている(図86参照)。
【0096】
3−3−2.作用・効果
粉塵センサ30は、検知対象粒子(金属微粒子、誘電体微粒子)Pが発生或いは浸入する空間(被監視空間)における検知対象粒子Pの発生量や堆積量の監視用に使用されるものであり、自然光や照明光によって明るく照らされた場所に設置して使用されるものである。自然光や照明光によって明るく照らされた場所に粉塵センサ30を設置すると、受光窓34を通して受光素子35に光が入射する。受光素子35は、その入射光を受光し、その受光量に応じたレベルの電力を出力する。図示しないリーダからの電波をアンテナ31が受信すると、その受信電力により送信回路32が作動する。送信回路32は、受光素子35の出力レベルが所定の値(しきい値)以上であれば、識別信号sig.3をアンテナ31から送信する。すなわち、この粉塵センサ30は、図示しないリーダからの電波をアンテナ31が受信しており且つ受光素子35の出力レベルが所定の値以上である限り、識別信号sig.3を送信し続ける。
【0097】
この粉塵センサ30を検知対象粒子Pが発生する空間の床面などに粉塵センサ30を設置しておくと、空間中に浮遊あるいは飛散した検知対象粒子Pが粉塵センサ30の表面に付着又は堆積する。検知対象粒子Pは受光窓34の透明樹脂板36の上にも付着又は堆積する(図48)。その結果、受光素子35への入射光量が減少し、それに伴って受光素子35の出力レベルも低下する。そして、受光素子35の出力レベルが所定の値未満になると、送信回路32は識別信号sig.3の送信を停止する。
【0098】
したがって、この粉塵センサ30によれば、これを自然光や照明光によって明るく照らされた場所に設置し、粉塵センサ30からの識別信号sig.3の有無を監視することにより、被監視空間における検知対象粒子Pの発生量や堆積量が規定値以上になったか否かを知ることができる。すなわち、粉塵センサ30から識別信号sig.3の送信がなされていれば、被監視空間における検知対象粒子Pの発生量や堆積量が規定値未満であると判断できる。一方、リーダから所定周波数f0の電波を送信しているにも拘わらず、粉塵セ
ンサ30から識別信号sig.3が送信されてこなくなったら、被監視空間における検知対象粒子Pの発生量や堆積量が規定値以上になったと判断できる。
【0099】
また、識別信号sig.3を受信することにより、粉塵センサ30のID情報(ユニーク値)を知ることができるので、複数の粉塵センサ30が設置されている場合でも、どの粉塵センサ30からの信号であるかを判別することができる。
【0100】
また、この粉塵センサ30は、タグ体33の下面に粘着剤層81が形成され、その粘着剤層81が剥離シート82で覆われているので、剥離シート82を剥がせば、図87に示すように、粉塵センサ20−1を被貼着物85に貼り付けて固定することができる。この形態例の場合の被貼着物85の例として、導体微粒子や誘電体微粒子が発生又は浸入する工場や作業現場の床面や壁面などを挙げることができる。
【0101】
なお、上記実施形態では、受光素子35の出力レベルが所定の値以上のときに識別信号sig.3が送信され、出力レベルが所定の値未満になったら識別信号sig.3の送信が停止される構成としたが、これとは逆に、受光素子35の出力レベルが所定の値以上のときは識別信号sig.3が送信されず、出力レベルが所定の値未満になったら識別信号sig.3が送信される構成としてもよい。後者の構成によれば、粉塵センサ30からの識別信号sig.3を受信することにより検知対象粒子Pの発生量が規定値以上になったことを知ることができる。
【0102】
また、受光素子35の出力に応じてアンテナ31から送信される識別信号sig.3の周波数や強度を変化させるように構成してもよい。このように構成すれば、粉塵センサ30から送信された識別信号sig.3の周波数や強度に基づいて検知対象粒子Pの発生量を知ることができる。
【0103】
また、受光素子35として太陽電池を使用すれば、受光素子35の出力によって送信回路32を駆動することも可能である。この場合、受光素子35に十分な光量の光が入射している間は粉塵センサ30から識別信号sig.3が送信され続ける。そして、受光素子35への入射光量が低下し、受光素子35の出力が不十分になったら送信回路32が作動を停止するため、粉塵センサ30から識別信号sig.3が送信されなくなる。したがって、粉塵センサ30から識別信号sig.3が送信されてこなくなったら、被監視空間における検知対象粒子Pの発生量や堆積量が規定値以上になったと判断できる。
【0104】
4.導体微粒子・誘電体粒子検出用センサ(暗所用)
【0105】
4−1.第7の形態例
図49は粉塵センサの更に別の形態例を示す斜視図である。図50は図49に示す粉塵センサの平面図である。図51は図49に示す粉塵センサの側面図である。図52は図49に示す粉塵センサの下面図である。図53は図49に示す粉塵センサの要部断面図である。図54は図49に示す粉塵センサの回路図である。
【0106】
4−1−1.構成
この粉塵センサ40は、アンテナ41と、アンテナ41から識別信号sig.4を送信する送信回路42と、アンテナ41と送信回路42を一括収容した樹脂製のタグ体43と、タグ体43の検知対象粒子Pが付着する位置に固定して設けられ且つ所定の出力で発光する発光素子44と、タグ体43の検知対象粒子Pが付着する位置に固定して設けられ且つ発光素子44からの光を受光する受光素子45と、を備えている。
【0107】
アンテナ41の同調周波数f0は、アンテナコイル41AのインダクタンスL1とコン
デンサ41Bの容量C1によって定まる。
【0108】
タグ体43は、長方形の平板状に成形された密閉構造の硬質樹脂ケーシングであり、ケーシング内への水分や外気の侵入を完全に遮断している。
【0109】
タグ体43の表面(上面)部には矩形状の凹部46が形成されている。この凹部46の隙間を隔てて、発光素子44と受光素子45とが互いに対向して配置されている。
【0110】
発光素子44は、送信回路42内の図示しない駆動回路によって駆動され、特定の波長の光を発する。受光素子45は、発光素子44からの光を受光し直流電力を出力する。受光素子45の出力は送信回路42に入力される。
【0111】
送信回路42は、図示しないバッテリを内蔵しており、そのバッテリの電力で発光素子44を駆動(発光)させるとともに受光素子45の出力を監視する。そして、受光素子45の出力が所定のレベル未満のときに識別信号sig.4をアンテナ41から送信する。識別信号sig.4は、粉塵センサ41に個別に割り当てられたID情報(ユニーク値)を示す信号である。
【0112】
タグ体43の下面には、粘着剤層81が形成されている。粘着剤層81は、剥離シート82で覆われている。剥離シート82は簡単に剥がすことができるようになっている(図86参照)。
4−1−2.作用・効果
粉塵センサ40は、検知対象粒子(金属微粒子、誘電体微粒子)Pが発生或いは浸入する空間(被監視空間)における検知対象粒子Pの発生量や堆積量の監視用に使用されるものであり、主として暗所に設置して使用されるものである。発光素子44の発光波長の光が入射しない場所であれば明るい場所でも使用可能である。受光素子45は、発光素子44からの光を受光し、その受光量に応じたレベルの電力を出力する。送信回路42は、受光素子45の出力レベルが所定の値(しきい値)以上であれば送信動作は行わない。
【0113】
この粉塵センサ40を検知対象粒子Pが発生する空間の床面などに設置しておくと、空間中に浮遊あるいは飛散した検知対象粒子Pが粉塵センサ40の凹部46に浸入する。そして、凹部46内に堆積した或いは凹部46の側面に付着した検知対象粒子Pによって発光素子44の光が遮られはじめると(図55)、それに伴って受光素子45の出力レベルが低下する。送信回路42は、受光素子45の出力レベルが所定の値未満になったら、識別信号sig.4をアンテナ41から送信する。
【0114】
したがって、この粉塵センサ40によれば、識別信号sig.4の有無を監視することにより、被監視空間における検知対象粒子Pの発生量や堆積量が規定値以上になったか否かを知ることができる。すなわち、粉塵センサ40から識別信号sig.4が送信されてこなければ、被監視空間における検知対象粒子Pの発生量や堆積量が規定値未満であると判断できる。一方、粉塵センサ40から識別信号sig.4が送信されてきたら、被監視空間における検知対象粒子Pの発生量や堆積量が規定値以上になったと判断できる。
【0115】
また、識別信号sig.4を受信することにより、粉塵センサ40のID情報(ユニーク値)を知ることができるので、複数の粉塵センサ40が設置されている場合でも、どの粉塵センサ40からの信号であるかを判別することができる。
【0116】
また、この粉塵センサ40は、タグ体43の下面に粘着剤層81が形成され、その粘着剤層81が剥離シート82で覆われているので、剥離シート82を剥がせば、図87に示すように、粉塵センサ40を被貼着物85に貼り付けて固定することができる。この形態例の場合の被貼着物85の例として、導体微粒子や誘電体微粒子が発生又は浸入する工場や作業現場の床面や壁面などを挙げることができる。
【0117】
なお、上記実施形態では、受光素子45の出力レベルが所定の値未満のときに識別信号sig.4が送信される構成としたが、これとは逆に、受光素子45の出力レベルが所定の値以上のときに識別信号sig.4が送信され、出力レベルが所定の値未満になったら識別信号sig.4の送信が停止される構成としてもよい。後者の構成によれば、粉塵センサ40からの識別信号sig.4が送られてこなくなることにより、検知対象粒子Pの発生量が規定値以上になったことを知ることができる。
【0118】
また、受光素子45の出力に応じてアンテナ41から送信される識別信号sig.4の周波数や強度を変化させるように構成してもよい。このように構成すれば、粉塵センサ40から送信された識別信号sig.4の周波数や強度に基づいて検知対象粒子Pの発生量を知ることができる。
【0119】
また、図56に示すように、発光素子44と受光素子45の対を凹部46の深さ方向に離間させて二対配置し、各対の受光素子45の出力レベルに応じて、第の実施形態と同様に2種類の識別信号(sig.4−1、sig.4−2)がアンテナ41から送信されるように構成しておけば、被監視空間における導体微粒子Pcの発生量や堆積量が規定値以上になったか否かを段階的(この例では、未発生(或いは発生量極小)、発生量小、発生量大の3段階)に知ることができる。
【0120】
5.油センサ
【0121】
5−1.第8の形態例
図57は本発明の無線タグ型油センサ(以下、単に油センサと記す。)の形態例を示す斜視図である。図58は図57に示す油センサの平面図である。図59は図57に示す油センサの側面図である。図60は図57に示す油センサの下面図である。図61は図57に示す油センサの要部断面図である。図62は図57に示す油センサの回路図である。
【0122】
5−1−1.構成
この油センサ50は、アンテナ51と、アンテナ51から識別信号sig.5を送信する送信回路52と、送信回路52を一括収容した樹脂製のタグ体53と、タグ体53の表面の一部に形成された凹部56の内面又は内部空間であって検知対象である油分(Oil)が浸入する油分検出領域54と、油分検出領域54を挟んで対向配置された一対の電極55a、55bと、を備えている。凹部56の底部周縁部は断面円弧状の曲面になっている。
【0123】
両電極55a、55b相互の間隔は、油分検出領域54に油分(Oil)が浸入したときに、両電極55a、55b間の静電容量Cxが変化する大きさに選定されている。
【0124】
アンテナ51の同調周波数fxは、アンテナコイル51AのインダクタンスLとコンデンサ51Bの容量C1と上記一対の電極55a、55b間の静電容量Cxによって定まる。すなわち、このアンテナ51は、上記一対の電極55a、55bからなる容量可変コンデンサをエレメントとして含んでいる。
【0125】
送信回路52は、アンテナ51が図示しないリーダからの電波に同調したときのアンテナ51による受信電力を使用して作動し、識別信号sig.5をアンテナ51から送信する。識別信号sig.5は、油センサ50に個別に割り当てられたID情報(ユニーク値)の信号である。
【0126】
タグ体53は、長方形の平板状に成形された密閉構造の硬質樹脂ケーシングであり、ケーシング内への水分や外気の侵入を完全に遮断している。
【0127】
両電極55a、55bは、タグ体53の凹部56の側面近傍に埋設されている。
【0128】
タグ体53の下面には、粘着剤層81が形成されている。粘着剤層81は、剥離シート82で覆われている。剥離シート82は簡単に剥がすことができるようになっている(図86参照)。
【0129】
5−1−2.作用・効果
油センサ50は、油微粒子が発生或いは浸入したり油漏れが発生したりする可能性のある空間(被監視空間)における油分(Oil)の発生量や油分(Oil)による汚染量の監視用に使用される。油微粒子が浮遊あるいは飛散する空間の床面などに油センサ50を設置しておくと、油分(Oil)が油センサ50の表面に付着するとともに凹部56に浸入する(図63参照)。凹部56に浸入した油分(Oil)の影響により油分検出領域54の誘電率が変化する。その結果、両電極55a、55b間の静電容量Cxが変化する。アンテナ51の同調周波数fxが図示しないリーダからの電波の周波数frと一致すると
、当該リーダからの電波をアンテナ51が受信し始める。そして、アンテナ51による受信電力で送信回路52が作動する。送信回路52が作動することにより、アンテナ51から識別信号sig.5が送信される。
【0130】
したがって、油センサ50からの識別信号sig.5を図示しないリーダで受信できるようにしておき、リーダから所定周波数frの電波を常時又は定期的に送信し、アンテナ
51の同調周波数fxがリーダからの送信電波の周波数frと一致したときに油センサ5
0から送られてくる識別信号sig.5の有無を監視することにより、被監視空間における油分(Oil)の発生量や油分(Oil)による汚染量が規定値以上になったか否かを知ることができる。この規定値は、油分(Oil)の誘電率、両電極55a、55b相互の間隔、両電極55a、55bの面積などによって概略定められる。
【0131】
また、識別信号sig.5を受信することにより、油センサ50のID情報(ユニーク値)を知ることができるので、複数の油センサ50が設置されている場合でも、どの油センサ50からの信号であるかを判別することができる。
【0132】
また、この油センサ50は、タグ体53の下面に粘着剤層81が形成され、その粘着剤層81が剥離シート82で覆われているので、剥離シート82を剥がせば、図87に示すように、油センサ50を被貼着物85に貼り付けて固定することができる。この形態例の場合の被貼着物85の例として、食品工場や厨房の床面や壁面などを挙げることができる。
【0133】
また、凹部56の底部周縁部が断面円弧状の曲面になっているので、凹部56内をクリーニングした際に凹部56の底部周縁部に油分(Oil)など異物が残留し難い。
【0134】
なお、第8の実施形態では、アンテナ51の同調周波数fxがリーダからの送信電波の周波数frと一致したときに油センサ50から送られてくる識別信号sig.5の有無を
監視することにより、被監視空間における油分(Oil)の発生量や油分(Oil)による汚染量が規定値以上になったか否かを検知する方式を採用しているが、油センサ50との交信状態が保たれるように、アンテナ51の同調周波数fxに追従させて送信電波の周波数frを変化させる機能を備えたリーダを使用すれば、同調周波数fx(=fr)の変化に基づいて、油分(Oil)の発生量や油分(Oil)による汚染量の変化を検知することもできる。すなわち、油分検出領域54に付着又は溜まった油分(Oil)によって両電極55a、55b間の静電容量Cxが変化することにより、アンテナ51から送信される信号の周波数が変化するように構成してもよい。また、両電極55a、55b間の静電容量Cxの変化に応じて、すなわちアンテナ51の同調周波数fxの変化に応じて、識別信号sig.5の内容(値)を送信回路52が能動的に変化させるように構成してもよい。
【0135】
6.無線タグ型ガスセンサ
【0136】
6−1.第9の形態例
図64は本発明の無線タグ型ガスセンサ(以下、単にガスセンサと記す。)の形態例を示す斜視図である。図65は図64に示すガスセンサの平面図である。図66は図64に示すガスセンサの側面図である。図67は図64に示すガスセンサの下面図である。図68は図64に示すガスセンサの要部透視平面図である。図69は図68のA−A断面図である。図70は図68のB−B断面図である。図71は図64に示すガスセンサの回路図である。
【0137】
6−1−1.構成
このガスセンサ60−1は、二つのアンテナ61−1、61−2と、アンテナ61−1、61−2から識別信号sig.1−1、sig.1−2を送信する送信回路62と、アンテナ61−1、61−2と送信回路62を一括収容した樹脂製のタグ体63と、タグ体63から露出した第1感応部68−1と、第1感応部68−1に覆われた第2感応部68−2と、を備えている。第2感応部68−2と外気との接触は第1感応部68−1によって阻止されている。
【0138】
第1感応部68−1は、Fe薄膜66からなる。第1感応部68−1は、第1のアンテナ61−1の回路の途中に設けられた一対の電極65−1a、65−1b間に掛け渡して設けられることにより、第1のアンテナ61−1の回路の一部をなしている。第1感応部68−1の表面とタグ体63の表面は互いに同一平面をなしている。第1感応部68−1の厚さは数nmから数μmの範囲から選定される。第1感応部68−1を構成するFe薄膜66の厚さを5nm以上に選定する場合、Fe薄膜66として貫通孔のないポーラス状のFe薄膜が使用される。
【0139】
第2感応部68−2は、第1感応部68−1と交差(この例では直交)させて且つ互いに離間させて並行に設けられた複数本(この例では4本)の帯状のFe薄膜67からなる。第2感応部68−1は、第2のアンテナ61−2の回路の途中に設けられた一対の電極65−2a、65−2b間に掛け渡して設けられることにより、第2のアンテナ61−2の回路の一部をなしている。第2感応部68−2と第1感応部68−1は互いに重なり合った状態で密に接触している。第2感応部68−2を構成するFe薄膜67の厚さは数nmから数mmの範囲から選定される。第2感応部68−2を構成するFe薄膜67の厚さを5nm以上に選定する場合、Fe薄膜67としてポーラス状の薄膜やメッシュ状のFe薄膜が使用される。これらに代えて、Fe繊維からなる不織布の薄膜を使用することも可能である。第2感応部68−1の両端に位置する一対の電極65−2a、65−2bの対向方向と第1感応部68−1の両端に位置する一対の電極65−1a、65−1bの対向方向は互いに直交している。
【0140】
第1のアンテナ61−1の回路側の一対の電極65−1a、65−1bは、第1感応部68−1を介して電気的に接続されている。一方、第2のアンテナ61−2の回路側の一対の電極65−2a、65−2bは、第1感応部68−1と第2感応部68−2を介して互いに電気的に接続されている。
【0141】
第1のアンテナ61−1の同調周波数f0-1は、アンテナコイル61A−1のインダク
タンスL1とコンデンサ61B−1の容量C1によって定まる。第2のアンテナ61−2の同調周波数f0-2は、アンテナコイル61A−2のインダクタンスL2とコンデンサ6
1B−2の容量C2によって定まる。この例では、両同調周波数f0-1、f0-2を同じ値f0に選定している。
【0142】
送信回路62は、第1及び第2のアンテナ61−1、61−2による受信電力を使用して作動する。そして、第1のアンテナ61−1から識別信号sig.6−1を送信し、第2のアンテナ61−2から識別信号sig.6−2を送信する。識別信号sig. 6−
1は、ガスセンサ60−1に個別に割り当てられたID情報(ユニーク値)と第1感応部68−1が導通状態にあること、すなわち第1のアンテナ61−1が機能していることを示す値とを含む信号である。識別信号sig. 6−2は、当該ID情報(ユニーク値)
と第2感応部68−2が導通状態にあること、すなわち第2のアンテナ61−2が機能していることを示す値とを含む信号である。
【0143】
タグ体63は、長方形の平板状に成形された密閉構造の硬質樹脂ケーシングであり、ケーシング内への水分や外気の侵入を完全に遮断している。
【0144】
タグ体63の表面(上面)には、第1感応部68−1を外気と非接触状態に維持する封止体69が取り外し可能に装着されている。封止体69は、タグ体63の表面に第1感応部68−1を覆うようにして密着させて貼り付けられた剥離シートである。
【0145】
タグ体63の裏面(下面)には、粘着剤層81が形成されている。粘着剤層81は、剥離シート82で覆われている。剥離シート82は簡単に剥がすことができるようになっている(図86参照)。
【0146】
6−1−2.作用・効果
図73は、ガスセンサ60−1の未使用時の状態及び使用時の状態を示す側面図である。ガスセンサ60−1は、未使用時には、その第1感応部68−1がタグ体63の表面に貼り付けられた封止体69によって気密に封止されており、使用時に封止体69が剥がされることにより、第1感応部68−1がガスに触れる状態になる。また、必要に応じて、剥離シート82を剥がして使用することができる。
【0147】
図74は、ガスセンサ60−1の未使用時又は使用開始直後すなわち封止体69が剥ぎ取られ第1感応部68−1が空気にさらされた直後における状態を示す等価回路である。この時点では、第1感応部68−1を構成するFe薄膜66も第2感応部68−2を構成するFe薄膜67も未だ酸化されていないので、第1のアンテナ61−1も第2のアンテナ61−2も共に機能し得る状態にある。このとき、図示しないリーダから周波数f0の電波を送信すると、その電波を両アンテナ61−1、61−2が受信する。そして、両アンテナ61−1、61−2による受信電力で送信回路62が作動する。送信回路62が作動することにより、両アンテナ61−1、61−2からそれぞれ識別信号sig. 6−1
、sig. 6−2が送信される。
【0148】
ガスセンサ60−1は、酸化性ガス(塩素、二酸化窒素、オゾン、酸素、等)が発生又は浸入する空間(被監視空間)における酸化性ガスの発生量や浸入量の監視用に使用される。封止体69を剥ぎ取って、酸化性ガスが発生する空間の壁面などにガスセンサ60−1を設置すると、空間中に存在する酸化性ガスが第1感応部68−1に接触するようになるため、第1感応部68−1を構成しているFe薄膜66の酸化が始まる。Fe薄膜66の酸化の進行に伴い、第1感応部68−1の電気抵抗率が増大していく。すなわち、第1感応部68−1は、当初の導体の状態から半導体の状態を経て、絶縁体の状態に近づいていく。Fe薄膜66が酸化反応によりFe2O3膜に変化していくのである。そして、最後には絶縁体の状態になる。その結果、第1のアンテナ61−1の両電極65−1a、65
−1b間の電気的導通が遮断され、第1のアンテナ61−1は機能し得ない状態になる。
図75(a)はこの時点での状態を示す等価回路であり、第1のアンテナ61−1は機能停止しているが、第2のアンテナ61−2は未だ機能している。この状態では、第1のアンテナ61−1からの識別信号sig.6−1の送信は停止しているが、第2のアンテナ61−2からの識別信号sig. 6−2の送信は継続されている。
【0149】
識別信号sig.6−1の送信が停止した後もガスセンサ60−1を放置しておくと、酸化性ガスによる酸化が第1感応部68−1から第2感応部68−2にも拡大していく。そして、第2感応部68−2を構成しているFe薄膜67の酸化の進行に伴い、第2感応部68−2の電気抵抗率が増大していく。すなわち、第2感応部68−2は、当初の導体の状態から半導体の状態を経て、絶縁体の状態に近づいていく。Fe薄膜67が酸化反応によりFe2O3膜に変化していくのである。そして、最後には絶縁体の状態になる。その結果、第2のアンテナ61−2の両電極65−2a、65−2b間の電気的導通が遮断され、第1のアンテナ61−2は機能し得ない状態になる。図75(b)はこの時点での状態を示す等価回路であり、第1のアンテナ61−1も第2のアンテナ61−2も共に機能停止している。この状態ではもはや、第1のアンテナ61−1からの識別信号sig.6−1の送信も第2のアンテナ61−2からの識別信号sig.6−2の送信もなされない。
【0150】
したがって、このガスセンサ60−1からの識別信号sig.6−1、sig.6−2を図示しないリーダで受信できるようにしておき、両識別信号sig.6−1、sig.6−2の有無を監視することにより、被監視空間における酸化性ガスの発生量や浸入量の累積値を知ることができる。すなわち、両識別信号sig.6−1、sig.6−2を受信できていれば、被監視空間における酸化性ガスの発生量や浸入量の累積値が未だ第1感応部68−1を絶縁状態に変化させる程の量に達していないことを知ることができ、一方の識別信号sig.1−1が受信されなくなったら、被監視空間における酸化性ガスの発生量や浸入量の累積値が第1感応部68−1を絶縁状態に変化させる程の量に達したことを知ることができる。そして、更にもう一方の識別信号sig.6−2も受信できなくなったら、被監視空間における酸化性ガスの発生量や浸入量の累積値が第2感応部68−2まで絶縁状態に変化させる程の量に達したことを知ることができる。
【0151】
また、識別信号sig.6−1、sig.6−2を受信することにより、ガスセンサ60−1のID情報(ユニーク値)を知ることができるので、複数のガスセンサ60−1が設置されている場合でも、どのガスセンサ60−1からの信号であるかを判別することができる。
【0152】
また、このガスセンサ60−1は、タグ体63の下面に粘着剤層81が形成され、その粘着剤層81が剥離シート82で覆われているので、剥離シート82を剥がせば、図87に示すように、ガスセンサ60−1を被貼着物85に貼り付けて固定することができる。この形態例の場合の被貼着物85の例として、酸化性ガスが発生する工場や作業現場の床面や壁面、作業者の保安帽、更には、自動車などの排気ガスに曝される建物の外壁面などを挙げることができる。
【0153】
なお、第9の実施形態では、二つのアンテナ61−1、61−2を備え、両アンテナ61−1、61−2が順次機能停止状態になり、それに対応して識別信号sig.6−1、sig.6−2が順次送信されなくなるように構成した例について説明したが、図76に示すように、第1及び第2の感応部68−1、68−2を送信回路62に接続し、アンテナ61を一つだけ備えた構成としてもよい。この場合、第1及び第2の感応部68−1、68−2の状態を送信回路62が検知し、それぞれの状態に応じた識別信号sig.6−1、sig.6−2を送信する。
【0154】
また、第9の実施形態の構成において、第1感応部68−1は、封止体69が剥ぎ取られているか否かのチェック用として使用することもできる。すなわち、ガスセンサ60−1から識別信号sig.6−1が送信されてこなくなったことを確認することにより、封止体69が剥ぎ取られた状態でガスセンサ60−1が作動していることを知ることができる。そして、ガスセンサ60−1から識別信号sig.6−2が送信されて来なくなったら、被監視空間における酸化性ガスの発生量や浸入量の累積値が相当量に達したと判断することができる。酸化性ガスの存在する雰囲気中に設置されているにもかかわらず、識別信号sig.6−1の送信が途絶えないということは、ガスセンサ60−1の第1感応部68−1が雰囲気に曝されていないことを意味するので、識別信号sig.6−1を監視することにより、封止体69の剥ぎ取り忘れを検知することができる。これにより目標ガスの検知漏れを防止できる。そして、特に目標ガスが有害ガスである場合におけるガス検知の確実性、信頼性が高められることにより安全性が向上する。
【0155】
また、第9の実施形態では、両感応部68−1、68−2をFe薄膜で構成したが、いずれか一方又は両方の感応部をNi薄膜、Cr薄膜その他の金属薄膜で構成してもよい。
【0156】
また、第9の実施形態では、感応部を二層備えたガスセンサについて説明したが、感応部を三層以上備えたガスセンサも実現可能である。もちろん感応部を一層のみ備えたガスセンサも有効である。
【0157】
6−2.第10の形態例
図77は本発明のガスセンサの形態例を示す斜視図である。図78は図77に示すガスセンサの平面図である。図79は図77に示すガスセンサの側面図である。図80は図77に示すガスセンサの下面図である。図81は図77に示すガスセンサの要部断面図である。図82は図77に示すガスセンサの回路図である。
【0158】
6−2−1.構成
このガスセンサ60−2は、アンテナ61と、アンテナ61から識別信号sig.1を送信する送信回路62と、アンテナ61と送信回路62を一括収容した樹脂製のタグ体63と、タグ体63から露出した感応部68と、を備えている。
【0159】
水素感応膜70は、R2 dtoa(ジチオオキサミド)の配位高分子金属錯体R2 dtoaM(ここで、Mは金属)からなる膜である。配位高分子金属錯体R2 dtoaMのMは、遷移金属である。遷移金属として、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、または、コバルト(Co)の何れか1つを用いることができる。配位高分子金属錯体R2 dtoaMのアルキル基Rは、(C3 H6 OH)、(C2 H4 OH)又はH(水素)である。(特開2004−28838号公報参照)
水素感応膜70は当初絶縁体の状態にある。このため、当初アンテナ61の両電極65a、65b間の電気的導通は遮断されており、アンテナ61は機能し得えない状態になっている。図84(a)はこの時点での状態を示す等価回路である。
【0160】
アンテナ61の同調周波数f0は、アンテナコイル61AのインダクタンスLとコンデ
ンサ61Bの容量Cによって定まる。
【0161】
送信回路62は、アンテナ61による受信電力を使用して作動する。そして、アンテナ61から識別信号sig.6を送信する。識別信号sig.6は、ガスセンサ60に個別に割り当てられたID情報(ユニーク値)を示す信号である。
【0162】
タグ体63は、長方形の平板状に成形された密閉構造の硬質樹脂ケーシングであり、ケーシング内への水分や外気の侵入を完全に遮断している。
【0163】
図83に示すように、タグ体63の表面(上面)には、感応部70を外気と非接触状態に維持する封止体69が取り外し可能に装着されている。封止体69は、タグ体63の表面に感応部68を覆うようにして密着させて貼り付けられた剥離シートである。
【0164】
タグ体63の裏面(下面)には、粘着剤層81が形成されている。粘着剤層81は、剥離シート82で覆われている。剥離シート82は簡単に剥がすことができるようになっている(図86参照)。
【0165】
6−2−2.作用・効果
ガスセンサ60−2は、水素が発生、浸入、漏出などする空間(被監視空間)における水素の発生量等の監視用に使用される。封止体69を剥ぎ取って、水素が発生する空間の天井などにガスセンサ60−2を設置すると、空間中に存在する水素が感応部68に接触するようになるため、感応部68を構成している水素感応膜70による水素の吸蔵が始まる。そして、水素の吸蔵に伴い、水素感応膜70の電気抵抗率が減少していく。すなわち、水素感応膜70は、当初の絶縁体の状態から半導体の状態を経て、導体の状態に近づいていく。水素の吸蔵に伴って共役酸化還元系の電子伝導体のエネルギー準位が低下することにより、電子伝導性が高くなるのである。そして、最後には金属と同等の導体の状態になる。その結果、アンテナ61の両電極65a、65b間が短絡(電気的に導通)し、アンテナ61が機能し得る状態になる。図84(b)はこの時点での状態を示す等価回路であり、図示しないリーダから周波数f0の電波が送信されていると、その電波をアンテナ61が受信し、その受信電力で送信回路62が作動する。送信回路62が作動することにより、アンテナ61から識別信号sig.6が送信される。
【0166】
したがって、ガスセンサ60−2からの識別信号sig.6を図示しないリーダで受信できるようにしておき、その識別信号sig.6の有無を監視することにより、被監視空間における水素の発生量が規定値以上になったか否かを知ることができる。すなわち、識別信号sig.6を受信できたら、被監視空間における水素の発生量や浸入量の累積値が感応部68を構成している水素感応膜70を導体の状態に変化させる程の量に達したことを知ることができる。
【0167】
また、識別信号sig.6を受信することにより、ガスセンサ60−2のID情報(ユニーク値)を知ることができるので、複数のガスセンサ60−2が設置されている場合でも、どのガスセンサ60−2からの信号であるかを判別することができる。
【0168】
また、このガスセンサ60−2は、タグ体63の下面に粘着剤層81が形成され、その粘着剤層81が剥離シート82で覆われているので、剥離シート82を剥がせば、図87に示すように、ガスセンサ60−2を被貼着物85に貼り付けて固定することができる。この形態例の場合の被貼着物85の例として、水素が発生する工場や作業現場の天井面や壁面などを挙げることができる。
【0169】
なお、第10の形態例では、感応部68を構成する水素感応膜70が絶縁体から導体に変化することによってアンテナ61が機能し得る状態になるように構成した例を示したが、水素感応膜70が絶縁体から導体に変化することによって送信回路62が機能し得る状態になるように構成してもよい(図85参照)。
【0170】
また、第10の形態例では、水素感応膜70として、水素を吸蔵することにより電気抵抗率が低下する配位高分子金属錯体膜を用いた例を示したが、水素ガスに感応するその他の膜を用いてもよい。その一例として、酸化タングステンを主成分とする結晶微粒子の集合体で構成され、結晶微粒子酸化タングステンの表面に酸化状態の触媒金属を含有した水素感応膜を挙げることができる。結晶微粒子酸化タングステンは、その平均粒子径が15nmから80nmであることが望ましい。結晶微粒子酸化タングステンは、所定の比率の酸素欠陥を有する。結晶微粒子酸化タングステンの酸素原子数とタングステン原子数との比は2.54から2.63であることが望ましい。結晶微粒子酸化タングステンは、少なくとも三斜晶系(triclinic)と斜方晶系(monoclinic)の結晶構造とを含む。微粒子酸化タングステンに、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、レニウム(Re)、チタン(Ti)のいずれかの金属、または、これらの金属のいずれかの混合物が、タングステンに対して、0.25モル%〜5モル%の濃度でドープされていてもよい。上記触媒金属は、微粒子酸化タングステンに含有される全触媒金属量の18%から90%が酸化状態であることが望ましいとされている。上記触媒金属のタングステンに対する割合は、1.8モル%〜11モル%であることが望ましいとされている。上記触媒金属の平均粒子径は2nmから35nmであることが望ましいとされている。上記触媒金属として、白金、(Pt)、イリジウム(Ir)、オスニウム(Os)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)のいずれかの金属、または、これらの金属のいずれかの混合物を用いることもできる。(特開2005−331364号公報参照)
【0171】
また、感応部68としてSnO2薄膜を使用すればその他の還元性ガス(一酸化炭素ガ
ス、炭化水素系ガス(LPG、都市ガス、天然ガス、メタンガス、ハロゲン化炭化水素系ガス等)、アルコール系ガス、アルデヒド系ガス、硫化水素ガス、等)用のガスセンサを実現することも可能である。すなわち、正常な空気中では表面の酸素原子(または酸素分子)がSnO2薄膜中の電子をとらえているため電気が流れにくい状態にあるが、還元性
ガス中ではSnO2薄膜の表面の酸素原子が還元ガスと反応して取り去られて、SnO2薄膜中の電子が自由になり、その結果として電気が流れやすくなる。この原理を利用して、感応部68の電気抵抗が低下したらアンテナ61から識別信号sig.6が送信されるように構成するのである。
【産業上の利用可能性】
【0172】
[防災用センサ]
本発明の無線タグ型センサは、防災用のセンサとして利用できる。たとえば、無線タグ型センサをコンセントの近くに設置して、綿埃や湿気、油分などを検知することにより、トラッキング現象の発生を未然に防ぐことができる。すなわち、コンセントに電気器具のプラグを長期間差し込んだままにしていると、コンセントとプラグの隙間に綿埃などが溜まり、コンセントとプラグの間で火花が発生する可能性があるが、無線タグ型センサによって綿埃などが溜まったことを検知することにより、そのような危険な状態になる前に掃除をするなど適切に対処できる。更に、本発明の無線タグ型センサは、自動車の排気ガス、煙、花粉など環境有害物質を検出する環境計測用センサとしても利用できる可能性がある。更に、本発明の無線タグ型センサは、粉塵爆発等の危険防止装置の部品として使用することも可能である。
【0173】
[RFIDセンサ付き電源プラグ、RFIDセンサ付きコンセント装置]
また、本発明の無線タグ型センサによれば、これを電気機器の電源プラグ(差込プラグ)と一体化することにより、RFIDセンサ付き電源プラグを実現できる。このRFIDセンサ付き電源プラグは、コンセント(商用電源の電力出力端子)からの電力を利用してセンサ部(粒子検出部、油分検出部、等)、アンテナ及び送信回路を作動させ、識別信号を高出力で送信することができる。
【0174】
また、本発明の無線タグ型センサによれば、これを電源プラグが接続されるコンセント装置と一体化することにより、RFIDセンサ付きコンセント装置を実現できる。このRFIDセンサ付きコンセント装置は、商用電源の電力を利用してセンサ部(粒子検出部、油分検出部、等)、アンテナ及び送信回路を作動させ、識別信号を高出力で送信することができる。
【0175】
RFIDセンサ付き電源プラグは、たとえば以下の構成により実現できる。
【0176】
構成例1:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のプラグ本体)と、樹脂体の表面の一部であって検知対象粒子が付着する粒子検出領域と、粒子検出領域を挟んで対向配置された一対の電極と、を備え、粒子検出領域に付着した検知対象粒子によって両電極間が短絡することによりアンテナの回路が形成されるように構成したRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0177】
構成例2:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のプラグ本体)と、樹脂体の表面の一部に形成された凹部の内面又は内部空間であって検知対象粒子が付着する粒子検出領域と、粒子検出領域を挟んで対向配置された一対の電極と、を備え、粒子検出領域に付着した検知対象粒子によって両電極間が短絡することによりアンテナの回路が形成されるように構成したことを特徴とするRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0178】
構成例3:構成例2において、前記電極を前記凹部の深さ方向に離間させて複数対配置するとともに前記アンテナを複数備え、複数対の電極間が順次短絡することにより複数のアンテナの回路が順次形成されるように構成したRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0179】
構成例4:構成例2において、前記電極を前記凹部の深さ方向に離間させて複数対配置し、短絡した電極対に応じて又は短絡した電極対の数に応じて異なる信号を送信するように構成したRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0180】
構成例5:構成例1〜4のいずれかにおいて、前記電極は、前記粒子検出領域に前記検知対象粒子が複数個付着したときに対をなす電極間が短絡するように対をなす両電極相互の間隔が選定されているRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0181】
構成例6:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のプラグ本体)と、樹脂体の表面の一部であって検知対象粒子が付着する粒子検出領域と、粒子検出領域に互いの間隙が重なるようにして互いに並行に設けられた一対の電極と、を備え、粒子検出領域に付着した検知対象粒子によって両電極間の静電容量が変化することにより、アンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0182】
構成例7:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のプラグ本体)と、樹脂体の表面の一部に形成された凹部の内面又は内部空間であって検知対象粒子が付着する粒子検出領域と、粒子検出領域を挟んで対向配置された一対の電極と、を備え、粒子検出領域に付着した検知対象粒子によって両電極間の静電容量が変化することにより、アンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0183】
構成例8:構成例6または7において、前記一対の電極は、前記粒子検出領域に前記検知対象粒子が複数個付着し得るように両電極相互の間隔が選定されているRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0184】
構成例9:構成例6〜8のいずれかにおいて、前記電極は、前記樹脂体を構成する樹脂で覆われているRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0185】
構成例10:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のプラグ本体)と、樹脂体の表面の検知対象粒子が付着する位置に形成された受光窓と、受光窓を通して入射する光を検出する受光素子と、を備え、受光素子の出力に応じてアンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0186】
構成例11:構成例10において、前記受光素子は、フォトダイオード又は太陽電池であるRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0187】
構成例12:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のプラグ本体)と、樹脂体の検知対象粒子が付着する位置に固定して設けられ且つ所定の出力で発光する発光素子と、樹脂体の検知対象粒子が付着する位置に固定して設けられ且つ発光素子からの光を受光する受光素子と、を備え、受光素子の出力に応じてアンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0188】
構成例13:構成例1〜12のいずれかにおいて、被貼着物に貼り付けるための粘着剤層と、粘着剤層を覆う剥離シートとを備えたRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0189】
構成例14:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のプラグ本体)と、樹脂体の表面の一部に形成された凹部の内面又は内部空間であって油分が浸入する油分検出領域と、前記油分検出領域を挟んで対向配置された電極の対と、を備え、前記油分検出領域に浸入した油分によって両電極間の静電容量が変化することにより、アンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0190】
構成例15:構成例14において、前記電極は、前記樹脂体を構成する樹脂で覆われているRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0191】
構成例16:構成例14または15において、被貼着物に貼り付けるための粘着剤層と、粘着剤層を覆う剥離シートとを備えたRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0192】
構成例17:アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を気密に一括収容した樹脂体(樹脂製のプラグ本体)と、樹脂体から露出した感応部と、を備え、前記感応部を検知対象ガスとの反応によりその電気抵抗率が変化する物質で形成し、前記感応部の電気抵抗率が変化することにより、前記アンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0193】
構成例18:前記感応部を外気と非接触状態に維持する封止体を取り外し可能に備えた請求項17のRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0194】
構成例19:構成例18において、前記封止体は、前記樹脂体の表面に前記感応部を覆うようにして密着させて貼り付けられた剥離シートであるRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0195】
構成例20:構成例17〜19のいずれかにおいて、前記感応部の電気抵抗率が増大することにより前記アンテナ又は前記送信回路が機能し得ない状態になるように構成したRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0196】
構成例21:構成例17〜19のいずれかにおいて、前記感応部の電気抵抗率が低下することにより前記アンテナ又は前記送信回路が機能し得る状態になるように構成したRFIDセンサ付き電源プラグ。
【0197】
RFIDセンサ付きコンセント装置は、たとえば以下の構成により実現できる。
【0198】
構成例1:一つ又は複数の電源プラグを挿抜自在に接続可能なコンセント装置であって、アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のコンセント本体)と、樹脂体の表面の一部であって検知対象粒子が付着する粒子検出領域と、粒子検出領域を挟んで対向配置された一対の電極と、を備え、粒子検出領域に付着した検知対象粒子によって両電極間が短絡することによりアンテナの回路が形成されるように構成したRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0199】
構成例2:一つ又は複数の電源プラグを挿抜自在に接続可能なコンセント装置であって、アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のコンセント本体)と、樹脂体の表面の一部に形成された凹部の内面又は内部空間であって検知対象粒子が付着する粒子検出領域と、粒子検出領域を挟んで対向配置された一対の電極と、を備え、粒子検出領域に付着した検知対象粒子によって両電極間が短絡することによりアンテナの回路が形成されるように構成したことを特徴とするRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0200】
構成例3:構成例2において、前記電極を前記凹部の深さ方向に離間させて複数対配置するとともに前記アンテナを複数備え、複数対の電極間が順次短絡することにより複数のアンテナの回路が順次形成されるように構成したRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0201】
構成例4:構成例2において、前記電極を前記凹部の深さ方向に離間させて複数対配置し、短絡した電極対に応じて又は短絡した電極対の数に応じて異なる信号を送信するように構成したRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0202】
構成例5:構成例1〜4のいずれかにおいて、前記電極は、前記粒子検出領域に前記検知対象粒子が複数個付着したときに対をなす電極間が短絡するように対をなす両電極相互の間隔が選定されているRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0203】
構成例6:一つ又は複数の電源プラグを挿抜自在に接続可能なコンセント装置であって、アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のコンセント本体)と、樹脂体の表面の一部であって検知対象粒子が付着する粒子検出領域と、粒子検出領域に互いの間隙が重なるようにして互いに並行に設けられた一対の電極と、を備え、粒子検出領域に付着した検知対象粒子によって両電極間の静電容量が変化することにより、アンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0204】
構成例7:一つ又は複数の電源プラグを挿抜自在に接続可能なコンセント装置であって、アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のコンセント本体)と、樹脂体の表面の一部に形成された凹部の内面又は内部空間であって検知対象粒子が付着する粒子検出領域と、粒子検出領域を挟んで対向配置された一対の電極と、を備え、粒子検出領域に付着した検知対象粒子によって両電極間の静電容量が変化することにより、アンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0205】
構成例8:構成例6または7において、前記一対の電極は、前記粒子検出領域に前記検知対象粒子が複数個付着し得るように両電極相互の間隔が選定されているRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0206】
構成例9:構成例6〜8のいずれかにおいて、前記電極は、前記樹脂体を構成する樹脂で覆われているRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0207】
構成例10:一つ又は複数の電源プラグを挿抜自在に接続可能なコンセント装置であって、アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のコンセント本体)と、樹脂体の表面の検知対象粒子が付着する位置に形成された受光窓と、受光窓を通して入射する光を検出する受光素子と、を備え、受光素子の出力に応じてアンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0208】
構成例11:構成例10において、前記受光素子は、フォトダイオード又は太陽電池であるRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0209】
構成例12:一つ又は複数の電源プラグを挿抜自在に接続可能なコンセント装置であって、アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のコンセント本体)と、樹脂体の検知対象粒子が付着する位置に固定して設けられ且つ所定の出力で発光する発光素子と、樹脂体の検知対象粒子が付着する位置に固定して設けられ且つ発光素子からの光を受光する受光素子と、を備え、受光素子の出力に応じてアンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0210】
構成例13:構成例1〜12のいずれかにおいて、被貼着物に貼り付けるための粘着剤層と、粘着剤層を覆う剥離シートとを備えたRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0211】
構成例14:一つ又は複数の電源プラグを挿抜自在に接続可能なコンセント装置であって、アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を一括収容した樹脂体(樹脂製のコンセント本体)と、樹脂体の表面の一部に形成された凹部の内面又は内部空間であって油分が浸入する油分検出領域と、前記油分検出領域を挟んで対向配置された電極の対と、を備え、前記油分検出領域に浸入した油分によって両電極間の静電容量が変化することにより、アンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0212】
構成例15:構成例14において、前記電極は、前記樹脂体を構成する樹脂で覆われているRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0213】
構成例16:構成例14または15において、被貼着物に貼り付けるための粘着剤層と、粘着剤層を覆う剥離シートとを備えたRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0214】
構成例17:一つ又は複数の電源プラグを挿抜自在に接続可能なコンセント装置であって、アンテナと、アンテナから信号を送信する送信回路と、アンテナと送信回路を気密に一括収容した樹脂体(樹脂製のコンセント本体)と、樹脂体から露出した感応部と、を備え、前記感応部を検知対象ガスとの反応によりその電気抵抗率が変化する物質で形成し、前記感応部の電気抵抗率が変化することにより、前記アンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0215】
構成例18:前記感応部を外気と非接触状態に維持する封止体を取り外し可能に備えた請求項17のRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0216】
構成例19:構成例18において、前記封止体は、前記樹脂体の表面に前記感応部を覆うようにして密着させて貼り付けられた剥離シートであるRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0217】
構成例20:構成例17〜19のいずれかにおいて、前記感応部の電気抵抗率が増大することにより前記アンテナ又は前記送信回路が機能し得ない状態になるように構成したRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0218】
構成例21:構成例17〜19のいずれかにおいて、前記感応部の電気抵抗率が低下することにより前記アンテナ又は前記送信回路が機能し得る状態になるように構成したRFIDセンサ付きコンセント装置。
【0219】
[エバネセントモードを用いた無線通信システム]
本発明の無線タグ型センサは、エバネセントモードを用いた無線通信システムの子局(センサ)として用いることもできる。以下、本発明の無線タグ型センサを用いた無線通信システム(粒子状物質監視システム、油分監視システム、ガス監視システム、等を含む。)について説明する。ここでは、特開2004−32581号公報の記載を利用させていただく。
【0220】
従来の無線LAN、例えばGHz帯を利用する無線LANでは、その使用電波の周波数特性から、以下に示す課題がある。
(1)アクセスポイント(親局)とクライアント(子局)との間に所定の空中線電界強度を得るために、局間の見通しを確保する必要があり、建物内の設備の配置計画時、設備の移設時に局配置に制約を受けやすく、導入・維持管理コストの削減に限界がある。
(2)建屋外に電波の漏れが生じやすい周波数帯であり、隣接した建屋の無線
LAN間で混信が発生しやすく、建物ごとの独立性が確保しにくい。
(3)既設の無線通信(IEEE802.11やPHS、赤外線通信等)で構築されたサービスに加え、新たなサービスを無線通信で構築しようとする場合、混信なく併設可能となる無線通信の選択肢が限定される。
【0221】
セキュリティシステム分野でのデータ伝送には、上記のGHz帯を使用したネットワーク(LAN)や、種々の無線技術が使われてきたことは上記のとおりである。しかるに、大規模で複雑な建物内の設備配置から構成される生産ラインに無線技術を適用するには、上記の課題に対して、何らかの改良が行われることが強く望まれている。
【0222】
例えば、大型プラント内における作業者の位置の把握を行う手法を考える。自己申告の不要な所在確認として近年PHS(Personal Handyphone System)を使用したシステムが取り入れられている。各部屋にPHSの基地局(親局)を設置し、部屋の中で端末(子局)を保持する物体の有無を確認、全体を統括するコンピュータで各端末がどの部屋に存在するかを記録、監視する。しかし、この場合親局間距離が近い場合混信が生じる場合があることと子局と親局の間の見通しを確保する必要があるため様々な機械が入り組むプラント内では親局の適正な設置計画を組むことが難しい。さらに、設備・機器の改修が行われた場合には再び親局の設置を見直す必要がある。
【0223】
本発明は、無線タグ(子局)と読取装置(親局)との間の見通しを確保することが困難な建造物(施設)においても、建造物の各所に設置した無線タグ型センサからの信号に基づいて、建造物の各所の状況(粒子状物質の発生或いは浸入状況、油分の発生或いは浸入状況、特定のガスの発生或いは浸入状況)を検知できる施設内監視システムを提供するものである。
【0224】
この施設内監視システムは、導電体の建造物構造体、導電体の流体物供給管或いは導電体の電気供給管に高周波電流を誘起し、これら被誘起体を伝播路として作用させて電磁界を発生させる電磁界発生装置と、建造物の各所(床、天井、壁、等)に設置された無線タグ(子局)と、前記無線タグに記憶されている情報を読み取る読取装置(親局)と、を備え、前記無線タグと前記読取装置との通信を前記電磁界を利用して行うように構成される。そして、無線タグ(子局)として、本発明の粉塵センサ、油センサ又はガスセンサ(すなわち、請求項1〜25のいずれかに記載の無線タグ型センサ)を用いる。
【0225】
上記のように構成されたシステムは、導入・維持が容易で、建物間の独立性を確保し、既設の無線通信方式と併設が可能である。そして、このシステムによれば、大規模で複雑な構造をもつ建物内の各所の状況(粒子状物質の発生或いは浸入状況、油分の発生或いは浸入状況、特定のガスの発生或いは浸入状況)を一括して監視可能な施設内監視システムを実現することができる。
【0226】
エバネセントモードの形成は次のように行われる。
(1)建物に高周波電流を注入する。注入された高周波電流が、壁内の鉄骨、電線管等を誘起する。
(2)高周波電流が、建物内で電気的に接続された鉄骨、電線管等が給電路として作用し、各部屋の壁までエネルギーを伝える。
(3)そして、部屋を取り囲む壁が、次の2つの物理現象によってエバネセントモードを室内に形成する。
(a)導波管の注入面として動作し、壁面に垂直な方向に指数的に減衰するエバネセント波を作り出す。
(b)電導体の表面に誘電体が接触した「2層の表面波線路」を形成し、誘電体の中を壁面に平行な方向に高周波電流が進行波として伝播し、誘電体の表面から室内に向かう壁面に垂直な方向に指数関数的に減衰するエバネセント波を作り出す。
【0227】
上記(3)(a)の電磁波挙動は、導波管のカットオフ周波数以下でのエバネセントモードであり、「The Feynman Lectures on Physics Vol. III, Chapter 3 "Wave Guide",Feynman, Leighton and Sands, Addison−Wesley PublishingCompany (1965)」に解説がある。また、上記(3)(b)の電磁波挙動は、電導体と誘電体とを組み合わせた表面波線路からのエバネセン波であり、「稲垣直樹著,"電気・電子学生のための電磁波工学"丸善(1980)」に解説がある。
【0228】
図88を参照して、エバネッセン通信による施設内監視システムを具体的に説明する。
【0229】
建物100は、鉄骨等の構造物120が機械的に接合されたものであり、構造物120が電気的にも接続されたものとなっている。さらに、建物100の壁内、床・天井間もしくは部屋内には、水道管130、電線管・ケーブル(あるいは「ケーブル」は「ケーブルトレイ」とも称する。以下同様)・ダクト140等金属性のものが配置されている。読取装置(リーダ、親局、アクセスポイント)は、建物構造物120、水道管130、電線管・ケーブル・ダクト140等の電導体に対して高周波電流を注入し建物内の各部屋にエバネセントモードの電場を形成するための電気エネルギー注入器150(以下、エキサイタと称す)と、データ・制御信号を電気エネルギーとの間の相互変換を行うためのハブ160とを備えている。ハブ160は、有線或いは無線によるネットワークシステム170によって、建物100内或いは建物100外の図示しない通信システム或いはサーバと接続されている。導電体に高周波電流を誘起し、伝播路を伝播させ、電磁界を発生させるエバネセント通信では、この発生させた電磁界を利用して、通信をおこなう。
【0230】
建物100内には、無線タグ型センサ(子局)180が各所に配置されている。無線タグ型センサ(子局)180は、エバネセントモードの空中線電界とエネルギー交換するアンテナ180A(11、21、31、41、51、61)とセンサ本体180B(13、23、33、43、53、63)とを備える。図88では、アンテナ180Aがセンサ本体180Bに接続された形態として描かれているが、アンテナ180Aは、実際には、送信回路(12、32、42、52、62)と共にセンサ本体180B内に一括収容されている。
【0231】
このエバネセント通信技術では、例えば短波帯近傍の高周波を用いることにより、建物100の内部に空中線電界強度を得られ、見通しの遮られた個々の部屋への通信が可能となる。また、建物固有のカットオフ周波数以下での運用によって、建物100の外部への空中線電界の漏洩がないため、建物100ごとに独立した通信環境を確立することが可能となる。
【0232】
この施設内監視システムは、無線タグ型センサ(子局)180が他の物体(金属部品を多く含む機械器具、鉄板、金網その他の電波遮蔽体)の裏側に設置されている場合でも、他の通信方式に比べて良好な回り込み特性により良好な通信を行うことができるので(すなわち、無線タグ型センサ(子局)180が建物100の床や壁、天井などエバネセントモードの電磁波強度の強い場所に設置されているので)、見通しの遮断によるエラー率の悪化等がない。よって、無線タグ型センサ(子局)180からの信号を確実にキャッチすることができる。人や荷物など無線通信の障害に成り得る物体が無線タグ型センサ(子局)180の見通しを遮断する場合も同様である。つまり、従来無線通信の障害物となっていた物体の存在の有無に拘わらず、エバネセントモードでは良好な通信を行うことができる。
【0233】
この施設内監視システムは、鉄鋼工場、半導体装置製造工場、食品工場、病院、一般住居、等、様々な施設の状況監視システムとして適用可能である。
【符号の説明】
【0234】
10−1 粉塵センサ
10−2 粉塵センサ
10−3 粉塵センサ
11 アンテナ
11−1 アンテナ
11−2 アンテナ
12 送信回路
13 タグ体(樹脂体、電磁波を透過する物質で形成された気密封止体)
14 粒子検出領域
15a 電極
15b 電極
15L 電極対
15U 電極対
16 凹部
17 粒子検出領域
20−1 粉塵センサ
20−2 粉塵センサ
21 アンテナ
22 送信回路
23 タグ体(樹脂体、電磁波を透過する物質で形成された気密封止体)
24 粒子検出領域
25a 電極
25b 電極
26 凹部
27 粒子検出領域
30 粉塵センサ
31 アンテナ
32 送信回路
33 タグ体(樹脂体、電磁波を透過する物質で形成された気密封止体)
34 受光窓
35 受光素子
36 透明樹脂板
40 粉塵センサ
41 アンテナ
42 送信回路
43 タグ体(樹脂体、電磁波を透過する物質で形成された気密封止体)
44 発光素子
45 受光素子
50 油センサ
51 アンテナ
52 送信回路
53 タグ体(樹脂体、電磁波を透過する物質で形成された気密封止体)
54 油分検出領域
55a 電極
55b 電極
56 凹部
60−1 ガスセンサ
60−2 ガスセンサ
61 アンテナ
61−1 第1のアンテナ
61−2 第2のアンテナ
62 送信回路
63 タグ体(樹脂体、電磁波を透過する物質で形成された気密封止体)
65−1a 電極
65−1b 電極
65−2a 電極
65−2b 電極
66 Fe薄膜
67 Fe薄膜
68−1 第1感応部
68−2 第2感応部
68 感応部
70 水素感応膜
71 絶縁体
81 粘着剤層
82 剥離シート
D0 間隔
P 検知対象粒子
Pc 導体微粒子(検知対象粒子)
Pi 誘電体微粒子(検知対象粒子)
Oil 油分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
アンテナから信号を送信する送信回路と、
アンテナと送信回路を気密に一括収容したタグ体と、
タグ体から露出した感応部と、を備え、
前記感応部を検知対象ガスとの反応によりその電気抵抗率が変化する物質で形成し、前記感応部の電気抵抗率が変化することにより、前記アンテナから送信される信号が変化するように構成した無線タグ型ガスセンサ。
【請求項2】
前記感応部を外気と非接触状態に維持する封止体を取り外し可能に備えた請求項1の無線タグ型ガスセンサ。
【請求項3】
前記封止体は、前記タグ体の表面に前記感応部を覆うようにして密着させて貼り付けられた剥離シートである請求項2の無線タグ型ガスセンサ。
【請求項4】
前記感応部の電気抵抗率が増大することにより前記アンテナ又は前記送信回路が機能し得ない状態になるように構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかの無線タグ型ガスセンサ。
【請求項5】
前記感応部の電気抵抗率が低下することにより前記アンテナ又は前記送信回路が機能し得る状態になるように構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかの無線タグ型ガスセンサ。
【請求項6】
前記感応部を鉄薄膜で構成した請求項4の無線タグ型ガスセンサ。
【請求項7】
前記感応部を水素を吸蔵することにより電気抵抗率が低下する水素感応膜で構成した請求項5の無線タグ型ガスセンサ。
【請求項8】
前記感応部を酸化スズで構成した請求項5の無線タグ型ガスセンサ。
【請求項9】
被貼着物に貼り付けるための粘着剤層と、粘着剤層を覆う剥離シートとを備えた請求項1乃至8の何れかの無線タグ型ガスセンサ。
【請求項10】
アンテナと、
アンテナから信号を送信する送信回路と、
アンテナと送信回路を気密に一括収容した樹脂製のプラグ本体と、
プラグ本体から露出した感応部と、を備え、
前記感応部を検知対象ガスとの反応によりその電気抵抗率が変化する物質で形成し、前記感応部の電気抵抗率が変化することにより、前記アンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付き電源プラグ。
【請求項11】
一つ又は複数の電源プラグを挿抜自在に接続可能なコンセント装置であって、
アンテナと、
アンテナから信号を送信する送信回路と、
アンテナと送信回路を気密に一括収容した樹脂製のコンセント本体と、
コンセント本体から露出した感応部と、を備え、
前記感応部を検知対象ガスとの反応によりその電気抵抗率が変化する物質で形成し、前記感応部の電気抵抗率が変化することにより、前記アンテナから送信される信号が変化するように構成したRFIDセンサ付きコンセント装置。
【請求項12】
導電体の建造物構造体、導電体の流体物供給管或いは導電体の電気供給管に高周波電流を誘起し、これら被誘起体を伝播路として作用させて電磁界を発生させる電磁界発生装置と、
建造物の各所に設置された無線タグと、
前記無線タグに記憶されている情報を読み取る読取装置と、を備え、
前記無線タグと前記読取装置との通信を前記電磁界を利用して行うように構成した施設内監視システムにおいて、
前記無線タグとして、請求項1乃至9の何れかに記載の無線タグ型ガスセンサを用いたことを特徴とする施設内監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【公開番号】特開2012−168193(P2012−168193A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−104382(P2012−104382)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【分割の表示】特願2006−229767(P2006−229767)の分割
【原出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(393009909)
【出願人】(506291139)
【Fターム(参考)】