説明

無線リンクを介した端末装置間の会話データ信号の通信

1対の時間スロット(T1からT16)内で交互の方向に会話データ・パケットを全二重伝送することができる無線リンク(特に、ブルートゥース・リンク)を介して送受信器端末装置(A,B)同士間で会話データ信号(特に音声信号)の通信する方法である。ローカル会話活動が、端末装置(A,B)のそれぞれで検出される。他方の端末装置(B,A)から送られたいずれの会話活動信号(VAD)が、検出される。なお、他方の端末装置から送られた会話活動信号(VAD)は、他方の端末装置(B,A)において検出されたローカル会話活動を示す。受信及び送信が、他方の端末装置(B,A)からの検出された会話活動信号に応答して制御される。
受信及び送信を制御することは、遠隔の会話活動が受信された会話活動信号から検出されない場合端末装置(A,B)での受信手段を少なくとも部分的に使用不能にすることと、上記の検出されたローカル会話活動の不存在で端末装置(A,B)の送信手段を少なくとも部分的に使用不能にすることと、遠隔の会話活動が受信された会話活動信号から検出されない場合ローカルに発生された快適雑音信号から端末装置(A,B)で可聴の快適雑音を発生することとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、無線リンクを介した端末装置間の会話データ信号の通信に関する。
[発明の背景]
詳細には、本発明は、会話データ・パケットを全二重伝送することができる無線リンクを介した端末装置間の会話データ信号の通信に関する。この種類の無線リンクの一例は、ヨーロッパ通信標準化協会(「ETSI」)のブルートゥース標準により表される。ブルートゥースは、無線周波数(RF)送受信器を用いて、ポイント・ツー・マルチポイント(一地点対多地点)無線接続性を個人空間内で提供する技術である。ブルートゥースは、少ししか電力を消費しないでユニット当たり低コストで音声及びデータの両方の通信をするように設計された。コスト及び電力の目的を達成するため、ブルートゥースは、723kbpsの最大データ速度を提供しながら約10メートルの球状範囲までに接続性を制限している(より電力を要するバージョンは、有効範囲を最高100メートルまで伸ばすことができる。)。この通信を無線パーソナル・エリア・ネットワーク(ersonal rea etwork)(「PAN」)で用いて、例えば、形態電話器、イヤホン/マイクロフォン・ヘッドセット、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)、コンピュータ、プリンタ等々のような装置(デバイス)同士を接続する。
【0002】
これらの応用の或る一定の応用は、会話の通信、即ち、データが2つの端末装置の一方から他方へ不連続に送られることができ、そして所与の瞬間に一方向であり、又は双方向であり得る場合に関係する。本発明が適用可能である会話の通信の典型的な例は、それに限定されるわけではないが、オーディオ通信、特に声による会話である。
【0003】
本発明は、特に、上記の種類の会話データ信号の通信に適用可能であり、そこにおいて、会話データ・パケットは、1対の時間スロット内で交互の方向に送信され、当該通信は、ブルートゥース伝送におけるように、それぞれの期間が1組の上記時間スロットを備える比較的短い期間を備える。特許明細書WO0241606及びWO02055593は、この一般的種類の通信システムを記載する。
【0004】
移動通信用グローバル・システム(「GSM」)、ディジタル・セルラ・システム(「DCS」)、「第3世代」システム(例えば、広帯域符号分割多元接続(「W−CDMA」)のようなもの)のようなセルラ電話システムはまた、会話の通信を可能にするが、しかしセルラ電話器間の信号は、基地局を通過し、そしてこれらのシステムは、無線ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)にもPANにも適応されない。会話データ・パケットが、1対の時間スロットの複数の組(セット)内で交互の方向に送信されない。そこで、GSM、DCS、WCDMAFDDについては、信号の方向が、2つの異なる周波数、即ち、アップリンクに対して1つの周波数、そしてダウンリンクに対して1つの周波数を用いる。WCDMATDDについては、アップリンク及びダウンリンクの信号は、同じ周波数を用いるが、しかし時間スロットは、同じ長さの複数の対の時間スロットで管理されない。
【0005】
実際に、ヘッドセット又は処理装置のような関連の装置に対する無線PAN又はLANリンクにセルラ電話器を関連付け、それにより通信が、セルラ電話システムを介して遠隔のセルラ電話器と生じ、そして関連のヘッドセット又は処理装置へ無線PAN又はLANリンクを介して中継する要求が存在する。
【0006】
電流の消費量は、いずれの携帯応用においても厳しい問題である。ブルートゥース又は類似の通信システムを実行することは、電流を消費することを必要とし、そしてバッテリの寿命を低減し、それは、セルラ電話器応用において決定的である。第2の結果は、電力管理ユニットが十分な最大電流能力(例えば、ブルートゥースのため最高50mAから100mAの追加のピーク電流)(これが電力管理ダイ寸法を増大させる。)を有するように当該電力管理ユニットを設計しなければならないことである。
【0007】
起きる可能性がある別の問題は、無線PAN又はLANリンクを介して伝送される電力が大きいければ、他の無線PAN又はLANリンク(例えば、802.11.bLANのようなもの)と干渉する、又はセルラ電話器の送信及び受信と干渉する危険が一層大きくなることである。また、より多くの帯域幅を同じPANの他の端末装置に割り当てることによりサービスの質(Quality of Service)を改善するためのみに、2つの無線PAN端末装置間の会話データ・パケットの流れを有意義な会話データ・パケットに制限することは意味をなす。
【0008】
本発明は、これら及び他の問題に対処する。
米国特許明細書No.6269331は、「快適雑音(comfort noise)」、即ち、白色雑音が発生されるGSMリンクを介した通信(快適雑音は、受信器での絶対無音(absolute silence)がユーザに呼が落ちた感覚を与える間に、受話者に呼が依然接続されている感覚を与える意図である。)を記載する。その特許明細書に記載されたシステムにおいては、オーディオ活動が、検出され、そして快適雑音パラメータのブロックが、快適雑音自体を送信する代わりに送信される。この特許明細書は、音素時間(phoneme time)より短い1組であって複数の対の時間スロットからなる当該1組内において交互の方向で2つの端末装置間の会話データ・パケットの全二重伝送をすることができるブルートゥース又は類似のリンクを記載してなく、そして無線端末装置の電流消費量を最小にしない。
【0009】
特許明細書EP1261176及びWO0108426、及びETSI発行番号XP−002098616「強化されたフル速度(EFR)音声トラフィック・チャネルのための不連続伝送(DTX)(Discontinuous Transmission(DTX) for Enhanced Full Rate(EFR) speech traffic channels)」は、音声活動検出を用いて、ユーザの快適さを強化し、又は占有を低減し、又は伝送チャネルの占有をより十分に利用する様々な方法を記載する。しかしながら、記載された技術は、会話の通信の上記の問題の全てに対して対処するものではなく、特に、ブルートゥースのような通信リンクの文脈で対処するものではない。
【0010】
[発明の概要]
本発明は、特許請求の範囲に記載されるように会話データ信号を通信する方法及び端末装置を提供する。
【0011】
[好適な実施形態の詳細な説明]
本発明の一実施形態を組み込むシステムの一般的アーキテクチャが、図1に示され、そしてブルートゥース・ユーザ端末装置A及びBを含み、当該ブルートゥース・ユーザ端末装置A及びBは、それぞれのヘッドセットを備え、当該それぞれのヘッドセットは、マイクロフォン1及び2及びイヤホン3及び4をそれぞれ含む。端末装置A及びBは、ブルートゥース・アクセス・ポイント5及び6のそれぞれと無線通信を行い、そしてブルートゥース・アクセス・ポイント5と6との間の通信は、ネットワーク7により実行され、当該ネットワーク7は、有線及び/又は無線のリンクを含み得る。これら端末装置のそれぞれは、送受信器であり、即ち、それらの端末装置のそれぞれは、ブルートゥース・リンクに対する無線受信器及び送信器の両方の能力を有する。
【0012】
現在のブルートゥース標準に従った通信のためのプロトコルが、一例として、図2に示されている。データ信号は、端末装置AとBとの間をブルートゥース無線リンクを介して全二重伝送で送信される。データ・パケットは、T1からT16のような対の時間スロット内で交互の方向に送信され、その通信の基本音素期間(basic phoneme time)は、各時間スロット対の長さが0.625ミリ秒である16対の時間スロットから成る1組を備える。その音素時間は、聴いているユーザが識別するにはまさに短すぎるオーディオ時間間隔である。
【0013】
声による会話のような会話の通信においては、ユーザAがユーザBに話しているとき、全二重のせいぜい短い期間の後で、ユーザBは、通常、話しを止め、そしてユーザAの話しを聴く。端末装置Aは、オーディオ・データ、特に音声データを送信しなければならず、そして端末装置Bは、これらのオーディオ・データを受信しなければならないが、しかし実際には、一方向送信中に、B→Aの時間スロットにおいて、Aがそのブルートゥース・データ受信器能力を使用可能にする必要が無いし、Bがそのブルートゥース・データ送信器能力を使用可能にする必要も無い。
【0014】
非対称のAからBへのデータの流れ(AからBへの一方向のデータの流れのストリーム)に対して、端末装置Bは、Aからの受信されたパケットをヌル・パケットでもって肯定応答し(acknowledge)することが通常要求される。これにより、Aブルートゥース端末装置は、それが新しいパケットを送ることができるか、又はそれが前のパケットを繰り返さなければならないかを知る。しかしながら、音声ブルートゥース・リンクにおいて、音声パケットは、それらが繰り返されないので、肯定応答をしない。従って、B→A時間スロットにおいてB受信器及びA送信器をオフに切り換えることが可能であり、(そしてその逆も同様に可能である)。次のスキームは、このことを、ヘッドセット所有者が話している(そのヘッドセットはA端末装置である。)場合で説明する。
【0015】
【表1】

【0016】
この目的のため、ブルートゥース端末装置A及びBの両方は、ローカルのブルートゥース端末装置ユーザが話しているかどうかを検出する音声活動検出器を組み込む。音声活動検出は、端末装置A及びBのそれぞれから他方の端末装置へ、各音素期間中に、ローカル端末装置での対応の検出されたローカル会話活動を示す会話活動信号を送ることによりこれら2つのブルートゥース端末装置AとBとの間で同期化される。音声活動がこれら端末装置のうちの唯1つのみで検出されるとき、ブルートゥース・リンク(それは全二重オーディオ・リンク能力を有する。)は、次の音素期間から開始し、そして音声活動が他方の無音の端末装置で再び検出されるまで半二重音声ブルートゥース・リンクとして実行される。ブルートゥース音声の流れは、会話活動信号に応答した制御機構により制御され、当該制御機構は、各音素期間中に1回、同じ時間スロット対において、送信している端末装置の状態を周期的に送信及び受信することにより2つの端末装置A及びBの送信/受信制御を同期化する。このようにして、音声活動が端末装置A及びBのうちの1つの端末装置で無いとき、電力が、次の音素期間内の時間スロット対の間送信されないで、衝突及び干渉の危険を低減する。また、電流消費が、一方の端末装置での機能していない送信構成要素と他方の端末装置での機能していない受信構成要素とにより低減される。
【0017】
音声活動検出器は、GSM電話器に含められ、そして図3は、無音挿入記述子(ilence nsertion escriptor)(「SID」パケット8がGSMフレームに挿入される仕方を示す。GSMフレームは、送信チャネルTx及び受信チャネルRxを備え、SIDパケットは、受信チャネルRxに含められて、白色雑音快適信号を送信し、従ってコーダ/デコーダ(「コーデック」)計算を低減しなければならないことを回避する。たとえ電話器のうちの1つで音声活動が無いときでも、ペイロードは、送信及び受信パケットが固定の長さであるので低減されない。また用いられる帯域幅の低減も得られず、衝突又は干渉の低減も得られず、無線送受信器の電流消費の低減も得られない。それは、各電話器が、送信及び受信能力を全フレーム中維持するからである。
【0018】
図4は、ブルートゥース通信に適用される本発明のこの実施形態の方法であって、Aが話していてBが聴いているとき、音声活動信号が受信され、それにより端末装置A及びBの制御を同期化した後で、ブルートゥース・オーディオ・ストリームがAからBへ行く場合の方法を示す。BからAへのブルートゥース・チャネルが、必要とされず、そして用いられない。A端末装置の受信器構成要素は、シャットダウンされる。A端末装置は、ローカルに発生された白色雑音信号から快適雑音をローカルに発生し、それによりAのユーザは、端末装置Aが音声信号をBから受信しないとき通信リンクが失われていると感じない。Bのマイクロフォン及び関連の送信構成要素は、シャットダウンされる。
【0019】
オーディオ・リンクは、データ・リンク(例えば、RFCOMM論理リンク)により制御され、それにより各ユニットは、それ自身の送受信器のどの構成要素がオンにされなければならないかを知る。音声活動検出器は、32×Ts=20ミリ秒(ms)(ブルートゥース時間スロットであるTs=625マイクロ秒)毎に使用可能にされる。オーディオ・チャネル活動のこのサンプリング速度が、音素期間である。本発明のこの実施形態においては、音声活動信号は、前述したように、その送信器がアクティブである端末装置によってのみ送信され、そして受信ユニットでの音声活動信号の不存在は、否定的(「音声無し」)活動信号として解釈される。しかしながら、図4に示される本発明の別の実施形態においては、アクティブでない送信器は、1スロット中に各音素期間(20ミリ秒)に再度活動状態にされて、否定的(「音声無し」)音声活動信号を送信する。図4に示されるように、AからBへの半二重送信中に、端末装置Aの送信器は、送信するよう活動状態にされ、そして端末装置Bの受信器は、対T1からT15のそれぞれの対の第1スロットに受信するよう活動状態にされる。端末装置Aの受信器及び端末装置Bの送信器は、不活動状態にされ、それによりいずれの信号も対T1からT15のそれぞれの対の第2スロット中に交換されない。最後の対の時間スロットT16中に、1又は複数の音声活動信号が、送信され、そして送信器及び受信器の活動化/不活動化を次の音素期間中に制御するため用いられる。
【0020】
(ブルートゥース1.1標準に記載されるように)3種類のブルートゥース無線オーディオ・リンクがある。即ち、
−HV1リンク(高電力、高品質)
−HV2リンク(中電力、中品質)
−HV3リンク(低電力、低品質)。
【0021】
図4に示される本発明の実施形態がHV2又はHV3ブルートゥース・リンクに適用されるとき、HV2又はHV3オーディオ・リンクは、非同期コネクションレス・リンク(synchronous onnection−less ink)(ACL)により制御される。VAD状態は、このACLを用いて送信される。理想的には、それらは、(ブルートゥース1.1標準に記載されるように)DM1パケットを用いて送信され、そのDM1パケットは、訂正ビットを含んでいるため信頼性の良いパケットである。ペイロードは、60ビット程に短くてよい(5バイト−ペイロード・ヘッダ;VAD指令;2/3コーディング・レートで符号化されたVAD結果−CRC16)。話しているブルートゥース端末装置が、聴き手のブルートゥース端末装置のVAD状態を読み取るとき、それは、それが受信モードに切り替えるか、又は全二重モード(比較的通常でない使用ケース)に切り替えるか、或いは送信モードに保持するかしなければならないことを知る。結果として、このACLリンクを用いて、オーディオの流れを制御する。
【0022】
図4に示される本発明の実施形態がHV1ブルートゥース・リンクに適用されるとき、もう一度HV1オーディオ・リンクは、上側スタック・レイヤにより管理されるACLリンクリンクでもって制御される。しかしながら、HV1リンクがブルートゥース・チャネル全体のブルートゥース帯域幅を要求するので、このオーディオ・フロー制御情報を送信するために自由となるブルートゥース時間スロットが無く、そこでオーディオ・フロー制御情報は、(ブルートゥース1.1仕様に定義されているように)DVパケットを用いて、送信され、そのDVパケットは、オーディオ・データと制御データを同じパケット(DVパケット)にマージする。オーディオ・フィールドは、パリティ・ビットでもって保護されてない。その結果、このオーディオ・パケットにはエラーの可能性がある。しかしながら、アップワーズ・ディジタル処理(upwards digital processing)(内挿)が、これらのエラーのオーディオへの影響を最小にすることができる。
【0023】
図5は、図1のシステムで使用のブルートゥース端末装置を示し、当該ブルートゥース端末装置は、ブルートゥース信号をアンテナから受信し且つオーディオ信号をヘッドホン12に供給するよう接続された受信器11と、オーディオ信号をマイクロフォン14から受け取り且つブルートゥース信号をアンテナを介して送信するよう接続された送信器13とを備える。音声活動検出器15は、マイクロフォン14からのオーディオ信号を各音素期間に検出し、そして検出器信号を送信器13に与え、当該送信器13は、対応のローカル音声活動信号をACLブルートゥース・リンクを介して遠隔のブルートゥース端末装置に送信し、ローカル端末装置は当該遠隔のブルートゥース端末装置と通信する。受信器11はまた、ACLリンクを介して遠隔の端末装置から受信されたいずれの遠隔の音声活動信号を検出する。制御器16は、ローカル音声活動信号と遠隔の音声活動信号の両方に応答し、そして受信器11に対する電源17と、送信器13に対する電源18を制御する。
【0024】
制御器16は、受信器11及び送信器13を制御してオーディオ・パケットの半二重伝送による通信を行うことにより、端末装置(A,B)のうちの第1の端末装置で生じるがしかし端末装置(B,A)のうちの第2の端末装置で生じない会話活動に応答する。半二重伝送中に、制御器16は、電力消費を低減するため、遠隔の会話活動の不存在で受信手段を又はローカルの会話活動の不存在で送信手段を少なくとも部分的に不活動化する。この不活動化は、受信器及び送信器のうちの少なくとも一部への電力供給を遮断することから成り得る。受信器は、1音素期間当たり少なくとも一回再活動化されて、ACLリンクを介した遠隔の端末装置からのいずれの遠隔の音声活動信号の受信を検査することが好ましい。
【0025】
本発明は、図1の実施形態におけるように、ブルートゥース・アクセス・ポイント5及び6及びネットワーク7を介した2つの単純なブルートゥース端末装置AとBとの間の通信に適用可能である。有線ネットワークに関して、物理リンク及び論理通信リンクの種類に応じて多数の異なるフロー制御標準がある。例えば、L1/N5/R2、海上及び衛星標準、TCP/IPは、必要とされる帯域幅を低減するオーディオ・フロー制御機能(audio flow control facilities)を提案する。それらは大部分VAD(実行に必要なエコー・キャンセレーションのため)機能を実行するので、それらは、ここで詳述されるアイデアと協働するよう適合している。
【0026】
しかしながら、本発明はまた、図6に示されるような状況に適用可能であり、そこでは、少なくとも端末装置Bは、第3の端末装置Cと更に別の通信リンクを介して通信し、端末装置Bは、第3の端末装置Cで発生された会話活動を示す会話活動信号を送る。これは、端末装置B及びCがセルラ電話器モジュールを含み、そして端末装置Bがまた図1を参照して説明された種類のブルートゥース・モジュールを含むケースである。
【0027】
移動電話器は既に、VADモジュールを含む。それは、無音フレームをセルフォーン・ネットワーク(cell−phone network)を介して休止期間中又は誰か他の者が話しているとき送信することを回避する。本発明の好適な実施形態において、無音検出は、累積された音エネルギ検出に基づく。無音制御は、データ・チャネルを介した情報更新を用いて、遠隔セルフォーンとローカル・セルフォーンとの間で管理される。本発明の別の実施形態において、無音データ・パケットは、圧縮され、そして、図3を参照して説明されたように無音持続時間情報を含む「SID」パケット8を用いて、信号として送られる。
【0028】
本発明のこれらの実施形態においては、モバイル・フォーンVAD及びブルートゥース無線ヘッドセットVADは、どの装置が無音を生成しつつあるかそしてどの装置が音声を生成しつつあるかを決定するため、(ACLデータ・リンクを介して送信されたVAD状態情報を用いて)同期化される。ローカル端末装置Bは、遠隔の端末装置とローカル・ブルートゥース端末装置との間のオーディオ・ゲートウエイとして動作する。
【0029】
全二重モードにおいて、それらの端末装置のそれぞれは、オーディオを送信し且つ受信している。ネットワーク最適化が存在しない。このモードは、それがたまたま半二重モード遷移(送信がBに向けてのCからCに向けてのBへ切り替えるとき)で起きることを除いて、(このモードが、各ユーザが聴くことせずに他のユーザに話していることを保証するので)普通ではない。
【0030】
CがAに話しているとき、全二重の短い期間の後で、ユーザAは、話しをすることを止めて聴く。遠隔の端末装置Cは、オーディオ・データをセルラ電話リンクを介して送信し、そしてローカル端末装置Bは、このオーディオ・データを受信する。ローカル端末装置Bは、オーディオ・データをブルートゥース・リンクを介して送信し、そしてブルートゥース端末装置Aは、このオーディオ・データを受信する。従って、Bがそのブルートゥース受信器をAからBへの時間スロットに使用可能にする必要がなく、そしてそれは、端末装置Aにおける、ブルートゥース・リンクを介してBで受信された会話活動信号からの遠隔の会話活動の検出の不存在に応答して不活動化される。同様に、Aがその送信器をAからBへの時間スロットに使用可能にする必要が無く、そしてそれは、端末装置Aにおけるローカル音声活動の検出の不存在に応答して不活動化される。
【0031】
逆に、AがCに話しているとき、全二重の短い期間の後で、ユーザCは、話しを止めて聴く。Aがブルートゥース受信器をBからAへの時間スロットに使用可能にする必要が無く、そしてそれは、端末装置Cにおける、ブルートゥース・リンクを介してAで受信された会話活動信号からの遠隔の会話活動の検出の不存在に応答して不活動化される。同様に、Bがその送信器をBからAへの時間スロットに使用可能する必要が無く、そしてそれは、端末装置Cにおける、セルラ電話リンクを介してBで受信された会話活動信号からの遠隔の会話活動の検出の不存在に応答して不活動化される。
【0032】
通信が同じ通信標準(例えば、ブルートゥース標準)を用いて、端末装置同士全ての間で生じるとき、同じ活動手順が全ての端末装置間で同期化の際に用いられることが認められるであろう。しかしながら、異なるリンクを介した通信が、異なる通信標準(例えば、BとCとの間のリンクに対してセルラ電話器標準と、AとBとの間のリンクに対してブルートゥース標準と)を用いて生じる図6を参照して説明されたそのようなケースにおいては、異なる活動手順が、用いられ、そして1つの標準で受信された音声活動信号を用いて、他の標準で送信されるべき音声活動信号を発生し、全ての端末装置間で同期化を獲得する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、一例として与えられた、本発明の一実施形態に従い且つブルートゥース標準に基づく通信システムの概略図である。
【図2】図2は、ブルートゥース標準を用いた既知のPAN/LAN通信システムにおいて送信及び受信されるHV2信号の図である。
【図3】図3は、GSM標準を用いた既知のセルラ電話通信システムにおいて送信及び受信される信号の図である。
【図4】図4は、ブルートゥース標準に基づく図1に示された本発明の実施形態に従ったPAN/LAN通信システムにおいて送信及び受信される信号の図である。
【図5】図5は、一例として与えられた、図1のシステムに使用のため本発明の一実施形態に従ったブルートゥース端末装置の概略ブロック図である。
【図6】図6は、一例として与えられた、セルラ電話リンク及びブルートゥース標準に基づくリンクを含む本発明の別の実施形態に従った通信システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の時間スロット(T1からT16)内で交互の方向に会話データ・パケットを全二重伝送することができる無線リンクを介した端末装置(A,B)同士間での会話データ信号の通信方法であって、
前記通信は、それぞれの期間が複数の前記1対の時間スロットから成る1組を備える複数の期間を備え、
前記端末装置(A,B)のそれぞれが、対応の端末装置で受信され、且つ当該対応の端末装置から送信される前記会話データ・パケットを処理するのに使用する受信及び送信手段を備える、前記方法において、
前記端末装置(A,B)のそれぞれでローカル会話活動を検出するステップと、
前記端末装置(A,B)のそれぞれから他方の端末装置(B,A)へのローカル会話活動条件を示す会話活動信号(VAD)を送るステップと、
前記受信及び送信手段を制御して、前記端末装置(B,A)のうちの第2の端末装置でなく前記端末装置(A,B)のうちの第1の端末装置における会話活動に応答して前記会話データ・パケットの半二重伝送により通信するステップと、
前記第1の端末装置(A,B)での前記受信手段と前記第2の端末装置(B,A)での前記送信手段とを前記半二重伝送中にそれらの電力消費を低減するように少なくとも部分的に不活動状態にするステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記受信手段及び前記送信手段を制御する前記のステップが、前記受信手段及び前記送信手段への電力の供給を少なくとも部分的にオフに切り換えるステップを備える請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記受信手段及び前記送信手段を制御する前記のステップが、前記第1の端末装置(A,B)において、前記半二重伝送中にローカルに発生された快適雑音信号から可聴の快適雑音を発生するステップを備える請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記会話データ・パケットが、受信通知信号の戻り送信無しに通信される請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記会話データ・パケットが、音声信号を備え、
前記期間の持続時間が、音素期間に対応する
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記会話データ・パケットが、前記無線リンクを介して前記端末装置同士間で実質的にブルートゥース標準に準拠して送信される請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記会話活動信号(VAD)が、前記会話データ・パケットとは異なっている請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ローカル会話活動検出が、前記期間のそれぞれの間に、前記端末装置(A,B)のそれぞれで実行され、
前記会話活動信号(VAD)が、前記端末装置のそれぞれから他の端末装置へ前記期間のそれぞれの間に少なくとも1回送られる
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
会話活動信号が、前記端末装置のそれぞれから他方の端末装置へ同じ時間スロット対に送られ、次の期間に半二重伝送方向を制御する請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記端末装置の少なくとも1つの第1の端末装置(B)が、更なる通信リンクを介して第3の端末装置(C)と通信し、
前記第1の端末装置(B)が、前記第3の端末装置(C)で発生された会話活動を示す会話活動信号(VAD)を送る
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
同じ活動手順が、全ての前記端末装置(A,B,C)の間で同期して用いられる請求項10記載の方法。
【請求項12】
異なる活動手順が、前記端末装置のうちの1つの端末装置(B)と前記端末装置のうちの第3の端末装置との間と違う前記端末装置の前記1つの端末装置(B)と前記端末装置の別の端末装置(A)との間で同期して用いられる請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
前記更なる通信リンクがセルラ電話リンクである請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法で使用する端末装置であって、
前記会話データ・パケットを処理するのに使用するための前記受信及び送信手段と、
1対の時間スロット内で交互の方向に会話データ・パケットを全二重伝送することができる無線リンクを介して前記会話データ・パケットを通信する無線リンク手段と、を備え、
前記通信が、それぞれの期間が複数の前記対の時間スロットから成る1組から成る複数の期間を備え、
ローカル会話活動を前記端末装置で検出する会話活動検出手段と、
前記期間のそれぞれにおいて、ローカル端末装置から前記他方の端末装置へのローカル会話活動を示す会話活動信号(VAD)を送る信号送出手段と、
会話活動が前記端末装置のうちの第2の端末装置(B,A)で生じなくて前記端末装置のうちの第1の端末装置(A,B)で生じたことに応答して、前記受信及び送信手段を制御して、前記会話データ・パケットの半二重伝送により通信し、且つ電力消費を低減するように、前記半二重伝送中に、遠隔の会話活動が無い状態において前記受信手段を、又はローカル会話活動が無い状態において前記送信手段を少なくとも部分的に不活動状態にするための制御手段と、を更に備える端末装置。
【請求項15】
前記制御手段が、前記半二重伝送中に前記受信手段及び前記送信手段への電力の供給を少なくとも部分的にオフに切り換える手段を備える請求項14記載の端末装置。
【請求項16】
前記制御手段が、前記半二重伝送中に、ローカルに発生された快適雑音信号から可聴の快適雑音を発生する手段を備える請求項14又は15に記載の端末装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公表番号】特表2006−521731(P2006−521731A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505468(P2006−505468)
【出願日】平成16年3月15日(2004.3.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050311
【国際公開番号】WO2004/086693
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】