説明

無線基地局装置及びプログラムダウンロード方法並びにそのプログラム

【課題】無線基地局装置のプログラムダウンロードの適切化を図ることにより、無線基地局装置の初期起動時間を高速化する。
【解決手段】無線基地局装置のプログラム送信手段は、プログラム受信手段にダウンロードする複数のプログラムを記憶保持するプログラム格納手段と、前記複数のプログラムのダウンロード優先順位を記憶保持するプログラム優先順位記憶手段と、前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持されているダウンロード優先順位の順に前記プログラム格納手段から該当プログラムを読み出して前記プログラム受信手段に対するダウンロードを実行するダウンロード手段とを備え、プログラム受信手段は、前記プログラム送信手段からダウンロードされたプログラムを受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記プログラムを記憶部に展開して実行するプログラム実行手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局装置及びプログラムダウンロード方法並びにそのプログラムに関し、特に、無線基地局装置のプログラムダウンロードの適切化を図ることにより、無線基地局装置の初期起動時間を高速化することを可能とする、無線基地局装置及びプログラムダウンロード方法並びにそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムの構成要素の1つである無線基地局装置は、通常、プログラム制御によって動作するようになっている。そして、無線基地局装置の改修或いはプログラムのバージョンアップ時には、該当プログラムを、他装置などからダウンロードするようになっている。
【0003】
ダウンロードの方式としては各種のものが提案されており、一例として、基地局からの要求により、中央局が必要なプログラムをダウンロードするようにしているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
上述した特許文献1「プログラムダウンロード方式」では、基地局は、所定の時に、中央局に対してプログラムのバージョンデータの送信要求を出し、中央局の保持しているプログラムバージョンと基地局が保持しているプログラムのバージョンとを比較する。両者が不一致の場合、基地局は中央局にプログラムのダウンロードを要求して、プログラムを基地局にダウンロードするようにしている。このことにより、複数の基地局が同時に立ち上がってバージョンチェック処理の要求を出しても、基地局の立ち上がり時間が長くならないようなプログラムダウンロード方式が得られる、としている。
【0005】
また、他の一例として、移動通信用基地局が複数の送受信カードによって構成される場合、1つの送受信カードから新たに設置された送受信カードに対して、動作プログラムをダウンロードするようにしているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
上述した特許文献2「データ転送装置およびデータ転送方法」では、移動通信用基地局に新たに送受信カードを設置して動作させるときは、制御データ用バスを使用せず別途設置されている送受信データ用バスを使用して動作プログラムを転送するようにしている。制御データ用バスを動作プログラムの転送に使用することがないため、制御カードと他のカードとの制御処理に遅延の発生が無くなり、移動体通信用基地局の制御処理効率の向上が可能となる、としている。
【0007】
【特許文献1】特開平08−006770号公報(第3−4頁、図1−5)
【特許文献2】特開平11−265342号公報(第3−7頁、図1−11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1に記載のプログラムダウンロード方式においては、プログラムのダウンロード開始のトリガーは、基地局からのバージョンデータの送信要求によってなされるようになっている。そして、基地局において、中央局のプログラムバージョンと基地局のプログラムのバージョンとが不一致であると判定された時、中央局にプログラムのダウンロードを要求するようにしている。このため、プログラムのダウンロード開始までに時間がかかってしまうという課題を有している。
【0009】
また、上述した特許文献2に記載のデータ転送方法においては、新たに設置された送受信カードに動作プログラム要求データを書き込み、動作プログラムを転送する送受信カードがこの動作プログラム要求データを読み取った後、動作プログラムの転送を開始するようになっている。このため、プログラムのダウンロード開始までに時間がかかり、従って、移動通信用基地局の起動までにも多大な時間を費やしてしまうという課題を有している。
【0010】
さらに、上述の特許文献1、2の何れにおいても、ダウンロードするプログラムのダウンロードの順序は、ダウンロードしてもらいたい側からの要求によりなされるようになっている。このため、ダウンロードする側で優先的にダウンロードしたいプログラムが有った場合には、対応することができない、という課題を有している。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、従って、本発明の目的は、無線基地局装置のプログラムダウンロードの適切化を図ることにより、無線基地局装置の初期起動時間を高速化することを可能とする、無線基地局装置及びプログラムダウンロード方法並びにそのプログラム、を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、プログラムをダウンロードする側が、プログラムの優先順位に従って、プログラムをダウンロード出来るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の無線基地局装置は、プログラム送信手段と複数のプログラム受信手段とを備える無線基地局装置であって、
前記プログラム送信手段は、前記プログラム受信手段にダウンロードする複数のプログラムを記憶保持するプログラム格納手段と、前記複数のプログラムのダウンロード優先順位を記憶保持するプログラム優先順位記憶手段と、前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持されているダウンロード優先順位の順に前記プログラム格納手段から該当プログラムを読み出して前記プログラム受信手段に対するダウンロードを実行するダウンロード手段とを備え、
前記プログラム受信手段は、前記プログラム送信手段からダウンロードされたプログラムを受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記プログラムを記憶部に展開して実行するプログラム実行手段とを備える、ことを特徴とする。
【0014】
また、前記プログラム送信手段の前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持するダウンロード優先順位は、該当プログラムをダウンロードするに要するファイル転送時間と該当プログラムによって前記プログラム受信手段が起動するに要するブートストラップ時間の和が大きいほど高くなる、ことを特徴とする。
【0015】
さらに、前記プログラム送信手段は、前記無線基地局装置のリセット信号を検出した時点で前記プログラム受信手段に対するプログラムのダウンロードを開始する、ことを特徴とする。
【0016】
また、前記プログラム受信手段は、前記無線基地局装置のリセット信号を検出した時点で前記プログラム送信手段からのプログラムのダウンロードを待つ受信待ちとなる、ことを特徴とする。
【0017】
さらに、前記プログラム送信手段の前記ダウンロード手段は、複数の前記プログラム受信手段に対して同時に複数のプログラムをダウンロードする、ことを特徴とする。
【0018】
本発明のプログラムダウンロード方法は、プログラム受信手段にダウンロードする複数のプログラムを記憶保持するプログラム格納手段と、前記複数のプログラムのダウンロード優先順位を記憶保持するプログラム優先順位記憶手段とを備えるプログラム送信手段と、複数の前記プログラム受信手段とを具備する無線基地局装置において、
前記プログラム送信手段は、前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持されているダウンロード優先順位の順に前記プログラム格納手段から該当プログラムを読み出して前記プログラム受信手段に対するダウンロードを実行し、
前記プログラム受信手段は、前記プログラム送信手段からダウンロードされたプログラムを受信し、前記受信した前記プログラムを記憶部に展開して実行する、ことを特徴とする。
【0019】
また、前記プログラム送信手段の前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持するダウンロード優先順位は、該当プログラムをダウンロードするに要するファイル転送時間と該当プログラムによって前記プログラム受信手段が起動するに要するブートストラップ時間の和が大きいほど高くなる、ことを特徴とする。
【0020】
さらに、前記プログラム送信手段は、前記無線基地局装置のリセット信号を検出した時点で前記プログラム受信手段に対するプログラムのダウンロードを開始する、ことを特徴とする。
【0021】
また、前記プログラム受信手段は、前記無線基地局装置のリセット信号を検出した時点で前記プログラム送信手段からのプログラムのダウンロードを待つ受信待ちとなる、ことを特徴とする。
【0022】
さらに、前記プログラム送信手段は、複数の前記プログラム受信手段に対して同時に複数のプログラムをダウンロードする、ことを特徴とする。
【0023】
本発明のプログラムは、プログラム受信手段にダウンロードする複数のプログラムを記憶保持するプログラム格納手段と、前記複数のプログラムのダウンロード優先順位を記憶保持するプログラム優先順位記憶手段とを備えるプログラム送信手段と、複数の前記プログラム受信手段とを具備する無線基地局装置のコンピュータに、
前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持されているダウンロード優先順位の順に前記プログラム格納手段から該当プログラムを読み出して前記プログラム受信手段に対するダウンロードを実行するダウンロード処理と、
前記ダウンロード処理によってダウンロードされたプログラムを受信し、前記受信した前記プログラムを記憶部に展開して実行するプログラム実行処理と、を実行させることを特徴とする。
【0024】
また、前記プログラム送信手段の前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持するダウンロード優先順位は、該当プログラムをダウンロードするに要するファイル転送時間と該当プログラムによって前記プログラム受信手段が起動するに要するブートストラップ時間の和が大きいほど高くなる、ことを特徴とする。
【0025】
さらに、前記ダウンロード処理は、前記無線基地局装置のリセット信号を検出した時点で開始する、ことを特徴とする。
【0026】
また、前記プログラム実行処理は、前記無線基地局装置のリセット信号を検出した時点で開始する、ことを特徴とする。
【0027】
さらに、前記ダウンロード処理においては、複数の前記プログラム受信手段に対して同時に複数のプログラムをダウンロードする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の無線基地局装置は、プログラム送信手段からプログラム受信手段に対して、ダウンロードすべきプログラムを自動的にダウンロードするようにしている。プログラム受信手段からのダウンロード要求を待たずにダウンロードを開始しているため、各プログラム受信手段の起動時間が早くなり、従って、複数のプログラム受信手段を備える無線基地局装置の起動時間が高速化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、本発明の無線基地局装置の一実施形態を示すブロック図である。
【0031】
図1に示す本実施の形態は、移動体通信システムの構成要素の1つである無線基地局装置1の構成を示している。
【0032】
図1において、無線基地局装置1は、プログラム送信機能部10と複数のプログラム受信機能部20(20−1〜20−n)とが、バス32で相互に接続されて構成されている。
【0033】
プログラム送信機能部10は、無線基地局装置1の所定の機能を実現する制御カードで構成されている。プログラム受信機能部20は、図示しない移動体通信システムの交換局と移動体通信端末との間で送受信される音声データやデジタルデータなどを送受信する送受信カードで構成されている。
【0034】
プログラム送信機能部10は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)11を搭載している。CPU11はバス12を介して、プログラム保存用RAM(Random Access Memory:ラム)13と、ROM(Read Only Memory:ロム)14と、作業用メモリ15と、送受信部16と、リセット検出部17の各部と接続されている。
【0035】
プログラム保存用RAM13は、複数のプログラム受信機能部20に対してダウンロードするプログラムを複数記憶しているメモリであり、不揮発性メモリで構成されている。
【0036】
ROM14は、CPU11が実行するための各種の制御用プログラムを格納しているメモリである。
【0037】
作業用メモリ15は、RAMによって構成されており、CPU11がROM14に格納されている制御用プログラムを実行する上で、一時的に必要とされるデータを格納するためのメモリである。作業用メモリ15には、プログラム保存用RAM13に記憶されているプログラムのプログラム名と、ダウンロードの優先順位との関連を示すプログラム優先順位テーブル40も格納されている。プログラム優先順位テーブル40については後述する。
【0038】
送受信部16は、複数のプログラム受信機能部20に対して、プログラム保存用RAM13に記憶されているプログラムの送受信を行う回路である。
【0039】
リセット検出部17は、無線基地局装置1のリセットを検出する回路である。
【0040】
プログラム受信機能部20−1〜20−nは、それぞれ同一の構成であり、プログラム受信機能部20は、CPU21を搭載している。CPU21はバス22を介して、プログラム展開用RAM23と、ROM24と、作業用メモリ25と、送受信部26と、リセット検出部27の各部と接続されている。
【0041】
プログラム展開用RAM23は、プログラム送信機能部10から自プログラム受信機能部20にダウンロードされたプログラムを展開し、該展開したプログラムによってCPU21を動作させるためのメモリである。
【0042】
ROM24は、CPU21が実行するための各種の制御用プログラムを格納しているメモリである。
【0043】
作業用メモリ25は、RAMによって構成されており、CPU21がROM24に格納されている制御用プログラム、或いは、プログラム展開用RAM23に展開されたプログラムを実行する上で、一時的に必要とされるデータを格納するためのメモリである。
【0044】
送受信部26は、プログラム送信機能部10からダウンロードされるプログラムの送受信を行う回路である。
【0045】
リセット検出部27は、無線基地局装置1のリセットを検出する回路である。
【0046】
次に、図2を参照して、プログラム送信機能部10の作業用メモリ15に格納されるプログラム優先順位テーブル40について説明する。
【0047】
図2は、プログラム優先順位テーブルの一例を示す図である。
【0048】
図2において、プログラム優先順位テーブル40は、優先順位41の欄と、プログラム名42の欄と、ファイル転送時間43の欄と、ブート時間44の欄とから構成されている。
【0049】
プログラム名42には、プログラム保存用RAM13に記憶されているプログラムの名称が記載される。
【0050】
優先順位41には、プログラム名42に記載のプログラムのダウンロードの優先順位が記載される。優先順位41の数字が小さいものほど優先的にダウンロードされるものとする。
【0051】
ファイル転送時間43には、プログラム名42に記載のプログラムを、プログラム送信機能部10からプログラム受信機能部20にダウンロードする際の転送に要する時間が記載される。ファイル転送時間43内の時間は、秒単位で記載されるものとする。
【0052】
ブート時間44には、プログラム名42に記載のプログラムのブートストラップ(bootstrap)に要する時間が記載される。ブート時間44内の時間は、秒単位で記載されるものとする。なお、ブートストラップとは周知のように、該当プログラムを実行するCPUが起動するまでに自動的に行われる一連の処理のことである。
【0053】
図2においては、プログラム送信機能部10からプログラム受信機能部20にダウンロードするプログラムは、プログラムA〜プログラムHまで8本有ることを示している。そして、プログラムAの優先順位が一番高く(図2の401の行)、プログラムHの優先順位は8位である(図2の408の行)ことを示している。
【0054】
また、プログラムA〜プログラムHそれぞれの優先順位は、ファイル転送時間43とブート時間44に記載の時間の和が大きい順に割り当てられている。例えば、図2の401の行に示すように、プログラムAのファイル転送時間43(12.00秒)とブート時間44(11.0秒)の和は「23.00秒」で、他のプログラム(B〜H)の何れよりも大きいため、優先順位を「1」としている。プログラムB(図2の402の行)のファイル転送時間43(9.20秒)とブート時間44(10.7秒)の和は「19.90秒」で、これは2番目の大きさであるため、優先順位を「2」としている。
【0055】
なお、ファイル転送時間43とブート時間44の和が大きな順に優先順位を割り当て、かつ、優先順位の高いプログラムを優先的にプログラム受信機能部20にダウンロードすることにより、プログラムをダウンロードされるプログラム受信機能部20では、自プログラム受信機能部20のブートストラップ処理を早く実施することが可能となる。従って、各プログラム受信機能部20の起動時間が早くなり、その結果、複数のプログラム受信機能部20を備える無線基地局装置1の起動時間が高速化される。
【0056】
次に、図3を参照して、プログラム送信機能部10から各プログラム受信機能部20にプログラムをダウンロードし、プログラムをダウンロードされた各プログラム受信機能部20がブートストラップ処理を実行する場合の様子について概観する。
【0057】
図3は、ダウンロード処理とブートストラップ処理の一例を示すタイムチャートである。
【0058】
図3の上段に記載の「ダウンロード処理」501は、プログラム送信機能部10のダウンロード処理手段(1)、ダウンロード処理手段(2)、ダウンロード処理手段(3)により実行される。ダウンロード処理手段(1)(2)(3)は、プログラム送信機能部10のROM14に格納されている制御用プログラムの1つとして実現されている。
【0059】
「ダウンロード処理」501においては、図2に示した「プログラムA」は、プログラム受信機能部20−1にダウンロードするものとし、「プログラムB」は、プログラム受信機能部20−2にダウンロードするものとする。以下、同様に、「プログラムC」はプログラム受信機能部20−3にダウンロードし、「プログラムD」〜「プログラムH」はそれぞれプログラム受信機能部20−4〜20−8にダウンロードするものとする。
【0060】
図3の下段に記載の「ブートストラップ処理」502は、プログラムをダウンロードされたプログラム受信機能部20−1〜20−8のそれぞれが実行するブートストラップ処理である。
【0061】
図3の時間「t0」において、プログラム送信機能部10は図2に示したプログラムA〜プログラムHのダウンロードを開始する。
【0062】
プログラム送信機能部10は、図2に示したプログラム優先順位テーブル40を参照し、優先順位「1」のプログラムAをプログラム受信機能部20−1にダウンロードするよう、ダウンロード処理手段(1)に指示する。ダウンロード処理手段(1)は、プログラムAを、時間「t0」〜「t12」の間にプログラム受信機能部20−1に対してダウンロードする。なお、プログラムAのダウンロード時間(「t0」〜「t12」の12秒間)は、図2の401の行に示すプログラムAのファイル転送時間43(12.00秒)と一致するものである。
【0063】
時間「t0」において、プログラム送信機能部10は同時に、優先順位「2」のプログラムB(図2の402の行)をプログラム受信機能部20−2にダウンロードするよう、ダウンロード処理手段(2)に指示する。ダウンロード処理手段(2)は、プログラムBを、時間「t0」からプログラム受信機能部20−2に対してダウンロードする。プログラムBのダウンロードに要する時間は、図2の402の行に示すように「9.20秒」である。
【0064】
同様に、図2の403の行に示す優先順位「3」のプログラムCを、ダウンロード処理手段(3)がプログラム受信機能部20−3にダウンロードする。プログラムCのダウンロードは、時間「t0」から「6.24秒(図2の403の行)」後に完了する。
【0065】
ダウンロード処理手段(3)がプログラムCのダウンロードを完了すると、次に、プログラム送信機能部10は、次の優先順位「4」を有するプログラムDをプログラム受信機能部20−4にダウンロードするよう、ダウンロード処理手段(3)に指示する。ダウンロード処理手段(3)は、プログラムDをプログラム受信機能部20−4に対してダウンロードする。なお、この時点でプログラムDのダウンロードをダウンロード処理手段(3)に行わせるのは、他のダウンロード処理手段(1)(2)は、それぞれ、プログラムA、プログラムBのダウンロードを未だ完了していないためである。
【0066】
ダウンロード処理手段(2)がプログラムBのダウンロードを完了すると、その時点から、ダウンロード処理手段(2)は優先順位「5」のプログラムEをプログラム受信機能部20−5に対してダウンロードする。同様に、ダウンロード処理手段(1)は、プログラムAのダウンロードを完了した時点で、優先順位「6」のプログラムFのダウンロードを開始する。
【0067】
以下同様に、ダウンロード処理手段(3)は、優先順位「7」のプログラムGをプログラム受信機能部20−7に対してダウンロードし、ダウンロード処理手段(2)は、優先順位「8」のプログラムHをプログラム受信機能部20−8に対してダウンロードする。
【0068】
一方、プログラムをダウンロードされたプログラム受信機能部20の各々は、自プログラム受信機能部20へのプログラムダウンロードが完了すると、即座に自プログラム受信機能部20のブートストラップ処理を開始する。
【0069】
図3において、プログラム受信機能部20−3は、自プログラム受信機能部20−3にプログラムCのダウンロードが完了した時点から、ブートストラップ処理を開始している。同様に、プログラム受信機能部20−1は、自プログラム受信機能部20−1にプログラムAのダウンロードが完了した「t12」の時点から、ブートストラップ処理を開始する。このブートストラップ処理は、「t12」の時点から「t23」の時点にかけて実行する。なお、プログラム受信機能部20−1のブートストラップ処理時間(「t12」〜「t23」の11秒間)は、図2の401の行に示すプログラムAのブート時間44(11.0秒)と一致するものである。
【0070】
同様に、プログラム受信機能部20−2、20−4〜20−8においても、自プログラム受信機能部20へのプログラムダウンロードが完了した時点から、ブートストラップ処理を開始する。
【0071】
各プログラム受信機能部20は、自プログラム受信機能部20でのブートストラップ処理が完了した時点で、起動が完了する。すなわち、各プログラム受信機能部20の起動時間は、ダウンロード時間(図2のファイル転送時間43と一致)とブートストラップ処理時間(図2のブート時間44と一致)の和となる。
【0072】
各プログラム受信機能部20の起動時間が短くなるほど、複数のプログラム受信機能部20を備える無線基地局装置1の起動時間が短くなり、高速化されることとなる。
【0073】
次に、図4、図5を参照して、本実施形態の動作について詳細に説明する。
【0074】
図4は、本実施形態のプログラム送信機能部の動作を説明するフローチャートである。
【0075】
プログラム送信機能部10は、リセット検出部17で無線基地局装置1のリセットを検出すると、複数のプログラム受信機能部20のそれぞれに対するプログラムのダウンロードを開始する。
【0076】
プログラム送信機能部10がプログラムダウンロードを行うに際しては、ダウンロードの対象となるプログラムであるところのダウンロード対象プログラムを、作業用メモリ15に格納されているプログラム優先順位テーブル40を参照して決定するようになっている。
【0077】
先ず、プログラム送信機能部10は、プログラム優先順位テーブル40を参照し、ダウンロード対象プログラムとして、優先度の一番高い優先順位「1」のプログラムを選択し決定する(図4のステップS100)。
【0078】
次に、ステップS100で決定したダウンロード対象プログラムを、プログラム保存用RAM13から読み込み(ステップS101)、該ダウンロード対象プログラムを送受信部16を介してプログラム受信機能部20へダウンロードする処理を開始する(ステップS102)。ステップS102のダウンロードは、図3の説明にて上述したダウンロード処理手段に指示を出すことにより行うものである。複数あるダウンロード処理手段の何れも他のダウンロード対象プログラムをダウンロード中である場合には、ダウンロードの指示を一時待ち合わせ、何れかのダウンロード処理手段がダウンロードを完了した時点で、改めてダウンロードの指示を出すようにすればよい。
【0079】
ステップS102の後、プログラム送信機能部10はプログラム優先順位テーブル40を参照し、次のダウンロード対象プログラムが有るかを判定する(ステップS103)。
【0080】
次のダウンロード対象プログラムが有る場合には(ステップS103でYes)、ダウンロード対象プログラムとして次の優先順位を有するプログラムを選択し決定する(ステップS104)。そして、ステップS101に戻る。ステップS101においては、上述したと同様に、ステップS104で決定したダウンロード対象プログラムを、プログラム保存用RAM13から読み込み、読み込んだダウンロード対象プログラムをダウンロードする処理を開始する(ステップS102を実行する)。
【0081】
次のダウンロード対象プログラムが無い場合には(ステップS103でNo)、本処理動作を終了する。
【0082】
次に、図5を参照して、本実施形態のプログラム受信機能部20の動作について説明する。
【0083】
図5は、本実施形態のプログラム受信機能部の動作を説明するフローチャートである。
【0084】
プログラム受信機能部20は、リセット検出部27で無線基地局装置1のリセットを検出すると、プログラム送信機能部10からプログラムがダウンロードされるのを待つ受信待ちの状態となる。そして、プログラム受信機能部20は、送受信部26を介してプログラム受信を行ったかを判定する状態となっている(図5のステップS110)。
【0085】
プログラムを受信していない場合は(ステップS110でNo)、受信待ちの状態を継続する(ステップS110に戻る)。
【0086】
プログラムを受信した場合は(ステップS110でYes)、受信したプログラムを作業用メモリ25に保存する(ステップS111)。そして、プログラムを全て受信したかを判定し(ステップS112)、プログラムの全てを受信していない場合は(ステップS112でNo)、ステップS110に戻りプログラム受信を継続する。
【0087】
プログラムを全て受信した場合は(ステップS112でYes)、作業用メモリ25に保存したプログラムを、プログラム展開用RAM23に展開する(ステップS113)。そして、プログラム展開用RAM23に展開したプログラムにジャンプする(ステップS114)。
【0088】
このようにすることで、プログラム受信機能部20は、プログラム送信機能部10からダウンロードしたプログラムで動作することが可能となる。
【0089】
以上、本実施形態の動作について詳細に説明した。
【0090】
上述の実施形態において、プログラム送信機能部10からプログラム受信機能部20にダウンロードするプログラムの優先順位は、図2で説明したように、ファイル転送時間とブート時間の和が大きな順に、優先順位を高く設定するようにした。
【0091】
しかしながら、該優先順位は、ダウンロードするプログラムの他の性質によって、任意に変更することが可能である。例えば、ある特定のプログラム受信機能部20だけを他よりも早く起動したい旨の要求がある場合には、該特定のプログラム受信機能部20にダウンロードするプログラムの優先順位を高く設定する、などである。
【0092】
以上説明したように、本実施形態においては、無線基地局装置1の初期起動時すなわちリセット時に、プログラム送信機能部10からプログラム受信機能部20に対して、ダウンロードすべきプログラムを自動的にダウンロードするようにしている。プログラム受信機能部20からのダウンロード要求を待たずにダウンロードを開始しているため、各プログラム受信機能部20の起動時間が早くなり、従って、複数のプログラム受信機能部20を備える無線基地局装置1の起動時間が高速化される。
【0093】
また、ダウンロードするプログラムのダウンロード優先順位を、各プログラム受信機能部20の起動時間が短くなるように設定できるため、各プログラム受信機能部20の起動時間を短縮することができる。
【0094】
さらに、プログラム送信機能部10が備えるプログラム優先順位テーブル40を使用して、ダウンロードするプログラムのダウンロード順序を決定するようにしている。従って、プログラム受信機能部20を起動させる順番に変更が生じた場合であっても、プログラム優先順位テーブル40の優先順位を変えるだけで、容易に対応可能となる。
【0095】
またさらに、プログラム受信機能部20からはプログラムのダウンロード要求を出さないため、プログラム受信機能部20の構成及び動作がシンプルなものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の無線基地局装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】プログラム優先順位テーブルの一例を示す図である。
【図3】ダウンロード処理とブートストラップ処理の一例を示すタイムチャートである。
【図4】本実施形態のプログラム送信機能部の動作を説明するフローチャートである。
【図5】本実施形態のプログラム受信機能部の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0097】
1 無線基地局装置
10 プログラム送信機能部
11 CPU
12 バス
13 プログラム保存用RAM
14 ROM
15 作業用メモリ
16 送受信部
17 リセット検出部
20 プログラム受信機能部
21 CPU
22 バス
23 プログラム展開用RAM
24 ROM
25 作業用メモリ
26 送受信部
27 リセット検出部
32 バス
40 プログラム優先順位テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラム送信手段と複数のプログラム受信手段とを備える無線基地局装置であって、
前記プログラム送信手段は、前記プログラム受信手段にダウンロードする複数のプログラムを記憶保持するプログラム格納手段と、前記複数のプログラムのダウンロード優先順位を記憶保持するプログラム優先順位記憶手段と、前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持されているダウンロード優先順位の順に前記プログラム格納手段から該当プログラムを読み出して前記プログラム受信手段に対するダウンロードを実行するダウンロード手段とを備え、
前記プログラム受信手段は、前記プログラム送信手段からダウンロードされたプログラムを受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記プログラムを記憶部に展開して実行するプログラム実行手段とを備える、ことを特徴とする無線基地局装置。
【請求項2】
前記プログラム送信手段の前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持するダウンロード優先順位は、該当プログラムをダウンロードするに要するファイル転送時間と該当プログラムによって前記プログラム受信手段が起動するに要するブートストラップ時間の和が大きいほど高くなる、ことを特徴とする請求項1に記載の無線基地局装置。
【請求項3】
前記プログラム送信手段は、前記無線基地局装置のリセット信号を検出した時点で前記プログラム受信手段に対するプログラムのダウンロードを開始する、ことを特徴とする請求項1或いは請求項2の何れか1項に記載の無線基地局装置。
【請求項4】
前記プログラム受信手段は、前記無線基地局装置のリセット信号を検出した時点で前記プログラム送信手段からのプログラムのダウンロードを待つ受信待ちとなる、ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の無線基地局装置。
【請求項5】
前記プログラム送信手段の前記ダウンロード手段は、複数の前記プログラム受信手段に対して同時に複数のプログラムをダウンロードする、ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の無線基地局装置。
【請求項6】
プログラム受信手段にダウンロードする複数のプログラムを記憶保持するプログラム格納手段と、前記複数のプログラムのダウンロード優先順位を記憶保持するプログラム優先順位記憶手段とを備えるプログラム送信手段と、複数の前記プログラム受信手段とを具備する無線基地局装置において、
前記プログラム送信手段は、前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持されているダウンロード優先順位の順に前記プログラム格納手段から該当プログラムを読み出して前記プログラム受信手段に対するダウンロードを実行し、
前記プログラム受信手段は、前記プログラム送信手段からダウンロードされたプログラムを受信し、前記受信した前記プログラムを記憶部に展開して実行する、ことを特徴とするプログラムダウンロード方法。
【請求項7】
前記プログラム送信手段の前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持するダウンロード優先順位は、該当プログラムをダウンロードするに要するファイル転送時間と該当プログラムによって前記プログラム受信手段が起動するに要するブートストラップ時間の和が大きいほど高くなる、ことを特徴とする請求項6に記載のプログラムダウンロード方法。
【請求項8】
前記プログラム送信手段は、前記無線基地局装置のリセット信号を検出した時点で前記プログラム受信手段に対するプログラムのダウンロードを開始する、ことを特徴とする請求項6或いは請求項7の何れか1項に記載のプログラムダウンロード方法。
【請求項9】
前記プログラム受信手段は、前記無線基地局装置のリセット信号を検出した時点で前記プログラム送信手段からのプログラムのダウンロードを待つ受信待ちとなる、ことを特徴とする請求項6から請求項8の何れか1項に記載のプログラムダウンロード方法。
【請求項10】
前記プログラム送信手段は、複数の前記プログラム受信手段に対して同時に複数のプログラムをダウンロードする、ことを特徴とする請求項6から請求項9の何れか1項に記載のプログラムダウンロード方法。
【請求項11】
プログラム受信手段にダウンロードする複数のプログラムを記憶保持するプログラム格納手段と、前記複数のプログラムのダウンロード優先順位を記憶保持するプログラム優先順位記憶手段とを備えるプログラム送信手段と、複数の前記プログラム受信手段とを具備する無線基地局装置のコンピュータに、
前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持されているダウンロード優先順位の順に前記プログラム格納手段から該当プログラムを読み出して前記プログラム受信手段に対するダウンロードを実行するダウンロード処理と、
前記ダウンロード処理によってダウンロードされたプログラムを受信し、前記受信した前記プログラムを記憶部に展開して実行するプログラム実行処理と、を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
前記プログラム送信手段の前記プログラム優先順位記憶手段に記憶保持するダウンロード優先順位は、該当プログラムをダウンロードするに要するファイル転送時間と該当プログラムによって前記プログラム受信手段が起動するに要するブートストラップ時間の和が大きいほど高くなる、ことを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記ダウンロード処理は、前記無線基地局装置のリセット信号を検出した時点で開始する、ことを特徴とする請求項11或いは請求項12の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項14】
前記プログラム実行処理は、前記無線基地局装置のリセット信号を検出した時点で開始する、ことを特徴とする請求項11から請求項13の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項15】
前記ダウンロード処理においては、複数の前記プログラム受信手段に対して同時に複数のプログラムをダウンロードする、ことを特徴とする請求項11から請求項14の何れか1項に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−172305(P2006−172305A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366380(P2004−366380)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(390000974)NECモバイリング株式会社 (138)
【Fターム(参考)】