説明

無線応用計測装置

【課題】
本発明の目的は、子局ユニットのサンプリング周期を短くでき、電池交換等のランニングコストを低減できるデータ計測装置を提供することにある。
【解決手段】
親局ユニット7は複数台の子局ユニット5がセンサ4のセンサ信号を順次送信するタイミング時刻を予め設定する。複数台の子局ユニット5はタイマを有する。親局ユニット7で送信タイミング時刻を子局ユニット5のタイマに予め設定し間欠動作方式によって親局ユニット7と子局ユニット5の送受信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラント設備等のプラントデータを測定する複数台のセンサのセンサ信号を無線で送信するデータ計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラントにおいては健全性確認および予防保全のためにプラント状態を監視する必要がある。プラント状態の監視は遠隔地の監視センタで行うようにしている。このために、プラント状態をセンサで検出し監視センタに送信するようにしている。センサのセンサ信号は、効率やコストを考慮して無線通信によって行うようにしている。このことは、例えば、下記の特許文献1に記載されている。
【0003】
センサ信号の無線通信は、複数台のセンサ毎にセンサ信号を無線で送信する複数台の子局ユニットを設け、監視センタに設置される親局ユニットに送信するようにしている。子局ユニットは、通常、電池で駆動されるものが用いられる。
【0004】
従来、親局ユニットはポーリング方式によって子局ユニットからセンサ信号(データ)を収集している。ポーリング方式は、親局ユニットが子局ユニットに呼び出し信号を送信して呼び出し、呼び出された子局ユニットがセンサからセンサ信号を取込んで親局ユニットに送信する。親局ユニットはセンサ信号を受信すると当該子局ユニットに受信確認の受信確認信号を送信する。
【0005】
その後に次に呼び出す子局ユニットに呼び出し信号を送信する。以下、子局ユニット数だけ従事送受信を繰り返し、再度、最初に呼び出した子局ユニットに戻るようになる。子局ユニットは親局ユニットとの送受信を完了すると待機状態になり、次の呼び出しがあるまで待機するが、待機中も電源(電池)をON状態にしている。
のため、電力は消耗しつづける。
【0006】
子局の数が少ないうちは子局の動作率も多く、その分待機時間は短いが、子局数が増加すると、待機時間も長くなり、無駄な電力を消費することになる。
【0007】
また、集中ポーリング方式では親局と子局間の信号は、親局から子局へ2回、子局から親局に1回の合計3回行われているが、其の分送受信にかかる時間が長く、結果的に一つの子局がデータを送信できる間隔(サンプリングタイム)が長くなっている。
【特許文献1】特開2002−367067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術は、親局ユニットと子局ユニットの間をポーリング方式で通信している。ポーリング方式は親局から子局に2回、子局から親局に1回の3回の送信が行われ送受信に要する時間が長くなり、一つの子局ユニットがデータ(センサ信号)を送信できるサンプリング周期が長くなるという問題点を有する。また、子局ユニットは待機中も電源(電池)をON状態にしているので電力消費が大きく、電池交換等のランニングコストが上昇するという問題点もある。
【0009】
本発明の目的は、子局ユニットのサンプリング周期を短くでき、電池交換等のランニングコストを低減できるデータ計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴とするところは、親局ユニットは複数台の子局ユニットがセンサ信号を順次送信するタイミング時刻を予め設定し、複数台の子局ユニットから送信されるセンサ信号を順次受信するようにしたことにある。つまり、複数台の子局ユニットにタイマを設け,親局ユニットで送信タイミング時刻を子局ユニットのタイマに予め設定し間欠動作方式によって親局ユニットと子局ユニットの送受信を行うものである。
【0011】
本発明は間欠動作方式によって送受信しており、親局ユニットが子局ユニットに送信タイミング時刻を設定すると子局ユニットから送信タイミング時刻にセンサ信号が送信されるので全子局との送受信にかかる時間を短縮でき、サンプリング周期を短くすることができる。また、子局ユニットは待機状態ではタイマ監視のみが動作するだけであり電池の消費電力を小さくできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明はデータのサンプリング周期を短くできるので広範囲に亘り高精度な計測ができ、また、電池の電力消耗を小さくできるためにコスト低減が図れる。本発明は子局ユニット数が多くなるほど、その効果が顕著になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
複数台のセンサはプラントなどのプラントデータを測定する。複数台のセンサにはそれぞれ子局ユニット設けられている。子局ユニットはタイマを有している。複数台の子局ユニットは複数台のセンサのセンサ信号を無線で送信する。親局ユニットは複数台の子局ユニットからのセンサ信号を受信する。親局ユニットは複数台の子局ユニットがセンサ信号を順次送信するタイミング時刻をタイマに予め設定し、複数台の子局ユニットから送信されるセンサ信号を順次受信する。
【実施例】
【0014】
図1に本発明の一実施例を示す。
【0015】
図1において、プラント1には制御盤2やプラント機器3が設置されている。制御盤2やプラント機器3にはプラントデータを検出する複数台のセンサ4が設けられている。複数台のセンサ4には信号線6を介して子局ユニット5が接続されている。複数台の子局ユニット5はそれぞれセンサ4のセンサ信号を無線で送信する。
【0016】
監視センタ10には複数台の子局ユニット5からのセンサ信号を受信する親局ユニット7が配置されている。親局ユニット7で受信したセンサ信号はデータ処理装置8に入力されて処理される。親局ユニット7とデータ処理装置8は電源装置9から給電される。
【0017】
図2に子局ユニット5に一例構成図を示す。
【0018】
無線ユニット5は、マイコン11,無線通信制御部12,アドレス設定部13,アンテナ14、電池15、タイマ16おとびアナログ入力部17で構成されている。アナログ入力部17は信号線6を介してセンサ4に接続されている。
【0019】
次に動作を説明する。
【0020】
監視センタ10の親局ユニット7は計測開始時点に全ての子局ユニット5に対してデータ送信のタイミング時刻を送信しタイマ16に設定する。送信タイミング時刻は複数台の子局ユニット5が同時に送信しないように設定される。子局ユニット5はタイマ16に設定された送信タイミング時刻にセンサ4の検出信号(センサ信号)を送信する。
【0021】
親局ユニット7は受信したセンサ信号をデータ処理装置8に入力して処理させる。親局ユニット7はセンサ信号を受信すると再度子局ユニット5に次の送信タイミング時刻送信する。他の子局についても順次同じ送受信を繰り返す。
【0022】
親局ユニット7は予め設定されたアドレスを持つ子局ユニット5に対してデータ送信タイミング時刻を指令する。子局ユニット5はタイマ16に設定された送信タイミング時刻に従い、アナログ入力部11がセンサ4の検出信号を取込み、無線通信制御部12からアンテナ14を介してデータ(センサ信号)を親局ユニット7に送信する。
【0023】
親局ユニット7と子局ユニット5間の送受信は、対象となっている1台の子局ユニット5のみ実行し、他の子局ユニット5はタイマ16による時刻管理のみを行い、動作を停止している。
【0024】
このようにして親局ユニットと複数台の子局ユニットとデータの送受信を行うのであるが、子局ユニットは設定された送信タイミング時刻にセンサ信号が送信されるので全子局との送受信にかかる時間を短縮でき、サンプリング周期を短くすることができる。また、子局ユニットは待機状態ではタイマ監視のみが動作するだけであり電池の消費電力を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の子局ユニットの一例構成図である。
【符号の説明】
【0026】
1…プラント、2…制御盤、3…プラント機器、4…センサ、5…子局ユニット、6…信号線、7親局ユニット、8…データ処理装置、9…電源装置、10…監視センタ、11…マイコン、12…無線通信制御部、13…アドレス設定部、14…アンテナ、15…電池、16…タイマ、17…アナログ入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のセンサと、前記複数台のセンサ毎に設けられ、前記複数台のセンサのセンサ信号を無線で送信する複数台の子局ユニットと、前記複数台のセンサからのセンサ信号を受信する親局ユニットとを備え、前記親局ユニットは複数台の子局ユニットが前記センサ信号を順次送信するタイミング時刻を予め設定し、前記複数台の子局ユニットから送信されるセンサ信号を順次受信するようにしたことを特徴とするデータ計測装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−3946(P2006−3946A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176537(P2004−176537)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリングサービス (276)
【Fターム(参考)】