説明

無線通信システム

【課題】子機との親子関係を自動的に親機に設定する。
【解決手段】子機1から計測データを自己の識別情報(子機ID)を付加して定期的に送信する。親機2に子機データ記憶エリアを自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数分設ける。管理装置3に親機毎の親子関係記憶部を設ける。親機毎の親子関係記憶部は自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大数分の親機関係記憶エリアを有する。親機2は、子機1からの計測データを受信すると、その計測データに付加されている子機IDを含む管理情報を管理装置3へ送る。管理装置3は、親機2からの管理情報中の子機IDがどの親機の親子関係記憶部にも記録されておらず、管理情報の送信元の親機2の親子関係記憶部に空エリアがあれば、その空エリアの1つに子機1からの識別情報、計測データ、通信品質(電波強度)、受信時刻、自動設定済みの情報を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線によってデータを送信する子機と親機との間の無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、大規模な空間を持つ建物内では、その建物内に空調設備,防犯設備,照明設備など多数の設備が設置されている。そして、これらの設備に対しては、その設備を適切にあるいは効率よく動作させるための制御装置(空調用、防犯用、照明用などの制御装置)が設けられており、それら制御装置が各種制御を実行するうえで必要な情報をセンシングして制御装置に送るセンサも多数設置されている。
【0003】
以前は、それら設備、制御装置、センサ間は全て有線で接続されていたが、近年、無線通信技術が発達し、配線接続の手間が軽減でき、しかも現場設置後の機器の増設や設置場所の変更に柔軟に対処できるように、特に制御装置とセンサ間を無線で接続する方式(無線通信方式)が急速に普及してきている。
【0004】
大規模な空間を持つ建物内で、上述したような無線通信方式を採用すると、無線センサのセンシング情報を受信する受信機である無線制御装置と、センシング情報を無線制御装置に送信する送信機である無線センサがそれぞれ多数混在することになるので、運用前に、互いに送受信する無線制御装置と無線センサとを定め、その無線制御装置と無線センサとの間に親子の接続関係(以下、親子関係とも呼ぶ)を決めておく必要がある。すなわち、無線制御装置を親機、無線センサを子機とし、互いに送受信する親機と子機との接続関係を決めておく必要がある。
【0005】
なお、親機は1台の子機とだけ親子関係を設定することも、複数台の子機と並列的に親子関係を設定することも可能であるが、自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数は予め定められている。
【0006】
従来、親機と子機との間の親子関係の設定作業は、人手に頼っており、現場に多数の親機および子機が存在すると親子関係の設定・変更作業が煩わしく、また人為的なミスにより誤って親子関係の設定・変更を行ってしまう場合も多々あった。
【0007】
また、一度、親子関係を設定すると、再設定しない限り、その親子関係が維持されてしまう。このため、例えば、親子関係を設定された子機が故障して通信不能となったり、子機が通信圏外に持ち運ばれたり、親機と子機との間に通信障害物が置かれて通信不能となり、そのような通信不能の親子関係の設定が放置されると、親子関係を設定可能な子機の台数の余裕が減少し、後に子機が増設されることになったような場合に支障が生じる。
【0008】
これに対して、特許文献1では、子機に、親機を指定する親機指定手段と、テスト開始を指示するテスト開始手段と、テスト開始が指示された場合、親機指定手段によって指定された親機をテスト対象とし、このテスト対象に対して通信テストを行う通信手段と、通信テストの結果が良好であった場合、その通信テストのテスト対象である親機を接続先とする親子関係の変更を自動的に行う手段とを設けるようにしている。これにより、親子関係の設定・変更作業が簡単となる。
【0009】
【特許文献1】特開2004−357254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した特許文献1に示された方式では、子機の親機指定手段とテスト開始手段をユーザが操作しなければ、親子関係を設定・変更することができない。すなわち、特許文献1に示された方式は、半自動方式であって、完全な自動方式とは言えず、ユーザにとっての煩わしさが依然として残っている。
【0011】
また、上述した特許文献1に示された方式では、親子関係を設定した親機と子機との間で通信不能な状態になっていることをユーザが気づかないと、そのまま通信不能の親子関係の設定が放置されてしまい、親子関係を設定可能な子機の台数の余裕が減少するという問題は解消されない。
【0012】
また、予め親子関係を設定すべき親機と子機があって手動設定しておいたものが、通信テストの結果、それぞれ別の親機、子機と親子関係が結ばれる可能性がある。
また、親子関係を結んではならない親機と子機が近くにあった場合に、通信テストの結果、親子関係が結ばれてしまう可能性がある。
【0013】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、手動設定された親子関係についてはそれを保護したうえ、ユーザの手を煩わせることなく、子機との親子関係を自動的に親機に設定すること可能な無線通信システムを提供することにある。
また、手動設定された親子関係についてはそれを保護したうえ、ユーザの手を煩わせることなく、子機との親子関係を自動的に親機に設定すること可能で、かつ親子関係を設定可能な子機の台数の余裕が減少するという問題も解消することができる無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために本発明は、無線によってデータを送信する子機と、この子機からの送信データを受信する親機とを備えた無線通信システムにおいて、自己と親子の接続関係が設定された子機の情報の記憶エリアとして少なくともその子機の識別情報とその子機との親子の接続関係が手動で設定されたのか自動で設定されたのかを示す情報が記録される親子関係記憶エリアを自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数分有する親機毎の親子関係記憶手段と、この親機毎の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに記録されている情報に基づいて同じ子機の識別情報が重複して他の親機の親子関係記憶手段に記録されないように親子関係記憶手段への子機の識別情報の記録を制御する親子関係記録制御手段とを設け、子機に、自己の識別情報を付加してデータを定期的に送信するデータ送信手段を設け、親機に、自己と親子の接続関係が設定された子機の情報の記憶エリアとして、少なくともその子機の識別情報とその子機からの送信データが記録される子機データ記憶エリアを自己と親子の接続関係を設定することが可能な子機の最大台数分有する子機データ記憶手段と、子機からの送信データを受信するデータ受信手段と、このデータ受信手段によって受信された子機からの送信データに付加されている識別情報を読み取る識別情報読取手段と、この識別情報読取手段によって読み取られた識別情報が子機データ記憶エリアに記録されている識別情報であった場合、その識別情報が記録されている子機データ記憶エリアに子機からの送信データを記録する送信データ記録手段と、子機からの送信データに付加されている識別情報を含む情報を管理情報として親子関係記録制御手段に送る管理情報送信手段とを設け、親子関係記録制御手段に、親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに手動で設定された情報をその親子関係記憶エリアに対応する親機の子機データ記憶エリアに記憶させる手動設定情報記録手段と、親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアのうち、親子の接続関係が手動で設定されたことを示す情報が設定されているエリアについては、そのエリアへの子機の識別情報の自動設定を禁止する自動設定禁止手段とを設けたものである。
【0015】
なお、本発明において、親子関係記憶手段および親子関係記録制御手段は、親機とネットワークを介して接続された管理装置に設けるようにしてもよく、親機の1つに設けるようにしてもよい。また、管理装置と親機に分散して設けるようにしてもよい。以下では、理解を容易とするために、親子関係記憶手段および親子関係記録制御手段は管理装置に設けられているものとする。
【0016】
この発明において、管理装置には、親機毎に、その親機と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数分の親子関係記憶エリアを有する親子関係記憶手段が設けられる。例えば、親機と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数を2台とした場合、親機毎の親子関係記憶手段は2つの親子関係記憶エリアPAR1,PAR2を有することになる。初期状態(例えば、工場出荷状態)において、親子関係記憶エリアPAR1,PAR2は、未だ子機の識別情報が記録されていない空エリアとされている。
【0017】
また、この発明において、管理装置には、親子関係記録制御手段が設けられる。この親子関係記録制御手段は、基本機能として、親機毎の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに記録されている情報に基づいて、同じ子機の識別情報が重複して他の親機の親子関係記憶手段に記録されないように、親子関係記憶手段への子機の識別情報の記録を制御する。すなわち、本発明において、親機は複数の子機と同時に親子関係を結ぶことができるが、子機は1台の親機としか親子関係を結ぶことができない(便宜上、本発明では、この関係を重複NGの関係と呼ぶ)。
【0018】
また、この発明において、親機には、自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数分の子機データ記憶エリアを有する子機データ記憶手段が設けられる。例えば、自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数を2台とした場合、子機データ記憶手段は2つの子機データ記憶エリアCAR1,CAR2を有することになる。初期状態(例えば、工場出荷状態)において、子機データ記憶エリアCAR1,CAR2は、未だ子機の情報が記録されていない空エリアとされている。
【0019】
この無線通信システムにおいて、ユーザは、子機との親子関係を親機に手動で設定する場合、その親機の空エリアとされている親子関係記憶エリアに、親子関係が手動で設定されたことを示す情報(手動設定済みの情報)と合わせてその子機の識別情報を記録する。例えば、親機P1の親子関係記憶部の空エリアとされている親子関係記憶エリアPAR1に、親子関係が手動で設定されたことを示す情報と合わせて、子機C1の識別情報#C1を記録する。この親機P1の親子関係記憶エリアPAR1に手動で設定された情報は親機P1の子機データ記憶エリアCAR1に記録される。
【0020】
現場に設置された状態において、子機C1は定期的にデータD1を送信する。この場合、親機P1は、子機C1からの送信データD1に付加されている識別情報#C1を読み取り、子機データ記憶エリアAR1に識別情報#C1が記録されていることを確認し、この識別情報#C1が記録されている子機データ記憶エリアAR1に子機C1からの送信データD1を記録する。
【0021】
本発明では、親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアのうち、親子の接続関係が手動で設定されたことを示す情報が設定されているエリアについては、そのエリアへの子機の識別情報の自動設定を禁止する。
【0022】
例えば、親機から送られてくる管理情報に含まれる識別情報がこの管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段にも他の親機の親子関係記憶手段にも記録されておらず、管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに未だ識別情報が記録されていない空エリアが残されていた場合、この空エリアの1つを親子関係の設定エリアとして親機からの管理情報に含まれる識別情報と親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報を記録する一方、この親子関係の設定エリアに記録した識別情報を含む情報を親子関係の確定情報として管理情報の送信元の親機へ返送し、その親機の親子関係の設定エリアに対応する子機データ記憶エリアに記録させるようにし、親子の接続関係が手動で設定されたことを示す情報が設定されているエリアについてはその自動設定による識別情報の変更を許可するが、親子の接続関係が手動で設定されたことを示す情報が設定されているエリアについては、そのエリアへの自動設定による識別情報の変更を禁止する。
【0023】
また、親機から送られてくる管理情報に含まれる識別情報がこの管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段にも他の親機の親子関係記憶手段にも記録されておらず、管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに空エリアが残されていなかった場合、その親子関係記憶エリアのうち親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報が記録されている親子関係記憶エリアのみを対象とし、その親子関係記憶エリアのうちの1つを空エリアとして利用可能か否かを所定の重要度を示す情報に基づいて判断し、空エリアとして利用することが可能であると判断した場合、そのエリアを親子関係の設定エリアとしてそのエリアに記録されている情報を削除したうえ親機からの管理情報に含まれる識別情報と親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報を記録する一方、この親子関係の設定エリアに記録した識別情報を含む情報を親子関係の確定情報として管理情報の送信元の親機へ返送し、その親機の親子関係の設定エリアに対応する子機データ記憶エリアに記録されている情報を書き替えるようにし、親子の接続関係が手動で設定されたことを示す情報が設定されているエリアについてはその自動設定による識別情報の変更を許可するが、親子の接続関係が手動で設定されたことを示す情報が設定されているエリアについては、そのエリアへの自動設定による識別情報の変更を禁止する。
【0024】
また、親機から送られてくる管理情報に含まれる識別情報がこの管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段に記録されておらず、他の親機の親子関係記憶手段に記録されており、管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに空エリアが残されていた場合、他の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアのうち親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報が記録されている親子関係記憶エリアのみを対象とし、その親子関係記憶エリアに記録されている親機からの管理情報に含まれる識別情報を削除することが可能か否かを所定の重要度を示す情報に基づいて判断し、削除することが可能であると判断した場合、そのエリアを親子関係の解消エリアとしてそのエリアに記録されている情報を削除するとともに、その親子関係の解消エリアに対応する他の親機の子機データ記憶エリアに記録されている情報を削除し、管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに残されている空エリアの1つを親子関係の設定エリアとして親機からの管理情報に含まれる識別情報と親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報を記録する一方、この親子関係の設定エリアに記録した識別情報を含む情報を親子関係の確定情報として管理情報の送信元の親機へ返送し、その親機の親子関係の設定エリアに対応する子機データ記憶エリアに記録させるようにし、親子の接続関係が手動で設定されたことを示す情報が設定されているエリアについてはその自動設定による識別情報の変更を許可するが、親子の接続関係が手動で設定されたことを示す情報が設定されているエリアについては、そのエリアへの自動設定による識別情報の変更を禁止する。
【0025】
このようにして、本発明では、手動設定された親子関係についてはそれを保護したうえ、重複NGの関係を守りながら、ユーザの手を煩わせることなく、手動設定された分も含めて自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数まで、子機との親子関係が自動的に親機に設定されるものとなる。また、本発明において、子機は送信機能があればよく、子機での親子関係の設定操作は不要であるので、子機での電力消費を低減することもできる。
【0026】
なお、本発明において、親子関係記録制御手段に、子機データ記憶エリアに記録されている親子関係が自動で設定されたことを示す情報をユーザからの要求に応えて手動で設定されたことを示す情報へ変更する手動設定変更手段を設けるようにしてもよい。このような手段を設けることにより、必要に応じて、自動設定された親子関係を手動設定された親子関係に変更して、その親子関係の保護を図ることができるようになる。
【0027】
また、本発明において、親機毎にその親機との親子の接続関係の設定を禁止する子機の識別情報を記憶する親子関係禁止子機記憶手段を設け、親機において受信される子機からの送信データに付加されている識別情報が親子関係禁止子機記憶手段に記憶されている識別情報であった場合、その親機と子機との親子の接続関係の設定を禁止するようにしてもよい。このようにすることにより、親子関係の設定が禁止されている子機との親子関係の設定を回避しつつ、自動的に子機との親子関係を設定することができるようになる。
【0028】
また、本発明において、所定の重要度を示す情報は、親機からの管理情報に含まれる識別情報が付加されていた送信データの受信時の通信品質を示す情報としたり、親機からの管理情報に含まれる識別情報が付加されていた送信データの送信元の子機の種類を示す情報としたりすることが考えられる。例えば、送信元の子機の種類によって優先度を定め、優先度の高い子機からの送信データを受けた場合、それよりも優先度の低い子機の情報が記録されている親子関係記憶エリアを空エリアとし、この空エリアに優先度の高い子機の情報を記録するようにする。また、所定の重要度を示す情報として、前優先とするか後優先とするかの情報を設定しておくようにしてもよい。
【0029】
また、本発明において、親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに親機からの管理情報に含まれる識別情報を記録する際にその識別情報が付加されていた送信データの受信時刻を合わせて記録するようにし、親子関係記憶エリアのそれぞれに記録されている送信データの受信時刻を定期的にチェックし、現在までの経過時間が所定時間を超えている受信時刻があった場合、その受信時刻が記録されている親子関係記憶エリア内の情報を削除して空エリアとするとともに、そのエリアに対応する親機の子機データ記憶エリアに記録されている情報を削除するようにしてもよい。このようにすると、親子関係が設定された子機と親機との間で通信不能となった場合、その親子関係が自動的に解消され、通信不能となった子機との親子関係が親機に残ることがないようにすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数分の親子関係記憶エリア(少なくとも子機の識別情報とそのその子機との親子の接続関係が手動で設定されたのか自動で設定されたのかを示す情報が記録されるエリア)有する親機毎の親子関係記憶手段と、この親機毎の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに記録されている情報に基づいて同じ子機の識別情報が重複して他の親機の親子関係記憶手段に記録されないように親子関係記憶手段への子機の識別情報の記録を制御する親子関係記録制御手段とを設け、子機に、自己の識別情報を付加してデータを定期的に送信するデータ送信手段を設け、親機に、自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数分の子機データ記憶エリア(少なくとも子機の識別情報とその子機からの送信データが記録されるエリア)を有する子機データ記憶手段を設け、親機において、子機からの送信データに付加されている識別情報を読み取り、この読み取った識別情報が子機データ記憶手段に記録されている識別情報であった場合、その識別情報が記録されている子機データ記憶手段の子機データ記憶エリアに子機からの送信データを記録する一方、子機からの送信データに付加されている識別情報を含む情報を管理情報として親子関係記録制御手段に送るようにし、親子関係記録制御手段に、親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに手動で設定された情報をその親子関係記憶エリアに対応する親機の子機データ記憶エリアに記憶させる手動設定情報記録手段と、親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアのうち、親子の接続関係が手動で設定されたことを示す情報が設定されているエリアについては、そのエリアへの子機の識別情報の自動設定を禁止する自動設定禁止手段とを設けたので、手動設定された親子関係についてはそれを保護したうえ、重複NGの関係を守りながら、ユーザの手を煩わせることなく、手動設定された分も含めて自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数まで、子機との親子関係を自動的に親機に設定させることができるようになる。
【0031】
また、本発明によれば、親子関係記録制御手段において、親機から送られてくる管理情報に含まれる識別情報がこの管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段にも他の親機の親子関係記憶手段にも記録されておらず、管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに空エリアが残されていなかった場合、その親子関係記憶エリアのうち親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報が記録されている親子関係記憶エリアのみを対象とし、その親子関係記憶エリアのうちの1つを空エリアとして利用可能か否かを所定の重要度を示す情報に基づいて判断し、空エリアとして利用することが可能であると判断した場合、そのエリアを親子関係の設定エリアとしてそのエリアに記録されている情報を削除したうえ親機からの管理情報に含まれる識別情報と親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報を記録する一方、この親子関係の設定エリアに記録した識別情報を含む情報を親子関係の確定情報として管理情報の送信元の親機へ返送し、その親機の親子関係の設定エリアに対応する子機データ記憶エリアに記録されている情報を書き替えるようにしたので、管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに空エリアが残されていなかったような場合、例えば、通信品質が低い他の子機との親子関係を自動的に解消し、通信品質がより高い子機との親子関係を自動的に設定することができるようになる。
【0032】
また、本発明によれば、親子関係記録制御手段において、親機から送られてくる管理情報に含まれる識別情報がこの管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段に記録されておらず、他の親機の親子関係記憶手段に記録されており、管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに空エリアが残されていた場合、他の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアのうち親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報が記録されている親子関係記憶エリアのみを対象とし、その親子関係記憶エリアに記録されている親機からの管理情報に含まれる識別情報を削除することが可能か否かを所定の重要度を示す情報に基づいて判断し、削除することが可能であると判断した場合、そのエリアを親子関係の解消エリアとしてそのエリアに記録されている情報を削除するとともに、その親子関係の解消エリアに対応する他の親機の子機データ記憶エリアに記録されている情報を削除し、管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに残されている空エリアの1つを親子関係の設定エリアとして親機からの管理情報に含まれる識別情報と親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報を記録する一方、この親子関係の設定エリアに記録した識別情報を含む情報を親子関係の確定情報として管理情報の送信元の親機へ返送し、その親機の親子関係の設定エリアに対応する子機データ記憶エリアに記録させるようしたので、親機からの管理情報に含まれる識別情報が他の親機の親子関係記憶手段に記録されており、管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに空エリアが残されていたような場合、例えば、通信品質が低い他の親機との親子関係を自動的に解消し、通信品質がより高くなる親機との親子関係を自動的に設定することができるようになる。
【0033】
また、本発明によれば、親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに子機の識別情報を記録する際にその識別情報が付加されていた送信データの受信時刻を合わせて記録するようにし、親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアのそれぞれに記録されている送信データの受信時刻を定期的にチェックし、現在までの経過時間が所定時間を超えている受信時刻があった場合、その受信時刻が記録されている親子関係記憶エリア内の情報を削除して空エリアとするとともに、そのエリアに対応する親機の子機データ記憶エリアに記録されている情報を削除するようにしたので、親子関係が設定された子機と親機との間で通信不能となった場合、その親子関係を自動的に解消し、通信不能となった子機との親子関係を親機に残さないようにすることができ、親子関係を設定可能な子機の台数の余裕が減少するという問題を解消し、新たな子機と親子関係を設定する機会を確保することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明に係る無線通信システムの一実施の形態の要部を示す図である。
【0035】
同図において、1(1−1,1−2,1−3)は子機、2(2−1,2−2,2−3)は親機、3は親機2とネットワーク5を介して接続された管理装置、4は手動親子関係設定器(MMI)である。子機1−1,1−2,1−3には自己の識別情報として#C1,#C2,#C3が設定されている。親機2−1,2−2,2−3には自己の識別情報として#P1,#P2,#P3が設定されている。管理装置3には自己の識別情報として#Mが設定されている。
【0036】
この無線通信システムにおいて、親機2は複数の子機1と同時に親子関係を結ぶことができるが、子機1は1台の親機2としか親子関係を結ぶことができない。すなわち、子機1−1,1−2,1−3は親機2−1,2−2,2−3の何れか1台としか親子関係を結ぶことができず、親機2−1は予め定められた最大台数(自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数)以下であれば、子機1−1や1−2と親子関係を結ぶことができる。親機2−2,2−3も同様である。以下、この関係を「重複NG」の関係にあると呼び、図1に示した無線通信システムを「重複NGの無線通信システム」と呼ぶ。
【0037】
この重複NGの無線通信システムにおいて、子機1は温度センサや湿度センサなどの無線センサであり、その計測データを自己の識別情報を付加して定期的に送信するデータ送信機能を有している。
【0038】
図2に子機1の概略構成を示す。子機1は、CPU1Aと、ROM1Bと、センシング部1Cと、通信制御部1Dと、送信部1Eと、子機ID記憶部1Fとを備えている。子機1の識別情報は子機IDとして子機ID記憶部1Fに記憶されている。CPU1AはROM1Bに格納されているプログラムに従って動作する。
【0039】
図3に親機2の概略構成を示す。親機2は、CPU2Aと、ROM2Bと、通信制御部2Cと、送信部2Dと、受信部2Eと、親機ID記憶部2Fと、子機データ記憶部2Gと、管理装置ID記憶部2Hと、親子関係禁止子機ID記憶部2Iとを備えている。親機2の識別情報は親機IDとして親機ID記憶部2Fに記憶されている。管理装置3の識別情報は管理装置IDとして管理装置ID記憶部2Hに記憶されている。親子関係禁止子機ID記憶部2Iには、自己と親子関係の設定を禁止する子機の識別情報が親子関係禁止子機IDとして記憶される。CPU2AはROM2Bに格納されているプログラムに従って動作する。
【0040】
親機2において、子機データ記憶部2Gは、自己と親子関係が設定された子機の情報の記憶エリアとして、子機の識別情報(子機ID)と、その子機からの計測データと、その計測データの受信時の通信品質(電波強度)と、その計測データの受信時刻と、その子機との親子関係が手動で設定されたのか自動で設定されたのかを示す情報(手動設定済みの情報/自動設定済みの情報)が1セットとして記録される子機データ記憶エリアCARを有している。
【0041】
子機データ記憶エリアCARの数は自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数Nに対応している。この例において、自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数NはN=2とされ、これに対応して子機データ記憶エリアCARはCAR1とCAR2の2つとされている。また、子機データ記憶エリアCAR1,CAR2は、初期状態(工場出荷状態)において、未だ子機の情報が記録されていない空エリアとされている。
【0042】
図4に管理装置3の概略構成を示す。管理装置3は、CPU3Aと、ROM3Bと、通信制御部3Cと、送信部3Dと、受信部3Eと、管理装置ID記憶部3Fと、親子関係記憶部3Gと、親子関係禁止子機ID記憶部3Hとを備えている。管理装置3の識別情報は管理装置IDとして管理装置ID記憶部3Fに記憶されている。親子関係禁止子機ID記憶部2Iには、親機毎にその親機と親子関係の設定を禁止する子機の識別情報が親子関係禁止子機IDとして記憶される。CPU3AはROM3Bに格納されているプログラムに従って動作する。
【0043】
管理装置3において、親子関係記憶部3Gは、親機ID#P1が付された親子関係記憶部3G1(以下、親機2−1の親子関係記憶部と呼ぶ)と、親機ID#P2が付された親子関係記憶部3G2(以下、親機2−2の親子関係記憶部と呼ぶ)と、親機ID#P3が付された親子関係記憶部3G3(以下、親機2−3の親子関係記憶部と呼ぶ)とを備えている。
【0044】
親子関係記憶部3G1は、親機2−1と親子関係が設定された子機の情報の記憶エリアとして、子機の識別情報(子機ID)と、その子機からの計測データと、その計測データの受信時の通信品質(電波強度)と、その計測データの受信時刻と、その子機との親子関係が手動で設定されたのか自動で設定されたのかを示す情報(手動設定済みの情報/自動設定済みの情報)が1セットとして記録される親子関係記憶エリアPARを有している。親子関係記憶部3G2,3G3も、親機2−2,2−2と親子関係が設定された子機の情報の記憶エリアとして、同様の親子関係記憶エリアPARを有している。
【0045】
親子関係記憶エリアPARの数は自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数Nに対応している。この例において、自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数NはN=2とされ、これに対応して親子関係記憶エリアPARはPAR1とPAR2の2つとされている。また、親子関係記憶エリアPAR1,PAR2は、初期状態(工場出荷状態)において、未だ子機の情報が記録されていない空エリアとされている。
【0046】
この重複NGの無線通信システムにおいて、手動親子関係設定器4は、ユーザが持ち運び可能なマンマシンインタフェースであり、管理装置3との間でデータを送受信するデータ送受信機能を有している。手動親子関係設定器4と管理装置3との間は着脱可能に有線で接続することができる。
【0047】
図5に手動親子関係設定器4の概略構成を示す。手動親子関係設定器4は、CPU4Aと、ROM4Bと、RAM4Cと、ディスプレイ4Dと、キー入力部4Eと、インタフェース4F〜4Hとを備えている。CPU4AはROM4Bに格納されているプログラムに従って動作する。
【0048】
図6に子機1の要部の機能ブロック図を示す。子機1は、自己の識別情報(子機ID)を記憶する識別情報記憶部10Aと、自己の識別情報を付加して計測データを定期的に送信するデータ送信部10Bとを備えている。データ送信部10BはCPU1A(図2)の処理機能として実現される。
【0049】
図7に親機2の要部の機能ブロック図を示す。親機2は、子機データ記憶エリアCAR(手動設定済み/自動設定済みの情報、子機ID、計測データ、計測データの受信時の通信品質、計測データの受信時刻が記録されるエリア)を自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数N分有する子機データ記憶部20Aと、子機からの計測データを受信するデータ受信部20Bと、このデータ受信部20Bによって受信された子機からの計測データの受信時の通信品質(電波強度)と受信時刻を計測する通信品質/受信時刻計測部20Cと、データ受信部20Bによって受信された子機からの計測データに付加されている子機IDを読み取る識別情報読取部20Cとを備えている。
【0050】
また、親機2は、識別情報読取部20Dによって読み取られた子機IDが子機データ記憶エリアCARに記録されている子機IDであった場合、その子機IDが記録されている子機データ記憶エリアCARに子機からの計測データ、計測データの受信時の通品品質、計測データの受信時刻、自動設定済みの情報を記録する計測データ記録部20Eと、子機IDが付加された計測データに自己の親機ID、管理装置ID、計測データの受信時の通信品質および計測データの受信時刻を付加し管理情報として管理装置3に送る管理情報送信部20Fと、管理装置3からの指令を受けて子機データ記憶部20Aにおける子機データ記憶エリアCARへの情報の記録を制御する子機情報記録制御部20Gと、管理装置3からの自己宛の親子関係禁止子機IDを記録する親子関係禁止子機ID記憶部20Hと、識別情報読取部20Dによって読み取られた子機IDが親子関係禁止子機ID記憶部20Hに記録されている親子関係禁止子機IDであった場合に管理情報送信部20Fからの管理情報の送信を禁止する管理情報送信禁止部20Iとを備えている。
【0051】
この親機2において、受信品質/受信時刻計測部20C、識別情報読取部20D、計測データ記録部20E、管理情報送信部20F、子機情報記録制御部20Gおよび管理情報送信禁止部20IはCPU2A(図3)の処理機能として実現される。
【0052】
図8に管理装置3の要部の機能ブロック図を示す。管理装置3は、親子関係記憶エリアPAR(手動設定済み/自動設定済みの情報、子機ID、計測データ、計測データの受信時の通信品質、計測データの受信時刻が記録されるエリア)を自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数N分有する親機毎の親子関係記憶部30A(30A1,30A2,30A3)と、この親機毎の親子関係記憶部30A(30A1,30A2,30A3)の親子関係記憶エリアPARに記録されている情報に基づいて同じ子機の子機IDが重複して他の親機の親子関係記憶部30Aに記録されないように親子関係記憶部30Aへの子機の子機IDの記録を制御する親子関係記録制御部30Bと、親機毎にその親機との親子関係が禁止される子機IDを記憶する親子関係禁止子機ID記憶部30Cとを備えている。
【0053】
親子関係記録制御部30Bは、親機2から送られてくる管理情報に含まれる子機IDがこの管理情報の送信元の親機2の親子関係記憶部30Aにも他の親機の親子関係記憶部30Aにも記録されておらず、管理情報の送信元の親機2の親子関係記憶部30Aの親子関係記憶エリアPARに未だ子機IDが記録されていない空エリアが残されていた場合、この空エリアの1つを親子関係の設定エリアとして親機2からの管理情報に含まれる子機IDを記録して自動設定済みとする一方、この親子関係の設定エリアに記録した子機IDを含む情報を親子関係の確定情報として管理情報の送信元の親機2へ返送し、その親機2の親子関係の設定エリアに対応する子機データ記憶エリアCARに記録させる第1の親子関係自動記録制御部30B1を有している。
【0054】
また、親子関係記録制御部30Bは、親機2から送られてくる管理情報に含まれる子機IDがこの管理情報の送信元の親機2の親子関係記憶部30Aにも他の親機2の親子関係記憶部30Aにも記録されておらず、管理情報の送信元の親機2の親子関係記憶部30Aの親子関係記憶エリアPARに空エリアが残されていなかった場合、その親子関係記憶エリアのうち自動設定済みとされている親子関係記憶エリアPARのみを対象とし、その親子関係記憶エリアPARのうちの1つを空エリアとして利用可能か否かを所定の重要度を示す情報(この例では、計測信データの受信時の通信品質)に基づいて判断し、空エリアとして利用することが可能であると判断した場合、そのエリアを親子関係の設定エリアとしてそのエリアに記録されている情報を削除して親機2からの管理情報に含まれる子機IDを記録して自動設定済みとする一方、この親子関係の設定エリアに記録した子機IDを含む情報を親子関係の確定情報として管理情報の送信元の親機2へ返送し、その親機2の親子関係の設定エリアに対応する子機データ記憶エリアCARに記録されている情報を書き替える第2の親子関係自動記録制御部30B2を有している。
【0055】
また、親子関係記録制御部30Bは、親機2から送られてくる管理情報に含まれる子機IDがこの管理情報の送信元の親機2の親子関係記憶部30Aに記録されておらず、他の親機2の親子関係記憶部30Aに記録されており、管理情報の送信元の親機2の親子関係記憶部30Aの親子関係記憶エリアPARに空エリアが残されていた場合、その親子関係記憶エリアのうち自動設定済みとされている親子関係記憶エリアPARのみを対象とし、他の親機2の親子関係記憶部30Aに記録されている親機2からの管理情報に含まれる子機IDを削除することが可能か否かを所定の重要度を示す情報(この例では、計測データの受信時の通信品質)に基づいて判断し、削除することが可能であると判断した場合、そのエリアを親子関係の解消エリアとしてそのエリアに記録されている情報を削除するとともに、その親子関係の解消エリアに対応する他の親機2の子機データ記憶エリアCARに記録されている情報を削除し、管理情報の送信元の親機2の親子関係記憶部30Aの親子関係記憶エリアPARに残されている空エリアの1つを親子関係の設定エリアとして親機2からの管理情報に含まれる子機IDを記録して自動設定済みとする一方、この親子関係の設定エリアに記録した子機IDを含む情報を親子関係の確定情報として管理情報の送信元の親機2へ返送し、その親機2の親子関係の設定エリアに対応する子機データ記憶エリアCARに記録させる第3の親子関係自動記録制御部30B3を有している。
【0056】
また、親子関係記録制御部30Bは、親子関係記憶部30Aの親子関係記憶エリアPARのそれぞれに記録されている計測データの受信時刻を定期的にチェックし、現在までの経過時間が所定時間を超えている受信時刻があった場合、その受信時刻が記録されている親子関係記憶エリアPAR内の情報を削除して空エリアとするとともに、そのエリアに対応する親機2の子機データ記憶エリアCARに記録されている情報を削除する親子関係解消部30B4と、手動親子関係設定器4からの設定情報(手動設定された子機情報および親子関係禁止子機ID)を受信し、手動設定された子機情報については親子関係記憶部30Aに書き込み、親子関係禁止子機IDについては親子関係禁止子機ID記憶部30Dに格納する手動設定情報記録制御部30B5とを備えている。
【0057】
手動設定情報記録制御部30B5は、親子関係記憶部30Aに書き込んだ子機情報および親子関係禁止子機ID記憶部30Dに格納した親子関係禁止子機IDを対応する親機2へ送信する機能を有している。親子関係記憶部30Aにおいて、手動設定情報記録制御部30B5によってその子機情報が書き込まれた親子関係記憶エリアPAR、すなわち親子関係記憶部30Aの親子関係記憶エリアPARのうち手動設定済みの情報が書き込まれたエリアについては、そのエリアへの子機IDの自動設定が禁止される。この手動設定情報記録制御部30B5の親子関係記憶エリアPARへの自動設定を禁止する機能が本発明でいう自動設定禁止手段に対応する。
【0058】
この管理装置3において、親子関係記録制御部(第1の親子関係自動記録制御部30B1、第2の親子関係自動記録制御部30B2、第3の親子関係自動記録制御部30B3、親子関係解消部30B4および手動設定情報記録制御部30B5)はCPU3A(図4)の処理機能として実現される。
【0059】
以下、この無線通信システムにおける本実施の形態特有の動作について、図9,図10,図12,図13,図14および図27に示すフローチャートを参照しながら、各種のケースを例にとって説明する。
【0060】
なお、図9は手動親子関係設定器3のCPU3Aが実行する処理動作を示すフローチャート、図10は子機1のCPU1Aが実行する処理動作を示すフローチャート、図12は親機2のCPU2Aが実行する子機からの計測データ受信時の処理動作を示すフローチャート、図13は管理装置3のCPU3Aが実行する親機からの子機の計測データ受信時の処理動作を示すフローチャート、図14は図13に続くフローチャート、図27は管理装置3のCPU3Aが定期的に実行する親子関係の自動解消を行うための処理動作を示すフローチャートである。
【0061】
〔ケース1:親機2−1への子機1−1の手動設定〕
ユーザは、任意の親機2に対して、任意の子機1との親子関係を手動によって設定することができる。例えば、図1において、親機2−1に対して子機1−1との親子関係を手動で設定したい場合、ユーザは手動親子関係設定器4を管理装置3に接続する。そして、手動親子関係設定器4から所望の親機2−1を指定して、子機情報および親子関係禁止子機IDの読出指令を送る(図9:ステップS101)。
【0062】
管理装置3は、この手動親子関係設定器4からの子機情報および親子関係禁止子機IDの読出指令を受けて、親子関係記憶部3Gに記録されている子機の情報(親子関係の確定情報)および親子関係禁止子機ID記憶部3Hに記憶されている親子関係禁止子機IDを手動親子関係設定器4へ返送する。
【0063】
この例において、親子関係記憶部3G1,3G2,3G3における親子関係記憶エリアPAR1,PAR2は全て、子機の情報が未だ記録されていない空エリアであるとする。また、親子関係禁止子機ID記憶部3Hには、親子関係禁止子機IDが未だ設定されていないものとする。なお、親子関係禁止子機ID記憶部3Hには、工場出荷段階で親子関係禁止子機IDが親機毎に設定されている場合もある。
【0064】
手動親子関係設定器4のCPU4Aは、管理装置3から子機情報および親子関係禁止子機IDが送られてくると(ステップS102のYES)、この管理装置3から送られてきた子機情報および親子関係禁止子機IDをディスプレイ3Dに表示する(ステップS103)。
【0065】
この場合、親機2−1の子機データ記憶部2Gにおける子機データ記憶エリアAR1,AR2は空エリアとされ、親子関係禁止子機ID記憶部2Hには親子関係禁止子機IDが未だ設定されていないので、手動親子関係設定器4のディスプレイ4Dにはその子機情報および親子関係禁止子機IDの表示欄が空白として表示される。
【0066】
ここで、ユーザは、手動親子関係設定器4のディスプレイ4Dに表示されている子機情報の表示欄に、親機2−1に対して親子関係を設定したい子機1−1の子機ID#C1を入力する(ステップS104)。
【0067】
すると、手動親子関係設定器4のCPU4Aは、指定された子機1−1の子機ID#C1を管理装置3から送られてきた子機情報に書き込み、手動設定済みとする(ステップS105)。ここでは、親子関係記憶エリアPAR1に対応する子機情報に対し、子機ID#C1を書き込み、手動設定済みとする。
【0068】
また、ユーザは、親機2−1に対して親子関係を禁止する子機を設定したい場合、手動親子関係設定器4のディスプレイ4Dに表示されている親子関係禁止子機IDの表示欄に、親機2−1に対して親子関係の設定を禁止したい子機の子機IDを入力する。
【0069】
例えば、親機2−1に子機1−5(図25参照)との親子関係の設定を禁止したい場合、子機1−5の子機ID#C5を親子関係禁止子機IDの表示欄に入力する(ステップS104)。
【0070】
すると、手動親子関係設定器4のCPU4Aは、指定された子機1−5の子機ID#C5を親子関係禁止子機IDとして、管理装置3から送られてきた親子関係禁止子機IDの情報に書き込む(ステップS108)。
【0071】
手動親子関係設定器4のCPU4Aは、ステップS104での手動設定が完了すると(ステップS109のYES)、手動設定が完了された子機情報(子機ID#C1、手動設定済み)と親子関係禁止子機ID(子機ID#C5)を管理装置3へ送信する(ステップS110)。
【0072】
手動親子関係設定器4からの子機情報および親子関係禁止子機IDを受けて、管理装置3のCPU3Aは、子機情報を親子関係記憶部3Gに書き込み、親子関係禁止子機IDを親子関係禁止子機ID記憶部3Hに格納する。また、親子関係記憶部3Gに書き込んだ子機情報および親子関係禁止子機ID記憶部3Hに格納した親子関係禁止子機IDを対応する親機2へ送る。
【0073】
すなわち、親子関係記憶部3G1の親子関係記憶エリアAR1に子機ID#C1を手動設定済みとして書き込み、親子関係禁止子機ID記憶部3Hに親機2−1の親子関係禁止記憶IDとして子機ID#C5を格納する。また、この情報を親機2−1へ送り、親機2−1の子機データ記憶部2Gの子機データ記憶エリアAR1に子機ID#C1を手動設定済みとして記録させ、親機2−1の親子関係禁止子機ID記憶部2Iに親子関係禁止子機IDとして子機ID#C5を記録させる。
【0074】
これにより、管理装置3と親機2−1に、子機1−1との親子関係が設定(手動設定)されたことになる。また、管理装置3と親機2−1に、親子関係禁止子機IDが設定(手動設定)されたことになる。
【0075】
〔ケース2:親子関係が手動設定された親機2−1と子機1−1との間の通信〕
子機1−1のCPU1Aは、電源がオンとされると(図10:ステップS201のYES)、センシング部1Cからの計測データD1を取り込み(ステップS202)、この計測データD1に自己の子機ID#C1を付加して送信する(ステップS203)。そして、所定時間の経過を待って(ステップS204のYES)、センシング部1Cから次の計測データD1を取り込み(ステップS202)、この計測データD1に自己の子機ID#C1を付加して送信する(ステップS203)。子機1−1のCPU1Aは、この動作を繰り返すことにより、自己の子機ID#C1が付加された計測データD1を定期的に送信する(図11参照)。
【0076】
図11において、親機2−1のCPU2Aは、子機1−1からの計測データD1を受信すると(図12:ステップS301のYES)、その計測データD1の受信時刻と通信品質を計測する(ステップS302)。この例では、計測データD1の受信時の電波強度を通信品質として計測する。また、その計測データD1に付加されている子機ID#C1を読み取り(ステップS303)、この読み取った子機ID#C1が親子関係禁止子機ID記憶部2Iに記録されている親子関係禁止子機IDでないか否かをチェックする(ステップS304)。この場合、子機ID#C1は親子関係禁止子機IDではないので、ステップS305へ進む。
【0077】
親機2−1のCPU2Aは、ステップS305において、子機1−1からの計測データD1(子機ID#C1が付加された計測データD1)に自己の親機ID#P1と管理装置ID#MとステップS302で計測した計測データD1の受信時刻と通信品質とを付加して子機ID#C1を含む管理情報とし、管理装置3へ送信する。
【0078】
また、親機2−1のCPU2Aは、ステップS303で読み取った子機ID#C1が子機データ記憶部2Gに記録されているか否かをチェックする(ステップS306)。この場合、子機ID#C1は、手動親子関係設定器3を用いた手動設定によって、子機データ記憶部2Gの子機データ記憶エリアCAR1に記録されている。
【0079】
このため、親機2−1のCPU2Aは、ステップS306のYESに応じてステップS309へ進み、子機ID#C1が記録されている子機データ記憶エリアCAR1に、ステップS301で受信した計測データD1とステップS302で計測した計測データD1の受信時刻と通信品質を記録する(図15(a)参照)。
【0080】
以下、同様にして、親機2−1のCPU2Aは、子機1−1からの計測データD1を受信する毎に、子機データ記憶部2Gの子機データ記憶エリアAR1に計測データD1と計測データD1の受信時刻と通信品質を記録する(上書きする)。
【0081】
〔ケース3:親機2−2への子機1−2の自動設定〕
図11において、子機1−2のCPU1Aは、電源がオンとされると(図10:ステップS201のYES)、センシング部1Cからの計測データD2を取り込み(ステップS202)、この計測データD2に自己の子機ID#C2を付加して送信する(ステップS203)。そして、所定時間の経過を待って(ステップS204のYES)、センシング部1Cから次の計測データD2を取り込み(ステップS202)、この計測データD2に自己の子機ID#C2を付加して送信する(ステップS203)。子機1−2のCPU1Aは、この動作を繰り返すことにより、自己の子機ID#C2が付加された計測データD2を定期的に送信する。
【0082】
図11において、親機2−2のCPU2Aは、子機1−2からの計測データD2を受信すると(図12:ステップS301のYES)、その計測データD2の受信時刻と通信品質(電波強度)を計測する(ステップS302)。また、その計測データD2に付加されている子機ID#C2を読み取り(ステップS303)、この読み取った子機ID#C2が親子関係禁止子機ID記憶部2Iに記録されている親子関係禁止子機IDでないか否かをチェックする(ステップS304)。この場合、子機ID#C2は親子関係禁止子機IDではないので、ステップS305へ進む。
【0083】
親機2−1のCPU2Aは、ステップS305において、子機1−2からの計測データD2(子機ID#C2が付加された計測データD2)に自己の親機ID#P1と管理装置ID#MとステップS302で計測した計測データD2の受信時刻と通信品質とを付加して子機ID#C2を含む管理情報とし、管理装置3へ送信する。
【0084】
また、親機2−1のCPU2Aは、ステップS303で読み取った子機ID#C2が子機データ記憶部2Gに記録されているか否かをチェックする(ステップS306)。この場合、子機データ記憶部2Gの子機データ記憶エリアAR1,AR2は空エリア(未だ子機の情報が記録されていない状態)として残されている。このため、親機2−2のCPU2Aは、子機データ記憶部2Gに子機ID#C2は記録されていないと判断し(ステップS306のNO)、ステップS307へ進む。ステップS307において、親機2−2のCPU2Aは、管理装置3からの自己宛の親子関係の確定情報の返送を待つ。
【0085】
管理装置3のCPU3Aは、親機2−2からの管理情報を受信すると(図13:ステップS401のYES)、その受信した管理情報に含まれている子機ID#C2を読み取り(ステップS402)、その読み取った子機ID#C2が親子関係記憶部3G(3G1,3G2,3G3)に記録されているか否かをチェックする(ステップS403)。
【0086】
この例において、親子関係記憶部3G(3G1,3G2,3G3)には、未だ子機ID#C2は記録されていない。このため、管理装置3のCPU3Aは、子機1−2は未だどの親機2とも親子関係を結んでいないと判断し(ステップS403のNO)、ステップS404へ進む。
【0087】
そして、このステップS404において、受信した管理情報に含まれている親機ID#P1によって、その管理情報の送信元の親機が親機2−2であることを特定する。そして、この特定した親機2−2の親子関係記憶部3G2に空エリアがあるか否かをチェックし(ステップS405)、親機2−2の親子関係記憶部3G2に空エリアがあればステップS406へ進み、空エリアがなければステップS408へ進む。この例では、親機2−2の親子関係記憶部3G2の親子関係記憶エリアPAR1,PAR2は共に空エリアとされているので、ステップS406へ進む。
【0088】
ステップS406において、管理装置3のCPU3Aは、親機2−2の親子関係記憶部3G2の空エリアとされている親子関係記憶エリアPAR1,PAR2の何れか一方、例えば親子関係記憶エリアPAR1に受信した管理情報に含まれている子機ID#C2、計測データD2、計測データD2の受信時の通信品質、計測データD2の受信時刻を記録し、自動設定済みとする(図15(b)参照)。
【0089】
なお、本実施の形態において、親機2から管理装置3へ送信する管理情報には必ずしも計測データDを含めなくてもよく、親子関係記憶エリアPARから計測データDの記録欄を省略するようにしてもよい。
【0090】
この後、管理装置3のCPU3Aは、親機2−2の親子関係記憶部3G2の親子関係記憶エリアPAR1に記録した情報(自動設定済み、子機ID#C2、計測データD2、計測データD2の受信時の通信品質、計測データD2の受信時刻)を親子関係の確定情報として、管理情報の送信元の親機2−2へ宛てて返送する(ステップS407)。
【0091】
親機2−2のCPU2Aは、管理装置3からの自己宛の親子関係の確定情報を受けて(図12:ステップS307)、その確定情報に含まれている子機ID#C2と計測データD2と計測データD2の受信時の通信品質と計測データD2の受信時刻を、親子関係記憶部3G2の親子関係記憶エリアPAR1に対応する子機データ記憶エリアCAR2に記録する(ステップS307、図16(b))参照)。これにより、親機2−2に、子機1−2との親子関係が自動的に設定されたことになる。
【0092】
〔ケース4:親機2−3への子機1−3の自動設定〕
上述した親機2−2への子機1−2の自動設定と同様にして、親機2−3への子機1−3の自動設定も行われる。
【0093】
この場合、管理装置3の親子関係記憶部3G3には、図15(c)に示すように、その親子関係記憶エリアPAR1に子機1−3の親子関係の確定情報(自動設定済み、子機ID#C3、計測データD3、通信品質、受信時刻)が記録される。また、親機2−3の子機データ記憶部2Gには、図16(c)に示すように、その子機データ記憶エリアCAR1に子機1−3の子機情報(自動設定済み、子機ID#C3、計測データD3、通信品質、受信時刻)が記録される。これにより、親機2−3に、子機1−3との親子関係が自動的に設定されたことになる。
【0094】
〔ケース5:親機2−1への子機1−2の自動設定〕
今、親機2−1への子機1−1の手動設定、親機2−2への子機1−2の自動設定、親機2−3への子機1−3の自動設定が行われた状態で、子機1−2からの計測データD2が親機2−1において受信されたとする(図17参照)。
【0095】
この場合、親機2−1のCPU2Aは、子機1−2からの計測データD2を受信すると(図12:ステップS301のYES)、その計測データD2の受信時刻と通信品質(電波強度)を計測する(ステップS302)。また、その計測データD2に付加されている子機ID#C2を読み取り(ステップS303)、この読み取った子機ID#C2が親子関係禁止子機ID記憶部2Iに記録されている親子関係禁止子機IDでないか否かをチェックする(ステップS304)。この場合、子機ID#C2は親子関係禁止子機IDではないので、ステップS305へ進む。
【0096】
親機2−1のCPU2Aは、ステップS305において、子機1−2からの計測データD2(子機ID#C2が付加された計測データD2)に自己の親機ID#P1と管理装置ID#MとステップS302で計測した計測データD2の受信時刻と通信品質とを付加して子機ID#C2を含む管理情報とし、管理装置3へ送信する。
【0097】
また、親機2−1のCPU2Aは、ステップS303で読み取った子機ID#C2が子機データ記憶部2Gに記録されているか否かをチェックする(ステップS306)。この場合、子機データ記憶部2Gの子機データ記憶エリアCAR1には子機1−1の子機情報が記録されており、子機データ記憶エリアCAR2は空エリアとされている。したがって、親機2−1のCPU2Aは、子機データ記憶部2Gに子機ID#C2は記録されていないと判断し(ステップS306のNO)、ステップS307へ進む。ステップS307において、親機2−1のCPU2Aは、管理装置3からの自己宛の親子関係の確定情報の返送を待つ。
【0098】
管理装置3のCPU3Aは、親機2−1からの管理情報を受信すると(図13:ステップS401のYES)、その受信した管理情報に含まれている子機ID#C2を読み取り(ステップS402)、その読み取った子機ID#C2が親子関係記憶部3G(3G1,3G2,3G3)に記録されているか否かをチェックする(ステップS403)。
【0099】
この場合、親子関係記憶部3G2に子機ID#C2が記録されているので、管理装置3のCPU3Aは、子機1−2が既に親機と親子関係を結んでいると判断し(ステップS403のYES)、ステップS410(図14)へ進む。
【0100】
ステップS410において、管理装置3のCPU3Aは、子機ID#C2が記録されている親子関係記憶部3G2に付されている親機ID#P2から、子機1−2と親子関係を結んでいる親機が親機2−2であることを特定する。そして、この特定した親機2−2が管理情報の送信元の親機と一致するか否かを確認する(ステップS411)。
【0101】
この場合、特定した親機2−2と管理情報の送信元の親機2−1とは一致しないので(ステップS411のNO)、ステップS413へ進む。ステップS413では、親機2−2と子機1−2との親子関係をチェックし、その親子関係が自動設定済みであればステップS414へ進み、手動設定済みであればステップS401へ戻る。この場合、親機2−2と子機1−2との親子関係は自動設定済みであるので、ステップS414へ進む。
【0102】
ステップS414では、子機ID#C2が記録されている親子関係記憶部3G2の親子関係記憶エリアPAR1に記録されている通信品質を読み出し、この読み出した通信品質が親機2−1からの管理情報に含まれている通信品質よりも悪いか否かをチェックする。
【0103】
この例では、親子関係記憶部3G2の親子関係記憶エリアPAR1に記録されている通信品質が「3」、親機2−1からの管理情報に含まれている通信品質が「4」であり、親子関係記憶部3G2の親子関係記憶エリアPAR1に記録されている通信品質の方が親機2−1からの管理情報に含まれている通信品質よりも悪いものとする。
【0104】
これにより、管理装置3のCPU3Aは、ステップS414のYESに応じてステップS415へ進み、管理情報の送信元の親機2−1の親子関係記憶部2G1に空エリアがあるか否かをチェックする。この場合、親機2−1の親子関係記憶部2G1には、親子関係記憶エリアPAR2が空エリアとして残されている。
【0105】
これにより、管理装置3のCPU3Aは、ステップS415のYESに応じてステップS416へ進み、親子関係記憶部3G2の親子関係記憶エリアPAR1を親子関係の解消エリアとし、そのエリア内の全ての情報を削除して空エリアとする(図18(a)参照)。
【0106】
また、この親子関係記憶部3G2の親子関係記憶エリアPAR1を空エリアとした親機2−2へ、その親子関係記憶エリアPAR1に対応する子機データ記憶エリア内の全情報の削除命令を送る(ステップS417)。
【0107】
この削除命令を受けて、親機2−2のCPU2Aは、親子関係記憶部3G2の親子関係記憶エリアPAR1に対応する子機データ記憶エリアCAR1内の全ての情報を削除し、その子機データ記憶エリアCAR1を空エリアとする(図19(b)参照)。
【0108】
そして、管理装置3のCPU3Aは、空エリアとして残されている親子関係記憶部3G1の親子関係記憶エリアPAR2を親子関係の設定エリアとして、親機2−1からの管理情報に含まれている子機ID#C2、計測データD2、計測データD2の受信時の通信品質、計測データD2の受信時刻を記録し、自動設定済みとする(ステップS418、図19(b)参照)。
【0109】
また、親機2−1の親子関係記憶部3G1の親子関係記憶エリアPAR2に記録した情報(自動設定済み、子機ID#C2、計測データD2、計測データD2の受信時の通信品質、計測データD2の受信時刻)を親子関係の確定情報として、管理情報の送信元の親機2−1へ宛てて返送する(図13:ステップS407)。
【0110】
親機2−1のCPU2Aは、管理装置3からの自己宛の親子関係の確定情報を受けて(図12:ステップS307)、その確定情報に含まれている自動設定済みの情報と子機ID#C2と計測データD2と計測データD2の受信時の通信品質と計測データD2の受信時刻を、親子関係記憶部3G1の親子関係記憶エリアPAR2に対応する子機データ記憶エリアCAR2に記録する(ステップS308、図19(a)参照)。
【0111】
これにより、それまでの子機1−2と親機2−2との親子関係が自動的に解消され、より通信品質が高くなる親機2−2に子機1−2との親子関係が自動的に設定されることになる(図20参照)。
【0112】
この場合、親子関係が手動で設定されたことを示す情報として「手動設定済み」が記録されている親子関係記憶エリアPAR1については、自動設定の対象から除かれるので、自動設定によって削除されたり、変更されたりすることが禁止される。これにより、手動設定された親子関係が保護され、自動設定と手動設定との両立が図られる。
【0113】
〔ケース6:親機2−1への子機1−4の自動設定〕
今、親機2−1への子機1−1の自動設定、親機2−1への子機1−2の自動設定、親機2−3への子機1−3の自動設定が行われた状態で、子機1−4からの計測データD4が親機2−1において受信されたとする(図21参照)。
【0114】
この場合、親機2−1のCPU2Aは、子機1−4からの計測データD4を受信すると(図12:ステップS301のYES)、その計測データD4の受信時刻と通信品質を計測する(ステップS302)。また、その計測データD4に付加されている子機ID#C4を読み取り(ステップS303)、この読み取った子機ID#C4が親子関係禁止子機ID記憶部2Iに記録されている親子関係禁止子機IDでないか否かをチェックする(ステップS304)。この場合、子機ID#C4は親子関係禁止子機IDではないので、ステップS305へ進む。
【0115】
親機2−1のCPU2Aは、ステップS305において、子機1−1からの計測データD4(子機ID#C4が付加された計測データD4)に自己の親機ID#P1と管理装置ID#MとステップS302で計測した計測データD4の受信時刻と通信品質とを付加して子機ID#C4を含む管理情報とし、管理装置3へ送信する。
【0116】
また、親機2−1のCPU2Aは、ステップS303で読み取った子機ID#C4が子機データ記憶部2Gに記録されているか否かをチェックする(ステップS306)。この場合、子機データ記憶部2Gの子機データ記憶エリアCAR1には子機1−1の子機ID#C1が記録されており、子機データ記憶エリアCAR2には子機1−2の子機ID#C2が記録されている。このため、親機2−1のCPU2Aは、子機データ記憶部2Gに子機ID#C4は記録されていないと判断し(ステップS306のNO)、ステップS307へ進む。ステップS307において、親機2−1のCPU2Aは、管理装置3からの自己宛の親子関係の確定情報の返送を待つ。
【0117】
管理装置3のCPU3Aは、親機2−1からの管理情報を受信すると(図14:ステップS401のYES)、その受信した管理情報に含まれている子機ID#C4を読み取り(ステップS402)、その読み取った子機ID#C4が親子関係記憶部3G(3G1,3G2,3G3)に記録されているか否かをチェックする(ステップS403)。
【0118】
この例において、親子関係記憶部3G(3G1,3G2,3G3)には、子機ID#C4は記録されていない。このため、管理装置3のCPU3Aは、子機1−4は未だどの親機とも親子関係を結んでいないと判断し(ステップS403のNO)、ステップS404へ進む。
【0119】
そして、このステップS404において、受信した管理情報に含まれている親機ID#P1によって、その管理情報の送信元の親機が親機2−1であることを特定する。そして、この特定した親機2−1の親子関係記憶部3G1に空エリアがあるか否かをチェックし(ステップS405)、親機2−1の親子関係記憶部3G1に空エリアがあればステップS406へ進み、空エリアがなければステップS408へ進む。この例では、親機2−1の親子関係記憶部3G1の親子関係記憶エリアPAR1,PAR2は空エリアとされていないので、ステップS408へ進む。
【0120】
ステップS408において、管理装置3のCPU3Aは、親機2−1の親子関係記憶部3G1の親子関係記憶エリアPARのうち、自動設定済みとされた親子関係記憶エリアPARのみを対象とし、そのエリアに記録されている通信品質の中に親機2−1からの管理情報に含まれてる通信品質よりも悪いものがあるか否かをチェックする。
【0121】
ここで、自動設定済みとされた親子関係記憶エリアPARに記録されている通信品質の中に親機2−1からの管理情報に含まれている通信品質よりも悪いものがなければ(ステップS408のNO)、ステップS409へは進まず、ステップS401への処理へと戻る。これにより、親機2−1と子機1−4との親子関係の自動設定は行われず、親機2−1における子機1−4からの計測データは破棄される。
【0122】
これに対し、自動設定済みとされた親子関係記憶エリアPARに記録されている通信品質の中に親機2−1からの管理情報に含まれている通信品質よりも悪いものがあれば(ステップS408のYES)、ステップS409へ進む。この例では、親子関係記憶部3G1の自動設定済みとされた親子関係記憶エリアPAR2に記録されている通信品質が「4」、親機2−1からの管理情報に含まれている通信品質が「5」であり、親子関係記憶部3G1の自動設定済みとされた親子関係記憶エリアPAR2に記録されている通信品質の方が親機2−1からの管理情報に含まれている通信品質よりも悪いものとする。
【0123】
これにより、管理装置3のCPU3Aは、ステップS408のYESに応じてステップS409へ進み、親子関係記憶部3G1の自動設定済みとされた親子関係記憶エリアPAR2を親子関係の解消エリアとし、そのエリア内の全ての情報を削除して空エリアとする(図22(a)参照)。
【0124】
そして、管理装置3のCPU3Aは、この空エリアとした親子関係記憶部3G1の親子関係記憶エリアPAR2を親子関係の設定エリアとして、親機2−1からの管理情報に含まれている子機ID#C4、計測データD4、計測データD4の受信時の通信品質、計測データD4の受信時刻を記録し、自動設定済みとする(ステップS406、図22(b)参照)
【0125】
また、親機2−1の親子関係記憶部3G1の親子関係記憶エリアPAR2に記録した情報(自動設定済み、子機ID#C4、計測データD4、計測データD4の受信時の通信品質、計測データD4の受信時刻)を親子関係の確定情報として、管理情報の送信元の親機2−1へ宛てて返送する(ステップS407)。
【0126】
親機2−1のCPU2Aは、管理装置3からの自己宛の親子関係の確定情報を受けて(図9:ステップS307)、その確定情報に含まれている自動設定済みの情報と子機ID#C4と計測データD4と計測データD4の受信時の通信品質と計測データD4の受信時刻を、親子関係記憶部3G1の親子関係記憶エリアPAR2に対応する子機データ記憶エリアCAR2に上書きする(ステップS308、図23(a),(b)参照)。すなわち、親機2−1の子機データ記憶部2Gの子機データ記憶エリアCAR2に記録されている情報を書き替える。
【0127】
これにより、それまでの親機2−1と子機1−2との親子関係が自動的に解消され、より通信品質が高い子機1−4との親子関係が親機P1に自動的に設定されることになる(図24参照)。
【0128】
この場合、親子関係が手動で設定されたことを示す情報として「手動設定済み」が記録されている親子関係記憶エリアPAR1については、自動設定の対象から除かれるので、自動設定によって削除されたり、変更されたりすることが禁止される。これにより、手動設定された親子関係が保護され、自動設定と手動設定との両立が図られる。
【0129】
このようにして、本実施の形態では、手動設定された親子関係についてはそれを保護したうえ、重複NGの関係を守りながら、ユーザの手を煩わせることなく、自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数Nまで、子機との親子関係が自動的に親機2に設定されるものとなる。また、本実施の形態において、子機1は送信機能があればよく、子機1での親子関係の設定操作は不要であるので、子機1での電力消費を低減することもできる。
【0130】
〔ケース7:親子関係の禁止〕
今、親機2−1への子機1−1の手動設定、親機2−2への子機1−2の自動設定、親機2−3への子機1−3の自動設定が行われた状態で、子機1−5からの計測データD5が親機2−1において受信されたとする(図25参照)。
【0131】
この場合、親機2−1のCPU2Aは、子機1−5からの計測データD5を受信すると(図12:ステップS301のYES)、その計測データD5の受信時刻と通信品質(電波強度)を計測する(ステップS302)。そして、その計測データD5に付加されている子機ID#C5を読み取り(ステップS303)、この読み取った子機ID#C5が親子関係禁止子機ID記憶部2Iに親子関係禁止子機IDとして設定されていないかどうかをチェックする(ステップS304)。
【0132】
この例において、親機2−1の親子関係禁止子機ID記録部2Iには、親子関係禁止子機IDとして子機ID#C5が設定されている。したがって、親機2−1のCPU2Aは、ステップS305へは進まず、ステップS301の処理へと戻る。これにより、子機1−5との親子関係の自動設定は行われず、子機1−5からの計測データが破棄される。
【0133】
〔ケース8:自動設定から手動設定への変更、手動設定の削除、親子関係禁止子機の追加・削除〕
今、親機2−1への子機1−1の手動設定、親機2−1への子機1−2の自動設定が行われている状態で(図20参照)、親機2−1と子機1−2との親子関係を自動設定から手動設定に変更したいとする。また、親機2−1に設定されている親子関係禁止子機を追加・削除したいとする。
【0134】
この場合、ユーザは手動親子関係設定器4を管理装置3に接続する(図26参照)。そして、手動親子関係設定器4から管理装置3に対して、親機1−2を指定し、子機情報および親子関係禁止子機IDの読出指令を送る(図9:ステップS101)。
【0135】
管理装置3は、この手動親子関係設定器4からの子機情報および親子関係禁止子機IDの読出指令を受けて、親子関係記憶部3Gに記録されている子機の情報(親子関係の確定情報)および親子関係禁止子機ID記憶部3Hに記憶されている親子関係禁止子機IDを手動親子関係設定器4へ返送する。
【0136】
この例において、親子関係記憶部3G1における親子関係記憶エリアPAR1には、子機1−1の子機情報(手動設定済みの情報、子機ID#C1、計測データD1、通信品質、受信時刻)が記録されており、親子関係記憶エリアPAR2には、子機1−2の子機情報(自動設定済みの情報、子機ID#C2、計測データD2、通信品質、受信時刻)が記録されている。また、親子関係禁止子機ID記憶部3Hには、親子関係禁止子機IDとして子機ID#C5が設定されている。
【0137】
手動親子関係設定器4のCPU4Aは、管理装置3から親機2−1の子機情報および親子関係禁止子機IDが送られてくると(ステップS102のYES)、この管理装置3から送られてきた親機2−1の子機情報および親子関係禁止子機IDをディスプレイ4Dに表示する(ステップS103)。
【0138】
この場合、子機情報として、親子関係記憶部3G1の親子関係記憶エリアPAR1に記録されている子機1−1の子機情報(手動設定済みの情報、子機ID#C1、計測データD1、通信品質、受信時刻)と、親子関係記憶エリアPAR2に記録されている子機1−2の子機情報(自動設定済みの情報、子機ID#C2、計測データD2、通信品質、受信時刻)が表示される。また、親子関係禁止子機ID記憶部3Hに設定されている親子関係禁止子機ID#C5が表示される。
【0139】
ここで、ユーザは、親機2−1と子機1−2との親子関係を自動設定から手動設定に変更したい場合、ディスプレイ4Dに表示されている子機1−2の子機情報中、自動設定済みの情報を手動設定済みの情報に変更する(ステップS104)。すると、手動親子関係設定器4のCPU4Aは、管理装置3から送られてきた子機1−2の子機情報(親子関係記憶エリアPAR2内の情報)を自動設定済みの情報から手動設定済みの情報に書き替える(ステップS107)。
【0140】
また、ユーザは、手動設定した親機2−1と子機1−1との親子関係を削除したい場合、ディスプレイ4Dに表示されている子機1−1の子機情報を全て削除する(ステップS104)。すると、手動親子関係設定器4のCPU4Aは、管理装置3から送られたきた子機1−1の子機情報(親子関係記憶エリアPAR1内の情報)を全て削除する(ステップS106)。なお、これと同様にして、自動設定されている親機2−1と子機1−2との親子関係を削除することも可能である。
【0141】
また、ユーザは、管理装置3に親子関係禁止子機を追加したい場合、ディスプレイ4Dに表示されている親子関係禁止子機ID#C5に対して、所望の子機IDを親子関係禁止子機IDとして追加する(ステップS104)。また、管理装置3から親子関係禁止子機を削除したい場合、ディスプレイ4Dに表示されている親子関係禁止子機IDを選択して削除する(ステップS104)。すると、手動親子関係設定器4のCPU4Aは、管理装置3から送られたきた親子関係禁止子機IDの情報に対し、親子関係禁止子機IDを追加したり、削除したりする(ステップS108)。
【0142】
手動親子関係設定器4のCPU4Aは、ステップS104での手動設定が完了すると(ステップS109のYES)、手動設定が完了された子機情報と親子関係禁止子機IDを管理装置3へ送信する(ステップS110)。
【0143】
管理装置3のCPU3Aは、手動親子関係設定器4からの子機情報および親子関係禁止子機IDを受けて、子機情報を親子関係記憶部3Gに書き込み、親子関係禁止子機IDを親子関係禁止子機ID記憶部3Hに書き込む。
【0144】
〔親子関係の自動解消〕
管理装置3のCPU3Aは、定期的に、親子関係記憶部3G(3G1,3G2,3G3)の親子関係記憶エリアPARのそれぞれに記録されている計測データの受信時刻をチェックする(図27:ステップS501)。
【0145】
ここで、現在までの経過時間が所定時間を超えている受信時刻があれば(ステップS502のYES)、その受信時刻が記録されている親子関係記憶エリアPAR内の全ての情報を削除して空エリアとする(ステップS503)。
【0146】
そして、この親子関係記憶エリアPARを空エリアとした親子関係記憶部3Gが割り当てられている親機2へ、その親子関係記憶エリアPARに対応する子機データ記憶エリアCAR内の情報の削除命令を送る(ステップS504)。
【0147】
例えば、親機2−1の親子関係記憶部3G1において、子機1−1の情報が記録されている親子関係記憶エリアPAR1に記録されている受信時刻をチェックし、その受信時刻からの現在までの経過時間が所定時間を超えていれば、この親子関係記憶エリアPAR1内の全ての情報を削除して空エリアとし、親機2−1へその親子関係記憶エリアPAR1に対応する子機データ記憶エリアCAR1内の情報の削除命令を送る。
【0148】
これにより、親子関係が設定された子機1−1と親機2−1との間で通信不能となった場合、その親子関係を自動的に解消し、通信不能となった子機1−1との親子関係を親機2−1に残さないようにすることができ、親子関係を設定可能な子機の台数の余裕が減少するという問題を解消し、新たな子機と親子関係を設定する機会を確保することができるようになる。
【0149】
例えば、特許文献1に示された技術において、このような問題をなくそうとすると、ユーザが親子関係を設定した親機子機間で通信不能な状態が生じているか否かを常時監視しなければならず、ユーザに大きな負担が強いられる。これに対し、本実施の形態では、通信不能となれば、その親子関係が自動的に解消されるので、ユーザは親子関係が設定された親機子機間での通信不能な状態を監視する必要がない。
【0150】
なお、上述した実施の形態では、管理装置3に親子関係の自動解消機能を持たせるようにしたが、親機2のそれぞれに親子関係の自動解消機能を持たせるようにしてもよい。図28に親機2に自動解消機能を持たせた場合の親機2のCPU2Aが実行する親子関係の自動解消を行う際の処理動作のフローチャートを示す。
【0151】
この場合、親機2のCPU2Aは、定期的に、子機データ記憶部2Gの子機データ記憶エリアCARのそれぞれに記録されている計測データの受信時刻をチェックする(ステップS601)。ここで、現在までの経過時間が所定時間を超えている受信時刻があれば(ステップS602のYES)、その受信時刻が記録されている子機データ記憶エリアCAR内の全ての情報を削除して空エリアとし(ステップS603)、この空エリアとした子機データ記憶エリアCARに対応する親子関係記憶部3Gの親子関係記憶エリアPAR内の全情報の削除依頼を管理装置3へ送る(ステップS604)。
【0152】
例えば、子機1−1との親子関係が設定されている親機2−1において、子機1−1の子機情報が記録されている子機データ記憶エリアCAR1に記録されている受信時刻をチェックし、その受信時刻からの現在までの経過時間が所定時間を超えていれば、この子機データ記憶エリアCAR1内の全ての情報を削除して空エリアとし、この空エリアとした子機データ記憶エリアCAR1に対応する親子関係記憶部3G1の親子関係記憶エリアPAR1内の全情報の削除依頼を管理装置3へ送る。
【0153】
また、上述した実施の形態では、計測データの受信時の電波強度を通信品質として計測するようにしたが、通信品質を示す情報は電波強度に限られるものではない。例えば、電波強度に代えて、エラーレートなどを通信品質として計測するようにしてもよい。
【0154】
また、上述した実施の形態では、例えば、親子関係記憶部3G1の親子関係記憶エリアPAR1,PAR2に子機の情報が記録されていた場合、その親子関係記憶エリアPAR1,PAR2の1つを空エリアとして利用可能か否かを計測データの受信時の通信品質を示す情報に基づいて判断するようにしたが、計測データの送信元の子機の種類を示す情報に基づいて判断するようにしてもよい。
【0155】
例えば、送信元の子機の種類によって優先度を定め、優先度の高い子機の子機IDを含む管理情報を受けた場合、それよりも優先度の低い子機の情報が記録されている親子関係記憶エリアを空エリアとし、この空アリアに優先度の高い子機の情報を記録するようにする。このようにすると、より重要な子機に対して、優先的に親子関係が自動設定されるようになる。
【0156】
また、計測データの通信品質や送信元の子機の種類で判断するのではなく、単純に後優先とするか前優先とするかの情報を親機に設定しておき、この後優先/前優先の種別で空エリアとして利用可能な親子関係記憶エリアがあるか否かを判断するようにしてもよい。
【0157】
また、上述した実施の形態において、子機からの計測データを受信した場合、その計測データの通信品質を予め定められている閾値と比較し、閾値に達していない場合には、管理装置3への管理情報の送信を行わず、親子関係の設定の対象から除外するようにしてもよい。
【0158】
また、上述した実施の形態では、親機2において子機1からの計測データに付加されている子機IDが親子関係禁止子機IDが否かをチェックするようにしたが、管理装置3においてチェックするようにしてもよい。すなわち、管理装置3において、親機2からの管理情報に含まれる子機IDが親子関係禁止子機IDであった場合、その管理情報の送信元の親機2との親子関係の設定を禁止するようにしてもよい。
【0159】
また、上述した実施の形態では、子機から送信されるデータを計測データとしたが、子機から送信されるデータは計測データに限られるものではない。すなわち、この無線通信システムで用いる子機は、温度センサや湿度センサなどの計測データを送信する無線センサに限られるものではなく、計測データ以外のデータを無線によって送信する送信機も子機として用いることができる。
【0160】
また、上述した実施の形態では、説明を簡単とするために、管理装置3における親機毎の親子関係記憶エリアPARの数や親機2における子機データ記憶エリアCARの数を2つとしたが、すなわち自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数NをN=2としたが、親機2における子機データ記憶エリアCARの数は2つに限られるものでないことは言うまでもない。また、親機2についても、3台に限られるものではない。
【0161】
また、上述した実施の形態では、親機2にネットワーク5を介して接続した管理装置3を用いるようにしたが、管理装置3の機能を親機2の1つに設け、管理装置3を省略するようにしてもよい。また、管理装置3の機能の一部を親機2に分散して設けるようにしてもよい。
【0162】
また、上述した実施の形態では、手動親子関係設定器4を管理装置3に直接有線で接続するようにしたが、ネットワーク5を介して接続するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明に係る無線通信システムの一実施の形態の要部を示す図である。
【図2】この無線通信システムにおける子機の概略構成を示す図である。
【図3】この無線通信システムにおける親機の概略構成を示す図である。
【図4】この無線通信システムにおける管理装置の概略構成を示す図である。
【図5】この無線通信システムにおける手動親子関係設定器の概略構成を示す図である。
【図6】この無線通信システムにおける子機の要部の機能ブロック図である。
【図7】この無線通信システムにおける親機の要部の機能ブロック図である。
【図8】この無線通信システムにおける管理装置の要部の機能ブロック図である。
【図9】この無線通信システムにおける手動親子関係設定器のCPUが実行する処理動作を示すフローチャートである。
【図10】この無線通信システムにおける子機のCPUが実行する処理動作を示すフローチャートである。
【図11】親機2−1に子機1−1との親子関係が手動設定された状態を示す図である。
【図12】この無線通信システムにおける親機のCPUが実行する子機からの計測データ受信時の処理動作を示すフローチャートである。
【図13】この無線通信システムにおける管理装置のCPUが実行する親機からの管理情報受信時の処理動作を示すフローチャートである。
【図14】図13に続くフローチャートである。
【図15】この無線通信システムにおける管理装置の各親機の親子関係記憶部の親子関係関係エリアに子機の情報(親子関係の確定情報)が記録された状態を示す図である。
【図16】この無線通信システムにおける各親機の子機データ記憶部の子機データエリアに子機の情報が記録された状態を示す図である。
【図17】親機2−1に子機1−2からの計測データが受信された時の状態を示す図である。
【図18】親機2−2と子機1−2との親子関係が解消され親機2−1と子機1−2との親子関係が設定される場合の管理装置3における親子関係記憶部3G内の様子を示す図である。
【図19】親機2−2と子機1−2との親子関係が解消され親機2−1と子機1−2との親子関係が設定される場合の親機2−1および2−2における子機データ記憶部2G内の様子を示す図である。
【図20】親機2−2と子機1−2との親子関係が解消され親機2−1と子機1−2との親子関係が設定された時の状態を示す図である。
【図21】親機2−1に子機1−4からの計測データが受信された時の状態を示す図である。
【図22】親機2−1と子機1−2との親子関係が解消され親機2−1と子機1−4との親子関係が設定される場合の管理装置3における親子関係記憶部3G1内の様子を示す図である。
【図23】親機2−1と子機1−2との親子関係が解消され親機2−1と子機1−4との親子関係が設定される場合の親機2−1における子機データ記憶部2G内の様子を示す図である。
【図24】親機2−1と子機1−2との親子関係が解消され親機2−1と子機1−4との親子関係が設定された時の状態を示す図である。
【図25】親機2−1に子機1−5からの計測データが受信された時の状態を示す図である。
【図26】手動親子関係設定器を用いての親機における子機との親子関係の自動設定から手動設定への変更、手動設定の削除、親子関係禁止子機の追加・削除を説明する図である。
【図27】この無線通信システムにおける管理装置のCPUが定期的に実行する親子関係の自動解消を行うための処理動作を示すフローチャートである。
【図28】この無線通信システムにおいて親機のCPUに親子関係の自動解消を行わせるようにした場合の処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0164】
1(1−1〜1−5)…子機、1A…CPU、1B…ROM、1C…センシング部、1D…通信制御部、1E…送信部、1F…子機ID記憶部、2(2−1〜2−3)…親機、2A…CPU、2B…ROM、2C…通信制御部、2D…送信部、2E…受信部、2F…親機ID記憶部、2G…子機データ記憶部、2H…管理装置ID記憶部、2I…親子関係禁止子機ID記憶部、CAR(CAR1,CAR2)…子機データ記憶エリア、3…管理装置、3A…CPU、3B…ROM、3C…通信制御部、3D…送信部、3E…送信部、3F…管理装置ID記憶部、3G(3G1,3G2,3G3)…親子関係記憶部、3H…親子関係禁止子機ID記憶部、PAR(PAR1,PAR2)…親子関係記憶エリア、4…手動親子関係設定器、4A…CPU、4B…ROM、4C…RAM、4D…ディスプレイ、4E…キー入力部、4F〜4H…インタフェース、10A…識別情報記憶部、10B…データ送信部、20A…子機データ記憶部、20B…データ受信部、20C…通信品質/受信時刻計測部、20E…計測データ記録部、20F…管理情報送信部、20G…子機情報記録制御部、20H…親子関係禁止子機ID記憶部、20I…管理情報送信禁止部、30A(30A1,30A2,30A3)…親子関係記憶部、30B…親子関係記録制御部、30B1…第1の親子関係自動記録制御部、30B2…第2の親子関係自動記録制御部、30B3…第3の親子関係自動記録制御部、30B4…親子関係解消部、30B5…手動設定情報記録制御部、30C…親子関係禁止子機ID記憶部、5…ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線によってデータを送信する子機と、この子機からの送信データを受信する親機とを備えた無線通信システムにおいて、
自己と親子の接続関係が設定された子機の情報の記憶エリアとして少なくともその子機の識別情報とその子機との親子の接続関係が手動で設定されたのか自動で設定されたのかを示す情報が記録される親子関係記憶エリアを自己と親子関係を設定することが可能な子機の最大台数分有する親機毎の親子関係記憶手段と、
この親機毎の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに記録されている情報に基づいて同じ子機の識別情報が重複して他の親機の親子関係記憶手段に記録されないように前記親子関係記憶手段への子機の識別情報の記録を制御する親子関係記録制御手段とを備え、
前記子機は、
自己の識別情報を付加してデータを定期的に送信するデータ送信手段を備え、
前記親機は、
自己と親子の接続関係が設定された子機の情報の記憶エリアとして、少なくともその子機の識別情報とその子機からの送信データが記録される子機データ記憶エリアを自己と親子の接続関係を設定することが可能な子機の最大台数分有する子機データ記憶手段と、
前記子機からの送信データを受信するデータ受信手段と、
このデータ受信手段によって受信された前記子機からの送信データに付加されている識別情報を読み取る識別情報読取手段と、
この識別情報読取手段によって読み取られた識別情報が前記子機データ記憶エリアに記録されている識別情報であった場合、その識別情報が記録されている子機データ記憶エリアに前記子機からの送信データを記録する送信データ記録手段と、
前記子機からの送信データに付加されている識別情報を含む情報を管理情報として前記親子関係記録制御手段に送る管理情報送信手段とを備え、
前記親子関係記録制御手段は、
前記親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに手動で設定された情報をその親子関係記憶エリアに対応する親機の子機データ記憶エリアに記憶させる手動設定情報記録手段と、
前記親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアのうち、親子の接続関係が手動で設定されたことを示す情報が設定されているエリアについては、そのエリアへの子機の識別情報の自動設定を禁止する自動設定禁止手段と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載された無線通信システムにおいて、
前記親子関係記録制御手段は、
前記親機から送られてくる管理情報に含まれる識別情報がこの管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段にも他の親機の親子関係記憶手段にも記録されておらず、前記管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに未だ識別情報が記録されていない空エリアが残されていた場合、この空エリアの1つを親子関係の設定エリアとして前記親機からの管理情報に含まれる識別情報と親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報を記録する一方、この親子関係の設定エリアに記録した識別情報を含む情報を親子関係の確定情報として前記管理情報の送信元の親機へ返送し、その親機の前記親子関係の設定エリアに対応する子機データ記憶エリアに記録させる親子関係自動記録制御手段
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1に記載された無線通信システムにおいて、
前記親子関係記録制御手段は、
前記親機から送られてくる管理情報に含まれる識別情報がこの管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段にも他の親機の親子関係記憶手段にも記録されておらず、前記管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに前記空エリアが残されていなかった場合、その親子関係記憶エリアのうち親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報が記録されている親子関係記憶エリアのみを対象とし、その親子関係記憶エリアのうちの1つを空エリアとして利用可能か否かを所定の重要度を示す情報に基づいて判断し、空エリアとして利用することが可能であると判断した場合、そのエリアを親子関係の設定エリアとしてそのエリアに記録されている情報を削除したうえ前記親機からの管理情報に含まれる識別情報と親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報を記録する一方、この親子関係の設定エリアに記録した識別情報を含む情報を親子関係の確定情報として前記管理情報の送信元の親機へ返送し、その親機の前記親子関係の設定エリアに対応する子機データ記憶エリアに記録されている情報を書き替える親子関係自動記録制御手段
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1に記載された無線通信システムにおいて、
前記親子関係記録制御手段は、
前記親機から送られてくる管理情報に含まれる識別情報がこの管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段に記録されておらず、他の親機の親子関係記憶手段に記録されており、前記管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに前記空エリアが残されていた場合、前記他の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアのうち親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報が記録されている親子関係記憶エリアのみを対象とし、その親子関係記憶エリアに記録されている前記親機からの管理情報に含まれる識別情報を削除することが可能か否かを所定の重要度を示す情報に基づいて判断し、削除することが可能であると判断した場合、そのエリアを親子関係の解消エリアとしてそのエリアに記録されている情報を削除するとともに、その親子関係の解消エリアに対応する前記他の親機の子機データ記憶エリアに記録されている情報を削除し、前記管理情報の送信元の親機の親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに残されている前記空エリアの1つを親子関係の設定エリアとして前記親機からの管理情報に含まれる識別情報と親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報を記録する一方、この親子関係の設定エリアに記録した識別情報を含む情報を親子関係の確定情報として前記管理情報の送信元の親機へ返送し、その親機の前記親子関係の設定エリアに対応する子機データ記憶エリアに記録させる親子関係自動記録制御手段
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載された無線通信システムにおいて、
前記親子関係記録制御手段は、
前記親子関係記憶エリアに記録されている前記親子の接続関係が自動で設定されたことを示す情報をユーザからの要求に応えて手動で設定されたことを示す情報へ変更する手動設定変更手段
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか1項に記載された無線通信システムにおいて、
前記親機毎にその親機との親子の接続関係の設定を禁止する子機の識別情報を記憶する親子関係禁止子機記憶手段と、
前記親機において受信される前記子機からの送信データに付加されている識別情報が前記親子関係禁止子機記憶手段に記憶されている識別情報であった場合、その親機と子機との親子の接続関係の設定を禁止する親子関係禁止手段と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項3に記載された無線通信システムにおいて、
前記親子関係自動記録制御手段は、
前記所定の重要度を示す情報として、前記親機からの管理情報に含まれる識別情報が付加されていた送信データの受信時の通信品質を示す情報に基づいて、前記親子関係記憶エリアのうちの1つを空エリアとして利用可能か否かを判断する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
請求項4に記載された無線通信システムにおいて、
前記親子関係自動記録制御手段は、
前記所定の重要度を示す情報として、前記親機からの管理情報に含まれる識別情報が付加されていた送信データの受信時の通信品質を示す情報に基づいて、前記他の親機の親子関係記憶手段に記録されている前記親機からの管理情報に含まれる識別情報を削除することが可能か否かを判断する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載された無線通信システムにおいて、
前記親子関係自動記録制御手段は、
前記親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアに前記子機の識別情報を記録する際にその識別情報が付加されていた送信データの受信時刻を合わせて記録する受信時刻記憶手段を備え、
前記親子関係記録制御手段は、
前記前記親子関係記憶手段の親子関係記憶エリアのそれぞれに記録されている前記送信データの受信時刻を定期的にチェックし、現在までの経過時間が所定時間を超えている受信時刻があった場合、その受信時刻が記録されている親子関係記憶エリア内の情報を削除して空エリアとするとともに、そのエリアに対応する前記親機の子機データ記憶エリアに記録されている情報を削除する親子関係解消手段を備える
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
請求項1〜11の何れか1項に記載された無線通信システムにおいて、
前記親子関係記憶手段および前記親子関係記録制御手段は、前記親機とネットワークを介して接続された管理装置に設けられている
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項1〜11の何れか1項に記載された無線通信システムにおいて、
前記親子関係記憶手段および前記親子関係記録制御手段は、前記親機の1つに設けられている
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載された無線通信システムにおいて、
前記親子関係記憶手段および前記親子関係記録制御手段は、前記親機とネットワークを介して接続された管理装置および前記親機の1つに分散して設けられている
ことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−246873(P2009−246873A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93796(P2008−93796)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】