説明

焦点検出装置および撮像装置

【課題】瞳分割型位相差検出方式において、イメージセンサーから出力される一対の信号データ列の相関度が所定値以上となるずらし量が3つ以上存在した場合、偽合焦を排除して正確なデフォーカス量を検出する。
【解決手段】第1の開口F値で偽合焦が発生した場合に、事前にデフォーカス量の一致が複数発生しないような絞り開口F値を決定する。決定した絞り開口F値でデフォーカス量def7、def8、def9を検出し、第1の開口F値で検出したデフォーカス量def1、def2、def5と比較する。略一致したデフォーカス量def1およびdef7に基づいて真のデフォーカス量を決定する。2つの開口F値でデフォーカス量を検出することにより、確実に真のデフォーカス量を決定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点検出装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焦点検出において、光学系の異なる絞り開口径において得られた複数のデフォーカス量の中から所定差以内の複数のデフォーカス量を抽出し、これらのデフォーカス量に基づいて焦点調節状態における最終的なデフォーカス量を決定する焦点検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この焦点検出装置は、例えば一対の焦点検出用光束のいずれか一方に撮影光学系によるケラレが発生してイメージセンサーから出力される一対の信号データ列に相対的な歪みが発生しても、偽合焦を防止して両信号データ列の相関関係を正確に検出し、正確な焦点検出を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−52009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の焦点検出装置では、相関度が所定値以上となるずらし量が2つ存在する場合の偽合焦防止技術について開示されているが、3つ以上存在した場合については開示されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1に記載の焦点検出装置は、光学系の絞り開口を通過する一対の光束を受光し、一対の光束が形成する一対の像に対応する一対の焦点検出信号データ列を出力する受光手段と、絞り開口の絞り値が第1の絞り値のときの一対の焦点検出信号データ列を相対的に所定の偏位量に偏位させて、一対の焦点検出信号データ列の相関を演算する相関演算手段と、相関演算手段により演算された相関について、3個以上の極小値の各々を与える3個以上の偏位量と、第1の絞り値に応じた第1の変換係数とに基づき、3個以上の第1デフォーカス量を算出するデフォーカス量算出手段と、第1デフォーカス量の各々の間の3個以上の第1差分を算出する第1差分算出手段と、3個以上の偏位量と、第2の絞り値に応じた第2の変換係数とに基づき、3個以上の第2差分を算出する第2差分算出手段と、第2差分の各々が第1差分の各々と相異なるとき、絞り開口の絞り値を第1の絞り値から第2の絞り値に変更する変更手段と、第2の絞り値に変更後の一対の焦点検出信号データ列についての相関を、相関演算手段に演算させるとともに、第2の絞り値における3個以上の第2デフォーカス量を、デフォーカス量算出手段に算出させる制御を行う制御手段と、第1デフォーカス量のうち、第2デフォーカス量のいずれかと略一致するデフォーカス量を、光学系の焦点調節状態における真正のデフォーカス量として決定する決定手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項7に記載の撮像装置は、撮影光学系と、撮影光学系の絞り開口を通過する撮影用の光束を受光し、撮影用の光束が形成する被写体像に応じた撮像信号データを出力する複数の撮像画素と、絞り開口を通過する一対の焦点検出用の光束を受光し、一対の光束が形成する一対の像に対応する一対の焦点検出信号データ列を出力する複数の焦点検出画素とが2次元的に混在して配列された撮像素子と、絞り開口の絞り値が第1の絞り値のときの一対の焦点検出信号データ列を相対的に所定の偏位量に偏位させて、一対の焦点検出信号データ列の相関を演算する相関演算手段と、相関演算手段により演算された相関について、3個以上の極小値の各々を与える3個以上の偏位量と、第1の絞り値に応じた第1の変換係数とに基づき、3個以上の第1デフォーカス量を算出するデフォーカス量算出手段と、第1デフォーカス量の各々の間の3個以上の第1差分を算出する第1差分算出手段と、3個以上の偏位量と、第2の絞り値に応じた第2の変換係数とに基づき、3個以上の第2差分を算出する第2差分算出手段と、第2差分の各々が第1差分の各々と相異なるとき、絞り開口の絞り値を第1の絞り値から第2の絞り値に変更する変更手段と、第2の絞り値に変更後の一対の焦点検出信号データ列についての相関を、相関演算手段に演算させるとともに、第2の絞り値における3個以上の第2デフォーカス量を、デフォーカス量算出手段に算出させる制御を行う制御手段と、第1デフォーカス量のうち、第2デフォーカス量のいずれかと略一致するデフォーカス量を、撮影光学系の焦点調節状態における真正のデフォーカス量として決定する決定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、瞳分割型位相差検出方式において、イメージセンサーから出力される一対の信号データ列の相関度が所定値以上となるずらし量が3つ以上存在した場合、偽合焦を排除して正確なデフォーカス量を検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施の形態のデジタルスチルカメラの構成を示す横断面図である。
【図2】交換レンズの撮影画面上における焦点検出位置を示す図である。
【図3】瞳分割型位相差検出方式の原理について説明する図である。
【図4】撮像素子の詳細な構成を示す正面図である。
【図5】撮像画素と焦点検出画素のマイクロレンズの形状を示す図である。
【図6】撮像画素の正面図である。
【図7】焦点検出画素の正面図である。
【図8】緑画素、赤画素および青画素の分光感度特性を示す図である。
【図9】焦点検出画素の分光感度特性を示す図である。
【図10】撮像画素の断面図である。
【図11】焦点検出画素の断面図である。
【図12】撮像画素が受光する撮影光束の様子を説明するための図である。
【図13】焦点検出画素が受光する撮影光束の様子を説明するための図である。
【図14】デジタルスチルカメラの撮像動作を示すフローチャートである。
【図15】デジタルスチルカメラの撮像動作を示すフローチャートである。
【図16】一対のデータのずらし量kに対する相関量C(k)の関係を示す図である。
【図17】像ズレ量をデフォーカス量に変換する場合の説明図である。
【図18】偽合焦が発生する像の信号を示す図である。
【図19】偽合焦が発生する像の信号を示す図である。
【図20】偽合焦が発生する像の信号を示す図である。
【図21】相関量C(k)の落ち込み(極小値)を示す図である。
【図22】像ズレ量からデフォーカス量への線形な変換を、変換係数を傾きとした直線を用いて模式的に表したグラフである。
【図23】偽合焦が発生する像の信号を示す図である。
【図24】偽合焦が発生する像の信号を示す図である。
【図25】偽合焦が発生する像の信号を示す図である。
【図26】相関量C(k)の落ち込み(極小値)を示す図である。
【図27】像ズレ量からデフォーカス量への線形な変換を、変換係数を傾きとした直線を用いて模式的に表したグラフである。
【図28】偽合焦が発生する像の信号を示す図である。
【図29】像ズレ量からデフォーカス量への線形な変換を、変換係数を傾きとした直線を用いて模式的に表したグラフである。
【図30】撮像素子の詳細な構成を示す正面図である。
【図31】焦点検出画素の正面図である。
【図32】焦点検出画素の断面図である。
【図33】再結像瞳分割方式の焦点検出動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施の形態の撮像装置として、レンズ交換式のデジタルスチルカメラを例に挙げて説明する。図1は一実施の形態のデジタルスチルカメラの構成を示す横断面図である。本実施の形態のデジタルスチルカメラ201は、交換レンズ202とカメラボディ203とから構成され、交換レンズ202がマウント部204を介してカメラボディ203に装着される。カメラボディ203にはマウント部204を介して種々の撮影光学系を有する交換レンズ202が装着可能である。
【0010】
交換レンズ202は、レンズ209、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210、絞り211、レンズ駆動制御装置206などを備えている。
【0011】
レンズ駆動制御装置206は、不図示のマイクロコンピューター、メモリ、駆動制御回路などから構成される。レンズ駆動制御装置206は、フォーカシング用レンズ210の焦点調節と絞り211の開口径調節のための駆動制御や、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210および絞り211の状態検出などを行う。また、後述するボディ駆動制御装置214との通信によりレンズ情報の送信とカメラ情報(デフォーカス量や絞り値など)の受信を行う。
【0012】
絞り211は、光量およびボケ量調整のために光軸中心に開口径が可変な開口を形成する。
【0013】
カメラボディ203は、撮像素子212、ボディ駆動制御装置214、液晶表示素子駆動回路215、液晶表示素子216、接眼レンズ217、メモリカード219などを備えている。撮像素子212には、撮像画素が二次元状に配置されるとともに、焦点検出位置(焦点検出エリア)に対応した部分に焦点検出画素が組み込まれている。この撮像素子212については詳細を後述する。
【0014】
ボディ駆動制御装置214は、マイクロコンピューター、メモリ、駆動制御回路などから構成される。ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212の駆動制御と、画像信号および焦点検出信号の読み出しと、焦点検出信号に基づく焦点検出演算と、交換レンズ202の焦点調節とを繰り返し行うとともに、画像信号の処理と記録、デジタルスチルカメラ201の動作制御などを行う。
【0015】
また、ボディ駆動制御装置214は電気接点213を介してレンズ駆動制御装置206と通信を行い、レンズ情報の受信とカメラ情報の送信を行う。
【0016】
液晶表示素子216は電気的なビューファインダー(EVF:Electronic View Finder)として機能する。液晶表示素子駆動回路215は撮像素子212からの画像信号に基づき、スルー画像を液晶表示素子216に表示し、撮影者は接眼レンズ217を介してそのスルー画像を観察することができる。メモリカード219は、撮像素子212により撮像された画像の画像データを記憶する画像ストレージである。
【0017】
交換レンズ202を通過した光束により、撮像素子212の受光面上に被写体像が形成される。この被写体像は撮像素子212により光電変換され、画像信号と焦点検出信号とがボディ駆動制御装置214へ送られる。
【0018】
ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212の焦点検出画素からの焦点検出信号に基づいてデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送る。また、ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212からの画像信号を処理して画像データを生成し、メモリカード219に格納するとともに、撮像素子212からのスルー画像信号を液晶表示素子駆動回路215へ送り、スルー画像を液晶表示素子216に表示させる。さらに、ボディ駆動制御装置214は、レンズ駆動制御装置206へ絞り制御情報を送って絞り211の開口制御を行う。
【0019】
レンズ駆動制御装置206は、フォーカシング状態、ズーミング状態、絞り設定状態、絞り開放F値などに応じてレンズ情報を更新する。具体的には、ズーミング用レンズ208とフォーカシング用レンズ210の位置と絞り211の絞り値を検出し、これらのレンズ位置と絞り値に応じてレンズ情報を演算したり、あるいは予め用意されたルックアップテーブルからレンズ位置と絞り値とに応じたレンズ情報を選択する。
【0020】
レンズ駆動制御装置206は、受信したデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を算出し、レンズ駆動量に応じてフォーカシング用レンズ210を合焦位置へ駆動する。また、レンズ駆動制御装置206は受信した絞り値に応じて絞り211を駆動する。
【0021】
図2は、交換レンズ202の撮影画面上における焦点検出位置(焦点検出エリア)を示す図であり、後述する撮像素子212上の焦点検出画素列が焦点検出の際に撮影画面上で像をサンプリングする領域(焦点検出エリア、焦点検出位置)の一例を示す。この例では、矩形の撮影画面100上の中央および左右の3箇所に焦点検出エリア101〜103が配置される。長方形で示す焦点検出エリアの長手方向に、焦点検出画素が垂直方向に直線的に配列される。
【0022】
撮像素子212の詳細な構成について説明する前に、瞳分割型位相差検出方式の原理について、図3を用いて説明する。
【0023】
撮像面110上に複数の焦点検出画素111が配列される。焦点検出画素111はマイクロレンズ112と一対の光電変換部113、114から構成される。
【0024】
一対の光電変換部113、114はマイクロレンズ112により撮像面110から前方の距離d(測距瞳距離)にある測距瞳面120に投影され、測距瞳123、124が形成される。換言すると、撮像面110から前方の距離dにある測距瞳面120上を通過する光束のうち測距瞳123の光束が、焦点検出画素111の光電変換部113により受光され、測距瞳面120上を通過する光束のうち測距瞳124の光束が、焦点検出画素111の光電変換部114により受光される。
【0025】
焦点検出画素111の配列の光電変換部113の系列の像信号と、光電変換部114の系列の像信号との相対的なズレ量(位相差、像ズレ量)は、撮像面上に像を形成する光学系の焦点調節状態に応じて変化する。したがって、このズレ量を、焦点検出画素が生成する一対の像信号を演算処理することによって求めれば、光学系の焦点調節状態を検出することができる。
【0026】
ところで、上記一対の測距瞳123、124は一対の光電変換部113、114を単純に投影した分布とはならず、マイクロレンズ111の開口径(画素サイズと略一致)に応じた光の回折効果により、ボケを生じて裾野を引いた分布となる。図3において一対の測距瞳123、124の並び方向と垂直な方向のスリットを用いて一対の測距瞳123、124を並び方向に走査すると、一対の測距瞳分布133、134が得られる。上記回折効果により一対の測距瞳分布133、134は隣接した部分で互いに重畳部135を有する。
【0027】
上述したように瞳分割型位相差検出方式においては、一対の測距瞳を通過する光束が形成する一対の像の撮像面上での像ズレ量を検出し、該像ズレ量に所定の変換係数を乗じて光軸方向のデフォーカス量(焦点調節状態)に変換する。
【0028】
図4は撮像素子212の詳細な構成を示す正面図であり、図2における焦点検出エリア101の近傍を拡大して画素配列の詳細を示す。撮像素子212には撮像画素310が二次元正方格子状に稠密に配列される。撮像画素310は赤画素(R)、緑画素(G)、および青画素(B)からなり、ベイヤー配列の配置規則によって配置されている。焦点検出用には撮像画素と同一の画素サイズを有する垂直方向焦点検出用の焦点検出画素313、314が交互に、本来緑面素と青画素が連続的に配置されるべき垂直方向の直線上に連続して配列される。
【0029】
焦点検出画素313、314は、撮像画素310のBとGが配置されるべき列に配置されている。焦点検出画素313、314が、撮像画素310のBとGが配置されるべき列に配置されているのは、焦点検出画素の位置における撮像用の画像信号を求めるための補間処理において補間誤差が生じた場合に、人間の視覚特性上、赤画素の補間誤差に比較して青画素の補間誤差が目立たないためである。
【0030】
図5は、撮像画素310および焦点検出画素313、314のマイクロレンズ10の形状を示す図である。撮像画素310および焦点検出画素313、314のマイクロレンズ10の形状は、元々、画素サイズより大きな円形のマイクロレンズ9から画素サイズに対応した正方形の形状で切り出した形状をしている。マイクロレンズ10の光軸を通る対角線の方向の断面と、マイクロレンズ10の光軸を通る水平線の方向の断面とは、それぞれ図5に示す形状になっている。
【0031】
撮像画素310は、図6に示すように矩形のマイクロレンズ10、後述の遮光マスクで受光領域を制限された光電変換部11、および色フィルター(不図示)を有している。色フィルターは赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類からなり、それぞれの分光感度は図8に示す特性を有している。撮像素子212には、各色フィルターを備えた撮像画素310がベイヤー配列されている。
【0032】
焦点検出画素313は、図7(a)に示すように矩形のマイクロレンズ10と後述の遮光マスクで受光領域を制限された光電変換部13、および不図示のNDフィルター(ニュートラルデンシティフィルター)を有し、遮光マスクで受光領域を制限された光電変換部13の形状は矩形である。また、焦点検出画素314は、図7(b)に示すように矩形のマイクロレンズ10と後述の遮光マスクで受光領域を制限された光電変換部14、およびNDフィルターを有し、遮光マスクで受光領域を制限された光電変換部14の形状は矩形である。焦点検出画素313と焦点検出画素314とをマイクロレンズ10を基準として重ね合わせて表示すると、遮光マスクで受光領域を制限された光電変換部13と14が垂直方向に並んでいる。
【0033】
焦点検出画素313、314には全ての色に対して焦点検出を行うために特定の色フィルターが設けられておらずその代わりに入射光量を減ずる上述のNDフィルターが設けられており、その分光感度特性は図9に示す特性となる。つまり、図8に示す緑画素、赤画素および青画素の分光感度特性を加算したような分光感度特性となり、その焦点検出画素313、314が高い分光感度を示す光波長領域は、緑画素、赤画素および青画素が高い分光感度を示す光波長領域を包括している。NDフィルターの濃度は、白色光に撮像素子を露光した場合に、例えば焦点検出画素の出カレベルが緑画素の出力レベルに対し3/4以下となるように定められる。これは画面上の像高が高い領域(焦点検出エリア102、103)において焦点検出光束のケラレが発生し、一対の焦点検出画素313、314の出力バランスが崩れ、一方の焦点検出画素の出力レベルが上昇した場合においても撮像画素310のうちの緑画素の出力レベルを上回らないようにする。
【0034】
撮像画素310は、マイクロレンズ10によって最も明るい交換レンズの射出瞳径(例えばF1.0)を通過する光束をすべて受光するような形状に設計される。また、焦点検出画素313、314は、マイクロレンズ10によって撮像画素310が受光する光束に対して一対の相補的な光束をそれぞれ受光するような形状に設計される。
【0035】
図10は撮像画素310の断面図である。撮像画素310では撮像用の光電変換部11の上に近接して遮光マスク30が形成され、光電変換部11は、遮光マスク30の開ロ部30aを通過した光を受光する。遮光マスク30の上には平坦化層31が形成され、その上に色フィルター38が形成される。色フィルター38の上には平坦化層32が形成され、その上にマイクロレンズ10が形成される。マイクロレンズ10により開口部30aの形状が前方に投影される。光電変換部11は半導体回路基板29上に形成される。
【0036】
図11は、焦点検出画素313、314の断面図である。焦点検出画素313、314では、焦点検出用の光電変換部13、14の上に近接して遮光マスク30が形成される。光電変換部13、14は、遮光マスク30の開口部30b、30cを通過した光を受光する。遮光マスク30の上には平坦化層31が形成され、その上にNDフィルター34が形成される。NDフィルター34の上には平坦化層32が形成され、その上にマイクロレンズ10が形成される。マイクロレンズ10により開口部30b、30cの形状が前方に投影される。光電変換部13、14は半導体回路基板29上に形成される。
【0037】
図12は、マイクロレンズ10を用いた瞳分割型位相差検出方式の焦点検出光学系の構成を示す。なお、焦点検出画素313、314は拡大して示す。図12において、射出瞳90は、交換レンズ202の予定結像面に配置され、マイクロレンズ10の前方へ距離dの位置に設定されている。この距離dは、マイクロレンズ10の曲率、屈折率、マイクロレンズ10と光電変換部13、14との間の距離などに応じて決まる距離であって、この明細書では測距瞳距離と呼ぶ。図12には、交換レンズの光軸91、マイクロレンズ10、光電変換部13、14、焦点検出画素313、314、撮影光束71、焦点検出光束73、74が示されている。
【0038】
領域93は、開口部30bがマイクロレンズ10により投影された領域であり、この明細書では測距瞳と呼ぶ。同様に、領域94は、開ロ部30cがマイクロレンズ10により投影された測距瞳である。図12では、説明を解りやすくするために、測距瞳93、94を楕円領域で示しているが、実際には開ロ部30bの形状が拡大投影されるとともに回折によりぼやけた形状になる。
【0039】
図12では、撮影光軸に隣接する5つの焦点検出画素を模式的に例示しているが、画面周辺部の焦点検出画素配列においても、各光電変換部13、14は、それぞれ対応した測距瞳93、94から各マイクロレンズ10に到来する光束を受光するように構成されている。焦点検出画素の配列方向は一対の測距瞳93、94の並び方向、すなわち一対の光電変換部13、14の並び方向と一致させる。
【0040】
マイクロレンズ10は交換レンズ202の予定結像面近傍に配置されている。マイクロレンズ10により、光電変換部13、14に近接して配置された開口部30b、30cの形状が、マイクロレンズ10から測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93、94を形成する。
【0041】
光電変換部13は測距瞳93を通過し、焦点検出画素313のマイクロレンズ10に向う光束73によりマイクロレンズ10上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部14は測距瞳94を通過し、焦点検出画素314のマイクロレンズ10に向う光束74によりマイクロレンズ10上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0042】
上述した2種類の焦点検出画素を直線状に多数配置し、各画素の光電変換部の出力を測距瞳93および測距瞳94に対応した出力グループにまとめることによって、測距瞳93と測距瞳94をそれぞれ通過する焦点検出用光束が画素列上に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割型位相差検出方式で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔と測距瞳距離の比例関係に応じた変換演算を行うことによって、予定結像面(マイクロレンズアレイの位置)に対する現在の結像面(撮影画面100上で定められる焦点検出位置における実際の結像面)の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0043】
図13は、図6に示す撮像素子212の撮像画素310が受光する撮影光束の様子を図12と比較して説明するための図であって、図12と重複する部分の説明は省略する。
【0044】
撮像画素310は、マイクロレンズ10とその背後に配置された光電変換部11等から構成される。光電変換部51に近接して配置された開口部30aの形状が、マイクロレンズ10から測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93、94に略外接する領域95を形成する。
【0045】
光電変換部11は、領域95を通過してマイクロレンズ10へ向う撮影光束71によってマイクロレンズ11上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0046】
図14、図15は、デジタルスチルカメラ201の撮像動作を示すフローチャートである。ボディ駆動制御装置214は、ステップS100でデジタルスチルカメラ201の電源がオンされると、ステップS110以降の撮像動作を開始する。ステップS110において、レンズ駆動制御装置206へ絞り調整命令を送信し、交換レンズ202の絞り値を開放F値にする。ステップS120において、撮像画素310のデータを間引き読み出しし、電子ビューファインダーに表示させる。
【0047】
続くステップS130では、焦点検出画素列から一対の像に対応した一対の像データを読み出す。なお、焦点検出エリアは、撮影者が焦点検出エリア選択部材(不図示)を用いて焦点検出エリア101〜103の内のいずれかを予め選択しているものとする。
【0048】
ステップS140では、読み出された一対の像データに基づいて後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を行い、像ズレ量を演算してデフォーカス量に変換する。ステップS150では、偽合焦が発生しているかを判定し、発生していない場合にはステップS151で偽合焦フラグを0とし、図15のステップS200に進む。なお、偽合焦状態とは、信頼性の高い異なるデフォーカス量が複数生じる状態であり、偽合焦の発生有無の判定処理の詳細については後述する。また、偽合焦フラグは、0の時に前回のデフォーカス検出サイクルにおいて偽合焦が発生していないことを示し、1の時に前回のデフォーカス検出サイクルにおいて偽合焦が発生していることを示す。
【0049】
ステップS150において偽合焦が発生していると判断された場合には、異なる複数のデフォーカス量の中から真のデフォーカス量を1つ決定する必要がある。そのために、まず、ステップS152で偽合焦フラグが1であって、かつ構図変更がないか判定する。構図変更の有無は、例えば、前回のデフォーカス検出サイクルの時に読み出した電子ビューフィンダー表示用の画像を記憶しておき、今回のデフォーカス検出サイクルの時に読み出した電子ビューフィンダー表示用の画像と比較する。2つの画像間の動きベクトルが所定閾値以上の場合には構図変更ありと判定し、所定閾値以下の場合は構図変更なしと判定する。また、例えば、カメラボディの姿勢を検出する姿勢センサーをカメラボディに内蔵しておき、前回のデフォーカス検出サイクルの時に検出した姿勢情報と、今回のデフォーカス検出サイクルの時に検出した姿勢情報とを比較する。2つの姿勢情報の相違が所定閾値以上の場合には構図変更ありと判定し、所定閾値以下の場合は構図変更なしと判定するようにしてもよい。
【0050】
ステップS152で、偽合焦フラグが1であって、かつ構図変更がないと判定された場合には、ステップS153において、偽合焦状態で生じる複数のデフォーカス量の中から所定条件を満足するデフォーカス量を真のデフォーカス量とし、図15のステップS200に進む。所定条件とは、例えば、前回のデフォーカス検出サイクルの時に決定した真のデフォーカス量から、前回のデフォーカス検出サイクルから今回のデフォーカス検出サイクルの間に駆動されたレンズの移動量をデフォーカス量の変化に換算した量を差し引いたデフォーカス量に最も近いという条件である。このような条件を満足する場合は、後述するステップS154以降の動作(絞り開口径を変更して、再度デフォーカス量を検出する動作)を省略することができる。したがって、構図変更がない状態で偽合焦が継続した場合に、絞り開口径を変化させる動作を繰り返すことなく、迅速なデフォーカス検出動作を実現することができる。
【0051】
ステップS152で偽合焦フラグが0または構図変更があると判定された場合には、ステップS154で偽合焦フラグを1とし、ステップS155以降の絞り開口径を変更して再度デフォーカス量を検出する動作に進む。なお、電源ON直後の初回のデフォーカス検出時に偽合焦ありと判定された場合にも、ステップS154以降の処理に進む。
【0052】
ステップS155では、ステップS140における処理で得られた複数の像ズレ量に基づき、後述するように絞り開口径を決定する。
【0053】
ステップS160においてレンズ駆動制御装置206へ絞り調整命令を送信し、交換レンズ202の絞り値をステップS155で決定された絞り開口径に相当するF値にする。続くステップS170では焦点検出画素列から一対の像に対応した一対の像データを読み出す。ステップS180では、読み出された一対の像データに基づいて後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を行い、像ズレ量を演算してデフォーカス量に変換する。
【0054】
ステップS190では、後述する処理により、絞り開放F値で得られたデフォーカス量と、ステップS155で決定された絞り開口径に相当するF値で得られたデフォーカス量とを比較し、略一致するデフォーカス量を真正のデフォーカス量とし、図15のステップS200に進む。図14のステップS190では、略一致する2つのデフォーカス量は、お互いに完全には一致してないため、それら2つのデフォーカス量の平均を真正のデフォーカス量としているが、それら2つのデフォーカス量のうちのいずれか一方を真正のデフォーカス量としても良い。
【0055】
ステップS200で、合焦近傍か否か、すなわち算出されたデフォーカス量の絶対値が所定値以内であるか否かを調べる。合焦近傍でないと判定された場合は、ステップS210へ進み、デフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送信し、交換レンズ202のフォーカシングレンズ210を合焦位置に駆動させる。その後、図14のステップS110へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0056】
なお、焦点検出不能な場合もこのステップに分岐し、レンズ駆動制御装置206へスキャン駆動命令を送信し、交換レンズ202のフォーカシングレンズ210を無限から至近までの間でスキャン駆動させる。その後、ステップS110へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0057】
ステップS200で合焦近傍であると判定された場合はステップS220へ進み、シャッターボタン(不図示)の操作によりシャッターレリーズがなされたか否かを判別する。シャッターレリーズがなされていないと判定された場合はステップS110へ戻り、上述した動作を繰り返す。一方、シャッターレリーズがなされたと判定された場合はステップS230へ進み、レンズ駆動制御装置206へ絞り調整命令を送信し、交換レンズ202の絞り値を制御F値(撮影者または自動により設定されたF値)にする。絞り制御の終了後、ステップS250で撮像素子212に撮像動作を行わせ、撮像素子212の撮像画素310および全ての焦点検出画素313、314から画像データを読み出す。
【0058】
ステップS250において、焦点検出画素列の各画素位置の画素データを焦点検出画素の周囲の撮像画素310のデータに基づいて画素補間する。続くステップS260では、撮像画素310のデータおよび補間されたデータからなる画像データをメモリカード219に記憶し、図14のステップS110へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0059】
図14のステップS140、ステップS180における像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)の詳細について以下説明する。
【0060】
撮像素子212から読み出された焦点検出画素データ即ち一対のデータ列(A1〜A1、A2〜A2:Mはデータ数)に対し、特開2007−333720号公報に開示された相関演算式(1)を行い、相関量C(k)を演算する。
C(k)=Σ|A1×A2i+s+k−A2i+k×A1i+s| (1)
【0061】
式(1)において、像ずらし量kは整数であり、一対の像データ列A1、A2のデータ間隔を単位とした相対的な偏位量を表すシフト値である。C(k)はシフト値kにおける一対の像データ列A1、A2の相関度を示す相関量である。また積算処理(Σ)はデータインデックスiに対して、データの所定区間に亘って行われる。またパラメータs(s=1,2,3・・・)は相関演算の周波数特性などを調整するパラメータである。
【0062】
式(1)の演算結果は、図16(a)に示すように、一対のデータの相関が高いシフト量(図16(a)ではk=k=2)において相関量C(k)が極小(小さいほど相関度が高い)になる。式(2)〜(5)による3点内挿の手法を用いて連続的な相関量に対する極小値C(x)を与えるずらし量xを求める。
x=k+D/SLOP (2)
C(x)= C(k)−|D| (3)
D={C(k−1)−C(k+1)}/2 (4)
SLOP=MAX{C(k+1)−C(k),C(k−1)−C(k)} (5)
【0063】
式(2)で算出されたずらし量xの信頼性があるかどうかは、以下のようにして判定される。
【0064】
図16(b)に示すように、一対のデータの相関度が低い場合は、内挿された相関量の極小値C(x)の値が大きくなる。
【0065】
したがって、C(x)が所定の閾値以上の場合は算出されたずらし量の信頼性が低いと判定し、算出されたずらし量xをキャンセルする。
【0066】
あるいは、C(x)をデータのコントラストで規格化するために、コントラストに比例した値となるSLOPでC(x)を除した値が所定値以上の場合は、算出されたずらし量の信頼性が低いと判定し、算出されたずらし量xをキャンセルする。
【0067】
あるいはまた、コントラストに比例した値となるSLOPが所定値以下の場合は、被写体が低コントラストであり、算出されたずらし量の信頼性が低いと判定し、算出されたずらし量xをキャンセルする。
【0068】
図16(c)に示すように、一対のデータの相関度が低く、シフト範囲kmin〜kmaxの間で相関量C(k)の落ち込みがない場合は、極小値C(x)を求めることができず、このような場合は焦点検出不能と判定する。
【0069】
算出されたずらし量xの信頼性があると判定された場合は、式(6)により像ズレ量shftに換算される。
shft=PY・x (6)
【0070】
式(6)において、PYは焦点検出画素313、314による像の検出ピッチである。焦点検出画素の配列においては2種類の焦点検出画素が交互に配置されているので、検出ピッチPYは撮像画素310の画素ピッチの2倍となる。
【0071】
式(6)で算出された像ズレ量に変換係数Kdを乗じてデフォーカス量defへ変換する。変換係数Kdはレンズ情報に含まれる絞り開口のF値に対応した変換係数である。
def=Kd・shft (7)
【0072】
図17は、像ズレ量(光学系の光軸に垂直な方向における一対の像の相対的な偏位量)をデフォーカス量(光学系の光軸方向における基準面、すなわち撮像面に対する実際の像面の偏位量)に変換する場合の説明図である。
【0073】
図17において、撮像面110、像面140、絞り面125、光軸91、デフォーカス量(撮像面110から像面140までの距離)def、撮像面110から絞り面125までの距離PO、絞りF値がF1の場合の一対の焦点検出光束のそれぞれの中心光束が絞り面と交差する位置G1、G2、絞りF値がF2(<F1)の場合の一対の焦点検出光束のそれぞれの中心光束が絞り面と交差する位置G3、G4、位置G1と位置G2の間の距離Q1、位置G3と位置G4の間の距離Q2、絞りF値がF1の場合の一対の像の像ズレ量S1、絞りF値がF2の場合の一対の像の像ズレ量S2、絞りF値がF1の場合の一対の焦点検出光束の中心光束の開き角θ1、絞りF値がF2の場合の一対の焦点検出光束の中心光束の開き角θ2を示す。なお、距離POは、交換レンズ202の種類に応じて変化するが、その平均的な距離は図3の測距瞳距離dに略等しく設定される。デフォーカス量defが距離POに比較して小さい場合(すなわちPO−def≒POと近似できる場合)には、絞りF値がF1の場合のデフォーカス量defは式(8)で算出される。
def=S1/(2・Tan(θ1/2))=S1・PO/Q1 (8)
【0074】
従って、絞りF値がF1の場合の変換係数Kd1は数式9で表される。
Kd1=1/(2・Tan(θ1/2))=PO/Q1 (9)
【0075】
同様に、絞りF値がF2(>F1)の場合のデフォーカス量defおよび変換係数Kd2は式(10)、(11)で算出される。
def=S2/(2・Tan(θ2/2))=S2・PO/Q2 (10)
Kd2=1/(2・Tan(θ2/2))=PO/Q2 (11)
【0076】
交換レンズ側には絞りF値に応じた変換係数Kdがレンズ情報として記憶されている。ある絞りF値で算出された像ズレ量をデフォーカス量に変換する場合には、その絞りF値に対応する変換係数Kdが用いられることになる。
【0077】
以上の説明は、偽合焦が発生しない単純な場合のデフォーカス量算出の説明であった。すなわち、図16で示したように相関量の極小値が1カ所のみ存在する場合であったが、形成される像の波形によっては極小値が複数カ所に発生する場合があり、そのような場合を偽合焦と称している。
【0078】
まず偽合焦により相関量の極小値が2カ所に発生する場合について説明する。
【0079】
図18は、偽合焦が発生する像の信号を関数H0(y)で示しており、中央のピークR0(y=0)から離れた位置にピークR0に類似したピークT0が存在する。なお、yは撮像面上における光軸からの距離を表している。
【0080】
図19(a)、(b)は、絞り開口F値が開放F値においてこのような像がデフォーカスした面に形成されている場合に、焦点検出画素配列が生成する一対の像の信号の関数H1(y)、H2(y)を示している。関数H1(y)、H2(y)は、デフォーカス量に応じて元の関数H0(y)をy=0を基準にそれぞれ反対方向にずらした関数となっている。関数H1(y)、H2(y)において、ピークR1とピークR2とは、デフォーカス量に応じた像ズレ量y1だけ相対的に偏位している。また、ピークR1とピークR1に類似したピークT2は、像ズレ量y2だけ相対的に偏位している。
【0081】
関数H1(y)のピークR1を含む区間W1を一方のデータ列(式(1)のA1)とし、関数H2(y)を相対的にシフトしたものをもう一方のデータ列(式(1)のA2)として式(1)の相関演算を適用すると、横軸をずらし量kとして算出される相関量C(k)は、図21(a)に示すグラフとなる。
【0082】
図21(a)に示すグラフにおいて、相関量C(k)の落ち込み(極小値)V1、V2に対応するずらし量k1、k2が2つのデータの相関度が高いずらし量となる。
【0083】
落ち込みV1に対応するずらし量k1は、図19(a)の関数H1(y)のピークR1と図19(b)の関数H2(y)のピークR2との一致によって得られるずらし量、即ち区間W1における関数H1(y)を基準として関数H2(y)をy1だけ右側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0084】
落ち込みV2に対応するずらし量k2は図19(a)の関数H1(y)のピークR1と図19(b)の関数H2(y)のピークT2との一致によって得られるずらし量、即ち区間W1における関数H1(y)を基準として関数H2(y)をy2だけ左側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0085】
落ち込みV1、V2の相関量E1、E2(E1,E2は所定閾値E0以下)はほとんど同じ値となるので、どちらの落ち込みが関数H1(y)とH2(y)の正しい一致を示す相関量かわからない。落ち込みV2に対応するずらし量k2を2つの関数のずらし量として採用した場合には、全く間違った焦点検出結果を算出してしまうことになる。
【0086】
以上は、相関量の極小値が2カ所に発生する場合についての説明であったが、一般的に相関演算において信頼性の高い(相関値が所定閾値の以下)相関量の極小値が複数箇所(2カ所以上)発見された場合には、ステップS150において偽合焦が発生したと判定し、真のデフォーカス量を決定するために以降の処理を行うことになる。
【0087】
なお、相関量の極小値の信頼性は、相関値と所定閾値との比較によって決定してもよいし、図16(b)で説明した方法によって決定してもよい。
【0088】
次に、偽合焦ありと判定された場合の図14のステップS155の処理(絞り開口径の決定)からステップS190までの処理について説明する。
【0089】
まず、相関量の極小値が2カ所に発生する場合について説明する。
【0090】
極小値が2カ所の場合には、絞り開口径(絞り開口F値)は開放F値と異なるF値であれば構わない。
【0091】
具体的には、絞り開口F値をFA(例えば開放F値より1段暗いF値とした場合、開放F値がF2.0の場合はFAの開口F値はF2.8)として、該絞り開口F値FAに絞りを制御し、その状態で焦点検出画素からデータを読みだし、該データに対し上述と同様な相関演算処理を行う。図20(a)、(b)は、絞り開口F値がFAにおいて、図18に示した像がデフォーカスした面に形成されている場合に、焦点検出画素配列が生成する一対の像の信号の関数H3(y)、H4(y)を示している。関数H3(y)、H4(y)は、デフォーカス量に応じて元の関数H0(y)をそれぞれy=0を基準にして反対方向にずらした関数となっている。関数H3(y)、H4(y)において、ピークR3とピークR4とは、デフォーカス量に応じた像ズレ量y3だけ相対的に偏位しており、また、ピークR3とピークT4とは、像ズレ量y4だけ相対的に偏位している。絞り開口F値FAは、開放F値より大きなF値であるので、同じデフォーカス量に対しては、相対的な像ズレ量は小さな値となる。そのため、像ズレ量において|y3|<|y1|となるとともに、|y2−y1|=|y4−y3|となる。
【0092】
関数H3(y)のピークR3を含む区間W2を一方のデータ列(式(1)のA1)とし、関数H4(y)を相対的にシフトしたものをもう一方のデータ列(式(1)のA2)として式(1)の相関演算を適用すると、横軸をずらし量kとして算出される相関量C(k)を示した場合に、図21(b)に示すグラフとなる。
【0093】
図21(b)に示すグラフにおいて、相関量C(k)の落ち込み(極小値)V3、V4に対応するずらし量k3、k4が2つのデータの相関度が高いずらし量となる。
【0094】
落ち込みV3に対応するずらし量k3は、図20(a)の関数H3(y)のピークR3と図20(b)の関数H4(y)のピークR4との一致によって得られるずらし量、即ち区間W2における関数H3(y)を基準として関数H4(y)をy3だけ右側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0095】
落ち込みV4に対応するずらし量k4は、図20(a)の関数H3(y)のピークR3と図20(b)の関数H4(y)のピークT4との一致によって得られるずらし量、即ち区間W2における関数H3(y)を基準として関数H4(y)をy4だけ左側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0096】
落ち込みV3、V4の相関量E3、E4(E3、E4は所定閾値E0以下)はほとんど同じ値となるので、どちらの落ち込みが関数H3(y)とH4(y)の正しい一致を示す相関量かわからない。
【0097】
ここで、開放F値において得られたずらし量k1、k2を像ズレ量y1、y2に変換した後、開放F値における変換係数Kd0を用い、式(6)および(7)によりデフォーカス量def1、def2に変換する。また、絞り開口F値FAで得られたずらし量k3、k4を像ズレ量y3、y4に変換した後、絞り開口F値FAにおける変換係数Kd3を用い、式(6)および(7)によりデフォーカス量def3、def4に変換する。
【0098】
図22は、像ズレ量yからデフォーカス量defへの線形な変換を、変換係数Kを傾きとした直線を用いて模式的に表したグラフであって、def=K×yの関係を示している。
【0099】
図22において、開放F値で得られた像ズレ量y1、y2が変換係数Kd0によりデフォーカス量def1、def2に変換され、開口F値FAで得られた像ズレ量y3、y4が変換係数Kd3によりデフォーカス量def3、def4に変換される。
【0100】
像ズレ量y1、y3が絞り開放F値および開口F値FAにおける真のデフォーカス量に対応しているので、像ズレ量y1、y3に対応したデフォーカス量def1とdef3はほぼ同じ値となり、像ズレ量y2、y4に対応したデフォーカス量def2とdef4および真のデフォーカス量def1(≒def3)は異なる値となる。
【0101】
換言すると、異なる絞り開口F値(開放F値および開口F値FA)で得られた複数のデフォーカス量の中で略一致するデフォーカス量が真のデフォーカス量である。
【0102】
従って、デフォーカス量def1〜def4を比較し、差が所定閾値内にあるものを抽出し、抽出したデフォーカス量(この場合ではdef1とdef3)に基づいて真のデフォーカス量を求める。たとえば、def1とdef3とを平均しても良いし、def1またはdef2のいずれかを選択してもよい。
【0103】
以上は、相関量の極小値が2カ所に発生する場合についての説明であったが、極小値が3カ所以上発生している場合には、極小値が2カ所の場合と同じように絞り開口径を一律に開口F値FAとしてデフォーカス量を検出すると、開放F値でのデフォーカス量と開口F値FAでのデフォーカス量においてデフォーカス量の一致が複数発生する可能性があり、その場合には真のデフォーカス量が決定できなくなってしまう。
【0104】
以下は、開放F値でのデフォーカス量と開口F値FAでのデフォーカス量においてデフォーカス量の一致が複数発生する場合の説明である。
【0105】
図23は、像の信号を関数H10(y)で示しており、図18の関数H0(y)と同じ位置にピークR0とピークT0があり、さらにピークR0とピークT0の中間の位置にピークR0に類似したピークS0が存在する。
【0106】
図24(a)、(b)は、絞り開口F値が開放F値において、このような像が図19と同じデフォーカス面に形成されている場合に、焦点検出画素配列が生成する一対の像の信号の関数H11(y)、H12(y)を示している。関数H11(y)、H12(y)において、ピークR1とピークR2とはデフォーカス量に応じた像ズレ量y1だけ相対的に偏位しており、また、ピークR1とピークT2とは像ズレ量y2だけ相対的に偏位し、ピークR1とピークS2とは像ズレ量y5だけ相対的に偏位している。
【0107】
関数H11(y)のピークR1を含む区間W1を基準として関数H12(y)を相対的にシフトして相関量C(k)を求めると図26(a)に示すグラフとなる。
【0108】
図26(a)に示すグラフにおいて、相関量C(k)の落ち込み(極小値)V1、V2、V5に対応するずらし量k1、k2、k5が2つの関数の相関度が高いシフト値となる。
【0109】
落ち込みV1に対応するずらし量k1は図24(a)の関数H11(y)のピークR1と図24(b)の関数H12(y)のピークR2との一致によって得られるずらし量、即ち区間W1における関数H11(y)を基準として関数H12(y)をy1だけ右側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0110】
落ち込みV2に対応するずらし量k2は、図24(a)の関数H11(y)のピークR1と図24(b)の関数H12(y)のピークT2との一致によって得られるずらし量、即ち区間W1における関数H11(y)を基準として関数H12(y)をy2だけ左側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0111】
落ち込みV5に対応するずらし量k5は図24(a)の関数H11(y)のピークR1と図24(b)の関数H12(y)のピークS2との一致によって得られるずらし量、即ち区間W1における関数H11(y)を基準として関数H12(y)をy5だけ左側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0112】
落ち込みV1、V2、V5の相関量E1、E2、E5(E1、E2、E5は所定閾値E0以下)はほとんど同じ値となるので、いずれの落ち込みが関数H11(y)とH12(y)の正しい一致を示す相関量かわからない。
【0113】
また、絞り開口F値をFA(極小値が2カ所の場合と同じF値)として、同様にしてデフォーカス量を検出する場合を以下に説明する。図25(a)、(b)は、絞り開口F値がFAにおいて、図23に示した像が図24と同じデフォーカス面に形成されている場合に、焦点検出画素配列が生成する一対の像の信号の関数H13(y)、H14(y)を示している。
【0114】
関数H13(y)、H14(y)において、ピークR3とピークR4とはデフォーカス量に応じた像ズレ量y3だけ相対的に偏位しており、また、ピークR3とピークT4とは像ズレ量y4だけ相対的に偏位し、ピークR3とピークS4とは像ズレ量y6だけ相対的に偏位している。
【0115】
関数H13(y)のピークR3を含む区間W2を基準として関数H14(y)を相対的にシフトして相関量C(k)を求めると、図26(b)に示すグラフとなる。
【0116】
図26(b)に示すグラフにおいて、相関量C(k)の落ち込み(極小値)V3、V4、V6に対応するずらし量k3、k4、k6が、2つの関数の相関度が高いずらし量となる。
【0117】
落ち込みV3に対応するずらし量k3は、図25(a)の関数H13(y)のピークR3と図25(b)の関数H14(y)のピークR4との一致によって得られるずらし量、即ち区間W2における関数H13(y)を基準として関数H14(y)をy3だけ右側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0118】
落ち込みV4に対応するずらし量k4は、図25(a)の関数H13(y)のピークR3と図25(b)の関数H14(y)のピークT4との一致によって得られるずらし量、即ち区間W2における関数H13(y)を基準として関数H14(y)をy4だけ左側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0119】
落ち込みV6に対応するずらし量k6は、図25(a)の関数H13(y)のピークR3と図25(b)の関数H13(y)のピークS4との一致によって得られるずらし量、即ち区間W2における関数H13(y)を基準として関数H14(y)をy6だけ左側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0120】
落ち込みV3、V4、V6の相関量E3、E4、E6(E3、E4、E6は所定閾値E0以下)はほとんど同じ値となるので、いずれの落ち込みが関数H13(y)とH13(y)の正しい一致を示す相関量かわからない。
【0121】
ここで、開放F値において得られたずらし量k1、k2、k5を像ズレ量y1,y2、y5に変換した後、開放F値における変換係数Kd0を用いデフォーカス量def1、def2、def5に変換する。また、絞り開口F値FAで得られたずらし量k3、k4、k6を像ズレ量y3、y4、y6に変換した後、絞り開口F値FAにおける変換係数Kd3を用いデフォーカス量def3、def4、def6に変換する。
【0122】
図27は図22と同様な図であって、開放F値で得られた像ズレ量y1、y2、y5が、変換係数Kd0によりデフォーカス量def1、def2、def5に変換され、開口F値FAで得られた像ズレ量y3、y4、y6が、変換係数Kd3によりデフォーカス量def3、def4、def6に変換されることを示している。
【0123】
像ズレ量y1、y3が絞り開放F値および開口F値FAにおける真のデフォーカス量に対応しているので、像ズレ量y1、y3に対応したデフォーカス量def1とdef3とはほぼ同じ値となる。像ズレ量y5、y4に対応したデフォーカス量def5とdef4および真のデフォーカス量def1(≒def3)は異なる値となる。しかし、像ズレ量y2、y6に対応したデフォーカス量def2とdef6とはほぼ同じ値となる。すなわち、デフォーカス量の一致が複数発生し、どちらのデフォーカス量が真のデフォーカス量による一致であるか判別できなくなる状態が発生する。
【0124】
そこで、相関量の極小値が3カ所以上発生する場合については、デフォーカス量の一致が複数発生しないような絞り開口径のF値を、開放F値の像ズレ量(シフト値)に基づいて事前に決定し、該決定された絞り開口F値でデフォーカス量を検出し、真のデフォーカス量を決定する。
【0125】
以下、簡単のために、相関量の極小値が3カ所発生する場合について説明するが、3カ所以上の場合についても容易に拡張可能である。
【0126】
開放F値において、図24(b)のように3つの像ズレ量y1、y2、y5があり、これに対応してデフォーカス量def1、def2、def5が算出される場合を考える。
【0127】
像ズレ量の間隔|y2−y1|、|y2−y5|、|y5−y1|に対応するデフォーカス量は|def2−def1|、|def2−def5|、|def5−def1|となる。
【0128】
ところで、絞り開口F値を変更しても複数のピーク像の間隔(すなわち、像ズレ量の差)自体は普遍である。例えば、開放F値においては、図24(b)のようにピークT2とピークR2との間隔は像ズレ量の差|y2−y1|であるが、開口F値がFAにおいては、図25(b)のようにピークT4とピークR4との間隔は像ズレ量の差|y4−y3|となり、これは|y2−y1|に一致する。
【0129】
従って、開放F値における像ズレ量の間隔|y2−y1|、|y2−y5|、|y5−y1|を、絞り開口F値FAの変換係数Kd3によりデフォーカス量に変換したデフォーカス量def21(=Kd3×|y2−y1|)、def22(=Kd3×|y2−y5|)、def23(=Kd3×|y5−y1|)のうち1つでも開放F値におけるデフォーカス量|def2−def1|、|def2−def5|、|def5−def1|に略一致するものがあると、第1の絞り開口F値におけるデフォーカス量と第2の絞り開口F値におけるデフォーカス量とを比較した際に、2カ所のデフォーカス量において一致が起こることになる。すなわち、2つのF値(開放F値と開口F値FA)において真のデフォーカス量は一致しているので、真のデフォーカス量との差のデフォーカス量が一致する場合には、差をとったほうのデフォーカス量も2つのF値(開放F値と開口F値FA)の間で一致してしまうのである。
【0130】
図24(b)においては、def23(=Kd3×|y5−y1|)と|def2−def1|とが一致するために、真のデフォーカス量def1≒def3以外にもデフォーカス量の一致def2≒def6が発生している。以上のような一致判定は、実際に絞り開口F値FAを変えた状態でデフォーカス量を検出する必要はなく、絞り開口F値に応じた変換係数さえわかっていれば、絞り開口F値FAを変える前に行うことが可能である。したがって、開放F値で検出した相関量において相関量の極小値が3カ所発生する場合には、あらかじめ、以下のようにしてデフォーカスの一致が複数発生しないような絞り開口F値を決定する。決定した絞り開口F値に絞り開口径を制御し、その状態でデフォーカス量を検出し、開放F値で検出したデフォーカス量と略一致するデフォーカス量を抽出することにより、真のデフォーカス量を決定することができる。
【0131】
開放F値で検出した相関量において、相関量の極小値が3カ所発生する場合の開口F値の決定は、以下のように行われる。
【0132】
(1)開口F値の候補の優先順位をつけておく。例えば開放F値がF2.0の場合は一段ずつ暗いF値(F2.8、F4.0、F5.6・・・の順)を選択する。
【0133】
(2)優先順位の高い開口F値の順にその開口F値に応じた変換係数Kaで、3つのデフォーカス量def1a(=Ka×|y2−y1|)、def2a(=Ka×|y2−y5|)、def3a(=Ka×|y5−y1|)を計算する。
【0134】
(3)3つのデフォーカス量def1a、def2a、def3aと、開放F値における3つのデフォーカス量|def2−def1|、|def2−def5|、|def5−def1|とを比較し略一致するものがあるか調べる。略一致するものがなければ、その時の開口F値を採用し、略一致するものがあれば、次の優先順位の開口F値について同様な処理を施す。
【0135】
図23のような像に対して上記処理を具体的に適用した場合には以下のようになる。
【0136】
開放F値において焦点検出画素からデータを読み出し、図24(a)、(b)のような像関数が得られる。
【0137】
図24の像関数に相関演算処理を施し、図26(a)に示す相関量のグラフが得られ、そのグラフから信頼性の高い相関量の落ち込み(相関値の値が閾値以下の落ち込み)が3カ所発見される。
【0138】
3カ所の相関量の落ち込みに対する像ズレ量(y1、y2、y5)と対応するデフォーカス量(def1、def2、def5)が算出される。
【0139】
3つのデフォーカス量|def2−def1|、|def2−def5|、|def5−def1|が算出される。
【0140】
優先順位1番の絞り開口F値FA(=F2.8)に対応する変換係数Kd3が選択され、デフォーカス量def21(=Kd3×|y2−y1|)、def22(=Kd3×|y2−y5|)、def23(=Kd3×|y5−y1|)が算出される。
【0141】
デフォーカス量def21、def22、def23と、3つのデフォーカス量|def2−def1|、|def2−def5|、|def5−def1|とが比較され、デフォーカス量def23とデフォーカス量|def2−def1|とが略一致することが判明する。
【0142】
従って、開口F値FAでデフォーカス量を検出しても、開放F値のデフォーカス量と比較すると複数の一致が生ずることがわかるので、次の優先順位の開口F値FBについての検証に進む。
【0143】
優先順位2番の絞り開口F値FB(=F4.0)に対応する変換係数Kd4が選択され、デフォーカス量def31(=Kd4×|y2−y1|)、def32(=Kd4×|y2−y5|)、def33(=Kd4×|y5−y1|)が算出される。
【0144】
デフォーカス量def31、def32、def33と、3つのデフォーカス量|def2−def1|、|def2−def5|、|def5−def1|とが比較され、一致するデフォーカス量がないことが判明し、この時の絞り開口F値FBを絞り開口F値に決定する。
【0145】
絞り開口径を絞り開口F値FBに制御し、焦点検出画素からデータを読み出し、図28(a)、(b)のような像関数が得られる。
【0146】
図28(a)、(b)は、絞り開口F値がFBにおいて、図23に示した像がデフォーカスした面に形成されている場合に、焦点検出画素配列が生成する一対の像の信号の関数H15(y)、H16(y)を示している。
【0147】
関数H15(y)、H16(y)において、ピークR5とピークR6とはデフォーカス量に応じた像ズレ量y7だけ相対的に偏位しており、また、ピークR5とピークT6とは像ズレ量y8だけ相対的に偏位し、ピークR5とピークS6とは像ズレ量y9だけ相対的に偏位している。
【0148】
関数H15(y)のピークR5を含む区間W3を基準として関数H16(y)を相対的にシフトして相関量C(k)を求めると、図26(C)に示すグラフとなる。
【0149】
図26(C)に示すグラフにおいて、相関量C(k)の落ち込み(極小値)V7、V8、V9に対応するずらし量k7、k8、k9が、2つの関数の相関度が高いずらし量となる。
【0150】
落ち込みV7に対応するずらし量k7は、図28(a)の関数H15(y)のピークR5と図28(b)の関数H16(y)のピークR6との一致によって得られるずらし量、即ち区間W3における関数H15(y)を基準として関数H16(y)をy7だけ右側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0151】
落ち込みV8に対応するずらし量k8は、図28(a)の関数H15(y)のピークR5と図28(b)の関数H16(y)のピークT6との一致によって得られるずらし量、即ち区間W3における関数H15(y)を基準として関数H16(y)をy8だけ左側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0152】
落ち込みV9に対応するずらし量k9は、図28(a)の関数H15(y)のピークR5と図28(b)の関数H16(y)のピークS6との一致によって得られるずらし量、即ち区間W3における関数H15(y)を基準として関数H16(y)をy9だけ左側にシフトした場合のずらし量に相当する。
【0153】
落ち込みV7、V8、V9の相関量E7、E8、E9(E7、E8、E9は所定閾値E0以下)はほとんど同じ値となるので、いずれの落ち込みが関数H15(y)とH16(y)の正しい一致を示す相関量かわからない。
【0154】
絞り開口F値FBで得られたずらし量k7、k8、k9を像ズレ量y7、y8、y9に変換した後、絞り開口F値FBにおける変換係数Kd4を用い、デフォーカス量def7、def8、def9に変換する。
【0155】
図29は図22と同様な図であって、開放F値で得られた像ズレ量y1、y2、y5が、変換係数Kd0によりデフォーカス量def1、def2、def5に変換され、開口F値FBで得られた像ズレ量y7、y8、y9が、変換係数Kd4によりデフォーカス量def7、def8、def9に変換されることを示している。
【0156】
像ズレ量y1、y7が絞り開放F値および開口F値FBにおける真のデフォーカス量に対応しているので、像ズレ量y1、y7に対応したデフォーカス量def1とdef7とはほぼ同じ値となり、その他のデフォーカス量def2、def5、def8、def9は異なる値となる。
【0157】
一致したデフォーカス量def1(≒def7)を真のデフォーカス量として採用する。
【0158】
以上に説明したように、本発明においては、第1の開口F値(絞り開放F値)で偽合焦(相関量の落ち込みが3カ所以上)が発生した場合には、第1の開口F値(絞り開放F値)での複数の相関量の落ち込みに対応する複数の像ズレ量の間の差と、第1の開口F値とは異なる第2の開口F値の変換係数とに基づいて求めた複数のデフォーカス量と、第1の開口F値(絞り開放F値)での複数の相関量の落ち込みに対応する複数のデフォーカス量の間の差とを比較する。比較結果が一致しない場合は、第2の開口F値で実際に焦点検出画素データを読み出してデフォーカス量を算出するとともに、第1の開口F値で求めたデフォーカス量を真のデフォーカス量とするものである。
【0159】
比較結果が一致した場合には、さらに第1の開口F値(絞り開放F値)での複数の相関量の落ち込みに対応する複数の像ズレ量の差と、第2の開口F値とは異なる第3の開口F値の変換係数とに基づいて求めた複数のデフォーカス量と、第1の開口F値(絞り開放F値)での複数の相関量の落ち込みに対応する複数のデフォーカス量の差を比較していく。比較結果が一致しないようになるまで、開口F値の値を優先順位に従って変えていく。
【0160】
以上に説明したように、本発明においては、第1の開口F値(絞り開放F値)で偽合焦(相関量の落ち込みが3カ所以上)が発生した場合には、事前にデフォーカス量の一致が複数発生しないような絞り開口F値を決定する。決定した絞り開口F値でデフォーカス量を検出し、2つの異なる開口F値で求めたデフォーカス量の中で略一致したデフォーカス量に基づいて真のデフォーカス量を決定する。2つの開口F値でデフォーカス量を検出することにより、確実に真のデフォーカス量を決定することができるとともに、無駄に絞り開口F値を変えてデフォーカス量を検出する動作をなくすことができ、迅速な焦点検出動作を達成することができる。
【0161】
−−−変形例−−−
上述した本発明の実施形態においては、偽合焦の発生の検出に応じて異なる絞り開口F値におけるデフォーカス量検出を行っているが、異なる絞り開口F値におけるデフォーカス量検出の起動/禁止はこれ以外の要因であっても構わない。
【0162】
たとえば、カメラの使用者の指示に応じて異なる絞り開口F値におけるデフォーカス量検出を起動することにより、偽合焦の判定を使用者の経験に基づいて行うことができる。
【0163】
上述した本発明の実施形態においては、偽合焦の発生中に異なる絞り開口F値におけるデフォーカス量検出を行い、略一致するデフォーカス量に基づいて真のデフォーカス量を決定している。しかし、絞り開口径を変更することにより球面収差の影響で像面の位置が大きく変化する場合においては、2つの異なる絞り開口F値間の球面収差を考慮して、異なる絞り開口F値におけるデフォーカス量を比較判定する。具体的には第1の絞り開口F値の像面に対し、第2の絞り開口F値の像面がデフォーカス量Zだけずれている場合には、第1の絞り開口F値で検出したデフォーカス量と、第2の絞り開口F値で検出したデフォーカス量からデフォーカス量Zを差し引いたデフォーカス量とで略一致するデフォーカス量を抽出する。
【0164】
図4に示す撮像素子212の部分拡大図では、各画素に1つの光電変換部を有する一対の焦点検出画素313、314を備える例を示したが、一つの焦点検出画素内に一対の光電変換部を備えるようにしてもよい。図30は、このような撮像素子212の部分拡大図であり、焦点検出画素311は、一対の光電変換部を備える。図31に示す焦点検出画素311は、図7(a)、(b)に示す焦点検出画素313と焦点検出画素314とのペアに相当した機能を果たす。焦点検出画素311は、図31に示すようにマイクロレンズ10と一対の光電変換部13、14から構成される。焦点検出画素311には、光量をかせぐために色フィルターは配置されていない。その焦点検出画素311の分光感度特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光感度特性と、赤外カットフィルター(不図示)の分光感度特性とを総合した分光感度特性(図9参照)となる。つまり、図8に示す緑画素、赤画素および青画素の分光感度特性を加算したような分光感度特性となり、そのその焦点検出画素311が高い分光感度を示す光波長領域は、緑画素、赤画素および青画素が高い分光感度を示す光波長領域を包括している。
【0165】
図32は、図31に示した焦点検出画素311の断面図である。光電変換部13、14の上に近接して遮光マスク30が形成され、光電変換部13、14は、遮光マスク30の開口部30dを通過した光を受光する。遮光マスク30の上には平坦化層31が形成され、その上にNDフィルター34が形成される。NDフィルター34の上には平坦化層32が形成され、その上にマイクロレンズ10が形成される。マイクロレンズ10により開口部30dに制限された光電変換部13、14の形状が前方に投影されて、一対の測距瞳が形成される。光電変換部13、14は半導体回路基板29上に形成される。
【0166】
上述した実施形態における撮像素子では、撮像画素がベイヤー配列の色フィルターを備えた例を示したが、色フィルターの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルター(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列やベイヤー配列以外の配列にも本発明を適用することができる。
【0167】
また、上述した実施形態における焦点検出画素では、遮光マスクの開口形状を矩形にした例を示したが、遮光マスクの開口形状はこれらに限定されず、他の形状であってもよい。例えば、半円形や楕円や多角形にすることも可能である。
【0168】
上述した一実施の形態では、マイクロレンズを用いた瞳分割方式による焦点検出動作を説明したが、本発明はこのような方式の焦点検出に限定されず、特開2008−15157号公報に開示された偏光素子による瞳分割型位相差検出方式の焦点検出装置にも適用可能である。
【0169】
上述した一実施の形態では、マイクロレンズを用いた瞳分割方式による焦点検出動作を説明したが、本発明はこのような方式の焦点検出に限定されず、再結像瞳分割方式の焦点検出にも適用可能である。図33により、再結像瞳分割方式の焦点検出動作を説明する。図33においては、交換レンズの光軸491、コンデンサレンズ410、420、絞りマスク411、421、絞り開口412、413、422、423、再結像レンズ414、415、424、425、焦点検出用のイメージセンサー(CCD)416、426が示されている。
【0170】
また、焦点検出光束432、433、442、443、交換レンズの予定結像面の前方へ距離d5の位置に設定された射出瞳490が示されている。ここで、距離d5は、コンデンサレンズ410、420の焦点距離と、コンデンサレンズ410、420と絞り開口412、413、422、423との間の距離などに応じて決まる測距瞳距離である。コンデンサレンズ410、420により投影された絞り開口412、422の領域492は、測距瞳である。同様に、コンデンサレンズ410,420により投影された絞り開口413,423の領域493は、測距瞳である。コンデンサレンズ410、絞りマスク411、絞り開口412、413、再結像レンズ414、415およびイメージセンサー416が、一つの位置で焦点検出を行う再結像方式の瞳分割方位相差検出の焦点検出ユニットを構成する。
【0171】
図33においては、光軸491上にある焦点検出ユニットと光軸外にある焦点検出ユニットとを模式的に例示している。複数の焦点検出ユニットを組み合わせることによって、画面上の3箇所の焦点検出位置において再結像方式の瞳分割位相差検出で焦点検出を行う焦点検出装置を実現することができる。
【0172】
コンデンサレンズ410を有する焦点検出ユニットは、交換レンズの予定結像面近傍に配置されたコンデンサレンズ410、その背後に配置されたイメージセンサー416、コンデンサレンズ410とイメージセンサー416との間に配置され、予定結像面近傍に結像された1次像をイメージセンサー416上に再結像する一対の再結像レンズ414、415、一対の再結像レンズの近傍(図33では前面)に配置された一対の絞り開口412、413を有する絞りマスク411をさらに有する。
【0173】
イメージセンサー416は、複数の光電変換部が直線に沿って密に配置されたラインセンサーであり、光電変換部の配置方向は一対の測距瞳の分割方向(すなわち、絞り開口の並び方向)と一致させる。このイメージセンサー416からは、イメージセンサー416上に再結像された一対の像の強度分布に対応した情報が出力される。この情報に対して像ズレ検出演算処理(相関処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割型位相差検出方式(再結像方式)による一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に所定の変換係数を乗ずることによって、予定結像面に対する現在の結像面の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0174】
イメージセンサー416は、再結像レンズ414、415により予定結像面上に投影されており、デフォーカス量(像ズレ量)の検出精度は、像ズレ量の検出ピッチ(再結像方式の場合は予定結像面上に投影された光電変換部の配列ピッチ)により決まる。
【0175】
コンデンサレンズ410は、絞りマスク411の絞り開口412、413を射出瞳490上に領域492、493として投影している。領域492、493は測距瞳である。すなわち、イメージセンサー416上に再結像される一対の像は射出瞳490上の一対の測距瞳492、493を通過する光束によって形成される。射出瞳490上の一対の測距瞳492、493を通過する光束432、433は焦点検出用光束である。
【0176】
このような再結像瞳分割方式においても、測距瞳492、493の大きさが図12の測距瞳93、94の大きさと同等であれば、本発明を適用することができる。
【0177】
なお、撮像装置としては、上述したようなカメラボディに交換レンズが装着される構成のデジタルスチルカメラやフィルムスチルカメラに限定されない。例えばレンズ一体型のデジタルスチルカメラ、フィルムスチルカメラ、あるいはビデオカメラにも本発明を適用することができる。さらには、携帯電話などに内蔵される小型カメラモジュール、監視カメラやロボット用の視覚認識装置、車載カメラなどにも適用できる。
【符号の説明】
【0178】
9、10 マイクロレンズ、11、13、14 光電変換部、29 半導体回路基板、30 遮光マスク、30a、30b、30c 開口部、31、32 平坦化層、34 NDフィルター、38 色フィルター、71 撮影光束、73、74 焦点検出光束、90 射出瞳、91 交換レンズの光軸、93、94 測距瞳、95 領域、100 撮影画面、101、102、103 焦点検出エリア、110 撮像面、111 焦点検出画素、112 マイクロレンズ、113、114 光電変換部、120 測距瞳面、123、124 測距瞳、125 絞り面、133、134 測距瞳分布、135 重畳部、140 像面、201 デジタルスチルカメラ、202 交換レンズ、203 カメラボディ、204 マウント部、206 レンズ駆動制御装置、208 ズーミング用レンズ、209 レンズ、210 フォーカシング用レンズ、211 絞り、212 撮像素子、213 電気接点、214 ボディ駆動制御装置、215 液晶表示素子駆動回路、216 液晶表示素子、217 接眼レンズ、219 メモリカード、310 撮像画素、311、313、314 焦点検出画素、410、420 コンデンサレンズ、411、421 絞りマスク、412、413、422、423 絞り開口、414、415、424、425 再結像レンズ、416、426 イメージセンサー、432、433、442、443 焦点検出光束、490 射出瞳、491 交換レンズの光軸、492、493 測距瞳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系の絞り開口を通過する一対の光束を受光し、前記一対の光束が形成する一対の像に対応する一対の焦点検出信号データ列を出力する受光手段と、
前記絞り開口の絞り値が第1の絞り値のときの前記一対の焦点検出信号データ列を相対的に所定の偏位量に偏位させて、前記一対の焦点検出信号データ列の相関を演算する相関演算手段と、
前記相関演算手段により演算された前記相関について、3個以上の極小値の各々を与える3個以上の偏位量と、前記第1の絞り値に応じた第1の変換係数とに基づき、3個以上の第1デフォーカス量を算出するデフォーカス量算出手段と、
前記第1デフォーカス量の各々の間の3個以上の第1差分を算出する第1差分算出手段と、
前記3個以上の偏位量と、第2の絞り値に応じた第2の変換係数とに基づき、3個以上の第2差分を算出する第2差分算出手段と、
前記第2差分の各々が前記第1差分の各々と相異なるとき、前記絞り開口の絞り値を前記第1の絞り値から前記第2の絞り値に変更する変更手段と、
前記第2の絞り値に変更後の前記一対の焦点検出信号データ列についての前記相関を、前記相関演算手段に演算させるとともに、前記第2の絞り値における3個以上の第2デフォーカス量を、前記デフォーカス量算出手段に算出させる制御を行う制御手段と、
前記第1デフォーカス量のうち、前記第2デフォーカス量のいずれかと略一致するデフォーカス量を、前記光学系の焦点調節状態における真正のデフォーカス量として決定する決定手段とを備えることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の焦点検出装置において、
前記決定手段は、所定の条件下において、決定した前記真正のデフォーカス量と、前記真正のデフォーカス量の決定の後の前記光学系の移動量に応じたデフォーカス量変化量との差を、前記焦点調節に用いるデフォーカス量として新たに決定することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の焦点検出装置において、
前記決定手段は、前記第1デフォーカス量のうち、前記第2デフォーカス量の各々から前記第2の絞り値に応じた前記光学系の球面収差に基づく補正量を減じて得られる3個以上の補正デフォーカス量のいずれかと略一致するデフォーカス量を、前記真正のデフォーカス量として決定することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の焦点検出装置において、
前記第1の絞り値は前記絞り開口の開放F値であることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の焦点検出装置において、
前記受光手段は、前記一対の光束のうちの一方を受光する第1の焦点検出画素列と、前記一対の光束のうちの他方を受光する第2の焦点検出画素列とを有し、
前記第1の焦点検出画素列を形成する複数の第1の焦点検出画素の各々と、前記第2の焦点検出画素列を形成する複数の第2の焦点検出画素の各々とは交互に配列され、
前記複数の第1の焦点検出画素および前記複数の第2の焦点検出画素の各々は、マイクロレンズと光電変換部とを含むことを特徴とする焦点検出装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の焦点検出装置において、
前記受光手段は複数の焦点検出画素を含み、
前記複数の焦点検出画素の各々は、マイクロレンズと、前記一対の光束のうちの一方を受光する第1の光電変換部と、前記一対の光束のうちの他方を受光する第2の光電変換部とを有することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項7】
撮影光学系と、
前記撮影光学系の絞り開口を通過する撮影用の光束を受光し、前記撮影用の光束が形成する被写体像に応じた撮像信号データを出力する複数の撮像画素と、前記絞り開口を通過する一対の焦点検出用の光束を受光し、前記一対の光束が形成する一対の像に対応する一対の焦点検出信号データ列を出力する複数の焦点検出画素とが2次元的に混在して配列された撮像素子と、
前記絞り開口の絞り値が第1の絞り値のときの前記一対の焦点検出信号データ列を相対的に所定の偏位量に偏位させて、前記一対の焦点検出信号データ列の相関を演算する相関演算手段と、
前記相関演算手段により演算された前記相関について、3個以上の極小値の各々を与える3個以上の偏位量と、前記第1の絞り値に応じた第1の変換係数とに基づき、3個以上の第1デフォーカス量を算出するデフォーカス量算出手段と、
前記第1デフォーカス量の各々の間の3個以上の第1差分を算出する第1差分算出手段と、
前記3個以上の偏位量と、第2の絞り値に応じた第2の変換係数とに基づき、3個以上の第2差分を算出する第2差分算出手段と、
前記第2差分の各々が前記第1差分の各々と相異なるとき、前記絞り開口の絞り値を前記第1の絞り値から前記第2の絞り値に変更する変更手段と、
前記第2の絞り値に変更後の前記一対の焦点検出信号データ列についての前記相関を、前記相関演算手段に演算させるとともに、前記第2の絞り値における3個以上の第2デフォーカス量を、前記デフォーカス量算出手段に算出させる制御を行う制御手段と、
前記第1デフォーカス量のうち、前記第2デフォーカス量のいずれかと略一致するデフォーカス量を、前記撮影光学系の焦点調節状態における真正のデフォーカス量として決定する決定手段とを備えることを特徴とする撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2011−142464(P2011−142464A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1453(P2010−1453)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】