説明

照合装置、除去回路及び回路システム

【課題】撮像手段から出力された画像から、不要な画像、例えば汚れ及び皺の画像を除去し、撮像手段にて撮像された画像と予め登録された画像との照合を行う照合装置、撮像手段から出力された画像から不要な画像を確実に除去する除去回路、及び該除去回路を複数備える回路システム、並びに該回路システムを備える照合装置を提供する。
【解決手段】CCD1にて撮像された被写体の画像を該画像の中心を回転中心にして所定角度回転させた画像を回転処理回路34にて生成し、回転前後の両画像の中心を一致させて、回転後の画像の画素と回転前の画像の画素との論路積を論理演算回路35にて求める構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子にて撮像された被写体の画像と予め登録された登録画像との照合を行う照合装置、被写体の画像の一部を除去する除去回路及び該除去回路を複数備える回路システムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客の財産を管理する金融機関は、一般に、帳票に押印された印鑑の印影(以下被検印影という)と予め登録された印影(以下登録印影という)との照合を行い、被検印影と登録印影とが一致した場合に顧客の口座から財産を引き出す。
【0003】
被検印影と登録印影との照合は以前より目視にて行われてきたが、近年では、照合装置を使用して被検印影と登録印影との照合を行うようになってきている。特許文献1には、スキャナにてデータ化された帳票の画像から被検印影の画像を抽出し、抽出した画像と登録印影の画像との照合を行う照合装置が記載されている。該照合装置を使用することによって、被検印影と登録印影との照合を迅速に行うことができる。
【特許文献1】特開2002−109521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の照合装置にあっては、帳票に汚れが付着している場合又は皺が発生している場合に、該汚れ及び皺の画像もスキャナにて読み取られる。汚れ及び皺が被検印影の近傍に存在する場合に、前記照合装置は汚れ及び皺の画像を被検印影の画像の一部であると認識して、登録印影の画像との照合を行い、被検印影と登録印影とが一致しているにも拘わらず、被検印影と登録印影とは不一致であるとの判定を下すことがある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、撮像手段から出力された画像から、不要な画像、例えば汚れ及び皺の画像を除去し、撮像手段にて撮像された画像と予め登録された画像との照合を行う照合装置、撮像手段から出力された画像から不要な画像を確実に除去する除去回路、及び該除去回路を複数備える回路システム、並びに該回路システムを備える照合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る照合装置は、撮像素子にて撮像された被写体の画像と予め登録された登録画像との照合を行う照合装置において、前記被写体の画像を該画像の中心を回転中心にして所定角度回転させた画像を生成する回転画像生成手段と、該回転画像生成手段にて生成された画像及び前記撮像素子にて撮像された被写体の画像を2値化する2値化手段と、該2値化手段によって2値化され、前記回転画像生成手段にて生成された画像を構成する画素及び前記撮像素子にて撮像された被写体の画像を構成する画素の論理積を求める論理演算手段と、該論理演算手段の演算結果と予め設定してある閾値とに基づいて、前記被写体の画像と前記登録画像との照合を行う照合手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、撮像素子にて撮像された被写体の画像を該画像の中心を回転中心にして所定角度回転させた画像を生成し、回転前後の両画像の中心を一致させて、回転後の画像を構成する画素と回転前の画像を構成する画素とを比較し、例えば所定濃度以上の画素を真とし、所定濃度未満の画素を偽として論路積を求め、この論路積結果に基づいて被写体の画像に存在する不要な画像を除去し、不要な画像を除去した被写体の画像と予め登録された登録画像との照合を行う。
【0008】
本発明に係る照合装置は、前記照合手段は、前記演算結果が示す画像と前記登録画像とを照合して相関係数を求める手段と、該手段にて求めた相関係数と前記閾値とを比較して、前記被写体の画像と前記登録画像とが一致するか否か判定する手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、論理演算手段の演算結果が示す画像と前記登録画像とを照合して相関係数を求め、求めた相関係数と予め設定してある閾値とを比較して、被写体の画像と前記登録画像とが一致するか否か判定する。例えば求めた相関係数が前記閾値を超過した場合に、被写体の画像と登録画像とは一致していると判定する。一方求めた相関係数が前記閾値未満である場合に、被写体の画像と登録画像とは不一致であると判定する。
【0010】
本発明に係る照合装置は、前記撮像素子にて撮像された被写体の画像を記憶する記憶手段と、予め設定された生成回数に基づいて1又は複数の角度を算出する角度算出手段と、該角度算出手段にて算出された1又は複数の角度に基づいて、前記記憶手段における1又は複数のアドレスを生成するアドレス生成手段とを備え、前記被写体の画像を前記角度算出手段にて算出された前記1又は複数の角度回転させた画像が前記回転画像生成手段にて順次生成され、生成された各画像に対し前記論理演算手段にて論理演算が行われるようにしてあり、前記論理演算手段での各演算結果は、前記1又は複数のアドレスを参照して、前記記憶手段にそれぞれ記憶されるようにしてあり、前記論理演算手段は論理演算を行う場合に、前記回転画像生成手段にて生成された画像を構成する画素と、前記記憶手段に記憶された前記被写体の画像を構成する画素又は前記記憶手段に記憶された前記演算結果が示す画像を構成する画素との論理積を求めるようにしてあることを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、回転後の被写体の画像を生成する回数を設定し、設定された回数に基づいて、各回毎の回転角度を算出し、該回転角度毎に記憶手段におけるアドレスがそれぞれ生成される。そして例えば角度a回転した画像が生成され、角度a回転した画像と回転前の被写体の画像とを2値化し、角度a回転した画像と回転前の被写体の画像との間で、画素毎に論理積を求めて、不要な画像を除去する。不要な画像を除去した被写体の画像は一のアドレスが示す領域に記憶される。次に角度b(≠a)回転した画像が生成される。そして一のアドレスを参照して、不要な画像を除去した前記被写体の画像を読込み、該画像と角度b回転した画像との間で論理積を求め、一のアドレスが示す領域に記憶された画像から不要な画像を除去する。不要な画像を除去した該画像は、他のアドレスが示す領域に記憶される。よって不要な画像を除去した被写体の画像から更に不要な画像が除去される。
【0012】
本発明に係る照合装置は、前記照合手段での照合結果に基づいて、前記生成回数を変更する手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、例えば被写体の画像と登録画像とは不一致であると判定された場合に、設定された前記生成回数を増加させて、回転前の被写体の画像からより多くの不要な画像を除去するようにする。従って被写体の画像と登録画像とが一致しているにも拘わらず、不要な画像によって被写体の画像と登録画像とが不一致であると判定されている場合には、回転前の被写体の画像からより多くの不要な画像が除去され、被写体の画像と登録画像とが一致していると判定される可能性が高くなる。
【0014】
本発明に係る照合装置は、前記照合手段での照合結果に基づいて、前記撮像素子にて撮像された被写体の画像の濃度を変更する手段を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、例えば前記被写体の画像と前記登録画像とは不一致であると判定された場合に、回転前の被写体の画像濃度を高濃度にする。被写体の画像と登録画像とが一致しているにも拘わらず、回転前の被写体の画像濃度が低濃度であるために、被写体の画像と登録画像とが不一致であると判定されている場合には、回転前の被写体の画像濃度を高濃度にすることで、被写体の画像と登録画像とが一致していると判定される可能性が高くなる。
【0016】
本発明に係る照合装置は、前記照合手段での照合結果を報知する手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、前記照合手段にて被写体の画像と登録画像とが一致した場合又は不一致である場合に、被写体の画像と登録画像との一致又は不一致を音又は表示等によってユーザに報知する。
【0018】
本発明に係る照合装置は、所定の色の光が透過するフィルタと、入力された画像から所定範囲の濃度を有する画素を抽出する抽出手段とを備え、前記撮像素子は前記フィルタを透過した光を受光するようにしてあり、前記撮像素子にて撮像された被写体の画像を前記抽出手段に入力し、前記抽出手段にて抽出された画素を前記2値化手段にて2値化するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、所定の色の光を受光して、撮像素子にて被写体の画像を撮像し、撮像した画像から所定範囲の濃度を有する画素を抽出して、被写体の画像の2値化を行う。例えば、被写体の画像を構成する画素の内、所定範囲の濃度を有する画素を1とし、前記所定範囲外の濃度を有する画素を0として2値化する。このためカラー原稿においても、所定の色について被写体の画像を2値化し、被写体の画像と登録画像との照合を行うことができる。
【0020】
本発明に係る除去回路は、撮像素子にて撮像された被写体の画像の一部を除去する除去回路において、前記被写体の画像を該画像の中心を回転中心にして所定角度回転させた画像を生成する回転画像生成手段と、該回転画像生成手段にて生成された画像及び前記撮像素子にて撮像された被写体の画像を2値化する2値化手段と、該2値化手段によって2値化され、前記回転画像生成手段にて生成された画像を構成する画素及び前記撮像素子にて撮像された被写体の画像を構成する画素の論理積を求める論理演算手段とを備え、該論理演算手段での演算結果が真又は偽である画素を前記撮像素子にて撮像された被写体の画像から除去するようにしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、撮像素子にて撮像された被写体の画像を該画像の中心を回転中心にして所定角度回転させた画像を生成し、回転前後の両画像の中心を一致させて、回転後の画像を構成する画素と回転前の画像を構成する画素とを比較し、例えば所定濃度以上の画素を真とし、所定濃度未満の画素を偽として論路積を求め、この論路積結果に基づいて被写体の画像から不要な画像を除去する。
【0022】
本発明に係る回路システムは、前述の複数の除去回路と、各除去回路に対応しており、それぞれ異なる色の光が透過する複数のフィルタと、各除去回路に対応しており、入力された画像から所定範囲の濃度を有する画素を抽出する複数の抽出手段とを備え、各フィルタを透過した光は各除去回路の撮像素子にそれぞれ受光されるようにしてあり、各撮像素子にて撮像された被写体の画像を各抽出手段に入力し、各抽出手段にて抽出された画素を各除去回路の2値化手段にて2値化するようにしてあることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、それぞれ異なる色の光が透過する複数のフィルタを設けることによって、被写体が複数色を有するカラー原稿である場合に、被写体の反射光から各色の光がそれぞれフィルタを透過する。透過した各色の光は複数の撮像素子にてそれぞれ受光され、各撮像素子にて被写体の画像が異なる色で撮像される。撮像された画像から所定範囲の濃度を有する画素が抽出され、抽出された画素に基づいて被写体の画像は2値化される。例えば、被写体の画像を構成する画素の内、所定範囲の濃度を有する画素を1とし、前記所定範囲外の濃度を有する画素を0として2値化する。このためカラー原稿においても、各色について被写体の画像を2値化し、被写体の色毎の2値化画像に基づいて被写体の画像に存在する不要な画像を除去することができる。
【0024】
本発明に係る照合装置は、撮像素子にて撮像された被写体の画像と予め登録された登録画像との照合を行う照合装置において、前述の回路システムと、該回路システムから出力された前記論理演算手段での演算結果が示す画像に基づいて、前記被写体の画像と前記登録画像との照合を行う手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、それぞれ異なる色の光が透過する複数のフィルタを設けて、該フィルタを透過した被写体の反射光に基づいて、前記被写体の画像と前記登録画像との照合を行う。被写体が複数色を有するカラー原稿である場合に、被写体の反射光から各色の光がそれぞれフィルタを透過する。透過した各色の光は複数の撮像素子にてそれぞれ受光される。このため被写体の画像を色毎に2値化画像として扱い、被写体の色毎の2値化画像に基づいて被写体の画像に存在する不要な画像を確実に除去することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る照合装置にあっては、撮像素子にて撮像された被写体の画像を該画像の中心を回転中心にして所定角度回転させた画像を生成し、回転前後の両画像の中心を一致させて、回転後の画像を構成する画素と回転前の画像を構成する画素とを比較し、所定濃度以上の画素を真とし、所定濃度未満の画素を偽として論路積を求め、被写体の画像に存在する不要な画像を除去し、不要な画像を除去した被写体の画像と予め登録された登録画像との照合を精度良く行うことができる。
【0027】
本発明に係る除去回路にあっては、撮像素子にて撮像された被写体の画像を該画像の中心を回転中心にして所定角度回転させた画像を生成し、回転前後の両画像の中心を一致させて、回転後の画像を構成する画素と回転前の画像を構成する画素とを比較し、所定濃度以上の画素を真とし、所定濃度未満の画素を偽として論路積を求め、被写体の画像に存在する不要な画像を確実に除去することができる。
【0028】
本発明に係る回路システムにあっては、それぞれ異なる色の光が透過する複数のフィルタを設けることによって、被写体が複数色を有するカラー原稿である場合に、被写体の反射光から各色の光がそれぞれフィルタを透過する。透過した各色の光は複数の撮像素子にてそれぞれ受光される。このため被写体の画像を色毎に2値化画像として扱い、被写体の色毎の2値化画像に基づいて被写体の画像に存在する不要な画像を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る除去回路を備える照合装置を示す図面に基づいて詳述する。図1は実施の形態1に係る除去回路を備える照合装置の構成を示すブロック図である。
【0030】
図において1は被写体からの反射光を受光して撮像し、被写体の画像をデータ化して出力するCCD(charge coupled device)であり、該CCD1は除去回路3に接続してある。除去回路3は判定回路4に接続してあり、除去回路3から判定回路4へ被写体の画像が出力される。
【0031】
判定回路4は画像登録部4aと、閾値設定部4bとを備えている。画像登録部4aには、所定画像が予め登録してある(以下画像登録部4aに登録してある所定画像を登録画像という)。閾値設定部4bには所定の閾値が設定してある。判定回路4は、除去回路3から出力された画像と登録画像とを照合して相関係数を求め、該相関係数と前記閾値とを比較して、被写体の画像と登録画像とが一致しているか否かを判定する。
【0032】
判定回路4はCPU(Central Processing Unit)5に接続してあり、該CPU5に判定結果が入力される。CPU5は、ブザー又は映像を表示する表示パネル等を備える報知部6に接続してある。CPU5は前記判定結果に基づいて、被写体の画像と登録画像とが一致しているか又は不一致であることを示す信号を報知部6に出力する。報知部6はCPU5から入力された信号に基づいて、ブザーの発振又は表示パネルへの映像の表示等を行う。
【0033】
次に前記除去回路3の構成を詳述する。除去回路3は、2値化部2、中心座標算出回路31、記憶部32及びアドレス制御回路33を備えている。
2値化部2にはCCD1からの被写体の画像が入力される。2値化部2に入力された被写体の画像は、画像を構成する画素の濃度に基づき、画素毎に2値化される。2値化された被写体の画像は中心座標算出回路31に入力される。なお2値化部2での2値化は画素の濃度に基づいて行われているが、画素の明度及び輝度等に基づいても良い。
中心座標算出回路31には2値化部2から被写体の2値化画像が入力される。中心座標算出回路31は被写体の画像の内、円形又は円弧を構成する蓋然性の高い画像を選択抽出し、被写体の画像に含まれる円形画像の中心座標を算出し、該中心座標を示す信号を後述する回転処理回路34へ出力するようにしてある。
前記記憶部32はSRAM又はDRAM等の記憶素子を備える。CCD1から入力された被写体の画像が記憶部32に記憶される。記憶部32は出力ポートを2つ備えており、記憶された被写体の画像は、各ポートから後述する回転処理回路34及び論理演算回路35へ出力される。
前記アドレス制御回路33は、記憶部32におけるアドレスの設定を制御する。該アドレス制御回路33によって記憶部32にアドレスが設定され、アドレスが示す領域に対して画像の書込み及び読出しが行われる。
【0034】
除去回路3は、回転処理回路34及び論理演算回路35を更に備えている。回転処理回路34には、前記記憶部32から被写体の画像が入力され、また中心座標算出回路31から中心座標を示す信号が入力される。回転処理回路34は後述する回転処理を行い、回転処理回路34の出力及び記憶部32に記憶してある被写体の画像が論理演算回路35に入力される。論理演算回路35は、回転処理回路34の出力及び被写体の画像に基づいて後述する論理演算を行う。求めた演算結果は判定回路4へ出力される。
【0035】
図2〜図4は、回転処理回路34による回転処理及び論理演算回路35による論理演算を説明する説明図である。
図2(1)は、記憶部32に記憶してある被写体の画像を示している。図2(1)において、点Oは被写体の画像の座標原点を示しており、十字の交点にて示された点O′は被写体の画像に含まれる円形画像100の中心座標を示している。また点Aは円形画像100の外周と被写体の画像に含まれる線分状の画像(以下ノイズ画像)との交点を示している。点Bは円形画像100の外周上の一点を示しており、∠AO′Bは90度になっている。
図2(2)は、図2(1)における点A付近の画像の拡大図、図2(3)は、図2(1)における点B付近の画像の拡大図である。図2(2)には、左右に亘る円形画像100の一部(円弧画像100a)及び該円弧画像100aに交叉しており、上下に延びる線分状のノイズ画像200が示してある。図2(3)には、上下に亘る円弧画像100bが示してある。拡大図における各四角は画素50を示しており、黒色で示された画素50は所定濃度以上の円弧画像を示し、斜線で示された画素50は所定濃度以上のノイズ画像を示す。また白色で示された画素50は所定濃度未満の背景画像を示す。
【0036】
図3(1)は、図2(1)にて示された被写体の画像を点O′を中心にして点B側へ90度回転させた画像を示しており、円形画像101及びノイズ画像201が示されている。図3(1)において、点A′は点Aを点O′を中心にして点B側へ90度回転させた座標、すなわち点Bと同じ座標を示している。図3(2)は点A′付近の画像の拡大図である。図3(2)には、上下に亘る円弧画像101a及び該円弧画像101aに交叉しており、左右に延びる線分状のノイズ画像201が示してある。
【0037】
図4(1)は、図2(1)にて示された回転前の被写体の画像と図3(1)にて示された回転後の被写体の画像との論理積を演算することによって求まる画像を示しており、円形画像101が示されている。図4(1)における点A′は図3(1)の点A′と同じ座標を示している。図4(2)は、図4(1)における点A′付近の画像の拡大図であり、上下に亘る円弧画像101aが示してある。
【0038】
回転処理回路34による回転処理を説明する。回転処理回路34は前記記憶部32から入力された被写体の画像に対して原点Oを設定し、被写体の画像に座標を付与する。また回転処理回路34は中心座標算出回路31から入力される円形画像100の中心座標O′を、被写体の画像に対して設定する。(図2(1)参照)。
そして回転処理回路34は、あたかも中心座標O′を中心にして被写体の画像が90度回転し、点A付近のノイズ画像200が点B(点A′)付近へ移動したような画像を生成する(図3(1)参照)。生成された画像は論理演算回路35へ出力される。なお図3(1)において、回転後の円形画像を101にて示し、回転後のノイズ画像を201にて示している。
【0039】
次に論理演算回路35における論理演算を説明する。論理演算回路35は、回転処理回路34から入力された回転処理後の画像(図3(1)参照)と記憶部32から入力された被写体の画像(図2(1)参照)との原点O同士及び中心座標O′同士をそれぞれ一致させて、画素毎に両画像の論理積を求める。
【0040】
ここで該論理積の演算を点B付近の画像(図2(3)参照)及び点B付近の画像に対応する点A′付近の画像(図3(2)参照)を用いて説明する。論理積は、黒色又は斜線で示された所定濃度以上の画素を″1″とし、白色で示された所定濃度未満の画素を″0″として行われる。図2(3)に示す画像と図3(2)に示す画像とを重ねると、黒色で示された画素(円弧画像100b、101a)は互いに重なり、黒色で示された画素について論理積は″1″となる。一方図3(2)の斜線で示された画素(ノイズ画像201)は図2(3)の白色で示された画素に重なり、両画素の論理積は″0″となる。また両者の残りの画素は白色なので、両画素の論理積は″0″となる。そして″1″となった画素を黒色にし、″0″となった画素を白色にすると、図4(2)に示す如く、上下に亘る円弧画像101aのみが残る。すなわち円形画像101からノイズ画像201が除去される(図4(1)参照)。なお線分状のノイズ画像200、201は一例であって、直線その他の形状のノイズ画像についても上記処理を行うことができることは言うまでもない。また″1″及び″0″は真偽で表現すれば、一方が「真」、他方が「偽」となる。
【0041】
論理演算回路35から出力された被写体の画像は判定回路4に入力され、判定回路4は、論理演算回路35から出力された画像と画像登録部4aに登録してある登録画像とを照合して相関係数を求め、該相関係数と前記閾値設定部4bに設定してある閾値とを比較して被写体の画像と登録画像とが一致するか否かを判定する。
【0042】
例えば判定回路4にて、論理演算回路35から出力された被写体の画像を構成する″0″又は″1″の各画素に、それぞれ異なる値で重み付けを行う。また画像登録部4aに登録してある登録画像の所定濃度未満の画素を″0″とし、所定濃度以上の画素を″1″として、各画素にそれぞれ異なる値で重み付けを行う。なお論理演算回路35から出力された被写体の画像を構成する各画素の座標と、登録画像を構成する各画素の座標とは対応しており、対応する座標に位置する画素同士にそれぞれ使用される重み付けの値は等しい。
そして重み付けがなされた被写体の画像を構成する画素を一方のデータ列とし、重み付けがなされた登録画像を構成する画素を他方のデータ列として、相関係数を求める。求めた相関係数が前記閾値を超過した場合に、判定回路4は被写体の画像と登録画像とは一致していると判定する。一方算出した相関係数が前記閾値未満である場合に、判定回路4は、被写体の画像と登録画像とは不一致であると判定する。
【0043】
被写体の画像と登録画像とは一致していると判定された場合、被写体の画像は登録画像にて構成されている可能性が高い。一方被写体の画像と登録画像とは不一致であると判定された場合、被写体の画像には登録画像に含まれない画像が存在している可能性が高い。
【0044】
前記判定回路4の判定結果はCPU5に入力される。CPU5は制御プログラムに従って動作し、前記判定結果に基づいて後述する報知処理を実行するようにしてある。図5はCPU5の報知処理を示すフローチャートである。
【0045】
CPU5は判定結果が入力されているか否かを判断する(ステップS1)。判定結果が入力されていない場合は(ステップS1:NO)、処理をステップS1へ戻す。判定結果が入力されている場合は(ステップS1:YES)、CPU5は、判定結果が被写体の画像と登録画像との一致を示しているか否かを判定する(ステップS2)。
【0046】
判定結果が被写体の画像と登録画像との一致を示している場合は(ステップS2:YES)、CPU5は被写体の画像と登録画像とが一致していることを示す信号を報知部6へ出力する(ステップS3)。このとき報知部6は、例えば被写体の画像と登録画像とが一致していることを示す音をブザーによって発するか又は被写体の画像と登録画像とが一致していることを示す映像を表示パネルに表示する。
【0047】
一方判定結果が被写体の画像と登録画像との不一致を示している場合は(ステップS2:NO)、CPU5は被写体の画像と登録画像とが不一致であることを示す信号を報知部6へ出力する(ステップS4)。このとき報知部6は、例えば被写体の画像と登録画像とが不一致であることを示す音をブザーによって発するか又は被写体の画像と登録画像とが不一致であることを示す映像を表示パネルに表示する。
【0048】
実施の形態1に係る照合装置及び除去回路3にあっては、CCD1にて撮像された被写体の画像を該画像の中心を回転中心にして所定角度回転させた画像を生成し、回転前後の両画像の中心を一致させて、回転後の画像の画素と回転前の画像の画素との論路積を求め、被写体の画像に存在するノイズ画像を除去し、ノイズ画像を除去した被写体の画像と登録画像との照合を精度良く行うことができる。
【0049】
また論理演算回路35から出力された被写体の画像は判定回路4に入力され、判定回路4は、論理演算回路35から出力された画像と画像登録部5aに登録してある登録画像とを照合して相関係数を求める。そして求めた相関係数と前記閾値とを比較して、被写体の画像と登録画像との一致・不一致を判定する。例えば算出した相関係数が前記閾値を超過した場合に、判定回路4は被写体の画像と登録画像とは一致していると判定する。一方算出した相関係数が前記閾値以下である場合に、判定回路4は、被写体の画像と登録画像とは不一致であると判定する。
【0050】
また実施の形態1に係る照合装置にあっては、被写体の画像と登録画像とが一致した場合又は不一致である場合に、例えば被写体の画像と登録画像との一致又は不一致を示す音をブザーによって発するか又はその旨を表示パネルに表示して、被写体の画像と登録画像との一致又は不一致をユーザに確実に報知することができる。
【0051】
なお実施の形態1に係る照合装置及び除去回路3は、中心座標算出回路31にて、被写体の画像の内、円形又は円弧を構成する蓋然性の高い画像を選択抽出し、円形画像の中心座標を算出するようにしてあるが、中心座標算出回路31は正多角形の画像を抽出し、該画像の中心座標を算出する機能を更に備える構成であっても良い。また実施の形態1に係る照合装置及び除去回路3は、CCD1から出力された被写体の画像を2値化部2にて2値化し、被写体の2値化画像を回転処理回路34にて回転させているが、CCD1から出力された被写体の画像を回転させて、回転した被写体の画像を2値化しても良い。また実施の形態1に係る照合装置及び除去回路3は、回転処理回路34にて、中心座標算出回路31にて算出した円形画像100の中心座標O′を記憶部32から入力された被写体の画像に対して設定しているが、中心座標算出回路31にて被写体の画像に中心座標O′を設定し、中心座標O′を設定した被写体の画像を回転処理回路34へ出力しても良い。
【0052】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る除去回路3を備える照合装置を示す図面に基づいて詳述する。図6は除去回路3を備える照合装置の構成を示すブロック図である。
【0053】
図6に示すように、照合装置は画像の濃度を調整する濃度調整回路36を備えている。該濃度調整回路36にはCCD1から被写体の画像が入力され、またCPU5から濃度調整指令が入力される。該濃度調整指令は、前記判定回路4での判定結果に基づいて、画像の濃度を調整するために前記CPU5から出力される指令である。
濃度調整回路36は、濃度調整指令に基づいてCCD1から入力された被写体の画像の濃度を調整する。例えば全画素について画像の濃度を一律に加減算して調整し、画像の明度を調整する。濃度調整回路36にて濃度を調整された被写体の画像は、2値化部2を経て、記憶部32に書込まれる。
【0054】
前記CPU5は制御プログラムに従って動作し、判定結果に基づいて濃度調整処理を実行するようにしてある。図7はCPU5の濃度調整処理を示すフローチャートである。
【0055】
CPU5は判定結果が入力されているか否かを判断する(ステップS11)。判定結果が入力されていない場合は(ステップS11:NO)、処理をステップS11へ戻す。判定結果が入力されている場合は(ステップS11:YES)、CPU5は、判定結果が被写体の画像と登録画像との一致を示しているか否かを判定する(ステップS12)。
【0056】
判定結果が被写体の画像と登録画像との一致を示している場合は(ステップS12:YES)、CPU5は被写体の画像と登録画像とが一致していることを示す信号を報知部6へ出力する(ステップS13)。
【0057】
一方判定結果が被写体の画像と登録画像との不一致を示している場合は(ステップS12:NO)、CPU5は濃度調整指令を濃度調整回路36へ出力する(ステップS14)。濃度調整指令には濃度の調整方法及び調整量を示す情報が含まれており、調整方法としては画像の濃度の加減算が、調整量としては全画素について一律に指定した画像の濃度の加減算量が挙げられる。濃度調整回路36は濃度調整指令に基づいて、被写体の画像の濃度を調整する。そしてCPU5は被写体の画像と登録画像とが不一致であることを示す信号を報知部6へ出力する(ステップS15)。
【0058】
実施の形態2に係る照合装置及び除去回路3にあっては、被写体の画像と登録画像とは不一致であると判定された場合に、例えばCCD1から入力される被写体の画像濃度を高濃度にする。被写体の画像と登録画像とが一致しているにも拘わらず、被写体の画像の濃度が低濃度であるために被写体の画像の認識が不十分となり、被写体の画像と登録画像とが不一致であると判定されている場合においては、被写体の画像の濃度を高濃度にすることで、被写体の画像と登録画像とが一致していると判定される可能性が高くなる。
【0059】
実施の形態2に係る照合装置及び除去回路3の構成の内、実施の形態1の構成と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0060】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る除去回路3を備える照合装置を示す図面に基づいて詳述する。図8は除去回路3を備える照合装置の構成を示すブロック図である。
【0061】
照合装置は、回転処理回路34における回転する画像の生成回数を設定する回数設定部7を備えている。除去回路3は回転角制御回路37を備えており、除去回路3のアドレス制御回路33はアドレス変換回路33aを備えている。設定された生成回数を示す信号が回数設定部7から回転角制御回路37へ出力される。回転角制御回路37は設定された生成回数に基づいて、画像の回転角度を算出する。
【0062】
例えば設定された生成回数がn回である場合に、回転角度として(360/n+1)に生成回の番号を乗算した値を各生成回目における回転角度の大きさとする。つまりn=2である場合には、1回目の回転角度は120×1=120[度]となり、2回目の回転角度は120×2=240[度]となる。また定数kに生成回目の番号を乗算した値を各生成回における回転角度の大きさとしても良い。つまり定数10の場合には、1回目の回転角度は10×1=10[度]となり、2回目の回転角度は10×2=20[度]となる。
【0063】
回転角制御回路37は算出された回転角度を示す信号を回転処理回路34及びアドレス制御回路33へそれぞれ出力する。なお算出された回転角度は所定の時間間隔を空けて順に出力される。アドレス制御回路33のアドレス変換回路33aは、入力された各回転角度の値をそれぞれアドレスへ変換し、各アドレスを順に記憶部32へ出力する。記憶部32は入力されたアドレス毎に画像を記憶する領域を確保する。該領域にはCCD1から入力された被写体の画像及び前記論理演算回路35での演算結果に基づいて生成された画像が記憶される。
【0064】
前記論理演算回路35はカウンタ35aを備えており、論理積を求める都度、カウンタ35aはインクリメントする。論理演算回路35はカウンタ35aの計数が回数設定部7に設定された値か否かを判定し、カウンタ35aの計数が回数設定部7に設定された値である場合に、被写体の画像を判定回路4へ出力する。
【0065】
図9は除去回路3での除去処理を説明する説明図である。図中a、b1及びb2はアドレスを示す。またPはCCD1から入力された被写体の2値化された画像、P′は画像Pと回転処理回路34にて1回目に生成された画像との論理積に基づいて生成される2値化された画像、P″は画像P′と回転処理回路34にて2回目に生成された画像との論路積に基づいて生成される2値化された画像を示している。なお回数設定部7には2が設定してあり、除去回路3の記憶部32にはアドレスaが予め設定されており、またCCD1から入力された被写体の画像Pがアドレスaに格納されているとする。
【0066】
アドレス制御回路33から記憶部32へアドレスb1が出力され、図9(1)にて示すように、記憶部32にアドレスb1の領域が確保される。次に回転処理回路34がアドレスaの領域に格納してある画像Pを読出して、1回目の回転した画像を生成し、生成した画像を論理演算回路35へ出力する。そして論理演算回路35は、アドレスaを参照して画像Pを読出し、画像Pと回転処理回路34にて生成された画像との論理積を求めて、求めた論理積に基づいて画像P′を生成する。そして画像P′をアドレスb1が示す領域に書込む。このとき論理演算回路35のカウンタ35aの計数は1なので、画像P′は、論理演算回路35から判定回路4へ出力されない。
【0067】
次にアドレス制御回路33から記憶部32へアドレスb2が出力され、図9(2)にて示すように、記憶部32にアドレスb2が設定される。そして回転処理回路34がアドレスaを参照して画像Pを読出し、2回目の回転した画像を生成し、生成した画像を論理演算回路35へ出力する。次に論理演算回路35は、アドレスb1を参照して画像P′を読出し、画像P′と回転処理回路34にて生成された画像との論理積を求め、求めた論理積に基づいて画像P″を生成する。そして画像P″をアドレスb2が示す領域に書込む。このとき論理演算回路35のカウンタ35aの計数は2なので、画像P″は判定回路4へ出力される。
【0068】
実施の形態3に係る除去回路3及び照合装置にあっては、回転後の被写体の画像を生成する回数2を設定し、設定された回数2に基づいて、各回毎の回転角度を算出する。各回転角度を示す情報に基づいて対応するアドレスb1及びb2が生成され、生成されたアドレスb1及びb2は記憶部32に設定される。アドレスb1の領域には画像P′が書込まれる。画像P′は読出され、読出された画像P′から不要な画像が更に除去され、画像P″が生成される。生成された画像P″はアドレスb2が示す領域に書込まれる。このため画像P′から更に不要な画像が除去され、画像P″が生成される。また設定された回数に応じてアドレスを生成することで、記憶部32に対するアクセスが円滑に行われ、画像P″が迅速に生成される。
【0069】
なお実施の形態3に係る照合装置及び除去回路3においては、設定された回数は2であるが、設定される回数はこれに限らない。設定された回数が3以上である場合は、アドレスb2を参照して画像P″が読み出され、画像P″から不要な画像が除去される。
【0070】
実施の形態3に係る照合装置及び除去回路3の構成の内、実施の形態1又は2の構成と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0071】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係る除去回路3を備える照合装置を示す図面に基づいて詳述する。図10は除去回路3を備える照合装置の構成を示すブロック図である。前記CPU5は前記判定回路4での判定結果に基づいて、後述する回数変更処理を行い、回数設定部7にて設定された回数を変更する回数変更指令を出力する。
【0072】
図11はCPU5の回数変更処理を示すフローチャートである。CPU5は判定結果が入力されているか否かを判断する(ステップS21)。判定結果が入力されていない場合は(ステップS21:NO)、処理をステップS21へ戻す。判定結果が入力されている場合は(ステップS21:YES)、CPU5は、判定結果が被写体の画像と登録画像との一致を示しているか否かを判定する(ステップS22)。
【0073】
判定結果が被写体の画像と登録画像との一致を示している場合は(ステップS22:YES)、CPU5は被写体の画像と登録画像とが一致していることを示す信号を報知部6へ出力する(ステップS23)。
【0074】
一方判定結果が被写体の画像と登録画像との不一致を示している場合は(ステップS22:NO)、CPU5は回数変更指令を回数設定部7へ出力する(ステップS24)。このとき回数設定部7は回数変更指令に基づいて、例えば回数設定部7に設定してある回数を増加させる。そしてCPU5は被写体の画像と登録画像とが不一致であることを示す信号を報知部6へ出力する(ステップS25)。
【0075】
実施の形態4に係る除去回路3及び照合装置にあっては、被写体の画像と登録画像とは不一致であると判定された場合に、回数設定部7に設定された回数を増加させて、回転前の被写体の画像からより多くのノイズ画像を除去するようにする。このため被写体の画像と登録画像とが一致しているにも拘わらず、ノイズ画像によって被写体の画像と登録画像とが不一致であると判定されている場合には、被写体の画像と登録画像とが一致していると判定される可能性を高めることができる。
【0076】
実施の形態4に係る照合装置及び除去回路3の構成の内、実施の形態1から3の構成と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0077】
(実施の形態5)
以下本発明を実施の形態5に係る除去回路3を備える照合装置を示す図面に基づいて詳述する。図12は除去回路3を備える照合装置の構成を示すブロック図である。前記CCD1の受光面の前に、所定の色の光が透過するカラーフィルタ8が設けてある。また除去回路3は、所定範囲内の濃度を有する画素を抽出する抽出部38を備えている。CCD1から出力された画像は抽出部38へ出力され、抽出部38にて、CCD1から入力された画像の内、所定範囲内の濃度を有する画素が抽出される。該抽出は、例えば画素の色濃度を256階調にて認識し、CCD1から出力された画像を構成する画素の内、色濃度の階調レベルが10〜255の画素を抽出し、色濃度の階調レベルが0〜10の画素を破棄することによって実行される。なお抽出部38は、画素を抽出するための濃度範囲を変更することができるように構成されており、前述した例で説明すれば、抽出される色濃度の階調レベルを10〜255から50〜255又は30〜200等へ適宜変更することができる。
【0078】
CCD1はカラーフィルタ8を透過した所定の色に係る被写体の反射光を受光して被写体を撮像し、データ化した被写体の画像を抽出部38へ出力する。そして抽出部38に入力された被写体の画像から所定範囲内の濃度を有する画素が抽出され、抽出された画素は2値化部2へ出力される。2値化部2は抽出された画素に基づいて2値化を行う。例えば抽出部38にて抽出された画素を″1″とし、抽出部38にて抽出されなかった画素を″0″として2値化し、被写体の2値化画像を出力する。
【0079】
実施の形態5に係る除去回路3及び照合装置にあっては、被写体が複数色を有するカラー原稿である場合に、被写体の反射光から所定の色に係る光をCCD1が受光し、被写体を撮像する。撮像された画像は抽出部38へ出力され、撮像された画像所定範囲内の濃度を有する画素が抽出される。そして抽出された画素に基づいて2値化部2にて被写体の画像が2値化される。このためカラー原稿においても、所定の色について被写体の画像を2値化し、被写体の画像と登録画像との照合を行うことができる。
【0080】
実施の形態5に係る照合装置及び除去回路3の構成の内、実施の形態1から4の構成と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0081】
(実施の形態6)
以下本発明を実施の形態6に係る回路システムを備える照合装置を示す図面に基づいて詳述する。図13は回路システムを備える照合装置の構成を示すブロック図である。
【0082】
照合装置は回路システム300を備えており、該回路システム300は3つの除去回路3、3、3を備えている。図13に示すように、各除去回路3には、カラーフィルタ8a〜8cのいずれか1つ及びCCD1が接続してある。各除去回路3に接続された3つのカラーフィルタ8a、8b、8cは、それぞれ異なる色の光を透過させるようにしてあり、例えば赤色、緑色及び青色をそれぞれ透過させる。各除去回路3の抽出部38は、各色の被写体の画像から所定範囲内の濃度を有する画素を抽出し、2値化部2へ出力する。
【0083】
各除去回路3の論理演算回路35は、被写体の画像を判定回路4へ出力する。判定回路4は、例えば各論理演算回路35から入力された被写体の画像を構成する各色の画素について、対応する座標に位置する各色の画素の濃度の相加平均を算出する。算出した濃度の相加平均を一方のデータ列とし、登録画像を構成する画素の濃度を他方のデータ列として相関係数を求め、該相関係数と前記閾値とを比較して被写体の画像と登録画像との一致・不一致を判定する。
【0084】
実施の形態6に係る回路システム300及び照合装置にあっては、被写体が複数色を有するカラー原稿である場合に、それぞれ異なる色の光を抽出する複数のカラーフィルタ8a〜8cによって、各CCD1は被写体の反射光から各色の光をそれぞれ受光し、被写体を撮像する。撮像された各色の画像は各抽出部38へ出力され、撮像された画像から所定範囲内の濃度を有する画素が抽出される。そして抽出された画素に基づいて2値化部2にて被写体の画像が2値化される。このため被写体の画像を色毎に2値化画像として扱い、色毎の2値化画像に基づいて被写体の画像に存在する不要な画像を除去し、被写体の画像と登録画像との照合を行うことができる。
【0085】
なお実施の形態6に係る回路システム300は3つの除去回路3、3、3を備えているが、2つ又は4つ以上の除去回路を備えていても良い。また実施の形態6に係る回路システム300は、実施の形態1から5に係る照合装置に対して適用させることができる。また実施の形態5及び6において、抽出部38と2値化部2とをユニットにしても良く、また抽出部38を除去回路3とは別のユニットにしても良い。
【0086】
実施の形態6に係る照合装置及び回路システム300の構成の内、実施の形態1から5の構成と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施の形態1に係る除去回路を備える照合装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る照合装置の回転処理回路による回転処理及び論理演算回路による論理演算を説明する説明図である。
【図3】実施の形態1に係る照合装置の回転処理回路による回転処理及び論理演算回路による論理演算を説明する説明図である。
【図4】実施の形態1に係る照合装置の回転処理回路による回転処理及び論理演算回路による論理演算を説明する説明図である。
【図5】実施の形態1に係る照合装置のCPUの報知処理を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態2に係る除去回路を備える照合装置の構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2に係る照合装置のCPUの濃度調整処理を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態3に係る除去回路を備える照合装置の構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態3に係る除去回路での除去処理を説明する説明図である。
【図10】実施の形態4に係る除去回路を備える照合装置の構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態4に係る照合装置のCPUの回数変更処理を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態5に係る除去回路を備える照合装置の構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態6に係る回路システムを備える照合装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0088】
1 CCD(撮像素子)
2 2値化部(2値化手段)
3 除去回路
4 判定回路(照合手段)
4a 画像登録部
4b 閾値設定部
5 CPU
6 報知部
7 回数設定部
8、8a〜8c カラーフィルタ(フィルタ)
31 中心座標算出回路
32 記憶部(記憶手段)
33 アドレス制御回路
33a アドレス変換回路(アドレス生成手段)
34 回転処理回路(回転画像生成手段)
35 論理演算回路(論理演算手段)
35a カウンタ
36 濃度調整回路
37 回転角制御回路
38 抽出部(抽出手段)
300 回路システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子にて撮像された被写体の画像と予め登録された登録画像との照合を行う照合装置において、
前記被写体の画像を該画像の中心を回転中心にして所定角度回転させた画像を生成する回転画像生成手段と、
該回転画像生成手段にて生成された画像及び前記撮像素子にて撮像された被写体の画像を2値化する2値化手段と、
該2値化手段によって2値化され、前記回転画像生成手段にて生成された画像を構成する画素及び前記撮像素子にて撮像された被写体の画像を構成する画素の論理積を求める論理演算手段と、
該論理演算手段の演算結果と予め設定してある閾値とに基づいて、前記被写体の画像と前記登録画像との照合を行う照合手段と
を備えることを特徴とする照合装置。
【請求項2】
前記照合手段は、
前記演算結果が示す画像と前記登録画像とを照合して相関係数を求める手段と、
該手段にて求めた相関係数と前記閾値とを比較して、前記被写体の画像と前記登録画像とが一致するか否か判定する手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の照合装置。
【請求項3】
前記撮像素子にて撮像された被写体の画像を記憶する記憶手段と、
予め設定された生成回数に基づいて1又は複数の角度を算出する角度算出手段と、
該角度算出手段にて算出された1又は複数の角度に基づいて、前記記憶手段における1又は複数のアドレスを生成するアドレス生成手段とを備え、
前記被写体の画像を前記角度算出手段にて算出された前記1又は複数の角度回転させた画像が前記回転画像生成手段にて順次生成され、生成された各画像に対し前記論理演算手段にて論理演算が行われるようにしてあり、
前記論理演算手段での各演算結果は、前記1又は複数のアドレスを参照して、前記記憶手段にそれぞれ記憶されるようにしてあり、
前記論理演算手段は論理演算を行う場合に、前記回転画像生成手段にて生成された画像を構成する画素と、前記記憶手段に記憶された前記被写体の画像を構成する画素又は前記記憶手段に記憶された前記演算結果が示す画像を構成する画素との論理積を求めるようにしてあること
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の照合装置。
【請求項4】
前記照合手段での照合結果に基づいて、前記生成回数を変更する手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の照合装置。
【請求項5】
前記照合手段での照合結果に基づいて、前記撮像素子にて撮像された被写体の画像の濃度を変更する手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の照合装置。
【請求項6】
前記照合手段での照合結果を報知する手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の照合装置。
【請求項7】
所定の色の光が透過するフィルタと、
入力された画像から所定範囲の濃度を有する画素を抽出する抽出手段とを備え、
前記撮像素子は前記フィルタを透過した光を受光するようにしてあり、
前記撮像素子にて撮像された被写体の画像を前記抽出手段に入力し、前記抽出手段にて抽出された画素を前記2値化手段にて2値化するようにしてあること
を特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の照合装置。
【請求項8】
撮像素子にて撮像された被写体の画像の一部を除去する除去回路において、
前記被写体の画像を該画像の中心を回転中心にして所定角度回転させた画像を生成する回転画像生成手段と、
該回転画像生成手段にて生成された画像及び前記撮像素子にて撮像された被写体の画像を2値化する2値化手段と、
該2値化手段によって2値化され、前記回転画像生成手段にて生成された画像を構成する画素及び前記撮像素子にて撮像された被写体の画像を構成する画素の論理積を求める論理演算手段とを備え、
該論理演算手段での演算結果が真又は偽である画素を前記撮像素子にて撮像された被写体の画像から除去するようにしてあること
を特徴とする除去回路。
【請求項9】
請求項8に記載の複数の除去回路と、
各除去回路に対応しており、それぞれ異なる色の光が透過する複数のフィルタと、
各除去回路に対応しており、入力された画像から所定範囲の濃度を有する画素を抽出する複数の抽出手段とを備え、
各フィルタを透過した光は各除去回路の撮像素子にそれぞれ受光されるようにしてあり、
各撮像素子にて撮像された被写体の画像を各抽出手段に入力し、各抽出手段にて抽出された画素を各除去回路の2値化手段にて2値化するようにしてあること
を特徴とする回路システム。
【請求項10】
撮像素子にて撮像された被写体の画像と予め登録された登録画像との照合を行う照合装置において、
請求項9に記載の回路システムと、
該回路システムから出力された前記論理演算手段での演算結果が示す画像に基づいて、前記被写体の画像と前記登録画像との照合を行う手段と
を備えることを特徴とする照合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−157135(P2010−157135A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335546(P2008−335546)
【出願日】平成20年12月27日(2008.12.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】