説明

照明装置及びプロジェクタ

【課題】高輝度のプロジェクタに好適に用いることのできる2灯式の照明装置であって、複数の光源装置のうちいずれかの光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりしても、被照明領域における面内光強度分布が不均一になることを抑制することが可能となるとともに投写画像の品質が劣化することも抑制することが可能な照明装置を提供する。
【解決手段】偏光ビームコンバイナ90と、第1の偏光光源装置40と、第2の偏光光源装置80とを備えた照明装置100。第1の偏光光源装置40及び第2の偏光光源装置80は、光源装置10,50と、偏光分離光学素子20,60と、λ/2板30,70とを有し、偏光ビームコンバイナ90は、第1の偏光光源装置40から射出されたP偏光成分に係る照明光束と第2の偏光光源装置80から射出されたS偏光成分に係る照明光束とを合成して射出するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及びプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より高輝度のプロジェクタが求められており、その要求に応えるものとして2つの光源装置からの光を三角プリズムで合成する構成を有するプロジェクタ(いわゆる2灯式のプロジェクタ)が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような従来の2灯式のプロジェクタによれば、照明装置として、2つの光源装置を有する照明装置を用いているため、従来より高輝度のプロジェクタを構成することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−72083号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の2灯式のプロジェクタにおいては、2つの光源装置のうちいずれかの光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりすると、被照明領域における面内光強度分布が不均一になり、その結果、投写画像の品質が劣化するという問題があった。この問題は、2灯式のプロジェクタのみに見られる問題ではなく、3組以上の光源装置を有するプロジェクタにおいても共通して見られる問題である。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、高輝度のプロジェクタに好適に用いることのできる照明装置であって、複数の光源装置のうちいずれの光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりしても、被照明領域における面内光強度分布が不均一になることを抑制することが可能となるとともに投写画像の品質が劣化することを抑制することが可能な照明装置を提供することを目的とする。また、本発明は、このような照明装置を備えたプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため、従来の2灯式のプロジェクタにおいて、2つの光源装置のうち一方の光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりすると、被照明領域における面内光強度分布が不均一になる原因を徹底的に調査した。その結果、その原因は、2つの光源装置からの照明光束が所定の角度をもって三角プリズムで合成されるために、2つの光源装置からの照明光束が、被照明領域では同じ照明範囲で重畳されているが同じ角度をもって重畳されていないことに起因することが判明した。本発明者は、この知見に基づき、2つの光源装置からの照明光束が同じ角度をもって重畳されるようにすると、上記問題を解決することができることに想到し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の照明装置は、第1の光入射面と第2の光入射面とを有する偏光ビームコンバイナと、前記第1の光入射面に配置され、第1の偏光成分に係る照明光束を射出する第1の偏光光源装置と、前記第2の光入射面に配置され、前記第1の偏光成分に係る照明光束とは異なる偏光軸を有する第2の偏光成分に係る照明光束を射出する第2の偏光光源装置と、前記偏光ビームコンバイナからの照明光束を集束光に変換して射出する集光レンズと、前記集光レンズからの照明光束をより均一な強度分布を有する光に変換するインテグレータロッドとを備え、前記第1の偏光光源装置は、略平行な照明光束を射出する第1の光源装置と、前記第1の光源装置からの照明光束のうち第1の偏光成分に係る照明光束を透過し第2の偏光成分に係る照明光束を反射する第1の偏光分離面及び前記第1の偏光分離面で反射された第2の偏光成分に係る照明光束を前記第1の偏光分離面を透過した第1の偏光成分に係る照明光束に平行な方向に向けて反射する第1の反射面を有する第1の偏光分離光学素子と、前記第1の偏光分離光学素子の光射出面における第2の偏光成分に係る照明光束が射出される位置に配置され、第2の偏光成分に係る照明光束を第1の偏光成分に係る照明光束に変換する第1の位相差板とを有し、前記第1の光源装置からの照明光束を第1の偏光成分に係る照明光束として前記偏光ビームコンバイナの前記第1の光入射面に向けて射出し、前記第2の偏光光源装置は、略平行な照明光束を射出する第2の光源装置と、前記第2の光源装置からの照明光束のうち第1の偏光成分に係る照明光束を透過し第2の偏光成分に係る照明光束を反射する第2の偏光分離面及び前記第2の偏光分離面で反射された第2の偏光成分に係る照明光束を前記第2の偏光分離面を透過した第1の偏光成分に係る照明光束に平行な方向に向けて反射する第2の反射面を有する第2の偏光分離光学素子と、前記第2の偏光分離光学素子の光射出面における第1の偏光成分に係る照明光束が射出される位置に配置され、第1の偏光成分に係る照明光束を第2の偏光成分に係る照明光束に変換する第2の位相差板とを有し、前記第2の光源装置からの照明光束を第2の偏光成分に係る照明光束として前記偏光ビームコンバイナの前記第2の光入射面に向けて射出し、前記偏光ビームコンバイナは、前記第1の偏光光源装置から射出される第1の偏光成分に係る照明光束と前記第2の偏光光源装置から射出される第2の偏光成分に係る照明光束とを合成して射出することを特徴とする。
【0009】
このため、本発明の照明装置によれば、第1の偏光光源装置及び第2の偏光光源装置から互いに異なる偏光軸を有する直線偏光を射出させ、これらの直線偏光を偏光ビームコンバイナにおける第1の光入射面及び第2の光入射面にそれぞれ入射させることにより、偏光ビームコンバイナからは、2つの光源装置(第1の光源装置及び第2の光源装置)からの照明光束が同じ角度をもって重畳された形で射出されるようになる。このため、2つの光源装置のうちいずれの光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりしても、被照明領域における面内光強度分布が不均一になることを抑制することが可能となるとともに投写画像の品質が劣化することを抑制することが可能な照明装置を提供することが可能になる。
【0010】
なお、本発明の偏光光源装置を2組以上用いることによって、2つの光源装置を有する2灯式のプロジェクタのみならず、複数の光源装置を有するプロジェクタを構成できるようになる。
【0011】
本発明の照明装置においては、前記インテグレータロッドは、中空のインテグレータロッドであってもよいし、中実のインテグレータロッドであってもよい。
【0012】
中空のインテグレータロッドとしては、例えば4枚の反射ミラーにおける反射面を内側に向けて貼り合わせた筒状のライトトンネルなどを好適に用いることができる。また、中実のインテグレータロッドとしては、例えば内面全反射タイプの中実のロッド部材(ガラスロッド)などを好適に用いることができる。
【0013】
本発明の照明装置においては、前記第1の光源装置は、第1の楕円面リフレクタと、前記第1の楕円面リフレクタの第1焦点近傍に発光中心を有する第1の発光管と、前記第1の楕円面リフレクタからの集束光を前記第1の偏光分離光学素子の光入射面における前記第1の偏光分離面に対応する位置に向けて射出する第1の凹レンズとを有し、前記第2の光源装置は、第2の楕円面リフレクタと、前記第2の楕円面リフレクタの第1焦点近傍に発光中心を有する第2の発光管と、前記第2の楕円面リフレクタからの集束光を前記第2の偏光分離光学素子の光入射面における前記第2の偏光分離面に対応する位置に向けて射出する第2の凹レンズとを有することが好ましい。
【0014】
このように構成することにより、第1の光源装置及び第2の光源装置からは楕円面リフレクタの大きさよりも小さな略平行光束が射出されるようになるため、プロジェクタの小型化を図ることができる。
【0015】
本発明の照明装置においては、前記第1の発光管には、前記第1の発光管から被照明領域側に射出される光を前記第1の発光管に向けて反射する第1の反射手段が設けられ、前記第2の発光管には、前記第2の発光管から被照明領域側に射出される光を前記第2の発光管に向けて反射する第2の反射手段が設けられていることが好ましい。
【0016】
このように構成することにより、発光管から被照明領域側に放射される光が発光管に向けて反射されるため、発光管の被照明領域側端部を覆うような大きさに各楕円面リフレクタの大きさを設定することを必要とせず、各楕円面リフレクタの小型化を図ることができ、結果としてプロジェクタの小型化を図ることができる。
また、各楕円面リフレクタの小型化を図ることができることにより、楕円面リフレクタから楕円面リフレクタの第2焦点に向けて集束するビームの集束角やビームスポットを小さくすることができるため、各凹レンズの大きさ、各偏光分離光学素子の大きさ、偏光ビームコンバイナの大きさをさらに小さくすることができ、照明装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0017】
本発明の照明装置においては、前記偏光ビームコンバイナの前記第1の光入射面と、前記第1の偏光光源装置における光射出面とは接着され、前記偏光ビームコンバイナの前記第2の光入射面と、前記第2の偏光光源装置における光射出面とは接着されていることが好ましい。
【0018】
本発明の照明装置においては、前記第1の偏光分離光学素子の光入射面と、前記第1の光源装置における前記第1の凹レンズの光射出面とは接着され、前記第2の偏光分離光学素子の光入射面と、前記第2の光源装置における前記第2の凹レンズの光射出面とは接着されていることが好ましい。
【0019】
このように構成することにより、上記部品間における不要な反射が低減するため、光利用効率が向上するとともに迷光レベルが低減する。
【0020】
本発明の照明装置においては、前記偏光ビームコンバイナと前記第1の偏光分離光学素子、前記第1の偏光分離光学素子と前記第1の凹レンズ、前記偏光ビームコンバイナと前記第2の偏光分離光学素子、及び前記第2の偏光分離光学素子と前記第2の凹レンズは、それぞれ離隔して配置されていることも好ましい。
【0021】
このように構成した場合には、各光学要素間の位置調整を容易に行うことができるようになる。また、各光学要素に及ぼす熱的影響を軽減することができる。
【0022】
この場合、偏光ビームコンバイナの第1の光入射面及び第2の光入射面、第1の偏光分離光学素子の光入射面及び光射出面、第2の偏光分離光学素子の光入射面及び光射出面、第1の凹レンズの光入射面及び光射出面並びに第2の凹レンズの光入射面及び光射出面には、減反射膜がコーティングされていることが好ましい。
【0023】
これにより、上記の各光学要素に入射する照明光束及び上記の各光学要素から射出される照明光束における不要な反射の発生を抑制することができる。
【0024】
本発明の照明装置においては、前記インテグレータロッドの光入射面には、中央部に光入射のための開口部を有する反射層が配置され、前記インテグレータロッドの光射出面には、光進行方向に沿ってλ/4板と反射型偏光板とがこの順序で配置されていることが好ましい。
【0025】
このように構成することにより、インテグレータロッドに入射した照明光束のうち一方の偏光成分に係る照明光束が反射型偏光板を通過する場合には、他方の偏光成分に係る照明光束は反射型偏光板で反射される。この反射光はインテグレータロッドの光入射面に配置された反射層で反射され、再度反射型偏光板に到達する。このとき、この光はλ/4板をすでに2回通過しているため、偏光方向が90度回転し、一方の偏光成分に係る照明光束として反射型偏光板を通過する。すなわち、インテグレータロッドから射出される光の偏光方向を略1種類の偏光方向に揃えることが可能となる。したがって、液晶装置のように偏光方向を制御する電気光学変調装置を用いたプロジェクタにおいて特に好適なものとなる。
【0026】
本発明の照明装置においては、前記インテグレータロッドの光入射側に配置され、前記集光レンズからの照明光束を略1種類の直線偏光成分を有する光束に変換する偏光変換素子をさらに備えることが好ましい。
【0027】
このように構成することによっても、インテグレータロッドに入射する光の偏光方向を略1種類の偏光方向に揃えることが可能となるため、液晶装置のように偏光方向を制御する電気光学変調装置を用いたプロジェクタにおいて特に好適なものとなる。
【0028】
本発明の照明装置においては、前記インテグレータロッドの光入射面と前記偏光変換素子の光射出面とは接着されていることが好ましい。
【0029】
このように構成することにより、偏光変換素子とインテグレータロッドとの間における望ましくない多重反射が抑制され、光利用効率が低下したり迷光レベルが上昇したりすることがなくなる。また、偏光変換素子とインテグレータロッドとを容易に一体化することができる。また、偏光変換素子とインテグレータロッドとの間において、装置組み立て後における位置ずれの発生を未然に防止することができる。
【0030】
この場合、偏光変換素子及びインテグレータロッドとほぼ同じ屈折率を有する接着剤を用いることが好ましい。
【0031】
本発明のプロジェクタは、本発明の照明装置と、前記照明装置からの光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、前記電気光学変調装置により変調された光を投写する投写光学系とを備えることを特徴とする。
【0032】
このため、本発明のプロジェクタによれば、上記したような優れた本発明の照明装置を備えているため、高輝度のプロジェクタであって、複数の光源装置のうちいずれの光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりしても、投写画像の品質が劣化することを抑制することが可能なプロジェクタとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の照明装置及びプロジェクタについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0034】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る照明装置100及びプロジェクタ1000を説明するために示す図である。図1(a)はプロジェクタ1000の光学系を示す平面図であり、図1(b)はプロジェクタ1000の光学系を示す側面図であり、図1(c)は第1の凹レンズ18を第1の発光管12側から見た図であり、図1(d)は第2の凹レンズ58を第2の発光管52側から見た図である。図2は、実施形態1に係る照明装置100の要部を示す平面図である。図3は、カラーホイール150を照明光軸100axに沿って見た図である。図4は、第1の光源装置10の第1の発光管12の発光が切れたときの照明状態を説明するために示す図である。図5は、第2の光源装置50の第2の発光管52の発光が切れたときの照明状態を説明するために示す図である。
【0035】
なお、以下の説明においては、互いに直交する3つの方向をそれぞれz軸方向(図1(a)における照明光軸100ax方向)、x軸方向(図1(a)における紙面に平行かつz軸に直交する方向)及びy軸方向(図1(a)における紙面に垂直かつz軸に直交する方向)とする。
【0036】
実施形態1に係るプロジェクタ1000は、図1に示すように、いわゆる2灯式の照明装置100(実施形態1に係る照明装置100)と、照明装置100からの照明光束を被照明領域に導光するリレー光学系160と、リレー光学系160からの光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置としてのマイクロミラー型光変調装置400と、マイクロミラー型光変調装置400によって変調された光をスクリーンSCR等の投写面に投写する投写光学系600とを備えたプロジェクタである。
【0037】
実施形態1に係る照明装置100は、第1の偏光光源装置40と、第2の偏光光源装置80と、第1の偏光光源装置40及び第2の偏光光源装置80から射出される照明光束を合成して射出する偏光ビームコンバイナ90と、偏光ビームコンバイナ90からの照明光束を集束光に変換して射出する集光レンズ110と、集光レンズ110からの照明光束をより均一な強度分布を有する光に変換するインテグレータロッド120とを備えた照明装置である。
【0038】
なお、第1の偏光光源装置40、第2の偏光光源装置80及び偏光ビームコンバイナ90についての詳細は後述する。
【0039】
集光レンズ110は、偏光ビームコンバイナ90からの照明光束をインテグレータロッド120の光入射面近傍に集光させる機能を有している。なお、図1(a)及び図1(b)に示す集光レンズ110は1枚のレンズで構成されているが、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。
【0040】
インテグレータロッド120は、集光レンズ110からの光を内面で多重反射させることにより、集光レンズ110からの光をより均一な強度分布を有する光に変換する機能を有する光学部材である。インテグレータロッド120としては、例えば、中実のガラスロッドを好適に用いることができる。
【0041】
インテグレータロッド120の光射出面の形状は、マイクロミラー型光変調装置400の画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。例えば、マイクロミラー型光変調装置400の画像形成領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)が4:3であるならば、インテグレータロッド120の光射出面のアスペクト比も4:3に設定する。ただし、照明装置100の照明光軸100axはマイクロミラー型光変調装置400の中心軸に対して傾斜して配置されているので、マイクロミラー型光変調装置400に照射される光は、この傾斜に応じて歪んだ輪郭形状を有することとなる。したがって、このような場合におけるインテグレータロッド120の光射出面の形状としては、マイクロミラー型光変調装置400に照射される光の輪郭の歪みを補正するような形状とすることがより好ましい。
【0042】
インテグレータロッド120の光射出側には、カラーホイール150が配置されている。カラーホイール150は、図3に示すように、回転方向に沿って区切られた4つの扇形の領域に3つの透過型のカラーフィルタ152R,152G,152Bが形成された円板状部材である。カラーホイール150の中心部分には、カラーホイール150を回転させるためのモータ154が配設されている。
【0043】
カラーフィルタ152Rは、インテグレータロッド120からの照明光束のうち、赤の波長領域の光を透過し、他の波長領域の光を反射又は吸収することにより、赤色光成分のみを透過するものである。同様に、カラーフィルタ152G,152Bは、それぞれ、インテグレータロッド120からの照明光束のうち、緑又は青の波長領域の光を透過し、他の波長領域の光を反射又は吸収することにより、緑色光成分又は青色光成分のみを透過するものである。カラーフィルタ152R,152G,152Bは、例えば、誘電体多層膜や、塗料を用いて形成されたフィルタ板などを好適に用いることができる。4つの扇形の領域において、カラーフィルタ152R,152G,152B以外の部分は、透光領域152Wとなっており、インテグレータロッド120からの光がそのまま通過できるようになっている。この透光領域152Wにより、投写画像中の輝度を上げることができ、投写画像の明るさを確保することができる。
【0044】
なお、カラーホイール150は省略することも可能であり、この場合における投写画像はモノクロ画像である。
【0045】
インテグレータロッド120から射出された照明光束は、カラーホイール150を通過することにより、上述のように赤色光、緑色光及び青色光の3つの色光成分を含む照明光束になり、この照明光束は、リレー光学系160によって拡大されて、マイクロミラー型光変調装置400の画像形成領域上に照射される。
【0046】
リレー光学系160は、リレーレンズ162と、反射ミラー164と、集光レンズ166とを有し、照明装置100(カラーホイール150)からの照明光束をマイクロミラー型光変調装置400の画像形成領域に導く機能を有している。
【0047】
リレーレンズ162は、集光レンズ164とともに、照明装置100からの照明光束を発散させずにマイクロミラー型光変調装置400の画像形成領域近傍に結像させる機能を有している。なお、図1(a)及び図1(b)に示すリレーレンズ162は1枚のレンズで構成されているが、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。
【0048】
反射ミラー164は、照明光軸100axに対して傾斜して配置され、リレーレンズ162からの照明光束を曲折し、マイクロミラー型光変調装置400へと導光する。これにより、プロジェクタをコンパクトにすることができる。
【0049】
集光レンズ166は、リレーレンズ162及び反射ミラー164からの照明光束をマイクロミラー型光変調装置400の画像形成領域にほぼ重畳させ、かつ、マイクロミラー型光変調装置400によって変調された光を投写光学系600とともに拡大投写するものである。
【0050】
マイクロミラー型光変調装置400は、リレー光学系160からの光を画像情報に応じて各画素に対応するマイクロミラーで反射することにより、画像を表す画像光を投写光学系600へと射出する機能を有する反射方向制御型光変調装置である。マイクロミラー型光変調装置400としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。
【0051】
マイクロミラー型光変調装置400から射出される画像光は、投写光学系600によって拡大投写され、スクリーンSCR上で大画面画像を形成する。
【0052】
マイクロミラー型光変調装置400と投写光学系600とは、それぞれの中心軸が一致するように配置されている。なお、実施形態1に係るプロジェクタ1000をあおり投写の構成を有するプロジェクタとする場合には、マイクロミラー型光変調装置400の中心軸に対して投写光学系600の投写光軸600axがあおり方向にずれるように構成することが好ましい。
【0053】
次に、第1の偏光光源装置40、第2の偏光光源装置80及び偏光ビームコンバイナ90の構成を説明する。
【0054】
第1の偏光光源装置40は、図1及び図2に示すように、略平行な照明光束を射出する第1の光源装置10と、第1の光源装置10からの照明光束をP偏光成分(第1の偏光成分)に係る照明光束とS偏光成分(第2の偏光成分)に係る照明光束とに分離する第1の偏光分離光学素子20と、第1の偏光分離光学素子20の光射出面におけるS偏光成分に係る照明光束が射出される位置に配置される第1の位相差板としての第1のλ/2板30とを有している。
【0055】
第1の光源装置10は、図1及び図2に示すように、第1の楕円面リフレクタ14と、第1の楕円面リフレクタ14の第1焦点近傍に発光中心を有する第1の発光管12と、第1の楕円面リフレクタ14からの集束光を第1の偏光分離光学素子20の光入射面における第1の偏光分離面22に対応する位置に向けて射出する第1の凹レンズ18とを有している。第1の発光管12には、第1の発光管12から被照明領域側に射出される光を第1の発光管12に向けて反射する第1の反射手段としての第1の補助ミラー16が設けられている。第1の光源装置10は、光軸10axを中心軸とする光束を射出する。
【0056】
第1の発光管12は、管球部と、管球部の両側に延びる一対の封止部とを有している。
第1の楕円面リフレクタ14は、第1の発光管12の一方の封止部に挿通・固着される筒状の首状部と、第1の発光管12から放射された光を第2焦点位置に向けて反射する反射凹面とを有している。
【0057】
第1の補助ミラー16は、第1の発光管12の管球部を挟んで第1の楕円面リフレクタ14と対向して設けられ、第1の発光管12から放射された光のうち第1の楕円面リフレクタ14に向かわない光を第1の発光管12に戻し第1の楕円面リフレクタ14に入射させる。
【0058】
第1の凹レンズ18は、第1の楕円面リフレクタ14の被照明領域側に配置されている。そして、第1の楕円面リフレクタ14からの光を第1の偏光分離光学素子20に向けて射出するように構成されている。
【0059】
第1の偏光分離光学素子20は、図2に示すように、第1の光源装置10からの照明光束のうちP偏光成分に係る照明光束を透過しS偏光成分に係る照明光束を第1の光源装置10の光軸10axから遠ざかる方向に向けて反射する第1の偏光分離面22と、第1の偏光分離面22で反射されたS偏光成分に係る照明光束を第1の偏光分離面22を透過したP偏光成分に係る照明光束に平行な方向に向けて反射する第1の反射面24とを有している。
【0060】
第1のλ/2板30は、第1の偏光分離光学素子20の光射出面におけるS偏光成分に係る照明光束が射出される位置に配置されている。そして、S偏光成分に係る照明光束をP偏光成分に係る照明光束に変換する。
【0061】
第1の偏光光源装置40は、上記のように構成されているため、第1の光源装置10からの照明光束をP偏光成分に係る照明光束に揃えて射出することが可能となる。
【0062】
なお、第1の偏光分離光学素子20は、P偏光成分に係る照明光束を透過しS偏光成分に係る照明光束を反射する第1の偏光分離面22を、S偏光成分に係る照明光束を透過しP偏光成分に係る照明光束を反射する他の第1の偏光分離面に替えることも可能である。この場合は、他の第1の偏光分離面を透過したS偏光成分に係る照明光束が射出される位置に第1のλ/2板30が配置される。このように他の第1の偏光分離面を備えた第1の偏光分離光学素子としても、第1の偏光光源装置40は、第1の光源装置10からの照明光束をP偏光成分に係る照明光束に揃えて射出することが可能となる。
【0063】
第2の偏光光源装置80は、図1及び図2に示すように、略平行な照明光束を射出する第2の光源装置50と、第2の光源装置50からの照明光束をP偏光成分(第1の偏光成分)に係る照明光束とS偏光成分(第2の偏光成分)に係る照明光束とに分離する第2の偏光分離光学素子60と、第2の偏光分離光学素子60の光射出面におけるP偏光成分に係る照明光束が射出される位置に配置される第2の位相差板としての第2のλ/2板70とを有している。
【0064】
第2の光源装置50は、図1及び図2に示すように、第2の楕円面リフレクタ54と、第2の楕円面リフレクタ54の第1焦点近傍に発光中心を有する第2の発光管52と、第2の楕円面リフレクタ54からの集束光を第2の偏光分離光学素子60の光入射面における第2の偏光分離面62に対応する位置に向けて射出する第2の凹レンズ58とを有している。第2の発光管52には、第2の発光管52から被照明領域側に射出される光を第2の発光管52に向けて反射する第2の反射手段としての第2の補助ミラー56が設けられている。第2の光源装置50は、光軸50axを中心軸とする光束を射出する。
【0065】
第2の発光管52は、管球部と、管球部の両側に延びる一対の封止部とを有している。
第2の楕円面リフレクタ54は、第2の発光管52の一方の封止部に挿通・固着される筒状の首状部と、第2の発光管52から放射された光を第2焦点位置に向けて反射する反射凹面とを有している。
【0066】
第2の補助ミラー56は、第2の発光管52の管球部を挟んで第2の楕円面リフレクタ54と対向して設けられ、第2の発光管52から放射された光のうち第2の楕円面リフレクタ54に向かわない光を第2の発光管52に戻し第2の楕円面リフレクタ54に入射させる。
【0067】
第2の凹レンズ58は、第2の楕円面リフレクタ54の被照明領域側に配置されている。そして、第2の楕円面リフレクタ54からの光を第2の偏光分離光学素子60に向けて射出するように構成されている。
【0068】
第2の偏光分離光学素子60は、図2に示すように、第2の光源装置50からの照明光束のうちP偏光成分に係る照明光束を透過しS偏光成分に係る照明光束を第2の光源装置50の光軸50axから遠ざかる方向に向けて反射する第2の偏光分離面62と、第2の偏光分離面62で反射されたS偏光成分に係る照明光束を第2の偏光分離面62を透過したP偏光成分に係る照明光束に平行な方向に向けて反射する第2の反射面64とを有している。
【0069】
第2のλ/2板70は、第2の偏光分離光学素子60の光射出面におけるP偏光成分に係る照明光束が射出される位置に配置されている。そして、P偏光成分に係る照明光束をS偏光成分に係る照明光束に変換する。
【0070】
第2の偏光光源装置80は、上記のように構成されているため、第2の光源装置50からの照明光束をS偏光成分に係る照明光束に揃えて射出することが可能となる。
【0071】
なお、第2の偏光分離光学素子60は、P偏光成分に係る照明光束を透過しS偏光成分に係る照明光束を反射する第2の偏光分離面62を、S偏光成分に係る照明光束を透過しP偏光成分に係る照明光束を反射する他の第2の偏光分離面に替えることも可能である。この場合は、他の第2の偏光分離面で反射されたP偏光成分に係る照明光束が射出される位置に第2のλ/2板70が配置される。このように他の第2の偏光分離面を備えた第2の偏光分離光学素子としても、第2の偏光光源装置80は、第2の光源装置50からの照明光束をS偏光成分に係る照明光束に揃えて射出することが可能となる。
【0072】
偏光ビームコンバイナ90は、第1の光入射面94を有する三角柱プリズムと第2の光入射面96を有する三角柱プリズムとを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、三角柱プリズム同士を貼り合わせた界面には、P偏光成分に係る照明光束を透過しS偏光成分に係る照明光束を反射する偏光合成面92が形成されている。第1の偏光光源装置40から射出され第1の光入射面94に入射したP偏光成分に係る照明光束は、偏光合成面92を透過する。第2の偏光光源装置80から射出され第2の光入射面96に入射したS偏光成分に係る照明光束は、偏光合成面92で反射される。これにより、第1の偏光光源装置40から射出されるP偏光成分に係る照明光束と第2の偏光光源装置80から射出されるS偏光成分に係る照明光束とが合成されて、偏光ビームコンバイナ90から集光レンズ110に向けて射出されることとなる。
このような偏光ビームコンバイナ90は、偏光ビームスプリッタと同様の構成を備えるものであるが、光の通過方向が偏光ビームスプリッタとは逆になっており、互いに偏光方向が垂直である2種類の直線偏光を合成し、無偏光の光を射出する。
【0073】
以上のように構成された実施形態1に係る照明装置100によれば、第1の偏光光源装置40及び第2の偏光光源装置80から互いに異なる偏光軸を有する直線偏光を射出させ、これらの直線偏光を偏光ビームコンバイナ90における第1の光入射面94及び第2の光入射面96にそれぞれ入射させることにより、偏光ビームコンバイナ90からは、2つの光源装置(第1の光源装置10及び第2の光源装置50)からの照明光束が同じ角度をもって重畳された形で射出されるようになる。このため、図4及び図5に示すように、2つの光源装置のうちいずれの光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりしても、被照明領域における面内光強度分布が不均一になることを抑制することが可能となるとともに投写画像の品質が劣化することを抑制することが可能となる。
【0074】
なお、実施形態1に係る照明装置100を2組以上用いることによって、2つの光源装置を有する2灯式のプロジェクタのみならず、4組以上の光源装置を有するプロジェクタを構成できるようになる。
【0075】
実施形態1に係る照明装置100においては、上記したように、第1の光源装置10は、第1の楕円面リフレクタ14と、第1の発光管12と、第1の凹レンズ18とを有し、第2の光源装置50は、第2の楕円面リフレクタ54と、第2の発光管52と、第2の凹レンズ58とを有している。
【0076】
このため、第1の光源装置10及び第2の光源装置50からは各楕円面リフレクタ14,54の大きさよりも小さな平行光束が射出されるようになるため、プロジェクタの小型化を図ることができる。
【0077】
実施形態1に係る照明装置100においては、上記したように、第1の発光管12及び第2の発光管52には、反射手段としての第1の補助ミラー16及び第2の補助ミラー56がそれぞれ設けられている。
【0078】
このため、各発光管12,52から被照明領域側に放射される光が各発光管12,52に向けて反射されるため、各発光管12,52の被照明領域側端部を覆うような大きさに各楕円面リフレクタ14,54の大きさを設定することを必要とせず、各楕円面リフレクタ14,54の小型化を図ることができ、結果としてプロジェクタの小型化を図ることができる。
また、各楕円面リフレクタ14,54の小型化を図ることができることにより、各楕円面リフレクタ14,54から各楕円面リフレクタ14,54の第2焦点に向けて集束するビームの集束角やビームスポットを小さくすることができるため、各凹レンズ18,58の大きさ、各偏光分離光学素子20,60の大きさ、偏光ビームコンバイナ90の大きさをさらに小さくすることができ、照明装置のさらなる小型化を図ることができる。
【0079】
実施形態1に係る照明装置100においては、偏光ビームコンバイナ90と第1の偏光分離光学素子20、第1の偏光分離光学素子20と第1の凹レンズ18、偏光ビームコンバイナ90と第2の偏光分離光学素子60、及び第2の偏光分離光学素子60と第2の凹レンズ58は、それぞれ離隔して配置されているため、各光学要素間の位置調整を容易に行うことができるようになる。また、各光学要素に及ぼす熱的影響を軽減することができる。
【0080】
なお、ここでは図示を省略したが、偏光ビームコンバイナ90の第1の光入射面94及び第2の光入射面96、第1の偏光分離光学素子20の光入射面及び光射出面、第2の偏光分離光学素子60の光入射面及び光射出面、第1の凹レンズ18の光入射面及び光射出面並びに第2の凹レンズ58の光入射面及び光射出面には、減反射膜がコーティングされている。これにより、これら各光学要素に入射する照明光束並びにこれら各光学要素から射出される照明光束における不要な反射の発生を抑制することができる。
【0081】
実施形態1に係るプロジェクタ1000は、上記した実施形態1に係る照明装置100と、照明装置100からの光を画像情報に応じて変調するマイクロミラー型光変調装置400と、マイクロミラー型光変調装置400により変調された光を投写する投写光学系600とを備えている。
【0082】
このため、実施形態1に係るプロジェクタ1000によれば、上記した照明装置100を備えているため、高輝度のプロジェクタであって、第1の光源装置10及び第2の光源装置50のうちいずれの光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりしても、投写画像の品質が劣化することを抑制することが可能なプロジェクタとなる。
【0083】
なお、実施形態1に係る照明装置100においては、偏光ビームコンバイナ90と第1の偏光分離光学素子20、第1の偏光分離光学素子20と第1の凹レンズ18、偏光ビームコンバイナ90と第2の偏光分離光学素子60、及び第2の偏光分離光学素子60と第2の凹レンズ58は、それぞれ離隔して配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形も可能である。
【0084】
[変形例1]
図6は、実施形態1の変形例1に係る照明装置100aの要部を示す平面図である。なお、図6において、図2と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0085】
実施形態1の変形例1に係る照明装置100aは、基本的には実施形態1に係る照明装置100とよく似た構成を有しているが、図6に示すように、偏光ビームコンバイナと第1の偏光分離光学素子、及び偏光ビームコンバイナと第2の偏光分離光学素子がそれぞれ接着されている点で、実施形態1に係る照明装置100とは異なっている。
【0086】
すなわち、実施形態1の変形例1に係る照明装置100aにおいては、図6に示すように、偏光ビームコンバイナ90の第1の光入射面94と第1の偏光分離光学素子20の光射出面及び第1のλ/2板30とが、光学接着剤Cを介して接着されている。また、偏光ビームコンバイナ90の第2の光入射面96と第2の偏光分離光学素子60の光射出面及び第2のλ/板70とが、光学接着剤Cを介して接着されている。
【0087】
このため、偏光ビームコンバイナ90と第1の偏光分離光学素子20との間、及び偏光ビームコンバイナ90と第2の偏光分離光学素子60との間における不要な反射を低減させることが可能となり、光利用効率が向上するとともに迷光レベルが低減する。
【0088】
[変形例2]
図7は、実施形態1の変形例2に係る照明装置100bの要部を示す平面図である。なお、図7において、図2と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0089】
実施形態1の変形例2に係る照明装置100bは、基本的には実施形態1に係る照明装置100とよく似た構成を有しているが、図7に示すように、偏光ビームコンバイナと第1の偏光分離光学素子、偏光ビームコンバイナと第2の偏光分離光学素子、第1の偏光分離光学素子と第1の凹レンズ、及び第2の偏光分離光学素子と第2の凹レンズがそれぞれ接着されている点で、実施形態1に係る照明装置100とは異なっている。
【0090】
すなわち、実施形態1の変形例2に係る照明装置100bにおいては、図7に示すように、偏光ビームコンバイナ90の第1の光入射面94と第1の偏光分離光学素子20の光射出面及び第1のλ/2板30とが、光学接着剤Cを介して接着されている。また、偏光ビームコンバイナ90の第2の光入射面96と第2の偏光分離光学素子60の光射出面及び第2のλ/板70とが、光学接着剤Cを介して接着されている。また、第1の偏光分離光学素子20の光入射面と第1の凹レンズ18の光射出面とが、光学接着剤Cを介して接着されている。また、第2の偏光分離光学素子60の光入射面と第2の凹レンズ58の光射出面とが、光学接着剤Cを介して接着されている。
【0091】
このため、偏光ビームコンバイナ90と第1の偏光分離光学素子20との間、偏光ビームコンバイナ90と第2の偏光分離光学素子60との間、第1の偏光分離光学素子20と第1の凹レンズ18との間、及び第2の偏光分離光学素子60と第2の凹レンズ58との間における不要な反射を低減させることが可能となり、光利用効率が向上するとともに迷光レベルが低減する。
【0092】
[実施形態2]
図8は、実施形態2に係るプロジェクタ1002を説明するために示す図である。なお、図8において、図1と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0093】
実施形態2に係るプロジェクタ1002は、基本的には実施形態1に係るプロジェクタ1000とよく似た構成を有しているが、電気光学変調装置として複数のマイクロミラー型光変調装置を用いている点で、実施形態1に係るプロジェクタ1000とは異なっている。
【0094】
実施形態2に係るプロジェクタ1002は、図8に示すように、実施形態1に係る照明装置100と、照明装置100からの照明光束を被照明領域に導光するリレーレンズ170と、リレーレンズ170からの照明光束を3つの色光に分離して被照明領域に導光するとともにマイクロミラー型光変調装置400R,400G,400Bによって変調された色光を合成する色分離合成光学系180と、色分離合成光学系180で分離された3つの色光のそれぞれを画像情報に応じて変調する電気光学変調装置としての3つのマイクロミラー型光変調装置400R,400G,400Bと、色分離合成光学系180によって合成された光をスクリーンSCR等の投写面に投写する投写光学系600とを備えたプロジェクタである。
【0095】
このように、実施形態2に係るプロジェクタ1002は、実施形態1に係るプロジェクタ1000とは、電気光学変調装置として複数のマイクロミラー型光変調装置を用いている点で異なっているが、実施形態1に係る照明装置100を備えているため、実施形態1に係るプロジェクタ1000の場合と同様に、高輝度のプロジェクタであって、第1の光源装置10及び第2の光源装置50のうちいずれの光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりしても、投写画像の品質が劣化することを抑制することが可能なプロジェクタとなる。
【0096】
[実施形態3]
実施形態3に係る照明装置104及びプロジェクタ1004の特徴及び効果を説明するにあたり、まず、プロジェクタ1004の構成について、図9を用いて説明する。
【0097】
図9は、実施形態3に係る照明装置104及びプロジェクタ1004を説明するために示す図である。図9(a)はプロジェクタ1004の光学系を示す平面図であり、図9(b)はプロジェクタ1004の光学系を示す側面図であり、図9(c)はインテグレータロッド170Bの光入射面を照明光軸104axに沿って見た図である。なお、図9(a)及び図9(b)において、図1と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0098】
実施形態3に係るプロジェクタ1004は、図9に示すように、照明装置104と、照明装置104からの照明光束を3つの色光に分離して被照明領域に導光する色分離導光光学系200と、色分離導光光学系200で分離された3つの色光のそれぞれを画像情報に応じて変調する電気光学変調装置としての3つの液晶装置410R,410G,410Bと、液晶装置410R,410G,410Bによって変調された色光を合成するクロスダイクロイックプリズム500と、クロスダイクロイックプリズム500によって合成された光をスクリーンSCR等の投写面に投写する投写光学系610とを備えたプロジェクタである。
【0099】
実施形態3に係る照明装置104は、第1の偏光光源装置40と、第2の偏光光源装置80と、第1の偏光光源装置40及び第2の偏光光源装置80から射出される照明光束を合成して射出する偏光ビームコンバイナ90と、偏光ビームコンバイナ90からの照明光束を集束光に変換して射出する集光レンズ110と、集光レンズ110からの照明光束をより均一な強度分布を有する光に変換するインテグレータロッド120Bとを備えている。
【0100】
第1の偏光光源装置40、第2の偏光光源装置80及び偏光ビームコンバイナ90については、実施形態1で説明したものと同様であるため説明を省略する。
【0101】
インテグレータロッド120Bは、集光レンズ110からの光を内面で多重反射させることにより、集光レンズ110からの光をより均一な強度分布を有する光に変換する機能を有する光学部材である。インテグレータロッド120Bとしては、例えば、中実のガラスロッドを好適に用いることができる。
【0102】
インテグレータロッド120Bの光射出面の形状は、液晶装置410R,410G,410Bの画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。
【0103】
インテグレータロッド120Bの光入射面には、中央部に光入射のための開口部を有する反射層132が配置され、インテグレータロッド120Bの光射出面には、光進行方向に沿ってλ/4板134と反射型偏光板136とがこの順序で配置されている。
これにより、インテグレータロッド120Bに入射した照明光束のうち一方の偏光成分(例えばS偏光成分)に係る照明光束が反射型偏光板136を通過する場合には、他方の偏光成分(例えばP偏光成分)に係る照明光束は反射型偏光板136で反射される。この反射光はインテグレータロッド120Bの光入射面に配置された反射層132で反射され、再度反射型偏光板136に到達する。このとき、この光はλ/4板134をすでに2回通過しているため、偏光方向が90度回転し、一方の偏光成分に係る照明光束として反射型偏光板136を通過する。すなわち、インテグレータロッド120Bから射出される光の偏光方向を略1種類の偏光方向に揃えることが可能となる。
【0104】
インテグレータロッド120Bの光路後段には、インテグレータロッド120Bからの照明光束を導光するリレーレンズ170が配置されている。リレーレンズ170は、集光レンズ300R,300G,300Bとともに、照明装置104からの照明光束を発散させずに液晶装置410R,410G,410Bの画像形成領域近傍に結像させる機能を有している。なお、図9(a)及び図9(b)に示すリレーレンズ170は1枚のレンズで構成されているが、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。
【0105】
色分離導光光学系200は、第1のダイクロイックミラー210及び第2のダイクロイックミラー220と、反射ミラー230,240,250と、入射側レンズ260と、リレーレンズ270とを有している。色分離導光光学系200は、リレーレンズ170から射出される照明光束を、赤色光、緑色光及び青色光の3つの色光に分離して、それぞれの色光を照明対象となる3つの液晶装置410R,410G,410Bに導く機能を有している。
【0106】
第1のダイクロイックミラー210及び第2のダイクロイックミラー220は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長領域の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子である。第1のダイクロイックミラー210は、赤色光成分を反射し、その他の色光成分を透過させるミラーである。第2のダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射し、青色光成分を透過させるミラーである。
【0107】
第1のダイクロイックミラー210で反射された赤色光成分は、反射ミラー230により曲折され、集光レンズ300Rを介して赤色光用の液晶装置410Rの画像形成領域に入射する。
【0108】
集光レンズ300Rは、リレーレンズ170からの各部分光束を各主光線に対して略平行な光束に変換するために設けられている。他の液晶装置410G,410Bの光路前段に配置された集光レンズ300G,300Bも、集光レンズ300Rと同様に構成されている。
【0109】
第1のダイクロイックミラー210を透過した緑色光成分及び青色光成分のうち緑色光成分は、第2のダイクロイックミラー220で反射され、集光レンズ300Gを通過して緑色光用の液晶装置410Gの画像形成領域に入射する。一方、青色光成分は、第2のダイクロイックミラー220を透過し、入射側レンズ260、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ270、射出側の反射ミラー250及び集光レンズ300Bを通過して青色光用の液晶装置410Bの画像形成領域に入射する。入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250は、第2のダイクロイックミラー220を透過した青色光成分を液晶装置410Bまで導く機能を有している。
【0110】
なお、青色光の光路にこのような入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250が設けられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。実施形態3に係るプロジェクタ1004においては、青色光の光路の長さが長いのでこのような構成とされているが、赤色光の光路の長さを長くして、入射側レンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240,250を赤色光の光路に用いる構成も考えられる。
【0111】
液晶装置410R,410G,410Bは、照明光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、照明装置104の照明対象となる。
液晶装置410R,410G,410Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入したものであり、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像情報に従って、入射側偏光板から射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。
【0112】
なお、図示を省略したが、各集光レンズ300R,300G,300Bと各液晶装置410R,410G,410Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が介在配置され、各液晶装置410R,410G,410Bとクロスダイクロイックプリズム500との間には、それぞれ射出側偏光板が介在配置されている。これら入射側偏光板、液晶装置410R,410G,410B及び射出側偏光板によって入射する各色光の光変調が行われる。
【0113】
クロスダイクロイックプリズム500は、射出側偏光板から射出された各色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光及び青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
【0114】
クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系610によって拡大投写され、スクリーンSCR上で大画面画像を形成する。
【0115】
以上のように構成された実施形態3に係る照明装置104及びプロジェクタ1004においても、実施形態1に係る照明装置100及びプロジェクタ1000の場合と同様に、P偏光成分に係る照明光束を射出する第1の偏光光源装置40と、S偏光成分に係る照明光束を射出する第2の偏光光源装置80と、第1の偏光光源装置40から射出されるP偏光成分に係る照明光束と第2の偏光光源装置80から射出されるS偏光成分に係る照明光束とを合成して射出する偏光ビームコンバイナ90とを備えている。
【0116】
このため、実施形態3に係る照明装置104によれば、実施形態1に係る照明装置100の場合と同様に、第1の光源装置10及び第2の光源装置50のうちいずれの光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりしても、被照明領域における面内光強度分布が不均一になることを抑制することが可能となるとともに投写画像の品質が劣化することを抑制することが可能となる。
【0117】
また、実施形態3に係る照明装置104においては、上述したように、インテグレータロッド120Bから射出される光の偏光方向を略1種類の偏光方向に揃えることが可能となる。したがって、液晶装置のように偏光方向を制御する電気光学変調装置を用いたプロジェクタにおいて特に好適なものとなる。
【0118】
実施形態3に係るプロジェクタ1004は、上記した照明装置104を備えているため、高輝度のプロジェクタであって、第1の光源装置10及び第2の光源装置50のうちいずれの光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりしても、投写画像の品質が劣化することを抑制することが可能なプロジェクタとなる。
【0119】
[実施形態4]
図10は、実施形態4に係る照明装置106及びプロジェクタ1006を説明するために示す図である。図10(a)はプロジェクタ1006の光学系を示す平面図であり、図10(b)はプロジェクタ1006の光学系を示す側面図であり、図10(c)は偏光変換素子140及びインテグレータロッド120Cの斜視図である。なお、図10(a)及び図10(b)において、図1及び図9と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0120】
実施形態4に係る照明装置106は、基本的には実施形態3に係る照明装置104とよく似た構成を有しているが、ロッドインテグレータ光学系の構成が、実施形態3に係る照明装置104とは異なっている。
【0121】
実施形態4に係る照明装置106は、図10(a)及び図10(b)に示すように、集光レンズ110からの照明光束を略1種類の直線偏光成分を有する光束に変換する偏光変換素子140と、偏光変換素子140からの照明光束をより均一な強度分布を有する光に変換するインテグレータロッド120Cとを備えている。
【0122】
偏光変換素子140は、偏光ビームコンバイナ90からの照明光束に含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分(例えばP偏光成分)をそのまま透過し、他方の直線偏光成分(例えばS偏光成分)を照明光軸106axに垂直な方向(x軸方向)に反射する偏光分離面142と、偏光分離面142で反射された他方の直線偏光成分を照明光軸106axに平行な方向(z軸方向)に反射する反射面144と、偏光分離面142を透過した一方の直線偏光成分を他方の直線偏光成分に変換する位相差板としてのλ/2板146とを有している。
【0123】
なお、偏光変換素子140は、P偏光成分に係る照明光束を透過しS偏光成分に係る照明光束を反射する偏光分離面142を、S偏光成分に係る照明光束を透過しP偏光成分に係る照明光束を反射する他の偏光分離面に替えることも可能である。
【0124】
インテグレータロッド120Cは、偏光変換素子140からの光を内面で多重反射させることにより、偏光変換素子140からの光をより均一な強度分布を有する光に変換する機能を有する光学部材である。インテグレータロッド120Cとしては、例えば、中実のガラスロッドを好適に用いることができる。
【0125】
インテグレータロッド120Cの光射出面の形状は、液晶装置410R,410G,410Bの画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。
【0126】
このように、実施形態4に係る照明装置106は、実施形態3に係る照明装置104とは、ロッドインテグレータ光学系の構成が異なっているが、実施形態1及び3に係る照明装置100,104の場合と同様に、第1の偏光光源装置40及び第2の偏光光源装置80から互いに異なる偏光軸を有する直線偏光を射出させ、これらの直線偏光を偏光ビームコンバイナ90における第1の光入射面94及び第2の光入射面96にそれぞれ入射させることにより、偏光ビームコンバイナ90からは、第1の光源装置10及び第2の光源装置50からの照明光束が同じ角度をもって重畳された形で射出されるようになる。このため、第1の光源装置10及び第2の光源装置50のうちいずれの光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりしても、被照明領域における面内光強度分布が不均一になることを抑制することが可能となるとともに投写画像の品質が劣化することを抑制することが可能となる。
【0127】
また、実施形態4に係る照明装置106においては、インテグレータロッド120Cの光入射側に配置され、集光レンズ110からの照明光束を略1種類の直線偏光成分を有する光束に変換する偏光変換素子140を備えている。これにより、インテグレータロッド120Cに入射する光の偏光方向を略1種類の偏光方向に揃えることが可能となるため、液晶装置のように偏光方向を制御する電気光学変調装置を用いたプロジェクタにおいて特に好適なものとなる。
【0128】
また、実施形態4に係る照明装置106においては、図10に示すように、インテグレータロッド120Cの光入射面と偏光変換素子140の光射出面とは、インテグレータロッド120C及び偏光変換素子140と同じ屈折率を有する接着剤によって接着されているため、偏光変換素子140とインテグレータロッド120Cとの間における望ましくない多重反射が抑制され、光利用効率が低下したり迷光レベルが上昇したりすることがなくなる。また、偏光変換素子140とインテグレータロッド120Cとを容易に一体化することができる。また、偏光変換素子140とインテグレータロッド120Cとの間において、装置組み立て後における位置ずれの発生を未然に防止することができる。
【0129】
実施形態4に係る照明装置106は、ロッドインテグレータ光学系の構成以外の点では、実施形態3に係る照明装置104と同様の構成を有するため、実施形態3に係る照明装置104の場合と同様の効果を有する。
【0130】
実施形態4に係るプロジェクタ1006は、上記した照明装置106を備えているため、高輝度のプロジェクタであって、第1の光源装置10及び第2の光源装置50のうちいずれの光源装置において発光管の発光が弱まったり切れたりしても、投写画像の品質が劣化することを抑制することが可能なプロジェクタとなる。
【0131】
以上、本発明の照明装置及びプロジェクタを上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0132】
(1)上記各実施形態の照明装置100〜106においては、インテグレータロッドとして、内面全反射タイプの中実のガラスロッドを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、4枚の反射ミラーにおける反射面を内側に向けて貼り合わせた筒状のライトトンネルなどの中空のロッドを用いてもよい。
【0133】
(2)上記各実施形態の照明装置100〜106においては、第1の光源装置及び第2の光源装置として、楕円面リフレクタと、楕円面リフレクタの第1焦点近傍に発光中心を有する発光管と、楕円面リフレクタで反射された集束光を偏光分離ユニットにおける光入射面に向けて射出する凹レンズとを有する光源装置を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。放物面リフレクタと、放物面リフレクタの焦点近傍に発光中心を有する発光管とを有する光源装置をも好ましく用いることができる。
【0134】
(3)上記各実施形態の照明装置100〜106においては、発光管に反射手段としての補助ミラーが配設された照明装置を例示して説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、補助ミラーが配設されていない照明装置に本発明を適用することも可能である。
【0135】
(4)上記各実施形態の照明装置100〜106においては、偏光ビームコンバイナとして、2つの三角柱プリズムが貼り合わされたキューブタイプの偏光ビームコンバイナ90を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、プレートタイプの偏光ビームコンバイナをも好ましく用いることができる。また、上記各実施形態の照明装置100〜106においては、第1の偏光分離光学素子及び第2の偏光分離光学素子として、プリズムを備えた偏光分離光学素子を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、プレートタイプの偏光分離光学素子をも好ましく用いることができる。なお、プレートタイプとは、透光性の基板に偏光分離膜を設けた構成などを適宜採用できる。
【0136】
(5)上記各実施形態の照明装置100〜106においては、第1の偏光光源装置40がP偏光成分に係る照明光束を射出し、第2の偏光光源装置80がS偏光成分に係る照明光束を射出し、偏光ビームコンバイナ90がP偏光成分に係る照明光束を透過しS偏光成分に係る照明光束を反射する偏光合成面92を備える構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の偏光光源装置がS偏光成分に係る照明光束を射出し、第2の偏光光源装置がP偏光成分に係る照明光束を射出し、偏光ビームコンバイナがS偏光成分に係る照明光束を透過しP偏光成分に係る照明光束を反射する他の偏光合成面を備える構成とすることも可能である。
【0137】
(6)上記実施形態2に係るプロジェクタ1002において、電気光学変調装置として複数のマイクロミラー型光変調装置を用いた構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、電気光学変調装置として複数の反射型の液晶装置を用いる構成とすることも可能である。
【0138】
(7)上記実施形態3及び4に係るプロジェクタ1004,1006は透過型のプロジェクタであるが、本発明はこれに限定されるものではない。反射型のプロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶装置等のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、反射型の液晶装置のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。反射型のプロジェクタにこの発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクタと同様の効果を得ることができる。
【0139】
(8)上記実施形態3及び4に係るプロジェクタ1004,1006においては、3つの液晶装置410R,410G,410Bを用いたプロジェクタを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つ、2つ又は4つ以上の液晶装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。
【0140】
(9)上記実施形態1に係るプロジェクタ1000においては、インテグレータロッド120の光射出側にカラーホイール150が配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、インテグレータロッドの光入射側にカラーホイールが配置されていてもよい。
【0141】
(10)本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクタに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクタに適用する場合にも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】実施形態1に係る照明装置100及びプロジェクタ1000を説明するために示す図。
【図2】実施形態1に係る照明装置100の要部を示す平面図。
【図3】カラーホイール150を照明光軸100axに沿って見た図。
【図4】第1の光源装置10の第1の発光管12の発光が切れたときの照明状態を説明するために示す図。
【図5】第2の光源装置50の第2の発光管52の発光が切れたときの照明状態を説明するために示す図。
【図6】実施形態1の変形例1に係る照明装置100aの要部を示す平面図。
【図7】実施形態1の変形例2に係る照明装置100bの要部を示す平面図。
【図8】実施形態2に係るプロジェクタ1002を説明するために示す図。
【図9】実施形態3に係る照明装置104及びプロジェクタ1004を説明するために示す図。
【図10】実施形態4に係る照明装置106及びプロジェクタ1006を説明するために示す図。
【符号の説明】
【0143】
10,50…光源装置、10ax,50ax…光源装置の光軸、12,52…発光管、14,54…楕円面リフレクタ、16,56…補助ミラー、18,58…凹レンズ、20,60…偏光分離光学素子、22,62,142…偏光分離面、24,64,144…反射面、30,70,146…λ/2板、40,80…偏光光源装置、90…偏光ビームコンバイナ、92…偏光合成面、94…(偏光ビームコンバイナの)第1の光入射面、96…(偏光ビームコンバイナの)第2の光入射面、100,100a,100b,104,106…照明装置、100ax,104ax,106ax…照明光軸、110,166,300R,300G,300B…集光レンズ、120,120B,120C…インテグレータロッド、132…反射層、134…λ/4板、136…反射型偏光板、140…偏光変換素子、150…カラーホイール、152R,152G,152B…カラーフィルタ、152W…透光領域、154…モータ、160…リレー光学系、162,170,270…リレーレンズ、164,230,240,250…反射ミラー、180…色分離合成光学系、200…色分離導光光学系、210,220…ダイクロイックミラー、260…入射側レンズ、400,400R,400G,400B…マイクロミラー型光変調装置、410R,410G,410B…液晶装置、500…クロスダイクロイックプリズム、600,610…投写光学系、600ax…投写光軸、1000,1002,1004,1006…プロジェクタ、C…光学接着剤、SCR…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光入射面と第2の光入射面とを有する偏光ビームコンバイナと、
前記第1の光入射面に配置され、第1の偏光成分に係る照明光束を射出する第1の偏光光源装置と、
前記第2の光入射面に配置され、前記第1の偏光成分に係る照明光束とは異なる偏光軸を有する第2の偏光成分に係る照明光束を射出する第2の偏光光源装置と、
前記偏光ビームコンバイナからの照明光束を集束光に変換して射出する集光レンズと、
前記集光レンズからの照明光束をより均一な強度分布を有する光に変換するインテグレータロッドとを備え、
前記第1の偏光光源装置は、
略平行な照明光束を射出する第1の光源装置と、前記第1の光源装置からの照明光束のうち第1の偏光成分に係る照明光束を透過し第2の偏光成分に係る照明光束を反射する第1の偏光分離面及び前記第1の偏光分離面で反射された第2の偏光成分に係る照明光束を前記第1の偏光分離面を透過した第1の偏光成分に係る照明光束に平行な方向に向けて反射する第1の反射面を有する第1の偏光分離光学素子と、前記第1の偏光分離光学素子の光射出面における第2の偏光成分に係る照明光束が射出される位置に配置され、第2の偏光成分に係る照明光束を第1の偏光成分に係る照明光束に変換する第1の位相差板とを有し、前記第1の光源装置からの照明光束を第1の偏光成分に係る照明光束として前記偏光ビームコンバイナの前記第1の光入射面に向けて射出し、
前記第2の偏光光源装置は、
略平行な照明光束を射出する第2の光源装置と、前記第2の光源装置からの照明光束のうち第1の偏光成分に係る照明光束を透過し第2の偏光成分に係る照明光束を反射する第2の偏光分離面及び前記第2の偏光分離面で反射された第2の偏光成分に係る照明光束を前記第2の偏光分離面を透過した第1の偏光成分に係る照明光束に平行な方向に向けて反射する第2の反射面を有する第2の偏光分離光学素子と、前記第2の偏光分離光学素子の光射出面における第1の偏光成分に係る照明光束が射出される位置に配置され、第1の偏光成分に係る照明光束を第2の偏光成分に係る照明光束に変換する第2の位相差板とを有し、前記第2の光源装置からの照明光束を第2の偏光成分に係る照明光束として前記偏光ビームコンバイナの前記第2の光入射面に向けて射出し、
前記偏光ビームコンバイナは、前記第1の偏光光源装置から射出される第1の偏光成分に係る照明光束と前記第2の偏光光源装置から射出される第2の偏光成分に係る照明光束とを合成して射出することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記第1の光源装置は、第1の楕円面リフレクタと、前記第1の楕円面リフレクタの第1焦点近傍に発光中心を有する第1の発光管と、前記第1の楕円面リフレクタからの集束光を前記第1の偏光分離光学素子の光入射面における前記第1の偏光分離面に対応する位置に向けて射出する第1の凹レンズとを有し、
前記第2の光源装置は、第2の楕円面リフレクタと、前記第2の楕円面リフレクタの第1焦点近傍に発光中心を有する第2の発光管と、前記第2の楕円面リフレクタからの集束光を前記第2の偏光分離光学素子の光入射面における前記第2の偏光分離面に対応する位置に向けて射出する第2の凹レンズとを有することを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の照明装置において、
前記第1の発光管には、前記第1の発光管から被照明領域側に射出される光を前記第1の発光管に向けて反射する第1の反射手段が設けられ、
前記第2の発光管には、前記第2の発光管から被照明領域側に射出される光を前記第2の発光管に向けて反射する第2の反射手段が設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の照明装置において、
前記偏光ビームコンバイナの前記第1の光入射面と、前記第1の偏光光源装置における光射出面とは接着され、
前記偏光ビームコンバイナの前記第2の光入射面と、前記第2の偏光光源装置における光射出面とは接着されていることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の照明装置において、
前記第1の偏光分離光学素子の光入射面と、前記第1の光源装置における前記第1の凹レンズの光射出面とは接着され、
前記第2の偏光分離光学素子の光入射面と、前記第2の光源装置における前記第2の凹レンズの光射出面とは接着されていることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の照明装置において、
前記偏光ビームコンバイナと前記第1の偏光分離光学素子、前記第1の偏光分離光学素子と前記第1の凹レンズ、前記偏光ビームコンバイナと前記第2の偏光分離光学素子、及び前記第2の偏光分離光学素子と前記第2の凹レンズは、それぞれ離隔して配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の照明装置において、
前記インテグレータロッドの光入射面には、中央部に光入射のための開口部を有する反射層が配置され、
前記インテグレータロッドの光射出面には、光進行方向に沿ってλ/4板と反射型偏光板とがこの順序で配置されていることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の照明装置において、
前記インテグレータロッドの光入射側に配置され、前記集光レンズからの照明光束を略1種類の直線偏光成分を有する光束に変換する偏光変換素子をさらに備えることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の照明装置と、
前記照明装置からの光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、
前記電気光学変調装置により変調された光を投写する投写光学系とを備えることを特徴とするプロジェクタ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図1】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−193118(P2007−193118A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11393(P2006−11393)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】