熱インプリント用モールドおよびこのモールドを用いた光学素子の製造方法
【解決手段】本発明の熱インプリント用モールドは、モールド基板の略中央部に、ナノオーダーの凹凸を有する転写部を有し、該転写部の周囲には被転写部材である基板と該モールドが接触した際に、該基板とモールドとの間にある空気を排出するために、モールドに形成された凹部の底部よりもさらに50μm〜1mm低く形成された切欠き部を有することを特徴とし、この熱インプリント用モールドを用いた光学素子の製造方法を提供する。
【効果】本発明の熱インプリント用モールドによれば、モールドと透明樹脂基板との間にある空気を効率よく排気することができるので、分光素子に残留空気の残痕が残りにくく、転写精度のよい分光素子が得られる。
【効果】本発明の熱インプリント用モールドによれば、モールドと透明樹脂基板との間にある空気を効率よく排気することができるので、分光素子に残留空気の残痕が残りにくく、転写精度のよい分光素子が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱インプリント時にインプリントパターン中に取り込まれる空気によって形成されるパターンの欠けあるいは変形が生じない熱インプリント用モールドおよびこの熱インプリント用モールドを用いて光学素子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、科学技術の発達に伴って、さまざまな分野で微細な光学素子が必要とされるようになってきている。中でも通信分野では情報の伝達が電波から光へと変わりつつあり、多重化して送信される光を波長分離するために波長分波光学素子が使用されており、このような光学素子ではより高い転写精度が求められている。
【0003】
従来、このような光学素子は、ガラス基板上に無機物を蒸着、あるいは、石瑛、ガラスなどの透明部材を電子ブーム露光、エッチング加工して製造されていたが、このような方法では製造工程が煩雑で大量生産が困難であるため、コストが非常に高くなっていた。
【0004】
そこで、近年、より簡単な製造方法として熱インプリントによる光学素子の製造方法が提案されている。熱インプリントでは、光学素子を作成するためのモールドを作成し、光学素子を形成する被転写樹脂に該モールドを押圧することで光学素子を作成することが可能であり、光学素子をより安価で大量に生産することが可能となる。
【0005】
しかしながら、作成する光学素子により微細なパターンが必要とされるにしたがって、必要とされるモールドパターンのピッチ幅もナノオーダーとなり、モールド押圧時にパターン内に残存する空気に起因するパターンの変形や欠けが生ずるようになり、高い転写精度が要求される光通信の分野では大きな問題になっている。
【0006】
このような残存空気によるパターンの変形、欠けを防止するために、真空下でモールド押圧を行うことが知られているが、真空にするために大がかりな設備、装置を必要とするためコストが高くなってしまうという問題があった。
【0007】
その他の方法としては、特許文献1(特開2007-42715号公報)の請求項1には「インプリント用モールドに形成された凹凸状のパターンをレジスト層形成基板のレジスト層に転写するインプリント法に使用するインプリント用モールドであって、前記インプリント用モールドの凹凸状のパターンの凹部にマイクロトレンチ(微小凹部)が形成されていることを特徴とするインプリント用モールド。」という発明が開示されている。熱インプリント用モールドの凹部にマイクロトレンチ(微小凹部)を形成することにより、残存空気が該マイクロトレンチに入り込むため、パターンの変形や欠けは抑制され転写精度は向上するこのの、非常に微細な熱インプリント用モールドの奥にさらにマイクロトレンチ(微小凹部)を形成する必要があり、こうしたマイクロトレンチを有するモールドを形成すること自体が非常に難しいとの問題がある。
【0008】
また、特許文献2(特開2006-289684号公報)、特許文献3(特開2007-190734号公報)には、台座の上にモールドを載置してインプリントを行うことが記載されており、こうした台座にモールドを載置することにより、台座とモールドとの間に間隙が生ずることがあるが、これらの特許文献においてはこのような間隙を用いて空気抜きをして精度の高い波長分波分光素子を形成するという解決課題が示されていない。従って、特許文献2、特許文献3においては、熱インプリント法により波長分波分光素子を製造する際に、空気の影響をなくするためにどのような構成を採用すべきか具体的な開示はない。
【特許文献1】特開2007-42715号公報
【特許文献2】特開2006-289684号公報
【特許文献3】特開2007-190734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、波長分波光学素子のような表面に非常に微細な凹凸を有する光学素子を、熱インプリント法で作成するためのモールドであって、モールドとパターンを転写される基材との接触の際に、両者の間にある空気を効率よく排気して、残留空気により転写パターンの変形や欠けなどが発生しにくい熱インプリント用モールドを提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、上記のような熱インプリント用モールドを用いて微細パターンを有する光学素子、例えば波長分波光学素子を製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の熱インプリント用モールドは、モールド基板の略中央部に、ナノオーダーの凹凸を有する転写部を有し、該転写部の周囲には被転写部材である基板と該モールドが接触した際に、該基板とモールドとの間にある空気を排出するために、モールドに形成された凹部の底部よりもさらに50μm〜1mm低く形成された切欠き部を有することを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明の例えば波長分波光学素子のような光学素子の製造方法は、基材の表面にナノオーダーの多数の突起を有するモールドを当接して、加熱下に加圧して、該モールドに形成された凹凸を基材表面に転写する光学素子の製造方法であって、
上記モールド基板の略中央部に、基板表面に形成されるナノオーダーの凹凸からなる突起に対応する凹凸を設けた転写部を用い、該転写部の周囲には基板と該モールドが接触した際に、該基板とモールドとの間にある空気を排出するために、モールド形成された凹部の底部よりもさらに50μm〜1mm低く形成された切欠き部を有する熱インプリント用モールドを基板と加熱下に接触させて、モールドに形成された凹凸を基板表面に転写することを特徴としている。
【0013】
本発明の熱インプリント用モールドには、上記モールドに形成された多数の凹凸が形成されたパターン領域の最外側の凸部または凹部が空白領域を形成しており、該空白領域を形成する凸部の空白領域の面積または凹部の空白領域とパターン領域の面積の合計面積が、パターン領域の面積に対して1.1〜30倍の範囲内にあることが好ましい。
【0014】
本発明の熱インプリント用モールドには、基板とモールドとの間にある空気を効率よく抜き出すために、モールド自体に空気抜き用の切欠き部を形成している。さらに、このモールドに形成された多数の凹凸が形成されたパターン領域の最外側の凸部または凹部が空白領域を形成することにより、より効率よく空気を排気することができ、残留空気により、形成される突起の変形あるいは歪みなどが発生しにくい。特にパターン領域の最外側の凸部または凹部が空白領域を形成することにより、より高い精度で突起を転写することができる。
【0015】
したがって、形成された突起の形状がモールドに形成された凹凸の形状と完全一致するので、本発明の製造方法で得られる波長分波光学素子は、分波される波長の光と、分波しようとした波長の光との間にずれが生じない。
【発明の効果】
【0016】
本発明のインプリント用モールドを用いることにより、モールドと基板との間に存在する空気を切欠き部から容易に排気することができ、形成される突起の形状が、モールドの形状と完全に一致し、突起の形成周期にずれが生じない。特にこうした残存空気により突起の形状が変形することがなく、突起の形成周期ずれが生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明の熱インプリント用モールドおよびこの熱インプリント用モールドを用いて製造される光学素子、例えば波長分波分光素子の製造法について具体的に説明する。
図1および図2に示すように、本発明の熱インプリント用モールド10は、モールド基台12とこのインプリント用モールド10の表面に形成された凸部14と凹部16とを有している。
【0018】
従来のモールドでは、図11に示すように、モールド基台12の表面に凸部14が形成されており、この凸部14と隣接する凸部14との間が凹部16であった。
従って、モールド基台12に基板を押し付けてモールド12に形成された凹凸を基板に転写しようとすると、モールド12の中心部分付近の空気が抜けにくく、転写された凹凸に残留空気痕が残ることがあり、形成された突起の変形、歪みなどが生ずる。
【0019】
本発明の熱インプリント用モールドでは、たとえば図11に示されているようなモールド基台12の転写用の凹凸が形成されていない部分のモールド基台を除去して、この部分から残留空気が抜けるようにしている。図1および図2において、二点鎖線21で示した空隙部分が切欠き部20である。この切欠き部20の深さSは、50μm〜1mm、好ましくは、200μm〜750μmである。因みに、モールド基台12の上に形成される凹凸部の高さHは、通常は200〜600nm、好ましくは300〜450nmである。
【0020】
このような深さで切欠き部20を形成することにより、転写時に非常に効率よく排気を行うことができる。この切欠き部が50μmを下回ると、形成されるパターンに欠けあるいは歪が発生する。また1mm(1000μm)を超えるとモールド自体の形成が困難になる。
【0021】
さらに本発明の熱インプリント用モールドでは、モールドに形成された多数の凹凸が形成されたパターン領域の最外側の凸部25またはパターン領域の最外側の凹部23に空白領域23,25が形成されていることが好ましい。図3には、空白領域に斜線が付されて示されており、この空白領域には付け番23が付されている。例えば図3に示すような凸部25の空白領域の面積、あるいは、凹部23の空白領域とパターン領域との合計の面積は、多数の凹凸からなるパターン領域の面積に対して通常は、1.1〜30倍の範囲内、好ましくは1.5〜30倍の範囲内、さらに好ましくは2〜20倍の範囲内にある。
【0022】
このよう面積比率で空白領域23,25を形成することにより、より効率よく残存空気を除去することができる。この余白領域の面積とパターン領域(転写部が形成されている部分)の面積との合計面積の、パターン領域に対する面積比率は、形成された突起の形状に大変大きな影響を及ぼし、この面積が1.1倍を下回ると、形成されるパターン領域の有効面積が小さくなり、また35倍を超えると形成されるパターンに歪が発生しやすくなる傾向があり、この比率の上限値は、通常は30倍、好適には20倍である。
【0023】
空白領域23には、図1に示す転写部の凹部の底の高さレベルと同じ高さレベルを有する空白領域と、図2に示すように転写部の凸部の頂部の高さレベルと同じ高さレベルを有する空白領域25とがあるが、本発明では、いずれのタイプの空白領域であっても、良好に残留空気の排気を行うことができる。
【0024】
波長分波光学素子において、入射光の束から特定波長の光を分波するためには、基板の屈折率が大きく影響するとともに、モールドによって形成される突起のピッチ幅によって、分波される光の波長が異なることから、微量の空気の残存によって、基板に形成される突起のピッチ幅などがわずかにずれると、分波される光の波長にずれが生ずる。上記のように適切に切欠き部および空白領域を形成したモールドを使用して波長分波光学素子を製造することにより、こうした波長分波光学素子の分波精度が非常に良くなる。
【0025】
なお、上記のような適正に切欠き部20および空白領域23,25が形成されたモールド基台12の厚さは、図6、図7に示すように、モールド基台12を取り付けるプレス基台50を考慮して適宜設定することができる。
【0026】
また、モールド基台12の形成する凸部14、および凹部16は、図4に示すように、角柱状の突起(凸部)14を形成するように角柱状の凸部14が形成されていてもよいし、図5に示すように断面矩形の凸条であってもよい。
【0027】
このようなモールドは、硬質部材、たとえば金属、石英あるいはガラスなどで形成されている。このような素材からなるモールド基台からなるモールドは、たとえば、ダイヤモンドカッターあるいはレーザー光等を用いてモールド基台を切削することにより製造することができる。
【0028】
次に本発明による熱インプリント用モールドを用いた光学素子の製造法について、波長分波光学素子を例にして具体的に説明する。
本発明のインプリント用モールドは、図6、図7に示すように、プレス基台50に固定して使用する。このプレス基台50は、上下動可能な駆動軸60に固定されている。
【0029】
このようなプレス基台50の下部には、基材固定基部40が備え付けられており、この基材固定基部40上には基板30が載置されている。
ここで使用する基板としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂やガラスが挙げられる。
【0030】
本発明の波長分波光学素子を製造するに際しては、モールドと基板との間に空気が残存しないように、モールドと基板とを接触させて、熱時、モールドと基板との間にある空気をできるだけ少なくすることが好ましい。両者の接触は常圧で行うことができるが、減圧下で行ってもよい。
【0031】
このとき基板は、通常は使用する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度、好ましくは70〜180℃、特に好ましくは100〜140℃、またはガラスの融点よりも高い温度に温度に設定して、モールドが基板内に侵入することができるように加熱下に加圧する。
【0032】
このようにして製造された波長分波光学素子は、モールドに空気抜き用の切欠き部を形成することによりモールドと基板との間の空気が抜け易くなり0.06hPa〜1013hPaの空気存在下で、モールドと基板とを接触させても空気が残存することがなく、残存空気によるパターンの変形が生じないので、突起が直角に立ち上がり、形成される突起のピッチが乱れることがない。
【0033】
このようして製造される波長分波光学素子は、図4および図5に示されるモールド基板12に形成された凸部14の幅をLとすると、両側に隣接する凸部との間隔は、通常は前記Lに対して2L以内であることが好ましい。
【0034】
また、波長分波光学素子を形成する基板30として、屈折率の異なる複数の透明合成樹脂の積層体を使用することが可能であり、図6、図7には、屈折率の異なる三種類の透明樹脂が積層された積層体を用いた態様が示されている。
【0035】
本発明における波長分波光学素子の製造には、単層の基板を用いることもできるが、用いられる基板が、少なくとも透明基板37と透明樹脂中間層35と、透明樹脂トップ層31の三層構造を有することが好ましい。
【0036】
上記三層構造からなる波長分波光学素子のトップ層の屈折率(n2)と、透明樹脂中間層の屈折率(n1)との差(n2−n1)が0.06〜0.25、好ましくは0.1〜0.2の範囲内になるように樹脂を選択することが好ましい。
【0037】
さらに、上記三層構造の透明樹脂の透明基板層の屈折率(n0)と透明樹脂中間層の屈折率(n1)との差(n0−n1)が、通常は−0.1〜0.3、好ましくは0〜0,15の範囲内になるように樹脂を選択することが好ましい。
【0038】
さらに、モールドに形成されたときの幅Wは、通常650〜680nm、好ましくは665〜675nmの範囲内にある、また、隣接する突起との間の凹部の幅Gは、通常は350〜380nm、好ましくは355〜365nmの範囲にある。
【0039】
このような波長分波光学素子を製造するためのモールドの凹凸パターンは、波長分波分光素子の凸部と凹部(それぞれ、モールドの凹部、凸部)との合計体積に対する、凸部の占有体積(フィルファクター;FF)が0.07〜0.95の範囲内になるように、凹凸パターンを形成することが好ましい。
【0040】
このような波長分波光学素子の製造において、本発明の空気抜き用の切欠き部を形成したモールドを使用することにより、モールドと光学素子を形成する樹脂基板との間の空気が抜けやすくなり、6Pa〜101.3kPaのような空気が存在する環境下で熱インプリントを行っても、空気が排出される。従って、形成される波長分波光学素子の凸部表面に残存空気による変形や欠けを生じないため、凸部の表面による屈折率変化が生ぜず、分波される光の波長がずれることがない。
【0041】
このように本発明のモールドを使用した光学素子の製造法では、微細パターンを有する光学素子を、真空装置のような大がかりな設備を必要とすることなく、熱インプリント法という簡易な方法により、転写精度よく大量に製造することができる。
【実施例】
【0042】
〔実施例1〕
厚さ1mmで4インチ角の金属シリコンに、3mm角のパターン領域を形成して、このパターン領域の周囲に10mmの糊しろを残してダイヤモンドカッターで金属シリコンをカットして、11.2mm角の小モールド(モールド基台)を作成した。
【0043】
この小モールドの中央部の表面に、ピッチ幅(P)が1030nm、突起の幅(W)が360nm、ギャップ幅(G)が670nmであり、高さが310nmの突起を形成した。
上記のようにして突起を形成した小モールドの周囲をダイヤモンドカッターで500μmの深さに切削して空白領域の周囲に空気を抜くための切欠き部を設けた。このようにして形成された空白領域の面積と凹凸形成領域の面積との合計は、凹凸が形成されている部分の面積の15倍であった。
【0044】
これとは別に、基材フィルム100μmのPETフィルムからなる透明基板層37の表面に膜厚3μmのポリメチルメタクリレートからなる透明樹脂中間層35を形成し、この透明樹脂中間層35の上にポリスチレンからなる厚さ0.85μmの透明樹脂トップ層31を積層した三層構造の透明な樹脂基板30を製造した。
【0045】
この透明な樹脂基板30を基材固定基部40の上に載置し固定した。
この基板固定部が載置された装置内には、モールド基台12を取り付けるプレス基台50が設置されており、このプレス基台50に、上記のようにして製造したモールド基台12を取り付けた。
【0046】
この装置内の気圧を1013hPaに維持した状態で、基材固定基部40に載置固定された透明樹脂基板を140℃に加熱して、プレス基台に固定されたモールド基台を透明樹脂基板に1MPaの圧力で300秒間当接してモールド基台の表面に形成された凹凸を透明樹脂基板の透明樹脂トップ層31の表面に転写し、透明樹脂基板の温度が110℃にまで降下した時点で基材固定基部40を透明樹脂基板から離型した。
【0047】
得られた波長分波光学素子の表面を電子顕微鏡を用いて観察した。その結果、透明樹脂トップ層31の表面に、ピッチ幅(P)が1030mm、突起の幅(w)が360mmで高さ310nmの格子状の突起が形成されているのが確認された。この突起は、透明樹脂トップ層31の表面から垂直に立設されており、透明樹脂トップ層と突起との境界線に残留空気によるえぐれなどは観察されなかった。
【0048】
なお、形成された突起の欠陥は、得られたモールドを使用して熱プリントをした部材を光学顕微鏡で観察することにより目視観察して評価した。
〔実施例2〕
実施例1において、モールド基台に形成する凸部を、図5に示すように、凸条にした以外は同様にしてインプリント用モールドを形成した。この凸条のピッチ(P)は1030nmであり、高さ(H)は、310nmである。
【0049】
上記のようなモールド基材を用いて形成した波長分波分光素子の電子顕微鏡写真を図9(a)に示す。
上記のモールドは、凹凸が形成されている部分から外側に100μmの空白領域が形成されており、この空白領域と凹凸が形成されている部分の面積との合計の面積は、凹凸が形成されている部分の15倍である。
【0050】
このように凸条が形成された部分の外側に残留空気による痕跡は認められなかったが、このような切欠き部を形成しなかった例えば図11に示すようなモールド基台を用いて同一の条件で製造した波長分波分光素子の凸条の周囲には、図8(b)に示すように、残留空気痕が認められた。
【0051】
また図9に示すように、さらに拡大して形成された凸条の端部にも残留空気による非転写部があることがわかった。
また、形成された凸条の部分をさらに拡大して観察すると、図10(a)に示すように、モールド基台に空白領域を形成した基台を用いて製造された波長分波分光素子の凸条は、透明樹脂トップ層を形成する樹脂から垂直に形成されていることがわかる。これに対して、切欠き部を形成しなかったモールド基台を用いて製造されたは波長分波分光素子では、図10(b)に示すように、凸条の部分に残留空気による透明樹脂トップ層のえぐれが認められた。このように透明樹脂トップ層にえぐれ部が生ずると、形成した凸条のピッチ幅が一定ではなくなるため、分波しようとする光の波長と、分波された光の波長との間にずれが生ずる。
〔実施例3〕
実施例2において、切欠き部の高さを750μmにした以外は同様にして熱インプリント用モールドを形成した。このモールドに形成されている空白領域の面積とパターン領域の面積との合計を、凹凸部が形成されている面積に対して15倍に相当する。
【0052】
上記のようにして製造されたモールドを用いて、実施例2と同様に波長分波光学素子を製造したが、形成されたパターンに欠けあるいは歪は全く認められなかった。
〔実施例4〕
実施例2において、切欠き部の高さを500μmとし、モールドに形成されている空白領域の面積とパターン領域の面積との合計を、凹凸部が形成されている面積の5倍にした以外は実施例2と同様に熱インプリント用モールドを製造した。
【0053】
上記のようにして製造されたモールドを用いて、実施例2と同様に波長分波光学素子を製造したが、形成されたパターンに欠けあるいは歪は全く認められなかった。
〔実施例5〕
実施例2において、切欠き部の高さを500μmとし、モールドに形成されている空白領域の面積とパターン領域の面積との合計を凹凸部が形成されている面積の25倍にした以外は実施例2と同様に熱インプリント用モールドを製造した。
【0054】
上記のようにして製造されたモールドを用いて、実施例2と同様に波長分波光学素子を製造したが、形成されたパターンに欠けあるいは歪は全く認められなかった。
〔実施例6〕
実施例2において、切欠き部の高さを500μmとし、モールドに形成されている空白領域の面積をなくし、即ち、凹凸部が形成されている部分の周囲に余白領域を形成せずに、凹凸部が形成されている部分の面積を、凹凸部が形成されている面積の1倍にした以外は実施例2と同様に熱インプリント用モールドを製造した。
【0055】
上記のようにして製造されたモールドを用いて、実施例2と同様に波長分波光学素子を製造したが、パターンの有効面積が小さくなった。
〔実施例7〕
実施例2において、切欠き部の高さを500μmとし、モールドに形成されている空白領域の面積とパターン領域の面積との合計を、凹凸部が形成されている面積の35倍にした以外は実施例2と同様に熱インプリント用モールドを製造した。
【0056】
上記のようにして製造されたモールドを用いて、実施例2と同様に波長分波光学素子を製造したが、形成されたパターンに僅かに歪がみられた。
〔比較例1〕
実施例2において、切欠き部の高さを20μmとし、モールドに形成されている空白領域の面積とパターン領域の面積との合計を、凹凸部が形成されている面積の15倍にした以外は実施例2と同様に熱インプリント用モールドを製造した。
【0057】
上記のようにして製造されたモールドを用いて、実施例2と同様に波長分波光学素子を製造したが、形成されたパターンに明らかに欠けおよび歪が観察された。
上記の実施例および比較例の結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
註) 評価方法;
得られたモールドを使用して熱プリントした部材を光学顕微鏡で観察
部材にインプリントされたパターンを目視で評価した。
AA:パターンの欠けあるいは歪が全く見られない。
BB:パターンの歪がわずかに見られる。
CC:パターンのかけや歪が明らかに見られる。
AA*:パターンの欠けあるいは歪が全く見られない。
【0060】
但し、パターンの有効面積が小さくなった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のインプリント用モールドは、光学素子に凸部を形成するための凹凸が形成された部分の外側に、基板とモールドとの間の空気を除去するための切欠き部が形成されている。このように切欠き部を形成することにより、熱時、基板にモールドを当接して加圧してモールドに形成された凹凸形状を透明樹脂基板の透明樹脂トップ層の表面に転写する際に、基板とモールドとの間の空気が円滑に除去されるので、残留空気による痕跡が光学素子に残りにくく、非常に転写精度の高い光学素子を得ることができる。
【0062】
そして、このような残留空気を除去するための切欠き部を有するモールドを用いると、空気の存在下であっても、基板にモールドに形成された凹凸を転写することにより、設計値と実際の分波波長との間にずれのない波長分波分光素子などの分光素子を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明のインプリント用モールドの断面の例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明のインプリント用モールドの断面の他の態様例を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明のモールドに形成される空白領域の例を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明のインプリント用モールドに形成される凹凸の態様の例を示す図である。
【図5】図5は、本発明のインプリント用モールドに形成される凹凸の態様の他の例を示す図である。
【図6】図6は、本発明のインプリント用モールドを使用して分光素子を製造する際の例を示す図である。
【図7】図7は、本発明のインプリント用モールドを使用して分光素子を製造する際の他の態様例を示す図である。
【図8】図8は、本発明のインプリント用モールドを用いて製造された波長分波分光素子の電子顕微鏡写真であり、(a)は、インプリント用モールドに切欠き部を形成して製造された波長分波分光素子の表面状態であり、(b)は、切欠き部を形成しなかったインプリント用モールドを用いて製造された波長分波分光素子の表面の状態を示す電子顕微鏡写真である。
【図9】図9は、切欠き部を形成しなかったインプリント用モールドを用いて形成された波長分波分光素子の凸条の端部を拡大して残存空気の痕跡が形成された状態を示す電子顕微鏡写真である。
【図10】図10(a)は、切欠き部を形成したインプリント用モールドを用いて形成された波長分波分光素子の凸条部分を拡大して示す電子顕微鏡写真であり、図10(b)は、切欠き部が形成されていないインプリント用モールドを用いて形成された波長分波分光素子の凸条部分を拡大して示す電子顕微鏡写真である。
【図11】図11は、従来のインプリント用モールドの例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10・・・インプリント用モールド
12・・・モールド基台
14・・・凸部
16・・・凹部
20・・・切欠き部
23・・・空白領域
25・・・空白領域
30・・・樹脂基板
31・・・透明樹脂トップ層
35・・・透明樹脂中間層
37・・・透明基板層
40・・・樹脂基材固定基部
50・・・プレス基台
60・・・駆動軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱インプリント時にインプリントパターン中に取り込まれる空気によって形成されるパターンの欠けあるいは変形が生じない熱インプリント用モールドおよびこの熱インプリント用モールドを用いて光学素子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、科学技術の発達に伴って、さまざまな分野で微細な光学素子が必要とされるようになってきている。中でも通信分野では情報の伝達が電波から光へと変わりつつあり、多重化して送信される光を波長分離するために波長分波光学素子が使用されており、このような光学素子ではより高い転写精度が求められている。
【0003】
従来、このような光学素子は、ガラス基板上に無機物を蒸着、あるいは、石瑛、ガラスなどの透明部材を電子ブーム露光、エッチング加工して製造されていたが、このような方法では製造工程が煩雑で大量生産が困難であるため、コストが非常に高くなっていた。
【0004】
そこで、近年、より簡単な製造方法として熱インプリントによる光学素子の製造方法が提案されている。熱インプリントでは、光学素子を作成するためのモールドを作成し、光学素子を形成する被転写樹脂に該モールドを押圧することで光学素子を作成することが可能であり、光学素子をより安価で大量に生産することが可能となる。
【0005】
しかしながら、作成する光学素子により微細なパターンが必要とされるにしたがって、必要とされるモールドパターンのピッチ幅もナノオーダーとなり、モールド押圧時にパターン内に残存する空気に起因するパターンの変形や欠けが生ずるようになり、高い転写精度が要求される光通信の分野では大きな問題になっている。
【0006】
このような残存空気によるパターンの変形、欠けを防止するために、真空下でモールド押圧を行うことが知られているが、真空にするために大がかりな設備、装置を必要とするためコストが高くなってしまうという問題があった。
【0007】
その他の方法としては、特許文献1(特開2007-42715号公報)の請求項1には「インプリント用モールドに形成された凹凸状のパターンをレジスト層形成基板のレジスト層に転写するインプリント法に使用するインプリント用モールドであって、前記インプリント用モールドの凹凸状のパターンの凹部にマイクロトレンチ(微小凹部)が形成されていることを特徴とするインプリント用モールド。」という発明が開示されている。熱インプリント用モールドの凹部にマイクロトレンチ(微小凹部)を形成することにより、残存空気が該マイクロトレンチに入り込むため、パターンの変形や欠けは抑制され転写精度は向上するこのの、非常に微細な熱インプリント用モールドの奥にさらにマイクロトレンチ(微小凹部)を形成する必要があり、こうしたマイクロトレンチを有するモールドを形成すること自体が非常に難しいとの問題がある。
【0008】
また、特許文献2(特開2006-289684号公報)、特許文献3(特開2007-190734号公報)には、台座の上にモールドを載置してインプリントを行うことが記載されており、こうした台座にモールドを載置することにより、台座とモールドとの間に間隙が生ずることがあるが、これらの特許文献においてはこのような間隙を用いて空気抜きをして精度の高い波長分波分光素子を形成するという解決課題が示されていない。従って、特許文献2、特許文献3においては、熱インプリント法により波長分波分光素子を製造する際に、空気の影響をなくするためにどのような構成を採用すべきか具体的な開示はない。
【特許文献1】特開2007-42715号公報
【特許文献2】特開2006-289684号公報
【特許文献3】特開2007-190734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、波長分波光学素子のような表面に非常に微細な凹凸を有する光学素子を、熱インプリント法で作成するためのモールドであって、モールドとパターンを転写される基材との接触の際に、両者の間にある空気を効率よく排気して、残留空気により転写パターンの変形や欠けなどが発生しにくい熱インプリント用モールドを提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、上記のような熱インプリント用モールドを用いて微細パターンを有する光学素子、例えば波長分波光学素子を製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の熱インプリント用モールドは、モールド基板の略中央部に、ナノオーダーの凹凸を有する転写部を有し、該転写部の周囲には被転写部材である基板と該モールドが接触した際に、該基板とモールドとの間にある空気を排出するために、モールドに形成された凹部の底部よりもさらに50μm〜1mm低く形成された切欠き部を有することを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明の例えば波長分波光学素子のような光学素子の製造方法は、基材の表面にナノオーダーの多数の突起を有するモールドを当接して、加熱下に加圧して、該モールドに形成された凹凸を基材表面に転写する光学素子の製造方法であって、
上記モールド基板の略中央部に、基板表面に形成されるナノオーダーの凹凸からなる突起に対応する凹凸を設けた転写部を用い、該転写部の周囲には基板と該モールドが接触した際に、該基板とモールドとの間にある空気を排出するために、モールド形成された凹部の底部よりもさらに50μm〜1mm低く形成された切欠き部を有する熱インプリント用モールドを基板と加熱下に接触させて、モールドに形成された凹凸を基板表面に転写することを特徴としている。
【0013】
本発明の熱インプリント用モールドには、上記モールドに形成された多数の凹凸が形成されたパターン領域の最外側の凸部または凹部が空白領域を形成しており、該空白領域を形成する凸部の空白領域の面積または凹部の空白領域とパターン領域の面積の合計面積が、パターン領域の面積に対して1.1〜30倍の範囲内にあることが好ましい。
【0014】
本発明の熱インプリント用モールドには、基板とモールドとの間にある空気を効率よく抜き出すために、モールド自体に空気抜き用の切欠き部を形成している。さらに、このモールドに形成された多数の凹凸が形成されたパターン領域の最外側の凸部または凹部が空白領域を形成することにより、より効率よく空気を排気することができ、残留空気により、形成される突起の変形あるいは歪みなどが発生しにくい。特にパターン領域の最外側の凸部または凹部が空白領域を形成することにより、より高い精度で突起を転写することができる。
【0015】
したがって、形成された突起の形状がモールドに形成された凹凸の形状と完全一致するので、本発明の製造方法で得られる波長分波光学素子は、分波される波長の光と、分波しようとした波長の光との間にずれが生じない。
【発明の効果】
【0016】
本発明のインプリント用モールドを用いることにより、モールドと基板との間に存在する空気を切欠き部から容易に排気することができ、形成される突起の形状が、モールドの形状と完全に一致し、突起の形成周期にずれが生じない。特にこうした残存空気により突起の形状が変形することがなく、突起の形成周期ずれが生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明の熱インプリント用モールドおよびこの熱インプリント用モールドを用いて製造される光学素子、例えば波長分波分光素子の製造法について具体的に説明する。
図1および図2に示すように、本発明の熱インプリント用モールド10は、モールド基台12とこのインプリント用モールド10の表面に形成された凸部14と凹部16とを有している。
【0018】
従来のモールドでは、図11に示すように、モールド基台12の表面に凸部14が形成されており、この凸部14と隣接する凸部14との間が凹部16であった。
従って、モールド基台12に基板を押し付けてモールド12に形成された凹凸を基板に転写しようとすると、モールド12の中心部分付近の空気が抜けにくく、転写された凹凸に残留空気痕が残ることがあり、形成された突起の変形、歪みなどが生ずる。
【0019】
本発明の熱インプリント用モールドでは、たとえば図11に示されているようなモールド基台12の転写用の凹凸が形成されていない部分のモールド基台を除去して、この部分から残留空気が抜けるようにしている。図1および図2において、二点鎖線21で示した空隙部分が切欠き部20である。この切欠き部20の深さSは、50μm〜1mm、好ましくは、200μm〜750μmである。因みに、モールド基台12の上に形成される凹凸部の高さHは、通常は200〜600nm、好ましくは300〜450nmである。
【0020】
このような深さで切欠き部20を形成することにより、転写時に非常に効率よく排気を行うことができる。この切欠き部が50μmを下回ると、形成されるパターンに欠けあるいは歪が発生する。また1mm(1000μm)を超えるとモールド自体の形成が困難になる。
【0021】
さらに本発明の熱インプリント用モールドでは、モールドに形成された多数の凹凸が形成されたパターン領域の最外側の凸部25またはパターン領域の最外側の凹部23に空白領域23,25が形成されていることが好ましい。図3には、空白領域に斜線が付されて示されており、この空白領域には付け番23が付されている。例えば図3に示すような凸部25の空白領域の面積、あるいは、凹部23の空白領域とパターン領域との合計の面積は、多数の凹凸からなるパターン領域の面積に対して通常は、1.1〜30倍の範囲内、好ましくは1.5〜30倍の範囲内、さらに好ましくは2〜20倍の範囲内にある。
【0022】
このよう面積比率で空白領域23,25を形成することにより、より効率よく残存空気を除去することができる。この余白領域の面積とパターン領域(転写部が形成されている部分)の面積との合計面積の、パターン領域に対する面積比率は、形成された突起の形状に大変大きな影響を及ぼし、この面積が1.1倍を下回ると、形成されるパターン領域の有効面積が小さくなり、また35倍を超えると形成されるパターンに歪が発生しやすくなる傾向があり、この比率の上限値は、通常は30倍、好適には20倍である。
【0023】
空白領域23には、図1に示す転写部の凹部の底の高さレベルと同じ高さレベルを有する空白領域と、図2に示すように転写部の凸部の頂部の高さレベルと同じ高さレベルを有する空白領域25とがあるが、本発明では、いずれのタイプの空白領域であっても、良好に残留空気の排気を行うことができる。
【0024】
波長分波光学素子において、入射光の束から特定波長の光を分波するためには、基板の屈折率が大きく影響するとともに、モールドによって形成される突起のピッチ幅によって、分波される光の波長が異なることから、微量の空気の残存によって、基板に形成される突起のピッチ幅などがわずかにずれると、分波される光の波長にずれが生ずる。上記のように適切に切欠き部および空白領域を形成したモールドを使用して波長分波光学素子を製造することにより、こうした波長分波光学素子の分波精度が非常に良くなる。
【0025】
なお、上記のような適正に切欠き部20および空白領域23,25が形成されたモールド基台12の厚さは、図6、図7に示すように、モールド基台12を取り付けるプレス基台50を考慮して適宜設定することができる。
【0026】
また、モールド基台12の形成する凸部14、および凹部16は、図4に示すように、角柱状の突起(凸部)14を形成するように角柱状の凸部14が形成されていてもよいし、図5に示すように断面矩形の凸条であってもよい。
【0027】
このようなモールドは、硬質部材、たとえば金属、石英あるいはガラスなどで形成されている。このような素材からなるモールド基台からなるモールドは、たとえば、ダイヤモンドカッターあるいはレーザー光等を用いてモールド基台を切削することにより製造することができる。
【0028】
次に本発明による熱インプリント用モールドを用いた光学素子の製造法について、波長分波光学素子を例にして具体的に説明する。
本発明のインプリント用モールドは、図6、図7に示すように、プレス基台50に固定して使用する。このプレス基台50は、上下動可能な駆動軸60に固定されている。
【0029】
このようなプレス基台50の下部には、基材固定基部40が備え付けられており、この基材固定基部40上には基板30が載置されている。
ここで使用する基板としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂やガラスが挙げられる。
【0030】
本発明の波長分波光学素子を製造するに際しては、モールドと基板との間に空気が残存しないように、モールドと基板とを接触させて、熱時、モールドと基板との間にある空気をできるだけ少なくすることが好ましい。両者の接触は常圧で行うことができるが、減圧下で行ってもよい。
【0031】
このとき基板は、通常は使用する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度、好ましくは70〜180℃、特に好ましくは100〜140℃、またはガラスの融点よりも高い温度に温度に設定して、モールドが基板内に侵入することができるように加熱下に加圧する。
【0032】
このようにして製造された波長分波光学素子は、モールドに空気抜き用の切欠き部を形成することによりモールドと基板との間の空気が抜け易くなり0.06hPa〜1013hPaの空気存在下で、モールドと基板とを接触させても空気が残存することがなく、残存空気によるパターンの変形が生じないので、突起が直角に立ち上がり、形成される突起のピッチが乱れることがない。
【0033】
このようして製造される波長分波光学素子は、図4および図5に示されるモールド基板12に形成された凸部14の幅をLとすると、両側に隣接する凸部との間隔は、通常は前記Lに対して2L以内であることが好ましい。
【0034】
また、波長分波光学素子を形成する基板30として、屈折率の異なる複数の透明合成樹脂の積層体を使用することが可能であり、図6、図7には、屈折率の異なる三種類の透明樹脂が積層された積層体を用いた態様が示されている。
【0035】
本発明における波長分波光学素子の製造には、単層の基板を用いることもできるが、用いられる基板が、少なくとも透明基板37と透明樹脂中間層35と、透明樹脂トップ層31の三層構造を有することが好ましい。
【0036】
上記三層構造からなる波長分波光学素子のトップ層の屈折率(n2)と、透明樹脂中間層の屈折率(n1)との差(n2−n1)が0.06〜0.25、好ましくは0.1〜0.2の範囲内になるように樹脂を選択することが好ましい。
【0037】
さらに、上記三層構造の透明樹脂の透明基板層の屈折率(n0)と透明樹脂中間層の屈折率(n1)との差(n0−n1)が、通常は−0.1〜0.3、好ましくは0〜0,15の範囲内になるように樹脂を選択することが好ましい。
【0038】
さらに、モールドに形成されたときの幅Wは、通常650〜680nm、好ましくは665〜675nmの範囲内にある、また、隣接する突起との間の凹部の幅Gは、通常は350〜380nm、好ましくは355〜365nmの範囲にある。
【0039】
このような波長分波光学素子を製造するためのモールドの凹凸パターンは、波長分波分光素子の凸部と凹部(それぞれ、モールドの凹部、凸部)との合計体積に対する、凸部の占有体積(フィルファクター;FF)が0.07〜0.95の範囲内になるように、凹凸パターンを形成することが好ましい。
【0040】
このような波長分波光学素子の製造において、本発明の空気抜き用の切欠き部を形成したモールドを使用することにより、モールドと光学素子を形成する樹脂基板との間の空気が抜けやすくなり、6Pa〜101.3kPaのような空気が存在する環境下で熱インプリントを行っても、空気が排出される。従って、形成される波長分波光学素子の凸部表面に残存空気による変形や欠けを生じないため、凸部の表面による屈折率変化が生ぜず、分波される光の波長がずれることがない。
【0041】
このように本発明のモールドを使用した光学素子の製造法では、微細パターンを有する光学素子を、真空装置のような大がかりな設備を必要とすることなく、熱インプリント法という簡易な方法により、転写精度よく大量に製造することができる。
【実施例】
【0042】
〔実施例1〕
厚さ1mmで4インチ角の金属シリコンに、3mm角のパターン領域を形成して、このパターン領域の周囲に10mmの糊しろを残してダイヤモンドカッターで金属シリコンをカットして、11.2mm角の小モールド(モールド基台)を作成した。
【0043】
この小モールドの中央部の表面に、ピッチ幅(P)が1030nm、突起の幅(W)が360nm、ギャップ幅(G)が670nmであり、高さが310nmの突起を形成した。
上記のようにして突起を形成した小モールドの周囲をダイヤモンドカッターで500μmの深さに切削して空白領域の周囲に空気を抜くための切欠き部を設けた。このようにして形成された空白領域の面積と凹凸形成領域の面積との合計は、凹凸が形成されている部分の面積の15倍であった。
【0044】
これとは別に、基材フィルム100μmのPETフィルムからなる透明基板層37の表面に膜厚3μmのポリメチルメタクリレートからなる透明樹脂中間層35を形成し、この透明樹脂中間層35の上にポリスチレンからなる厚さ0.85μmの透明樹脂トップ層31を積層した三層構造の透明な樹脂基板30を製造した。
【0045】
この透明な樹脂基板30を基材固定基部40の上に載置し固定した。
この基板固定部が載置された装置内には、モールド基台12を取り付けるプレス基台50が設置されており、このプレス基台50に、上記のようにして製造したモールド基台12を取り付けた。
【0046】
この装置内の気圧を1013hPaに維持した状態で、基材固定基部40に載置固定された透明樹脂基板を140℃に加熱して、プレス基台に固定されたモールド基台を透明樹脂基板に1MPaの圧力で300秒間当接してモールド基台の表面に形成された凹凸を透明樹脂基板の透明樹脂トップ層31の表面に転写し、透明樹脂基板の温度が110℃にまで降下した時点で基材固定基部40を透明樹脂基板から離型した。
【0047】
得られた波長分波光学素子の表面を電子顕微鏡を用いて観察した。その結果、透明樹脂トップ層31の表面に、ピッチ幅(P)が1030mm、突起の幅(w)が360mmで高さ310nmの格子状の突起が形成されているのが確認された。この突起は、透明樹脂トップ層31の表面から垂直に立設されており、透明樹脂トップ層と突起との境界線に残留空気によるえぐれなどは観察されなかった。
【0048】
なお、形成された突起の欠陥は、得られたモールドを使用して熱プリントをした部材を光学顕微鏡で観察することにより目視観察して評価した。
〔実施例2〕
実施例1において、モールド基台に形成する凸部を、図5に示すように、凸条にした以外は同様にしてインプリント用モールドを形成した。この凸条のピッチ(P)は1030nmであり、高さ(H)は、310nmである。
【0049】
上記のようなモールド基材を用いて形成した波長分波分光素子の電子顕微鏡写真を図9(a)に示す。
上記のモールドは、凹凸が形成されている部分から外側に100μmの空白領域が形成されており、この空白領域と凹凸が形成されている部分の面積との合計の面積は、凹凸が形成されている部分の15倍である。
【0050】
このように凸条が形成された部分の外側に残留空気による痕跡は認められなかったが、このような切欠き部を形成しなかった例えば図11に示すようなモールド基台を用いて同一の条件で製造した波長分波分光素子の凸条の周囲には、図8(b)に示すように、残留空気痕が認められた。
【0051】
また図9に示すように、さらに拡大して形成された凸条の端部にも残留空気による非転写部があることがわかった。
また、形成された凸条の部分をさらに拡大して観察すると、図10(a)に示すように、モールド基台に空白領域を形成した基台を用いて製造された波長分波分光素子の凸条は、透明樹脂トップ層を形成する樹脂から垂直に形成されていることがわかる。これに対して、切欠き部を形成しなかったモールド基台を用いて製造されたは波長分波分光素子では、図10(b)に示すように、凸条の部分に残留空気による透明樹脂トップ層のえぐれが認められた。このように透明樹脂トップ層にえぐれ部が生ずると、形成した凸条のピッチ幅が一定ではなくなるため、分波しようとする光の波長と、分波された光の波長との間にずれが生ずる。
〔実施例3〕
実施例2において、切欠き部の高さを750μmにした以外は同様にして熱インプリント用モールドを形成した。このモールドに形成されている空白領域の面積とパターン領域の面積との合計を、凹凸部が形成されている面積に対して15倍に相当する。
【0052】
上記のようにして製造されたモールドを用いて、実施例2と同様に波長分波光学素子を製造したが、形成されたパターンに欠けあるいは歪は全く認められなかった。
〔実施例4〕
実施例2において、切欠き部の高さを500μmとし、モールドに形成されている空白領域の面積とパターン領域の面積との合計を、凹凸部が形成されている面積の5倍にした以外は実施例2と同様に熱インプリント用モールドを製造した。
【0053】
上記のようにして製造されたモールドを用いて、実施例2と同様に波長分波光学素子を製造したが、形成されたパターンに欠けあるいは歪は全く認められなかった。
〔実施例5〕
実施例2において、切欠き部の高さを500μmとし、モールドに形成されている空白領域の面積とパターン領域の面積との合計を凹凸部が形成されている面積の25倍にした以外は実施例2と同様に熱インプリント用モールドを製造した。
【0054】
上記のようにして製造されたモールドを用いて、実施例2と同様に波長分波光学素子を製造したが、形成されたパターンに欠けあるいは歪は全く認められなかった。
〔実施例6〕
実施例2において、切欠き部の高さを500μmとし、モールドに形成されている空白領域の面積をなくし、即ち、凹凸部が形成されている部分の周囲に余白領域を形成せずに、凹凸部が形成されている部分の面積を、凹凸部が形成されている面積の1倍にした以外は実施例2と同様に熱インプリント用モールドを製造した。
【0055】
上記のようにして製造されたモールドを用いて、実施例2と同様に波長分波光学素子を製造したが、パターンの有効面積が小さくなった。
〔実施例7〕
実施例2において、切欠き部の高さを500μmとし、モールドに形成されている空白領域の面積とパターン領域の面積との合計を、凹凸部が形成されている面積の35倍にした以外は実施例2と同様に熱インプリント用モールドを製造した。
【0056】
上記のようにして製造されたモールドを用いて、実施例2と同様に波長分波光学素子を製造したが、形成されたパターンに僅かに歪がみられた。
〔比較例1〕
実施例2において、切欠き部の高さを20μmとし、モールドに形成されている空白領域の面積とパターン領域の面積との合計を、凹凸部が形成されている面積の15倍にした以外は実施例2と同様に熱インプリント用モールドを製造した。
【0057】
上記のようにして製造されたモールドを用いて、実施例2と同様に波長分波光学素子を製造したが、形成されたパターンに明らかに欠けおよび歪が観察された。
上記の実施例および比較例の結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
註) 評価方法;
得られたモールドを使用して熱プリントした部材を光学顕微鏡で観察
部材にインプリントされたパターンを目視で評価した。
AA:パターンの欠けあるいは歪が全く見られない。
BB:パターンの歪がわずかに見られる。
CC:パターンのかけや歪が明らかに見られる。
AA*:パターンの欠けあるいは歪が全く見られない。
【0060】
但し、パターンの有効面積が小さくなった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のインプリント用モールドは、光学素子に凸部を形成するための凹凸が形成された部分の外側に、基板とモールドとの間の空気を除去するための切欠き部が形成されている。このように切欠き部を形成することにより、熱時、基板にモールドを当接して加圧してモールドに形成された凹凸形状を透明樹脂基板の透明樹脂トップ層の表面に転写する際に、基板とモールドとの間の空気が円滑に除去されるので、残留空気による痕跡が光学素子に残りにくく、非常に転写精度の高い光学素子を得ることができる。
【0062】
そして、このような残留空気を除去するための切欠き部を有するモールドを用いると、空気の存在下であっても、基板にモールドに形成された凹凸を転写することにより、設計値と実際の分波波長との間にずれのない波長分波分光素子などの分光素子を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明のインプリント用モールドの断面の例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明のインプリント用モールドの断面の他の態様例を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明のモールドに形成される空白領域の例を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明のインプリント用モールドに形成される凹凸の態様の例を示す図である。
【図5】図5は、本発明のインプリント用モールドに形成される凹凸の態様の他の例を示す図である。
【図6】図6は、本発明のインプリント用モールドを使用して分光素子を製造する際の例を示す図である。
【図7】図7は、本発明のインプリント用モールドを使用して分光素子を製造する際の他の態様例を示す図である。
【図8】図8は、本発明のインプリント用モールドを用いて製造された波長分波分光素子の電子顕微鏡写真であり、(a)は、インプリント用モールドに切欠き部を形成して製造された波長分波分光素子の表面状態であり、(b)は、切欠き部を形成しなかったインプリント用モールドを用いて製造された波長分波分光素子の表面の状態を示す電子顕微鏡写真である。
【図9】図9は、切欠き部を形成しなかったインプリント用モールドを用いて形成された波長分波分光素子の凸条の端部を拡大して残存空気の痕跡が形成された状態を示す電子顕微鏡写真である。
【図10】図10(a)は、切欠き部を形成したインプリント用モールドを用いて形成された波長分波分光素子の凸条部分を拡大して示す電子顕微鏡写真であり、図10(b)は、切欠き部が形成されていないインプリント用モールドを用いて形成された波長分波分光素子の凸条部分を拡大して示す電子顕微鏡写真である。
【図11】図11は、従来のインプリント用モールドの例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10・・・インプリント用モールド
12・・・モールド基台
14・・・凸部
16・・・凹部
20・・・切欠き部
23・・・空白領域
25・・・空白領域
30・・・樹脂基板
31・・・透明樹脂トップ層
35・・・透明樹脂中間層
37・・・透明基板層
40・・・樹脂基材固定基部
50・・・プレス基台
60・・・駆動軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールド基板の略中央部に、ナノオーダーの凹凸からなる転写部を有し、該転写部の周囲には被転写部材である基板と該モールドが接触した際に、該基板とモールドとの間にある空気を排出するために、モールドに形成された凹部の底部よりもさらに50μm〜1mm低く形成された切欠き部を有することを特徴とする熱インプリント用モールド。
【請求項2】
上記モールドの転写部が、パターン領域の外側にパターンが形成されていない空白領域を有しており、該空白領域の面積とパターン領域の面積との合計が、パターン領域の面積に対して1.1〜30倍の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の熱インプリント用モールド。
【請求項3】
上記空白領域の高さレベルが、転写部に形成された凸部の頂部または凹部の底部と同一高さレベルにあることを特徴とする請求項第2項記載の熱インプリント用モールド。
【請求項4】
上記モールド基板が、シリコン、石英およびガラスよりなる群から選ばれるいずれかの硬質部材から形成されていることを特徴とする請求項第1項記載の熱インプリント用モールド。
【請求項5】
基材の表面にナノオーダーの多数の突起を有するモールドを当接して、加熱下に加圧して、該モールドに形成された凹凸を基材表面に転写する光学素子の製造方法であって、
上記モールド基板の略中央部に、基板表面に形成されるナノオーダーの多数の凹凸からなる突起に対応する凹凸を設けた転写部を用い、該転写部の周囲には基板と該モールドが接触した際に、該基板とモールドとの間にある空気を排出するために、モールドに形成された凹部の底部よりもさらに50μm〜1mm低く形成された切欠き部を有する熱インプリント用モールドを基板と加熱下に接触させて、モールドに形成された凹凸を基板表面に転写することを特徴とする光学素子の製造方法。
【請求項6】
上記モールドの転写部が、パターン領域の外側にパターンが形成されていない空白領域を有しており、該空白領域の面積とパターン領域の面積との合計が、パターン領域の面積に対して1.1〜30倍の範囲内にある熱インプリント用モールドを用いることを特徴とする請求項第5項記載の光学素子の製造方法。
【請求項7】
上記モールドと基板との接触を、6Pa〜101.3kPaの環境下で行うことを特徴とする請求項第5項記載の光学素子の製造法。
【請求項8】
上記光学素子が、波長分波光学素子であることを特徴とする請求項第5項記載の光学素子の製造法。
【請求項1】
モールド基板の略中央部に、ナノオーダーの凹凸からなる転写部を有し、該転写部の周囲には被転写部材である基板と該モールドが接触した際に、該基板とモールドとの間にある空気を排出するために、モールドに形成された凹部の底部よりもさらに50μm〜1mm低く形成された切欠き部を有することを特徴とする熱インプリント用モールド。
【請求項2】
上記モールドの転写部が、パターン領域の外側にパターンが形成されていない空白領域を有しており、該空白領域の面積とパターン領域の面積との合計が、パターン領域の面積に対して1.1〜30倍の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の熱インプリント用モールド。
【請求項3】
上記空白領域の高さレベルが、転写部に形成された凸部の頂部または凹部の底部と同一高さレベルにあることを特徴とする請求項第2項記載の熱インプリント用モールド。
【請求項4】
上記モールド基板が、シリコン、石英およびガラスよりなる群から選ばれるいずれかの硬質部材から形成されていることを特徴とする請求項第1項記載の熱インプリント用モールド。
【請求項5】
基材の表面にナノオーダーの多数の突起を有するモールドを当接して、加熱下に加圧して、該モールドに形成された凹凸を基材表面に転写する光学素子の製造方法であって、
上記モールド基板の略中央部に、基板表面に形成されるナノオーダーの多数の凹凸からなる突起に対応する凹凸を設けた転写部を用い、該転写部の周囲には基板と該モールドが接触した際に、該基板とモールドとの間にある空気を排出するために、モールドに形成された凹部の底部よりもさらに50μm〜1mm低く形成された切欠き部を有する熱インプリント用モールドを基板と加熱下に接触させて、モールドに形成された凹凸を基板表面に転写することを特徴とする光学素子の製造方法。
【請求項6】
上記モールドの転写部が、パターン領域の外側にパターンが形成されていない空白領域を有しており、該空白領域の面積とパターン領域の面積との合計が、パターン領域の面積に対して1.1〜30倍の範囲内にある熱インプリント用モールドを用いることを特徴とする請求項第5項記載の光学素子の製造方法。
【請求項7】
上記モールドと基板との接触を、6Pa〜101.3kPaの環境下で行うことを特徴とする請求項第5項記載の光学素子の製造法。
【請求項8】
上記光学素子が、波長分波光学素子であることを特徴とする請求項第5項記載の光学素子の製造法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−132084(P2009−132084A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311098(P2007−311098)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】
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